JPWO2005084649A1 - 安定なカプセル剤 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、これらの化合物は、酸および水に対して非常に不安定であり、変色および分解等著しい。酸に対する安定性に対しては、腸溶性被膜を施すことや無毒性塩基を配合することにより安定性を向上することが既に知られている。特に腸溶性の被膜を施した腸溶性顆粒剤や腸溶性細粒剤等を含むカプセル剤が知られている(特許文献1)。
一方、水分に対する安定性を向上させるためには、製剤自体を低水分とすることが最も有効な手段である。ところが、ベンズイミダソール系化合物を有する製剤として一般的なカプセル剤の場合、汎用されるハードゼラチンカプセルでは低水分で機械的強度が弱くなり、割れやすいという問題点がある。
一方、セルロース誘導体を主成分とするカプセル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル(以下、HPMCカプセルと略す))は、低水分においても機械的強度を有し、PPI等を活性成分とするHPMCカプセル剤が知られている(特許文献2)。しかしこれらHPMCカプセル剤はハードゼラチンカプセルに比べて、低pHで溶解性が低いという問題点を有する。速やかな薬物効果を発現させるには、低pHでの胃内でカプセルが速やかに溶解することが望ましく、特にベンズイミダゾール系化合物で多く採用されている腸溶性顆粒剤や腸溶性細粒剤を含むカプセル剤では、胃内でカプセルが溶解し、カプセルから顆粒が放出され、胃内から排出され、腸内に到達後、顆粒内から薬物が溶解、吸収されることにより初めて薬効が発現する。
ベンズイミダソール系化合物で代表されるような水分に不安定な薬物を含有する製剤については、安定性向上のため製剤を低水分とすることが望まれるため、これらの薬物を充填するカプセル剤は、低水分でも機械的強度を維持し、かつ、pHに依存せずに速やかに溶解するものが望ましい。
(1)水分に不安定な薬物を含有する、低水分状態で安定で、pH非依存的崩壊特性をもつカプセル剤、
(2)相対湿度が35%程度以下の低水分状態で安定である上記(1)記載のカプセル剤、
(3)カプセルの主成分がポリエチレングリコールを配合したゼラチンである上記(1)記載のカプセル剤、
(4)カプセルの主成分が水溶性多糖類である上記(1)記載のカプセル剤、
(5)カプセルの主成分がプルランである上記(1)記載のカプセル剤、
(6)カプセルの主成分がポリエチレングリコールを配合したゼラチンであるカプセル剤皮と、カプセルの主成分がプルランであるカプセル剤皮とを組み合わせた上記(1)記載のカプセル剤、
(7)水分に不安定な薬物がプロトンポンプインヒビター(PPI)である上記(1)記載のカプセル剤、
(8)PPIが式(I’):
(9)C’が置換基を有していてもよいベンゼン環である上記(8)記載のカプセル剤、
(10)PPIが、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾールまたはテナトプラゾールもしくはその光学活性体またはその塩である上記(7)記載のカプセル剤、
(11)PPIが、ランソプラゾールである上記(7)記載のカプセル剤、
(12)PPIが、ランソプラゾールの光学活性体(R体)である上記(7)記載のカプセル剤、
(13)水分に不安定な薬物が、PPIのプロドラッグである上記(1)記載のカプセル剤、
(14)カプセル内容物が粉末剤である上記(1)記載のカプセル剤、
(15)カプセル内容物が被覆されていてもよい細粒剤、被覆されていてもよい顆粒剤および/または被覆されていてもよい錠剤である上記(1)記載のカプセル剤、
(16)細粒剤、顆粒剤および錠剤から選ばれる2種以上の固形製剤を組み合わせて含有する上記(15)記載のカプセル剤、
(17)組み合わされる固形製剤の薬剤の放出性が異なる上記(16)記載のカプセル剤、
(18)組み合わされる固形製剤の1種以上は被覆層を有する上記(16)記載のカプセル剤、
(19)被覆層が、腸溶性被膜層である上記(18)記載のカプセル剤、
(20)被覆層が、放出制御被膜層を含む上記(18)記載のカプセル剤、
(21)放出制御被膜層が、pH6.0以上pH7.5以下の範囲で溶解する高分子物質を含有するpH依存溶解性放出制御被膜である上記(20)記載のカプセル剤、
(22)放出制御被膜層が、拡散制御型放出制御被膜である上記(21)記載のカプセル剤、
(23)放出制御被膜層が、時限放出型放出制御被膜である上記(21)記載のカプセル剤、
(24)腸溶性被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤と放出制御被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤とを組み合わせて含有する上記(16)記載のカプセル剤、
水溶性多糖類を主成分とするカプセル(例えば、プルランカプセル)およびポリエチレングリコール(PEG)配合ゼラチンカプセル(以下、PEG配合ゼラチンカプセルと略す)としては、通常のゼラチンハードカプセルに比べて、低水分での機械的強度が優れており、割れにくいもので、pH非依存性崩壊特性をもつものが用いられる。また、これと同様に機械的強度が優れた特性を持つセルロース誘導体を主成分とするカプセル(例えば、HPMCカプセル)に比べて、低pHにおける溶解性に優れていることから、胃内での速やかなカプセルの溶解、ひいては薬効の速やかな発現が期待できる。このように、安定性改善のために低水分化を必要とするPPI作用を有するイミダゾール系化合物等の水分に不安定な薬物を含有する固形製剤(例えば、粉末剤、細粒剤、顆粒剤または錠剤)を充填するカプセルとして、水溶性多糖類を主成分とするカプセル(例えば、プルランを主成分とするカプセル;以下単にプルランカプセルということがある)およびPEG配合ゼラチンを主成分とするカプセル(PEG配合ゼラチンカプセルと略称することがある)等を用いることにより、薬物のみならずカプセルも含め、製剤全体の安定化が可能になる。
本発明で用いられる水溶性多糖類を主成分とするカプセルとするカプセルとしては、低水分状態で安定で、pH非依存的崩壊特性をもつカプセルで水溶性多糖類を主成分とするカプセルであれば制限されない。
「pH非依存的崩壊特性」とは、カプセル剤皮の崩壊性が胃内を想定した低pH(例えば、pH1.2)と小腸内を想定した中性領域(例えば、pH6−7)で実質的に同等であるような特性をいう。
ここで、「崩壊性」とは、試験液中でカプセル剤皮が溶解等によりカプセル形態を保持できなくなり、カプセル内容物を放出することを意味し、例えば、放出したカプセル内容物の薬物濃度を測定すること、または、目視観察でカプセルからの内容物放出時間を観察することで評価することができるが、この限りではない。
ここで、崩壊性が「実質的に同等」とは、カプセルからの内容物放出開始時間およびその後の薬物放出挙動が同等であることを意味するか、または、目視観察したカプセルからの内容物放出開始時間および終了時間が同等であることを意味する。
薬物溶出挙動は、溶出率の時間変化を測定することにより求めることができる。
崩壊性を評価する具体例としては、例えば、日局崩壊試験法(第14改正)に準じて行うことができる。または、日局溶出試験法第1法、第2法(第14改正)に準じて行うことができる。例えば低pHと中性領域における崩壊性を上記崩壊試験法に準じて比較した場合の内容物放出開始時間の差異が30分以内、好ましくは15分以内、より好ましくは5分以内であれば同等と判断される。
水溶性多糖類のうち、カプセルの主成分となりうるものには、プルラン、寒天、カラギーナン、デンプン、またはグアガムなど様々な素材が考えられるが、とりわけ、カプセルとするための成形性、機械的強度および溶解性に優れるプルランが望ましい。これらのうち、37℃での溶出性や機械特性はゼラチンカプセルに類似する一方、ゼラチンカプセルに比べ、低水分状態で格段に安定で、また酸素の透過に対し優れた遮断性を有するカプセル等が好ましい。このようなカプセルとしては、プルランが約50〜約99重量%(好ましくは約70〜約90重量%)配合されたカプセル、たとえばNPcaps(CAPSUGEL製)等が挙げられる。
また、PEG配合ゼラチンカプセルとしては、カプセル剤皮に柔軟性を持たせる目的でポリエチレングリコールを配合したカプセルであって、従来のゼラチンカプセルの欠点であった低水分時の機械的強度の低下が改善されたカプセルが好適である。PEGの配合量は約1〜約30重量%、好ましくは約1〜約10重量%である。分子量200−20000のPEGを配合したゼラチンカプセルが好ましく、とりわけPEG4000(平均分子量 2600〜3800)を配合したゼラチンカプセルが特に好ましい。例えば特公平6−11696に記載のゼラチンカプセルなどが挙げられる。例えば市販のPEG配合ゼラチンカプセル(シオノギクオリカプス社製)等を用いることができる。
さらに、低水分状態で安定で、pH非依存的崩壊特性をもつようなカプセル剤皮を2種類組み合わせたカプセルも使用できる。たとえば、カプセルを構成するカプセル剤皮の一方に水溶性多糖類(プルランなど)を主成分とするカプセル剤皮を、もう一方には、PEGを配合したゼラチンカプセル剤皮を使用し、これらを組み合わせたカプセルなども用いることができる。
ここで、本明細書において「腸溶性被膜」とは通常のpHが約5.5近辺で溶解する被膜をいい、「時限放出型被膜」とは目的とする一定時間経過後に、被膜層が崩壊または溶解することにより、速やかに活性成分を放出する制御膜をいい、「放出制御被膜」とは通常の腸溶性被膜は含まず、通常の腸溶性被膜とは異なるpH領域において溶解するpH依存性被膜または膜自体は溶解しないが膜に生じた細孔を通じて活性成分を放出する拡散制御膜をいうものとする。
ここで、相対湿度(relative humidity; RH)は、環境中の水分量の指標として用いられるものである。また、ある相対湿度(湿度環境下)におかれた物質あるいは、組成物の平衡に達した湿度指標としては、平衡相対湿度(equilibrium relative humidity; ERH)が用いられる。平衡相対湿度とは、物質あるいは組成物のもつ水分量の指標として用いられるもので、いわゆる水分活性(「水分活性(Aw)」とはwater activityでありmobile waterを意味する。参考文献 Pharmaceutical Research, Vol.8, No.3,1991(p292-p297), D.R. Heidemann and P.J. Jarosz)の100倍の値を意味する。したがって、本発明においては、内味(薬物、その他の担体などからなるカプセル内包物)、カプセル剤皮、およびそれらからなるカプセル剤全体がもつ水分量を水分活性の観点から評価した指標「ERH」に置き換えて用いてもよい。この指標(ERH)はカプセル剤に限らず、錠剤、顆粒、散剤、液剤、半固形剤、注射剤等にも活用されるものである。当該平衡相対湿度は、例えばロトロニック水分活性測定装置(Rotronic AG製)により測定できるが、この限りではない。
上記のような水分に不安定な薬物を含有するカプセル剤で、安定性向上のため低水分状態にした場合にも安定であるカプセルを本発明では用いられるが、ここでいう低水分状態は、ゼラチンカプセルが保持されればひび割れ等が生じるような低水分状態をいい、とりわけ通常相対湿度35%程度以下、とりわけ25%程度以下の湿度環境下で、カプセル自体のLOD(乾燥減量)値が約10%以下、とりわけ約5%以下のような低水分状態をいう。このような状態でもひび割れ等の変性が生じない安定なプルラン等の水溶性多糖類を主成分とするカプセルかポリエチレングリコールを配合したゼラチンを主成分とするカプセルが好ましく用いられる。
本発明におけるカプセルに内包される薬物それ自体、または担体などその他のカプセル内包物は、相対湿度は35%程度以下、とりわけ25%程度以下の低水分状態で保存・保持されることが好ましく、かかる低水分状態のカプセル剤皮、内味、およびそれらからなるカプセル剤のいずれも相対湿度35%程度以下、とりわけ25%程度以下の湿度環境にコントロールすることが望ましく、物理化学的に安定なカプセル剤を製造することができる。
低水分状態でカプセル自体あるいはカプセル剤が安定であるかどうかは、例えば一定温度(例、25℃)に、一定の相対湿度環境下(例えば、11%RH)にて、一定期間(例えば、1週間程度、好ましくは2週間程度)保管し、平衡状態とし、保管後のカプセル剤を横置きし、オートグラフ(5000kgfロードセル)で、例えば圧縮速度:300mm/minで加圧した時のカプセルの割れ率から評価することができる。
本発明で用いられる水分に不安定な薬物としては、例えば、プロカイン、アトロピン、アスピリン、チアミン、ペニシリン、セファロスポリンおよびプロトンポンプインヒビター(PPI)などのうち水分に不安定なもの等が挙げられる。
本発明で用いられるPPI作用を有するイミダゾール系化合物としてはランソプラゾールとその光学活性体等の下記一般式(I’)で表される酸に不安定なイミダゾール系化合物、とりわけ式(I)さらに式(Ia)で表される酸に不安定なベンズイミダゾール系化合物、または後記一般式(II)で表される比較的酸に安定なイミダゾール系化合物のプロドラッグやその他公知のPPIのプロドラッグもしくはそれらの光学活性体またはそれらの塩であるPPIなどを活性成分として用いたカプセル剤等は、すぐれた薬物自体と製剤の安定性を有する。
上記式(I’)で表される化合物のうち、特に、環C’が置換基を有していてもよいベンゼン環である化合物については下記式(I)で表す。
前記式(I)において、好ましい化合物は、環Aが、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれた置換基を有していてもよいベンゼン環であり、R0は水素原子、置換されていてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基であり、R1がC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはジ−C1−6アルキルアミノ基であり、R2が水素原子、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、R3が水素原子またはC1−6アルキル基であり、Yが窒素原子である化合物である。
式(Ia)において、R1がC1−3アルキル基、R2がハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基、R3が水素原子、R4が水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基である化合物が特に好ましい。
上記式(I)で表される化合物〔以下、化合物(I)と称する、以下同様に略称することがある〕中、環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基、5ないし10員複素環基などが挙げられ、これらの置換基はベンゼン環に1ないし3個程度置換していてもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。これらの置換基のうち、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基などが好ましい。
「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、例えば、C1−7アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基など)が挙げられる。「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等)、カルバモイル基などで例示でき、これらの置換基の数は1ないし3個程度であってもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「アルコキシ基」としては、例えば、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様のものが例示でき、置換基の置換数も同様である。
「アリールオキシ基」としては、例えば、C6−14アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基等)などが挙げられる。
「アシル基」としては、例えば、ホルミル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル基などが挙げられる。
「アルキルカルボニル基」としては、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」としては、例えば、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイル基」としては、N−C1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル基等)、N,N−ジC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル基等)が挙げられる。
「アシルオキシ基」としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルカルバモイルオキシ基、アルキルスルフィニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基などが挙げられる。
「アルキルカルボニルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、例えばC1−6アルコキシ−カルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基(例えば、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルフィニルオキシ基(例えば、メチルスルフィニルオキシ、エチルスルフィニルオキシ、プロピルスルフィニルオキシ、イソプロピルスルフィニルオキシ基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ基等)が挙げられる。
「5ないし10員複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば、1〜3個)を含む5ないし10員(好ましくは5または6員)複素環基が挙げられ、具体例としては、2−または3−チエニル基、2−、3−または4−ピリジル基、2−または3−フリル基、1−、2−または3−ピロリル基、2−、3−、4−、5−または8−キノリル基、1−、3−、4−または5−イソキノリル基、1−、2−または3−インドリル基などが挙げられる。このうち好ましくは1−、2−または3−ピロリル基などの5または6員複素環基である。
好ましくは、環Aは、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれる置換基を1または2個有していてもよいベンゼン環である。
「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」がイミダゾール部分と縮合する位置に特に限定はない。
上記式(I’)または(I)において、R0で示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」としては、例えば、C7−16アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチルなどのC6−10アリールC1−6アルキル基等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様の置換基が例示でき、置換基の数は1ないし4個程度である。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
R0で示される「アシルオキシ基」としては、例えば、上記環Aの置換基として記載した「アシルオキシ基」が挙げられる。
好ましいR0は水素原子である。
上記式(I’)または(I)において、R1、R2またはR3で示される「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルキル基」が挙げられる。
R1、R2またはR3で示される「置換基を有していてもよいアルコキシ基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルコキシ基」が挙げられる。
R1、R2またはR3で示される「置換基を有してもよいアミノ基」としては、例えば、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ等)、モノ−C6−14アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ等)、ジ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、ジ−C6−14アリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ等)などが挙げられる。
好ましいR1は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基である。さらに好ましいR2はC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基である。
好ましいR2は、水素原子、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基である。さらに好ましいR3はハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基である。
好ましいR3は、水素原子またはC1−6アルキル基である。さらに好ましいR3は水素原子またはC1−3アルキル基(特に水素原子)である。
好ましいYは窒素原子である。
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−イミダゾール(ランソプラゾール)、2−[[(3,5−ジメチルー4−メトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール、2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩、5−ジフルオロメトキシ−2−[[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールなど。
これらの化合物のうち、特にランソプラゾールすなわち2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールが好ましい。
上記した、ベンズイミダゾール系化合物のPPIのほかにイミダゾピリジン系化合物のPPIも本発明が好適に適用される。このようなイミダゾピリジン系化合物のPPIとしては、例えば、テナトプラゾールが挙げられる。
なお、上記化合物(I’)、(I)、(Ia)は、ラセミ体であってもよく、R−体、S−体などの光学活性体であってもよい。例えば、ランソプラゾールの光学活性体、すなわち(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下ランソプラゾールR体と称することがある)および(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル)メチル)スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(以下ランソプラゾールS体と称することがある)などの光学活性体が特に本発明に好適である。尚、ランソプラゾール、ランソプラゾールR体およびランソプラゾールS体等は通常結晶が好ましいが、結晶のみならず非晶形のものも用いることができる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。有機塩基との塩の好適な具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
これらの塩のうち好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。とりわけナトリウム塩が好ましい。
これらのプロドラッグの好ましいものとして、化合物(I)または(I’)に含まれるプロドラッグに加え、WO03-105845に記載のプロドラッグ、すなわち下記一般式(II)で表される化合物およびWO02-30920およびWO03-270982記載のプロドラッグ等が挙げられる。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」のピリジン環はその置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)、アミド基(例えば、ホルムアミド、アセトアミド等のC1−3アシルアミノ基等)、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、3−メトキシプロポキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、低級アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1−3アルキレンジオキシ基等)等が挙げられる。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」の置換基の数および置換位置に特に限定はないが、1ないし3個の上記置換基がピリジン環の3、4、および5位のいずれかに置換しているのが好ましい。
B環で示される「置換基を有していてもよいピリジン環」としては、3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジルが好ましい。
C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の該ベンゼン環はその置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)、アミド基(例えば、ホルムアミド、アセトアミド等のC1−3アシルアミノ基等)、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、低級アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1−3アルキレンジオキシ基等)等が挙げられる。
C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」としては、ベンゼン環が好ましい。
「置換基を有していてもよい芳香族単環式複素環」の「芳香族単環式複素環」がイミダゾール部分と縮合する位置に特に限定はない。
本発明において、X1、X2はそれぞれ酸素原子または硫黄原子を示す。X1およびX2がともに酸素原子を示す場合が好ましい。
Wで示される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」および、W1、W2で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、例えば、C1−6アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン等)、C2−6アルケニレン基(例えば、エテニレン等)、C2−6アルキニレン基(例えば、エチニレン等)等が挙げられる。Wの二価の鎖状炭化水素基は、C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし6個有していてもよい。
Wで示される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」および、W1、W2で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、メチレン基、エチレン基が好ましい。Wとしては、エチレン基が特に好ましい。Zが酸素原子、SOnまたは>N−E(n及びEは前義の通り)のとき、W1で示される「二価の鎖状炭化水素基」としては、炭素数2以上の炭化水素基が好ましい。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「シクロアルカン」としては、例えば、低級シクロアルカン等が好ましく、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびアダマンタン等のC3−10シクロアルカン等が汎用される。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「シクロアルケン」としては、例えば低級シクロアルケンが好ましく、例えばシクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のC4−9シクロアルケン等が汎用される。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「アレーン」としては、例えばベンゼン、ナフタレン、フェナントレン等のC6−14アレーン等が好ましく、例えばフェニレン等が汎用される。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「複素環」としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む、5〜12員の「芳香族複素環」あるいは「飽和または不飽和の非芳香族複素環」等が挙げられ、C環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」と同様の置換基をその置換可能な位置に1ないし4個有していてもよい。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「芳香族複素環」としては、芳香族単環式複素環または芳香族縮合複素環等が挙げられる。
該「芳香族縮合複素環」としては、例えば、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、1,2−ベンゾイソチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチイン、チアントレン、フェナントリジン、フェナントロリン、インドリジン、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジン、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジン等の8〜12員の芳香族縮合複素環等が挙げられる。
Zで示される「置換基を有していてもよい二価の炭化水素環基」の「炭化水素環基」あるいは「置換基を有していてもよい二価の複素環基」の「複素環基」からの2本の結合手は可能な位置であればどこでもよい。
Eで示される「低級アルカノイル基」として、例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1−6アルキル−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルコキシカルボニル基」として、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシ−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「アラルキルオキシカルボニル」として、例えば、ベンジルオキシカルボニル等のC7−11アラルキルオキシ−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルキルスルフィニル基」として、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等のC1−6アルキルスルフィニル基等が用いられる。
Eで示される「低級アルキルスルホニル基」として、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1−6アルキルスルホニル基等が用いられる。
Eで示される「モノ−低級アルキルスルファモイル基」として、例えば、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル等のモノ−C1−6アルキルスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「ジ−低級アルキルスルファモイル基」として、例えば、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル等のジ−C1−6アルキルスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルファモイル基」として、例えば、フェニルスルファモイル、ナフチルスルファモイル等のC6−10アリールスルファモイル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルフィニル基」として、例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等のC6−10アリールスルフィニル基等が用いられる。
Eで示される「アリールスルホニル基」として、例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6−10アリールスルホニル基等が用いられる。
Eで示される「アリールカルボニル基」として、例えば、ベンゾイル、ナフトイル等のC6−10アリール−カルボニル基等が用いられる。
Eで示される「置換基を有していてもよいカルバモイル基」として、例えば、式−CONR2R3(式中、R2およびR3はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、式−CONR2R3において、R2とR3は隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表わされる基等が用いられる。
本発明において、D1、D2は、それぞれ、結合手、酸素原子、硫黄原子または>NR1を示し、式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。ただし、本発明においては、D1とD2がともに結合手である場合は除かれる。なかでも、D1、D2がそれぞれ結合手または酸素原子であるのが好ましく、特に、D1が酸素原子であり、かつD2が酸素原子または結合手であるのが好ましい。R1で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」は、後述で定義する通りである。
上記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式−脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族−飽和または不飽和の脂環式炭化水素基等が挙げられ、好ましくは炭素数1ないし16、より好ましくは炭素数1ないし6のものが挙げられる。具体的には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニルアルキル基、アリール基およびアリールアルキル基等が用いられる。
「アルケニル基」は、例えば、低級アルケニル基等が好ましく、例えばビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルおよび2,2−ジメチル−ペント−4−エニル等のC2−7アルケニル基等が汎用される。
「アルキニル基」は、例えば、低級アルキニル基等が好ましく、例えばエチニル、プロパルギルおよび1−プロピニル等のC2−6アルキニル基等が汎用される。
「シクロアルキル基」は、例えば、低級シクロアルキル基等が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルおよびアダマンチル等のC3-10シクロアルキル基等が汎用される。
「シクロアルケニル基」は、例えば、低級シクロアルケニル基等が好ましく、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル等のC3−10シクロアルケニル基等が汎用される。
「シクロアルキルアルキル基」は、例えば、低級シクロアルキルアルキル基等が好ましく、例えば、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルおよびシクロヘキシルエチル等のC4−9シクロアルキルアルキル基等が汎用される。
「シクロアルケニルアルキル基」は、例えば、低級シクロアルケニルアルキル基等が好ましく、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチル、シクロヘキセニルエチル、シクロヘキセニルプロピル、シクロヘプテニルメチル、シクロヘプテニルエチルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチル等などのC4−9シクロアルケニルアルキル等が汎用される。
「アリール基」は、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルおよび2−アンスリル等のC6−14アリール基等が好ましく、例えばフェニル基等が汎用される。
「アリールアルキル基」は、アリール部分としては上記で定義した「アリール基」を有し、アルキル部分としては上記で定義した「アルキル基」を有する。なかでも、例えば、C6−14アリール−C1−6アルキル基が好ましく、例えば、ベンジル、フェネチル等が汎用される。
R2およびR3で示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、ピリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、2−オキソアゼピニル、フリル、デカヒドロイソキノリル、キノリニル、インドリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、モルホリニル等の窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれた1〜2種のヘテロ原子1〜4個を含有する、5〜12員の、単環式または縮合複素環基等が挙げられる。R2およびR3における「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」の置換基としては、それぞれ、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1ないし6のアルキル基等)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル基等の炭素数2ないし6のアルケニル基等)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル基等の炭素数2ないし6のアルキニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等の炭素数1ないし6のアルコキシ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニル基等)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニルオキシ基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等の炭素数1ないし6のアルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数7ないし17のアラルキルオキシ−カルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等の炭素数6ないし14のアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリールオキシ基等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニル基等)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基等の炭素数6ないし14のアリール−カルボニルオキシ基等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル;メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたカルバモイル基等)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等の炭素数1ないし6のアルキル基でモノ−置換ないしジ−置換されたアミノ基等)等が挙げられる。置換基の数および位置に特に限定はない。
上記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」は、それぞれ前記の置換基を、炭化水素基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1〜3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
上記E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし3個)含む、5〜12員の、芳香族複素環基あるいは飽和または不飽和の非芳香族複素環基等が挙げられる。Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、上述のように、環原子として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれるヘテロ原子1ないし4個、さらに好ましくは1ないし3個含む飽和含酸素複素環基等が好ましく、とりわけ5〜12員の、飽和含酸素複素環基等が好ましい。
「芳香族単環式複素環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5ないし6員の芳香族単環式複素環基等が挙げられる。
「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等の8〜12員の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環)等が挙げられる。
上記E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」が有していてもよい置換基としては、例えば、前記E、R、R1、Gで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「置換基」と同様のもの等が用いられる。
E、R、Gで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」は、それぞれ前記の置換基を、複素環基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1〜3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
Rにおける結合可能な位置としては、上記Rで定義される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」および「置換基」における結合可能な位置、ならびに上記Rで定義される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」および「置換基」における結合可能な位置が挙げられる。
Wにおける結合可能な位置としては、上記Wで定義される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の「二価の鎖状炭化水素基」における結合可能な位置、上記W1、W2で定義される「二価の鎖状炭化水素基」における結合可能な位置、ならびに上記Z環で定義される「置換基を有していてもよい炭化水素環」の「炭化水素環」における結合可能な位置および上記Z環で定義される「置換基を有していてもよい複素環」の「複素環」における結合可能な位置が挙げられる。
RとWは互いの結合可能な位置で結合し、隣接する窒素原子と一緒になって環を形成し得る。該環としては、例えば、飽和含窒素環(例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン等)、不飽和含窒素環(例えば、テトラヒドロピリジン等)、芳香族含窒素環(例えば、ピロール等)、RおよびWが隣接している窒素原子以外に窒素、酸素、硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含むヘテロ環(例えば、ピペラジン、モルホリン等)、縮合環(例えば、インドール、インドリン、イソインドール、イソインドリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン等)等が挙げられる。なかでも4〜7員環が好ましい。
RとWが互いの結合可能な位置で結合し、隣接する窒素原子と一緒になって形成する環は、その置換可能な位置に1ないし4個の置換基を有していてもよい。置換基数が2以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。置換基としては、Rで定義される「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換基を有していてもよい複素環基」の置換基、ならびにWで定義される「置換基を有していてもよい二価の鎖状炭化水素基」の置換基が挙げられる。具体的には、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、1−エチルプロピルおよびヘキシル等のC1−6アルキル基等の置換基が挙げられる。
Xとしては、例えば、ハロゲン原子、ベンゾトリアゾリル基、(2,5−ジオキシピロリジン−1−イル)オキシ基等の脱離基を示し、中でもフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が好ましく、塩素が特に好ましい。
本発明における「金属陽イオン」としては、アルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+、Li+、Cs+など)が挙げられ、中でもNa+が好ましい。
本発明における「第4級アンモニウムイオン」としては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが挙げられ、中でもテトラブチルアンモニウムイオンが好ましい。
化合物(II)の無機塩基塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム等)、アンモニア等との塩等が、また化合物(II)の有機塩基塩としては、例えば、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピリジン、コリジン等との塩等が挙げられる。
本発明の化合物(II)としては、水和物を包含している。該「水和物」としては、0.5水和物〜5.0水和物が挙げられる。このうち、0.5水和物、1.0水和物、1.5水和物、2.0水和物が好ましい。
尚、化合物(II)は公知の製造方法、例えば、WO03-105845記載の製造法に準じて製造することができる。
式(I’)で表されるイミダゾール系化合物等PPIは水に溶けにくい特性を有し、酸に不安定であることから腸溶性被膜を施し、腸溶性製剤とすることが好ましい。腸溶性被膜はpHが低く、水分が比較的多い胃では溶解せず、水分の少なく、高いpHの小腸で腸溶性被膜が溶けて、イミダゾール系化合物が溶解し吸収される。すなわち、イミダゾール系化合物を含有する組成物は小腸で速やかに崩壊することが必要であるため、表面積が大きく、速やかに崩壊または溶解しやすい顆粒ないし細粒が望ましく、服用性を改善するために、これらをカプセルに充填しカプセル剤とする。
転動造粒法の具体例としては、例えばフロイント社製のCF装置などが挙げられる。転動流動造粒法の具体例としては、例えばフロイント社製のスパイラルフロー、パウレック社製のマルチプレックス、不二パウダル社製のニューマルメなどを用いる方法が挙げられる。結合液の噴霧方法は造粒装置の種類に応じて適当に選択でき、例えば、トップスプレー方式、ボトムスプレー方式、タンジェンシャルスプレー方式などいずれであってもよい。
腸崩壊性製剤の場合、本発明の顆粒は、主薬を含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に腸溶性被膜層や放出制御被膜層を有する顆粒にするのが好ましい。
核は被覆のバラツキを小さくするためには、できる限り均一な球状であることが望ましい。
核に対する被覆層の割合は、ベンズイミダゾール系化合物の溶出性および顆粒の粒度を制御できる範囲で選択でき、例えば、核1重量部に対して、通常、約0.2重量部〜約5重量部、好ましくは約0.1重量部〜約5重量部である。
主薬層を被覆する被覆層は、複数の層で形成されていてもよい。複数の被覆層は、薬物を含まない中間被覆層や腸溶性被膜層に加え、放出制御被膜層、下掛け用の被覆層など種々の被覆層を含んでいてもよく、それら被覆層の組み合わせは適宜選択されうる。
イミダゾール系化合物等の不安定な主薬を含有する腸溶性被覆顆粒、細粒、錠剤等の固形製剤においては、腸溶性被膜層成分は酸性物質であることから、イミダゾール化合物等を含有する主薬層と腸溶性被膜層の間に中間被覆層を設けて両層の直接の接触を遮断することは、薬剤の安定性の向上を図る上でより好ましい。また、放出制御被膜層を設ける場合も、非晶形化合物の不安定性に鑑み、あらかじめ中間被覆層を設けることが好ましい。
このような中間被覆層としては、主薬であるイミダゾール化合物と腸溶性被膜層の接触を阻める被覆層であればよく、このような目的を達成する限り、被覆層の量や材質は限定されない。例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、TC-5等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの高分子基剤に、ショ糖〔精製白糖(粉砕したもの(粉糖)や粉砕しないもの)等〕、コーンスターチなどの澱粉糖、乳糖、蜂蜜及び糖アルコール(D−マンニトール,エリスリトールなど)等の糖類を適宜配合した層などが挙げられる。中間被覆層には、この外にも下記する製剤化を行うため必要により添加される賦形剤(例、隠蔽剤(酸化チタン等)、静電気防止剤(酸化チタン、タルク等))を適宜加えてよい。
本発明における顆粒、細粒剤、錠剤を「腸溶性被膜層」で被覆してもよいが、このような「腸溶性被膜層」は、pH5.5以上で溶解して薬物の放出を開始するが、このような腸溶性被膜層を形成する物質としては、例えば、セルロースアセテ−トフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−スフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸共重合体、カルボキシメチルエチルセルロース、セラックなど水系腸溶性高分子基剤、アクリル酸エチル・メタクリル酸共重合体などの徐放性基剤、水溶性高分子、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油などの可塑剤が用いられる。これらは一種または二種以上混合して使用してもよい。
腸溶性被膜層としては、腸溶性高分子基剤であり、好ましくは腸溶性メタクリル酸共重合体である。
腸溶性被膜層の被覆量は腸溶性被膜を施す前の顆粒全量に対して約10重量%〜約70重量%、好ましくは約10重量%〜約50重量%であり、より好ましくは約15重量%〜約40重量%である。
本発明に用いる固形製剤において、また「pH依存溶解性または拡散制御型放出制御被膜層」を形成して、薬効の持続性製剤にしてもよい。すなわち、通常の腸溶性被膜とは異なるpH領域(例えば、pH6以上、好ましくは6.5以上、通常pH6以上7.5以下)で溶解し、すなわちpH依存的に溶解乃至崩壊して薬物を放出する被膜(一般的には腸溶性被膜の一種ともいえるが、ここではpH依存溶解性放出制御被膜という)や被膜自体は溶解しないが、被膜に生じた細孔を通じて薬物の放出を制御する拡散制御型放出制御被膜などが挙げられる。ここで、「pH依存的」とは、一定のpH以上の環境で活性成分を放出することをいう。ここでいうpHとは通常 Mcllvain 溶液あるいは Clark-Lubs 溶液で調整したpHを意味する。本明細書における、pH依存的に溶解する膜のpHとは、このpHを意味する。
このような医薬活性成分の放出をpH依存的に制御するための放出制御被膜用物質としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP-55, HP-50、信越化学(株)製)、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、フロイント産業(株)製)、メタアクリル酸メチルメタアクリレートコポリマー(オイドラギットL100、Rohm社製)、メタアクリル酸エチルアクリレートコポリマー(オイドラギットL100-55、オイドラギットL30D-55、Rohm社製)、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS 信越化学(株)製)、ポリビニルアセテートフタレート、シェラックなどが用いられる。これらは単独で、あるいは少なくとも2種以上のポリマーを組み合わせて、または少なくとも2種以上のポリマーを順次コーティングしてもよい。好ましくはpH>6.0以上、より好ましくはpH>6.5、さらに好ましくはpH6.75以上で溶解するように、コーティング物質を単独であるいは必要により組み合わせて用いるのが望ましい。またpHの上限は限定されないが、pH7.5以下の範囲で溶解するポリマーが通常好ましい。さらにコーティングには必要に応じてポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどの可塑剤、安定化剤などを用いてもよい。コーティング物質の量は核粒子に対して5%−100%が望ましい。
また、拡散により活性成分の放出を制御する拡散制御型放出制御膜は、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(オイドラギットRS, RL、Rohm社製)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー(オイドラギットNE 30D Rohm社製)、エチルセルロースなどを、HPMC、HPC、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール6000、乳糖、マニトール、有機酸などの親水性ポア形成物質と一定の比率で混合した混合液を用いて顆粒をコーティングすることにより形成することができる。
本発明の固形製剤としては、粉末剤、細粒剤、顆粒剤および錠剤のいずれをカプセルに充填したものでもよい。
本発明のカプセル剤においては、粉末剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤等の固形製剤を種々組み合わせてカプセルに充填してもよい。とりわけ、顆粒剤、細粒剤、錠剤の固形製剤を2種以上組み合わせて配合することができる。活性成分の異なる顆粒剤、細粒剤、錠剤等の固形製剤を組み合わせてもよい。また放出性の異なる顆粒剤、細粒剤、錠剤等の固形製剤を組み合わせてもよい。このような放出性を変えた固形製剤の一つの形態としては、上記した放出制御被覆層も設けることにより、放出制御固形製剤にすることができる。とりわけ、イミダゾール系化合物もしくはその光学活性体またはその塩のPPIを主薬とするカプセル剤においては、腸溶性被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤と放出制御被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤とを組み合わせて含有するカプセル剤にすることにより、投与後速やかに薬効が発揮し始めるとともに放出制御固形製剤により薬効が持続し、必要により薬効ピークを複数回生じるカプセル剤にすることができる。
粉末剤も含め固形製剤をカプセルに充填するには、常法にしたがって充填することができる。
これらに用いられる原料の粒子径については特に制限がないが、製造性や服用性の観点から約500μm以下の粒子が好ましい。
「他の活性成分」としては、例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物等の抗菌剤やビスマス塩が挙げられる。とりわけ、本発明の顆粒やカプセル剤と抗菌剤と組み合わせてなる医薬が好ましい。このうち、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物などの抗菌剤との併用が好ましい。「抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質」としては、例えば、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、ピペラシリン、メシリナムなど)、セフェム系抗生物質(例えば、セフィキシム、セファクロルなど)、マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのエリスロマイシン系抗生物質)、テトラサイクリン系抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ストレプトマイシンなど)、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、アミカシンなど)、イミペネムなどが挙げられる。中でもペニシリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質などが好ましい。
1日の投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、投与の時期、間隔、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、例えば、化合物(I’)等のイミダゾール系化合物を抗潰瘍剤として用いた場合、成人(60kg)に対し、経口的に投与する場合、有効成分として約0.5〜1500mg/日、好ましくは約5〜150mg/日である。これらイミダソール系化合物含有製剤は、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。
以下の実施例で用いられるヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)、滅菌タルク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール6000、酸化チタンとしては、第十四改正日本薬局方適合品を用いた。
上記の主薬顆粒に中間層コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングする。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:65℃、注液速度:12g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1400μmの中間層顆粒を得る。
上記の中間層顆粒に腸溶性被膜用コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングする。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:65℃、注液速度:15g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、850μm〜1400μmの腸溶性顆粒を得る。
上記の中間層顆粒にpH依存溶解性放出制御被膜用コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングする。コーティング操作条件は給気風量:1.5m3/分、給気温度:45℃、注液速度:15g/分、スプレーエア圧力:3kg/cm2で行う。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、1000μm〜1700μmのpH依存溶解性放出制御顆粒を得る。
また、得られた腸溶性混合粒 87mg(ランソプラゾールR体 22.5mg相当量)およびpH依存溶解性放出制御混合粒 315mg(ランソプラゾールR体 67.5mg相当量)の両方を1号PEG配合ゼラチンカプセルに充填する。
[表1]
組成表
<主薬顆粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
ショ糖・でんぶん球形造粒品 15.0 mg 45.0 mg
(主薬散布剤)
ランソプラゾールR体 22.5 mg 67.5 mg
炭酸マグネシウム 6.0 mg 18.0 mg
ショ糖(粉砕品) 14.82 mg 44.46 mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 4.5 mg 13.5 mg
(結合液)
ヒドロキシプロピルセルロース 0.18 mg 0.54 mg
精製水 8.82 mg 26.46 mg
計(固形分) 63.0 mg 189.0 mg
<中間層コーティング液の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
ヒロドキシプロピルメチルセルロース 3.94 mg 11.82 mg
タルク 1.58 mg 4.74 mg
酸化チタン 2.36 mg 7.08 mg
精製水 70.92 mg 212.76 mg
計(固形分) 7.86 mg 23.58 mg
<中間層顆粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
主薬顆粒 63.0 mg 189.0 mg
中間層コーティング液 7.86 mg 23.58 mg
計 70.88 mg 212.64 mg
<腸溶性被膜用コーティング液の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
メタクリル酸共重合体(1) 35.1 mg −
(固形成分 10.53 mg)
ポリエチレングリコール6000 1.05 mg −
ポリソルベート80 0.48 mg −
酸化チタン 1.05 mg −
タルク 2.92 mg −
精製水 48.46 mg −
計(固形分) 16.03 mg −
<腸溶性顆粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
中間層顆粒 70.88 mg −
腸溶性被膜用コーティング液 16.03 mg −
計 86.91 mg −
<pH依存溶解性放出制御被膜用コーティング液の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
メタクリル酸共重合体(2) − 47.85 mg
メタクリル酸共重合体(3) − 15.96 mg
クエン酸トリエチル − 6.36 mg
タルク − 31.89 mg
エタノール − 826.69 mg
精製水 − 91.85 mg
計(固形分) − 102.06 mg
<pH依存溶解性放出制御顆粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
中間層顆粒 − 212.64 mg
pH依存溶解性放出制御被膜用コーティング液 − 102.06 mg
計 − 314.7 mg
<腸溶性混合粒およびpH依存溶解性放出制御混合粒の組成>
腸溶性混合粒 pH依存溶解性
放出制御混合粒
腸溶性顆粒 86.91 mg −
pH依存溶解性放出制御顆粒 − 314.7 mg
タルク 0.045 mg 0.195 mg
軽質無水ケイ酸 0.045 mg 0.195 mg
計 87.0 mg 315.0 mg
<カプセル剤の組成(ランソプラゾールR体 90mg相当)>
プルランカプセル剤 PEG配合ゼラチンカプセル剤
腸溶性混合粒 87.0 mg 87.0 mg
pH依存溶解性放出制御混合粒 315.0 mg 315.0 mg
プルランカプセル 1号カプセル −
PEG配合ゼラチンカプセル − 1号カプセル
Claims (24)
- 水分に不安定な薬物を含有する、低水分状態で安定で、pH非依存的崩壊特性をもつカプセル剤。
- 相対湿度が35%程度以下の低水分状態で安定である請求項1記載のカプセル剤。
- カプセルの主成分がポリエチレングリコールを配合したゼラチンである請求項1記載のカプセル剤。
- カプセルの主成分が水溶性多糖類である請求項1記載のカプセル剤。
- カプセルの主成分がプルランである請求項1記載のカプセル剤。
- カプセルの主成分がポリエチレングリコールを配合したゼラチンであるカプセル剤皮と、カプセルの主成分がプルランであるカプセル剤皮とを組み合わせた請求項1記載のカプセル剤。
- 水分に不安定な薬物がプロトンポンプインヒビター(PPI)である請求項1記載のカプセル剤。
- C’が置換基を有していてもよいベンゼン環である請求項8記載のカプセル剤。
- PPIが、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾールまたはテナトプラゾールもしくはその光学活性体またはその塩である請求項7記載のカプセル剤。
- PPIが、ランソプラゾールである請求項7記載のカプセル剤。
- PPIが、ランソプラゾールの光学活性体(R体)である請求項7記載のカプセル剤。
- 水分に不安定な薬物が、PPIのプロドラッグである請求項1記載のカプセル剤。
- カプセル内容物が粉末剤である請求項1記載のカプセル剤。
- カプセル内容物が被覆されていてもよい細粒剤、被覆されていてもよい顆粒剤および/または被覆されていてもよい錠剤である請求項1記載のカプセル剤。
- 細粒剤、顆粒剤および錠剤から選ばれる2種以上の固形製剤を組み合わせて含有する請求項15記載のカプセル剤。
- 組み合わされる固形製剤の薬剤の放出性が異なる請求項16記載のカプセル剤。
- 組み合わされる固形製剤の1種以上は被覆層を有する請求項16記載のカプセル剤。
- 被覆層が、腸溶性被膜層である請求項18記載のカプセル剤。
- 被覆層が、放出制御被膜層を含む請求項18記載のカプセル剤。
- 放出制御被膜層が、pH6.0以上pH7.5以下の範囲で溶解する高分子物質を含有するpH依存溶解性放出制御被膜である請求項20記載のカプセル剤。
- 放出制御被膜層が、拡散制御型放出制御被膜である請求項21記載のカプセル剤。
- 放出制御被膜層が、時限放出型放出制御被膜である請求項21記載のカプセル剤。
- 腸溶性被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤と放出制御被膜層を有する細粒剤、顆粒剤または錠剤とを組み合わせて含有する請求項16記載のカプセル剤。
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