JPWO2005084649A1 - 安定なカプセル剤 - Google Patents

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Abstract

イミダゾール系PPI化合物等水分に不安定な薬物を含有する顆粒、細粒、錠剤等の固形製剤を乾燥などにより低水分化し、プルランなどの水溶性多糖類を主成分とするカプセルまたはPEG配合ゼラチンカプセルに充填することにより、不安定な活性成分の安定化が図られたカプセル剤を得る。また、さらに安定化を図るためにこれらカプセル剤自体を乾燥してもよい。得られたカプセル剤は、低水分状態で安定なカプセルを用いた、イミダゾール系化合物等の水分に不安定な薬物を含有する安定なカプセル剤である。

Description

本発明は、低水分状態で安定なカプセルを用いた、水分に不安定な薬物、例えばイミダゾール系化合物のPPI等を含有する安定なカプセル剤に関する。
ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール等のベンズイミダゾール(ベンツイミダゾールともいう)系化合物(以下、本明細書ではベンズイミダゾール系化合物と称する)は、プロトンポンプとしての役割を担っている(H+K)−ATPaseのSH基と結合し、該酵素活性を抑制することにより、プロトンポンプ阻害作用(以下PPI作用と称することがある)を有し、胃酸分泌抑制作用や胃粘膜防御作用を発揮する。これらのプロトンポンプインヒビター(以下、「PPI」と略す)は、消化性潰瘍治療剤等として、広く使用されている。
しかし、これらの化合物は、酸および水に対して非常に不安定であり、変色および分解等著しい。酸に対する安定性に対しては、腸溶性被膜を施すことや無毒性塩基を配合することにより安定性を向上することが既に知られている。特に腸溶性の被膜を施した腸溶性顆粒剤や腸溶性細粒剤等を含むカプセル剤が知られている(特許文献1)。
一方、水分に対する安定性を向上させるためには、製剤自体を低水分とすることが最も有効な手段である。ところが、ベンズイミダソール系化合物を有する製剤として一般的なカプセル剤の場合、汎用されるハードゼラチンカプセルでは低水分で機械的強度が弱くなり、割れやすいという問題点がある。
一方、セルロース誘導体を主成分とするカプセル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル(以下、HPMCカプセルと略す))は、低水分においても機械的強度を有し、PPI等を活性成分とするHPMCカプセル剤が知られている(特許文献2)。しかしこれらHPMCカプセル剤はハードゼラチンカプセルに比べて、低pHで溶解性が低いという問題点を有する。速やかな薬物効果を発現させるには、低pHでの胃内でカプセルが速やかに溶解することが望ましく、特にベンズイミダゾール系化合物で多く採用されている腸溶性顆粒剤や腸溶性細粒剤を含むカプセル剤では、胃内でカプセルが溶解し、カプセルから顆粒が放出され、胃内から排出され、腸内に到達後、顆粒内から薬物が溶解、吸収されることにより初めて薬効が発現する。
ベンズイミダソール系化合物で代表されるような水分に不安定な薬物を含有する製剤については、安定性向上のため製剤を低水分とすることが望まれるため、これらの薬物を充填するカプセル剤は、低水分でも機械的強度を維持し、かつ、pHに依存せずに速やかに溶解するものが望ましい。
国際公開弟03/32953号パンフレット 国際公開弟02/39980号パンフレット
本発明は、イミダゾール系PPI化合物など、水分に不安定な医薬活性成分を含有する安定化されたカプセル剤を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
(1)水分に不安定な薬物を含有する、低水分状態で安定で、pH非依存的崩壊特性をもつカプセル剤、
(2)相対湿度が35%程度以下の低水分状態で安定である上記(1)記載のカプセル剤、
(3)カプセルの主成分がポリエチレングリコールを配合したゼラチンである上記(1)記載のカプセル剤、
(4)カプセルの主成分が水溶性多糖類である上記(1)記載のカプセル剤、
(5)カプセルの主成分がプルランである上記(1)記載のカプセル剤、
(6)カプセルの主成分がポリエチレングリコールを配合したゼラチンであるカプセル剤皮と、カプセルの主成分がプルランであるカプセル剤皮とを組み合わせた上記(1)記載のカプセル剤、
(7)水分に不安定な薬物がプロトンポンプインヒビター(PPI)である上記(1)記載のカプセル剤、
(8)PPIが式(I’):
Figure 2005084649
〔式中、環C’は置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環を、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基を、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基を、およびYは窒素原子またはCHを示す〕で表されるイミダゾール系化合物、もしくはその光学活性体またはその塩である上記(7)記載のカプセル剤、
(9)C’が置換基を有していてもよいベンゼン環である上記(8)記載のカプセル剤、
(10)PPIが、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾールまたはテナトプラゾールもしくはその光学活性体またはその塩である上記(7)記載のカプセル剤、
(11)PPIが、ランソプラゾールである上記(7)記載のカプセル剤、
(12)PPIが、ランソプラゾールの光学活性体(R体)である上記(7)記載のカプセル剤、
(13)水分に不安定な薬物が、PPIのプロドラッグである上記(1)記載のカプセル剤、
(14)カプセル内容物が粉末剤である上記(1)記載のカプセル剤、
(15)カプセル内容物が被覆されていてもよい細粒剤、被覆されていてもよい顆粒剤および/または被覆されていてもよい錠剤である上記(1)記載のカプセル剤、
(16)細粒剤、顆粒剤および錠剤から選ばれる2種以上の固形製剤を組み合わせて含有する上記(15)記載のカプセル剤、
(17)組み合わされる固形製剤の薬剤の放出性が異なる上記(16)記載のカプセル剤、
(18)組み合わされる固形製剤の1種以上は被覆層を有する上記(16)記載のカプセル剤、
(19)被覆層が、腸溶性被膜層である上記(18)記載のカプセル剤、
(20)被覆層が、放出制御被膜層を含む上記(18)記載のカプセル剤、
(21)放出制御被膜層が、pH6.0以上pH7.5以下の範囲で溶解する高分子物質を含有するpH依存溶解性放出制御被膜である上記(20)記載のカプセル剤、
(22)放出制御被膜層が、拡散制御型放出制御被膜である上記(21)記載のカプセル剤、
(23)放出制御被膜層が、時限放出型放出制御被膜である上記(21)記載のカプセル剤、
(24)腸溶性被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤と放出制御被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤とを組み合わせて含有する上記(16)記載のカプセル剤、
本発明の水溶性多糖類を主成分とするカプセル(例えば、プルランカプセル)またはPEG配合ゼラチンカプセルを用いたカプセル剤においては、カプセル自体が低水分での機械的強度に優れており、割れにくいので、PPI作用を有するイミダゾール系化合物等水分に不安定な薬物を含有する固形製剤(例えば、粉末剤、細粒剤、顆粒剤または錠剤)を充填し、薬物の安定性改善のために低水分化を施してもカプセルは安定であるため、薬物のみならずカプセルも含め、製剤全体が安定化される。さらに本発明に用いるPEG配合ゼラチンカプセルやプルランカプセル等は低pHにおける溶解性にも優れていることから、胃内で速やかにカプセルが溶解し、ひいては薬効が速やかに発現する効果を奏する。
本発明に係るカプセル剤は、水分に対して不安定な薬物、例えば水分に極めて不安定な上記式(I’)で表される、PPI作用を有するイミダゾール系化合物を含有するカプセル剤を乾燥などにより低水分化し、水溶性多糖類を主成分とするカプセルまたはPEG配合ゼラチンカプセル等に充填することにより、不安定な活性成分の安定化が図られたカプセル剤である。また、さらに安定化を図るためにこれらカプセル剤自体を乾燥してもよい。

水溶性多糖類を主成分とするカプセル(例えば、プルランカプセル)およびポリエチレングリコール(PEG)配合ゼラチンカプセル(以下、PEG配合ゼラチンカプセルと略す)としては、通常のゼラチンハードカプセルに比べて、低水分での機械的強度が優れており、割れにくいもので、pH非依存性崩壊特性をもつものが用いられる。また、これと同様に機械的強度が優れた特性を持つセルロース誘導体を主成分とするカプセル(例えば、HPMCカプセル)に比べて、低pHにおける溶解性に優れていることから、胃内での速やかなカプセルの溶解、ひいては薬効の速やかな発現が期待できる。このように、安定性改善のために低水分化を必要とするPPI作用を有するイミダゾール系化合物等の水分に不安定な薬物を含有する固形製剤(例えば、粉末剤、細粒剤、顆粒剤または錠剤)を充填するカプセルとして、水溶性多糖類を主成分とするカプセル(例えば、プルランを主成分とするカプセル;以下単にプルランカプセルということがある)およびPEG配合ゼラチンを主成分とするカプセル(PEG配合ゼラチンカプセルと略称することがある)等を用いることにより、薬物のみならずカプセルも含め、製剤全体の安定化が可能になる。
本発明で用いられる水溶性多糖類を主成分とするカプセルとするカプセルとしては、低水分状態で安定で、pH非依存的崩壊特性をもつカプセルで水溶性多糖類を主成分とするカプセルであれば制限されない。
「pH非依存的崩壊特性」とは、カプセル剤皮の崩壊性が胃内を想定した低pH(例えば、pH1.2)と小腸内を想定した中性領域(例えば、pH6−7)で実質的に同等であるような特性をいう。
ここで、「崩壊性」とは、試験液中でカプセル剤皮が溶解等によりカプセル形態を保持できなくなり、カプセル内容物を放出することを意味し、例えば、放出したカプセル内容物の薬物濃度を測定すること、または、目視観察でカプセルからの内容物放出時間を観察することで評価することができるが、この限りではない。
ここで、崩壊性が「実質的に同等」とは、カプセルからの内容物放出開始時間およびその後の薬物放出挙動が同等であることを意味するか、または、目視観察したカプセルからの内容物放出開始時間および終了時間が同等であることを意味する。
薬物溶出挙動は、溶出率の時間変化を測定することにより求めることができる。
崩壊性を評価する具体例としては、例えば、日局崩壊試験法(第14改正)に準じて行うことができる。または、日局溶出試験法第1法、第2法(第14改正)に準じて行うことができる。例えば低pHと中性領域における崩壊性を上記崩壊試験法に準じて比較した場合の内容物放出開始時間の差異が30分以内、好ましくは15分以内、より好ましくは5分以内であれば同等と判断される。
水溶性多糖類のうち、カプセルの主成分となりうるものには、プルラン、寒天、カラギーナン、デンプン、またはグアガムなど様々な素材が考えられるが、とりわけ、カプセルとするための成形性、機械的強度および溶解性に優れるプルランが望ましい。これらのうち、37℃での溶出性や機械特性はゼラチンカプセルに類似する一方、ゼラチンカプセルに比べ、低水分状態で格段に安定で、また酸素の透過に対し優れた遮断性を有するカプセル等が好ましい。このようなカプセルとしては、プルランが約50〜約99重量%(好ましくは約70〜約90重量%)配合されたカプセル、たとえばNPcaps(CAPSUGEL製)等が挙げられる。
また、PEG配合ゼラチンカプセルとしては、カプセル剤皮に柔軟性を持たせる目的でポリエチレングリコールを配合したカプセルであって、従来のゼラチンカプセルの欠点であった低水分時の機械的強度の低下が改善されたカプセルが好適である。PEGの配合量は約1〜約30重量%、好ましくは約1〜約10重量%である。分子量200−20000のPEGを配合したゼラチンカプセルが好ましく、とりわけPEG4000(平均分子量 2600〜3800)を配合したゼラチンカプセルが特に好ましい。例えば特公平6−11696に記載のゼラチンカプセルなどが挙げられる。例えば市販のPEG配合ゼラチンカプセル(シオノギクオリカプス社製)等を用いることができる。
さらに、低水分状態で安定で、pH非依存的崩壊特性をもつようなカプセル剤皮を2種類組み合わせたカプセルも使用できる。たとえば、カプセルを構成するカプセル剤皮の一方に水溶性多糖類(プルランなど)を主成分とするカプセル剤皮を、もう一方には、PEGを配合したゼラチンカプセル剤皮を使用し、これらを組み合わせたカプセルなども用いることができる。
ここで、本明細書において「腸溶性被膜」とは通常のpHが約5.5近辺で溶解する被膜をいい、「時限放出型被膜」とは目的とする一定時間経過後に、被膜層が崩壊または溶解することにより、速やかに活性成分を放出する制御膜をいい、「放出制御被膜」とは通常の腸溶性被膜は含まず、通常の腸溶性被膜とは異なるpH領域において溶解するpH依存性被膜または膜自体は溶解しないが膜に生じた細孔を通じて活性成分を放出する拡散制御膜をいうものとする。
本発明に用いられる「水分に不安定な薬物」としては、一般に水分により、劣化、着色、分解などの何らかの変性を生じる医薬活性成分等の薬物が含まれる。このような薬物のうち、低水分状態で保存・保持することが望まれる薬物には特に好ましく適用される。通常相対湿度が30%程度以上、とりわけ40%程度以上の湿度環境で着色や劣化などの何らかの変性を生じる薬物が含まれる。
ここで、相対湿度(relative humidity; RH)は、環境中の水分量の指標として用いられるものである。また、ある相対湿度(湿度環境下)におかれた物質あるいは、組成物の平衡に達した湿度指標としては、平衡相対湿度(equilibrium relative humidity; ERH)が用いられる。平衡相対湿度とは、物質あるいは組成物のもつ水分量の指標として用いられるもので、いわゆる水分活性(「水分活性(Aw)」とはwater activityでありmobile waterを意味する。参考文献 Pharmaceutical Research, Vol.8, No.3,1991(p292-p297), D.R. Heidemann and P.J. Jarosz)の100倍の値を意味する。したがって、本発明においては、内味(薬物、その他の担体などからなるカプセル内包物)、カプセル剤皮、およびそれらからなるカプセル剤全体がもつ水分量を水分活性の観点から評価した指標「ERH」に置き換えて用いてもよい。この指標(ERH)はカプセル剤に限らず、錠剤、顆粒、散剤、液剤、半固形剤、注射剤等にも活用されるものである。当該平衡相対湿度は、例えばロトロニック水分活性測定装置(Rotronic AG製)により測定できるが、この限りではない。
上記のような水分に不安定な薬物を含有するカプセル剤で、安定性向上のため低水分状態にした場合にも安定であるカプセルを本発明では用いられるが、ここでいう低水分状態は、ゼラチンカプセルが保持されればひび割れ等が生じるような低水分状態をいい、とりわけ通常相対湿度35%程度以下、とりわけ25%程度以下の湿度環境下で、カプセル自体のLOD(乾燥減量)値が約10%以下、とりわけ約5%以下のような低水分状態をいう。このような状態でもひび割れ等の変性が生じない安定なプルラン等の水溶性多糖類を主成分とするカプセルかポリエチレングリコールを配合したゼラチンを主成分とするカプセルが好ましく用いられる。
本発明におけるカプセルに内包される薬物それ自体、または担体などその他のカプセル内包物は、相対湿度は35%程度以下、とりわけ25%程度以下の低水分状態で保存・保持されることが好ましく、かかる低水分状態のカプセル剤皮、内味、およびそれらからなるカプセル剤のいずれも相対湿度35%程度以下、とりわけ25%程度以下の湿度環境にコントロールすることが望ましく、物理化学的に安定なカプセル剤を製造することができる。
低水分状態でカプセル自体あるいはカプセル剤が安定であるかどうかは、例えば一定温度(例、25℃)に、一定の相対湿度環境下(例えば、11%RH)にて、一定期間(例えば、1週間程度、好ましくは2週間程度)保管し、平衡状態とし、保管後のカプセル剤を横置きし、オートグラフ(5000kgfロードセル)で、例えば圧縮速度:300mm/minで加圧した時のカプセルの割れ率から評価することができる。
本発明で用いられる水分に不安定な薬物としては、例えば、プロカイン、アトロピン、アスピリン、チアミン、ペニシリン、セファロスポリンおよびプロトンポンプインヒビター(PPI)などのうち水分に不安定なもの等が挙げられる。
本発明で用いられるPPI作用を有するイミダゾール系化合物としてはランソプラゾールとその光学活性体等の下記一般式(I’)で表される酸に不安定なイミダゾール系化合物、とりわけ式(I)さらに式(Ia)で表される酸に不安定なベンズイミダゾール系化合物、または後記一般式(II)で表される比較的酸に安定なイミダゾール系化合物のプロドラッグやその他公知のPPIのプロドラッグもしくはそれらの光学活性体またはそれらの塩であるPPIなどを活性成分として用いたカプセル剤等は、すぐれた薬物自体と製剤の安定性を有する。
Figure 2005084649
式中、環C’は置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環を、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基を、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基を、およびYは窒素原子またはCHを示す。
上記式(I’)で表される化合物のうち、特に、環C’が置換基を有していてもよいベンゼン環である化合物については下記式(I)で表す。
Figure 2005084649
すなわち、式(I)中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を示し、R、R、R、RおよびYは上記式(I’)におけると同意義である。
前記式(I)において、好ましい化合物は、環Aが、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれた置換基を有していてもよいベンゼン環であり、Rは水素原子、置換されていてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基であり、RがC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはジ−C1−6アルキルアミノ基であり、Rが水素原子、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、Rが水素原子またはC1−6アルキル基であり、Yが窒素原子である化合物である。
特に好ましくは、式(Ia):
Figure 2005084649
〔式中、RはC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基、Rはハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基、Rは水素原子またはC1−3アルキル基、Rは、水素原子、ハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基またはピロリル基(例えば、1−,2−または3−ピロリル基)を示す〕で表される化合物である。
式(Ia)において、RがC1−3アルキル基、Rがハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基、Rが水素原子、Rが水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基である化合物が特に好ましい。
上記式(I)で表される化合物〔以下、化合物(I)と称する、以下同様に略称することがある〕中、環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基、5ないし10員複素環基などが挙げられ、これらの置換基はベンゼン環に1ないし3個程度置換していてもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。これらの置換基のうち、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基などが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子などが挙げられる。なかでもフッ素が好ましい。
「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、例えば、C1−7アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基など)が挙げられる。「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等)、カルバモイル基などで例示でき、これらの置換基の数は1ないし3個程度であってもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「アルコキシ基」としては、例えば、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様のものが例示でき、置換基の置換数も同様である。
「アリール基」としては、例えば、C6−14アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニル、2−アンスリル基等)などが挙げられる。
「アリールオキシ基」としては、例えば、C6−14アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基等)などが挙げられる。
「アシル基」としては、例えば、ホルミル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル基などが挙げられる。
「アルキルカルボニル基」としては、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」としては、例えば、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイル基」としては、N−C1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル基等)、N,N−ジC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル基等)が挙げられる。
「アシルオキシ基」としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルカルバモイルオキシ基、アルキルスルフィニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基などが挙げられる。
「アルキルカルボニルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、例えばC1−6アルコキシ−カルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基(例えば、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルフィニルオキシ基(例えば、メチルスルフィニルオキシ、エチルスルフィニルオキシ、プロピルスルフィニルオキシ、イソプロピルスルフィニルオキシ基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ基等)が挙げられる。
「5ないし10員複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば、1〜3個)を含む5ないし10員(好ましくは5または6員)複素環基が挙げられ、具体例としては、2−または3−チエニル基、2−、3−または4−ピリジル基、2−または3−フリル基、1−、2−または3−ピロリル基、2−、3−、4−、5−または8−キノリル基、1−、3−、4−または5−イソキノリル基、1−、2−または3−インドリル基などが挙げられる。このうち好ましくは1−、2−または3−ピロリル基などの5または6員複素環基である。
好ましくは、環Aは、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれる置換基を1または2個有していてもよいベンゼン環である。
上記式(I’)において、環C’で表される「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の芳香族単環式複素環等が挙げられる。これらC’環で示される「芳香族単環式複素環」としては、とりわけ、上記した環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と「置換基を有していてもよいピリジン環」が好ましい。C’環で示される「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」は、上記環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。
「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」がイミダゾール部分と縮合する位置に特に限定はない。
上記式(I’)または(I)において、Rで示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」としては、例えば、C7−16アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチルなどのC6−10アリールC1−6アルキル基等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様の置換基が例示でき、置換基の数は1ないし4個程度である。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
で示される「アシル基」としては、例えば、上記環Aの置換基として記載した「アシル基」が挙げられる。
で示される「アシルオキシ基」としては、例えば、上記環Aの置換基として記載した「アシルオキシ基」が挙げられる。
好ましいRは水素原子である。
上記式(I’)または(I)において、R、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルキル基」が挙げられる。
、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアルコキシ基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルコキシ基」が挙げられる。
、RまたはRで示される「置換基を有してもよいアミノ基」としては、例えば、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ等)、モノ−C6−14アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ等)、ジ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、ジ−C6−14アリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ等)などが挙げられる。
好ましいRは、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基である。さらに好ましいRはC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基である。
好ましいRは、水素原子、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基である。さらに好ましいRはハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基である。
好ましいRは、水素原子またはC1−6アルキル基である。さらに好ましいRは水素原子またはC1−3アルキル基(特に水素原子)である。
好ましいYは窒素原子である。
化合物(I)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−イミダゾール(ランソプラゾール)、2−[[(3,5−ジメチルー4−メトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール、2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩、5−ジフルオロメトキシ−2−[[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールなど。
これらの化合物のうち、特にランソプラゾールすなわち2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールが好ましい。
上記した、ベンズイミダゾール系化合物のPPIのほかにイミダゾピリジン系化合物のPPIも本発明が好適に適用される。このようなイミダゾピリジン系化合物のPPIとしては、例えば、テナトプラゾールが挙げられる。
なお、上記化合物(I’)、(I)、(Ia)は、ラセミ体であってもよく、R−体、S−体などの光学活性体であってもよい。例えば、ランソプラゾールの光学活性体、すなわち(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下ランソプラゾールR体と称することがある)および(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル)メチル)スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(以下ランソプラゾールS体と称することがある)などの光学活性体が特に本発明に好適である。尚、ランソプラゾール、ランソプラゾールR体およびランソプラゾールS体等は通常結晶が好ましいが、結晶のみならず非晶形のものも用いることができる。
化合物(I’)および化合物(I)、(Ia)の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。有機塩基との塩の好適な具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
これらの塩のうち好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。とりわけナトリウム塩が好ましい。
化合物(I’)または(I)、(Ia)は、自体公知の方法により製造でき、例えば、特開昭61−50978号、米国特許4,628,098、特開平10195068号、WO 98/21201、特開昭52−62275号、特開昭54−141783号等に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造される。なお、光学活性な化合物(I)は、光学分割法(分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法、微生物または酵素を用いる方法など)不斉酸化などの方法で得ることができる。また、ランソプラゾールR体は、例えばWO 00−78745、WO 01/83473等に記載の製造法などに従い製造することもができる。
本発明で用いる酸分泌抑制作用を有するイミダゾール系化合物としては、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、レミノプラゾール、テナトプラゾール(TU−199)などまたはそれらの光学活性体ならびにそれらの薬学的に許容される塩が好ましく、さらに好ましくはランソプラゾールまたはその光学活性体特にR体が好ましい。ランソプラゾールまたはその光学活性体特にR体は、結晶形が好ましいが非晶形であってもよい。また、これらPPIのプロドラッグで水分に不安定なものにも好都合に適用される。
これらのプロドラッグの好ましいものとして、化合物(I)または(I’)に含まれるプロドラッグに加え、WO03-105845に記載のプロドラッグ、すなわち下記一般式(II)で表される化合物およびWO02-30920およびWO03-270982記載のプロドラッグ等が挙げられる。
Figure 2005084649
上記式(II)で表される化合物〔以下、化合物(II)と称する〕において、B環は「置換基を有していてもよいピリジン環」を示す。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」のピリジン環はその置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)、アミド基(例えば、ホルムアミド、アセトアミド等のC1−3アシルアミノ基等)、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、3−メトキシプロポキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、低級アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1−3アルキレンジオキシ基等)等が挙げられる。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」の置換基が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等の炭素数1ないし6のアルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数7ないし11のアラルキルオキシ−カルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリールオキシ基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニルオキシ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル;メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたカルバモイル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)等が挙げられ、置換基の数および置換位置に特に限定はない。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」の置換基の数および置換位置に特に限定はないが、1ないし3個の上記置換基がピリジン環の3、4、および5位のいずれかに置換しているのが好ましい。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」としては、3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジルが好ましい。
本発明において、C環はイミダゾール部分と縮合する「置換基を有していてもよいベンゼン環」または「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」を示し、なかでも前者が好ましい。
C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の該ベンゼン環はその置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)、アミド基(例えば、ホルムアミド、アセトアミド等のC1−3アシルアミノ基等)、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、低級アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1−3アルキレンジオキシ基等)等が挙げられる。
C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の置換基が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等の炭素数1ないし6のアルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数7ないし17のアラルキルオキシ−カルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリールオキシ基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニルオキシ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル;メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたカルバモイル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)等が挙げられ、置換基の数および置換位置に特に限定はない。
C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」としては、ベンゼン環が好ましい。
C環で示される「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の芳香族単環式複素環等が挙げられる。これらC環で示される「芳香族単環式複素環」としては、とりわけ、ピリジン環が好ましい。C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。
「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」がイミダゾール部分と縮合する位置に特に限定はない。
本発明において、X1、X2はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を示す。X1およびX2がともに酸素原子を示す場合が好ましい。
本発明において、Wは「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」、あるいは式:
Figure 2005084649
(式中、W1、W2はそれぞれ「二価の鎖状炭化水素基」または結合手を示し、Zは「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」、「置換基を有していてもよい二価の複素環基」、酸素原子、SOn(式中、nは0、1または2を示す)または>N−E(式中、Eは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、チオカルバモイル基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、スルファモイル基、モノ−低級アルキルスルファモイル基、ジ−低級アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アリールスルフィニル基、アリールスルホニル基、アリールカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基を示す)を示し、Zが酸素原子、SOnまたは>N−Eである場合、W1、W2はそれぞれ「二価の鎖状炭化水素基」を示す)で表わされる二価の基を示す。なかでも、Wとしては「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」が好ましい。
Wで示される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」および、W1、W2で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、例えば、C1−6アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン等)、C2−6アルケニレン基(例えば、エテニレン等)、C2−6アルキニレン基(例えば、エチニレン等)等が挙げられる。Wの二価の鎖状炭化水素基は、C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし6個有していてもよい。
Wで示される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」および、W1、W2で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、メチレン基、エチレン基が好ましい。Wとしては、エチレン基が特に好ましい。Zが酸素原子、SOnまたは>N−E(n及びEは前義の通り)のとき、W1で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、炭素数2以上の炭化水素基が好ましい。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「炭化水素環」としては、例えば、脂環式炭化水素環および芳香族炭化水素環等が挙げられ、炭素数3ないし16のものが好ましく、C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。炭化水素環としては、例えば、シクロアルカン、シクロアルケンおよびアレーン等が用いられる。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「シクロアルカン」としては、例えば、低級シクロアルカン等が好ましく、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびアダマンタン等のC3−10シクロアルカン等が汎用される。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「シクロアルケン」としては、例えば低級シクロアルケンが好ましく、例えばシクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のC4−9シクロアルケン等が汎用される。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「アレーン」としては、例えばベンゼン、ナフタレン、フェナントレン等のC6−14アレーン等が好ましく、例えばフェニレン等が汎用される。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「複素環」としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む、5〜12員の「芳香族複素環」あるいは「飽和または不飽和の非芳香族複素環」等が挙げられ、C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「芳香族複素環」としては、芳香族単環式複素環または芳香族縮合複素環等が挙げられる。
該「芳香族単環式複素環」としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の芳香族単環式複素環等が挙げられる。
該「芳香族縮合複素環」としては、例えば、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、1,2−ベンゾイソチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチイン、チアントレン、フェナントリジン、フェナントロリン、インドリジン、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジン、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジン等の8〜12員の芳香族縮合複素環等が挙げられる。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「飽和または不飽和の非芳香族複素環」としては、例えば、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、アゼパン、オキセパン、チエン、オキサゼパン、チアゼパン、アゾカン、オキソカン、チオカン、オキサゾカン、チアゾカン等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族複素環(脂肪族複素環)などが挙げられる。これらは、オキソ置換されていてもよく、例えば、2−オキソアゼチジン、2−オキソピロリジン、2−オキソピペリジン、2−オキソアゼパン、2−オキソアゾカン、2−オキソテトラヒドロフラン、2−オキソテトラヒドロピラン、2−オキソテトラヒドロチオフェン、2−オキソチアン、2−オキソピペラジン、2−オキソオキセパン、2−オキソオキサゼパン、2−オキソチエパン、2−オキソチアゼパン、2−オキソオキソカン、2−オキソチオカン、2−オキソオキサゾカン、2−オキソチアゾカン等でもよい。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「炭化水素環基」あるいは「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「複素環基」からの2本の結合手は可能な位置であればどこでもよい。
Eで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」は、後述で定義する通りである。
Eで示される「低級アルカノイル基」として、例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1−6アルキル−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルコキシカルボニル基」として、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシ−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「アラルキルオキシカルボニル」として、例えば、ベンジルオキシカルボニル等のC7−11アラルキルオキシ−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルキルスルフィニル基」として、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等のC1−6アルキルスルフィニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルキルスルホニル基」として、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1−6アルキルスルホニル基等が用いられる。
Eで示される「モノ−低級アルキルスルファモイル基」として、例えば、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル等のモノ−C1−6アルキルスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「ジ−低級アルキルスルファモイル基」として、例えば、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル等のジ−C1−6アルキルスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルファモイル基」として、例えば、フェニルスルファモイル、ナフチルスルファモイル等のC6−10アリールスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルフィニル基」として、例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等のC6−10アリールスルフィニル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルホニル基」として、例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6−10アリールスルホニル基等が用いられる。
Eで示される「アリールカルボニル基」として、例えば、ベンゾイル、ナフトイル等のC6−10アリール−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「置換基を有していてもよいカルバモイル基」として、例えば、式−CONR23(式中、R2およびR3はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、式−CONR23において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基等が用いられる。
本発明において、Rは「置換基を有していてもよい炭化水素基」または「置換基を有していてもよい複素環基」を示し、また、RはWと結合することができ、なかでも、置換基を有していてもよいC1−6炭化水素基、とりわけ低級(C1−6)アルキル基が好ましい。Rで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」は、後述で定義する通りである。また、RがWと結合する場合については後述にて詳説する。
本発明において、D1、D2は、それぞれ、結合手、酸素原子、硫黄原子または>NR1を示し、式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。ただし、本発明においては、D1とD2がともに結合手である場合は除かれる。なかでも、D1、D2がそれぞれ結合手または酸素原子であるのが好ましく、特に、D1が酸素原子であり、かつD2が酸素原子または結合手であるのが好ましい。R1で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」は、後述で定義する通りである。
本発明において、Gは「置換基を有していてもよい炭化水素基」または「置換基を有していてもよい複素環基」を示し、なかでも置換基を有していてもよいC1−6炭化水素基、または置換基を有していてもよく、環構成原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する飽和複素環基が好ましい。とりわけ、Gとしては、置換基を有していてもよいC1−6炭化水素基、または置換基を有していてもよく、環構成原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子をさらに1ないし3個含有していてもよい飽和含酸素複素環基が好ましい。Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」または「置換基を有していてもよい複素環基」は、下記に定義する通りである。
上記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式−脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族−飽和または不飽和の脂環式炭化水素基等が挙げられ、好ましくは炭素数1ないし16、より好ましくは炭素数1ないし6のものが挙げられる。具体的には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニルアルキル基、アリール基およびアリールアルキル基等が用いられる。
「アルキル基」は、例えば、低級アルキル基(C1−6アルキル基)等が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、1−エチルプロピルおよびヘキシル等のC1−6アルキル基等が汎用される。Rにおいては低級アルキル基(C1−6アルキル基)が好ましく、特にメチル基が好ましい。
「アルケニル基」は、例えば、低級アルケニル基等が好ましく、例えばビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルおよび2,2−ジメチル−ペント−4−エニル等のC2−7アルケニル基等が汎用される。
「アルキニル基」は、例えば、低級アルキニル基等が好ましく、例えばエチニル、プロパルギルおよび1−プロピニル等のC2−6アルキニル基等が汎用される。
「シクロアルキル基」は、例えば、低級シクロアルキル基等が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルおよびアダマンチル等のC3-10シクロアルキル基等が汎用される。
「シクロアルケニル基」は、例えば、低級シクロアルケニル基等が好ましく、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル等のC3−10シクロアルケニル基等が汎用される。
「シクロアルキルアルキル基」は、例えば、低級シクロアルキルアルキル基等が好ましく、例えば、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルおよびシクロヘキシルエチル等のC4−9シクロアルキルアルキル基等が汎用される。
「シクロアルケニルアルキル基」は、例えば、低級シクロアルケニルアルキル基等が好ましく、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチル、シクロヘキセニルエチル、シクロヘキセニルプロピル、シクロヘプテニルメチル、シクロヘプテニルエチルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチル等などのC4−9シクロアルケニルアルキル等が汎用される。
「アリール基」は、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルおよび2−アンスリル等のC6−14アリール基等が好ましく、例えばフェニル基等が汎用される。
「アリールアルキル基」は、アリール部分としては上記で定義した「アリール基」を有し、アルキル部分としては上記で定義した「アルキル基」を有する。なかでも、例えば、C6−14アリール−C1−6アルキル基が好ましく、例えば、ベンジル、フェネチル等が汎用される。
上記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、ハロゲン化されていてもよい低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、1−エチルプロピルおよびヘキシル等のC1−6アルキル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、6,6,6−トリフルオロヘキシル等のモノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノ−C1−6アルキル基等)、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1−3アルキレンジオキシ基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等のC1−6アルコキシ基等)、ハロゲン化されていてもよい低級アルコキシ基(例えば、クロロメチルオキシ、ジクロロメチルオキシ、トリクロロメチルオキシ、フルオロメチルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2−ブロモエチルオキシ、2,2,2−トリフルオロエチルオキシ、ペンタフルオロエチルオキシ、3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ、4,4,4−トリフルオロブチルオキシ、5,5,5−トリフルオロペンチルオキシ、6,6,6−トリフルオロヘキシルオキシ等のモノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノ−C1−6アルコキシ基等)、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ等のC1−6アルキルチオ基等)、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1−6アルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ等のC1−6アルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル等のC7−11アラルキルオキシ−カルボニル基等)、チオカルバモイル基、低級アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等のC1−6アルキルスルフィニル基等)、低級アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1−6アルキルスルホニル基等)、スルファモイル基、モノ−低級アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル等のモノ−C1−6アルキルスルファモイル基等)、ジ−低級アルキルスルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル等のジ−C1−6アルキルスルファモイル基等)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル、ナフチルスルファモイル等のC6−10アリールスルファモイル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等のC6−10アリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等のC6−10アリールオキシ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等のC6-10アリールチオ基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等のC6−10アリールスルフィニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6−10アリールスルホニル基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル等のC6−10アリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等のC6−10アリール−カルボニルオキシ基等)、ハロゲン化されていてもよい低級アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、トリフルオロアセチルアミノ等のハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル−カルボニルアミノ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、式−CONR23(式中、R2およびR3はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、式−CONR23において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、式−NR23(式中、R2およびR3は前記と同意義を示す。また、式−NR23において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基)、置換基を有していてもよいウレイド基(例えば、式−NHCONR23(式中、R2およびR3は前記と同意義を示す。また、式−NHCONR23において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基)、置換基を有していてもよいカルボキサミド基(例えば、式−NR2COR3(式中、R2およびR3は前記と同意義を示す)で表わされる基)、置換基を有していてもよいスルホンアミド基(例えば、式−NR2SO23(式中、R2およびR3は前記と同意義を示す)で表わされる基)、置換基を有していてもよい複素環基(R2およびR3で示されるものと同意義である)等が用いられる。
2およびR3における「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、シクロアルケニル基(例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル基等の炭素数3ないし8のシクロアルケニル基等)、シクロアルキルアルキル基(例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル−炭素数1ないし6のアルキル基等)、シクロアルケニルアルキル基(例えば、シクロブテニルメチル、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチル基等の炭素数3ないし8のシクロアルケニル−炭素数1ないし6のアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールアルキル基(例えば、ベンジル、ナフチルメチル基等の炭素数6ないし14のアリール−炭素数1ないし6のアルキル基等)等が挙げられる。
2およびR3で示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、ピリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、2−オキソアゼピニル、フリル、デカヒドロイソキノリル、キノリニル、インドリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、モルホリニル等の窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれた1〜2種のヘテロ原子1〜4個を含有する、5〜12員の、単環式または縮合複素環基等が挙げられる。R2およびR3における「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」の置換基としては、それぞれ、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等の炭素数1ないし6のアルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数7ないし17のアラルキルオキシ−カルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリールオキシ基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニルオキシ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル;メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたカルバモイル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)等が挙げられる。置換基の数および位置に特に限定はない。
2とR3が隣接する窒素原子とともに形成する環としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン、モルホリン、ピペラジン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン等が挙げられる。
上記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」は、それぞれ前記の置換基を、炭化水素基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1〜3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
上記E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし3個)含む、5〜12員の、芳香族複素環基あるいは飽和または不飽和の非芳香族複素環基等が挙げられる。Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、上述のように、環原子として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし4個、さらに好ましくは1ないし3個含む飽和含酸素複素環基等が好ましく、とりわけ5〜12員の、飽和含酸素複素環基等が好ましい。
該「芳香族複素環基」としては、芳香族単環式複素環基または芳香族縮合複素環基等が挙げられる。
「芳香族単環式複素環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5ないし6員の芳香族単環式複素環基等が挙げられる。
「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等の8〜12員の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環)等が挙げられる。
該「飽和または不飽和の非芳香族複素環基」としては、例えば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼパニル、チアゼパニル、アゾカニル、オキソカニル、チオカニル、オキサゾカニル、チアゾカニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)などが挙げられる。これらは、オキソ置換されていてもよく、例えば、2−オキソアゼチジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソアゼパニル、2−オキソアゾカニル、2−オキソテトラヒドロフリル、2−オキソテトラヒドロピラニル、2−オキソチオラニル、2−オキソチアニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソオキセパニル、2−オキソオキサゼパニル、2−オキソチエパニル、2−オキソチアゼパニル、2−オキソオキソカニル、2−オキソチオカニル、2−オキソオキサゾカニル、2−オキソチアゾカニル等が挙げられる。好ましくは2−オキソピロリジニル等の5員非芳香族複素環基である。
上記E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」が有していてもよい置換基としては、例えば、前記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「置換基」と同様のもの等が用いられる。
E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」は、それぞれ前記の置換基を、複素環基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1〜3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
本発明化合物において、RがWと結合する場合について説明する。RとWが結合する場合、RとWが結合する位置は、それぞれRおよびWにおける結合可能な位置であれば特に限定はない。
Rにおける結合可能な位置としては、上記Rで定義される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」および「置換基」における結合可能な位置、ならびに上記Rで定義される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」および「置換基」における結合可能な位置が挙げられる。
Wにおける結合可能な位置としては、上記Wで定義される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」における結合可能な位置、上記W1、W2で定義される「二価の鎖状炭化水素基」における結合可能な位置、ならびに上記Z環で定義される「置換基を有していてもよい炭化水素環」の「炭化水素環」における結合可能な位置および上記Z環で定義される「置換基を有していてもよい複素環」の「複素環」における結合可能な位置が挙げられる。
RとWは互いの結合可能な位置で結合し、隣接する窒素原子と一緒になって環を形成し得る。該環としては、例えば、飽和含窒素環(例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン等)、不飽和含窒素環(例えば、テトラヒドロピリジン等)、芳香族含窒素環(例えば、ピロール等)、RおよびWが隣接している窒素原子以外に窒素、酸素、硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含むヘテロ環(例えば、ピペラジン、モルホリン等)、縮合環(例えば、インドール、インドリン、イソインドール、イソインドリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン等)等が挙げられる。なかでも4〜7員環が好ましい。
RとWが互いの結合可能な位置で結合し、隣接する窒素原子と一緒になって形成する環は、その置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよい。置換基数が2以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。置換基としては、Rで定義される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」の置換基、ならびにWで定義される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の置換基が挙げられる。具体的には、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、1−エチルプロピルおよびヘキシル等のC1−6アルキル基等の置換基が挙げられる。
RとWが結合することによって例えば、
Figure 2005084649
等が形成されるがこれらに限定されない。これらは、上記で定義するように置換基を有していてもよく、また、異性体を含み得ることは当業者に理解されるべきである。
Xとしては、例えば、ハロゲン原子、ベンゾトリアゾリル基、(2,5−ジオキシピロリジン−1−イル)オキシ基等の脱離基を示し、中でもフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が好ましく、塩素が特に好ましい。
Mとしては水素原子、金属陽イオンまたは第4級アンモニウムイオンを示す。
本発明における「金属陽イオン」としては、アルカリ金属イオン(例えば、Na、K、Li、Csなど)が挙げられ、中でもNaが好ましい。
本発明における「第4級アンモニウムイオン」としては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが挙げられ、中でもテトラブチルアンモニウムイオンが好ましい。
化合物(II)では、分子中の酸性基と無機塩基または有機塩基等とが薬理学的に許容され得る塩基塩を形成することができ、また分子中の塩基性基と無機酸または有機酸等とが薬理学的に許容され得る酸付加塩を形成することができる。
化合物(II)の無機塩基塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム等)、アンモニア等との塩等が、また化合物(II)の有機塩基塩としては、例えば、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピリジン、コリジン等との塩等が挙げられる。
化合物(II)の酸付加塩としては、例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、蓚酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等)等が挙げられる。
本発明の化合物(II)としては、水和物を包含している。該「水和物」としては、0.5水和物〜5.0水和物が挙げられる。このうち、0.5水和物、1.0水和物、1.5水和物、2.0水和物が好ましい。
本発明の化合物(II)としては、ラセミ体および光学的に活性な化合物を包含している。光学的に活性な化合物としては、一方のエナンチオマーが90%以上のエナンチオマー過剰率(e.e.)のものが好ましく、より好ましくは99%以上のエナンチオマー過剰率のものが挙げられる。光学活性体としては、一般式
Figure 2005084649
〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされる(R)体が好ましい。
尚、化合物(II)は公知の製造方法、例えば、WO03-105845記載の製造法に準じて製造することができる。
本発明で用いられる薬物活性成分の配合量は、活性成分の種類、投与量にもより異なるが、PPIを活性成分として含有する腸崩壊性製剤の場合、本発明のカプセル剤に充填される粉末剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤等(以下まとめて固形製剤と称することがある)全量に対して約1重量%〜100重量%、好ましくは約5重量%〜50重量%である。本発明によれば、活性成分を高含量で配合された製剤も可能で、このような高含量で配合された製剤の場合、約12重量%〜約40重量%、好ましくは約12重量%〜約30重量%、さらに好ましくは約14重量%〜約30重量%PPIを配合してもよい。PPIがベンズイミダゾール系化合物、特にランソプラゾールやその光学活性体の場合、約14重量%〜約30重量%の高含量が可能である。
式(I’)で表されるイミダゾール系化合物等PPIは水に溶けにくい特性を有し、酸に不安定であることから腸溶性被膜を施し、腸溶性製剤とすることが好ましい。腸溶性被膜はpHが低く、水分が比較的多い胃では溶解せず、水分の少なく、高いpHの小腸で腸溶性被膜が溶けて、イミダゾール系化合物が溶解し吸収される。すなわち、イミダゾール系化合物を含有する組成物は小腸で速やかに崩壊することが必要であるため、表面積が大きく、速やかに崩壊または溶解しやすい顆粒ないし細粒が望ましく、服用性を改善するために、これらをカプセルに充填しカプセル剤とする。
本発明において、固形製剤を上記のような顆粒、細粒または錠剤で得るには、公知の造粒法により製造することができる。例えば、顆粒、細粒の場合は、転動造粒法(例、遠心転動造粒法)、流動造粒法、攪拌造粒法(例、転動流動造粒法)などが挙げられる。このうち、転動造粒法、攪拌造粒法が好ましい。
転動造粒法の具体例としては、例えばフロイント社製のCF装置などが挙げられる。転動流動造粒法の具体例としては、例えばフロイント社製のスパイラルフロー、パウレック社製のマルチプレックス、不二パウダル社製のニューマルメなどを用いる方法が挙げられる。結合液の噴霧方法は造粒装置の種類に応じて適当に選択でき、例えば、トップスプレー方式、ボトムスプレー方式、タンジェンシャルスプレー方式などいずれであってもよい。
腸崩壊性製剤の場合、本発明の顆粒は、主薬を含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に腸溶性被膜層や放出制御被膜層を有する顆粒にするのが好ましい。
本発明における顆粒、細粒、錠剤等の固形製剤は、より真球度が高く、粒度分布の狭い顆粒を得るため、ショ糖、でんぷん、乳糖及び結晶セルロースの中から選ばれた一種以上からなる核粒子に、ベンズイミダゾール化合物を被覆して主薬層を形成するのが好ましい。例えば、特開昭63−301816号に記載の方法により有核顆粒、細粒を製造してもよい。糖核にヒドロキシプロピルセルロース等の結合液を噴霧しながら、抗潰瘍性作用を有するベンズイミダゾール系化合物、塩基性金属塩、賦形剤、崩壊剤等を含む粉状散布剤を被覆する方法により得られる。該核顆粒としては、例えば、ショ糖(75重量部)をトウモロコシデンプン(25重量部)で自体公知の方法により被覆したノンパレル(Nonpareil)および結晶セルロースを用いた球形核顆粒等が挙げられ、また、核顆粒自体が主薬となる上記した主薬成分であってもよい。該核顆粒の平均粒度としては、一般に14〜80メッシュである。
核としては、ショ糖及びでんぷんの球形造粒品、結晶セルロースの球形造粒品、結晶セルロースおよび乳糖の球形造粒品などが挙げられる。
核は被覆のバラツキを小さくするためには、できる限り均一な球状であることが望ましい。
核に対する被覆層の割合は、ベンズイミダゾール系化合物の溶出性および顆粒の粒度を制御できる範囲で選択でき、例えば、核1重量部に対して、通常、約0.2重量部〜約5重量部、好ましくは約0.1重量部〜約5重量部である。
主薬層を被覆する被覆層は、複数の層で形成されていてもよい。複数の被覆層は、薬物を含まない中間被覆層や腸溶性被膜層に加え、放出制御被膜層、下掛け用の被覆層など種々の被覆層を含んでいてもよく、それら被覆層の組み合わせは適宜選択されうる。
イミダゾール系化合物等の不安定な主薬を含有する腸溶性被覆顆粒、細粒、錠剤等の固形製剤においては、腸溶性被膜層成分は酸性物質であることから、イミダゾール化合物等を含有する主薬層と腸溶性被膜層の間に中間被覆層を設けて両層の直接の接触を遮断することは、薬剤の安定性の向上を図る上でより好ましい。また、放出制御被膜層を設ける場合も、非晶形化合物の不安定性に鑑み、あらかじめ中間被覆層を設けることが好ましい。
このような中間被覆層としては、主薬であるイミダゾール化合物と腸溶性被膜層の接触を阻める被覆層であればよく、このような目的を達成する限り、被覆層の量や材質は限定されない。例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、TC-5等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの高分子基剤に、ショ糖〔精製白糖(粉砕したもの(粉糖)や粉砕しないもの)等〕、コーンスターチなどの澱粉糖、乳糖、蜂蜜及び糖アルコール(D−マンニトール,エリスリトールなど)等の糖類を適宜配合した層などが挙げられる。中間被覆層には、この外にも下記する製剤化を行うため必要により添加される賦形剤(例、隠蔽剤(酸化チタン等)、静電気防止剤(酸化チタン、タルク等))を適宜加えてよい。
中間被覆層の被覆量は、例えばミダゾール系化合物を含有する顆粒、細粒、錠剤等の固形製剤1重量部に対して、通常、約0.02重量部〜約1.5重量部、好ましくは約0.05〜約1重量部である。被覆は常法によって行える。例えば、これらの中間層被覆層成分を精製水などで希釈し、液状として散布して被覆するのが好ましい。
本発明における顆粒、細粒剤、錠剤を「腸溶性被膜層」で被覆してもよいが、このような「腸溶性被膜層」は、pH5.5以上で溶解して薬物の放出を開始するが、このような腸溶性被膜層を形成する物質としては、例えば、セルロースアセテ−トフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−スフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸共重合体、カルボキシメチルエチルセルロース、セラックなど水系腸溶性高分子基剤、アクリル酸エチル・メタクリル酸共重合体などの徐放性基剤、水溶性高分子、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油などの可塑剤が用いられる。これらは一種または二種以上混合して使用してもよい。
腸溶性被膜層としては、腸溶性高分子基剤であり、好ましくは腸溶性メタクリル酸共重合体である。
腸溶性被膜層の被覆量は腸溶性被膜を施す前の顆粒全量に対して約10重量%〜約70重量%、好ましくは約10重量%〜約50重量%であり、より好ましくは約15重量%〜約40重量%である。
本発明における固形製剤、とりわけ顆粒剤、細粒剤、錠剤において各種放出制御被膜層を設けて薬物の放出が制御された固形製剤にしてもよい。たとえば「時限放出型放出制御被膜層」を形成して、薬効を有効に発現させるための修飾製剤にしてもよい。このような「時限放出型放出制御被膜層」としては、被膜自体は溶解しないが、被膜に生じた細孔を通じて水分を吸収する制御膜と崩壊機能を有する被膜を組み合わせて、目的とする一定時間経過後に、崩壊機能を有する被膜とともに制御膜が崩壊することにより、速やかに活性成分を放出するシステムなどが挙げられる。
本発明に用いる固形製剤において、また「pH依存溶解性または拡散制御型放出制御被膜層」を形成して、薬効の持続性製剤にしてもよい。すなわち、通常の腸溶性被膜とは異なるpH領域(例えば、pH6以上、好ましくは6.5以上、通常pH6以上7.5以下)で溶解し、すなわちpH依存的に溶解乃至崩壊して薬物を放出する被膜(一般的には腸溶性被膜の一種ともいえるが、ここではpH依存溶解性放出制御被膜という)や被膜自体は溶解しないが、被膜に生じた細孔を通じて薬物の放出を制御する拡散制御型放出制御被膜などが挙げられる。ここで、「pH依存的」とは、一定のpH以上の環境で活性成分を放出することをいう。ここでいうpHとは通常 Mcllvain 溶液あるいは Clark-Lubs 溶液で調整したpHを意味する。本明細書における、pH依存的に溶解する膜のpHとは、このpHを意味する。
このような医薬活性成分の放出をpH依存的に制御するための放出制御被膜用物質としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP-55, HP-50、信越化学(株)製)、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、フロイント産業(株)製)、メタアクリル酸メチルメタアクリレートコポリマー(オイドラギットL100、Rohm社製)、メタアクリル酸エチルアクリレートコポリマー(オイドラギットL100-55、オイドラギットL30D-55、Rohm社製)、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS 信越化学(株)製)、ポリビニルアセテートフタレート、シェラックなどが用いられる。これらは単独で、あるいは少なくとも2種以上のポリマーを組み合わせて、または少なくとも2種以上のポリマーを順次コーティングしてもよい。好ましくはpH>6.0以上、より好ましくはpH>6.5、さらに好ましくはpH6.75以上で溶解するように、コーティング物質を単独であるいは必要により組み合わせて用いるのが望ましい。またpHの上限は限定されないが、pH7.5以下の範囲で溶解するポリマーが通常好ましい。さらにコーティングには必要に応じてポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどの可塑剤、安定化剤などを用いてもよい。コーティング物質の量は核粒子に対して5%−100%が望ましい。
また、拡散により活性成分の放出を制御する拡散制御型放出制御膜は、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(オイドラギットRS, RL、Rohm社製)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー(オイドラギットNE 30D Rohm社製)、エチルセルロースなどを、HPMC、HPC、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール6000、乳糖、マニトール、有機酸などの親水性ポア形成物質と一定の比率で混合した混合液を用いて顆粒をコーティングすることにより形成することができる。
本発明の固形製剤としては、粉末剤、細粒剤、顆粒剤および錠剤のいずれをカプセルに充填したものでもよい。
本発明のカプセル剤においては、粉末剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤等の固形製剤を種々組み合わせてカプセルに充填してもよい。とりわけ、顆粒剤、細粒剤、錠剤の固形製剤を2種以上組み合わせて配合することができる。活性成分の異なる顆粒剤、細粒剤、錠剤等の固形製剤を組み合わせてもよい。また放出性の異なる顆粒剤、細粒剤、錠剤等の固形製剤を組み合わせてもよい。このような放出性を変えた固形製剤の一つの形態としては、上記した放出制御被覆層も設けることにより、放出制御固形製剤にすることができる。とりわけ、イミダゾール系化合物もしくはその光学活性体またはその塩のPPIを主薬とするカプセル剤においては、腸溶性被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤と放出制御被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤とを組み合わせて含有するカプセル剤にすることにより、投与後速やかに薬効が発揮し始めるとともに放出制御固形製剤により薬効が持続し、必要により薬効ピークを複数回生じるカプセル剤にすることができる。
粉末剤も含め固形製剤をカプセルに充填するには、常法にしたがって充填することができる。
さらに製剤化を行うための賦形剤(例えば、ぶどう糖、果糖、乳糖、蔗糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチンなど)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチなど)、矯味剤(例えば、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5'−イノシン酸ナトリウム、5'−グアニル酸ナトリウムなど)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート(ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリエチルなど)、香料(例えば、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールなど)、着色剤(例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄など)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウムなど)、隠蔽剤(例えば、酸化チタンなど)、静電気防止剤(例えば、タルク、軽質無水ケイ酸、酸化チタンなど)などの添加剤を用いることができる。
これらに用いられる原料の粒子径については特に制限がないが、製造性や服用性の観点から約500μm以下の粒子が好ましい。
本発明のカプセル剤において、医薬活性成分として化合物(I’)等イミダゾール系化合物のPPIを用いた場合、これらは優れた抗潰瘍作用、胃酸分泌抑制作用、粘膜保護作用、抗ヘリコバクター・ピロリ作用等を有し、また、毒性は低いので、医薬として有用である。この場合、本発明のカプセル剤は、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)において、消化性潰瘍(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍等)、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger-Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、食道炎を伴わない胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease (Symptomatic GERD))、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、胃癌(インターロイキン−1の遺伝子多形によるインターロイキン−1βの産生促進に伴う胃癌を含む)、胃MALTリンパ腫等の治療および予防、ヘリコバクター・ピロリ除菌、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍および出血性胃炎による上部消化管出血の抑制、侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術や集中治療を必要とする脳血管障害、頭部外傷、多臓器不全、広範囲熱傷から起こるストレス)による上部消化管出血の抑制、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍の治療および予防;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍の治療および予防などを目的として経口投与できる。ヘリコバクター・ピロリ除菌等のためには、本発明のカプセル剤と他の活性成分(例えば、1ないし3種の活性成分)と併用してもよい。
「他の活性成分」としては、例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物等の抗菌剤やビスマス塩が挙げられる。とりわけ、本発明の顆粒やカプセル剤と抗菌剤と組み合わせてなる医薬が好ましい。このうち、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物などの抗菌剤との併用が好ましい。「抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質」としては、例えば、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、ピペラシリン、メシリナムなど)、セフェム系抗生物質(例えば、セフィキシム、セファクロルなど)、マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのエリスロマイシン系抗生物質)、テトラサイクリン系抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ストレプトマイシンなど)、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、アミカシンなど)、イミペネムなどが挙げられる。中でもペニシリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質などが好ましい。
「イミダゾール系化合物」としては、例えば、メトロニダゾール、ミコナゾールなどが挙げられる。「ビスマス塩」としては、例えば、ビスマス酢酸塩、ビスマスクエン酸塩などが挙げられる。「キノロン系化合物」の抗菌剤も好ましく、例えば、オフロキサシン、シプロキサシンなどが挙げられる。とりわけ、ヘリコバクター・ピロリ除菌のためには、本発明の顆粒やカプセル剤と、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン等)および/またはエリスロマイシン系抗生物質(例えば、クラリスロマイシン等)とを併用して用いるのが好ましい。
1日の投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、投与の時期、間隔、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、例えば、化合物(I’)等のイミダゾール系化合物を抗潰瘍剤として用いた場合、成人(60kg)に対し、経口的に投与する場合、有効成分として約0.5〜1500mg/日、好ましくは約5〜150mg/日である。これらイミダソール系化合物含有製剤は、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。
尚、本発明の固形製剤を保管時や輸送時等の安定性を向上させるために、包装形態においても安定化を施してもよい。例えば、水分透過を抑制した包装、乾燥剤を封入した包装等の包装形態を用いるなどにより、本発明のイミダゾール系化合物を含有するカプセル剤の安定化の向上を図ることができる。このような包装形態にすることにより、カプセル剤が直接接触する水分が低減され、安定性が向上する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
以下の実施例で用いられるヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)、滅菌タルク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール6000、酸化チタンとしては、第十四改正日本薬局方適合品を用いた。
組成を表1に示す。ランソプラゾールR体、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、主薬混合物とする。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF装置)にショ糖・でんぷん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%:W/W)を噴霧しながら上記の主薬混合物をコーティングし球形顆粒を得る。コーティング操作条件はローター回転数:240rpm、注液速度:20g/分、スプレーエア圧:0.1kg/cm2、スリットエア圧力:0.1kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの主薬顆粒を得る。
上記の主薬顆粒に中間層コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングする。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:65℃、注液速度:12g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの中間層顆粒を得る。
上記の中間層顆粒に腸溶性被膜用コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングする。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:65℃、注液速度:15g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、850μm〜1400μmの腸溶性顆粒を得る。
上記の中間層顆粒にpH依存溶解性放出制御被膜用コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングする。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:45℃、注液速度:15g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、1000μm〜1700μmのpH依存溶解性放出制御顆粒を得る。
得られた腸溶性顆粒およびpH依存溶解性放出制御顆粒にそれぞれタルクおよび軽質無水ケイ酸を混合する。得られた腸溶性混合粒 87mg(ランソプラゾールR体 22.5mg相当量)およびpH依存溶解性放出制御混合粒 315mg(ランソプラゾールR体 67.5mg相当量)の両方を1号プルランカプセルに充填する。
また、得られた腸溶性混合粒 87mg(ランソプラゾールR体 22.5mg相当量)およびpH依存溶解性放出制御混合粒 315mg(ランソプラゾールR体 67.5mg相当量)の両方を1号PEG配合ゼラチンカプセルに充填する。
[表1]
組成表
<主薬顆粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
ショ糖・でんぶん球形造粒品 15.0 mg 45.0 mg
(主薬散布剤)
ランソプラゾールR体 22.5 mg 67.5 mg
炭酸マグネシウム 6.0 mg 18.0 mg
ショ糖(粉砕品) 14.82 mg 44.46 mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 4.5 mg 13.5 mg
(結合液)
ヒドロキシプロピルセルロース 0.18 mg 0.54 mg
精製水 8.82 mg 26.46 mg
計(固形分) 63.0 mg 189.0 mg

<中間層コーティング液の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
ヒロドキシプロピルメチルセルロース 3.94 mg 11.82 mg
タルク 1.58 mg 4.74 mg
酸化チタン 2.36 mg 7.08 mg
精製水 70.92 mg 212.76 mg
計(固形分) 7.86 mg 23.58 mg

<中間層顆粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
主薬顆粒 63.0 mg 189.0 mg
中間層コーティング液 7.86 mg 23.58 mg
計 70.88 mg 212.64 mg

<腸溶性被膜用コーティング液の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
メタクリル酸共重合体(1) 35.1 mg −
(固形成分 10.53 mg)
ポリエチレングリコール6000 1.05 mg −
ポリソルベート80 0.48 mg −
酸化チタン 1.05 mg −
タルク 2.92 mg −
精製水 48.46 mg −
計(固形分) 16.03 mg −

<腸溶性顆粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
中間層顆粒 70.88 mg −
腸溶性被膜用コーティング液 16.03 mg −
計 86.91 mg −

<pH依存溶解性放出制御被膜用コーティング液の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
メタクリル酸共重合体(2) − 47.85 mg
メタクリル酸共重合体(3) − 15.96 mg
クエン酸トリエチル − 6.36 mg
タルク − 31.89 mg
エタノール − 826.69 mg
精製水 − 91.85 mg
計(固形分) − 102.06 mg

<pH依存溶解性放出制御顆粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
中間層顆粒 − 212.64 mg
pH依存溶解性放出制御被膜用コーティング液 − 102.06 mg
計 − 314.7 mg

<腸溶性混合粒およびpH依存溶解性放出制御混合粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
腸溶性顆粒 86.91 mg −
pH依存溶解性放出制御顆粒 − 314.7 mg
タルク 0.045 mg 0.195 mg
軽質無水ケイ酸 0.045 mg 0.195 mg
計 87.0 mg 315.0 mg

<カプセル剤の組成(ランソプラゾールR体 90mg相当)>
プルランカプセル剤 PEG配合ゼラチンカプセル剤
腸溶性混合粒 87.0 mg 87.0 mg
pH依存溶解性放出制御混合粒 315.0 mg 315.0 mg
プルランカプセル 1号カプセル −
PEG配合ゼラチンカプセル − 1号カプセル
実施例1で得られたpH依存溶解性放出制御顆粒 185mgを1号プルランカプセルに充填した。
比較例1
実施例1で得られたpH依存溶解性放出制御顆粒 185mgを1号ゼラチンカプセルに充填した。
実験例1
実施例2および比較例1で得たカプセル剤を25℃、11%RHにて2週間保管し平衡状態とした。保管後のカプセル剤を横置きし、オートグラフ(5000kgfロードセル)で加圧した時のカプセル割れ率を評価した(圧縮速度:300mm/min、60%変形率(40%変位)、n=10)。その結果、ゼラチンカプセルの割れ率が70%(10カプセル中7個で割れが発生)であったのに対し、プルランカプセルの割れ率は30%(10カプセル中3個で割れが発生)となり、プルランカプセルがゼラチンカプセルに比べ低水分状態(11%ERH)で安定であることが示された。
本発明によれば、低水分状態で安定なカプセルを用いることにより、水分に不安定な薬物を含有する安定なカプセル剤を提供できるので、例えばイミダゾール系化合物のPPI等を主薬として用いた本発明のカプセル剤は、消化性潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、食道炎を伴わない胃食道逆流症、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療および予防剤として有用である。

Claims (24)

  1. 水分に不安定な薬物を含有する、低水分状態で安定で、pH非依存的崩壊特性をもつカプセル剤。
  2. 相対湿度が35%程度以下の低水分状態で安定である請求項1記載のカプセル剤。
  3. カプセルの主成分がポリエチレングリコールを配合したゼラチンである請求項1記載のカプセル剤。
  4. カプセルの主成分が水溶性多糖類である請求項1記載のカプセル剤。
  5. カプセルの主成分がプルランである請求項1記載のカプセル剤。
  6. カプセルの主成分がポリエチレングリコールを配合したゼラチンであるカプセル剤皮と、カプセルの主成分がプルランであるカプセル剤皮とを組み合わせた請求項1記載のカプセル剤。
  7. 水分に不安定な薬物がプロトンポンプインヒビター(PPI)である請求項1記載のカプセル剤。
  8. PPIが式(I’):
    Figure 2005084649
    〔式中、環C’は置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環を、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基を、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基を、およびYは窒素原子またはCHを示す〕で表されるイミダゾール系化合物、もしくはその光学活性体またはその塩である請求項7記載のカプセル剤。
  9. C’が置換基を有していてもよいベンゼン環である請求項8記載のカプセル剤。
  10. PPIが、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾールまたはテナトプラゾールもしくはその光学活性体またはその塩である請求項7記載のカプセル剤。
  11. PPIが、ランソプラゾールである請求項7記載のカプセル剤。
  12. PPIが、ランソプラゾールの光学活性体(R体)である請求項7記載のカプセル剤。
  13. 水分に不安定な薬物が、PPIのプロドラッグである請求項1記載のカプセル剤。
  14. カプセル内容物が粉末剤である請求項1記載のカプセル剤。
  15. カプセル内容物が被覆されていてもよい細粒剤、被覆されていてもよい顆粒剤および/または被覆されていてもよい錠剤である請求項1記載のカプセル剤。
  16. 細粒剤、顆粒剤および錠剤から選ばれる2種以上の固形製剤を組み合わせて含有する請求項15記載のカプセル剤。
  17. 組み合わされる固形製剤の薬剤の放出性が異なる請求項16記載のカプセル剤。
  18. 組み合わされる固形製剤の1種以上は被覆層を有する請求項16記載のカプセル剤。
  19. 被覆層が、腸溶性被膜層である請求項18記載のカプセル剤。
  20. 被覆層が、放出制御被膜層を含む請求項18記載のカプセル剤。
  21. 放出制御被膜層が、pH6.0以上pH7.5以下の範囲で溶解する高分子物質を含有するpH依存溶解性放出制御被膜である請求項20記載のカプセル剤。
  22. 放出制御被膜層が、拡散制御型放出制御被膜である請求項21記載のカプセル剤。
  23. 放出制御被膜層が、時限放出型放出制御被膜である請求項21記載のカプセル剤。
  24. 腸溶性被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤と放出制御被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤とを組み合わせて含有する請求項16記載のカプセル剤。
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