本発明は、無線通信機能を有する移動携帯端末、その移動携帯端末を所持するユーザの、特定場所への入退場を管理する入退場管理装置、および、該移動携帯端末に機能の抑止機能と、抑止解除機能とを付与する機能抑止・解除プログラムに関する。
近年、携帯電話機等の移動携帯端末が急速に普及し、単なる電話機能のみでなく、電子メール機能、テレビ電話機能、電子マネー機能、カメラ機能等、様々な機能が搭載され、携帯型のパーソナルユースの複合的な情報処理機器となってきている。また、小型化、軽量化が進んできて携帯性が向上し、ユーザが気楽にいつでもどこにでも携行するようになってきている。
このような趨勢の中で発生する大きな問題の1つは、その移動携帯端末を利用することによる周囲等への迷惑の問題がある。
この問題を解決するために、例えばコンサートホール、映画館、病院等、特定の場所に入場する際にユーザが所持している移動携帯端末の機能を制限する技術が提案されている(特許文献1、2)。
ここで特許文献1には、通信機器の撮影又は録音等の機能を特定の場所で自動的に制限状態に設定する技術が提案されている。
また、特許文献2には、携帯端末に装着される特殊な電子デバイス(携帯端末制御棒)を備え、その電子デバイスを携帯端末に装着することによって、その携帯端末の機能を制限したり、その電子デバイスに搭載されているLEDや状態が変化する旗により、その携帯端末の機能が制限された状態にあるか否かを周囲に視認させるという技術が開示されている。
特開2002−112214号公報
特開2003−274005号公報
しかしながら、特許文献1の技術の場合、ある特定の場所に移動したことをもってその携帯端末を所持しているユーザの同意なしに機能が制限されており、ユーザの同意を得ないのは社会通念上なじみにくいケースも想定される。例えば緊急な電話がかかってくることを予定しているユーザにとっては、その電話機能が合意なしにいきなり制限され電話の受信が不能になることは、場合によってはそのユーザにとって重大な結果を引き起こす可能性がある。このような場合に、例えば入口に看板を掲げ、あるいは音声でアナウンスして注意を促したとしても、そのユーザがその看板を確実に確認しあるいはそのアナウンスを確実に聞き取るとは限らず、それをもってユーザと合意ができたことにはならないおそれがある。
また、特許文献2に記載された、携帯端末に特殊な電子デバイスを装着する技術の場合、その電子デバイスを携帯端末に装着したことをもってユーザが機能の制限を受け入れたと見なすことができるが、その電子デバイスが確実に装着されているか否かを周囲から視認できるようにしておくためにはその携帯端末をバッグやポケットの中など周囲から見えないところに仕舞い込むことができないこと、仕舞い込んでしまうとその携帯端末の機能が制限されていることを周囲の人が確認できないこと、機能の制限に同意しないユーザはその電子デバイスを一旦は装着してもその後取り外して仕舞い込むことによりその携帯端末の機能を回復したまま所持することができてしまうこと、さらに、携帯端末に、そのような特殊な電子デバイスを接続するための接続口を備える必要があり、特殊な携帯端末しか対象にならないおそれがあること、多数の人が出入りする場所では、その特殊な電子デバイスの分配、回収作業が大変であり、紛失のおそれもあること、など問題が多い。
本発明は、上記事情に鑑み、特定場所へ入場しようとするユーザが所持する移動携帯端末の機能をユーザとの確実な合意の下で抑止するシステムに好適な移動携帯端末、入退場管理装置、および機能抑止・解除プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の移動携帯端末は、無線通信機能を有する移動携帯端末であって、この移動携帯端末が有する機能の抑止要求を受信する抑止要求受信手段と、ユーザ操作に応じてその抑止要求の承諾又は拒否を送信する意思送信手段と、承諾の場合にその抑止要求に応じた機能の抑止を実行する機能抑止手段とを有する機能抑止部、および
抑止解除命令を受信する抑止解除命令受信手段と、その抑止解除命令の受信を受けて、その機能抑止手段で抑止した機能の抑止を解除する抑止解除手段とを有する機能抑止解除部を備えたことを特徴とする。
本発明の移動携帯端末は、上記のように、受信した抑止要求の承諾又は拒否を送信する意思送信手段を備えたため、ユーザとの確実な合意の上でその移動携帯端末の機能を抑止することができる。
ここで、本発明の移動携帯端末において、上記機能抑止部がさらに、上記機能抑止手段による機能の抑止の完了を受けて機能抑止完了通知を送信する機能抑止完了通知送信手段を備え、この移動携帯端末が、さらに、上記機能抑止完了通知に応じて送信されてきた、特定場所への入場許可証を受信して保持しておく入場許可証受信保持手段と、その特定場所への入場に際しその入場許可証を送信する入場許可証送信手段とを有する入場許可証取得提示部を備えることが好ましい。
こうすることにより、機能抑止の手続きと特定場所への入場の手続きが分離され、その2つの手続きが必ずしも同時でなくてもよいこととなり、利用し易いシステムとなる。
また、本発明の移動携帯端末において、上記抑止要求受信手段が、抑止すべき機能を特定した抑止要求を受信するものであり、上記機能抑止手段が、その抑止要求により抑止が要求されている機能を抑止するものであることが好ましい。
特定場所によっては、移動携帯端末の機能の全てを抑止する必要はなく、その移動携帯端末の特定機能のみ抑止されればよい場合もある。例えば、コンサート会場では静けさが望まれるため音を抑止したいが他の機能を抑止する必要がない場合もあり、また映画館では静けさと暗さが望まれるため音と発光を抑止したいがその他の機能は特に抑止するまでもない場合もあり、病院内では電波を抑止する必要があるが、その他の、例えばスケジュール管理機能やゲーム機能まで抑止する必要はない場合もある。
本発明の移動携帯端末を、抑止すべき機能を特定した抑止要求を受信してその特定された機能を抑止する構成とすることにより、一層柔軟なシステムが構築される。
また、上記目的を達成する本発明の入退場管理装置は、無線通信機能を有する移動携帯端末を所持するユーザの、特定場所への入退場を管理する入退場管理装置であって、
ユーザが所持する移動携帯端末に向けてその移動携帯端末が有する機能の抑止要求を送信する抑止要求送信手段と、その移動携帯端末からの、その抑止要求に対する承諾又は拒否を受信するユーザ意思受信手段とを有する機能抑止要求部、
上記抑止要求に対応する抑止完了通知を受けてその特定場所へのユーザの入場許可手続きを実行する入場許可手続実行部、および
その特定場所からのユーザの退場に際し、そのユーザが所持する移動携帯端末に向けて抑止解除命令を送信する抑止解除命令送信部を備えたことを特徴とする。
このような入退場管理装置を備えることによって、ユーザが所持している移動携帯端末の機能を、そのユーザとの合意の上で、抑止することができる。
さらに、上記目的を達成する本発明の機能抑止・解除プログラムは、プログラム実行機能と無線通信機能を有する移動携帯端末内で実行され、その移動携帯端末に、
この移動携帯端末が有する機能の抑止要求を受信する抑止要求受信手段と、ユーザ操作に応じてその抑止要求の承諾又は拒否を送信する意思送信手段と、承諾の場合にその抑止要求に応じた機能の抑止を実行する機能抑止手段とを有する機能抑止部の機能、および
抑止解除命令を受信する抑止解除命令受信手段と、その抑止解除命令の受信を受けてその機能抑止手段で抑止した機能の抑止を解除する抑止解除手段とを有する機能抑止解除部の機能を付与することを特徴とする。
近年の、携帯電話機等の移動携帯端末は、電波を介してプログラムをその移動携帯端末内にダウンロードすることによってその移動携帯端末に新たな機能を追加したり既存の機能を改良することが行なわれている。上記の機能抑止・解除プログラムを構築しておくことによって、移動携帯端末に、本発明に合致した機能を追加するシステムを構築することが可能となる。
以上の本発明によれば、特定場所へ入場しようとするユーザが所持する移動携帯端末の機能をユーザとの確実な合意の下で抑止することができる。
本発明の概念を示す模式図である。
本発明の一実施形態としての移動携帯端末の外観斜視図である。
図2に示す移動携帯端末の内部構成図である。
門番システムを構成するコンピュータシステムの外観図である。
図4に外観を示すコンピュータシステムのハードウェア構成図である。
本発明の一実施形態としての機能抑止・解除プログラムを示す図である。
機能種別リスト構造を示した図である。
承諾動作モード構造を示す図である。
入場許可証のデータ構造を示す図である。
コンピュータシステムを図1に示す門番システムとして動作させる門番プログラムを示す図である。
抑止機能管理表を示す図である。
入場管理表を示す図である。
入場手続きシーケンスの前半部分を示す図である。
入場手続きシーケンスの後半部分を示す図である。
入場シーケンスを示す図である。
退場手続きシーケンスを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の概念を示す全体概念図である。
ここには、ある特定の施設の外に居るユーザに所持された移動携帯端末10Aと、その施設の入口に設置された門番システム20と、その施設の中に居るユーザに所持された移動携帯端末10Bとが示されている。
施設の外に居るユーザは、その施設への入場にあたっては、ユーザによる移動携帯端末10Aの操作およびその移動携帯端末10Aと門番システム20との間の通信により、その移動携帯端末10Aの一部又は全部の機能の抑止について同意するとともに門番システムからの機能抑止要求に基づいて実際にその機能を抑止した場合のみ、門番システム20は、その移動携帯端末10Aを所持したユーザの、この施設への入場を許可し、その施設への入場ゲートを開く。
この施設内に居るユーザは、上記のようにして機能が抑止された移動携帯端末10Bを所持している。
この施設内のユーザがこの施設から退場しようとするときは、そのユーザが所持する移動携帯端末10Bと門番システム20との間で機能抑止解除手続を行ない、抑止されていた機能の抑止の解除を受けた上で退場する。
図2は、本発明の一実施形態としての移動携帯端末の外観斜視図である。
この移動携帯端末10は、互いに開閉する上部筐体11と下部筐体12とからなり、上部筐体11には画像表示のためのLCD111、内部に小型スピーカが配備され耳にあてがわれて音声を聞き取るための送話口112が設けられている。
なお、下部筐体12には、ユーザにより操作され、この移動携帯端末10を使って電話をかけたり、電子メールを送信したり、各種設定を行なったりするための各種の操作キー121、ユーザの声をピックアップするマイクロホンが内蔵されそのマイクロホンに声を導くための受話口122、および少し大型のスピーカが内蔵され耳にあてがわなくても聞き取れるレベルの音量の音声を出力する放音口123が設けられている。
また、図1には図示しない背面側には、カメラ用のレンズや無線通信用のアンテナ等が設けられている。
図3は、図2に示す移動携帯端末10の内部構成図である。
ここには、CPU101、RAM102、マイクデバイス103、スピーカデバイス104、カメラデバイス105、近距離無線デバイス106、ROM107、不揮発メモリ108、ディスプレイデバイス109、キーデバイス110、携帯電話通信デバイス111、およびアンテナ112が示されており、アンテナ112を除き、これらの間はバス100を介して互いに接続されている。
CPU101は、各種プログラムを実行する機能を有し、この移動携帯端末10の全体を制御している。
ROM107には、CPU101で実行される各種プログラムやそれら各種プログラムの実行に必要な各種定数が記憶されており、CPU101は、ROM107に記憶されたプログラムをRAM102を作業領域として使いながら実行する。
不揮発メモリ108には、この移動携帯端末10の、書き替えられることが有り得る各種設定条件等が記録されている。
マイクデバイス103は、ユーザの声をピックアップするマイクロホンおよびそのマイクロホンでピックアップされた声を処理する機能ブロックである。
スピーカデバイス104は、ユーザに向けて音声を出力するスピーカ、およびそのスピーカを駆動する音声信号を生成する機能ブロックである。
近距離無線デバイス105は、本実施形態ではブルートゥース(Bluetooth)の仕様に準拠した近距離無線通信を行なうデバイスであり、ここでは図1に示す門番システム20との間の通信に用いられる。
尚、ここではブルートゥースの仕様に準拠した近距離無線通信を行なうデバイスとして説明するが、例えば赤外線通信等他の近距離無線通信手段を採用してもよい。
また、カメラデバイス106は、写真撮影による画像データの収集を司るブロック、ディスプレイデバイス109は、図2に示すLCD111への画像表示を司るブロック、キーデバイス110は、ユーザによる各種操作キー121(図2参照)のキー操作を検出するブロックである。
また、携帯電話通信デバイス111は、アンテナ112を介しての電話の送受信や電子メールの送受信等を担っている。
図4は、門番システム20を構成するコンピュータシステムの外観図である。
この図4には、コンピュータシステム200の構成要素として、本体装置201、ディスプレイ202、キーボード203、マウス204およびアンテナ205が示されている。
本体装置201には、CPU、RAM、ハードディスク、通信用ボード、装填されたMO(光磁気ディスク)をドライブするMOドライブ、装填されたCDあるいはDVDをドライブするCD/DVDドライブ等が内蔵されており、さらに外観上、MOが装填されるMO装填口201a、CD/DVDが装填されるCD/DVD装填口201bを有している。
また、ディスプレイ202は、本体装置201からの指示により表示画面202a上に画像や文字列を表示する。
さらにキーボード203は、多数の操作キーが配列されキー操作により利用者の指示を入力するためのもの、マウス204は、表示画面202a上の任意の位置を指定することにより、その指定時にその位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を与えるためのポインティングデバイスである。
さらにアンテナ205は、図2、図3に示す移動携帯端末10との間でブルートゥスの規格に準拠した近距離無線通信を行なうためのものである。
図5は、図4に外観を示すコンピュータシステム200のハードウェア構成図である。
図5に示すハードウェア構成図には、CPU211、RAM212、ハードディスクコントローラ213、MOドライブ214、CD/DVDドライブ215、マウスコントローラ116、キーボードコントローラ217、ディスプレイコントローラ218、通信用ボード219、およびゲート開閉制御インタフェース220が示されており、これらはバス210で相互に接続されている。
また、この図5には、ハードディスクコントローラ213によりアクセスされるハードディスク221、マウスコントローラ216により制御されるマウス204、キーボードコントローラにより制御されるキーボード203、およびディスプレイコントローラ218により制御されるディスプレイ202も示されている。
CPU211は、ハードディスク211に記憶されRAM212上に展開されたプログラムを実行するものである。
また、MOドライブ214、CD/DVDドライブ215は、図4を参照して説明したように、それぞれMO装填口201a、CD/DVD装填口201bから装填されたMO222、CD/DVD223をアクセスするものである。
また、通信用ボード219は、アンテナ205を介して、図2、図3に示す移動携帯端末10との間でブルートゥスの規格に準拠した通信を行なうための信号処理を担っている。
さらに、ゲート開閉制御インタフェース200は、図1に示す施設へのユーザの入場やその施設からのユーザの退場のためのゲートの開閉を担う制御装置(図示せず)と接続され、その制御装置に対しゲートの開閉の指示を与えるためのインタフェースである。
図6は、図2、図3に示す携帯移動端末10のCPU101(図3参照)で実行される、本発明の一実施形態としての機能抑止・解除プログラムを示す図である。
CPU101で実行される機能抑止・解除プログラム300は、選択的機能抑止受付手段301、選択的機能抑止解除要求手段302、および入場許可証取得手段303から構成されている。この機能抑止・解除プログラム300の処理については後述する。
尚、この図6では、選択的機能抑止手段301、選択的機能抑止解除要求手段302、および入場許可証取得手段303を、機能抑止・解除プログラム300を構成するプログラム部品として示したが、ここでは、これらのプログラム部品がCPU101で実行されることにより実現する機能自体についても、それらのプログラム部品とそれぞれ同一の名称を使用し、特に区別する必要がある場合を除きプログラム部品自体と区別せずに説明する。
CPU101で機能抑止・解除プログラム300が実行されるにあたっては、端末ID310、機能種別リスト311、承諾動作モード312、および入場許可証313が参照され、あるいはそこにデータが書き込まれる。
端末ID310は、この移動携帯端末10のIDであり、図3に示すROM107あるいは不揮発メモリ108に書替え不能に記録されている。
図7は、機能種別リスト構造を示した図である。
図6に示す機能種別リスト311は、図7に示すように、機能名と、機能コードと、その機能の実装状態(その機能が実装されている/未実装である/実装されてはいるものの、例えばこの移動携帯端末10が加入している通信事業主との契約等によりその機能が停止した状態にある)との組で構成されている。本実施形態では、この機能種別リストは、図3に示す不揮発メモリ108に記憶されており、機能の追加、削除、あるいは実装状態に変更があったときに書き換えられる。
図8は、承諾動作モード構造を示す図である。
図1に示す門番システム20は移動携帯端末を所持するユーザがその施設に入場しようとするときに、その移動携帯端末に向けて特定の機能を指定して、あるいは全ての機能について、機能の抑止を要請するが、この際ユーザには、図8に示す選択肢、すなわち、門番システム20から抑止が要請された機能をいちいち確認することなくすべて承諾するという選択肢と、すべて拒否するという選択肢と、どのような機能の抑止が要請されているかを個別に確認した上で、承諾または拒否するという選択肢が与えられる。ただし、個別に確認した場合であっても、承諾または拒否は各機能個別にではなく、一括して承認するか拒否するかの選択となる。
本実施形態では、図8に示すこの承諾動作モードに相当する画面作成データが不揮発108に格納されており、門番システム20からは抑止すべき機能を表わす抑止機能リストが通知(近距離無線通信により送信)され、この抑止機能リストの通知を受けると、不揮発メモリ108に格納されている画面作成データに基づいて図8に示す選択肢の中からいずれかの選択肢を選択するための表示画面が作成されてLCD111(図1)に表示され、個別に確認する選択肢が選択されると、今度は、LCD111上に、門番システム20から送信されてきた抑止機能リストが表示されて、ユーザによる承諾又は拒否の操作が行なわれる。
図9は、入場許可証のデータ構造を示す図である。
この図9にデータ構造を示す入場許可証は、門番システムより暗号化して配布された、入場許可証として利用される端末IDと、付属情報(例えば入場を許可する日付や時間帯に関する情報など)とから成り立っている。
この入場許可証(付属情報を含む)は、門番システム20により近距離無線通信で配布され、受信した入場許可証は一旦図3に示す不揮発メモリ108に格納され、門番システム20からの提示要求に応じて門番システム20に提示(近距離無線通信で送信)される。
図10は、図4、図5に示すコンピュータシステム200のCPU211(図5参照)で実行され、そのコンピュータシステム200を図1に示す門番システム20として動作させる門番プログラムを示す図である。
CPU211で実行される門番プログラム400は、選択的機能抑止要求手段401、選択的機能抑止解除要求手段402、および入場許可証取得照合手段403から構成されている。この門番プログラム400による処理についても、図6に示す機能抑止・解除プログラム300の処理とともに後述する。
尚、これも図6と同様に、この図10では、選択的機能抑止要求手段401、選択的機能抑止解除受付手段402、および入場許可証取得照合手段403を門番プログラム400を構成するプログラム部品として示したが、これらのプログラム部品がCPU211で実行されることにより実現する機能についても、特に区別する必要がある場合を除き、それらのプログラム部品自体と区別せずに同一の名称を用いて説明する。
CPU211で門番プログラム400が実行されるにあたっては、抑止機能管理表411および入場管理表412が参照される。これら抑止機能管理表411および入場管理表412は、図5に示すハードディスク221に格納されている。
図11は、図10に1つのブロックで示す抑止機能管理表を示す図である。
ここには、「端末ID」と、「抑止機能リスト」と、「付属情報」との組が記録されている。抑止機能が全ての移動携帯端末について共通でないのは、例えば劇場を考えたとき一般観客が所持する移動携帯端末についてはデフォルトの抑止機能リストに従って機能抑止が行なわれるが、一般観客以外のその劇場の従業員や俳優等はその人が所持する移動携帯端末の端末IDを登録しておくことによって、一般観客とは異なる抑止機能リストに従った機能抑止を行なうためである。
図12は、図10に1つのブロックで示す入場管理表を示す図である。
ここには、「端末ID」と、「タイムスタンプ」と、「入場状態」との組が記録されている。
「タイムスタンプ」は、対応する端末IDを持つ移動携帯端末に向けて入場許可証を配布したときの時間帯であり、「入場状態」は、その端末IDを持つ移動携帯端末を所持するユーザがその特定場所に未だ入場していないか実際に入場したかを示すものである。
以下では、図6に示す機能抑止・解除プログラム300を構成する各プログラム部品による処理と、図10に示す門番プログラム400を構成する各プログラム部品による処理について説明する。
図13、図14は入場手続きシーケンスの、それぞれ前半部分、後半部分を示す図である。
これら図13、図14、および後で説明する図15、図16における各個別処理に付した符号、例えば301a,301b,…;401a,401b,…は、それらの符号からアルファベットを除いた符号301;401;…と一致する符号が付された、図6あるいは図10に示すプログラム部品による処理であることを示している。すなわち、例示すると、符号301a,301b,…は、図6に示す機能抑止・解除プログラム300を構成するプログラム部品である選択的機能抑止受付手段301による処理であり、符号401a,401b,…は図10に示す門番プログラム400を構成するプログラム部品である選択的機能抑止要求手段401による処理である。他のプログラム部品についても同様である。また、図13〜図16において、移動携帯端末10と門番システム20とに跨がる矢印は、移動携帯端末10と門番システム20との間での、ブルートゥスの規格に準拠した近距離無線通信により行なわれる通信であることを示している。
図13、図14に示す入場手続きシーケンスでは、先ず、図13に示すように、移動携帯端末10のキー操作に応じて、移動携帯端末10から門番システム20に向けて入場手続きの開始要求が出され(ステップ301a)、門番システム20は、その要求に応答して、その要求してきた移動携帯端末10に向けて、その移動携帯端末10の端末IDとその移動携帯端末10に実装されている機能の開示要求が出される(ステップ401a)。移動携帯端末10では、この開示要求に応じて、端末ID310および機能種別リスト311を参照してそれら端末IDと実装機能の情報を取得し(ステップ301b)、門番システム20に通知する(ステップ301c)。
門番システム20は、この通知を受けて、入場管理表412に記録されている端末IDとタイムスタンプを参照してその端末IDを持つ移動携帯端末10について既に入場許可証を発券済であるか否かを判定し(ステップ406b)、発券済である場合は、移動携帯端末10に向けて発券処理の中止を通知する(ステップ401c)。ステップ401bで未発券であるとの判定が行なわれると、抑止機能管理表411が参照されてその端末IDを持つ移動携帯端末10に対する抑止機能リストが作成され(ステップ401d)、その抑止機能リストが移動携帯端末10に通知される。
抑止機能リストを受け取った移動携帯端末10では、承諾動作モード312が参照されるとともにユーザのキー操作による承認又は拒否とのユーザの意思の入力を受け(ステップ301d)、門番システム20に向けて承諾又は拒否の応答を行なう(ステップ301e)。
門番システム20は、この応答が承諾か拒否かを判定し(ステップ401f)、拒否の場合はその移動携帯端末10を持ち込んでの入場の禁止が通知され(ステップ401g)、承諾の場合は、図14に示すように、移動携帯端末10に向けてステップ401dで作成した抑制機能リストに挙げられている機能の抑止命令が出され(ステップ401h)、移動携帯端末10では、その機能抑止命令を受けて機能抑止処理が実行され(ステップ301f)、その機能抑止処理が終了すると門番システム20に向けて機能抑止完了通知が出される(ステップ301g)。
門番システム20の選択的機能抑止要求手段401は、この機能抑止完了通知を受けて、入場許可証発行照合手段403に入場許可証の発行を依頼し、入場許可証発行照合手段403は、その移動携帯端末10用の入場許可証発行処理を行なって(ステップ403a)、その入場許可証を移動携帯端末10に向けて配布するとともに(ステップ403b)、入場管理表412に、入場許可証を新たに発行した移動携帯端末10の端末IDと発行時間帯を表わすタイムスタンプを書き込むことにより入場管理表の更新を行なう(ステップ403c)。
一方、移動携帯端末10では、入場許可証を受け取ると、不揮発メモリ108内に、入場許可証313として保持する(ステップ303a)。
本実施形態では、入場許可証として、端末IDを暗号化関数Fで暗号化した、F(端末ID)が使用される。この入場許可証は、復号化関数Gにより、端末ID=G(F(端末ID))のようにして取り出すことができる。
以上、図13、図14に示す入場手続きをシーケンスにより、入場前の入場許可証発行の手続きが終了する。
図15は、入場シーケンスを示す図である。
この入場シーケンスは、移動携帯端末10を所持したユーザが、門番システム20が管理する施設に実際に入場しようとする際に実行されるシーケンスである。
ここでは先ず、移動携帯端末10から門番システム20に向けて入場要求が出され(ステップ303b)、門番システム20はそれに応答してその移動携帯端末10の端末IDと入場許可証の提示を要求する(ステップ403d)。
すると、移動携帯端末10では、端末ID310と入場許可証313を参照してそれらの端末IDと入場許可証を取得し(ステップ303c)、その取得した端末IDと入場許可証を門番システム20に提示する(ステップ303d)。すると門番システム20では入場許可証照合処理が行なわれる(ステップ403e)。すなわち、ここでは入場管理表412が参照されて移動携帯端末10から受け取った端末IDがその入場管理表412に有効に存在することが確認されるとともに入場許可証から端末ID=G(入場許可証)=G(F(端末ID))によって端末IDが取り出され、この取り出された端末IDと、移動携帯端末10から入場許可証とは別にその入場許可証と対で受け取った端末IDとが照合されて一致することが確認される。
この入場許可証照合処理の結果、入場許可を受けた正規の移動携帯端末10であるか否かが判定され(ステップ403f)、入場許可を受けた移動携帯端末10ではないと判定されるとその移動携帯端末10を持ち込んでの入場の禁止が通知され(ステップ403g)、入場許可を受けた正規の移動携帯端末10であると判定されるとその移動携帯端末10を持ち込んでの入場の許可が通知され(ステップ403h)、入場管理表412の入場状態(図12参照)を未入場から入場済に変更することにより入場管理表が更新され(ステップ403i)、その移動携帯端末10を所持したユーザが入場できるように入口ゲートが開かれる。
図16は退場手続きシーケンスを示す図である。この退場手続きシーケンスは、施設に既に入場しているユーザがその施設から退場した際に実行されるシーケンスである。
ここでは先ず、移動携帯端末10から門番システム20に向けて端末IDを知らせて機能抑止解除要求が出され(ステップ302a)、門番システム20はこれに応答して機能抑止解除命令を出すとともに(ステップ402a)、入場管理表412から該当する端末IDを解除する(ステップ402b)。
一方、機能抑止解除命令を受け取った移動携帯端末10では、抑止されている機能を回復する機能抑止解除処理が行なわれて(ステップ302b)、入場許可証が破棄される(ステップ302c)。
以上の実施形態によれば、施設入場者は、入場する施設が禁止している移動携帯端末機能についてのみ選択的に抑止して、施設内に持ち込むことができようになる。これにより、許可されている機能については施設内での使用が可能となる。また、施設入場者が、機能抑止を拒否する意思表示をして、入場しないという選択肢も可能となる。
本発明は、無線通信機能を有する移動携帯端末、その移動携帯端末を所持するユーザの、特定場所への入退場を管理する入退場管理装置、および、該移動携帯端末に機能の抑止機能と、抑止解除機能とを付与する機能抑止・解除プログラムに関する。
近年、携帯電話機等の移動携帯端末が急速に普及し、単なる電話機能のみでなく、電子メール機能、テレビ電話機能、電子マネー機能、カメラ機能等、様々な機能が搭載され、携帯型のパーソナルユースの複合的な情報処理機器となってきている。また、小型化、軽量化が進んできて携帯性が向上し、ユーザが気楽にいつでもどこにでも携行するようになってきている。
このような趨勢の中で発生する大きな問題の1つは、その移動携帯端末を利用することによる周囲等への迷惑の問題がある。
この問題を解決するために、例えばコンサートホール、映画館、病院等、特定の場所に入場する際にユーザが所持している移動携帯端末の機能を制限する技術が提案されている(特許文献1、2)。
ここで特許文献1には、通信機器の撮影又は録音等の機能を特定の場所で自動的に制限状態に設定する技術が提案されている。
また、特許文献2には、携帯端末に装着される特殊な電子デバイス(携帯端末制御棒)を備え、その電子デバイスを携帯端末に装着することによって、その携帯端末の機能を制限したり、その電子デバイスに搭載されているLEDや状態が変化する旗により、その携帯端末の機能が制限された状態にあるか否かを周囲に視認させるという技術が開示されている。
特開2002−112214号公報
特開2003−274005号公報
しかしながら、特許文献1の技術の場合、ある特定の場所に移動したことをもってその携帯端末を所持しているユーザの同意なしに機能が制限されており、ユーザの同意を得ないのは社会通念上なじみにくいケースも想定される。例えば緊急な電話がかかってくることを予定しているユーザにとっては、その電話機能が合意なしにいきなり制限され電話の受信が不能になることは、場合によってはそのユーザにとって重大な結果を引き起こす可能性がある。このような場合に、例えば入口に看板を掲げ、あるいは音声でアナウンスして注意を促したとしても、そのユーザがその看板を確実に確認しあるいはそのアナウンスを確実に聞き取るとは限らず、それをもってユーザと合意ができたことにはならないおそれがある。
また、特許文献2に記載された、携帯端末に特殊な電子デバイスを装着する技術の場合、その電子デバイスを携帯端末に装着したことをもってユーザが機能の制限を受け入れたと見なすことができるが、その電子デバイスが確実に装着されているか否かを周囲から視認できるようにしておくためにはその携帯端末をバッグやポケットの中など周囲から見えないところに仕舞い込むことができないこと、仕舞い込んでしまうとその携帯端末の機能が制限されていることを周囲の人が確認できないこと、機能の制限に同意しないユーザはその電子デバイスを一旦は装着してもその後取り外して仕舞い込むことによりその携帯端末の機能を回復したまま所持することができてしまうこと、さらに、携帯端末に、そのような特殊な電子デバイスを接続するための接続口を備える必要があり、特殊な携帯端末しか対象にならないおそれがあること、多数の人が出入りする場所では、その特殊な電子デバイスの分配、回収作業が大変であり、紛失のおそれもあること、など問題が多い。
本発明は、上記事情に鑑み、特定場所へ入場しようとするユーザが所持する移動携帯端末の機能をユーザとの確実な合意の下で抑止するシステムに好適な移動携帯端末、入退場管理装置、および機能抑止・解除プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の移動携帯端末は、無線通信機能を有する移動携帯端末であって、この移動携帯端末が有する機能の抑止要求を受信する抑止要求受信手段と、ユーザ操作に応じてその抑止要求の承諾又は拒否を送信する意思送信手段と、承諾の場合にその抑止要求に応じた機能の抑止を実行する機能抑止手段とを有する機能抑止部、および
抑止解除命令を受信する抑止解除命令受信手段と、その抑止解除命令の受信を受けて、その機能抑止手段で抑止した機能の抑止を解除する抑止解除手段とを有する機能抑止解除部を備えたことを特徴とする。
本発明の移動携帯端末は、上記のように、受信した抑止要求の承諾又は拒否を送信する意思送信手段を備えたため、ユーザとの確実な合意の上でその移動携帯端末の機能を抑止することができる。
ここで、本発明の移動携帯端末において、上記機能抑止部がさらに、上記機能抑止手段による機能の抑止の完了を受けて機能抑止完了通知を送信する機能抑止完了通知送信手段を備え、この移動携帯端末が、さらに、上記機能抑止完了通知に応じて送信されてきた、特定場所への入場許可証を受信して保持しておく入場許可証受信保持手段と、その特定場所への入場に際しその入場許可証を送信する入場許可証送信手段とを有する入場許可証取得提示部を備えることが好ましい。
こうすることにより、機能抑止の手続きと特定場所への入場の手続きが分離され、その2つの手続きが必ずしも同時でなくてもよいこととなり、利用し易いシステムとなる。
また、本発明の移動携帯端末において、上記抑止要求受信手段が、抑止すべき機能を特定した抑止要求を受信するものであり、上記機能抑止手段が、その抑止要求により抑止が要求されている機能を抑止するものであることが好ましい。
特定場所によっては、移動携帯端末の機能の全てを抑止する必要はなく、その移動携帯端末の特定機能のみ抑止されればよい場合もある。例えば、コンサート会場では静けさが望まれるため音を抑止したいが他の機能を抑止する必要がない場合もあり、また映画館では静けさと暗さが望まれるため音と発光を抑止したいがその他の機能は特に抑止するまでもない場合もあり、病院内では電波を抑止する必要があるが、その他の、例えばスケジュール管理機能やゲーム機能まで抑止する必要はない場合もある。
本発明の移動携帯端末を、抑止すべき機能を特定した抑止要求を受信してその特定された機能を抑止する構成とすることにより、一層柔軟なシステムが構築される。
また、上記目的を達成する本発明の入退場管理装置は、無線通信機能を有する移動携帯端末を所持するユーザの、特定場所への入退場を管理する入退場管理装置であって、
ユーザが所持する移動携帯端末に向けてその移動携帯端末が有する機能の抑止要求を送信する抑止要求送信手段と、その移動携帯端末からの、その抑止要求に対する承諾又は拒否を受信するユーザ意思受信手段とを有する機能抑止要求部、
上記抑止要求に対応する抑止完了通知を受けてその特定場所へのユーザの入場許可手続きを実行する入場許可手続実行部、および
その特定場所からのユーザの退場に際し、そのユーザが所持する移動携帯端末に向けて抑止解除命令を送信する抑止解除命令送信部を備えたことを特徴とする。
このような入退場管理装置を備えることによって、ユーザが所持している移動携帯端末の機能を、そのユーザとの合意の上で、抑止することができる。
さらに、上記目的を達成する本発明の機能抑止・解除プログラムは、プログラム実行機能と無線通信機能を有する移動携帯端末内で実行され、その移動携帯端末に、
この移動携帯端末が有する機能の抑止要求を受信する抑止要求受信手段と、ユーザ操作に応じてその抑止要求の承諾又は拒否を送信する意思送信手段と、承諾の場合にその抑止要求に応じた機能の抑止を実行する機能抑止手段とを有する機能抑止部の機能、および
抑止解除命令を受信する抑止解除命令受信手段と、その抑止解除命令の受信を受けてその機能抑止手段で抑止した機能の抑止を解除する抑止解除手段とを有する機能抑止解除部の機能を付与することを特徴とする。
近年の、携帯電話機等の移動携帯端末は、電波を介してプログラムをその移動携帯端末内にダウンロードすることによってその移動携帯端末に新たな機能を追加したり既存の機能を改良することが行なわれている。上記の機能抑止・解除プログラムを構築しておくことによって、移動携帯端末に、本発明に合致した機能を追加するシステムを構築することが可能となる。
以上の本発明によれば、特定場所へ入場しようとするユーザが所持する移動携帯端末の機能をユーザとの確実な合意の下で抑止することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の概念を示す全体概念図である。
ここには、ある特定の施設の外に居るユーザに所持された移動携帯端末10Aと、その施設の入口に設置された門番システム20と、その施設の中に居るユーザに所持された移動携帯端末10Bとが示されている。
施設の外に居るユーザは、その施設への入場にあたっては、ユーザによる移動携帯端末10Aの操作およびその移動携帯端末10Aと門番システム20との間の通信により、その移動携帯端末10Aの一部又は全部の機能の抑止について同意するとともに門番システムからの機能抑止要求に基づいて実際にその機能を抑止した場合のみ、門番システム20は、その移動携帯端末10Aを所持したユーザの、この施設への入場を許可し、その施設への入場ゲートを開く。
この施設内に居るユーザは、上記のようにして機能が抑止された移動携帯端末10Bを所持している。
この施設内のユーザがこの施設から退場しようとするときは、そのユーザが所持する移動携帯端末10Bと門番システム20との間で機能抑止解除手続を行ない、抑止されていた機能の抑止の解除を受けた上で退場する。
図2は、本発明の一実施形態としての移動携帯端末の外観斜視図である。
この移動携帯端末10は、互いに開閉する上部筐体11と下部筐体12とからなり、上部筐体11には画像表示のためのLCD11a、内部に小型スピーカが配備され耳にあてがわれて音声を聞き取るための送話口11bが設けられている。
なお、下部筐体12には、ユーザにより操作され、この移動携帯端末10を使って電話をかけたり、電子メールを送信したり、各種設定を行なったりするための各種の操作キー121、ユーザの声をピックアップするマイクロホンが内蔵されそのマイクロホンに声を導くための受話口122、および少し大型のスピーカが内蔵され耳にあてがわなくても聞き取れるレベルの音量の音声を出力する放音口123が設けられている。
また、図1には図示しない背面側には、カメラ用のレンズや無線通信用のアンテナ等が設けられている。
図3は、図2に示す移動携帯端末10の内部構成図である。
ここには、CPU101、RAM102、マイクデバイス103、スピーカデバイス104、カメラデバイス105、近距離無線デバイス106、ROM107、不揮発メモリ108、ディスプレイデバイス109、キーデバイス110、携帯電話通信デバイス111、およびアンテナ112が示されており、アンテナ112を除き、これらの間はバス100を介して互いに接続されている。
CPU101は、各種プログラムを実行する機能を有し、この移動携帯端末10の全体を制御している。
ROM107には、CPU101で実行される各種プログラムやそれら各種プログラムの実行に必要な各種定数が記憶されており、CPU101は、ROM107に記憶されたプログラムをRAM102を作業領域として使いながら実行する。
不揮発メモリ108には、この移動携帯端末10の、書き替えられることが有り得る各種設定条件等が記録されている。
マイクデバイス103は、ユーザの声をピックアップするマイクロホンおよびそのマイクロホンでピックアップされた声を処理する機能ブロックである。
スピーカデバイス104は、ユーザに向けて音声を出力するスピーカ、およびそのスピーカを駆動する音声信号を生成する機能ブロックである。
近距離無線デバイス106は、本実施形態ではブルートゥース(Bluetooth)の仕様に準拠した近距離無線通信を行なうデバイスであり、ここでは図1に示す門番システム20との間の通信に用いられる。
尚、ここではブルートゥースの仕様に準拠した近距離無線通信を行なうデバイスとして説明するが、例えば赤外線通信等他の近距離無線通信手段を採用してもよい。
また、カメラデバイス105は、写真撮影による画像データの収集を司るブロック、ディスプレイデバイス109は、図2に示すLCD11Aへの画像表示を司るブロック、キーデバイス110は、ユーザによる各種操作キー121(図2参照)のキー操作を検出するブロックである。
また、携帯電話通信デバイス111は、アンテナ112を介しての電話の送受信や電子メールの送受信等を担っている。
図4は、門番システム20を構成するコンピュータシステムの外観図である。
この図4には、コンピュータシステム200の構成要素として、本体装置201、ディスプレイ202、キーボード203、マウス204およびアンテナ205が示されている。
本体装置201には、CPU、RAM、ハードディスク、通信用ボード、装填されたMO(光磁気ディスク)をドライブするMOドライブ、装填されたCDあるいはDVDをドライブするCD/DVDドライブ等が内蔵されており、さらに外観上、MOが装填されるMO装填口201a、CD/DVDが装填されるCD/DVD装填口201bを有している。
また、ディスプレイ202は、本体装置201からの指示により表示画面202a上に画像や文字列を表示する。
さらにキーボード203は、多数の操作キーが配列されキー操作により利用者の指示を入力するためのもの、マウス204は、表示画面202a上の任意の位置を指定することにより、その指定時にその位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を与えるためのポインティングデバイスである。
さらにアンテナ205は、図2、図3に示す移動携帯端末10との間でブルートゥスの規格に準拠した近距離無線通信を行なうためのものである。
図5は、図4に外観を示すコンピュータシステム200のハードウェア構成図である。
図5に示すハードウェア構成図には、CPU211、RAM212、ハードディスクコントローラ213、MOドライブ214、CD/DVDドライブ215、マウスコントローラ216、キーボードコントローラ217、ディスプレイコントローラ218、通信用ボード219、およびゲート開閉制御インタフェース220が示されており、これらはバス210で相互に接続されている。
また、この図5には、ハードディスクコントローラ213によりアクセスされるハードディスク221、マウスコントローラ216により制御されるマウス204、キーボードコントローラにより制御されるキーボード203、およびディスプレイコントローラ218により制御されるディスプレイ202も示されている。
CPU211は、ハードディスク211に記憶されRAM212上に展開されたプログラムを実行するものである。
また、MOドライブ214、CD/DVDドライブ215は、図4を参照して説明したように、それぞれMO装填口201a、CD/DVD装填口201bから装填されたMO222、CD/DVD223をアクセスするものである。
また、通信用ボード219は、アンテナ205を介して、図2、図3に示す移動携帯端末10との間でブルートゥスの規格に準拠した通信を行なうための信号処理を担っている。
さらに、ゲート開閉制御インタフェース220は、図1に示す施設へのユーザの入場やその施設からのユーザの退場のためのゲートの開閉を担う制御装置(図示せず)と接続され、その制御装置に対しゲートの開閉の指示を与えるためのインタフェースである。
図6は、図2、図3に示す携帯移動端末10のCPU101(図3参照)で実行される、本発明の一実施形態としての機能抑止・解除プログラムを示す図である。
CPU101で実行される機能抑止・解除プログラム300は、選択的機能抑止受付手段301、選択的機能抑止解除要求手段302、および入場許可証取得手段303から構成されている。この機能抑止・解除プログラム300の処理については後述する。
尚、この図6では、選択的機能抑止手段301、選択的機能抑止解除要求手段302、および入場許可証取得手段303を、機能抑止・解除プログラム300を構成するプログラム部品として示したが、ここでは、これらのプログラム部品がCPU101で実行されることにより実現する機能自体についても、それらのプログラム部品とそれぞれ同一の名称を使用し、特に区別する必要がある場合を除きプログラム部品自体と区別せずに説明する。
CPU101で機能抑止・解除プログラム300が実行されるにあたっては、端末ID310、機能種別リスト311、承諾動作モード312、および入場許可証313が参照され、あるいはそこにデータが書き込まれる。
端末ID310は、この移動携帯端末10のIDであり、図3に示すROM107あるいは不揮発メモリ108に書替え不能に記録されている。
図7は、機能種別リスト構造を示した図である。
図6に示す機能種別リスト311は、図7に示すように、機能名と、機能コードと、その機能の実装状態(その機能が実装されている/未実装である/実装されてはいるものの、例えばこの移動携帯端末10が加入している通信事業主との契約等によりその機能が停止した状態にある)との組で構成されている。本実施形態では、この機能種別リストは、図3に示す不揮発メモリ108に記憶されており、機能の追加、削除、あるいは実装状態に変更があったときに書き換えられる。
図8は、承諾動作モード構造を示す図である。
図1に示す門番システム20は移動携帯端末を所持するユーザがその施設に入場しようとするときに、その移動携帯端末に向けて特定の機能を指定して、あるいは全ての機能について、機能の抑止を要請するが、この際ユーザには、図8に示す選択肢、すなわち、門番システム20から抑止が要請された機能をいちいち確認することなくすべて承諾するという選択肢と、すべて拒否するという選択肢と、どのような機能の抑止が要請されているかを個別に確認した上で、承諾または拒否するという選択肢が与えられる。ただし、個別に確認した場合であっても、承諾または拒否は各機能個別にではなく、一括して承認するか拒否するかの選択となる。
本実施形態では、図8に示すこの承諾動作モードに相当する画面作成データが不揮発メモリ108に格納されており、門番システム20からは抑止すべき機能を表わす抑止機能リストが通知(近距離無線通信により送信)され、この抑止機能リストの通知を受けると、不揮発メモリ108に格納されている画面作成データに基づいて図8に示す選択肢の中からいずれかの選択肢を選択するための表示画面が作成されてLCD11A(図1)に表示され、個別に確認する選択肢が選択されると、今度は、LCD11A上に、門番システム20から送信されてきた抑止機能リストが表示されて、ユーザによる承諾又は拒否の操作が行なわれる。
図9は、入場許可証のデータ構造を示す図である。
この図9にデータ構造を示す入場許可証は、門番システムより暗号化して配布された、入場許可証として利用される端末IDと、付属情報(例えば入場を許可する日付や時間帯に関する情報など)とから成り立っている。
この入場許可証(付属情報を含む)は、門番システム20により近距離無線通信で配布され、受信した入場許可証は一旦図3に示す不揮発メモリ108に格納され、門番システム20からの提示要求に応じて門番システム20に提示(近距離無線通信で送信)される。
図10は、図4、図5に示すコンピュータシステム200のCPU211(図5参照)で実行され、そのコンピュータシステム200を図1に示す門番システム20として動作させる門番プログラムを示す図である。
CPU211で実行される門番プログラム400は、選択的機能抑止要求手段401、選択的機能抑止解除要求手段402、および入場許可証発行照合手段403から構成されている。この門番プログラム400による処理についても、図6に示す機能抑止・解除プログラム300の処理とともに後述する。
尚、これも図6と同様に、この図10では、選択的機能抑止要求手段401、選択的機能抑止解除受付手段402、および入場許可証発行照合手段403を門番プログラム400を構成するプログラム部品として示したが、これらのプログラム部品がCPU211で実行されることにより実現する機能についても、特に区別する必要がある場合を除き、それらのプログラム部品自体と区別せずに同一の名称を用いて説明する。
CPU211で門番プログラム400が実行されるにあたっては、抑止機能管理表411および入場管理表412が参照される。これら抑止機能管理表411および入場管理表412は、図5に示すハードディスク221に格納されている。
図11は、図10に1つのブロックで示す抑止機能管理表を示す図である。
ここには、「端末ID」と、「抑止機能リスト」と、「付属情報」との組が記録されている。抑止機能が全ての移動携帯端末について共通でないのは、例えば劇場を考えたとき一般観客が所持する移動携帯端末についてはデフォルトの抑止機能リストに従って機能抑止が行なわれるが、一般観客以外のその劇場の従業員や俳優等はその人が所持する移動携帯端末の端末IDを登録しておくことによって、一般観客とは異なる抑止機能リストに従った機能抑止を行なうためである。
図12は、図10に1つのブロックで示す入場管理表を示す図である。
ここには、「端末ID」と、「タイムスタンプ」と、「入場状態」との組が記録されている。
「タイムスタンプ」は、対応する端末IDを持つ移動携帯端末に向けて入場許可証を配布したときの時間帯であり、「入場状態」は、その端末IDを持つ移動携帯端末を所持するユーザがその特定場所に未だ入場していないか実際に入場したかを示すものである。
以下では、図6に示す機能抑止・解除プログラム300を構成する各プログラム部品による処理と、図10に示す門番プログラム400を構成する各プログラム部品による処理について説明する。
図13、図14は入場手続きシーケンスの、それぞれ前半部分、後半部分を示す図である。
これら図13、図14、および後で説明する図15、図16における各個別処理に付した符号、例えば301a,301b,…;401a,401b,…は、それらの符号からアルファベットを除いた符号301;401;…と一致する符号が付された、図6あるいは図10に示すプログラム部品による処理であることを示している。すなわち、例示すると、符号301a,301b,…は、図6に示す機能抑止・解除プログラム300を構成するプログラム部品である選択的機能抑止受付手段301による処理であり、符号401a,401b,…は図10に示す門番プログラム400を構成するプログラム部品である選択的機能抑止要求手段401による処理である。他のプログラム部品についても同様である。また、図13〜図16において、移動携帯端末10と門番システム20とに跨がる矢印は、移動携帯端末10と門番システム20との間での、ブルートゥスの規格に準拠した近距離無線通信により行なわれる通信であることを示している。
図13、図14に示す入場手続きシーケンスでは、先ず、図13に示すように、移動携帯端末10のキー操作に応じて、移動携帯端末10から門番システム20に向けて入場手続きの開始要求が出され(ステップ301a)、門番システム20は、その要求に応答して、その要求してきた移動携帯端末10に向けて、その移動携帯端末10の端末IDとその移動携帯端末10に実装されている機能の開示要求が出される(ステップ401a)。移動携帯端末10では、この開示要求に応じて、端末ID310および機能種別リスト311を参照してそれら端末IDと実装機能の情報を取得し(ステップ301b)、門番システム20に通知する(ステップ301c)。
門番システム20は、この通知を受けて、入場管理表412に記録されている端末IDとタイムスタンプを参照してその端末IDを持つ移動携帯端末10について既に入場許可証を発券済であるか否かを判定し(ステップ401b)、発券済である場合は、移動携帯端末10に向けて発券処理の中止を通知する(ステップ401c)。ステップ401bで未発券であるとの判定が行なわれると、抑止機能管理表411が参照されてその端末IDを持つ移動携帯端末10に対する抑止機能リストが作成され(ステップ401d)、その抑止機能リストが移動携帯端末10に通知される。
抑止機能リストを受け取った移動携帯端末10では、承諾動作モード312が参照されるとともにユーザのキー操作による承認又は拒否とのユーザの意思の入力を受け(ステップ301d)、門番システム20に向けて承諾又は拒否の応答を行なう(ステップ301e)。
門番システム20は、この応答が承諾か拒否かを判定し(ステップ401f)、拒否の場合はその移動携帯端末10を持ち込んでの入場の禁止が通知され(ステップ401g)、承諾の場合は、図14に示すように、移動携帯端末10に向けてステップ401dで作成した抑制機能リストに挙げられている機能の抑止命令が出され(ステップ401h)、移動携帯端末10では、その機能抑止命令を受けて機能抑止処理が実行され(ステップ301f)、その機能抑止処理が終了すると門番システム20に向けて機能抑止完了通知が出される(ステップ301g)。
門番システム20の選択的機能抑止要求手段401は、この機能抑止完了通知を受けて、入場許可証発行照合手段403に入場許可証の発行を依頼し、入場許可証発行照合手段403は、その移動携帯端末10用の入場許可証発行処理を行なって(ステップ403a)、その入場許可証を移動携帯端末10に向けて配布するとともに(ステップ403b)、入場管理表412に、入場許可証を新たに発行した移動携帯端末10の端末IDと発行時間帯を表わすタイムスタンプを書き込むことにより入場管理表の更新を行なう(ステップ403c)。
一方、移動携帯端末10では、入場許可証を受け取ると、不揮発メモリ108内に、入場許可証313として保持する(ステップ303a)。
本実施形態では、入場許可証として、端末IDを暗号化関数Fで暗号化した、F(端末ID)が使用される。この入場許可証は、復号化関数Gにより、端末ID=G(F(端末ID))のようにして取り出すことができる。
以上、図13、図14に示す入場手続きをシーケンスにより、入場前の入場許可証発行の手続きが終了する。
図15は、入場シーケンスを示す図である。
この入場シーケンスは、移動携帯端末10を所持したユーザが、門番システム20が管理する施設に実際に入場しようとする際に実行されるシーケンスである。
ここでは先ず、移動携帯端末10から門番システム20に向けて入場要求が出され(ステップ303b)、門番システム20はそれに応答してその移動携帯端末10の端末IDと入場許可証の提示を要求する(ステップ403d)。
すると、移動携帯端末10では、端末ID310と入場許可証313を参照してそれらの端末IDと入場許可証を取得し(ステップ303c)、その取得した端末IDと入場許可証を門番システム20に提示する(ステップ303d)。すると門番システム20では入場許可証照合処理が行なわれる(ステップ403e)。すなわち、ここでは入場管理表412が参照されて移動携帯端末10から受け取った端末IDがその入場管理表412に有効に存在することが確認されるとともに入場許可証から端末ID=G(入場許可証)=G(F(端末ID))によって端末IDが取り出され、この取り出された端末IDと、移動携帯端末10から入場許可証とは別にその入場許可証と対で受け取った端末IDとが照合されて一致することが確認される。
この入場許可証照合処理の結果、入場許可を受けた正規の移動携帯端末10であるか否かが判定され(ステップ403f)、入場許可を受けた移動携帯端末10ではないと判定されるとその移動携帯端末10を持ち込んでの入場の禁止が通知され(ステップ403g)、入場許可を受けた正規の移動携帯端末10であると判定されるとその移動携帯端末10を持ち込んでの入場の許可が通知され(ステップ403h)、入場管理表412の入場状態(図12参照)を未入場から入場済に変更することにより入場管理表が更新され(ステップ403i)、その移動携帯端末10を所持したユーザが入場できるように入口ゲートが開かれる。
図16は退場手続きシーケンスを示す図である。この退場手続きシーケンスは、施設に既に入場しているユーザがその施設から退場した際に実行されるシーケンスである。
ここでは先ず、移動携帯端末10から門番システム20に向けて端末IDを知らせて機能抑止解除要求が出され(ステップ302a)、門番システム20はこれに応答して機能抑止解除命令を出すとともに(ステップ402a)、入場管理表412から該当する端末IDを削除する(ステップ402b)。
一方、機能抑止解除命令を受け取った移動携帯端末10では、抑止されている機能を回復する機能抑止解除処理が行なわれて(ステップ302b)、入場許可証が破棄される(ステップ302c)。
以上の実施形態によれば、施設入場者は、入場する施設が禁止している移動携帯端末機能についてのみ選択的に抑止して、施設内に持ち込むことができようになる。これにより、許可されている機能については施設内での使用が可能となる。また、施設入場者が、機能抑止を拒否する意思表示をして、入場しないという選択肢も可能となる。
本発明の概念を示す模式図である。
本発明の一実施形態としての移動携帯端末の外観斜視図である。
図2に示す移動携帯端末の内部構成図である。
門番システムを構成するコンピュータシステムの外観図である。
図4に外観を示すコンピュータシステムのハードウェア構成図である。
本発明の一実施形態としての機能抑止・解除プログラムを示す図である。
機能種別リスト構造を示した図である。
承諾動作モード構造を示す図である。
入場許可証のデータ構造を示す図である。
コンピュータシステムを図1に示す門番システムとして動作させる門番プログラムを示す図である。
抑止機能管理表を示す図である。
入場管理表を示す図である。
入場手続きシーケンスの前半部分を示す図である。
入場手続きシーケンスの後半部分を示す図である。
入場シーケンスを示す図である。
退場手続きシーケンスを示す図である。