JPWO2006046661A1 - インターロイキン−6阻害剤 - Google Patents
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Abstract
本発明により、scFvとFcを含む改変抗体が提供された。本発明の改変抗体は、L鎖とH鎖の可変領域がscFvとして1本鎖として発現される。本発明の改変抗体は、更にFc領域を含む1本鎖のポリペプチドとして発現される。シンプルな構成のベクターで、天然のIgGを模倣した構造を再現することができる。本発明の改変抗体をコードするポリヌクレオチドは、特に、IL-6受容体阻害剤として有用な抗体分子を生体内において発現させるための遺伝子治療用のベクターとして利用することができる。
Description
本発明は、改変された抗体に関する。
インターロイキン−6(Interleukin-6;IL-6)は、B 細胞刺激因子2 (BSF2)あるいはインターフェロンβ2 とも呼称されたサイトカインである。IL-6は、B リンパ球系細胞の活性化に関与する分化因子として発見され(非特許文献1)、その後、種々の細胞の機能に影響を及ぼす多機能サイトカインであることが明らかになった(非特許文献2)。IL-6は、T リンパ球系細胞の成熟化を誘導することが報告されている(非特許文献3)。
IL-6は、細胞上で二種の蛋白質を介してその生物学的活性を伝達する。一つは、IL-6が結合する分子量約80kDのリガンド結合性蛋白質のIL-6受容体である (非特許文献4,非特許文献5)。IL-6受容体は、細胞膜を貫通して細胞膜上に発現する膜結合型の他に、主にその細胞外領域からなる可溶性IL-6受容体としても存在する。
特許文献1には、抗IL-6R抗体の種々の形態、例えばヒト化抗IL-6R抗体、キメラ抗IL-6R抗体、などが記載されている。特許文献2には、抗IL-6R抗体などのIL-6アンタゴニストを活性成分とする慢性関節リウマチ治療剤及び滑膜細胞増殖抑制剤が記載されている。特許文献3には、プラズマサイトーシス、高イムノグロブリン血症、貧血、腎炎、悪液質、リウマチ、キャッスルマン病、メサンギウム増殖性腎炎、などのIL-6の生産に起因する疾患の治療について記載されている。特許文献4には、抗IL-6R抗体を有効成分とする、感作T細胞関与疾患、たとえば多発性硬化症、ブドウ膜炎、慢性甲状腺炎、遅延性過敏症、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの予防・治療剤が記載されている。
特許文献4には、抗IL-6R抗体を有効成分とする、全身性エリテマトーデス治療剤が記載されている。特許文献5には、抗IL-6R抗体を有効成分とするクローン病の治療剤が記載されている。特許文献6には、抗IL-6R抗体を有効成分とする膵炎の治療剤が記載されている。特許文献7には、抗IL-6R抗体を有効成分とする乾癬の治療剤が記載されている。特許文献8には、抗IL-6R抗体を有効成分とする小児慢性関節炎の治療剤が記載されている。
WO92/19759
WO96/11020
WO96/12503
WO98/42377
WO99/47170
WO00/10607
WO02/34292
WO02/080969
Hirano, T. et al., Nature (1986) 324, 73-76
Akira, S. et al., Adv. in Immunology (1993) 54, 1-78
Lotz, M. et al., J. Exp. Med. (1988)167, 1253-1258
Taga, T. et al., J. Exp. Med. (1987) 166, 967-981
Yamasaki, K. et al., Science (1988) 241, 825-828
抗IL-6受容体抗体は、関節リウマチ(慢性関節リウマチ)やキャッスルマン病の治療に有効であることが臨床試験で明らかとなった。また、本願発明者らにより、抗IL-6R抗体を有効成分とする胸膜中皮腫などの中皮腫の治療剤について特許出願がなされている(WO2005/037315)。更に、本願発明者らにより、抗IL-6R抗体有効成分とする結節性多発性動脈炎、大動脈炎症候群及び免疫異常に伴う血管炎などの血管炎の治療剤について特許出願がなされている(WO2005/061000)。ここで、一般的に抗体医薬品の治療費は高額であるため、コスト削減の意味から抗IL-6受容体抗体(IL-6阻害剤)を効率的に発現させるベクター開発が非常に重要となる。
しかしながら、抗体のH鎖とL鎖は二つの別々の遺伝子にコードされているため、そのままの形でウイルスベクター等に組み込んで目的細胞に遺伝子を導入しても、効果的な治療薬の発現分泌は困難と考えられる。
本発明は、IL-6阻害剤として有用な抗IL-6受容体抗体の効率的な発現を可能とする改変抗体とそれを発現するベクター、ならびにそれらの製造方法と用途の提供を課題とする。
本発明は、IL-6阻害剤として有用な抗IL-6受容体抗体の効率的な発現を可能とする改変抗体とそれを発現するベクター、ならびにそれらの製造方法と用途の提供を課題とする。
本発明者らは、抗IL-6受容体抗体の効率的な発現を可能とするために、抗体の構造の改変を試みた。そして、抗IL-6受容体の阻害作用を有し、かつ効率的に製造することができる構造として、抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvとヒト免疫グロブリンIgG Fc部分を接合した構造が有用であることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、以下の改変抗体、それを発現するベクター、ならびにそれらの製造方法と用途を提供する。
〔1〕それぞれ以下に示すアミノ酸配列からなるCDRが、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvをヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した改変抗体。
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8)
〔2〕H鎖V領域が、アミノ酸配列QVQLQESGPGLVRPSQTLSLTCTVSGYSIT SDHAWS WVRQPPGRGLEWIG YIS-YSGITTYNPSLKS RVTMLRDTSKNQFSLRLSSVTAADTAVYYCAR SLARTTAMDY WGQGSLVTVS(配列番号:1)からなる〔1〕に記載の改変抗体。
〔3〕L鎖V領域が、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC RASQDISSYLN WYQQKPGKAPKLLIY YTSRLHS GVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYC QQGNTLPYT FGQGTKVEIKR(配列番号:2)からなる〔1〕に記載の改変抗体。
〔4〕前記scFvが、L鎖V領域のC末端においてヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した〔1〕に記載の改変抗体。
〔5〕前記scFvが、N末端からH鎖V領域、リンカー及びL鎖V領域の順に結合された〔4〕に記載の改変抗体。
〔6〕リンカーのアミノ酸配列がGGGGSGGRASGGGGSGGGGS(配列番号:9)である〔5〕に記載の改変抗体。
〔7〕改変抗体がSS結合によって連結された2量体である〔1〕に記載の改変抗体。
〔8〕〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体と、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
〔9〕〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体を、薬学的に許容される担体と配合する工程を含む、医薬組成物の製造方法。
〔10〕それぞれ以下に示すアミノ酸配列からなるCDRが、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvをヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した改変抗体をコードするポリヌクレオチド。
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8)
〔11〕H鎖V領域が、アミノ酸配列QVQLQESGPGLVRPSQTLSLTCTVSGYSIT SDHAWS WVRQPPGRGLEWIG YIS-YSGITTYNPSLKS RVTMLRDTSKNQFSLRLSSVTAADTAVYYCAR SLARTTAMDY WGQGSLVTVS(配列番号:1)からなる〔10〕に記載のポリヌクレオチド。
〔12〕L鎖V領域が、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC RASQDISSYLN WYQQKPGKAPKLLIY YTSRLHS GVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYC QQGNTLPYT FGQGTKVEIKR(配列番号:2)からなる〔10〕に記載のポリヌクレオチド。
〔13〕前記scFvが、L鎖V領域のC末端においてヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した〔10〕に記載のポリヌクレオチド。
〔14〕前記scFvが、N末端からH鎖V領域、リンカー及びL鎖V領域の順に結合された〔13〕に記載のポリヌクレオチド。
〔15〕リンカーのアミノ酸配列がGGGGSGGRASGGGGSGGGGS(配列番号:9)である〔14〕に記載のポリヌクレオチド。
〔16〕〔10〕−〔15〕のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
〔17〕〔10〕−〔15〕のいずれかに記載のポリヌクレオチド、またはそれを含むベクターを発現可能に保持した形質転換体。
〔18〕ヒト細胞由来である〔17〕に記載の形質転換体。
〔19〕〔17〕に記載の形質転換体を培養し、培養物に蓄積された改変抗体を回収する工程を含む、改変抗体の製造方法。
〔20〕〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体、〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチド、〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分を有効成分として含有する、インターロイキン6受容体阻害剤。
〔21〕〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体、〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチド、〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分を投与する工程を含む、インターロイキン6受容体の阻害方法。
〔22〕〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持した遺伝子治療用ベクター。
〔23〕次の工程を含む、インターロイキン6の作用に起因する疾患の治療方法。
(1) 〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持したベクターを細胞に導入する工程、および
(2) 前記ベクターを導入された細胞を患者に投与する工程
〔24〕細胞が、治療すべき患者から採取された細胞である〔23〕に記載の方法。
〔25〕細胞が末梢血リンパ球である〔24〕に記載の方法。
〔26〕次の要素を含む、インターロイキン6の作用に起因する疾患の治療用キット。
(1) 〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持したベクター
(2) ベクター導入用試薬、および
(3) 末梢血リンパ球の分離用試薬
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8)
〔2〕H鎖V領域が、アミノ酸配列QVQLQESGPGLVRPSQTLSLTCTVSGYSIT SDHAWS WVRQPPGRGLEWIG YIS-YSGITTYNPSLKS RVTMLRDTSKNQFSLRLSSVTAADTAVYYCAR SLARTTAMDY WGQGSLVTVS(配列番号:1)からなる〔1〕に記載の改変抗体。
〔3〕L鎖V領域が、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC RASQDISSYLN WYQQKPGKAPKLLIY YTSRLHS GVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYC QQGNTLPYT FGQGTKVEIKR(配列番号:2)からなる〔1〕に記載の改変抗体。
〔4〕前記scFvが、L鎖V領域のC末端においてヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した〔1〕に記載の改変抗体。
〔5〕前記scFvが、N末端からH鎖V領域、リンカー及びL鎖V領域の順に結合された〔4〕に記載の改変抗体。
〔6〕リンカーのアミノ酸配列がGGGGSGGRASGGGGSGGGGS(配列番号:9)である〔5〕に記載の改変抗体。
〔7〕改変抗体がSS結合によって連結された2量体である〔1〕に記載の改変抗体。
〔8〕〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体と、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
〔9〕〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体を、薬学的に許容される担体と配合する工程を含む、医薬組成物の製造方法。
〔10〕それぞれ以下に示すアミノ酸配列からなるCDRが、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvをヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した改変抗体をコードするポリヌクレオチド。
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8)
〔11〕H鎖V領域が、アミノ酸配列QVQLQESGPGLVRPSQTLSLTCTVSGYSIT SDHAWS WVRQPPGRGLEWIG YIS-YSGITTYNPSLKS RVTMLRDTSKNQFSLRLSSVTAADTAVYYCAR SLARTTAMDY WGQGSLVTVS(配列番号:1)からなる〔10〕に記載のポリヌクレオチド。
〔12〕L鎖V領域が、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC RASQDISSYLN WYQQKPGKAPKLLIY YTSRLHS GVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYC QQGNTLPYT FGQGTKVEIKR(配列番号:2)からなる〔10〕に記載のポリヌクレオチド。
〔13〕前記scFvが、L鎖V領域のC末端においてヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した〔10〕に記載のポリヌクレオチド。
〔14〕前記scFvが、N末端からH鎖V領域、リンカー及びL鎖V領域の順に結合された〔13〕に記載のポリヌクレオチド。
〔15〕リンカーのアミノ酸配列がGGGGSGGRASGGGGSGGGGS(配列番号:9)である〔14〕に記載のポリヌクレオチド。
〔16〕〔10〕−〔15〕のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
〔17〕〔10〕−〔15〕のいずれかに記載のポリヌクレオチド、またはそれを含むベクターを発現可能に保持した形質転換体。
〔18〕ヒト細胞由来である〔17〕に記載の形質転換体。
〔19〕〔17〕に記載の形質転換体を培養し、培養物に蓄積された改変抗体を回収する工程を含む、改変抗体の製造方法。
〔20〕〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体、〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチド、〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分を有効成分として含有する、インターロイキン6受容体阻害剤。
〔21〕〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体、〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチド、〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および〔1〕−〔7〕のいずれかに記載の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分を投与する工程を含む、インターロイキン6受容体の阻害方法。
〔22〕〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持した遺伝子治療用ベクター。
〔23〕次の工程を含む、インターロイキン6の作用に起因する疾患の治療方法。
(1) 〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持したベクターを細胞に導入する工程、および
(2) 前記ベクターを導入された細胞を患者に投与する工程
〔24〕細胞が、治療すべき患者から採取された細胞である〔23〕に記載の方法。
〔25〕細胞が末梢血リンパ球である〔24〕に記載の方法。
〔26〕次の要素を含む、インターロイキン6の作用に起因する疾患の治療用キット。
(1) 〔10〕−〔15〕に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持したベクター
(2) ベクター導入用試薬、および
(3) 末梢血リンパ球の分離用試薬
本発明は、抗IL-6受容体抗体をアデノウイルスベクター等による遺伝子導入に適する単一遺伝子にコードされた蛋白に改変し、遺伝子治療に適したIL-6阻害剤を提供することを課題とする。また、本発明は、抗体のH鎖およびL鎖を同量で発現することにより効率的な抗IL-6受容体抗体の産生が可能な、単一遺伝子にコードされた抗IL-6受容体抗体を提供する。すなわち本発明は、それぞれ以下に示すアミノ酸配列からなるCDRが、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvとヒト免疫グロブリンIgG Fcを含む改変抗体に関する。
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8)
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8)
本発明の改変抗体は、抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvをヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合することによって構築される。scFvは1本鎖抗体 (single chain variable fragments)とも呼ばれる。一般に、scFvまたはscFv抗体断片には、抗体のVHおよびVL領域が含まれる。これらの領域は単一のポリペプチド鎖中に存在する (Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85, 5879-5883)。一般に、scFvポリペプチドは、更にVHおよびVL領域の間にポリペプチドリンカーを含む。scFvは、リンカーによって抗原結合のために必要な構造を形成することができる(scFvの総説については、Pluckthun『The Pharmacology of Monoclonal Antibodies』Vol.113(Rosenburg and Moore ed (Springer Verlag, New York) pp.269-315, 1994)を参照)。
本発明において、scFvを構成するリンカーのアミノ酸配列は、H鎖とL鎖の可変領域を1本鎖に連結したときに、抗体としての結合特性が維持される限り限定されない。このようなリンカーとしては、たとえば( G4S) (GGRAS)( G4S)2、あるいは( G4S) 3などが知られている。
scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域の連結順序も、抗体としての結合特性が維持される限り限定されない。具体的には、N末端から順に[H鎖V領域]−[リンカー]−[L鎖V領域]の順に結合されたscFvは、本発明のscFvとして好ましい。すなわち本発明における好ましい改変抗体は、以下の構造を有する1本鎖のポリペプチドによって構成される。
H2N-[H鎖V領域]−[リンカー]−[L鎖V領域]−[Fc]-COOH
H2N-[H鎖V領域]−[リンカー]−[L鎖V領域]−[Fc]-COOH
本発明において、IgGのFcは、ヒトIgGの由来のFcであれば限定されない。すなわちCγ1〜Cγ4のいずれのFcをも本発明の改変抗体を構成するFcとして利用することができる。一般に、ヒトIgGのFc領域は、IgGのC末端側の約330アミノ酸で構成される。本発明の改変抗体を構成するFcは、改変抗体のIL−6受容体アゴニスト活性を維持できる範囲で、アミノ酸配列の置換、欠失、挿入、あるいは付加を伴うことができる。
たとえば、FcとしてCH3を含むminibodyは、Fc領域の機能を維持できることが知られている (Hu, S. et al. Cancer Res 56: 3055-3061, 1996)。minibodyは、scFvにCH3を連結した構造を有する。すなわち、CH1とCH2を欠き、scFvとCH3のみからなるイムノグロブリン分子は、本発明に含まれる。あるいは、scFvおよびCH3を必須構造とし、更に付加的にCH1、ヒンジ、およびCH2から選択されるいずれかの領域またはその部分配列を含むイムノグロブリンも、本発明における改変抗体に含まれる。
すなわち本発明は、下記の構成要素(1)-(4)を含み、これらの要素がN末端からC末端にかけて配置された1本鎖ポリペプチド、およびそれをコードするポリヌクレオチドを提供する。
(1)[H鎖V領域]
(2)[リンカー]
(3)[L鎖V領域]および
(4)[Fc]、または[CH3を構成するアミノ酸配列を含むFcの断片]
ここで、H鎖V領域は、それぞれ配列番号:3〜配列番号:4のアミノ酸配列からなるCDR1〜CDR3が、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域である。またL鎖V領域は、それぞれ配列番号:6〜配列番号:8のアミノ酸配列からなるCDR1〜CDR3が、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のL鎖V領域である。
(1)[H鎖V領域]
(2)[リンカー]
(3)[L鎖V領域]および
(4)[Fc]、または[CH3を構成するアミノ酸配列を含むFcの断片]
ここで、H鎖V領域は、それぞれ配列番号:3〜配列番号:4のアミノ酸配列からなるCDR1〜CDR3が、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域である。またL鎖V領域は、それぞれ配列番号:6〜配列番号:8のアミノ酸配列からなるCDR1〜CDR3が、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のL鎖V領域である。
本発明の改変抗体は、scFvとFcとを含む。本発明において、ヒトイムノグロブリンに由来する任意のFcを利用することができる。好ましいFcは、ヒトIgG由来のFcである。より具体的には、たとえばIgG1のFcを本発明の改変抗体を構成するFcとして利用することができる。FcをコードするDNAを単離する方法は公知である。あるいは既にクローン化されたFc遺伝子を本発明に利用することもできる。具体的には、特許文献1に記載のヒト化抗IL−6受容体抗体のH鎖遺伝子のFc 部分、pdCs-Fc-X 発現ベクター(Protein Engineering vol.11.pp495-500, 1998)、Fc融合型可溶性蛋白遺伝子(Cancer Res. Vol 60: 2167-2177, 2000)などを、本発明におけるFc遺伝子として利用することができる。
本発明の改変抗体は、2分子の1本鎖のポリペプチドがSS結合によって結合されたホモ2量体であることが望ましい。天然のイムノグロブリンは、通常、H鎖とL鎖の間がSS結合によって架橋されたヘテロダイマーを構成単位とする。このヘテロダイマーが、上記の本発明の改変抗体を構成する1本鎖ポリペプチドに相当する。IgGは、この構成単位を2つ持つ。ヘテロダイマーの間もまた、SS結合によって架橋されている。したがって、本発明の改変抗体においても、その構成単位である1本鎖のポリペプチドどうしをSS結合によって架橋してダイマー化することによって、天然のIgGの構造を模倣することができる。
本発明において、ダイマー化のためのSS結合は、1本鎖ポリペプチドの任意のシステイン(C)を架橋することによって構成することができる。架橋のための好ましいCは、ヒンジ部分に位置するCである。より具体的には、CH1とCH2の間に位置するCの間をSS結合によって架橋されたホモダイマーは、本発明の改変抗体として好ましい。ポリペプチドは、酸化的条件に置くことで、SS結合によって架橋することができる。あるいはヒンジを欠く改変抗体の場合には、CH3の間の疎水的相互作用(hydrophobic interaction)によってダイマー化することもできる。
なお天然のIgGにおいては、ヘテロダイマーを構成するためにヒンジ領域に存在するシステイン(C)が利用されている。しかし本発明においては、可変領域は1本鎖のscFvで構成され、VLの結合のためのシステイン(C)を必要としない。したがって、ヒンジに位置するシステイン(C)は、他のアミノ酸に置換することができる。たとえば実施例においては、ヒンジ領域のシステイン(C)が、セリン(S)に置換されている。
本発明においてscFvを構成する抗IL−6受容体抗体の可変領域は、IL−6受容体に対するマウスモノクローナル抗体(PM−1)の重鎖(H鎖)及び軽鎖(L鎖)を構成する可変領域(V領域)中の相補性決定領域(CDR)を、ヒト抗体V領域の対応するCDR領域と置き換えた構造を有する。前記マウス抗IL−6受容体抗体のL鎖V領域のCDRのアミノ酸配列は、特許文献1の表2のVLPM-1の行のCDR1、CDR2及びCDR3に記載されている。また、前記マウス抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域のCDRのアミノ酸配列は、特許文献1の表3のVHPM-1の行のCDR1、CDR2及びCDR3に記載されている。
一般に、抗体の抗原に対する結合特性は相補性決定領域(complementarity-determining region; CDR)によって決定される。そのため、上記CDRを任意のフレームワークに移植することによって、前記マウスモノクローナル抗体PM-1の抗原結合特性を再構成することができる。たとえば、マウスのイムノグロブリン由来のCDRを、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに移植することができる。このようなストラテジーに基づいて再構成されたイムノグロブリンは、再構成(reshaped)ヒト抗体と呼ばれる。
E.A.Kabatら((1987)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Forth Edition, U.S.Department of Health and Human Services,U.S.Government Printing Office)により定義される、ヒトV領域の異なるサブグループについてのコンセンサス配列との比較によって、イムノグロブリンの可変領域を構成するアミノ酸配列の中から、CDRおよびFRに相当する領域を特定することができる。
再構成(reshaped)ヒト抗体は、ヒト化抗体(humanized antibody)とも称される改変抗体である。再構成(reshaped)ヒト抗体は、免疫動物由来の抗体のCDRを、ヒトイムノグロブリンのCDRへ移植することによって構築される。その一般的な遺伝子組換え手法も知られている。
具体的には、マウス抗体のCDRをコードする塩基配列を含み、かつその3’末端においてヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)に相補的な塩基配列を含むプライマーを利用して、CDRを置換することができる。マウスの各CDRのそれぞれについて、ヒトFRの塩基配列を連結した合成プライマーが、隣接するFRにアニールするプライマーと組み合わせてPCR法に用いられる。このようなプライマーセットで、ヒト可変領域遺伝子を鋳型としてPCR法を行うと、CDRとしてマウスの塩基配列を有し、ヒト由来のFRの塩基配列が連結されたDNAが増幅される。各CDRの増幅産物の末端部分がオーバーラップするようにデザインされる。最終的に3つのCDRを含む各増幅産物の全てを混合してPCRを行う。各増幅産物のオーバーラップした部分は、互いにアニールしてプライマーとして機能する。その結果、CDRがマウス由来の塩基配列に置換された可変領域の全長配列を得ることができる。(欧州特許出願公開番号EP 239400、国際特許出願公開番号WO 96/02576参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、CDRが良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。
本発明におけるヒトイムノグロブリンのフレームワークは、限定されない。たとえば前記ヒト化IL−6受容体抗体のL鎖V領域のフレームワーク領域(FR)は、ヒト抗体REI由来のものが好ましい。ヒト抗体REI由来のFRのアミノ酸配列は、特許文献1の表2のREIの行のFR1、FR2、FR3及びFR4に記載されている。
また、前記ヒト化IL−6受容体抗体のH鎖V領域のフレームワーク領域(FR)は、ヒト抗体NEW由来のものが好ましい。ヒト抗体NEWのFRのアミノ酸配列は、特許文献1の表3のNEWの行のFR1、FR2、FR3及びFR4に記載されている。
ヒト抗体のFRとマウス抗体のCDRから構成されるヒト化V鎖の内、FR領域は、抗原結合性や中和活性の改善のため、種々改変されていても良い。たとえば、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように、抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換できることが知られている(Sato, K.et al., Cancer Res. (1993) 53, 851-856)。本願で使用するヒト化IL−6受容体抗体は、L鎖V領域については、特許文献1の表2のRVLa(バージョンa)、及び、H鎖V領域については、特許文献1の表3のRVHf(バージョンf)が好ましい。以下に、本発明における好ましいヒト化V鎖のアミノ酸配列を示す。配列中、CDR1、CDR2、およびCDR3をカッコ内に記載し、下線を付けた。各下線部の両側の小文字で示した位置にFR1〜FR4が位置する。
H鎖V領域RVHf(配列番号:1):
qvqlqesgpglvrpsqtlsltctvsgysit [SDHAWS] wvrqppgrglewig [YIS-YSGITTYNPSLKS] rvtmlrdtsknqfslrlssvtaadtavyycar [SLARTTAMDY] wgqgslvtvs
L鎖V領域RVLa(配列番号:2):
diqmtqspsslsasvgdrvtitc [RASQDISSYLN] wyqqkpgkapklliy [YTSRLHS] gvpsrfsgsgsgtdftftisslqpediatyyc [QQGNTLPYT] fgqgtkveikr
H鎖V領域RVHf(配列番号:1):
qvqlqesgpglvrpsqtlsltctvsgysit [SDHAWS] wvrqppgrglewig [YIS-YSGITTYNPSLKS] rvtmlrdtsknqfslrlssvtaadtavyycar [SLARTTAMDY] wgqgslvtvs
L鎖V領域RVLa(配列番号:2):
diqmtqspsslsasvgdrvtitc [RASQDISSYLN] wyqqkpgkapklliy [YTSRLHS] gvpsrfsgsgsgtdftftisslqpediatyyc [QQGNTLPYT] fgqgtkveikr
更に本発明は、これらの改変抗体をコードするポリヌクレオチドに関する。すなわち本発明は、それぞれ以下に示すアミノ酸配列からなるCDRが、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvをヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した改変抗体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8)
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8)
本発明の改変抗体を構成する好ましい構造については既に述べた。先に述べたような構造を与えるアミノ酸配列に基づいて、それをコードする塩基配列をデザインすることができる。あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、抗体産生細胞から取得されたイムノグロブリンをコードする遺伝子を目的に応じて改変することによって構築することもできる。改変のための具体的な方法は先に述べたとおりである。
本発明における好ましいポリヌクレオチドとして、次の構造を有するポリペプチドからなる改変抗体をコードするポリヌクレオチドを示すことができる。
H2N-[H鎖V領域]−[リンカー]−[L鎖V領域]−[Fc]-COOH
H2N-[H鎖V領域]−[リンカー]−[L鎖V領域]−[Fc]-COOH
上記のポリペプチドにおいて、[H鎖V領域]は、たとえば配列番号:1(H鎖可変領域)に記載のアミノ酸配列からなるのが好ましい。また、[L鎖V領域]としては、たとえば配列番号:2に記載のアミノ酸配列を示すことができる。更に、好ましいリンカーのアミノ酸配列としては、配列番号:9のアミノ酸配列を示すことができる。このような構造の1本鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとして、たとえば配列番号:10に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドを示すことができる。また配列番号:10によってコードされるscFvのアミノ酸配列を配列番号:11に示した。配列番号:10と配列番号:11におけるリンカー部分は、それぞれ355−414位および119位−138位である。リンカー部分は図 10中に斜体で示した。したがって、配列番号:11における1位−118位、119位−138位、そして139位−246位に相当するアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:1、配列番号:9、および配列番号:2である。
本発明のポリヌクレオチドは、適当な発現ベクターを利用することによって、改変抗体の発現に利用することができる。ポリヌクレオチドの発現産物を細胞外に分泌させるために、リーダー配列(分泌シグナル)をコードするポリヌクレオチドを付加することもできる。リーダー配列は、通常、[H鎖V領域]のN末端に付加される。たとえば図9に示したヒトIgGκ鎖のリーダー配列をリーダー配列として利用することができる。ベクターには、イムノグロブリンあるいはその改変体を発現することができる任意のベクターを利用することができる。
イムノグロブリンを動物細胞や微生物細胞を宿主として発現することができる種々のベクターが公知である(“Expression of engineered antibodies and antibody fragments in microorganisms. “, Methods Enzymol. 1989;178:476-96.、”Single chain antibody variable regions.”, Trends Biotechnol. 1991 Apr;9(4):132-7.)。公知のベクターの中には、ベクターがリーダー配列を含んでいるものもある。このようなベクターを用いる場合には、本発明のポリヌクレオチドをベクターのリーダー配列に連結することによって、動物細胞において、目的とする改変抗体を分泌する発現ベクターを構築することができる。イムノグロブリンを発現するための動物細胞としては、たとえばCOS細胞、CHO細胞、あるいは悪性胸膜中皮腫細胞などの腫瘍細胞を用いることができる。
これらの動物細胞における、本発明の改変抗体をコードするポリヌクレオチドの発現のためには、動物細胞での発現のために通常用いられるプロモーターを利用することができる。例えば、ヒト・サイトメガロウィルス前期(human cytomegalovirus immediate early;HCMV)プロモーターを使用するのが好ましい。HCMVプロモーターを含有する発現ベクターとして、HCMV‐VH-HCγ1、HCMV-VL-HCK、HCMV-12h-gγ1、HCMV-12κ-gκ等であって、pSV2neoに由来するものを示すことができる。
その他に、本発明の改変抗体の動物細胞における発現に利用できるプロモーターとして、ヒト・エロンゲーション・ファクター1α(HEF-1α)プロモーターを示すこともできる。このプロモーターを含有する発現ベクターには、HEF-12h-gγ1及びHEF-12k-gκ、並びにHEF‐VH-gγ1及びHEF‐VL-gκが含まれる。
宿主細胞系中での遺伝子増幅のため、発現ベクターはさらにdhfr遺伝子を含有することができる。dhfr遺伝子を含有する発現ベクターは例えばDHFR‐ΔE-PMh-gγ1、DHFR‐ΔE‐RVh-PM1-f等である。
また本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。あるいはまた本発明は、本発明のポリヌクレオチド、またはそれを含むベクターを発現可能に保持した形質転換体に関する。本発明に基づく形質転換体を培養し、培養物に蓄積する本発明の改変抗体を回収することによって、本発明の改変抗体を製造することができる。あるいは、本発明の形質転換体を患者に投与することもできる。患者への投与を目的とする場合には、形質転換体の宿主細胞はヒト細胞であることが望ましい。より好ましくは、投与される患者自身の細胞であることが望ましい。細胞としては、たとえば末梢血リンパ球を用いることができる。
マウスモノクローナル抗体PM−1は、ヒトのIL−6受容体阻害剤として有用であることが既に立証されている。したがって、その抗原結合特性を有する本発明の改変抗体は、IL−6受容体阻害剤として有効である。IL−6受容体の阻害剤が種々の疾患の治療効果を有することも公知である。たとえば、以下に示すような疾患は、いずれもIL−6受容体の阻害によって治療効果を期待できる。
慢性関節リウマチ(特許文献2)
プラズマサイトーシス、高イムノグロブリン血症、貧血、腎炎、悪液質、リウマチ、キャッスルマン病、メサンギウム増殖性腎炎(特許文献3)
感作T細胞関与疾患、たとえば多発性硬化症、ブドウ膜炎、慢性甲状腺炎、遅延性過敏症、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(特許文献4)
全身性エリテマトーデス(特許文献4)
クローン病(特許文献5)
膵炎(特許文献6)
乾癬(特許文献7)
小児慢性関節炎(特許文献8)
慢性関節リウマチ(特許文献2)
プラズマサイトーシス、高イムノグロブリン血症、貧血、腎炎、悪液質、リウマチ、キャッスルマン病、メサンギウム増殖性腎炎(特許文献3)
感作T細胞関与疾患、たとえば多発性硬化症、ブドウ膜炎、慢性甲状腺炎、遅延性過敏症、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(特許文献4)
全身性エリテマトーデス(特許文献4)
クローン病(特許文献5)
膵炎(特許文献6)
乾癬(特許文献7)
小児慢性関節炎(特許文献8)
したがって本発明の改変抗体は、これらの疾患の治療剤として有用である。本発明の改変抗体は、薬学的に許容される担体と配合することによって医薬組成物とすることができる。あるいは本発明は、これら改変抗体を薬学的に許容される担体と配合する工程を含む医薬組成物の製造に関する。更に本発明は、本発明の改変抗体の、これらの疾患を治療するための医薬組成物の製造における使用に関する。
更に本発明は、本発明の改変抗体、それをコードするポリヌクレオチド、これらポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および本発明の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分を有効成分として含有する、インターロイキン6受容体阻害剤を提供する。あるいは本発明は、本発明の改変抗体、それをコードするポリヌクレオチド、これらポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および本発明の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分を患者に投与する工程を含む、インターロイキン6受容体の阻害方法に関する。
また本発明は、本発明の改変抗体、それをコードするポリヌクレオチド、これらポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および本発明の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分のこれらの疾患を治療するための医薬組成物の製造における使用に関する。加えて本発明は、本発明の改変抗体、それをコードするポリヌクレオチド、これらポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および本発明の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分のこれらの疾患の治療における使用に関する。
治療または予防目的で使用される本発明の改変抗体を有効成分として含む医薬組成物は、必要に応じて、それらに対して不活性な適当な薬学的に許容される担体、媒体等と混和して製剤化することができる。例えば、滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、防腐剤、界面活性剤(PEG、Tween等)、キレート剤(EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン及びリシン等のアミノ酸、多糖及び単糖等の糖類や炭水化物、マンニトールやソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO-50)等と併用してもよい。
また、必要に応じ本発明の改変抗体をマイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ[メチルメタクリル酸]等のマイクロカプセル)に封入したり、コロイドドラッグデリバリーシステム(リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル等)とすることもできる(“Remington's Pharmaceutical Science 16th edition”, Oslo Ed. (1980)等参照)。さらに、薬剤を徐放性の薬剤とする方法も公知であり、本発明の改変抗体に適用し得る(Langer et al., J.Biomed.Mater.Res. 15: 167-277 (1981); Langer, chem.Tech. 12: 98-105 (1982);米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開(EP)第58,481号; Sidman et al., Biopolymers 22: 547-556 (1983);EP第133,988号)。
本発明の医薬組成物の投与量は、剤型の種類、投与方法、患者の年齢や体重、患者の症状、進行の程度等を考慮して、最終的には医師の判断により適宜決定される。一般に大人では、1日当たり、0.1〜2000mgを1〜数回に分けて経口投与することができる。より好ましくは1〜1000mg/日、更により好ましくは50〜500mg/日、最も好ましくは100〜300mg/日である。これらの投与量は患者の体重や年齢、投与方法などにより変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。投与期間も、患者の治癒経過等に応じて適宜決定することが好ましい。
本発明に基づいて、前記改変抗体、それをコードするポリヌクレオチド、これらポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および本発明の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分とう薬学的に許容される担体を含む医薬組成物と、当該医薬組成物が前記疾患の治療に使用されることを記載した指示書を含む、医薬パッケージが提供される。指示書とは、医薬組成物の適用疾患、投与量、投与スケジュール、禁忌、医薬組成物の保存条件、あるいは有効期限などを記載することができる。医薬パッケージとすることによって、本発明に基づく医薬組成物を商業的に流通させることができる。
また、本発明の改変抗体をコードする遺伝子を遺伝子治療用ベクターに組込み、遺伝子治療を行うこともできる。投与方法としては、nakedプラスミドによる直接投与の他、リポソーム等にパッケージングするか、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、アデノウイルス関連ベクター、HVJベクター等の各種ウイルスベクターとして形成するか(Adolph『ウイルスゲノム法』, CRC Press, Florid (1996)参照)、または、コロイド金粒子等のビーズ担体に被覆(WO93/17706等)して投与することができる。しかしながら、生体内において抗体が発現され、その作用を発揮できる限りいかなる方法により投与してもよい。
好ましくは、適当な非経口経路(静脈内、腹腔内、皮下、皮内、脂肪組織内、乳腺組織内、吸入または筋肉内の経路を介して注射、注入、またはガス誘導性粒子衝撃法(電子銃等による)、添鼻薬等粘膜経路を介する方法等)により十分な量が投与される。ex vivoにおいてリポソームトランスフェクション、粒子衝撃法(米国特許第4,945,050号)、またはウイルス感染を利用して血液細胞及び骨髄由来細胞等に投与して、該細胞を動物に再導入することにより本発明の改変抗体をコードする遺伝子を投与してもよい。
本発明の改変抗体は、特に遺伝子治療に応用した場合に有利である。一般にIgGをはじめとする抗体医薬は、多量体構造を有するために、遺伝子治療への応用が難しいと考えられている。遺伝子治療用ベクターの発現産物を、天然の抗体と同じような多量体構造とすることは、現状では困難なためである。しかし本発明の改変抗体は、1本鎖のポリペプチドとして発現させることができる。そのため、現在試みられているような遺伝子治療のための技術水準においても、抗体としての活性を有する状態で、目的の蛋白質(改変抗体)を発現させることができる。なおIgGの多量体構造を模倣するためには、2量体とすることが望ましい。本発明の改変抗体によれば、2量体はホモダイマーによって構成される。同じ分子間で構成されるホモダイマーは、H鎖とL鎖のような、異なるポリペプチド間の2量体化を遺伝子組み換え体で実現することに比べれば、はるかに容易に再現することができる。
たとえばヘテロダイマーにおいては、ヘテロダイマーを構成する各サブユニットが、それぞれの必要量存在していることが求められる。他方よりも多く発現したサブユニットは、パートナーとなるサブユニットが無ければヘテロダイマーを構成できない。一方、ホモダイマーにおいては、発現したサブユニットはほぼ完全にホモダイマーとすることができる。したがって、発現レベルを高度に制御しない条件下でも、目的とするホモダイマーを効率的に生成することができる。このような理由から、本発明の改変抗体は、遺伝子治療に好適である。
すなわち本発明は、本発明の改変抗体をコードするポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持した遺伝子治療用ベクターを提供する。本発明の遺伝子治療用ベクターは、前記改変抗体をコードするポリヌクレオチドを保持し、ヒト細胞への導入、あるいは感染によって、ヒト細胞内で改変抗体を発現することができる。
遺伝子治療用ベクターのヒト細胞への導入とは、人為的な形質転換工程によるヒト細胞への遺伝子治療用ベクターの導入を含む。具体的には、リポフェクタミンなどの形質転換用試薬により、ベクターをヒト細胞に導入することができる。あるいは、形質転換用試薬の助けを借りず、自律的にヒト細胞への感染を成立させることができる遺伝子治療用ベクターも知られている。たとえばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、HIVベクター、ワクシニアウイルスベクター、あるいはセンダイウイルス(HVJ)ベクターなどのウイルスベクターは、ヒト細胞への感染能を有するベクターである。具体的には、たとえば、pAdexlcwなどのアデノウイルスベクター、あるいはpZIPneoなどのレトロウイルスベクターが知られている。ベクターへの本発明の改変抗体をコードするDNAは、一般的な遺伝子操作によってウイルスベクターに組み込むことができる(Molecular Cloning ,5.61-5.63)。
たとえば、以下のような操作によって、本発明に基づく改変抗体を発現するアデノウイルスベクターを構築することができる。現在作製されているアデノウイルスベクターの多くは、serotype 5もしくはserotype 2 型をベースにしている。アデノウイルスのE1 regionは複製増殖に必須の部位であり、ここを目的とする遺伝子と置換することにより非増殖型アデノウイルスを作製することができる。アデノウイルスベクターはヒト腎臓細胞293などを利用して作製される。目的とするベクターを作製するためには36 Kbにもおよぶlinear DNAを作製する必要がある。この巨大DNA作製法として、直接宿主細胞にシャトルベクターとアデノウイルスバックボーンベクターをトランスフェクトし、細胞内で相同組み換えを起こさせる方法と、バクテリアを用いウイルス産生に必要な巨大DNAを作製する方法がある。後者の例としては、AdEasy Adenoviral Vector System (Stratagene)を挙げることができる。
発現された改変抗体を細胞の外に分泌するために、通常、改変抗体は分泌シグナルを有する。改変抗体をコードする遺伝子の発現を制御するプロモーターには、ヒト細胞内で転写活性を有する任意のプロモーターを利用することができる。tetなどの制御可能なプロモーターを組み合わせれば、テトラサイクリンの投与によって改変抗体の発現レベルを制御することができる。改変抗体の発現レベルを保つために、エンハンサーの利用は好ましい。
本発明の遺伝子治療用ベクターは、任意の方法によってヒトに投与することができる。たとえば、生体外においてベクターを導入した細胞を、患者に投与することができる(ex vivo)。細胞は、患者自身から採取された細胞であることが望ましい。患者から採取された細胞は、生体外において培養して増殖させることもできる。患者から容易に採取することができる細胞として、血液細胞を挙げることができる。たとえば末梢血リンパ球は、遺伝子治療用ベクターを導入するための細胞として好ましい。
あるいは、遺伝子治療用ベクターが生体中においても細胞への感染能を有する場合には、遺伝子治療用ベクターを直接患者に投与することもできる(in vivo)。具体的には、皮下、血中、胸腔内、腹腔内、髄腔内、筋肉内、関節内、経鼻的、あるいは経皮的な投与が可能である。
これらの本発明に基づく遺伝子治療用ベクターによる治療方法に必要な要素は、予め組み合わせてキットとすることができる。すなわち本発明は、次の要素を含む、インターロイキン6の作用に起因する疾患の治療用キットを提供する。
(1) 本発明の改変抗体をコードするポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持したベクター
(2) ベクター導入用試薬、および
(3) 末梢血リンパ球の分離用試薬
ベクター導入用試薬としては、たとえばリポフェクチンやリポフェクタミン(いずれもInvitrogen社の商品名。登録商標)などを利用することができる。また末梢血リンパ球の分離用試薬としては、リンパ球を同定するためのマーカーを認識する抗体を利用することができる。抗体は蛍光色素や磁性粒子と結合することができる。リンパ球のマーカーとしては、CD34などが公知である。本発明による遺伝子治療用のキットは、更に付加的に指示書を含むことができる。なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
(1) 本発明の改変抗体をコードするポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持したベクター
(2) ベクター導入用試薬、および
(3) 末梢血リンパ球の分離用試薬
ベクター導入用試薬としては、たとえばリポフェクチンやリポフェクタミン(いずれもInvitrogen社の商品名。登録商標)などを利用することができる。また末梢血リンパ球の分離用試薬としては、リンパ球を同定するためのマーカーを認識する抗体を利用することができる。抗体は蛍光色素や磁性粒子と結合することができる。リンパ球のマーカーとしては、CD34などが公知である。本発明による遺伝子治療用のキットは、更に付加的に指示書を含むことができる。なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
<材料>
ヒト胚性腎臓293細胞をAmerican Type Culture Collection(Manassas, VA)から購入した。293細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で培養した。レンネルトリンパ腫由来T細胞(KT-3)(Shimizu S et al., Blood 1988; 72:1826-1828) は、10%FCSおよび4 ng/mlの 組換えIL-6(Ajinomoto Co., Inc., Kawasaki, Japan)を補充したRPMI1640培地で維持した。組換え可溶性IL-6R(sIL-6R)は中外製薬株式会社(Chugai Pharmaceutical Co., LTD(Roche Group, Shizuoka, Japan))より寄与された。他の補足物質および細胞培養液はMediatech-Cellgro(Kansas City, MO)から購入した。全ての制限酵素はNew England Biolabs(Beverly, MA)から、T4 DNAリガーゼはPromega(Madison, WI)から、TaqポリメラーゼおよびPCR試薬はQIAGEN(Valencia, CA)から購入した。
ヒト胚性腎臓293細胞をAmerican Type Culture Collection(Manassas, VA)から購入した。293細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で培養した。レンネルトリンパ腫由来T細胞(KT-3)(Shimizu S et al., Blood 1988; 72:1826-1828) は、10%FCSおよび4 ng/mlの 組換えIL-6(Ajinomoto Co., Inc., Kawasaki, Japan)を補充したRPMI1640培地で維持した。組換え可溶性IL-6R(sIL-6R)は中外製薬株式会社(Chugai Pharmaceutical Co., LTD(Roche Group, Shizuoka, Japan))より寄与された。他の補足物質および細胞培養液はMediatech-Cellgro(Kansas City, MO)から購入した。全ての制限酵素はNew England Biolabs(Beverly, MA)から、T4 DNAリガーゼはPromega(Madison, WI)から、TaqポリメラーゼおよびPCR試薬はQIAGEN(Valencia, CA)から購入した。
〔実施例1〕
(図1〜3)IL-6阻害剤(改変抗体)の作製
ヒト化IL-6受容体抗体(中外製薬株式会社)の重鎖および軽鎖をコードする別々のcDNAから、VHヌクレオチド配列およびVLヌクレオチド配列をPCRで増幅した。1回目の増幅用PCRプライマーは、通常のFv境界の定義(canonical Fv boundary definition)を用いてデザインした。2回目では、VH遺伝子フラグメントとVL遺伝子フラグメントをオーバーラップ伸長PCR法によって共に連結させ、20個のアミノ酸のリンカー(G4S)(GGRAS)(G4S)2をコードするDNAセグメントを導入した。加えて、pOPE101細菌発現ベクターへのクローニングを容易にするために、scFvをコードする最終的なDNAの5’末端および3’末端にNco IおよびNot I制限酵素部位を相応するように導入し、抗IL-6受容体ヒト化抗体のpOPE101/scFvを作製した。
(図1〜3)IL-6阻害剤(改変抗体)の作製
ヒト化IL-6受容体抗体(中外製薬株式会社)の重鎖および軽鎖をコードする別々のcDNAから、VHヌクレオチド配列およびVLヌクレオチド配列をPCRで増幅した。1回目の増幅用PCRプライマーは、通常のFv境界の定義(canonical Fv boundary definition)を用いてデザインした。2回目では、VH遺伝子フラグメントとVL遺伝子フラグメントをオーバーラップ伸長PCR法によって共に連結させ、20個のアミノ酸のリンカー(G4S)(GGRAS)(G4S)2をコードするDNAセグメントを導入した。加えて、pOPE101細菌発現ベクターへのクローニングを容易にするために、scFvをコードする最終的なDNAの5’末端および3’末端にNco IおよびNot I制限酵素部位を相応するように導入し、抗IL-6受容体ヒト化抗体のpOPE101/scFvを作製した。
真核生物の発現系においてscFvを産生するために、scFvをコードするDNA配列は、c-Mycタグおよび6個のヒスチジン(pOPE101中に存在する)とともにPCRで増幅して、Sna BIを5’末端にAvr Iを3’末端に導入し、さらにpPIC9酵母発現プラスミド(Invitrogen, Carlsbad, CA)にクローニングして、抗IL-6受容体ヒト化抗体のpPIC9/scFvを作製した。Fc/抗IL-6受容体ヒト化抗体コーディングDNAのアセンブリを以下のように行った。ヒト免疫グロブリンγ-1遺伝子のヒンジであるCH2およびCH3ドメイン(Fcすなわちfragment constantと総称される)をヒト化IL-6受容体抗体重鎖のcDNAよりPCRで増幅し、システインからセリンへのアミノ酸置換をヒンジ領域に1箇所導入した。システイン残基は通常、軽鎖とのジスルフィド結合を形成する。
Fc遺伝子フラグメントは、マウスIgκ鎖V-J2-Cシグナルペプチド配列とインフレームになるようにpSecTag2aベクター(Invitrogen)にクローニングした。抗IL-6受容体ヒト化抗体のscFv遺伝子をPCRで増幅し、リーダー/Fcとインフレームになるようにクローニングし、抗IL-6受容体ヒト化抗体のpSecTag/Fc/scFvを作製した。最後に、CMVプロモーターとBGHポリアデニル化シグナルとを含む発現カセット全体をpShuttleプラスミド(Stratagene, La Jola, CA)に再クローニングし、抗IL-6受容体ヒト化抗体のpShuttle/CMV/Fc/scFvを作製した。コンストラクトを構成する各elementsの配置と、elementsの間を連結している塩基配列を図9に示した。
(図1B)pShuttle プラスミド (Stratagene, La Jola, CA) のマルチプルクローニングサイト(multiple cloning site)にpGL3basic Vector (Promega)由来のSV40 late poly A signal を組み込んだ。
(図2A) ヒト免疫グロブリンIgG1のH鎖のヒンジ部位よりC末をpBluescript IIのBamHI 部位にサブクローンした。ヒンジ部のN末に制限酵素SpeI 部位を設けた。
(図2B) 上記のプラスミドで、pBluescript IIのKpnI〜XhoI 部位にサイトメガロウィルス エンハンサー/プロモーター 領域(CMV)を挿入した。
(図3A) 上記のプラスミドよりCMV- マルチプルクローニングサイト(multiple cloning site)-ヒンジ-Fc のフラグメントを切り出し、図1BのプラスミドのKpnI〜XbaI 部位に挿入した。このプラスミドで、EcoRV, SpeI 部位はユニークサイトであり、同部位に他の遺伝子を組み込むことにより、その遺伝子とFc との融合蛋白を作ることが可能である。上記ヒト化抗-IL-6 受容体抗体のpShuttle/CMV/Fc/scFv よりscFv部を切り出し、EcoRV〜SpeI 部位 に挿入してIL-6阻害剤(改変抗体)発現シャトルベクターを完成した。
(図2A) ヒト免疫グロブリンIgG1のH鎖のヒンジ部位よりC末をpBluescript IIのBamHI 部位にサブクローンした。ヒンジ部のN末に制限酵素SpeI 部位を設けた。
(図2B) 上記のプラスミドで、pBluescript IIのKpnI〜XhoI 部位にサイトメガロウィルス エンハンサー/プロモーター 領域(CMV)を挿入した。
(図3A) 上記のプラスミドよりCMV- マルチプルクローニングサイト(multiple cloning site)-ヒンジ-Fc のフラグメントを切り出し、図1BのプラスミドのKpnI〜XbaI 部位に挿入した。このプラスミドで、EcoRV, SpeI 部位はユニークサイトであり、同部位に他の遺伝子を組み込むことにより、その遺伝子とFc との融合蛋白を作ることが可能である。上記ヒト化抗-IL-6 受容体抗体のpShuttle/CMV/Fc/scFv よりscFv部を切り出し、EcoRV〜SpeI 部位 に挿入してIL-6阻害剤(改変抗体)発現シャトルベクターを完成した。
組換えアデノウイルスゲノムを作製するために、AdEasyアデノウイルスベクターシステム(Stratagene)を取扱説明書に従って用いた。IL-6阻害剤発現シャトルベクターを、pAdEasy-1プラスミドとともに大腸菌BJ5183に共トランスフェクトし、相同組換えを達成させた。ウイルスゲノムを細胞から回収し、IL-6阻害剤DNAの存在を制限消化およびインサート特異的なプライマーによるPCRによって確認した。組換えAdウイルスゲノムを293細胞にトランスフェクトし、組換えAd5/IL-6阻害剤をレスキュー(rescue)して大量に産生した後、塩化セシウムで精製した。ウイルス粒子力価の測定は、Maizel et al.の方法により、260nmでの1吸光度単位あたり1.1×1012ウイルス粒子(v.p.)の変換係数を用いて分光高度法で行った。
IL-6阻害剤を大量に産生するために、組換えAd5/IL-6阻害剤を発現システムとして用いた。10個のT75フラスコにおいて、感染効率(MOI)100 v.p./細胞でAd5/IL-6阻害剤を293細胞に感染させた。感染を37℃で1時間実施した後、培地を交換した。感染3日後、培養上清を収集し、等量の冷飽和硫酸アンモニウムを添加してタンパク質を沈殿させた。沈殿物を遠心分離により収集し、もとの培養液量の1/20の量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解し、さらにPBSに対して透析した。Sigma(St. Louis, MO)から購入したプロテインA抗体精製キット(Protein A Antibody Purification Kit)を製造元の説明書に従って使用してアフィニティークロマトグラフィーを行い、透析後のタンパク質溶液から組換えIL-6阻害剤タンパク質を精製した。タンパク質濃度はBradfordタンパク質アッセイ(Bio-Rad)によりウシγグロブリンを標準として測定した。
(図4)本発明者らはまず、ヒト化抗-IL-6受容体抗体 のH鎖とL鎖を用いsingle chain fragment variant (ヒト化抗-IL-6受容体抗体のscFv )を作製した。このscFvをヒト免疫グロブリンIgG Fc部分と融合させ、二量体を作製しNew receptor inhibitor for IL-6 (本発明の改変抗体)を樹立した。
次に本発明の改変抗体遺伝子を非増殖型アデノウイルスに組み込み、サイトメガロプロモーター下に本発明の改変抗体が発現するベクターを作製した。この本発明の改変抗体発現アデノウイルス(Ad CMV)を種々の人細胞に感染させ、その上清を集め、プロテインAカラムを用い 本発明の改変抗体を精製した。
次に本発明の改変抗体遺伝子を非増殖型アデノウイルスに組み込み、サイトメガロプロモーター下に本発明の改変抗体が発現するベクターを作製した。この本発明の改変抗体発現アデノウイルス(Ad CMV)を種々の人細胞に感染させ、その上清を集め、プロテインAカラムを用い 本発明の改変抗体を精製した。
〔実施例2〕
(図5) 結合アッセイ
本発明の改変抗体のIL-6受容体に対する親和性を検討した。96穴ELISAプレートにまずIL-6受容体を認識するMT-18をコーティングした。MT-18のIL-6受容体認識部位はヒト化抗-IL-6受容体抗体と異なり、ヒト化抗-IL-6受容体抗体と競合することはないことが証明されている。MT-18のコーティング濃度は、5μg/mlの溶液を1well当り100μl入れ一晩静置した。その後トリス緩衝生理食塩水(TBS)で洗浄し、6% bovine serum albuminでブロッキングを行った。ブロッキング後可溶性IL-6受容体(sIL-6R)を反応させ、ELISAプレートへ固定させた。sIL-6Rの濃度は、100 ng/mlの溶液を1well当り100μl反応させた。その後さまざまな濃度の本発明の改変抗体、ヒト化抗-IL-6受容体抗体、コントロール IgGを反応させた。二次抗体としてHRP conjugated anti-Fc fragment F(ab’)2 (Dako)を使用した。発色にはOPD peroxidase substrate(Sigma)を使用した。図4で、横軸は反応させた本発明の改変抗体、ヒト化抗-IL-6受容体抗体、コントロール IgGの濃度を示す。これから明らかなように、本発明の改変抗体はヒト化抗-IL-6受容体抗体に比べIL-6受容体に対する結合能は勝るとも劣らないものであった。
(図5) 結合アッセイ
本発明の改変抗体のIL-6受容体に対する親和性を検討した。96穴ELISAプレートにまずIL-6受容体を認識するMT-18をコーティングした。MT-18のIL-6受容体認識部位はヒト化抗-IL-6受容体抗体と異なり、ヒト化抗-IL-6受容体抗体と競合することはないことが証明されている。MT-18のコーティング濃度は、5μg/mlの溶液を1well当り100μl入れ一晩静置した。その後トリス緩衝生理食塩水(TBS)で洗浄し、6% bovine serum albuminでブロッキングを行った。ブロッキング後可溶性IL-6受容体(sIL-6R)を反応させ、ELISAプレートへ固定させた。sIL-6Rの濃度は、100 ng/mlの溶液を1well当り100μl反応させた。その後さまざまな濃度の本発明の改変抗体、ヒト化抗-IL-6受容体抗体、コントロール IgGを反応させた。二次抗体としてHRP conjugated anti-Fc fragment F(ab’)2 (Dako)を使用した。発色にはOPD peroxidase substrate(Sigma)を使用した。図4で、横軸は反応させた本発明の改変抗体、ヒト化抗-IL-6受容体抗体、コントロール IgGの濃度を示す。これから明らかなように、本発明の改変抗体はヒト化抗-IL-6受容体抗体に比べIL-6受容体に対する結合能は勝るとも劣らないものであった。
〔実施例3〕
(図6) 阻害アッセイ
次にIL-6のIL-6受容体への結合を本発明の改変抗体が競合的に阻害できるか検討した。sIL-6RのELISAプレートへの固定は前述の如く行った。10 ng/ml濃度のビオチン化IL-6と種々の濃度の本発明の改変抗体もしくはヒト化抗-IL-6受容体抗体を競合させた結果、本発明の改変抗体のIL-6の受容体結合阻害能はヒト化抗-IL-6受容体抗体に匹敵するものであった。
(図6) 阻害アッセイ
次にIL-6のIL-6受容体への結合を本発明の改変抗体が競合的に阻害できるか検討した。sIL-6RのELISAプレートへの固定は前述の如く行った。10 ng/ml濃度のビオチン化IL-6と種々の濃度の本発明の改変抗体もしくはヒト化抗-IL-6受容体抗体を競合させた結果、本発明の改変抗体のIL-6の受容体結合阻害能はヒト化抗-IL-6受容体抗体に匹敵するものであった。
(図7) IL-6依存性増殖を示すリンパ腫KT-3を用い、実際に本発明の改変抗体が細胞生物学的にIL-6刺激をブロックできるか検討した。KT−3の細胞濃度は10,000 cells/wellとし、96well使用した。500 pg/mlのIL-6濃度で培養しているKT-3に対し、種々の濃度の本発明の改変抗体、ヒト化抗-IL-6受容体抗体もしくはコントロール IgGを投与した。5日間培養した後、MTS アッセイを行った。図7に結果を示す。KT-3に対する増殖抑制効果もヒト化抗-IL-6受容体抗体に匹敵した。
(図8) 悪性胸膜中皮腫H2052はIL-6およびsIL-6R刺激により、VEGFの産生増強をきたすことが判明している。このH2052を用いて、本発明の改変抗体がIL-6刺激によるVEGF産生誘導を抑制することができるか検討した。20 well plateで、悪性中皮種細胞H2052を細胞濃度50,000/wellで培養を開始した。一晩静置した後、5nMの本発明の改変抗体、ヒト化抗-IL-6受容体抗体、ヒト IgG、コントロールに培地を交換した。無刺激、およびIL-6(10ng/ml)+sIL-6R(100ng/ml)刺激を開始した。実験はtriplicate(3連)で行った。48時間培養した後、上清中のVEGFの濃度を測定し、生産量を検討した。図8に結果を示す。この系においても、本発明の改変抗体はオリジナルヒト化抗-IL-6受容体抗体に比べ同等の抑制能を示した。
本発明は、IL−6阻害剤として有用な改変抗体を提供した。本発明の改変抗体は、1本鎖ポリペプチドとして発現することができる。そのため、本発明の改変抗体は、特に遺伝子治療において有用である。具体的には、本発明の改変抗体をコードするポリヌクレオチドを患者に導入し、患者の生体内で、有効成分である改変抗体を発現させることができる。改変抗体は1本鎖のポリペプチドであるため、生体内で用意に発現させることができ、更に、天然のIgGの構造を模倣したホモダイマーを効率的に生成することができる。実際に本発明に基づいて生成された改変抗体は、たとえば、天然のIgGと同等の抗癌作用を有していることが確認された。
Claims (26)
- それぞれ以下に示すアミノ酸配列からなるCDRが、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvをヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した改変抗体。
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8) - H鎖V領域が、アミノ酸配列QVQLQESGPGLVRPSQTLSLTCTVSGYSIT SDHAWS WVRQPPGRGLEWIG YIS-YSGITTYNPSLKS RVTMLRDTSKNQFSLRLSSVTAADTAVYYCAR SLARTTAMDY WGQGSLVTVS(配列番号:1)からなる請求項1に記載の改変抗体。
- L鎖V領域が、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC RASQDISSYLN WYQQKPGKAPKLLIY YTSRLHS GVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYC QQGNTLPYT FGQGTKVEIKR(配列番号:2)からなる請求項1に記載の改変抗体。
- 前記scFvが、L鎖V領域のC末端においてヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した請求項1に記載の改変抗体。
- 前記scFvが、N末端からH鎖V領域、リンカー及びL鎖V領域の順に結合された請求項4に記載の改変抗体
- リンカーのアミノ酸配列がGGGGSGGRASGGGGSGGGGS(配列番号:9)である請求項5に記載の改変抗体。
- 改変抗体がSS結合によって連結された2量体である請求項1に記載の改変抗体。
- 請求項1−7のいずれかに記載の改変抗体と、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
- 請求項1−7のいずれかに記載の改変抗体を、薬学的に許容される担体と配合する工程を含む、医薬組成物の製造方法。
- それぞれ以下に示すアミノ酸配列からなるCDRが、ヒトイムノグロブリンのフレームワークに組み込まれた抗IL−6受容体抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域を含むscFvをヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した改変抗体をコードするポリヌクレオチド。
H鎖V領域のCDR1:SDHAWS(配列番号:3)
H鎖V領域のCDR2:YISYSGITTYNPSLKS(配列番号:4)
H鎖V領域のCDR3:SLARTTAMDY(配列番号:5)
L鎖V領域のCDR1:RASQDISSYLN(配列番号:6)
L鎖V領域のCDR2:YTSRLHS(配列番号:7)
L鎖V領域のCDR3:QQGNTLPYT(配列番号:8) - H鎖V領域が、アミノ酸配列QVQLQESGPGLVRPSQTLSLTCTVSGYSIT SDHAWS WVRQPPGRGLEWIG YIS-YSGITTYNPSLKS RVTMLRDTSKNQFSLRLSSVTAADTAVYYCAR SLARTTAMDY WGQGSLVTVS(配列番号:1)からなる請求項10に記載のポリヌクレオチド。
- L鎖V領域が、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC RASQDISSYLN WYQQKPGKAPKLLIY YTSRLHS GVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYC QQGNTLPYT FGQGTKVEIKR(配列番号:2)からなる請求項10に記載のポリヌクレオチド。
- 前記scFvが、L鎖V領域のC末端においてヒト免疫グロブリンIgG Fc部分に結合した請求項10に記載のポリヌクレオチド。
- 前記scFvが、N末端からH鎖V領域、リンカー及びL鎖V領域の順に結合された請求項13に記載のポリヌクレオチド。
- リンカーのアミノ酸配列がGGGGSGGRASGGGGSGGGGS(配列番号:9)である請求項14に記載のポリヌクレオチド。
- 請求項10−15のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
- 請求項10−15のいずれかに記載のポリヌクレオチド、またはそれを含むベクターを発現可能に保持した形質転換体。
- ヒト細胞由来である請求項17に記載の形質転換体。
- 請求項17に記載の形質転換体を培養し、培養物に蓄積された改変抗体を回収する工程を含む、改変抗体の製造方法。
- 請求項1−7のいずれかに記載の改変抗体、請求項10−15に記載のいずれかのポリヌクレオチド、請求項10−15に記載のいずれかのポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および請求項1−7のいずれかに記載の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分を有効成分として含有する、インターロイキン6受容体阻害剤。
- 請求項1−7のいずれかに記載の改変抗体、請求項10−15に記載のいずれかのポリヌクレオチド、請求項10−15に記載のいずれかのポリヌクレオチドを発現可能に保持したベクター、および請求項1−7のいずれかに記載の改変抗体を産生する細胞からなる群から選択されたいずれかの成分を投与する工程を含む、インターロイキン6受容体の阻害方法。
- 請求項10−15に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持した遺伝子治療用ベクター。
- 次の工程を含む、インターロイキン6の作用に起因する疾患の治療方法。
(1) 請求項10−15に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持したベクターを細胞に導入する工程、および
(2) 前記ベクターを導入された細胞を患者に投与する工程 - 細胞が、治療すべき患者から採取された細胞である請求項23に記載の方法。
- 細胞が末梢血リンパ球である請求項24に記載の方法。
- 次の要素を含む、インターロイキン6の作用に起因する疾患の治療用キット。
(1) 請求項10−15に記載のいずれかのポリヌクレオチドをヒト細胞中で発現可能に保持したベクター
(2) ベクター導入用試薬、および
(3) 末梢血リンパ球の分離用試薬
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