JPWO2006041102A6 - トランスの駆動装置及び駆動方法 - Google Patents

トランスの駆動装置及び駆動方法 Download PDF

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Abstract

簡単な構成でありながら負荷電流を一定にできる、トランスの駆動装置を提供する。
本発明の駆動装置10は、二次側に負荷12が接続された圧電トランス1の一次側に駆動電圧Vdを印加するものである。そして、駆動電圧Vdの角周波数ω0は、駆動装置10の出力側の等価回路によって与えられる直列共振角周波数である。駆動装置10によれば、簡単な構成でありながら、負荷12のインピーダンスZLに関係なく負荷電流ILを一定にできる。したがって、負荷12のインピーダンスZLが変動しても、負荷電流ILを常に一定にできる。

Description

本発明は、圧電振動子の共振現象を利用して交流電圧を変圧する圧電トランスなどのトランスに関し、詳しくはその駆動装置及び駆動方法に関する。
圧電トランス(ソリッドフォーマ)は、圧電振動子の共振現象を利用することにより、低電圧を入力し高電圧を出力するようにしたものである。圧電トランスの特長は、電磁型に比べて圧電振動子のエネルギ密度が高い点にある。そのため、小型化が可能であるので、冷陰極管点灯用、液晶バックライト点灯用、小型ACアダプタ用、小型高電圧電源用などに使われている。また、液晶バックライトとして冷陰極管を用い、この冷陰極管の点灯用として圧電トランスを用いる技術が知られている(例えば特許文献1)。
特開平10−200174号公報
液晶バックライトとして、複数本の冷陰極管を使用し、各冷陰極管に圧電トランスを設ける場合がある。この場合、個々の冷陰極管に流れる管電流を同じにしないと、バックライトの輝度むらが発生する。その解決方法として、個々の管電流を制御して同じ電流値にする技術が考えられる。しかし、それでは、特別の制御回路が必要となるので、その回路での電力損失による効率の低下、及び製造コストの増大を招いてしまう。
そこで、本発明の目的は、簡単な構成でありながら負荷電流を一定にできる、トランスの駆動装置及び駆動方法を提供することにある。
本発明に係る駆動装置は、二次側に負荷が接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加するものである。そして、前記駆動電圧の周波数は、前記負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける当該駆動装置の出力側の等価回路によって与えられる直列共振周波数である(請求項1)。駆動電圧の周波数を一定にするには、オープン制御でも、フィードバック制御でもよい。これにより、簡単な構成でありながら負荷電流を一定にできる。
以上のように、本発明者は、「駆動装置の出力側がトランス及び負荷からなるとき、当該駆動装置の出力側の等価回路は、直列共振回路(RLC直列回路)と、この直列共振回路のC成分に並列接続された負荷とで表わされる。」こと、及び「その負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける直列共振周波数の駆動電圧をトランスに印加すると、負荷に流れる電流が負荷のインピーダンスに関係なく一定になる。」ことを見出した。上記本発明は、この知見に基づきなされたものである。
また本発明に係る駆動装置は、前記等価回路は、インダクタンスと、抵抗と、第一の静電容量と、第二の静電容量とが直列に接続され、前記第二の静電容量に並列に前記負荷のインピーダンスが接続されたものである。これは請求項1における等価回路を具体化したものである。負荷のインピーダンスには、抵抗成分の他に、インダクタンス成分や静電容量成分が含まれていてもよい。
また本発明に係る駆動装置は、前記第二の静電容量は、前記トランスの二次側の静電容量と前記負荷の漂遊容量とが並列接続されたものである。このとき、負荷のインピーダンスに関係なく、負荷電流は一定となる。例えば、前記直列共振周波数を直列共振角周波数ω0、前記インダクタンスをL、前記抵抗をR、前記第一の静電容量をC、前記第二の静電容量をCLとしたとき、当該直列共振角周波数は、ω0=1/√[L{CCL/(C+CL)}](ただし、R << 1/ω0Lとする。)で与えられる。
また本発明に係る駆動装置は、前記負荷に流れる負荷電流の位相を検出する電流位相検出部と、前記駆動電圧の位相を検出する電圧位相検出部と、前記電圧位相検出部で検出された駆動電圧の位相が前記電流検出部で検出された負荷電流の位相に対して90度進むように前記駆動電圧の周波数を制御する周波数制御部と、を備えたものである。
駆動装置の出力側がトランス及び負荷からなるとき、当該駆動装置の出力側の等価回路は、直列共振回路(RLC直列回路)と、この直列共振回路のC成分に並列接続された負荷とで表わされる。そして、負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおけるその等価回路の直列共振周波数の駆動電圧をトランスに印加すると、負荷電流が負荷のインピーダンスに関係なく一定になる。このとき、後述するように、負荷電流は駆動電圧に対して位相が90度遅れている。すなわち、駆動電圧に対して負荷電流の位相が90度遅れているとき、駆動電圧の周波数(以下「駆動周波数」という。)は、負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける等価回路の直列共振周波数に一致する。
一方、駆動周波数をオープン制御によって一定にする場合は、厳密に言えば、電圧、電流、温度、時間等によって、駆動装置の各構成部品の特性や等価回路の各成分が変化することにより、駆動周波数や直列共振周波数が変化してしまう。したがって、駆動電圧及び負荷電流の位相を検出して、駆動電圧の位相が負荷電流に対して90度進むように、駆動電周波数を制御することにより(すなわちフィードバック制御により)、負荷電流を精度良く一定にできる。
また本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記トランスが圧電トランスであるというものである。トランスは、電磁型(巻線型)トランスでも良いが、圧電トランスとすると小型化及び軽量化に有利である。また、圧電トランスとすると、各定数値(L,C等)を電磁型よりも高精度に実現できる。
また本発明に係る駆動装置は、前記負荷が放電管であるというものである。放電管には、後述する冷陰極管(冷陰極蛍光管)の他に、熱陰極管(熱陰極蛍光管)、水銀灯、ナトリウム灯、メタルハライド灯、ネオン等が含まれる。
前記放電管が冷陰極管であってもよいものである。
冷陰極管を始め放電管の電流−電圧特性は、一部に負性抵抗が現れる。この負性抵抗とは、冷陰極管に流れる電流が増えるほど、冷陰極管の両端の電圧が減る性質である。また、駆動装置とトランスとからなる交流電圧源にその出力インピーダンスと冷陰極管とが直列に接続されていると考えた場合に、その負荷直線と前述の冷陰極管の電流−電圧特性とから冷陰極管の動作点が定まる。しかし、冷陰極管は一部に負性抵抗を呈するため、交流電圧源の出力インピーダンスが低いと、冷陰極管の動作点が複数生じる。その結果、冷陰極管の動作が不安定となる。
一方、本発明において、冷陰極管からトランス及び駆動装置を見た場合、これらは定電流源となる。なぜなら、冷陰極管のインピーダンスに関係なく、冷陰極管に流れる電流が一定になるからである。そのため、交流電圧源の出力インピーダンスはほぼ無限大とみなせる。その結果、冷陰極管の動作点がただ一つとなるので、冷陰極管は安定に動作する。
また、本発明に係る駆動装置と冷陰極管とを一対一とし、これらを複数組み合わせて液晶ディスプレイのバックライトを構成した場合に、各冷陰極管のインピーダンスに関係なく各冷陰極管に流れる電流を均一にできるので、バックライトの輝度むらを抑制できる。
本発明に係る駆動方法は、本発明に係る駆動装置を方法の発明として捉え直したものである。すなわち、本発明に係る駆動方法は、二次側に負荷が接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加するものである。そして、前記トランス及び前記負荷を含めた等価回路を作成し、前記負荷のインピーダンスを無限大にしたときに前記等価回路によって与えられる直列共振周波数を、前記駆動電圧の周波数とするものであってもよい。前記負荷に流れる負荷電流の位相を検出するとともに、前記駆動電圧の位相を検出し、検出された駆動電圧の位相が検出された負荷電流の位相に対して90度進むように、前記駆動電圧の周波数を制御するようにしてもよいものである。
換言すると、本発明は、バックライトインバータに使用する圧電トランス(高圧トランス)の出力インピーダンスをより大きくする動作条件を見出す方法を提供する。つまり、バックライトハウスに実装された冷陰極管の高圧端子とGNDとの間の浮遊容量を含む、圧電トランス二次側の直列共振周波数で駆動する。又は、バックライトハウスに実装された冷陰極管の高圧端子とGNDとの間の浮遊容量と、圧電トランス二次側のインダクタンス成分と、によって共振した周波数でインバータを駆動する。これにより、圧電トランスを定電流源に近づけることができ、個々の管電流を制御することなく、冷陰極管に流れる個々の管電流の偏差を低減することが可能となるので、効率が良く、安価で、輝度むらの少ないバックライトインバータを提供できる。
さらに、本発明に係るトランスの駆動装置は、負荷が二次側に接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加する駆動装置において、
前記トランスは、前記負荷に対して定電流源としての機能を有しており、
前記トランスは、前記負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける共振周波数の前記駆動電圧が印加され継続して共振状態を生じることにより、前記定電流源として機能することを特徴とするものである。
本発明によれば、負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける共振周波数の電圧をトランスの一次側に印加する。前記共振周波数の電圧の印加を受けて、前記トランスは定電流源として機能し、前記負荷側から前記トランスを見た場合における前記トランスの出力インピーダンスが増大されることとなる。
前記共振周波数は、理想トランスの回路に現れる前記トランスのインダクタンス成分及び静電容量成分と、前記負荷の浮遊容量と前記理想トランスの二次側線間容量の並列容量成分により決められることが望ましいものである。前記理想トランスは、前記トランスの動作を理解するために想定したものであり、前記理想トランスの動作は実際の前記トランスの基本的動作となる。
以上の構成によれば、前記トランスを理想トランスとして現したときに、前記理想トランスのパラメータとして現れるインダクタンス成分及び静電容量、前記負荷の浮遊容量のみを利用して、前記トランスに共振状態を生じさせることが可能となる。
この場合、前記周波数をω、前記トランスのインタクタンス成分をL’、静電容量をC’、2次側線間容量をC02、前記負荷の浮遊容量をCL’、理想トランスの巻線比をφとした場合、
前記周波数ωは、
Figure 2006041102
であることが望ましい。
前記トランスを駆動する駆動電圧の周波数を上記のように設定することにより、前記トランスの出力インーダンスが最大限に増大することとなる。
また、前記負荷を流れる負荷電流の位相に対して前記駆動電圧の位相を90度進める制御を行うことにより、共振状態を維持する周波数制御部を有することが望ましいものである。
前記駆動電圧の周波数をオープン制御によって一定にする場合は、厳密に言えば、電圧、電流、温度、時間等によって、駆動装置及びトランスの各構成部品の特性が変化することにより、前記トランスの共振状態が抑制される。そこで、前記負荷電流の位相に対して前記駆動電圧の位相を90度進める制御を行う(位相のフィードバック制御)。これにより、前記トランスの共振状態が継続され、前記負荷側から見た前記トランスの出力インピーダンスは最大値を維持することとなる。
本発明に係る負荷駆動方法は、負荷が二次側に接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加する駆動方法において、
前記負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける共振周波数の前記駆動電圧を前記トランスに印加することにより、前記トランスを前記定電流源として作動させることを特徴するものである。
本発明によれば、二次側に負荷が接続されたトランスの一次側に印加する駆動電圧の周波数を、負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける駆動装置の出力側の等価回路によって与えられる直列共振周波数とすることにより、簡単な構成でありながら、負荷のインピーダンスに関係なく負荷電流を一定にできる。したがって、負荷のインピーダンスが変動しても、負荷電流を常に一定にできる。
また、駆動電圧と負荷電流との位相を検出し、駆動電圧の位相が負荷電流に対して90度進むように、駆動電圧の周波数を制御することにより、駆動周波数や直列共振周波数が変化しても、負荷電流を精度良く一定にできる。
また、負荷が負性抵抗を呈する場合でも、負荷側から見た出力インピーダンスをほぼ無限大にできるので、負荷の動作点をただ一つに決めることができ、これにより負荷の動作を安定化できる。
また、トランスを圧電トランス、かつ負荷を複数の冷陰極管とした場合は、小型かつ軽量で、輝度むらの無い液晶ディスプレイのバックライトを実現できる。
さらに本発明によれば、トランスの二次側出力インピーダンスを部品の追加なしに増大する構成としたため、複数の負荷に個々に接続した場合にも、個々の負荷に流れる電流を制御することなく、個々の負荷に流れる電流の偏差を低減することができる。
図1は本発明に係る駆動装置の第一実施形態を示し、図1[1]は実際の回路図、図1[2]は図1[1]の等価回路図であり、図1[3]は図1[2]の等価回路図であり、図1[4]は駆動電圧と負荷電流との関係を示すベクトル図である。以下、この図面に基づき説明する。
本実施形態の駆動装置10は、二次側に負荷12が接続された圧電トランス11の一次側に駆動電圧Vdを印加するものである。そして、駆動電圧Vdの角周波数ω0は、負荷12のインピーダンスを無限大にしたときに、駆動装置10の出力側の等価回路によって与えられる直列共振角周波数である。なお、負荷12には、冷陰極管を用いている。
圧電トランス11は、圧電振動体21に一次電極22,23と二次電極24とを設け、一次側を厚さ方向(図1[1]上下方向)に分極し、二次側を長さ方向(図1[1]左右方向)に分極し、これらを樹脂ケース(図示せず)に収容したものである。一次電極22,23は、圧電振動体21を挟んで対向している。圧電振動体21は、PZT等の圧電セラミックスからなり、板状(直方体状)を呈している。圧電振動体21の長さ方向において、一端からその長さの半分までに一次電極22,23が設けられ、他端に二次電極24が設けられている。一次側に長さ寸法で決まる固有共振周波数frの駆動電圧Vdを入力すると、逆圧電効果により強い機械振動を起こし、圧電効果によりその振動に見合った高い出力電圧Voが二次側から出力される。出力電圧Voは負荷12に印加される。
駆動装置10によれば、簡単な構成でありながら、負荷12のインピーダンスZLに関係なく負荷電流ILを一定にできる。したがって、負荷12のインピーダンスZLが変動しても、負荷電流ILを常に一定にできる。その理由について、以下に詳しく説明する。
図1[1]に示す実際の回路は、図1[2]に示す等価回路で表わすことができる。図1[2]において、圧電トランス11は、静電容量CO1,CO2,C'、インダクタンスL'、抵抗R'、巻数比1:φの理想トランス等に置き換えている。駆動電圧Vdは、駆動電圧E’とする。静電容量CL'は負荷12の漂遊容量である。
そして、図1[2]の等価回路は、更に負荷12側から圧電トランス11側を見た図1[3]の等価回路で表わすことができる。ここで、E=φE'、L=φ2L'、C=C'/φ 2、R=φ2R'、CL=CO2+CL'である。図1[3]の等価回路は、インダクタンスLと、抵抗Rと、静電容量CO2と、静電容量CLとが直列に接続され、静電容量CLに並列に負荷12のインピーダンスZLが接続されたものである。インピーダンスZLには、抵抗成分の他に、インダクタンス成分や静電容量成分が含まれていてもよい。なお、図1[1]は付随する部品等を省略して単純化しているが、それらの部品等が接続されていたとしても、最終的に図1[3]の等価回路で表わすことができる。
図1[3]において、駆動装置10から出力される全電流をI、静電容量CLに流れる電流をIC、インピーダンスZLに流れる負荷電流をILとする。つまり、
I=IC+IL ・・・(1)
である。また、ZLの両端の電圧はILLであり、静電容量CLの両端の電圧もILLであるから、
C=jωCLLL ・・・(2)
である。ゆえに全電流Iは、式(1),(2)から、
I=IC+IL=IL(1+jωCLL) ・・・(3)
となる。一方、L,C,Rによる電圧降下は、式(3)から、
{R+j(ωL−1/ωC)}I
={R+j(ωL−1/ωC)}IL(1+jωCLL
=RIL(1+jωCLL)+ILj(ωL−1/ωC)(1+jωCLL
={R−(ωL−1/ωC)ωCLL}IL+j{ωCLLR+(ωL−1/ωC)}IL ・・・(4)
となる。ゆえに、式(4)から、
E={R−(ωL−1/ωC)ωCLL}IL+j{ωCLLR+(ωL−1/ωC)}IL+ZLL ・・・(5)
となるので、負荷電流ILは、式(5)から、
L=E/[{R+ZL−(ωL−1/ωC)ωCLL}+j{ωCLLR+(ωL−1/ωC)}] ・・・(6)
で与えられる。
ここで、
ω=1/√[L{CCL/(C+CL)}]=ω0 ・・・(7)
とする。この角周波数ω0は、図1[3]においてインピーダンスZLを無限大にしたときの、L,R,C及びCLからなる直列共振回路の直列共振角周波数である。このとき、
(ωL−1/ωC)=1/ω0L ・・・(8)
となるので、式(7),(8)を式(6)に代入して、
Lω=ω0=E/{R+j(ω0LLR+1/ω0L)} ・・・(9)
が得られる。通常、R << 1/ω0Lであるから、
Lω=ω0≒E/j(1/ω0L)=−jω0L・E ・・・(10)
となる。
したがって、駆動電圧Eの角周波数が式(7)で与えられるとき、負荷電流ILは、式(10)から明らかなように、負荷12のインピーダンスZLに関係なく一定となる。このとき、図1[4]に示すように、負荷電流ILの位相は駆動電圧Eよりも90度遅れる。
図2は図1の駆動装置の効果を示し、図2[1]は等価回路図であり、図2[2]は冷陰極管の電流−電圧特性図である。以下、図1及び図2に基づき説明する。
ここでは、図1[1]における負荷12を冷陰極管12と言い換える。図2[1]では、図1[1]における駆動装置10及び圧電トランス11を、交流電圧源13及びその出力インピーダンスZOに置き換えている。そのため、交流電圧源13に出力インピーダンスZOと冷陰極管12とが直列に接続されている。
ここで、冷陰極管12の両端電圧をVL、冷陰極管12に流れる負荷電流をIL、交流電圧源13の出力電圧をVOとすると、負荷直線は次式で与えられる。
L=−ZOL+VO ・・・(11)
一方、図2[2]に示すように、冷陰極管12は、その電流−電圧特性の一部に負性抵抗が現れる。この負性抵抗とは、負荷電流ILが増えるほど両端電圧VLが減る性質である。
ここで、図2[2]において、冷陰極管12の動作点をP(IP,VP)に定めたい。しかし、インピーダンスZOが小さいと、負荷直線の傾きが小さくなるので、動作点Pの他に動作点P'も生じてしまう。すると、動作点が複数存在することになるので、冷陰極管12の動作が不安定となる。
これに対し、本実施形態では、冷陰極管12から交流電圧源13側を見た場合、交流電圧源13側は定電流源となる。なぜなら、冷陰極管12のインピーダンスZLに関係なく、冷陰極管12に流れる負荷電流ILが一定になるからである。そのため、交流電圧源13の出力インピーダンスZOはほぼ無限大とみなせる。その結果、負荷直線の傾きが大きくなることにより、冷陰極管12の動作点がただ一つのPだけとなるので、冷陰極管12は安定に動作する。
図3は、本発明に係る駆動装置の第二実施形態を示すブロック図である。図4[1]は図3における−45°シフト回路の一例を示す回路図、図4[2]は図3におけるスイッチング回路の一例を示す回路図である。以下、これらの図面に基づき説明する。ただし、図3において図1と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
本実施形態の駆動装置30は、電流位相検出回路31、−45°シフト回路32,33、D−F/F(Dフリップフロップ)34、積分器35、VCO(電圧制御発振器)36、スイッチング回路37、LPF(ローパスフィルタ)38等を備えている。
電流位相検出回路31は、例えば冷陰極管12とGND端子との間に挿入された抵抗器からなり、負荷電流ILと同位相の位相信号aを出力する。
−45°シフト回路32,33は、電流位相検出回路31からの位相信号aの位相をそれぞれ−45度ずつ、合計−90度回転させる。−45°シフト回路32,33は同じ構成であるので、−45°シフト回路32について図4[1]に基づき説明する。−45°シフト回路32は、抵抗器321とコンデンサ322とからなる積分回路の出力側に、バッファ回路323が接続されたものである。抵抗器321の抵抗をR1、コンデンサ322の静電容量をC1、負荷電流ILの角周波数をωとしたとき、ω=1/(R11)の関係を満たすように各数値を選定する。
このとき、−45°シフト回路32の出力電圧Vo1は、次式によって近似できるので、位相が−45°シフト回路32の入力電圧Vi1から45度遅れる。
Vo1=(1/2−j/2)Vi1 ・・・(12)
なお、厳密に言えば、角周波数ωが変化すると、ω=1/(R11)の関係が成り立たなくなって、位相回転量に誤差が生じる。しかし、実際の角周波数ωの精度は±0.5%程度となるため、−45°シフト回路32での位相回転量の誤差は問題とならない。
D−F/F34は、D入力端子、CLK入力端子及びQ出力端子を有する一般的なものであり、CLK入力信号の立ち上がりでD入力信号の状態を記憶する。つまり、D入力端子がHレベルのときは、CLK入力端子がLレベル→Hレベルとなった時に、Q出力端子がHレベルになる。逆に、D入力端子がLレベルのときは、CLK入力端子がLレベル→Hレベルとなった時に、Q出力端子がLレベルになる。
積分器35は、D−F/F34のQ出力信号cと基準電圧Vrefとの差電圧を積分する。基準電圧Vrefは、Q出力信号cのHレベル電圧とLレベル電圧とのほぼ中間の値とする。このとき、Q出力信号cのデューティ比がほぼ50%となるとき、積分器35の出力電圧dは時間に対して一定となる。
VCO36は、入力信号の電圧値に対応して出力信号の周波数値を変える機能を有し、具体的には積分器35の出力電圧dに対応した周波数からなる周波数信号eを発生する。
スイッチング回路37は、VCO36からの周波数信号eに付勢されてオン・オフすることにより、圧電トランス11に駆動電圧Vdを印加する。例えば図4[2]に示すように、スイッチング回路37は、トランジスタ371〜374からなる一般的なフルブリッジ回路である。トランジスタ371は、pチャネルパワーMOSFETであり、VCO36からの周波数信号eの反転信号/eがLレベルのときにオンし、同じくHレベルのときにオフする。トランジスタ372は、nチャネルパワーMOSFETであり、VCO36からの周波数信号eの反転信号/eがHレベルのときにオンし、同じくLレベルのときにオフする。トランジスタ373は、pチャネルパワーMOSFETであり、VCO36からの周波数信号eがHレベルのときにオフし、同じくLレベルのときにオンする。トランジスタ374は、nチャネルパワーMOSFETであり、VCO36からの周波数信号eがHレベルのときにオンし、同じくLレベルのときにオフする。そのため、トランジスタ372,373がオフからオンかつトランジスタ371,374がオンからオフとなったとき、駆動電圧Vd(=2Vcc)が圧電トランス11に印加される。したがって、周波数信号eと駆動電圧Vdとは位相が180度ずれている。なお、図4[2]に示したフルブリッジ回路は一例に過ぎず、フルブリッジ回路の代わりに例えばプッシュプル回路などを用いてもよい。
LPF38は、例えば図4[2]に示すコイル375からなり、駆動電圧Vdに含まれる3次以上の高調波成分を除去して、駆動電圧Vdの基本波を通過させる。
図5は、図3におけるD−F/Fの動作を示すタイミングチャートである。図6は、図3における圧電トランスの駆動周波数−出力電流特性を示すグラフである。以下、図3乃至図6に基づき、駆動装置30の動作を説明する。
駆動装置30の出力側が圧電トランス11及び冷陰極管12からなるとき、駆動装置30の出力側の等価回路は、前述したように、直列共振回路(RLC直列回路)と、この直列共振回路のC成分に並列接続された冷陰極管12とで表わされる。そして、その直列共振周波数ω0/2πの駆動電圧Vdを圧電トランス11に印加すると、冷陰極管12の負荷電流ILが冷陰極管12のインピーダンスに関係なく一定になる。このとき、負荷電流ILは、駆動電圧Vdに対して、位相が90度遅れている。すなわち、駆動電圧Vdに対して負荷電流ILの位相が90度遅れているとき、駆動周波数は等価回路の直列共振周波数ω0/2πに一致する。
一方、駆動周波数をオープン制御によって一定にする場合は、厳密に言えば、電圧、電流、温度、時間等によって、駆動装置30の各構成部品の特性や等価回路の各成分が変化することにより、駆動周波数や直列共振周波数が変化してしまう。したがって、駆動電圧Vd及び負荷電流ILの位相を検出して、駆動電圧Vdの位相が負荷電流ILに対して90度進むように、駆動電圧Vdの周波数を制御することにより(すなわちフィードバック制御により)、負荷電流ILを精度良く一定にできる。
更に詳しく説明する。まず、電流位相検出回路31は、負荷電流ILと同位相の位相信号aを出力する。位相信号aは、−45°シフト回路32で出力信号a’となり、更に−45°シフト回路33で出力信号bとなる。これにより、出力信号bは、位相信号aよりも90度位相が遅れるので、駆動電圧Vdに対して位相が反転している。
出力信号bは、D−F/F34のCLK入力端子に入力される。一方、VCO36から出力された周波数信号eは、導線39を介してD−F/F34のD入力端子に入力される。周波数信号eも駆動電圧Vdに対して位相が反転しているので、本来ならば出力信号bと周波数信号eとは同位相になる。しかし、何らかの理由によって、出力信号bと周波数信号eとの位相がずれると、D−F/F34等は次のように動作する。
出力信号bが周波数信号eよりも位相が遅れると、図5に示すようにQ出力信号はHレベルとなり、積分器35の出力電圧dが上昇し、図6に示すようにVCO36の周波数信号eの周波数が上昇する。その結果、出力信号bの位相が進む。これとは逆に、出力信号bが周波数信号eよりも位相が進むと、図5に示すようにQ出力信号はLレベルとなり、積分器35の出力電圧dが低下し、図6に示すようにVCO36の周波数信号eの周波数が低下する。その結果、出力信号bの位相が遅れる。
このように、駆動装置30は、駆動電圧Vd及び負荷電流ILの位相を検出して、駆動電圧Vdの位相が負荷電流ILに対して90度進むように、駆動電圧Vdの周波数を制御する。
また、特許請求の範囲における「電流位相検出部」、「電圧位相検出部」、「周波数制御部」は、それぞれ、「電流位相検出回路31」、「導線39」、「駆動装置30のその他の構成要素」に相当する。
なお、本発明は、言うまでもなく、上記第一及び第二実施形態に限定されるものではない。例えば、圧電トランスの代わりに電磁型トランスでもよい。冷陰極管の代わりに、例えば負性抵抗を有する負荷でもよいし、その他の一般の負荷でもよい。
以上の実施形態では、圧電トランスの一次側に印加する駆動電圧の周波数に注目した実施形態として説明したが、次に、圧電トランスの機能面から本発明を捉えた実施形態を本発明の他の実施形態として説明する。この実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
本発明の実施形態は図1に示すように基本的構成として、負荷12が二次側に接続されたトランス11の一次側に駆動電圧Vdを駆動装置10に印加するものであり、前記トランス11は、負荷12に対して定電流源として機能するものである。前記トランス11は、負荷12のインピーダンスを無限大にしたときにおける共振周波数の駆動電圧Vdが印加され継続して共振状態を生じることにより、前記定電流源として機能するものである。
次に、前記トランスとして圧電トランス11を用い、前記負荷として冷陰極官21を用いた場合を具体的に説明する。本発明の実施形態の基本的動作を明らかにするために、図1[1]に示す実際の回路を、図1[2]に示す、損失が零である理想トランスの回路として現している。
圧電トランス11は、矩形板状の圧電振動体21に半分の対向面に一次電極22,23を形成し、その反対側の端面に二次電極24を形成した形状であり、一次電極22,23側を厚さ方向(図1[1]上下方向)に分極し、二次側を長さ方向(図1[1]左右方向)に分極している。そして、圧電トランス11は樹脂ケース(図示せず)に収容されている。一次電極22,23は、圧電振動体21を挟んで対向している。圧電振動体21は、PZT等の圧電セラミックスからなり、矩形板状を呈している。圧電振動体21の長さ方向において、一端からその長さの半分までに一次電極22,23が設けられ、他端に二次電極24が設けられている。一次側に長さ寸法で決まる固有共振周波数frの駆動電圧Vdを圧電トランス11の一次電極22,23に入力すると、圧電振動体21の逆圧電効果により強い機械振動を起こし、圧電効果によりその振動に見合った高い出力電圧Voが圧電トランス11の二次電極24に出力される。出力電圧Voは負荷12に印加される。
図1[1]に示す実際の圧電トランス11を理想トランスの回路として現すと、図1[2]に示すように、圧電トランス11の一次側にインダクタンス成分L'と静電容量成分C'と抵抗成分R'の直列回路と、線間容量C01が現れる。圧電トランス11の二次側に線間容量C02が現れる。また、バックライトハウスに実装された冷陰極管12は、冷陰極管12の高圧端子とGND端子の間に存在する浮遊容量C'と抵抗成分Zの等価的な並列回路として表される。なお、負荷としての冷陰極管12の抵抗成分Zには、純粋な抵抗分に加えて静電容量が含まれていてもよいため、これを冷陰極管12のインピーダンスZとして定義し、明細書では冷陰極管12の抵抗成分ZをインピーダンスZとして用いる。
前記冷陰極管12の浮遊容量C'とインピーダンスZは、理想トランスの二次側に現れる圧電トランス11の線間容量C02と並列に現れる。また、圧電トランス11の一次側に印加される駆動装置10の駆動電圧をEで表している。また、理想トランス11の一次と二次の巻線比を1:φに設定している。なお、実際の圧電トランス11では、巻線型トランスの巻線に相当するものが存在しないが、圧電トランスにおいても一次側の電圧を二次側の電圧に変圧するものであるから、巻線比を用いている。
本発明の実施形態では、図1[2]に示す理想トランスの二次側に現れるインダクタンス成分及び線間容量と冷陰極管12の浮遊容量の共振現象を利用するものであるから、図1[2]に示す理想トランスの一次側を一次側に換算する、すなわち理想トランスのパラメータを2次換算した図1[3]に示す等価回路を考える。
図1[3]に示す等価回路は、2次換算したインダクタンス成分Lと静電容量Cと抵抗成分Rの直列回路と、並列接続された理想トランスの二次側の線間容量C02と冷陰極管12の浮遊容量Cの並列容量CL2との回路から形成される。ここで、2次換算したパラメータであるインダクタL,静電容量C,抵抗R及び並列容量Cは次のように表される。すなわち、E=φE'、L=φ2L'、C=C'/φ2、R=φ2R'、CL=CO2+CL'となる。
本発明の実施形態においては、図1[3]に示す圧電トランス11の二次側に現れるインダクタンス成分Lと、静電容量Cと、並列容量Cによる共振を引き起す共振周波数の駆動電圧Eを圧電トランス11の一次側に印加する。このときの共振周波数ωは、
Figure 2006041102
(12)
で表される。
このとき、冷陰極管12に流れる負荷電流Iを求めると、
Figure 2006041102
(13)
となる。
式(13)に式(12)を代入すると、
Figure 2006041102
(14)
となる。
通常、
Figure 2006041102
であるから、
式(14)は、
Figure 2006041102
(15)
となる。
したがって、冷陰極管のインピーダンスZに無関係となり、冷陰極管のインピーダンスZに対して定電流源となる。
そこで、本発明の実施形態では、負荷12が二次側に接続されたトランス11の一次側に駆動電圧を印加する駆動装置において、前記トランス11は、前記負荷12に対して定電流源としての機能を有しており、前記トランス11は、前記負荷12のインピーダンスZを無限大にしたときにおける共振周波数ωの駆動電圧Vdが印加され継続して共振状態を生じることにより、前記定電流源として機能させた構成としたものである。
上述したように前記共振周波数ωは、理想トランスの回路に現れる前記トランスのインダクタンス成分及び静電容量成分と、前記負荷の浮遊容量と前記理想トランスの二次側線間容量の並列容量成分により決められる。この場合、前記共振周波数をω、前記トランスのインタクタンス成分をL'、前記静電容量をC'、前記二次側線間容量をC02、前記負荷の浮遊容量をCL'、理想トランスの巻線比をφとした場合、
前記共振周波数ωは、
Figure 2006041102
に設定する。この共振周波数ωを、二次換算したパラメータで表すと、式(12)となる。
以上の説明では、図1[2]に示す理想トランスを二次換算した図1[3]に示す等価回路において、インダクタンス成分L'と静電容量C'と抵抗成分R'とを直列回路で示した場合について説明したが、これに限られるものではない。テブナンの定理を応用して、静電容量C'と線間容量C02と浮遊容量CL'の合成容量と、インダクタンス成分L'の並列回路として表し、その並列回路における並列共振状態において、前記負荷12のインピーダンスZを無限大にしたときにおける共振周波数ωの駆動電圧Vdがトランス11に印加し、トランス11に継続して共振状態を生じさせることにより、トランス11を定電流源として機能させた構成としたものであってもよいものである。
図2は図1の駆動装置の効果を示し、図2[1]は等価回路図であり、図2[2]は冷陰極管の電流−電圧特性図である。以下、図1及び図2に基づき説明する。
図2[1]では、図1[1]における駆動装置10及び圧電トランス11を、交流電圧源13及びその出力インピーダンスZOに置き換えている。そのため、交流電圧源13に出力インピーダンスZOと冷陰極管12とが直列に接続されている。
ここで、冷陰極管12の両端電圧をVL、冷陰極管12に流れる負荷電流をIL、交流電圧源13の出力電圧をVOとすると、負荷直線は次式で与えられる。
L=−ZOL+VO ・・・(16)
図2[2]に示すように、冷陰極管12は、その電流−電圧特性の一部に負性抵抗が現れる。この負性抵抗とは、負荷電流ILが増えるほど両端電圧VLが減る性質である。
図2[2]において、冷陰極管12の動作点をP(IP,VP)に定めたい。しかし、インピーダンスZOが小さいと、負荷直線の傾きが小さくなるので、動作点Pの他に動作点P'も生じてしまう。すると、動作点が複数存在することになるので、冷陰極管12の動作が不安定となる。図1[4]に示すように、負荷電流ILの位相は駆動電圧Eよりも90度遅れる。本発明の実施形態では、冷陰極管12を流れる負荷電流の位相に対して前記駆動電圧の位相を90度進める制御を行うことにより、共振状態を維持させている。具体例を用いて詳細に説明する。
図3に示す本実施形態の駆動装置には符号30を付して説明する。この駆動装置30は図3に示すように、電流位相検出回路31、−45°シフト回路32,33、D−F/F(Dフリップフロップ)34、積分器35、VCO(電圧制御発振器)36、スイッチング回路37、LPF(ローパスフィルタ)38等を備えている。
電流位相検出回路31は、例えば冷陰極管12とGND端子との間に挿入された抵抗器からなり、負荷電流ILと同位相の位相信号aを出力する。
−45°シフト回路32,33は、電流位相検出回路31からの位相信号aの位相をそれぞれ−45度ずつ、合計−90度回転させる。−45°シフト回路32,33は同じ構成であるので、−45°シフト回路32について図4[1]に基づき説明する。−45°シフト回路32は、抵抗器321とコンデンサ322とからなる積分回路の出力側に、バッファ回路323が接続されたものである。抵抗器321の抵抗をR1、コンデンサ322の静電容量をC1、負荷電流ILの角周波数をωとしたとき、ω=1/(R11)の関係を満たすように各数値を選定する。
このとき、−45°シフト回路32の出力電圧Vo1は、次式によって近似できるので、位相が−45°シフト回路32の入力電圧Vi1から45度遅れる。
Vo1=(1/2−j/2)Vi1 ・・・(16)
なお、厳密に言えば、角周波数ωが変化すると、ω=1/(R11)の関係が成り立たなくなって、位相回転量に誤差が生じる。しかし、実際の角周波数ωの精度は±0.5%程度となるため、−45°シフト回路32での位相回転量の誤差は問題とならない。
D−F/F34は、D入力端子、CLK入力端子及びQ出力端子を有する一般的なものであり、CLK入力信号の立ち上がりでD入力信号の状態を記憶する。つまり、D入力端子がHレベルのときは、CLK入力端子がLレベル→Hレベルとなった時に、Q出力端子がHレベルになる。逆に、D入力端子がLレベルのときは、CLK入力端子がLレベル→Hレベルとなった時に、Q出力端子がLレベルになる。
積分器35は、D−F/F34のQ出力信号cと基準電圧Vrefとの差電圧を積分する。基準電圧Vrefは、Q出力信号cのHレベル電圧とLレベル電圧とのほぼ中間の値とする。このとき、Q出力信号cのデューティ比がほぼ50%となるとき、積分器35の出力電圧dは時間に対して一定となる。
VCO36は、入力信号の電圧値に対応して出力信号の周波数値を変える機能を有し、具体的には積分器35の出力電圧dに対応した周波数からなる周波数信号eを発生する。
スイッチング回路37は、VCO36からの周波数信号eに付勢されてオン・オフすることにより、圧電トランス11に駆動電圧Vdを印加する。例えば図4[2]に示すように、スイッチング回路37は、トランジスタ371〜374からなる一般的なフルブリッジ回路である。トランジスタ371は、pチャネルパワーMOSFETであり、VCO36からの周波数信号eの反転信号/eがLレベルのときにオンし、同じくHレベルのときにオフする。トランジスタ372は、nチャネルパワーMOSFETであり、VCO36からの周波数信号eの反転信号/eがHレベルのときにオンし、同じくLレベルのときにオフする。トランジスタ373は、pチャネルパワーMOSFETであり、VCO36からの周波数信号eがHレベルのときにオフし、同じくLレベルのときにオンする。トランジスタ374は、nチャネルパワーMOSFETであり、VCO36からの周波数信号eがHレベルのときにオンし、同じくLレベルのときにオフする。そのため、トランジスタ372,373がオフからオンかつトランジスタ371,374がオンからオフとなったとき、駆動電圧Vd(=2Vcc)が圧電トランス11に印加される。したがって、周波数信号eと駆動電圧Vdとは位相が180度ずれている。なお、図4[2]に示したフルブリッジ回路は一例に過ぎず、フルブリッジ回路の代わりに例えばプッシュプル回路などを用いてもよい。
LPF38は、例えば図4[2]に示すコイル375からなり、駆動電圧Vdに含まれる3次以上の高調波成分を除去して、駆動電圧Vdの基本波を通過させる。
図5は、図3におけるD−F/Fの動作を示すタイミングチャートである。図6は、図3における圧電トランスの駆動周波数−出力電流特性を示すグラフである。以下、図3乃至図6に基づき、駆動装置30の動作を説明する。
駆動装置30の出力側に圧電トランス11及び冷陰極管12が接続される場合、上述したように理想トランスを二次換算した等価回路は図1[3]に示すように表される。そして、共振周波数ω0/2πの駆動電圧Vdを圧電トランス11の一次側に印加すると、冷陰極管12の負荷電流ILが冷陰極管12のインピーダンスに関係なく一定になる。このとき、負荷電流ILは、駆動電圧Vdに対して、位相が90度遅れている。すなわち、駆動電圧Vdに対して負荷電流ILの位相が90度遅れているとき、駆動周波数は等価回路の直列共振周波数ω0/2πに一致する。
駆動周波数をオープン制御によって一定にする場合は、厳密に言えば、電圧、電流、温度、時間等によって、駆動装置30の各構成部品の特性や等価回路の各成分が変化することにより、共振周波数が変化してしまう。したがって、駆動電圧Vd及び負荷電流ILの位相を検出して、駆動電圧Vdの位相が負荷電流ILに対して90度進むように、駆動電圧Vdの周波数を制御することにより(すなわちフィードバック制御により)、負荷電流ILを精度良く一定にできる。
更に詳しく説明する。まず、電流位相検出回路31は、負荷電流ILと同位相の位相信号aを出力する。位相信号aは、−45°シフト回路32で出力信号a’となり、更に−45°シフト回路33で出力信号bとなる。これにより、出力信号bは、位相信号aよりも90度位相が遅れるので、駆動電圧Vdに対して位相が反転している。
出力信号bは、D−F/F34のCLK入力端子に入力される。一方、VCO36から出力された周波数信号eは、導線39を介してD−F/F34のD入力端子に入力される。周波数信号eも駆動電圧Vdに対して位相が反転しているので、本来ならば出力信号bと周波数信号eとは同位相になる。しかし、何らかの理由によって、出力信号bと周波数信号eとの位相がずれると、D−F/F34等は次のように動作する。
出力信号bが周波数信号eよりも位相が遅れると、図5に示すようにQ出力信号はHレベルとなり、積分器35の出力電圧dが上昇し、図6に示すようにVCO36の周波数信号eの周波数が上昇する。その結果、出力信号bの位相が進む。これとは逆に、出力信号bが周波数信号eよりも位相が進むと、図5に示すようにQ出力信号はLレベルとなり、積分器35の出力電圧dが低下し、図6に示すようにVCO36の周波数信号eの周波数が低下する。その結果、出力信号bの位相が遅れる。
このように、駆動装置30は、駆動電圧Vd及び負荷電流ILの位相を検出して、駆動電圧Vdの位相が負荷電流ILに対して90度進むように、駆動電圧Vdの周波数を制御する。
ここに、前記負荷を流れる負荷電流の位相に対して前記駆動電圧の位相を90度進める制御を行うことにより、共振状態を維持する周波数制御部は、電流位相検出回路31,―45°シフト回路32,33、D−F/F34、積分器35、VCO36及びスイッチング回路37により構成される。
なお、以上説明した実施形態では、トランス11として圧電トランスを用いたが、これに限られるものではない。この圧電トランスに代えて、二次側にバラストコンデンサ或いはリアクトルを用いた巻線型トランスを用いた場合にも本発明を同様に適用することができる。前記トランスとして圧電トランスを用いた場合には、小型化及び軽量化に有利である。また、圧電トランスとすると、各定数値(L,C等)を電磁型よりも高精度に実現できる。
また前記負荷12として冷陰極管を用いたが、これに限られるものではない。この冷陰極管に代えて、熱陰極管(熱陰極蛍光管)、水銀灯、ナトリウム灯、メタルハライド灯、ネオン等を用いてもよいものである。
以上説明したように本発明によれば、トランスの二次側出力インピーダンスを部品の追加なしに増大する構成としたため、複数の負荷に個々に接続した場合にも、個々の負荷に流れる電流を制御することなく、個々の負荷に流れる電流の偏差を低減することができる。
本発明に係る駆動装置の第一実施形態を示し、図1[1]は実際の回路図、図1[2]は図1[1]の等価回路図であり、図1[3]は図1[2]の等価回路図であり、図1[4]は駆動電圧と負荷電流との関係を示すベクトル図である。 図1の駆動装置の効果を示し、図2[1]は等価回路図であり、図2[2]は冷陰極管の電流−電圧特性図である。 本発明に係る駆動装置の第二実施形態を示すブロック図である。 図4[1]は図3における−45°シフト回路の一例を示す回路図、図4[2]は図3におけるスイッチング回路の一例を示す回路図である。 図3におけるD−F/Fの動作を示すタイミングチャートである。 図3における圧電トランスの駆動周波数−出力電流特性を示すグラフである。
符号の説明
10,30 駆動装置
11 圧電トランス
12 負荷(冷陰極管)
21 圧電振動体
22,23 一次電極
24 二次電極
31 電流位相検出回路
32,33 −45°シフト回路
34 D−F/F
35 積分器
36 VCO
37 スイッチング回路
38 LPF

Claims (17)

  1. 二次側に負荷が接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加する駆動装置において、
    前記駆動電圧の周波数は、前記負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける当該駆動装置の出力側の等価回路によって与えられる直列共振周波数である、
    ことを特徴とするトランスの駆動装置。
  2. 前記等価回路は、インダクタンスと、抵抗と、第一の静電容量と、第二の静電容量とが直列に接続され、前記第二の静電容量に並列に前記負荷のインピーダンスが接続されたものである、
    請求項1記載のトランスの駆動装置。
  3. 前記第二の静電容量は、前記トランスの二次側の静電容量と前記負荷の漂遊容量とが並列接続されたものである、
    請求項2記載のトランスの駆動装置。
  4. 前記直列共振周波数を直列共振角周波数ω0、前記インダクタンスをL、前記抵抗をR、前記第一の静電容量をC、前記第二の静電容量をCLとしたとき、当該直列共振角周波数は、
    ω0=1/√[L{CCL/(C+CL)}] (ただし、R << 1/ω0Lとする。)
    で与えられる、
    請求項3記載のトランスの駆動装置。
  5. 二次側に負荷が接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加する駆動装置において、
    前記負荷に流れる負荷電流の位相を検出する電流位相検出部と、
    前記駆動電圧の位相を検出する電圧位相検出部と、
    前記電圧位相検出部で検出された駆動電圧の位相が前記電流検出部で検出された負荷電流の位相に対して90度進むように、前記駆動電圧の周波数を制御する周波数制御部と、
    を備えたことを特徴とするトランスの駆動装置。
  6. 前記トランスは圧電トランスである、
    請求項1乃至5のいずれかに記載のトランスの駆動装置。
  7. 前記負荷は放電管である、
    請求項1乃至6のいずれかに記載のトランスの駆動装置。
  8. 前記放電管は冷陰極管である、
    請求項7記載のトランスの駆動装置。
  9. 二次側に負荷が接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加する駆動方法において、
    前記トランス及び前記負荷を含めた等価回路を作成し、前記負荷のインピーダンスを無限大にしたときに前記等価回路によって与えられる直列共振周波数を、前記駆動電圧の周波数とする、
    ことを特徴とするトランスの駆動方法。
  10. 二次側に負荷が接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加する駆動方法において、
    前記負荷に流れる負荷電流の位相を検出するとともに、前記駆動電圧の位相を検出し、
    検出された駆動電圧の位相が検出された負荷電流の位相に対して90度進むように、前記駆動電圧の周波数を制御する、
    ことを特徴とするトランスの駆動方法。
  11. 負荷が二次側に接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加する駆動装置において、
    前記トランスは、前記負荷に対して定電流源としての機能を有しており、
    前記トランスは、前記負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける共振周波数の前記駆動電圧が印加され継続して共振状態を生じることにより、前記定電流源として機能することを特徴とするトランスの駆動装置。
  12. 前記共振周波数は、理想トランスの回路に現れる前記トランスのインダクタンス成分及び静電容量成分と、前記負荷の浮遊容量と前記理想トランスの二次側線間容量の並列容量成分により決められることを特徴とする請求項11に記載のトランスの駆動装置。
  13. 前記共振周波数をω、前記トランスのインタクタンス成分をL'、前記静電容量をC'、前記二次側線間容量をC02、前記負荷の浮遊容量をCL'、理想トランスの巻線比をφとした場合、
    前記共振周波数ωは、
    Figure 2006041102
    であることを特徴とする請求項12に記載のトランスの駆動装置。
  14. 前記負荷を流れる負荷電流の位相に対して前記駆動電圧の位相を90度進める制御を行うことにより、共振状態を維持する周波数制御部を有することを特徴とする請求項11に記載のトランスの駆動装置。
  15. 負荷が二次側に接続されたトランスの一次側に駆動電圧を印加する駆動方法において、
    前記負荷のインピーダンスを無限大にしたときにおける共振周波数の前記駆動電圧を前記トランスに印加することにより、前記トランスを前記定電流源として作動させることを特徴とするトランスの駆動方法。
  16. 理想トランスの回路の現れる前記トランスのインダクタンス成分及び静電容量成分と、前記負荷の浮遊容量と前記理想トランスの二次側線間容量の並列容量成分により前記共振周波数を設定して、前記駆動電圧を前記トランスに印加することを特徴とする請求項15に記載のトランスの駆動方法。
  17. 前記負荷を流れる負荷電流の位相に対して前記駆動電圧の位相を90度進める制御を行うことにより、前記トランスに生じる共振状態を維持させることを特徴とする請求項15に記載のトランスの駆動方法。
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