本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いて無線送信を行うOFDM送信装置、これに対応するOFDM受信装置、およびこれらの方法に関する。
近年、移動体通信においては、音声以外にも、画像や文書ファイルなどの様々な情報が伝送の対象になっている。これに伴って、高信頼かつ高速な伝送に対する必要性がさらに高まっている。しかし、移動体通信において高速伝送を行う場合、マルチパスによる遅延波の影響が無視できなくなり、周波数選択性フェージングにより伝送特性が劣化する。
周波数選択性フェージング対策技術の一つとして、OFDM方式に代表されるマルチキャリア通信が注目されている。マルチキャリア通信は、周波数選択性フェージングが発生しない程度に伝送速度が抑えられた複数のサブキャリアを用いてデータを伝送することにより、高速伝送を行う技術である。特に、OFDM方式は、データが配置される複数のサブキャリアの周波数が相互に直交しているため、マルチキャリア通信の中でも最も周波数利用効率が高く、また、比較的簡単なハードウェア構成で実現できる。このため、OFDM方式は、第4世代移動体通信に採用される通信方式の候補として注目されており、様々な検討が加えられている。
従来のOFDM送信装置として、例えば、特許文献1に開示されているものがある。このOFDM送信装置は、複数のサブキャリアから所定数個のサブキャリアを選択し、選択されたサブキャリアにデータチャネルの伝送制御に必要な制御チャネルを挿入している。
特開2001−203665号公報
しかしながら、従来のOFDM送信装置は、制御チャネルを伝送するために、通信システムのリソースをデータチャネルとは別に割り当てているので、この制御チャネルによってデータチャネルに使用するリソースが消費されてしまうという問題がある。データチャネル用のリソースが制御チャネルによって消費されれば、データチャネルに充分なリソースを割り当てることができなくなり、通信システムのスループットが低下することも起こり得る。現在商用サービスとなっているPDC(Personal Digital Cellular)システム、第3世代のW−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)システム等は、OFDM方式を用いた通信システムではないが、これらの通信システムにおいても同様の問題が起こり得る。
よって、本発明の目的は、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく、通信システムのスループット低下を防止することができるOFDM送信装置、OFDM受信装置、およびこれらの方法を提供することである。
OFDM方式においては、受信誤り対策として、同一のデータシンボルを複数個のシンボルに複製して、複数のサブキャリアにマッピングしてから送信するレピティションと呼ばれる技術が存在する。そこで、本発明のOFDM送信装置は、第1情報の内容に応じて第2情報のレピティションパターンを決定する決定手段と、前記レピティションパターンで前記第2情報をレピティションして送信する送信手段と、を具備する構成を採る。ここで、第1情報、第2情報とは、例えば、制御チャネルで送信される情報、データチャネルで送信される情報のことである。
本発明によれば、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく、通信システムのスループット低下を防止することができる。
実施の形態1に係る送信部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態1に係るマッピング部内部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態1に係るパターン生成部で生成されるレピティションパターンの一例を示す図
実施の形態1に係るパターン生成部で生成されるレピティションパターンの一例を示す図
送信シンボルがどのように加工されるかを説明するための図
実施の形態1に係る受信部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態1に係る判定部内部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態1に係る合成部内部の主要な構成を示すブロック図
データ#2に対する一連の送受信処理を説明するための図
実施の形態2に係る送信部および受信部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態2に係る符号化部の処理内容を説明するための図
実施の形態2に係る符号化部の処理内容を説明するための図
送信シンボルがどのように加工されるかを説明するための図
実施の形態3に係る送信部および受信部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態3に係る符号化部によって生成される信号の構成を示す図
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るOFDM通信装置内の送信部100の主要な構成を示すブロック図である。
送信部100は、符号化部101、変調部102、レピティション部103、マッピング部104、IFFT部105、GI付加部106、RF部107、アンテナ108、および符号化部110を備え、送信データであるデータ#1およびデータ#2の無線送信処理を行う。ここで、データ#1は、音声データ、テキストデータ、画像データ等のパケットデータを示す。一方、データ#2は、データ#1の送信に必要な制御情報等のデータを示し、このデータはデータ#1に多重されるデータである。
送信部100の各部は以下の動作を行う。
符号化部101は、データ#1に対して誤り訂正等の符号化を施す。一方、符号化部110は、データ#2に対して誤り訂正等の符号化を施し、マッピング部104に出力する。変調部102は、符号化部101から出力された符号化データに対し、QPSK、16QAM等の変調処理を施し、レピティション部103に出力する。レピティション部103は、変調信号シンボルに対して、繰り返し処理により複数の同一のシンボルを生成し、マッピング部104に出力する。
マッピング部104は、予め登録された複数パターンのレピティションパターンに従って、レピティション部103から出力された各データを無線送信フレームに配置(マッピング)する。このマッピング処理の詳細については後述する。
IFFT部105は、無線フレームに配置されたシンボルに逆高速フーリエ変換(IFFT)を施し、GI付加部106に出力する。GI付加部106は、無線送信フレームにガードインターバルを付加し、RF部107に出力する。RF部107は、GI付加部106から出力された信号にアップコンバート等の所定の無線処理を施し、アンテナ108を介してこれを無線送信する。
図2は、上記のマッピング部104内部の主要な構成を示すブロック図である。
このマッピング部104は、スイッチ121、パターン生成部122(122−1、122−2)、および割り当て部123を備え、符号化部110から出力される制御チャネルの符号化データに基づいて、レピティション部103からの複数の出力を切り替えて、予め登録された複数のレピティションパターンを生成し、データをマッピングする。以下各部の動作について説明する。
スイッチ121は、符号化部110から出力される符号化データ#2に基づいて、レピティション部103からの出力をパターン生成部122−1またはパターン生成部122−2のいずれかに切り替える。このとき、例えば、レピティションパターンとしてパターン生成部122−2の方が使用される場合には、スイッチ121の各ライン全てがパターン生成部122−2の方に切り替わる。具体的な動作例としては、例えば、符号化部110から出力される符号化データが“0”または“1”の2通り(2値)しかないのであれば、スイッチ121は、符号化部110から出力される符号化データが“0”の場合に、レピティション部103の出力をパターン生成部122−1に接続する。また、符号化部110の出力が“1”の場合は、スイッチ121は、レピティション部103の出力をパターン生成部122−2に接続する。
パターン生成部122は、所定個数のレピティションパターンのそれぞれに対応した回路を有しており、各回路は対応する各レピティションパターンを生成する。ここで、レピティションパターンの個数は、制御データをレピティションパターンの違いによって表現するのに充分な数となっている。ここでは、説明を簡単にして理解を容易にするため、レピティションパターンが2つの場合、すなわち、制御チャネルのデータが2値である場合を例にとって説明しており、パターン生成部122は2つしか存在しないが、これはあくまでも一例で、実装置ではレピティションパターンのそれぞれに対応する所定個数のパターン生成部122を設置する。
割り当て部123は、パターン生成部122のそれぞれの出力を無線送信フレームに配置する。
図3Aおよび図3Bは、パターン生成部122で生成されるレピティションパターンの一例を示す図である。なお、ここでは、同一のデータシンボルを4つのシンボルに複製する場合、すなわち、レピティション数が4である場合を例にとって説明する。また、レピティションによって生成される、同一情報を示すデータの1固まり(レピティション数が4であれば、4つのデータシンボルからなるデータ)をレピティションシンボルと呼ぶこととする。
各パターン生成部122は、時間軸と周波数軸とからなる2次元平面上において、複数のレピティションシンボルの配置方法を異ならせることにより、互いに異なる複数種類のレピティションパターンを生成する。本実施の形態では、パターン生成部122−1は、図3Aに示すように、時間軸方向(縦方向)に各レピティションシンボルが配向し、かつ、各レピティションシンボルが互いに連結して規則的に並んだ状態となっているレピティションパターンを生成する。例えば、シンボルS1は縦に同一のデータシンボルが4つ並んだレピティションシンボルを形成している。シンボルS2、S3、・・・、SM、SM+1、SM+2、・・・、SNについても同様である。一方、パターン生成部122−2は、図3Bに示すように、周波数軸方向(横方向)に各レピティションシンボルが配向し、かつ、各レピティションシンボルが互いに連結して規則的に並んだ状態となっているレピティションパターンを生成する。例えば、シンボルS1は横に同一のデータシンボルが4つ並んだレピティションシンボルを形成している。シンボルS2、・・・、SM−1、SM、SM+1、・・・、SN−1、SNについても同様である。
なお、本明細書においては、シンボルS1〜SNによって構成されるデータ、すなわち、同一のレピティションパターンによって生成されるデータの1固まりをパターンブロックと呼ぶこととする。
図4は、送信部100の各部を経由することによって、送信シンボルがどのように加工されるかを説明するための図である。
変調シンボルS1、S2、・・・、SN(図4A)は、レピティション部103で複数のレピティションシンボル(ここでは4つのシンボル)に複製される(図4B)。そして、パターン生成部122によって図4Cに示すようなパターンブロックを形成し、割り当て部123に入力される。最終的に割り当て部123から出力されるデータの送信フレーム構成は、図4Dに示すようなものとなる。すなわち、送信データの1フレームは、時間、周波数の2次元方向に規則的に配列された複数のパターンブロックによって構成される。
この構成を採ることにより、データ#1のレピティションパターンがデータ#2に基づいて決定される。よって、このOFDM信号を受信したOFDM受信装置では、データ#1のレピティションパターンがどのパターンに従って送信されたかを判定することにより、データ#2の示す情報を判別することができる。
次いで、上記の送信部100から無線送信されるOFDM信号の無線受信処理を行う受信部150の詳細について説明する。
図5は、本実施の形態に係るOFDM通信装置の受信部150の主要な構成を示すブロック図である。ここでは、受信部150が、先に示した送信部100と同一のOFDM通信装置に搭載されている例を示す。
受信部150は、送信側で使用されたであろうレピティションパターンを予測判定し、各レピティションパターンの確からしさ、すなわち、そのレピティションパターンが実際に使用されたレピティションパターンと一致する確率(一致確率)を求め、この確率を示す値を利用して受信信号の復調処理を行う。
より詳細には、受信部150は、送信側で使用される可能性のある全レピティションパターンを知っているので、この全レピティションパターンを用いて受信信号とのパターンマッチングを試みる。各レピティションパターンに対応して得られるパターンマッチングの結果は相関値であるため軟判定値となっており、受信部150は、この軟判定値を用いて多重データの誤り訂正復号化処理を行う。そして、得られた多重データ、すなわち、制御チャネル情報を用いて、受信部150は、受信信号の復調処理を行う。
上記の構成を採ることにより、受信部150は、受信信号から多重データである制御チャネル情報を抽出(復号化)することができるので、送信側から、使用したレピティションパターンを別途通知してもらう必要はない。また、少ない演算処理量で受信信号から多重データの抽出(復号化)が可能となる。
アンテナ151を介して受信された信号は、RF部152で無線処理を施されてベースバンド信号となり、GI削除部153でガードインターバルが削除され、FFT部154で高速フーリエ変換された後、デマッピング部155に入力される。デマッピング部155は、受信した無線フレーム信号をパターンブロック単位で順次切り出し、判定部156に出力する。すなわち、上記の処理は、送信部100のデータ割り当て処理と逆の動作である。
図6は、判定部156内部の主要な構成を示すブロック図である。
GIが除去された後の受信信号は、FFT部154において高速フーリエ変換され、デマッピング部155に入力され、サブキャリアからデータが抽出される。デマッピング部155の出力は、パターン判定部161−1およびパターン判定部161−2へそれぞれ入力される。
パターン判定部161−1は、送信部100のパターン生成部122−1に対応するパターン情報を保持しており、同様にパターン判定部161−2は、送信部100のパターン生成部122−2に対応するパターン情報を保持している。パターン判定部161(161−1、161−2)は、入力信号に対し、保持しているパターン情報を基にパターンマッチングによりレピティションパターンの判定を行い、判定結果である相関値を判定値算出部162に出力する。
判定値算出部162は、パターン判定部161−1、161−2から出力される相関値に基づいて、送信信号のレピティションパターンが「0」を示すものであるか「1」を示すものであるかの一致確率を算出し、復号化部157へ出力する。
復号化部157は、判定値算出部162の算出値(軟判定値)に対し誤り訂正復号化処理を行い、より高品質なデータである硬判定値を得て、データ#2として出力する。同時に、復号化部157から出力される硬判定値、すなわち送信信号のレピティションパターンが「0」に対応するものであるのか「1」に対応するものであるのかを示す情報が、合成部158に入力される。合成部158は、デマッピング部155から入力されてくるレピティションシンボルを、復号化部157からの情報に基づいた合成方向で合成する。合成後の受信信号は、復調部159によって復調され、復号化部160によって誤り訂正復号処理が施され、受信データ#1となる。
次に、パターン判定部161におけるレピティションパターンの判定処理について、より詳細に説明する。なお、パターン判定部161−1は、縦方向のレピティションパターンに対応し、パターン判定部161−2は、横方向のレピティションパターンに対応しているものとする。また、送信信号はパターン生成部122−1で縦方向のレピティションパターンにより形成されているものとする。
パターン判定部161−1は、チャネル補償後の受信信号に対し、縦方向でレピティションパターンとの同相加算を行い、パターンマッチングを行う。同様に、パターン判定部161−2は、横方向でレピティションパターンとの同相加算を行い、パターンマッチングを行う。その結果、送信信号はパターン生成部122−1で縦方向のレピティションパターンにより形成されているので、パターン判定部161−1の出力結果はレピティションパターンが合致し、大きな相関値を示す。一方、パターン判定部161−2の出力結果は、レピティションパターンが合致しないため、小さな相関値を示す。このパターンマッチングによって得られる相関値が、判定値算出部162でスケール調整等の処理を施され、上記の一致確率となる。
図7は、合成部158内部の主要な構成を示すブロック図である。
デマッピング部155から入力されてくるレピティションシンボルは、スイッチ171において、復号化部157からの入力に基づいて、並び替え部172−1または並び替え部172−2に切り替えて出力される。レピティションシンボルは、いずれかの並び替え部において並び替えられることにより、合成部173において、縦もしくは横の異なる合成方向でレピティション(複製)前のデータに復元される。すなわち、復号化部157の出力(データ#2)そのものが送信信号のレピティションパターン情報であることから、この情報に基づいてレピティションされている受信信号を合成することにより、受信品質SNR(またはSINR)を高める。
図8は、データ#2に対する送信部100および受信部150の一連の送受信処理を説明するための図である。
送信部100において、データ#2は符号化処理を施され符号化系列になる。この符号化系列に従って、データ#1のレピティションパターンが決定される。すなわち、データ#2の符号化系列が「0」であれば、データ#1は縦方向のレピティションパターン、データ#2の符号化系列が「1」であれば、データ#1は横方向のレピティションパターンとなって送信される。
一方、受信部150の判定部156において、受信信号のパターンブロックのそれぞれについて、縦と横の両方向のレピティションパターンでマッチング処理等を行い、いずれのレピティションパターンがより確からしいかを示す軟判定値を算出する。この例の場合、縦方向のレピティションパターンである確率が高ければ+(プラス)符号を付加した軟判定値となり、横方向のレピティションパターンである確率が高ければ−(マイナス)符号を付加した軟判定値となるように設計されている。復号化部157は、この軟判定値を直接用いて、軟判定誤り訂正復号処理を施し、最終的に復号結果を硬判定してデータ#2を得る。ここで、軟判定誤り訂正復号化を行う理由は、一般に、軟判定誤り訂正復号化は、硬判定誤り訂正復号化よりも誤り訂正能力に優れているためである。また、レピティションパターンを用いたパターンマッチングによって得られる相関値が軟判定値となっているため、この軟判定値を誤り訂正復号化に直接使うことができるのもメリットである。
このように、本実施の形態によれば、制御情報のそれぞれに対応する複数のレピティションパターンを用意し、この各レピティションパターンに従って、データチャネルのデータをレピティションして送信する。これにより、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく制御情報を送信することができるので、通信システムのスループット低下を防止することができる。
無線通信システムにおいて通信チャネルは、データチャネルと制御チャネルとに大別されるが、この制御チャネルは、データチャネルの伝送の制御に必要なチャネルであり、データチャネルを受信装置において正常に復調するために必要な情報である。しかし、この制御チャネル自体は、無線送信装置のユーザが送信を希望している情報ではなく、付加的に必要となる情報である。そこで、本発明では、この制御チャネルに代表されるような、データチャネル以外のチャネルは、データチャネルのレピティションにおいて使用される複数のレピティションパターンのそれぞれに制御情報を対応させて、データチャネルの送信を行う。すなわち、レピティションパターンによってデータチャネルに制御チャネルを多重して伝送する。
換言すると、本発明においては、送信処理を開始するまでは、データチャネルおよび制御チャネルという2つのチャネルが存在するが、マッピング部104においてデータをマッピングする段階で、制御チャネルはデータチャネルに多重され、見かけ上、チャネルはデータチャネルの1つのみとなる。よって、無線信号が飛び交うエア上ではデータチャネルのみが送信されているように見える。
制御チャネルをレピティションパターンによって表現することに着目したのは、多くの種類のレピティションパターンを設定することは却って通信システムのリソースを消費するおそれがあるところ、制御チャネルはデータチャネルと比較すると情報量が少ないために、少ないレピティションパターンによって制御チャネルを表現可能であることに気付いたからである。また、制御チャネルは、それ自体は受信装置にとって重要な情報(受信に失敗した場合、データチャネルの復調自体が不可能となる性質のチャネル)であるため、受信誤りしにくい(受信誤り耐性の強い)変調方式が採用される場合が多い。例えば、16QAMのような高伝送レートの変調方式よりも、BPSK等の変調方式が用いられることが多い。一方、レピティションパターンは、受信側では所定のコードがどのように繰り返されているかどうかを判別すれば良いだけなので、受信誤り耐性が強い。本発明において、制御チャネルをレピティションパターンで表現するのはこの理由にもよる。
なお、本実施の形態では、各レピティションシンボルが、図3Aまたは図3Bに示したように規則的に並んで1つのレピティションパターンを形成している場合を例にとって説明したが、必ずしも各レピティションシンボルは、1つのレピティションパターンにおいて規則的に並んでいる必要はない。例えば、レピティションパターンを生成した後で、このレピティションパターン自体をインタリーブして、1つのレピティションパターン内で各データシンボルの配置を変更するようにしても良い。このとき、最終的に得られるレピティションパターンにおいては、同一のデータからなるレピティションシンボルがそれぞれ離散的に配置される状況となる。また、状況に応じて複数の異なるインタリーブパターンを使い分けるようにしても良い。ただし、送信側でいずれのレピティションパターンを使用するにしても、受信側では、そのレピティションパターン、すなわち、時間軸と周波数軸とからなる2次元平面上でレピティションシンボルがどのように配置されているか、知っていることが必要である。
また、本実施の形態では、データ#2が“0”および“1”の2値である場合を例にとって説明したが、必ずしも2値である必要はなく、例えば、データ#2が“00”、“01”、“10”、“11”の4値からなるデータであって、このデータ#2をデータ#1に多重しても良い。かかる場合、レピティションパターンの例としては、各レピティションシンボルが、縦、横、右上がりの斜め、左上がりの斜めの方向に配向される4種類の異なるレピティションパターン等を使用することが考えられる。
また、本実施の形態では、レピティション数が4である場合を例にとって説明したが、レピティション数はこれに限定されない。
また、本実施の形態では、パターンブロックが正方形に近い形状となっている場合、すなわち、時間軸方向のデータ長と周波数軸方向のデータ長とが同等の長さである場合を例にとって説明したが、パターンブロックの形状は、例えば長方形であっても良い。
また、制御チャネルを送信しなくて済むことになったため、通信システムのリソースの消費量が低減する。よって、この削減した分のリソースを他の用途に用いることができる。具体的には、データチャネルに対して誤り訂正符号化を施す。そうすれば、誤り訂正を施すことにより低SNR時においても高品質な多重データの伝送が可能となる。
また、原理的には、さらにレピティションパターンを種々に変更することにより、制御チャネルのみならずデータチャネルをも多重することができる。この構成によれば、リソースを消費せずにデータ伝送量をさらに増加させることができるので、通信システムのスループットをさらに向上させることが可能となる。
また、本実施の形態では、受信部150において、全レピティションパターンを用いて受信信号とのパターンマッチングを試み、得られる軟判定値を用いて多重データの誤り訂正復号化処理を行う場合を例にとって説明した。しかし、パターンマッチングで得られる軟判定値を硬判定する構成も考えられる。かかる場合、硬判定によって得られる硬判定値を用いて多重データの誤り訂正復号化を行っても良いし、多重データに対し全く誤り訂正復号化を行わなくても良い。そして、上記の構成を採ることにより、本実施の形態で示した構成と比較して誤り訂正能力は低くなるが、受信信号から多重データを抽出することができる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係るOFDM通信装置の送信部200および受信部250の主要な構成を示すブロック図である。なお、この送信部200および受信部250は、実施の形態1に示した送信部100および受信部150と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、送信部200が、パターンブロック単位で誤り訂正符号化を実施し、受信部250は、このパターンブロック単位で全てのレピティションパターンによる復号化を試み、多重データを取り出す。すなわち、送信部200は、各パターンブロックごとにCRC(Cyclic Redundancy Check)符号を付加し、受信部250は、各パターンブロックごとにCRC判定を行い、CRC判定がOKとなるパターンブロックのレピティションパターンを実際に送信されてきたレピティションパターンと判定する。すなわち、受信部250は、実施の形態1と同様、送信側で使用されたであろうレピティションパターンの判定を行うが、実施の形態1のように受信信号とのパターンマッチングにより判定を行うのではなく、全レピティションパターンを用いて復調、復号された後の信号を用いてレピティションパターンの判定を行う。これにより、レピティションパターンの判定精度が向上し、制御チャネルの受信誤りを減少させることができる。
なお、送信部200が実施の形態1で示した送信部100と異なるのは、多重データであるデータ#2を符号化する符号化部が存在しない点と、データ#1を処理する符号化部の動作である。
まず、送信部200の動作について説明する。
図10Aおよび図10Bは、符号化部201の処理内容を説明するための図である。図10Aが符号化部201によって生成される信号の構成を示す。なお、比較のために、図10Bに、実施の形態1の符号化部101によって生成される信号の構成を示す。
符号化部101においては、全情報系列に対してCRC符号が付加され、CRC符号付加後の系列全体に対して誤り訂正符号化が施される。なお、符号化系列の長さは1無線フレームに収まる長さである。しかし、符号化部201においては、情報系列は細かく細分化され、細分化されたパターンブロック単位でCRC符号が付加され、かつ、CRC符号付加後のパターンブロック単位で誤り訂正符号化処理が施される。マッピング部104は、この符号化後のパターンブロック単位でレピティションパターンを変更する。レピティションパターン変更の方法は、実施の形態1と同様、データ#2の値に基づいて行われる。
図11は、送信部200の各部を経由することによって、送信シンボルがどのように加工されるかを説明するための図である。
後尾にCRC符号が付加されている変調シンボル(図11A)は、レピティション部103で複数のレピティションシンボルに複製される(図11B)。そして、パターン生成部122によって図11Cに示すようなレピティションパターンを形成し、割り当て部123に入力される。最終的に割り当て部123から出力されるデータシンボルの送信フレーム構成は、図11Dに示すようなものとなる。
次いで、受信部250について説明する。
デマッピング部155は、実施の形態1と同様、無線フレームからパターンブロック単位で切り出して、2系統存在する合成部251−1、251−2に出力する。合成部251−1は、送信部200のパターン生成部122−1で生成されたレピティションパターンに基づいてレピティションシンボルを合成する。また、合成部251−2も、送信部200のパターン生成部122−2で生成されたレピティションパターンに基づいてレピティションシンボルを合成する。例えば、パターン生成部122−1が縦方向のレピティションパターンだとすると、合成部251−1は、レピティションシンボルを縦方向に合成する。同様に、パターン生成部122−2が横方向のレピティションパターンの場合、合成部251−2は、横方向にシンボルを合成する。合成部251−1、251−2の出力は、復調部252−1、252−2に入力され、復調された後、復号化部253−1、253−2で誤り訂正復号化処理が施される。判定部254は、それぞれの復号化部からの出力についてCRC判定を行い、CRC判定結果がOKとなる系列をデータ#1として採用するようにスイッチ255を切り替える。また、判定部254は、CRC判定結果に対応した信号をデータ#2として出力する。すなわち、実施の形態1と同様のレピティションパターン生成方法(“0”が縦方向、“1”が横方向のレピティション)の場合、合成部251−1のCRC判定結果がOKの場合は“0”を、合成部251−2のCRC判定結果がOKの場合は“1”を出力する。
このように、本実施の形態によれば、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく制御情報を送信することができるので、通信システムのスループット低下を防止することができる。また、レピティションパターンの判定精度を向上させ、制御チャネルの受信誤りを減少させることができる。
なお、本実施の形態では、判定部254における判定基準としてCRC符号を用いる場合を例にとって説明したが、復号化部253−1、253−2の軟判定出力を用いても良い。
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3に係るOFDM通信装置の送信部300および受信部350の主要な構成を示すブロック図である。なお、この送信部300および受信部350は、実施の形態2に示した送信部200および受信部250と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、送信部300は、パターンブロック単位で誤り訂正符号化を実施する。ただし、実施の形態2と異なり、各パターンブロックごとにCRC符号を付加することはせず、1送信フレームに1つのCRC符号を付加する。一方、受信部350は、パターンブロック単位で全てのレピティションパターンによる誤り訂正復号化を試みる。しかし、この誤り訂正復号化によって得られる復号信号の段階ではどのレピティションパターンが正しいかを判断せずに、この復号信号が各レピティションパターンの尤度情報となっていることに着目し、この尤度情報を用いた更なる復号化処理を1フレーム単位で行うことにより、最終的な多重化データ(制御データ)を得る。すなわち、パターンブロック単位の復号化とフレーム単位の復号化の2段階の復号化処理を行う。これにより、レピティションパターンの判定精度を向上させ、制御チャネルの受信誤りを減少させることができる。
実施の形態2と異なるのは、送信部300において、符号化部201の代わりに符号化部301が設置され、受信部350において、復号化部253−1、253−2の代わりに復号化部353−1、353−2が設置され、判定部254の代わりに尤度計算部351が設置され、さらに復号化部352が追加されていることである。この復号化部352は、符号化部110に対応した復号化を行うものである。
まず、送信部300内のデータ#1対応の符号化部301について説明する。
符号化部301において、情報系列が細かく細分化され、細分化されたパターンブロック単位で誤り訂正符号化処理が施されるのは、実施の形態2の符号化部201と同様である。実施の形態2と異なるのは、CRC符号がパターンブロック単位では付加されない(フレーム単位で付加される)点である。以降の処理は、実施の形態2と同一である。図13は、符号化部301によって生成される信号の構成を示す図である。
次に、受信部350内の復号化部353−1、353−2、尤度計算部351、および復号化部352について説明する。
復号化部353−1、353−2は双方同一の動作を行う。これらの復号化部は、パターンブロック単位で復号化処理を行い、得られる復号信号を尤度計算部351に出力する。復号化部353−1、353−2にはそれぞれ合成パターンの異なる復調信号が入力される。よって、送信部300から送信されたレピティションパターンと一致するパターンで合成された復調信号を復号化すると、信頼度の高い復号結果を得ることができるが、逆に、送信されたレピティションパターンと異なるパターンで合成された復調信号を復号処理しても、信頼度の低い復号結果しか得られない。すなわち、復号化部353−1、353−2で得られる復号信号は、軟判定値となっており、各レピティションパターンの尤度情報となっている。従って、この尤度情報をそのまま利用して、フレーム単位でさらに軟判定誤り訂正復号化を行うことにより、データ#2の復号を行うことができる。尤度計算部351は、復号化部353−1、353−2からそれぞれ出力される信頼度情報(尤度情報)から、データ#2の復号化部352への入力信号を生成し、復号化部352へ出力する。復号化部352は、尤度計算部351から出力される尤度情報を用いて誤り訂正復号化処理を行い、データ#2系列を出力する。スイッチ255は、復号化部352の復号結果、すなわちデータ#2に基づいて復号化部353−1、353−2からの出力を切り替え、データ#1を出力する。なお、復号化部352は、送信部300と同様の符号化処理機能をさらに備えているものとする。
このように、本実施の形態によれば、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく制御情報を送信することができるので、通信システムのスループット低下を防止することができる。また、レピティションパターンの判定精度を向上させ、制御チャネルの受信誤りを減少させることができる。
なお、本実施の形態では送信部300のデータ#1の符号化処理について、細分化したパターンブロック単位にはCRC符号を付加しない構成としたが、実施の形態2のようにパターンブロック毎にCRC符号を付加し、受信部350においては、復号化部353−1、353−2の出力結果からCRC判定を行い、硬判定値を復号化部352の入力としても良い。
以上、本発明に係る実施の形態1〜3について説明した。
本発明に係るOFDM送信装置およびOFDM受信装置は、上記の実施の形態1〜3に限定されず、種々変更して実施することが可能である。
本発明に係るOFDM送信装置およびOFDM受信装置は、移動体通信システムにおける通信端末装置および基地局装置に搭載することも可能であり、これにより上記と同様の作用効果を有する通信端末装置および基地局装置を提供することができる。
なお、ここでは、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。例えば、本発明に係るOFDM送信方法のアルゴリズムをプログラミング言語によって記述し、このプログラムをメモリに記憶しておいて情報処理手段によって実行させることにより、本発明に係るOFDM送信装置と同様の機能を実現することができる。
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部または全てを含むように1チップ化されても良い。
また、ここではLSIとしたが、集積度の違いによって、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSI等と呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラム化することが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続もしくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
本明細書は、2004年8月2日出願の特願2004−225676に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係るOFDM送信装置およびOFDM受信装置は、移動体通信システムにおける通信端末装置または基地局装置等として有用である。
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いて無線送信を行うOFDM送信装置、これに対応するOFDM受信装置、およびこれらの方法に関する。
近年、移動体通信においては、音声以外にも、画像や文書ファイルなどの様々な情報が伝送の対象になっている。これに伴って、高信頼かつ高速な伝送に対する必要性がさらに高まっている。しかし、移動体通信において高速伝送を行う場合、マルチパスによる遅延波の影響が無視できなくなり、周波数選択性フェージングにより伝送特性が劣化する。
周波数選択性フェージング対策技術の一つとして、OFDM方式に代表されるマルチキャリア通信が注目されている。マルチキャリア通信は、周波数選択性フェージングが発生しない程度に伝送速度が抑えられた複数のサブキャリアを用いてデータを伝送することにより、高速伝送を行う技術である。特に、OFDM方式は、データが配置される複数のサブキャリアの周波数が相互に直交しているため、マルチキャリア通信の中でも最も周波数利用効率が高く、また、比較的簡単なハードウェア構成で実現できる。このため、OFDM方式は、第4世代移動体通信に採用される通信方式の候補として注目されており、様々な検討が加えられている。
従来のOFDM送信装置として、例えば、特許文献1に開示されているものがある。このOFDM送信装置は、複数のサブキャリアから所定数個のサブキャリアを選択し、選択されたサブキャリアにデータチャネルの伝送制御に必要な制御チャネルを挿入している。
特開2001−203665号公報
しかしながら、従来のOFDM送信装置は、制御チャネルを伝送するために、通信システムのリソースをデータチャネルとは別に割り当てているので、この制御チャネルによってデータチャネルに使用するリソースが消費されてしまうという問題がある。データチャネル用のリソースが制御チャネルによって消費されれば、データチャネルに充分なリソースを割り当てることができなくなり、通信システムのスループットが低下することも起こり得る。現在商用サービスとなっているPDC(Personal Digital Cellular)システム、第3世代のW−CDMA(Wideband - Code Division Multiple Access)システム等は、OFDM方式を用いた通信システムではないが、これらの通信システムにおいても同様の問題が起こり得る。
よって、本発明の目的は、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく、通信システムのスループット低下を防止することができるOFDM送信装置、OFDM受信装置、およびこれらの方法を提供することである。
OFDM方式においては、受信誤り対策として、同一のデータシンボルを複数個のシンボルに複製して、複数のサブキャリアにマッピングしてから送信するレピティションと呼ばれる技術が存在する。そこで、本発明のOFDM送信装置は、第1情報の内容に応じて第2情報のレピティションパターンを決定する決定手段と、前記レピティションパターンで前記第2情報をレピティションして送信する送信手段と、を具備する構成を採る。ここ
で、第1情報、第2情報とは、例えば、制御チャネルで送信される情報、データチャネルで送信される情報のことである。
本発明によれば、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく、通信システムのスループット低下を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るOFDM通信装置内の送信部100の主要な構成を示すブロック図である。
送信部100は、符号化部101、変調部102、レピティション部103、マッピング部104、IFFT部105、GI付加部106、RF部107、アンテナ108、および符号化部110を備え、送信データであるデータ#1およびデータ#2の無線送信処理を行う。ここで、データ#1は、音声データ、テキストデータ、画像データ等のパケットデータを示す。一方、データ#2は、データ#1の送信に必要な制御情報等のデータを示し、このデータはデータ#1に多重されるデータである。
送信部100の各部は以下の動作を行う。
符号化部101は、データ#1に対して誤り訂正等の符号化を施す。一方、符号化部110は、データ#2に対して誤り訂正等の符号化を施し、マッピング部104に出力する。変調部102は、符号化部101から出力された符号化データに対し、QPSK、16QAM等の変調処理を施し、レピティション部103に出力する。レピティション部103は、変調信号シンボルに対して、繰り返し処理により複数の同一のシンボルを生成し、マッピング部104に出力する。
マッピング部104は、予め登録された複数パターンのレピティションパターンに従っ
て、レピティション部103から出力された各データを無線送信フレームに配置(マッピング)する。このマッピング処理の詳細については後述する。
IFFT部105は、無線フレームに配置されたシンボルに逆高速フーリエ変換(IFFT)を施し、GI付加部106に出力する。GI付加部106は、無線送信フレームにガードインターバルを付加し、RF部107に出力する。RF部107は、GI付加部106から出力された信号にアップコンバート等の所定の無線処理を施し、アンテナ108を介してこれを無線送信する。
図2は、上記のマッピング部104内部の主要な構成を示すブロック図である。
このマッピング部104は、スイッチ121、パターン生成部122(122−1、122−2)、および割り当て部123を備え、符号化部110から出力される制御チャネルの符号化データに基づいて、レピティション部103からの複数の出力を切り替えて、予め登録された複数のレピティションパターンを生成し、データをマッピングする。以下各部の動作について説明する。
スイッチ121は、符号化部110から出力される符号化データ#2に基づいて、レピティション部103からの出力をパターン生成部122−1またはパターン生成部122−2のいずれかに切り替える。このとき、例えば、レピティションパターンとしてパターン生成部122−2の方が使用される場合には、スイッチ121の各ライン全てがパターン生成部122−2の方に切り替わる。具体的な動作例としては、例えば、符号化部110から出力される符号化データが“0”または“1”の2通り(2値)しかないのであれば、スイッチ121は、符号化部110から出力される符号化データが“0”の場合に、レピティション部103の出力をパターン生成部122−1に接続する。また、符号化部110の出力が“1”の場合は、スイッチ121は、レピティション部103の出力をパターン生成部122−2に接続する。
パターン生成部122は、所定個数のレピティションパターンのそれぞれに対応した回路を有しており、各回路は対応する各レピティションパターンを生成する。ここで、レピティションパターンの個数は、制御データをレピティションパターンの違いによって表現するのに充分な数となっている。ここでは、説明を簡単にして理解を容易にするため、レピティションパターンが2つの場合、すなわち、制御チャネルのデータが2値である場合を例にとって説明しており、パターン生成部122は2つしか存在しないが、これはあくまでも一例で、実装置ではレピティションパターンのそれぞれに対応する所定個数のパターン生成部122を設置する。
割り当て部123は、パターン生成部122のそれぞれの出力を無線送信フレームに配置する。
図3Aおよび図3Bは、パターン生成部122で生成されるレピティションパターンの一例を示す図である。なお、ここでは、同一のデータシンボルを4つのシンボルに複製する場合、すなわち、レピティション数が4である場合を例にとって説明する。また、レピティションによって生成される、同一情報を示すデータの1固まり(レピティション数が4であれば、4つのデータシンボルからなるデータ)をレピティションシンボルと呼ぶこととする。
各パターン生成部122は、時間軸と周波数軸とからなる2次元平面上において、複数のレピティションシンボルの配置方法を異ならせることにより、互いに異なる複数種類のレピティションパターンを生成する。本実施の形態では、パターン生成部122−1は、
図3Aに示すように、時間軸方向(縦方向)に各レピティションシンボルが配向し、かつ、各レピティションシンボルが互いに連結して規則的に並んだ状態となっているレピティションパターンを生成する。例えば、シンボルS1は縦に同一のデータシンボルが4つ並んだレピティションシンボルを形成している。シンボルS2、S3、・・・、SM、SM+1、SM+2、・・・、SNについても同様である。一方、パターン生成部122−2は、図3Bに示すように、周波数軸方向(横方向)に各レピティションシンボルが配向し、かつ、各レピティションシンボルが互いに連結して規則的に並んだ状態となっているレピティションパターンを生成する。例えば、シンボルS1は横に同一のデータシンボルが4つ並んだレピティションシンボルを形成している。シンボルS2、・・・、SM−1、SM、SM+1、・・・、SN−1、SNについても同様である。
なお、本明細書においては、シンボルS1〜SNによって構成されるデータ、すなわち、同一のレピティションパターンによって生成されるデータの1固まりをパターンブロックと呼ぶこととする。
図4は、送信部100の各部を経由することによって、送信シンボルがどのように加工されるかを説明するための図である。
変調シンボルS1、S2、・・・、SN(図4A)は、レピティション部103で複数のレピティションシンボル(ここでは4つのシンボル)に複製される(図4B)。そして、パターン生成部122によって図4Cに示すようなパターンブロックを形成し、割り当て部123に入力される。最終的に割り当て部123から出力されるデータの送信フレーム構成は、図4Dに示すようなものとなる。すなわち、送信データの1フレームは、時間、周波数の2次元方向に規則的に配列された複数のパターンブロックによって構成される。
この構成を採ることにより、データ#1のレピティションパターンがデータ#2に基づいて決定される。よって、このOFDM信号を受信したOFDM受信装置では、データ#1のレピティションパターンがどのパターンに従って送信されたかを判定することにより、データ#2の示す情報を判別することができる。
次いで、上記の送信部100から無線送信されるOFDM信号の無線受信処理を行う受信部150の詳細について説明する。
図5は、本実施の形態に係るOFDM通信装置の受信部150の主要な構成を示すブロック図である。ここでは、受信部150が、先に示した送信部100と同一のOFDM通信装置に搭載されている例を示す。
受信部150は、送信側で使用されたであろうレピティションパターンを予測判定し、各レピティションパターンの確からしさ、すなわち、そのレピティションパターンが実際に使用されたレピティションパターンと一致する確率(一致確率)を求め、この確率を示す値を利用して受信信号の復調処理を行う。
より詳細には、受信部150は、送信側で使用される可能性のある全レピティションパターンを知っているので、この全レピティションパターンを用いて受信信号とのパターンマッチングを試みる。各レピティションパターンに対応して得られるパターンマッチングの結果は相関値であるため軟判定値となっており、受信部150は、この軟判定値を用いて多重データの誤り訂正復号化処理を行う。そして、得られた多重データ、すなわち、制御チャネル情報を用いて、受信部150は、受信信号の復調処理を行う。
上記の構成を採ることにより、受信部150は、受信信号から多重データである制御チャネル情報を抽出(復号化)することができるので、送信側から、使用したレピティションパターンを別途通知してもらう必要はない。また、少ない演算処理量で受信信号から多重データの抽出(復号化)が可能となる。
アンテナ151を介して受信された信号は、RF部152で無線処理を施されてベースバンド信号となり、GI削除部153でガードインターバルが削除され、FFT部154で高速フーリエ変換された後、デマッピング部155に入力される。デマッピング部155は、受信した無線フレーム信号をパターンブロック単位で順次切り出し、判定部156に出力する。すなわち、上記の処理は、送信部100のデータ割り当て処理と逆の動作である。
図6は、判定部156内部の主要な構成を示すブロック図である。
GIが除去された後の受信信号は、FFT部154において高速フーリエ変換され、デマッピング部155に入力され、サブキャリアからデータが抽出される。デマッピング部155の出力は、パターン判定部161−1およびパターン判定部161−2へそれぞれ入力される。
パターン判定部161−1は、送信部100のパターン生成部122−1に対応するパターン情報を保持しており、同様にパターン判定部161−2は、送信部100のパターン生成部122−2に対応するパターン情報を保持している。パターン判定部161(161−1、161−2)は、入力信号に対し、保持しているパターン情報を基にパターンマッチングによりレピティションパターンの判定を行い、判定結果である相関値を判定値算出部162に出力する。
判定値算出部162は、パターン判定部161−1、161−2から出力される相関値に基づいて、送信信号のレピティションパターンが「0」を示すものであるか「1」を示すものであるかの一致確率を算出し、復号化部157へ出力する。
復号化部157は、判定値算出部162の算出値(軟判定値)に対し誤り訂正復号化処理を行い、より高品質なデータである硬判定値を得て、データ#2として出力する。同時に、復号化部157から出力される硬判定値、すなわち送信信号のレピティションパターンが「0」に対応するものであるのか「1」に対応するものであるのかを示す情報が、合成部158に入力される。合成部158は、デマッピング部155から入力されてくるレピティションシンボルを、復号化部157からの情報に基づいた合成方向で合成する。合成後の受信信号は、復調部159によって復調され、復号化部160によって誤り訂正復号処理が施され、受信データ#1となる。
次に、パターン判定部161におけるレピティションパターンの判定処理について、より詳細に説明する。なお、パターン判定部161−1は、縦方向のレピティションパターンに対応し、パターン判定部161−2は、横方向のレピティションパターンに対応しているものとする。また、送信信号はパターン生成部122−1で縦方向のレピティションパターンにより形成されているものとする。
パターン判定部161−1は、チャネル補償後の受信信号に対し、縦方向でレピティションパターンとの同相加算を行い、パターンマッチングを行う。同様に、パターン判定部161−2は、横方向でレピティションパターンとの同相加算を行い、パターンマッチングを行う。その結果、送信信号はパターン生成部122−1で縦方向のレピティションパターンにより形成されているので、パターン判定部161−1の出力結果はレピティショ
ンパターンが合致し、大きな相関値を示す。一方、パターン判定部161−2の出力結果は、レピティションパターンが合致しないため、小さな相関値を示す。このパターンマッチングによって得られる相関値が、判定値算出部162でスケール調整等の処理を施され、上記の一致確率となる。
図7は、合成部158内部の主要な構成を示すブロック図である。
デマッピング部155から入力されてくるレピティションシンボルは、スイッチ171において、復号化部157からの入力に基づいて、並び替え部172−1または並び替え部172−2に切り替えて出力される。レピティションシンボルは、いずれかの並び替え部において並び替えられることにより、合成部173において、縦もしくは横の異なる合成方向でレピティション(複製)前のデータに復元される。すなわち、復号化部157の出力(データ#2)そのものが送信信号のレピティションパターン情報であることから、この情報に基づいてレピティションされている受信信号を合成することにより、受信品質SNR(またはSINR)を高める。
図8は、データ#2に対する送信部100および受信部150の一連の送受信処理を説明するための図である。
送信部100において、データ#2は符号化処理を施され符号化系列になる。この符号化系列に従って、データ#1のレピティションパターンが決定される。すなわち、データ#2の符号化系列が「0」であれば、データ#1は縦方向のレピティションパターン、データ#2の符号化系列が「1」であれば、データ#1は横方向のレピティションパターンとなって送信される。
一方、受信部150の判定部156において、受信信号のパターンブロックのそれぞれについて、縦と横の両方向のレピティションパターンでマッチング処理等を行い、いずれのレピティションパターンがより確からしいかを示す軟判定値を算出する。この例の場合、縦方向のレピティションパターンである確率が高ければ+(プラス)符号を付加した軟判定値となり、横方向のレピティションパターンである確率が高ければ−(マイナス)符号を付加した軟判定値となるように設計されている。復号化部157は、この軟判定値を直接用いて、軟判定誤り訂正復号処理を施し、最終的に復号結果を硬判定してデータ#2を得る。ここで、軟判定誤り訂正復号化を行う理由は、一般に、軟判定誤り訂正復号化は、硬判定誤り訂正復号化よりも誤り訂正能力に優れているためである。また、レピティションパターンを用いたパターンマッチングによって得られる相関値が軟判定値となっているため、この軟判定値を誤り訂正復号化に直接使うことができるのもメリットである。
このように、本実施の形態によれば、制御情報のそれぞれに対応する複数のレピティションパターンを用意し、この各レピティションパターンに従って、データチャネルのデータをレピティションして送信する。これにより、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく制御情報を送信することができるので、通信システムのスループット低下を防止することができる。
無線通信システムにおいて通信チャネルは、データチャネルと制御チャネルとに大別されるが、この制御チャネルは、データチャネルの伝送の制御に必要なチャネルであり、データチャネルを受信装置において正常に復調するために必要な情報である。しかし、この制御チャネル自体は、無線送信装置のユーザが送信を希望している情報ではなく、付加的に必要となる情報である。そこで、本発明では、この制御チャネルに代表されるような、データチャネル以外のチャネルは、データチャネルのレピティションにおいて使用される複数のレピティションパターンのそれぞれに制御情報を対応させて、データチャネルの送
信を行う。すなわち、レピティションパターンによってデータチャネルに制御チャネルを多重して伝送する。
換言すると、本発明においては、送信処理を開始するまでは、データチャネルおよび制御チャネルという2つのチャネルが存在するが、マッピング部104においてデータをマッピングする段階で、制御チャネルはデータチャネルに多重され、見かけ上、チャネルはデータチャネルの1つのみとなる。よって、無線信号が飛び交うエア上ではデータチャネルのみが送信されているように見える。
制御チャネルをレピティションパターンによって表現することに着目したのは、多くの種類のレピティションパターンを設定することは却って通信システムのリソースを消費するおそれがあるところ、制御チャネルはデータチャネルと比較すると情報量が少ないために、少ないレピティションパターンによって制御チャネルを表現可能であることに気付いたからである。また、制御チャネルは、それ自体は受信装置にとって重要な情報(受信に失敗した場合、データチャネルの復調自体が不可能となる性質のチャネル)であるため、受信誤りしにくい(受信誤り耐性の強い)変調方式が採用される場合が多い。例えば、16QAMのような高伝送レートの変調方式よりも、BPSK等の変調方式が用いられることが多い。一方、レピティションパターンは、受信側では所定のコードがどのように繰り返されているかどうかを判別すれば良いだけなので、受信誤り耐性が強い。本発明において、制御チャネルをレピティションパターンで表現するのはこの理由にもよる。
なお、本実施の形態では、各レピティションシンボルが、図3Aまたは図3Bに示したように規則的に並んで1つのレピティションパターンを形成している場合を例にとって説明したが、必ずしも各レピティションシンボルは、1つのレピティションパターンにおいて規則的に並んでいる必要はない。例えば、レピティションパターンを生成した後で、このレピティションパターン自体をインタリーブして、1つのレピティションパターン内で各データシンボルの配置を変更するようにしても良い。このとき、最終的に得られるレピティションパターンにおいては、同一のデータからなるレピティションシンボルがそれぞれ離散的に配置される状況となる。また、状況に応じて複数の異なるインタリーブパターンを使い分けるようにしても良い。ただし、送信側でいずれのレピティションパターンを使用するにしても、受信側では、そのレピティションパターン、すなわち、時間軸と周波数軸とからなる2次元平面上でレピティションシンボルがどのように配置されているか、知っていることが必要である。
また、本実施の形態では、データ#2が“0”および“1”の2値である場合を例にとって説明したが、必ずしも2値である必要はなく、例えば、データ#2が“00”、“01”、“10”、“11”の4値からなるデータであって、このデータ#2をデータ#1に多重しても良い。かかる場合、レピティションパターンの例としては、各レピティションシンボルが、縦、横、右上がりの斜め、左上がりの斜めの方向に配向される4種類の異なるレピティションパターン等を使用することが考えられる。
また、本実施の形態では、レピティション数が4である場合を例にとって説明したが、レピティション数はこれに限定されない。
また、本実施の形態では、パターンブロックが正方形に近い形状となっている場合、すなわち、時間軸方向のデータ長と周波数軸方向のデータ長とが同等の長さである場合を例にとって説明したが、パターンブロックの形状は、例えば長方形であっても良い。
また、制御チャネルを送信しなくて済むことになったため、通信システムのリソースの消費量が低減する。よって、この削減した分のリソースを他の用途に用いることができる
。具体的には、データチャネルに対して誤り訂正符号化を施す。そうすれば、誤り訂正を施すことにより低SNR時においても高品質な多重データの伝送が可能となる。
また、原理的には、さらにレピティションパターンを種々に変更することにより、制御チャネルのみならずデータチャネルをも多重することができる。この構成によれば、リソースを消費せずにデータ伝送量をさらに増加させることができるので、通信システムのスループットをさらに向上させることが可能となる。
また、本実施の形態では、受信部150において、全レピティションパターンを用いて受信信号とのパターンマッチングを試み、得られる軟判定値を用いて多重データの誤り訂正復号化処理を行う場合を例にとって説明した。しかし、パターンマッチングで得られる軟判定値を硬判定する構成も考えられる。かかる場合、硬判定によって得られる硬判定値を用いて多重データの誤り訂正復号化を行っても良いし、多重データに対し全く誤り訂正復号化を行わなくても良い。そして、上記の構成を採ることにより、本実施の形態で示した構成と比較して誤り訂正能力は低くなるが、受信信号から多重データを抽出することができる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係るOFDM通信装置の送信部200および受信部250の主要な構成を示すブロック図である。なお、この送信部200および受信部250は、実施の形態1に示した送信部100および受信部150と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、送信部200が、パターンブロック単位で誤り訂正符号化を実施し、受信部250は、このパターンブロック単位で全てのレピティションパターンによる復号化を試み、多重データを取り出す。すなわち、送信部200は、各パターンブロックごとにCRC(Cyclic Redundancy Check)符号を付加し、受信部250は、各パターンブロックごとにCRC判定を行い、CRC判定がOKとなるパターンブロックのレピティションパターンを実際に送信されてきたレピティションパターンと判定する。すなわち、受信部250は、実施の形態1と同様、送信側で使用されたであろうレピティションパターンの判定を行うが、実施の形態1のように受信信号とのパターンマッチングにより判定を行うのではなく、全レピティションパターンを用いて復調、復号された後の信号を用いてレピティションパターンの判定を行う。これにより、レピティションパターンの判定精度が向上し、制御チャネルの受信誤りを減少させることができる。
なお、送信部200が実施の形態1で示した送信部100と異なるのは、多重データであるデータ#2を符号化する符号化部が存在しない点と、データ#1を処理する符号化部の動作である。
まず、送信部200の動作について説明する。
図10Aおよび図10Bは、符号化部201の処理内容を説明するための図である。図10Aが符号化部201によって生成される信号の構成を示す。なお、比較のために、図10Bに、実施の形態1の符号化部101によって生成される信号の構成を示す。
符号化部101においては、全情報系列に対してCRC符号が付加され、CRC符号付加後の系列全体に対して誤り訂正符号化が施される。なお、符号化系列の長さは1無線フレームに収まる長さである。しかし、符号化部201においては、情報系列は細かく細分化され、細分化されたパターンブロック単位でCRC符号が付加され、かつ、CRC符号付加後のパターンブロック単位で誤り訂正符号化処理が施される。マッピング部104は
、この符号化後のパターンブロック単位でレピティションパターンを変更する。レピティションパターン変更の方法は、実施の形態1と同様、データ#2の値に基づいて行われる。
図11は、送信部200の各部を経由することによって、送信シンボルがどのように加工されるかを説明するための図である。
後尾にCRC符号が付加されている変調シンボル(図11A)は、レピティション部103で複数のレピティションシンボルに複製される(図11B)。そして、パターン生成部122によって図11Cに示すようなレピティションパターンを形成し、割り当て部123に入力される。最終的に割り当て部123から出力されるデータシンボルの送信フレーム構成は、図11Dに示すようなものとなる。
次いで、受信部250について説明する。
デマッピング部155は、実施の形態1と同様、無線フレームからパターンブロック単位で切り出して、2系統存在する合成部251−1、251−2に出力する。合成部251−1は、送信部200のパターン生成部122−1で生成されたレピティションパターンに基づいてレピティションシンボルを合成する。また、合成部251−2も、送信部200のパターン生成部122−2で生成されたレピティションパターンに基づいてレピティションシンボルを合成する。例えば、パターン生成部122−1が縦方向のレピティションパターンだとすると、合成部251−1は、レピティションシンボルを縦方向に合成する。同様に、パターン生成部122−2が横方向のレピティションパターンの場合、合成部251−2は、横方向にシンボルを合成する。合成部251−1、251−2の出力は、復調部252−1、252−2に入力され、復調された後、復号化部253−1、253−2で誤り訂正復号化処理が施される。判定部254は、それぞれの復号化部からの出力についてCRC判定を行い、CRC判定結果がOKとなる系列をデータ#1として採用するようにスイッチ255を切り替える。また、判定部254は、CRC判定結果に対応した信号をデータ#2として出力する。すなわち、実施の形態1と同様のレピティションパターン生成方法(“0”が縦方向、“1”が横方向のレピティション)の場合、合成部251−1のCRC判定結果がOKの場合は“0”を、合成部251−2のCRC判定結果がOKの場合は“1”を出力する。
このように、本実施の形態によれば、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく制御情報を送信することができるので、通信システムのスループット低下を防止することができる。また、レピティションパターンの判定精度を向上させ、制御チャネルの受信誤りを減少させることができる。
なお、本実施の形態では、判定部254における判定基準としてCRC符号を用いる場合を例にとって説明したが、復号化部253−1、253−2の軟判定出力を用いても良い。
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3に係るOFDM通信装置の送信部300および受信部350の主要な構成を示すブロック図である。なお、この送信部300および受信部350は、実施の形態2に示した送信部200および受信部250と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、送信部300は、パターンブロック単位で誤り訂正符号化を実施する。ただし、実施の形態2と異なり、各パターンブロックごとにCRC符号を付加するこ
とはせず、1送信フレームに1つのCRC符号を付加する。一方、受信部350は、パターンブロック単位で全てのレピティションパターンによる誤り訂正復号化を試みる。しかし、この誤り訂正復号化によって得られる復号信号の段階ではどのレピティションパターンが正しいかを判断せずに、この復号信号が各レピティションパターンの尤度情報となっていることに着目し、この尤度情報を用いた更なる復号化処理を1フレーム単位で行うことにより、最終的な多重化データ(制御データ)を得る。すなわち、パターンブロック単位の復号化とフレーム単位の復号化の2段階の復号化処理を行う。これにより、レピティションパターンの判定精度を向上させ、制御チャネルの受信誤りを減少させることができる。
実施の形態2と異なるのは、送信部300において、符号化部201の代わりに符号化部301が設置され、受信部350において、復号化部253−1、253−2の代わりに復号化部353−1、353−2が設置され、判定部254の代わりに尤度計算部351が設置され、さらに復号化部352が追加されていることである。この復号化部352は、符号化部110に対応した復号化を行うものである。
まず、送信部300内のデータ#1対応の符号化部301について説明する。
符号化部301において、情報系列が細かく細分化され、細分化されたパターンブロック単位で誤り訂正符号化処理が施されるのは、実施の形態2の符号化部201と同様である。実施の形態2と異なるのは、CRC符号がパターンブロック単位では付加されない(フレーム単位で付加される)点である。以降の処理は、実施の形態2と同一である。図13は、符号化部301によって生成される信号の構成を示す図である。
次に、受信部350内の復号化部353−1、353−2、尤度計算部351、および復号化部352について説明する。
復号化部353−1、353−2は双方同一の動作を行う。これらの復号化部は、パターンブロック単位で復号化処理を行い、得られる復号信号を尤度計算部351に出力する。復号化部353−1、353−2にはそれぞれ合成パターンの異なる復調信号が入力される。よって、送信部300から送信されたレピティションパターンと一致するパターンで合成された復調信号を復号化すると、信頼度の高い復号結果を得ることができるが、逆に、送信されたレピティションパターンと異なるパターンで合成された復調信号を復号処理しても、信頼度の低い復号結果しか得られない。すなわち、復号化部353−1、353−2で得られる復号信号は、軟判定値となっており、各レピティションパターンの尤度情報となっている。従って、この尤度情報をそのまま利用して、フレーム単位でさらに軟判定誤り訂正復号化を行うことにより、データ#2の復号を行うことができる。尤度計算部351は、復号化部353−1、353−2からそれぞれ出力される信頼度情報(尤度情報)から、データ#2の復号化部352への入力信号を生成し、復号化部352へ出力する。復号化部352は、尤度計算部351から出力される尤度情報を用いて誤り訂正復号化処理を行い、データ#2系列を出力する。スイッチ255は、復号化部352の復号結果、すなわちデータ#2に基づいて復号化部353−1、353−2からの出力を切り替え、データ#1を出力する。なお、復号化部352は、送信部300と同様の符号化処理機能をさらに備えているものとする。
このように、本実施の形態によれば、制御チャネルの伝送用に通信システムのリソースを割り当てることなく制御情報を送信することができるので、通信システムのスループット低下を防止することができる。また、レピティションパターンの判定精度を向上させ、制御チャネルの受信誤りを減少させることができる。
なお、本実施の形態では送信部300のデータ#1の符号化処理について、細分化したパターンブロック単位にはCRC符号を付加しない構成としたが、実施の形態2のようにパターンブロック毎にCRC符号を付加し、受信部350においては、復号化部353−1、353−2の出力結果からCRC判定を行い、硬判定値を復号化部352の入力としても良い。
以上、本発明に係る実施の形態1〜3について説明した。
本発明に係るOFDM送信装置およびOFDM受信装置は、上記の実施の形態1〜3に限定されず、種々変更して実施することが可能である。
本発明に係るOFDM送信装置およびOFDM受信装置は、移動体通信システムにおける通信端末装置および基地局装置に搭載することも可能であり、これにより上記と同様の作用効果を有する通信端末装置および基地局装置を提供することができる。
なお、ここでは、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。例えば、本発明に係るOFDM送信方法のアルゴリズムをプログラミング言語によって記述し、このプログラムをメモリに記憶しておいて情報処理手段によって実行させることにより、本発明に係るOFDM送信装置と同様の機能を実現することができる。
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部または全てを含むように1チップ化されても良い。
また、ここではLSIとしたが、集積度の違いによって、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSI等と呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラム化することが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続もしくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
本明細書は、2004年8月2日出願の特願2004−225676に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係るOFDM送信装置およびOFDM受信装置は、移動体通信システムにおける通信端末装置または基地局装置等として有用である。
実施の形態1に係る送信部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態1に係るマッピング部内部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態1に係るパターン生成部で生成されるレピティションパターンの一例を示す図
実施の形態1に係るパターン生成部で生成されるレピティションパターンの一例を示す図
送信シンボルがどのように加工されるかを説明するための図
実施の形態1に係る受信部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態1に係る判定部内部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態1に係る合成部内部の主要な構成を示すブロック図
データ#2に対する一連の送受信処理を説明するための図
実施の形態2に係る送信部および受信部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態2に係る符号化部の処理内容を説明するための図
実施の形態2に係る符号化部の処理内容を説明するための図
送信シンボルがどのように加工されるかを説明するための図
実施の形態3に係る送信部および受信部の主要な構成を示すブロック図
実施の形態3に係る符号化部によって生成される信号の構成を示す図