JPWO2006121209A1 - 湿疹・皮膚炎群治療剤 - Google Patents
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Abstract
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を活性成分とする湿疹・皮膚炎群治療剤。この錯体は、その構成成分であるヒアルロン酸及び亜鉛単独に比較して、相乗効果を有する。
Description
本発明は、湿疹・皮膚炎群、例えばアトピー性皮膚炎など、の治療剤に関する。
湿疹・皮膚炎群について
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群は、皮膚疾患患者のおよそ3割を占める日常的できわめてありふれた疾患である。発症病態の上からは、外的因子が関与する外因性湿疹(例.一次刺激性接触皮膚炎)と、各個体の内的因子が関与する内因性湿疹(例.アレルギー性接触皮膚炎)に大別される場合もあるが、一般的には、一括して湿疹・皮膚炎群として取り扱われることが多い。
湿疹・皮膚炎群に含まれる疾患の具体例としては、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性脂掌角皮症、貨幣状湿疹、うっ滞性皮膚炎、慢性単純性苔癬、自家感作性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹等が挙げられる。
湿疹・皮膚炎群の中でも、特にアトピー性皮膚炎は、乳児では頬に紅斑、漿液性丘疹を生じ、顔面全面に広がって湿潤、結痂し、また、幼児から成人にかけて次第に患部が関節屈側部に移行し、皮膚は乾燥かつ肥厚して湿潤しない状態となる。いずれの場合においても激しい掻痒を伴うことが多く、掻痕、血痂をみることが多い。ほとんどが乳幼児期に発症するが、治療に数年あるいは数十年を要し、その10%近くは21歳を超えても軽快しない成人型の難治性アトピー性皮膚炎として残る。
アトピー性皮膚炎においても、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤等の治療剤が用いられているが、いずれの治療法、治療剤によってもこの皮膚炎を根治することは難しいというのが現状であり、また、特に幼児の場合には、錠剤などの内服薬の投与は、投与量の調節や副作用の点で好ましいものではない。このような事情から、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群に対して優れた治癒促進作用を有する外用製剤の開発が望まれていた。
既存の治療法、薬
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群の治療には、ステロイド外用剤、非ステロイド系消炎外用剤等の外用製剤の使用、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、リノレン酸、漢方薬、ステロイド剤、シクロスポリン等の内服、特異的減感作療法、非特異的減感作療法、細菌ワクチン療法、薬浴療法、PUVA療法(光化学療法の一種)、スキンケア、隔離を含む生活環境の改善、クリーンルーム療法、家塵ダニ対策、アレルゲン除去食療法など種々試みられている。
湿疹・皮膚炎群の治療の主体となる薬剤であるステロイド外用剤は、作用強度により、weak、medium、strong、very strong、strongestの5段階に分けられ、重症度により使い分けられている。また、痒みが強い場合には内服の抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を併用し、軽症の場合にはステロイド外用剤の代わりに保湿剤や非ステロイド性外用剤等が、全身性で重症の場合には内服のステロイド剤が用いられる。また、最近ではアトピー性皮膚炎に対して免疫抑制剤であるタクロリムス軟膏が用いられるようになった。
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群は、皮膚疾患患者のおよそ3割を占める日常的できわめてありふれた疾患である。発症病態の上からは、外的因子が関与する外因性湿疹(例.一次刺激性接触皮膚炎)と、各個体の内的因子が関与する内因性湿疹(例.アレルギー性接触皮膚炎)に大別される場合もあるが、一般的には、一括して湿疹・皮膚炎群として取り扱われることが多い。
湿疹・皮膚炎群に含まれる疾患の具体例としては、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性脂掌角皮症、貨幣状湿疹、うっ滞性皮膚炎、慢性単純性苔癬、自家感作性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹等が挙げられる。
湿疹・皮膚炎群の中でも、特にアトピー性皮膚炎は、乳児では頬に紅斑、漿液性丘疹を生じ、顔面全面に広がって湿潤、結痂し、また、幼児から成人にかけて次第に患部が関節屈側部に移行し、皮膚は乾燥かつ肥厚して湿潤しない状態となる。いずれの場合においても激しい掻痒を伴うことが多く、掻痕、血痂をみることが多い。ほとんどが乳幼児期に発症するが、治療に数年あるいは数十年を要し、その10%近くは21歳を超えても軽快しない成人型の難治性アトピー性皮膚炎として残る。
アトピー性皮膚炎においても、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤等の治療剤が用いられているが、いずれの治療法、治療剤によってもこの皮膚炎を根治することは難しいというのが現状であり、また、特に幼児の場合には、錠剤などの内服薬の投与は、投与量の調節や副作用の点で好ましいものではない。このような事情から、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群に対して優れた治癒促進作用を有する外用製剤の開発が望まれていた。
既存の治療法、薬
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群の治療には、ステロイド外用剤、非ステロイド系消炎外用剤等の外用製剤の使用、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、リノレン酸、漢方薬、ステロイド剤、シクロスポリン等の内服、特異的減感作療法、非特異的減感作療法、細菌ワクチン療法、薬浴療法、PUVA療法(光化学療法の一種)、スキンケア、隔離を含む生活環境の改善、クリーンルーム療法、家塵ダニ対策、アレルゲン除去食療法など種々試みられている。
湿疹・皮膚炎群の治療の主体となる薬剤であるステロイド外用剤は、作用強度により、weak、medium、strong、very strong、strongestの5段階に分けられ、重症度により使い分けられている。また、痒みが強い場合には内服の抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を併用し、軽症の場合にはステロイド外用剤の代わりに保湿剤や非ステロイド性外用剤等が、全身性で重症の場合には内服のステロイド剤が用いられる。また、最近ではアトピー性皮膚炎に対して免疫抑制剤であるタクロリムス軟膏が用いられるようになった。
しかしながら、いずれの治療法、治療剤によってもこれら上記皮膚炎を根治することは難しいというのが現状である。
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群の治療に用いられている薬剤のうち、錠剤などの内服薬は、作用発現までに時間を要することや症状の程度によって投与量を調節することが難しいという欠点を有していたり、また、内服の抗ヒスタミン剤やアレルギー剤は、全身倦怠感、眠気等の副作用があるため、長期連用は困難であった。更には外用の抗ヒスタミン剤はアトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹等の痒みに無効である場合が多い。
従って、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群の治療には、外用剤が好まれているのであるが、ステロイド外用剤は、長期間の投与による毛細血管の拡張を伴う紅斑、皮膚萎縮、感染症の誘発・増悪等の副作用が問題となっていた。
ステロイド外用剤と作用機序の異なる副作用の少ない外用剤、痒みを抑える外用剤等が求められていた。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、ヒアルロン酸と亜鉛との錯体(本明細書で「ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)」と称する)が接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群に対して優れた治療効果を示すことを見出した。
従って、本発明は、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を含んで成る、湿疹・皮膚炎群治療剤を提供する。
本発明はまた、湿疹・皮膚炎群治療剤の製造のための、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の使用に関する。
本発明は更に、湿疹・皮膚炎を有する患者に、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を投与することを特徴とする、湿疹・皮膚炎群治療剤の治療方法に関する。
本発明の効果
従来、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群の治療には、ステロイド外用剤が用いられているが、毛細血管の拡張を伴う紅斑、皮膚萎縮、感染症の誘発・増悪等の局所的な副作用を有している。また、ステロイド外用剤と頻繁に併用される内服の抗ヒスタミン剤・アレルギー剤は、全身倦怠感、眠気等の副作用などを有している。これらの副作用がない湿疹・皮膚炎群の治療を提供するものである。
本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、ヒアルロン酸(ナトリウム塩)、亜鉛(塩化物)及びこれらの単なる混合物に比べて高い効果を示し、錯体である事による相乗効果を示す。
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群の治療に用いられている薬剤のうち、錠剤などの内服薬は、作用発現までに時間を要することや症状の程度によって投与量を調節することが難しいという欠点を有していたり、また、内服の抗ヒスタミン剤やアレルギー剤は、全身倦怠感、眠気等の副作用があるため、長期連用は困難であった。更には外用の抗ヒスタミン剤はアトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹等の痒みに無効である場合が多い。
従って、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群の治療には、外用剤が好まれているのであるが、ステロイド外用剤は、長期間の投与による毛細血管の拡張を伴う紅斑、皮膚萎縮、感染症の誘発・増悪等の副作用が問題となっていた。
ステロイド外用剤と作用機序の異なる副作用の少ない外用剤、痒みを抑える外用剤等が求められていた。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、ヒアルロン酸と亜鉛との錯体(本明細書で「ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)」と称する)が接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群に対して優れた治療効果を示すことを見出した。
従って、本発明は、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を含んで成る、湿疹・皮膚炎群治療剤を提供する。
本発明はまた、湿疹・皮膚炎群治療剤の製造のための、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の使用に関する。
本発明は更に、湿疹・皮膚炎を有する患者に、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を投与することを特徴とする、湿疹・皮膚炎群治療剤の治療方法に関する。
本発明の効果
従来、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群の治療には、ステロイド外用剤が用いられているが、毛細血管の拡張を伴う紅斑、皮膚萎縮、感染症の誘発・増悪等の局所的な副作用を有している。また、ステロイド外用剤と頻繁に併用される内服の抗ヒスタミン剤・アレルギー剤は、全身倦怠感、眠気等の副作用などを有している。これらの副作用がない湿疹・皮膚炎群の治療を提供するものである。
本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、ヒアルロン酸(ナトリウム塩)、亜鉛(塩化物)及びこれらの単なる混合物に比べて高い効果を示し、錯体である事による相乗効果を示す。
図1は、アトピー性皮膚炎モデルに対する、種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果(皮膚症状のスコア)を示す、実施例1の結果を表すグラフである。
図2は、アトピー性皮膚炎モデルに対する、種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果(引っ掻き傷の数)を示す、実施例1の結果を表すグラフである。
図3は、アトピー性皮膚炎モデルに対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)と、既存の吉草酸ベタメタゾン製剤の効果(皮膚症状のスコア)を比較した結果を示す、実施例2で得られた結果を表すグラフである。
図4は、アトピー性皮膚炎モデルに対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)と、既存の0.12%吉草酸ベタメタゾン製剤の効果(引っ掻き傷の数)を比較した結果を示す、実施例2で得られた結果を表すグラフである。
図5は、アレルギー性接触皮膚炎に対する、無塗布対照、ゲル基剤対照、及び種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果を比較したものであり、実施例3で得られた結果を示すグラフである。
図6は、アレルギー性接触皮膚炎に対する、無塗布対照、ゲル基剤対照、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤、ヒアルロン酸ナトリウム、及び塩化亜鉛の効果を比較したものであり、実施例4で得られた結果を示すグラフである。この結果は、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が、ヒアルロン酸ナトリウム及び亜鉛の単独使用に対して、相乗効果を有することを示している。
図7は、アレルギー性接触皮膚炎に対する、無塗布対照、ゲル基剤対照、種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤、白色ワセリン、及び亜鉛華単軟膏の効果を比較したものであり、実施例5で得られた結果を示すグラフである。
図8は、刺激性接触皮膚炎に対する、無塗布対照、ゲル基剤対照、及び種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果を比較したものであり、実施例6で得られた経時観察の結果を示すグラフである。
図9は、図8における7日間の累計を示すグラフである。
図10は、刺激性接触皮膚炎に対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の相乗効果を示し、実施例7における経時観察の結果を示すグラフである。
図11は、図10における7日間の累計を示すグラフである。
図2は、アトピー性皮膚炎モデルに対する、種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果(引っ掻き傷の数)を示す、実施例1の結果を表すグラフである。
図3は、アトピー性皮膚炎モデルに対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)と、既存の吉草酸ベタメタゾン製剤の効果(皮膚症状のスコア)を比較した結果を示す、実施例2で得られた結果を表すグラフである。
図4は、アトピー性皮膚炎モデルに対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)と、既存の0.12%吉草酸ベタメタゾン製剤の効果(引っ掻き傷の数)を比較した結果を示す、実施例2で得られた結果を表すグラフである。
図5は、アレルギー性接触皮膚炎に対する、無塗布対照、ゲル基剤対照、及び種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果を比較したものであり、実施例3で得られた結果を示すグラフである。
図6は、アレルギー性接触皮膚炎に対する、無塗布対照、ゲル基剤対照、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤、ヒアルロン酸ナトリウム、及び塩化亜鉛の効果を比較したものであり、実施例4で得られた結果を示すグラフである。この結果は、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が、ヒアルロン酸ナトリウム及び亜鉛の単独使用に対して、相乗効果を有することを示している。
図7は、アレルギー性接触皮膚炎に対する、無塗布対照、ゲル基剤対照、種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤、白色ワセリン、及び亜鉛華単軟膏の効果を比較したものであり、実施例5で得られた結果を示すグラフである。
図8は、刺激性接触皮膚炎に対する、無塗布対照、ゲル基剤対照、及び種々の濃度の本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果を比較したものであり、実施例6で得られた経時観察の結果を示すグラフである。
図9は、図8における7日間の累計を示すグラフである。
図10は、刺激性接触皮膚炎に対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の相乗効果を示し、実施例7における経時観察の結果を示すグラフである。
図11は、図10における7日間の累計を示すグラフである。
湿疹・皮膚炎群について
・本発明の対象である湿疹・皮膚炎群は、湿疹性病変、即ち表皮を主な場とする皮膚疾患で、症状としては原則として湿疹三角形(医学大辞典 第17版(1990年)南山堂)の経過をたどるが、例外もある。また、丘疹、小水疱などの点状状態、紅斑、丘疹、痂皮など多彩な皮疹要素の混在、掻痒が三徴候とされている。慢性化すると皮膚症状は単調となり、苔癬化と浸潤が著明となる。発症機序は、一次刺激性機序とアレルギー性機序に大別できるが、臨床的にも、病理組織学的にも確定的に鑑別することは難しい。
組織学的には、表皮の海綿状態が最も重視され、他に不全角化、表皮肥厚、真皮のリンパ球などの細胞の浸潤が種々の程度で認められる、慢性病巣では表皮肥厚が特徴的となる。湿疹・皮膚炎群は、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、汗疱、Vidal苔癬などに分類される。治療法は、原因を除き、外用剤、主としてステロイド外用剤を塗布することによるが、その選択には十分慎重でなければならない。掻痒の著しい場合には抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤(化学伝達物質遊離抑制剤)の内服などの併用が必要となる。
治療対象となる皮膚疾患
・具体的には、アトピー性皮膚炎、神経性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、自己感作性皮膚炎、毛虫皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、老人性皮膚掻痒、虫刺症、光線過敏症、蕁麻疹、痒疹、疱疹、膿痂疹、湿疹、白癬、苔癬、乾癬、疥癬、尋常性ざ瘡、アレルギー性皮膚炎、感染性皮膚炎、接触皮膚炎、寄生性皮膚疾患、虫さされ、汗や皮膚老廃物に起因する湿疹、かぶれ、しもやけ、あかぎれ、虫さされ、痒疹、水虫等が対象となる。
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)について
本発明の活性成分は、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)である。ヒアルロン酸は通常ナトリウム塩として存在し、Meyerら、J.Biol.Chem.Vol.107,p.629(1934)により記載された巨大分子である。ヒアルロン酸は、β1,3−グルクロン酸成分とβ1,4−グルコサミン成分とを交互に有する高粘性グルコサミノグリカンであり、その分子量は50kD〜数百万Dである。ヒアルロン酸はすべての哺乳類の結合組織に見出され、皮膚、目のガラス体、滑液、臍帯及び軟骨組織に高レベルで存在する。ヒアルロン酸は結合組織の基礎的な成分であるため、生物適合性であり、生物吸着性であり、且つ免疫原性でない。このため、ヒアルロン酸は、関節軟骨の潤滑性及び保護のごとき多くの生物学的機能を演じている。
本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)において、ヒアルロン酸と亜鉛との比率は、これらの成分が、湿疹・皮膚炎群の治療剤として相乗的作用を発揮する範囲であり、重量比として、ヒアルロン酸:亜鉛が約5:1〜20:1の範囲であり、好ましくは約10:1である。本発明において使用するヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の平均分子量は好ましくは約100kD〜2,000kDであり、更に好ましくは約400〜1,200kDの範囲であり、例えば約1000kDの平均分子量が好ましい。本発明の、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、例えばヒアルロン酸ナトリウムの水溶液と亜鉛塩、例えば塩化亜鉛の水溶液とを混合することにより製造することができる(ヨーロッパ特許明細書No.EP 0413016)。
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の毒性
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、物理的最大投与量200mg/kgでラット及びマウスに皮下投与しても、全身性の毒性症状は認められなかった。
剤形について
剤形は、例えば、基剤中に本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)や添加剤等を溶解又は混合分散させてクリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、乳液剤、液剤等の形状になされたもの、リニメント剤、軟膏、ローション剤等、基剤中に本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)や添加剤等を溶解又は混合分散させたものを支持体上に展延したもの(パップ剤等)、粘着剤中に本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)や添加剤等を溶解又は混合分散させたものを支持体上に展延したもの(プラスター剤、テープ剤等)、噴霧状(スプレー状)にしたもの等が挙げられる。
投与方法
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、非経口投与で、特に皮膚に直接塗布するのが好ましい。
外用剤の場合、その作用が直接的で、かつ、速効的な効果を期待できる。このことは、皮膚炎、特にアトピー性皮膚炎の場合などに対して、掻痒を抑制することにより、掻破によってその症状が悪化するという悪循環を回避できることになる。しいては、アトピー性皮膚炎の完治までの時間を短縮できることに繋がる利点を有する。
本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の有効投与量は、一人一回当り、0.01〜1mg、好ましくは0.03〜0.5mgであり、症状に応じて、一日に1〜数回投与することが出来る。
外用剤基剤について
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を外用剤として製造する場合の基剤としては、通常の液剤、硬膏剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、噴霧剤等に適用可能なものであればよい。例えば、精製水、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、中鎖脂肪酸グリセライド、ミツロウ、オリーブ油、カカオ脂、ラウシン脂、牛脂、ハードファット、ミツロウ、ワセリン、グリセリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パルミチン酸、ミリスチン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびエステル、セタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール等の高級アルコール、カルナウバロウ、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン等のポリマー、界面活性剤等が挙げられる。これらの基剤は単独であるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
軟膏剤は、通常の軟膏剤を製造する方法を用いることにより製造できる。例えば、活性成分と基剤とを加温攪拌し、加温分散させた後、攪拌下、室温に冷却することにより製造できる。
クリーム剤は、通常、クリーム剤を製造する方法を用いることにより製造できる。例えば、まず基剤を加熱攪拌下に製造し、これに、活性成分自体又はこれを含有する溶液を、加熱攪拌下に添加し、生じた乳化液を室温に冷却することにより製造できる。
ローション剤は、通常、ローション剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、油性基剤又は、加温融解した油性基剤と水性基剤の混合基剤に、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、次いで、水性基剤を添加して、生じた液体を室温に冷却することにより製造できる。
貼付剤は、通常、貼付剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、加温融解した油性基剤と水性基剤の混合基剤に、添加剤を攪拌しながら添加し、これに、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、得られた膏体を不織布に展延し、適当な大きさに裁断することにより、または、加温融解した油性基剤の混合基剤に、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、次いで、これを、合成樹脂の加温融解した混合物に攪拌しながら添加し、得られた膏体を不織布又は織布に展延し、適当な大きさに裁断することにより製造できる。
ゲル剤は、通常、ゲル剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、ゲル基剤を均一に溶解した後、有効成分を加え、加温し、溶解、分散等させることにより製造できるなど、いずれの剤形も通常の製法で造ることができる。
支持体を用いる場合は、その剤型に応じて適宜選択されるが、有効成分が不透過又は難透過性で柔軟なものが好ましく、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、アルミニウムシート、織布、不織布等、及びこれらの積層シート等が挙げられる。
粘着剤を使用する場合は、薬学的に許容しうるものであればよく、従来公知のものを用いることができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられ、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤が好適に用いられる。また上記支持体上に展延する際には、粘着剤の性状としては、溶剤系、エマルジョン系、ホットメルト系等の任意のものを用いることができる。
さらに必要に応じて、カオリン、ベントナイト、酸化チタン等の無機充填剤、粘度調整剤、老化防止剤、pH調整剤、グリセリン、プロピレングリコール等の保湿剤、緩衝剤、防腐剤、香料等を添加してもよい。
本発明の湿疹・皮膚炎群治療剤は、常用の医薬キャリアーと共に、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を0.001%〜5%、好ましくは0.01%〜2%含有することができる。
また、本発明に係る組成物に他の薬物を配合して使用することができる。薬物の種類は特に限定されるものではないが、例えば、局所麻酔剤、血管収縮剤、抗ヒスタミン剤、収斂剤、殺菌剤、消炎酵素剤、ビタミン類、生薬成分等を配合することができる。
・本発明の対象である湿疹・皮膚炎群は、湿疹性病変、即ち表皮を主な場とする皮膚疾患で、症状としては原則として湿疹三角形(医学大辞典 第17版(1990年)南山堂)の経過をたどるが、例外もある。また、丘疹、小水疱などの点状状態、紅斑、丘疹、痂皮など多彩な皮疹要素の混在、掻痒が三徴候とされている。慢性化すると皮膚症状は単調となり、苔癬化と浸潤が著明となる。発症機序は、一次刺激性機序とアレルギー性機序に大別できるが、臨床的にも、病理組織学的にも確定的に鑑別することは難しい。
組織学的には、表皮の海綿状態が最も重視され、他に不全角化、表皮肥厚、真皮のリンパ球などの細胞の浸潤が種々の程度で認められる、慢性病巣では表皮肥厚が特徴的となる。湿疹・皮膚炎群は、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、汗疱、Vidal苔癬などに分類される。治療法は、原因を除き、外用剤、主としてステロイド外用剤を塗布することによるが、その選択には十分慎重でなければならない。掻痒の著しい場合には抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤(化学伝達物質遊離抑制剤)の内服などの併用が必要となる。
治療対象となる皮膚疾患
・具体的には、アトピー性皮膚炎、神経性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、自己感作性皮膚炎、毛虫皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、老人性皮膚掻痒、虫刺症、光線過敏症、蕁麻疹、痒疹、疱疹、膿痂疹、湿疹、白癬、苔癬、乾癬、疥癬、尋常性ざ瘡、アレルギー性皮膚炎、感染性皮膚炎、接触皮膚炎、寄生性皮膚疾患、虫さされ、汗や皮膚老廃物に起因する湿疹、かぶれ、しもやけ、あかぎれ、虫さされ、痒疹、水虫等が対象となる。
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)について
本発明の活性成分は、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)である。ヒアルロン酸は通常ナトリウム塩として存在し、Meyerら、J.Biol.Chem.Vol.107,p.629(1934)により記載された巨大分子である。ヒアルロン酸は、β1,3−グルクロン酸成分とβ1,4−グルコサミン成分とを交互に有する高粘性グルコサミノグリカンであり、その分子量は50kD〜数百万Dである。ヒアルロン酸はすべての哺乳類の結合組織に見出され、皮膚、目のガラス体、滑液、臍帯及び軟骨組織に高レベルで存在する。ヒアルロン酸は結合組織の基礎的な成分であるため、生物適合性であり、生物吸着性であり、且つ免疫原性でない。このため、ヒアルロン酸は、関節軟骨の潤滑性及び保護のごとき多くの生物学的機能を演じている。
本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)において、ヒアルロン酸と亜鉛との比率は、これらの成分が、湿疹・皮膚炎群の治療剤として相乗的作用を発揮する範囲であり、重量比として、ヒアルロン酸:亜鉛が約5:1〜20:1の範囲であり、好ましくは約10:1である。本発明において使用するヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の平均分子量は好ましくは約100kD〜2,000kDであり、更に好ましくは約400〜1,200kDの範囲であり、例えば約1000kDの平均分子量が好ましい。本発明の、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、例えばヒアルロン酸ナトリウムの水溶液と亜鉛塩、例えば塩化亜鉛の水溶液とを混合することにより製造することができる(ヨーロッパ特許明細書No.EP 0413016)。
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の毒性
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、物理的最大投与量200mg/kgでラット及びマウスに皮下投与しても、全身性の毒性症状は認められなかった。
剤形について
剤形は、例えば、基剤中に本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)や添加剤等を溶解又は混合分散させてクリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、乳液剤、液剤等の形状になされたもの、リニメント剤、軟膏、ローション剤等、基剤中に本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)や添加剤等を溶解又は混合分散させたものを支持体上に展延したもの(パップ剤等)、粘着剤中に本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)や添加剤等を溶解又は混合分散させたものを支持体上に展延したもの(プラスター剤、テープ剤等)、噴霧状(スプレー状)にしたもの等が挙げられる。
投与方法
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、非経口投与で、特に皮膚に直接塗布するのが好ましい。
外用剤の場合、その作用が直接的で、かつ、速効的な効果を期待できる。このことは、皮膚炎、特にアトピー性皮膚炎の場合などに対して、掻痒を抑制することにより、掻破によってその症状が悪化するという悪循環を回避できることになる。しいては、アトピー性皮膚炎の完治までの時間を短縮できることに繋がる利点を有する。
本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の有効投与量は、一人一回当り、0.01〜1mg、好ましくは0.03〜0.5mgであり、症状に応じて、一日に1〜数回投与することが出来る。
外用剤基剤について
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を外用剤として製造する場合の基剤としては、通常の液剤、硬膏剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、噴霧剤等に適用可能なものであればよい。例えば、精製水、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、中鎖脂肪酸グリセライド、ミツロウ、オリーブ油、カカオ脂、ラウシン脂、牛脂、ハードファット、ミツロウ、ワセリン、グリセリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パルミチン酸、ミリスチン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびエステル、セタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール等の高級アルコール、カルナウバロウ、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン等のポリマー、界面活性剤等が挙げられる。これらの基剤は単独であるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
軟膏剤は、通常の軟膏剤を製造する方法を用いることにより製造できる。例えば、活性成分と基剤とを加温攪拌し、加温分散させた後、攪拌下、室温に冷却することにより製造できる。
クリーム剤は、通常、クリーム剤を製造する方法を用いることにより製造できる。例えば、まず基剤を加熱攪拌下に製造し、これに、活性成分自体又はこれを含有する溶液を、加熱攪拌下に添加し、生じた乳化液を室温に冷却することにより製造できる。
ローション剤は、通常、ローション剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、油性基剤又は、加温融解した油性基剤と水性基剤の混合基剤に、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、次いで、水性基剤を添加して、生じた液体を室温に冷却することにより製造できる。
貼付剤は、通常、貼付剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、加温融解した油性基剤と水性基剤の混合基剤に、添加剤を攪拌しながら添加し、これに、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、得られた膏体を不織布に展延し、適当な大きさに裁断することにより、または、加温融解した油性基剤の混合基剤に、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、次いで、これを、合成樹脂の加温融解した混合物に攪拌しながら添加し、得られた膏体を不織布又は織布に展延し、適当な大きさに裁断することにより製造できる。
ゲル剤は、通常、ゲル剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、ゲル基剤を均一に溶解した後、有効成分を加え、加温し、溶解、分散等させることにより製造できるなど、いずれの剤形も通常の製法で造ることができる。
支持体を用いる場合は、その剤型に応じて適宜選択されるが、有効成分が不透過又は難透過性で柔軟なものが好ましく、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、アルミニウムシート、織布、不織布等、及びこれらの積層シート等が挙げられる。
粘着剤を使用する場合は、薬学的に許容しうるものであればよく、従来公知のものを用いることができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられ、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤が好適に用いられる。また上記支持体上に展延する際には、粘着剤の性状としては、溶剤系、エマルジョン系、ホットメルト系等の任意のものを用いることができる。
さらに必要に応じて、カオリン、ベントナイト、酸化チタン等の無機充填剤、粘度調整剤、老化防止剤、pH調整剤、グリセリン、プロピレングリコール等の保湿剤、緩衝剤、防腐剤、香料等を添加してもよい。
本発明の湿疹・皮膚炎群治療剤は、常用の医薬キャリアーと共に、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を0.001%〜5%、好ましくは0.01%〜2%含有することができる。
また、本発明に係る組成物に他の薬物を配合して使用することができる。薬物の種類は特に限定されるものではないが、例えば、局所麻酔剤、血管収縮剤、抗ヒスタミン剤、収斂剤、殺菌剤、消炎酵素剤、ビタミン類、生薬成分等を配合することができる。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1] アトピー性皮膚炎に対する作用
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の皮膚炎の進展に対する抑制作用および用量反応性を検討する目的で、アトピー性皮膚炎モデルである雄性NC/Ngaマウス(以下、「NCマウス」と記す)を用いて、被験物質としてヒアルロン酸と亜鉛との錯体を用いて試験を行った。ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)投与群は、動物の剃毛した頸背部に0.1、0.2、0.5及び1.0%のゲル製剤を1日3回、150mg/回で10日間反復塗布した。同様にプラセボ群(基剤)を同様に塗布した(各群15匹)。ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の有効性の評価は、頸背部の症状の5段階基準によるスコア付け及び被験物質塗布部位の引っ掻き傷の計数ならびに病理組織学的検査により評価を行った。
結果を図1及び図2に示す。この結果から、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤では、NCマウスに対して皮膚症状のスコアの低下及び引っ掻き傷の数の減少では0.5%濃度をピークとする用量反応性がみられ、用いた全用量では、統計学的に有意な濃度に応じた減少傾向が確認された。真皮中の肥満細胞では1.0%濃度まで用量に応じた減少傾向が確認された。このことから、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤は、アトピー性皮膚炎に類似した症状を呈するNCマウスにおいて、用量に応じた皮膚炎の進展抑制作用ならびに症状改善作用を有するものと考えられた。
[実施例2] アトピー性皮膚炎に対する作用
アトピー性皮膚炎モデル雄性NC/Ngaマウスを用いて、0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の皮膚炎の進展に対する抑制作用を、既存の副腎皮質ホルモン製剤(0.12%吉草酸ベタメタゾン)と比較検討する目的で、被験物質としてヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を用いて試験を行った。0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤を投与した群は、動物の剃毛した頸背部に0.5%のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤を1日3回、150mg/回で10日間塗布した。吉草酸ベタメタゾン群は、動物の剃毛した頸背部に0.12%の吉草酸ベタメタゾンを2日1回、塗布開始1、3、5、7、9日目に100mg/回塗布した。基剤群、無処置群は、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)と同様な塗布(各群15匹)とした。
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の有効性の評価は、頸背部の症状の6段階基準によるスコア付け及び白血球型別百分率の計測、IgEの測定ならびに病理組織学的検査により評価を行った。
結果を図3及び図4に示す。この結果から、本試験条件下ではヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤は、NCマウスにおいて皮膚炎の進展抑制作用ならびに症状改善作用を有し、この皮膚炎症状の改善作用は既存の吉草酸ベタメタゾン製剤を上回わるものであった。
[実施例3] アレルギー性接触皮膚炎の症状改善作用
ジニトロクロロベンゼン(Dinitrochlorobenzene(以下「DNCB」と記す)感作・誘発遅延型耳翼腫脹モデルに対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の作用について検討する目的で、9週齢の雄性BALB/C系マウスを用いて、被験物質として種々の濃度のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を用いて試験を行った。
(1)耳翼腫脹モデルの作製
マウスの腹部を除毛し、1%DNCB溶液(溶媒 アセトン/オリーブ油4:1)を塗布し感作させ(0日目)、5日目に0.1% DNCBを右側耳翼へ塗布し誘発し、耳翼腫脹モデルを作製した。
(2)薬物塗布
対照としての無塗布及びゲル基剤のみ塗布と、種々の濃度(0.125、0.25、0.5、0.75、1%)のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤(各n=10)を誘発3時間前に右側耳翼の両側面に塗布し、誘発直前に薬剤を拭き取り、薬物を除去後、0.1% DNCB溶液にて誘発、さらに誘発の1時間後、24、48、72時間後に各薬物を塗布した。誘発前、誘発後、24、48、72、96時間目における耳翼の厚さを測定し、誘発前の耳翼の厚さの差を腫脹として算出した。
(3)結果
結果を図5に示す。この結果から、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤はEffector phaseでの適用により、DNCBの1%感作・0.1%誘発により惹起されるマウスの耳翼腫脹を適用濃度に依存して抑制した。
[実施例4] アレルギー性接触皮膚炎の症状改善作用
耳翼の腫脹に対する作用について、比較対照物としてヒアルロン酸ナトリウムおよび塩化亜鉛のゲル剤の作用と、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤とを比較する目的で、9週齢の雄性BALB/C系マウスを用いて試験を行った。
(1)耳翼腫脹モデルの作製
実施例3と同様にマウスにDNCB溶液を塗布し感作・誘発し、耳翼腫脹モデルを作製した。
(2)薬物塗布
実施例3と同様に無塗布対照、ゲル基剤対照、0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤、0.488%ヒアルロン酸ナトリウムゲル剤および0.083%塩化亜鉛ゲル剤塗布群(n=10)に薬物を塗布、耳翼の厚さを測定した。
結果を図6に示す。この結果から、0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤はマウスの耳翼腫脹を有意に抑制した。0.488%ヒアルロン酸ナトリウムゲル剤(0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)に相当するヒアルロン酸を含む)、0.083%塩化亜鉛ゲル剤(0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)に相当する亜鉛を含む)にも腫脹抑制傾向は認められたが、その作用はヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤と比較すると弱いものであった。よって、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の耳翼腫脹抑制作用はヒアルロン酸と亜鉛との相乗作用によるものと考えられる。
[実施例5] アレルギー性接触皮膚炎の症状改善作用
DNCBの感作・誘発により惹起されるマウス耳翼腫脹の経時変化について検討するとともに、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)、比較対照候補薬剤の作用についての検討を行う目的で、9週齢の雄性BALB/C系マウスを用いて、比較対照物として亜鉛華単軟膏を用いて、被験物質としてヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を用いて試験を行った。
(1)耳翼腫脹モデルの作製
実施例4と同様にマウスにDNCB溶液を塗布し感作・誘発し、耳翼腫脹モデルを作製した。
(2)薬物塗布
実施例4と同様に無塗布、ゲル基剤、0.125%、0.25%、0.5%、0.75%および1%のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤、白色ワセリン、亜鉛華単軟膏の群(n=6)に薬物を塗布、耳翼の厚さを測定した。結果を図7に示す。この結果から、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤はマウス耳翼腫脹を適用濃度に依存して抑制したのに対し、亜鉛華単軟膏は抑制作用を示さなかった。よって、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の有する作用は、既に臨床現場で用いられている亜鉛化合物である亜鉛華単軟膏ではみられない作用であることがわかった。
[実施例6] 刺激性接触皮膚炎の症状改善作用
ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)塗布により誘発した一次刺激によるラット皮膚炎モデルに対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果を試験した。
除毛した翌日、Std:Hartly系モルモットの左右背部に、2% SLS水溶液を50μL滴下したパッチテスト用絆創膏を12時間貼付してモデルを作製し、一箇所あたり、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル(0.25%、0.5%、0.75%及び1%)あるいはゲル基剤、各0.035gを、1日1回、6日間塗布した。対照として無塗布群も設けた。
皮膚症状の肉眼的所見はドレイズの基準により評価を行い、紅班スコアを得た。7日間の経時的結果を図8に示し、7日間の累計を図9のグラフに示す。図8から明らかな通り、1%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)ゲル塗布群においては、5日目以降にゲル基剤に比べて紅班スコアの有意な低下が認められた。7日間の累計では、1%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の塗布群において、基剤に比べて有意に低いスコアが得られた。
[実施例7] 刺激性接触皮膚炎の症状改善におけるヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の相乗効果
実施例6と同様の実験を反復した。但し、相乗効果を確認するため、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル中濃度を1%に固定し、比較のため、0.976%ヒアルロン酸ナトリウムゲル(1%ヒアルロン酸亜鉛に相当するヒアルロン酸を含む)、0.166%塩化亜鉛ゲル(1%ヒアルロン酸亜鉛に相当する亜鉛を含む)、塩化ナトリウム含有ゲル及びヒアルロン酸ナトリウムゲルと塩化亜鉛ゲルとの混合ゲル(1%ヒアルロン酸亜鉛に相当するヒアルロン酸及び亜鉛を含む)を塗布した。
経時的観察の結果を図10に示し、7日間の累計を図11に示す。図11の結果から、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、ヒアルロン酸ナトリウムゲル及び塩化亜鉛ゲルと比較した場合のみならず、混合ゲルと比較した場合も、低い紅班スコア累計をもたらし、錯体とすることによる相乗効果が確認された。
[実施例1] アトピー性皮膚炎に対する作用
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の皮膚炎の進展に対する抑制作用および用量反応性を検討する目的で、アトピー性皮膚炎モデルである雄性NC/Ngaマウス(以下、「NCマウス」と記す)を用いて、被験物質としてヒアルロン酸と亜鉛との錯体を用いて試験を行った。ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)投与群は、動物の剃毛した頸背部に0.1、0.2、0.5及び1.0%のゲル製剤を1日3回、150mg/回で10日間反復塗布した。同様にプラセボ群(基剤)を同様に塗布した(各群15匹)。ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の有効性の評価は、頸背部の症状の5段階基準によるスコア付け及び被験物質塗布部位の引っ掻き傷の計数ならびに病理組織学的検査により評価を行った。
結果を図1及び図2に示す。この結果から、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤では、NCマウスに対して皮膚症状のスコアの低下及び引っ掻き傷の数の減少では0.5%濃度をピークとする用量反応性がみられ、用いた全用量では、統計学的に有意な濃度に応じた減少傾向が確認された。真皮中の肥満細胞では1.0%濃度まで用量に応じた減少傾向が確認された。このことから、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤は、アトピー性皮膚炎に類似した症状を呈するNCマウスにおいて、用量に応じた皮膚炎の進展抑制作用ならびに症状改善作用を有するものと考えられた。
[実施例2] アトピー性皮膚炎に対する作用
アトピー性皮膚炎モデル雄性NC/Ngaマウスを用いて、0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の皮膚炎の進展に対する抑制作用を、既存の副腎皮質ホルモン製剤(0.12%吉草酸ベタメタゾン)と比較検討する目的で、被験物質としてヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を用いて試験を行った。0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤を投与した群は、動物の剃毛した頸背部に0.5%のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤を1日3回、150mg/回で10日間塗布した。吉草酸ベタメタゾン群は、動物の剃毛した頸背部に0.12%の吉草酸ベタメタゾンを2日1回、塗布開始1、3、5、7、9日目に100mg/回塗布した。基剤群、無処置群は、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)と同様な塗布(各群15匹)とした。
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の有効性の評価は、頸背部の症状の6段階基準によるスコア付け及び白血球型別百分率の計測、IgEの測定ならびに病理組織学的検査により評価を行った。
結果を図3及び図4に示す。この結果から、本試験条件下ではヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤は、NCマウスにおいて皮膚炎の進展抑制作用ならびに症状改善作用を有し、この皮膚炎症状の改善作用は既存の吉草酸ベタメタゾン製剤を上回わるものであった。
[実施例3] アレルギー性接触皮膚炎の症状改善作用
ジニトロクロロベンゼン(Dinitrochlorobenzene(以下「DNCB」と記す)感作・誘発遅延型耳翼腫脹モデルに対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の作用について検討する目的で、9週齢の雄性BALB/C系マウスを用いて、被験物質として種々の濃度のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を用いて試験を行った。
(1)耳翼腫脹モデルの作製
マウスの腹部を除毛し、1%DNCB溶液(溶媒 アセトン/オリーブ油4:1)を塗布し感作させ(0日目)、5日目に0.1% DNCBを右側耳翼へ塗布し誘発し、耳翼腫脹モデルを作製した。
(2)薬物塗布
対照としての無塗布及びゲル基剤のみ塗布と、種々の濃度(0.125、0.25、0.5、0.75、1%)のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤(各n=10)を誘発3時間前に右側耳翼の両側面に塗布し、誘発直前に薬剤を拭き取り、薬物を除去後、0.1% DNCB溶液にて誘発、さらに誘発の1時間後、24、48、72時間後に各薬物を塗布した。誘発前、誘発後、24、48、72、96時間目における耳翼の厚さを測定し、誘発前の耳翼の厚さの差を腫脹として算出した。
(3)結果
結果を図5に示す。この結果から、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤はEffector phaseでの適用により、DNCBの1%感作・0.1%誘発により惹起されるマウスの耳翼腫脹を適用濃度に依存して抑制した。
[実施例4] アレルギー性接触皮膚炎の症状改善作用
耳翼の腫脹に対する作用について、比較対照物としてヒアルロン酸ナトリウムおよび塩化亜鉛のゲル剤の作用と、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤とを比較する目的で、9週齢の雄性BALB/C系マウスを用いて試験を行った。
(1)耳翼腫脹モデルの作製
実施例3と同様にマウスにDNCB溶液を塗布し感作・誘発し、耳翼腫脹モデルを作製した。
(2)薬物塗布
実施例3と同様に無塗布対照、ゲル基剤対照、0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤、0.488%ヒアルロン酸ナトリウムゲル剤および0.083%塩化亜鉛ゲル剤塗布群(n=10)に薬物を塗布、耳翼の厚さを測定した。
結果を図6に示す。この結果から、0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤はマウスの耳翼腫脹を有意に抑制した。0.488%ヒアルロン酸ナトリウムゲル剤(0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)に相当するヒアルロン酸を含む)、0.083%塩化亜鉛ゲル剤(0.5%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)に相当する亜鉛を含む)にも腫脹抑制傾向は認められたが、その作用はヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤と比較すると弱いものであった。よって、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の耳翼腫脹抑制作用はヒアルロン酸と亜鉛との相乗作用によるものと考えられる。
[実施例5] アレルギー性接触皮膚炎の症状改善作用
DNCBの感作・誘発により惹起されるマウス耳翼腫脹の経時変化について検討するとともに、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)、比較対照候補薬剤の作用についての検討を行う目的で、9週齢の雄性BALB/C系マウスを用いて、比較対照物として亜鉛華単軟膏を用いて、被験物質としてヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を用いて試験を行った。
(1)耳翼腫脹モデルの作製
実施例4と同様にマウスにDNCB溶液を塗布し感作・誘発し、耳翼腫脹モデルを作製した。
(2)薬物塗布
実施例4と同様に無塗布、ゲル基剤、0.125%、0.25%、0.5%、0.75%および1%のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤、白色ワセリン、亜鉛華単軟膏の群(n=6)に薬物を塗布、耳翼の厚さを測定した。結果を図7に示す。この結果から、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤はマウス耳翼腫脹を適用濃度に依存して抑制したのに対し、亜鉛華単軟膏は抑制作用を示さなかった。よって、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の有する作用は、既に臨床現場で用いられている亜鉛化合物である亜鉛華単軟膏ではみられない作用であることがわかった。
[実施例6] 刺激性接触皮膚炎の症状改善作用
ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)塗布により誘発した一次刺激によるラット皮膚炎モデルに対する、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル剤の効果を試験した。
除毛した翌日、Std:Hartly系モルモットの左右背部に、2% SLS水溶液を50μL滴下したパッチテスト用絆創膏を12時間貼付してモデルを作製し、一箇所あたり、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル(0.25%、0.5%、0.75%及び1%)あるいはゲル基剤、各0.035gを、1日1回、6日間塗布した。対照として無塗布群も設けた。
皮膚症状の肉眼的所見はドレイズの基準により評価を行い、紅班スコアを得た。7日間の経時的結果を図8に示し、7日間の累計を図9のグラフに示す。図8から明らかな通り、1%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)ゲル塗布群においては、5日目以降にゲル基剤に比べて紅班スコアの有意な低下が認められた。7日間の累計では、1%ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の塗布群において、基剤に比べて有意に低いスコアが得られた。
[実施例7] 刺激性接触皮膚炎の症状改善におけるヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の相乗効果
実施例6と同様の実験を反復した。但し、相乗効果を確認するため、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)のゲル中濃度を1%に固定し、比較のため、0.976%ヒアルロン酸ナトリウムゲル(1%ヒアルロン酸亜鉛に相当するヒアルロン酸を含む)、0.166%塩化亜鉛ゲル(1%ヒアルロン酸亜鉛に相当する亜鉛を含む)、塩化ナトリウム含有ゲル及びヒアルロン酸ナトリウムゲルと塩化亜鉛ゲルとの混合ゲル(1%ヒアルロン酸亜鉛に相当するヒアルロン酸及び亜鉛を含む)を塗布した。
経時的観察の結果を図10に示し、7日間の累計を図11に示す。図11の結果から、本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、ヒアルロン酸ナトリウムゲル及び塩化亜鉛ゲルと比較した場合のみならず、混合ゲルと比較した場合も、低い紅班スコア累計をもたらし、錯体とすることによる相乗効果が確認された。
Claims (21)
- ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を含んで成る、湿疹・皮膚炎群治療剤。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約100kD〜約2,000kDの平均分子量を有する、請求項1に記載の湿疹・皮膚炎群治療剤。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約400〜1,200kDの平均分子量を有する、請求項2に記載の湿疹・皮膚炎群治療剤。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約1,000kDの平均分子量を有する、請求項3に記載の湿疹・皮膚炎群治療剤。
- ヒアルロン酸と亜鉛との重量比が5:1〜20:1である請求項1〜4のいずれか1項に記載の湿疹・皮膚炎群治療剤。
- ヒアルロン酸と亜鉛との重量比が約10:1である、請求項5に記載の湿疹・皮膚炎群治療剤。
- 前記湿疹・皮膚炎が、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性脂掌角皮症、貨幣自状湿疹、うっ帯性皮膚炎、慢性単純性苔癬、自家感作性皮膚炎、又は皮脂欠乏症皮膚炎である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の湿疹・皮膚炎群治療剤。
- 湿疹・皮膚炎群治療剤の製造のための、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の使用。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約100kD〜約2,000kDの平均分子量を有する、請求項8に記載の使用。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約400〜1,200kDの平均分子量を有する、請求項9に記載の使用。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約1,000kDの平均分子量を有する、請求項10に記載の使用。
- ヒアルロン酸と亜鉛との重量比が5:1〜20:1である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の使用。
- ヒアルロン酸と亜鉛との重量比が約10:1である、請求項12に記載の使用。
- 前記湿疹・皮膚炎が、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性脂掌角皮症、貨幣自状湿疹、うっ帯性皮膚炎、慢性単純性苔癬、自家感作性皮膚炎、又は皮脂欠乏症皮膚炎である、請求項8〜13のいずれか1項に記載の使用。
- 湿疹・皮膚炎を有する患者に、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を投与することを特徴とする、湿疹・皮膚炎群治療剤の治療方法。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約100kD〜約2,000kDの平均分子量を有する、請求項15に記載の治療方法。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約400〜1,200kDの平均分子量を有する、請求項16に記載の治療方法。
- 前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)が約1,000kDの分子量を有する、請求項17に記載の治療方法。
- ヒアルロン酸と亜鉛との重量比が5:1〜20:1である、請求項15〜18のいずれか1項に記載の治療方法。
- ヒアルロン酸と亜鉛との重量比が約10:1である、請求項19に記載の治療方法。
- 前記湿疹・皮膚炎が、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性脂掌角皮症、貨幣自状湿疹、うっ帯性皮膚炎、慢性単純性苔癬、自家感作性皮膚炎、又は皮脂欠乏症皮膚炎である、請求項15〜20のいずれか1項に記載の治療方法。
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