JPWO2005096938A1 - 毛髪損傷度合の判定方法 - Google Patents

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Abstract

毛髪の損傷の程度、具体的にはパーマ処理による損傷の程度および/または酸化処理による損傷の程度を、非侵襲的、かつ定量的に判定する方法を提供することを課題とする。 損傷の程度が既知である、2種以上の毛髪の近赤外吸収スペクトルの多変量解析結果から得られる、損傷の程度と多変量解析の結果との相関関係に基づいて、損傷の程度が未知である毛髪の損傷の程度を判定する。さらに得られた判定結果から、毛髪に施された処理の履歴、または処理による損傷の受けやすさを判定する。 前記多変量解析のアルゴリズムとして、主成分分析(PCA)、SIMCA(シムカ)、又はKNN法を用いることが好ましい。

Description

本発明の方法は、毛髪の損傷の種類およびその程度を判定する方法に関する。より詳細には、毛髪の近赤外吸収スペクトルの多変量解析の解析結果から、毛髪の損傷の種類およびその程度を判定する方法に関する。
毛髪の損傷は、形態的損傷および質的損傷の二つに大別される。
形態的損傷とは、キューティクルが剥離したり、髪表面にちりめん皺ができたり、あるいは傷、裂毛、枝毛と見た感じや感触が悪くなることをいう。形態的損傷には、摩擦による処理、熱による処理、カット不良による処理などが含まれる。
一方、質的損傷とは、毛髪成分が化学変化を受けることによる損傷をいう。質的損傷には、パーマネント・ウエーブ(パーマ処理)による損傷、ブリーチやヘアカラーによる損傷、光(例えば紫外線)による損傷などが含まれる。
毛髪にパーマネント・ウエーブ(パーマ)処理、およびブリーチ処理またはヘアダイ処理を施す人が多いが、前記の通り、これらの処理により毛髪は質的損傷を被る。したがって、これらの処理による損傷の程度を的確に判定することができれば、適切な毛髪化粧料などを選択することにより、当該損傷を適切に回復させることができる。
また、前記処理による損傷の受けやすさは、毛髪の種類(各個人の毛髪)によって異なる。したがって、この損傷の受けやすさを予測することができれば前記損傷を適切に防止することができる。
毛髪の損傷の程度を判定する従来の方法は、非侵襲的な方法と侵襲的な方法とに分類される。これらのうち非侵襲的な方法は、判定対象のサンプルを化学的および物理的にいためることなく測定することができるので好ましい。
前記侵襲的な方法としては、被験者から採取された毛髪の引き裂き強度に基づいて評価する方法(特開2002−282240号公報を参照)、免疫反応を利用した診断方法(特開平6−265544号公報を参照)などが知られている。一方、前記非侵襲的な方法としては、専門パネラーによる視覚的な官能検査による方法しか知られておらず、定性的または定量的に損傷の程度を測定する方法は見出されていない。
一方、測定対象の近赤外吸収スペクトルから得られた分光分析結果を用いて、該測定対象の特定の物性を求める試みが行われている。これらの試みでは、特定の示性値が既知である、2種以上の測定対象の近赤外吸収スペクトルの統計的処理結果から求められる、前記特定の示性値と近赤外吸収スペクトルとの相関関係に基づいて物性を求めている。
この方法により、木材の水分含有量(特表平11−509325号公報を参照)、高分子に含まれる添加剤の種類および量(特開2004−53440号公報を参照)、皮膚の水分量(特開2002−90298号公報を参照)、毛髪の水分量(特開2003−344279号公報を参照)、乳房炎の有無(国際公開第01/075421号パンフレットを参照)、毛髪のなめらかさやつややかさなど(特開2003−270138号公報を参照)を測定することが報告されている。
本発明は、毛髪の損傷の程度を非侵襲的な手段で、定性かつ定量的に判定する方法を提供することを課題とする。より具体的に本発明は、毛髪の近赤外吸収スペクトルの多変量解析の解析結果と毛髪の損傷の程度との相関関係に基づいて、判定対象である毛髪の損傷の程度を判定する方法を提供することを課題とする。ここで毛髪の損傷は、好ましくは質的損傷であり、より好ましくはパーマ処理による損傷、およびブリーチ処理やヘアダイ処理に代表される酸化処理による損傷である。
さらに本発明の方法を用いて、毛髪に施された処理の履歴、例えばパーマ処理およびブリーチ処理に代表される酸化処理の履歴を判定するための手段を提供することを課題とする。さらには、毛髪の、前記処理による損傷の受けやすさを判定するための手段を提供することを課題とする。
本発明者等は、毛髪の損傷の程度と、毛髪の近赤外吸収スペクトルの多変量解析の解析結果との間に相関関係があることを見出した。さらにこの相関関係に基づいて、判定対象の毛髪の損傷の程度が、判定対象の毛髪の近赤外吸収スペクトルから判定することができることを見出した。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 毛髪の近赤外吸収スペクトルから、該毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度を判定する方法であって、
1)毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度が既知である、二種以上の毛髪の近赤外吸収スペクトル(波数領域:8000〜4500cm−1)の多変量解析の解析結果から、毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度と近赤外吸収スペクトルの多変量解析の解析結果との相関関係を得るステップ、
2)判定対象である、パーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度が未知である毛髪の近赤外吸収スペクトルを得るステップ、
3)前記相関関係に基づいて、前記2)のステップにおいて得られた近赤外吸収スペクトルから、判定対象の毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度を判定するステップを含む方法。
[2] 前記多変量解析が、主成分分析(PCA)法、シムカ(SIMCA)法またはKNN法を用いる解析である、請求項1に記載の方法。
[3] 前記酸化処理による損傷が、ブリーチ処理による損傷である、請求項1または2に記載の方法。
[4] 毛髪に施されたパーマ処理および/または酸化処理の程度を判定するための、請求項1に記載の方法。
[5] 毛髪の、パーマ処理および/または酸化処理による損傷の受けやすさを判定するための、請求項1に記載の方法。
本発明の方法により、毛髪の損傷の程度を定性かつ定量的に、非侵襲的に測定することができる。該方法は、毛髪に施された処理の履歴を判定するために用いられることができ、または処理による毛髪の損傷の受けやすさを判定するために用いられることができる。
したがって本発明の方法は、毛髪の損傷の修復や防止に貢献することができる。
[図1]実施例1における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:5060〜4500cm−1;データ加工:平均化、SNV、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図2]実施例2における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:5060〜4500cm−1;データ加工:平均化、SNV、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図3]実施例3における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:6000〜5500cm−1および5060〜4500cm−1;データ加工:平均化、SNV、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図4]実施例4における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:6000〜5500cm−1;データ加工:平均化、SNV、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図5]実施例5における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:8000〜6000cm−1;データ加工:平均化、SNV、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図6]比較例1における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:8000〜4000cm−1;データ加工:平均化、SNV、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図7]比較例2における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:4500〜4000cm−1;データ加工:平均化、SNV、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図8]比較例3における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:5060〜4500cm−1;データ加工:平均化、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図9]比較例4における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:5060〜4500cm−1;データ加工:平均化、MSC、二次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図10]比較例5における多変量解析の解析結果(スペクトルの波数領域:5060〜4500cm−1;データ加工:平均化、SNV、一次微分)から作成した平面散布図を示す図である。
[図11]複数の未処理毛髪の損傷の程度と、その各未処理毛髪をパーマ処理および/またはブリーチ処理した場合の損傷の程度との関係を示す図である。
前記の通り本発明の方法は、毛髪の、パーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度を判定する方法である。
パーマ処理(permanent treatment)はパーマネント・ウエーブとも称される。パーマ処理は一般的に、還元剤を含むパーマ剤1と、酸化剤を含むパーマ剤2を用いて行われる。パーマ剤1に含まれる還元剤の例には、チオグリコール酸系、チオ乳酸系、システイン系(アセチルシステインを含む)が含まれる。パーマ剤1には、還元剤の他アルカリ剤が含まれていることが好ましい。パーマ剤2に含まれる酸化剤の例には、過酸化水素や臭素酸塩が含まれる。
パーマ処理は、前記パーマ剤1を毛髪に処理(好ましくは塗布)することにより、毛髪のケラチンのS−S結合(ジスルフィド結合)の少なくとも一部が開裂し、さらにパーマ剤1で処理された毛髪にパーマ剤2を毛髪に処理(好ましくは塗布)することにより、開裂されたS−S結合を再結合させる処理である。
このパーマ処理により毛髪を半永久的に変形させることができるが、毛髪にある程度の損傷を与えてしまう。該損傷とは、毛髪のタンパク質の変性による損傷であり、具体的にはアミド結合の加水分解(ex.−COONH−→−COOH+NH)や還元作用によって切断されたS−S結合(ジスルフィド結合)が再結合されないこと(ex.−SS−→−SH)などが考えられる。
一方、毛髪の酸化処理による損傷とは、酸化剤を含む処理剤で処理された毛髪が被る損傷、および紫外線が照射された毛髪が被る損傷を意味する。すなわち酸化処理の例には、ブリーチ処理(bleaching treatment)およびヘアダイ処理ならびに紫外線照射処理などが含まれる。さらに前記酸化処理には、塩素や過塩素酸を含む水(プールなど)に毛髪を接触させることを含む。
前記酸化処理による損傷とは、好ましくはブリーチ処理またはヘアダイ処理による損傷である。
ブリーチ処理は脱色処理とも称される。ブリーチ処理はブリーチ処理剤を毛髪に塗布することにより行われる。ブリーチ処理剤に含まれる酸化剤は、過酸化水素であることが好ましく、過酸化水素から生じたペルヒドロキシアニオンがメラニン色素を分解する。ブリーチ処理剤には酸化剤のほかに、アルカリ剤(アンモニアやモノエタノールアミンなど)や酸化促進剤を含んでいてもよい。ブリーチ処理は、ヘアダイ処理の前処理として行われることもある。
毛髪は、ブリーチ処理剤で処理(好ましくは塗布)されると該毛髪中のメラニン色素が分解されて脱色されるが、一方で損傷を被る。該損傷とは、主にタンパク質の変性による損傷であると考えられる。具体的には、酸化剤によるS−S結合(ジスルフィド結合)の開裂(ex.R−S−S−R→R−SO−S−R→R−SO−S−R→[R−SO−SO−R]→R−SO−SO−R→2R−SOH)などが考えられる。さらに、過酸化水素によるメラニン色素の酸化脱色(分解)作用とともに、毛髪の膨潤軟化の繰り返しにより毛小皮に生じる歪みなどが考えられる。
ヘアダイ処理は染毛処理とも称される。ヘアダイ処理はヘアダイ処理剤を毛髪に塗布(好ましくは塗布)することにより行われる。ヘアダイ処理剤は、永久染毛剤、半永久染毛剤または一時染毛剤に分類されるが、好ましくは永久染毛剤であることが好ましい。
ヘアダイ処理剤(好ましくは永久染毛剤)は染料の他に、酸化剤やアルカリ剤などを含むことが好ましい。ヘアダイ処理剤に含まれる酸化剤は過酸化水素であることが好ましく、アルカリ剤はアンモニアなどであることが好ましい。
毛髪はヘアダイ処理剤により処理(好ましくは塗布)されると染毛される一方で、ある程度の損傷を受ける。該損傷とは、主にタンパク質の変性による損傷であると考えられる。具体的には、酸化剤によるS−S結合(ジスルフィド結合)の開裂(R−S−S−R→R−SO−S−R→R−SO−S−R→[R−SO−SO−R]→R−SO−SO−R→2R−SOH)や、酸化染料と毛髪中のタンパクとが酸化反応を起こしジアジン結合を生じることなどが考えられる。さらに、過酸化水素によるメラニン色素の酸化脱色(分解)作用とともに、毛髪の膨潤軟化の繰り返しにより毛小皮に生じる歪みなどが考えられる。
また前記酸化処理には毛髪に紫外線を照射すること、例えば毛髪を日光に曝すことを含む。紫外線が照射された毛髪は、主にタンパクの変性による損傷が起こり、具体的にはケラチンの変性などが考えられる。
本発明は、毛髪の近赤外吸収スペクトルから、該毛髪の損傷の程度を判定する方法である。ここで判定される毛髪の損傷の程度には、前述のパーマ処理による損傷の程度および酸化処理による損傷の程度の少なくともいずれか一方が含まれる。
本発明の判定方法は、
1)毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度が既知である、二種以上の毛髪の近赤外吸収スペクトルの多変量解析の解析結果から、毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度と近赤外吸収スペクトルの多変量解析の解析結果との相関関係を得るステップ、
2)判定対象である、パーマ処理による損傷および酸化による損傷の少なくともいずれか一方の程度が未知である毛髪の近赤外吸収スペクトルを得るステップ、ならびに
3)前記相関関係に基づいて、前記2)で得られた近赤外吸収スペクトルから、判定対象のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度を判定するステップを含む。
前記1)のステップにおける、毛髪の近赤外吸収スペクトルは任意の方法で得ることができる。例えば前記毛髪の近赤外吸収スペクトルは、種々のタイプの近赤外吸収スペクトル測定装置を用いて測定することにより得ることができる。
例えば前記測定は、回折格子を用いた分散型測定装置、または検出器としてダイオードアレイを用いた測定装置により行うことができる。また、測定された毛髪の近赤外吸収スペクトルはフーリエ変換されていてもよい。
前記1)のステップにおいて、得られた毛髪の近赤外吸収スペクトルは多変量解析される。多変量解析とは、複数の観測値(ここでは、近赤外吸収スペクトルデータ)に基づいて、サンプル(本発明においては毛髪の損傷)間の関係を、類似度などを算出して明らかにするためのパターン認識を意味する。
前記多変量解析は、以下のステップにしたがって行われることが好ましい。
a)二種以上の毛髪の近赤外吸収スペクトルを必要に応じてデータ加工する。
b)近赤外吸収スペクトルまたはデータ加工されたスペクトル(以下、これらを総称して「スペクトル」とも称する)の、分割された波数毎のスペクトル値を列に、毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の程度を行として、行列を作成する。
c)作成された行列を多変量解析することにより、最適な第一成分および第二成分を導出する。
d)第一成分を第一軸、第二成分を第二軸として、各サンプルの相対関係を得る。
前記a)のステップにおける近赤外吸収スペクトル、またはデータ加工される近赤外吸収スペクトルの波数領域は、8000〜4500cm−1の少なくとも一部の領域であることが好ましく、6000〜4500cm−1の少なくとも一部の領域であることがより好ましい。
この波数領域の近赤外吸収スペクトルは、毛髪のタンパク質などの存在状態とその挙動を的確に捉えていると考えられ、毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の程度が的確に反映されているものと推察される。後述の実施例においても、前記波数領域の近赤外吸収スペクトル、またはそれをデータ加工したスペクトルの多変量解析の解析結果と、毛髪の損傷の程度が明確な相関関係を有することが示されている。
前記a)のステップにおけるデータ加工には、前処理および変換が含まれる。
前処理には、オートスケール(Autoscale)、平均化(Mean Center)、レンジスケール(Range Scale)、分散スケール(Variance Scale)などが含まれる。
変換には、一次微分、多次微分(二次微分を含む)、SNV(Standard Normal Variant)、MSC(Multiplicative Scatter Correction)、ノーマライズ(Normalize)、平滑化(Smoothing)、引き算(Subtract)、常用対数(Log10)、掛け算(Multiply)、ベースライン補正(Baseline Correct)などが含まれる。
前記a)のステップにおけるデータ加工は二次微分を含むことが好ましく、SNV(Standard Normal Variant)および二次微分を含むことがより好ましく、平均化(Mean Center)、SNV(Standard Normal Variant)および二次微分を含むことがさらに好ましい。
これらの加工により、個体差のばらつきの補正、ノイズや外れ値(アウトライヤー)などの影響を除外することができ、それによりデータの質を高めることができる。
いずれにしても前記データ加工は、後述のステップb)において作成される行列から、C)のステップにおいて導出される第一成分と第二成分が、毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の程度とより明確な相関関係を示すように、行われることが好ましい。
前記b)のステップにより作成される行列における列は、各毛髪のスペクトルの、分割された波数毎のスペクトル値である。スペクトル値とは、変換処理がされていない近赤外吸収スペクトルであれば吸光度などであり、微分されたスペクトルであれば吸光度の微分値である。
ここでスペクトルの分割は、一定波数毎になされることが好ましいが、その波数は特に限定されない。通常は、波数2〜16cm−1毎に、好ましくは4〜8cm−1(分解能が4cm−1であれば、4または8cm−1)毎に、より好ましくは4cm−1毎に分割されることが好ましい。また、分割された波数毎のスペクトルのスペクトル値は、それぞれその平均値とすればよい。
前記b)のステップにより作成される行列における行は、スペクトルを測定された2種以上の毛髪の損傷の程度(パーマ処理による損傷および/または酸化処理による損傷の程度)である。ここで損傷の程度は、毛髪に施された処理の程度によって示されてもよい。毛髪に施された処理の程度とは、処理の回数、処理に用いられた処理剤の有効成分の濃度、処理時間などを意味する。
すなわち、2種以上の毛髪から得られたスペクトルそれぞれについて、前記分割された波数毎のスペクトル値を得ることによって、行列を作成する。
前記c)のステップにおける多変量解析のアルゴリズムは、主成分分析(PCA)法、SIMCA法、またはKNN法を用いることが好ましい。前記行列から、多変量解析により導出される第一の成分と、第二の成分は互いに無関係、すなわち各ベクトルが直交していることは言うまでもない。
ここで導出される第一の成分および第二の成分は、毛髪のパーマ処理による損傷の程度および酸化処理による損傷の程度と相関関係を有している。
さらに必要に応じて第三の成分を求めれば、パーマ処理による損傷および酸化処理による損傷以外の毛髪の損傷の程度を判定することもできる。パーマ処理および酸化処理による損傷以外の毛髪の損傷の例には、形態的損傷(摩擦による損傷、熱による損傷、カット不良による損傷を含む)が含まれる。
前記d)のステップは、c)のステップで求められた少なくとも2つの成分を軸として、各サンプルの相対関係を得るステップである。例えば、2つの成分を軸とする平面散布図を作成して、各サンプルに対応するプロットの位置関係から、各サンプルの相対関係を得ることができる。各サンプルの相対関係を得ることにより、毛髪の損傷の程度と、スペクトルの多変量解析の解析結果との相関関係を得ることができる。
得られた各サンプルの相対関係から、毛髪の損傷の程度を基準にグルーピングを行ってもよい。このグルーピングは、例えばSIMCAのアルゴリズムなどを用いて行うことができる。
前記1)のステップにより得られる多変量解析の解析結果は、毛髪のパーマ処理による損傷と酸化処理による損傷との相関関係を有している。すなわち得られた統計処理結果は、求められた少なくとも二つの成分のうちの一つ(成分Aとする)が毛髪のパーマ処理による損傷の程度との相関関係を示し、別のもう一つの成分(成分Bとする)が毛髪の酸化処理による損傷の程度との相関関係を示す。
すなわち成分Aの主成分軸はパーマ処理による損傷の程度を示すので、無傷(すなわち未パーマ処理)の毛髪と、パーマ処理された毛髪の成分Aの軸上での相対関係をみることにより、パーマ処理による損傷の程度とスペクトルの多変量解析の解析結果との相関関係を得ることができる。同様に、成分Bの主成分軸は酸化処理による損傷の程度を示すので、無傷(すなわち未酸化処理)の毛髪と、パーマ処理された毛髪の成分Bの軸に関する相対関係をみることにより、酸化処理による損傷の程度とスペクトルの多変量解析の解析結果との相関関係を得ることができる。
また、種々の波数領域のスペクトルについてのローディングプロットから、各波数領域のスペクトル値の変化が、主成分軸が示す変化に関与する程度がわかる。よって、損傷の程度を具体的な化学変化(ピーク変化)としてとらえることができる。
前述の通り本発明は、2)判定対象となる、パーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度が未知である毛髪の近赤外吸収スペクトルを得るステップを含む。この2)のステップにおける近赤外吸収スペクトルは、前記1)のステップにおける近赤外吸収スペクトルの測定と同様の方法または装置で測定することにより得られることが好ましい。さらに得られた近赤外吸収スペクトルは、前記1)と同様にデータ加工されることが好ましい。
前述の通り本発明は、3)前記相関関係に基づいて、前記2)で得られた近赤外吸収スペクトルから、判定対象のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度を判定するステップを含む。
すなわち、前記1)において相関関係が得られたスペクトルデータ(行列)と、前記2)において得られたスペクトルデータとをあわせて、前記1)と同様に多変量解析することにより、前記2)の判定対象の毛髪の損傷の程度を判定する(主成分分析)。または、前記1)において得られた相関関係から得られたモデルに、前記2)において得られたスペクトルデータをあてはめることによって、前記2)の判定対象の毛髪の損傷の程度を判定する(SIMCAまたはKNN)。
すなわち、損傷状態が既知である毛髪の解析結果と、未知である毛髪の解析結果との、成分AおよびBの軸に関する相対関係を確認することで、未知毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の程度を判定することができる。成分AおよびBの軸に関する相対関係は、例えば成分AおよびBを軸とする平面散布図として表現されることができる。
本発明の毛髪の損傷の程度を判定する方法は、毛髪に施されたパーマ処理および/または酸化処理の程度を判定するために用いることができる。毛髪に施されたパーマ処理および/または酸化処理の程度とは、該毛髪に既に施されたパーマ処理や酸化処理の履歴、およびその処理内容を意味する。処理内容とは、処理するために用いられた処理剤の有効成分の濃度や、処理の回数、処理時間などを意味する。
すなわち前述の本発明の方法により得られた判定結果から、これらの処理の程度を判定することができる。
また、本発明の毛髪の損傷の程度を判定する方法は、毛髪の、パーマ処理および/または酸化処理による損傷の受けやすさを判定するために用いることができる。毛髪の、パーマ処理および/または酸化処理による損傷の受けやすさとは、毛髪にパーマ処理または酸化処理をした場合に、該毛髪が被るであろう損傷の程度を意味する。
本発明の毛髪の損傷の程度を判定により、損傷の程度が低い、例えば、未処理でであると判定された判定対象の毛髪の、複数の未処理の毛髪サンプル群における相対関係をみることにより、該判定対象の毛髪の損傷の受けやすさを判定することができる。すなわち、未処理であると判定された毛髪が、未処理サンプル群において比較的損傷が高いと判定された場合は、該毛髪は損傷を受けやすいと判定することができ、一方、未処理群において比較的損傷が低いと判定された場合は、該毛髪は損傷を受けにくいと判定することができる。このことは、後述の実施例においても説明されている。
以下、本発明を、実施例などを参照して詳細に説明するが、これらにより本発明の範囲が限定されることはない。
<毛髪サンプルの調製>
募集に応じた11名の被験者を、パーマ処理組(6人)とブリーチ処理組(5人)に無作為に分割した。各被験者(11名)から、毛髪の毛束(直径:7〜8mm)を三束ずつ採取した。採取された毛束を、以下に示すパーマ剤および/またはブリーチ剤で処理した。
用いられたパーマ剤およびブリーチ剤は、具体的には以下の通りである。
5%パーマ剤:チオグリコール酸アンモニウムを5質量%含む水溶液、および臭素酸ナトリウムを7質量%含む水溶液
10%パーマ剤:チオグリコール酸アンモニウムを10質量%含む水溶液、および臭素酸ナトリウムを7質量%含む水溶液
ブリーチ剤:過酸化水素水を3質量%およびアンモニアを3質量%含む水溶液
毛髪サンプルの調製1.
パーマ処理組の各被験者(6人)から採取した三束の毛髪の毛束のうちの一つは5%パーマ剤で処理し、別の一つは10%パーマ剤で処理し、残りの一つは未処理とした。
パーマ処理剤による処理は、以下の手順に従って行った。
1)500mLのビーカーに毛束(直径7mm程度)を10束程度入れた。さらにチオグリコール酸アンモニウム水溶液をいれて、毛髪を根元まで浸漬させた。浸漬された毛髪を約29℃で5分間放置した。得られた毛束を流水にて約3分間水洗した。
2)500mLのビーカーに、前記1)で得られた毛束(直径7mm程度)を10束程度入れた。さらに臭素酸ナトリウム水溶液をいれて、毛髪を根元まで浸漬させた。浸漬された毛髪を10分間放置した後、流水にて約3分間水洗した。
3)前記2)で得られた毛束、および未処理の毛束を40℃乾燥機で乾燥させた。
得られた毛髪サンプルをそれぞれ、5%パーマ処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、パーマ未処理サンプルと称する。
毛髪サンプルの調製2.
前記1で得られた5%パーマ処理サンプル、10%パーマ処理サンプルをそれぞれ、さらにブリーチ剤で1回処理した。具体的には500mLのビーカーに毛束を10束程度入れた。さらに、ブリーチ剤をいれて、毛髪を根元まで浸漬させた。浸漬された毛髪を20分間放置した後、流水にて約3分間水洗した。水洗された毛束を40℃乾燥機で乾燥させた。
得られた毛髪サンプルをそれぞれ、5%パーマ処理+ブリーチ処理サンプル、10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルと称する。
毛髪サンプルの調製3.
ブリーチ処理組の各被験者(5人)から採取した三束の毛髪の毛束のうちの一つはブリーチ剤で1回処理し、別の一つはブリーチ剤で3回処理し、残りの一つは未処理とした。
具体的には、500mLのビー力ーに毛束を10束程度入れた。さらにブリーチ剤を入れて、毛髪を根元まで浸漬させた。浸漬された毛髪を20分間放置した後、流水にて約3分間水洗した。これを1回または3回繰り返した。
得られた処理毛束および未処理毛束を40℃乾燥機で乾燥させた。
ここで得られた毛髪サンプルをそれぞれ、1回ブリーチ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプルと称する。
<毛髪サンプルの近赤外吸収スペクトルの測定>
毛髪サンプルの調製1〜3で得られた毛髪サンプルの近赤外吸収スペクトルを、20℃一定環境下において測定した。ここで、毛髪の箇所によって処理がばらついている可能性を考慮して、毛髪サンプルの1の毛束につき、ランダムに選択された6〜10箇所の部位について近赤外吸収スペクトルを測定した。
近赤外吸収スペクトルの測定には、フーリエ変換型近赤外分光光度計VECTOR 22/N(ブルカー・オプティクス(株)製)を用いた。測定条件は、分解能:8cm−1,測定波数:8000〜4000cm−1として、ファイバープローブを用いた拡散反射法を用いた。
前述の毛髪サンプルの調製1〜3で得られた毛髪サンプルの近赤外吸収スペクトルの、波数領域:5060〜4500cm−1についてデータ加工を行った。具体的には、平均化(Mean Center)、SNV(Standard Normal Variant)を行った後、二次微分を行った。
データ加工されたスペクトルを、4cm−1毎に分割して、分割されたスペクトルごとのスペクトル値(吸光度の二次微分値)を算出した。算出されたスペクトル値を行に、毛髪への処理内容(5%または10%パーマ処理、1回または3回のブリーチ処理、あるいはパーマ処理とブリーチ処理の組み合わせ)を列として、行列を作成した。作成された行列について、主成分分析を用いて多変量解析した。得られた解析結果から、第一の主成分を軸1、第二の主成分を軸2として、平面散布図を作成した。
これらのデータ加工および主成分分析は、多変量解析ソフト(Pirouetteバージョン3.11;ジーエルサイエンス(株))を用いて行った。
得られた多変量解析の解析結果から作成した平面散布図を図1に示した。図1に示された通り、未処理群、パーマ処理群、ブリーチ処理群または複合(パーマ+ブリーチ)処理群ごとに、非常に鮮明にクラス分けされていることがわかる。
具体的には、第一の主成分の軸(Factor1)の値が高いとパーマ処理による損傷の程度が高いことがわかる。さらに、チオグリコール酸アンモニウムの濃度が高いパーマ剤でパーマ処理された毛髪ほど、Factor1の値が高いことがわかる。
また、第二の主成分の軸(Factor2)の値が低いとブリーチ処理による損傷の程度が高いことがわかる。さらに、施されたブリーチ処理の回数が多い毛髪ほど、Factor2の値が低いことがわかる。
このように、毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理(ブリーチ処理)による損傷の程度が、NIRスペクトルの多変量解析の解析結果と明確な相関関係を示すことがわかる。
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトル、ならびにパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の程度が未知である毛束の近赤外吸収スペクトルを、実施例1と同様の手順でデータ加工して、主成分分析を行った。
得られた解析結果から作成した散布図を図2に示した。図2に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群が鮮明にクラス分けされており、かつ損傷の程度が未知である毛束からの結果のプロット位置から、当該毛髪が3回のブリーチ処理をされていると判定することができた。
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルについて、解析されるスペクトルの波数領域を5060〜4500cm−1から6000〜5500および5060〜4500cm−1に変更すること以外は、実施例1と同様の手順でデータ加工して、主成分分析を行った。
得られた解析結果から作成した散布図を図3に示した。図3に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群が鮮明にクラス分けされていることがわかる。
したがって上記サンプルとともに、損傷の程度が未知である毛髪サンプルの近赤外吸収スペクトルを、同様にデータ加工および多変量解析することにより、未知毛髪サンプルの損傷の程度を判定することができる。
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルについて、解析されるスペクトルの波数領域を5060〜4500cm−1から6000〜5500cm−1に変更すること以外は、実施例1と同様の手順でデータ加工して、主成分分析を行った。
得られた解析結果から作成した散布図を図4に示した。図4に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群が鮮明にクラス分けされていることがわかる。
したがって上記サンプルとともに、損傷の程度が未知である毛髪サンプルの近赤外吸収スペクトルを、同様にデータ加工および多変量解析することにより、未知毛髪サンプルの損傷の程度を判定することができる。
また、当該クラス分けは、波数領域5060〜4500cm−1のスペクトルを解析した場合のクラス分けの方がより鮮明であることもわかる。
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルについて、解析されるスペクトルの波数領域を5060〜4500cm−1から8000〜6000cm−1に変更すること以外は、実施例1と同様の手順でデータ加工して、主成分分析を行った。
得られた解析結果から作成した散布図を図5に示した。図5に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群が鮮明にクラス分けされていることがわかる。
したがって上記サンプルとともに、損傷の程度が未知である毛髪サンプルの近赤外吸収スペクトルを、同様にデータ加工および多変量解析することにより、未知毛髪サンプルの損傷の程度を判定することができる。
また当該クラス分けは、波数領域5060〜4500cm−1のスペクトルを解析した場合のクラス分けの方がより鮮明であることもわかる。
<比較例1>
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルについて、解析されるスペクトルの波数領域を5060〜4500cm−1から8000〜4000cm−1に変更すること以外は、実施例1と同様の手順でデータ加工して、主成分分析を行った。
得られた解析結果から作成した散布図を図6に示した。図6に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群のクラス分けが十分にされていないことがわかる。
<比較例2>
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルについて、解析されるスペクトルの波数領域を5060〜4500cm−1から4500〜4000cm−1に変更すること以外は、実施例1と同様の手順でデータ加工して、主成分分析を行った。
得られた解析結果から作成した散布図を図7に示した。図7に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群のクラス分けが十分にされていないことがわかる。
前記実施例1〜5、比較例1〜2の結果を表1にまとめた。
Figure 2005096938
<比較例3>
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルの、波数領域:5060〜4500cm−1についてデータ加工を行った。具体的には、平均化(Mean Center)を行った後、二次微分を行った。データ加工されたスペクトルを、実施例1と同様にして主成分分析した。
得られた解析結果から作成した散布図を図8に示した。図8に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群のクラス分けが十分にされていないことがわかる。
<比較例4>
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルの、波数領域:5060〜4500cm−1についてデータ加工を行った。具体的には、平均化(Mean Center)、MSC(Multiplicative Scatter Correction)を行った後、二次微分を行った。データ加工されたスペクトルを、実施例1と同様にして主成分分析した。
得られた解析結果から作成した散布図を図9に示した。図9に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群のクラス分けが十分にされていないことがわかる。
<比較例5>
前述の毛髪サンプルのうちの、未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルの、波数領域:5060〜4500cm−1についてデータ加工を行った。具体的には、平均化(Mean Center)、SNV(Standard Normal Variate)を行った後、一次微分を行った。データ加工されたスペクトルを、実施例1と同様にして主成分分析した。
得られた解析結果から作成した散布図を図10に示した。図10に示されたように、処理内容の異なる各サンプル群のクラス分けが十分にされていないことがわかる。
前述の未処理サンプル、10%パーマ処理サンプル、3回ブリーチ処理サンプル、および10%パーマ処理+ブリーチ処理サンプルの近赤外吸収スペクトルのいくつか(パーマ処理およびパーマ+ブリーチ処理:2サンプル、ブリーチ処理:3サンプル)について、各未処理サンプルの損傷の程度が、各処理後にどのように変化したかを調べた。この結果を図11に示した。
図11に示された通り、未処理サンプル同士の相対関係は、各処理後のサンプル同士での相対関係と一致していることがわかる。すなわち、未処理状態で損傷度がより低い毛髪は、パーマ処理および/またはブリーチ処理された場合に損傷度がより小さく、一方、未処理状態で損傷度が高い毛髪は、パーマ処理および/またはブリーチ処理に損傷度がより大きいことがわかる。
したがって、未処理状態での損傷の程度の判定結果から、処理後の損傷の程度を予測することができ、すなわち処理による毛髪の損傷の受けやすさを判定することができる。
本発明の方法により、毛髪の状態(損傷の程度)をモニタリングすることができるほか、本発明の方法により判定された毛髪の損傷の状態から、その毛髪に適した化粧料や処理方法を選択したり、ある化粧料や処理が毛髪に及ぼす効果を予測したりすることができる。

Claims (5)

  1. 毛髪の近赤外吸収スペクトルから、該毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度を判定する方法であって、
    1)毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度が既知である、二種以上の毛髪の近赤外吸収スペクトル(波数領域:8000〜4500cm−1)の多変量解析の解析結果から、毛髪のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度と近赤外吸収スペクトルの多変量解析の解析結果との相関関係を得るステップ、
    2)判定対象である、パーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度が未知である毛髪の近赤外吸収スペクトルを得るステップ、
    3)前記相関関係に基づいて、前記2)で得られた近赤外吸収スペクトルから、判定対象のパーマ処理による損傷および酸化処理による損傷の少なくともいずれか一方の程度を判定するステップを含む方法。
  2. 前記多変量解析が、主成分分析(PCA)法、シムカ(SIMCA)法またはKNN法を用いる解析である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸化処理による損傷が、ブリーチ処理による損傷である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 毛髪に施されたパーマ処理および/または酸化処理の程度を判定するための、請求項1に記載の方法。
  5. 毛髪の、パーマ処理および/または酸化処理による損傷の受けやすさを判定するための、請求項1に記載の方法。
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