JPWO2006013741A1 - 捩り共振器およびこれを用いたフィルタ - Google Patents

捩り共振器およびこれを用いたフィルタ Download PDF

Info

Publication number
JPWO2006013741A1
JPWO2006013741A1 JP2006531388A JP2006531388A JPWO2006013741A1 JP WO2006013741 A1 JPWO2006013741 A1 JP WO2006013741A1 JP 2006531388 A JP2006531388 A JP 2006531388A JP 2006531388 A JP2006531388 A JP 2006531388A JP WO2006013741 A1 JPWO2006013741 A1 JP WO2006013741A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torsional
resonator
vibrating body
electrode
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006531388A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4728242B2 (ja
Inventor
川勝 英樹
英樹 川勝
中村 邦彦
邦彦 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2006531388A priority Critical patent/JP4728242B2/ja
Publication of JPWO2006013741A1 publication Critical patent/JPWO2006013741A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4728242B2 publication Critical patent/JP4728242B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H3/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of impedance networks, resonating circuits, resonators
    • H03H3/007Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of impedance networks, resonating circuits, resonators for the manufacture of electromechanical resonators or networks
    • H03H3/0072Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of impedance networks, resonating circuits, resonators for the manufacture of electromechanical resonators or networks of microelectro-mechanical resonators or networks
    • H03H3/0076Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of impedance networks, resonating circuits, resonators for the manufacture of electromechanical resonators or networks of microelectro-mechanical resonators or networks for obtaining desired frequency or temperature coefficients
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H9/00Networks comprising electromechanical or electro-acoustic devices; Electromechanical resonators
    • H03H9/02Details
    • H03H9/02244Details of microelectro-mechanical resonators
    • H03H9/02259Driving or detection means
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H9/00Networks comprising electromechanical or electro-acoustic devices; Electromechanical resonators
    • H03H9/02Details
    • H03H9/02244Details of microelectro-mechanical resonators
    • H03H9/02433Means for compensation or elimination of undesired effects
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H9/00Networks comprising electromechanical or electro-acoustic devices; Electromechanical resonators
    • H03H9/24Constructional features of resonators of material which is not piezoelectric, electrostrictive, or magnetostrictive
    • H03H9/2405Constructional features of resonators of material which is not piezoelectric, electrostrictive, or magnetostrictive of microelectro-mechanical resonators
    • H03H9/2447Beam resonators
    • H03H9/2463Clamped-clamped beam resonators
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H9/00Networks comprising electromechanical or electro-acoustic devices; Electromechanical resonators
    • H03H9/02Details
    • H03H9/02244Details of microelectro-mechanical resonators
    • H03H2009/02488Vibration modes
    • H03H2009/02519Torsional

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Micromachines (AREA)
  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

捩り共振器において、不要なたわみ振動を抑制し、共振特性の優れた共振器を提供する。 振動体は梁構造、または梁構造上にパドル状の突起構造を付加したものであり、電極と振動体間の電位差により生ずる静電力が、振動体の梁の軸を中心軸としたモーメントは加えるが、梁にたわみ振動を生ずる力は加えないようにする。その1つの方法として、振動体の捩り振動に伴い、振動体との距離が遠ざかる電極と、振動体との距離が近づく電極の電極対には、同一交流信号と、極性の異なる直流バイアス電圧が加えられる構成とすることで、捩り振動のみを励振することができる。

Description

本発明は、捩り共振器およびこれを用いたフィルタに係り、特に高密度に集積化された電気回路内において、捩り共振を用いて高性能のフィルタ回路を実現するものに関する。
従来の機械共振器について図18を参照して説明する。図18は非特許文献1に紹介されている「たわみ振動を用いた機械振動フィルタ」の構成を簡略化して示した図である。
このフィルタは、シリコン基板上に薄膜プロセスを用いてパターン形成を行うことで形成され、入力線路104と、出力線路105と、それぞれの線路に対して1ミクロン以下の空隙をもって配置された両持ち梁101、102と、その2つの梁を結合する結合梁103とで構成されている。入力線路104から入力した信号は、梁101と容量的に結合し、梁101に静電力を発生させる。信号の周波数が、梁101、102および結合梁103からなる弾性構造体の共振周波数近傍と一致したときのみ、機械振動が励振され、この機械振動をさらに出力線路105と梁102との間の静電容量の変化として検出することで、入力信号のフィルタリング出力を取り出すようにしたものである。
矩形断面の両持ち梁の場合、弾性率E、密度ρ、厚みh、長さLとすると、たわみ振動の共振周波数fは、次式となる。
Figure 2006013741
材料をポリシリコンとするとE=160GPa、ρ=2.2×10kg/m、また寸法をL=40μm、h=1.5μmとするとf=8.2MHzとなり、約8MHz帯のフィルタを構成することが可能である。コンデンサやコイルなどの受動回路で構成したフィルタに比べて、機械共振を用いることで、Q値の高い急峻な周波数選択特性を得ることができる。
しかしながら、上記構成では、さらに高周波帯のフィルタを構成するには、以下のような制約がある。すなわち、(数1)から明らかなように、第1に材料を変更してE/ρを大きくすることが望ましいことがわかるが、Eを大きくすると、梁をたわませる力が同じであっても梁の変位量は小さくなってしまい、梁の変位を検知することが難しくなる。また、梁の曲がりやすさをあらわす指標を、両持ち梁の梁表面に静荷重を加えたときの梁中心部のたわみ量dと梁の長さLの比d/Lとすると、d/Lは、次式の比例関係で表される。
Figure 2006013741
これらから、d/Lの値を保ちながら共振周波数を上げるには、少なくともEは変更できず、密度ρの低い材料を求める必要があるが、ポリシリコンと同等のヤング率で密度が低い材料としてはCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の複合材料を用いる必要がある。この場合、半導体プロセスで微小機械振動フィルタを構成することは難しくなる。
そこで、このような複合材料を用いない第2の方法としては、(数1)において梁の寸法を変更して、h・L−2を大きくすることがある。しかし、梁の厚みhを大きくすることと、梁の長さLを小さくすることは、たわみやすさの指標である(数2)のd/Lを小さくしてしまい、梁のたわみを検出することが困難となる。
(数1)および(数2)について、log(L)とlog(h)の関係を図19に示すと、直線191は(数1)から求まる関係であり、直線192は(数2)から求まる関係である。この図19において、現寸法A点を起点に傾き「2」の直線より上の範囲(領域A)のLとhを選ぶとfは大きくなり、傾き「1」の直線より下の範囲(領域B)のLとhを選ぶとd/Lは大きくなる。従って、図中のハッチング部分(領域C)が梁のたわみ量も確保しつつ、共振周波数を上げることができるLとhの範囲である。
図19より明らかなことは、機械振動フィルタの高周波化には、梁の長さLおよび梁の厚みh双方の寸法の微小化が必要条件であり、Lおよびhを同じスケーリングで小型化すること、すなわち傾き1の直線に乗りながらLとhを小さくすることは、図19のハッチング部分の十分条件である。
このように、従来の機械共振器では機械振動体の寸法を小型化することで、共振周波数は高周波化される。しかし、概して寸法を小型化することで、たわみ振動の機械的Q値が低下するという課題を有していた。この現象については例えば非特許文献2において、単結晶シリコン片持ち梁を用いて、梁の長さ、厚みおよびたわみ共振のQ値の関係を測定した結果が示されている。この非特許文献2では、梁の長さを短く、かつ梁の厚さを薄くすることでQ値は低下していることが示されている。従って、従来のたわみ振動を用いた共振器を小型化してフィルタに適用すると、望ましい周波数選択特性を得るために必要なQ値が得られない場合も生じるという課題を有していた。
そこで、Q値のすぐれた共振器として捩り振動子を利用した捩り共振器が考えられる。例えば図21に示すように、この捩り共振器は、両持ち梁中央部にパドル202を有する振動子201を用いて、入力線路204とパドル202との間の静電力で振動子を励振し、出力線路205とパドル202間の静電容量の変化を電気信号に変換する。この捩り共振器においては、パドルと入力線路間電圧Vi、パドル202と出力線路205間電圧Vo各々の大きさや位相差によって励起されるモードが異なる。今、|Vi|>|Vo|とし、Voによる静電力の梁の振動への関与が極めて少ないとすると、振動子にはたわみ振動と捩り振動が励起される。
このように、捩り振動子を利用した捩り共振器には捩り振動以外、すなわち捩り振動を励起する電極でたわみ振動も励起してしまうことになり、このような捩り共振器をフィルタに応用した場合は、通過帯域以外にも意図しない通過帯域を有することになる。
また、特定の振動モードを選択的に励起する方法として、特許文献1に記載された作動シグナリングがある。これは、複数個の腹を有する高次のたわみ振動に対する励振方法であり、交流信号vと180度位相の異なる−vの信号のうち、一方を腹に近づく電極に印加し、他方を腹と遠ざかる電極に印加する。交流信号vから交流信号−vを作製するには、vを分波して180度移相器に通すのが一般的である。
Frank D.Bannon III,John R.Clark,and Clark T.−C.Nguyen,″High−QHF Microelectromechanical Filters,″IEEE Journal of SolidState Circuits,Vol.35,No.4,pp.512−526,April 2000. K.Y.Yasumura et al.,″Quality Factors in Micron−and Submicron−ThickCantilevers″,IEEE Journal of Microelectromechanical Systems,Vol.9,No.1,March 2000. 特表2002−535865号公報(第20−21頁、図8)
しかしながら、特許文献1の方法では、移相器には通常、波長オーダの線路長が必要となるためフィルタの小型化の妨げとなる。また、180度の位相を精度良く作るための調整が必要となる。さらに目的とする周波数1点以外では目的とする移相量からのずれが生じるため、この交流信号を用いて適応的に共振周波数が可変な共振器を励振しようとすると、ある共振周波数ではvと−vで励振できても、異なる共振周波数に切り替えた場合は、−vの信号を確保するのが困難となる。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、簡易な方法で捩り共振器の捩り振動以外の振動モードを極力抑制することができ、高周波での使用が可能な捩り共振器を提供することを目的とする。
特に、本発明は、適応的に共振周波数が切替可能な共振器に対しても、簡易な方法で捩り振動以外の振動モードを極力抑制できる共振器を提供することも目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の捩り共振器は、振動体が梁構造、または梁構造上にパドル状の突起構造を付加したものであり、電極と振動体間の電位差により生ずる静電力が、振動体の梁の軸を中心軸としたモーメントを加えるもので、かつ梁にたわみを生ずる力を加えないものであることを特徴とする。
本構成によって、簡易な方法で捩り共振器の捩り振動以外の振動モードを極力抑制することが可能となる。
すなわち、本発明の捩り共振器は、機械的振動を行う振動体と、前記振動体に近接して位置する電極とを有し、前記振動体と前記電極との間の電圧変化を、前記振動体の振動に変換する電気機械変換機能を有する捩り共振器であり、前記振動体は梁構造体で構成されており、前記電極と前記振動体との間の電位差により生ずる静電力が、前記梁構造体の軸を中心軸としたモーメントを生起するように構成されるとともに、前記振動体の捩り振動に伴い、前記振動体との距離が遠ざかる電極と、振動体との距離が近づく電極との電極対には、同一交流信号と、極性の異なる直流バイアス電圧を印加するように構成された駆動手段を具備したことを特徴とする。
上記構成によれば、簡単な構成で捩り振動を生起することができ、望ましいQ値をもつ共振特性を得ることができる。また、この構成によれば、簡単な構成で、捩り振動のみを生起することができる。
また、本発明の捩り共振器は、前記梁構造体が、軸対称となる位置に突出部を具備した梁を備えたものを含む。
この構成によれば、電極と梁構造体との間で静電力を生起しやすく、効率よく捩り振動を生起することができる。またこの梁は両持ち梁であれば、より安定であるが、片持ち梁であってもよい。
また、本発明の捩り共振器は、前記梁構造体が、パドル状の突出部を具備したものを含む。
また、本発明の捩り共振器は、2対以上の電極対を有し、前記駆動手段は、前記電極対の少なくとも一部の電極に印加される直流バイアス電圧の極性を切り替えることで、捩り共振の低次モードと高次モードとを切り替えるようにしたものを含む。
また、本発明の捩り共振器は、前記電極が、前記振動体の捩り振動に伴い、前記振動体との距離が等しくなるように、前記振動体に対し捩れの方向に配置されて電極対を構成しており、前記駆動手段は、前記振動体の捩り振動に伴い、前記電極対には、同一交流信号と、同一の直流バイアス電圧を印加するように構成されたことを特徴とする。
この構成によれば、各電極に同一電圧を印加すればよいため、駆動手段を簡略化することができる。
また、本発明の捩り共振器は、異なる捩り共振周波数を有する前記複数の捩り共振器と、前記捩り共振器の少なくとも1つを選択するスイッチ素子とを備えたものを含む。
また、本発明の捩り共振器は、電気的に並列に配置された複数個捩り共振器を備えたものを含む。
また、本発明の捩り共振器は、前記捩り共振器が、雰囲気を真空に封止したケース内に収納されたものを含む。
また、本発明のフィルタは、上記捩り共振器を用いたものを含む。
本発明の捩り共振器の構成によれば、Q値が高く、数百MHz〜数GHz帯で使用可能なフィルタを提供することができる。
本発明の実施の形態1における捩り共振器の斜視図 本発明の実施の形態1における捩り共振器の振幅スペクトル 本発明の実施の形態1における捩り2次共振波形を示す図 たわみ振動も励起する捩り共振器の斜視図 図4の構成における捩り共振器の振幅スペクトル たわみ振動も励起する捩り共振器の斜視図 図6の構成における捩り共振器の振幅スペクトル 本発明の実施の形態1における捩り共振器励振回路のブロック図 本発明の実施の形態1において出力電圧信号端子を設けた捩り共振器励振回路を示す図ブロック図 本発明の実施の形態1において出力電圧信号端子を設けた捩り共振器励振回の装置説明図 本発明の実施の形態1における捩り共振器の製造方法の説明図 本発明の実施の形態1における捩り共振器の変形例を示す説明図 本発明の実施の形態2における捩り共振器励振回路のブロック図 本発明の実施の形態2において捩り1次振動のみを励振させたときの振動子の振幅スペクトル図 本発明の実施の形態2における捩り共振器をN個並列配置した構成図および振幅スペクトル図 本発明の実施の形態3の捩り共振器を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A断面図 本発明の実施の形態4の捩り共振器を示す図であり、(a)は断面図、(b)は(a)の変形例を示す図 従来の機械共振器を用いたフィルタを示す概略図 従来例における、機械共振器の寸法と高周波化の関係を示す特性図 たわみ振動と捩り振動のQ値を比較した実験結果を示す図 たわみ振動と捩り振動の双方が励起される共振器を示す図
符号の説明
1 振動子
2 基板
3 パドル
4 電極
11 分配器
12a、12b コンデンサ
13a、13b インダクタンス
14 捩り共振器
15 電流−電圧変換回路
31 酸化シリコン層
32 単結晶シリコン層
R レジスト
101、102 両持ち梁型振動子
103 結合梁
104 入力線路
105 出力線路
191 同一周波数を有する長さLと厚さhの関係を示す直線
192 同じたわみやすさの指標を有する長さLと厚さhの関係を示す直線
201 振動子
202 パドル
204 入力線路
205 出力線路
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における捩り共振器の斜視図である。本実施の形態1の捩り共振器は、軸対称位置にパドル状突起3a、3b、3c、3dを有する機械的振動を行う振動体1と、各パドル状突起3a、3b、3c、3dに近接して配置された電極4a、4b、4c、4dとを有し、各パドル状突起3a、3b、3c、3dとこれらにそれぞれ対応する電極4a、4b、4c、4dとの間の電圧変化を、前記振動体の振動に変換する電気機械変換機能を有する電気機械共振器であり、前記電極4a、4b、4c、4dと前記振動体との間の電位差により生ずる静電力が、前記振動体1の梁構造体の軸を中心軸としたモーメントを生起するように構成された駆動手段とを具備したことを特徴とする。
ここで、振動体1は両端を固定された両持ち梁である。振動体1には、4つのパドル3a〜3dが配置されている。各パドル3に対向して基板2上には電極4a〜4dがギャップgを介して配置されている。梁の材料はヤング率約160GPaの単結晶シリコンであり、長さLは1.0μm、厚さtは100nm、幅Wは100nm、パドル長Lpは100nmとした。
振動体1は電気的に接地されており、駆動手段10は、電極4a乃至4dへの通電を以下のように制御している。すなわち電極4aと4dにはバイアス電圧Vpが印加されており、電極4bと4cにはバイアス電圧−Vpが印加され、各電極4a〜4dには交流信号が印加された状態を形成している。交流電圧の電位のピークにおいては、パドル3aと3dには最大の静電力が基板方向に向かって印加されている。また、そのときパドル3bと3cには、最小の静電力が基板方向に向かって印加されている。これは、動作点(交流電圧の電位が0のとき)からみると、パドル3aと3dには基板方向へ向かう力が、パドル3bと3cには基板2の上方へ向かう力が作用していることと等価となる。この結果、振動体1は軸まわりのモーメントを受けることになり、ねじり振動が励起される。図1の状態で、振動体1への励振を行った時のパドル先端の変位量を、周波数軸上で示した結果が図2である。図3に示したような共振波形を有する1.8GHzの捩り2次共振に、スペクトルのピークを持つ共振器が実現されている。ここで、共振波形とは、「振動子の軸がねじれている形」を意味し、軸がねじれることによってパドルは変位するが、パドル自身の変形するものではない。」
なお、図4に示すように、対角線上にある電極4aと4dのみに、バイアス電圧Vpと交流信号を印加したときの変位量のスペクトルは図5のようになり、1.8GHzのねじり2次共振以外にも0.70GHzのたわみ1次共振(基板垂直方向)、2.9GHzのたわみ3次共振(基板垂直方向)も励起されてしまい、本捩り共振器をフィルタ回路に適用する場合には、目的以外の周波数帯域にも通過域を持ってしまうことになり好ましくない。
さらに、図6に示すたように、1つの電極4aのみに、バイアス電圧Vpと交流信号を印加したときの変位量のスペクトルは図7となり、さらに1.2GHzのねじり共振1次と1.5GHzのたわみ2次共振(基板垂直方向)も励起されてしまう。
以上、図2を図5、7と比較して明らかなように、図1の構成による各パドル3a乃至3dに対応する電極4a乃至4dにそれぞれ電力供給し、互いにねじれ方向の力を各パドルに生起する静電力を印加するようにした励振により、最も優れたフィルタ特性を提供できるものであることがわかる。
なお、図1の励振に用いる駆動手段10を構成する駆動回路は例えば図8のように、交流信号を分配する分配器11と、分配器11の出力を、コンデンサ12a、12bで直流カットしたあとに、インダクタンス13a、13bを介して一方をバイアス電圧Vpでプルアップしたもの、もう一方をバイアス電圧−Vpでプルアップしたものを、それぞれ図1の捩り共振器の電極4a、4dと、4b、4cに供給することで実現できる。
電気的に位相を変える一般的な移相器は、波長オーダの線路長が必要となり共振器の励振回路の小型化に難があり、また正確に180度の移相調整が必要となるが、本実施例のように極性の異なるバイアス電圧とインダクタで同一交流信号をプルアップすることで、位相が正確に180度異なる梁への励振力を得ることができる。
また、図1の捩り共振器は、振動体1の共振点付近で電気的インピーダンスが最小になり、最も大きな電流が捩り共振器に流れ込む。例えば図9に示したように、バイアス電圧Vpでプルアップした側の端子電極の一方である、例えば電極4dに電流−電圧変換回路15を設け、この電流−電圧変換回路15の出力を出力端子とすることで、入出力電圧端子を備えたフィルタを構成することができる。
なお、図9に示したフィルタの電流−電圧変換回路は、図10のようなトランジスタ回路で構成できる。ここでは、極性の異なるバイアス電圧Vpと−Vpとが印加された2つの交流信号ラインに、それぞれ相補的なトランジスタ対を設けて、ベース共通型の増幅器を構成している。捩り共振器は、ベースと接地間に挿入した。各トランジスタのコレクタからは、位相の異なる2系統のフィルタ出力が得られる。
次に本発明の実施の形態1における捩り共振器の製造方法について説明する。図11(a)乃至(c)は、梁の一部分を拡大したものであり、その製造工程を示している。
この工程では、SOI(Silicon on Insulator)基板を用いている。この場合、SOI基板の上部の単結晶シリコン層が梁構造となる。
この図では、ベース層としてのシリコン基板を省略しているが、シリコン基板表面に酸化シリコン膜からなる酸化膜31を介して、デバイス形成層としての所望のキャリア濃度の単結晶シリコン層32を貼着したSOI(Silicon−On−Insulator)基板を用いる。
まず単結晶シリコン層32上にレジストを塗布してパターニングする(図11(a))。このレジストをマスクとして、RIE(反応性イオンエッチング)を用いてシリコンを垂直方向に加工する(図11(b))。単結晶シリコン層32の壁面には(100)面が露出している。次にKOHで単結晶シリコン層32の異方性エッチングを行い、マスクのパターン幅よりも細いシリコンの構造体を形成する(図11(c))。
上記構成によれば、たわみ振動を含む共振器に比べて、Q値が高い捩り共振器を提供することができる。
本発明者らは、たわみ振動と捩り振動のQ値の差異を実証するために、厚さ約2μm、長さ約10、20、30μmのアルミニウムスパッタ薄膜を用いて構成された両持ち梁を励振し、Q値の値を測定した。図20の横軸は真空度、縦軸はQ値である。長さ約30μmのたわみ共振3次、長さ約20μmのたわみ共振2次、長さ約10μmのたわみ共振1次のQ値が200〜400であるのに対して、長さ20μmの捩り共振1次のQ値は2000であり、Q値に関して、捩り振動は、たわみ振動に対して優位性を持つことを示している。
このように、共振器を小型化して共振の高周波化を図る上で、捩り振動を用いた共振器を用いることで、たわみ振動に比べてQ値の高い共振器を構成することが可能と考えられる。
なお、非特許文献3においては、両持ち梁を静電力で励振し、同一共振器のたわみ共振と捩り共振を観察している。非特許文献3によれば、たわみ共振スペクトルと捩り共振スペクトルが示されており、たわみ共振ではスペクトルから非線形性が見られる。これは励振する静電力の大きさによって顕著であり、フィルタ回路に利用するには好ましくない特性である。しかし、捩り共振スペクトルからは非線形性は観察されず、フィルタ回路に捩り共振器を利用することにより良好な特性を得ることができることがわかる。
S.Evoy et al.,″Nanofabrication and electrostatic operation ofsingle−crystal silicon paddle oscillators″,Journal of Applied Physics,Vol.86,No.11,1 December 1999,pp.6072−6077.
次に、シリコンの異方性エッチングを用いた別の方法として、非特許文献4に紹介されている量子細線の生成方法も利用できる。図12はその基本的なプロセス図である。
まず、単結晶シリコン基板30をベース層とし、酸化シリコン層31を介してシリコン層32貼着したSOI基板上に窒化シリコン膜33を形成して、これをパターニングする(図12(a))。このパターンのエッジがシリコン層32の(110)に沿うように形成する。
次にKOHを用いて、シリコン層32の異方性エッチングを行う。(111)面のエッチング速度は他の面よりも極めて遅いため、結果として図12(b)に示すように、(111)面が露出するようにエッチングが進行する。
そして、上面を、この窒化シリコン膜33で覆われた状態で酸化を行い、この(111)面を局所的に酸化シリコン膜35で保護し、マスクとした窒化シリコン膜33を再度パターニングする。
そして、再びKOHを用いてシリコン層32の異方性エッチングを行うことで、図12(c)に示すように、三角形断面のシリコン梁構造体を得ることができる。この構造体は、局所的なSiO保護膜とSOI基板の中間層の酸化シリコン層31とをフッ酸で除去することで、可動体となる。
最終的に捩り共振器の振動子は図12(d)に示すように、軸対称構造の振動子を構成するように形状加工がなされる。
G.Hashiguchi and H.Mimura,"Fabrication of Silicon Quantum Wires Using Separation by Implanted Oxygen Wafer",Jpn.J.Appl.Phys.Vol.33(1994),pp.L1649−1650.
これら図11、12のプロセスは、半導体プロセスにおけるパターニング幅の限界を越えた細さの構造物を形成できるので、数百MHz〜数GHzの微細な共振器を作製するのに有用なプロセスである。
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図13は、本発明の実施の形態2における捩り共振器を励振する回路のブロック図である。振動子および電極の配置は、実施の形態1で示した図1と同様であるが、入力信号は分配器11で4つの信号に分配され、電極4a〜4dに加えられる、それぞれのバイアス電圧が−VpからVpまで設定可能であることを特徴とする。電極4aと4dにバイアス電圧Vpを、電極4bと4cにバイアス電圧−Vpを印加した時の振動子の振幅スペクトルは、図2に示したように、捩り2次共振のみを持つ。しかし、電極4aと4cのバイアス電圧をVpに、4b、4dのバイアス電圧を−Vpに切り替えることで、振動子1の振幅スペクトルは、図14に示すように、捩り1次共振のみを持つものに変更することができる。すなわち、バイアス電圧を切り替えることで、異なる捩り共振周波数を有する捩り共振器を形成することができる。
図15(a)は本実施の形態2のそれぞれ異なる捩り共振周波数を有する捩り共振器をN個並列に並べて、そのうちの1つをスイッチ素子30にて選択するものとした構成である。バイアス電圧の切替えと、スイッチの選択により、2×N通りの異なる共振周波数を有する捩り共振器24を構成することができる。i番目の共振器の捩り共振周波数を、fi1、fi2の2通りに切り替えられるものとすると、スペクトルを図15(b)のように周波数軸上に等間隔に2N個並べることができ、周波数選択型のフィルタとして利用可能となる。
電気的に位相を変える一般的な移相器では、ある特定の周波数一点での移相量を設定できるが、その他の帯域では移相量が異なってくる。しかし、本実施例のように極性の異なるバイアス電圧とインダクタで同一交流信号をプルアップすることで、共振器の励振モードの高次と低次を適応的に切り替えても、切り替え可能な周波数帯域内でインダクタが十分高インピーダンスとみなすことができれば、位相が正確に180度異なる梁への励振力を得ることができる。
かかる構成によれば、電極と振動体間の電位差により生ずる静電力が、振動体の梁の軸を中心軸としたモーメントを加えるもので、かつ梁にたわみ振動を生ずる力を加えないので、簡易な方法で捩り共振器の捩り振動以外の振動モードを極力抑制することが可能となり、本捩り共振器を用いたQ値の高い、数百MHz〜数GHz帯で使用可能なフィルタを提供することができる。
なお、本発明の実施の形態1、2において、バイアス電圧として正の電圧Vpと負の電圧−Vpの2系統を用いたが、0VとVpの2系統を用いても良い。このとき図1中の振動子1には、Vp/2のバイアス電位を加えておけばよい。
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
前記実施の形態1乃至2では、各電極に印加する電圧の位相をずらすように分配器を用いて調整したが、本実施の形態では、図16(a)および(b)に示すように、各電極4a乃至4dに印加する直流バイアス電圧の大きさは同一とし、梁1に対して軸対称方向に電極を配置し、振動体である梁1の捩れ方向に静電力が印加されるように構成したことを特徴とするものである。すなわち、これら電極は、振動体である梁1の捩り振動に伴い、振動体との距離が等しくなるように、振動体に対し、捩れの方向に配置されて電極対を構成している。そして、駆動手段は、振動体の捩り振動に伴い、電極対には、同一交流信号と、同一の直流バイアス電圧を印加するように構成される。他は前記実施の形態1と同様である。なお、同一部位には同一符号を付した。
また本実施の形態では梁1はパドル状ではなく、断面長方形の棒状体で構成した。図16(b)は、図16(a)のA−A断面図である。
本実施の形態の共振器によれば、突出部がないため、振動子に付加される質量が低減され、共振周波数の高周波数化が可能となる。また同一位相交流信号と同一の直流バイアス電圧を各電極に印加すればよいため、駆動手段を構成する駆動回路が極めて簡略化される。
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4について説明する。
前記実施の形態3では、梁1は棒状体としたが、本実施の形態では、図17(a)に示すように、各電極4a乃至4dに対向する部分に、切り欠き1Sを形成したものである。本実施の形態においても実施の形態3と同様に、印加する交流信号の位相および直流バイアス電圧の大きさは同一とし、梁1に対して軸対称方向に電極を配置し、梁の捩れ方向に静電力が印加されるように構成すればよい。他は前記実施の形態1と同様である。なお、同一部位には同一符号を付した。
形状加工は若干複雑となるが、MEMS技術を用いて容易に形成可能である。
また図17(b)に変形例を示すように電極4a乃至4dと振動体とは相対向していればよい。
なお、本発明の実施の形態における共振器を真空封止することで、振動子の振動が空気の粘性の影響を受けない高いQ値の共振器を得ることができる。
また、実施の形態では両持ち梁を捩り振動子に用いているが、両持ち梁に限定するものではなく、片持ち梁を使用してもよい。
また、本発明の実施の形態で示した共振器は容量性の高インピーダンスを有するので、適宜複数個の共振器を電気的に並列接続し、インピーダンスを下げ、入力電気エネルギーを効率よく共振器に伝達させるように構成してもよい。
本発明にかかる捩り共振器は、半導体プロセスで作製可能な極めて微細な構造体が主に静電力で励振されるようにしたものであって、Q値が高い捩り共振を利用し、かつ捩り以外のたわみ振動が励振されない共振周波数の単一性を実現するものであるため、携帯型無線端末に積載される高密度に集積化された高周波フィルタ回路等として有用である。また、音声帯域や超音波帯域におけるスペクトル解析や、機械共振による質量分析等の医療用や環境分野等の用途にも適用できる。
本発明は、捩り共振器およびこれを用いたフィルタに係り、特に高密度に集積化された電気回路内において、捩り共振を用いて高性能のフィルタ回路を実現するものに関する。
従来の機械共振器について図18を参照して説明する。図18は非特許文献1に紹介されている「たわみ振動を用いた機械振動フィルタ」の構成を簡略化して示した図である。
このフィルタは、シリコン基板上に薄膜プロセスを用いてパターン形成を行うことで形成され、入力線路104と、出力線路105と、それぞれの線路に対して1ミクロン以下の空隙をもって配置された両持ち梁101、102と、その2つの梁を結合する結合梁103とで構成されている。入力線路104から入力した信号は、梁101と容量的に結合し、梁101に静電力を発生させる。信号の周波数が、梁101、102および結合梁103からなる弾性構造体の共振周波数近傍と一致したときのみ、機械振動が励振され、この機械振動をさらに出力線路105と梁102との間の静電容量の変化として検出することで、入力信号のフィルタリング出力を取り出すようにしたものである。
矩形断面の両持ち梁の場合、弾性率E、密度ρ、厚みh、長さLとすると、たわみ振動の共振周波数fは、次式となる。
Figure 2006013741
材料をポリシリコンとするとE=160GPa、ρ=2.2×103kg/m3、また寸法をL=40μm、h=1.5μmとするとf=8.2MHzとなり、約8MHz帯のフィルタを構成することが可能である。コンデンサやコイルなどの受動回路で構成したフィルタに比べて、機械共振を用いることで、Q値の高い急峻な周波数選択特性を得ることができる。
しかしながら、上記構成では、さらに高周波帯のフィルタを構成するには、以下のような制約がある。すなわち、(数1)から明らかなように、第1に材料を変更してE/ρを大きくすることが望ましいことがわかるが、Eを大きくすると、梁をたわませる力が同じであっても梁の変位量は小さくなってしまい、梁の変位を検知することが難しくなる。また、梁の曲がりやすさをあらわす指標を、両持ち梁の梁表面に静荷重を加えたときの梁中心部のたわみ量dと梁の長さLの比d/Lとすると、d/Lは、次式の比例関係で表される。
Figure 2006013741
これらから、d/Lの値を保ちながら共振周波数を上げるには、少なくともEは変更できず、密度ρの低い材料を求める必要があるが、ポリシリコンと同等のヤング率で密度が低い材料としてはCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の複合材料を用いる必要がある。この場合、半導体プロセスで微小機械振動フィルタを構成することは難しくなる。
そこで、このような複合材料を用いない第2の方法としては、(数1)において梁の寸法を変更して、h・L-2を大きくすることがある。しかし、梁の厚みhを大きくすることと、梁の長さLを小さくすることは、たわみやすさの指標である(数2)のd/Lを小さくしてしまい、梁のたわみを検出することが困難となる。
(数1)および(数2)について、log(L)とlog(h)の関係を図19に示すと、直線191は(数1)から求まる関係であり、直線192は(数2)から求まる関係である。この図19において、現寸法A点を起点に傾き「2」の直線より上の範囲(領域A)のLとhを選ぶとfは大きくなり、傾き「1」の直線より下の範囲(領域B)のLとhを選ぶとd/Lは大きくなる。従って、図中のハッチング部分(領域C)が梁のたわみ量も確保しつつ、共振周波数を上げることができるLとhの範囲である。
図19より明らかなことは、機械振動フィルタの高周波化には、梁の長さLおよび梁の厚みh双方の寸法の微小化が必要条件であり、Lおよびhを同じスケーリングで小型化すること、すなわち傾き1の直線に乗りながらLとhを小さくすることは、図19のハッチング部分の十分条件である。
このように、従来の機械共振器では機械振動体の寸法を小型化することで、共振周波数は高周波化される。しかし、概して寸法を小型化することで、たわみ振動の機械的Q値が低下するという課題を有していた。この現象については例えば非特許文献2において、単結晶シリコン片持ち梁を用いて、梁の長さ、厚みおよびたわみ共振のQ値の関係を測定した結果が示されている。この非特許文献2では、梁の長さを短く、かつ梁の厚さを薄くすることでQ値は低下していることが示されている。従って、従来のたわみ振動を用いた共振器を小型化してフィルタに適用すると、望ましい周波数選択特性を得るために必要なQ値が得られない場合も生じるという課題を有していた。
そこで、Q値のすぐれた共振器として捩り振動子を利用した捩り共振器が考えられる。例えば図21に示すように、この捩り共振器は、両持ち梁中央部にパドル202を有する振動子201を用いて、入力線路204とパドル202との間の静電力で振動子を励振し、出力線路205とパドル202間の静電容量の変化を電気信号に変換する。この捩り共振器においては、パドルと入力線路間電圧Vi、パドル202と出力線路205間電圧Vo各々の大きさや位相差によって励起されるモードが異なる。今、|Vi|>|Vo|とし、Voによる静電力の梁の振動への関与が極めて少ないとすると、振動子にはたわみ振動と捩り振動が励起される。
このように、捩り振動子を利用した捩り共振器には捩り振動以外、すなわち捩り振動を励起する電極でたわみ振動も励起してしまうことになり、このような捩り共振器をフィルタに応用した場合は、通過帯域以外にも意図しない通過帯域を有することになる。
また、特定の振動モードを選択的に励起する方法として、特許文献1に記載された作動シグナリングがある。これは、複数個の腹を有する高次のたわみ振動に対する励振方法であり、交流信号vと180度位相の異なる−vの信号のうち、一方を腹に近づく電極に印加し、他方を腹と遠ざかる電極に印加する。交流信号vから交流信号−vを作製するには、vを分波して180度移相器に通すのが一般的である。
Frank D.Bannon III, John R.Clark, and Clark T.-C.Nguyen, "High-Q HF Microelectromechanical Filters," IEEE Journal of Solid-State Circuits, Vol. 35, No.4, pp.512-526, April 2000. K. Y. Yasumura et al., "Quality Factors in Micron-and Submicron-Thick Cantilevers", IEEE Journal of Microelectromechanical Systems, Vol. 9, No.1, March 2000. 特表2002−535865号公報(第20−21頁、図8)
しかしながら、特許文献1の方法では、移相器には通常、波長オーダの線路長が必要となるためフィルタの小型化の妨げとなる。また、180度の位相を精度良く作るための調整が必要となる。さらに目的とする周波数1点以外では目的とする移相量からのずれが生じるため、この交流信号を用いて適応的に共振周波数が可変な共振器を励振しようとすると、ある共振周波数ではvと−vで励振できても、異なる共振周波数に切り替えた場合は、−vの信号を確保するのが困難となる。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、簡易な方法で捩り共振器の捩り振動以外の振動モードを極力抑制することができ、高周波での使用が可能な捩り共振器を提供することを目的とする。
特に、本発明は、適応的に共振周波数が切替可能な共振器に対しても、簡易な方法で捩り振動以外の振動モードを極力抑制できる共振器を提供することも目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の捩り共振器は、振動体が梁構造、または梁構造上にパドル状の突起構造を付加したものであり、電極と振動体間の電位差により生ずる静電力が、振動体の梁の軸を中心軸としたモーメントを加えるもので、かつ梁にたわみを生ずる力を加えないものであることを特徴とする。
本構成によって、簡易な方法で捩り共振器の捩り振動以外の振動モードを極力抑制することが可能となる。
すなわち、本発明の捩り共振器は、機械的振動を行う振動体と、前記振動体に近接して位置する電極とを有し、前記振動体と前記電極との間の電圧変化を、前記振動体の振動に変換する電気機械変換機能を有する捩り共振器であり、前記振動体は梁構造体で構成されており、前記電極と前記振動体との間の電位差により生ずる静電力が、前記梁構造体の軸を中心軸としたモーメントを生起するように構成されるとともに、前記振動体の捩り振動に伴い、前記振動体との距離が遠ざかる電極と、振動体との距離が近づく電極との電極対には、同一交流信号と、極性の異なる直流バイアス電圧を印加するように構成された駆動手段を具備したことを特徴とする。
上記構成によれば、簡単な構成で捩り振動を生起することができ、望ましいQ値をもつ共振特性を得ることができる。また、この構成によれば、簡単な構成で、捩り振動のみを生起することができる。
また、本発明の捩り共振器は、前記梁構造体が、軸対称となる位置に突出部を具備した梁を備えたものを含む。
この構成によれば、電極と梁構造体との間で静電力を生起しやすく、効率よく捩り振動を生起することができる。またこの梁は両持ち梁であれば、より安定であるが、片持ち梁であってもよい。
また、本発明の捩り共振器は、前記梁構造体が、パドル状の突出部を具備したものを含む。
また、本発明の捩り共振器は、2対以上の電極対を有し、前記駆動手段は、前記電極対の少なくとも一部の電極に印加される直流バイアス電圧の極性を切り替えることで、捩り共振の低次モードと高次モードとを切り替えるようにしたものを含む。
また、本発明の捩り共振器は、前記電極が、前記振動体の捩り振動に伴い、前記振動体との距離が等しくなるように、前記振動体に対し捩れの方向に配置されて電極対を構成しており、前記駆動手段は、前記振動体の捩り振動に伴い、前記電極対には、同一交流信号と、同一の直流バイアス電圧を印加するように構成されたことを特徴とする。
この構成によれば、各電極に同一電圧を印加すればよいため、駆動手段を簡略化することができる。
また、本発明の捩り共振器は、異なる捩り共振周波数を有する前記複数の捩り共振器と、前記捩り共振器の少なくとも1つを選択するスイッチ素子とを備えたものを含む。
また、本発明の捩り共振器は、電気的に並列に配置された複数個捩り共振器を備えたものを含む。
また、本発明の捩り共振器は、前記捩り共振器が、雰囲気を真空に封止したケース内に収納されたものを含む。
また、本発明のフィルタは、上記捩り共振器を用いたものを含む。
本発明の捩り共振器の構成によれば、Q値が高く、数百MHz〜数GHz帯で使用可能なフィルタを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における捩り共振器の斜視図である。本実施の形態1の捩り共振器は、軸対称位置にパドル状突起3a、3b、3c、3dを有する機械的振動を行う振動体1と、各パドル状突起3a、3b、3c、3dに近接して配置された電極4a、4b、4c、4dとを有し、各パドル状突起3a、3b、3c、3dとこれらにそれぞれ対応する電極4a、4b、4c、4dとの間の電圧変化を、前記振動体の振動に変換する電気機械変換機能を有する電気機械共振器であり、前記電極4a、4b、4c、4dと前記振動体との間の電位差により生ずる静電力が、前記振動体1の梁構造体の軸を中心軸としたモーメントを生起するように構成された駆動手段とを具備したことを特徴とする。
ここで、振動体1は両端を固定された両持ち梁である。振動体1には、4つのパドル3a〜3dが配置されている。各パドル3に対向して基板2上には電極4a〜4dがギャップgを介して配置されている。梁の材料はヤング率約160GPaの単結晶シリコンであり、長さLは1.0μm、厚さtは100nm、幅Wは100nm、パドル長Lpは100nmとした。
振動体1は電気的に接地されており、駆動手段10は、電極4a乃至4dへの通電を以下のように制御している。すなわち電極4aと4dにはバイアス電圧Vpが印加されており、電極4bと4cにはバイアス電圧−Vpが印加され、各電極4a〜4dには交流信号が印加された状態を形成している。交流電圧の電位のピークにおいては、パドル3aと3dには最大の静電力が基板方向に向かって印加されている。また、そのときパドル3bと3cには、最小の静電力が基板方向に向かって印加されている。これは、動作点(交流電圧の電位が0のとき)からみると、パドル3aと3dには基板方向へ向かう力が、パドル3bと3cには基板2の上方へ向かう力が作用していることと等価となる。この結果、振動体1は軸まわりのモーメントを受けることになり、ねじり振動が励起される。図1の状態で、振動体1への励振を行った時のパドル先端の変位量を、周波数軸上で示した結果が図2である。図3に示したような共振波形を有する1.8GHzの捩り2次共振に、スペクトルのピークを持つ共振器が実現されている。ここで、共振波形とは、「振動子の軸がねじれている形」を意味し、軸がねじれることによってパドルは変位するが、パドル自身の変形するものではない。」
なお、図4に示すように、対角線上にある電極4aと4dのみに、バイアス電圧Vpと交流信号を印加したときの変位量のスペクトルは図5のようになり、1.8GHzのねじり2次共振以外にも0.70GHzのたわみ1次共振(基板垂直方向)、2.9GHzのたわみ3次共振(基板垂直方向)も励起されてしまい、本捩り共振器をフィルタ回路に適用する場合には、目的以外の周波数帯域にも通過域を持ってしまうことになり好ましくない。
さらに、図6に示すたように、1つの電極4aのみに、バイアス電圧Vpと交流信号を印加したときの変位量のスペクトルは図7となり、さらに1.2GHzのねじり共振1次と1.5GHzのたわみ2次共振(基板垂直方向)も励起されてしまう。
以上、図2を図5、7と比較して明らかなように、図1の構成による各パドル3a乃至3dに対応する電極4a乃至4dにそれぞれ電力供給し、互いにねじれ方向の力を各パドルに生起する静電力を印加するようにした励振により、最も優れたフィルタ特性を提供できるものであることがわかる。
なお、図1の励振に用いる駆動手段10を構成する駆動回路は例えば図8のように、交流信号を分配する分配器11と、分配器11の出力を、コンデンサ12a、12bで直流カットしたあとに、インダクタンス13a、13bを介して一方をバイアス電圧Vpでプルアップしたもの、もう一方をバイアス電圧−Vpでプルアップしたものを、それぞれ図1の捩り共振器の電極4a、4dと、4b、4cに供給することで実現できる。
電気的に位相を変える一般的な移相器は、波長オーダの線路長が必要となり共振器の励振回路の小型化に難があり、また正確に180度の移相調整が必要となるが、本実施例のように極性の異なるバイアス電圧とインダクタで同一交流信号をプルアップすることで、位相が正確に180度異なる梁への励振力を得ることができる。
また、図1の捩り共振器は、振動体1の共振点付近で電気的インピーダンスが最小になり、最も大きな電流が捩り共振器に流れ込む。例えば図9に示したように、バイアス電圧Vpでプルアップした側の端子電極の一方である、例えば電極4dに電流−電圧変換回路15を設け、この電流−電圧変換回路15の出力を出力端子とすることで、入出力電圧端子を備えたフィルタを構成することができる。
なお、図9に示したフィルタの電流−電圧変換回路は、図10のようなトランジスタ回路で構成できる。ここでは、極性の異なるバイアス電圧Vpと−Vpとが印加された2つの交流信号ラインに、それぞれ相補的なトランジスタ対を設けて、ベース共通型の増幅器を構成している。捩り共振器は、ベースと接地間に挿入した。各トランジスタのコレクタからは、位相の異なる2系統のフィルタ出力が得られる。
次に本発明の実施の形態1における捩り共振器の製造方法について説明する。図11(a)乃至(c)は、梁の一部分を拡大したものであり、その製造工程を示している。
この工程では、SOI(Silicon on Insulator )基板を用いている。この場合、SOI基板の上部の単結晶シリコン層が梁構造となる。
この図では、ベース層としてのシリコン基板を省略しているが、シリコン基板表面に酸化シリコン膜からなる酸化膜31を介して、デバイス形成層としての所望のキャリア濃度の単結晶シリコン層32を貼着したSOI(Silicon-On-Insulator)基板を用いる。
まず単結晶シリコン層32上にレジストを塗布してパターニングする(図11(a))。このレジストをマスクとして、RIE(反応性イオンエッチング)を用いてシリコンを垂直方向に加工する(図11(b))。単結晶シリコン層32の壁面には(100)面が露出している。次にKOHで単結晶シリコン層32の異方性エッチングを行い、マスクのパターン幅よりも細いシリコンの構造体を形成する(図11(c))。
上記構成によれば、たわみ振動を含む共振器に比べて、Q値が高い捩り共振器を提供することができる。
本発明者らは、たわみ振動と捩り振動のQ値の差異を実証するために、厚さ約2μm、長さ約10、20、30μmのアルミニウムスパッタ薄膜を用いて構成された両持ち梁を励振し、Q値の値を測定した。図20の横軸は真空度、縦軸はQ値である。長さ約30μmのたわみ共振3次、長さ約20μmのたわみ共振2次、長さ約10μmのたわみ共振1次のQ値が200〜400であるのに対して、長さ20μmの捩り共振1次のQ値は2000であり、Q値に関して、捩り振動は、たわみ振動に対して優位性を持つことを示している。
このように、共振器を小型化して共振の高周波化を図る上で、捩り振動を用いた共振器を用いることで、たわみ振動に比べてQ値の高い共振器を構成することが可能と考えられる。
なお、非特許文献3においては、両持ち梁を静電力で励振し、同一共振器のたわみ共振と捩り共振を観察している。非特許文献3によれば、たわみ共振スペクトルと捩り共振スペクトルが示されており、たわみ共振ではスペクトルから非線形性が見られる。これは励振する静電力の大きさによって顕著であり、フィルタ回路に利用するには好ましくない特性である。しかし、捩り共振スペクトルからは非線形性は観察されず、フィルタ回路に捩り共振器を利用することにより良好な特性を得ることができることがわかる。
S. Evoy et al., "Nanofabrication and electrostatic operation of single-crystal silicon paddle oscillators", Journal of Applied Physics, Vol. 86, No.11, 1 December 1999, pp.6072-6077.
次に、シリコンの異方性エッチングを用いた別の方法として、非特許文献4に紹介されている量子細線の生成方法も利用できる。図12はその基本的なプロセス図である。
まず、単結晶シリコン基板30をベース層とし、酸化シリコン層31を介してシリコン層32貼着したSOI基板上に窒化シリコン膜33を形成して、これをパターニングする(図12(a))。このパターンのエッジがシリコン層32の(110)に沿うように形成する。
次にKOHを用いて、シリコン層32の異方性エッチングを行う。(111)面のエッチング速度は他の面よりも極めて遅いため、結果として図12(b)に示すように、(111)面が露出するようにエッチングが進行する。
そして、上面を、この窒化シリコン膜33で覆われた状態で酸化を行い、この(111)面を局所的に酸化シリコン膜35で保護し、マスクとした窒化シリコン膜33を再度パターニングする。
そして、再びKOHを用いてシリコン層32の異方性エッチングを行うことで、図12(c)に示すように、三角形断面のシリコン梁構造体を得ることができる。この構造体は、局所的なSiO保護膜とSOI基板の中間層の酸化シリコン層31とをフッ酸で除去することで、可動体となる。
最終的に捩り共振器の振動子は図12(d)に示すように、軸対称構造の振動子を構成するように形状加工がなされる。
G. Hashiguchi and H. Mimura, "Fabrication of Silicon Quantum Wires Using Separation by Implanted Oxygen Wafer", Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 33(1994), pp. L1649-1650.
これら図11、12のプロセスは、半導体プロセスにおけるパターニング幅の限界を越えた細さの構造物を形成できるので、数百MHz〜数GHzの微細な共振器を作製するのに有用なプロセスである。
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図13は、本発明の実施の形態2における捩り共振器を励振する回路のブロック図である。振動子および電極の配置は、実施の形態1で示した図1と同様であるが、入力信号は分配器11で4つの信号に分配され、電極4a〜4dに加えられる、それぞれのバイアス電圧が−VpからVpまで設定可能であることを特徴とする。電極4aと4dにバイアス電圧Vpを、電極4bと4cにバイアス電圧−Vpを印加した時の振動子の振幅スペクトルは、図2に示したように、捩り2次共振のみを持つ。しかし、電極4aと4cのバイアス電圧をVpに、4b、4dのバイアス電圧を−Vpに切り替えることで、振動子1の振幅スペクトルは、図14に示すように、捩り1次共振のみを持つものに変更することができる。すなわち、バイアス電圧を切り替えることで、異なる捩り共振周波数を有する捩り共振器を形成することができる。
図15(a)は本実施の形態2のそれぞれ異なる捩り共振周波数を有する捩り共振器をN個並列に並べて、そのうちの1つをスイッチ素子30にて選択するものとした構成である。バイアス電圧の切替えと、スイッチの選択により、2×N通りの異なる共振周波数を有する捩り共振器24を構成することができる。i番目の共振器の捩り共振周波数を、fi1、fi2の2通りに切り替えられるものとすると、スペクトルを図15(b)のように周波数軸上に等間隔に2N個並べることができ、周波数選択型のフィルタとして利用可能となる。
電気的に位相を変える一般的な移相器では、ある特定の周波数一点での移相量を設定できるが、その他の帯域では移相量が異なってくる。しかし、本実施例のように極性の異なるバイアス電圧とインダクタで同一交流信号をプルアップすることで、共振器の励振モードの高次と低次を適応的に切り替えても、切り替え可能な周波数帯域内でインダクタが十分高インピーダンスとみなすことができれば、位相が正確に180度異なる梁への励振力を得ることができる。
かかる構成によれば、電極と振動体間の電位差により生ずる静電力が、振動体の梁の軸を中心軸としたモーメントを加えるもので、かつ梁にたわみ振動を生ずる力を加えないので、簡易な方法で捩り共振器の捩り振動以外の振動モードを極力抑制することが可能となり、本捩り共振器を用いたQ値の高い、数百MHz〜数GHz帯で使用可能なフィルタを提供することができる。
なお、本発明の実施の形態1、2において、バイアス電圧として正の電圧Vpと負の電圧−Vpの2系統を用いたが、0VとVpの2系統を用いても良い。このとき図1中の振動子1には、Vp/2のバイアス電位を加えておけばよい。
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
前記実施の形態1乃至2では、各電極に印加する電圧の位相をずらすように分配器を用いて調整したが、本実施の形態では、図16(a)および(b)に示すように、各電極4a乃至4dに印加する直流バイアス電圧の大きさは同一とし、梁1に対して軸対称方向に電極を配置し、振動体である梁1の捩れ方向に静電力が印加されるように構成したことを特徴とするものである。すなわち、これら電極は、振動体である梁1の捩り振動に伴い、振動体との距離が等しくなるように、振動体に対し、捩れの方向に配置されて電極対を構成している。そして、駆動手段は、振動体の捩り振動に伴い、電極対には、同一交流信号と、同一の直流バイアス電圧を印加するように構成される。他は前記実施の形態1と同様である。なお、同一部位には同一符号を付した。
また本実施の形態では梁1はパドル状ではなく、断面長方形の棒状体で構成した。図16(b)は、図16(a)のA−A断面図である。
本実施の形態の共振器によれば、突出部がないため、振動子に付加される質量が低減され、共振周波数の高周波数化が可能となる。また同一位相交流信号と同一の直流バイアス電圧を各電極に印加すればよいため、駆動手段を構成する駆動回路が極めて簡略化される。
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4について説明する。
前記実施の形態3では、梁1は棒状体としたが、本実施の形態では、図17(a)に示すように、各電極4a乃至4dに対向する部分に、切り欠き1Sを形成したものである。本実施の形態においても実施の形態3と同様に、印加する交流信号の位相および直流バイアス電圧の大きさは同一とし、梁1に対して軸対称方向に電極を配置し、梁の捩れ方向に静電力が印加されるように構成すればよい。他は前記実施の形態1と同様である。なお、同一部位には同一符号を付した。
形状加工は若干複雑となるが、MEMS技術を用いて容易に形成可能である。
また図17(b)に変形例を示すように電極4a乃至4dと振動体とは相対向していればよい。
なお、本発明の実施の形態における共振器を真空封止することで、振動子の振動が空気の粘性の影響を受けない高いQ値の共振器を得ることができる。
また、実施の形態では両持ち梁を捩り振動子に用いているが、両持ち梁に限定するものではなく、片持ち梁を使用してもよい。
また、本発明の実施の形態で示した共振器は容量性の高インピーダンスを有するので、適宜複数個の共振器を電気的に並列接続し、インピーダンスを下げ、入力電気エネルギーを効率よく共振器に伝達させるように構成してもよい。
本発明にかかる捩り共振器は、半導体プロセスで作製可能な極めて微細な構造体が主に静電力で励振されるようにしたものであって、Q値が高い捩り共振を利用し、かつ捩り以外のたわみ振動が励振されない共振周波数の単一性を実現するものであるため、携帯型無線端末に積載される高密度に集積化された高周波フィルタ回路等として有用である。また、音声帯域や超音波帯域におけるスペクトル解析や、機械共振による質量分析等の医療用や環境分野等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における捩り共振器の斜視図 本発明の実施の形態1における捩り共振器の振幅スペクトル 本発明の実施の形態1における捩り2次共振波形を示す図 たわみ振動も励起する捩り共振器の斜視図 図4の構成における捩り共振器の振幅スペクトル たわみ振動も励起する捩り共振器の斜視図 図6の構成における捩り共振器の振幅スペクトル 本発明の実施の形態1における捩り共振器励振回路のブロック図 本発明の実施の形態1において出力電圧信号端子を設けた捩り共振器励振回路を示す図ブロック図 本発明の実施の形態1において出力電圧信号端子を設けた捩り共振器励振回の装置説明図 本発明の実施の形態1における捩り共振器の製造方法の説明図 本発明の実施の形態1における捩り共振器の変形例を示す説明図 本発明の実施の形態2における捩り共振器励振回路のブロック図 本発明の実施の形態2において捩り1次振動のみを励振させたときの振動子の振幅スペクトル図 本発明の実施の形態2における捩り共振器をN個並列配置した構成図および振幅スペクトル図 本発明の実施の形態3の捩り共振器を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A断面図 本発明の実施の形態4の捩り共振器を示す図であり、(a)は断面図、(b)は(a)の変形例を示す図 従来の機械共振器を用いたフィルタを示す概略図 従来例における、機械共振器の寸法と高周波化の関係を示す特性図 たわみ振動と捩り振動のQ値を比較した実験結果を示す図 たわみ振動と捩り振動の双方が励起される共振器を示す図
符号の説明
1 振動子
2 基板
3 パドル
4 電極
11 分配器
12a、12b コンデンサ
13a、13b インダクタンス
14 捩り共振器
15 電流−電圧変換回路
31 酸化シリコン層
32 単結晶シリコン層
R レジスト
101、102 両持ち梁型振動子
103 結合梁
104 入力線路
105 出力線路
191 同一周波数を有する長さLと厚さhの関係を示す直線
192 同じたわみやすさの指標を有する長さLと厚さhの関係を示す直線
201 振動子
202 パドル
204 入力線路
205 出力線路

Claims (9)

  1. 機械的振動を行う振動体と、前記振動体に近接して位置する電極とを有し、前記振動体と前記電極との間の電圧変化を、前記振動体の振動に変換する電気機械変換機能を有する捩り共振器であり、
    前記振動体は梁構造体で構成されており、
    前記電極と前記振動体との間の電位差により生ずる静電力が、前記梁構造体の軸を中心軸としたモーメントを生起するように構成され、
    前記振動体の捩り振動に伴い、前記振動体との距離が遠ざかる電極と、振動体との距離が近づく電極との電極対には、同一交流信号で、極性の異なる直流バイアス電圧を印加するように構成された駆動手段を具備した捩り共振器。
  2. 請求項1に記載の捩り共振器であって、
    前記梁構造体は、軸対称となる位置に突出部を具備した梁を備えた捩り共振器。
  3. 請求項1または2に記載の捩り共振器であって、
    前記梁構造体は、パドル状の突出部を具備した捩り共振器。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の捩り共振器であって、
    2対以上の電極対を有し、
    前記駆動手段は、前記電極対の少なくとも一部の電極に印加される直流バイアス電圧の極性を切り替えることで、捩り共振の低次モードと高次モードとを切り替えるようにした捩り共振器。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の捩り共振器であって、
    前記電極は、前記振動体の捩り振動に伴い、前記振動体との距離が等しくなるように、前記振動体に対し捩れの方向に配置されて電極対を構成した捩り共振器。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の捩り共振器であって、
    異なる捩り共振周波数を有する前記複数の捩り共振器と、前記捩り共振器の少なくとも1つを選択するスイッチ素子とを備えた捩り共振器。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の捩り共振器であって、
    電気的に並列に配置された複数個捩り共振器を備えた捩り共振器。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の捩り共振器であって、
    前記捩り共振器が、雰囲気を真空に封止したケース内に収納された捩り共振器。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の捩り共振器を用いたフィルタ。
JP2006531388A 2004-08-05 2005-07-22 捩り共振器およびこれを用いたフィルタ Expired - Fee Related JP4728242B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006531388A JP4728242B2 (ja) 2004-08-05 2005-07-22 捩り共振器およびこれを用いたフィルタ

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004229666 2004-08-05
JP2004229666 2004-08-05
PCT/JP2005/013502 WO2006013741A1 (ja) 2004-08-05 2005-07-22 捩り共振器およびこれを用いたフィルタ
JP2006531388A JP4728242B2 (ja) 2004-08-05 2005-07-22 捩り共振器およびこれを用いたフィルタ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2006013741A1 true JPWO2006013741A1 (ja) 2008-05-01
JP4728242B2 JP4728242B2 (ja) 2011-07-20

Family

ID=35787032

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006531388A Expired - Fee Related JP4728242B2 (ja) 2004-08-05 2005-07-22 捩り共振器およびこれを用いたフィルタ

Country Status (5)

Country Link
US (1) US7741932B2 (ja)
EP (1) EP1746723A4 (ja)
JP (1) JP4728242B2 (ja)
CN (1) CN1977452B (ja)
WO (1) WO2006013741A1 (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006125984A (ja) * 2004-10-28 2006-05-18 Japan Science & Technology Agency デイジー型カンチレバーホイールを有する計測装置
US7902942B2 (en) * 2005-09-27 2011-03-08 Panasonic Corporation Resonator and filter using the same
JP4994096B2 (ja) * 2006-04-20 2012-08-08 パナソニック株式会社 半導体装置の製造方法およびこれを用いた半導体装置
US20070284680A1 (en) * 2006-04-20 2007-12-13 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Method for manufacturing semiconductor device and semiconductor device using the same
US8026779B2 (en) * 2006-06-14 2011-09-27 Panasonic Corporation Vibrator, resonator using the same and electromechanical filter using the same
JP4930769B2 (ja) * 2006-09-04 2012-05-16 セイコーインスツル株式会社 発振器
JP4977431B2 (ja) * 2006-10-12 2012-07-18 三洋電機株式会社 マイクロメカニカル共振器
JPWO2009104541A1 (ja) * 2008-02-21 2011-06-23 三洋電機株式会社 マイクロメカニカル共振器
CN101971494A (zh) * 2008-03-04 2011-02-09 三洋电机株式会社 共振器及共振器阵列
JP4690436B2 (ja) * 2008-05-01 2011-06-01 株式会社半導体理工学研究センター Mems共振器、mems発振回路及びmemsデバイス
US7999635B1 (en) 2008-07-29 2011-08-16 Silicon Laboratories Inc. Out-of plane MEMS resonator with static out-of-plane deflection
WO2010049217A1 (en) * 2008-10-28 2010-05-06 Nokia Siemens Networks Oy Allocating resource units to a mobile station
JP5523727B2 (ja) * 2009-03-31 2014-06-18 学校法人トヨタ学園 ねじり振動を利用した赤外線の検出方法とこれを実施したねじり振動を利用した赤外線センサ
JP5213284B2 (ja) * 2009-06-09 2013-06-19 パナソニック株式会社 共振器およびこれを用いた発振器
WO2010147156A1 (ja) * 2009-06-17 2010-12-23 三洋電機株式会社 共振器およびその製造方法
WO2010150821A1 (ja) * 2009-06-25 2010-12-29 三洋電機株式会社 共振器
US8916407B1 (en) 2012-03-29 2014-12-23 Sitime Corporation MEMS device and method of manufacturing same
EP3202036B1 (en) * 2014-10-03 2020-05-27 Teknologian Tutkimuskeskus VTT OY Temperature compensated beam resonator
FR3030942A1 (fr) * 2014-12-22 2016-06-24 Commissariat Energie Atomique Oscillateur multi-mode permettant un suivi simultane des variations de plusieurs frequences de resonance d'un resonateur
WO2018182657A1 (en) * 2017-03-30 2018-10-04 Intel Corporation Compensation for temperature coefficient of resonant frequency using atomic layer deposition materials
JP2019215190A (ja) * 2018-06-11 2019-12-19 株式会社デンソー 静電アクチュエータおよび物理量センサ
CN111470467B (zh) * 2020-04-22 2022-08-05 西安交通大学 一种跷跷板结构的自主碰撞式谐振器
CN117856759B (zh) * 2024-03-07 2024-05-24 山东大学 实现悬臂梁微谐振器频率调谐和频谱展宽的方法和装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5451498A (en) * 1977-09-13 1979-04-23 Western Electric Co Electromechanical resonator
JPH05152886A (ja) * 1991-06-04 1993-06-18 Csem Centre Suisse Electron & De Microtech Sa Rech & Dev 捩り基本モードにしたがつて振動する石英共振器
JP2002535865A (ja) * 1999-01-14 2002-10-22 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン 動作周波数を有するマイクロメカニカル共振器を含むデバイス及び動作周波数を拡張する方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3490056A (en) * 1967-05-16 1970-01-13 Gen Electric Electromechanical resonator for integrated circuits
US3634787A (en) * 1968-01-23 1972-01-11 Westinghouse Electric Corp Electromechanical tuning apparatus particularly for microelectronic components
US6424074B2 (en) * 1999-01-14 2002-07-23 The Regents Of The University Of Michigan Method and apparatus for upconverting and filtering an information signal utilizing a vibrating micromechanical device
US6628177B2 (en) * 2000-08-24 2003-09-30 The Regents Of The University Of Michigan Micromechanical resonator device and micromechanical device utilizing same
JP3775276B2 (ja) * 2001-10-24 2006-05-17 株式会社デンソー 静電アクチュエータ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5451498A (en) * 1977-09-13 1979-04-23 Western Electric Co Electromechanical resonator
JPH05152886A (ja) * 1991-06-04 1993-06-18 Csem Centre Suisse Electron & De Microtech Sa Rech & Dev 捩り基本モードにしたがつて振動する石英共振器
JP2002535865A (ja) * 1999-01-14 2002-10-22 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン 動作周波数を有するマイクロメカニカル共振器を含むデバイス及び動作周波数を拡張する方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010069709, A. Olkhovets, S. Evoy, D. W. Carr, J. M. Parpia, and H. G. Craighead, "Actuation and internal friction of torsional nanomechanical silicon resonators", Journal of Vacuum Science & Technology. B. Microelectronics and Nanometer Structures, 200012, vol.18, no.6, p. 3549−3551, US *
JPN7010003985, S. Evoy, D. W. Carr, A. Olkhovets, J. M. Parpia, and H. G. Craighead, "Nanofabrication and electrostatic operation of single−crystal silicon paddle oscillators", Journal of Applied Physics, 19991201, vol.86, no.11, p. 6072−6077, US *

Also Published As

Publication number Publication date
CN1977452A (zh) 2007-06-06
CN1977452B (zh) 2011-12-14
US7741932B2 (en) 2010-06-22
EP1746723A4 (en) 2013-05-29
US20090224850A1 (en) 2009-09-10
WO2006013741A1 (ja) 2006-02-09
JP4728242B2 (ja) 2011-07-20
EP1746723A1 (en) 2007-01-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4728242B2 (ja) 捩り共振器およびこれを用いたフィルタ
US7358648B2 (en) Torsion resonator and filter using this
US6909221B2 (en) Piezoelectric on semiconductor-on-insulator microelectromechanical resonators
KR101917088B1 (ko) 주파수 및 타이밍 생성을 위한 복합 스프링 mems 공진기들
JP3790104B2 (ja) 動作周波数を有するマイクロメカニカル共振器を含むデバイス及び動作周波数を拡張する方法
JP4690436B2 (ja) Mems共振器、mems発振回路及びmemsデバイス
US7696843B2 (en) MEMS filter device having a nanosize coupling element and manufacturing method thereof
JP4961219B2 (ja) パラメトリック共振器およびこれを用いたフィルタ
US7902942B2 (en) Resonator and filter using the same
EP1743381B1 (en) Electromechanical electron transfer devices
KR20170056008A (ko) 발진기들 및 실시간 클럭 응용들을 위한 다수의 코일 스프링 mems 공진기
JP4513366B2 (ja) 機械共振器、フィルタおよび電気回路
JP2007503185A6 (ja) Mems技術を用いた半径方向バルク環状共振器
JP2007503185A (ja) Mems技術を用いた半径方向バルク環状共振器
Elsayed et al. Piezoelectric bulk mode disk resonator post-processed for enhanced quality factor performance
JP2012209885A (ja) Mems振動子および発振器
JP2007175577A (ja) Mems振動子
JP5225840B2 (ja) 振動子、これを用いた共振器およびこれを用いた電気機械フィルタ
JP4930769B2 (ja) 発振器
Baghelani et al. New design of RF MEMS disk resonators and optimization for spurious modes
Dimitri et al. Design, realization and testing of micro-mechanical resonators in thick-film silicon technology with postprocess electrode-to-resonator gap reduction

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080123

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110203

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110315

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110414

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140422

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees