JPWO2005083604A1 - 債務削減方法とその装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(2−2)スワップを用いて前記Cに対応する将来にわたって発生するキャッシュフローを取得する権利をスワップする相手から取得し、
(2−3)前記キャッシュフローを取得する権利の全部又は一部に基づいて債権者に支払い、若しくは、前記キャッシュフローを取得する権利の全部又は一部を債権者に直接又は間接的に担保供与又は譲渡する。
長期間のデリバティブは取引の想定元本の単位が億円単位であり、住宅ローンを借入れる場合、戸建住宅又は分譲マンションでは数千万円単位が一般的であり、小口化して複数の希望者に分割してデリバティブ(債務削減権)を売却する。複数戸よりなるマンションなどの集合住宅で建築費も高額な場合には、一括してデリバティブ(債務削減権)を契約する。
本商品を購入(他の購入物等に付随した一体型商品であれば条件設定)するための契約書、特約書を債務者(顧客)と締結する。
金融支援会社のホームページに個人サイトを設けてローン債務者の暗証番号によりデリバティブ価格情報等が見られるようにしている。
デリバティブ(債務削減権)を売却した債務者に対して資金を決済する。
ローン契約時にローン債務のリスクをヘッジするためにデリバティブ(債務削減権)を契約するが、返済途中で経済情勢が変動してデリバティブ(債務削減権)にローン削減額(利益)が生じた場合、契約上自動的に債務残額を返済するが、この際に利益を一旦金銭、有価証券などで受理し債務残額を返済する。更に余剰の利益があればこれを取得する。
本商品が関与する各市場とコンピュータを介して価格情報を入手し、本商品価格の特性・条件に従いタイムリーに本商品の価格を表示するための商品価格表を提供する。また、本商品価格表からシミュレーションシート(例えば、住宅借入に於いて幾ら払って何年後に何%の金利になったら、どのくらい元本を削減できるかを明示するシステム)を作成し、本発明の装置及びその特徴を、パンフレット、カタログ、新聞等の活字媒体、テレビやホームページ等の電子媒体、その他の広告宣伝媒体を利用し、前記債務削減方法及びシステムを一般に知らしめる。
債務者の購入した商品、及び債務者の条件を電子的に管理し、債務者の総リスク量を診断し、その後の本商品価格情報並びに債務者の条件及び状況に沿った情報をホームページ、イーメールといった電子通信媒体により適宜に、もしくはダイレクトメールといった活字媒体により、所定日毎に提供する。また、照会・問合わせ・苦情に対して返答可能なコンサルティングシステムを作成する。また、本商品又は本商品と類似した商品の内、未だ取引所で公開していない商品を公開させて新聞等の媒体により掲載させる。
d1=(log(S/K)+(r+σ2/2)T)/σT1/2、d2=d1−σT1/2で示され、ボラティリティσが増加するとプレミアムCが大きくなる関係にある。なお、Sは資産価格、Kは行使価格、rは金利、Tは行使期間である。N(d)は、正規分布の累積密度関数を意味しており、釣鐘型の図形を示す。
(A)金利が上がった場合(ハイパーインフレーションを含む)
(a)債務者
インフレーション経済下では金利や原材料の高騰により多くの企業が経営困難になることにより雇用が急減し、債務者は支払不能に陥るおそれがあるが、本発明の方法・装置を利用した債務者は、スワップの実行或いは本債務削減権の決済をすることにより、債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減され支払不能になるのを免れ得る。例えば、変動金利を採用している債務者は、高額な金利支払いが必要となり最終的には金利支払いが不能となる可能性があるが、予め購入しておいた債務削減権を決済することにより債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減されるため、支払不能に陥らない。また、担保資産の価値上昇により資産価値が上昇するため、債務者には2重の効用が存在する。
債務者の倒産もしくは支払不能により不良債権が急激に増加し、債権者は、受取金利だけでなく元本も回収不能となり、経営難或いは破綻に陥るおそれがある。しかしながら、本発明の方法・装置を利用した債務者は、スワップの実行或いは本債務削減権の決済をすることにより、債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減されて支払不能になるのを免れ得るため、債権の保有者である債権者は該債権を不良債権化させない事が可能となり、経営難或いは破綻を回避し得る。
しかしながら、この本発明によりスワップした相手方である金融機関若しくは金融支援会社は、将来の金利変動に関らずローン債権者に対して、当初のローン契約どおりのローン残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部(すなわち、将来にわたってローン債務者に発生するローン債権者へ支払うキャッシュフロー)を支払っていく義務を持つ事になるので、前記スワップされたローン債権については期限前弁済のリスクが存在しないことになる。この効果は、一旦金利が上昇した後、金利が低下した場合に著しい。つまり、一旦金利が上昇する過程でローン債務者が前記スワップを行ないローンの約定弁済が保証される事となるので、前記スワップしたローン債権は、金利が上昇した後に金利低下が起こっても期限前弁済されないローン債権となるので、金利低下に対するリスクヘッジが不要な債権となる。
(a)債務者
デフレーション経済下では需要が減少し多くの企業が経営困難になることで債務者は支払困難に陥るが、本発明を利用した債務者は、本債務削減権の決済をすることにより、ローン残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減されて支払不能になるのを免れ得る。また担保価値が下落した場合でも債務が削減もしくは返済されているため、実質的債務超過状態を回避できる。更に、固定金利を採用しているローン債務者は、高額な金利支払いが継続されるが、本債務削減権を利用することにより、固定約定金利と低下した市場金利との差益により本住宅借入元本が削減されるため、支払不能になるのを免れ得る。
債務者が倒産もしくは支払不能に陥ることにより不良債権が増加し、受取金利だけではなく元本も回収不能となり債権者も経営難に陥るが、本債務削減権を債務者が決済することにより債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減又は返済されるため、債権者は損失を蒙らない。
本債務削減権を付与した借入方法を用いるローン債務者は、マクロ経済急変リスクを回避できるため、従来の借入方法によるローン債務者に比較し、より高額な債務を負担することが可能となり、より豊かな消費もしくは投資生活を享受することが可能となる。また、マクロ経済の急変に備え、従来なされていた過剰な貯蓄(いわゆるタンス預金)を消費或いは投資に開放することにより、資金の流通速度が高まり、その結果、通貨の信用創造が正常に機能し、経済そのものが活性化する効果を持つ。
本発明に示した債務削減権が、住宅借入だけではなく広範囲な債権債務に広げた場合、金利の急激な変化を起こす力に対して、本発明による債務削減権を購入した債務者である顧客が本商品を決済する事になることにより、金利の変化に対する拮抗力が働き、一方的な金利の急騰や急落が軽減される。この拮抗力により、インフレ・デフレによる経済の不安定さを要因としたトラブルを回避することができる。
債務者が現在負担している過剰なリスクを軽減する仕組となり、適性リスク以上に貯えられていた資金が、より効率的な投資・消費に資金が還流するため、経済社会全体の効率性が促進される。インターネットが情報の効率性を高めたのと同様であり、本仕組みには経済的価値がある。
[図2](a)図は20年スワップ金利オプションの価格表であり10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はオプション価格の上昇割合を算出した表である(実施例1)。
[図3](a)図は20年スワップ金利オプションを分割した場合の10年後のプレミアム価格の時価額を算出した表であり、(b)図は元金返済割合を示す表である(実施例1)。
[図4](a)図は20年スワップ金利オプションを2枚購入した場合の10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を示す表である(実施例1)。
[図5]20年スワップ金利の実績値をプロットしたグラフである(実施例1)。
[図6]10年スワップ金利オプションを使用した5年後の時価額を算出した表であり、(b)図はプレミアム価格の上昇割合を算出した表である(実施例2)。
[図7](a)図は10年スワップ金利オプションを分割した場合の5年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例2)。
[図8](a)図は10年スワップ金利オプションを2枚購入した場合の5年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例2)。
[図9]10年スワップ金利の実績値をプロットしたグラフである(実施例2)。
[図10]25年国債の金利オプションのプレミアム価格、ローン残高、及びローン残高に対するプレミアム価格の比率の実績値を示したグラフである(実施例3)。
[図11](a)図は日本円とUSドルの為替を使用した為替オプション(ドルコール)の円安になる場合を算出した表であり、(b)図はプレミアム価格の上昇割合を算出した表である(実施例5)。
[図12]同為替オプションの10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例5)。
[図13](a)図は同為替オプションを2枚購入し10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例5)。
[図14]日本円/USドルの為替価格の実績値をプロットしたグラフである(実施例5)。
[図15](a)図はNYダウ株価を使用し、将来低下する場合の10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はオプション価格の上昇割合を算出した表である(実施例6)。
[図16](a)図は同NYダウ株価オプションを分割した場合の10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例6)。
[図17](a)図は同NYダウ株価オプションを2枚購入し10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例6)。
[図18](a)図はNYダウ株価、(b)図は同ボラティリティの24年間の実績値をプロットしたグラフである(実施例6)。
[図19]NYダウとボラティリティの24年間の実績値の表である(実施例6)。
[図20]NYダウを用いたオプションの利益を示す表であって、(a)はコールオプション、(b)はプットオプションの場合を示したものである(実施例6)。
[図21](a)図はNYダウ株価オプションの価格表であり、(b)図は同オプション価格の上昇割合を算出した表である(実施例7)。
[図22](a)図は小口化されたNYダウ株価オプションの価格表であり、(b)図はリース債務残高に対する返済割合を示す表である(実施例7)。
[図23]ローン債務の現在価値を算出した結果を示す表である(実施例8)。
[図24]イールド・カーブを示すグラフである(実施例8)。
[図25]金利オプションの利益想定計算書である(実施例8)。
[図26]リース債務の元利均等返済明細一覧表である(実施例9)。
[図27]リース債務の現在価値を算出した結果を示す表である(実施例9)。
[図28]本発明の実施例10に係る装置の構成を示す機能ブロック図である。
[図29]本発明の実施例10に係る装置における処理手順を示すフロー図である。
[図30]本発明の実施例11に係る装置の構成を示す機能ブロック図である。
[図31]本発明の実施例11に係る装置における処理手順を示すフロー図である。
80 顧客(債務者)端末
100、300 システム
102 小口化部
104、304 市場情報入力部
106 告知部
108 契約部
110 個別通信部
112 情報提供手段
114 決済部
112 受渡部
302 ローン残高算出部
306 現在価値算出部
308 債務価値判定部
310 スワップ部
【発明の名称】 債務削減方法とその装置
【技術分野】
本発明は、種々の原因による経済環境の変動によるリスクを伴う契約において、住宅取得或いは事業の設備資金や運転資金など比較的中長期に亘る資金調達にローン又はリースを用いた債務者、国債、公債及び社債(以下、国公社債という)の発行者の債務、生命保険及び損害保険(以下、保険という)の被保険者に対する給付を含む支払義務等の債務(以下、債務という)の軽減・消滅、若しくは債権又は投資の一部若しくは全額の回収、更に利益の獲得を図る契約に関し、更には、金融機関、国公社債購入者、リース業者、被保険者等の貸手である債権者のリスクヘッジを可能とすることにより、安全な長期債権債務の権利義務を保全可能とする社会性を有する発明に関する。
なお、本発明に用いられる下記の金融用語はいずれも「金融実務大事典」(社団法人:金融財政事情研究会編、平成12年9月19日発行)の各頁記述されているものを用いており、現在広く金融業界で一般的に使用されているものである。例示すれば、給付(353頁)、現在価値(476頁)、ローン(1775頁)、住宅ローン(802頁)、オプション(163頁)、スワップ(944頁)、ボラティリティ(1587頁)、リスク(1731頁)などである。
【背景技術】
20世紀を回顧すると、マクロ経済の急激な変化によって、債権者及び債務者双方が破綻に陥る場合がある。好況時(インフレ時)には、次第に不況(デフレ時)に陥ることが懸念されても、そのリスクに対応する手段が例えば住宅資金を借入れる際に債務者側に設定されていないのが現状である。デフレ時からインフレ時に移行する場合でも同様である。
マクロ経済環境が変化するときのリスク、例えば長期に亘る不況、国際収支の悪化、国債、公債の過剰発行による財務破綻、経済や通貨政策の失敗による通貨信用の崩壊、極端な資源配分の失敗等によりマクロ経済が急変化することで、債権者及び債務者の貸出リスク及び借入リスクは急激に高まり、経済そのものが急激な縮小に陥り、債権者及び特に債務者の多くが問題を抱えるに至ると考えられる。
マクロ経済環境が変化して金利が上昇した場合、債務者及び債権者は次のような事態を迎えることになる。
(a)インフレーション経済下では、諸物価が高騰し、それに見合う収入が追随しない場合、住宅資金ローン債務者等の債務者を例示すると債務の返済に支払に支障をきたす。特に、変動金利を採用している債務者は、高額な金利支払いが必要となり、ローンの返済が困難となる。
(b)デフレーション経済下では一般需要が減少し、多くの企業が経営難或いは破綻することにより雇用が減少あるいは所得が低下し、住宅資金ローン債務者等のローン債務者が支払不能に陥る。例えば1929年のニューヨークで発生した金融恐慌下では失業率が25%に達した。また、デフレーションにより担保価値が急落することにより、債務者が元本及び/又は金利支払不能に陥った場合でも本担保を換金できない状態となり、実質的債務超過状態となる。更に、固定金利を採用しているローン債務者は、高額な金利支払いが継続され、最終的には元本及び金利支払いが不能となり、約定返済が不可能になることが考えられる。
更にデフレーション経済下では、債権者は、債務者が返済遅延、倒産もしくは支払不能に陥ることにより、不良債権が極端に増加し、受取金利だけでなく元本も回収不能となり、債権者も破綻するおそれがある。また、担保資産の価値も減少するなかで、担保資産の資金化が困難となる。
これらの事例は、1990年代の日本が経験しているところであり、金融機関の不良資産は100兆円を超え、金融機関の破綻問題に発展した。一方政府は景気振興策をとらざるを得ないため、これに伴う金利の上昇は避け難く、20〜30年間に亘る住宅ローンは将来の金利上昇リスクが大きい。
このような経済危機を回避するためのデリバティブ(金融派生商品)は多種存在するが、債務者たる一般庶民(消費者)及び一般事業主(企業)がローンで資金調達する場合の金利上昇リスクをその債務額に適応した一括又は小口化したデリバティブによってヘッジし、債務者を支援する特許文献は見当たらない。また、現在、一般庶民を対象とした投資、債権、債務、条件付き債権債務には、デリバティブ等を用いたリスクヘッジはなされていない。
本発明の出願前(2004年2月9日)に日本経済新聞社より発刊された「新しい金融秩序−来るべき巨大リスクに備える」(エール大学教授ロバート・J・シラー著)において、ホームエクイティ保険による住宅取得者(住宅ローン債務者)の該住宅価格の低下リスクを避ける為の保険の新しい手法として、保険金請求を住宅価格指数に基づいて精算することが述べられており(同書180頁)、住宅価格の低下に対する対策の社会的必要性が近年特に高まっている旨が強調されている。その方向性は正に本発明と共有するものであるが、ここに述べられている思想及び具体的手法は、住宅価格の将来の価格低下を保険とその手法によりそのリスクをヘッジする事を基本としており、本発明と異なるものである。
また、下記の特許文献1及び2は、債務償還に係る金融面のリスクを回避する手法を述べているが、ローン債務者のリスクを対象としておらず、また、経済情勢の変化によるローン債務者の借替若しくは期限前の返済による債権者の利益が減少するリスクを回避する手法について、信託等の代位弁済を用いており、イールド・カーブで割引いた債務の現在価値を用いてローン債務者の負担を軽減若しくは消滅する思想は述べられていない。
また、上記債務に対して債権が生じており、債権者もまたリスクを伴った債権の保全を行う必要がある。債権者側の債権は住宅ローン貸付債権、リース債権、同じく主として法人に対する比較的長期に亘る貸付債権及び保険会社における再保険債権等である。
【特許文献1】特開2002−342579号公報
【特許文献2】特開2002−358428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ローン、リース又は保険などの債務の返済を約定している期間内で、経済情勢が大きく変動し物件又は債権の売買における債権者及び債務者のリスク若しくはリスクの増大を回避する方法を提供することである。また、本発明に於いて以下に記載する利益は、税金、手数料、本発明利用料等を考慮していないので、それらの金額は該利益から差引かれるものであるが、本発明を利用して商品を販売あるいは発行する場合にはその販売価格に本発明利用料を含めてもよく、デリバティブの購入額を提示する際に予めこれらの諸経費を含めて提示してもよく、本発明の方法及び装置にさしたる変更を加える必要はない。プレミアム購入額と債務削減割合に若干の数値変更が生じるのみである。
【課題を解決するための手段】
本発明者は、後述する株式、債権等の有価証券、金利、通貨、商品(オイル、金属、農産物、金等)の現物或いは指数(含む先物)がマクロ経済に於いて過去5年〜30年間(住宅ローンあるいは国公社債の債務の相当期間)に於いて、激しく変動しており、これにボラティリティを勘案してデリバティブを組成すると現実的な実績においてローン、リース、国公社債又は将来発生する或いは発生する可能性のある保険の給付を含む支払義務等の債務の債務額に比し少額のプレミアムを支払って住宅ローン等の長期債務額に見合う小口化された該デリバティブ(債務削減権)を債務者が購入する事により、比較的数多い頻度をもって住宅ローンを始めとするローン債務、リース債務、国公社債発行の債務又は将来発生する或いは発生する可能性のある保険の給付を含む支払義務を削減できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、請求項1の発明は、土地付建物あるいは建物の販売を促進し利潤を挙げる事を目的として住宅ローン債務を通信ネットワーク上においてデリバティブを用いて下記手段により削減する住宅ローン債務削減装置である。
(a)金融機関あるいはデリバティブ組成者からデリバティブを取得するデリバティブ取得手段。
(b)取得したデリバティブを分割して前記住宅ローン債務の住宅ローン債務額とその条件に適応した小口デリバティブを創設する小口化手段。
(c)住宅ローン債務者あるいは該債務原因関係者から前記デリバティブを購入するためのプレミアムの支払いを受けるプレミアム受取り手段
(d)前記住宅ローン債務の約定時、その前又はその後において、前記小口デリバティブの購入契約を締結する契約手段。
(e)購入契約締結後の前記住宅ローン債務者あるいはその関係者との個別通信手段。
(f)前記小口デリバティブによる利益が得られたときにおいて、その利益により前記住宅ローン債務の一部又は全部を返済する決済手段。
上記請求項1において債務原因関係者としては、連帯保証人、保証人、土地付住宅販売者、住宅販売業者、住宅ローン債権者、住宅ローン証券化業者などが挙げられる。
なお、上記請求項1の発明では、上記(c)の手段において支払われたプレミアムに予め定められた手数料が含まれる場合がある。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の住宅ローン債務を削減させるための装置であって、前記小口化手段により創設されたデリバティブを広告宣伝する告知手段と、総リスク量を診断して情報を提供する情報提供手段と、締結した前記デリバティブの決済機会を支援する決済支援手段との少なくとも一つを有することを特徴とする住宅ローン債務削減装置である。
本発明は、デリバティブを分割又は一括して売買/消費貸借する契約を締結するシステムを構築し、住宅ローンの契約のリスクを低減し、債務者或いは債務予定者に安心感を与えることにより購買意欲を促進する効果を持つ。上述したデリバティブプレミアムは、債務者の更なる金銭的負担を考慮に入れ、比較的少額であることが好ましく、債務の5%前後のところを意図している。しかしながら、債務者がより多くのプレミアムを支払い債務削減の可能性を大きくするケースも本発明に含まれる。
上記した本発明を構成する各手段の役割は次の通りである。
(a)デリバティブ取得手段
市場、銀行、短資会社、証券会社などの金融機関あるいは金融工学研究所等からデリバティブを取得する手段である。住宅ローンは通常20〜35年の長期返済計画を組み銀行などの債権者へ返済するため、取得するデリバティブは長期間(例えば10年〜30年)の行使期間を有するものが好ましい。
(b)小口化手段
デリバティブ取得手段において取得した長期間のデリバティブは、取引の想定元本の単位が億円単位であり、そのプレミアム価格は高価となる。一方、住宅ローン債務者が住宅ローンを借入れる場合、戸建住宅又は分譲マンションでは数千万円単位が一般的であり、このような住宅ローン債務者が、長期間のデリバティブを購入するのは負担が大きく非常に困難である。そこで、長期間のデリバティブを分割(小口化)することで、ローン債務者の債務額及び返済期間などの条件に適応した小口デリバティブ(債務削減権)を創設する。なお、例えば、複数戸よりなるマンションなどの集合住宅で建築費が高額で住宅ローン債務額も高額な場合には、長期間のデリバティブを分割せずに一括してデリバティブ(債務削減権)を創設してもよい。
(c)プレミアム受取り手段
デリバティブを購入するためのプレミアムの支払を住宅ローン債務者あるいは該債務原因関係者から受ける手段である。ここで、債務原因関係者とは、住宅ローン債務の債務者の承継人あるいは保証人などの関係者をさす。
(d)契約手段
住宅ローン債務の約定時、その前又はその後において、住宅ローン債務者と小口デリバティブの購入契約を締結する手段である。
(e)個別通信手段
金融支援会社のホームページに個人サイトを設けてローン債務者の暗証番号によりデリバティブ価格情報等が見られるようにしている。
(f)決済手段
小口デリバティブ(債務削減権)を売却した債務者に対して資金を決済する。ローン契約時にローン債務のリスクをヘッジするためにデリバティブ(債務削減権)を契約するが、返済途中で経済情勢が変動して小口デリバティブ(債務削減権)にローン削減額(利益)が生じた場合、契約上自動的に債務残額を返済するが、この際に利益を一旦金銭、有価証券などで受理し債務残額を返済する。更に余剰の利益があればこれを取得する。
(g)告知手段
本商品が関与する各市場とコンピュータを介して価格情報を入手し、本商品価格の特性・条件に従いタイムリーに本商品の価格を表示するための商品価格表を提供する。また、本商品価格表からシミュレーションシート(例えば、住宅借入に於いて幾ら払って何年後に何%の金利になったら、どのくらい元本を削減できるかを明示するシステム)を作成し、本発明の装置及びその特徴を、パンフレット、カタログ、新聞等の活字媒体、テレビやホームページ等の電子媒体、その他の広告宣伝媒体を利用し、前記債務削減方法及びシステムを一般に知らしめる。
(h)情報提供手段
債務者の購入した商品、及び債務者の条件を電子的に管理し、債務者の総リスク量を診断し、その後の本商品価格情報並びに債務者の条件及び状況に沿った情報をホームページ、イーメールといった電子通信媒体により適宜に、もしくはダイレクトメールといった活字媒体により、所定日毎に提供する。また、照会・問合わせ・苦情に対して返答可能なコンサルティングシステムを作成する。また、本商品又は本商品と類似した商品の内、未だ取引所で公開していない商品を公開させて新聞等の媒体により掲載させる。
(i)決済支援手段
本商品を決済したい人に対して、電子通信媒体、もしくはコールセンターなどの電話媒体で、小口デリバティブ(債務削減権)の決済価格を適宜伝えるとともに、現時点で小口デリバティブ(債務削減権)を決済した場合の受取キャッシュフローなど顧客である債務者が必要な情報を伝えることにより、債務者(顧客)の小口デリバティブ(債務削減権)の決済の意志決定を支援する。但し、契約書等で予め定められた条件に達した場合は自動的に決済される。
上記のように、長期間のデリバティブは取引の単位が通常億円単位であり、現状一般債務者には取引できない為これを小口化して取引又は販売するシステムや金融支援会社が必要であり、住宅ローン借入者即ち債務者は小口デリバティブ(債務削減権)販売システムを有する金融機関或いは前記金融支援会社とデリバティブ契約を行うことになる。従ってデリバティブを決済する権限を債務者に付与し、この決済により生じる利益によりローン残高、元利払い額、利払い額又はこれらの一部の消滅が可能である為、これを本発明では債務削減権と呼ぶ。
債務削減権を設定するパターンは下記のA〜Dがある。
A.住宅金融公庫借入+債務削減権の選択。
B.銀行借入+債務削減権の選択(同一銀行の場合は仕組借入れとなる場合もある)。
C.住宅金融公庫+銀行借入に対する債務削減権の選択。
D.債務削減権のみの購入(既存借入にも対応可能)。
なお上記の銀行とは一般金融機関、金融会社を云い、又金融支援会社はそれ以外のローン債務者に対し本発明の採用を支援する証券会社、住宅会社、土地分譲業者を含む一般関連会社を含む業者を云うものである。
上記Aパターンの場合は、債務削減権の金額を新たに銀行から借りるか(銀行は新商品で小口貸出が可能となる)、自己資金で行う。
上記Bパターンの場合は、仕組借入として取扱うため、債務削減権の価格と借入額は関連を有する。
上記Dパターンの場合は、債務削減権の金額を新たに銀行から借りるか(銀行は新商品で小口貸出が可能となる。)、自己資金で行う。
債務削減権の決済には、次のような手段が講じられる。
債務者は、債務削減権決済によるローン削減額を予め決定し、自動決済を実行する契約を、金融機関又は金融支援会社と締結する。債務者が上記自動決済を行わない場合は、金融機関又は金融支援会社から債務削減権決済によるローン削減額割合に関する情報を、面談、文書、電話、ファックス、ホームページ若しくは電子メール等の電子的通信手段を用いて入手し、債務者の判断により随時上記の手段を用いて、債務削減権を、金融機関又は金融支援会社により決済する。ローン債務者は、上記債務削減権を決済した後にローン残高が残った場合、債務者が希望すれば、新たに債務削減権を金融機関又は金融支援会社より購入し、適宜決済することが可能である。
なお、ローン借入当初にローン返済期間に相当する、若しくは比較的中期、長期の債務削減権を購入する前に、短期の債務削減権を購入し債務削減権の利益を、前記中期長期の債務削減権の購入資金に充当させる事も可能である。
例えば、オプションを利用して債務削減権を組成した時、20年を超えるようなローンの借入期間の場合、そのローン返済期間に相当する、若しくは中期、長期の債務削減権の基礎となっているオプションは時間的価値がその購入価格のほぼ全額を占める事になる。これはオプションの基本的な仕組みであり、購入したオプションはその満期日に時間的価値が消滅するいわゆるタイムディケイの理論である。
従ってオプション1単位当りの購入価格を低く抑えるために、短期のオプション例えば1枚3円(1枚はオプションの単位であり、一単位千円)のような安い購入価格の株価先物のコールオプションやプットオプションを各々相当枚数購入する。株価の変動により株価が上昇した場合、プットの3円は0円になってもコールは30円になることは珍しいことではないので、これを毎月行いながら経済の変動による時価額の上昇を期待し、利益が得られた時点でその利益を原資としてローン返済期間に相当する、若しくは比較的中期、長期の債務削減権を購入する。
これにより債務削減権に慣れていない債務者に債務削減権の有利性を理解させ、ローン返済期間に相当する、若しくは比較的中期、長期の債務削減権に対する負担感も払拭することができる。
請求項4の発明は、住宅ローン債務を削減させるための装置であって、特に、一体型あるいはネットワーク型電子的通信手段を用いて住宅ローン債務を下記手段により削減させるための装置である。
(1)住宅ローン債務残高Aを算出する残高算出手段。
(2)前記住宅ローン債務の将来の元利払い額の全部又は一部を、その期間に対応したイールド・カーブにより示される各期間の金利を用いて割引いた現在価値Bを算出する現在価値算出手段。
(3)前記の残高算出手段と現在価値算出手段とから読み出したそれぞれの価値を比較し、その結果を告知する住宅ローン債務価値判定手段。
(4)前記の住宅ローン債務価値判定手段から読み出した前記住宅ローン債務残高A及び前記現在価値Bが、A≧Bの条件の時に,前記現在価値Bと同額の現金及び/又は有価証券等(以下、Cという)を直接又は間接に金融機関に提供する担保提供手段。
(5)債務者が前記AとBを債権者もしくは第三者とスワップし、前記スワップを用いて前記Cに対応する将来にわたって発生するキャッシュフローを取得する権利をスワップする相手方から取得するスワップ手段。
固定金利による例えば住宅ローン契約を行った債務者は、その後の金利上昇により債務に含み益が生じるが、その含み益を実現益として取得するために該債務を現在価値で評価し、その時点における債務残高より少ない額で債務の将来の元利払額の全部又は一部を削減する。例えば、固定金利を利用したローン債務者は、その後市場金利が借入時より上昇した場合に、前記のスワップを行うことで、この固定金利債務に生じる余剰価値(含み益)を債務削減に寄与させることができる。本発明では債務の将来の元利払額の全部又は一部を各期間毎の金利をプロットしたイールド・カーブを用いて割引いた現在価値Bを利用している。金利上昇が顕著になれば現在価値Bの価格は債務残高Aより少なくなる。
前記スワップによりその時点における債務残高より少ない額で債務の将来の元利払額の全部又は一部を削減する事が可能となるが、金利変動時に金融機関又は本発明の中心的存在の金融支援会社が各債務者に前記スワップ利用の勧誘を行っても債務者に理解が得られない可能性もある。
従って、金融機関又は金融支援会社が予め債務者へスワップの説明を行ない、債務者が金融機関又は金融支援会社と前記スワップの予約契約、並びに債務残高Aと現在価値Bの比較情報提供契約を締結し、契約を締結した金融機関又は金融支援会社は、債務者に対して、定期的に或いは債務者(顧客)の求めに応じて随意に債務残高Aと現在価値Bの比較情報を提供し、予め債務者と金融機関又は金融支援会社が約諾した水準(例えば、本スワップの実行で債務の半額が実質的に返済される等)にイールド・カーブを用いて割引いた現在価値Bが達した時点で自動的に前記スワップを行なう事を予約する、若しくは債務者が随時本情報提供に基づいて前記スワップを行う事も本発明には含まれる。
また、住宅ローン債務者が、前記債務の一部又は全部を債権者に前記スワップを用いて実質的に返済した後、債務者に残されたスワップ契約に基づく権利を債務者が保有してもよく、また債権者もしくは第三者に譲渡してもよい。
前記スワップ契約に基づく権利を債務者が保持する場合とは、キャッシュフローを取得する権利を債務者が保持することであり、例えば、スワップの相手方から債務者に支払われる、元利払い額、利払い額又はこれらの一部に相当するキャッシュフローを用いて、債務者が債権者に返済を行う場合をいう。また、債権者に前記スワップ契約に基づく権利を譲渡する場合とは、例えば、住宅ローンの場合、ローン債務者が保有するキャッシュフローを取得する権利をローン債権者へ譲渡する場合をいい、実質的に債権者の貸出先がローン債務者から金融機関などのスワップの相手方に変更された場合をいう。
前記スワップ契約に基づく権利を債権者へ譲渡する場合、後述するように、債権者の自己資本比率の上昇に貢献するメリットがある。
一方、前記スワップ契約に基づく権利を債務者が保持する場合、スワップ契約後における金利変動に伴い、キャッシュフローに含み益が生じることで債務者は更なる利益を得ることも可能となるメリットがある。すなわち、前記スワップにより得たキャッシュフローを取得する権利は、金利の低下に伴い含み益が発生する。そのため、その時点のイールド・カーブにより割引かれたキャッシュフローを取得する権利の現在価値がその時点における債務残高を上回っていれば、債務者は、該権利を現在価値で第三者に売却し、その売却代金をもって債権者に債務残高を返済するとともに、余剰分を利益として得る事も可能となる。
請求項5の発明は、請求項4に記載の住宅ローン債務削減装置において、前記Cを作出するために、前記住宅ローン債務に基づき、その約定時、その前又はその後において、プレミアムの支払を受けて、前記住宅ローン債務残高、元利払い額又は利払い額若しくはこれらの一部と対応した金額のデリバティブ又は前記デリバティブが小口化された小口デリバティブの購入契約を締結する契約手段と、前記小口デリバティブによる利益が得られたときにおいて、この利益の全部又は一部を前記Cに充当する充当手段と、からなることを特徴とする住宅ローン債務削減装置である。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置を用いて土地付建物あるいは建物の販売促進を図る広告宣伝を含む販売促進手段と、その販売額に対する所定の装置利用対価を徴収する利用対価徴収手段を備えた住宅ローン債務削減方法であり、デリバティブの成否にかかわらず、本発明の権利を有する者に手数料、本発明利用料等が支払われる。
請求項7の発明は、コンピュータを用いて住宅ローン債務を削減させるシステムであって、債務者の債務者端末と、前記の債務者端末から送信された債務者情報を受信する受信手段と、受信された前記債務者情報に基づいて前記債務者の現時点に於ける住宅ローン債務残高を算出する住宅ローン債務残高算出手段と、金利データと現在価値算出規則とを記憶した記憶手段と、前記債務者の現時点において残存する元利払い額の現在価値を算出する現在価値算出手段と、前記住宅ローン債務残高算出手段が算出した前記住宅ローン債務残高が、前記現在価値算出手段が算出した前記現在価値よりも大きい場合、前記債務者端末へ、前記債務者の住宅ローン債務が含み益を有していることを通知する情報を通知あるいは送信する通知又は送信手段とを有し、前記受信手段が前記債務者の債務者端末から通知あるいは送信されたスワップ処理を命令する信号を受信することで、スワップ取引処理を行うことを特徴とする住宅ローン債務削減システムである。
請求項8の発明は、コンピュータを用いて住宅ローン債務を削減させる住宅ローン債務削減システムであって、金融機関から取得したデリバティブに関する情報の入力を受け、このデリバティブをそのまま又は小口化して、小口デリバティブ(住宅ローン債務削減権)データとして記憶する記憶手段と、債務者の債務者端末と、前記の債務者端末から通知あるいは送信された前記デリバティブの購入申込み命令を受信するか又は前記の購入申込み命令の入力を受ける受け入れ手段とを有し、前記の受け入れ手段により、前記債務者からの通知又は前記債務者端末から送信された前記デリバティブの決済を命令する決済信号を前記コンピュータに受信又は入力し、前記決済信号に基づき、直接又はネットワークを用いて決済処理を行うことを特徴とする住宅ローン債務削減システムである。
請求項9の発明は、請求項8の住宅ローン債務削減システムにおいて、前記記憶手段は、直接又はネットワークを用いて外部の情報提供会社の端末から前記デリバティブに関する情報を受信し、これを価格指数データとして記憶しておくとともに、前記の小口デリバティブデータと前記価格指数データに基づき作成した宣伝データを債務者(顧客)に通知もしくは債務者(顧客)端末へ送信することを特徴とする住宅ローン債務削減システムである。
本発明において、デリバティブは、現物、先物、オプション、スワップ、スワップションなどを用いることができ、更に将来開発される好適なデリバティブなどが用いられる。これらのデリバティブは、金融機関又は金融支援会社(実施例に記載)によって選択され、債務者(顧客)の希望する債務削減額(利益)に適合するように小口化されて債務削減権として提供される。前記デリバティブは、損失が無限大に発生する可能性があるので、損失が限定されたデリバティブを購入する事が好ましい。また前記デリバティブは、例えばオプションにおいてはアウト・オブ・ザ・マネーのうちボラティリティが25%以下の長期間のオプションを購入し、ボラティリティの急激な上昇及び原資産の上昇・下降により債務削減額を確保するのが好ましい。先物、オプション、スワップ、スワップションのデリバティブの特性を次ぎに記載する。
先物は、ある原資産について将来時点における取引条件を現時点において特定する取引であって、原資産の価格の上下と同様な動きとなる。この先物で代表的なものが日経225、TOPIX等の株式先物、国債等の債券先物、金利を扱う金利先物、農産物、オイル、金などの商品先物、外国為替を扱う為替先物がある。更には、ニューヨークダウ、ナスダック、ロンドン(FT)、パリ(CAC)、フランクフルト(DAX)、ソウル(KOSPI)、台北(カロホス)、シンガポール(SIMEX)等の株式或いは有価証券市場の現物及び/又は先物指数、更にロンドンのLME(金融取引所)、シカゴのCRB、CMB(穀物取引所)等の現物及び/又は先物指数等の国際的な取引所のものや日本国初め各国の長期プライムレート等(例えばロンバートレート)を前記デリバティブに用いることも本発明に含まれる。
オプションは、原資産を権利行使価格で満期日に買う権利(コールオプション)、若しくは売る権利(プットオプション)であり、コールオプションは原資産価格の上下と同様な動きとなり、プットオプションは原資産の価格の上下と反対の動きとなる。
スワップは、異種の通貨、又はベース金利の異なる債務元本や金利支払を複数の当事者が合意の下で交換する取引をいい、金額、期間、通貨、金利といった諸要素を最適な組み合わせに組替えるという考え方に基づくものである。
スワップションは、スワップを対象にしたオプション取引で、一定期間後(オプション期間)に、一定期間(スワップ期間)のスワップ取引を行う権利を取引するものであり、コールオプションとプットオプションがある。
上記の4つのデリバティブを単独に若しくは複数若しくは組み合わせを利用して本発明における債務削減権を組成する。組成するステップは次のような手順で行われる。
1.分散すべきリスクと最も連動性の高いデリバティブを選択する。例えば、金利であれば金利先物、債券先物、金利オプション、スワップションが選択される。また、原材料であれば、原材料の先物、オプションが選定され、これを一括又は小口化し債務削減権とする。
2.上記のデリバティブが市場性を有しない場合は、先物と原資産を用いて上記のデリバティブと同様な効果を生み出すデリバティブの組成を行い、これを小口化し債務削減権とする。その際、債務削減権のコストを削減するため、例えば、デリバティブを利用し債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部の削減以上のローン削減額を放棄しコストを削減する手法、返済計画に従った各月/各年の債務残高を基にデリバティブ取引を行い、コストを引き下げる方法等を採用してもよい。
なお、金融機関又は金融支援会社は、上記債務削減権の未売却分を保有することより将来に損失を生じさせないようにするため、債務削減権の未売却分を市場にてヘッジ取引を行うことが好ましく、例えば、デリバティブの最低組成・売買単位が1億円(想定元本)であって、ローン債務者へ40百万円(想定元本)の該債務削減権を売却した場合、残額の60百万円(想定元本)(債務削減権の未売却相当分)については他の顧客(ローン債務者等)に全部又は一部を売却するか、或いはその一部若しくは全部について先物市場等に於いてヘッジ取引を行う。
債務削減権を有利に決済しうる可能性を次のように判断することができる。例えば金利オプションを例にとると、オプション価格の決定理論の1つである修正ブラックショールズモデルは、将来の金利変動が正規分布の確率分布関数を前提として決定しているため、急激な経済変動の変化による金利の急騰急落の可能性は殆どないことを前提とした価格体系である。しかしながら現実の経済環境が激変することは経験則として認識されており、債権者及びローン債務者はその激変するリスクに曝されている。
従って、本発明の基本は、この修正ブラックショールズモデルによって決定されている価格体系を利用し、借入金利に応用する場合、非常に安価で長期間有効な金利オプション、金利スワップション等のデリバティブを組み合わせて購入することで、債権者と一般住宅ローン債務者のリスクを軽減させ安定的な経済活動を担保することを可能とするものである。
例えば、金利オプションの場合、急激な金利変動が起こることにより、修正ブラックショールズモデルによるオプション価格は、該モデルを構成する主要な指標「ガンマ」及び「ベガ」が急激な上昇を示すことに伴って指数関数的に急上昇する。このことは極めて短期間の内に大きな含み益が生じる可能性を示唆しているものであり、この含み益をローン債務者に還元することで本発明の一つの目的が達成される。なお、上記ガンマは金利1%上下時のデルタの感応度を示す数値であり、デルタはオプション価格の金利1%上下時の感応度を示す数値である。また、ベガは金利1%上下時のボラティリティの感応度を示す数値であり、ボラティリティは現在時点の原資産価格の変動性を示す指標であって原資産価格の変動の平均値をいうが、ボラティリティの数値が増加するとプレミアム価格は大きくなる。ここでコールのプレミアムCとボラティリティσの関係をブラックショールズモデルで示すと次のような公式で表される。
C=SN(d 1 )−Ke −rT N(d 2 ),ここでd 1 及びd 2 は、
d 1 =(log(S/K)+(r+σ 2 /2)T)/σT 1/2 、d 2 =d 1 −σT 1/2 で示され、ボラティリティσが増加するとプレミアムCが大きくなる関係にある。なお、Sは資産価格、Kは行使価格、rは金利、Tは行使期間である。N(d)は、正規分布の累積密度関数を意味しており、釣鐘型の図形を示す。
経済は好況と不況が繰り返される歴史となっているが、好況時の(修正)ブラックショールズモデルは更なる好況と次ぎにくる不況は等確率と扱うため、好況時の低金利の金利オプション価格は現実的な確率を考慮すると安価となる。例えば、1980年代後半から1990年全般にかけて、日本はいわゆるバブル経済となったが、その後の経済の収縮は非常に大きく、景気は循環を繰り返している。例えば、経済が10%成長時にその後の成長率を、ブラックショールズモデルは15%成長とマイナス5%成長(10±5%)を等確率=等価格と捉える。この概念から、債権債務(現資産)と多種多様なデリバティブ商品の組合わせが可能となるため、より安全になる債権債務の選択の広範囲な応用が可能となる。
なお、本発明は、住宅ローン債務以外のローン債務、リース債務、一般的な主として法人の借入金債務の他に国債、公社債(自治体等が発行する公債、法人が発行する社債(各保証債を含む)等)により生じた債務、及び保険の給付を含む支払義務債務等の債務者側の金銭債務一般にも適用することができる。
また、本発明では、前記スワップを含むデリバティブを株式、出資持分、出資口数、債券、受益証券、保険に化体させて債務を削減させることがあり、その場合、スワップ又はデリバティブを直接的に顧客(債務者)へ販売することが不可能な場合、例えばSPC(特別目的会社)を創設し、該SPCがスワップを行い、若しくはデリバティブの購入及び決済を行うが、一般顧客である債務者は、このSPCの出資持分を売買することにより、間接的にスワップ若しくはデリバティブを利用する場合がある。
債務者が住宅ローンのように債務者が個人であってスワップ、デリバティブの詳細までその内容を把握することが煩雑である場合、若しくは種々の法律上の制限で債務者に直接的にスワップ若しくはデリバティブを売買させることが困難である場合、他の金融商品、例えば、株式、出資持分、出資口数、債券、受益証券、保険に、スワップ若しくはデリバティブを化体させることで、これらの流通を促進させる利点がある。
また、本発明は、債務者又はその継承人がこの方法を権利として実行できる旨が契約書、覚書、その他前記債務に関する債権者と債務者及びその関係者間において交わされる合意文書あるいは念書等の差入書において規定されている場合があり、金融機関、金融支援会社、住宅製造及び/又は販売会社、土地分譲業者、保険会社その関係先の少なくとも一社(人)と債務者及び/又は債務者の保証人との間の契約書、保証書、特約書、念証等に本発明の契約内容が記載されているものを対象とする場合がある。
例えば、住宅ローンとその返済計画にスワップ予約契約、デリバティブの時価提供契約、債務の時価提供契約、債務削減権契約等の条項が付記されることで、物件の売買に該契約が一体的に組み込まれる。更に記載された該契約が経済の状況や運用の失敗で利益が得られない場合は該契約の責任を債権者が負わないことが明記される。
また本発明は、上記の債務削減方法を印刷物、放送、電子通信媒体の少なくとも一つを用いて、説明又は広告する場合があり、その場合、ローン等の契約時による経済情勢変動における債務者の負担を削減するシステムを広く一般消費者に呼びかけることで需要を喚起させ、債務者の経済的支援を促進させる効果を有する。
また本発明は、住宅販売会社、建築会社、不動産業者、リース業者、金融機関、金融支援会社等が取扱う商品代金に前記デリバティブのプレミアム(手数料、本発明利用料等を含む)を含めて商品販売する場合があり、その場合、デリバティブの成否にかかわらず、本発明の権利を有する者に手数料、本発明利用料等が支払われる。上記商品の購入者は、デリバティブを購入したことになり、デリバティブに利益が生ずればその利益で債務を削減できる利点が生じる。
また本発明を、特に、国債、公社債(自治体等が発行する公債、法人が発行する社債(各保証債を含む)等)により生じた債務に適用した場合、国公社債それぞれの発行者或いはそれらの取扱業者が債務を削減する目的を以て前記デリバティブを直接・間接に購入すること、若しくは購入した前記デリバティブを商品、国公社債に含め直接・間接に販売(発行)することがある。
国債、公債、社債は債券として流通し、不特定多数の人々が投資するものである為、債券の信用度により当該債券の価格が上下し、金利も上下する。例えば、日本国債の発行者は日本であるが、国際的な格付機関によるレーティングで日本の信用度が低下した場合、様々な経済現象が現れる。
この様々な現象を利用し、デリバティブを用いて国債の一部若しくは全部を償還する。具体的には、一般的には、日本国債の発行体(日本)の信用度が低下した場合、日本の円、国債、株式が一斉に売却される。従って、円安に為替がなった場合に利益を得るデリバティブ、国債の価格が暴落した場合に利益を得るデリバティブ、日経平均株価が暴落した場合に利益を得るデリバティブを予め購入しておけば、日本への与信が急落した場合に償還される事になる。
最近の具体例としてはアルゼンチン国債であるが、1口100円以上していたアルゼンチン国債の価格が30円を割る水準まで下落する事を経験している。アルゼンチンが予め上記デリバティブを購入しておけば、アルゼンチン債が急落し経済が縮小していく中で非常に有効に働くと考える。
また、公債、社債などにおいて、このデリバティブ付の債券を発行すれば、投資者は安心して当該債券に投資する事が出来るようになり、又、このようなデリバティブを購入している事を投資者に知らしめる事により債券発行体の与信は結果として高まる事になる。
また本発明を、特に、保険の給付金を含む支払義務等の金銭債務に適用する場合、保険会社が被保険者に対する支払いリスクをヘッジ或いは削減する目的を以て前記デリバティブを直接・間接に購入すること、若しくは前記デリバティブを商品に含め直接・間接に販売(発行)することがある。
保険会社は保険料支払いリスクをヘッジするためプレミアムを支払って再保険を掛けている。このため再保険引受会社や業者(例えば英国、ロイズ等)に相当額の再保険プレミアムを支払っているが、当該プレミアムの支払いに代える、或いは上記再保険と組合わせて前記デリバティブを直接・間接に購入することにより被保険者に対する支払いをヘッジ或いは削減することが可能である。保険業種としては生命保険、各種損害保険、海上保険(損害保険の一種)等が考えられる。現在では再保険に加えて再々保険が掛けられる場合もある。
上記保険は、将来の保険の給付金を含む支払義務(将来債務)を見積もる事が可能である。
従って、金利が上昇した場合、この将来債務をイールドカーブで割引く事により現在価値を求め、将来債務の金額より現在価値の金額が安価若しくは等価である場合、現金及び又は現金と等価な有価証券を金融機関に提供し、将来債務とスワップするか、若しくは将来保険会社に発生するキャッシュフローと将来債務をスワップする。
また本発明は、住宅販売会社、建築会社、不動産業者、リース業者、金融機関、金融支援会社、国公社債発行者あるいはそれ等の取扱業者が取扱う商品代金から、所定の本発明利用料を出願人又はその指定人、或いはこれらの承継人に支払う義務を課することがあり、前記デリバティブのプレミアムに手数料、本発明利用料を含めるか否かに関わらず上記の商品代金から本発明使用料を取得するものであり、本発明の権利者の利益を確保する。一方に於いて商品の販売者は商品の長期に亘る代金回収が完了するまではリスクが生じており、このリスクをヘッジする特典を得ることとなる。
また本発明は、前記債務の債権者が自らの債権保全を行うために、前記小口化されたデリバティブを用いる場合があり、その場合、金融機関等が一般的に課している手数料の他にデリバティブを用いることで、債務者に不測の事態が生じてもその損失をデリバティブの利益で補うことができる。この場合デリバティブのプレミアムを債権者又は債務者のいずれが支払うかにより、デリバティブの利益を取得する権利の所在が変わるが、当事者の話合いで決定されるべき事項でもある。いずれにせよ、債権者が本発明を利用することも本発明に含まれる。
また、債務の「削減」とは、債務の一部を消滅させて該債務を減らすことはもちろん、債務全部を消滅させることも含む概念である。
【発明の効果】
本発明によれば、債務者は、債務の将来の元利払い額若しくは将来発生する保険の給付を含む支払い義務の全部又は一部を、イールド・カーブで割引いた現在価値と等価な現金及び/又は有価証券で、スワップする事で実質的に債務が消滅する。
特に住宅ローンのような一般庶民を債務者とする場合、金融機関等の債権者は、スワップした権利を債務者が債権者に譲渡した後は、債務者が金融機関又は金融支援会社に変更され、当初の契約に基づいて貸付残額の返済を受けるので当初に予定した利益を完全に取得することができ、債権者が銀行であれば自己資本比率の向上にも貢献する。
更に本発明によれば、次のような利点が得られる。
1.マクロ経済変化による破綻の救済
(A)金利が上がった場合(ハイパーインフレーションを含む)
(a)債務者
インフレーション経済下では金利や原材料の高騰により多くの企業が経営困難になることにより雇用が急減し、債務者は支払不能に陥るおそれがあるが、本発明の方法・装置を利用した債務者は、スワップの実行或いは本債務削減権の決済をすることにより、債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減され支払不能になるのを免れ得る。例えば、変動金利を採用している債務者は、高額な金利支払いが必要となり最終的には金利支払いが不能となる可能性があるが、予め購入しておいた債務削減権を決済することにより債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減されるため、支払不能に陥らない。また、担保資産の価値上昇により資産価値が上昇するため、債務者には2重の効用が存在する。
(b)債権者
債務者の倒産もしくは支払不能により不良債権が急激に増加し、債権者は、受取金利だけでなく元本も回収不能となり、経営難或いは破綻に陥るおそれがある。しかしながら、本発明の方法・装置を利用した債務者は、スワップの実行或いは本債務削減権の決済をすることにより、債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減されて支払不能になるのを免れ得るため、債権の保有者である債権者は該債権を不良債権化させない事が可能となり、経営難或いは破綻を回避し得る。
債権者、特に銀行等の金融機関に与える影響は絶大である。例えば、融資実行時に本発明に基づく商品を直接・間接的に債務者に付与した融資は、リスクが軽減されているため、要注意債権、破綻懸念先債権として査定される確率が従来に比較し格段に軽減される。これにより、要引当額が現状より少額となり、銀行経営が安定化することで、銀行に融資余力が生まれ経済の活性に大きく寄与することになる。更に債務削減権を債権者が決済できることを債務者と約定してあれば債権の消滅も可能となる。
また、一般個人を債務者とした住宅ローンにおいて前記スワップにより、銀行等の金融機関に与える影響も絶大である。
債権者にとってのメリットは2つある。一つは期限前弁済のリスクが極端に減少する事であり、もう一つは自己資本比率の上昇に貢献することである。
つまり、債権者は、金利低下時にローン債務者が期限前弁済を行うリスク(ローン借換リスク)を常に負っており、このリスクに対するヘッジを行っているのが現状である。しかしながら、この本発明によりスワップした相手方である金融機関若しくは金融支援会社は、将来の金利変動に関らずローン債権者に対して、当初のローン契約どおりのローン残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部(すなわち、将来にわたってローン債務者に発生するローン債権者へ支払うキャッシュフロー)を支払っていく義務を持つ事になるので、前記スワップされたローン債権については期限前弁済のリスクが存在しないことになる。この効果は、一旦金利が上昇した後、金利が低下した場合に著しい。つまり、一旦金利が上昇する過程でローン債務者が前記スワップを行ないローンの約定弁済が保証される事となるので、前記スワップしたローン債権は、金利が上昇した後に金利低下が起こっても期限前弁済されないローン債権となるので、金利低下に対するリスクヘッジが不要な債権となる。
また、上記のようにローン債権の期限前弁済が起きない事により、債権者がリスクヘッジとして証券化されたローン債権を購入した投資家に対して多大なメリットを提供する結果になる。例えば、このローン債権を証券化した商品を購入した投資家は、金利の動向に左右されずに安定した投資収益を計上する事が可能である。
もう一つの債権者のメリットは、将来の元利払い額等の現在価値が債務残高より安価である場合はもちろん、等価の場合であっても、ローン債務者が前記スワップ契約により取得した前記キャッシュフローを取得する権利の全部又は一部を債務者からローン債権者に譲渡した場合に、債権者の自己資本比率が上昇する事である。
ローンの債権者は銀行が一般的であるが、銀行はBIS(Bank of International Settlements)による自己資本比率規制が存在し、BIS規制上で計算された自己資本比率が8%未満の場合、銀行は国際業務が不可能となる。この自己資本比率は自己資本/(資産額×資産カテゴリー別リスク・ウエイト)で計算されるが、この資産カテゴリー別リスク・ウエイトは小さければ小さいほど自己資本比率は上昇する仕組となっている。
この資産カテゴリー別リスク・ウエイトは、国により異なるものの日本を例にとれば、例えば住宅ローンはローン残高に50%を乗じる必要があるのに対し、銀行間貸借はローン残高に20%を乗じればよく、同額の自己資本、同額のローン残高であった場合、例えば自己資本10、貸出資産100である場合、住宅ローンであれば20%(10/(100×50%))であるのに対し、銀行間貸借であれば50%(10/(100×20%))となり、この比較においては自己資本比率が2.5倍改善される。ちなみに対企業融資のリスク・ウエイトは100%であるので、上記の自己資本比率の計算を行なった場合は10%(10/(100×100%))であり、これを銀行間貸借に変更できれば自己資本比率は5倍増加する事になり、膨大な影響を持つ事になる。
この効果は、前記スワップ後、ローン債務者がこのスワップの権利を債権者に譲渡した
場合に発生し、それは債権者の貸出先がローン債務者から銀行に変更される為である。
したがって、債権者の判断においては、自己資本比率上昇のため、将来の元利払い額等の現在価値が債務残高より高価であっても経済的合理性がある場合、ローン債権者が債務者に対し、何らかの経済的補給を行い上記スワップの実行並びにローン債権者への譲渡を債務者に勧めることもあり得る。
(B)金利が下がった場合(ハイパーデフレーションを含む)
(a)債務者
デフレーション経済下では需要が減少し多くの企業が経営困難になることで債務者は支払困難に陥るが、本発明を利用した債務者は、本債務削減権の決済をすることにより、ローン残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減されて支払不能になるのを免れ得る。また担保価値が下落した場合でも債務が削減もしくは返済されているため、実質的債務超過状態を回避できる。更に、固定金利を採用しているローン債務者は、高額な金利支払いが継続されるが、本債務削減権を利用することにより、固定約定金利と低下した市場金利との差益により本住宅借入元本が削減されるため、支払不能になるのを免れ得る。
(b)債権者
債務者が倒産もしくは支払不能に陥ることにより不良債権が増加し、受取金利だけではなく元本も回収不能となり債権者も経営難に陥るが、本債務削減権を債務者が決済することにより債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減又は返済されるため、債権者は損失を蒙らない。
また、担保資産の価値も減少するが、本債務削減権を債務者が決済することにより債務残高、元利払い額、利払い額、又はこれらの一部が削減されるため、債権者の資産評価上、健全な正常債権として評価されるため、引当不足は生じず経営難に陥らない。前出の(A)金利が上がった場合(ハイパーインフレーションを含む)の(b)債権者の欄に記載したのと同様の効果をもたらす。
2.マクロ経済急変リスク不存在による購買意欲の向上
本債務削減権を付与した借入方法を用いるローン債務者は、マクロ経済急変リスクを回避できるため、従来の借入方法によるローン債務者に比較し、より高額な債務を負担することが可能となり、より豊かな消費もしくは投資生活を享受することが可能となる。また、マクロ経済の急変に備え、従来なされていた過剰な貯蓄(いわゆるタンス預金)を消費或いは投資に開放することにより、資金の流通速度が高まり、その結果、通貨の信用創造が正常に機能し、経済そのものが活性化する効果を持つ。
3.マクロ経済の急変リスクの軽減
本発明に示した債務削減権が、住宅借入だけではなく広範囲な債権債務に広げた場合、金利の急激な変化を起こす力に対して、本発明による債務削減権を購入した債務者である顧客が本商品を決済する事になることにより、金利の変化に対する拮抗力が働き、一方的な金利の急騰や急落が軽減される。この拮抗力により、インフレ・デフレによる経済の不安定さを要因としたトラブルを回避することができる。
4.経済の効率性が高まる
債務者が現在負担している過剰なリスクを軽減する仕組となり、適性リスク以上に貯えられていた資金が、より効率的な投資・消費に資金が還流するため、経済社会全体の効率性が促進される。インターネットが情報の効率性を高めたのと同様であり、本仕組みには経済的価値がある。
今まで本発明を利用したローン商品は市場化されていないため、ローン債務者は全ての借入リスクを背負う結果となっているが、本発明をローン債務者が広く利用することにより、市場が開放され借入リスクが大きく減少する。
今まで、本発明の商品は住宅販売等の販売ツールとして一般に市場化されていない為、先物、オプション、スワップ、スワップションの価格が非常に高コストな仕組みとなっており、現状、ローン債務者の大多数が利用不能(少なくとも住宅ローン借入者は全員が利用不能)であったが、住宅ローン債務者などの一般庶民の利用を可能とした本発明であれば、新たな流通市場が創設拡大され、先物、オプション、スワップ、スワップションの価格が適正なものに収束し、より安価に本発明を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
オプションを購入する対象となる原資産価格を有する物権又は債権、例えば住宅などにローンを利用して購入資金に充てる場合、オプションを同時に設定して経済の変動によるリスクを回避するとともに借入元本の返済を実現する。
また、国公社債発行者は、長期に亘る債務を負うことになり、経済情勢、金利情勢により、大きなリスクを有するものであるが、本発明を利用すれば上記情勢の変化によるリスクの一部又は全部をヘッジ可能であり、国際的・社会的好影響を与え、利用可能性は大きい。
(実施例1)
本実施例は、住宅ローン債務を削減する方法に関するものであり、4000万円の住宅を購入する例を説明する。図1は、購入資金として4000万円の住宅ローンを固定金利3%で借り入れた場合の元利均等返済明細一覧表の一部を示す。返済期間は25年(300ヶ月)である。約定利息を含めた借入者の債務合計は56,905,358円であり、25年間の経済変動によるローン債務者の返済困難等のリスクは考慮されていない。
ここで、返済開始から10年後、上記住宅借入金利が現時点(借入時点)の固定約定金利である3%から0%乃至3%上昇する場合を考慮する。図2は、「スワップ金利20年もの」(ここでは、スワップ金利を住宅ローンから略1%を差し引いたものとする)を対象として、資産価格(元本)を1億円、ボラティリティを15%、行使期間を借入期間に相当する25年間とした場合の該金利のコールオプションの各行使価格におけるブラックショールズモデルにより算出される現在の購入価格と、10年後にスワップ金利が0%上昇から3%上昇しかつボラティリティが上昇する場合の該オプションの価格変化を示したものである。ブラックショールズモデルは、アウトオブザマネーのオプションがインザマネーに近づく時に、ボラティリティなどのオプション価格に影響を及ぼす要素が上昇し、オプションの時価額を急激に押し上げるから、インザマネーから乖離したオプションも、インザマネーに近づくと時価額が上昇し、少額の購入価格で大きな利益を上げることができる。
図2(a)図の見方を例示すると、行使価格5.0%、6.0%・・・・15%は現在(当該オプション購入時)の金利1.865%から可成り乖離した位置にあるが、スワップ金利が3%上昇したときには、4.8655%がインザマネーであり、行使価格の5%はインザマネーに近づいたことになる。このように行使価格はインザマネーになる水準を示すものでもある。
購入価格は、各行使価格におけるオプション購入価格(プレミアム価格)であり、インザマネーに近い程価格は高くなっている。資産価格(元本)1億円に対して行使価格が5%のオプション購入価格は4,660千円であり、元本に対する割合は4.7%である。ボラティリティは、図5に示すように、20年スワップ金利市場で過去約4年間の実績に於いて、15%以上のボラティリティを6回、50%以上のボラティリティを2回実現しており、当該オプション購入後において、50%以上のボラティリティを充分実現することができる数値である。そのため、図2では、10年後にボラティリティがオプション契約時の15%から50%又は75%になることを想定して記載している。
この間にスワップ金利が現状より0%上昇から0.5%きざみで3%上昇するまでの各場合について、購入したオプションの時価額を算出して記載している。同(b)図は購入したオプションの購入価格の10年後における時価額の上昇割合を記載したものであり、例えば行使価格が5.0%の場合、購入価格は4,660千円であり、10年後、スワップ金利の上昇が0%で、ボラティリティが50であれば、該オプションの時価額は14,713千円、上昇割合は3.16(倍)であり、それぞれ対応した位置に記載している。
ここで注目すべきところは同(b)図の中で、行使価格が5.0%の欄で金利が3%上昇し4.8655%になった場合、ボラティリティが50%の時購入価格の上昇率が14.96倍であり、この時点の借入元本残高は表記していないが、固定金利3%で25年元利均等返済の場合68,365千円である。これに対しローン債務者が本発明により購入した住宅ローン元本削減契約によるスワップ金利オプション時価額は69,698千円であって借入元本を上回り、該オプションを売却することにより全額返済することができる。同じくボラティリティが75%の時では、上昇率が17.22倍、時価額が80,255千円となる。これは他の行使価格に比較して上昇率が低いにも拘わらず本発明がローン債務者にとり現実的有利性を示しているものである。インザマネーに近づくほど購入したオプションの時価額は上昇するが、インザマネーになる直前のオプションの上昇率は鈍くなる。このことは対数正規分布を用いるブラックショールズモデルの特徴である。
では、インザマネーから乖離するほど購入したオプションの利益が大きくなるかと云えば必ずしもそうであるとは云えず、購入するローン債務者の元本削減希望額とオプションを購入する購入価格の負担感により異なってくる。その詳細を次項で説明する。
図3は、上記の資産価格1億円の20年スワップ金利オプションを分割して得られた、資産価格40百万円相当のオプションの状態を示す。行使期間は同じく25年とし、当該オプション購入時のスワップ金利は1.865%、ボラティリティは15%である。図1に示した元利均等返済明細一覧表によれば10年後の元金残高は27,346千円となっている。この残高を削減するために図3(a)図を参照すると、住宅ローン債務者が負担を感じない程度のオプション購入価格を約100万円とすれば、行使価格6%(オプション購入価格1,156千円)のオプションを選択すればよい。10年後におけるこの行使価格6%のオプションの時価額は、スワップ金利が3%上昇しボラティリティが50%の場合、25,758千円であり、同(b)図に示すように、ローン残高に対する時価額の割合は94%であり、ローン残高の大部分を返済可能であることが判る。では行使価格が5%の場合はどうかというと、オプション購入価格が1,864千円と割高感があり、返済割合は102%で十分であるが、前出の94%に対してさほど大きい延びではない。寧ろ行使価格7%を748千円で購入し、購入価格の上昇で返済率87%を検討する方がよいかも知れない。この選択は住宅ローン債務者の自由である。
上述した例では、オプションを1枚購入した場合であるが、これを2枚購入した例を図4に示す。同(a)図は、図3に示したオプションと同じ購入条件であるが2枚購入したのでオプション購入価格は2倍になっている。従って行使価格6%では購入価格が2,313千円であり、ローン債務者には負担が大きいので行使価格8%を選択する。オプション購入価格は1,000千円であり、借入元本に対する割合は2.5%である。10年後の融資(ローン)残高は27,346千円であり、スワップ金利が2%上昇しボラティリティが50%の場合、購入したプレミアムの時価額は28,699千円であり、ローン残高を全て消滅(返済)させることができる。また同じ購入条件でスワップ金利が1%上昇しボラティリティが50%の場合、時価額は17,034千円であり、元金残高の62%を削減することができる。この条件はかなり高い確率で実現すると思われその理由を次項で説明する。
ところでスワップ金利がどのように変化するか過去の実績を20年スワップ金利で検証してみた。その結果を図5にグラフで示す。期間は1999年10月から2004年2月までの約4年間である。金利は2.7%から1%の間で変動しているが、ボラティリティは10%から75%の範囲で変動している。ボラティリティはスワップ金利オプションのプレミアム価格に影響の大きい指数であり、20%未満のボラティリティのオプションを購入するのが得策である。上述のような、対象とする20年ものスワップ金利を1.865%とし、ボラティリティを50%と75%として計算しているのは、過去約4年間の実績に基づき妥当なことと思われる。
上述した例ではスワップ金利が上昇する場合を説明したが、逆に金利が下がった場合は、特に図示していないが、20年スワップ金利が約6%でボラティリティ20%の時の、25年の金利プットオプションで行使価格が3%とすれば、元本40百万円では購入価格は154千円である。仮に10年目に金利が3%になり、ボラティリティが70%になった場合、購入価格の時価額は6,600千円となり、購入価格の時価額はほぼ43倍になる。この結果、本オプションを5枚(154千円×5枚=770千円)購入していれば、6,600千円×5=33,000千円となり、10年後の住宅借入金残高27,346千円は返済可能となる。
(実施例2)
本実施例は、スワップ金利オプションを用いて住宅ローン債務を削減する方法に関するものである。
図6は10年ものスワップ金利オプションを使用した場合のオプションを示す。行使期間を25年として、対象スワップ金利1.32%、取引の単位である資産価格(元本)1億円、ボラティリティ20%の時の行使価格を5%〜15%に設定して、それぞれのプレミアム価格(購入価格)を算出したものである。同(a)図においてボラティリティの上昇を70%と130%としているのは過去の実績を参照したためである。図9に示すグラフは10年ものスワップ金利の2002年1月から2004年3月までの実績値をプロットしたものである。スワップ金利は0.5〜1.6%の変動を示すのに対し、ボラティリティは15%〜130%の範囲で激しく変動している。ボラティリティの変動はプレミアム価格に強く影響を及ぼし利益を確保できる機会を生む。20年スワップ金利を示した図2(a)図と10年スワップ金利を示した図6(a)図を比較した場合、例えば金利の上昇が0%のとき、行使価格5%では、10年スワップ金利の時価額が26,750千円に対して、20年スワップ金利の時価額は14,713千円であり、その比率は1.8倍である。その要因は設定されたボラティリティの上昇率の差にある。他の行使価格についても同様の比較をすれば1.7〜2.0倍の開きがあることが判る。
図7に前出の資産価格1億円の10年金利スワップオプションを資産価格40百万円に分割(小口化)したオプションを購入した場合における5年後の行使価格別時価額を同(a)図に示す。上記実施例1と同様の住宅ローン(借入元本4000万円、固定金利3%、返済期間25年間)のローン債務者が、小口化したオプションを購入することで、5年後の融資残高34,202千円に対してどの程度の返済が可能であるかを同(b)図に示す。50%程度の返済(削減)を希望するならば可成りの確率で達成できることが判る。もし経済情勢が変動して金利3%上昇及びボラティリティが130%に上昇すれば96%の返済が可能となる。ローン債務者が百万円以下のオプション購入価格を希望するならば、図7(a)図の行使価格7%を選択し、購入価格(プレミアム価格)933千円のオプションを購入することで、5年後には融資残高の50%程度は返済できる可能性が高く、ローン債務者の負担は大きく軽減される。
同オプションを購入する際に購入枚数を2枚にした場合を図8(a)図に示す。オプション購入価格を百万円以内とすれば、行使価格が11%の購入価格690千円を選択する。スワップ金利が1%上昇し、ボラティリティが70%のとき18,704千円の時価額がついており、同(b)図を参照すると融資残高の返済率は55%となる。
(実施例3)
本実施例は、住宅ローン債務を削減する方法に関するものであり、行使期間25年の国債金利を基準とした金利オプションを上記実施例1と同様の住宅ローンの債務削減に適用した例を1995年1月1日〜2004年10月1日の実績値に基づき説明する。なお、ローン借入時を1995年1月1日とし、ローン借入当初に当該金利オプションを一括購入した場合を想定する。
図10は、上記期間における当該金利オプションのプレミアム価格を、ローン借入元本に対応させた資産価格4千万円、ストライク(行使価格)3.83として、各期間毎の国債の利回りや国債のボラティリティ等に基づき、ブラックショールズ計算式を用いてに各期間毎のプレミアムを算出しプロットしたものである。
25年もの国債金利オプションは元本4千万円として95年1月1日はボラティリティが8.182%であり、ストライク3.83のプレミアム価格は、1,387,172円と算出された。この要領で各期間毎のプレミアムを算出している。同図は横軸に期間、縦軸にローン残高及びプレミアム(円)並びにローン残高に対するプレミアム価格の比率(%)を示している。前記比率の30、40、50各%を点線で表中に記載しているが、例えば40%を示す点線の上方に位置する比率を示す実線部分は40%以上のローン残高を削減できることになる。1998年1月1日以降の期間は殆どの部分がこれに該当している。本実施例では期間の最初にボラティリティが8.182%と低くプレミアムがかなり低い額であったことが幸運な結果をもたらす結果となった。
(実施例4)
25年間の住宅ローンの借入期間の場合、上述した実施例1及び2におけるオプションの購入は、ローン借入当初にオプションを一括購入しており、オプションの満期までの期間(行使期間)を住宅ローンの借入期間に対応した25年間としているため、時間的価値がその購入価格のほぼ全額を占める事になる。これはオプションの基本的な仕組みであり、購入したオプションはその満期日に時間的価値が消滅するいわゆるタイムディケイの理論である。従ってオプションの購入価格を低く抑えるために、本実施例では期間の短期間化を行い、1単位当りの購入価格を低く抑えるようにしている。この場合は、借入元本の全額又は大半の額を1回のヒットで返済(削減)することは難しいが、短期間のオプションの売却による利益を、それ以降に購入する長期の債務削減権の購入資金に充当することができる。
例として、日経225オプションの購入を考えた場合、行使期間6ヶ月として2004年9月限月の行使価格7500円のプットオプションを1枚3円で1000枚購入した場合、購入価格は3円×1000=3000円となる。(2004年3月時点の日経平均価格は11,500円であり、ボラティリティは25%である。)これを毎月繰り返した場合、6ヶ月間で6000枚(18,000円の支出)となるが、3ヶ月後にマクロ経済の変化が生じたとすれば、日経平均が2,000円下落し、ボラティリティが80%に上昇する場合、その結果上記の購入したオプションが1枚当たり500円となり500円×3000=1,500千円の時価額となり、これを取得することができる。この1,500千円を原資として、以降の債務削減権を取得するための長期オプションの購入を払い済みとすることが可能である。この提案は、住宅ローンの借入当初に実施例1又は2のようなオプションを購入する資金が不足している場合、若しくはオプションに不慣れなため百万円前後のオプションを購入するのに負担感が生じて同オプションの購入を敬遠するような場合、極めて安い購入価格のオプションの購入を勧め、オプションの有利性を理解させることに役立つものであり、本実施例のオプション取引に成功したのち、ローン返済期間に相当する様な長期のオプョンを契約すればよい。
実務的には、毎月一定額(3千円、5千円、若しくは10千円)をオプション購入資金として支出していくことになる。つまり、オプション購入価格はボラティリティの変化により日々変化するが、毎月一定額を定め、その時々による購入価格に応じて枚数を変化させ購入を行う。25年間の残借入期間が時間と共に減少していくため、ローン返済期間に相当する様な長期のオプションが順次安く購入できることになる。又、上述した方法は、為替・金利・株式等々の指数の中で、例えばボラティリティの低いものを優先して月々一定額を購入していく方法も考慮可能である。この場合は、前述したように期間途中でボラティリティの変化により、投資額の回収が可能な場合、回収額の一部をそれ以降の投資額に回すことにより、それ以降の投資額はローン債務者にとって払い済みとすることができる。
(実施例5)
日本円とUSドルの為替を使用したオプションを、上記実施例1と同様の住宅ローンの債務削減に適用した例を将来円安になる場合を想定して説明する。図11(a)図は為替オプション・ドルコールを行使期間25年、対象:円ドル為替(109.65円/USD)、円金利2.443%、USドル金利9.049%、元本100万USドル、ボラティリティ9%として、行使価格を110円から170円の間に設定し、それぞれの行使価格におけるプレミアム価格が10年後にどのような時価額を示すのかを試算した結果を示す。同(b)図は購入当初のプレミアムに対する10年後の時価額の上昇割合を示す。
図12は、10年後、為替オプション・ドルコールオプションの時価額(プレミアム)がどのような価格を示すのか算出した結果を同(a)図に示し、同(b)図には、返済期間の開始から10年後のローン残高に対する、算出されたその時点の時価額の割合を示したものである。10年の期間で考察すると、円/ドルが110〜130円程度になることは可成り予想される範囲である。例えば、ローン債務者が百万円以下のオプション購入価格を希望するならば、購入するオプションの行使価格を120円とすることで、購入価格を百万円以内である814千円に抑えることができる。このようなオプションは、仮に10年後、為替レートが20%上昇して131.58円となり、その時のボラティリティが13%であったとすると、時価額が5,952千円となりオプション購入価格の7.3倍になっている。ローン債務者は、該オプションを売却することで、同(b)図に示すように、10年後の融資残高27,346千円の25%を返済(削減)することができる。
上記為替オプションを2枚購入した例を図13に示す。2枚購入したのでプレミアム価格は2倍になり、購入価格を100万円以下に抑える場合、行使価格130円(購入価格816千円)を選択すればよい。10年後において、為替レートが20%上昇しボラティリティが13%であれば、このオプション時価額は、8,368千円となり、購入金額に対してほぼ10倍に成っている。この時点の融資残高の返済割合は31%であり、購入したオプション料を差し引いても7,552千円の利益を確保できる。図14は、円/ドル為替とボラティリティの過去の実績をプロットしたものである。期間は1999年10月から2004年2月までの約4年間である。円/USドルの価格は102円〜130円の範囲で推移し、ボラティリティは2〜16%の範囲で変動している。そのため、ボラティリティが9%のときにオプションを購入し13%の時に決済する上記の例示は、実際に起こりうる事態である。
(実施例6)
NYダウを使用したオプションを、住宅ローン債務削減に適用した例を将来NYダウが低下する場合を想定して説明する。図15(a)は株価オプション(プット)を行使期間25年、対象:NYダウ(10,240USD)、資産価格(元本)100万USドル、ボラティリティ12%として行使価格(USドル)を9,000USドル〜4,000USドルで設定した場合の該オプションの購入価格(プレミアム価格)と、10年後にダウが下落しボラティリティが30%と50%に変動した場合の各行使価格に対する時価額を示したものであり、図15(b)は、そのときの行使価格の上昇割合を示したものである。
図16(a)は、上記の資産価格100万USドルのNYダウ株式オプションを資産価格40万USドルに小口化したオプションを購入した場合における、10年後の時価額を示した物であり、同(b)図は、住宅借入元本40万USドルとして、期間25年、金利4.5%、元利均等返済するローン債務者が、当該小口化したオプションを購入することで、10年後のローン残高290,634USドルに対してどの程度の返済が可能であるかを示したものである。行使価格7,000USドルのオプションを4,240USドルのプレミアム価格で購入した場合、10年後のダウの下落が0%、ボラティリティ値が30であれば、時価額は、54,280USドルになっており、該オプション購入額に対して約13倍になるが、同(b)図に示すように、融資残額の返済割合は19%である。また、ダウが10%下落したとしても、該オプションは、時価額が61,240USドルであり、上昇率が約14倍、返済割合が21%である。このような場合は、同オプションを2枚購入することで返済割合を改善することができる。図17(a)図に同オプションを2枚購入した例を示す。オプション購入価格は、2倍になるがそれでも行使価格7000USドルの場合8,480ドルと手頃な購入価格であり、同(b)図を参照するとダウの下落が0%でも融資残高の返済割合は37%に達する。更にダウが10%下落すれば返済割合は42%になる。
図18(a)及び(b)図は、NYダウ株価とそのボラティリティの推移を過去の実績値からプロットしたものである。期間は1980年1月から2004年10月までの24年間である。この間NYダウ株価は810USドル〜11,200USドルの範囲で変動し、ボラティリティは大略3〜46%の間で可成りの変動を示している。オプションのプレミアム価格は株価の変動に加えボラティリティ値の大きいほど高くなることは上述した通りである。そこで購入しやすいオプションを設定し、それが実績値に基づいてどの程度の利益を取得できるかを図19、図20に基づき検証する。図19は、図18のNYダウ株価とそのボラティリティの過去の実績値を抜粋したものであり、図20(a)は設定したコールを、図20(b)は設定したプットオプションをそれぞれ示す。
先ずコールオプションについて説明する。
1996年11月の実績値は、図19(a)図に示すように、NYダウが6,521USドルであり、ボラティリティ値が9.67%である。この時点でローン借入額(想定元本)を250,000USドルを借入れたローン債務者が、行使期間25年、ストライク(行使価格)が15,000USドルのコールオプション(購入価格5,500USドル)を2枚購入(購入価格11,000USドル)した場合を想定する。この額は想定元本の2.2%である。購入したオプションは、購入から2年後の1998年11月時点でダウが9116USドル、ボラティリティ値が40.08%であり、ダウとボラティリティ値の上昇により、時価額が購入価格の17.6倍(96,700USドル)となる。ローン債務者は、この時点で購入したオプションを売却することで、193,400USドル(96,700USドル×2枚)を回収することができる。この金額は想定元本の77%に相当し、ローン債務者は債務の大幅な削減を行う資金を得ることになる(図20(a)参照)。
次ぎにプットオプションを購入した場合を説明する。想定元本を上記と同じ250,000USドルとする。
2000年8月の実績値は、図19(b)図に示すように、NYダウが11,215USドル、ボラティリティ値が12.78%である。この時点で上記と同様のローン借入額(想定元本)を250,000USドルを借入れたローン債務者が、行使期間25年、ストライク(行使価格)8,000USドルのプットオプション(購入価格は1,267.5USドル)を10枚購入(購入金額12,675USドル)した場合を想定する。その後、国際テロ事件(911)の影響もありダウは値下がりし、2002年12月に8,341USドル、ボラティリティ37.26%となっている。この時点における購入したストライク(行使価格)8,000USドルのオプションの時価額は44,075USドルである。そのため、購入した10枚全てのオプションを売却することで440,750USドル(44,075USドル×10枚)を回収することができ(図20(b)参照)、想定元本を全額返済できることは言うまでもない。米国の例では全国の預金残高より投資信託残高が上回っており、株価の変動は直接住宅ローン元利金返済スキームに与える影響が大きく本発明は極めて有用である。
(実施例7)
図21は、NYダウ株価オプションを利用した場合を示している。金融支援会社は、NYダウが10.045USドルでボラタリティ値が12%の時に、元本1万USドルで期間10年の株価オプション(ドルプット)を購入し、同(a)図に示す独自の行使価格表を作成する。行使価格は9,000ドル〜4,000ドルの間に1,000ドル刻みで設けられ、それぞれの行使価格の購入価格が示されており、例えば行使価格が9,000ドルではオプション購入価格は210ドルであり、元本に対する割合は2.10%である。このオプションの3年後の時価額をNYダウが0%、10%、20%下落し、その時のボラタリティ値が18%上昇し30%に、38%上昇して50%になることを想定して、購入価格の時価額を算出している。例えば、前出の購入価格210ドルが、NYダウ10%下落時にボラタリティ値が30%であれば、1,739ドルに上昇している。この上昇割合を同(b)図に示す。同(b)図はそれぞれの購入価格と3年後の時価額の割合を示し、前出の1,739ドルは購入時210ドルの8.28倍である。当初購入時のNYダウは10,045ドルであり行使価格の9,000ドルはアットザマネーに近い位置にあり上昇率はさほど大きくないが、乖離した行使価格の購入価格、例えば8,000ドルあるいは7,000ドルの上昇率はかなり大きいことが判る。
上述したNYダウ株価オプションを用いてリース物件20万ドルの10年リース債務を削減する場合を図22に示す。NYダウは10,045USドルでボラタリティ値は12%である。当初にリース物件価格が20万ドルとして10年リースを契約し、3年後にリース債務残高を14万ドルとした場合のオプション購入価格の推移を説明する。株価が下落することを想定し株価オプション(ドルプット)を選択している。図22(a)図の構成は、行使価格に9,000ドル〜4,000ドルの範囲に1,000ドル刻みで行使価格を設定し、それぞれの購入価格と元本即ちリース物件価格に対する割合を示している。リース債務者が1万ドル未満の購入価格を希望したとして、それぞれの購入可能枚数を示した。同図表の見方を例示すると、行使価格が9,000ドルのオプション購入価格は4,200ドルであり、20万ドルのリース物件に対する割合は1.05%であり負担は僅かである。購入枚数は2枚であり8,400ドルで購入する。購入したオプションの3年後の時価額を算出すると、ダウが10%下落したとしてその時のボラタリティ値が30%に上昇していれば、時価額は69,560ドルであり、更に図22(b)図を参照すると3年後のリース残高14万ドルに対して50%に達している。もしダウが下落する経済情勢が急変した場合ボラタリティ値は更に上昇し50%になりダウが10%下落した場合、時価額のリース債務残高に対する割合は87%にまで上昇しリース債務者は難を逃れることができる。
上述した行使価格9,000ドルはNYダウが10,045ドルで下落傾向にあればアットザマネーに近い行使価格であり、時価額の上昇率は差ほど高くはない。行使価格8,000ドルの欄を見ると、購入価格は2,120ドルであり、リース債務者は4枚購入する。1年後ダウが10%下落してボラタリティ値が30%であるとすれば、時価額は106,160ドルであり、同(b)図を参照するとリース残高14万ドルの実に76%に達する。もしボラタリティ値が50%に上昇したとすればリース残高の144%に達し、経済状態が不安定なときにリース債務を完済することができる。
(実施例8)
固定金利でローン契約したローン債務者が、返済途中で金利が上昇することによりローン債務に生じる含み益を利用して、該ローン債務の返済を有利にする方法を図23、図24に基づき説明する。
ローン債務者は、契約当初4.65%の固定金利で期間25年の元利金等払いで25万USドルを借入れたものとする。この場合、5年後のローン残高は220,195USドルである。この時点における金利等を参酌してワップ業者との間で予め定められた所定の算出式より得られるイールド・カーブに基づき、ローン契約から5年目以降の各月毎の割引金利を算出し、ローン返済額の現在価値を図23に表示した。詳細には、各月毎のローン返済額は〔ローン返済月額/(1+割引金利/12)月数〕によって算出され、これをローン契約5年目から期限満了月まで集計することでローン返済額の総額、すなわちローン債務者がローン債権者へ毎月返済するキャッシュフローの現在価値が算出される。
ここで、本例では説明を簡単にするため、図24に示すように、1年物金利、10年物同金利、20年物同金利を基準金利としてそれぞれ8.00%、12.00%、12.00%とし、最初の10年間(ローン契約より5年目から15年目まで)を8%〜12%まで金利が定率に上昇し、その後(ローン契約より15年目以降)の金利を12%一定であるとイールド・カーブを仮定すると、算出されるローン契約から5年後において残存するキャッシュフローの現在価値は134,837USドルとなる。
このキャッシュフローの現在価値が、この時点(すなわち、ローン契約から5年目)におけるローン残高より少額であれば、ローン債務者は、キャッシュフローの現在価値に相当する額(本実施例では134,837USドル)の現金或いは有価証券等と、ローン債務者がローン債権者へ毎月返済するキャッシュフローと、をスワップ(交換)することで、ローン債務に生じた含み益を利用してローン返済を有利にする返済することができる。
具体的には、ローン債務者が自己のキャッシュフローをスワップするためには、ローン債務者の信用度を考慮するとキャッシュフローの現在価値に等価の現金或いは有価証券等をスワップする相手方である上位格付けの金融機関へ提供する必要があり、有価証券としては国債などが好ましく用いられる。これにより、ローン債務者が提供した現在価値と等価の現金或いは有価証券等とローン債務者がローン債権者へ毎月返済するキャッシュフローとがスワップされ、スワップの相手方にはキャッシュフローを支払う義務が生じ、ローン債務者はスワップの相手方からキャッシュフロー、すなわち、ローン債務者の残存する元利払い額の支払いを受ける権利を取得する。
また、ローン債務者がローン契約当初にデリバティブを購入しその利益を前記現在価値に等価の現金に充当させることもできる。
また、スワップした後に金利が降下すれば、ローン債務者が有している残存する元利払い額の支払いを受ける権利は、その時点において高い利回りで運用できる権利であって含み益を有しており、ローン債務者はその含み益を受取る権利を有している。
図25はローン債務者が住宅ローン契約時の金利4.65%の時に、資産価格(想定元本)25万USドル、行使期間25年でボラティリティが10%とした場合、修正ブラックショールズモデル式を用いて算出した金利コールオプションを示しており、ストライク(行使価格)9%の該オプションの購入価格は1枚3,488USドルである。これを3枚10,463USドルで購入する。5年後に金利が9.65%に上昇し、ボラティリティが10%の場合、該オプションの時価額は95,181USドルとなり、その利益は84,717USドルとなる。この利益を前記スワップの際に提供する現金に用いればローン債務者の負担が軽減される。またボラティリティが20%であれば149,507USドルを取得できるので、現在価値の全額を拠出し更なる余剰金を取得することができる。
一般的に期限前のローン返済は、その債権者にとっては将来に亘り取得できる利子が取得できないリスクが生じる。特に住宅ローンのようなローン債務者が個人である場合には、違約金を要求することが困難である。このような事態に於いてもスワップが成立すれば債権者は予定のキャッシュフローを全額回収できる利点を有している。更に上述したようにローン債務者が有する将来のキャッシュフローの支払いを受ける権利を債権者に譲渡すれば、債権者は金利が降下した場合に生じるキャッシュフローの含み益を取得することもできる。
(実施例9)
20万ドルの設備を10年リースで導入したリース債務者が、返済途中で金利が上昇することによりローン債務に生じる含み益を利用して、該ローン債務の返済を有利にする方法を図26、図27に基づき説明する。
リース契約は、特定の物件(設備)の所有者たる貸手(リース債権者)が、当該物件の借手(リース債務者)に対し、所定のリース期間にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手(リース債務者)は、所定の使用料であるリース料を貸手(リース債権者)に支払う契約をいう。このリース料には、物件価格や貸手(リース債権者)の管理費・利益等に加え、貸手(リース債権者)の物件調達コストとして物件価格に対するリース契約時の固定金利が含まれ、これらの合計をリース期間の月数で割ったものが、毎月の支払リース料となる。そのため、リース契約は、実質的に物件価格に相当する金額を借入元本として固定金利による元利金等払いで融資を受けることと同等に考えられる。
図26は借入元本20万ドル、固定金利3.0%の時の元利均等払いによる返済一覧表である。リース契約5年後の金利を含めた返済残高は115,873USドルである。このリース返済額の現在価値を求める場合、説明を簡単にするために5年後に金利が経済情勢の変化により急騰し先出のイールドカーブを利用して算出した結果を図27に示す。現在価値は、89,780USドルとなる。導入した設備が稼働して生産による利益が得られていればその利益を用いるか、別途現金を準備して現在価値と同額の現金を用意しスワップを行うことができる。スワップが成立すれば、26,000ドルを削減できたことになる。
(実施例10)
本実施例は、住宅ローン債務等の固定金利ローン債務の削減に関し、図面を参照して説明する。図28は本実施例の構成を示すブロック図である。本実施例のローン債務削減契約システム(以下、システムという)300は、上記のような金融支援会社に設置されており、固定金利ローン債務者あるいは将来固定金利ローン債務者となる顧客あるいは潜在的な顧客(以下、顧客という)のパソコン・携帯電話などの端末(以下、顧客端末という)80とインターネット50経由で接続されているサーバコンピュータである。
システム300では、所定のプログラムがコンピュータを制御することにより、システム300内に示す各要素が実現される。このうち、ローン残高算出部302は、顧客端末80からインターネット50経由で顧客毎に、該顧客の氏名、住所、電話番号、電子メールアドレスや固定金利ローン条件(ローン元金、借入固定金利、ローン契約日、返済期間、返済回数、返済方法(元利均等払、元金均等払、ボーナス払い等))等の顧客情報の入力を受けて顧客データ400として所定の記憶部に保存し、また、この顧客データ400に基づいて当該顧客の現在のローン残高A、すなわち、残利払い額を含まない融資残高を随時算出する手段である。
市場情報入力部304は、外部情報提供会社(例えばブルームバーグ、ロイター、ブルームバーグ・クイック等)から所定の通信手段で伝送され金利(変動金利、固定金利、スワップ金利など)等の金利データ402をリアルタイムで受信し所定の記憶部に保存する手段である。
現在価値算出部306は、金利データ402とスワップ業者と間で予め定められた所定の算出式より得られるイールド・カーブと、顧客データ400と、に基づき、残存する元利払い額(元利払い残高)の現在価値Bを、例えば、次の式で随時算出する手段である。
【数1】
ここで、T−tはローン残期間(月数)、Sはローン返済月額、rnはイールド・カーブに基づいて算出された現在からnヶ月後の割引金利である。
債務価値判定部308は、ローン残高算出部302で算出される現在のローン残高Aと、現在価値算出部306で算出される現在価値Bを比較する手段である。
スワップ部310は、債務価値判定部308において、前記ローン残高A及び前記現在価値Bが、A>Bの条件を満たしたとき、顧客データ400を参照して、顧客へ固定金利ローン債務に含み益が生じた旨を通知するとともに、当該顧客端末80からインターネット50を経由して入力されたスワップ処理を命令するスワップ信号を受け付けて、スワップ業者との間でスワップする手段である。
また、システム300は、通信回線を通じてスワップ業者等のスワップ取引処理を行うコンピュータ端末190と接続されており、このコンピュータ190との間で、スワップ取引注文等に関する各種データを送信する機能を備えており、システム300のスワップ部310は、顧客からスワップ処理を命令するスワップ信号の入力を受けることで、当該顧客のローン残高Aに関する情報をスワップ業者等のコンピュータ190に送信し、これによりスワップ取引処理を行うようになっている。
このようなシステム300は、図29に示すような処理手順で固定金利ローン債務者の債務を削減させる。
顧客端末80からシステム300の提供するウェブサイトへアクセスし、本システム300の利用申し込みを行い、所定の入力画面で所定事項の入力を行いシステム300へ送信すると(ステップS600)、システム300は、そのローン残高算出部302が送られてきた情報をデータベースなどの記憶部に顧客データ400として登録する(ステップS602)。登録された顧客データ400に基づいて当該顧客の現在のローン残高Aを算出し(ステップS604)、外部の情報提供会社から金利データ402を取得して(ステップS606)、この金利データ402とスワップ業者と間で予め定められた方式で計算されたイールド・カーブに基づき、当該顧客の元利払い残高の現在価値Bを算出する(ステップS608)。次いで、現在のローン残高Aと現在価値Bを比較し(ステップS610)して、A<Bであれば再びステップS604〜ステップS610を繰り返し、A>Bであれば、顧客へ通知メールを作成し送付する(ステップS612)。なお、通知メールに代えて、電話、ファックス、郵便等によって、元利払い残高の現在価値Bが現在のローン残高Aを下回り固定金利ローン債務に含み益が生じた旨の通知を行ってもよい。
そして、顧客からスワップ処理を命令するスワップ信号が入力され(ステップS614)、それをシステム300のスワップ部310が受信することでローン残高Aに関する情報をスワップ業者等のコンピュータ端末190へ送信し(ステップS616)、スワップ業者はスワップ取引処理(ステップS618)を行うようになっている。
これにより、顧客(固定金利ローン債務者)は、元利払い残高より少ない金額の現金及び/又は有価証券等を支払うことで、スワップ業者から将来にわたって発生するキャッシュフロー(すなわち、元利払い残高)の支払いを受ける権利を取得することができ、有利に固定金利ローン債務を返済することができる。
(実施例11)
本実施例は、住宅ローン債務の削減に関し、図面を参照して説明する。図30は本実施例の構成を示すブロック図である。本実施例のローン債務削減契約システム(以下、システムという)100は、上記のような金融支援会社に設置されており、ローン債務者あるいは将来ローン債務者となる顧客あるいは潜在的な顧客(以下、顧客という)のパソコン・携帯電話などの端末(以下、顧客端末という)80とインターネット50経由で接続されているサーバコンピュータである。
システム100では、所定のプログラムがコンピュータを制御することにより、システム100内に示す各要素が実現される。
このうち、小口化部102は、市場、銀行、短資会社、証券会社などの金融機関から金融支援会社が購入した大口なデリバティブの種類、購入価格、ボラティリティ等に関する情報の入力を受け、この大口なデリバティブを小口化し(例えば、金融支援会社の購入したデリバティブが、資産価格10億円のスワップ金利を対象とした金利オプションである場合、これを一口1千万円に100分割する。)、小口化したデリバティブ(以下、小口デリバティブ(債務削減権)という)に関する情報を小口デリバティブ(債務削減権)データ202として所定の記憶部に保存する小口化手段である。
市場情報入力部104は、外部の情報提供会社(例えばブルームバーグ、ロイター、ブルームバーグ・クイック等)から所定の通信手段で伝送され金利、通貨、有価証券、商品などの現物の価格あるいは指数及び先物、オプション、スワップ、スワップションなどのデリバティブの価格あるいは指数、並びにボラティリティの数値等の価格指数データ204をリアルタイムで受信して保存する手段である。
告知部106は、小口デリバティブ(債務削減権)データ202及び価格指数データ204に基づき、小口デリバティブ(債務削減権)の現在価格や将来小口デリバティブ(債務削減権)が価格上昇した場合の想定借入元本(例えば、4000万円)の削減割合等を示したシミュレーションシート(例えば、図2〜図4に示すような、所定の想定借入元本に対して幾ら払って何年後に何%の金利になったらどのぐらいの元本を削減できるのかを示すもの)の基礎となる宣伝データ206を作成し所定の記憶部へ保存するとともに、宣伝データ206に基づきホームページなどの電子媒体へ該シミュレーションシートを送信することで、小口デリバティブ(債務削減権)を広告宣伝する告知手段である。
契約部108は、顧客端末80から通信ネットワークであるインターネット50経由で顧客毎に、顧客情報(氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス等)と、該顧客のローン契約条件(ローン元金、借入固定金利、ローン契約日、返済期間、返済回数、返済方法等)と、購入を希望する小口オプションの種類及び数量に関する購入条件や購入する小口デリバティブ(債務削減権)の売り戻し条件等の契約条件と、の入力を受け付けて顧客データ(申し込み命令)208として所定の記憶部に保存するとともに、顧客データ208に基づき契約を実行する契約手段である。
個別通信部110は、契約部108より契約の成立が通知されることで、顧客毎にID番号及び暗証番号を発行し、その顧客の顧客データ208と対応付けて記憶するとともに、個人ウェブサイト表示用のHTMLなどのデータファイルを作成することで、該顧客毎に専用の情報を送受信可能とする個別通信手段である。
情報提供部112は、顧客が購入した小口デリバティブ(債務削減権)にかかわる各種の情報を、個別通信部110からインターネット50を介して顧客端末80へ送信することで顧客に提供する情報提供手段であり、所定の記憶部に保存された価格指数データ204と顧客データ208に基づき、顧客が購入した小口デリバティブ(債務削減権)の損益状況を導出して顧客端末80に表示する。
決済部114は、顧客端末80からインターネット50を経由して個別通信部110へ入力された決済信号を受け付けて小口デリバティブ(債務削減権)の決済(売却)を行う決済手段であり、受渡部116は、小口デリバティブ(債務削減権)の決済(売却)により生じた利益の金銭を顧客の取引口座へ振り込む手続き及び小口デリバティブ(債務削減権)の決済(売却)が完了したことを通知する受渡手段である。
また、システム100は、通信回線を通じて金融機関等のデリバティブ取引処理を行うコンピュータ180と接続されており、このコンピュータ180との間で、取引注文等に関する各種データを送受信する機能を備えており、例えば、システム100の決済部114は、顧客が決済(売却)を希望する小口デリバティブ(債務削減権)の決済情報を金融機関等のコンピュータ180に送信することにより決済処理を行うようになっている。
このようなシステム100は、図31に示すような処理手順でローン債務者の債務を削減させる。
システム100は、金融機関等から金融支援会社が購入した大口なデリバティブに関する所定の情報の入力を受け(ステップS500)、デリバティブの小口化を行い(ステップS502)、外部の情報提供会社から価格指数データ204を取得して(ステップS503)、価格指数データ204と小口デリバティブ(債務削減権)データ202に基づき,小口デリバティブ(債務削減権)のシミュレーションシートを作成し(ステップS504)、ホームページ等に掲載して広告宣伝する(ステップS505)。なお、シミュレーションシートはホームページなどの電子媒体へ送信される以外に、プリントアウト等されて、パンフレット、カタログ、新聞等の活字媒体、ラジオ、テレビ等の放送媒体、その他の広告宣伝媒体において利用されることで、小口デリバティブ(債務削減権)を一般に知らしめてもよい。
小口デリバティブ(債務削減権)の購入を希望するローン債務者(顧客)から所定事項(申し込み命令)が入力され(ステップS506)、これを受信し登録(保存)することで契約を行う(ステップS508)。契約が成立した顧客毎にID番号及び暗証番号を発行し(ステッS510)、金融支援会社のホームページに個人ウェブサイトを設け(ステップS512)、顧客がID番号・暗証番号を入力することで(ステップS514)、当該顧客が購入した小口デリバティブ(債務削減権)の現在価格やこれまでの価格履歴、現時点で小口デリバティブ(債務削減権)を決済(売却)した場合の元利払い残高の削減割合等のコンサルティング情報が見られるようになっている(ステップS516)。なお、コンサルティング情報の送信は、金融支援会社のホームページに個人ウェブサイトを設ける以外にも、電子メール、電話、ファックス、郵便等によって行ってもよい。
そして、顧客から小口デリバティブ(債務削減権)の決済(売却)を命令する売却信号が入力されることで(ステップS518)、小口デリバティブ(債務削減権)の決済(売却)を行い(ステップS520)、これにより生じた利益の金銭を顧客の取引口座へ振り込む手続き及び小口デリバティブ(債務削減権)の決済(売却)が完了したことを通知する(ステップS522)。
金銭を受け取った顧客(ローン債務者)は、受け取った金銭をローン債務返済に充てることで債務を削減させることができる。また、顧客が、実施例7のシステム300の利用者であれば、受け取った金銭を、現在価値又はその一部と同額の現金等(上記C)に充当してもよい。なお、契約(ステップS508)において、購入した小口デリバティブ(債務削減権)が所定以上の含み益を有することとなった場合、顧客からの売却データの入力なく小口デリバティブ(債務削減権)の売却(ステップS520)を行うように設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
本発明の債務削減方法は現行の諸契約及び取引に用いてリスクの回避に役立てることができる。主な物件は次のようなものが挙げられる。
入居保証金、定期借地権、定期借家権、住宅保険、退職金保険(401K確定拠出型)、リース債務、自動車ローン、設備借入、相続税の支払金額の確保、国債・社債(格付け変更リスクヘッジ)・公債、消費者金融、コミットメントライン、管理費等将来債務、ゴルフ場会員権、マンション手付金等に係る保証金、教育ローン。
【図面の簡単な説明】
【図1】住宅ローン元利均等返済明細一覧表である(実施例1)。
【図2】(a)図は20年スワップ金利オプションの価格表であり10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はオプション価格の上昇割合を算出した表である(実施例1)。
【図3】(a)図は20年スワップ金利オプションを分割した場合の10年後のプレミアム価格の時価額を算出した表であり、(b)図は元金返済割合を示す表である(実施例1)。
【図4】(a)図は20年スワップ金利オプションを2枚購入した場合の10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を示す表である(実施例1)。
【図5】20年スワップ金利の実績値をプロットしたグラフである(実施例1)。
【図6】10年スワップ金利オプションを使用した5年後の時価額を算出した表であり、(b)図はプレミアム価格の上昇割合を算出した表である(実施例2)。
【図7】(a)図は10年スワップ金利オプションを分割した場合の5年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例2)。
【図8】(a)図は10年スワップ金利オプションを2枚購入した場合の5年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例2)。
【図9】10年スワップ金利の実績値をプロットしたグラフである(実施例2)。
【図10】25年国債の金利オプションのプレミアム価格、ローン残高、及びローン残高に対するプレミアム価格の比率の実績値を示したグラフである(実施例3)。
【図11】(a)図は日本円とUSドルの為替を使用した為替オプション(ドルコール)の円安になる場合を算出した表であり、(b)図はプレミアム価格の上昇割合を算出した表である(実施例5)。
【図12】同為替オプションの10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例5)。
【図13】(a)図は同為替オプションを2枚購入し10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例5)。
【図14】日本円/USドルの為替価格の実績値をプロットしたグラフである(実施例5)。
【図15】(a)図はNYダウ株価を使用し、将来低下する場合の10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はオプション価格の上昇割合を算出した表である(実施例6)。
【図16】(a)図は同NYダウ株価オプションを分割した場合の10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例6)。
【図17】(a)図は同NYダウ株価オプションを2枚購入し10年後の時価額を算出した表であり、(b)図はその元金返済割合を算出した表である(実施例6)。
【図18】(a)図はNYダウ株価、(b)図は同ボラティリティの24年間の実績値をプロットしたグラフである(実施例6)。
【図19】NYダウとボラティリティの24年間の実績値の表である(実施例6)。
【図20】NYダウを用いたオプションの利益を示す表であって、(a)はコールオプション、(b)はプットオプションの場合を示したものである(実施例6)。
【図21】(a)図はNYダウ株価オプションの価格表であり、(b)図は同オプション価格の上昇割合を算出した表である(実施例7)。
【図22】(a)図は小口化されたNYダウ株価オプションの価格表であり、(b)図はリース債務残高に対する返済割合を示す表である(実施例7)。
【図23】ローン債務の現在価値を算出した結果を示す表である(実施例8)。
【図24】イールド・カーブを示すグラフである(実施例8)。
【図25】金利オプションの利益想定計算書である(実施例8)。
【図26】リース債務の元利均等返済明細一覧表である(実施例9)。
【図27】リース債務の現在価値を算出した結果を示す表である(実施例9)。
【図28】本発明の実施例10に係る装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図29】本発明の実施例10に係る装置における処理手順を示すフロー図である。
【図30】本発明の実施例11に係る装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図31】本発明の実施例11に係る装置における処理手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
50 インターネット
80 顧客(債務者)端末
100、300 システム
102 小口化部
104、304 市場情報入力部
106 告知部
108 契約部
110 個別通信部
112 情報提供手段
114 決済部
112 受渡部
302 ローン残高算出部
306 現在価値算出部
308 債務価値判定部
310 スワップ部
Claims (22)
- 通信ネットワークを用いて行う、住宅ローン債務、ローン債務、国公社債債務、リース債務又は保険の給付金を含む支払い義務等の金銭債務(以下、債務という)を削減させるデリバティブを用いた方法であって、
債券、株式、通貨、為替、金利、商品等の現物及び/又は指数、価格を単独又は組合わせて、前記債務の期間や条件に対応させたデリバティブを組成し、必要ある場合は該デリバティブを小口化して前記債務の額や条件に適合させ、これを比較的少額のプレミアムで前記債務の債務者に購入せしめ、前記デリバティブに利益が生じたとき、これを売却することによりその利益を実現化させ、
若しくは前記債務の現在価値を参照して金銭債務に利益が生じたときにスワップすることによりその利益を実現化させ、
これらの利益をもって前記債務を削減させることを特徴とする債務削減方法。 - 請求項1記載の債務削減方法であって、次の工程を行うことを特徴とする方法。
(I)前記債務の約定時に又はその前後若しくは返済期間内(保険の場合は給付義務期間内)において、比較的少額のプレミアムを支払うことにより、前記債務の残高、元利払い額、利払い額等又はこれらの一部と対応した金額の一括又は小口化されたデリバティブを購入する工程。
(II)前記デリバティブによる利益が得られたときにおいて、その利益により前記債務の一部又は全部を返済する工程。 - 前記債務における支払予定金利、返済予定元金、返済予定元利金及び返済期間若しくは将来発生する或いは発生する可能性のある保険の給付を含む支払義務について、これらの支払額あるいは返済額について債務削減割合を定め、価格の存在する、金利、通貨、有価証券、商品とこれらそれぞれの現物及び/又は先物の指数などを単独で又はそれらを組み合わせて、債務額と条件に適応したプレミアム支払額あるいは債務者が希望するプレミアムの支払額との関連によりこれらのこれらのデリバティブを設定しこれを債務者が購入することを特徴とする請求項1又は2に記載の債務削減方法。
- 請求項1記載の債務削減方法であって、少なくとも下記の工程が含まれていることを特徴とする方法。
(1)次のAとBとを比較する工程。
A.債務残高。
B.金利が変動した場合の前記債務の将来の元利払い額若しくは将来発生するあるいは発生する可能性のある保険の給付を含む支払い義務の全部又は一部を、その期間に対応したイールド・カーブにより示される各期間毎の金利を用いて用いて割引いた現在価値。
(2)前記Aより前記Bが実質的に安価若しくは等価である場合において、次のサブ工程を行う工程。
(2−1)前記B又はその一部と同額の現金及び/又はこれと等価の有価証券(以下、Cという)を直接又は間接に金融機関に提供し、
(2−2)スワップを用いて前記Cに対応する将来にわたって発生するキャッシュフローを取得する権利をスワップする相手から取得し、
(2−3)前記キャッシュフローを取得する権利の全部又は一部に基づいて債権者に支払い、若しくは、前記キャッシュフローを取得する権利の全部又は一部を債権者に直接又は間接的に担保供与又は譲渡する。 - 請求項4に記載の債務削減方法において、さらに、次の工程を追加的に行うことを特徴とする方法。
(3)前記Cを作るために、前記債務に基づき、その約定時前後もしくは返済期間内において、比較的少額のプレミアムを支払うことにより、前記債務残高、元利払い額、利払い額若しくは将来発生するあるいは発生する可能性のある保険の給付を含む支払い義務又はこれらの一部と対応した金額の一括又は小口化されたデリバティブを購入する工程。
(4)前記デリバティブによる利益が得られたときにおいて、この利益を前記Cに充当する工程。 - 請求項1〜3、5のいずれか1項に記載の債務削減方法において、前記デリバティブが、現物、先物、オプション、スワップ、スワップションのうち少なくとも一つを用いることを特徴とする方法。
- 請求項6に記載の債務削減方法において、前記の現物、先物、オプション、スワップ、スワップションのうち少なくとも一つが、予め約諾された含み益を生じる時点において又は随時に売却又は行使されることを特徴とする方法。
- 請求項4、5のいずれか1項に記載の債務削減方法において、債務者が、前記債務の一部又は全部を債権者に前記スワップを用いて実質的に返済した後、債務者に残されたスワップ契約に基づく権利を債務者が保有するか、又は債権者もしくは第三者に譲渡することを特徴とする方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の債務削減方法において、前記スワップを含むデリバティブを株式、出資持分、出資口数、債券、受益証券、保険に化体させて債務を削減させる方法。
- 請求項1〜9に記載の債務削減方法において、債務者又はその継承人がこの方法を権利として実行できる旨が契約書、覚書、その他前記債務に関する債権者と債務者及びその関係者間において交わされる合意文書あるいは念書等の差入書において規定されていることを特徴とする方法。
- 請求項1〜10に記載の債務削減方法において、この方法を印刷物、放送、電子通信媒体の少なくとも一つを用いて、説明又は広告することを特徴とする債務削減方法。
- 債務を削減させるための装置であって、特に、一体型あるいはネットワーク型電子的通信手段を含む債務を削減させるための装置において、少なくとも以下の構成要素よりなることを特徴とする装置。
(i)債務残高Aを算出する残高算出手段。
(ii)前記債務の将来の元利払い額若しくは将来発生する或いは発生する可能性のある保険の給付を含む支払い義務の全部又は一部を、その期間に対応したイールド・カーブにより示される各期間の金利を用いて割引いた現在価値Bを算出する現在価値算出手段。
(iii)前記の残高算出手段と現在価値算出手段とから読み出したそれぞれの価値を比較し、その結果を告知する債務価値判定手段。
(iv)前記の債務価値判定手段から読み出した前記債務残高A及び前記現在価値Bが、A>Bの条件の時に,前記現在価値Bと同額の現金及び/又は有価証券等(以下、Cという)により、債務者が前記AとBを債権者もしくは第三者とスワップし、前記スワップを用いて前記Cに対応する将来にわたって発生するキャッシュフローを取得する権利をスワップする相手方から取得するスワップ手段。 - 債務を削減するための装置であって、特に、一体型あるいはネットワーク型電子的通信手段を含む債務を削減させるための装置において、以下の構成要素を含むことを特徴とする装置。
(a)デリバティブを分割して小口化するか又は一括して前記債務の債務額と条件に適応したデリバティブを創設する小口化手段。
(b)債務者と小口化又は一括したデリバティブを締結する契約手段。
(c)デリバティブ締結後の債務者との個別通信手段。
(d)前記デリバティブの決済手段。
(e)前記決済手段で得た利益と同額の金銭、有価証券等の受渡しを行う受渡手段。 - 請求項13に記載の債務を削減させるための装置であって、以下の更なる構成要素のうち少なくとも1つを有することを特徴とする装置。
(f)前記の創設あるいはこれを小口化手段により創設されたデリバティブ(債務削減権)を広告宣伝する告知手段。
(g)総リスク量を診断して情報を提供する情報提供手段。
(h)締結した前記デリバティブの決済機会を支援する決済支援手段。 - コンピュータを用いて債務を削減させる方法であって、
債務者の債務者端末から送信された債務者情報をコンピュータが受信し、
前記債務者情報を受信した前記コンピュータは、前記債務者情報に基づいて前記債務者の現時点に於ける債務残高を算出するとともに、前記コンピュータに記憶させた金利データと現在価値算出規則とを用いて、前記債務者の現時点において残存する元利払い額若しくは将来発生するあるいは発生する可能性のある保険の給付を含む支払い義務の現在価値を算出し、
前記コンピュータは、前記算出した前記債務残高が、前記算出した現在価値よりも大きい場合、前記コンピュータから前記債務者端末へ、前記債務者の債務が含み益を有していることを通知する情報を通知あるいは送信し、前記債務者の債務者端末から通知あるいは送信されたスワップ処理を命令する信号を受信することで、スワップ取引処理を行うことを特徴とする債務削減方法。 - コンピュータを用いて債務を削減される方法であって、
コンピュータは、大口のデリバティブに関する情報の入力を受け、前記大口のデリバティブを一括あるいは必要に応じ小口化し、これをデリバティブ(債務削減権)データとして記憶しておき、
債務者の債務者端末から通知あるいは送信された前記デリバティブ(債務削減権)の購入申込み命令を前記コンピュータが受信あるいは入力を受け、
前記債務者からの通知又は前記債務者端末から送信された前記デリバティブの決済を命令する決済信号を前記コンピュータに入力あるいは受信し、
前記決済信号を入力あるいは受信した前記コンピュータは、直接あるいはネットワークを用いて決済処理を行うことを特徴とする債務削減方法。 - 請求項16の債務削減方法において、前記コンピュータは、直接あるいはネットワークを用いて外部の情報提供会社の端末から前記デリバティブに関する情報を受信し、これを価格指数データとして記憶しておくとともに、前記一括あるいは小口デリバティブデータと前記価格指数データに基づき作成した宣伝データを債務者(顧客)に通知もしくは債務者(顧客)端末へ送信することを特徴とする債務削減方法。
- 住宅販売会社、建築会社、不動産業者、リース業者、金融機関、金融支援会社等が取扱う商品代金に前記デリバティブのプレミアム(手数料、本発明利用料等を含む)を含めて商品販売することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の債務削減方法及び装置。
- 国公社債それぞれの発行者或いはそれらの取扱業者が債務を削減する目的を以て前記デリバティブを直接・間接に購入するすること、若しくは購入した前記デリバティブを商品に含め直接・間接に販売(発行)することを特徴とする請求項1〜17に記載の債務削減方法及び装置。
- 保険会社が被保険者に対する支払いリスクをヘッジ或いは削減する目的を以て前記デリバティブを直接・間接に購入すること、若しくは前記デリバティブのプレミアム(手数料、本発明利用料を含む)を商品に含め直接・間接に販売(発行)することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の債務削減方法とその装置。
- 住宅販売会社、建築会社、不動産業者、リース業者、金融機関、金融支援会社、国公社債発行者あるいはそれ等の取扱業者が取扱う商品代金から、所定の本発明利用料を出願人又はその指定人、或いはこれらの承継人に支払う義務を課することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の債務削減方法及び装置。
- 前記債務の債権者が自らの債権保全を行うために、前記小口化されたデリバティブを用いることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の債務削減方法及び装置。
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