JPWO2006001280A1 - 房水排出インプラント用のフィルター部および当該フィルター部を備える房水排出インプラント - Google Patents

房水排出インプラント用のフィルター部および当該フィルター部を備える房水排出インプラント Download PDF

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Abstract

房水を眼球外へ導く経路を介した眼球外から眼球内への逆行性感染を防止するためのフィルター部(9)が、上記経路と連接された外筒部(12)と、外筒部(12)内の房水を当該中空フィルター(11)の外側から内側に濾過させて排出するように設けられた中空糸膜部(11)とを備えている。これにより、中空糸膜部(11)の乾燥を防止できるから、乾燥に起因する機能の低下が生じない房水排出インプラントを実現することができる。

Description

本発明は緑内障をはじめとする眼圧が上昇する疾患において眼圧下降を目的として用いられる、房水を眼内から結膜外に効果的に排出する治療用具に関する。
正常眼においては、房水(眼房水)は毛様体によって産生され、前後房を循環した後、一定の房水流出抵抗を有するシュレム管―線維柱帯を通って眼外に排出される。正常眼圧は21mmHg以下とされているが、本態性にあるいは炎症等によって続発性にシュレム管―線維柱帯の房水流出障害を生じた場合に、過剰な房水が眼内に貯留し眼圧上昇を来し緑内障を発症すると考えられている。緑内障は眼圧上昇とそれによる視神経障害を特徴とする疾患であり、視野欠損、視力障害を主症状とし適当な治療がなされない場合には失明する可能性がある疾患である。
緑内障においては現在のところ眼圧を調整することが唯一の治療対象である。すなわち治療によって眼圧を下げ、視神経萎縮の進行を食い止めることが治療目標であり、そのためには、房水の産生を抑制するか房水の流出を促進することが必要である。治療方法は保存的治療と観血的治療に分類される。保存的治療は点眼剤、内服剤を使用し眼圧降下を図るものであるが、保存的治療のみで十分な眼圧降下が得られない場合には、観血的治療が選択される。観血的治療は房水の流出を促進することを目的として施行されるものである。
上記観血的治療の代表として線維柱帯切除術が挙げられる。これは房水が前房から結膜下組織へと排出され結膜下組織によって吸収されるように、前房への開口部を強角膜に人工的に作成しこれを房水排出路として結膜下にろ過胞を形成する方法である。
しかし、この術式は術後早期には房水の過剰排出による前房形成不全、脈絡膜剥離、低眼圧黄斑症、悪性緑内障、術後晩期には創傷治癒機転に伴う房水排出路の閉塞、結膜−強膜間の癒着による房水吸収不全、ろ過胞からの房水漏出、眼内炎等多くの合併症を来す可能性がある。例えば、上述した手術後5年の時点における成功率は、約50%程度(Graefe Arch Clin Exp Oph2003等)に留まっている。
上記線維柱帯切除術の問題点を受けて、現在までに生体に埋め込み可能な房水排出具(房水排出インプラント)が数多く開発されてきた。現在使用されている房水排出インプラントは、線維柱帯切除術と同様に、房水を結膜下に排出し結膜下組織によって房水の吸収を図るものであり、眼内と、結膜下腔をつなぐチューブと、結膜下腔に設置されるプレートとから構成される。すなわち、チューブによって房水排出路の閉塞を防ぎ、プレートによって結膜−強膜間の癒着を防ぎ、房水吸収のための空間を確保することを目的とした房水排出用具である。
従来の緑内障治療用房水排出インプラント(以下、適宜「房水排出インプラント」という)は、図12(a),図12(b)に示すように、房水を排出する経路によって大きく二つに分類される。一つは、結膜の下に房水を排出して眼圧を下げるものであり、もう一つは、結膜外に房水を排出して眼圧を下げるものである。
図12(a)に示した結膜の下に房水を排出する房水排出インプラントは、設置後に、創傷治癒機転によりその周囲の結膜下組織が癒着瘢痕化して、房水の吸収が困難となり、結果として効果的な房水排出が行われなくなるという問題がある。一方、図12(b)に示す、房水を眼内から結膜外に排出する房水排出インプラントは、房水を長期間、効果的に眼外へ排出することが可能であるが、外界のウイルスや細菌が眼内へ逆行性感染することを防止する必要がある。
上記したような房水排出インプラントの問題点を解決するため、房水を、眼内から特に結膜外に排出することを目的として、いくつかの提案が為されている。例えば、房水をチューブによって鼻涙管に通す方法や(例えば、特許文献1参照。)、フィルターつきチューブを眼内から結膜外に出し、結膜嚢に垂らして留置する方法(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。外界のウイルスや細菌が眼内に逆行性に感染することの防止を目的とする技術としては、中空糸膜を用いた排出チューブを強角膜に貫通させて埋め込み、結膜嚢内に留置し房水を流出させる房水流出具が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特許文献3に記載されている房水流出具の構成を図11(a),図11(b)に示す。これらの図に示すように、特許文献3に記載の房水流出具の中空糸膜部111は、眼球前房内に位置する側の端部において開口している一方、眼球の外部に位置する側の端部において閉塞手段192により閉塞せしめられている。具体的には、中空糸膜部111の一部に、補強手段としてのシリコーンチューブ112が外挿せしめられたものと(図11(a)参照)、中空糸膜部111の全体を被うように、補強手段としてのシリコーンチューブ112が外挿せしめられたもの(図11(b)参照)、が開示されている。特許文献3房水流出具は、眼球内から眼球外への房水が、図中において矢印で示すように、中空糸膜部111の管内から管外へと排出される構成となっている。
上記のように、特許文献3の房水流出具の構成では、中空糸膜部111が外界にむけて突出し、その外側の面で外界と接触しているから、中空糸膜部111が乾燥し易いという問題がある。なお、図11(b)のように、中空糸膜部111の全体をシリコーンチューブ112で被う構成を採用したものも、中空糸膜部111が外界に対して開放されている点は同じであるから、中空糸膜部111が乾燥しやすいという問題がある。
房水流出具のフィルター部である中空糸膜部111が乾燥すると、その汚染や破損の可能性が高くなる。このため、中空糸膜部111が乾燥すると、房水濾過性能や逆行性感染阻止能が低下し、有効で安全な房水排出機能が損なわれるという問題が生じる。
米国特許第4886488号明細書(1989年12月12日公開) 米国特許第5346464号明細書(1994年9月13日公開) 特開平8−117267号公報(1996年5月14日公開)
上述したように、特許文献3に開示されている房水流出具は、逆行性感染を防止するための多孔質中空糸膜111が乾燥しやすいから、その房水排出機能が損なわれ易いという問題がある。本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、逆行性感染を防ぎながら房水を結膜外に排出し、その眼圧下降効果を生涯に渡って長期的に維持することができる房水排出インプラント用のフィルター部および当該フィルター部を備える房水排出インプラントを提供することにある。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、房水を眼球から結膜外に排出する経路を介した、眼球外から眼球内への逆行性感染を防止するためのフィルター部に、上記房水を当該中空フィルター部の外側から内側に濾過させて排出する中空フィルター部を設けることにより、中空フィルター部の乾燥を防ぐことができることを見出した。これにより、長期に渡って逆行性感染を防ぐことができる本発明の房水排出インプラント用のフィルター部および当該フィルター部を備える房水排出インプラントを完成するに至った。
すなわち、本発明のフィルター部は、上記課題を解決するために、房水排出インプラントに用いられ、房水を眼球から結膜外に排出する経路を介した、眼球外から眼球内への逆行性感染を防止するためのものであり、その内部が上記経路と連接されている外筒部と、外筒部内の房水を当該中空フィルター部の外側から内側に濾過させて排出する中空フィルター部とを備えているを備えている。
上記の構成により、中空フィルター部の乾燥を防止することができる。すなわち、本発明のフィルター部が備えられる房水排出インプラントは、房水を眼球外へ導くための経路と連接されている外筒部内の房水を、中空フィルター部の外側から内側に濾過させて排出するものであるから、中空フィルター部は、その外側面が外筒部内の房水により覆われている。この結果、中空フィルター部の乾燥を大幅に抑制することが可能となる。したがって、その房水濾過性能や逆行性感染阻止能が、中空フィルター部の乾燥により低下することを防ぎ、房水排出機能を維持することができる、有効で安全な房水排出インプラントが実現できる。
また、本発明のフィルター部の上記中空フィルター部には、当該中空フィルター部の内部空間を閉塞する第1の閉塞部と、当該中空フィルター部の外側空間を閉塞する第2の閉塞部が形成されており、第2の閉塞部は、房水排出インプラントが眼球に設置された状態において、第1の閉塞部よりも眼球外側となる位置に設けられていることが好ましい。
上記の構成により、第1の閉塞部と第2の閉塞部との間の中空フィルター部において、房水を通過させることができる。また、同一の長さの中空フィルター部を用いた場合、第1の閉塞部と第2の閉塞部との距離を変化させることにより、房水排出インプラントの房水排出機能を制御することが可能となる。
上記特許文献3に記載の房水流出具は、図11(a)、図11(b)に示すように、眼球前房側の中空糸膜部111とシリコーンチューブ112との隙間が、接着剤191によって充填されている。このため、房水流出具を設置する際に、接着剤191が眼内に直接挿入されることとなる。したがって、接着剤191として、その成分が眼内に溶出しないものや、溶出しても問題ないものを用いる必要がある。さらに、接着剤191が、眼に直に接触することにより、アレルギー反応を惹起する原因となる恐れがある。
このため、上記第1の閉塞部は、房水排出インプラントが眼球に設置された状態において、眼球に直接接触することが無い位置に設けることが好ましい。これにより、第1の閉塞部に含まれる成分が、溶出したり、アレルギー反応を惹起する原因となったりする、といった問題を確実に防止することができる。
本発明のフィルター部の上記第1の閉塞部及び上記第2の閉塞部は、上記中空フィルター部両端のいずれかに形成されていることが好ましい。この構成により、中空フィルター部の全領域において、その外部から内部に房水を濾過させて排出することが可能となる。すなわち、上記中空フィルター部の略全体で房水を濾過することができる。
上記第2の閉塞部は、上記中空フィルター部の外側と上記外筒部端との間を閉塞するものであってもよい。
本発明のフィルター部は、上記中空フィルター部を複数備えているものであってもよい。中空フィルター部を増やせばその房水排出機能が向上するから、その数の調整により、房水排出インプラントに所望の房水排出機能を付与することができる。
本発明のフィルター部は、第1の中空フィルターが、当該第1の中空フィルターの外径よりも内径が大きい第2の中空糸膜部の内側に、挿入されてなるものであってもよい。この構成により、中空フィルター部の外径を増大させることなく、その濾過面積を増大させることができる。
また、上記房水排出インプラントは、緑内障治療用であることが好ましい。
また、本発明には、上述したフィルター部を備える房水排出インプラントが含まれる。房水排出インプラントとしては、例えば、緑内障治療用であることが好ましい。
また、本発明の房水排出インプラントの上記房水を眼球から結膜外に排出する経路を構成する導水チューブ部は、眼球側導水チューブ部と結膜外導水チューブ部とからなっており、該結膜外導水チューブ部は、結膜外眼球側導水チューブ部と結膜外フィルター側導水チューブ部とが連接してなるものであり、結膜外眼球側導水チューブ部の常温における曲げ弾性率が、結膜外フィルター側導水チューブ部の常温における曲げ弾性率よりも小さい構成であってもよい。
上記の構成により、特に眼球運動による影響を受けやすい上記結膜外導水チューブ部が、より確実に眼球運動による影響を吸収して、眼球運動に伴う眼球組織への侵襲や患者の苦痛、房水排出インプラントの設置位置のずれなどを大幅に防ぐことが可能となる。
上記特許文献3の房水流出具のシリコーンチューブ112は、図11(a),図11(b)に示すように、一体として構成されている。このため、房水流出具を結膜嚢に留置することによって結膜出血や、瞬目時の異物感を来すおそれがある。
これに対し、本発明の房水排出インプラントでは、結膜外眼球側導水チューブ部の常温における曲げ弾性率を、結膜外フィルター側導水チューブ部の常温における曲げ弾性率よりも小さくすることにより、眼球運動の影響を結膜外眼球側導水チューブ部により吸収し、結膜外フィルター側導水チューブや部やフィルター部へ影響することをより確実に防止することができる。なお、本発明において、チューブの曲げ弾性率とは通常の方法(ASTM D790)により、常温において測定、算出した値をいう。また、曲げ弾性率が小さいものほど柔軟性が高い。
本発明の房水排出インプラントは、上記の課題を解決するために、上記眼球側導水チューブ部と、上記結膜外導水チューブ部とを着脱可能に連接する継ぎ手部をさらに含むものであってもよい。
上記の構成により、継ぎ手部において上記結膜外導水チューブ部を着脱し、必要に応じて上記中空フィルター部を取替えることが可能になる。すなわち、房水排出インプラントの使用に伴い、劣化や破損が生じた場合に、中空フィルター部を取替えることができる。このため、房水排出インプラント全体を再度設置する場合と比較して、より簡便、廉価でかつ患者の苦痛をより軽減した方法で、房水排出インプラントの眼圧下降効果を長期的に維持することが可能となる。
さらには、眼球および周辺組織の患者の個体差に対して、房水排出インプラントの形状及び設置方法がある程度調節可能となる利点を有する。例えば、上記眼球側導水チューブ部と上記結膜外導水チューブ部として、それぞれ、患者の眼球および周辺組織の個体差に応じた形状のものを、何種類か予め用意しておくことにより、患者の個体差に応じた組合せとすることができる。これにより、導水チューブが一体として形成されたものに比較して、患者の個体差に対して形状及び設置方法を、ある程度調節することが容易となる。
上記中空フィルター部は、例えば、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリスルホン系、ポリアクリロニトリル系、セルロース系、セルロースアセテート系、ポリメチルメタクリレート系、ポリアミド系の高分子素材の1種以上からなる中空糸膜により構成することができる。このような中空糸膜は、非常に小さな膜孔径を備えるものとすることができるから、当該中空糸膜によりウイルスレベルまでの逆行性感染を阻止することが可能となる。
また、上記中空糸膜の平均膜孔径が0.3μm以下であることが好ましく、上記中空糸膜の平均膜孔径が0.02μm以下であることがより好ましい。これにより、ウイルス粒子を中空糸膜で確実に捕捉することができる。なお、本発明において、中空糸膜の「平均膜孔径」とは、下記引用文献に示されるような通常の人工腎用中空糸膜に用いられる方法を用いて換算されたものである。(引用文献:佐藤威他:各種の血液浄化法の機能と適応−血液浄化器の性能評価法と機能分類。「透析会誌」、社団法人日本透析医学会発行、29(8)、1231〜1245、1996年)。
また、上記中空糸膜は、アニオン性基またはカチオン性基が化学的に結合されてなるものであってもよい。これにより、ウイルスレベルまでの逆行性感染阻止をより確実なものとしつつ、眼圧を下げるために必要な房水排出量を得ることができる。すなわち、上記中空糸膜に電気的にウイルスを阻止する処理を施すことにより、処理をしないものと比較して、ウイルスを阻止する能力を向上させることができる。つまり、膜孔径が同じであれば、上記電気的な処理によりアニオン性基またはカチオン性基を化学的に結合させた中空糸膜のウイルス阻止能力のほうが大きい。このため、所望のウイルス阻止能力を維持しつつ、中空糸膜の膜孔径を大きくすることができるから、眼圧を下げるために必要な房水排出量を容易に得ることが可能となる。
本発明の実施の一形態である房水排出インプラントの概略構成を示す断面図である。 図1(a)のA−A’矢視断面図である。 図1(a)のB−B’矢視断面図である。 本発明の実施の一形態である房水排出インプラントを、鼻涙管まで挿入した場合の眼球全体における設置状態を示す概略図である。 構成前半部と構成後半部とが分割された状態における、図2の房水排出インプラントの全体図である。 本発明の実施の一形態である房水排出インプラントを、結膜上に設置した場合の眼球全体における設置状態を示す概略図である。 従来の房水排出インプラント中空糸膜部が、外筒部の変形に起因して乾燥する機構を説明する図である。 図5(a)とともに、従来の房水排出インプラント中空糸膜部が、外筒部の変形に起因して乾燥する機構を説明する図である。 図5(a),図5(b)とともに、従来の房水排出インプラント中空糸膜部が、外筒部の変形に起因して乾燥する機構を説明する図である。 本実施形態の房水排出インプラントの中空糸膜部は、外筒部の変形に起因した乾燥が抑制されていることを説明する図である。 図6(a)とともに、本実施形態の房水排出インプラントの中空糸膜部は、外筒部の変形に起因した乾燥が抑制されていることを説明する図である。 図6(a),図6(b)とともに、本実施形態の房水排出インプラントの中空糸膜部は、外筒部の変形に起因した乾燥が抑制されていることを説明する図である。 本発明の他の実施形態としての房水排出インプラントを構成する、外筒部内に中空糸膜部が2本設けられているフィルター部の概略構成を示す断面図である。 本発明の他の実施形態としての房水排出インプラントを構成する、外筒部内に中空糸膜部を2本束ねたものが設けられたフィルター部の概略構成を示す断面図である。 本発明の他の実施形態としての房水排出インプラントを構成する、径の小さい中空糸膜部を、径の大きい中空糸膜部の内側に挿入することにより、多重構造としたフィルター部の概略構成を示す断面図である。 本発明の他の実施形態としての房水排出インプラントを構成する、径の小さい中空糸膜部を、径の大きい中空糸膜部の内側に挿入することにより、多重構造としたフィルター部の概略構成を示す断面図である。 図10(a)のC−C’矢視断面図である。 従来の房水流出具の概略構成を示す断面図である。 従来の他の房水流出具の概略構成を示す断面図である。 房水排出経路の異なる、従来の緑内障治療用房水排出インプラントが配置された状態を示す概略図であり、結膜下に房水を排出する場合を示す図である。 房水排出経路の異なる、従来の緑内障治療用房水排出インプラントが配置された状態を示す概略図であり、結膜外に房水を排出する場合を示す図である。
符号の説明
1 房水排出インプラント
2 前房内側断端
3 第1のチューブ(導水チューブ部、眼球側導水チューブ部)
4 結膜外側断端
5 第1の継ぎ手(継ぎ手部)
6 第2の継ぎ手(継ぎ手部)
7 第2のチューブ(導水チューブ部、結膜外導水チューブ部、結膜外眼球側導水チューブ部)
8 第3のチューブ(導水チューブ部、結膜外導水チューブ部、結膜外フィルター側導水チューブ部)
9 フィルター部
10 構成後半部
11 中空糸膜部(中空フィルター部)
11A 中空糸膜部(第1の中空フィルター部)
11B 中空糸膜部(第2の中空フィルター部)
12 外筒部
14 結膜
15 角膜
16 強膜
17 虹彩
18 上眼瞼
19 下眼瞼
20 上涙点
21 下涙点
22 上涙小管
23 下涙小管
24 涙嚢
25 鼻涙管
26 内眼角部
27 結膜円蓋部
91 閉塞部(第1の閉塞部)
92 閉塞部(第2の閉塞部)
93 閉塞部(第1の閉塞部、第2の閉塞部)
〔実施の形態1〕
本発明の房水排出インプラントの実施の一形態につき、図1(a)〜図6(c)に基づいて以下に説明する。なお、本発明に係るフィルター部は、房水排出インプラントに備えられるものであるため、房水排出インプラントとともに説明する。
図1(a)〜図1(c)は、本実施形態の房水排出インプラントの備えている、フィルター部9の概略構成を示す断面図である。図1(a)に示すとおり、フィルター部9においては、外筒部12内に中空糸膜部(中空フィルター)11が設けられている。そして、当該中空糸膜部11の眼内側端の内部が、閉塞部(第1の閉塞部)91により閉塞されている。一方、中空糸膜部11の眼外側端は開放されており、当該眼外側端の外側と外筒部12の内側との間の空間が閉塞部(第2の閉塞部)92により閉塞されている。この構成により、中空糸膜部11の外側から内側に濾過させた房水を、上記眼外側端から眼球外に導いて排出することができる。すなわち、図1(a)中に矢印で示すように、中空糸膜部11の外側から内側に濾過させて、外筒部12内の房水を眼球外に排出することができる。
上記の構成により、中空糸膜部11が、その外面ではなく内面で眼球外の雰囲気と接触することとなる。図1(b)は、図1(a)のA−A’矢視断面図であり、同図に示すとおり、中空糸膜部11の外側面の周りには、外筒部12内を満たす房水で房水満たされているから、中空糸膜部11の乾燥することを防止することができる。したがって、中空糸膜部11の乾燥に起因する、フィルター部9の濾過機能の低下や破損を防ぐことができる。
図1(c)は、図1(a)のB−B’矢視断面図であり、フィルター部9を房水が排出される側から見た状態を示している。同図の閉塞部91は、中空糸膜部11の長さ分だけ閉塞部92よりも図面の奥側に位置しており、閉塞部91と閉塞部92との間の中空糸膜部11を濾過した房水は、その外側に閉塞部92が形成されている中空糸膜部11の開放端から排出される。
中空糸膜部11を閉塞する閉塞部91、閉塞部92は、中空糸膜部11の内部空間、その外側空間を閉塞して、当該空間の房水の流れを止めるものであればよく、従来公知の手段を用いて形成することができる。例えば、ポリウレタン接着剤を用いた閉塞方法や熱溶着による閉塞方法によって、閉塞部91、閉塞部92を形成することができる。なお、この点、後述する閉塞部93(図7、図8、図10(a),図10(b))も同様である。
上記フィルター部9を備えた房水排出インプラントの全体構成について、以下図2〜4に基づいて説明する。
図2は、本発明の実施の一形態である房水排出インプラントを鼻涙管まで挿入した場合の眼球全体における設置状態を示す概略図である。また、図3は図2の房水排出インプラントの構成前半部と構成後半部とが分割された状態を示す全体図である。
図2および図3に示すように、本実施の形態の房水排出インプラント1は主に3つの部分、第1のチューブ(導水チューブ部・眼球側導水チューブ部)3、第1の継ぎ手(継ぎ手部)5、第2の継ぎ手(継ぎ手部)6および構成後半部10から構成されている。なお、以下、第1の継ぎ手5と第2の継ぎ手6とを、特に区別しない場合は、両者をまとめて「継ぎ手5・6」という。
図2に示すように、房水排出インプラント1は、眼球の前房と結膜14の外とを結び、結膜14下で強膜壁に沿って設置される構成前半部である第1のチューブ3と、内眼角部26から上涙点20(または下涙点21)を通って、上涙小管22(または下涙小管23)、涙嚢24、鼻涙管25のいずれかに設置される構成後半部10と、そして構成前半部である第1のチューブ3と構成後半部10とを接続する継ぎ手5・6とから構成されている。なお、図2には、構成後半部10が涙嚢24、鼻涙管25のいずれかに設置される場合の例について示しているが、後述するように、構成後半部10を結膜14上に設置することも可能である。ここで結膜14とは、眼球結膜、結膜円蓋部および眼瞼結膜を含む意義で用いている。
構成後半部10は、第2のチューブ(導水チューブ部、結膜外導水チューブ部、結膜外眼球側導水チューブ部)7、第3のチューブ(導水チューブ部、結膜外導水チューブ部、結膜外フィルター側導水チューブ部)8およびフィルター部9から構成されている。そして第1のチューブ3、第2のチューブ7、第3のチューブ8が本発明の導水チューブ部に相当し、フィルター部9が本発明のフィルター部に相当する。また、継ぎ手5・6が本発明の継ぎ手部に相当し、第2のチューブ7および第3のチューブ8が結膜外導水チューブ部相当する。また、第2のチューブ7、第3のチューブ8が、それぞれ、結膜外眼球側導水チューブ部、結膜外フィルター側導水チューブ部に相当する。
以上の構成により、房水は眼球の前房から第1のチューブ3を通って、継ぎ手5・6へ導かれる。そして継ぎ手5・6において房水は結膜14外に出て次いで構成後半部10を経て上涙小管22(または下涙小管23)、涙嚢24、鼻涙管25のいずれかに排出されることになる。房水排出インプラント1から排出された房水は、上涙小管22(または下涙小管23)、涙嚢24を経て鼻涙管25、鼻涙管25につながっている鼻腔(図示しない)にて吸収される。
なお、図2には、房水が、構成後半部10を経て鼻腔にて吸収される場合を示しているが、後述するように、構成後半部10を経て結膜14上に排出する構成とすることもできる。この場合、排出された房水は、結膜14組織に吸収されることとなる。
本実施の形態の房水排出インプラント1においては、構成前半部である第1のチューブ3は、その内径が0.5mm、その外径が1.0mm、その長さが10mmである1本のシリコーンチューブから構成されており、結膜外側断端4において継ぎ手5と接続されている。この第1のチューブ3は外科手術によって結膜14下において強膜壁に沿って設置されるものであるが、この際、第1のチューブ3の前房内側断端2は、眼球の前房内に挿入され、かつ結膜外側断端4と継ぎ手5とは内眼角部26で結膜14外に設置される。
すなわち、まず結膜14および結膜下組織を弁状に切開し強膜16を露出させる。この際、必要に応じて止血を行う。そして、房水排出インプラント1の、第1のチューブ3の結膜外側断端4を、内眼角部26の強膜壁に縫合固定する。次いで房水排出インプラント1の、第1のチューブ3の前房内側断端2を、公知の方法を用いて強膜16に通し、虹彩17と角膜15との間から前房へ設置する。
第1のチューブ3は、図2に示すような形状に設置できるように、適宜、強膜壁に縫合固定される。そして、結膜14を元に戻し切開部を縫合閉鎖する。ここで第1のチューブ3の結膜外側断端4に接続されている第1の継ぎ手5が、結膜14外に露出するように、第1のチューブ3の結膜外側断端4周囲の結膜14を巾着縫合、生体用接着剤など公知の方法を用いて閉鎖する。
以上のように、第1のチューブ3および継ぎ手5を設置することにより、房水を前房から第1のチューブ3および継ぎ手5を経て、結膜14外に導くことが可能になる。
第1のチューブ3が、前房、結膜14下、強膜16といった生体組織内に設置されることを考慮すると、第1のチューブ3の素材としては適度な柔軟性があり生体適合性の高い素材であればいかなる素材を用いても構わない。第1のチューブ3の具体例としては、シリコーン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリノルボルネン、等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブタヂエン、ポリイソプレン、SBR(Styrene Butadiene Rubber)、SIR等の合成ゴム類ならびに天然ゴム、等の各種高分子材料が挙げられる。そして、使用実績と信頼度の点から、上記例示の材料の中では、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。
第1のチューブ3の外径は、続いて接続される構成後半部10の外径と略同一であることが望ましい。第1のチューブ3の外径は、個体差はあるが一般には0.5〜1.5mm程度となる。すなわち、第1のチューブ3の適切な外径は、房水排出インプラント1の設置対象となる患者ごとに異なるが、一般に、0.5〜1.5mm程度の範囲内となる。また、第1のチューブ3の長さは、その前房内側断端2を前房へ挿入する位置によるが、一般には5〜20mm程度となる。
前述のように、第1のチューブ3は強膜壁に沿って固定されるものである。そして、この固定操作を容易にするという目的を達する方法であれば、いかなる公知の技術を用いた構造を第1のチューブ3に設置しても構わない。このような公知の技術を用いた構造の一例としては、第1のチューブ3の外面に設けられる突起様の構造物が挙げられる。これにより、突起様の構造物を用いて第1のチューブ3を強膜壁に沿って固定することができるため、固定操作を容易にすることができる。
第1のチューブ3の結膜外側断端4は、第1の継ぎ手5に接続されるものであるが、あらかじめ結膜外側断端4と第1の継ぎ手5とを一体的に固着しておくことが望ましい。これにより、手術手技をさらに簡便にし、また接続部からの感染をより確実に防ぐことができる。
図2および図3に示すように、本実施の形態の房水排出インプラント1の構成後半部10は、3つの部分から構成されている。すなわち、構成後半部10は、第2の継ぎ手6に接続される第2のチューブ7、フィルター部9、そして第2のチューブ7とフィルター部9とをつなぐ第3のチューブ8、の3つの部分から構成されている。そして、この構成後半部10の形状および構造を、後述のように定めることにより、構成後半部10を上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25、結膜14上のいずれにも低侵襲に設置することができるという、従来の房水排出インプラントでは実現することができない効果を奏することができる。
まず、図2に示すように、構成後半部10を、上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24又は鼻涙管25のいずれかに設置する場合について述べる。生来、人体では、図2に示すように、涙液が通る涙道という小管が内眼角部26から鼻腔(図示しない)に通じている。この涙道は、直径約1mm〜1.5mm、長さ10mm〜30mmの一本の管状構造で、上涙点20、下涙点21、上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24および鼻涙管25から構成されており、内眼角部26と鼻腔とを接続(連通)している。
涙液は涙道を通過して鼻腔へ排出されるのであるが、本実施の形態の房水排出インプラント1は、この涙道の解剖学的特徴に着目し、構成後半部10を涙道に挿入して設置することを可能にしている。すなわち、本実施の形態の房水排出インプラント1は、生来存在する涙道を生来の構造を保ったまま利用して、前房の房水を鼻腔に排出するものであるから、従来技術では成しえなかった、非侵襲的な設置を実現することが可能となる。つまり、構成後半部10の形状を、後述するように、涙道に挿入することが可能な1本のチューブ形状とすることによって、涙道に低侵襲に挿入することができる。
次に、構成後半部10を結膜14上に設置する場合について述べる。図4は本実施の形態の房水排出インプラント1を結膜上に設置した場合の眼球全体における設置状態を示す概略図である。なお、図2,3と機能が共通の部材や部位については、同じ符号を付してその説明を省略する。
同図に示すように、構成後半部10を結膜14上に設置する場合には、設置時の侵襲に加えて、設置後の構成後半部10による角結膜への障害や、患者の異物感を考慮しなくてはならない。そのためには、従来技術のように、房水排出インプラントを単純に結膜嚢に垂らして留置するのではなく、図4に示すように、眼球壁の曲面に沿って結膜14上に設置し眼球運動による影響を最小限に抑える必要がある。
構成後半部10は、図4に示すように結膜14に設置することにより、結膜14を通じて眼球と一体となるから、あらゆる方向への眼球運動へ追従することが可能となる。すなわち、構成後半部10を1本のチューブ状とすることによってはじめて、眼球壁に沿って簡便に設置することができ、かつ設置後の結膜14への障害や異物感を抑え、かつ結膜14上に低侵襲に設置できるという効果を奏することとなる。なお、図4においては、構成後半部10を結膜14の結膜円蓋部27上に設置している。
ところで、構成後半部10を図2に示すように涙管に設置する場合、図4に示すように眼球壁に沿って結膜14上に設置する場合のいずれでも、構成後半部10は第2の継ぎ手6に接続されることとなる。このため、構成後半部10は眼球運動の影響を直接受けることとなるが、これに対しては、構成後半部10が第2のチューブ7、第3のチューブ8およびフィルター部9の複数の部分から構成されていることにより、眼球運動の影響を最小限に抑えることができる。
すなわち、上記複数の部分の各々に求められる特有の柔軟性や生体適合性を個々に定めることにより、眼球運動による構成後半部10への影響を最小限に抑えることが可能となる。なお、本実施の形態においては、構成後半部10を3つの部分により構成しているが、構成後半部10を構成する複数の部分の数はこれに限るものではない。
以上のように、構成後半部10の形状を一本のチューブ状とし、かつ構成後半部10を複数の部分、具体的には第2のチューブ7、第3のチューブ8およびフィルター部9の3つの部分に分割することによってはじめて、構成後半部10を上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25、結膜14上のいずれにも低侵襲に設置することができる房水排出インプラント1とすることができる。なお、構成後半部10の一本のチューブ形状については、後に詳述することとする。
上記したように、構成後半部10の外径は、第1のチューブ3の外径と略同一であることが望ましく、一般には0.5〜1.5mm程度とすることが好ましい。より具体的には、本実施の形態の房水排出インプラント1においては、第2のチューブ7および第3のチューブ8は、いずれも、内径0.5mm、外径1.0mmのシリコーンチューブである。このように、構成後半部10は、2本のシリコーンチューブを含んで構成されている。また、第2のチューブ7の長さは5mm、第3のチューブ8の長さは10mm〜30mmである。そして、フィルター部9は、例えば、内径0.8mm、外径1.0mm、長さ10mmのポリエチレンチューブの外筒1本と、その内腔に設置される外径0.7mm、長さ8mmの中空糸膜1本とから構成される。
フィルター部9は、フィルターとして中空糸膜を用いることによって、第2のチューブ7、第3のチューブ8と同様の一本のチューブ状にせしめることが可能となる。ここで、前述した構成後半部10の第2のチューブ7、第3のチューブ8、フィルター部9の形状および寸法は、いずれも構成後半部10を上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25のいずれにも低侵襲に設置することができるように、前述した涙道の解剖学的根拠に基づいて考案されたものであり、同時に構成後半部10を結膜14上にも低侵襲に設置することができるように、前述した眼球の解剖学的根拠に基づいて考案されたものである。
前述のように、構成後半部10は、患者の状況に応じて、外科手術により上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25、あるいは結膜14上のいずれかの場所に設置される。構成後半部10を、図2に示すように、上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25のいずれかの場所に設置する場合には、公知の鼻涙管ブジーの方法を用いて上涙点20(または下涙点21)から構成後半部10を挿入し、構成後半部10を上涙小管22(または下涙小管23)、涙嚢24、鼻涙管25のいずれかの部位に設置する。
この際、第2のチューブ7は、後述するように眼球運動に対応する目的で上涙点20(下涙点21)の外に位置するように設置する。そして第2のチューブ7の断端を、第2の継ぎ手6を用いて第1の継ぎ手5と接続する。また、図4に示すように、構成後半部10を結膜14上に設置する場合には、第2のチューブ7の断端を第2の第2の継ぎ手6を用いて第1の継ぎ手5と接続し、構成後半部10を結膜14上に設置する。なお、図2および図4の18は上眼瞼18、19は下眼瞼19を示している。
ここで患者の状況というのは、鼻涙管閉塞があったり、排出された房水が視力に影響を及ぼしたり、構成後半部10による異物感をどうしても感じたり、という状況のことをいう。例えば、鼻涙管閉塞のある患者の場合には、構成後半部10を結膜14上に設置することが望ましい。また、例えば、構成後半部10を結膜14上に設置した場合に、排出された房水が視力に影響を及ぼす、もしくは眼球運動時の構成後半部10による異物感(違和感)がどうしても生じる場合には、構成後半部10を上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25のいずれかの場所に設置することが望ましい。
そして、いずれの場合においても第2のチューブ7、第3のチューブ8の長さを必要に応じて調整することによって、患者の状況に対応することが可能である。また、あらかじめ第2の継ぎ手6と構成後半部10とは一体的に固着されていることが望ましい。これにより、手術手技をより簡便にし、また、第2の継ぎ手6と構成後半部10との接続部からの感染をより確実に防ぐことができる。
ここで、第1のチューブ3、継ぎ手5・6が強膜壁に固定される以上、続いて設置される第2のチューブ7は、眼球運動による力学的影響を直接受けることになる。この際、眼球の可動範囲に対して第2のチューブ7の伸縮が不十分であると眼球運動が制限されることにより、複視を来す可能性や房水排出インプラント1の設置位置のずれを生じる可能性がある。
つまり、上記複視や設置位置のずれが生じることを防止するために第2のチューブ7には眼球運動に十分に対応できる、特に高い、伸縮性、柔軟性、変形性が求められる。すなわち、第2のチューブ7の素材は、伸縮性、柔軟性、変形性の高い素材であることが必要である。また、第2のチューブ7は、眼球の可動範囲によっては一時的に角膜を主とする眼球組織に接触する場合がある。この際に、第2のチューブ7により眼球組織に傷害が及ぶことを確実に防止するためにも、第2のチューブ7の伸縮性、柔軟性、変形性を十分なものとすることが重要である。つまり、第2のチューブ7に用いられる素材には、眼球運動に対応して容易に変形しかつ眼球の組織侵襲を軽減する、高い柔軟性と高い生体適合性とが求められる。このような条件を備えた第2のチューブ7を構成後半部10の一部に含むことによって、眼球運動に伴う眼球組織への侵襲や患者の苦痛、房水排出インプラント1の設置位置のずれなどを大幅に防ぐことが可能となる。
第2のチューブ7の素材としては、伸縮性、柔軟性、変形性、生体適合性の高い素材であればいかなる素材を用いても構わないが、その代表例としては、シリコーン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリノルボルネン、等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、天然ゴム、合成ゴム等の各種高分子材料が挙げられる。特にシリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。第2のチューブ7の外径は他の第1のチューブ3、第3のチューブ8と略同一であることが望ましく、その長さは、継ぎ手5・6の位置と構成後半部10の設置部位によるが、眼球運動による伸縮を考慮すると一般には5mm〜20mm程度となる。また、第2の継ぎ手6と第2のチューブ7とは、あらかじめ一体的に固着されてなるものであることがより望ましい。これにより、手術手技をより簡便にし、両者の接続部からの感染をより確実に防止することができる。
第3のチューブ8は、結膜14上、上涙点20、下涙点21、上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24といった生体組織内に設置されるものであることを考慮して、第3のチューブ8の素材としては、適度な柔軟性があり生体適合性の高い素材であることが必要である。このような条件を満たすものであれば、第3のチューブ8の素材としていかなる素材を用いても構わないが、その代表例としては、シリコーン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、合成ゴム、天然ゴム、等の各種高分子材料が挙げられる。上記例示した素材のなかでは、特にシリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。
第3のチューブ8の外径はチューブ8を上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25に設置することを考慮して、上涙点20、下涙点21、上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24の内径よりも細いことが求められる。これらの内径には、各患者による個体差があるが、第3のチューブ8の外径は、一般には0.5mm〜1.5mm程度であることが望ましい。また、第3のチューブ8の長さは構成後半部10の設置部位や、患者の個体差にもよるが、一般には5mm〜20mm程度となる。
上記第2のチューブ7および第3のチューブ8は、いずれも、常温における曲げ弾性率が2000Mpa以下のものであり、柔軟性が高く、眼球運動に伴う眼球の組織侵襲や患者の苦痛、房水排出インプラント1の位置のずれを防ぐことができる。また、本実施の形態では、第2のチューブ7と第3のチューブ8とを、常温における曲げ弾性率すなわち柔軟性が同じものにより構成しているが、第2のチューブ7を第3のチューブ8よりも常温における曲げ弾性率が小さいものとすることがより好ましい。これによって、眼球運動の影響を第2のチューブ7で、より確実に吸収することが可能となる。
第3のチューブ8の設置位置は、第2のチューブ7の伸縮性やフィルター部9の鼻涙管25内での挙動によって影響を受ける場合がある。この場合、構成後半部10を、上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25のいずれかの場所に設置すると、上涙点20もしくは下涙点21から、抜け出るという事態、あるいは逆に第3のチューブ8が鼻涙管25側へ引き込まれるという事態が起こる可能性がある。
上記のような事態の発生を確実に防止するためには、構成後半部10を適切な位置に固定すればよい。構成後半部10を固定する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の構成を採用することができるが、例えば、構成後半部10を上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25のいずれかの場所に設置する場合には、上涙点20もしくは下涙点21を糸で結紮し縮小する方法、第2のチューブ7もしくは第3のチューブ8を上涙点20もしくは下涙点21周囲の皮膚に一時的に結紮し固定する方法、第2のチューブ7と第3のチューブ8との境界部に翼状の突起を設けストッパーにする方法等が挙げられる。
ところで、構成後半部10を結膜14上に設置する場合には、必要に応じて第3のチューブ8を省略し、第2のチューブ7とフィルター部9とを短絡することも可能である。しかし、第3のチューブ8を、省略するか、しないかに関わらず、構成後半部10を結膜14上に設置する場合には、眼球運動に伴い構成後半部10が、結膜14上からずれて設置位置が不安定になるという事態が発生する可能性がある。このような事態は、構成後半部10を結膜14上の適切な位置に固定するという方法により防止することができる。ここで、構成後半部10を結膜14上に固定する方法は、従来公知の技術を用いることができ、特に限定されないが、例えば構成後半部10を結膜14に縫合固定する方法が挙げられる。
フィルター部9の外径は、上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24、鼻涙管25に設置することを考慮して、これら上涙点20、下涙点21、上涙小管22、下涙小管23、涙嚢24の内径よりも細いことが求められる。これらの内径には、各患者による個体差があるが、一般には0.5mm〜1.5mm程度であから、フィルター部9の外径も0.5mm〜1.5mm程度であることが望ましい。また、各患者による個体差があるが、フィルター部9の長さは、一般には5mm〜20mm程度となる。なお、フィルター部9が、中空糸膜部11のみから構成されたものである場合には、フィルター部9の外径は中空糸膜部11の外径であり、外筒部12を含んで構成されたものである場合には、フィルター部9の外径は外筒部12の外径となる。
ところで、フィルター部9の中空糸膜部11は、房水を排出して眼圧を低下させるものであると同時に、結膜14外に存在するウイルス、細菌、真菌などが、第1のチューブ3および構成後半部10の内部に侵入することを防止するものでもある。これにより、眼圧を降下させるとともに、この際に結膜14の外から逆行性感染が生じることを阻止することができる。
房水排出という観点から必要とされる中空糸膜部11の条件は、房水の産生率が2.0μl/min〜3.0μl/minであり、目標となる眼圧が10.0mmHg〜20.0mmHg程度である。このことから、中空糸膜部11において10.0mmHg〜20.0mmHg程度の水圧で2.0μl/min〜3.0μl/min以上の房水排出流量が得られることが、中空糸膜部11の条件である。
これについて、本実施の形態の房水排出インプラント1を構成する中空糸膜部11に用いられる中空糸膜が、上記のような条件を十分に満たし得るかどうかについて、次のような実験を施行して検討した。
〔中空糸膜の評価実験方法〕
すなわち、本実施の形態の房水排出インプラント1を構成する中空糸膜部11に用いられる中空糸膜を使用し、一定の水圧下に流出する房水の量を測定した。具体的には、垂直に設置したパイプに市販の擬似房水であるBSSプラス(参天製薬株式会社)をパイプ下端から約13cmの高さまで満たし、パイプの下端に長さ10mmの中空糸膜部11を接続して単位時間あたりに流出したBSSプラスの重量を測定した。なお、流出したBSSプラスの体積は、流出したBSSプラスの重量とBSSプラスの比重とから算出した。ここで中空糸膜部11として使用した中空糸膜は、平均膜孔径、外径の異なる2種類の試作エバール膜を用いた。なお、上記実験はBSSプラスの温度を37度に保って行った。
〔試作エバール膜の作製方法〕
上記試作エバール膜は、エチレン含有率32モル%、ケン化度99モル%のエチレンビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、EVAL EC−F100A〔商品名〕)の15重量部、ジメチルスルホキシド73重量部、水10重量部および塩化リチウム2重量部を、90℃で加熱攪拌溶解して製膜原液を作製した。
上記のようにして得られた製膜原液のLST(Lower Solution Temperature)は28℃であった。なお上記製膜原液は、高温では透明均一溶液であるが、温度を下げると相分離が生じて溶液が白濁し、長時間静置すると2層に分離するものである。この相分離が起こり始める温度を本実施の形態ではLSTという。
二重環状ノズルを用いて、中心部より水を内部注入剤として送り込みながら、40℃の製膜原液を押出し、15℃の空気層を通過させた後、水浴中に導入して凝固させた。以下、常法にしたがい、水洗、湿熱処理、乾燥、熱処理を行い、乾燥中空糸膜を得るという方法によって、上記試作エバール膜である中空糸膜E1を作製した。
また、ケン化度99モル%のエチレンビニルアルコール系共重合体を17重量部とし、ジメチルスルホキシドを71重量部とした以外は、上記中空糸膜E1と同じ条件により、もう一種類の試作エバール膜である中空糸膜E2を作製した。なお、この中空糸膜E2を作製するために用いた製膜原液のLSTは30℃であった。
試作エバール膜すなわちエチレンビニルアルコール系重合体中空糸膜の作製方法の詳細については特開平13−286740に記載してある。
上記のようにして行った、中空糸膜E1、E2の平均膜孔径、外径、の評価実験の結果を表1に示すが、2種類の中空糸膜のいずれにおいても、上述した房水の産生率に応じた擬似房水の流出となる条件を満たす流出量が認められた。これによって、本発明の房水排出インプラント1が眼圧を正常範囲内に保ち得るような房水の排出に有効であることが分かった。
Figure 2006001280
ところで中空糸膜部11の性能によっては本発明の房水排出インプラント1による房水排出が過剰になる可能性がある。すなわち、房水の過剰排出による術後の低眼圧を来す事態が生じる可能性がある。このような事態を防止するために、使用する中空糸膜部11の性能に応じて適宜、圧開閉式の逆止弁もしくは調圧弁を、第1のチューブ3、第1の継ぎ手5、第2の継ぎ手6もしくは構成後半部10に組み込むこととしてもよい。
圧開閉式逆止弁は正常眼圧の範囲である7mmHg〜20mmHg程度の範囲内に眼圧を維持するために開閉するものである。圧開閉式逆止弁は、この目的を達する構造であればいかなる公知の技術を用いても構わないが、その例としては、Krupin−Denver eye shuntに使用されているスリット式の逆止弁(米国特許第5454796号明細書)やAhmed glaucoma implantに使用されている逆止弁(米国特許第5071408号明細書、米国特許第6261256号明細書)等が挙げられる。また、上記圧開閉式逆止弁の弁は逆止弁であるので、鼻をかんだときやくしゃみをした時など、急激に鼻涙管内圧が上昇すると考えられる状態において房水の逆流を防ぐことが出来る。
また、逆行性感染阻止という観点から必要とされる中空糸膜部11の中空糸膜の条件は、ウイルス粒子の直径が0.02μm〜0.3μm程度であることを考慮し、中空糸膜の平均膜孔径が0.3μm以下であり、好ましくは0.0001μm〜0.02μmの範囲内、より好ましくは0.0001μm〜0.01μmである。中空糸膜の平均膜孔径が上記の範囲よりも大きくなると、ウイルス粒子を阻止することが困難になる可能性が高い。
しかし、上記中空糸膜の平均膜孔径の条件は、中空糸膜部11の目的であるウイルスレベルでの逆行性感染阻止が達成できる範囲において、柔軟に加減し得る条件である。すなわち、後述するように電気的にウイルスを阻止する機能を中空糸膜部11に付加した場合には、ウイルスの捕捉は中空糸膜の平均膜孔径を小さくすることによる捕捉と、電気的な捕捉とにより行われることとなる。このため、中空糸膜部11に用いられる中空糸膜は、その平均膜孔径が上記の範囲よりも大きいものであっても、ウイルスレベルでの逆行性感染を阻止するという機能を発揮することができるものであれば何ら問題ないということである。
中空糸膜部11に使用する中空糸膜の素材としては、適度な水濾過性能を有し、かつウイルスレベルまでの逆行性感染を防止することができる素材であれば、使用可能であり、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリスルホン系、ポリアクリロニトリル系、セルロース系、セルロースアセテート系、ポリメチルメタクリレート系、ポリアミド系等の高分子素材が挙げられる。
なお、現在、中空糸膜の用途は多岐に渡るが、医療分野においては主に人工腎に使用されている。一般に、人工腎用中空糸膜の平均膜孔径は、約0.005μm〜0.008μm程度であり、本発明の房水排出インプラント1を構成する中空糸膜部11の中空糸膜に求められる上記の条件を満たすものであるといえる。したがって、工業的に生産されている人工腎用中空糸膜の中から、適宜選択し本発明を構成する中空糸膜として使用することが可能である。
このような、人工腎用中空糸膜の具体例としては、APS−150、AM−FP−130、AM−GP−13、AM−UP−13(以上、旭メディカル株式会社製)、Meltrax140、Meltrax160(以上、泉工医科株式会社製)、FB−130U(ニプロ株式会社製)、BS−1.6(東レ株式会社製)、PS−1.6N(川澄化学工業株式会社製)等の透析器に用いられている中空糸膜が挙げられる(高島征助、「膜材料に求められる特性」、クリニカルエンジニアリング、1997年、第8巻、第6号、p479−492参照)。
また、上記の房水排出流量を維持しながらウイルスレベルまでの逆行性感染をより確実に防止する目的で、中空糸膜の膜孔径によるウイルスの捕捉に加えて電気的にウイルスを阻止する性能を中空糸膜部11に付加することも可能である。
ウイルス粒子全体としては、多くの細菌と同様に、通常のpH中性付近の条件ではマイナスに帯電していることは、既に公知の事項である。そこで、中空糸膜部11にアニオン性基を化学的に結合させて(導入して)マイナスに帯電させると、ウイルス粒子は中空糸膜中に存在するマイナスイオンに電気的に反発して膜通過を阻止される。あるいは、中空糸膜部11にカチオン性基を化学的に結合させてプラスに帯電させると、ウイルス粒子は、中空糸膜中に存在するプラスイオンと電気的に引き合い、吸着されるから、この結果として膜通過を阻止される。
一方、ウイルスの構成成分のひとつである蛋白質は両性電解質であり、カチオン基(主としてアミノ基)とアニオン基(主としてカルボキシル基)の両方を有している。中空糸膜部11に化学的に結合させたアニオン性基またはカチオン性基は、イオン交換膜と同様機構により、蛋白質中のアミノ基またはカルボキシル基を対イオンとして捕捉すると推定される。
すなわち、電気的にウイルスを阻止するとは、以上のような電気的な力を利用してウイルス粒子の中空糸膜通過を阻止することである。また、中空糸膜部11に電気的にウイルスを阻止する性能を付加することにより、このような電気的な性能を付加されていない非帯電膜に比し、より大きな膜孔径(平均膜孔径)でもウイルスの通過を阻止することができるという効果を奏する。
中空糸膜部11にイオン性基を導入する方法は、中空糸膜部11の中空糸膜にイオン性基を導入することができる方法であれば、いかなる方法を用いても構わないが、公知の酸処理、アルカリ処理、酸化処理、光照射、付加反応、グラフト反応などにより中空糸膜部にイオン性基を導入する方法を挙げることができる。例えば、分子中に水酸基を有する高分子素材の場合には、エステル化、エーテル化、マイクル付加などの反応を利用して、容易に硫酸基、カルボキシル基、アミノ基などのイオン性基を導入することができる(高島征助、外5名,「吸着剤によるHB抗原の除去に関する研究」,医器学,1986年,第56巻,第11号,p499−505、特許第1695758号明細書、特許第1695760号明細書参照)。
本実施の形態の房水排出インプラント1では、中空糸膜部11の結膜14外への設置を簡便にしフィルター部9の耐久性を高めるために、中空糸膜部11に外筒部12を設けられている。外筒部12の素材は、適度な硬度があり生体適合性の高い素材であればいかなる素材を用いても構わないが、その例としてはシリコーン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリウレタン系樹脂、合成ゴム、天然ゴム、トランスポリイソプレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の高分子材料が挙げられる。そして、上記例示した材料の中では、特に、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、トランスポリイソプレン系樹脂が好適に用いられる。
また、中空糸膜部11の房水排出流量の安定性維持や構成後半部10の生体適合性の向上を目的として、構成後半部10に親水化処理を施すことも可能である。親水化処理については、いかなる公知の方法を用いても構わないが、その例として、表面グラフト、酸化処理、酸処理、アルカリ処理、マイクル付加反応、などによる方法を挙げることができる。
第1のチューブ3と構成後半部10との間を、継ぎ手5・6で接続することにより、構成後半部10以降を必要に応じて交換することが可能となる。例えば、構成後半部10のフィルター部9に用いる中空糸膜部11は、時間経過と共に房水に含まれる蛋白質等で中空糸膜の孔が詰まり、フィルター機能が低下することが予想される。そのような場合に、フィルター部9を含む構成後半部10以降を継ぎ手5・6の部位で外し、新しい構成後半部10と簡便に取替えることが出来る。
また、取替えにおいては構成後半部10のみを取替えるため、房水排出インプラント1全体を再度設置する場合に比べて廉価となり、かつ患者の肉体的苦痛は軽減されることとなる。継ぎ手5・6が結膜14、上眼瞼18、下瞼19といった生体組織に接して外界に設置されることを考慮し、継ぎ手5・6の素材としては生体適合性が高く耐久性に優れた素材を用いることが好ましい。このような素材であれば、継ぎ手5・6にいかなる素材を用いても構わないが、その例としては、ポリアセタール系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリウレタン系樹脂、ABS(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene)樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の高分子材料、ならびにアルミナ、チタニア等のセラミックス類、ステンレスなどの金属類、などが挙げられる。
継ぎ手5・6は、外部からの異物侵入を防ぎつつ第1のチューブ3と構成後半部10の第2のチューブ7とを接続するという目的を達する構造であれば、いかなる公知の技術を用いても構わないが、その例としては、テーパー形成されたコネクター、ネジ式コネクター、ボール型ジョイント、カプラー(日東工器株式会社製)、チューブフィッター(日東工器株式会社製)等が挙げられる。特に望ましい継ぎ手5・6としては、簡便に着脱でき、音や手ごたえで着脱操作の確認が容易にできる構造のものであり、このような構造の継ぎ手として、カプラー(日東工器株式会社)、チューブフィッター(日東工器株式会社)等の方式が好ましく用いられる。
継ぎ手5・6の大きさや形状は、眼球運動に伴う結膜14および上眼瞼18、下眼瞼19への侵襲を抑えることが出来る大きさや形状であれば、いかなる大きさや形状でも構わないが、そのような例として大きさについては1〜5立方ミリメートル程度であり、また、形状については図3に示すような曲面で構成された形状のものを挙げることが出来る。継ぎ手5・6の大きさや形状を上記のようにすることにより、生体への侵襲を最小限にすることができる。
上述したとおり、フィルター部9の中空糸膜部11は、眼圧を降下させるとともに、結膜14の外からの逆行性感染が生じることを阻止するものである。そして、中空糸膜部11がこのような機能を維持するためには、中空糸膜部11の乾燥を防止する必要がある。本実施の形態の房水排出インプラント1は、外筒部12内の房水を中空糸膜部11の外側から内側に濾過させて排出する構成にすることにより、構造的に中空糸膜部11の乾燥を防止することに加え、外筒部12の変形に起因する中空糸膜部11の乾燥をも効果的に防ぐことができる。このことにつき、以下、図5(a)〜図5(c)、図6(a)〜図6(c)に基づいて説明する。
図2及び図4に示すように、房水排出インプラント1が眼球に設置された状態において、フィルター部9の外筒部12には、眼球運動や瞼の開閉などにより外力が加わる。この際、特許文献3に記載の房水排出インプラント(図11(b)参照)の中空糸膜部111が乾燥する機構を図5(a)〜図5(c)に基づいて以下に説明する。
図5(a)は、中空糸膜部111の内側から外側に房水を排出する構成の、従来の房水排出インプラントのシリコーンチューブ112内が、房水で満たされている状態を示している。同図に示すように、中空糸膜部111の内側から外側に排出された房水の乾燥をシリコーンチューブ112内の房水よって、中空糸膜部111の乾燥を防止することができる。しかしながら、外筒部12は、生体内に設置されるものであるから、生体を傷つけないように変形可能なものにより構成する必要がある。
このため、シリコーンチューブ112は、図5(b)に示すように、眼球運動などによる外力により変形した際、丁度スポイトから水を押出すように、中空糸膜部111と外筒部12の間の房水が外部に押出される。シリコーンチューブ112と中空糸膜部111との間の空間にある房水は外筒部12の変形の影響を直接受けるから、その空間内に充填されている房水は外筒部12外部に多量に排出される
図5(c)は、シリコーンチューブ112が図5(b)に示すように変形した後、もとの形状に戻った状態を示している。同図に示すように、シリコーンチューブ112と中空糸膜部111との間の房水が押出された後には、当該房水が占めていた部分が空間となる。このため、中空糸膜部111外側面はその多くの領域において、外気と直に接することとなる結果、中空糸膜部111の乾燥が促進される。
一方、本実施の形態の房水排出インプラント1では、外筒部12の変形することによる中空糸膜部11の乾燥を効果的に抑制できる構造となっている。この点につき、図6(a)〜図6(c)に基づいて以下に説明する。
図6(a)は、本実施の形態の房水排出インプラント1において、外筒部12の内部の全体が房水で満たされている状態を示している。同図に示すように、中空糸膜部11の内側の房水により、中空糸膜部11の内側からの乾燥を防止することができる。この点は、上記従来公知のものと同様である。
本実施の形態のフィルター部9は、上記従来公知のものとは異なり、外筒部12内部の中空糸膜部11の外側から内側に房水を濾過させて排出する構成を採用している。このため、本実施の形態のフィルター部9備えている房水排出インプラント1は、図6(b)に示すように、外筒部12が変形した際に、中空糸膜部11内部から外部に排出される房水の量が非常に少なくなるという作用効果を奏する。すなわち、中空糸膜部11の内部空間は外筒部12の変形によって直接影響を受けないから、外筒部12の変形によって外筒部12の外部に排出される房水の量を最小限にすることができる。
この結果、外筒部12の形状が変形後もとに戻った状態においても、図6(c)に示すように、中空糸膜部111内部の空間となる部分を小さくすることができる。これにより、中空糸膜部11の内側面においても、多くの領域が房水と接している状態が維持されるから、中空糸膜部11が乾燥することを防ぐことができる。
〔実施の形態2〕
本発明の房水排出インプラントの他の実施形態につき、図7及び図8に基づいて以下に説明する。なお、上記した実施の形態と同じ機能の部材については、同じ番号を付して説明を省略することとする。
本実施の形態の房水排出インプラントは、外筒部12内に中空糸膜部11を2本以上(複数)設けた点において、上述した実施の形態と相違している。なお、この点以外の構成については、実施の形態1の房水排出インプラント1と同様である。図7は、外筒部12内に中空糸膜部11が2本設けられたフィルター部の概略構成を示している。同図に示すように、本実施の形態の房水排出インプラントは、2本の中空糸膜部11により房水を濾過するものであるから、2本の中空糸膜部11の間を閉塞する閉塞部93を形成する必要がある。この場合、閉塞部93は第2の閉塞部の機能を果たす。なお、図8に示すように、中空糸膜部を束ねた状態で外筒部12内に設ける構成とする場合は、中空糸膜部11の間から房水が排出されることはないから、閉塞部93を形成する必要はない。
本実施の形態の房水排出インプラントは、外筒部12内に設ける中空糸膜部11を2本としているから、同じ中空糸膜部11を1本用いたものに比して、濾過性能等を向上させることができる。なお、中空糸膜部11の本数は2本に限られるものではなく、本数を変えることにより、フィルター部9の濾過性能等を調整することも可能である。
〔実施の形態3〕
本発明の房水排出インプラントのさらに他の実施形態につき、図9及び図10(a),図10(b)に基づいて以下に説明する。なお、上記した実施の形態と同じ部材については、同じ番号を付して説明を省略することとする。
本実施の形態の房水排出インプラントは、外筒部12内に、径の異なる2つの中空糸膜部11A・11Bを設けた点において、上述した実施の形態と相違している。これ以外の構成については、実施の形態1において説明した房水排出インプラント1と同様である。
図9及び図10(a),図10(b)は、径の小さい中空糸膜部11Aを、径の大きい中空糸膜部11Bの内側に挿入することにより、多重構造としたフィルター部の概略構成を示す断面図である。中空糸膜部11Bの内径よりも、外径の小さい中空糸膜11Aを中空糸膜部11Bに挿入することによって多重構造が実現できる。このように、中空糸膜部を多重構造とすることにより、フィルター部9の外径を増大させることなく、房水を濾過する濾過面積を増大させることが可能となる。図9及び図10(a),図10(b)中の矢印は眼球内から眼球外への房水の流れを示している。
図9に示すように、中空糸膜部11Bの房水の上流側端に、その外部と外筒部12とを閉塞する閉塞部92を設ける場合は、中空糸膜部11Aと中空糸膜部11Bとの間の空間を閉塞する閉塞部93を房水の下流側端に形成し、上流側端に中空糸膜部11Aの内部空間を閉塞する閉塞部91を形成することが好ましい。この構成によって、中空糸膜部11A・11Bの表面領域の略全域で房水を濾過させることが可能となる。なお、図9に示す構成の場合、中空糸膜部11Aの外側から内側に濾過させること、及び中空糸膜部11Bの内側から外側に濾過させることによって、外筒部12内の房水を眼球外部に排出している。この場合の閉塞部93は第2の閉塞部としての機能を果たしている。
図10(a)は、図9に示したフィルター部を、房水の流れる向きに対して反転させた構成を採用したものの断面図である。同図に示すように、中空糸膜部11Bの房水の下流側端に、その外部と外筒部12とを閉塞する閉塞部92を設ける場合、中空糸膜部11Aと中空糸膜部11Bとの間を閉塞する閉塞部93を房水の上流側端に形成し、中空糸膜部11A内部を閉塞する閉塞部91をその下流側端に形成することが好ましい。この構成によって、中空糸膜部11A・11Bの表面領域の略全域で房水を濾過することが可能となる。
図10(b)は、図10(a)のフィルター部9のC−C’矢視断面図であり、同図に示すように、外筒部12と中空糸膜部11Bとの間、及び中空糸膜部11Aの内部の房水が中空糸膜部11A・11Bを濾過して外部に排出されることとなる。図10(a)に示す構成の場合、中空糸膜部11Aの内側から外側に濾過させること、及び中空糸膜部11Bの外側から内側に濾過させることによって、外筒部12内の房水を眼球外部に排出している。この場合の閉塞部93は、第1の閉塞部としての機能を果たしている。
本実施の形態のように、外筒部12内に多層構造の中空糸膜部11A・11Bを設けることにより、フィルター部9の外径を増大させることなく、中空糸膜部の濾過面積を増加させることができるから、房水排出、眼圧下降効果に優れる、コンパクトな房水排出インプラントを実現することができる。
以上、本発明の房水排出インプラントの実施形態について、図1(a)〜図10(b)に基づいて説明したが、本発明が上記実施例の記載によって何らの制約を受けるものではないことは、言うまでもない。また、本発明は上記の実施の形態を組み合わせて構成することができ、また、上記の形態以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて変更、修正、改良等を加え得るものである。
以上のように、本発明のフィルター部は、その内部が上記経路と連接されている外筒部と、外筒部内の房水を当該中空フィルター部の外側から内側に濾過させて排出する中空フィルター部とを備えている。これにより、中空フィルター部の乾燥を防止できるから、房水濾過性能や逆行性感染阻止能の低下を防止し、房水排出機能が損なわれない有効で安全な房水排出インプラントを実現できるという効果を奏する。
したがって、本発明は緑内障等の看者の眼圧を下降させる目的で用いられる、房水を眼内から結膜外に排出する治療用具として用いることができる。

Claims (10)

  1. 房水排出インプラントに用いられ、
    房水を眼球から結膜外に排出する経路を介した、眼球外から眼球内への逆行性感染を防止するためのものであり、
    その内部が上記経路と連接されている外筒部と、外筒部内の房水を当該中空フィルター部の外側から内側に濾過させて排出する中空フィルター部とを備えていること特徴とするフィルター部。
  2. 上記中空フィルター部には、当該中空フィルター部の内部空間を閉塞する第1の閉塞部と、当該中空フィルター部の外側空間を閉塞する第2の閉塞部が形成されており、
    第2の閉塞部は、房水排出インプラントが眼球に設置された状態において、第1の閉塞部よりも眼球外側となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフィルター部。
  3. 上記第1の閉塞部及び上記第2の閉塞部は、上記中空フィルター部両端のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルター部。
  4. 上記第2の閉塞部は、上記中空フィルター部の外側と上記外筒部端との間を閉塞するものであることを特徴とする請求項3に記載のフィルター部。
  5. 上記中空フィルター部を複数備えていることを特徴する請求項1〜4の何れか1項に記載のフィルター部。
  6. 上記中空フィルター部は、第1の中空フィルターが、当該第1の中空フィルターの外径よりも内径が大きい第2の中空糸膜部の内側に、挿入されてなるものであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のフィルター部。
  7. 上記房水排出インプラントは、緑内障治療用であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルター部。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルター部を備えることを特徴とする房水排出インプラント。
  9. 上記房水を眼球から結膜外に排出する経路を構成する導水チューブ部は、眼球側導水チューブ部と結膜外導水チューブ部とからなっており、
    該結膜外導水チューブ部は、結膜外眼球側導水チューブ部と結膜外フィルター側導水チューブ部とが連接してなるものであり、結膜外眼球側導水チューブ部の常温における曲げ弾性率が、結膜外フィルター側導水チューブ部の常温における曲げ弾性率よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載の房水排出インプラント。
  10. 上記眼球側導水チューブ部と、上記結膜外導水チューブ部とを着脱可能に連接する継ぎ手部をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の房水排出インプラント。
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