JPWO2006022388A1 - プローブ、該プローブの製造方法、並びに記録装置及び再生装置 - Google Patents

プローブ、該プローブの製造方法、並びに記録装置及び再生装置 Download PDF

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Abstract

プローブ(100)は、少なくとも一部に貫通穴を有する支持部材と、先端が媒体に対向するように支持部材に立設された突起部と、貫通穴の側面を含む支持部材の少なくとも一部の表面を覆うように形成される導電体膜とを備える。

Description

本発明は、例えば強誘電体記録媒体等の誘電体に記録された分極情報を記録及び再生する記録再生ヘッドとして用いられるプローブ、該プローブの製造方法、並びに該プローブを用いた記録装置及び再生装置の技術分野に関する。
誘電体記録媒体をナノスケールで分析するSNDM(Scanning Nonlinear Dielectric Microscopy:走査型非線形誘電率顕微鏡)を利用した記録再生装置の技術について、本願発明者等によって提案されている。SNDMにおいては、AFM(Atomic Force Microscopy)等に用いられる先端に微小なプローブを設けた導電性のカンチレバー(プローブ)を用いることで、測定に係る分解能を、サブナノメートルにまで高めることが可能である。近年では、SNDMの技術を応用して、データを、強誘電体材料からなる記録層を有する記録媒体に記録する超高密度記録再生装置の開発が進められている(特許文献1参照)。
このようなSNDMを利用した記録再生装置では、記録媒体の分極の正負の方向を検出することで情報の再生を行う。これは、L成分を含む高周波帰還増幅器とこれに取り付けられた導電性プローブ及び該プローブ直下の強誘電体材料の容量Csを含むLC発振器の発振周波数が、分極の正負の分布に起因する非線形誘電率の大小の結果生ずる微小容量の変化ΔCにより変化することを利用して行う。即ち、分極の正負の分布の変化を、発振周波数の変化Δfとして検出することで行う。
更に、分極の正負の相違を検出するために、発振周波数に対して十分に低い周波数の交番電界を印加することで、発振周波数が交番電界に伴って変化すると共に、符号を含めた発振周波数の変化の割合が、プローブ直下の強誘電体材料の非線形誘電率によって定まる。そして、このように交番電界の印加に伴う微小容量ΔCの変化に応じてFM(Frequency Modulation)変調されたLC発信器の高周波信号から、交番電界に起因する成分をFM復調して取り出すことで、強誘電体記録媒体に記録された記録情報を再生する。
特開2003−085969号公報
このようなプローブには、ボロン等がドーピングされたダイヤモンドが用いられることが好ましい。しかしながら、ダイヤモンドのバンドギャップが相対的に大きいため、プローブへ電流を供給するための導電体膜(即ち、配線)とダイヤモンドとの電気的接触が良好でないという技術的な問題がある。具体的には、良好なオーミック接触を得ることができないという技術的な問題がある。
このような状況は、導電体膜とダイヤモンドとの間における電気抵抗値を増加させる要因ともなる。このため、強誘電体材料における分極の正負の変化を検出するために、発振器の発振周波数の変化を検出しても、導電体膜とダイヤモンドとの間における電気抵抗値が増加するがゆえに、発振器の発振が減衰し、その結果発振周波数の変化を良好に検出することができないという技術的な問題点を有している。
本発明は例えば上述の課題に鑑みなされたものであって、例えば配線或いは導電体膜との電気的接触が良好なプローブ、該プローブを製造する製造方法、並びに該記録再生ヘッドを用いた記録装置及び再生装置を提供することを課題とする。
(プローブ)
本発明のプローブは上記課題を解決するために、少なくとも一部に貫通穴を有する支持部材と、先端が媒体に対向するように前記支持部材に立設された突起部と、前記貫通穴の側面を含む前記支持部材の少なくとも一部の表面を覆うように形成される導電体膜とを備える。
本発明のプローブによれば、導電体膜を介して電源と接続される突起部から所定の電界を印加することで、媒体の一例たる誘電体記録媒体に対して情報の記録を行なったり、或いは誘電体記録媒体に記録された情報の再生を行うことが可能となる。このとき、電界を印加するための電流は、導電体膜を介して、支持部材中をそのパス(電流の流れ道)として突起部に供給されてもよい。この場合、支持部材は相応に導電性を有していることが好ましい。
本発明では特に、突起部が立設され且つその表面の一部が導電体膜で覆われる支持部材の少なくとも一部に貫通穴が形成されている。そして、導電体膜は、この貫通穴を覆うように(例えば、貫通穴の側面等を覆うように)形成されている。仮にこの貫通穴が形成されていなければ、導電体膜は支持部材の表面を覆うに過ぎない。しかるに、本発明に係る記録再生ヘッドによれば、貫通穴の側面を含んだ支持部材の表面を覆うように導電体膜を形成することができる。従って、導電体膜と支持部材とが接触する面積(即ち、導電体膜と支持部材との接触面積)を相対的に増加させることが可能となる。これにより、導電体膜と支持部材との間の界面における電気抵抗値を減少させることができ、その結果、導電体膜と支持部材との間において良好な電気的接触(具体的には、良好なオーミック接触)を得ることができる。
そして、本発明に係るプローブが後述の再生装置に用いられることで、例えば後述の発振回路における発振が減衰しない或いは殆ど減衰しなくなる。これにより、再生装置は安定した再生動作を行なうことが可能となる。また、本発明に係る記録再生ヘッドが後述の記録装置に用いられても、導電体膜と支持部材との間において良好な電気的接触が得られるがゆえに、記録装置は安定した記録動作を行なうことが可能となる。
特に、単に支持部材の表面を荒らしたりする(例えば、微小な凹凸をつける)ことで導電体膜と支持部材との接触面積を増加させることができるとも考えられる。しかしながら、本発明によれば、貫通穴を形成し、その側面を覆うように導電体膜を形成しているため、単に支持部材の表面を荒らす態様と比較して、導電体膜と支持部材との接触面積を大幅に或いはより効率的に増加させることができるという大きな利点を有している。
以上の結果、本発明に係るプローブによれば、導電体膜(或いは、配線)との電気的接触が良好となる。これにより、導電体膜と支持部材との間の界面における電気抵抗値を減少させることができ、後述の如く安定した再生動作等を実現することが可能となる。
また、支持部材と突起部とは、両者が一体となる形状であってもよい。即ち、支持部材と突起部とは、単一の部材から構成されていても、その形状の相違から支持部材と突起部とを区別することができれば、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明のプローブの他の態様は、前記貫通穴は複数個形成される。
この態様によれば、貫通穴が形成されればされるほど、導電体膜と支持部材との接触面積をより増加させることが可能となる。
本発明のプローブの他の態様は、前記支持部材は、前記貫通穴を少なくとも一部に含むくぼみ部分を有しており、前記導電体膜は、前記くぼみ部分の少なくとも一部の表面を覆うように形成される。
この態様によれば、貫通穴に加えてくぼみ部分に導電体膜が形成されるため、導電体膜と支持部材との接触面積とをより効果的に増加させることが可能となる。
上述の如くくぼみ部分を有するプローブの態様では、前記くぼみ部分は複数個形成される。
このように構成すれば、くぼみ部分が形成されればされるほど、導電体膜と支持部材との接触面積とをより効果的に増加させることが可能となる。
本発明のプローブの他の態様は、前記貫通穴の側面の面積が前記貫通穴の断面積(特に、支持部材の表面を含む平面上における断面積)よりも大きい。
この態様によれば、貫通穴が形成されない場合と比較して、導電体膜と支持部材との接触面積を効果的に増加させることが可能となる。
本発明のプローブの他の態様は、前記支持部材の厚さが相対的に厚い。
この態様によれば、貫通穴の側面の面積が相対的に大きくなる。従って、貫通穴の側面等を覆うように導電体膜を形成することで、導電体膜と支持部材との接触面積をより増加させることが可能となる。
本発明のプローブの他の態様は、前記導電体膜と前記支持部材との接触面積が、前記貫通穴が形成されない場合の前記導電体膜と前記支持部材との接触面積よりも大きい。
この態様によれば、貫通穴が形成されない場合と比較して、導電体膜と支持部材との電気的接触をより良好にすることが可能となる。
本発明のプローブの他の態様は、前記導電体膜は、前記貫通穴が形成される前記支持部材の表側及び裏側の少なくとも一方の表面及び前記貫通穴の側面を覆うように形成される。
この態様によれば、支持部材の表側の面や裏側の面、或いは貫通穴の側面を少なくとも部分的に覆うことで、導電体膜と支持部材との接触面積を有効に且つ比較的容易に増加させることが可能となる。
本発明のプローブの他の態様は、前記支持部材は、ダイヤモンドを含んでいる。
このように構成すれば、超硬質で且つ潤滑性のよいダイヤモンドを支持部材として用いることができ、プローブの耐劣化性がより強くなる。また、例えばボロン等の不純物をドーピングしたダイヤモンドを支持部材が含んでいれば、支持部材が導電性を有しているがゆえに、プローブとしての抵抗値を低く抑えることが可能となる。
上述した支持部材にダイヤモンドを含んでなるプローブの態様では、前記支持部材は前記ダイヤモンドの選択成長により形成される。
このように構成すれば、特別な工程等(例えば、物理的に或いは機械的に支持部材に貫通穴を空けたりする工程等)を必要とすることなく、或いは実施困難な加工工程等を必要とすることなく、比較的容易に貫通穴を少なくとも一部に有する支持部材を形成することが可能となる。従って、本発明に係るプローブを比較的容易に且つ安価に製造することができる。
本発明のプローブの他の態様は、前記導電体膜と比較して付着性の高い下地層を形成し、該下地層の上に前記導電体膜が形成される。
この態様によれば、導電体膜の剥離をより防止することができ、プローブとしての使用寿命を伸ばすことが可能となる。係る下地層として、例えばチタン等の金属薄膜が用いられてもよい。
本発明のプローブの他の態様は、前記導電体膜は白金を含んでなる。
この態様によれば、導電性を有する白金により、導電体膜の抵抗値を低く抑えることが可能となる。尚、導電層として、白金パラジウムや白金イリジウム等の合金を用いることがより好ましい。
(製造方法)
本発明の製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明のプローブ(但し、その各種態様を含む)を製造する製造方法であって、少なくとも前記支持部材を形成するための鋳型であって、少なくとも一部に前記貫通穴を形成するための所定の物理形状を有する鋳型を形成する第1形成工程と、前記鋳型を用いて前記支持部材を形成する第2形成工程と、前記貫通穴の側面を含む前記支持部材の少なくとも一部の表面に前記導電体膜を形成する第3形成工程とを備える。
本発明の製造方法によれば、上述した本発明に係るプローブを比較的容易に製造することが可能となる。
具体的には、先ず第1形成工程において、支持部材を形成するための鋳型が形成される。特に、第1形成工程において形成される鋳型は、所定の物理形状(例えば、後述の如くシリコン基板上に形成される二酸化シリコン膜の形状)により、貫通穴を少なくとも一部に有する支持部材を形成することができる。ここでは、例えばレジストによるパターニング、エッチングや膜形成方法(或いは、膜成長方法)等の各種プロセスを組み合わせることで該鋳型が形成される。
続いて、第1形成工程において形成された鋳型を用いて、第2形成工程において支持部材が(より好ましくは、更に突起部が)形成される。ここでは、貫通穴を形成可能な鋳型を用いて支持部材等が形成される。その結果、支持部材を形成しつつ貫通穴をも形成することができる。即ち、特別な工程を必要とすることなく、或いは困難な加工工程を必要とすることなく、比較的容易に貫通穴を少なくとも一部に有する支持部材を形成することが可能となる。
そして、第3形成工程において、支持部材の少なくとも一部の表面を覆うように導電体膜が形成される。特に、少なくとも貫通穴の側面は導電体膜で覆われることが好ましい。ここでは、例えば蒸着法やスパッタリング法を用いて導電層(即ち、導電体膜)を形成できる。或いは、それ以外の膜形成法(例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等)を用いて導電体膜を形成してもよい。
以上の結果、本発明に係る製造方法によれば、上述した本発明に係るプローブを効率的に、比較的容易に且つ安価に製造することが可能となる。即ち、量産性に優れた製造方法で、上述した本発明に係るプローブを製造することが可能となる。
本発明の製造方法の一の態様は、前記所定の物理形状は、前記支持部材の厚さよりも厚い。
この態様によれば、製造しようとする支持部材の厚さよりも厚い物理形状を有する鋳型を用いることで、後述の如く好適に貫通穴を有する支持部材を形成することが可能となる。即ち、支持部材の表側から裏側まで確実に貫通している貫通穴を好適に形成することが可能となる。
本発明の製造方法の他の態様は、少なくとも前記支持部材はダイヤモンドを含んでおり、前記第2形成工程は、ダイヤモンドを選択成長させることで前記支持部材を形成する。
この態様によれば、通常支持部材を形成するために行われるダイヤモンドの選択成長工程の中で、同時に或いは並行して貫通穴を形成することが可能となる。従って、特別な工程を必要とすることなく、或いは困難な加工工程を必要とすることなく、比較的容易に貫通穴を少なくとも一部に有する支持部材を形成することが可能となる。
本発明の製造方法の他の態様は、前記第3形成工程において、前記鋳型の少なくとも一部に等方性エッチングを施し、且つ前記支持部材の裏側の表面の少なくともに前記導電体膜を形成する。
この態様によれば、等方性エッチングを施して、例えば支持部材が形成された後の鋳型の一部(特に、支持部材の裏側に位置する鋳型の一部)をえぐりとることができる。これにより、通常鋳型によって導電体膜の形成が妨げられ得る支持部材の裏側にも導電体膜を形成することが可能となる。
(記録装置)
本発明の記録装置は上記課題を解決するために、誘電体記録媒体にデータを記録する記録装置であって、上述した本発明のプローブ(但し、その各種態様を含む)と、前記データに対応する記録信号を生成する記録信号生成手段とを備える。
本発明の記録装置によれば、上述した本発明のプローブが有する利点を生かしつつ、記録信号生成手段が生成した記録信号に基づき、データの記録を行うことができる。
(再生装置)
本発明の再生装置は上記課題を解決するために、誘電体記録媒体に記録されたデータを再生する再生装置であって、上述した本発明のプローブ(但し、その各種態様を含む)と、前記誘電体記録媒体に電界を印加する電界印加手段と、前記誘電体記録媒体の非線形誘電率に対応する容量の違いに応じて発振周波数が変化する発振手段と、前記発振手段による発振信号を復調し、再生する再生手段とを備える。
本発明の再生装置によれば、電界印加手段により誘電体記録媒体に電界を印加することで、該誘電体記録媒体の非線形誘電率の変化に応じた容量変化に起因して、発振手段の発振周波数が変化する。そして、係る発振手段による発振周波数の変化に応じた発振信号を、再生手段が復調及び再生することで、データを再生する。
本発明では特に、上述した本発明のプローブが有する利点を生かして、データの再生を行うことができる。即ち、記録再生ヘッドの抵抗値が小さいため、発振手段による発振信号が減衰するという不都合を避けることができる。従って、より安定してデータを再生できる。
(記録再生装置)
本発明の記録再生装置は上記課題を解決するために、誘誘電体記録媒体にデータを記録し、且つ前記誘電体記録媒体に記録される前記データを再生する記録再生装置であって、上述した本発明のプローブ(但し、その各種態様を含む)と、前記データに対応する記録信号を生成する記録信号生成手段と、前記誘電体記録媒体に電界を印加する電界印加手段と、前記誘電体記録媒体の非線形誘電率に対応する容量の違いに応じて発振周波数が変化する発振手段と、前記発振手段による発振信号を復調し、再生する再生手段とを備える。
本発明の記録再生装置によれば、上述した本発明のプローブが有する利点を生かしつつ、データの記録を行い、またデータの再生を行うことができる。
尚、上述した本発明のプローブの各種態様に対応して、本発明の記録再生装置も各種態様を採ることが可能である。
本発明におけるこのような作用、及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
以上説明したように、本発明の記録再生ヘッドによれば、支持部材、突起部及び導電層を備える。従って、導電体膜と支持部材との間における電気的接触が良好になる。
又、本発明の製造方法によれば、第1形成工程、第2形成工程及び露出工程を備える。従って、上述した本発明に係る記録再生ヘッドを比較的容易に且つ効率よく製造することが可能となる。
又、本発明の記録装置によれば、本発明に係る記録再生ヘッド及び記録信号生成手段を備える。従って、本発明の記録再生ヘッドが有する各種利益を享受でき、その結果、より安定してデータを記録できる。
又、本発明の再生装置によれば、本発明に係る記録再生ヘッド、電界印加手段、発振手段及び再生手段を備える。従って、本発明の記録再生ヘッドが有する各種利益を享受でき、その結果、より安定してデータを再生できる。
記録再生ヘッドに係る実施例を概念的に示す斜視図及び断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例が有する貫通穴をより詳細に示す斜視図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の第1の変形例を概念的に示す斜視図及び断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の第2の変形例を概念的に示す斜視図及び断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の第3の変形例を概念的に示す斜視図及び断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の一の工程を概念的に示す断面図及び平面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図及び平面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図及び平面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図及び平面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図及び平面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図及び平面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例の製造方法の他の工程を概念的に示す断面図である。 記録再生ヘッドに係る実施例を採用する誘電体記録再生装置に係る実施例の基本構成を概念的に示すブロック図である。 実施例に係る誘電体記録再生装置の再生に用いられる誘電体記録媒体を概念的に示す平面図及び断面図である。 実施例に係る誘電体記録再生装置の記録動作を概念的に示す断面図である。 実施例に係る誘電体記録再生装置の再生動作を概念的に示す断面図である。
符号の説明
1・・・誘電体記録再生装置
11・・・プローブ
12・・・リターン電極
13・・・発振器
14・・・共振回路
16・・・電極
17・・・誘電体材料
20・・・誘電体記録媒体
21・・・交流信号発生器
22・・・記録信号発生器
100、101、102、103・・・記録再生ヘッド
110・・・ダイヤモンドチップ
120・・・導電体膜
130・・・支持部材
140・・・貫通穴
201・・・シリコン基板
202・・・二酸化シリコン膜
203・・・フォトレジスト
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
以下、本発明のプローブに係る実施例を図面に基づいて説明する。尚、本実施例では、本発明のプローブの一具体例として、誘電体記録媒体にデータを記録したり或いは誘電体記録媒体に記録されているデータを再生する記録再生ヘッド(更に、記録再生ヘッドアレイ)について説明を進める。もちろんこのプローブは、例えばAFM等のプローブ(カンチレバー)を用いる各種機器において使用することができることは言うまでもない。
(1)記録再生ヘッドの実施例
先ず、図1から図24を参照して、記録再生ヘッドに係る実施例について説明する。
(i)記録再生ヘッドの構造
先ず、図1及び図2を参照して、本実施例に係る記録再生ヘッドの構造(即ち、基本構成)について説明する。ここに、図1は、本実施例に係る記録再生ヘッドの構造の一の例を概念的に示す斜視図及び断面図であり、図2は、本実施例に係る記録再生ヘッドが備える貫通穴のより詳細な状態を概念的に示す斜視図である。
図1(a)に示すように、本実施例に係る記録再生ヘッド100は、本発明における「突起部」の一具体例であるダイヤモンドチップ110と、導電体膜120と、支持部材130と、複数の貫通穴140を備える。
ダイヤモンドチップ110は、記録再生ヘッド100の記録再生時に、その先端側から後述の誘電体記録媒体20(図26参照)に電界を印加するように、細く尖った先端を有する。このダイヤモンドチップ110は特に、その製造時にダイヤモンドにボロン等をドープすることによって、導電性を備えている。
尚、ダイヤモンドチップ110に代えて、例えば窒化ボロンを用いることもできる。或いは、比較的硬質であり、且つ導電性を備える部材であれば、ダイヤモンドチップ110に代えて用いることができる。
導電体膜120は、ダイヤモンドチップ110から後述の誘電体記録媒体に電界を印加するために必要な電流をダイヤモンドチップ110に供給するために、支持部材130の少なくとも一部の表面を覆うように形成されている。具体的には、電源から供給される電流は、例えば導電体膜120を介して支持部材130中を通過して(即ち、支持部材130中が電流のパスとなって)ダイヤモンドチップ110に供給される。もちろん、支持部材130中を電流のパスとしなくとも、導電体膜120とダイヤモンドチップ110とが直接的に接続されるように構成してもよい。
本実施例では特に、導電体膜120は、支持部材130の少なくとも一部の領域に形成される貫通穴140の表面(即ち、例えば側面)を覆うように形成されている。導電体膜120として、例えば白金パラジウムや白金イリジウム等の合金を用いることができるし、後述の如くアルミニウムやクロムや金或いはこれらの合金等を用いることもできる。
支持部材130は、記録再生ヘッド100を支持する基盤となるものである。支持部材130は、上述するように電流が通過するパスとなるため、導電性を有していることが好ましい。但し、導電体膜120とダイヤモンドチップ110とが直接的に接続されている場合には、支持部材130が電流のパスとなる必要はないため導電性を有していなくともよい。また、後述の如く支持部材130とダイヤモンドチップ110とが一体として形成されてもよい(図6等参照)。
支持部材130はダイヤモンドチップ110と同様に、ボロン等がドーピングされたダイヤモンドにより形成されている。加えて、ダイヤモンドを用いて支持部材130を形成すれば、ダイヤモンドチップ110との接着性を高めることもできる。但し、ダイヤモンドに限定されなくとも、例えばシリコンや或いはその他の材料(例えば、炭素系材料)を用いて支持部材130を構成してもよい。
又、後述の如く、該支持部材130はプローブ11の一部として再生時における共振回路14の一部を構成する(図25参照)。このため、所望の共振周波数が得られるように、当該支持部材130のインダクタンスに応じて材料を選択することがより好ましい。また、このように材料を選択することで、プローブ11の振動周波数を適宜変更することも可能である。
貫通穴140は、支持部材130の表側から裏側まで貫通した穴であって、支持部材130の少なくとも一部の領域に設けられている。そして、この貫通穴140の表面(具体的には、貫通穴140の側面等)は、導電体膜120で覆われている。
より具体的に、図1(a)に示す記録再生ヘッド100のA−A’断面図である図1(b)を示して説明する。図1(b)に示すように、貫通穴140の側面は導電体膜120で覆われている。そして、支持部材130の表側の面(具体的には、支持部材130のうちダイヤモンドチップ110が形成されない側の面)のうち貫通穴140の周辺部分も導電体膜120で覆われている。
このとき仮に貫通穴140が形成されていなければ、導電体膜120は本来支持部材130の表側の面にのみ接触するように形成される。他方、貫通穴140が形成されることで、導電体膜120は、支持部材130の表側の面に加えて、貫通穴140の側面にも接触するように形成される。従って、貫通穴140の断面積だけ接触面積が減っても、貫通穴140の側面が貫通穴140の断面積を上回る大きさであれば、結果として導電体膜120と支持部材130との接触面積は増加する。
この接触面積の増加について、図2を参照しながら数値を用いてより具体的に説明する。ここでは、貫通穴140は長方形の断面を有しており、その辺の長さを“a”及び“b”とする。また、支持部材130の厚さを“t”とする。このとき、貫通穴140の側面の面積S1は、S1=a×t×2+b×t×2にて示される。他方、貫通穴140の断面積S2は、S2=a×bにて示される。従って、貫通穴140が形成されることで、導電体膜120と支持部材130との接触面積は、貫通穴140ひとつ当たりS1−S2だけ増加することになる。即ち、S1−S2=2t(a+b)−abだけ接触面積が増加することになる。より具体的に、“a=10μm”、“b=15μm”、“t=10μm”である場合には、貫通穴140が形成されることで、導電体膜120と支持部材130との接触面積は、2×10×(10+15)−10×15=350μm増加する。
このように導電体膜120と支持部材130との接触面積が増加すれば、導電体膜120と支持部材130との界面における抵抗を低減することができる。これは、導電体膜120から支持部材130へと電流が流れやすくなることを意味している。言い換えれば、導電体膜120と支持部材130との間において、良好なオーミック接触を得ることが可能となる。従って、電源から供給される電流を無駄にすることなく、導電体膜120を介して好適にダイヤモンドチップ110に該電流を供給することが可能となる。
そして、後述の誘電体記録再生装置において、本実施例に係る記録再生ヘッド100をプローブとして用いると、この導電体膜120と支持部材130との接触部分が後述の発振回路に組み込まれることになる。そして導電体膜120と支持部材130との界面において、良好なオーミック接触を得ることができるため、発振回路における発振が減衰しない或いは殆ど減衰しないという利点を有する。即ち、発振回路における発振を安定させることが可能となる。これは、誘電体記録再生装置における再生動作の安定化につながる。
加えて、本実施例に係る記録再生ヘッド100のように、貫通穴140を形成して導電体膜120と支持部材130との接触面積を増加させれば、後述するようにダイヤモンドの選択成長を効果的に利用して、当該記録再生ヘッド100を比較的容易に製造することが可能となる。尚、この利点については、後述する製造方法の実施例において詳細に説明する。
また、貫通穴140は複数設けられることが好ましい。また、導電体膜120と支持部材130との接触面積をより増加させるためには、貫通穴140の断面積は相対的に或いはより小さいことが好ましい。加えて、支持部材130の厚さは、相対的に或いはより厚いことが好ましい。これにより、導電体膜120と支持部材140との接触面積をより増加させることが可能となり、その結果導電体膜120と支持部材140との界面における抵抗をより減少させることが可能となる。
(ii)記録再生ヘッドの変形例
続いて、図3から図5を参照して、本実施例に係る記録再生ヘッドの変形例について説明する。ここに、図3から図5は夫々、本実施例に係る記録再生ヘッドの構造の変形例を概念的に示す斜視図及び断面図である。
図3(a)に示すように、第1の変形例に係る記録再生ヘッド101は、支持部材130の裏側の面(即ち、支持部材130のうちダイヤモンドチップ110が形成される側の面)の少なくとも一部が導電体膜120に覆われる。即ち、図3(a)に示す記録再生ヘッド101のB−B’断面図である図3(b)に示すように、第1の変形例に係る記録再生ヘッド101は、貫通穴140の側面及び支持部材130のうち貫通穴140が形成される領域周辺の表側の面及び裏側の面が導電体膜120に覆われている。
また、図4(a)及び図4(b)に示すように、第2の変形例に係る記録再生ヘッド102は、支持部材130の裏側の面のうち貫通穴140の周辺の領域が導電体膜120に覆われるが、図3(a)及び図3(b)に示す記録再生ヘッド101ほど支持部材130の裏側が導電体膜120に覆われていない。尚、上述した本実施例に係る記録再生ヘッド100等の支持部材130の表側の面においても、第2の変形例に係る記録再生ヘッド102の裏側の面のように導電体膜120が形成されていてもよいことはいうまでもない。
このように、支持部材130の裏側の面が導電体膜120で覆われるように構成しても、上述した本実施例に係る記録再生ヘッド100が有する各種利益と同様の利益を享受することが可能となる。加えて、支持部材の裏側の面にまで導電体膜120が形成されているため、導電体膜120と支持部材130との接触面積を更に増加させることが可能となる。これにより、導電体膜120と支持部材130との界面において、更に良好なオーミック接触が得ることが可能となる。
また、図5に示すように、第3の変形例に係る記録再生ヘッド103は、支持部材の少なくとも一部にくぼみを有しており、且つくぼみの一部に貫通穴140が形成されている。このように構成してもくぼみが形成されただけ、導電体膜120と支持部材130との接触面積が増加する。これにより、上述した本実施例に係る記録再生ヘッド100が有する各種利益と同様の利益を享受することが可能となる。
尚、支持部材130の少なくとも一部において支持部材130の表側と裏側とを貫通している構造体は、少なくとも本実施例における貫通穴140に相当する。即ち、支持部材130の表側と裏側を貫通する穴である限り、少なくともその側面に導電体膜120を形成することができるため、上述した各種利益を享受することが可能となる。
また、ダイヤモンドチップ110を複数備えるように構成してもよい。このとき、複数のダイヤモンドチップ110の夫々に電流を供給する個々の導電体膜120は、上述したように貫通穴140等の表面を覆うように形成され、また夫々絶縁されていることが好ましい。
また、ダイヤモンド基板(特に、ボロン等がドーピングされることで導電性を備えるダイヤモンド基板)の表面において、上述の如き貫通穴を有して導電体膜を形成すれば、該導電体膜を介しダイヤモンド基板に好適に電流を流すことが可能となる。このため、ダイヤモンドに電流を流す必要のあるデバイスにおいて、上述した貫通穴の如き構造を採用することができ、その結果当該デバイスにおいても、上述した各種利益を享受することが可能となる。
(iii)記録再生ヘッドの製造方法
続いて、図6から図24を参照して、本実施例に係る記録再生ヘッドの製造方法について説明する。ここに、図6から図24は、本実施例に係る記録再生ヘッドの製造方法の各工程を概念的に示す断面図又は平面図である。
尚、ここで説明する製造方法により製造される記録再生ヘッドは、ダイヤモンドチップ110と支持部材130とが一体化されているものである。しかしながら、ダイヤモンドチップ110と支持部材130とが一体化されていなくとも、同様の製造方法により製造することができ、係る製造方法も本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
先ず、図6に示すように、シリコン基板201を用意する。係るシリコン基板201は、主として記録再生ヘッドの型枠となるものである。尚、後の工程において、結晶格子構造における(100面)に沿って(或いは、平行に)二酸化シリコン膜が形成されるようなシリコン基板201を用意することが好ましい。これは、後述するように、異方性エッチングを施すことでダイヤモンドチップ110の突起状(或いは、ピラミッド状)の形状を形成するためである(図10参照)。係るシリコン基板201は、(100)基板と称される。
そして、図7に示すように、シリコン基板201の表側及び裏側の面に対して、二酸化シリコン(SiO)膜202が形成される。ここでは、高温酸化雰囲気中にシリコン基板201を配置することで、その表面に二酸化シリコン膜202が形成されてもよい。
続いて、図8(a)に示すように、例えばスピンコーティングにより二酸化シリコン膜202上にフォトレジスト203がコーティングされ、パターニングが行われる。具体的には、フォトレジスト203をシリコン基板201の一方の面上に形成した二酸化シリコン膜202上にコーティングした後、ダイヤモンドチップ110に相当する部分をパターニングしたフォトマスクを用いて紫外線等を照射する。その後、現像を行うことで、図8(a)に示すようにフォトレジスト203のパターニングがなされる。もちろん、例えばEB(Electron Beam)レジストやその他の材料を用いてパターニングを行ってもよい。
尚、図8(b)は、図8(a)に係るシリコン基板201等を上側(即ち、フォトレジスト203がパターニングされた側)から見た図である。図8(b)に示すように、記録再生ヘッド100のダイヤモンドチップ110が形成される部分には、フォトレジスト203が塗布されないことで窓が形成され、二酸化シリコン膜202が見える。この窓の形状に合わせて、ダイヤモンドチップ110が形成される。
続いて、図9(a)に示すように、図8においてフォトレジスト203のパターニングが行われたシリコン基板201に対して、エッチングが行われる。ここでは、例えばBHF(バッファードフッ酸)等を用いて、二酸化シリコン膜202のうちフォトレジスト203が塗布されていない部分のエッチングが行われる。但し、他のエッチャントを用いてエッチングが行われてもよいし、或いはドライエッチングによりエッチングが行われてもよい。
二酸化シリコン膜201のエッチング後、フォトレジスト203の除却が行われる。ここでは、ドライエッチングによりフォトレジスト203の除却が行われてもよいし、或いはウェットエッチングによりフォトレジスト203の除却が行われてもよい。
図9(b)は、図9(a)に係るシリコン基板201等を上側から見た図である。図9(b)に示すように、ダイヤモンドチップ110が形成される部分には、二酸化シリコン膜202が除かれることで窓が形成され、シリコン基板201が見える。
続いて、図10(a)に示すように、シリコン基板201に対して異方性エッチングが行われる。ここでは、例えばTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)やKOH(水酸化カリウム)等のアルカリ性のエッチャントを用いて異方性エッチングが行われる。
このとき、シリコン基板201は、(100)面の法線方向(即ち、図10(a)中シリコン基板201に垂直な方向)に向かってエッチングは進行するが、他方(111)面の法線方向(即ち、図10(a)中シリコン基板201に対して概ね45度で入射する方向)に向かってエッチングは進行しにくいという性質を有する。この性質を利用して異方性エッチングを行うことで、シリコン基板201は、ダイヤモンドチップ110に相当する形状(すなわち、突起状或いはピラミッド状)にエッチングされる。
尚、図10(b)は、図10(a)に係るシリコン基板201等を上側から見た図である。図10(b)に示すように、シリコン基板201に異方性エッチングが施されることで、二酸化シリコン膜202の窓の外側部分ほどエッチングの速度が遅く、窓の中心部分ほどエッチングの速度が速い。その結果、エッチングにより形成された穴の先端がとがった形状となる。
続いて、図11(a)に示すように、再度フォトレジスト203を吹き付けてパターニングを行う。
このとき、本実施例では特に、貫通穴140を形成するためのパターニングを行う。具体的には、支持部材130のうち貫通穴140が形成される部分にはフォトレジスト203が残される。このフォトレジスト203のパターニング(或いは、残されるフォトレジスト203の形状)を適宜変化させることで、所望の形状を有する貫通穴140や、所望の個数の貫通穴140を形成することが可能となる。
例えば、上述の図2において説明したように、接触面積の増加を示す式の一具体例“2t(a+b)−ab”が正の数値を示すような貫通穴140を形成可能にフォトレジスト203のパターニングを行うことが好ましい。例えば、“t=5μm”であり、“a=b(即ち、貫通穴140が正方形)”であれば、“2×5×(a+a)−a×a>0”を満たすようにフォトレジスト203のパターニングを行うことが好ましい。この式より、“a>20μm“が導かれる。即ち、貫通穴140を形成するために残されるフォトレジスト203が、一辺が20μm以上の正方形となるようにパターニングされることが好ましい。このフォトレジスト203により、後述の工程を経て、一辺が20μm以上の貫通穴140が形成される。
尚、図11(b)は、図11(a)に係るシリコン基板201等を上側から見た図である。図11(b)に示すように、このときのフォトレジスト203は、支持部材130(特に、貫通穴140が形成される支持部材130)の形状に合わせてパターニングされる。
続いて、図12(a)に示すように、図11におけるフォトレジスト203のパターニングにあわせて二酸化シリコン膜202のエッチングが行われ、その後フォトレジスト203の除却が行われる。ここでは、図9と同様の手順によりエッチングが行われる。
尚、図12(b)は、図12(a)に係るシリコン基板201等を上側から見た図である。図12(b)に示すように、支持部材130(特に、貫通穴140が形成される支持部材130)の形状に合わせて、二酸化シリコン膜202が残る。このとき、貫通穴140を形成するためにのこされた二酸化シリコン膜202の山が、本発明における「所定の物理形状」の一具体例に相当する。
続いて、図13に示すように、ダイヤモンドパウダー入りのメタノール中において、シリコン基板201及びその上に形成されている二酸化シリコン膜202の夫々の表面に、例えば超音波等を用いてダイヤモンドパウダーを振動させることで、傷をつける。このように傷をつけることで、後の工程(図14参照)において、ダイヤモンド核を形成することができる。
続いて、図14に示すように、熱フィラメントCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ダイヤモンド膜を成長させる。例えば、CH(メタン)ガスを原料として、シリコン基板201上にダイヤモンド膜を形成する。特にダイヤモンド膜は、図13における工程時に傷をつけた部分において成長する。尚、熱フィラメントCVD法でなくとも、例えばマイクロ波プラズマCVD法や或いは他の膜成長方法等を用いてダイヤモンド膜を成長させてもよい。
また、係るダイヤモンド膜は、上述のダイヤモンドチップ110や支持部材130として用いられるため、導電性を有している必要がある。従って、例えばB(ジボラン)や(CHO)B(トリメトキシボラン)等のドーピングガスを添加することで、ダイヤモンド膜中にB(ボロン)をドーピングさせる。
尚、図13に示すように傷つけ処理によってダイヤモンド膜成長させる方法に限らず、例えばCVD処理の初期段階にシリコン基板201に負のバイアス電圧を印加することでダイヤモンド膜を成長させてもよいし、或いは超微粒子のダイヤモンドパウダーをシリコン基板201に塗布することで、ダイヤモンド膜成長の核としてもよい。
続いて、図15に示すように、二酸化シリコン膜202上において成長しているダイヤモンド粒子を除却する。これは、例えばBHF等を用いたエッチングにより、極少量の二酸化シリコン膜202を除去することで、結果的にダイヤモンド粒子を除却することができる。これにより、適切な形状を有するダイヤモンドチップ110及び支持部材130を形成することができる。
続いて、図16に示すように、例えば熱フィラメントCVD法等を用いて、ダイヤモンド膜を更に成長させることで、ダイヤモンドチップ110及び支持部材130を形成する。
本実施例では特に、支持部材130(即ち、貫通穴140が形成される支持部材130)を形成するために、ダイヤモンドの選択成長を行っている。このため、フォトレジスト203のパターニングに合わせて、所望の貫通穴140を比較的容易に形成することが可能となる。即ち、貫通穴140を形成するために、特別な製造工程(例えば、微細な物理的加工工程やその他の加工工程等であって、具体的にはFIB(Focuse Ion Beam)による穴あけ加工工程や酸素プラズマを用いたエッチングによる穴あけ加工工程等)を必要とせず、支持部材130を形成するための通常の製造工程において貫通穴140を同時に形成することが可能となる。従って、本実施例に係る製造方法によれば、本実施例に係る記録再生ヘッドを比較的安価に且つ比較的容易に量産することができる。
このとき、フォトレジスト203のパターニングの結果残された二酸化シリコン膜202の厚さ以上にダイヤモンドが成長しないように、好適な時間だけダイヤモンドの選択成長が行われることが好ましい。即ち、二酸化シリコン膜202の厚さ以上にダイヤモンドが成長すると、貫通穴140をふさいでしまうおそれがあるからである。言い換えれば、形成しようとしている支持部材130の厚さに応じて、図7を用いて説明する工程において所望の厚さを有する二酸化シリコン膜202を予め形成したり、或いは図12を用いて説明する工程において所望の厚さを有する二酸化シリコン膜202を残すことが好ましい。
但し、図17に示すように、貫通穴140がふさがれない程度に二酸化シリコン膜202の上部の少なくとも一部を覆うようにダイヤモンドを選択成長してもよい。このようにダイヤモンドを選択成長させることで、後述の導電体膜120の形成工程において、少なくとも一部を覆うように選択成長させられたダイヤモンドの裏側にまで導電体膜120を形成することができる。これにより、該導電体膜120と支持部材130との接触面積をより増加させることが可能となる。
尚、ここでは、支持部材130とダイヤモンドチップ110とが一体となって形成されているため、支持部材130としての機能を含むダイヤモンドチップ110として以降の説明を進める。
続いて、ダイヤモンドチップ110が形成された後、図18(a)に示すように、エッチングを行い、二酸化シリコン膜202を除却する。ここでは、例えばBHFやHF等を用いて二酸化シリコン膜202を除却する。
図18(b)は、図18(a)に示すシリコン基板201等を上側から見た図である。図18(b)に示すように、二酸化シリコン膜202が除却されることで、貫通穴140が形成されていることがわかる。
続いて、図19(a)及び図19(b)に示すように、支持部材130の上側の面(即ち、ここでは表側の面)の少なくとも一部に、導電性を有する金属の膜を付着させることで、導電体膜120を形成する。例えば蒸着法やスパッタリング法を用いることで、導電体膜120を形成してもよい。このとき、導電体膜120が貫通穴140の側面に付着するように金属等の蒸着が行われる。
尚、ダイヤモンドを含んでなる支持部材130に対する導電体膜120の付着力を高めるために、該導電体膜120の材料たる金属等を蒸着する前にチタン等の下地を蒸着させ、その後に金属等を蒸着させることで、導電体膜120を形成することが好ましい。これにより、導電体膜120とダイヤモンドを含んでなる支持部材130との付着力を高め、剥離しにくい導電体膜120を形成することが可能となる。
続いて、図19に示すように、所定の形状を有する天板150を支持部材130に貼り付ける。天板150は、記録再生ヘッド100全体を支え或いは保持する部材であって、感光性ポリイミドを接着材として用いることで支持部材130に貼り付けられる。そして、例えば天板150にアクチュエータ等が接続されることで、後述の誘電体記録再生装置の記録・再生動作時に、記録再生ヘッド100を誘電体記録媒体上において移動させることができる。
尚、天板150に対して所定の加工を施す場合には、当該加工の便宜を考慮して切れ込みが形成されるように構成してもよい。また、天板150には、配線を貫通穴140に形成される導電体膜に接続するための穴、及び図示しないが配線をダイヤモンドチップ110に接続するための穴を有している。
続いて、図20に示すように、配線を形成するために、例えばアルミニウムやクロム或いは金等の金属或いはこれらの合金(或いは、上述した白金パラジウムや白金イリジウム等の合金)等を天板150上に蒸着させる。この際、配線が形成されるべき部分以外のところに例えばフォトレジスト203等をパターニングした後に、金属等の蒸着を行うことが好ましい。そして、この蒸着の結果、図20に示すように、配線が天板150上に形成される。
続いて、図21に示すように、シリコン基板201を取り除く。ここでは、ICP−RIE(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Ething)或いはSFをエッチングガスとしたプラズマCVD法を用いてシリコン基板201をダイヤモンドチップ110やリターン電極150より取り除く。但し、その他の手法を用いてシリコン基板201を取り除いてもよい。これにより、本実施例に係る記録再生ヘッド100が製造される。
(iv)製造方法の変形例
続いて、図23及び図24を参照して、本実施例に係る製造方法の変形例について説明する。ここに、図23及び図24は夫々、変形例に係る記録再生ヘッドの製造方法の各工程を概念的に示す断面図又は平面図である。
図23に示すように、ダイヤモンドを選択成長させた後の二酸化シリコン膜202の除却(上述した図18の工程)の際に等方性エッチングを施すことで、選択成長したダイヤモンドの下側がえぐれるように二酸化シリコン膜202の除却が行われてもよい。
この結果、図24に示すように、導電体膜120を形成する際に、ダイヤモンド(即ち、支持部材130)の裏側にまで金属等が蒸着し、上述の図3や図4等において示した記録再生ヘッドを製造することが可能となる。即ち、導電体膜120と支持部材130との接触面積がより増加した記録再生ヘッドを製造することが可能となる。
尚、図6から図24において説明した製造方法は、本実施例に係る記録再生ヘッドの製造方法は、あくまで一具体例であり、各工程において用いられる原材料や各種方法(例えば、エッチング法、膜形成法や膜成長法)等は適宜変更することが可能である。
(2)記録再生装置の実施例
続いて、上述した本実施例に係る記録再生ヘッドを用いた記録再生装置について説明する。
(i)基本構成
先ず、本実施例に係る誘電体記録再生装置の基本構成について、図25を参照して説明する。ここに、図25は、本実施例に係る誘電体記録再生装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
誘電体記録再生装置1は、その先端部が誘電体記録媒体20の誘電体材料17に対向して電界を印加するプローブ11と、プローブ11から印加された信号再生用の高周波電界が戻るリターン電極12と、プローブ11とリターン電極12の間に設けられるインダクタLと、インダクタLとプローブ11の直下の誘電体材料17に形成される、記録情報に対応して分極した部位の容量Csとで決まる共振周波数で発振する発振器13と、誘電体材料17に記録された分極状態を検出するための交番電界を印加するための交流信号発生器21と、誘電体材料に分極状態を記録する記録信号発生器22と、交流信号発生器21及び記録信号発生器22の出力を切り替えるスイッチ23と、HPF(High Pass Filter)24と、プローブ11の直下の誘電体材料17が有する分極状態に対応した容量で変調されるFM信号を復調する復調器30と、復調された信号からデータを検出する信号検出部34と、復調された信号からトラッキングエラー信号を検出するトラッキングエラー検出部35等を備えて構成される。
プローブ11は、上述した本実施例に係る記録再生ヘッド100等を用いる。そして、プローブ11のうち導電体膜120はHPF24を介して発振器13と接続され、またHPF24及びスイッチ23を介して交流信号発生器21及び記録信号発生器22と接続される。そして、誘電体材料17に電界を印加する電極として機能する。尚、プローブ11として、例えば図1等に示すような針状のものや或いはカンチレバー状等のものが具体的な形状として知られる。
尚、係るプローブ11は、複数備える構造であってもよい。この場合、交流信号発生器21は、夫々のプローブ11に対応して複数設けることが好ましい。また、信号検出部34において夫々の交流信号発生器21に対応する再生信号を弁別可能なように、信号検出部34を複数備え、且つ夫々の信号検出部34は、夫々の交流信号発生器21より参照信号を取得することで、対応する再生信号を出力するように構成することが好ましい。
そして、ダイヤモンドチップ110及び導電体膜120は、夫々のプローブ11毎に絶縁されている必要がある。そして、支持部材130が導電性を備えている場合には、該支持部材130も夫々のプローブ11毎に絶縁されている必要があるが、支持部材130が導電性を備えていなければ、夫々のダイヤモンドチップ110及び導電体膜120に共通の支持部材130を設けるように構成してもよい。
リターン電極12は、プローブ11から誘電体材料17に印加される高周波電界(即ち、発信器13からの共振電界)が戻る電極であって、プローブ11を取り巻くように設けられている。尚、高周波電界が抵抗なくリターン電極12に戻るものであれば、その形状や配置は任意に設定が可能である。
インダクタLは、プローブ11とリターン電極12との間に設けられていて、例えばマイクロストリップラインで形成される。インダクタLと容量Csとを含んで共振回路14が構成される。この共振周波数が例えば1GHz程度を中心とした値になるようにインダクタLのインダクタンスが決定される。
発振器13は、インダクタLと容量Csとで決定される共振周波数で発振する発振器である。その発振周波数は容量Csの変化に対応して変化するものであり、従って記録されているデータに対応した分極領域によって決定される容量Csの変化に対応してFM変調が行われる。このFM変調を復調することで、誘電体記録媒体20に記録されているデータを読み取ることができる。
尚、後に詳述するように、プローブ11、リング電極12、発振器13、インダクタL、HPF24及び誘電体材料17中の容量Csから共振回路14が構成され、発信器13において増幅されたFM信号が復調器30へ出力される。
交流信号発生器21は、リターン電極12と電極16との間に交番電界を印加する。また、複数のプローブ11を備えている誘電体記録再生装置においては、この周波数を参照信号として同期を取り、プローブ11で検出する信号を弁別する。その周波数は5kHz程度を中心としたものであり、誘電体材料17の微小領域に交番電界を印加することになる。
記録信号発生器22は、記録用の信号を発生し、記録時にプローブ11に供給される。この信号はデジタル信号に限らずアナログ信号であってもよい。これらの信号として、音声情報、映像情報、コンピュータ用デジタルデータ等、各種の信号が含まれる。また、記録信号に重畳された交流信号は信号再生時の参照信号として各探針の情報を弁別して再生するためである。
スイッチ23は、再生時、交流信号発生器21からの信号を、一方、記録時は記録信号発生器22からの信号をプローブ11に供給するようにその出力を選択する。この装置は機械式のリレーや半導体の回路が用いられるが、アナログ信号にはリレーが、デジタル信号には半導体回路で構成するのが好適である。
HPF24は、インダクタ及びコンデンサを含んでなり、交流信号発生器21や記録信号発生器22からの信号が発振器13の発振に干渉しないように信号系統を遮断するためのハイパスフィルタを構成するために用いられていて、その遮断周波数はf=1/2π√{LC}である。ここで、LはHPF24に含まれるインダクタのインダクタンス、CはHPF24に含まれるコンデンサのキャパシタンスとする。交流信号の周波数は5KHz程度であり、発振器13の発振周波数は1GHz程度であるので、1次のLCフィルタで分離は十分に行われる。さらに次数の高いフィルタを用いてもよいが素子数が多くなるので装置が大きくなる虞がある。
復調器30は、容量Csの微小変化に起因してFM変調された発振器13の発振周波数を復調し、プローブ11がトレースした部位の分極された状態に対応した波形を復元する。記録されているデータがデジタルの「0」と「1」のデータであれば、変調される周波数は2種類であり、その周波数を判別することで容易にデータの再生が行われる。
信号検出部34は、復調器30で復調された信号から記録されたデータを再生する。この信号検出器34として例えばロックインアンプを用い、交流信号発生器21の交番電界の周波数に基づいて同期検波を行うことでデータの再生を行う。尚、他の位相検波手段を用いてもよいことは当然である。
トラッキングエラー検出部35は、復調器30で復調された信号から、装置を制御するためのトラッキングエラー信号を検出する。検出したトラッキングエラー信号がトラッキング機構に入力されて制御がなされる。
続いて、図25に示す誘電体記録媒体20の一例について、図26を参照して説明する。ここに、図26は、本実施例において用いられる誘電体記録媒体20の一例を概念的に示す平面図及び断面図である。
図26(a)に示すように、誘電体記録媒体20は、ディスク形態の誘電体記録媒体であって、例えばセンターホール10と、センターホール10と同心円状に内側から内周エリア7、記録エリア8、外周エリア9を備えている。センターホール10はスピンドルモータに装着する場合等に用いられる。
記録エリア8はデータを記録する領域であって、トラックやトラック間のスペースを有し、また、トラックやスペースには記録再生にかかわる制御情報を記録するエリアが設けられている。また、内周エリア7及び外周エリア8は誘電体記録媒体20の内周位置及び外周位置を認識するために用いられると共に、記録するデータに関する情報、例えばタイトルやそのアドレス、記録時間、記録容量等を記録する領域としても使用可能である。尚、上述した構成はその一例であって、カード形態等、他の構成を採ることも可能である。
また、図26(b)に示すように誘電体記録媒体20は、基板15の上に電極16が、また、電極16の上に誘電体材料17が積層されて形成されている。
基板15は例えばSi(シリコン)であり、その強固さと化学的安定性、加工性等において好適な材料である。電極16はプローブ11(或いは、リターン電極12)との間で電界を発生させるためのもので、誘電体材料17に抗電界以上の電界を印加することで分極方向を決定する。データに対応して分極方向を定めることにより記録が行われる。
誘電体材料17は、例えば強誘電体であるLiTaO等を電極16の上にスパッタリング等の公知の技術によって形成されている。そして、分極の+面と−面が180度のドメインの関係であるLiTaOのZ面に対して記録が行われる。他の誘電体材料を用いても良いことは当然である。この誘電体材料17は直流のバイアス電圧と同時に加わるデータ用の電圧によって、高速で微小な分極を形成する。
又、誘電体記録媒体20の形状として、例えばディスク形態やカード形態等がある。プローブ11との相対的な位置の移動は媒体の回転によって行われ、或いはプローブ11と媒体のいずれか一方が直線的に移動して行われる。
(ii)動作原理
続いて、図27及び図28を参照して、本実施例に係る誘電体記録再生装置1の動作原理について説明する。尚、以下の説明では、図25に示した誘電体記録再生装置1のうち一部の構成要素を抜き出して説明している。
(記録動作)
先ず、図27を参照して、本実施例に係る誘電体記録再生装置の記録動作について説明する。ここに、図27は、情報の記録動作を概念的に示す断面図である。
図27に示すように、プローブ11と電極16との間に誘電体材料17の抗電界以上の電界を印加することで、印加電界の方向に対応した方向を有して誘電体材料は分極する。そして、印加する電圧を制御し、この分極の方向を変えることで所定の情報を記録することができる。これは、誘電体(特に、強誘電体)にその抗電界を超える電界を印加すると分極方向が反転し、且つその分極方向が状態で維持されるという性質を利用したものである。
例えばプローブ11から電極16に向かう電界が印加されたとき、微小領域は下向きの分極Pとなり、電極16からプローブ11に向かう電界が印加されたときは上向きの分極Pとなるとする。これが情報を記録した状態に対応する。プローブ11が矢印で示す方向に操作されると、検出電圧は分極Pに対応して、上下に振れた矩形波として出力される。尚、分極Pの分極程度によりこのレベルは変化し、アナログ信号としての記録も可能である。
本実施例では特に、上述した本実施例に係る記録再生ヘッド100等をプローブとして用いるため、導電体膜120と支持部材130との間の界面の抵抗を減少させることが可能となる。このため、安定した記録動作を実現することができる。
(再生動作)
続いて、図28を参照して、本実施例に係る誘電体記録再生装置1の再生動作について説明する。ここに、図28は、情報の再生動作を概念的に示す断面図である。
誘電体の非線形誘電率は、誘電体の分極方向に対応して変化する。そして、誘電体の非線形誘電率は、誘電体に電界を印加した時に、誘電体の容量の違いないし容量の変化の違いとして検出することができる。従って、誘電体材料に電界を印加し、そのときの誘電体材料の一定の微小領域における容量Csの違いないし容量Csの変化の違いを検出することにより、誘電体材料の分極の方向として記録されたデータを読み取り、再生することが可能となる。
具体的にはまず、図28に示すように、不図示の交流信号発生器21からの交番電界が電極16及びプローブ11の間に印加される。この交番電界は、誘電体材料17の抗電界を越えない程度の電界強度を有し、例えば5kHz程度の周波数を有する。交番電界は、主として、誘電体材料17の分極方向に対応する容量変化の違いの識別を可能にするために生成される。尚、交番電界に代えて、直流バイアス電圧を印加して、誘電体材料17内に電界を形成してもよい。係る交番電界が印加されると誘電体記録媒体20の誘電体材料17内に電界が生ずる。
次に、プローブ11の先端と記録面との距離がナノオーダの極めて小さい距離となるまで、プローブ11を記録面に接近させる。この状態で発振器13を駆動する。尚、プローブ11直下の誘電体材料17の容量Csを高精度に検出するためには、プローブ11を誘電体材料17の表面、即ち、記録面に接触させることが好ましい。しかし、誘電体材料17に記録されたデータを高速に読み取るためには、プローブ11を誘電体記録媒体20上において高速に相対移動させる必要がある。このため、係る高速移動の実現性、プローブ11と誘電体記録媒体20との衝突・摩擦による破損の防止等を考慮すると、プローブ11を記録面に接触させるよりも、実質的には接触と同視できる程度に、プローブ11を記録面に接近させる方がよい。
そして、発振器13は、プローブ11直下の誘電体材料17に係る容量CsとインダクタLとを構成要因として含む共振回路の共振周波数で発振する。この共振周波数は、上述のとおりその中心周波数をおおよそ1GHz程度とする。
ここで、リターン電極12及びプローブ11は、発振器13による発振回路14の一部を構成している。プローブ11から誘電体材料17に印加された1GHz程度の高周波信号は、図28中点線の矢印にて示すように、誘電体材料17内を通過してリターン電極12に戻る。リターン電極12をプローブ11の近傍に設け、発振器13を含む発振回路の帰還経路を短くすることにより、発振回路内にノイズ(例えば、浮遊容量成分)が入り込むのを軽減することができる。
付言すると、誘電体材料17の非線形誘電率に対応する容量Csの変化は微小であり、これを検出するためには、高い検出精度を有する検出方法を採用する必要がある。FM変調を用いた検出方法は、一般に高い検出精度を得ることができるが、誘電体材料17の非線形誘電率に対応する微小な容量変化の検出を可能とするために、さらに検出精度を高める必要がある。そこで、本実施例に係る誘電体記録再生装置1(即ち、SNDM原理を用いた記録再生装置)は、リターン電極12をプローブ11の近傍に配置し、発振回路の帰還経路をできる限り短くしている。これにより、極めて高い検出精度を得ることができ、誘電体の非線形誘電率に対応する微小な容量変化を検出することが可能となる。
発振器13の駆動後、プローブ11を誘電体記録媒体20上において記録面と平行な方向に移動させる。すると移動によって、プローブ11直下の誘電体材料17のドメインが変わり、その分極方向が変わるたびに、容量Csが変化する。容量Csが変化すると、共振周波数、即ち、発振器13の発振周波数が変化する。この結果、発振器13は、容量Csの変化に基づいてFM変調された信号を出力する。
このFM信号は、復調器30によって周波数−電圧変換される。この結果、容量Csの変化は、電圧の大きさに変換される。容量Csの変化は、誘電体材料17の非線形誘電率に対応し、この非線形誘電率は、誘電体材料17の分極方向に対応し、この分極方向は、誘電体材料17に記録されたデータに対応する。従って、復調器30から得られる信号は、誘電体記録媒体20に記録されたデータに対応して電圧が変化する信号となる。更に、復調器30から得られた信号は、信号検出部34に供給され、例えば同期検波されることで、誘電体記録媒体20に記録されたデータが抽出される。
このとき、信号検出部34では、交流信号発生器21により生成された交流信号が参照信号として用いられる。これにより、例えば復調器30から得られる信号がノイズを多く含んでおり、又は抽出すべきデータが微弱であっても、後述の如く参照信号と同期をとることで当該データを高精度に抽出することが可能となる。
本実施例では特に、上述した本実施例に係る記録再生ヘッド100等をプローブ11として用いるため、導電体膜120と支持部材130との間の界面の抵抗を減少させることが可能となる。従って、発振回路に組み込まれる導電体膜120及び支持部材130の界面において、良好なオーミック接触を得ることができるため、発振回路における発振が減衰しない或いは殆ど減衰しないという利点を有する。即ち、発振回路における発振を安定させることが可能となり、安定した再生動作を実現することができる。
また、上述の実施例では、誘電体材料17を記録層に用いているが、非線形誘電率や自発分極の有無という観点からは、該誘電体材料17は、強誘電体であることが好ましい。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う記録再生ヘッド、該記録再生ヘッドの製造方法、並びに記録装置及び再生装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
本発明に係るプローブ及び該プローブの製造方法は、例えば、強誘電体記録媒体等の誘電体に記録された分極情報を記録及び再生する記録再生ヘッドとして用いられるプローブに利用可能であり、更に該プローブの製造に利用可能である。また、本発明に係る該プローブを用いた記録装置及び再生装置は、SNDMを利用した記録再生装置に利用可能である。

Claims (17)

  1. 少なくとも一部に貫通穴を有する支持部材と、
    先端が媒体に対向するように前記支持部材に立設された突起部と、
    前記貫通穴の側面を含む前記支持部材の少なくとも一部の表面を覆うように形成される導電体膜と
    を備えることを特徴とするプローブ。
  2. 前記貫通穴は複数個形成されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプローブ。
  3. 前記支持部材は、前記貫通穴を少なくとも一部に含むくぼみ部分を有しており、
    前記導電体膜は、前記くぼみ部分の少なくとも一部の表面を覆うように形成されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプローブ。
  4. 前記くぼみ部分は複数個形成されることを特徴とする請求の範囲第3項に記載のプローブ。
  5. 前記貫通穴の側面の面積が前記貫通穴の断面積よりも大きいことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプローブ。
  6. 前記支持部材の厚さが相対的に厚いことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプローブ。
  7. 前記導電体膜と前記支持部材との接触面積が、前記貫通穴が形成されない場合の前記導電体膜と前記支持部材との接触面積よりも大きいことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプローブ。
  8. 前記導電体膜は、前記貫通穴が形成される前記支持部材の表側及び裏側の少なくとも一方の表面及び前記貫通穴の側面を覆うように形成されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプローブ。
  9. 前記支持部材は、ダイヤモンドを含んでいることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプローブ。
  10. 前記支持部材は前記ダイヤモンドの選択成長により形成されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載のプローブ。
  11. 請求の範囲第1項に記載のプローブを製造するための製造方法であって、
    少なくとも前記支持部材を形成するための鋳型であって、少なくとも一部に前記貫通穴を形成するための所定の物理形状を有する鋳型を形成する第1形成工程と、
    前記鋳型を用いて前記支持部材を形成する第2形成工程と、
    前記貫通穴の側面を含む前記支持部材の少なくとも一部の表面に前記導電体膜を形成する第3形成工程と
    を備えることを特徴とする製造方法。
  12. 前記所定の物理形状は、前記支持部材の厚さよりも厚いことを特徴とする請求の範囲第11項に記載の製造方法。
  13. 少なくとも前記支持部材はダイヤモンドを含んでおり、
    前記第2形成工程は、ダイヤモンドを選択成長させることで前記支持部材を形成することを特徴とする請求の範囲第11項に記載の製造方法。
  14. 前記第3形成工程において、前記鋳型の少なくとも一部に等方性エッチングを施し、且つ前記支持部材の上側の表面に前記導電体膜を形成することを特徴とする請求の範囲第11項に記載の記録再生ヘッド。
  15. 誘電体記録媒体にデータを記録する記録装置であって、
    請求の範囲第1項に記載のプローブと、
    前記データに対応する記録信号を生成する記録信号生成手段と
    を備えることを特徴とする記録装置。
  16. 誘電体記録媒体に記録されたデータを再生する再生装置であって、
    請求の範囲第1項に記載のプローブと、
    前記誘電体記録媒体に電界を印加する電界印加手段と、
    前記誘電体記録媒体の非線形誘電率に対応する容量の違いに応じて発振周波数が変化する発振手段と、
    前記発振手段による発振信号を復調し、再生する再生手段と
    を備えることを特徴とする再生装置。
  17. 誘電体記録媒体にデータを記録し、該誘電体記録された前記データを再生する記録再生装置であって、
    請求の範囲第1項に記載のプローブと、
    前記データに対応する記録信号を生成する記録信号生成手段と、
    前記誘電体記録媒体に電界を印加する電界印加手段と、
    前記誘電体記録媒体の非線形誘電率に対応する容量の違いに応じて発振周波数が変化する発振手段と、
    前記発振手段による発振信号を復調し、再生する再生手段と
    を備えることを特徴とする記録再生装置。

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