JPWO2005121338A1 - 抗perp抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明により、PERP(p53 apotosis effector related to PMP−22)遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体が提供される。本発明の抗体はPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドを高発現する各種疾患の治療に有用である。また、該抗体はPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドまたは該ポリペプチドが発現した細胞を免疫学的手法により特異的に検出することができ、PERPが関与する各種疾患の診断に有用である。

Description

本発明は、PERP(p53 apoptosis effector related to PMP−22)遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片、該抗体または該抗体断片を用いるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの免疫学的検出方法および検出用試薬、該ポリペプチドを発現する細胞の免疫学的検出または測定方法および検出または測定用試薬、該抗体または該抗体断片を用いるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断薬または治療薬および該抗体を産生するハイブリドーマに関する。更に、本発明はPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する、遺伝子組換え抗体または該抗体断片、該抗体をコードするDNA、該DNAを含んでなるベクター、該ベクターを形質転換して得られる形質転換体および該ハイブリドーマまたは該形質転換体を培養することを特徴とする抗体の製造方法に関する。
癌細胞は、正常細胞では少量あるいはほとんど産生しない物質を、多量に産生する。このような物質を検出または定量することにより、癌細胞を検出することができる。癌細胞が正常細胞よりも多量に産生する物質には、癌遺伝子産物および増殖因子などが含まれ、細胞の癌化・増殖・進展・転移・定着に寄与しているものもある。癌細胞に特徴的なこれらの物質、いわゆる腫瘍マーカーを検出または定量することにより、癌の診断ができる。
これまで腫瘍マーカーとしては、癌胎児性抗原(CEA)、α−フェトプロテイン(AFP)、CA125などの胎児性癌抗原、神経特異的エノラーゼ(NSE)、酸性フォスファターゼ、クレアチンキナーゼ(CK)などの酵素類、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、抗利尿ホルモン(ADH)、カルシトニン(CT)などのホルモン関連物質などが用いられてきた。大腸癌ではCEA、CA19−9、NCC−ST−439、STNなどが治療効果の判定や再発の指標として用いられてきた。しかしながら前述の腫瘍マーカーを用いた場合、癌などの悪性腫瘍でありながら陰性と判定される場合も多く、また、健常人や良性腫瘍の患者でも擬陽性と判定されてしまう場合があった。例えば、大腸癌において病期別に腫瘍マーカー陽性率を見た場合、治癒切除可能な段階ではCEAは36%、CA19−9は30%、NCC−ST−439は35%、STNは21%の患者で検出されたに過ぎず、これらの腫瘍マーカーは早期の大腸癌発見に関して十分な腫瘍マーカーではない(非特許文献1)。
癌の診断における感度と特異性を向上させるためには、複数の腫瘍マーカーを組み合わせることが有効である。新たな腫瘍マーカーの発見により、新たな腫瘍マーカー単独、あるいは従来の腫瘍マーカーと組み合わせ用いることで、癌の診断の感度と精度を高めることができる。
膵臓癌では、一般的な臨床検査項目は正常値を示す上、病期の初期では特徴的な臨床所見もないことから、早期の膵臓癌患者を見出すことは困難である。膵臓癌において胆管閉塞や肝転移が起きている患者は、アルカリフォスファターゼ値とビリルビン値が上昇することがある。膵菅癌では、腫瘍による閉塞膵菅の末梢側に膵臓炎が生じることから、アミラーゼ、エラスターゼ、RNaseなどの膵外分泌酵素および該酵素の阻害物質が血中に逸脱して増加するため、これらの酵素および該酵素の阻害物質が腫瘍マーカーとして用いられており、例えば、PSTI(pancreatic secretory trypsin inhibitor)が知られている。PSTIは、膵液中に分泌されるトリプシンの阻害物質であり、血中PSTIは各種悪性腫瘍患者で高率に上昇しており、特に膵癌患者において高い頻度で認められる(非特許文献2)。
出現頻度が高い膵菅癌の診断と治療モニターの腫瘍マーカーとして、CA19−9が広く用いられる。このほかの膵菅癌の腫瘍マーカーとしては、CEA、SLX、NCC−ST−439、シアリルTn、DuPan−2、フェリチンなどが知られている。しかしながら、転移のない原発性膵臓癌においてはこれらの腫瘍マーカーの測定値は増加しない場合が多く、またこれらの腫瘍マーカーの測定値から擬陽性であると判定される場合も多く、十分な信頼性のある膵臓癌の診断法は知られていない。
膵臓癌の診断と病期分類において最も正確で費用対効果の高い方法は、最初の検査でCT(Computed Tomography)を行うことである。CTにより切除不可能または転移していることが発見された場合、組織診断のための経皮的針吸引を行う。もしCTにより切除可能な腫瘍が発見されたり、全く腫瘍が発見されなかった場合には、超音波内視鏡が使われる。その他に超音波と内視鏡的逆行性膵管造影法が一般的な検査に用いられる。切除可能性を決定することを目的に動脈造影や膵機能検査が行われることはまれである。さらに、診断困難な場合には試験開腹が行われる場合もある。
しかしながら、膵臓は後腹膜臓器であるため、これらの診断法では膵臓癌を早期に正確に発見することは容易ではない。早期発見は治癒率の向上に貢献するため、膵臓癌の優れた早期診断法の開発が望まれている。
PERP(あるいはTHWまたはPIGPC1とも称される)の遺伝子配列は公知である(特許文献1〜13)。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドは193アミノ酸からなる蛋白で、一次配列から4回膜貫通蛋白であると推定されている。PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドはp53依存性アポトーシスに関わる蛋白であることが知られている(非特許文献3)。さらにPERP遺伝子ノックアウトマウスより調製した胸腺細胞と神経細胞では、DNAダメージの際のアポトーシス誘導が部分的に阻害されることが示された(非特許文献4)また、PERPは高転移性癌細胞においては発現が低下する遺伝子としても報告されている(非特許文献5)。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合する抗体(以下、抗PERP抗体と表記する)としては、これまでに、PERP遺伝子産物のC末端細胞内の部分ペプチドまたは第一細胞外ループの部分ペプチドを免疫原として用いて作製されたポリクローナル抗体が知られている(非特許文献6、7)。これらのポリクローナル抗体はウェスタンブロッティングあるいは免疫組織染色に使用可能であることが示されている。これまでにPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体は知られていない。
一般にヒト以外の動物の抗体、例えばマウス抗体などをヒトに投与すると、異物として認識されることにより、ヒト体内にマウス抗体に対するヒト抗体(Human Anti Mouse Antibody:HAMA)が誘導されることが知られている。HAMAは投与されたマウス抗体と反応し、副作用を引き起こしたり(非特許文献8〜11)、マウス抗体の体内からの消失を速め(非特許文献9、12、13)、マウス抗体の治療効果を減じてしまうことが知られている(非特許文献14、15)。
これらの問題点を解決するため、遺伝子組換え技術を利用してヒト以外の動物の抗体からヒト型キメラ抗体やヒト型CDR移植抗体といったヒト化抗体の作製が試みられている。
ヒト化抗体は、マウス抗体などのヒト以外の動物の抗体と比較してヒトへの臨床応用上、様々な利点を有している。例えば、サルを用いた実験でマウス抗体に比べ免疫原性が低下し、血中半減期が延長したことが報告されている(非特許文献16、17)。すなわち、ヒト化抗体は、ヒト以外の動物の抗体に比べ、ヒトにおいて副作用が少なく、その治療効果が長期間持続することが期待される。
また、ヒト化抗体は、遺伝子組換え技術を利用して作製するため、様々な形態の分子として作製することができる。例えば、ヒト抗体の重鎖(以下、H鎖と表記する)定常領域(以下、C領域と表記する)(H鎖C領域を、CHと表記する)としてg1サブクラスを使用すれば、抗体依存性細胞傷害(以下、ADCCと表記する)活性などのエフェクター機能の高いヒト化抗体を作製することができ(非特許文献16)、かつ、マウス抗体に比べ血中半減期の延長が期待される(非特許文献17)。特にPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの発現細胞数を減少させる治療においては、抗体のFc領域(抗体重鎖のヒンジ領域以降の領域)を介した補体依存性細胞傷害活性(以下、CDC活性と表記する)やADCC活性等の細胞傷害活性の高さがその治療効果に重要であるために、ヒト化抗体はマウス抗体等のヒト以外の動物の抗体と比較して望ましい(非特許文献18、19)。
さらに、ヒト化抗体は、最近の蛋白質工学、遺伝子工学の進歩により、Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(以下、scFvと表記する)(非特許文献20)、2量体化V領域断片(以下、Diabodyと表記する)(非特許文献21)、ジスルフィド安定化V領域断片(以下、dsFvと表記する)(非特許文献22)、CDRを含むペプチド(非特許文献23)などの、分子量の小さい抗体断片としても作製でき、これらの抗体断片は、完全な抗体分子に比べ、標的組織への移行性に優れている(非特許文献24)。
以上の事実は、ヒトへの臨床応用に用いる抗体としては、マウス抗体などのヒト以外の動物の抗体よりもヒト化抗体または該抗体断片の方が望ましいことを示している。
WO98/55508 WO99/54461 WO00/55350 WO01/22920 WO01/66719 WO00/61612
WO02/00174 WO02/47534 US2003−0064947 US2003−0065157 WO00/55629 WO02/60317 US2002−0119463
大腸がんの腫瘍マーカー.CRC1(4),42(1992) 臨床病理,11,1229(1986) Genes & Development,14,704(2000) Curr.Biol.,13,1985(2003) Anticancer Research,20,2801(2000)] Pro Sci社ホームページ、[on line]、[平成16年3月31日検索]、インターネット<http://www.prosci−inc.com/Antibody−TDS/2451%20PERP.html> 、Novus Biologicals社ホームページ、[on line]、[平成16年3月31日検索]、インターネット<http://www.novus−biologicals.com/print_data_sheet.php/4400>] J.Clin.Oncol.,2,881(1984) Blood,65,1349(1985) J.Natl.Cancer Inst.,80,932(1988) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,1242(1985)] J.Nucl.Med.,26,1011(1985) J.Natl.Cancer Inst.,80,937(1988)] J.Immunol.,135,1530(1985) Cancer Res.,46,6489(1986) Cancer Res.,56,1118(1996) Immunol.,85,668(1995) J.Immunol.,144,1382(1990) Nature,322,323(1988) Science,242,423(1988) Nature Biotechnol.,15,629(1997) Molecular Immunol.,32,249(1995) J.Biol.Chem.,271,2966(1996) Cancer Res.,52,3402(1992)
本発明の課題は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片、該抗体または該抗体断片を用いるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの免疫学的検出または測定方法および検出または測定用試薬、該ポリペプチドを発現する細胞の免疫学的検出または測定方法および検出または測定用試薬、該抗体または該抗体断片を用いるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断薬または治療薬、該抗体を産生するハイブリドーマを提供することにある。また、本発明の課題は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体または該抗体断片、該抗体をコードするDNA、該DNAを含んでなるベクター、該ベクターを形質転換して得られる形質転換体および該ハイブリドーマまたは該形質転換体を培養することを含む抗体の製造方法を提供することにある。
本発明の抗体は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する各種疾患の治療に有用である。また、該抗体は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドまたは該ポリペプチドが発現した細胞を免疫学的手法により特異的に検出または測定することができ、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する各種疾患の診断に有用である。
本発明は、以下の(1)〜(47)に関する。
(1) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片。
(2) ポリペプチドの細胞外領域が、配列番号2で表されるアミノ酸配列の35〜75番目および130〜154番目に表されるアミノ酸配列で示される領域である、(1)に記載の抗体または抗体断片。
(3) 抗体が、モノクローナル抗体である、(1)または(2)に記載の抗体または抗体断片。
(4) モノクローナル抗体が、ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)から生産されるモノクローナル抗体である、(3)に記載の抗体または抗体断片。
(5) モノクローナル抗体が、ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)から生産されるモノクローナル抗体が結合するエピトープと結合するモノクローナル抗体である、(3)に記載の抗体または抗体断片。
(6)(3)〜(5)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ。
(7) ハイブリドーマが、ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)である、(6)に記載のハイブリドーマ。
(8) モノクローナル抗体が、遺伝子組換え抗体である、(3)に記載の抗体または抗体断片。
(9) 遺伝子組換え抗体が、ヒト化抗体およびヒト抗体から選ばれる遺伝子組換え抗体である、(8)に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(10) ヒト化抗体がヒト型キメラ抗体およびヒト型相補性決定領域(Complimentarity Determining Region;以下、CDRと表記する)移植抗体から選ばれるヒト化抗体である、(9)に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(11) 請求の範囲3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体の重鎖(以下、H鎖と表記する)可変領域(以下、V領域と表記する)および軽鎖(以下、L鎖と表記する)V領域を含む、(10)に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
(12) 請求の範囲3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のH鎖V領域(以下、VHと表記する)およびL鎖V領域(以下、VLと表記する)を含み、かつ、ヒト抗体のH鎖定常領域(以下、C領域と表記する)およびL鎖C領域を含む、(11)に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
(13) 抗体のVHが配列番号12で示されるアミノ酸配列の19〜130番目のアミノ酸配列を含む、(11)または(12)に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
(14) 抗体のVLが配列番号14で示されるアミノ酸配列の23〜128番目のアミノ酸配列を含む、(11)または(12)に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
(15) 抗体のVHが配列番号12で示されるアミノ酸配列の19〜130番目のアミノ酸配列を含み、かつ、抗体VLが配列番号14で示されるアミノ酸配列の23〜128番目のアミノ酸配列を含む、(11)〜(14)のいずれか1項に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
(16)(3)〜(5)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDRを含む、(10)に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(17)(3)〜(5)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDRとヒト抗体のVHおよびVLのフレームワーク(以下、FRと表記する)を含む、(16)に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(18)(3)〜(5)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDRとヒト抗体のVHおよびVLのFRを含み、かつ、ヒト抗体のH鎖C領域およびL鎖C領域を含む、(16)または(17)のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(19) 抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む、(16)〜(18)のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(20) 抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号18、19および20で示されるアミノ酸配列を含む、(16)〜(18)のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(21) 抗体VHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号15、16および17を含み、かつ抗体VLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号18、19および20で示されるアミノ酸配列を含む、(16)〜(20)のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(22) 抗体のVHが、配列番号25で示されるアミノ酸配列、または配列番号25で示されるアミノ酸配列のうち、27番目のGly、30番目のSer、41番目のPro、44番目のLys、45番目のGly、72番目のVal、および97番目のAlaから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、(16)〜(21)のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(23) 抗体のVLが、配列番号26で示されるアミノ酸配列、または配列番号26で示されるアミノ酸配列のうち、3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、(16)〜(21)のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(24) 抗体のVHが、配列番号25で示されるアミノ酸配列、または配列番号25で示されるアミノ酸配列のうち、3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、抗体のVLが、配列番号26で示されるアミノ酸配列、または配列番号26で示されるアミノ酸配列のうち、3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、(16)〜(23)のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
(25) 抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドから選ばれる抗体断片である(1)〜(24)のいずれか1項に記載の抗体断片。
(26)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片をコードするDNA。
(27)(26)に記載のDNAを含有する組換え体ベクター。
(28)(27)に記載の組換え体ベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株。
(29)(6)または(7)に記載のハイブリドーマまたは(28)に記載の形質転換株を培地に培養し、培養物中に(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を生成蓄積させ、培養物から抗体または抗体断片を採取することを特徴とする(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の製造方法。
(30)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの免疫学的検出または測定方法。
(31) 免疫学的検出または測定方法が免疫沈降法である(30)に記載の方法。
(32)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いる、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現する細胞の免疫学的検出または測定方法。
(33) 免疫学的検出または測定方法が蛍光細胞染色法である(32)に記載の方法。
(34)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いる、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの検出または測定用試薬。
(35)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いる、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断薬。
(36)PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患が癌である、(35)に記載の診断薬。
(37)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を有効成分として含有する、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の治療薬。
(38) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患が癌である、(37)に記載の治療薬。
(39)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いてPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞を検出または測定することを含む、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断方法。
(40)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いてPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドを検出または測定することを含む、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断方法。
(41) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患が癌である、(39)または(40)に記載の診断方法。
(42)(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を患者に投与することを含む、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の治療方法。
(43) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患が癌である、(42)に記載の治療方法。
(44) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断薬を製造するための、(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
(45) 癌の診断薬を製造するための、(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
(46) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の治療薬を製造するための、(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
(47) 癌の治療薬を製造するための、(1)〜(5)または(8)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
本発明によると、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または該抗体断片、該抗体または該抗体断片を用いるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの免疫学的検出方法および検出用試薬、該ポリペプチドを発現する細胞の免疫学的検出または測定方法および検出または測定用試薬、該抗体または該抗体断片を用いる癌の診断薬または治療薬および該抗体を産生するハイブリドーマが提供される。更に、本発明はPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する、遺伝子組換え抗体または該抗体断片、該抗体をコードするDNA、該DNAを含んでなるベクター、該ベクターを形質転換して得られる形質転換体および該ハイブリドーマまたは該形質転換体を培養することを特徴とする抗体の製造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。本願は、2004年6月7日に出願された日本国特許出願2004−168116号の優先権を主張するものであり、当該特許出願の明細書及び図面に記載される内容を包含する。
第1図には、Cancer Profiling Arrayを用いて各種臨床癌部組織および近傍の非癌部組織におけるPERPの発現解析を行った結果を示す。癌種は図中に示す。Nは非癌部を、Tは癌部を示す。
第2図には、PERP遺伝子導入細胞のクローン毎のPERP発現を、抗Myc抗体を用いたウェスタンブロッティングにより調べた結果を示す。図中のクローンナンバーは、4種のPERP/CHO細胞の各クローンを示す。PERP陰性細胞は、遺伝子を導入していないCHO/DG44細胞を示す。図中の矢印は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチド鎖の分子量である約25kDaを示す。
第3図には、サンドイッチELISAでのKM3314の反応性を示す。左の黒塗りのバーは、PERP/CHO細胞の、右の白塗りのバーはCHO/DG44細胞の細胞可溶化物を用いたELISA法の結果をそれぞれ示す。 第4図には、ウェスタンブロッティングでのKM3314の反応性を示す。レーンは左から分子量マーカー、PERP/CHO細胞、CHO/DG44細胞、Colo205細胞株、PC−1細胞株の細胞可溶化物をそれぞれ示す。左の写真は一次抗体に陰性対照であるKM1764を、右の写真は一次抗体にKM3411を用いた結果をそれぞれ示す。
第5図には、FMATでのKM3411の反応性を示す。グラフは縦軸に蛍光強度と細胞数の積算値を示す。 第6図には、フローサイトメトリーでのKM3411の反応性を示す。各図の縦軸は細胞数を、横軸は蛍光強度をそれぞれ示す。 第7図には、免疫沈降でのKM3411の反応性を示す。図中バーの下の抗体のKM番号は、免疫沈降に使用した抗体をそれぞれ示し、各図の上のKM番号は検出に用いた一次抗体をそれぞれ示す。各図のレーンは、それぞれマーカー、PERP/CHO細胞およびCHO/DG44細胞をそれぞれ示す。
第8図には、フローサイトメトリーでのKM3411の反応性を示す。縦軸は陰性対照であるKM511の平均強度を1とした時のKM3411の平均蛍光強度の比率を示す。グラフ上部の数値は平均蛍光強度比率15以上であった場合の値を特に示す。図中の表は、使用した細胞株を示す。 第9図には、フローサイトメトリーでのKM3411の反応性を示す。縦軸はFITC標識抗ヒトCD45抗体の蛍光強度を、横軸はビオチン標識KM3411あるいは陰性対照であるKM511の蛍光強度をそれぞれ示す。各ヒストグラムの上には、細胞の染色に用いた抗体を示す。
第10図には、フローサイトメトリーでのKM3411、市販の各抗PERP抗体(ポリクローナル抗体)および陰性対照の抗体のPERP/CHO細胞およびCHO/DG44細胞に対する反応性を示す。各図の縦軸は細胞数を、横軸は蛍光強度をそれぞれ示す。各ヒストグラムの上には、細胞の染色に用いた抗体を示す。 第11図には、プラスミドpKM3411VH9とpKM3411VL11の造成工程を示す。
第12図には、プラスミドpKANTEX3411の造成工程を示す。 第13図には、精製した抗PERPキメラ抗体のSDS−PAGE(5〜20%グラジェントゲルを使用)の電気泳動パターンを示す。左側が非還元条件、右側が還元条件でそれぞれ電気泳動を行った結果である。レーン1と6が分子量マーカー、2と4が抗PERPマウス抗体KM3411、3と5が抗PERPキメラ抗体KM3481の泳動パターンをそれぞれ示す。
第14図には、フローサイトメトリーでの精製した抗PERPキメラ抗体KM3481のPERP/CHO細胞に対する反応性を示す。縦軸は平均蛍光強度、横軸は抗体濃度をそれぞれ示す。 第15図には、フローサイトメトリーでの各癌細胞株に対する抗PERPキメラ抗体KM3481の反応性を示す。縦軸に細胞数、横軸に蛍光強度をそれぞれ示す。
第16図には、PERP/CHO細胞に対する抗PERPキメラ抗体KM3481のCDC活性を示す。縦軸は細胞傷害活性%、横軸は抗体濃度をそれぞれ示す。 第17図には、各細胞株に対する抗PERPキメラ抗体KM3481のADCC活性を示す。縦軸は細胞傷害活性%、横軸は抗体濃度をそれぞれ示す。 第18図には、肺癌細胞株PC−9が皮内移植されたマウスに、抗PERPキメラ抗体KM3481を投与した時の投与群の腫瘍体積の平均値の経日的変化を示す。横軸は腫瘍移植後の日数、縦軸は腫瘍体積をそれぞれ表す。×は抗体非投与群、○は抗PERPキメラ抗体KM3481 0.1mg/kg投与群、●は抗PERPキメラ抗体KM3481 1mg/kg投与群、▲は抗PERPキメラ抗体KM3481 10mg/kg投与群をそれぞれ示す。バーは標準偏差を示す。
第19図には、膵癌細胞株BxPC−3が皮内移植されたマウスに、抗PERPキメラ抗体KM3481を投与した時の投与群の腫瘍体積の平均値の経日的変化を示す。横軸は腫瘍移植後の日数、縦軸は腫瘍体積をそれぞれ表す。×は抗体非投与群、○は抗PERPキメラ抗体KM3481 0.1mg/kg投与群、●は抗PERPキメラ抗体KM3481 1mg/kg投与群、▲は抗PERPキメラ抗体KM3481 10mg/kg投与群をそれぞれ示す。バーは標準偏差を示す。
本発明は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片に関する。
PERP遺伝子としては、配列番号1で示される塩基配列があげられる。
上記の塩基配列において1以上の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列を含む遺伝子、配列番号1で示される塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有する塩基配列、好ましくは80%以上の相同性を有する塩基配列、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列を含む遺伝子、ならびに配列番号1で示される塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含む遺伝子なども本発明のPERP遺伝子に包含される。
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとは、配列番号1で示される塩基配列を有するDNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、サザンブロット・ハイブリダイゼーション法、DNAマイクロアレイ法などにより得られるハイブリダイズ可能なDNAを意味し、具体的には、ハイブリダイズしたコロニーまたはプラーク由来のDNA、もしくは該配列を有するPCR産物もしくはオリゴDNAを固定化したフィルターまたはスライドガラスを用いて、0.7〜1.0mol/Lの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターもしくはスライドグラスを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、[Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,1987−1997)、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition(Oxford University,1995)]などに記載されている方法に準じて行うことができる。ハイブリダイズ可能なDNAとしては、配列番号1で示される塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するDNA、好ましくは80%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
真核生物の蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列には、しばしば遺伝子の多型が認められる。本発明において用いられる遺伝子に、このような多型によって塩基配列に小規模な変異を生じた遺伝子も、本発明のPERP遺伝子に包含される。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドとしては、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、配列番号2で示されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに配列番号2で示されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、好ましくは80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、さらに好ましくは90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、最も好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドなどがあげられる。
配列番号2で示されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドは、[Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,1987−1997)、Nucleic Acids Research,10,6487(1982)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6409(1982)、Gene,34,315(1985)、Nucleic Acids Research,13,4431(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)]などに記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより得ることができる。欠失、置換または付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、好ましくは1個〜数十個、例えば、1〜20個、より好ましくは1個〜数個、例えば、1〜5個のアミノ酸である。
本発明に記載される相同性の数値は、特に明示した場合を除き、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であってよいが、塩基配列については、BLAST〔J.Mol.Biol.,215,403(1990)〕においてデフォルトのパラメータを用いて算出される数値など、アミノ酸配列については、BLAST2〔Nucleic Acids Res.,25,3389(1997);Genome Res.,,649(1997);http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo/information3.html〕においてデフォルトのパラメータを用いて算出される数値などがあげられる。
デフォルトのパラメータとしては、G(Cost to open gap)が塩基配列の場合は5、アミノ酸配列の場合は11、−E(Cost to extend gap)が塩基配列の場合は2、アミノ酸配列の場合は1、−q(Penalty for nucleotide mismatch)が−3、−r(reward for nucleotide match)が1、−e(expect value)が10、−W(wordsize)が塩基配列の場合は11残基、アミノ酸配列の場合は3残基、−y(Dropoff(X)for blast extensions in bits)がblastnの場合は20、blastn以外のプログラムでは7、−X(X dropoff value for gapped alignment in bits)が15および−Z(final X dropoff value for gapped alignment in bits)がblastnの場合は50、blastn以外のプログラムでは25である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/html/blastcgihelp.html)。
配列番号2で示されるアミノ酸配列の部分配列を含むポリペプチドは、当業者に公知の方法によって作製することができ、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードするDNAの一部を欠失させ、これを含む発現ベクターを導入した形質転換体を培養することにより作製することができる。また、こうして作製されるポリペプチドまたはDNAに基づいて、上記と同様の方法により、配列番号2で示されるアミノ酸配列の部分配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを得ることができる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域とは、例えば配列番号2で示される該ポリペプチドのアミノ酸配列を公知の膜貫通領域予測プログラムSOSUI(http://sosui.proteome.bio.tuat.ac.jp/sosuiframe0.html)または予測プログラムTMHMM ver.2(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM−2.0/)などを用いて予測された領域があげられる。
具体的には、SOSUIを用いた場合には配列番号2で示されるアミノ酸配列の35〜75番目および130〜154番目に相当する領域が、TMHMM ver.2を用いた場合には配列番号2で示されるアミノ酸配列の36〜76番目および129〜147番目に相当する領域が細胞外領域としてあげられる。このとき、予測に用いられるパラメータはこれらの予測プログラムにデフォルトの値が用いられる。
また、本発明におけるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域は、文献[Genes & Development,14,704(2000)]で予測される細胞外ドメインの33〜75番目および129〜150番目に相当する領域であってもよい。
本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの天然型の立体構造を認識し、かつ該ポリペプチドの細胞外領域に結合できる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの天然型の立体構造とは、配列番号1で示される塩基配列を有するPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが天然状態でとりうる立体構造と同等の立体構造を有していればいずれでもよい。このような立体構造を有しているPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドには、本発明のハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)が生産するモノクローナル抗体が結合できる。従って、本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)により生産されるモノクローナル抗体が結合するエピトープと同一のエピトープに結合するモノクローナル抗体なども包含される。
ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)が生産するモノクローナル抗体が結合することを確認する方法としては、例えば、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞に対する公知の免疫学的検出法が用いられ、蛍光細胞染色法などの特定の抗原が発現した細胞と特定抗原に対する抗体の結合性を確認する方法が好適に用いられる。具体的には、実施例4の(3)または実施例5の(2)に記載の蛍光抗体染色法または実施例5の(1)に記載の免疫沈降法などがあげられる。また、公知の免疫学的検出法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]などを組み合わせて確認することもできる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞としては、ヒト体内に天然に存在する細胞、ヒト体内に天然に存在する細胞から樹立された細胞株または遺伝子組換え技術により得られた細胞などがあげられる。
ヒト体内に天然に存在する細胞としては、癌患者体内において該ポリペプチドが発現している細胞があげられ、例えば、バイオプシーなどで得られた腫瘍細胞のうちで該ポリペプチドが発現している細胞があげられる。
ヒト体内に天然に存在する細胞から樹立された細胞株としては、上記の癌患者から得られた該ポリペプチドが発現している細胞を株化して得られた細胞株のうち、該ポリペプチドが発現している細胞株があげられ、例えば、ヒトから樹立された細胞株である膵癌細胞株Capan−2(ATCC HTB−80)またはBxPC−3(ATCC CRL−1687)、大腸癌細胞株Colo205(ATCC CCL−222)、HT29(ATCC HTB−38)またはWiDr(ATCC CCL−218)、肺癌細胞株NCI−H128(ATCC HTB−120)またはNCI−H69(ATCC HTB−119)、乳癌細胞株MCF7(ATCC HTB−22)または子宮癌細胞株MCAS(JCRB 0240)などがあげられる。
遺伝子組換え技術により得られた細胞としては、具体的には、該ポリペプチドをコードするcDNAを含む発現ベクターを昆虫細胞または動物細胞などに導入することにより得られる、該ポリペプチドが発現した細胞などがあげられ、具体的には、実施例4の(1)に記載のPERP遺伝子発現プラスミドpcPERPmHを導入し、該ポリペプチドが発現した細胞などがあげられる。
本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体としては、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体があげられるが、好ましくはモノクローナル抗体が用いられる。
モノクローナル抗体としては、ハイブリドーマにより生産される抗体、および抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した形質転換体により生産される遺伝子組換え抗体をあげることができる。
ハイブリドーマは、例えば上記のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞などを抗原として調製し、該抗原を免疫した動物より抗原特異性をもつ抗体生産細胞を誘導し、さらに、それと骨髄腫細胞とを融合させて調製することができる。該ハイブリドーマを培養するか、あるいは該ハイブリドーマ細胞を動物に投与して該動物を腹水癌化させ、該培養液または腹水を分離、精製することにより抗PERP抗体を取得することができる。
抗原を免疫する動物としてはハイブリドーマを作製することが可能であれば、いかなるものも用いることができるが、マウス、ラット、ハムスター、ラビットなどが好適に用いられる。またこのような動物から抗体産生能を有する細胞を取得し、該細胞にin vitroで免疫を施した後に、骨髄腫細胞と融合して作製したハイブリドーマが生産する抗体なども本発明の抗体に包含される。
本発明のモノクローナル抗体の具体例としては、ハイブリドーマKM3411が生産するマウス抗体KM3411があげられる。ハイブリドーマKM3411は平成16年2月24日付でブダペスト条約に基づき独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にFERM BP−8643として寄託されている。
遺伝子組換え抗体としては、ヒト化抗体、ヒト抗体または抗体断片など、遺伝子組換えにより製造される抗体を包含する。遺伝子組換え抗体において、モノクローナル抗体の特徴を有し、抗原性が低く、血中半減期が延長されたものは、治療薬として好ましい。
本発明におけるヒト化抗体は、ヒト型キメラ抗体およびヒト型CDR移植抗体を包含する。
ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体の重鎖可変領域(以下、VHと表記する)および軽鎖可変領域(以下、VLと表記する)とヒト抗体の重鎖定常領域(以下、CHと表記する)および軽鎖定常領域(以下、CLと表記する)とからなる抗体をいう。
本発明のヒト型キメラ抗体は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマより、VHおよびVLをコードするcDNAを取得し、ヒト抗体のCHおよびCLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイムノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
本発明のヒト型キメラ抗体としては、それぞれ配列番号15、16、17で示されるアミノ酸配列からなる抗体のVHのCDR1、CDR2、CDR3および/またはそれぞれ配列番号18、19、20で示されるアミノ酸配列からなる抗体のVLのCDR1、CDR2、CDR3を含む、ヒト型キメラ抗体があげられ、具体的には、抗体のVHが配列番号12で示されるアミノ酸配列の19〜130番目のアミノ酸配列および/または抗体のVLが配列番号14で示されるアミノ酸配列の23〜128番目のアミノ酸配列を含む、ヒト型キメラ抗体などがあげられる。
ヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVHおよびVLの適切な位置に移植した抗体をいう。
本発明のヒト型CDR移植抗体は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するヒト以外の動物のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから産生されるヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列を、任意のヒト抗体のVHおよびVLのFRに移植したV領域をコードするcDNAを構築し、ヒト抗体のCHおよびCLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
ヒト抗体のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列は、ヒト抗体由来のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列であれば、いかなるものでも用いることができる。例えば、Protein Data Bankなどのデータベースに登録されているヒト抗体のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列、またはSequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)などに記載の、ヒト抗体のVHおよびVLのFRの各サブグループの共通アミノ酸配列などが用いられる。
ヒト型CDR移植抗体のCHとしては、hIgに属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型CDR移植抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
本発明のヒト型CDR移植抗体としては、それぞれ配列番号15、16、17で示されるアミノ酸配列からなる抗体VHのCDR1、CDR2、CDR3および/またはそれぞれ配列番号18、19、20で示されるアミノ酸配列からなるVLのCDR1、CDR2、CDR3を含むヒト型CDR移植抗体または該抗体断片などがあげられ、具体的には、抗体のVHが配列番号25で示されるアミノ酸配列、または配列番号25で示されるアミノ酸配列のうち、27番目のGly、30番目のSer、41番目のPro、44番目のLys、45番目のGly、72番目のVal、および97番目のAlaから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列および/または抗体のVLが配列番号26で示されるアミノ酸配列、または配列番号26で示されるアミノ酸配列のうち、3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列を含む、ヒト型CDR移植抗体などがあげられる。
ヒト抗体は、元来、ヒト体内に天然に存在する抗体をいうが、最近の遺伝子工学的、細胞工学的、発生工学的な技術の進歩により作製されたヒト抗体ファージライブラリーおよびヒト抗体産生トランスジェニック動物から得られる抗体なども含まれる。
ヒト体内に天然に存在する抗体は、例えば、ヒト末梢血リンパ球を単離し、EBウイルスなどを感染させ不死化し、クローニングすることにより、該抗体を産生するリンパ球を培養でき、培養上清中より該抗体を精製することができる。
ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB細胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入することによりFab、scFvなどの抗体断片をファージ表面に発現させたライブラリーである。該ライブラリーより、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標として所望の抗原結合活性を有する抗体断片を表面に発現しているファージを回収することができる。該抗体断片は、さらに、遺伝子工学的手法により2本の完全なH鎖および2本の完全なL鎖からなるヒト抗体分子へも変換することができる。
ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、ヒト抗体遺伝子が細胞内に組込まれた動物を意味する。具体的には、例えば、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、該ES細胞をマウスの初期胚へ移植後、発生させることによりヒト抗体産生トランスジェニックマウスを作製することができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物からのヒト抗体の作製方法は、通常のヒト以外の動物で行われているハイブリドーマ作製方法によりヒト抗体産生ハイブリドーマを取得し、培養することで培養上清中にヒト抗体を産生蓄積させることができる。
本発明の抗体断片としては、Fab、F(ab’)、Fab’、scFv、diabody、dsFvおよびCDRを含むペプチドなどがあげられる。
Fabは、IgGを蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち(H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断される)、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体がジスルフィド結合で結合した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のFabは、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体を蛋白質分解酵素パパインで処理して得ることができる。または、該抗体のFabをコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
F(ab’)は、IgGのヒンジ領域の2個のジスルフィド結合の下部を酵素ペプシンで分解して得られた、2つのFab領域がヒンジ部分で結合して構成された、分子量約10万の抗原結合活性を有するフラグメントである。
本発明のF(ab’)は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得ることができる。または、下記のFab’をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結合させ、作製することができる。
Fab’は、上記F(ab’)のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のFab’は、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するF(ab’)を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。または、該抗体のFab’断片をコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
scFvは、1本のVHと1本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、Pと表記する)を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P−VHポリペプチドで、抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のscFvは、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
diabodyは、scFvが二量体化した抗体断片で、二価の抗原結合活性を有する抗体断片である。二価の抗原結合活性は、同一であることもできるし、一方を異なる抗原結合活性とすることもできる。
本発明のdiabodyは、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAをPのアミノ酸配列の長さが8残基以下となるように構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
dsFvは、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換したポリペプチドを該システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させたものをいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReiterらにより示された方法〔Protein Engineering,,697(1994)]に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。
本発明のdsFvは、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、dsFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
CDRを含むペプチドは、VHまたはVLのCDRの少なくとも1領域以上を含んで構成される。複数のCDRを含むペプチドは、直接または適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。
本発明のCDRを含むペプチドは、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDRをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によって製造することもできる。
本発明の抗体は、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片に放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、蛋白質などを化学的あるいは遺伝子工学的に結合させた抗体の誘導体を包含する。
本発明の抗体の誘導体は、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を認識する抗体または抗体断片のH鎖あるいはL鎖のN末端側あるいはC末端側、抗体またはその抗体断片中の適当な置換基あるいは側鎖、さらには抗体または抗体断片中の糖鎖などに放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、蛋白質などを化学的手法[抗体工学入門、金光修著、地人書館(1994)]により結合させることにより製造することができる。
また、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片をコードするDNAと、結合させたい蛋白質をコードするDNAを連結させて発現用ベクターに挿入し、該発現ベクターを適当な宿主細胞へ導入し、発現させることにより製造することができる。
放射性同位元素としては、131I、125Iなどがあげられ、例えば、クロラミンT法などにより抗体に結合させることができる。
低分子の薬剤としては、ナイトロジェン・マスタード、サイクロフォスファミドなどのアルキル化剤、5−フルオロウラシル、メソトレキセートなどの代謝拮抗剤、ダウノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシンなどの抗生物質、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンのような植物アルカロイド、タモキシフェン、デキサメタソンなどのホルモン剤などの抗癌剤[臨床腫瘍学、日本臨床腫瘍研究会編、癌と化学療法社(1996)]またはハイドロコーチゾン、プレドニゾンなどのステロイド剤、アスピリン、インドメタシンなどの非ステロイド剤、金チオマレート、ペニシラミンなどの免疫調節剤、サイクロフォスファミド、アザチオプリンなどの免疫抑制剤、マレイン酸クロルフェニラミン、クレマシチンのような抗ヒスタミン剤などの抗炎症剤[炎症と抗炎症療法、医歯薬出版株式会社(1982)]などがあげられる。例えば、ダウノマイシンと抗体を結合させる方法としては、グルタールアルデヒドを介してダウノマイシンと抗体のアミノ基間を結合させる方法、水溶性カルボジイミドを介してダウノマイシンのアミノ基と抗体のカルボキシル基を結合させる方法などがあげられる。
高分子の薬剤としては、ポリエチレングリコール(以下、PEGと表記する)、アルブミン、デキストラン、ポリオキシエチレン、スチレンマレイン酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリルアミドなどがあげられる。これらの高分子化合物を抗体または抗体断片に結合させることにより、(1)化学的、物理的あるいは生物的な種々の因子に対する安定性の向上、(2)血中半減期の顕著な延長、(3)免疫原性の消失、抗体産生の抑制、などの効果が期待される[バイオコンジュゲート医薬品、廣川書店(1993)]。例えば、PEGと抗体を結合させる方法としては、PEG化修飾試薬と反応させる方法などがあげられる[バイオコンジュゲート医薬品、廣川書店(1993)]。PEG化修飾試薬としては、リジンのε−アミノ基の修飾剤(特開昭61−178926)、アスパラギン酸およびグルタミン酸のカルボキシル基の修飾剤(特開昭56−23587)、アルギニンのグアニジノ基の修飾剤(特開平2−117920)などがあげられる。
蛋白質としては、免疫担当細胞を活性化するサイトカイン、例えば、ヒトインターロイキン2、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒトマクロファージコロニー刺激因子、ヒトインター・ロイキン12などがあげられる。また、癌細胞を直接傷害する活性を有するリシンやジフテリア毒素などの毒素を用いることができる。例えば、蛋白質との融合抗体ついては、抗体または抗体断片をコードするcDNAに蛋白質をコードするcDNAを連結させ、融合抗体をコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物あるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、融合抗体を製造することができる。
融合抗体を検出方法、定量方法、検出試薬、定量試薬または診断薬として使用する場合の薬剤としては、通常の免疫学的検出または測定法で用いられる標識体があげられる。標識体としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素、アクリジニウムエステル、ロフィンなどの発光物質、フルオレシン・イソチアネート(FITC)、RITCなどの蛍光物質などがあげられる。
以下に、本発明の抗体の製造方法について、具体的に説明する。
1.ハイブリドーマが産生する抗PERPモノクローナル抗体の作製
(1)抗原の調製
本発明において用いられるポリペプチドは、[Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,1987−1997)]などに記載された方法などを用い、例えば以下の方法により、該ポリペプチドをコードするDNAを宿主細胞中で発現させて、製造することができる。
まず、該ポリペプチドをコードするcDNAを含む完全長cDNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベクターを作製する。この際もし必要であれば、完全長cDNAをもとにしてポリペプチドをコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製し、上記完全長cDNAの代わりに該DNA断片を使用してもよい。次いで、該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、ポリペプチドを生産する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、大腸菌、動物細胞など、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれをも用いることができる。
発現ベクターとしては、使用する宿主細胞において自律複製または染色体中への組込が可能で、ポリペプチドをコードするDNAを転写できる位置に適当なプロモーターを含有しているものが用いられる。
大腸菌などの原核生物を宿主細胞として用いる場合には、該組換えベクターは、原核生物中で自律複製が可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明において用いられるDNAおよび転写終結配列を含むベクターであることが好ましい。該組換えベクターは、さらに、プロモーターを制御する遺伝子を含んでいてもよい。
発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもRoche Diagnostics社製)、pKK233−2(Pharmacia社製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX−1(Promega社製)、pQE−8(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200[Agricultural Biological Chemistry,48,669(1984)]、pLSA1[Agric.Biol.Chem.,53,277(1989)]、pGEL1[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985)]、pBluescript II SK(−)(Stratagene社製)、pTrs30[大腸菌JM109/pTrS30(FERM BP−5407)より調製]、pTrs32[大腸菌JM109/pTrS32(FERM BP−5408)より調製]、pGHA2[大腸菌IGHA2(FERM BP−400)より調製、特開昭60−221091]、pGKA2[大腸菌 IGKA2(FERM BP−6798)より調製、特開昭60−221091]、pTerm2(US4686191、US4939094、US5160735)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400[J.Bacteriol.,172,2392(1990)]、pGEX(Pharmacia社製)、pETシステム(Novagen社製)、pME18SFL3などをあげることができる。
プロモーターとしては、使用する宿主細胞中で機能を発揮できるものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーターなどの、大腸菌やファージなどに由来するプロモーターなどをあげることができる。また、Ptrpを2つ直列させたタンデムプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、letIプロモーターなどのように、人為的に設計改変されたプロモーターも用いることができる。
また、上記組換えベクターとしては、リボソーム結合配列であるシャイン・ダルガルノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。本発明において用いられるポリペプチドをコードするDNAの塩基配列においては、宿主内での発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することができ、これにより、目的とするポリペプチドの生産率を向上させることができる。さらに、上記組換えベクターにおける遺伝子の発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
このような宿主細胞として用いられる原核生物としては、例えば、エシェリヒア属などに属する原核生物を用いることができ、具体的には大腸菌XL1−Blue、大腸菌XL2−Blue、大腸菌DH1、大腸菌MC1000、大腸菌KY3276、大腸菌W1485、大腸菌JM109、大腸菌HB101、大腸菌No.49、大腸菌W3110、大腸菌NY49などが用いることができる。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972)、Gene,17,107(1982)、Molecular&General Genetics,168,111(1979)]に記載の方法などをあげることができる。
本発明において用いられるポリペプチドを大腸菌で生産した場合には、ベクターの種類により該ポリペプチドは、細胞質内に可溶型として、細胞質内に不溶性顆粒としてまたはペリプラズミックスペースに可溶型としてなどの発現様式で発現させることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcDM8(フナコシ社より市販)、pAGE107[特開平3−22979;Cytotechnology,,133,(1990)]、pAS3−3(特開平2−227075)、pCDM8[Nature,32,840,(1987)]、pcDNAI/Amp(Invitrogen社製)、pREP4(Invitrogen社製)、pAGE103[J.Biochemistry,101,1307(1987)]、pAGE210、pME18SFL3などをあげることができる。
プロモーターとしては、動物細胞中で機能を発揮できるものであればいずれも用いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーターなどをあげることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主細胞としては、ヒトの細胞であるナマルバ(Namalwa)細胞、サルの細胞であるCOS細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、HBT5637細胞(特開昭63−299)などをあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法[Cytotechnology,3,133(1990)]、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)]などをあげることができる。
遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、[Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)]に記載されている方法などに準じて、分泌生産、融合蛋白質発現などを行うことができる。真核生物由来の細胞で発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加されたポリペプチドを得ることができる。
以上のようにして得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に該ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物から採取することにより、本発明において用いられるポリペプチドを製造することができる。該形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドなどを、trpプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸などを培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地[The Journal of the American Medical Association,199,519(1967)]、EagleのMEM培地[Science,122,501(1952)]、ダルベッコ改変MEM培地[Virology,,396(1959)]、199培地[Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,73,1(1950)]またはこれら培地に牛胎児血清などを添加した培地などを用いることができる。培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、5%CO存在下などの条件下で1〜7日間行う。また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。
上記のとおり、本発明において用いられるポリペプチドをコードするDNAを組み込んだ組換えベクターを保有する微生物、動物細胞など由来の形質転換体を、通常の培養方法に従って培養して該ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物より採取することにより、本発明において用いられるポリペプチドを製造することができる。
ポリペプチドの生産方法としては、宿主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌させる方法、および宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、使用する宿主細胞から、適切な方法を選択することができる。また、任意の蛋白質と蛋白質工学的に融合させて融合ポリペプチドとして発現させて生産させてもよい。
ポリペプチドが宿主細胞内または宿主細胞外膜上に生産される場合、ポールソンらの方法[J.Biol.Chem.,264,17619(1989)]、ロウらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,8227(1989)、Genes Develop.,,1288(1990)、特開平05−336963またはWO94/23021]などに記載の方法を準用することにより、該遺伝子産物を宿主細胞外に積極的に分泌させることもできる。また、特開平2−227075に記載されている方法に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子などを用いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
ポリペプチドは、例えば、以下のようにして、上記の培養物などから単離・精製することができる。
ポリペプチドが細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後に細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミルなどにより細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安などによる塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化学社製)などのレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(Pharmacia社製)などのレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロースなどのレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動などの電気泳動法などの手法を単独または組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
また、ポリペプチドが細胞質内に不溶性顆粒を形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分として該ポリペプチドの不溶性顆粒を回収する。回収した該蛋白質の不溶性顆粒を蛋白質変性剤で可溶化する。該可溶化液を希釈または透析することにより、該蛋白質を正常な立体構造にまき戻した後、上記と同様の単離精製法によりポリペプチドの精製標品を得ることができる。
ポリペプチドまたはその糖修飾体などの誘導体が細胞外に分泌された場合には、培養上清に該ポリペプチドまたはその糖修飾体などの誘導体を回収することができる。即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離などの手法により処理することにより、固形物を取り除いた培養上清を取得し、該培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
また、本発明において用いられるポリペプチドまたは該ポリペプチドの部分ペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によっても製造することができる。また、Advanced ChemTech社、パーキン・エルマー社、Pharmacia社、Protein Technology Instrument社、Synthecell−Vega社、PerSeptive社、島津製作所などのペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
上記の方法により得られるポリペプチドまたは該ポリペプチドの部分配列を有するペプチドを抗原として用いることができる。
(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
3〜20週令のマウス、ラットまたはハムスターなどに上記のように調製した抗原を免疫して、その動物の脾臓、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取する。
免疫は、動物の皮下あるいは静脈内あるいは腹腔内に、適当なアジュバント〔例えば、フロインドの完全アジュバント(Complete Freund’s Adjuvant)や水酸化アルミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を投与することにより行う。抗原が部分ペプチドである場合には、BSA(ウシ血清アルブミン)やKLH(Keyhole Limpet hemocyanin)などのキャリア蛋白質とコンジュゲートを作製し、これを免疫原として用いる。
抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目に眼底静脈叢より採血し、その血清が抗原と反応することを酵素免疫測定法〔Antibodies−A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory,1988)〕などで調べる。免疫に用いた抗原に対し、その血清が十分な抗体価を示したマウス、ラットまたはハムスターを抗体産生細胞の供給源として用いる。
ポリクローナル抗体は、該血清を分離、精製することにより調製することができる。該ポリクローナル抗体が、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する活性を有していることは、後述(6)に記載の方法で調べることができる。
抗体産生細胞と骨髄腫細胞の融合に供するにあたって、抗原の最終投与後3〜7日目に、免疫したマウス、ラットまたはハムスターより脾臓などの抗体産生細胞を含む組織を摘出し、抗体産生細胞を採取する。脾臓細胞を用いる場合には、脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を捨て、トリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去し、MEM培地で3回洗浄して融合用抗体産生細胞として提供する。
(3)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を使用する。たとえば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/cマウス由来)骨髄腫細胞株P3−X63Ag8−U1(P3−U1)[Current Topics in Microbiology and Immunology,18,1(1978)]、P3−NS1/1−Ag41(NS−1)[European J.Immunology,,511(1976)]、SP2/0−Ag14(SP−2)[Nature,276,269(1978)]、P3−X63−Ag8653(653)[J.Immunology,123,1548(1979)]、P3−X63−Ag8(X63)[Nature,256,495(1975)]などが用いられる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地[RPMI−1640培地にグルタミン(1.5mmol/L)、2−メルカプトエタノール(5×10−5mol/L)、ジェンタマイシン(10μg/ml)および牛胎児血清(FCS)を加えた培地(以下、正常培地という。)に、さらに8−アザグアニン(15μg/ml)を加えた培地〕で継代するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地に継代し、融合当日2×10個以上の細胞数を確保する。
(4)細胞融合
前述した抗体産生細胞と骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(リン酸二ナトリウム1.83g、リン酸−カリウム0.21g、食塩7.65g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングライコール−1000(PEG−1000)2g、MEM 2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLの混液の0.2〜1mLを、1×10個の抗体産生細胞に加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mLになるようにする。遠心分離(900rpm、5分間)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吹出しでゆるやかに細胞をHAT培地[正常培地にヒポキサンチン(10−4mol/L)、チミジン(1.5×10−5mol/L)およびアミノプテリン(4×10−7mol/L)を加えた培地〕100mL中に懸濁する。この懸濁液を96ウェル培養用プレートに100μL/ウェルずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で7〜14日間培養する。
培養後、培養上清の一部をとり後述するハイブリドーマの選択方法により、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体を生産するハイブリドーマを含むウェルを選択する。ついで、限界希釈法によりクローニングを2回繰り返し〔1回目は、HT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回目は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認められたものをモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
(5)モノクローナル抗体の調製
プリスタン処理〔2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(Pristane)0.5mLを腹腔内投与し、2週間飼育する〕した8〜10週令のマウスまたはヌードマウスに、(4)で得られた抗PERPモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞2×10〜5×10細胞/匹を腹腔内注射する。10〜21日でハイブリドーマは腹水癌化する。このマウスから腹水を採取し、遠心分離(3000rpm、5分間)して固形分を除去後、40〜50%硫酸アンモニウムで塩析した後、カプリル酸沈殿法、DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カラムあるいはゲル濾過カラムによる精製を行ない、IgGあるいは、IgM画分を集め、精製モノクローナル抗体とする。
抗体のサブクラスの決定は、サブクラスタイピングキットを用いて酵素免疫測定法により行う。蛋白量の定量は、ローリー法および280nmでの吸光度より算出する。
(6)ハイブリドーマの選択方法
本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体を生産するハイブリドーマを選択する方法としては、以下の方法があげられる。
天然型の立体構造を保っているPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域に結合できる性質の抗体を選択するには、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドがヒト体内に天然に存在する細胞、ヒト体内から樹立された細胞株または遺伝子組換え技術により得られた細胞に対する結合性を調べることができる方法であればいずれでもよく、FMAT8100HTSシステム(アプライドバイオシステム社)を用いる蛍光抗体染色法やフローサイトメトリーを用いる蛍光細胞染色法などの方法があげられる。具体的な方法としては、実施例4の(3)または実施例5の(2)に記載の方法などがあげられる。
また、これらの反応性を確認するための方法は、公知の免疫学的測定法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,(1988)]、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]などを組み合わせることもできる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドがヒト体内に天然に存在する細胞、ヒト体内から樹立した細胞株または遺伝子組換え技術により得られた細胞としては、前述した細胞があげられるが、該ポリペプチドの発現の有無が明らかである遺伝子組換え技術により得られたPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞を用いるのが好ましい。このような、遺伝子組換え技術により得られた細胞は、陰性対照として該ポリペプチドが発現していない細胞の調製が容易である。
前述の方法で選択される、本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を認識するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマの具体例としては、モノクローナル抗体KM3411を生産するハイブリドーマ細胞株KM3411(FERM BP−8643)などがあげられる。
2.遺伝子組換え抗体の作製
遺伝子組換え抗体の作製例として、以下にヒト型キメラ抗体およびヒト型CDR移植抗体などのヒト化抗体の作製方法を示す。
(1) ヒト化抗体発現用ベクターの構築
ヒト化抗体発現用ベクターとは、ヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた動物細胞用発現ベクターであり、動物細胞用発現ベクターにヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAをそれぞれクローニングすることにより構築することができる。
ヒト抗体のC領域は任意のヒト抗体のCHおよびCLであることができ、例えば、ヒト抗体のγ1サブクラスのCHおよびκクラスのCLなどがあげられる。ヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAとしてはエキソンとイントロンからなる染色体DNAを用いることも、cDNAを用いることもできるが、cDNAを用いるのが好ましい。動物細胞用発現ベクターとしては、ヒト抗体のC領域をコードする遺伝子を組込み発現できるものであればいかなるものでも用いることができる。例えば、pAGE107〔Cytotechnol.,3,133(1990)〕、pAGE103(〔J.Biochem.,101,1307(1987)、pHSG274〔Gene,27,223(1984)〕、pKCR〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78,1527(1981)〕、psG1bd2−4〔Cytotechnol.,,173(1990)〕、pSE1UK1Sed1−3〔Cytotechnol.,13,79(1993)〕などがあげられる。動物細胞用発現ベクターに用いるプロモーターとエンハンサーとしては、SV40の初期プロモーター〔J.Biochem.,101,1307(1987)〕、モロニーマウス白血病ウイルスのLTR〔Biochem.Biophys.Res.Commun.,149,960(1987)〕、免疫グロブリンH鎖のプロモーター〔Cell,41,479(1985)〕とエンハンサー〔Cell,33,717(1983)〕などがあげられる。
ヒト化抗体発現用ベクターは、抗体H鎖およびL鎖が別々のベクター上に存在するタイプあるいは同一のベクター上に存在するタイプ(タンデム型)のどちらでも用いることができるが、ヒト化抗体発現ベクターの構築の容易さ、動物細胞への導入の容易さ、動物細胞内での抗体H鎖およびL鎖の発現量のバランスが均衡するなどの点からタンデム型のヒト化抗体発現用ベクターの方が好ましい〔J.Immunol.Methods,167,271(1994)〕。タンデム型のヒト化抗体発現用ベクターとしては、pKANTEX93(WO97/10354)、pEE18〔Hybridoma,17,559(1998)〕などがあげられる。
構築したヒト化抗体発現用ベクターは、ヒト型キメラ抗体およびヒト型CDR移植抗体の動物細胞での発現に使用できる。
(2)ヒト以外の動物由来の抗体のV領域をコードするcDNAの取得およびアミノ酸配列の解析
ヒト以外の動物の抗体、例えば、マウス抗体のVH及びVLをコードするcDNAは以下の様にして取得することができる。
マウス抗体などを産生するハイブリドーマ細胞よりmRNAを抽出し、cDNAを合成する。合成したcDNAをファージ或いはプラスミドなどのベクターにクローニングしてcDNAライブラリーを作製する。該ライブラリーより、マウス抗体のC領域部分或いはV領域部分をコードするDNAをプローブとして用い、VHまたはVLをコードするcDNAを有する組換えファージ或いは組換えプラスミドをそれぞれ単離する。組換えファージ或いは組換えプラスミド上の目的とするマウス抗体のVHまたはVLの全塩基配列をそれぞれ決定し、塩基配列よりVHまたはVLの全アミノ酸配列をそれぞれ推定する。
ヒト以外の動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ラビットなどのハイブリドーマ細胞を作製することが可能であれば、いかなるものも用いることができる。
ハイブリドーマ細胞から全RNAを調製する方法としては、チオシアン酸グアニジン−トリフルオロ酢酸セシウム法[Methods in Enzymol.,154,3(1987)]、また全RNAからmRNAを調製する方法としては、オリゴ(dT)固定化セルロースカラム法[Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)]等があげられる。また、ハイブリドーマ細胞からmRNAを調製するキットとしては、Fast Track mRNA Isolation Kit(Invitrogen社製)、Quick Prep mRNA Purification Kit(Pharmacia社製)等があげられる。
cDNAの合成及びcDNAライブラリー作製法としては、常法[Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989);Current Protocols in Molecular Biology),Sup plement 1−34]、或いは市販のキット、例えば、Super ScriptTM Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning(GIBCO BRL社製)やZAP−cDNA Synthesis Kit(Stratagene社製)を用いる方法等があげられる。
cDNAライブラリーの作製の際、ハイブリドーマ細胞から抽出したmRNAを鋳型として合成したcDNAを組み込むベクターは、該cDNAを組み込めるベクターであればいかなるものでも用いることができる。例えば、ZAP Express[Strategies,,58(1992)]、pBluescript II SK(+)[Nucleic Acids Research,17,9494(1989)]、λZAPII(Stratagene社製)、λgt10、λgt11[DNA Cloning:A Practical Approach,I,49(1985)]、Lambda BlueMid(Clontech社製)、λExCell、pT7T3 18U(Pharmacia社製)、pcD2[Mol.Cell.Biol.,,280(1983)]及びpUC18[Gene,33,103(1985)]等が用いられる。
ファージ或いはプラスミドベクターにより構築されるcDNAライブラリーを導入する大腸菌としては該cDNAライブラリーを導入、発現及び維持できるものであればいかなるものでも用いることができる。例えば、XL1−Blue MRF’[Strategies,,81(1992)]、C600[Genetics,39,440(1954)]、Y1088、Y1090[Science,222,778(1983)]、NM522[J.Mol.Biol.,166,1(1983)]、K802[J.Mol.Biol.,16,118(1966)]及びJM105[Gene,38,275(1985)]等が用いられる。
cDNAライブラリーからのヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLをコードするcDNAクローンの選択法としては、アイソトープ或いは蛍光標識したプローブを用いたコロニー・ハイブリダイゼーション法或いはプラーク・ハイブリダイゼーション法[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)]により選択することができる。また、プライマーを調製し、mRNAから合成したcDNA或いはcDNAライブラリーを鋳型として、Polymerase Chain Reaction[以下、PCR法と表記する;Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);Current Protocols in Molecular Biology,Supplement1−34]によりVHまたはVLをコードするcDNAを調製することもできる。
上記方法により選択されたcDNAを、適当な制限酵素等で切断後、pBluescript SK(−)(Stratagene社製)等のプラスミドにクローニングし、通常用いられる塩基配列解析方法、例えば、サンガー(Sanger, F.)らのジデオキシ法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463(1977)]等の反応を行い、塩基配列自動分析装置、例えば、A.L.F.DNAシークエンサー(Pharmacia社製)等を用いて解析することで該cDNAの塩基配列を決定することができる。
決定した塩基配列からVH及びVLの全アミノ酸配列をそれぞれ推定し、既知の抗体のVH及びVLの全アミノ酸配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することにより、取得したcDNAが分泌シグナル配列を含む抗体のVH及びVLの完全なアミノ酸配列をコードしているかをそれぞれ確認することができる。分泌シグナル配列を含む抗体のVH及びVLの完全なアミノ酸配列に関しては、既知の抗体のVH及びVLの全アミノ酸配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することにより、分泌シグナル配列の長さ及びN末端アミノ酸配列を推定でき、更にはそれらが属するサブグループを知ることができる。また、VH及びVLの各CDRのアミノ酸配列についても、既知の抗体のVH及びVLのアミノ酸配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することによって見出すことができる。
更にVH及びVLの完全なアミノ酸配列を用いて任意のデータベース、例えば、SWISS−PROTやPIR−Protein等に対してBLAST法[J.Mol.Biol.,215,403(1990)]等の配列の相同性検索を行い、配列の新規性を検討することができる。
(3)ヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築
本項2の(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のCHまたはCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流に、それぞれヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLをコードするcDNAをそれぞれクローニングし、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することができる。例えば、ヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLをコードするそれぞれのcDNAを、ヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLの3’末端側の塩基配列とヒト抗体のCHまたはCLの5’末端側の塩基配列とから成り、かつ適当な制限酵素の認識配列を両端に有する合成DNAとそれぞれ連結し、それぞれを本項2の(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のCHまたはCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現する様にそれぞれクローニングし、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することができる。また、ヒト以外の動物の抗体VHまたはVLをコードするcDNAを、適当な制限酵素の認識配列を両端に有する合成DNAを用いてPCR法によりそれぞれ増幅し、それぞれを本項2の(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターにクローニングすることもできる。
(4)ヒト型CDR移植抗体のV領域をコードするcDNAの構築
ヒト型CDR移植抗体のVHまたはVLをコードするcDNAは、以下の様にして構築することができる。まず、目的のヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLのCDRのアミノ酸配列を移植するヒト抗体のVHまたはVLのフレームワーク領域(以下、FRと表記する)のアミノ酸配列をそれぞれ選択する。ヒト抗体のVHまたはVLのFRのアミノ酸配列としては、ヒト抗体由来のものであれば、いかなるものでも用いることができる。例えば、Protein Data Bank等のデータベースに登録されているヒト抗体のVHまたはVLのFRのアミノ酸配列、ヒト抗体のVHまたはVLのFRの各サブグループの共通アミノ酸配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]等があげられるが、その中でも、十分な活性を有するヒト型CDR移植抗体を作製するためには、目的のヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLのFRのアミノ酸配列とできるだけ高い相同性(少なくとも60%以上)をそれぞれ有するアミノ酸配列を選択することが望ましい。次に、選択したヒト抗体のVHまたはVLのFRのアミノ酸配列に目的のヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLのCDRのアミノ酸配列をそれぞれ移植し、ヒト型CDR移植抗体のVHまたはVLのアミノ酸配列をそれぞれ設計する。設計したアミノ酸配列を抗体の遺伝子の塩基配列に見られるコドンの使用頻度[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]を考慮してDNA配列に変換し、ヒト型CDR移植抗体のVHまたはVLのアミノ酸配列をコードするDNA配列をそれぞれ設計する。設計したDNA配列に基づき、100塩基前後の長さからなる数本の合成DNAを合成し、それらを用いてPCR法を行う。この場合、PCRでの反応効率及び合成可能なDNAの長さから、H鎖、L鎖とも6本の合成DNAを設計することが好ましい。
また、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、本項2の(1)で構築したヒト化抗体発現用ベクターに容易にヒト型CDR移植抗体のVHまたはVLをコードするcDNAをクローニングすることができる。PCR反応後、増幅産物をpBluescript SK(−)(Stratagene社製)等のプラスミドにそれぞれクローニングし、本項2の(2)に記載の方法により、塩基配列を決定し、所望のヒト型CDR移植抗体のVHまたはVLのアミノ酸配列をコードするDNA配列を有するプラスミドを取得する。
(5)ヒト型CDR移植抗体のV領域のアミノ酸配列の改変
ヒト型CDR移植抗体は、目的のヒト以外の動物の抗体のVH及びVLのCDRのみをヒト抗体のVH及びVLのFRに移植しただけでは、その抗原結合活性は元のヒト以外の動物の抗体に比べて低下してしまうことが知られている[BIO/TECHNOLOGY,,266(1991)]。この原因としては、元のヒト以外の動物の抗体のVH及びVLでは、CDRのみならず、FRのいくつかのアミノ酸残基が直接的或いは間接的に抗原結合活性に関与しており、それらアミノ酸残基がCDRの移植に伴い、ヒト抗体のVH及びVLのFRの異なるアミノ酸残基へと変化してしまうことが考えられている。この問題を解決するため、ヒト型CDR移植抗体では、ヒト抗体のVH及びVLのFRのアミノ酸配列の中で、直接抗原との結合に関与しているアミノ酸残基やCDRのアミノ酸残基と相互作用したり、抗体の立体構造を維持し、間接的に抗原との結合に関与しているアミノ酸残基を同定し、それらを元のヒト以外の動物の抗体に見出されるアミノ酸残基に改変し、低下した抗原結合活性を上昇させることが行われている[BIO/TECHNOLOGY,,266(1991)]。ヒト型CDR移植抗体の作製においては、それら抗原結合活性に関わるFRのアミノ酸残基を如何に効率よく同定するかが、最も重要な点であり、そのためにX線結晶解析[J.Mol.Biol.,112,535(1977)]或いはコンピューターモデリング[Protein Engineering,,1501(1994)]等による抗体の立体構造の構築及び解析が行われている。これら抗体の立体構造の情報は、ヒト型CDR移植抗体の作製に多くの有益な情報をもたらして来たが、その一方、あらゆる抗体に適応可能なヒト型CDR移植抗体の作製法は未だ確立されておらず、現状ではそれぞれの抗体について数種の改変体を作製し、それぞれの抗原結合活性との相関を検討する等の種々の試行錯誤が必要である。
ヒト抗体のVH及びVLのFRのアミノ酸残基の改変は、改変用合成DNAを用いて本項2の(4)に記載のPCR法を行うことにより、達成できる。PCR後の増幅産物について本項2の(2)に記載の方法により、塩基配列を決定し、目的の改変が施されたことを確認する。
(6)ヒト型CDR移植抗体発現ベクターの構築
本項2の(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のCHまたはCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流に、構築したヒト型CDR移植抗体のVHまたはVLをコードするcDNAをそれぞれクローニングし、ヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築することができる。
例えば、本項2の(4)及び(5)でヒト型CDR移植抗体のVHまたはVLを構築する際に用いる合成DNAのうち、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、本項2の(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のCHまたはCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現するようにそれぞれクローニングすることができる。
(7)ヒト化抗体の一過性発現
作製した多種類のヒト化抗体の抗原結合活性を効率的に評価するために、本項2の(3)及び(6)に記載のヒト化抗体発現ベクター、或いはそれらを改変した発現ベクターを用いてヒト化抗体の一過性発現を行うことができる。発現ベクターを導入する宿主細胞としては、ヒト化抗体を発現できる宿主細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができるが、その発現量の高さから、COS−7細胞(ATCC CRL1651)が一般に用いられる[Methods in Nucleic Acids Res.,CRC press,283(1991)]。COS−7細胞への発現ベクターの導入法としては、DEAE−デキストラン法[Methods in Nucleic Acids Res.,CRC press,283(1991)]、リポフェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)]等があげられる。
発現ベクターの導入後、培養上清中のヒト化抗体の発現量及び抗原結合活性は酵素免疫抗体法[以下、ELISA法と表記する;Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]等により測定できる。
(8)ヒト化抗体の安定発現
本項2の(3)及び(6)に記載のヒト化抗体発現ベクターを適当な宿主細胞に導入することによりヒト化抗体を安定に発現する形質転換株を得ることができる。
宿主細胞への発現ベクターの導入法としては、エレクトロポレーション法[特開平2−257891、Cytotechnology,,133(1990)]等があげられる。
ヒト化抗体発現ベクターを導入する宿主細胞としては、ヒト化抗体を発現させることができる宿主細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができる。例えば、マウスSP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581)、マウスP3X63−Ag8.653細胞(ATCC CRL1580)、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(以下、dhfrと表記する)が欠損したCHO細胞[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,4216(1980)]、レクチン耐性を獲得したLec13[Somatic Cell and Molecular genetics,12,55(1986)]、α1−6フコース転移酵素遺伝子が欠損したCHO細胞(WO05/35586)、ラットYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞(ATCC CRL1662)などがあげられる。
上記宿主細胞の他、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素などの蛋白質、N−グリコシド結合複合型糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素などの蛋白質または細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースのゴルジ体への輸送に関与する蛋白質などの活性が低下または欠失した宿主細胞、好ましくはWO05/35586に記載のα1−6フコース転移酵素遺伝子が欠損したCHO細胞などを用いることもできる。
発現ベクターの導入後、ヒト化抗体を安定に発現する形質転換株は、特開平2−257891に開示されている方法に従い、G418硫酸塩(以下、G418と表記する:SIGMA社製)等の薬剤を含む動物細胞培養用培地で培養することにより選択できる。動物細胞培養用培地としては、RPMI1640培地(Invitrogen社製)、GIT培地(日本製薬社製)、EX−CELL301培地(JRH社製)、IMDM培地(Invitrogen社製)、Hybridoma−SFM培地(Invitrogen社製)、またはこれら培地に牛胎児血清(以下、FBSと表記する)等の各種添加物を添加した培地等を用いることができる。得られた形質転換株を培地中で培養することで培養上清中にヒト化抗体を発現蓄積させることができる。培養上清中のヒト化抗体の発現量及び抗原結合活性はELISA法等により測定できる。また、形質転換株は、特開平2−257891に開示されている方法に従い、dhfr増幅系等を利用してヒト化抗体の発現量を上昇させることができる。
ヒト化抗体は、形質転換株の培養上清よりプロテインAカラムを用いて精製することができる[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]。また、その他に通常、蛋白質の精製で用いられる精製方法を使用することができる。例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー及び限外濾過等を組み合わせて行い、精製することができる。精製したヒト化抗体のH鎖、L鎖或いは抗体分子全体の分子量は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動[以下、SDS−PAGEと表記する:Nature,227,680(1970)]やウエスタンブロッティング法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratoly Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]等で測定することができる。
3.本発明の抗体または抗体断片の活性評価
精製した本発明の抗体または抗体断片の抗原との結合活性、PERP発現細胞株に対する結合活性はELISA法および蛍光抗体法[Cancer Immunol.Immunother.,36,373(1993)]またはBIAcoreTMなどを用いた表面プラズモン共鳴等により測定できる。抗原陽性培養細胞株に対する細胞傷害活性は、CDC活性、ADCC活性等を測定し、評価することができる[Cancer Immunol.Immunother.,36,373(1993)]。
4.本発明の抗体を用いた疾患の診断方法
特定の細胞において、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの発現が認められているため、本発明の抗体または抗体断片を用いてPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドまたは該ポリペプチドが発現した細胞を検出または定量することにより、該ポリペプチドが関連する疾患を診断することができる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患としては、該ポリペプチドが発現している細胞が関与する疾患であればいかなるものでもよく、例えば癌があげられる。癌としては、上皮由来の癌があげられ、具体的には、乳癌、子宮癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、肺癌、腎臓癌、直腸癌、甲状腺癌、子宮頸癌、小腸癌、前立腺癌または膵臓癌などがあげられる。
本発明においてPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドを検出または測定する対象となる生体試料としては、組織細胞、血液、血漿、血清、膵液、尿、糞便、組織液、培養液など、該ポリペプチドを含む可能性のあるものであれば特に限定されない。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関連する疾患としては、該疾患により発現が変動する疾患があげられ、具体的には、癌があげられる。
癌の診断は、例えば、以下のようにして行うことができる。
複数の健常者の生体から採取した生体試料について、本発明の抗体または該抗体断片、またはこれらの誘導体を用い、下記の免疫学的手法を用いて、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの検出または測定を行い、健常者の生体試料中の該ポリペプチドの存在量を調べておく。被験者の生体試料中についても同様に該ポリペプチドの存在量を調べ、その存在量を健常者の存在量と比較する。被験者の該ポリペプチドの存在量が健常者と比較して増加している場合には、癌が陽性であると診断できる。
本発明の抗体または抗体断片、またはこれらの誘導体を含有する診断薬は、目的の診断法に応じて、抗原抗体反応を行なうための試薬、該反応の検出用試薬を含んでもよい。抗原抗体反応を行なうための試薬としては、緩衝剤、塩などがあげられる。検出用試薬としては、抗体もしくは抗体断片、またはこれらの誘導体、または抗体もしくは抗体断片、またはこれらの誘導体を認識する標識された二次抗体、標識に対応した基質などの通常の免疫学的検出または測定法に用いられる試薬があげられる。
本発明においてPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの量を検出または測定する方法としては、任意の公知の方法があげられる。例えば、免疫学的検出または測定方法などがあげられる。
免疫学的検出または測定法とは、標識を施した抗原または抗体を用いて、抗体量または抗原量を検出または測定する方法である。免疫学的検出または測定方法としては、放射性物質標識免疫抗体法(RIA)、酵素免疫測定法(EIAまたはELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、発光免疫測定法(luminescent immunoassay)、ウエスタンブロット法および物理化学的手法(TIA,LAPIA,PCIA)などがあげられる。抗原の検出または測定を行う方法であればいかなる方法でもよいが好ましくは免疫沈降法または蛍光細胞染色法があげられる。
放射性物質標識免疫抗体法(RIA)としては、例えば、抗原または抗原を発現した細胞などに、本発明の抗体を反応させ、さらに放射線標識を施した抗イムノグロブリン抗体または結合断片を反応させた後、シンチレーションカウンターなどで測定する方法があげられる。
酵素免疫測定法(EIAまたはELISA)としては、例えば、抗原または抗原を発現した細胞などに、本発明の抗体を反応させ、さらに標識を施した抗イムノグロブリン抗体または結合断片を反応させた後、発色色素を吸光光度計で測定する方法があげられ、例えばサンドイッチELISA法などが用いられる。酵素免疫測定法で用いる標識体としては、前述のとおり、任意の公知(石川榮次ら編、酵素免疫測定法、医学書院)の酵素標識を用いることができる。例えば、アルカリフォスファターゼ標識、ペルオキシダーゼ標識、ルシフェラーゼ標識、ビオチン標識などを用いることができる。
サンドイッチELISA法は、固相に抗体を結合させた後、検出または測定したい抗原をトラップさせ、トラップされた抗原に第2の抗体を反応させる方法である。該ELISA法では、検出または測定したい抗原を認識する抗体または抗体断片であって、抗原認識部位の異なる2種類の抗体を準備し、そのうち、一方の抗体または抗体断片を予めプレート(例えば、96ウェルプレート)に吸着させ、第2の抗体または抗体断片をFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼなどの酵素、ビオチンなどで標識しておく。上記の抗体が吸着したプレートに、生体内から分離された、細胞またはその破砕液、組織またはその破砕液、細胞培養上清、血清、胸水、腹水、眼液などを反応させた後、標識したモノクローナル抗体または抗体断片を反応させ、標識物質に応じた検出反応を行う。該方法により、被験サンプル中の抗原濃度を測定する場合には、濃度既知の抗原を段階的に希釈して作製した検量線より、被験サンプル中の抗原濃度を算出することができる。サンドイッチELISA法に用いる抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれを用いてもよく、Fab、Fab’、F(ab)などの抗体フラグメントを用いてもよい。サンドイッチELISA法で用いる2種類の抗体の組み合わせとしては、異なるエピトープを認識するモノクローナル抗体または抗体断片の組み合わせでもよいし、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体または抗体断片の組み合わせでもよい。
蛍光免疫測定法(FIA)としては、文献[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Aademic Press(1996);単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]などに記載された方法があげられる。蛍光免疫測定法で用いる標識体としては、前述のとおり、任意の公知(川生明著、蛍光抗体法、ソフトサイエンス社)の蛍光標識を用いることができる。例えば、FITC標識、RITC標識などを用いることができる。
発光免疫測定法(luminescent immunoassay)で用いる標識体としては、前述のとおり、任意の公知[今井一洋編、生物発光と化学発光、廣川書店;臨床検査42(1998)]の発光体標識があげられる。例えば、アクリジニウムエステル標識、ロフィン標識などを用いることができる。
ウエスタンブロット法は、抗原または抗原を発現した細胞などをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動[Antibodies−A Laboratory Manual(Cold Spring Harbar Laboratory,1988)]で分画した後、該ゲルをPVDF膜またはニトロセルロース膜にブロッティングし、該膜に抗原を認識する抗体または抗体断片を反応させ、さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼなどの酵素標識、ビオチン標識などを施した抗マウスIgG抗体または結合断片を反応させた後、該標識を可視化することによって確認する方法である。ウエスタンブロット法の一例を以下に示す。
配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現している細胞や組織を溶解し、還元条件下でレーンあたりのタンパク量として0.1〜30μgをSDS−PAGE法により泳動する。泳動されたタンパク質をPVDF膜にトランスファーし1%BSAを含むPBS(以下、BSA−PBSと表記する)に室温で30分間反応させブロッキング操作を行う。ここで本発明のモノクローナル抗体を反応させ、0.05%のTween−20を含むPBS(以下、Tween−PBSと表記する)で洗浄し、ペルオキシダーゼ標識したヤギ抗マウスIgGを室温で2時間反応させる。Tween−PBSで洗浄し、ECLTMWestern blotting detection reagents(Amersham社製)などを用いてモノクローナル抗体が結合したバンドを検出することにより、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを検出することができる。ウェスタンブロッティングでの検出に用いられる抗体としては、天然型の立体構造を保持していないポリペプチドに結合できる抗体が用いられる。具体的には、本発明の実施例4の(2)に記載のモノクローナル抗体KM3314あるいは市販抗PERPポリクローナル抗体(ProSci社製、製品番号2451、Novus Biologicals社製、製品番号NB500−231)などが用いられる。
物理化学的手法とは、具体的には、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドと特異的に結合する本発明の抗体を用いて、抗原であるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドと本発明の抗体とを結合させることにより凝集体を形成させて、この凝集体を検出することにより行う。この他に物理化学的手法としては、毛細管法、一次元免疫拡散法、免疫比濁法あるいはラテックス免疫比濁法等があげられる[臨床検査法提要、金原出版,499(1998)]。
例えば、ラテックス免疫比濁法では、抗体または抗原を感作させた粒径0.1〜1μm程度のポリスチレンラテックス等の担体を用い、対応する抗原あるいは抗体により抗原抗体反応を起こさせると、反応液中の散乱光は増加し、透過光は減少する。この変化を吸光度あるいは積分球濁度として検出することにより被験サンプル中の抗原濃度などを測定することができる。
本発明の抗体は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合できるため、該ポリペプチドが発現している細胞の検出に好適に用いられる。
該ポリペプチドが発現している細胞の検出には、公知の免疫学的検出法を用いることができるが、免疫沈降法、蛍光細胞染色法、免疫組織染色法、および免疫組織染色法などが、好ましく用いられる。また、FMAT8100HTSシステム(アプライドバイオシステム社)を用いる蛍光抗体染色法なども用いることができる。
免疫沈降法とは、該ポリペプチドを発現した細胞などを本発明のモノクローナル抗体または抗体断片と反応させた後、プロテインG−セファロースなどのイムノグロブリンに特異的な結合能を有する担体を加えて抗原抗体複合体を沈降させる方法である。あるいは以下のような方法によっても行なうことができる。
ELISA用96ウエルプレートに上述した本発明の抗体を固相化した後、BSA−PBSによりブロッキングする。抗体が精製されていない状態の例えばハイブリドーマ株培養上清などの精製されていない状態である場合には、抗マウスイムノグロブリンあるいはラットイムノグロブリンまたはプロテインAあるいはGなどをあらかじめELISA用96ウエルプレートに固相化しBSA−PBSでブロッキングした後、ハイブリドーマ株培養上清を分注して結合させる。BSA−PBSを捨てPBSでよく洗浄した後、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現している細胞や組織の溶解液を反応させる。よく洗浄した後のプレートより免疫沈降物をSDS−PAGE用サンプルバッファーで抽出し、上記のウェスタンブロッティングにより検出を行う。
免疫細胞染色法および免疫組織染色法とは抗原を発現した細胞または組織などを、場合によっては抗体の通過性を良くするため界面活性剤やメタノールなどで処理した後、本発明の抗体を反応させ、さらにFITCなどの蛍光標識、ペルオキシダーゼなどの酵素標識、ビオチン標識などを施した抗イムノグロブリン抗体または結合断片を反応させた後、該標識を可視化し、顕微鏡にて顕鏡するか、あるいは蛍光標識の抗体と細胞を反応させ、フローサイトメーターにて解析する蛍光抗体染色法(フローサイトメトリー)である。例えば、文献[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]などに記載された方法を用いて行うことができる。特に、本発明の抗体は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合できるため、フローサイトメトリーにより天然型の立体構造を保持して発現している細胞の検出に好ましく用いられる。
また、FMAT8100HTSシステム(アプライドバイオシステム社)を用いる蛍光抗体染色法とは、形成された抗体−抗原複合体と、抗体−抗原複合体の形成に関与していない遊離の抗体または抗原とを分離することなく、抗原量または抗体量を測定することができる、ホモジニアスなアッセイ方法であり、具体的には、実施例4の(3)−3に記載の方法などがあげられる。
5.本発明の抗体を用いた疾患の治療方法
本発明のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または該抗体断片は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の治療に用いることができる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患としては、該ポリペプチドが発現している細胞が関与する疾患であればいかなるものでもよく、例えば癌があげられる。癌としては、上皮由来の癌があげられ、具体的には、乳癌、子宮癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、肺癌、腎臓癌、直腸癌、甲状腺癌、子宮頸癌、小腸癌、前立腺癌または膵臓癌などがあげられる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドに対する抗体を用いた癌の治療剤には、該抗体を用いてPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの活性を制御することを特徴とする癌の治療剤、およびADCC活性やCDC活性、あるいはアポトーシス誘導作用による癌の治療剤が含まれる。
抗体の有するADCC活性やCDC活性は、例えば、特開平6−205694に記載の方法で測定することができる。このような活性を有する抗体は、in vivoにおいて、特定の抗原が発現した細胞を傷害することができるため、疾患の治療薬として用いることができる。ヒトIgGクラスの抗体定常領域を有するヒト型キメラ抗体、ヒト型CDR移植抗体などのヒト化抗体およびヒト抗体は治療剤として、有効に用いられ[Cancer Res.,56,1118(1996)]。
本発明の抗体は、変性を受けていない天然型のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドを認識することができるので、生体内で存在するPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現している細胞を認識することができる。従って、該抗体の可変領域のCDRを含むヒトIgGクラスの抗体定常領域を有するヒト型キメラ抗体、ヒト型CDR移植抗体などのヒト化抗体およびヒト抗体は、in vivoまたはin vitroにおいて、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現している細胞を傷害することができる。PERP遺伝子は癌において発現が亢進していることから、本発明の抗体または抗体断片は癌の治療剤として使用することができる。また、高いADCC活性が付与された本発明の抗体は、該抗体が発現している細胞を減ずる治療に用いられる治療剤として、特に有効に用いられる。
本発明の抗体または抗体断片、またはこれらの誘導体を含有する治療剤は、有効成分としての該抗体もしくは抗体断片、またはこれらの誘導体のみを含むものであってもよいが、通常は薬理学的に許容される1以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
投与経路は、治療に際して最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内などの非経口投与をあげることができ、抗体またはペプチド製剤の場合、望ましくは静脈内投与をあげることができる。投与形態としては、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟膏、テープ剤などがあげられる。
経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などがあげられる。乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを添加剤として用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトールなどの賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを添加剤として用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤などがあげられる。注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担体などを用いて調製される。座剤はカカオ脂、水素化脂肪またはカルボン酸などの担体を用いて調製される。また、噴霧剤は該抗体または抗体断片自体、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ該化合物を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体などを用いて調製される。担体として具体的には乳糖、グリセリンなどが例示される。該抗体および用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウダーなどの製剤が可能である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
投与量または投与回数は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重などにより異なるが、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kgである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
各種細胞株、ゼノグラフト、正常組織におけるPERP遺伝子の発現解析
(1)各種ゼノグラフトの作製と腫瘍塊の調製
ヒト膵臓癌細胞株[ASPC−1株(ATCC CRL−1469)、Capan−1株(ATCC HTB−79)、MiaPaca株(国立癌センターより分与)]および3種のヒト膵臓癌患者の腫瘍組織由来の細胞[PC01、PC02、PC03]を移植したゼノグラフトは以下のようにして作製した。
10%の非働化ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(インビトロジェン社製)中で継代培養した各細胞株を用いて、それぞれ1×10個/mlの細胞密度になるようにPBSで細胞懸濁液を調製した。Fox CHASE C.B−17/Icr−scidJclマウス(雄、5週齢、日本クレア社製)の腹側部皮下に、1尾あたり該懸濁液を100μL移植した。移植した細胞株あるいは細胞の生着が認められたマウスの腫瘍径を、ノギスを用いて経日的に測定し、腫瘍の長径が1cm程度に到達した個体を麻酔下で脱血死せしめた後に各腫瘍塊を摘出した。各腫瘍塊は、それぞれを4つに切り分けた後、液体窒素を用いて急速凍結した。
ヒト膵臓癌細胞株のPANC−1株とPSN−1株を移植したゼノグラフトは以下のようにして作製した。
5%の非働化ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(インビトロジェン社製)中で継代培養した各細胞株を用いて、それぞれ8×10〜1×10個/mLの細胞密度になるように血清を含まないRPMI1640培地で細胞懸濁液を調製した。BALB/cAJcl−nuマウス(雄、8週齢、日本クレア)の腹側部皮下に1尾あたり該懸濁液を100μL移植した。移植した細胞株の生着が認められたマウスの腫瘍径を、ノギスを用いて経日的に測定し、腫瘍の長径が1cm程度に到達した個体を頚椎脱臼で屠殺した後に各腫瘍塊を摘出した。各腫瘍塊は、それぞれを4つに切り分けた後、液体窒素を用いて急速凍結した。
ヒト大腸癌細胞株のHT−29株(ATCC HTB−38)とWiDr株(ATCC CCL−218)を移植したゼノグラフトは以下のようにして作製した。
10%非働化ウシ血清を含むMcCoy’s 5A培地(インビトロジェン社製)中で継代培養したHT−29細胞株、または10%非働化ウシ血清を含むMEM培地(インビトロジェン社製)中で継代培養したWiDr細胞株を用いて、それぞれ1×10個/mLの細胞密度になるように血清を含まないRPMI1640培地で細胞懸濁液を調製した。BALB/cAJcl−nuマウス(雄、8週齢、日本クレア)の腹側部皮下に該懸濁液を100μL移植した。移植した細胞株が生着したマウスの腫瘍径を、ノギスを用いて経日的に測定し、腫瘍の長径が1cm程度に到達した個体を頚椎脱臼で屠殺した後に各腫瘍塊を摘出した。各腫瘍塊は、それぞれを4つに切り分けた後、液体窒素を用いて急速凍結した。
ヒト大腸癌細胞株のColo205株(ATCC CCL−222)、LS174T株(ATCC CL−188)、LS180株(ATCC CL−187)、SW1116株(ATCC CCL−233)を移植したゼノグラフトは以下のようにして作製した。
各細胞株を10%の非働化ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(インビトロジェン社製)で継代培養し、それぞれ1×10個/mLの細胞密度になるようにPBSで細胞懸濁液を調製した。Fox CHASE C.B−17/Icr−scidJclマウス(雄、5週齢、日本クレア社製)の腹側部皮下に該懸濁液を100μL移植した。このようにして作製されたゼノグラフトから摘出された腫瘍塊を同系のマウスの腹側部皮下に移植し、移植した腫瘍塊が生着したマウスの腫瘍径を、ノギスを用いて経日的に測定し、腫瘍の長径が1cm程度に到達した個体を麻酔下で脱血死せしめた後に各腫瘍塊を摘出した。各腫瘍塊は、それぞれを4つに切り分けた後、液体窒素を用いて急速凍結した。
(2)全RNAの抽出とポリA(+)RNAの精製
細胞株、患者組織ならびに上記(1)で作製したゼノグラフトより、以下に示した方法により細胞顕濁液を調製した後、全RNAを抽出し、ポリA(+)RNAを精製した。
5種類の膵臓癌由来細胞株[ASPC−1株(ATCC CRL−1469)、BxPC−3株(ATCC CRL−1687)、Capan−1株(ATCC HTB−79)、MiaPaca株(国立癌センターより分与)、PSN−1株]、8種類の大腸癌細胞株[Colo205株(ATCCCCL−222)、HT−29株(ATCC HTB−38)、LS174T株(ATCC CL−188)、LS180株(ATCC CL−187)、SW1116株(ATCC CCL−233)]、7種類の非小細胞肺癌細胞株{PC−1株、PC−7株、PC−9株、PC−12株[以上4株;British Journal of Cancer, 39, 15(1976)]、PC−14株(ECACC 90071810)、SK−LU1株(ATCC HTB−57)、SK−LC−4株}、4種類の小細胞肺癌細胞株[Lu−139株(RCB 469)、NCI−H69株(ATCC HTB−119)、RERF−LC−MA株(JCRB0812)、SBC−5株(JCRB0819)]、3種類の急性骨髄性白血病(AML)細胞株[KG−1株(ATCC CCL−246)、THP−1株(ATCC CRL−8031)、HL−60株(ATCC CCL−240)]、3種類の急性リンパ性白血病(ALL)細胞株[CCRF−CEM株(ATCC CCL−120)、Jurkat株(ATCC TIB−152)、HSB−2株(ATCC CCL−120.1)]、2種類の慢性骨髄性白血病(CML)細胞株[K562株(ATCC CCL−243)、KU812株(ATCC CRL−2099)]、8種類の多発性骨髄腫(MM)細胞株[KMS−11株[International Journal of Oncology,12,545(1998)]、KMS−18株[International Journal of Oncology,12,545(1998)]、ARH−77株(ATCC CRL−1621)、IM−9株(ATCC CCL−159)、RPMI8226株(ATCC CCL−155)、HS−Sultan株(ATCC CRL−1484)、U266B1株(ATCC TIB−196)、MC−CAR株(ATCC CRL−8083)]、2種類のバーキットリンパ腫細胞株[Daudi株(ATCC CCL−213)、Raji株(ATCC CCL−86)]、組織球性リンパ腫(ヒスチオサイティックリンフォーマ)細胞株[U937株(ATCC CRL−1593)]、甲状腺濾胞癌(FTC)細胞株[ML−1株(DSMZ ACC 464)]から以下のようにして、それぞれ細胞破砕液を調製してそれぞれRNAを抽出した。
接着性の細胞株の場合には、培養後アスピレーターを用いて培地を除き、PBSで洗浄した後、シリコン製のヘラで細胞を回収した。培養面積10cm分の細胞あたり1mLのTRIzoL Reagent(インビトロジェン社製)を添加して懸濁した後、18G注射針に10回通し、ゲノムDNAを寸断して細胞破砕液とした。
浮遊性細胞株の場合には、細胞培養液を冷却遠心機(日立Himac CF15R、w/T11A21ローター)を用いて1500rpmで5分間遠心し、デカンテーションにより培地を除いた後、細胞をPBSに懸濁した。該細胞顕濁液を冷却遠心機(日立Himac CF15R、w/T11A21ローター)を用いて1500rpmで5分間遠心し、上清を取り除いて細胞を回収した。回収した細胞1×10個あたり1mLのTRIzoL Reagent(インビトロジェン社製)を添加して懸濁した後、18G注射針に10回通し、ゲノムDNAを寸断して細胞破砕液とした。
上記(1)で作製したゼノグラフトおよびヒト臨床組織から摘出した腫瘍塊の破砕は、以下のようにして行った。
凍結した腫瘍塊を10mLのTRIzoL Reagent(インビトロジェン社製)に投入し、直ちにポリトロンPT2100(キネマティカ社製)を用いて30000rpmで15秒間、破砕し、細胞破砕液とした。
得られた各細胞破砕液を、それぞれ冷却遠心機(日立Himac CF15R、w/T11A21ローター)を用いて11000rpmで10分間遠心し、沈殿を取らないように注意しながら、上清をそれぞれ新しいチューブに移した。上清に2mLのクロロフォルムを加え、15秒間激しく振とうし、室温で2〜3分間静置後、冷却遠心機(日立Himac CF7D2、w/RT3S3ローター)にて3000rpmで90分間、4℃にて遠心した。上清をそれぞれ新しいチューブに移し、5mLのイソプロパノールを加え、緩やかに混和し、室温で10分間静置後、冷却遠心機(日立Himac CF15R、w/T11A21ローター)にて11000rpmで10分間遠心し、上清を除いた後、10mLの75%エタノール溶液を加えて混和し、さらに冷却遠心機(日立Himac CF15R、w/T11A21ローター)にて11000rpmで5分間遠心して沈殿を得た。該沈殿をそれぞれ適当量のRNase−free waterにて溶解し、全RNAサンプルとした。全RNAサンプルは吸光光度計にて濃度測定および純度検定を行い、A260/A280の比が1.7以上になっていることを確認した。A260/A280の比が1.7未満の場合には、さらにRNeasy kit(キアゲン社製)にて精製を行った。
上述のようにして得た全RNAを、Micro Poly(A)Pure kit(Ambion社製)を用い、キット添付のプロトコールに従って、それぞれポリA(+)RNAを精製した。
(3)cDNAの合成
上記(2)で得られたポリA(+)RNAまたは市販のmRNAより、SuperScript First−strand Synthesis System for RT−PCR(インビトロジェン社製)を用い、キット添付のマニュアルに従ってcDNAを合成した。
ヒト正常組織由来のmRNAについては、血液、大腸、心臓、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、膵臓、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気道、子宮および胎盤由来のmRNAをBDクロンテック社より購入して使用した。また、ヒト臨床癌摘出組織として、腎明細胞癌(中分化癌、高分化癌)[35〜71才の男性患者9症例と44〜63才の女性患者6症例からの混合物]、肝細胞癌(低分化癌)[69才男性患者1症例と67才女性患者1症例からの混合物]、肺扁平上皮癌[46〜70才の男性患者5症例からの混合物]、胃腺癌(低分化癌、中分化癌、高分化癌)[46〜81才の男性患者7症例と47〜58才の女性患者2症例からの混合物]、子宮筋腫[29〜52才の女性患者5症例からの混合物]、浸潤性乳管癌(中分化癌)[45〜60才の女性患者6症例からの混合物]および食道扁平上皮癌(低分化癌、中分化癌、高分化癌)[56〜78才の男性患者4症例と71才の女性患者1症例からの混合物]由来のmRNAをBioChain社より購入して実験に用いた。
mRNA1μgに対して10mmol/L dNTPs混合溶液1μL、0.5μg/μLOligo(dT)12−18プライマー溶液1μLを添加し、DEPC水で全量を7μLにした反応液を65℃で5分間加熱後、氷上で急冷し、1分間以上静置して変性させた。該mRNA溶液に10×RTbuffer2μL、25μmol/L塩化マグネシウム4μL、0.1mol/L DTT2μL、RNaseOUT1μLを添加して全量を19μLとし、42℃で2分間保温した。さらにSuperscriptII RTase(50U)1μLを加えて42℃で50分間の逆転写反応を行い、70℃で15分間加熱して酵素を失活させた。この後、RNaseH1μL添加して37℃で20分間の反応後、DEPC水を加えて全量を1mLとした。リアルタイムPCRの反応には、該溶液を5倍希釈して用いた。
(4)リアルタイムPCR法(Q−PCR法)による細胞株、ゼノグラフト、正常組織におけるPERP遺伝子のmRNA量の定量
上記(3)で調製したcDNA 10μL(ポリA(+)RNA量として2ngに相当)、配列番号5で示される配列からなるフォワードプライマーおよび配列番号6で示される配列からなるリバースプライマー(いずれもプロフリゴ社製)をそれぞれ終濃度が300nmol/Lになるように加え、さらに10×R−PCRbuffer Mg2+free(タカラバイオ社製)2μL、250mmol/L Mg2+溶液0.2μL、10mmol/L dNTPs0.6μL、ExTaqR−PCR(タカラバイオ社製)0.2μL、SYBR GreenI(BMA社製、製品原液を2500倍希釈したもの)1μLに、DEPC水を加えて全量を20μLとした溶液を、94℃で5分間加熱後、94℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で30秒間からなる反応を45サイクルで反応させた。増幅産物にインターカレートしたSYBR GreenIが発する蛍光強度をPRISM7700(PEアプライドバイオシステムズ社製)を用いて測定し、同機器付属のソフトウエアSequence detector ver.1.7aによりデータ解析を行った。
上記反応によって得られたシグナルが目的の増幅断片であるかどうかは、反応終了後の液をアガロースゲル電気泳動に供し、主な増幅断片のサイズによって判断した。尚、上記反応は、96ウェルのPCRプレートを用いて行った。PCRプレートの各ウェルには、検体として上記cDNAの他、陰性コントロール(滅菌水)、Qiagen Plasmid Prep Midi kit(キアゲン社製)で精製したPERP遺伝子のcDNAを含むプラスミドPLACE1001407(GenBank アクセッション番号;AK075082)を用いて作製した検量線作製用標品(10〜10コピー/ウェル)を配置し、上記と同様にしてPCR反応を行った。
このようにして得られた各試料におけるPERP遺伝子のmRNA発現量の結果を第1表および第2表に示した。
Figure 2005121338
Figure 2005121338
第1表には、各種癌細胞株とゼノグラフトにおけるPERP遺伝子のmRNAの発現量を、第2表には、臨床癌摘出組織と正常組織におけるPERP遺伝子のmRNAの発現量をそれぞれ示した。表中の分子数は、2ngのポリA(+)RNAあたりのPERP発現分子数の値である。表中の*印は、PERP発現分子数の測定値が検出限界以下だったことを示す。表中の最も右のカラムには、正常組織で最も発現が高いTrachea(気道)でのPERP遺伝子発現量を1とした場合の、各組織におけるPERP遺伝子のmRNAの発現量をそれぞれ示した。
PERP遺伝子は、ヒト正常組織では発現が低く、膵癌細胞株のASPC−1株およびASPC−1株を移植したゼノグラフト由来の腫瘍塊、2種の膵臓癌腫瘍組織由来細胞(PC02およびPC03)を移植したゼノグラフト由来の腫瘍塊、大腸癌細胞株のcolo205株、腎明細胞癌ならびに食道扁平上皮癌において、ヒト正常組織の中では最も発現が高いTrachea(気道)に比較して、発現が3倍以上亢進していることが明らかとなった。
癌手術摘出標本におけるPERP遺伝子の発現解析
LightCycler−FastStart DNA Master SYBR GreenIキット(ロシュダイアグノスティック社製)を使用し、LightCycler(ロシュダイアグノスティック社製)を用いて、癌手術摘出標本におけるPERP遺伝子のmRNA量の定量を行った。
大腸癌患者6症例(原発巣5症例、転移巣3症例)ならびに膵臓癌患者16症例から摘出された腫瘍組織の癌部ならびに隣接する非癌部から、実施例1の(2)に示した方法により抽出、精製したポリA(+)RNAを鋳型として、実施例1の(3)で示した方法によりcDNAを作製した。このcDNA溶液1μL(全RNAとして50ngに相当する量)、配列番号5で示される配列からなるフォワードプライマーおよび配列番号6で示される配列からなるリバースプライマー(いずれもプロリゴ社製、5μmol/L)をそれぞれ0.5μL、25mmol/L塩化マグネシウム溶液1.2μL、0.9μLまたは0.675μL、LightCycler−FastStart DNA Master SYBR GreenI(耐熱性DNAポリメラーゼおよびSYBR GreenI)1μLを滅菌脱イオン水に加えて全量を10μLとした。PCRはLightCycler(ロシュダイアグノスティック社製)を用い、95℃で10分間加熱後、94℃で10秒間、65℃または60℃で30秒間、72℃で20秒間からなる反応を45サイクルでPCR反応を行った。更に、65℃で15秒保温後、毎秒0.1℃の割合で95℃まで上昇させる反応を行うことにより産物の融解曲線解析を実施した。反応終了後、上記3点の塩化マグネシウム濃度および2点のアニーリング温度において、該機器付属のソフトウェアによりデータ解析を行った。
実施例1の(3)で作製したcDNAおよび検量線作製用標品としてQiagen Plasmid Prep Midi kit(キアゲン社製)で精製したPERP遺伝子のcDNAをコードするプラスミドPLACE1001407(GenBankアクセッション番号;AK075082)を一反応あたりそれぞれ10、10、10、10コピーおよび陰性コントロールとして滅菌脱イオン水を配置し、上記の条件でLightCycler(ロシュダイアグノスティック社製)を用いてPCRを行った。
大腸癌臨床試料6症例8対(原発巣5対、転移巣3対)、膵臓癌臨床試料16症例16対の癌部および隣接非癌部におけるPERP遺伝子のmRNAの発現量を第3表に示した。
Figure 2005121338
第3表には大腸癌患者および膵臓癌患者の手術摘出標本における、癌部と隣接する非癌部でのPERP遺伝子のmRNAの発現量をそれぞれ示した。表中の分子数のカラムは、それぞれの手術摘出標本における癌部由来の全RNA50ngに占めるPERP発現分子数および同一患者、同一標本の隣接非癌部由来の全RNA50ngに占めるPERP発現分子数をそれぞれ表す。表中の*印は、PERP発現分子数の測定値が検出限界以下であったことを示す。表中の癌部/非癌部のカラムは、隣接する非癌部に対する癌部でのPERP遺伝子発現量の比を示す。
大腸癌原発巣の80%(5症例中4症例;C1虫垂、C2直腸、C4直腸、C5上行結腸)、大腸癌転移巣の33%(3症例中1症例;C6肝転移)、膵臓癌臨床試料の16症例中9症例(P1、P2、P3、P5、P8、P9、P11、P12、P14)では、癌部において隣接する非癌部と比較して、PERP遺伝子の発現が3倍以上亢進していることが明らかとなった。
Cancer Profiling Array(CLONTECH社)を用いたPERP遺伝子の発現解析
Cancer Profiling Array(CLONTECH社製、Cat.7841−1,Lot.2070686;各種癌組織と対照としてその近傍の正常組織から得られたcDNAがドットブロッティングされたナイロンメンブレン)を用いて各種癌組織と近傍の正常組織におけるPERP遺伝子の発現を、以下のようにして解析した。
PERP遺伝子のプローブ作製はDIG High Prime DNAラベリングキット(ロシュ・ダイアグノスティックス社)の使用説明書に従い、以下のように行った。実施例4の(1)に記載のPERP発現用プラスミドpcPERPmHの1μgをEcoRIおよびHindIIIで切断してアガロースゲル電気泳動で分離し、得られた0.6kbpの大きさの断片を切り出し、Gene Clean Spin Kit(BIO101社製)で精製し、15μLのDNA溶液を得た。この10μLに6μLの滅菌水を加え、95℃で10分間処理し、氷中にて急冷させ、ここに4μLのDIG−High Primeを加え、37℃で20時間反応させた。ここに2μLの0.2mol/L EDTAを加え、さらに65℃で10分間加熱することにより、反応を停止させた。収量を定法に従って検定し、0.24ng/μLのプローブを22μL得た。
ハイブリダイゼーションおよび検出は使用説明書に従い、以下のように行った。1.5mgのsheared salmon testis DNA(以下、stDNAと表記する)を95℃で5分間処理し、氷中にて急冷したものを68℃に予熱した15mLのExpressHyb Hybridization Solution(CLONTECH社製)に加え、ハイブリダイゼーション溶液Aを調製した。前述のCancer Profiling Arrayを蒸留水に浸し、水気を完全に切った後、プラスチックバッグに入れ、10mLのハイブリダイゼーション溶液Aを加え、68℃で30分間保温しプレハイブリダイゼーションを行った。5ngのプローブに150μgのstDNAを加え、95℃で5分間処理し、氷中にて急冷したものを5mLのハイブリダイゼーション溶液Aに加えたものをプローブ液とした。プレハイブリダイゼーションが終了したCancer Profiling Arrayを新しいプラスチックバッグに移し、プローブ液を加え、68℃で16時間反応させた。その後、Cancer Profiling Arrayを200mLの洗浄溶液1(2×SSC,0.5%SDS)で68℃にて30分間洗浄を4回繰り返し、次に200mLの洗浄溶液2(0.2×SSC,0.5%SDS)で68℃にて30分間、1回のみ洗浄し、さらに200mLの2×SSCで室温にて5分間洗浄した。以下の検出反応は室温にて行った。洗浄したCancer Profiling Arrayを100mLの洗浄溶液3(0.15mol/L塩化ナトリウムおよび0.3%Tween20を含む0.1mol/Lマレイン酸緩衝液pH7.5)で2分間洗浄した後、10mLのブロッキング溶液(0.15mol/L塩化ナトリウムおよび1倍濃度のBlocking Reagentを含む0.1mol/Lマレイン酸緩衝液pH 7.5)で30分間ブロッキングを行った。その後、抗DIGアルカリフォスファターゼコンジュゲート抗体1μLを5mLのブロッキング溶液に加えた抗体溶液で30分間反応させた。これを100mLの洗浄溶液3での15分間の洗浄を2回繰り返し、20mLの検出溶液(0.1mol/L塩化ナトリウムを含む0.1mol/Lトリス塩酸緩衝液pH9.5)で平衡化した後、CDP−Star 25μLを加えた検出溶液に5分間浸した。検出溶液を除去後、X線フィルムで検出した。
第1図には、乳癌、子宮癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、肺癌、直腸癌、甲状腺癌における各症例の癌組織(図中、Tで示す)および近傍の非癌部(図中、Nで示す)でのPERP遺伝子のmRNAの発現を示した。多くの症例において、近傍の正常組織と比較して、癌部においてPERPの発現亢進が認められた。
抗PERP遺伝子産物モノクローナル抗体の作製
(1)PERP発現細胞の造成
ヒトPERP遺伝子を含むプラスミドHEMBA1006335(GenBankアクセッション番号;AK074585、1ng/μL)を1μL、10×ExTaq緩衝液2μL、2mmol/L dNTPを2μL、10μmol/Lの配列番号7および配列番号8に示される塩基配列からなるプライマーをそれぞれ2μL、ExTaq polymerase(宝酒造社製)0.5μL、滅菌水10.5μLからなる溶液を、94℃で5分間加熱後、94℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で1分間からなる反応を25サイクル、72℃で7分間反応させた。反応産物をアガロースゲル電気泳動で分離し、約0.6kbの増幅断片をGENECLEAN Spin Kit(BIO101社製)を用いて抽出した。該断片と、pCRII−TOPOベクターとをTOPO TA cloning Kit(Invitrogen社製)を用いて連結した後、コーエンらの方法[Proc.Nalt.Acad.Sci.,USA,69,2110(1972)]により大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出し、ヒトPERP遺伝子を含むプラスミドpCRII−PERPを取得した。
PERP断片の3’側にmyc−Hisタグ配列を付加するためのクローニングベクターとしてpBSmHを以下のようにして作製した。
pcDNA3.1(−)/myc−HisC(Invitrogen社製]をPmeIで消化し、上記と同様にして約170bpのmyc−Hisタグをコードする遺伝子を含むDNA断片を取得した。該断片と、XbaIおよびKpnIで消化後、T4 DNA polymerase(宝酒造社製)で末端の平滑化を行ったpBluescriptII SK(−)(ストラタジーン社製)とをDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により、連結した後、大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出し、プラスミドpBSmHを取得した。pBSmHは、制限酵素XbaIで該プラスミドを消化し、約2.9kbpおよび約160bpの2本の断片を生じる。
上記のpCRII−PERPをEcoRIとHindIIIで消化し、PERP遺伝子を含む断片を取得した。該断片と、EcoRIとHindIIIで消化したpBSmHとをDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により連結した後、大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出し、プラスミドpBS−PERPmHを取得した。
pBS−PERPmHをEcoRIとXbaIで消化し、PERP遺伝子およびmyc−Hisタグをコードする遺伝子を含む断片を取得した。該断片と、EcoRIとXbaIで消化したpcDNA3.1+(Invitrogen社製)とをDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により連結した後、大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出し、ヒトPERPの発現プラスミドpcPERPmHを取得した。
pcPERPmHは、エレクトロポレーション法[Cytotechnology,,133(1990)]により以下のようにしてCHO/DG44細胞[Somatic Cell and Molecular Genetics,12(6),555(1986)]へ導入した。
細胞は、10%ウシ胎児血清(ライフテクノロジー社製)、1×HT supplement(ライフテクノロジー社製)、1% Penicillin−streptomycin(ライフテクノロジー社製)を添加したIMDM培地(ライフテクノロジー社製)(以下、A3培地と表記する)で培養したものを用いた。CHO/DG44細胞をK−PBS緩衝液[137nmol/L塩化カリウム、2.7nmol/L塩化ナトリウム、8.1mmol/Lリン酸一水素二ナトリウム、1.5nmol/Lリン酸二水素一ナトリウム、4mmol/L塩化マグネシウム緩衝液]に懸濁して8×10細胞/mLの濃度に調製し、該細胞懸濁液200μLを上記発現プラスミドpcPERPmH 4μgと混和した。該混和液をキュベット(電極間距離2mm)に移し、GenePulserII(バイオラッド社製)装置を用いてパルス電圧0.35kV、電気容量250μFの条件で遺伝子導入を行った。キュベットを氷上で静置後、キュベット中の細胞懸濁液をA3培地中に懸濁し、37℃、5%COインキュベーター中で培養した。1日間培養後、0.5mg/mL G418(カルビオケム社製)を添加したA3培地に培地交換し、培養を続けた。途中希釈しながら継代を続け、遺伝子導入より約2週間後に、G418に耐性を持つ形質転換細胞株を取得した。
得られた形質転換細胞を1.25細胞/mLとなるよう0.5mg/mL G418を添加したA3培地で希釈後、96ウェルプレートに200μLずつ分注して、限界希釈法によるクローニングを行った。
上記で取得された形質転換細胞1〜5×10個を15μLの1×PAGE bufferに溶解して95℃で5分間処理し、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動〔Antibodies−A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory,1988)〕にて分画後、PVDF膜にブロッティングした。BSA−PBSでブロッキング後、抗mycモノクローナル抗体9E10(MBL社製)を室温で1時間反応させた。Tween−PBSで洗浄した後、第二抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(ダコ社製)を室温で1時間反応させた。Tween−PBSでよく洗浄した後、検出はECL−detection kit(アマシャム社製)を用いて行い、X線フィルム上に感光させた。
第2図に結果を示した。分子量25kDa付近にシグナルが認められた株をPERP発現株(以下、PERP/CHO細胞と表記する)とした。
(2)抗PERPモノクローナル抗体の作製−1
(2)−1 免疫原の調製
上記(1)で造成したPERP/CHO細胞を10%牛胎児血清入りIscove’s Modified Dulbecco’s培地(インビトロジェン社製)で2〜3日培養後、1匹あたりの細胞数が6×10個から1×10個の細胞数となるようにPBSに懸濁した。
(2)−2 動物の免疫と抗体産生細胞の調製
上記(2)−1で調製した細胞を、百日咳ワクチン(千葉県血清研究所製)1×10細胞とともに6週令雌SDラット3匹に投与した。投与1週間後より、毎週1回、計5回投与した。該ラットの眼底より部分採血し、以下に示すサンドイッチELISAにより血中抗体価を測定し、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫3日後に脾臓を摘出した。
脾臓をMEM(Minimum Essential Medium)培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(250×g、5分間)した。得られた沈殿画分にトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.6)を添加し、1〜2分間処理することにより赤血球を除去した。得られた沈殿画分(細胞画分)をMEM培地で3回洗浄し、細胞融合に用いた。
(2)−3 酵素免疫測定法(サンドイッチELISA)
96ウェルのEIA用プレート(グライナー社製)に、MYC 1−9E10.2細胞株(ATCC CRL−1729)が産生する抗c−Myc抗体をダルベッコPBSで10μg/mLに調製し、該溶液を50μL/ウェルで分注し、4℃で一晩放置して吸着させた。該プレートをPBSで洗浄後、BSA−PBSを100μL/ウェルで添加し、室温で1時間放置し、残存する活性基をブロックし、反応プレートとした。
PERP/CHO細胞またはCHO/DG44細胞の各5×10細胞あたりに1mlの細胞溶解用緩衝液(1%TritonX、150mmol/L塩化ナトリウム、2mmol/L塩化マグネシウム、2mmol/L塩化カルシウム、0.1%アザイド、50mmol/Lヨードアセトアミド、50mmol/L N−エチルマレイミド、1mg/mlロイペプチン、0.1mmol/L DTTを含む50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液pH7.2)を添加し、4℃で2時間放置後、遠心分離して得られた上清を、BSA−PBSを除去した反応プレートに50μL/ウェルで分注し、室温で2時間放置した。該プレートをPBSで洗浄後、被免疫ラット抗血清またはハイブリドーマ細胞の培養上清を50μL/ウェルで分注し、室温で2時間放置した。該プレートをTween−PBSで洗浄後、2次抗体としてペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットイムノグロブリン(カルタグ社製)を50μL/ウェルで加えて室温で1時間放置した。該プレートをTween−PBSで洗浄後、ABTS基質液[2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)アンモニウムの0.55gを1Lの0.1mol/Lクエン酸緩衝液(pH4.2)に溶解し、使用直前に過酸化水素水を1μL/mLで添加した溶液]を50μL/ウェルで加えて発色させ、415nmの吸光度(以下、OD415などと表記する)をプレートリーダー(Emax;モルキュラーデバイス社製)を用いて測定した。
(2)−4 マウス骨髄腫細胞の調製
8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3X63Ag8U.1:P3−U1[ATCC CRL−1597:European Journal of Immunology,,511,(1976)]を正常培地(10%ウシ胎児血清添加RPMI培地)で培養し、細胞融合時に2×10個以上の細胞を確保し、細胞融合に供した。
(2)−5 ハイブリドーマの作製
上記(2)−2で得られたラット脾細胞と(2)−4で得られた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分離(250×g、5分間)した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングライコール−1000(PEG−1000)2g、MEM培地2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLの混液0.2〜1mL/10マウス脾細胞を加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mLになるようにした。遠心分離(900rpm、5分間)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆるやかに細胞をHAT培地100mL中に懸濁した。
この懸濁液を96ウェル培養用プレートに100μL/ウェルずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で10〜14日間培養した。培養後、培養上清を(2)−3に記載したサンドイッチELISA法で調べ、PERP/CHO細胞に反応してCHO/DG44細胞に反応しないウェルを選び、そこに含まれる細胞から限界希釈法によるクローニングを2回繰り返し、抗PERP抗体産生ハイブリドーマ株KM3314を確立した。
第3図には、(2)−3記載のサンドイッチELISA法を用いて、KM3314のPERP/CHO細胞およびCHO/DG44細胞に対する反応性を示した。KM3314はPERP/CHO細胞に特異的に反応した。
(2)−6 モノクローナル抗体の精製
プリスタン処理した8週令ヌード雌マウス(BALB/c)に(2)−5で得られたハイブリドーマ株を5〜20×10細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。10〜21日後、ハイブリドーマが腹水癌化することにより腹水のたまったマウスから、腹水を採取(1〜8mL/匹)した。
該腹水を遠心分離(1200×g、5分間)し固形分を除去した。精製IgGモノクローナル抗体は、カプリル酸沈殿法〔Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)〕により精製することにより取得した。サブクラスタイピングキットを用いたELISA法により、精製した抗PERPマウス抗体KM3314のサブクラスを決定したところ、抗PERPマウス抗体KM3314のサブクラスはIgG2aであった。
(2)−7 モノクローナル抗体の反応性の検討−ウェスタンブロッティング
PERP/CHO細胞およびCHO/DG44細胞、大腸癌細胞株Colo205(ATCC CCL−222)および肺癌細胞株PC1(免疫生物研究所)にSDS−PAGE用サンプルバッファー{2%SDSおよび10%グリセロールを含む62mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(PH6.8)}を細胞1×10個あたり100μL添加して、100℃加熱および超音波破砕にて、可溶化画分を調製した。各1×10個細胞相当量をSDS−PAGEを行い、泳動後のゲルをPVDF膜にブロッティングした。該膜をBSA−PBSでブロッキング後、ハイブリドーマKM3314培養上清および陰性対照抗体KM1762(抗アベルメクチン抗体)を5μg/mLで含むBSA−PBSを室温で2時間反応させた。
反応後、該膜をTween−PBSで洗浄した後、ペルオキシターゼ標識ウサギ抗ラットイムノグロブリン(ダコ社製)を室温で1時間反応させた。反応後、該膜をTween−PBSで洗浄し、ECLTMウェスタンブロッティングディテクションリーアジェンツ(アマシャムファルマシア社製)を用いて、抗PERP抗体が結合したバンドを検出した。
結果を第4図に示した。PERP/CHO細胞および大腸癌細胞株Colo205で25kDa付近にバンドが検出され、抗PERPマウス抗体KM3314はウエスタンブロットによるPERPの検出が可能な抗体であることが示された。PERP/CHO細胞で検出されるバンドの分子量が、大腸癌細胞株Colo205で検出されるバンドの分子量と比較して大きくなっているのは、PERP/CHO細胞では、myc−Hisタグ配列を付加して発現しているためであると考えられた。
(3) 抗PERPモノクローナル抗体の作製−2
(3)−1 免疫原の調製
上記(1)で造成したPERP発現株を10%牛胎児血清入りIscove’s Modified Dulbecco’s培地(インビトロジェン社製)で2〜3日培養後、1匹あたりの細胞数が6×10個から1×10個の細胞数となるようにPBSに懸濁した。
(3)−2 動物の免疫と抗体産生細胞の調製
上記(3)−1で調製した細胞を、百日咳ワクチン(千葉県血清研究所製)1×10細胞とともに6週令雌Balb/Cマウス3匹に投与した。投与1週間後より、毎週1回、計5回投与した。該マウスの眼底より部分採血し、その血中抗体価を以下に示す細胞を用いた蛍光抗体染色法を行い、FMAT8100HTSシステム(アプライドバイオシステム社製)およびフローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で測定し、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫3日後に脾臓を摘出した。
脾臓をMEM(Minimum Essential Medium)培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(250×g、5分間)した。得られた沈殿画分にトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.6)を添加し、1〜2分間処理することにより赤血球を除去した。得られた沈殿画分(細胞画分)をMEM培地で3回洗浄し、細胞融合に用いた。
(3)−3 細胞を用いた蛍光抗体染色法(FMAT:Fluorometric Microvolume Assay Technology)
アッセイ用の細胞は(1)で造成したPERP/CHO細胞とCHO/DG44細胞を用いた。10%牛胎児血清入りIscove’s Modified Dulbecco’s培地[インビトロジェン社]で2〜3日培養し、Tripsin−EDTA溶液(インビトロジェン社製)で剥離した細胞を同一の培地に懸濁し、FMAT用黒色96ウエルプレートに7×10個/100μL培地/ウェルで播種し、1晩培養した。該プレートに一次抗体として被免疫マウス抗血清あるいはハイブリドーマ培養上清を5μL/ウェルで分注し、二次抗体としてALEXA647標識抗マウスイムノグロブリンG(H+L)(モレキュラープローブ社製)を50μL/ウェルで分注し、遮光下で4時間放置した。レーザー光633nmHe/Neで励起される650nm〜685nmの波長をFMAT8100HTSシステム(アプライドバイオシステム社製)で測定した。
(3)−4 細胞を用いた蛍光抗体染色法(フローサイトメトリー)
アッセイ用の細胞は(1)で造成したPERP/CHO細胞とCHO/DG44細胞を用いた。10%牛胎児血清入りIscove’s Modified Dulbecco’s培地(インビトロジェン社製)で2〜3日培養し、0.02%EDTA溶液(ナカライテスク社製)で剥離した細胞をPBSで洗浄し、抗体の非特異的な吸着を避けるためにBSA−PBSを用いて、氷温中で20分ブロッキングした。1×10個/100μL/BSA−PBSとなるように96ウェルU字プレートに分注し、遠心分離(1800rpm、2分間)した後、上清を除いて一次抗体として被免疫マウス抗血清、ハイブリドーマ培養上清を50μL/ウェル分注し、氷温中で30分間反応させた。PBSを用いて遠心分離法で3回洗浄し、二次抗体としてALEXA488標識抗マウスイムノグロブリンG(H+L)(モレキュラープローブ社製)を20μL/ウェル加えて氷温で遮光下、30分間反応させた。再びPBSを用いて洗浄し、PBSに懸濁してレーザー光488nmArで励起される510〜530nmの波長をフローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で測定した。
(3)−5 マウス骨髄腫細胞の調製
8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3X63Ag8U.1:P3−U1[ATCC CRL−1597:European Journal of Immunology,,511(1976)]を正常培地(10%ウシ胎児血清添加RPMI培地)で培養し、細胞融合時に2×10個以上の細胞を確保し、細胞融合に供した。
(3)−6 ハイブリドーマの作製
(3)−2で得られたマウス脾細胞と(3)−5で得られた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分離(250×g、5分間)した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングライコール−1000(PEG−1000)2g、MEM培地2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLの混液0.2〜1mL/10マウス脾細胞を加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mLになるようにした。遠心分離(900rpm、5分間)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆるやかに細胞をHAT培地100mL中に懸濁した。
この懸濁液を96ウェル培養用プレートに200μL/ウェルずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で10〜14日間培養した。培養後、培養上清を(3)−3および(3)−4に記載した蛍光抗体染色で調べ、PERP/CHO細胞に反応してCHO/DG44細胞に反応しないウェルを選び、そこに含まれる細胞から限界希釈法によるクローニングを2回繰り返し、抗PERP抗体産生ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)を確立した。
第5図には、ハイブリドーマKM3411の培養上清に含まれるモノクローナル抗体のFMAT法におけるPERP/CHO細胞およびCHO/DG44細胞に対する反応性を示した。ハイブリドーマKM3411が生産するモノクローナル抗体KM3411は、PERP/CHO細胞にのみ特異的に反応する。
(3)−7 モノクローナル抗体の精製
プリスタン処理した8週令ヌード雌マウス(BALB/c)に(2)−5で得られたハイブリドーマ株を5〜20×10細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。10〜21日後、ハイブリドーマが腹水癌化することにより腹水のたまったマウスから、腹水を採取(1〜8mL/匹)した。
該腹水を遠心分離(1200×g、5分間)し固形分を除去した。精製IgGモノクローナル抗体は、カプリル酸沈殿法[Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]により精製することにより取得した。サブクラスタイピングキットを用いたELISA法により、精製した抗PERPマウス抗体KM3411のサブクラスを決定したところ、抗PERPマウス抗体KM3411のサブクラスはIgG1であった。
(3)−8 モノクローナル抗体の反応性の検討−蛍光細胞染色(フローサイトメトリー)
上記(3)−4に示した方法に従って行なった。結果を図6に示す。KM3411はPERP/CHO細胞および大腸癌細胞株Colo205に反応して、CHO/DG44細胞およびPERPmRNAが発現してないPC1には反応しなかった。
抗PERPマウス抗体KM3411を用いた免疫学的手法によるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの検出
(1) KM3411を用いた免疫沈降反応によるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの検出
96ウェルELISAプレートに抗マウスイムノグロブリン(ダコ社製)をプレートコートし、抗PERPマウス抗体KM3411を含む、ハイブリドーマ細胞の培養上清、または陰性対照抗体KM511(抗顆粒球コロニー刺激因子誘導体抗体)を含む、ハイブリドーマ細胞の培養上清を4℃で1晩にわたって反応させた。反応後、PBSで洗浄し、非特異吸着を避けるためBSA−PBSでブロッキングした。PERP発現細胞またはCHO/DG44細胞の各5×10細胞あたりに1mLの細胞溶解用緩衝液(1%TritonX、150mmol/L塩化ナトリウム、2mmol/L塩化マグネシウム、2mmoL/L塩化カルシウム、0.1%アザイド、50mmol/Lヨードアセトアミド、50mmol/L N−エチルマレイミド、1mg/mLロイペプチン、0.1mmol/L DTTを含む50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液pH7.2)を添加し、4℃で2時間放置後、遠心分離して得られた上清を、BSA−PBSを捨てた該プレートに100μL/ウェルで分注し、4℃で一晩放置した。Tween−PBSで洗浄後、SDS−PAGE用サンプルバッファー{2%SDSおよび10%グリセロールを含む62mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(PH6.8)}にて溶解したものをサンプルとして、上記(2)−7と同様にウェスタンブロッティングを行った。このとき、一次抗体として上記(2)−5で作製した抗PERPマウス抗体KM3314および陰性対照抗体KM1762(抗アベルメクチン抗体)を用いた。
結果を第7図に示した。抗PERPマウス抗体KM3411で免疫沈降を行い、抗PERPマウス抗体KM3314で検出を行ったPERP/CHO細胞にのみ、25kDa付近にバンドが検出された。抗PERPマウス抗体KM3411は免疫沈降反応によるPERPの検出が可能な抗体であることが示された。
(2)抗PERPマウス抗体KM3411を用いた蛍光抗体染色法(フローサイトメトリー)によるPERPの検出
(2)−1 各種細胞株
図8中に示した各種癌細胞株を0.02%EDTA溶液(ナカライテスク社製)で剥離し、PBSで洗浄し、抗体の非特異的な吸着を避けるためにヒト免疫グロブリン(ウェルファイド社製)を含む1%BSA−PBSを用いて、氷温中で20分間ブロッキングした。1×10個/100μL/BSA−PBSとなるように96ウェルU字プレートに分注し、遠心分離(1800rpm、2分間)した後、上清を除いて、抗PERPマウス抗体KM3411培養上清および陰性対照抗体KM511(抗顆粒球コロニー刺激因子誘導体抗体)培養上清を50μL/ウェル分注し、氷温中で30分間反応させた。PBSを用いて遠心分離法で3回洗浄し、二次抗体としてALEXA488標識抗マウスイムノグロブリンG(H+L)(モレキュラープローブ社製)を20μL/ウェル加えて氷温中、遮光下で30分間反応させた。再びPBSを用いて遠心分離法で3回洗浄し、PBSに懸濁してレーザー光 488nmArで励起される510〜530nmの波長をフローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で測定した。
結果を図8に示した。KM3411は大腸癌5/5株、膵臓癌2/3株、肺癌4/5株、乳癌2/2株、子宮癌1/1株の各種癌細胞株と反応した。
(2)−2 ヒト末梢血(単核球、顆粒球)
ヒト末梢血よりモノ・ポリ分離用溶液(大日本製薬社製)を用いた遠心分離法で、単核球であるリンパ球および単球画分または顆粒球画分を分離した。10%牛胎児血清入りRPMI1640培地(インビトロジェン社製)で洗浄後、96ウェルU字プレートに1×10個/100μLになるように分注し、遠心分離(1800rpm、2分間)後、上清を除いて一次抗体としてビオチン標識抗PERPマウス抗体KM3411および、陰性対照抗体ビオチン標識KM511(抗顆粒球コロニー刺激因子誘導体抗体)を、ヒト免疫グロブリン(ウェルファイド社製)/BSA−PBSとともに氷温中で1時間反応させた。該プレートをPBSで3回洗浄し、二次抗体としてレッド670標識抗ストレプトアビジン(コールター社製)を50μL/ウェルを加え更に、FITC標識抗ヒトCD45抗体(ベックマンコールター社製)10μL/ウェル加えて氷温中、遮光下で1時間させた。該プレートをPBSで3回洗浄し、PBSに懸濁してレーザー光488nmArで励起される505〜545nmまたは660〜700nmの波長をフローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で測定した。
結果を第9図に示した。縦軸の蛍光強度はFITC標識抗ヒトCD45抗体の、横軸の蛍光強度はビオチン標識抗PERPマウス抗体KM3411あるいは陰性対照抗体ビオチン標識KM511の反応性をそれぞれ示している。ビオチン標識抗PERPマウス抗体KM3411はヒト末梢血中の単核球、および顆粒球と反応しなかった。
抗PERPマウス抗体KM3411と市販の抗PERP抗体(ポリクローナル抗体)との反応性比較
抗PERPマウス抗体KM3411と抗PERPポリクローナル抗体(ProSci社2451、Novus Biologicals社 NB500−231)のPERP発現細胞に対する反応性をフローサイトメトリーで比較した。
細胞はPERP/CHO細胞とCHO/DG44細胞を用いた。10%牛胎児血清入りIscove’s Modified Dulbecco’s 培地(インビトロジェン社製)で2〜3日培養し、0.02%EDTA溶液(ナカライテスク社製)で剥離した細胞をPBSで洗浄し、抗体の非特異的な吸着を避けるためにBSA−PBSを用いて、氷温中で20分間ブロッキングした。1×10個/100μL/BSA−PBSとなるように96ウェルU字プレートに分注し、遠心分離(1800rpm、2分間)した後、上清を除いて一次抗体としてモノクローナル抗体の陰性対照抗体としてKM511(抗GCSF誘導体抗体)、ポリクローナル抗体の陰性対照抗体として抗ラットアポBポリクローナル抗体(ラットアポBを免疫原として作製したウサギ抗血清由来IgG画分ポリクローナル抗体)、抗PERPマウス抗体KM3411および2種類の市販抗PERPポリクローナル抗体(ProSci社製、製品番号2451、Novus Biologicals社製、製品番号NB500−231)を各10μg/mlを50μL/ウェル分注し、氷温中で60分間反応させた。PBSで3回洗浄し、二次抗体としてFITC標識抗マウスイムノグロブリンG(H+L)(カルタグ社製)またはFITC標識抗ウサギイムノグロブリンG(H+L)(カペル社製)を20μL/ウェルで加えて氷温中、遮光下で30分間反応させた。再びPBSを用いて遠心分離法で3回洗浄し、PBSに懸濁してレーザー光488nmArで励起される510〜530nmの波長をフローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で測定した。
結果を第10図に示した。横軸には、蛍光強度を示した。抗PERPマウス抗体KM3411のみPERP/CHO細胞とCHO/DG44細胞で蛍光強度が異なることから、抗PERPマウス抗体KM3411のみが発現したPERPに特異的に反応していることが示された。
抗PERPキメラ抗体の作製
(1)抗PERPマウス抗体の可変領域をコードするcDNAの単離、解析
(1)−1 抗PERPマウス抗体産生ハイブリドーマ細胞からのmRNAの調製
実施例4に記載のハイブリドーマKM3411より、mRNAの調製キットであるFast Track 2.0 Kit(Invitrogen社製)を用いて、添付の使用説明書に従い、ハイブリドーマ細胞4×10細胞より約39μgのmRNAを調製した。
(1)−2 抗PERPマウス抗体KM3411のH鎖およびL鎖可変領域の遺伝子クローニング
上記(1)−1で取得した抗PERPマウス抗体KM3411のmRNAの1μgから、BD SMARTTM RACE cDNA Amplification Kit(BD Biosciences社製)を用いて、添付の使用説明書に従い、5’側にキット添付のBD SMART IITM A Oligonucleotide配列を有するcDNAを取得した。そのcDNAを鋳型として、キット添付のユニバーサルプライマーAmixと、配列番号9で示したマウスIg(γ)特異的プライマーを用いてPCR反応を行いVHのcDNA断片を増幅した。またIg(γ)特異的プライマーの代わりに配列番号10で示したマウスIg(κ)特異的プライマーを用いてPCRを行いVLのcDNA断片を増幅した。
PCRは、94℃で5分間加熱後、94℃で15秒間、72℃で3分間からなる反応サイクルを5回、94℃で15秒間、70℃で30秒間、72℃で3分間からなる反応サイクルを5回、94℃で15秒間、68℃で30秒間、72℃で3分間からなる反応サイクルを30回それぞれ行った後、72℃で10分間反応させた。PCRはGeneAmp PCR system9700(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて行った。得られたPCR産物はH鎖、L鎖共に約500bpのサイズであった。
得られたPCR産物の塩基配列を決定するため、pBluescriptII SK(−)ベクター(Stratagene社製)をSmaIで消化して得られたDNAを約0.05pmolと、上記で得られたそれぞれのPCR産物約0.5pmolをTAKARA DNA Ligation Kit ver.2(宝酒造社製)のSolutionIを6μL、制限酵素SmaIを0.3μL入れ合計12.3μLとし、22℃で一晩にわたって反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製し、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(PEバイオシステムズ社製)を用い添付の説明書に従って反応後、同社のシーケンサーABI PRISM3700により塩基配列を解析した。その結果、cDNAの5’末端に開始コドンと推定されるATG配列が存在する、完全長のH鎖cDNAを含むプラスミドpKM3411H#9およびL鎖cDNAを含むプラスミドpKM3411L#4が取得された。
(1)−3 抗PERPマウス抗体のV領域のアミノ酸配列の解析
プラスミドpKM3411H#9に含まれていたVHの全塩基配列を配列番号11に、該配列から推定された、シグナル配列を含んだ分泌型VHの全アミノ酸配列を配列番号12に、プラスミドpKM3411L#4に含まれていたVLの全塩基配列を配列番号13におよび該配列から推定された、シグナル配列を含んだ分泌型VLの全アミノ酸配列を配列番号14にそれぞれ示した。既知のマウス抗体の配列データ[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]との比較、並びに精製した抗PERPマウス抗体KM3411のH鎖及びL鎖のN末端アミノ酸配列をプロテインシーケンサー(島津製作所社製:PPSQ−10)を用いて解析した結果との比較から、単離した各々のcDNAは分泌シグナル配列を含む抗PERPマウス抗体KM3411をコードする完全長cDNAであり、H鎖については配列番号12に記載のアミノ酸配列の1から18番目が、L鎖については配列番号14に記載のアミノ酸配列の1から22番目が分泌シグナル配列であることが明らかとなった。
次に、抗PERPマウス抗体KM3411のVHおよびVLのアミノ酸配列の新規性について検討した。配列解析システムとしてGCG Package(version 9.1、Genetics Computer Group社製)を用い、既存の蛋白質のアミノ酸配列データベースをBLASTP法[Nucleic Acids Res.,25,3389(1997)]により検索した。その結果、VH、VLともに完全に一致するアミノ酸配列は認められず、抗PERPマウス抗体KM3411のVHおよびVLは新規なアミノ酸配列を有していることが確認された。
また、抗PERPマウス抗体KM3411のVHおよびVLのCDRを、既知の抗体のアミノ酸配列と比較することにより同定した。抗PERPマウス抗体KM3411のVHのCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を配列番号15、16および17に、VLのCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を配列番号18、19および20にそれぞれ示した。
(2)抗PERPキメラ抗体の動物細胞を用いた安定発現
(2)−1 抗PERPキメラ抗体発現ベクターpKANTEX3411の構築
WO97/10354に記載のヒト化抗体発現用ベクターpKANTEX93と本実施例の(1)−2で得られたプラスミドpKM3411H#9及びpKM3411L#4を用いて抗PERPキメラ抗体発現ベクターpKANTEX3411を以下のようにして構築した。
抗PERPマウス抗体KM3411のVHをコードするcDNAをPCR法によって得るために配列番号21と22の塩基配列を有する合成DNAを、VLをコードするcDNAを得るために配列番号23と24の塩基配列を有する合成DNAをそれぞれ設計、合成した。それぞれの合成DNA(ジェンセット社製)は5’末端にpKANTEX93へクローニングするための制限酵素認識配列を含んでいる。本実施例の(1)−2で得られたプラスミドpKM3411H#9の20ngを50μLのKOD DNA Polymerase添付PCR Buffer #1(東洋紡績社製)、0.2mmol/L dNTPs、1mmol/L塩化マグネシウム、0.5μmol/Lの配列番号21と22に示される塩基配列の合成DNAを含む緩衝液に添加し、サーマルサイクラーを用いて、94℃で3分間加熱した後、2.5単位のKOD DNA Polymerase(東洋紡績社製)を添加し、94℃で30秒間、58℃で30秒間、74℃で1分間からなる反応サイクルを25サイクル行った。同様に、本実施例の(1)−2で得られたプラスミドpKM3411L#4の20ngを50μLのKOD DNA Polymerase添付PCR Buffer #1(東洋紡績社製)、0.2mmol/L dNTPs、1mmol/L塩化マグネシウム、0.5μmol/Lの配列番号23と24でそれぞれ示される塩基配列の合成DNAを含む緩衝液に添加し、上記の方法でPCRを行なった。該反応液40μLをアガロースゲル電気泳動した後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて、約0.47kbのVHのPCR産物、約0.45kbのVLのPCR産物をそれぞれ回収した。
次に、プラスミドpBluescriptII SK(−)(Stratagene社製)を制限酵素SmaI(宝酒造社製)で消化したDNA0.05pmolと、上記で得られたそれぞれのPCR産物約0.5pmolを滅菌水に加えて10μLとし、さらにTAKARA ligation kit ver.2のsolution I(宝酒造社製)10μL、制限酵素SmaI(宝酒造社製)0.5μLを加えて22℃で一晩にわたって反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。得られた形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製し、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(PE Biosystems社製)を用いて添付の説明書に従って反応後、同社のDNAシーケンサーABI PRISM 3700により塩基配列を解析し、目的の塩基配列を有する第11図に示したプラスミドpKM3411VH9およびpKM3411VL11が得られたことを確認した。
次にヒト化抗体発現用ベクターpKANTEX93と上記で得られたpKM3411VL11をそれぞれ制限酵素BsiWI(New England BioLabs社製)で消化後、引き続き制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化した。消化後の反応液をアガロースゲル電気泳動した後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて、約0.45kbのVLのEcoRI−BsiWI断片と、約12.7kbのpKANTEX93のEcoRI−BsiWI断片をそれぞれ回収した。
得られた2種類の断片をLigation high(東洋紡績社製)を用いて添付の説明書に従って連結し、得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。得られた形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製して制限酵素処理により確認し、目的の約0.45kbのEcoRI−BsiWI断片が挿入された、第12図に示したプラスミドpKANTEX3411VLが得られたことを確認した。
次に、上記で得られたpKANTEX3411VLとpKM3411VH9をそれぞれ制限酵素ApaI(宝酒造社製)で消化後、引き続き制限酵素NotI(宝酒造社製)で消化した。消化後の反応液をアガロースゲル電気泳動した後、約13.2kbのpKANTEX3411VL由来のApaI−NotI断片、約0.47kbのpKM3411VH9由来のApaI−NotI断片をそれぞれ回収した。得られた2種類の断片をLigation high(東洋紡績社製)を用いて添付の説明書に従って連結し、得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。得られた形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製して制限酵素処理により確認し、目的の約0.47kbのApaI−NotI断片が挿入された、第12図に示したプラスミドpKANTEX3411が得られたことを確認した。該プラスミドに関して、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(PE Biosystems社製)を用いて添付の説明書に従って反応後、同社のDNAシーケンサーABI PRISM 3700により塩基配列を解析した結果、目的のKM3411のVHをコードするcDNAおよびVLをコードするcDNAがそれぞれクローニングされたプラスミドが得られたことを確認した。
(2)−2 抗PERPキメラ抗体の動物細胞での発現
本実施例の(2)−1で得られた抗PERPキメラ抗体発現ベクターpKANTEX3411を用いて抗PERPキメラ抗体の動物細胞での発現を、常法[Antibody Engineering,A Practical Guide,W.H.Freeman and Company(1992)]により行い、pKANTEX3411が導入された形質転換株KM3481を取得した。
(3)精製抗体の取得
本実施例(2)−2で得られた形質転換株を、通常の培養法で培養した後、細胞懸濁液を回収し、3000rpm、4℃の条件で5分間の遠心分離を行って培養上清を回収した後、培養上清は0.22μm孔径MillexGVフィルター(ミリポア社製)を用いて濾過滅菌した。得られた培養上清よりMab Select(アマシャム・バイオサイエンス社製)カラムを用いて、添付の説明書に従い、抗PERPキメラ抗体KM3481を精製した。
得られた抗PERPキメラ抗体KM3481の精製標品の精製度および発現分子サイズを、グラジュエントゲル(ATTO社製、カタログ番号:E−T520L)を用いて、添付の説明書に従い、SDS−PAGEにより確認した。抗PERPマウス抗体KM3411を対照として同時に泳動した。
結果を第13図に示した。精製した抗PERPキメラ抗体KM3481は、非還元条件下では分子量が約150キロダルトン(以下、Kdと表記する)の1本のバンドが、還元条件下では約50Kdと約25Kdの2本のバンドが認められた。これらの分子量は、IgGクラスの抗体は、非還元条件下では分子量は約150Kdであり、還元条件下では分子内のS−S結合が切断され、約50Kdの分子量を持つH鎖と約25Kdの分子量を持つL鎖に分解されるという報告[Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Chapter 14(1988)、Monoclonal Antibodies−Principles and Practice,Academic Press Limited(1996)]と一致し、抗PERPキメラ抗体KM3481が正しい構造の抗体分子として発現されていることが確認された。
抗PERPキメラ抗体の活性評価
(1)膜表面上のPERPへの結合性(蛍光抗体法)
(1)−1 PERP/CHO細胞への結合性
実施例7の(3)で精製した抗PERPキメラ抗体KM3481のPERP/CHO細胞との結合反応性を、蛍光抗体法により以下のように検討した。
1ウェル当たり2×10個のPERP/CHO細胞を96ウェルU字プレートに分注し、抗PERPキメラ抗体KM3481をFCM用緩衝液(1%BSA−PBS、0.02%EDTA、0.05%NaN)にて20μg/mLから5倍希釈で7段階に希釈した抗PERPキメラ抗体KM3481を50μL/ウェル、さらに非特異的な染色を防ぐためにヒトイムノグロブリン(SIGMA社製)を400μg/mLにそれぞれ希釈した抗体溶液を50μL/ウェルでそれぞれ分注し、氷中で30分間反応した。FCM用緩衝液で2回洗浄後、PE標識抗ヒトIgG(H+L)抗体(ベックマン・コールター社製)をFCM用緩衝液にて50倍に希釈した溶液を50μL/ウェルで加えた。遮光し氷中で30分間反応後、FCM用緩衝液で3回洗浄し、フローサイトメーターで蛍光強度を測定した。
結果を第14図に示した。縦軸には平均蛍光強度(MFI)、横軸には、抗体濃度を示した。抗PERPキメラ抗体KM3481はPERP/CHO細胞に結合することが示され、その結合性の強さは抗体の濃度依存的であった。
(1)−2 ヒト癌細胞株に対する結合性
実施例5の(2)−1で検討したヒト癌細胞株の中から、PC9、NCI−H69、Capan−2、BxPC−3細胞を選択し、本実施例(1)−1に記載の方法を用いて抗PERPキメラ抗体KM3481(10μg/mL)の結合性を測定した。陰性対照としては抗CCR4キメラ抗体(WO01/64754)を用いた。
結果を第15図に示した。上記いずれの細胞株に対しても、抗PERPキメラ抗体KM3481は結合性を示した。
(2)抗PERPキメラ抗体の補体依存性細胞傷害活性(CDC活性)
実施例7で作製した抗PERPキメラ抗体KM3481のCDC活性を以下に記載の方法で測定した。
(2)−1 標的胞溶液の調製
PERP/CHO細胞を遠心分離操作および懸濁により5%のFCSを含むIMDM培地[IMDM−(5)培地]で洗浄した後、IMDM−(5)培地によって、細胞濃度を2×10細胞/mLに調整し、標的細胞溶液とした。
(2)−2 ヒト補体溶液の調製
ヒト血清凍結乾燥品(Human Complement Serum;シグマ社製)を脱イオン水にて溶解し、等量のIMDM−(5)培地を加えて2倍に希釈してヒト補体溶液とした。
(2)−3 CDC活性の測定
96ウェル平底プレート(住友ベークライト社製)に上記(2)−1で調製した標的細胞溶液の50μL(1×10細胞/ウェル)を分注した。次いでIMDM−(5)培地で希釈した各濃度の抗体溶液を加え、更に上記(2)−2で調製した補体溶液を50μL添加して全量を150μLとし、37℃で2時間反応させた。各ウェルに細胞増殖試薬WST−1(ロシュ社製)を15μLずつ添加して更に37℃で4時間反応させ、450nmの吸光度(OD450:生細胞数に依存する)を測定した。標的細胞溶液、抗体溶液の代わりにIMDM−(5)培地を用いてバックグラウンドの吸光度データを取得し、抗体溶液の代わりにIMDM−(5)培地を用いて測定した吸光度データ(抗体濃度0μg/mL)を細胞傷害活性0%として取得した。CDC活性は次式により求めた。
(式)
CDC活性(%)=([抗体濃度0μg/mLの際の吸光度データ]−[検体の吸光度データ])/[抗体濃度0μg/mLの際の吸光度データ]×100
結果を第16図に示した。抗PERPキメラ抗体KM3481はPERP/CHO細胞に対して濃度依存的にCDC活性を示し、その活性は抗体濃度依存的であった。
(3)抗PERPキメラ抗体のADCC活性
実施例7で取得した抗PERPキメラ抗体KM3481のADCC活性を、以下のようにして測定した。標的細胞には、本実施例の(1)で用いた4種類のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現していることが確認された細胞株、すなわちPC9、NCI−H69、Capan−2、BxPC−3細胞株、並びに陽性対照としてPERP/CHO細胞および陰性対照として該ポリペプチドが発現していないCHO/DG44細胞株を用い、エフェクター細胞溶液の調製にはlymphoprep(NYCOMED社製)を用いた。
(3)−1 標的細胞溶液の調製
PERP/CHO細胞の場合にはIMDM−(10)培地、それ以外の癌細胞株ではRPMI1640−FCS(10)培地[FCSを10%含むRPMI1640培地(Invitrogen社製)]を用いて培養した各細胞株を遠心分離操作及び懸濁によりADCC活性測定用培地であるRPMI1640−FCS(5)[5%FCSを含むRPMI1640培地(Invitrogen社製)]で洗浄した後、ADCC活性測定用培地によって、細胞濃度を2×10細胞/mLに調整し、標的細胞溶液とした。
(3)−2 エフェクター細胞溶液の調製
健常人静脈血50mLを採取し、ヘパリンナトリウム(清水製薬社製)0.5mLを加え穏やかに混ぜた。これをlymphoprep(NYCOMED 社製)を用いて添付の使用説明書に従い、単核球(PBMC)画分を分離した。分離したPBMC画分は、ADCC活性測定用培地で3回遠心分離して洗浄後、適宜懸濁し、エフェクター細胞溶液とした。
(3)−3 ADCC活性の測定
96ウェルU字底プレート(Falcon社製)に上記(3)−1で調製した標的細胞溶液の50μL(1×10細胞/ウェル)を分注した。次いで(3)−2で調製したエフェクター細胞溶液を50μL(PERP/CHO細胞をターゲットとした場合はエフェクター細胞と標的細胞の比が15:1に、その他の場合は20:1になるように希釈したもの)を添加した。更に、抗PERPキメラ抗体をADCC活性測定用培地で希釈し、各最終濃度0.001〜10μg/mLとなるように加えて全量を150μLとし、37℃で4時間反応させた。反応後、プレートを遠心分離し、上清中の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を、CytoTox96 Non−Radioactive Cytotoxicity Assay(Promega社製)を用いて、添付の説明書にしたがって吸光度データを取得することで測定した。標的細胞自然遊離の吸光度データは、エフェクター細胞溶液および抗体溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用いて、また、エフェクター細胞自然遊離の吸光度データは、標的細胞溶液および抗体溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用いて、上記と同様の操作を行うことで取得した。標的細胞全遊離の吸光度データは、抗体溶液およびエフェクター細胞溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用い、反応終了の45分前に15μLの9% Triton X−100溶液を添加して反応させ、上記と同様の操作を行うことで取得した。ADCC活性は次式により求めた。
(式)
ADCC活性(%)={(検体の吸光度−エフェクター細胞自然遊離の吸光度−標的細胞自然遊離の吸光度)/(標的細胞全遊離の吸光度−標的細胞自然遊離の吸光度}×100
結果を第17図に示した。標的細胞として用いた全細胞株のうち、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現していることが確認されているPERP/CHO、PC9、NCI−H69、Capan−2およびBxPC−3細胞株に対して、抗PERPキメラ抗体KM3481はADCC活性を有していた。一方、陰性対照として用いたCHO/DG44細胞株に対して、抗PERPキメラ抗体KM3481はADCC活性を有していなかった。
抗PERPキメラ抗体のin vivo薬効試験
肺癌および膵癌について、マウスゼノグラフト初期癌モデルの系で抗PERPキメラ抗体のin vivo薬効試験を以下のようにして検討した。
癌細胞移植前日にSCIDマウス(日本クレア、雄、6週齢)の体重を測定し、抗体非投与群、抗体投与群0.1、1、10mg/kgの計4群(1群6匹)に群分けした。常法により培養したPERP陽性の肺癌細胞株PC−9またはPERP陽性の膵癌細胞株BxPC−3を5×10個/mLでRPMI1640培地(Invitrogen社製)に懸濁し、マウスの右脇腹皮内にそれぞれ100μL移植した。マウス1尾あたりの細胞数は5×10個となる。移植同日から、クエン酸緩衝液(10mmol/Lクエン酸、150mmol/L塩化ナトリウム、pH6)で希釈した抗PERPキメラ抗体KM3481を100μL、1週間に2回の頻度で計8回静脈内投与した。抗体非投与群はクエン酸緩衝液のみを投与した。
腫瘍を移植した日を0日目とし、経日的にノギスによる腫瘍径の測定を行い、次式により腫瘍体積を算出した。
(式)
腫瘍体積=短径×短径×長径×0.5
肺癌および膵癌モデルにおける各群の腫瘍体積平均値の経日的推移をそれぞれ第18図および第19図に示す。
第18図に示した肺癌モデルにおいては、22日目以降に非投与群マウスの腫瘍死が始まったため、腫瘍体積の評価は22日目で終了した。
肺癌モデルにおいて、抗PERPキメラ抗体KM3481の1、10mg/kg投与群で、非投与群と比較して顕著な腫瘍生着阻害および腫瘍増殖抑制効果が認められた。
第19図に示した膵癌モデルにおいては、1、10mg/kg投与群で顕著な腫瘍生着阻害および腫瘍増殖抑制効果が認められ、さらに0.1mg/kg投与群でも有意な阻害効果が認められた。
以上より、肺癌および膵癌をターゲットとした初期癌モデルにおいて、抗PERPキメラ抗体KM3481が抗腫瘍効果を有することが明らかとなった。
抗PERPヒト型CDR移植抗体の作製
(1)抗PERPヒト型CDR移植抗体のVHおよびVLのアミノ酸配列の設計
まず、PERPに対するヒト型CDR移植抗体(以下、抗PERPCDR移植抗体と表記する)のVHのアミノ酸配列を以下のようにして設計した。
実施例7の(1)−3で同定した抗PERPマウス抗体KM3411のVHのCDRのアミノ酸配列を移植するためのヒト抗体のVHのFRのアミノ酸配列を選択した。カバットらは、既知の様々なヒト抗体のVHをそのアミノ酸配列の相同性から3種類のサブグループ(HSG I〜III)に分類し、更に、それらのサブグループ毎に共通配列を報告している[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]。それら共通配列は、ヒトにおいてより免疫原性が低下する可能性が考えられることから、それら共通配列を基に抗PERPCDR移植抗体のVHのアミノ酸配列を設計することとした。より結合活性の高い抗PERPCDR移植抗体を作製するために、設計にあたってはヒト抗体のVHの3種類のサブグループの共通配列のFRのアミノ酸配列のうち、KM3411のVHのFRのアミノ酸配列と最も高い相同性を有するFRのアミノ酸配列を選択した。第4表には、相同性の検索結果を示した。第4表に示したように、KM3411のVH領域のFRのアミノ酸配列はサブグループIIと最も高い相同性を有していた。
Figure 2005121338
以上の結果から、ヒト抗体のVHのサブグループIIの共通配列のFRのアミノ酸配列の適切な位置に抗PERPマウス抗体KM3411のVHのCDRのアミノ酸配列を移植した。しかし、配列番号12に記載のKM3411のVHのアミノ酸配列中の47番目のIle、86番目のIle、100番目のGln、107番目のGlu、および111番目のThrは、カバットらがあげるヒト抗体FRのアミノ酸配列の相当する部位において、最も使用される頻度が高いアミノ酸残基ではないが、比較的高い頻度で使用されるアミノ酸残基であるため、上記のKM3411のアミノ酸配列で認められるアミノ酸残基を用いることとした。このようにして、配列番号25で表される、抗PERPCDR移植抗体のVHのアミノ酸配列HV0を設計した。
次に、抗PERPCDR移植抗体のVLのアミノ酸配列を以下のようにして設計した。
実施例7の(1)−3で同定した抗PERPマウス抗体KM3411のVLのCDRのアミノ酸配列を移植するためのヒト抗体のVLのFRのアミノ酸配列を選択した。カバットらは、既知の様々なヒト抗体のVLをそのアミノ酸配列の相同性から4種類のサブグループ(HSG I〜IV)に分類し、更に、それらのサブグループ毎に共通配列を報告している[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]。そこでVHの場合と同様にして、ヒト抗体のVLの4種類のサブグループの共通配列のFRのアミノ酸配列のうち、KM3411のVLのFRのアミノ酸配列と最も高い相同性を有するFRのアミノ酸配列を選択した。第5表には、相同性の検索結果を示した。第5表に示したように、KM3411のVLのFRのアミノ酸配列はサブグループIと最も高い相同性を有していた。
Figure 2005121338
以上の結果から、ヒト抗体のVLのサブグループIの共通配列のFRのアミノ酸配列の適切な位置に抗PERPマウス抗体KM3411のVLのCDRのアミノ酸配列を移植し、配列番号26に記載の抗PERPCDR移植抗体のVLのアミノ酸配列LV0を設計した。
上記で設計した抗PERPCDR移植抗体のVHのアミノ酸配列HV0およびVLのアミノ酸配列LV0は、選択したヒト抗体のFRのアミノ酸配列に抗PERPマウス抗体KM3411のCDRのアミノ酸配列のみを移植した配列であるが、一般に、ヒト型CDR移植抗体を作製する場合には、単なるヒト抗体のFRへのマウス抗体のCDRのアミノ酸配列の移植のみでは結合活性が低下してしまうことが多い。結合活性の低下を回避するため、ヒト抗体とマウス抗体で異なっているFRのアミノ酸残基のうち、結合活性に影響を与えると考えられるアミノ酸残基を、CDRのアミノ酸配列の移植とともに、改変することが行われている。そこで、本実施例においても、結合活性に影響を与えると考えられるFRのアミノ酸残基を以下のようにして同定した。
まず、上記で設計した抗PERPCDR移植抗体のVHのアミノ酸配列HV0およびVLのアミノ酸配列LV0よりなる抗体V領域(HV0LV0)の三次元構造をコンピューターモデリングの手法を用いて構築した。三次元構造座標作製に関してはソフトウェアAbM(Oxford Molecular社製)を、三次元構造の表示についてはソフトウェアPro−Explore(Oxford Molecular社製)あるいはViewerLite(Accelrys社製)を用いてそれぞれ添付の使用説明書に従い、行った。また、抗PERPマウスモノクローナル抗体KM3411のV領域の三次元構造のコンピューターモデルも同様にして構築した。更に、HV0LV0のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列において、抗PERPマウス抗体KM3411と異なっているアミノ酸残基について順次、抗PERPマウス抗体KM3411の相当する位置に見られるアミノ酸残基へ改変したアミノ酸配列からなる三次元構造モデルを同様にして構築し、抗PERPマウス抗体KM3411、HV0LV0および改変体のV領域の三次元構造を比較した。
その結果、HV0LV0のFRのアミノ酸残基の中で抗原結合部位の三次元構造を変化させ、抗体の結合活性に影響を与えると考えられるアミノ酸残基として、HV0では27番目のGly、30番目のSer、41番目のPro、44番目のLys、45番目のGly、72番目のVal、および97番目のAlaを、LV0では3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuをそれぞれ選択した。これらの選択したアミノ酸残基のうち、少なくとも1つ以上のアミノ酸配列をマウス抗体KM3411の同じ部位に存在するアミノ酸残基へ改変し、様々な改変を有するヒト型CDR移植抗体のVHおよびVLを設計した。
(2)抗PERPヒト型CDR移植抗体のVHをコードするcDNAの構築
本実施例(1)で設計した抗PERPヒト型CDR移植抗体のVHのアミノ酸配列HV0をコードするcDNAを、PCRを用いて以下のようにして構築した。
まず、設計したアミノ酸配列と、配列番号12の1〜18番目に示される抗PERPマウス抗体KM3411のH鎖の分泌シグナル配列とを繋げて完全な抗体アミノ酸配列とした。次に、該アミノ酸配列を遺伝子コドンに変換した。1つのアミノ酸残基に対して複数の遺伝子コドンが存在する場合は、抗体の遺伝子の塩基配列に見られる使用頻度[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]を考慮し、対応する遺伝子コドンを決定した。決定した遺伝子コドンを繋げて、完全な抗体V領域のアミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列を設計し、更に5’末端と3’末端にPCR反応時の増幅用プライマーの結合塩基配列(ヒト化抗体発現用ベクターへクローニングするための制限酵素認識配列も含む)を付加した。設計した塩基配列を5’末端側から約100塩基ずつ計6本の塩基配列に分け(隣り合う塩基配列は、その末端に約20塩基の重複配列を有するようにする)、それらをセンス鎖、アンチセンス鎖の交互の順で、合成オリゴヌクレオチドを合成した。
各オリゴヌクレオチドを最終濃度が0.1μmol/Lとなるように50μLの反応液に加えて、0.5μmol/L M13 primer RV(Takara Shuzo社製)、0.5μmol/L M13 primer M4(Takara Shuzo社製)および1単位のKOD polymerase(東洋紡績社製)を用いて、KOD polymeraseに添付の使用説明書に従い、PCRを行った。この際の反応条件は使用説明書に記された条件(94℃ 30秒間、50℃ 30秒間、74℃ 60秒間のサイクルを30サイクル)に従った。該反応液をエタノール沈殿した後、滅菌水に溶解し、適当な制限酵素処理を行った後に、プラスミドpBluescript II SK(−)(Stratagene社製)に連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、形質転換株の株よりプラスミドDNAを調製し、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列を解析した結果、目的の塩基配列を有するプラスミドを得た。
次に、本実施例(1)で設計したFRのアミノ酸残基の改変は、変異を有する合成オリゴヌクレオチドを作製し、上記のPCRを行うか、上記で作製したHV0をコードするcDNAを含むプラスミドDNAを鋳型として変異を有する合成DNAをプライマーとしてPCRを行い、増幅断片を単離することにより行った。改変後のアミノ酸残基の遺伝子コドンについては、抗PERPマウス抗体KM3411に見られる遺伝子コドンとなるように行った。
(3)抗PERPヒト型CDR移植抗体のVLをコードするcDNAの構築
本実施例(1)で設計した抗PERPヒト型CDR移植抗体のVLのアミノ酸配列LV0をコードするcDNAを、PCRを用いて以下のようにして構築した。
まず、設計したアミノ酸配列と、配列番号14の1〜22番目に示される抗PERPマウス抗体KM3411のL鎖の分泌シグナル配列とを繋げて完全な抗体アミノ酸配列とした。次に、該アミノ酸配列を遺伝子コドンに変換した。1つのアミノ酸残基に対して複数の遺伝子コドンが存在する場合は、抗体の遺伝子の塩基配列に見られる使用頻度[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]を考慮し、対応する遺伝子コドンを決定した。決定した遺伝子コドンを繋げて、完全な抗体V領域のアミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列を設計し、更に5’末端と3’末端にPCR反応時の増幅用プライマーの結合塩基配列(ヒト化抗体発現用ベクターへクローニングするための制限酵素認識配列も含む)を付加した。設計した塩基配列を5’末端側から約100塩基ずつ計6本の塩基配列に分け(隣り合う塩基配列は、その末端に約20塩基の重複配列を有するようにする)、それらをセンス鎖、アンチセンス鎖の交互の順で、合成オリゴヌクレオチドを合成した。
各オリゴヌクレオチドを最終濃度が0.1μmol/Lとなるように50μLの反応液に加えて、0.5μmol/L M13 primer RV(Takara Shuzo社製)、0.5μmol/L M13 primer M4(Takara Shuzo社製)および1単位のKOD polymerase(東洋紡績社製)を用いて、KOD polymeraseに添付の使用説明書に従い、上記(3)と同様にPCRを行った。反応液をエタノール沈殿した後、滅菌水に溶解し、適当な制限酵素処理を行った後に、プラスミドpBluescript II SK(−)(Stratagene社製)に連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、形質転換株よりプラスミドDNAを調製し、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit (Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列を解析した結果、目的の塩基配列を有するプラスミドを得た。
次に、本実施例(1)で設計したFRのアミノ酸残基の改変は、変異を有する合成オリゴヌクレオチドを作製し、上記のPCRを行うか、上記で作製したLV0をコードするcDNAを含むプラスミドDNAを鋳型として変異を有する合成DNAをプライマーとしてPCRを行い、増幅断片を単離することにより行った。改変後のアミノ酸残基の遺伝子コドンについては、抗PERPマウス抗体KM3411で見られる遺伝子コドンとなるように行った。
(4)抗PERPヒト型CDR移植抗体発現ベクターの構築
WO97/10354に記載のヒト化抗体発現用ベクターpKANTEX93の適当な位置に本実施例(2)および(3)で得られたHV0およびLV0をコードするそれぞれのcDNA、あるいはそれらの改変体をコードするcDNAを挿入し、各種抗PERPヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築した。
(5)抗PERPヒト型CDR移植抗体の動物細胞を用いた安定発現および精製抗体の取得
抗PERPヒト型CDR移植抗体の動物細胞を用いた安定発現および培養上清からの抗体の精製は、上記実施例7(2)−2および(3)に記載の方法と同様にして行った。
本発明によれば、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片が提供される。該抗体または該抗体断片は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの免疫学的検出方法および検出用試薬、該ポリペプチドを発現する細胞の免疫学的検出または測定方法および検出または測定用試薬、並びにPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断薬または治療薬に利用できる。
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号21−人工配列の説明:合成DNA
配列番号22−人工配列の説明:合成DNA
配列番号23−人工配列の説明:合成DNA
配列番号24−人工配列の説明:合成DNA
配列番号25−人工配列の説明:合成ペプチド
配列番号26−人工配列の説明:合成ペプチド

Claims (47)

  1. PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体または抗体断片。
  2. ポリペプチドの細胞外領域が、配列番号2で表されるアミノ酸配列の35〜75番目および130〜154番目に表されるアミノ酸配列で示される領域である、請求項1に記載の抗体または抗体断片。
  3. 抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1または2に記載の抗体または抗体断片。
  4. モノクローナル抗体が、ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)から生産されるモノクローナル抗体である、請求項3に記載の抗体または抗体断片。
  5. モノクローナル抗体が、ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)から生産されるモノクローナル抗体から生産されるモノクローナル抗体が結合するエピトープと結合するモノクローナル抗体である、請求項3に記載の抗体または抗体断片。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ。
  7. ハイブリドーマが、ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)である、請求項6に記載のハイブリドーマ。
  8. モノクローナル抗体が、遺伝子組換え抗体である、請求項3に記載の抗体または抗体断片。
  9. 遺伝子組換え抗体が、ヒト化抗体およびヒト抗体から選ばれる遺伝子組換え抗体である、請求項8に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  10. ヒト化抗体がヒト型キメラ抗体およびヒト型相補性決定領域(Complimentarity Determining Region;以下、CDRと表記する)移植抗体から選ばれるヒト化抗体である、請求項9に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  11. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体の重鎖(以下、H鎖と表記する)可変領域(以下、V領域と表記する)および軽鎖(以下、L鎖と表記する)V領域を含む、請求項10に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
  12. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のH鎖V領域(以下、VHと表記する)およびL鎖V領域(以下、VLと表記する)を含み、かつ、ヒト抗体のH鎖定常領域(以下、C領域と表記する)およびL鎖C領域を含む、請求項11に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
  13. 抗体のVHが配列番号12で示されるアミノ酸配列の19〜130番目のアミノ酸配列を含む、請求項11または12に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
  14. 抗体のVLが配列番号14で示されるアミノ酸配列の23〜128番目のアミノ酸配列を含む、請求項11または12に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
  15. 抗体のVHが配列番号12で示されるアミノ酸配列の19〜130番目のアミノ酸配列を含み、かつ、抗体VLが配列番号14で示されるアミノ酸配列の23〜128番目のアミノ酸配列を含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
  16. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDRを含む、請求項10に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  17. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDRとヒト抗体のVHおよひVLのフレームワーク(以下、FRと表記する)を含む、請求項16に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  18. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDRとヒト抗体のVHおよびVLのFRを含み、かつ、ヒト抗体のH鎖C領域およびL鎖C領域を含む、請求項16または17に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  19. 抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  20. 抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号18、19および20で示されるアミノ酸配列を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  21. 抗体VHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号15、16および17を含み、かつ、抗体VLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号18、19および20で示されるアミノ酸配列を含む、請求項16〜20のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  22. 抗体のVHが、配列番号25で示されるアミノ酸配列、または配列番号25で示されるアミノ酸配列のうち、27番目のGly、30番目のSer、41番目のPro、44番目のLys、45番目のGly、72番目のVal、および97番目のAlaから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、請求項16〜21のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  23. 抗体のVLが、配列番号26で示されるアミノ酸配列、または配列番号26で示されるアミノ酸配列のうち、3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、請求項16〜21のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  24. 抗体のVHが、配列番号25で示されるアミノ酸配列、または配列番号25で示されるアミノ酸配列のうち、3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、抗体のVLが、配列番号26で示されるアミノ酸配列、または配列番号26で示されるアミノ酸配列のうち、3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、請求項16〜23のいずれか1項に記載のヒト型CDR移植抗体または抗体断片。
  25. 抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドから選ばれる抗体断片である請求項1〜24のいずれか1項に記載の抗体断片。
  26. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片をコードするDNA。
  27. 請求項26に記載のDNAを含有する組換え体ベクター。
  28. 請求項27に記載の組換え体ベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株。
  29. 請求項6または7に記載のハイブリドーマまたは請求項28に記載の形質転換株を培地に培養し、培養物中に請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を生成蓄積させ、培養物から抗体または抗体断片を採取することを特徴とする請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の製造方法。
  30. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの免疫学的検出または測定方法。
  31. 免疫学的検出または測定方法が免疫沈降法である、請求項30に記載の検出方法。
  32. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現する細胞の免疫学的検出または測定方法。
  33. 免疫学的検出または測定方法が蛍光細胞染色法である請求項32に記載の検出方法。
  34. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いる、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの検出または測定用試薬。
  35. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いる、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断薬。
  36. PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患が癌である、請求項35に記載の診断薬。
  37. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を有効成分として含有するPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の治療薬。
  38. PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患が癌である、請求項37に記載の治療薬。
  39. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いてPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞を検出または測定することを含む、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断方法。
  40. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いてPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドを検出または測定することを含む、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断方法。
  41. PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患が癌である、請求項39または40に記載の診断方法。
  42. 請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を患者に投与することを含む、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の治療方法。
  43. PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患が癌である、請求項42に記載の治療方法。
  44. PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の診断薬を製造するための、請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
  45. 癌の診断薬を製造するための、請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
  46. PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の治療薬を製造するための、請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
  47. 癌の治療薬を製造するための、請求項1〜5または8〜25のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
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