JPWO2005082813A1 - 珪酸質系コンクリート改質剤 - Google Patents

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Abstract

新設及び既設コンクリート構造物の表面に塗布するだけという比較的簡単な工法で、凍結融解や塩害による劣化やこれらによる複合劣化を防止又は抑止し、且つ表面意匠を変化させないで、(打込み直後のコンクリート表面状況を保持する)コンクリート内部深くまで浸透し、高い耐久性を持つ、リチウムシリケート水溶液にアルカリ金属イオン源を配合したことを特徴とするコンクリート改質剤。

Description

この発明は、コンクリートの凍結融解や塩害などによる劣化や、これらが複合して起こるより激しい劣化を防止又は抑止し、ライフサイクルコストの低減に寄与する珪酸質系コンクリート改質剤(表面改質剤)に関する。
コンクリートは本来、非常に耐久性が高く、耐用年数も50年〜100年と云われて来たが、コンクリートの劣化が予想以上に早い事が近年判明した。特に、凍結融解や塩害等によるコンクリートの劣化及び複合劣化が原因となり、想定耐用年数まで持たない構造物の出現や構造物からのコンクリート片剥離による二次災害の発生が懸念される事態となり、劣化要因の原因究明と様々な対策が講じられてきた。具体的には、新設コンクリートを構成するセメントの組成変更や単位水量の低減、骨材の成分指定、既設コンクリートについては、劣化表面をポリマーセメントで被覆する工法、珪酸質系防水剤配合モルタルで被覆する工法、有機系樹脂やセメント系、水ガラス系材料による注入・浸透・被膜塗装工法などが提案されている。
特開2000−44317
しかしながら、セメントの組成変更や骨材の成分指定による対策では、新設のコンクリートの劣化防止には有効であっても、劣化が進行中の既存構造物には対処できない、更には、優良な骨材の不足やセメント及び混和剤使用量の増加によるコストの増大等の問題もある。補修工法についても、有機系材料を使用する場合には有機化合物による環境汚染問題、被覆工法ではその材料自体の劣化により再施工が必要となる事や施工によりコンクリート表面の意匠を変えてしまう事、水ガラス系の材料ではクラックの表層部分(表層より1〜2mm)で硬化してしまいコンクリート内部には浸透出来ない為効果が限定される事、セメント系材料は超微粒子セメントを使用しても0.2mm以上のクラックまでしか埋めきれない事、コンクリートの表面強度を改善させ、またアルカリ付与剤として知られる珪酸リチウム水溶液も高粘度で浸透が難しく浸透深さが1〜2mm程度しかなく、このため耐久性に劣り数年で再施工が必要となる事など、従来の手法は多くの問題点を抱えている。
そこで、この発明は、新設及び既設コンクリート構造物の表面に塗布するだけという比較的簡単な工法で、凍結融解や塩害による劣化やこれらによる複合劣化を防止又は抑止し、且つ表面意匠を変化させないで、(打込み直後のコンクリート表面状況を保持する)コンクリート内部深くまで浸透し、高い耐久性を持つコンクリート改質剤を提供することを課題とする。
本発明(1)は、リチウムシリケート水溶液にアルカリ金属イオン源を配合したことを特徴とするコンクリート改質剤である。
本発明(2)は、アルカリ金属イオン源が、水溶性アルカリ金属含有物質である、前記発明(1)の改質剤である。
本発明(3)は、アルカリ金属イオン源からのアルカリ金属イオンが、ナトリウムイオン及びカリウムイオンである、前記(1)又は(2)の改質剤である。
本発明(4)は、添加するアルカリ金属イオン源のSiOに対するモル比(アルカリ金属イオン換算)が、0.08〜1.8(好適には、0.12〜1.2)である、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの改質剤である。
本発明(5)は、リチウムシリケート水溶液由来のリチウムイオンを含むすべてのアルカリ金属イオンのSiOに対するモル比が、0.4〜2.1(好適には、0.6〜1.4)である、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの改質剤である。
本発明(6)は、ナトリウムイオンに対するカリウムイオンの比が、モル比で0.02〜2.7(好適には、0.04〜1.8)である、前記発明(3)又は(4)の改質剤である。
本発明(7)は、明細書中の測定方法1に従って飽和水酸化カルシウム水溶液に添加した場合、白濁ゲル相と透明溶液相の二相構造を形成し、より好適には白濁ゲルが2層(浮遊層と沈殿層)に分層する、前記発明(1)〜(6)のいずれか一つの改質剤である。
本発明(8)は、コンクリート表面適用型である、前記発明(1)〜(7)のいずれか一つの改質剤である。尚、「コンクリート表面適用型」とは、コンクリート表面に塗布する態様のみならず、コンクリート表面から注入する態様(例えばクラックから)も包含する。
本発明(9)は、リチウムシリケート水溶液にアルカリ金属イオン源を配合することにより得られる、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つの改質剤の原液であって、前記リチウムシリケート水溶液におけるSiO2及びLi2O(等価酸化物換算)は、それらの合計量が前記水溶液の全重量に対して15〜30重量%であり、かつ、それらのモル比(SiO2/Li2O)が3〜8である改質剤原液である。
本発明(10)は、前記発明(1)〜(6)のいずれか一つの改質剤又は前記発明(9)の原液を水で希釈して得られた改質剤を、コンクリート表面に一又は複数回適用(例えば塗布)する工程を含む、コンクリートの劣化防止又は劣化抑止方法である。尚、水による原液の希釈率は、コンクリートの表面状態等に応じて変動するが、例えば、1〜5倍である。
本発明(11)は、前記一又は複数回の改質剤適用工程(例えば改質剤塗布工程)の前又は途中で、前記コンクリート表面に水酸化カルシウム水溶液を適用(例えば塗布)する工程を更に含む、前記発明(10)の方法である。
本発明(12)は、前記発明(10)又は(11)の方法により劣化防止又は抑止されたコンクリートである。
本発明に係るコンクリート改質剤は、第一に、コンクリートに水分浸透性や塩分浸透性を低下させる性質を付与する。具体的には、該剤中のアルカリ金属配合リチウムシリケートが、骨材界面上や内部空隙に存在する水やコンクリートの細孔溶液成分である水酸化カルシウムと反応してゲルを形成する。このゲルの形成が、空隙の緻密化をもたらす結果、さまざまな劣化を促進する要因である水の侵入を阻害し、塩害の原因物質となる塩化物イオンについては、緻密化とともにゲル表面の電荷が負になり電気的に反発することでも拡散が抑制される。更に、ゲル化の際、凍結融解原因となるコンクリート内部の空隙水を取り込む事により、水で満たされない空隙が増加し、水及びゲルが凍結膨張する際の圧力を逃がす空間が作られる。更に、クラック内部では、コンクリート表面引張強度を1.5〜2倍高める事で、コンクリート劣化に大きな影響を及ぼすクラックの拡張や進行が防止又は抑止される。
第二に、本発明に係るコンクリート改質剤は、従来のアルカリ付与剤と比較し、コンクリートのより深部にまで(例えば約40mmの深さまで)浸透するという性質を有している。この理由は、反応速度が従来のもの(水ガラス系改質剤等)と比較して非常に遅いためである(このためにコンクリート内部深くまで浸透できる)と理解される。従来の各種研究報告では、リチウム化合物は、コンクリートの各種劣化防止に効果的との報告が数多くなされている。しかし、この成分は、表面から1〜2mm程度しか浸透できないため、コンクリート混和材や表面塗膜材として利用できるに過ぎなかった。本発明は、深部浸透性というこの第二の性質に基づき、浸透型の表面塗布剤を提供したという点で画期的である。
尚、理解の容易のため、図1を参照しながら本発明のメカニズムを説明する。図1(a)はコンクリート断面の模式図であり、細骨材を含むモルタルマトリックス1、粗骨材2、細孔及びクラック等3が示されている。そして、図1(a)内の四角囲み部分を拡大した図が、図1(b)〜(d)である。図1(b)中3は、骨材界面の脆弱組織部も示し、4は細骨材、5はセメントペーストである。3の内部には、カルシウム等のイオンを含んだ細孔溶液が存在する。コンクリート表面に本発明に係わる改質剤を塗布すると、クラックや空隙、骨材界面を通じて内部まで浸透する。図1(c)は、本改質剤6が空隙等に浸透した様子を示したものである。空隙内に浸透した本改質剤は、細孔溶液中の水酸化カルシウム及び水と反応し、ゲルを生成する。図1(d)に、本改質剤より生成されたゲル7の様子を示す。図1(d)内の四角囲み部分の実際の状態を示したものが、図1(e)である。
以上を整理すると、本発明に係る改質剤をコンクリート表面に塗布すると、アルカリ金属配合リチウムシリケートを主要成分とする薬剤が、クラック及び骨材の界面を伝い、コンクリート内部深く浸透していき、更に界面に接する組成の粗い部分の微細な空隙にも浸透する。また、界面上や空隙内部に存在する水及び水酸化カルシウムと反応しゲル化する際、その反応速度が従来に比して非常に遅く、この為、コンクリート内部深くまで浸透出来る。その結果、本発明は、新設及び既設コンクリート構造物の表面に塗布するだけという比較的簡単な工法で、凍結融解及び塩害による劣化やこれらによる複合劣化を、表面意匠を変化させることなく防止又は抑止できるという効果を奏する。
更に、本発明に係る改質剤は、実質的に有機成分を含まない完全無機系材料なので、紫外線劣化に対して耐久性を有するという効果も奏する。
更に、本発明に係る改質剤は、従来のものでは実効性がなかった、劣化が進行している構造物への適用も可能であるという効果も奏する。特に、劣化コンクリートに本改質剤を適用する際、当該コンクリートに事前に水酸化カルシウム水溶液を塗布しておくか、改質剤塗布工程と改質剤塗布工程の間に、水酸化カルシウム水溶液を塗布すると、更に有効である。
本発明に係るコンクリート改質剤は、リチウムシリケート水溶液にアルカリ金属イオン源を配合したことを特徴とする。以下、本発明の構成要件について説明する。尚、本明細書において、「Li2O」、「Na2O」及び「K2O」は、等価酸化物換算表示である。
「リチウムシリケート水溶液」とは、コロイダルシリカの一種でアルカリ部分がリチウムであるものをいう。ここで、「水溶液」とは、これら原料成分が完全に溶解していることを意味するのではなく、原料の少なくとも一部が何らかの形態で溶解している状態を指す。したがって、原料の一方(特にSiO2)がコロイド状で存在していても、原料の一部が溶解、一部がコロイド状になっていても、これらの状態をすべて包含する。また、液中でこれら原料は、どのような形態で存在していてもよい。
本発明に係るリチウムシリケート水溶液は、珪石を水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム水溶液中で煮沸し、得られるコロイダルシリカ中のNa、KをLiに置換して製造可能である。また、市販品としては、例えば、日産化学工業株式会社製のリチウムシリケート45{水溶液100量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.1〜2.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 4.5}、リチウムシリケート75{水溶液100量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 1.2〜1.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 7.5}、リチウムシリケート35{水溶液100量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.6〜3.3重量部、SiO2/Li2Oモル比 3.5}が使用可能である。
本発明に係る「アルカリ金属イオン源」は、水に添加した際、アルカリ金属イオンをリチウムシリケート水溶液中に存在させるものである限り特に限定されず、例えば、水に添加した際、アルカリ金属イオンに解離する物質、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物又はアルカリ金属塩(例えばアルカリ金属の炭酸塩)等の水溶性のアルカリ金属含有物質や、アルカリ金属自体やアルカリ金属イオン水溶液を挙げることができる。また、「アルカリ金属イオン」も特に限定されず、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのいずれでもよい。更に、リチウムシリケート水溶液に配合するアルカリ金属イオン源は、一種でなくともよく、同一のアルカリ金属イオンをリチウムシリケート水溶液中に存在させる複数種(例えば、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとの組み合わせ)であっても、異なるアルカリ金属イオンをリチウムシリケート水溶液中に存在させる複数種(例えば、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの組み合わせ)であってもよい。
好適なアルカリ金属イオンは、ナトリウムイオンとカリウムイオンとを組み合わせたものである。特に、ナトリウムイオンに対するカリウムイオンの比が、モル比で0.02〜2.7であることが好適であり、より好適には0.04〜1.8である。尚、この場合、好適なアルカリ金属イオン源は、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの組み合わせである。これらの組み合わせに関し、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの好適な配合比は、重量比(水酸化ナトリウム/水酸化カリウム)で1.3〜2.5(より好適には1.7〜2.2)である。
更に、アルカリ金属イオン源の添加量は、モル比(アルカリ金属イオン換算)で、SiOに対して0.08〜1.8であることが好適であり、より好適には0.12〜1.2である。
更には、本発明に係る改質剤は、以下の測定方法1に従って飽和水酸化カルシウム水溶液に添加した場合、白濁ゲル相と透明溶液相の二相構造を形成するものであることが好適である。
測定方法1:分光光度計用キュベット(ポリスチレン製。内寸=1×1×4.5cm、容量4.5mL)に濾過した飽和水酸化カルシウム水溶液を2.7mL入れ、改質剤0.3mLをゆっくりと滴下する。混合後、容器をパラフィルムで密封してそのまま静置し、滴下直後から7日目まで観察する。
次に、本発明に係るコンクリート改質剤の原液の製造方法について説明する。本発明に係る改質剤の原液は、リチウムシリケート水溶液にアルカリ金属イオン源を配合することにより製造される。尚、順番を変え、アルカリ金属イオン源を水に添加し、その後にリチウムシリケート水溶液を添加した場合には、ゲル化する可能性があることに留意すべきである。
ここで、好適なリチウムシリケート水溶液は、該水溶液の全重量に対しSiO2とLi2Oの合計重量が15〜30重量%(より好適には20〜25重量%)となるように、これら成分をモル比(SiO2/Li2O)3〜8(より好適には4〜5)の割合で水に添加して得られたものである。
尚、アルカリ金属イオン源としてアルカリ金属の水酸化物を用いる場合には、発熱反応があるため、アルカリ金属の水酸化物を少量ずつ、リチウムシリケート水溶液に加える。
リチウムシリケート水溶液にアルカリ金属イオン源を添加しよく攪拌した後、必要量の水を加えることにより、本発明に係る改質剤の原液を得ることができる。尚、この水の添加は、粘度を低下させることを目的としてなされる。また、使用する水は、好適には、純水又はイオン交換水である。
尚、製造に際して留意すべき点は、原材料であるリチウムシリケート水溶液は、+5〜25℃で保管し、氷点下環境でゲル化した材料はできる限り使用しないことが好適である。また、製造に当たっても、+5〜25℃の温度管理を行うことが好ましい。
また、製造に際し、混合方法や材料の投入する順序は基本的に問わない。具体的な調製手段の例を以下に示す。
(1)予め、イオン交換水の一部あるいは全てに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムもしくはリチウムシリケートを溶解させたものを用いて調製した溶液
(2)水酸化物(粒状もしくは水溶液)の投入する順序を、(i)ナトリウム−カリウムの順としたもの、(ii)カリウム−ナトリウムの順としたもの、(iii)ナトリウムとカリウムを同時に投入したもの、のいずれの溶液
(3)水酸化物(粒状もしくは水溶液)を投入する量を、(i)少量ずつ投入したもの、(ii)一度に全量投入したもの、のいずれの溶液
(4)イオン交換水を添加する際、(i)各原材料をまず原液となる濃度に調製した後、その原液を所定の希釈率(例えば2倍)に希釈した溶液、(ii)各原材料を最初から所定の希釈率(例えば2倍)の希釈の濃度になるように調製した溶液
このようにして得られた原液は、好適には、当該原液の全重量に対して、水を65〜85重量%(より好適には70〜80重量%)含有する。また、当該原液の好適な粘度(キャノン−フェンスケ型粘度計で測定、20℃)は、1.0〜15mPa・s(より好適には1.5〜10mPa・s)である。
更に、このようにして得られた原液のpHは、12.0〜13.5の範囲であることが好適であり、より好適には12.4〜12.9の範囲である。また、希釈液のpHも、概ね上記範囲内であることが好適である。
次に、本発明に係る改質剤の使用方法(コンクリートの劣化防止又は劣化抑止方法)について説明する。まず、本発明に係る改質剤の原液を、必要に応じて希釈(以下では、2倍希釈を例にとり説明する)しよく攪拌する(工程1)。そして、本改質剤をコンクリートに塗布する前に、塗布面のコンクリートを湿潤状態にするために水を散布する(工程2)。その後、コンクリートの湿潤状態を確認し、水で2倍希釈した本改質剤を、低圧の噴霧器、刷毛、ローラー等(施工場所状況により選択)にて塗布する(工程3)。ここで、コンクリート1m2当たりの本改質剤の使用量は、例えば、200cc/m2(2倍希釈したもの)であり、原液ベースでは100cc/m2である。次いで、塗布後、乾燥する前に水を低圧にて散布する(工程4)。この際、湿潤養生(基本90分)乾燥が速いようならば散水することとする(工程5)。工程2〜工程4を繰り返す(工程6)。表面に本改質剤が残存しているかを確認する(工程7)。最終工程として低圧で散水し、工程6で残存が確認された場合は、ブラッシング等で洗浄し、コンクリート表面に残存させないようにする(工程8)。その後自然乾燥させる(工程9)。尚、工程8終了後は、すぐに供用可能である(道路白舗装など床面の場合は、重量車両の走行や重量物の移動も可)。また、施工時には、外気温が+5℃以上であることが好適であり、+5℃未満の場合は採暖養生等により温度管理をすることが好適である。尚、塗装やポリマーセメントのように、浸透を阻害する被覆材で被覆されている場合には、当該被覆材を剥離した後に、本改質剤を塗布する。
また、本発明に係る改質剤が使用可能なコンクリートの種類も特に限定されず、セメント種類や配合を変えたあらゆるコンクリートに有効である。例えば、セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、ビーライトセメント、エコセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、低熱セメントを挙げることができる。また、コンクリートとしては、例えば、普通コンクリート、高強度コンクリート、低発熱コンクリート、水中不分離コンクリート、水中コンクリート、工場製品コンクリート、海洋コンクリート、吹付けコンクリート、繊維補強コンクリート、プレパックドコンクリート、高流動コンクリート、軽量(骨材)コンクリート、鋼コンクリート合成構造、プレストレストコンクリート、再生骨材コンクリート等を挙げることができる。尚、例えば、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム等の混和材が混合されていてもよい。
ここで、カルシウムが溶脱している劣化構造物やカルシウム含有量が低い高炉スラグセメントを用いたコンクリートに関しては、改質剤塗布工程に先立ち、又は、複数の改質剤塗布工程の途中で、前記コンクリートに水酸化カルシウムを塗布し、カルシウム分をコンクリートに補給することが好適である。例えば、最初にコンクリートに水を塗布し、その後に改質剤を塗布し、その後に水酸化カルシウム水溶液を塗布する態様を挙げることができる。更には、本改質剤を他の材料(例えばセメント)と混ぜて、当該混合物をコンクリート表面に塗布する態様も挙げることができる。更には、例えば、クラックが発生している場合においては、本改質剤をコンクリート表面に塗布するのではなく、クラックを介してコンクリート内部に注入する態様も挙げることができる。
以下、本発明を実施例を参照しながら具体的に説明する。尚、本発明は実施例によりいかなる限定も受けない。
製造例1(LN422)
リチウムシリケート45(日産化学工業株式会社製、水溶液100重量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.1〜2.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 4.5)85.70gをビーカーに計り取り、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度97%)4.12gをガラス棒でよく混ぜながら少量ずつ、投入した量が溶解しきってから順次加えた。水酸化ナトリウムが全量溶けきってから、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、純度86%)1.96gを少量ずつ投入し、溶解しきったところへイオン交換水8.22gを静かに加え、ガラス棒でよく攪拌して本製造例に係るコンクリート改質剤の原液を得た(粘度:7.32mPa・s)。尚、表1に各成分の組成を示した(ここで、酸化リチウム、酸化ナトリウム及び酸化カリウムの値は等価酸化物に換算したものである。製造例2〜7も同様)。
製造例2(LN723)
リチウムシリケート75(日産化学工業株式会社製、水溶液100重量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 1.2〜1.4重量部、SiO2/Li2Oモル比
7.5)85.56gをビーカーに計り取り、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度97%)4.12gをガラス棒でよく混ぜながら少量ずつ、投入した量が溶解しきってから順次加えた。水酸化ナトリウムが全量溶けきってから、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、純度86%)3.91gを少量ずつ投入し、溶解しきったところへイオン交換水6.41gを静かに加え、ガラス棒でよく攪拌して本製造例に係るコンクリート改質剤の原液を得た。尚、表2に各成分の組成を示した。
製造例3(LN312)
リチウムシリケート35(日産化学工業株式会社製、水溶液100重量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.6〜3.3重量部、SiO2/Li2Oモル比 3.5)90.89gをビーカーに計り取り、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度97%)0.83gをガラス棒でよく混ぜながら少量ずつ、投入した量が溶解しきってから順次加えた。水酸化ナトリウムが全量溶けきってから、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、純度86%)1.96gを少量ずつ投入し、溶解しきったところへイオン交換水6.32gを静かに加え、ガラス棒でよく攪拌して本製造例に係るコンクリート改質剤の原液を得た。尚、表3に各成分の組成を示した。
製造例4(LN721)
リチウムシリケート75(日産化学工業株式会社製、水溶液100重量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 1.2〜1.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 7.5)88.84gをビーカーに計り取り、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度97%)4.12gをガラス棒でよく混ぜながら少量ずつ、投入した量が溶解しきってから順次加えた。水酸化ナトリウムが全量溶けきってから、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、純度86%)0.39gを少量ずつ投入し、溶解しきったところへイオン交換水6.65gを静かに加え、ガラス棒でよく攪拌して本製造例に係るコンクリート改質剤の原液を得た。尚、表4に各成分の組成を示した。
製造例5(LN411)
リチウムシリケート45(日産化学工業株式会社製、水溶液100重量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.1〜2.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 4.5)90.14gをビーカーに計り取り、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度97%)0.82gをガラス棒でよく混ぜながら少量ずつ、投入した量が溶解しきってから順次加えた。水酸化ナトリウムが全量溶けきってから、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、純度86%)0.39gを少量ずつ投入し、溶解しきったところへイオン交換水8.65gを静かに加え、ガラス棒でよく攪拌して本製造例に係るコンクリート改質剤の原液を得た。尚、表5に各成分の組成を示した。
製造例6(LN433)
リチウムシリケート45(日産化学工業株式会社製、水溶液100重量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.1〜2.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 4.5)80.15gをビーカーに計り取り、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度97%)8.25gをガラス棒でよく混ぜながら少量ずつ、投入した量が溶解しきってから順次加えた。水酸化ナトリウムが全量溶けきってから、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、純度86%)3.91gを少量ずつ投入し、溶解しきったところへイオン交換水7.69gを静かに加え、ガラス棒でよく攪拌して本製造例に係るコンクリート改質剤の原液を得た。尚、表6に各成分の組成を示した。
製造例7(LN733)
リチウムシリケート75(日産化学工業株式会社製、水溶液100重量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 1.2〜1.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 7.5)81.72gをビーカーに計り取り、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度97%)8.25gをガラス棒でよく混ぜながら少量ずつ、投入した量が溶解しきってから順次加えた。水酸化ナトリウムが全量溶けきってから、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、純度86%)3.91gを少量ずつ投入し、溶解しきったところへイオン交換水6.12gを静かに加え、ガラス棒でよく攪拌して本製造例に係るコンクリート改質剤の原液を得た。尚、表7に各成分の組成を示した。
ここで、表8に、製造例1〜7に係る各改質剤原液についての各成分のモル比を示す。尚、表中の「2層分離」とは、白濁ゲルが2層(浮遊層と沈殿層)に分層しているか否かを意味するものである。
試験例1(SEMによる浸透性確認試験)
<実験概要>
改質剤を塗布したモルタル供試体を打設面に対し垂直方向に切り出し、打設面からの深さごとにSEMで観察した。また、改質剤と細孔溶液を模した飽和水酸化カルシウム水溶液とを混合して得られた生成物についてもSEMで観察した。
<モルタル供試体>
水セメント比60%細骨材/モルタル体積比55%のOPCモルタルを直径5cm高さ10cmの型枠に打設、24時間後脱型し、その後は水中養生した。打設後4日で高さ5cmに成型した。
<改質剤>
製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた改質剤
<塗布方法>
湿潤状態の供試体の打設面に前記改質剤を1.07
L/m2塗布し90分後に散水した。その後、前記改質剤を0.31 L/m2塗布し90分後に散水、7日間は湿潤状態で、それ以降は気中で養生した。塗布後68日で厚さ5mm、打設面に対して垂直方向に切り出し、アセトンに24時間浸漬した。観察面を平滑に研磨し炭素蒸着を施してSEMに供した。尚、比較のため、他方は未処理のままその後68日間気中で養生した。
<結果>
観察したSEM画像を図2(a)〜(g)に示す。尚、図2(a)〜(d)は、改質剤塗布モルタル供試体{打設面からの深さ(a)1mm,(b)20mm,(c)30mm,(d)40mm}のSEM画像であり、図2(e)及び(f)は、無塗布モルタル供試体{打設面からの深さ(e)5mm,(f)20mm}のSEM画像であり、図2(g)は、改質剤と飽和Ca(OH)2溶液から得られた生成物のSEM画像である。これらの電子写真から分かるように、改質剤を塗布した供試体{図2(a)〜(d)}の内部では太さ0.3ミクロン程の棒状の物質が生成しており、40mm深さまで存在を確認した。このような生成物は、無塗布供試体{図2(e)・(f)}では確認されなかった。またこの生成物は、図2(g)にみられる試験溶液を混合して得られた反応生成物に形状が近似しており、同様のものが生成したものと推測される。
試験例2(XRF元素分析)
<実験方法>
図2(g)のSEM画像にみられるような、飽和水酸化カルシウム水溶液に改質剤を滴下して得られたゲル(以下、「LNゲル」という)を、蛍光X線分析装置(XRF)を用いて元素分析を行った。尚、測定条件は、管電圧30kV、管電流0.813mAとした。
<改質剤>
製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた改質剤
<測定試料>
濾過した飽和水酸化カルシウム水溶液と改質剤を体積比9:1で混合し生成させたゲルを、まず遠心分離機で液相から分離した。その後、イオン交換水で洗浄し未反応カルシウムイオンを除いてから乾燥させたものを試料とした。
<結果>
測定したスペクトルを図3に、酸化物に換算した分析結果値を表9に、またセメント硬化体の主な成分のCa/Si及びCa/Alの値を表10に示した。
表10より明らかなように、Ca/SiとCa/Alのモル比は、それぞれ0.788及び54.6であり、セメント硬化体で生成する既知成分の値と比較しても明らかに組成が異なる。これらの結果より、図2(a)〜(d)にみられる棒状物質は、供試体内部に浸透した本改質剤が、細孔内溶液中のCaイオンと反応して形成されたものと考えられる。また、Ca<Siであるので、LNゲルは負に帯電しているものと推察される。
試験例3(アルカリ成分分析による浸透性確認試験)
<実験方法>
試験例1と同様の供試体を塗布面から1mm厚さごとに研磨し得られた粉末試料を、2mol/L塩酸と混合・濾過し、その濾液をイオンクロマトグラフで分析した。
<改質剤>
製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた改質剤
<結果>
図4にカルシウム1gあたりの各イオン種の含有量を示した。Mgがほぼ同じ値になったのに対し、Li、Na及びKは塗布面に近いほど含有量が大きく、深くなるにつれ値が減少している。Li、Na及びKは改質剤に含まれる成分であることから、改質剤が徐々に供試体内部に浸透しているものと推測される。またMgは、セメント及び細骨材由来の成分なので、ほぼ均一な値になったものと考えられる。
試験例4{透水試験(1)}
<試験概要>
透水性能は、JIS A 1404建築用セメント防水剤の試験方法に準じて、直径10cm厚さ1cmのモルタル(M60)供試体を質量が変わらなくなるまで乾燥し、10kgf/cm2の水圧をかけた状態で20時間後までの透水量を測定し、透水係数を下記式(1)により算出した。試験装置の概要を図5(a)に示す。
ここに、上記式(1)中、Kw:透水係数(cm/s)、P:加圧力(kgf/cm2)、A:供試体の断面積(cm2)、h:供試体の厚さ(cm)、ω:水の単位容積質量(kg/cm3)、Q:透水量(cm3/s)である。
<供試体の配合>
供試体には、水セメント比60%の普通ポルトランドセメントによるモルタル(以下、「M60」という)を用いた。配合を表11に示す。
<改質剤>
製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた本改質剤(Linack)及び比較例として市販のコンクリート改質剤{登録商標:RCガード(以下、「RC」という。)}
<供試体条件>
モルタルは直径10cm高さ1.4cmの型枠により作成し、脱型後打設面及び底面を研磨し高さ1cmに形成し、珪酸質系改質剤(Linack及びRC)を塗布した。散水により湿潤状態とした供試体にそれぞれ0.15L/m2塗布し、90分後に散水養生を行い、更に0.1L/m2を塗布し90分後再び散水養生してから、24時間後にも散水を行った。以後10日間湿潤養生し、80℃の乾燥器内で質量が変化しなくなるまで乾燥した(24時間)。その後室内空気に1時間おいてから試験を行った。
<試験結果及び考察>
図5(b)に示すように、本改質剤(Linack)を塗布した供試体では無塗布に比べ約1/7程度にまで透水係数が低下しており、高い遮水性能を示した。これに対して比較例のRCガード塗布でも無塗布より低い値となったが、その割合は1/2程度である。
試験例5{透水試験(2)}
<試験概要>
改質剤の浸透による透水係数の深さ方向の変化を確認するため、M60モルタルを用いてアウトプット法による透水試験を行った。φ100×200mmのM60モルタルを材齢14日まで水中養生し、側面をシーリングしてから、打設面のみに本改質剤(Linack)及びRCガードを塗布した。材齢28日まで養生した後、打設面より10mm毎に水平に切断して得られた供試体を用いて、0.1MPa加圧下で透過水量を測定した。定常状態の透過水量から式(1)により算出した透水係数の深さによる変化について無塗布の場合と比較し評価を行った。
<改質剤>
製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた本改質剤(Linack)及び比較例として市販のコンクリート改質剤(RC)
<結果>
深さ方向における透水係数変化を図6に示す。無塗布の供試体では表層5mm部分が最も透水係数が大きく、表層からの距離が大きくなるにつれ透水係数が小さくなる傾向が見られた。これはブリージング及びセメント粒子や骨材の沈降により、表層に近いほどW/Cが大きくなるため、透水係数の変化が見られたと考えられる。一方、本改質剤を塗布した供試体では逆に表面部の透水係数がやや低く、無塗布に見られるような深さによる大きな変化は無い。また本改質剤の透水係数が無塗布を下回るのは40mm程度であり、試験例1で浸透性が確認された深さと一致する。したがって、本改質剤塗布によりモルタル内部に生成した水和物が、特に表層部で大きな遮水性の改善効果をもたらしたものと考えられる。RCガード塗布供試体では深さ5mm部分のみで本改質剤より低い透水係数を示したが、20mm以下の深さでは無塗布より大きな値となった。
試験例6(電気泳動法による塩化物イオン拡散試験)
<試験概要>
電位差を利用して塩化物イオンをコンクリート中で電気泳動させるもので、図7(a)に示すように直径10cm高さ5cmのコンクリート供試体の両側に0.5mol/L・NaCl及び0.3mol/L・NaOH水溶液を配し、15Vの直流定電圧を印加することで、陰極側の塩化物イオンがコンクリート細孔中を通って陽極側へ電気泳動する。陽極側の塩化物イオン濃度の増加割合から実効拡散係数を算出する。また、コンクリート構造物の表面仕上げ等に使用される頻度が高く、塩分が浸透しやすいモルタルでの試験も行った。
<供試体の配合>
供試体には水セメント比(以下W/C)50%の普通コンクリート(以下OPC50)、W/C50%の高炉B種コンクリート(以下BB50)、W/C30%の低熱コンクリート(以下LH30)及びW/C60%の普通モルタル(以下M60)を用いた。それぞれの配合を表12に示す。
<改質剤>
製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた本改質剤(Linack)及び比較例として市販のコンクリート改質剤(RC)
<供試体条件>
コンクリートは、直径10cm高さ20cmの型枠により作成したものを5cm
厚さに切り出した。また、モルタルは、直径10cm 高さ10cmの型枠により作成し、2cm 厚さに切り出し、これらに珪酸質系コンクリート改質剤等を塗布した。塗布条件は配合に係わらず、無塗布(NO)、比較例として市販の珪酸質系コンクリート改質剤{商品名:RCガード(RC)}及び本改質剤(Linack)をそれぞれ0.15L/m2塗布し90分後に散水養生を行い、更に0.1L/m2を塗布し90分後再び散水養生してから、24時間後にも散水を行った。
<試験結果及び考察>
それぞれの実効拡散係数を表13に示す。また、無塗布に対する比率を図7(b)(コンクリート配合)及び図7(c)(モルタル配合)に示す。
セメントの種類や水セメント比の差によって実行拡散係数は大きく異なることが、表13に示されている。しかし、図7(b)に示すように、本改質剤(Linack)塗布では、セメントの種類や水セメント比に係わらず塩分浸透抑制効果が確認された。OPC50において無塗布の実効拡散係数に対するRCガード(比較例)を塗布した供試体の比率は80%と僅かに下回る程度だが、本改質剤(Linack)を塗布した供試体では20%と大幅に低い数値を示した。通常、コンクリートではW/Cが低いほど塩分遮蔽性が高く、2002年制定のコンクリート標準示方書〔施工編〕の回帰式によれば、W/C40%の拡散係数と、一般的なW/C50%の比は43%、またW/C60%との比は22%である。本改質剤(Linack)塗布によるOPC50の無塗布に対する20%という値は、塩分が浸透しやすいとされているW/C60%に対する、塩分浸透が防止されると考えられるW/C40%との比に相当し、塩分浸透抑制効果として非常に高いといえる。高炉スラグを混合したBB50は塩分浸透を抑制する効果が高いため、当実験でもOPC50の1/10以下と低い拡散係数を示した。しかし、本改質剤(Linack)を塗布した供試体では更に実効拡散係数は低く、塩分遮蔽性能が向上した。一方、W/Cをより低くしたLH30についても、塩分の拡散に必要な水分量が非常に少ないことから、無塗布でもOPC50に比べ1/8程度の低い拡散係数を示したが、本改質剤(Linack)の塗布により拡散係数が小さくなった。またこの効果については、OPC、BBモルタルでも同様の結果であった。実験から求めた実効拡散係数を用いて、かぶり厚さ5cmのコンクリート構造物の鋼材位置での塩化物イオン濃度が腐食限界(ここでは1.2kg/m3とした)に達するまでの年数を拡散方程式より解析し、得られた結果を表14に示す。
構造物表面の塩化物イオン濃度は海岸からの距離による3水準とした。塩分環境として最も過酷な飛沫帯を例に挙げると、鉄筋位置に塩化物イオンが到達するまでの年数は、一般的なOPC50の無塗布ではわずか3年である。しかし、本改質剤を塗布した場合では17年となり、約6倍の耐久性となる。LH30及びBB50では同じ飛沫帯であっても無塗布でそれぞれ30年、50年となる。このように高い塩分遮蔽性を持つコンクリートに対しても、本改質剤を塗布することで大きく耐用年数が延長でき、LH30で1.6倍の50年、BB50では1.9倍の151年となる。なお、RCガード塗布では大きな変化がない。なお、今回コンクリート表面での塩化物イオンの濃縮は考慮しておらず、実環境での年数はより長いものとなると推定される。
試験例7(表面電位測定試験)
<試験概要>
試験例6に見られる本改質剤塗布による遮塩効果の理由として、試験例1に見られるような水和物による組織の緻密化のほかに、静電的な影響の2つが考えられる。ここでは、後者の影響をセメントペーストによる表面電位測定により検討した。φ100×5mmのセメントペースト供試体(W/C50%)を用い、供試体の改質剤を塗布した面に接したNaCl水溶液を加圧し、NaイオンまたはClイオンが細孔中を通過する際に細孔表面の荷電との間に発生する起電力を測定することで、間接的に表面電位を測定した。図8(a)に試験装置の概要を示す。
<改質剤>
製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた本改質剤(Linack)及び比較例として市販のコンクリート改質剤(RC)
<供試体>
硬化後の電気的な性質の異なるOPC及びBBセメントを用い、W/C50%のセメントペーストをφ100×8mmの型枠に打設し、脱型後に打設面及び底面を研磨して5mm厚さに形成した。材齢14日で改質剤(Linack及びRC)を一面に塗布し、以後14日間湿潤養生してから試験に供した。
<試験結果>
試験結果を図8(b)に示す。OPCでは無塗布の場合正の電位を示したが、本改質剤塗布により大きく負に変化した。BBでは無塗布でも負の電位を示し、本改質剤塗布ではさらに大きく負に変化した。セメントペーストの表面電位は、Caイオンの存在形態によって影響を受けることが報告されている。OPCでは水和により生成されるCa(OH)2により正電荷を示すが、このCa(OH)2がBBでは高炉スラグの水和反応に消費されることからOPCよりも負の電荷を示すと考えられる。これらに対して本改質剤を塗布すると、新たに水和物を生成しCaイオンを消費するために電荷が大きく負へ変化するものと考えられる。セメント硬化体表面の電荷が負の大きな値を示すならば、Clイオンは反発により浸透を強く阻害されることとなり、試験例7で得られた本改質剤塗布による高い塩分遮蔽効果の要因と考えられる。一方、RCガード(比較例)塗布供試体ではOPCでわずかに負に変化したもののBBでは正に大きく変化し、Clイオンに対する影響を関連付けることは難しく、表層部のみの緻密化による影響と考えられる。
試験例8(海水浸漬による塩化物イオン浸透試験)
<試験概要>
本試験は、セメント硬化体内に拡散する全塩化物イオンの浸透深さを簡易的に測定するもので、JIS
A 1171ポリマーセメントモルタルの試験方法に準拠した。供試体を塩水(人工海水)中に14日間内浸漬し、割裂した供試体断面に試薬(硝酸銀溶液及びウラニン水溶液)を噴霧して変色部分を浸透深さとして測定するものである。測定点は1断面につき3点の合計6点とした。
<改質剤>
(a)製造例1、製造例2、製造例3で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた改質剤
(b)製造例1、製造例4、製造例5で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた改質剤
<供試体>
所定材齢まで水中養生した4×4×16cmのOPCモルタル(W/C50%)供試体を4×4×4cmにカットし、1側面を残してシーリング剤で完全に被覆し、改質剤を塗布し所定日数湿潤養生の後試験に供した。塩水はJIS
A 6205付属書1(鉄筋の塩水浸漬試験方法)の3.2.1(塩分溶液)に規定される人工海水を用いた。
(a)材齢7日まで水中養生、塗布後7日間湿潤養生
(b)材齢14日まで水中養生、塗布後14日間湿潤養生
<試験結果>
結果を図9に示す。
試験例9(凍結融解試験)
<試験概要>
JIS−A−1148 A法及びJIS−A−1171に準拠してコンクリート及びモルタルによる水中凍結水中融解試験を行なった。通常の試験を(A:OPC50、BB60コンクリート)、試験開始材齢を7日とし塗布前に初期凍害を施したものを(B:OPC50コンクリート)、人工海水を用い塩分環境下の凍害における影響を検討するものを(C:OPC50モルタル)とした。また凍害劣化後の改質剤塗布による効果を検討するため、凍害耐久性限界とされる相対動弾性係数(RDM)が60%前後となるまで劣化させた供試体に改質剤を塗布し、さらに凍結融解試験を行ったものを(D:OPC50モルタル)とする。測定はコンクリートでは30サイクル毎、モルタルでは劣化進行状態に併せて、10〜30サイクル毎に行った。
<改質剤>
(A)及び(B) 製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた本改質剤(Linack)及び比較例として市販のコンクリート改質剤(RC)
(C) 製造例1、製造例4、製造例6、製造例7で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた本改質剤及び比較例として市販のコンクリート改質剤(RC)
(D)製造例1で得られた原液を水で2倍希釈することにより得られた本改質剤(Linack)
<供試体>
供試体寸法はコンクリートを100×100×400mm、モルタルを40×40×160mmとし、改質剤の塗布はコンクリートには打設面のみ、モルタルへは底面以外の全ての面に施した。
<試験結果及び考察(A)>
図10(a)に示すOPC50では、無塗布供試体のRDMは試験直後から低下し始め、250サイクルから急激に低下割合が大きくなり、300サイクルには60%以下となった。耐凍害性の指標としてRDM60%は限界値であり、OPC50無塗布の耐凍害性は低いといえる。これに対し、本改質剤塗布の供試体では、試験開始初期にはRDMが100%を超える数値となり、その後試験終了時まで、ほぼ100%付近の数値を保ち、高い耐凍害性を示した。また比較例の改質剤(RC)塗布供試体でも、RDMは高い数値を示したが、300サイクル時に低下し始めた。凍結融解による劣化は、外部の温度低下に伴いコンクリートの表面部において、外部から侵入した水分が凍結し、その膨張圧によってコンクリート内部へ組織破壊が進んでゆくものである。本改質剤(Linack)を塗布したコンクリートでは、表層部から内部にかけて生成されるゲルによって緻密化され外部からの水分侵入を阻止する。またゲル生成時に内部の水分を消費することから、コンクリート内部に水で満たされない空隙を保持することなり、凍結による膨張圧を緩和することが出来る。これらにより、本改質剤(Linack)の塗布がコンクリートに高い耐凍害性能をもたらすものと考えられる。また質量変化においても同様で、無塗布が試験開始直後から質量減少しつづけるのに対し、本改質剤(Linack)塗布では試験終了時でも試験開始時の質量を下回らなかった。図10(b)に示すBB60では、無塗布供試体のRDMは150サイクルから急激に低下し始め、300サイクルでは80%以下となった。
BBは混入された高炉スラグのポゾラン反応によりOPCよりも緻密な組織を形成し、また水分も消費されている為、耐凍害性が高い。このBB60に対してでも、本改質剤(Linack)塗布供試体では300サイクルまでRDMが100%以上の数値を維持した。これに対し、RCガード塗布では、試験開始から100%以下の数値を示し、300サイクル時にやや低下した。
<試験結果及び考察(B)>
結果を図11に示す。図11より分かるように、無塗布でも劣化進行は遅いものであったが、本改質剤塗布で更に耐久性は向上した。
<試験結果及び考察(C)>
結果を図12(a)〜(d)に示す。塩分環境下での凍結融解では、純水中の場合に比べ劣化が激しく進行するとされており、本試験でも、特に凍結融解抵抗性に劣るnonAEでは劣化が早期に進行した。無塗布の場合、15サイクルですでに相対動弾性係数が60%となった。これに対して本改質剤(2配合種類)の塗布では、RDM限界値到達が28サイクル程度と耐久性が向上した。また、凍害耐久性を高めたAEモルタルでも、無塗布では50サイクル程度で相対動弾性係数が60%となった。これに対して、本改質剤(3配合種類)の塗布ではいずれも200サイクル時まで60%以上となった。特に、LN733では92%と高い動弾性を保った。また質量変化でも、無塗布では100サイクル以降急激に質量が減少し、200サイクルでは10%の低下となり大きく組織が損壊した。これに対して本改質剤を塗布した場合は、何れの配合でも150サイクルまで質量減少が見られなかった。特にLN422では200サイクルまで質量減少が無く、図13に示すように無塗布では表層を完全に損失しているが、本改質剤(LN422)塗布では試験開始時とほとんど変わらないままに残存しており、高いスケーリング抵抗性を示した。また、比較例のRCガード塗布では表層の半ばが損失しており、スケーリング抵抗性の向上は本改質剤に比べて低いものである。
<試験結果及び考察(D)>
劣化後の改質剤塗布による改質効果の確認には、材齢28日まで水中養生したOM50モルタルを用い、RDMが70%及び50%に達するまで凍結融解サイクルを経た段階で中断し、本改質剤を塗布した。無塗布供試体とともに7日間湿潤養生を行った後人工海水中で凍結融解サイクルを再開した。なお、本改質剤を塗布する際には、表層部のCa(OH)2が劣化により溶脱していることが考えられたため、事前にCa(OH)2飽和水溶液を塗布した。RDM70%まで劣化後に塗布した試験をD70、同じく50%の場合をD50とし、それぞれのRDM及び質量変化を図14(a)〜(d)に示す。D70では、無塗布供試体のRDM及び質量が再開後急激に低下した。これは中断前の表層部が比較的残存しており、再開後に人工海水中の影響により剥離、損壊が促進されたものと考えられる。一方、本改質剤を塗布した供試体では、再開後RDMの値が100%まで上昇し、終了時でも60%以上となった。質量についても再開後80サイクル程度までほとんど減少が見られなかった。凍害耐久性限界以下の劣化状態から再開したD50でも、無塗布はRDM、質量共に低下し続けた。これに対し本改質剤塗布では、再開後緩やかにRDMが上昇し、再開後50サイクルで60%以上となった。また質量も若干の増加を示し、再開後80サイクルまで減少が認められなかった。
これらの結果より、本改質剤の塗布による耐凍害性向上は、新設コンクリートのみならず既設のかつ凍害劣化を受けたコンクリートの場合にも有効であり、またスケーリングに対しても高い抵抗性を示すことが認められた。
以上の試験結果を以下に整理する。
(1)本改質剤(例えばLinack)は、深さ40mmまで浸透していることが確認され、従来の浸透性改質剤に比べ浸透性能が非常に高いといえる。
(2)本改質剤(例えばLinack)は、コンクリートの空隙内で棒状または塊状の立体構造を持ったゲルを生成し、空隙を緻密化することで、遮水性能の向上をもたらす。比較例であるRCガードも同様の性質を示すが、浸透深さの違いから、比較品の効果は表面部数ミリのものである。
(3)本改質剤(例えばLinack)は、(2)で述べた緻密化のほかに、ゲル表面の電荷が負となることから塩化物イオンを反発し高い塩分遮蔽性を示す。比較例のRCガードでは、本改質剤に比べて塩分遮蔽性に対する向上効果は低い。
(4)本改質剤(例えばLinack)は、セメント種類および水セメント比にかかわらず耐凍害性を向上した。また塩害との複合劣化に対しても高い耐久性を示し、同時に高いスケーリング抵抗性も示した。比較例のRCガード塗布では耐凍害性の向上は認められたが本改質剤(Linack)に比べると低い性能であり、スケーリング抵抗性についても同様である。
(5)凍害による劣化後に本改質剤(例えばLinack)を塗布した場合でも、塗布後に相対動弾性係数の回復が見られ、耐久性を向上した。また本改質剤(例えばLinack)のゲル生成を補助し、耐久性をより向上させる効果を水酸化カルシウム飽和水溶液により得られることが認められた。
(6)以上より、コンクリートの表面に塗布した本改質剤(例えばLinack)は、コンクリートの内部深くまで浸透し、生成されるゲルにより遮水性能、遮塩性能、耐凍害性能を向上させることで、コンクリートの塩害および凍害による劣化、またこれらの複合劣化に対する予防または防止対策として有効であると考えられる。
図1(a)は、コンクリートの断面図を模式化したものである。図1(b)〜(e)は、図1(a)内の四角囲み部分を拡大した図である。図1(c)は、図1(b)に5として示す微細空隙または骨材界面の脆弱組織部に本改質剤が浸透した様子を示した図である。図1(d)は、空隙内に浸透した本改質剤が細孔溶液中の水酸化カルシウム及び水と反応し、ゲルを生成した様子を示した図である。図1(e)は、図1(d)内の四角囲み部分の実際の状態を示した電子写真である。図中、1:モルタルマトリックス、2:粗骨材、3:細孔及びクラック、4:細骨材、5:セメントペースト、6:本改質剤、7:本改質剤より生成されたゲルを夫々示す。 図2は、試験例1(本改質剤浸透性確認試験)におけるSEM画像(電子写真)である。ここで、図2(a)〜(d)は、改質剤塗布モルタル供試体{打設面からの深さ(a)1mm,(b)20mm,(c)30mm,(d)40mm}のSEM画像であり、図2(e)及び(f)は、無塗布モルタル供試体(打設面からの深さ(e)5mm,(f)20mm)のSEM画像であり、図2(g)は、改質剤と飽和Ca(OH)2溶液から得られた生成物のSEM画像である。 図3は、試験例2(XRF元素分析)におけるLNゲルの測定スペクトルである。 図4は、試験例3(アルカリ成分分析による浸透性確認試験)における、各種アルカリ金属の含有量と塗布面の深さとの関係を示した図である。 図5は、試験例4{透水試験(1)}における装置及び結果を示した図である。ここで、図5(a)は、試験装置の概要を示した図であり、図5(b)は、透水係数における塗布条件の影響を示した図である。 図6は、試験例5{透水試験(2)}における、改質剤塗布による深さ方向における透水係数変化を示した図である。 図7は、試験例6(電気泳動法による塩化物拡散試験)における装置と結果を示した図である。ここで、図7(a)は、本試験に係る装置の概要を示した図であり、図7(b)は、改質剤塗布による各種コンクリートの実効拡散係数(対無塗布比率)を示した図であり、図7(c)は、改質剤塗布による各種モルタルの実効拡散係数(対無塗布比率)を示した図である。 図8は、試験例7(表面電位測定試験)における装置と結果を示した図である。ここで、図8(a)は、本試験に係る装置の概要を示した図であり、図8(b)は、改質剤塗布による各種セメントの表面電位を示した図である。 図9は、試験例8(海水浸漬による塩化物イオン浸透試験)における、各種改質剤と全塩分浸透深さとの関係を示した図である{(a)材齢7日塗布、7日養生後海水浸漬、(b)材齢14日塗布、14日養生後海水浸漬}。 図10は、試験例9(凍結融解試験)の通常サイクル試験における、各種改質剤を適用したときのOPC50の相対動弾性係数変化{図10(a)}及びBB60の相対動弾性係数変化{図10(b)}を示した図である。 図11は、試験例9(凍結融解試験)の初期凍害サイクル試験における、本改質剤を適用したときの相対動弾性係数変化を示した図である。 図12は、試験例9(凍結融解試験)の海水中サイクル試験における、各種改質剤を適用したときのnonAEの相対動弾性係数変化{図12(a)}と質量減少率{図12(b)}及びAEの相対動弾性係数変化{図12(c)}と質量減少率{図12(d)}を示した図である。 図13は、試験例9(c)の人工海水中での凍結融解試験において供試体打設面の試験終了時のスケーリング状態を示した図である。 図14は、試験例9(凍結融解試験)の凍害劣化後サイクル試験における、RDM70%まで劣化後に本改質剤を適用したときの相対動弾性係数変化{図14(a)}と質量減少率{図14(b)}及びRDM50%まで劣化後に本改質剤を適用したときのAEの相対動弾性係数変化{図14(c)}と質量減少率{図14(d)}を示した図である。

Claims (12)

  1. リチウムシリケート水溶液にアルカリ金属イオン源を配合したことを特徴とするコンクリート改質剤。
  2. アルカリ金属イオン源が、水溶性アルカリ金属含有物質である、請求項1記載の改質剤。
  3. アルカリ金属イオン源からのアルカリ金属イオンが、ナトリウムイオン及びカリウムイオンである、請求項1又は2記載の改質剤。
  4. 添加するアルカリ金属イオン源のSiOに対するモル比(アルカリ金属イオン換算)が、0.08〜1.8である、請求項1〜3のいずれか一項記載の改質剤。
  5. リチウムシリケート水溶液由来のリチウムイオンを含むすべてのアルカリ金属イオンのSiOに対するモル比が、0.4〜2.1である、請求項1〜4のいずれか一項記載の改質剤。
  6. ナトリウムイオンに対するカリウムイオンの比が、モル比で0.02〜2.7である、請求項3又は4記載の改質剤。
  7. 明細書中の測定方法1に従って飽和水酸化カルシウム水溶液に添加した場合、白濁ゲル相と透明溶液相の二相構造を形成する、請求項1〜6のいずれか一項記載の改質剤。
  8. コンクリート表面適用型である、請求項1〜7のいずれか一項記載の改質剤。
  9. リチウムシリケート水溶液にアルカリ金属イオン源を配合することにより得られる、請求項1〜8のいずれか一項記載の改質剤の原液であって、前記リチウムシリケート水溶液におけるSiO2及びLi2O(等価酸化物換算)は、それらの合計量が前記水溶液の全重量に対して15〜30重量%であり、かつ、それらのモル比(SiO2/Li2O)が3〜8である改質剤原液。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項記載の改質剤又は請求項9記載の原液を水で希釈して得られた改質剤を、コンクリート表面に一又は複数回適用する工程を含む、コンクリートの劣化防止又は劣化抑止方法。
  11. 前記一又は複数回の改質剤適用工程の前又は途中で、前記コンクリート表面に水酸化カルシウム水溶液を適用する工程を更に含む、請求項10記載の方法。
  12. 請求項10又は11記載の方法により劣化防止又は抑止されたコンクリート。
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