JPWO2005076546A1 - 配信システム,無線基地局,無線端末および配信方法 - Google Patents
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Abstract
配信システム(100)において、1又は複数の無線端末(40,41)に接続されたN台のクライアント端末(21)が有線ネットワーク(104)からのマルチキャストパケットを受信し、無線基地局(22)が、各無線端末(40,41)をグループ化しグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てし1又は複数の無線端末(40,41)および有線ネットワーク(104)側と通信し、マルチキャストルータ(10)がN台のクライアント端末(21)のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末(21)をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットを無線基地局(22)側に転送し、マルチキャストサーバ(11)がマルチキャストルータ(10)のマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットをマルチキャストルータ(10)に転送する。
Description
本発明は、例えばIP(Internet Protocol)ネットワークに接続される無線アクセスネットワークに用いて好適な、配信システム,無線基地局,無線端末および配信方法に関する。
近年、無線端末(移動端末,移動局又は移動機)を用いてインターネットにアクセスするユーザが増加し、また、データ量の増大に伴い、無線端末と基地局(無線基地局)との間の無線区間(無線アクセス区間)における伝送速度の拡大が要請されている。インターネットに用いられるIPプロトコルは、元来、有線ネットワークに用いられるものであったが、有線ネットワークに無線区間が含まれる場合においても、IPプロトコルを適用できるようになってきている。
(1)ブロードキャスト(ブロードキャスト通信)およびマルチキャスト(マルチキャスト通信)
IPプロトコルは、1台のサーバ(ノード)が同一パケットを、複数のサーバに対して送信する1対N(Nは自然数を表す。)の送信機能を有し、具体的には、ブロードキャスト(ブロードキャスト通信)と、マルチキャスト(マルチキャスト通信)との各機能を有する。このブロードキャストとは、1台のサーバが、ネットワークに属する不特定多数のサーバに対して同一パケットを送信することであり、また、マルチキャストとは、1台のサーバが、ネットワークに属する特定多数のサーバを指定して同一パケットを送信することである。例えばブロードキャストは、同報送信であり、また、マルチキャストは、プロバイダ(インターネットサービスプロバイダ[ISP:Internet Service Provider])のサーバが、プロバイダと契約又はプロバイダに登録したユーザが接続するアクセスサーバに対して、パケットを送信するものである。
このマルチキャストが、IPネットワークに用いられた場合、一台のサーバが、同一のIPパケット(IPパケットデータ)を同時に複数のサーバに対して送信する技術は、特に、IPマルチキャストと呼ばれている。このIPマルチキャスト機能によって、例えばインターネット放送等のストリーミング(ストリーミングデータ,ストリーム,ストリームデータ)の配信サービスが行なわれている。
ストリーム配信は、配信先(データを配信される側)が、外部ネットワークの配信サーバ(配信元)に配信要求を送信することにより、記信サーバから配信元に情報データが配信される。さらに、ブロードキャスト又はマルチキャストの場合、配信サーバは、多数のプロバイダおよび管理サーバに対して情報データを送信する。
(2)無線区間におけるブロードキャストおよびマルチキャスト
IPネットワークの無線区間においては、ブロードキャストおよびマルチキャスト(以下、ブロードキャスト/マルチキャストと表示する。)は、いずれも、基地局から無線端末への下り方向だけに提供される1対N(1対多)の通信サービスである。具体的には、ブロードキャストによってセル内の全ての無線端末は、基地局からのブロードキャストパケットを受信でき、また、マルチキャストによってプロバイダと契約又は登録された無線端末のみが、セル内においてマルチキャストパケットを受信できるようになっている。
(3)マルチキャストサーバおよびマルチキャストルータ
マルチキャストサーバは、マルチキャストサーバおよび配信先サーバ間の配信ルートの重複を回避するために、複数のサーバの接続関係を示すツリーが用いられる。また、マルチキャストルータは、配下に設けられた1又は複数の配信先サーバをマルチキャストグループとしてメモリに保持し、これにより、配信先サーバについてメンバー(メンバーとしてのサーバ)又は非メンバーを管理する(メンバーシップ管理)。そして、マルチキャストルータは、上位側サーバから受信したマルチキャストパケットのアドレスを抽出し、そのアドレスに基づいて、配信データを転送又は廃棄する。
(4)メンバーシップ管理
マルチキャストグループを構成するマルチキャストルータと配信先サーバとの間は、次に述べる2種類の方法(4−1),(4−2)を用いてメンバーシップ管理が行なわれる。
(4−1)第1の方法
各配信先サーバは、メンバーシップ情報を更新するためのタイマを有し、タイマがタイムアウトになるとメンバーシップ登録要求(メンバーシップ登録要求メッセージ)を、配下の全てのメンバーに対してマルチキャストする。これにより、マルチキャストルータは、マルチキャストグループに配信先サーバが存在することを認識する。なお、配信先サーバがマルチキャストグループから離脱する場合は、マルチキャストグループ離脱要求(マルチキャストグループ離脱要求メッセージ)をマルチキャストルータに送信し、そして、マルチキャストルータが、その配信先サーバ情報を、メンバーシップを保持するメモリから削除する。
(4−2)第2の方法
マルチキャストルータは、パケットの送信先配信先サーバを収容するマルチキャストグループに対し、メンバーシップ調査要求(メンバーシップ調査要求メッセージ)をマルチキャストする。そして、マルチキャストルータは、マルチキャストについての応答(応答メッセージ)を受信することによって、送信先配信先サーバがマルチキャストグループに存在することを認識する。
このように、マルチキャストルータは、これらの第1の方法および第2の方法を用いて、逐次、メンバーシップを更新し管理する。
(5)応答信号を一斉返送するケース
IPマルチキャスト通信においては、移動局が、基地局に対して、応答信号を一斉に返送する状況が発生する。
図27(a)はグループメンバーシップ調査要求に対して応答信号が一斉返送されるシーケンスを示す図である。この図27(a)に示すマルチキャストルータ200は、マルチキャストグループ管理のためのメンバーシップ要求(Membership Report Request)を送信する。各配信先サーバ(ホストと表示したもの)#1〜#3は、そのメッセージを受信して処理した後、各々、メンバーシップ応答(Membership Report)を送信し、これにより、マルチキャストルータは、メッセージを一斉に返送される。
また、図27(b)は信頼性マルチキャスト信頼性に対して応答信号が一斉返送されるシーケンスを示す図である。マルチキャストが適用された場合、マルチキャストルータ200は、マルチキャストサーバ202から配信されたマルチキャストパケットを各配信先サーバに対して送信する。マルチキャストルータ200は、マルチキャストパケットの配信後に、各配信先サーバ#1〜#3からの確認応答(ACK[Acknowledgement]:ACK信号)又は再送要求を返送される。
このように、IPマルチキャストが適用された場合、図27(a),図27(b)にそれぞれ示す各配信先サーバ#1〜#3は、上位のマルチキャストルータ200あるいはマルチキャストサーバ202から配信されたパケットについて、一斉に応答を送信する。
(6)無線区間におけるマルチキャストおよびブロードキャストの公知例
従来から提案されている無線マルチキャスト,無線ブロードキャストについて説明する。
(6−1)信頼性マルチキャスト
信頼性マルチキャストは、マルチキャストパケットの配信時において伝送異常が生じた場合に、マルチキャストするものである。
IPネットワークは、送信元サーバから送信先配信先サーバまでの伝送経路および伝送条件が同一でないことがあるので、マルチキャストパケットが送信先配信先サーバに到達する前に、損失(パケットロス)等の伝送異常が生じる可能性がある。信頼性マルチキャストとは、この伝送異常時においてパケットロスを回避し、各配信先サーバに対してマルチキャストパケットが確実に配信されることを保証するためのものである。
信頼性マルチキャストの手順は2種類が知られている(例えば特許文献1,2参照)。ここで、第1の手順は、配信先サーバが正常にマルチキャストパケットを受信できた場合に、確認応答(ACK)を返送する。第2の手順は、配信先サーバが正常にマルチキャストパケットを受信できなかった場合に、再送要求(NACK[Negative Acknowledgement]:NACK信号)を返送する。
(6−2)基地局がマルチキャストの受信応答を受信する方法
また、基地局が、無線区間を介してデータをブロードキャストする方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。特許文献3記載の基地局は、セルの統計的なデータを無線端末から収集し、最低送信品質<tq<最高送信品質の範囲の受信送信品質tqを受信すると、他の無線端末に対して、応答を停止させる通知メッセージを送信するようになっている。
(6−3)移動局からの応答数を削減する方法
さらに、無線マルチキャスト通信において、無線端末からの応答数を削減する方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。特許文献4記載の基地局は、マルチキャスト後に2種類の無線端末グループに対してポーリングを用いて応答を要求し、無線端末からのNACKを受信すると、所定時間後にパケットを再送信する。また、ポーリングされた無線端末以外の他の無線端末はポーリングされた無線端末からの応答を監視するようになっている。
[特許文献1]
特開2001−177564号公報
[特許文献2]
特開2003−174478号公報
[特許文献3]
特表2003−511925号公報
[特許文献4]
特開2000−115051号公報
[非特許文献1]
「マスタリングTCP/IP(IPマルチキャスト偏)」オーム社刊
しかしながら、IPパケットが、無線アクセスネットワークを経由すると、図27(a),図27(b)に示すシーケンスと同様に、無線端末から基地局に対する応答信号が一斉に通知される。一方、無線系ネットワークは、有線系ネットワークに比べてリソースが少ない。このため、無線区間における輻輳が生じるとともに、基地局側の負荷の増大と処理遅延とが発生するという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、無線アクセスネットワークを含む配信システムにおいて、一つの基地局又は基地局に接続されたマルチキャストルータからのブロードキャスト又はマルチキャストが、その配下の無線端末又は無線端末に接続された配信先サーバが応答信号を返送する場合における輻輳制御によって無線リソースの有効利用が可能な、配信システム,無線基地局,無線端末および配信方法を提供することを目的とする。
(1)ブロードキャスト(ブロードキャスト通信)およびマルチキャスト(マルチキャスト通信)
IPプロトコルは、1台のサーバ(ノード)が同一パケットを、複数のサーバに対して送信する1対N(Nは自然数を表す。)の送信機能を有し、具体的には、ブロードキャスト(ブロードキャスト通信)と、マルチキャスト(マルチキャスト通信)との各機能を有する。このブロードキャストとは、1台のサーバが、ネットワークに属する不特定多数のサーバに対して同一パケットを送信することであり、また、マルチキャストとは、1台のサーバが、ネットワークに属する特定多数のサーバを指定して同一パケットを送信することである。例えばブロードキャストは、同報送信であり、また、マルチキャストは、プロバイダ(インターネットサービスプロバイダ[ISP:Internet Service Provider])のサーバが、プロバイダと契約又はプロバイダに登録したユーザが接続するアクセスサーバに対して、パケットを送信するものである。
このマルチキャストが、IPネットワークに用いられた場合、一台のサーバが、同一のIPパケット(IPパケットデータ)を同時に複数のサーバに対して送信する技術は、特に、IPマルチキャストと呼ばれている。このIPマルチキャスト機能によって、例えばインターネット放送等のストリーミング(ストリーミングデータ,ストリーム,ストリームデータ)の配信サービスが行なわれている。
ストリーム配信は、配信先(データを配信される側)が、外部ネットワークの配信サーバ(配信元)に配信要求を送信することにより、記信サーバから配信元に情報データが配信される。さらに、ブロードキャスト又はマルチキャストの場合、配信サーバは、多数のプロバイダおよび管理サーバに対して情報データを送信する。
(2)無線区間におけるブロードキャストおよびマルチキャスト
IPネットワークの無線区間においては、ブロードキャストおよびマルチキャスト(以下、ブロードキャスト/マルチキャストと表示する。)は、いずれも、基地局から無線端末への下り方向だけに提供される1対N(1対多)の通信サービスである。具体的には、ブロードキャストによってセル内の全ての無線端末は、基地局からのブロードキャストパケットを受信でき、また、マルチキャストによってプロバイダと契約又は登録された無線端末のみが、セル内においてマルチキャストパケットを受信できるようになっている。
(3)マルチキャストサーバおよびマルチキャストルータ
マルチキャストサーバは、マルチキャストサーバおよび配信先サーバ間の配信ルートの重複を回避するために、複数のサーバの接続関係を示すツリーが用いられる。また、マルチキャストルータは、配下に設けられた1又は複数の配信先サーバをマルチキャストグループとしてメモリに保持し、これにより、配信先サーバについてメンバー(メンバーとしてのサーバ)又は非メンバーを管理する(メンバーシップ管理)。そして、マルチキャストルータは、上位側サーバから受信したマルチキャストパケットのアドレスを抽出し、そのアドレスに基づいて、配信データを転送又は廃棄する。
(4)メンバーシップ管理
マルチキャストグループを構成するマルチキャストルータと配信先サーバとの間は、次に述べる2種類の方法(4−1),(4−2)を用いてメンバーシップ管理が行なわれる。
(4−1)第1の方法
各配信先サーバは、メンバーシップ情報を更新するためのタイマを有し、タイマがタイムアウトになるとメンバーシップ登録要求(メンバーシップ登録要求メッセージ)を、配下の全てのメンバーに対してマルチキャストする。これにより、マルチキャストルータは、マルチキャストグループに配信先サーバが存在することを認識する。なお、配信先サーバがマルチキャストグループから離脱する場合は、マルチキャストグループ離脱要求(マルチキャストグループ離脱要求メッセージ)をマルチキャストルータに送信し、そして、マルチキャストルータが、その配信先サーバ情報を、メンバーシップを保持するメモリから削除する。
(4−2)第2の方法
マルチキャストルータは、パケットの送信先配信先サーバを収容するマルチキャストグループに対し、メンバーシップ調査要求(メンバーシップ調査要求メッセージ)をマルチキャストする。そして、マルチキャストルータは、マルチキャストについての応答(応答メッセージ)を受信することによって、送信先配信先サーバがマルチキャストグループに存在することを認識する。
このように、マルチキャストルータは、これらの第1の方法および第2の方法を用いて、逐次、メンバーシップを更新し管理する。
(5)応答信号を一斉返送するケース
IPマルチキャスト通信においては、移動局が、基地局に対して、応答信号を一斉に返送する状況が発生する。
図27(a)はグループメンバーシップ調査要求に対して応答信号が一斉返送されるシーケンスを示す図である。この図27(a)に示すマルチキャストルータ200は、マルチキャストグループ管理のためのメンバーシップ要求(Membership Report Request)を送信する。各配信先サーバ(ホストと表示したもの)#1〜#3は、そのメッセージを受信して処理した後、各々、メンバーシップ応答(Membership Report)を送信し、これにより、マルチキャストルータは、メッセージを一斉に返送される。
また、図27(b)は信頼性マルチキャスト信頼性に対して応答信号が一斉返送されるシーケンスを示す図である。マルチキャストが適用された場合、マルチキャストルータ200は、マルチキャストサーバ202から配信されたマルチキャストパケットを各配信先サーバに対して送信する。マルチキャストルータ200は、マルチキャストパケットの配信後に、各配信先サーバ#1〜#3からの確認応答(ACK[Acknowledgement]:ACK信号)又は再送要求を返送される。
このように、IPマルチキャストが適用された場合、図27(a),図27(b)にそれぞれ示す各配信先サーバ#1〜#3は、上位のマルチキャストルータ200あるいはマルチキャストサーバ202から配信されたパケットについて、一斉に応答を送信する。
(6)無線区間におけるマルチキャストおよびブロードキャストの公知例
従来から提案されている無線マルチキャスト,無線ブロードキャストについて説明する。
(6−1)信頼性マルチキャスト
信頼性マルチキャストは、マルチキャストパケットの配信時において伝送異常が生じた場合に、マルチキャストするものである。
IPネットワークは、送信元サーバから送信先配信先サーバまでの伝送経路および伝送条件が同一でないことがあるので、マルチキャストパケットが送信先配信先サーバに到達する前に、損失(パケットロス)等の伝送異常が生じる可能性がある。信頼性マルチキャストとは、この伝送異常時においてパケットロスを回避し、各配信先サーバに対してマルチキャストパケットが確実に配信されることを保証するためのものである。
信頼性マルチキャストの手順は2種類が知られている(例えば特許文献1,2参照)。ここで、第1の手順は、配信先サーバが正常にマルチキャストパケットを受信できた場合に、確認応答(ACK)を返送する。第2の手順は、配信先サーバが正常にマルチキャストパケットを受信できなかった場合に、再送要求(NACK[Negative Acknowledgement]:NACK信号)を返送する。
(6−2)基地局がマルチキャストの受信応答を受信する方法
また、基地局が、無線区間を介してデータをブロードキャストする方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。特許文献3記載の基地局は、セルの統計的なデータを無線端末から収集し、最低送信品質<tq<最高送信品質の範囲の受信送信品質tqを受信すると、他の無線端末に対して、応答を停止させる通知メッセージを送信するようになっている。
(6−3)移動局からの応答数を削減する方法
さらに、無線マルチキャスト通信において、無線端末からの応答数を削減する方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。特許文献4記載の基地局は、マルチキャスト後に2種類の無線端末グループに対してポーリングを用いて応答を要求し、無線端末からのNACKを受信すると、所定時間後にパケットを再送信する。また、ポーリングされた無線端末以外の他の無線端末はポーリングされた無線端末からの応答を監視するようになっている。
[特許文献1]
特開2001−177564号公報
[特許文献2]
特開2003−174478号公報
[特許文献3]
特表2003−511925号公報
[特許文献4]
特開2000−115051号公報
[非特許文献1]
「マスタリングTCP/IP(IPマルチキャスト偏)」オーム社刊
しかしながら、IPパケットが、無線アクセスネットワークを経由すると、図27(a),図27(b)に示すシーケンスと同様に、無線端末から基地局に対する応答信号が一斉に通知される。一方、無線系ネットワークは、有線系ネットワークに比べてリソースが少ない。このため、無線区間における輻輳が生じるとともに、基地局側の負荷の増大と処理遅延とが発生するという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、無線アクセスネットワークを含む配信システムにおいて、一つの基地局又は基地局に接続されたマルチキャストルータからのブロードキャスト又はマルチキャストが、その配下の無線端末又は無線端末に接続された配信先サーバが応答信号を返送する場合における輻輳制御によって無線リソースの有効利用が可能な、配信システム,無線基地局,無線端末および配信方法を提供することを目的とする。
このため、本発明の配信システムは、1又は複数の無線端末を有する無線アクセスネットワークと、1又は複数の無線端末とパケットを送受信する有線ネットワークとをそなえたものであって、1又は複数の無線端末に接続され有線ネットワークからのマルチキャストパケットを受信する複数のクライアント端末と、各無線端末をグループ化しグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てし1又は複数の無線端末および有線ネットワーク側と通信する無線基地局と、複数のクライアント端末のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットを無線基地局側に転送するマルチキャストルータと、マルチキャストルータのマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットをマルチキャストルータに転送するマルチキャストサーバとをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、無線アクセスネットワークにおいて、ブロードキャスト/マルチキャスト通信によって無線端末側にデータが配信された後に、無線端末側から無線基地局に対して発生する上り方向の無線アクセスネットワークにおける輻輳発生を抑制でき、無線リソースの有効利用が図れるとともに、無線基地局における処理負荷が軽減できる。
また、本発明の無線基地局は、無線アクセスネットワークに属する各無線端末の無線端末識別番号に基づいて1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報を生成するグループ化処理部と、グループ化処理部にて生成されたグループ識別情報および応答タイミングと、有線ネットワーク側から転送されたパケットに起因する無線パケットとを1又は複数の無線端末に対して送信する無線送信部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、例えばマルチメディアサービスのブロードキャスト/マルチキャスト通信方式においても、無線基地局側からの配信開始、あるいは、無線基地局からの認証解除や暗号化解除のためのキー情報を無線端末に配信したのちに、無線端末から一斉に応答信号を返送する場合においても、有効に輻輳制御ができる。
さらに、本発明の無線端末は、1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報を含む無線パケットを受信する無線受信部と、無線端末識別情報と、グループ識別番号と、応答タイミング値とを関連付けて保持する保持部と、無線受信部にて受信されたグループ識別情報に対応する応答タイミングを、保持部から読み出して決定する応答タイミング決定部と、応答タイミング決定部にて決定された応答タイミングで、応答信号を無線基地局に対して送信する無線送信部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、単なる応答信号を送信するだけの無線リンクが設定されないので、物理的な回線数を節約できる。
また、本発明の無線端末は、複数の無線端末宛てに送信されたマルチキャストパケットを無線基地局から受信するものであって、自端末を除く複数の無線端末から、マルチキャストパケットの受信に対する応答信号を第1の無線通信方式により無線基地局を介さずに受信する受信手段と、受信手段により受信した応答信号と、自端末における前記マルチキャストパケットの受信に対する応答信号とに基づいて、一括応答信号を生成し、無線基地局に第2の無線通信方式により送信する一括応答手段とをそなえたことを特徴としている。
従って、同一グループに属する他の無線端末からの応答が、一括して無線基地局に応答されるので、無線区間における輻輳が回避される。
ここで、無線基地局は、無線アクセスネットワークに属する各無線端末の無線端末識別情報に基づいて各無線端末をグループ化するように構成されてもよい。
また、無線基地局のグループ化処理部は、次の(i),(ii)に示すように構成することができる。
(i)グループ識別情報に対応付けて1又は複数の無線端末間の例えば主従関係等の相対関係を表す相対関係情報を生成するように構成する。
(ii)グループ識別情報に対応付けてグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てるように構成する。
(i)によれば、例えばマスタ端末が、スレーブ端末からの応答信号を一括し一括応答信号を無線基地局に返送するので、応答信号だけに確保する無線リンク数を削減できる。また、(ii)によれば、無線端末が無線基地局に対して送信する応答信号が、特定期間に集中することが回避される。
そして、無線端末は、無線受信部にて受信された無線マルチキャストパケットを、1又は複数の無線端末に接続され有線ネットワークからのマルチキャストパケットを受信する複数のクライアント端末に転送するとともに、複数のクライアント端末からのパケットを無線送信部に転送するクライアント端末転送部とをそなえて構成することができ、このようにすれば、不要なマルチキャストパケット,ブロードキャストパケット等が無線アクセスネットワークに送信されず、無線アクセスネットワークの負荷が軽減される。
さらに、無線端末は、無線基地局から送信された、複数のクライアント端末間の相対関係を表す相対関係情報を管理する管理部を設け、無線送信部が、管理部にて保持された相対関係情報を、無線端末自身が属するグループ内の他の1又は複数の無線端末に対して送信するように構成することができる。
この管理部は、他の1又は複数の無線端末に対して問い合わせた稼動情報についての応答に応じて他の1又は複数の無線端末の稼働情報を管理するとともに、稼働情報を無線基地局に対して一括して通知するように構成することができ、このようにすれば、各無線端末が占有する無線リンク数を減少させることができる。
そして、本発明の配信方法は、マルチキャストルータが、1又は複数の無線端末に接続され有線ネットワークからのマルチキャストパケットを受信する複数のクライアント端末のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットを無線基地局に転送し、無線基地局が、1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報に基づいてマルチキャストパケットを無線端末に対して送信することを特徴としている。
従って、このようにすれば、無線基地局側の負荷の軽減と、処理遅延の防止とが確実に行なえる。また、無線基地局および無線端末は、ともに、ユニキャスト又はマルチキャスト(ブロードキャスト)を切り替え可能となり、効率的な配信ができる。
従って、このようにすれば、無線アクセスネットワークにおいて、ブロードキャスト/マルチキャスト通信によって無線端末側にデータが配信された後に、無線端末側から無線基地局に対して発生する上り方向の無線アクセスネットワークにおける輻輳発生を抑制でき、無線リソースの有効利用が図れるとともに、無線基地局における処理負荷が軽減できる。
また、本発明の無線基地局は、無線アクセスネットワークに属する各無線端末の無線端末識別番号に基づいて1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報を生成するグループ化処理部と、グループ化処理部にて生成されたグループ識別情報および応答タイミングと、有線ネットワーク側から転送されたパケットに起因する無線パケットとを1又は複数の無線端末に対して送信する無線送信部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、例えばマルチメディアサービスのブロードキャスト/マルチキャスト通信方式においても、無線基地局側からの配信開始、あるいは、無線基地局からの認証解除や暗号化解除のためのキー情報を無線端末に配信したのちに、無線端末から一斉に応答信号を返送する場合においても、有効に輻輳制御ができる。
さらに、本発明の無線端末は、1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報を含む無線パケットを受信する無線受信部と、無線端末識別情報と、グループ識別番号と、応答タイミング値とを関連付けて保持する保持部と、無線受信部にて受信されたグループ識別情報に対応する応答タイミングを、保持部から読み出して決定する応答タイミング決定部と、応答タイミング決定部にて決定された応答タイミングで、応答信号を無線基地局に対して送信する無線送信部とをそなえて構成されたことを特徴としている。
従って、このようにすれば、単なる応答信号を送信するだけの無線リンクが設定されないので、物理的な回線数を節約できる。
また、本発明の無線端末は、複数の無線端末宛てに送信されたマルチキャストパケットを無線基地局から受信するものであって、自端末を除く複数の無線端末から、マルチキャストパケットの受信に対する応答信号を第1の無線通信方式により無線基地局を介さずに受信する受信手段と、受信手段により受信した応答信号と、自端末における前記マルチキャストパケットの受信に対する応答信号とに基づいて、一括応答信号を生成し、無線基地局に第2の無線通信方式により送信する一括応答手段とをそなえたことを特徴としている。
従って、同一グループに属する他の無線端末からの応答が、一括して無線基地局に応答されるので、無線区間における輻輳が回避される。
ここで、無線基地局は、無線アクセスネットワークに属する各無線端末の無線端末識別情報に基づいて各無線端末をグループ化するように構成されてもよい。
また、無線基地局のグループ化処理部は、次の(i),(ii)に示すように構成することができる。
(i)グループ識別情報に対応付けて1又は複数の無線端末間の例えば主従関係等の相対関係を表す相対関係情報を生成するように構成する。
(ii)グループ識別情報に対応付けてグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てるように構成する。
(i)によれば、例えばマスタ端末が、スレーブ端末からの応答信号を一括し一括応答信号を無線基地局に返送するので、応答信号だけに確保する無線リンク数を削減できる。また、(ii)によれば、無線端末が無線基地局に対して送信する応答信号が、特定期間に集中することが回避される。
そして、無線端末は、無線受信部にて受信された無線マルチキャストパケットを、1又は複数の無線端末に接続され有線ネットワークからのマルチキャストパケットを受信する複数のクライアント端末に転送するとともに、複数のクライアント端末からのパケットを無線送信部に転送するクライアント端末転送部とをそなえて構成することができ、このようにすれば、不要なマルチキャストパケット,ブロードキャストパケット等が無線アクセスネットワークに送信されず、無線アクセスネットワークの負荷が軽減される。
さらに、無線端末は、無線基地局から送信された、複数のクライアント端末間の相対関係を表す相対関係情報を管理する管理部を設け、無線送信部が、管理部にて保持された相対関係情報を、無線端末自身が属するグループ内の他の1又は複数の無線端末に対して送信するように構成することができる。
この管理部は、他の1又は複数の無線端末に対して問い合わせた稼動情報についての応答に応じて他の1又は複数の無線端末の稼働情報を管理するとともに、稼働情報を無線基地局に対して一括して通知するように構成することができ、このようにすれば、各無線端末が占有する無線リンク数を減少させることができる。
そして、本発明の配信方法は、マルチキャストルータが、1又は複数の無線端末に接続され有線ネットワークからのマルチキャストパケットを受信する複数のクライアント端末のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットを無線基地局に転送し、無線基地局が、1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報に基づいてマルチキャストパケットを無線端末に対して送信することを特徴としている。
従って、このようにすれば、無線基地局側の負荷の軽減と、処理遅延の防止とが確実に行なえる。また、無線基地局および無線端末は、ともに、ユニキャスト又はマルチキャスト(ブロードキャスト)を切り替え可能となり、効率的な配信ができる。
図1は本発明の第1実施形態に係る配信システムの構成図である。
図2は本発明の第1実施形態に係るブロードキャスト/マルチキャストの各パケットの配信系統を説明するための図である。
図3は本発明の第1実施形態に係るプロトコルスタックを説明するための図である。
図4は本発明の第1実施形態に係るグループ毎の返送タイミングを説明するための図である。
図5は本発明の第1実施形態に係る基地局のブロック図である。
図6は本発明の第1実施形態に係る無線端末管理テーブルの一例を示す図である。
図7は本発明の第1実施形態に係る基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
図8は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末のブロック図である。
図9は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末管理テーブルの一例を示す図である。
図10は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末の下り方向パケットの受信処理を説明するためのフローチャートである。
図11は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末の上り方向パケットの送信処理を説明するためのフローチャートである。
図12は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末のブロック図である。
図13は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末の送受信処理を説明するためのフローチャートである。
図14(a)〜図14(d)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る応答信号の送信タイミングを示す図である。
図15は本発明の第1実施形態に係るマスタ無線端末およびスレーブ無線端末と基地局との間のメッセージ送受信を説明するためのシーケンスを示す図である。
図16は本発明の第2実施形態に係るグループ毎の返送タイミングを説明するための図である。
図17(a)〜図17(d)はそれぞれ本発明の第2実施形態に係る配信パケットおよび応答信号の送受信タイミングチャートを示す図である。
図18は本発明の第2実施形態に係る基地局のブロック図である。
図19(a)は本発明の第2実施形態に係る無線端末管理テーブルの一例を示す図である。
図19(b)は本発明の第2実施形態に係る無線端末管理テーブルの他の一例を示す図である。
図20は本発明の第2実施形態に係る基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
図21は本発明の第2実施形態に係る無線端末のブロック図である。
図22は本発明の第2実施形態に係る返送タイマ値管理テーブルの一例を示す図である。
図23は本発明の第2実施形態に係る無線端末の動作を説明するためのフローチャートである。
図24は本発明の第2実施形態に係る無線端末および基地局間のメッセージ送受信を説明するためのシーケンスを示す図である。
図25はマルチキャストルータのマルチキャストグループ管理テーブルの一例を示す図である。
図26(a)はIPv6パケットのヘッダの一例を示す図である。
図26(b)はマルチキャストパケットのアドレス形式の一例を示す図である。
図27(a)はグループメンバーシップ調査要求に対して応答信号が一斉返送されるシーケンスを示す図である。
図27(b)は信頼性マルチキャスト信頼性に対して応答信号が一斉返送されるシーケンスを示す図である。
図2は本発明の第1実施形態に係るブロードキャスト/マルチキャストの各パケットの配信系統を説明するための図である。
図3は本発明の第1実施形態に係るプロトコルスタックを説明するための図である。
図4は本発明の第1実施形態に係るグループ毎の返送タイミングを説明するための図である。
図5は本発明の第1実施形態に係る基地局のブロック図である。
図6は本発明の第1実施形態に係る無線端末管理テーブルの一例を示す図である。
図7は本発明の第1実施形態に係る基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
図8は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末のブロック図である。
図9は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末管理テーブルの一例を示す図である。
図10は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末の下り方向パケットの受信処理を説明するためのフローチャートである。
図11は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末の上り方向パケットの送信処理を説明するためのフローチャートである。
図12は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末のブロック図である。
図13は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末の送受信処理を説明するためのフローチャートである。
図14(a)〜図14(d)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る応答信号の送信タイミングを示す図である。
図15は本発明の第1実施形態に係るマスタ無線端末およびスレーブ無線端末と基地局との間のメッセージ送受信を説明するためのシーケンスを示す図である。
図16は本発明の第2実施形態に係るグループ毎の返送タイミングを説明するための図である。
図17(a)〜図17(d)はそれぞれ本発明の第2実施形態に係る配信パケットおよび応答信号の送受信タイミングチャートを示す図である。
図18は本発明の第2実施形態に係る基地局のブロック図である。
図19(a)は本発明の第2実施形態に係る無線端末管理テーブルの一例を示す図である。
図19(b)は本発明の第2実施形態に係る無線端末管理テーブルの他の一例を示す図である。
図20は本発明の第2実施形態に係る基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
図21は本発明の第2実施形態に係る無線端末のブロック図である。
図22は本発明の第2実施形態に係る返送タイマ値管理テーブルの一例を示す図である。
図23は本発明の第2実施形態に係る無線端末の動作を説明するためのフローチャートである。
図24は本発明の第2実施形態に係る無線端末および基地局間のメッセージ送受信を説明するためのシーケンスを示す図である。
図25はマルチキャストルータのマルチキャストグループ管理テーブルの一例を示す図である。
図26(a)はIPv6パケットのヘッダの一例を示す図である。
図26(b)はマルチキャストパケットのアドレス形式の一例を示す図である。
図27(a)はグループメンバーシップ調査要求に対して応答信号が一斉返送されるシーケンスを示す図である。
図27(b)は信頼性マルチキャスト信頼性に対して応答信号が一斉返送されるシーケンスを示す図である。
(A)本発明の第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態に係る配信システム100の構成図である。この図1に示す配信システム100は、N(Nは自然数を表し例えば30)台の無線端末40(又は41)を有する無線アクセスネットワーク(無線ネットワーク)101と、30台の無線端末40との間において、無線アクセスネットワーク101を介してパケットを送受信するコアネットワーク(有線ネットワーク)102とをそなえたものである。
この配信システム100は、加入者電話サービスの提供と、ウェブキャスト(例えばインターネット放送)とを行なうものであって、コアネットワーク102に設けられた配信サーバが、インターネットを介して静止画像,動画像又は音声等のデータをパケット化し、連続的なデータの流れ(ストリーム)として複数のユーザに対して配信するものである。
(1)無線アクセスネットワーク101の構成
無線アクセスネットワーク101は、基地局22と30台の無線端末40とによって構成されており、また、コアネットワーク102に設けられたルータを介して外部のIPネットワーク104に接続されている。なお、無線端末42は第2実施形態において後述する。
(1−1)クライアント端末21
30台のクライアント端末21は、それぞれ、30台の無線端末40に接続されコアネットワーク102からのマルチキャストパケットを受信するものであって、例えばユーザのパソコンである。各クライアント端末21は、多様なストリームのうちの所望のストリームを選択的に受信する。すなわち、マルチキャストサーバ11と30台のクライアント端末21とが1対N(1対多)の関係になっている。
なお、各クライアント端末21は、無線アクセスネットワーク101を除けば、コアネットワーク102側と直接接続されるノードに相当し、独立したサーバとしても機能する。従って、「独立したサーバ」である点において「ホストサーバ」と称することができる。クライアント端末21と無線端末40とを含めて無線端末と称することもできる。
(1−2)基地局22
本発明の基地局22は、各無線端末40をグループ化しグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てし30台の無線端末40およびコアネットワーク102側と通信するものである。
この基地局22は、マルチキャストパケットの配信に当たり、各無線端末40の識別番号(無線端末識別情報)に基づいて、例えば30台の無線端末40(以下、無線端末#1〜#30と表記することがある。)について、無線端末#1〜#10をグループ1,無線端末#11〜#20をグループ2,無線端末#21〜#30をグループ3等にグループ化し、各グループ1〜3を代表する1台の無線端末(代表端末又は後述するマスタ端末)を割り当てるようにしている。基地局22は、グループ1に属する無線端末#1〜#10に対してマルチキャストパケットを送信後、そのグループ1の代表端末#1から、他の無線端末#2〜#10からの応答を含めた応答メッセージを受信する。
(1−3)無線端末40(41)
各無線端末40,41は無線パケットを送受信するものであって、例えば携帯電話機である。また、各無線端末40は、マルチキャストパケットの受信に対して応答するときに、基地局22を介さずに直接端末間通信できるようになっている。各無線端末40は、セル内におり、基地局22の通信圏内にいる。このため、セル内の無線端末40の台数は、基地局22および無線端末40間において設定可能な無線リンク数と、基地局22の通信処理能力とに基づいて決定され、30台に制約されるものではない。
ここで、30台の無線端末40は、基地局22において、グループ1〜3にグループ化され、グループ毎に1台の代表端末が選択され、また、代表端末は基地局22からの信号によって指定される。例えばグループ1について、10台の無線端末#1〜#10のうちの無線端末#1が、グループ1に属する他の無線端末#2〜#10を代表する端末として割り当てられ、また、残りの無線端末#2〜#10はその無線端末#1に従属するものとして割り当てられるのである。以下の説明においては、この代表端末をマスタ端末(マスタとなる無線端末,マスタ)と称し、また、マスタ端末に従属する無線端末40をスレーブ端末(スレーブとなる無線端末,スレーブ)と称する。
マスタ端末はスレーブ端末が行なう処理又は動作を制御又は管理するが、スレーブ端末はマスタ端末を直接的に制御又は管理することができず、マスタ端末とスレーブ端末との相対関係が主従関係になっている。
ここで、マスタ端末の主な機能は、(i)基地局22から下り方向の全無線端末40宛に配信されるマルチキャストパケット(マルチキャストデータ)又は確認要求に対して、上り方向の基地局22に対して他の無線端末#2〜#10からの応答を含めた応答信号を返送することと、(ii)グループ内のスレーブ端末と通信(端末間通信)することとの2種類である。
一方、スレーブ端末の機能は、配信されたマルチキャストパケットについての応答をマスタ端末に送信することである。
また、端末−基地局間通信(同一グループの全無線端末40と基地局22との通信)がW−CDMA(Wideband−Code Division Multiplexing Access)方式を用いており、かつ端末間通信(同一グループのマスタ端末とスレーブ端末との通信)が周波数ホッピング等を用いる場合、周波数帯域は、各通信が相互に干渉しないように割り当てられる。すなわち、異なる通信方式が採用されている。
本発明のマスタ端末(無線端末)は、例えば40台の無線端末40,41宛てに送信されたマルチキャストパケットを基地局22から受信するものであり、自端末を除く40台の無線端末40,41から、マルチキャストパケットの受信に対する応答信号をW−CDMA方式(第1の無線通信方式)により基地局22を介さずに受信する受信手段と、この受信手段により受信した応答信号と、自端末における前記マルチキャストパケットの受信に対する応答信号とに基づいて一括応答信号を生成し、基地局22に対して周波数ホッピング等(第2の無線通信方式)により送信する一括応答手段とをそなえている(後述する図8等参照)。従って、同一グループに属する他のスレーブ端末からの複数の応答は、マスタ端末において束ねられ、その束ねられた応答が一括して基地局22に対して応答されるので、無線区間における輻輳が回避される。
(1−4)無線アクセス方式
無線アクセスネットワーク101のアクセス方式は、例えばCDMA(Code Division Multiplexing Access)が用いられ(本実施形態においてはCDMAとする。)、基地局22は、各グループを構成する無線端末数を基地局22が許容できるコード多重度数以内にする。第1実施形態においては、各無線端末41が送信する応答信号の数を削減することにより、輻輳が回避されるようになっている。さらに、無線アクセスネットワークにおける無線アクセス方式は、FDMA(Frequency Division Multiplexing Access)およびTDMA(Time Division Multiplexing Access)方式を用いることができる。ここで、TDMA方式を用いる場合は、無線端末40がパケットを送信する送信スロット(基地局22から見て受信スロット)の数が、マスタ端末の数よりも多い場合に、全無線端末40がアクセスできる。
また、無線アクセスネットワーク101の変復調方式は、無線端末40および基地局22間は符号拡散変調(拡散変調),符号拡散復調(逆拡散復調)が用いられ、また、無線端末41間は周波数ホッピング等が用いられている。
なお、これらの変復調方式およびアクセス方式は、ともに、システム仕様の変更等により変更される。また、後述する第2実施形態においても、これらの変復調方式およびアクセス方式を用いることができる。
そして、ブロードキャストによってセル内の全ての無線端末40は、基地局22からのブロードキャストパケット(ブロードキャストデータ)を受信し、また、マルチキャストによってプロバイダと契約又は登録された無線端末40のみが、セル内においてマルチキャストパケット(マルチキャストデータ)を受信する。
なお、ブロードキャストパケットは、マルチキャストパケットとほぼ同一処理されるものなので、以下、特に断らない限り、マルチキャストパケットについて説明しブロードキャストパケットについての重複説明を省略する。
(2)コアネットワーク102
次に、コアネットワーク102は、ルータ103と、IPネットワーク104と、マルチキャストルータ10と、マルチキャストサーバ11とをそなえて構成されている。ルータ103は、パケットを転送するものであって、無線アクセスネットワーク101側がコアネットワーク102にアクセスするためのファイアウォールとして機能している。IPネットワーク104は、以下に述べるマルチキャストサーバ11からのマルチキャストパケットを転送するものであり、例えばインターネット又はパケットをカプセル化して転送するネットワークである。
(2−1)マルチキャストルータ10
また、マルチキャストルータ10は、30台のクライアント端末21のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末21をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットを基地局22側に転送するものである。このマルチキャストグループ情報は、マルチキャスト対象のクライアント端末21を表すメンバーシップ情報と、マルチキャストサーバ11とクライアント端末21との配信ルートを表すマルチキャストツリーとを対応付けたものである。
マルチキャストルータ10は、受信パケットのアドレスに基づいて受信パケットを転送する転送部と、30台のクライアント端末21のうちのマルチキャストパケットの送信先となる1又は複数のクライアント端末21の情報およびその1又は複数のクライアント端末21の情報を識別するマルチキャストグループID(Identification)(マルチキャストグループ識別情報)とを対応付けて保持するマルチキャストグループ管理テーブルとをそなえて構成されている。
図25はマルチキャストルータ10のマルチキャストグループ管理テーブルの一例を示す図である。この図25に示すマルチキャストグループ管理テーブルの「グループ1」がマルチキャストグループ識別情報であり、また、この「グループ1」に対応付けられた「#1〜#N」が、1又は複数のクライアント端末21の情報である。
そして、マルチキャストルータ10は、無線アクセスネットワーク101の30台の無線端末を介して30台のクライアント端末21に対して、メンバー確認(メンバー確認メッセージ)を送信し、このメンバー確認に対する応答を受信することにより、30台のクライアント端末21の有無又は30台のクライアント端末21の稼働又は非稼働を知る。また、マルチキャストルータ10は、逐次、各クライアント端末21とのメッセージ交換によって、保持データを更新する。これにより、ブロードキャスト/マルチキャストメンバーシップ情報を管理している。
従って、不要なマルチキャストパケット,ブロードキャストパケット等が無線アクセスネットワーク101に送信されず、無線アクセスネットワーク101の負荷が軽減される。
さらに、マルチキャストルータ10は、無線アクセスネットワーク101配下のクライアント端末21に加えて、マルチキャストツリーに対応するIPネットワーク104における配下のマルチキャストグループのメンバーとなるクライアント端末21について、ブロードキャスト/マルチキャストの各メンバーシップ情報をも管理している。
(2−2)マルチキャストサーバ11
さらに、マルチキャストサーバ11は、マルチキャストルータ10のマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットをマルチキャストルータ10に転送するものである。
(3)本発明の配信方法
図2は本発明の第1実施形態に係るブロードキャスト/マルチキャストの各パケットの配信系統を説明するための図であり、この図2に示すマルチキャストサーバ11が、マルチキャストパケットを、マルチキャストルータ10に転送するようになっている。なお、図2に示すもので上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものを表す。
本発明の配信方法は、30台の無線端末40を有する無線アクセスネットワーク101と、30台の無線端末40とパケットを送受信するコアネットワーク102とをそなえた配信システム100におけるものである。
マルチキャストルータ10が、30台の無線端末40に接続されコアネットワーク102からのマルチキャストパケットを受信する30台のクライアント端末21のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末21をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットを無線基地局22に転送する。
そして、基地局22が1又は複数の無線端末40をグループ化したグループ識別情報に基づいてマルチキャストパケットを無線端末40に対して送信するのである。
ここで、マルチキャストルータ10の転送は、マルチキャストグループのメンバーシップ情報と、マルチキャストツリー情報とを参照しており、また、基地局22は、無線区間の物理的なインタフェース処理と無線リンク制御とを行なっている。
(4)配信システム100のプロトコルスタック
次に、図3を参照して、配信システム100のプロトコルスタックについて詳述する。
図3は本発明の第1実施形態に係る配信システム100のプロトコルスタックを説明するための図である。この図3に示すクライアント端末21は、上位プロトコル処理部21a,IPプロトコル処理部21b,MAC(Media Access Control)およびLLC(Link Layer Control)制御部(以下、MAC/LLC制御部と表示する。)21c,有線物理レイヤ処理部21dをそなえて構成されている。
この上位プロトコル処理部21aおよびIPプロトコル処理部21bは、それぞれ、クライアント端末21とマルチキャストルータ10との通信リンク(通信セッション)の開放又は接続についての管理等およびIPレイヤにおける開放又は接続等のリンク管理等を行なうものである。この機能は例えばソフトウェアアプリケーション等によって発揮される。また、リンク管理の一例は、上位プロトコル処理部21aおよびIPプロトコル処理部21bが、メモリ(図示省略)に、複数の通信リンクの識別番号と、クライアント端末21およびマルチキャストルータ10間において用いられるローカルIPアドレス(プライベートIPアドレス)とを対応付けて保持するのである。
次に、MAC/LLC制御部21cは、クライアント端末21および無線端末40間におけるパケットの再送制御等を行なうものであり、また、有線物理レイヤ処理部21dは、クライアント端末21および無線端末40間の物理(PHYsical)レイヤデータを処理するものである。従って、クライアント端末21および無線端末40間は、IPプロトコルが用いられずに、下位プロトコルが適用されている。
さらに、無線端末40は、クライアント端末21からのフレームに含まれるMACアドレスとMACアドレステーブル(図示省略)とに基づいてそのフレームの転送又は廃棄を行なうブリッジ処理部20aと、クライアント端末21のMAC/LLC制御部21cおよび有線物理レイヤ処理部21dとの間における下位プロトコル処理を行なうMAC/LLC制御部20bおよび有線物理レイヤ処理部20cと、基地局22との無線リンクを制御する無線リンク制御部20dと、基地局22および無線端末40間の無線インタフェースに基づく処理を行なう無線物理レイヤ処理部20eとをそなえて構成されている。
また、基地局22は、受信データについて、無線端末40からのパケットに含まれるMACアドレスとMACアドレステーブル(図示省略)とに基づいてその受信パケットの転送又は廃棄を行なうブリッジ処理部22aと、無線端末40の無線リンク制御部20d,無線物理レイヤ処理部20eとの間における無線リンク制御,無線物理レイヤ処理を行なう無線リンク制御部22d,無線物理レイヤ処理部22eと、マルチキャストルータ10との間における下位レイヤ処理を行なうMAC/LLC制御部22b,有線物理レイヤ処理部22cとをそなえて構成されている。
そして、マルチキャストルータ10は、クライアント端末21および無線端末40のメンバーを管理するマルチキャスト制御部10aと、IPレベルにおける開放又は接続等のリンク管理等を行なうIPプロトコル処理部10bと、基地局22のMAC/LLC制御部22b,有線物理レイヤ処理部22cとの間における下位レイヤ処理を行なうMAC/LLC制御部10c,有線物理レイヤ処理部10dとをそなえて構成されている。
さらに、マルチキャストサーバ11は、クライアント端末21とマルチキャストルータ10との通信リンクの開放又は接続についての管理等およびIPレベルにおける開放又は接続等のリンク管理等を行なう上位プロトコル処理部11a,IPプロトコル処理部11bと、マルチキャストルータ10のMAC/LLC制御部10c,有線物理レイヤ処理部10dとの間における下位レイヤ処理を行なうMAC/LLC制御部11c,有線物理レイヤ処理部11dとをそなえて構成されている。
これにより、マルチキャストサーバ11およびクライアント端末21間におけるリンクの設定に当たり、マルチキャストルータ10は、そのクライアント端末21にローカルIPアドレスを割り当てて、IPネットワーク104からのパケットに含まれるグローバルIPアドレスをローカルIPアドレスに変換し、パケットを基地局22に転送する。一方、マルチキャストルータ10は、基地局22からのパケットを受信すると、ローカルIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する。
このように、マルチキャストパケット(マルチキャストデータ)の通信リンクは、クライアント端末21のIPプロトコル処理部21bとマルチキャストルータ10のIPプロトコル処理部10bとの間において相互に設定される。
図3において、基地局22と無線端末40との各ブリッジ処理部20a,22aは、いずれも、受信データについてIPプロトコル処理等の上位プロトコルにおける終端処理を行なわずに下位プロトコル処理のみを実施している。
図26(a)はIPv6(Internet Protocol Version 6 Protocol)パケットのヘッダの一例を示す図である。この図26(a)に示すIPv6パケットは、多くのIPアドレスを確保するためのものである。具体的には、両ブリッジ処理部20a,22aは、受信パケットからヘッダのみを抽出し、そのヘッダから、送信元アドレスおよび送信先アドレス(宛先アドレス)のみを抽出する。そして、マルチキャストルータ10又はクライアント端末21において呼が発生すると、両ブリッジ処理部20a,22aは、抽出したアドレスを参照することにより、一対一のユニキャスト通信又はマルチキャスト通信を判別する。
また、図26(b)はマルチキャストパケットのアドレス形式の一例を示す図であり、基地局22は、この図26(b)に示すフォーマットによって、ユニキャスト又はマルチキャスト(ブロードキャスト)を切り替え可能となり、効率的な配信ができる。一方、無線端末40も、基地局22と同様に、返送タイミングの調整有無をアドレス抽出によって切り替え可能になっている。
また、IPマルチキャスト通信が発生した場合、図26(a)に示すIPヘッダ上の宛先アドレスは、図26(b)に示す形式に沿った「マルチキャストアドレス」となる。
(5)マルチキャストパケットの配信と応答
図4は本発明の第1実施形態に係るグループ毎の返送タイミングを説明するための図である。この図4に示すグループA,B,Cは、いずれも、3台の無線端末#1〜#3を有し、マスタ(Master)端末として機能するものは、グループAの無線端末#2とグループBの無線端末#2とグループCの無線端末#1とである。一方、スレーブ(Slave)端末として機能するものは、グループAの無線端末#1,#3と、グループBの無線端末#1,#3と、グループCの無線端末#1,#2とである。なお、図4に示す割り当ておよび台数は、いずれも、一例であり、また、図4に示すもので上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものを表す。
ここで、マルチキャスト応答に用いられる周波数については、各グループA,B,Cのマスタ端末#2,#2,#1が基地局22と通信するための周波数帯は同一(例えばf1)であり、また、グループA,B,Cにおいて、スレーブ端末とマスタ端末との端末間通信に用いられる周波数帯はf2である。グループA,B,Cは、周波数帯f2において、周波数ホッピングパターンを異ならせることにより、それぞれ、別個に通信できる。また、周波数帯をグループA,B,C間で別個のものとしてもよい。
さらに、基地局22は、グループA,B,Cに属する9台の全無線端末#1〜#3に対して、グループA,B,C(グループ識別情報)と、各グループA,B,Cにおいてマスタ又はスレーブであることを示すマスタ/スレーブ関係(マスタ又はスレーブ関係)とを通知する。
これにより、グループAにおいて、マスタ端末#2とスレーブ端末#1,#3とはともに基地局22から直接マルチキャストデータを受信する。そして、スレーブ端末#1,#3はともにマスタ端末#2に対して応答信号を送信し、マスタ端末#2が、スレーブ端末#1,#3の応答と自端末の応答とを一括して基地局22に対して応答する。グループB,CについてもグループAと同一である。
(6)基地局22
次に、図5〜図7を参照して、基地局22について詳述する。
(6−1)基地局22の構成
図5は本発明の第1実施形態に係る基地局22のブロック図である。この図5に示す基地局22は、パケット受信部19と、RLP(Radio Link Protocol:無線リンク制御プロトコル)フレーム処理部24と、無線フレーム処理部25と、無線送信部26と、アンテナ50と、グループ化処理部27とをそなえて構成されている。ここで、パケット受信部19は、マルチキャストルータ10側からのパケットを受信処理するものである。
また、RLPフレーム処理部24は、グループ化処理部27からのパケットにグループ識別信号とマスタスレーブ識別信号とを挿入するとともに、3GPPにて規定される下位プロトコル処理を行なうものである。下位プロトコル処理の一例は、無線リンク制御プロトコルに基づく誤り訂正用ビットの挿入、無線区間におけるパケットの再送制御用のカウンタ,タイマ値等のフレーム書き込み等である。具体的には、カウンタは、無線端末40に対して送信するフレーム総数,送信済みのフレーム数と、無線端末40から受信するフレーム総数,受信済みのフレーム数とをカウントする。すなわち、基地局22が、例えば1000個程度の多数のパケットを無線端末40に対して配信する場合に、RLPフレーム処理部24は、「1000個のパケットのうちの何個のパケットが受信されたか」を表す情報、又は「何番目のパケットを受信できていないので、その受信できなかったパケットの再送要求」等のメッセージを無線端末40と送受信する。
そして、無線フレーム処理部25は、RLPフレーム処理部24において書き込み又は挿入されたフレームについて、移動管理機能を有するIPv6フォーマット処理するものである。
さらに、無線送信部26は、グループ識別情報およびマスタスレーブ識別信号を含む無線フレームについて、変調,アップコンバートおよび帯域フィルタリング等を行なった無線パケットを30台の無線端末40に対して送信するものである。また、アンテナ50は、無線送信部26からの無線パケットを送信するものである。
そして、グループ化処理部27は、無線アクセスネットワーク101に属する各無線端末#1〜#3の無線端末識別番号に基づいて各無線端末#1〜#3をグループ化したグループ識別情報を生成するものであって、受信バッファ23aと、IPヘッダ検出部(IPヘッダ検出部)23bと、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cと、マスタ/スレーブ識別信号/グループ識別信号(マスタ/スレーブ識別信号およびグループ識別信号)生成部27aと、無線端末管理テーブル27bとをそなえて構成されている。
ここで、受信バッファ23aは、パケット受信部19にて受信されたパケットを保持するものであり、IPヘッダ検出部23bはこの受信バッファ23aに保持されたパケットからIPヘッダを抽出するものであり、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cはIPヘッダ検出部23bにて抽出されたヘッダから送信先IPアドレスを含むフィールド(送信先IPアドレスフィールド)を抽出するものである。
さらに、無線端末管理テーブル27bは、無線端末識別番号と、マルチキャストグループID(Identification)と、グループ識別信号と、マスタ/スレーブ識別信号とを関連付けて保持するものである。
(6−2)無線端末管理テーブル27b
図6は本発明の第1実施形態に係る無線端末管理テーブル27bの一例を示す図であり、この図6に示す無線端末管理テーブル27bのマルチキャストグループIDは、マルチキャストルータ10に保持されたマルチキャストグループ情報に基づいて得られる。グループ識別番号は、マルチキャストグループIDについて、さらに細分化したものであって基地局22が割り当てるものである。また、無線端末識別番号は基地局22がセル内の無線端末40とメッセージを交換することにより得られる。そして、マスタ端末は無線端末識別番号によりグループ化された無線端末40のうちの基地局22に最も近い無線端末40を保持している。この理由は、マスタ端末は、グループに属する他の全スレーブ端末を代表するので、セルが基地局22を中心に形成される以上、基地局22と確実に通信でき、かつ他のスレーブ端末からの応答信号を受信できる位置にいる必要があるからである。
また、マルチキャストグループID(第1のグループ識別情報)とグループ識別番号(第2のグループ識別情報)とは、いずれも、30台の無線端末40を階層的に細分化するためのものとして割り当てられている。この細分化は、無線端末40の上位アプリケーションソフトウェアが、セル内の無線端末40の台数を監視することにより行なわれ、無線端末40の台数の増加に伴う無線アクセスネットワーク101の負荷を軽減するために行なわれる。
具体的には、グループ識別番号のみを用いて無線端末40を管理すると、無線端末40の数が増加するにしたがい、グループ数が増大し、各グループの無線端末40の返送タイミングが重複する。従って、無線端末40の上位アプリケーションが、予め、第2のグループ識別情報(マルチキャストグループID)および必要に応じて第3のグループ識別情報を生成するようになっている。
これにより、グループ識別番号Aは無線端末#1〜#10を識別し、また、グループ識別番号B〜Eは、それぞれ、無線端末#11〜#20に対応付けられて保持されている。従って、基地局22は、無線アクセスネットワーク101に属する各無線端末40の無線端末識別番号に基づいて各無線端末40をグループ化するようになっている。
これにより、図5に示す基地局22において、パケット受信部19が、上位のマルチキャストサーバ11又はマルチキャストルータ10からマルチキャストパケットを受信すると、グループ化処理部28は、無線端末識別番号を読み出して無線端末管理テーブル27bを参照し、グループ識別番号とマスタ/スレーブ識別信号とをRLPフレームに挿入し、そして、無線送信部26が、無線パケットを無線端末40に対して送信する。これにより、各無線端末40は、各無線端末40自身が、マスタ端末又はスレーブ端末(以下、マスタ/スレーブと表記する。)であることを識別する。
(6−3)基地局22の処理フロー
基地局22の処理フローについて図7を参照して詳述する。
図7は本発明の第1実施形態に係る基地局22の動作を説明するためのフローチャートである。パケット受信部19が上位側のマルチキャストルータ10からのパケットを受信すると(ステップC1)、IPヘッダ検出部23bは、受信パケットからIPヘッダを抽出し(ステップC2)、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cは、抽出されたIPヘッダから送信先IPアドレスフィールドを抽出し(ステップC3)、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスであるか否かを判定する(ステップC4)。
ここで、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスである場合、Yルートを通り、マスタスレーブ識別信号/グループ識別信号生成部27aは、無線端末管理テーブル27bに保持された無線端末識別番号を読み出して(ステップC5)、マスタ/スレーブ識別信号を生成し(ステップC7)、グループ識別信号を生成する(ステップC6)。そして、RLPフレーム処理部24は、生成されたグループ識別番号とマスタ/スレーブ識別信号と再送制御用カウンタ等とをそれぞれフレームに挿入してRLPフレームを生成する(ステップC8)。続いて、無線フレーム処理部25は、グループ識別番号およびマスタスレーブ識別信号等を含むRLPフレームを無線フレームに変換し(ステップC9)、無線送信部26は、変換された無線パケットをアンテナ50から無線端末40に送信する(ステップC10)。
なお、ステップC4において、送信先IPアドレスが、ブロードキャストアドレスの場合は、マルチキャストと同様にステップC5〜ステップC10の各処理を行なう。一方、送信先IPアドレスがマルチキャストアドレス又はブロードキャストアドレスでない場合は、Nルートを通り、ステップC8以降の通常のパケット処理が行なわれる。
このように、本発明の基地局22によれば、受信パケットがマルチキャストパケットであるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、処理を切り替えるので、基地局22における処理負荷が軽減され、無線リソースの有効利用が図れる。
次に、図8を参照して、マスタ端末について詳述する。なお、図8に示すもので上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものを表す。
(7)マスタ端末
(7−1)マスタ端末の構成
図8は本発明の第1実施形態に係る無線端末40(マスタ端末)のブロック図である。この図8に示す無線端末40は、(i)アンテナ51,共用器52からなる受信前段部と、(ii)無線受信部30a,無線フレーム処理部(第1無線フレーム処理部)30b,RLPフレーム処理部(第1RLPフレーム処理部)30c,受信バッファ32からなる受信処理部と、(iii)RLPフレーム処理部(第2RLPフレーム処理部)30d,無線フレーム処理部(第2無線フレーム処理部)30e,無線送信部30fからなる送信処理部と、(iv)マスタ端末としての処理を行なうマスタ端末管理部33とをそなえて構成されている。
(i)ここで、アンテナ51は、無線パケットを送受信するものであり、共用器52は受信パケットと送信パケットとを分離するものである。
(ii)また、無線受信部30aは、無線信号の周波数変換(ダウンコンバート)と復調とを行ないベースバンド信号を出力するものであり、第1無線フレーム処理部30bは、無線受信部30aにて復調されたベースバンド信号の先頭位置等のフレーム範囲を検出し、ベースバンド信号に含まれる余剰ビット等を除去するものである。
そして、第1RLPフレーム処理部30cは、第1無線フレーム処理部30bにて処理されたフレームから配信データを出力するものである。また、第1RLPフレーム処理部30cは、無線パケットの誤り訂正用ビットの除去およびパケットの再送制御等を行なう。なお、再送制御は、基地局22から受信するフレーム総数,受信済みのフレーム数と、基地局22に対して送信するフレーム総数,送信済みのフレーム数とをカウントする。
受信バッファ32は、第1RLPフレーム処理部30cからのデータを保持するものである。すなわち、受信バッファ32は、受信した各無線パケットに含まれる誤り訂正用ビットとパケットの再送制御用ビットとのそれぞれが除去されたデータを保持する。
(iii)さらに、第2RLPフレーム処理部30dは、クライアント端末からのデータと、マスタ端末管理部33からスレーブ端末に対する問い合わせ要求信号データとについてRLPフレーム処理するものであり、第2無線フレーム処理部30eは、RLPフレーム処理されたパケットについて配信システム100の仕様に基づくフォーマット処理を行なうものであり、そして、無線送信部30fはフォーマット処理されたパケットを無線送信するものである。
(iv)そして、マスタ端末管理部33は、グループ識別信号抽出部33aと、マスタ/スレーブ識別信号抽出部33bと、スレーブ端末応答信号抽出部33cと、マスタ端末制御部33dと、スレーブ端末管理テーブル33eと、スレーブ端末問い合わせ要求信号生成部33fと、送信バッファ31gとをそなえて構成されている。
ここで、グループ識別信号抽出部33aは、第1RLPフレーム処理部30cにてRLPフレーム処理されたパケットからグループ識別信号を抽出し、抽出したグループ識別信号を、マスタ端末制御部33dに入力するものである。
マスタ/スレーブ識別信号抽出部33bは、第1RLPフレーム処理部30cにてRLPフレーム処理されたパケットから、マスタ/スレーブ識別信号を抽出し、抽出したマスタ/スレーブ識別信号をマスタ端末制御部33dに対して入力するものである。
そして、スレーブ端末応答信号抽出部33cは、無線端末40自身がスレーブ端末に対して送信した確認要求に対し、そのスレーブ端末が送信した応答信号を抽出するものであって、受信バッファ32に保持された多数の保持領域の中からスレーブ端末からの応答信号データを抽出するのである。
さらに、マスタ端末制御部33dは、(i)スレーブ端末から送信される各種のメッセージ(グループ識別信号,マスタ/スレーブ識別信号およびスレーブ端末からの応答信号)の受信処理と、(ii)自端末を含めて複数のスレーブ端末からの応答信号を一括した一括応答信号の送信処理と、(iii)複数のスレーブ端末に対する問い合わせ要求信号の生成処理とのそれぞれを行なうものである。
また、送信バッファ31gは、マスタ端末制御部33dからの一括応答信号データと、ホストサーバ21側からの信号データとを保持するものである。
(7−2)本発明のマスタ端末
上記の無線受信部30aは、自端末を除く40台の無線端末40,41から、マルチキャストパケットの受信に対する応答信号をW−CDMA方式(第1の無線通信方式)により基地局22を介さずに受信する受信手段として機能している。
さらに、マスタ端末管理部33は、受信手段(無線受信部30a)により受信した応答信号と、自端末における前記マルチキャストパケットの受信に対する応答信号とに基づいて一括応答信号を生成し、基地局22に対して周波数ホッピング等(第2の無線通信方式)により送信する一括応答手段として機能している。
(7−3)スレーブ端末管理
また、図9は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末管理テーブル33eの一例を示す図である。この図9に示すスレーブ端末管理テーブル33eは、マルチキャストグループID「1」と、グループ識別番号「グループA」と、スレーブ端末識別番号「#2」,「#3」,「#4」とをそれぞれ関連付けて保持するものである。ここで、マルチキャストグループIDはマルチキャストサーバ11が配信するマルチキャストデータを識別するものであり、グループ識別番号は、このマルチキャストグループIDについて基地局22が割り当てた無線リンクを識別するものであり、また、マルチキャストグループIDおよびグループ識別番号は、ともに、マスタ端末#1が、基地局22との間におけるメッセージ交換によって得られる。
そして、スレーブ端末識別番号はマスタ端末の配下のスレーブ端末を表し、マスタ端末管理部33のスレーブ端末問い合わせ要求信号生成部33fが、各スレーブ端末#2,#3に対して、問い合わせ要求信号を順次通知し、各スレーブ端末#2,#3からの応答信号に含まれるスレーブ端末識別番号を抽出することにより得られる。なお、マスタ端末は、この問い合わせ要求/応答によってグループ内のスレーブ端末の稼動台数を把握するようにもなっている。マスタ端末#1は、このスレーブ端末識別信号を、スレーブ端末管理テーブル33eに書き込み、逐次、更新される。
さらに、他のスレーブ端末#1,#3は、いずれも、マスタ端末#1との端末間通信によって、マスタ/スレーブ識別信号を共有している。
これにより、スレーブ端末#1,#3は、マルチキャストサーバ11からのマルチキャストパケットを受信すると、その応答を直接的に基地局22に返送せずに、マスタ端末#2に対して送信する。また、マスタ端末#2は、受信した応答信号を、送信バッファ31gに保持し、その保持した応答信号を所定タイミングで読み出して、自端末を含めた一括した一括応答信号を基地局22に対して返送するのである。
このように、グループAに属する3台の無線端末#1〜#3のうちの無線端末#2だけが、応答信号を送信するので、無線端末#1,#3が「応答」を返送するためだけに確保する無線リンク数を減少できる。特に、一グループに属する無線端末40の台数が多い場合は、顕著な効果を得ることができ、各無線端末40が占有する無線リンク数を減少させることができる。
さらに、他のグループB,Cに属する無線端末40についても、グループAに属する無線端末#1と同様に、マスタ端末のみが基地局22に対して応答信号を送信し、スレーブ端末は応答信号をマスタ端末に送信し、マスタ端末がその応答信号をー括して基地局22に送信する。
(7−4)マスタ端末の処理フロー
次に、マスタ端末が基地局22からデータを受信したときの処理と、マスタ端末がスレーブ端末からデータを受信したときの処理との各処理フローについてそれぞれ図10,図11を参照して詳述する。
図10は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末の下り方向パケットの受信処理を説明するためのフローチャートである。マスタ端末の無線受信部30aは基地局22からのパケットデータを受信すると(ステップD1)、グループ識別信号抽出部33aは、受信データからグループ識別信号を抽出し(ステップD2)、また、受信データからマスタ/スレーブ識別信号を抽出し(ステップD3)、抽出したマスタ/スレーブ識別信号がマスタ又はスレーブの種別を判定する(ステップD4)。そして、マスタ/スレーブ識別信号が「スレーブ」の場合は、「スレーブ」と付したルートを通り、制御がスレーブ端末に移動する(Bと付した処理ステップD5)。
一方、各マスタ/スレーブ識別信号がマスタの場合は、「マスタ」と付したルートを通り、スレーブ端末問い合わせ要求信号生成部33fは、各スレーブ端末への問い合わせ要求信号を生成する(ステップD6)。そして、マスタ端末のRLPフレーム処理部30dは、RLPフレームを生成し(ステップD7)、無線フレーム処理部30eは、無線フレームを生成し(ステップD8)、そして、無線送信部30fは、スレーブ端末に対してパケットデータを送信する(ステップD9)。
このように、本発明のマスタ端末によれば、マルチキャストサーバからのパケットに含まれるマスタ/スレーブ識別信号に基づいて処理を切り替えるので、処理負荷が軽減され、無線リソースの有効利用が図れる。
次に、図11は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末の上り方向パケットの送信処理を説明するためのフローチャートである。マスタ端末の無線受信部30aはスレーブ端末からのパケットデータを受信すると(ステップE1)、グループ識別信号抽出部33aは、受信データからグループ識別信号を抽出し(ステップE2)、抽出したグループ識別信号がマスタ端末自身の属するグループ(自グループ)であるか否かを判定する(ステップE3)。ここで、グループ識別信号が自グループでない場合は、Nルートを通り、パケットの宛先がないので処理を終了する(ステップE4)。一方、グループ識別信号が自グループである場合は、Yルートを通り、受信データからスレーブ端末の応答信号を抽出し(ステップE5)、その応答信号種別を判定する(ステップE6)。
ここで、応答信号種別が「問い合わせ応答信号」である場合は、「問い合わせ応答信号」と付されたルートを通り、さらに、マスタ端末制御部33dは、そのスレーブ端末の識別信号がスレーブ端末管理テーブル33eに保持されているか(管理テーブルに有り)又は保持されていないか(管理テーブルになし)を判定する(ステップE7)。そして、「管理テーブルに有り」のときは「有り」と付されたルートを通り、ステップE9にて、全スレーブ端末からの応答信号の有無が判定される。
この一方、ステップE6において、応答信号種別が「マルチキャスト応答信号」である場合は、マスタ端末制御部33dは、「マルチキャスト応答信号」と付されたルートを通り、ステップE9以降の処理を行なう。
さらに、ステップE7において、「管理テーブルになし」のときは「なし」と付されたルートを通り、マスタ端末制御部33dは、スレーブ端末管理テーブル33eを更新する(ステップE8)。
そして、ステップE9において、マスタ端末制御部33dは、自端末を含め全スレーブ端末からの応答信号の有無を判定し、未だ全スレーブ端末からの応答信号を受信していない場合は、Nルートを通り、ステップE5以降の処理を繰り返す。また、全スレーブ端末からの応答信号を受信している場合は、Yルートを通り、マスタ端末制御部33dは、送信バッファ31gに保持されている全スレーブ端末からの応答信号をあわせて一括応答信号を生成する(ステップE10)。
そして、マスタ端末のRLPフレーム処理部30dは、RLPフレームを生成し(ステップE11)、無線フレーム処理部30eは、無線フレームを生成し(ステップE12)、そして、無線送信部30fは、基地局22に対してパケットデータを送信する(ステップE13)。
このように、スレーブ端末は、マルチキャストサーバ11からのマルチキャストパケットを受信しても、その応答信号を直接的に基地局22に返送せずに、マスタ端末に対して送信し(ステップE1)、マスタ端末は、全スレーブ端末からの応答信号を受信し続け(ステップE9)、全スレーブ端末からの応答信号を受信したときに、全応答信号を一括して基地局22に対して返送する。
従って、スレーブ端末からの応答信号の数が大幅に減少するので、輻輳が防止され、かつ無線リソースを有効に用いることができる。
(8)スレーブ端末
(8−1)スレーブ端末の構成
次に、図12は本発明の第1実施形態に係る無線端末41(スレーブ端末)のブロック図である。この図12に示す無線端末41は、図8に示す無線端末40とほぼ同一の構成であり、スレーブ無線端末管理部(スレーブ端末管理部)34をそなえて構成されている。このスレーブ端末管理部34は、基地局22からの配信データを受信するとともに、無線端末41が属するグループのマスタ端末に対して情報データを送信する。そして、スレーブ端末問い合わせ要求信号抽出部34aは、マスタ端末からの問い合わせ要求信号を抽出するものである。さらに、スレーブ端末問い合わせ応答信号生成部34cは、スレーブ端末制御部34bから問い合わせ要求メッセージに応じて、マスタ端末#1に対して、RLPフレーム処理部30d等を介して、応答信号を送信するものである。なお、図12に示すもので上述したものと同様の符号を有するものは同一のもの又は同一機能を有するものであり、それらについての重複説明を省略する。
これにより、無線端末41は、マスタ/スレーブ識別信号の抽出によって、自身がスレーブ端末であると判断すると、RLPフレームに組み込まれたグループ識別番号を抽出し、そして、マスタ端末#1からの問い合わせ要求信号を受信すると、応答信号を生成してマスタ端末#1に返送する。
また、上位のマルチキャストサーバ11又はマルチキャストルータ10に対する返送は、クライアント端末21からのIPパケットデータのヘッダ部から送信先IPアドレスフィールド情報を抽出し、送信先がマルチキャストサーバ11であることを判定することで、応答信号の返送先をマスタの無線端末40に切り替えて応答信号を返送する。
(8−2)スレーブ端末の処理フロー
次に、図13は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末の送受信処理を説明するためのフローチャートである。スレーブ端末の無線受信部30aは、基地局22を介してマルチキャストサーバ11からのパケットデータを受信すると(ステップF1)、受信データからIPヘッダを抽出し(ステップF2),さらに、送信先IPアドレスフィールドを抽出し(ステップF3)、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスであるか否かを判定する(ステップF4)。
ここで、マルチキャストアドレスと判定された場合は、Yルートを通り、スレーブ端末問い合わせ応答信号生成部34cは、マルチキャスト応答信号を生成し(ステップF5)、RLPフレーム処理部30dは、RLPフレームを生成し(ステップF9)、無線フレーム処理部30eは、無線フレームを生成し(ステップF10)、そして、無線送信部30fは、マスタ端末に対してデータを送信する(ステップF11)。さらに、ステップF4にて、マルチキャストアドレスと判定されない場合は、Nルートを通り、ステップF9以降の処理を行なう。
また、図10のBの処理(F6)に対応し、スレーブ端末が基地局22からマスタ端末を介して問い合わせ要求信号を受信すると(ステップF7)、マスタ端末への問い合わせ応答信号を生成して(ステップF8)、マスタ端末にその問い合わせ応答信号を送信する(ステップF9〜ステップF11)。
このように、スレーブ端末は、受信パケットがマルチキャストサーバ11からのものか、又はマスタ端末からのものかの判定結果に基づいて、マスタ端末に対する問い合わせ応答信号の生成又は非生成を切り替えるので、無線リンクにおける応答信号の数が抑制され、輻輳制御できる。そして、無線リソースの有効利用が図れる。
また、例えば3GPP(3rd Generation Partnership Project)にて、マルチメディアサービスのブロードキャスト/マルチキャスト通信方式のMBMS(Multimedia Broadcast/Multicast Service)においても、無線基地局22側からの配信開始、あるいは、無線基地局22からの認証解除や暗号化解除のためのキー情報を無線端末に配信したのちに、無線端末から一斉に応答信号を返送する場合においても、有効に輻輳制御ができる。
このように、やはり、単なる応答信号を送信するだけの無線リンクが設定されないので、物理的な回線数を節約できる。
(9)動作説明
(9−1)応答信号の送信タイミング
図14(a)〜図14(d)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る応答信号の送信タイミングを示す図である。
ここで、基地局22は、時刻tMにおいて、マルチキャストパケットを(下り方向)に送信しようとしたときに、各無線端末40の返送タイミングを予め各無線端末40に通知する。各無線端末40はその返送タイミングに基づいて返送される。また、無線端末#1〜#3と基地局22とが用いる周波数は特定のものが割り当てられている。
この図14(a)に示す基地局22は、時刻tMにて下り方向のグループA,B,Cに対してマルチキャストし、全無線端末40(グループA,B,Cの無線端末#1〜#3)は、マルチキャストに含まれる情報データを同時に受信する。ここで、各無線端末#1〜#3と基地局22とが通信するときと、各無線端末#1〜#3がグループ内において端末間で通信するときとのそれぞれに用いられる送信周波数は異なるようにしている。
次に、図14(b)に示すグループAの無線端末#2は無線端末#1に対してパケットを送信し(時刻1)、グループBの無線端末#2はグループBの無線端末#1(Master)に対してパケットを送信し、さらにグループCの無線端末#3はグループCの無線端末#1(Master)に対してパケットを送信する。
従って、基地局22がマルチキャストした無線パケットは、グループAの無線端末#1にて受信され、この無線端末#1が、グループAに属する他の無線端末#2,#3と、他のグループB,Cに属するマスタ端末#1とにそれぞれ送信する。すなわち、グループAの無線端末#1が、基地局22から受信したパケットを他のグループB,Cの無線端末#1,#2に対して中継送信する。
この中継送信は、さらに続けられ、グループAの無線端末#3はグループAの無線端末#1に対してパケットを送信(時刻4)、また、図14(c),図14(d)にそれぞれ示すグループB,Cの各無線端末#1も、グループAの無線端末#1とほぼ同様に、適度の間隔を空けて無線端末#1自身の各種情報データをグループB,Cの各無線端末#1のマスタ端末に送信する(時刻5,6)。
そして、グループAの無線端末#1は、グループAの無線端末#2,#3のほかに、各グループA,B,Cに属する無線端末40から得られた情報データを一括して基地局22に送信する(時刻7)。また、グループB,Cの各無線端末#1は、直接、インターネット側に接続したい場合に、情報データを一括返信できる(時刻8,9)。
このように、無線アクセスネットワーク101の無線端末40が、基地局22に対して特定の期間内に集中した応答信号の返送が回避される。
(9−2)マルチキャストパケットの配信および応答
図15は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末およびスレーブ端末と基地局22との間のメッセージ送受信を説明するためのシーケンスを示す図である。この図15に示すマスタ端末#1(無線端末40),スレーブ端末#2(無線端末41)はともにグループAに属する。また、グループB,Cにそれぞれ属するマスタ端末#1,スレーブ端末#2はいずれも図15に示すシーケンスと同一のシーケンスなので重複説明を省略する。L1M,L1S等を付したものはメッセージ又は処理を表す。
基地局22は、マスタ端末#1,スレーブ端末#2に対してそれぞれ確認要求(配下の無線端末の確認要求)を送信する(L1M,L1S)。マスタ端末#1,スレーブ端末#2は、この確認要求を受信すると、マスタ端末#1,スレーブ端末#2自身の識別番号を含む確認応答を基地局22に通知する(L2M,L2S)。次に、基地局22は、各確認応答を受信すると、配下のマスタ端末#1,スレーブ端末#2のメンバーリストを作成し(L3)、このメンバーリストに基づいてグループリストを作成し(L4)、また、作成したグループリスト情報としてマスタ端末#1,スレーブ端末#2に対してそれぞれグループ識別番号を通知する(L5M,L5S)。そして、マスタ端末#1,スレーブ端末#2は、それぞれ、受信したグループ識別番号を管理テーブル33eに格納し、応答信号返送時刻を設定する(L6M,L6S)。ここで、マスタ端末#1,スレーブ端末#2は、ともに、返送タイミングからα時間経過後の期間において、ランダムな時間を決定又は設定しているからである。そして、基地局22は、マスタ端末#1,スレーブ端末#2に対して、それぞれ、マスタ/スレーブ識別信号を通知する(マスタ通知,スレーブ通知;L7M,L7S)。マスタ端末#1,スレーブ端末#2は、受信したマスタ/スレーブ識別信号を、いずれも、メモリに書き込む(L8M,L8S)。この状態において、基地局22がマルチキャストルータ10からのマルチキャストパケット(マルチキャストデータ)を受信すると(L9)、そのマルチキャストデータをマスタ端末#1とスレーブ端末#2および他のスレーブ端末に対して配信する(L10)。ここで、マスタ端末#1はマルチキャストパケットを受信すると、スレーブ端末#2ほかのスレーブ端末の処理時間を考慮した時間、待ち合わせ処理により待機状態になる。スレーブ端末#2はマルチキャストパケットを受信すると、応答信号を基地局22ではなく、マスタ端末#1に対して返送する(L11)。また、マスタ端末#1は、(L10)にてマルチキャストパケットの受信後、待ち合わせ時間経過後、基地局22に対して、応答信号を返送する(L12)。
このように、マスタ端末#1は、同一グループに属する無線端末の処理時間に合わせて応答信号を基地局22に返送する。
このように、第1実施形態においては、マスタ端末#1がスレーブ端末#2の返送信号を代理返信するので、無線リンクの占有時間が短縮化され、輻輳が回避される。
また、ブロードキャストパケットの転送については、マルチキャストパケットとほぼ同一であり、配信システム100は、ブロードキャストを用いた場合においても、マルチキャストと同様な効果が得られる。
このようにして、無線アクセスネットワーク101において、ブロードキャスト/マルチキャスト通信によって無線端末側にデータが配信された後に、無線端末側から基地局22に対して発生する上り方向の無線アクセスネットワーク101における輻輳発生を抑制でき、無線リソースの有効利用が図れるとともに、基地局22における処理負荷が軽減できる。
(B)本発明の第2実施形態の説明
第2実施形態は、無線アクセスネットワーク101において、基地局が、ブロードキャスト/マルチキャストした後に、ブロードキャスト/マルチキャストメンバーから応答される場合に、各グループの無線端末(図21の無線端末42)が、基地局に対して応答タイミングをずらすことにより輻輳を回避するようにしている。
(B1)無線アクセス方式
そして、同一グループに属する無線端末の返送タイミングは、基地局の同一受信スロットにし、また、各グループ間における返送タイミングを時間オフセットのようにずらす処理をも用いることによって、返送タイミングは相互に異なるようにできる。これにより、基地局は、多数の無線端末からの応答について処理可能となる。
さらに、CDMA方式を用いることにより、多重化コードを分離できるので、許容できる多重度数以内でグループを形成し、各無線端末を同時に応答させるようにもできる。
ここで、グループ毎に異なる受信枠を定義した理由を説明する。
本発明の配信システムは、IPマルチキャストを前提としているので、上位アプリケーションがサービスする内容によっては、1台の基地局の配下に設けられた無線端末の数が増大する。この状況において、ACK衝突の発生確率を低下させるために、グループ毎に異なる受信枠を設定することが必要である。
また、無線インタフェースに、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:搬送波感知多重アクセス/衝突回避)方式を用いた場合には、ACK衝突が発生した後に、全無線端末が待ち合わせ状態になる。従って、ACK衝突の頻度が高くなると、待ち合わせ状態の累積時間が長くなり、配下の端末がACKの返送処理を完了するまでに多くの時間を要する。この状態において、上位側装置にてACK応答待ちタイムアウトとなるケースも生じうるので、このタイムアウトを回避するためにも受信枠を設定することが有効である。
また、無線インタフェースにおいて、3GPP(W−CDMAを用いた場合)のようなランダムアクセス制御を用いた場合においても、上り方向の通信チャネル確保において待ち時間が短縮できる。
さらに、同一のマルチキャストグループにおいても、各クライアント端末21に優先度のようなユーザ識別情報を付与し、この優先度に応じてクライアント端末21又は無線端末をグループ化することもある。この場合は、優先度の高いクライアント端末21に対しては、ACKの返送タイミングが早くなるように、早期に所望の受信枠を設定する等の振り分け処理を可能とする。
(B2)返送タイミング
図16は本発明の第2実施形態に係るグループ毎の返送タイミングを説明するための図である。この図16に示す無線アクセスネットワーク101aは、基地局22′と、各3台の無線端末(以下、無線端末#1〜#3と表示する。)からなるグループA,B,Cとをそなえて構成されている。ここで、グループA,B,Cはいずれも基地局22′によって割り当てられたものである。グループAに属する無線端末#1〜#3は、ともに、t1+α期間内に基地局22′に対して応答信号を送信している。また、グループBに属する無線端末#1〜#3は、t2+α期間内に基地局22′に対して応答信号を送信し、そして、グループCに属する無線端末#1〜#3は、ともに、t3+α期間内に基地局22′に対して応答信号を送信するようになっている。
これにより、基地局22′が、下り方向の全無線端末(グループA,B,Cの全無線端末#1〜#3)に対してマルチキャストデータを配信する。一方、グループAに属する3台の無線端末#1〜#3は、マルチキャストサーバ11から配信されたマルチキャストパケットを受信すると、同一の返送タイミングで応答信号を上り方向の基地局22′に送信する。また、グループB,Cに属する各3台の無線端末#1〜#3は、グループAに属する3台の無線端末#1〜#3の返送タイミングと異なるタイミングで応答信号を基地局22′に送信する。
そして、グループA,B,Cの各3台の全無線端末#1〜#3は、上り方向の基地局22′に対して予め決定された返送タイミングで応答信号を返送する。
図17(a)〜図17(d)はそれぞれ本発明の第2実施形態に係る配信パケットおよび応答信号の送受信タイミングチャートを示す図である。基地局22′が、この図17(a)に示す時刻t0にてマルチキャストパケット(下り方向)を送信する。基地局22′は、各無線端末#1〜#3の返送タイミングを予め各無線端末#1〜#3に通知し各無線端末#1〜#3はその返送タイミングに基づいて返送処理を行なう。
具体的には、時刻t0からt1時間経過後、時刻t0からt2時間経過する前までに、図17(b)に示すグループAの各無線端末は、基地局22′に対して応答信号を返信する。また、図17(c)に示すグループBの各無線端末42は、時刻(t0+t2)から時刻(t0+t3)までに応答信号を返信し、図17(d)に示すグループCの各無線端末42は、時刻(t0+t3)から応答信号を返信する。
このように、無線アクセスネットワーク101aの無線端末#1〜#3が、基地局22′に対して特定の期間内に集中した応答信号の返送が回避される。
(12)基地局22′
(12−1)基地局22′の構成
図18は本発明の第2実施形態に係る基地局22′のブロック図である。この図18に示す基地局22′は、基地局22とほぼ同一の機能を有し、パケット受信部19と、グループ化処理部23と、RLP(Radio Link Protocol:無線リンク制御プロトコル)フレーム処理部24と、無線フレーム処理部25と、無線送信部26と、アンテナ50とをそなえて構成されている。
ここで、グループ化処理部23は、無線アクセスネットワーク101aに属する各無線端末42の無線端末識別番号に基づいて30台の無線端末42をグループ化したグループ識別情報を各無線端末に付与するとともにグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てるものであって、送信バッファ23a,IPヘッダ検出部(IPヘッダ検出部)23b,送信先IPアドレスフィールド抽出部23c,無線端末管理テーブル23e,テーブル検索およびグループ識別信号生成部(以下、テーブル検索/グループ識別信号生成部と表示する。)23dをそなえて構成されている。
ここで、送信バッファ23aは、送信するパケットを保持するものであり、IPヘッダ検出部23bは、この送信バッファ23aに保持されたパケットからIPヘッダを抽出するものであり、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cは、IPヘッダ検出部23bにて抽出されたヘッダから送信先IPアドレスフィールドを抽出するものである。
さらに、無線端末管理テーブル23eは、無線アクセスネットワーク101aに属する各無線端末#1〜#3の無線端末識別番号を保持するものである。
図19(a)は本発明の第2実施形態に係る無線端末管理テーブル23eの一例を示す図である。この図19(a)に示す無線端末管理テーブル23eは、マルチキャストグループID(第2のグループ識別情報)とグループ識別番号(第1のグループ識別情報)と無線端末識別番号とをそれぞれ関連付けて保持している。
なお、無線端末42の台数がさらに多数(例えば100台)の場合、基地局22′の上位アプリケーションが、第3のグループ識別情報として、例えば図19(b)に示すグループα,β,γ等を新たに生成し、各グループの無線端末#1〜#3の返送タイミングの重複を回避して輻輳を防止する。
また、テーブル検索/グループ識別信号生成部23d(図18)は、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cにて抽出された送信先IPアドレスフィールドと無線端末管理テーブル23eに保持された無線端末識別番号とに基づいてグループ識別信号を生成するものである。
次に、RLPフレーム処理部24は、例えば、受信パケットに含まれる誤り訂正用ビットの除去、無線区間におけるパケット再送制御用のカウンタ(数ビットのカウンタビット)やタイマ値をフレームに書き込む等の処理を行なうものである。具体的には、カウント対象のデータ例は、送信フレームの総数,無線端末に対する送信済みのフレーム個数,受信フレームの総数,無線端末から受信済みのフレーム個数等である。さらに、RLPフレーム処理部24は、テーブル検索/グループ識別信号生成部23dにて生成されたグループ識別信号を送信パケットに挿入するようにもなっている。
そして、無線フレーム処理部25は、RLPフレーム処理部24にてカウンタが書き込まれたパケットについて、符号化又は誤り訂正処理等を行なうものである。
さらに、無線送信部26は、グループ化処理部にて得られたグループ識別情報および応答タイミングと、コアネットワーク102側から転送されたバケットについてRLPフレーム処理および無線フレーム処理された無線パケットとを30台の無線端末42に対して送信するものである。なお、無線送信部26は、無線信号の変調等の処理をも行なう。また、アンテナ50は、無線送信部26からの無線パケットを送信するものである。
(12−2)基地局22′の処理フロー
図20は本発明の第2実施形態に係る基地局22′の動作を説明するためのフローチャートである。基地局22′のパケット受信部19は、上位側のマルチキャストルータ10からのパケットデータを受信すると(ステップA1)、IPヘッダ検出部23bは、受信データからIPヘッダを抽出し(ステップA2)、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cは、抽出されたIPヘッダから送信先IPアドレスフィールドを抽出し(ステップA3)、送信先IPアドレスが、マルチキャストを表すマルチキャストアドレスであるか否かを判定する(ステップA4)。
ここで、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスである場合、Yルートを通り、テーブル検索/グループ識別信号生成部23dはグループ識別信号を生成する(ステップA5)。具体的には、テーブル検索/グループ識別信号生成部23dは、無線端末管理テーブル23eに保持された無線フレーム又はRLPフレームに挿入する無線端末識別番号を参照することにより、配下の無線端末42についてグループ化する。そして、RLPフレーム処理部24は、例えば再送制御用のカウンタおよびグループ識別番号をフレームに挿入してRLPフレームを生成する(ステップA6)。続いて、無線フレーム処理部25はグループ識別番号を含むパケットをフレーム処理し(ステップA7)、そして、無線送信部26はフレーム処理された無線パケットをアンテナ50から無線端末42側に送信する(ステップA8)。
なお、ステップA4において、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスでない場合は、テーブル検索/グループ識別信号生成部23dは、グループ識別信号を生成せずに、Nルートを通り、ステップA6以降の各処理が行なわれる。
このように、本発明の基地局22′によれば、受信パケットがマルチキャストパケットであるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、処理を切り替えるので、基地局22′における処理負荷が軽減され、無線リソースの有効利用が図れる。
(13)無線端末42
(13−1)無線端末42の構成
図21は本発明の第2実施形態に係る無線端末42のブロック図である。この図21に示す無線端末42のうちの返送タイミングを設定する返送タイミング処理部31について詳述する。
返送タイミング処理部31は、グループ識別信号抽出およびテーブル参照部(以下、グループ識別信号抽出/テーブル参照部と表示する。)31aと、返送タイマ設定部31cと、バッファ制御部31dと、送信バッファ31gと、返送タイマ値管理テーブル31bと、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eと、IPヘッダ検出部31fとをそなえて構成されている。
グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aは、第1RLPフレーム処理部30cにてRLPフレーム処理されたパケットからグループ識別信号を抽出し、抽出したグループ識別信号に割り当てられた返送タイミングを、返送タイマ値管理テーブル31bを参照して決定するものである。すなわち、グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aは、無線受信部30aにて受信されたグループ識別信号に対応する応答タイミングを、返送タイマ値管理テーブル31bから読み出して決定する応答タイミング決定部として機能している。
図22は本発明の第2実施形態に係る返送タイマ値管理テーブル31bの一例を示す図である。この図22に示す返送タイマ値管理テーブル31bは、無線端末識別番号と、グループ識別番号と、返送タイマ値(応答タイミング値)と、送信先アドレスとを関連付けて保持するものである。具体的には、無線端末識別番号#1は例えば無線端末42自身に割り当てられた番号であり、グループ識別番号は、無線端末42が属するグループA,Cを識別するものである。
そして、返送タイマ値は、無線端末42が基地局22′に対して応答信号を返送するまでの待機時間を表し、無線端末42がグループAのメンバーとして動作する場合のタイマ値(例えば100秒)と、グループCのメンバーとして動作する場合のタイマ値(例えば200秒)とのそれぞれを保持している。なお、タイマ値は100秒等の真値の代わりに、100秒を表す「1」,200秒を表す「2」等の値を用いることもできる。また、送信先アドレスは、無線端末42がグループA又はグループCのメンバーになったときに送信するサーバのアドレスを表す。
これにより、無線端末42がグループAに属する場合は、例えば100秒間だけ待機してサーバ1に対して応答信号を送信する。
次に、返送タイマ設定部31cは、グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aにて決定されたタイマ値を、送信するパケットを保持する送信バッファ31gを制御又は管理するバッファ制御部31dに設定するものである。
さらに、IPヘッダ検出部31fは、クライアント端末21からのIPパケットのIPヘッダを抽出するものであり、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eは、IPヘッダ検出部31fにて抽出されたIPヘッダから、送信先IPアドレスフィールドを抽出して抽出した送信先IPアドレスをバッファ制御部31dに入力するものである。
これにより、無線端末42において、無線受信部30aが上位のマルチキャストサーバ11又はマルチキャストルータ10側からの無線パケットを受信すると、第1RLPフレーム処理部30cにおいて処理されたデータは、クライアント端末21および返送タイミング処理部31のそれぞれに送信される。ここで、クライアント端末21は、処理データを受信すると、配信のための無線リンクを設定する。
一方、グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aは、RLPフレームに挿入されたグループ識別番号を抽出し、そのグループ識別番号について返送タイマ値管理テーブル31bを参照して返送タイマ値管理テーブル31bに保持された返送タイマ値を読み出し、返送タイマ値設定部31cは、読み出されたタイマ値をバッファ制御部31dに設定する。さらに、クライアント端末21からのIPパケットはIPヘッダ検出部31fにて抽出され、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eにおいて、抽出されたIPヘッダから送信先IPアドレスが取得され、送信先IPアドレスがマルチキャストサーバ11宛か否かが判定され、この判定結果に基づいて返送タイミング調整の有無が決定される。
これにより、送信バッファ31gにおける返送タイミングが制御される。
(13−2)無線端末の処理フロー
次に、無線端末42の処理フローについて図23を参照して詳述する。
図23は本発明の第2実施形態に係る無線端末42の動作を説明するためのフローチャートであって、無線端末42が基地局22′およびクライアント端末21のそれぞれからパケットデータを受信したときの処理が表示されている。
無線端末42は基地局22′からのパケットデータを受信すると(ステップB1)、グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aは、受信データからグループ識別信号を抽出し(ステップB2)、抽出したグループ識別信号について返送タイマ値管理テーブルからグループに対応するタイマ値を読み出して(ステップB3)、返送タイマ値設定部がバッファ制御部に返送タイマ値を設定する(ステップB4)。
一方、無線端末42は、クライアント端末21からパケットデータを受信すると(ステップB5)、IPヘッダ検出部31fが受信データからIPヘッダを抽出し(ステップB6)、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eは送信先IPアドレスフィールドから送信先IPアドレスを抽出し(ステップB7)、抽出した送信先IPアドレスが、マルチキャストサーバ11のアドレスであるか否かを判定する(ステップB8)。
ここで、マルチキャストサーバ11のアドレスである場合、Yルートを通り、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eは、バッファ制御部31dに返送タイマ値を設定する(ステップB9)。そして、ステップB10において、タイマがタイムアップしたか否かが、監視され続ける(Nルート参照)。タイムアップすると、Yルートを通り、第2RLPフレーム処理部30dは、RLPフレームを生成し(ステップB11)、無線フレーム処理部30eは、無線フレームを生成し(ステップB12)、無線送信部30fは、基地局22′に対してパケットデータを送信する(ステップB13)。なお、ステップB8において、抽出された送信先アドレスがマルチキャストサーバ11のアドレスではないと判定されると、Nルートを通り、ステップB11以降の処理が行なわれる。
このように、本発明の無線端末42によれば、クライアント端末21からのパケットが、マルチキャストサーバ11宛か否かを判定しその判定結果に基づいて処理を切り替えるので、処理負荷が軽減され、やはり無線リソースの有効利用が図れる。
また、図24は本発明の第2実施形態に係る無線端末42および基地局22′間のメッセージ送受信を説明するためのシーケンスを示す図であり、グループAに属する無線端末#1〜#3はいずれもこの図24に示すシーケンスで同一処理する。なお、M1〜M11を付したものはメッセージ又は処理を表す。
基地局22′は、配下の無線端末42に対して、確認要求を送信する(M1)。無線端末42は、この確認要求を受信すると、無線端末42自身の識別番号を含む確認応答を基地局22′に通知する(M2)。
次に、基地局22′は、確認応答を受信すると、配下の無線端末42のメンバーリストを作成し(M3)、このメンバーリストに基づいてグループリストを作成し(M4)、また、作成したグループリスト情報として無線端末42に対してグループ識別番号を通知する(M5)。
無線端末42は、受信したグループ識別番号を管理テーブル31b(受信バッファ)に格納し(M6)、応答信号返送時刻を設定する(M7)。無線端末42は返送タイミングからα時間経過後の期間においてランダムな時間をメモリ等に設定する。
この状態において、基地局22′は、コアネットワーク102側からマルチキャストパケットを受信すると(M8)、マルチキャストパケットから抽出されたマルチキャストデータを無線パケットに挿入しその無線マルチキャストパケットを無線端末42に配信する(M9)。無線端末42は、基地局22′から配信されたマルチキャストパケットの受信後、M7にて設定した応答信号の返送時刻になるまで例えばt分間待ち合わせし(M10)、応答信号を基地局22′に返送する(M11)。
このように、グループAに属する無線端末42は、設定した返送時間に合わせて、一斉に応答信号を返送する。
また、グループB,Cに属する各無線端末42は、返送時間がグループAと異なる点以外は、グループAに属する無線端末42のシーケンスと同一である。そして、グループBに属する1台以上の無線端末42と、グループCに属する1台以上の無線端末42とは、それぞれ、グループAに属する無線端末42の返送時間と異なる返送時間(図17(C),図17(d)参照)で一斉に返送する。
また、ブロードキャストパケットの転送については、マルチキャストパケットとほぼ同一であり、配信システム100は、ブロードキャストを用いた場合においても、マルチキャストと同様な効果が得られる。
このように、本発明の無線端末42は、設定した返送時間に合わせて、一斉に応答信号を返送し、また、グループ毎に異なる返送タイミング(t1/t2/t3)で応答信号を送信するので、輻輳が回避される。
(C)その他
本発明は上述した実施態様およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
上記の相対関係は、主従関係のほかに、各スレーブ端末に割り当てた優先度を用いることもできる。
図2に示す無線端末40は、1波の無線リンクが割り当てられるので、通常、クライアント端末21の台数は1台である。一方、1台の無線端末40に2台以上のクライアント端末21を接続し、各クライアント端末21が時間分割することにより、30台のクライアント端末21を稼働することができる。
基地局22(22′)のグループ化は、無線端末識別番号に基づいて行なわれているが、クライアント端末21の端末識別番号を用いてグループ化することもできる。具体的には、基地局22(22′)は、配下のクライアント端末21に対して確認要求を送信する。無線端末40は、図3に示す確認要求をブリッジし、ブリッジした確認要求をそのままクライアント端末21に転送する。そして、クライアント端末21のAC/LLC制御部21cおよび有線物理レイヤ処理部21dは、ともに、ブリッジされた確認要求について下位プロトコル処理を行ない、処理した確認要求を、上位プロトコル処理部21a又はIPプロトコル処理部21bに通知する。これにより、クライアント端末21は、自分自身に対する確認要求を受信する。そして、クライアント端末21は、この確認要求に対して確認応答を、マルチキャストルータ10側に対して返送するのである。
なお、図18に示す基地局22′のグループ化処理部23は、全グループに同一の応答タイミングを割り当てることもできる。さらに、グループ化処理部23は全グループのうちの一部のグループに同一の応答タイミングを割り当てるとともに、全グループのうちの他のグループについてグループ毎に異なる応答タイミングを割り当て可能である。また、アクセス方式がCDMAの場合、基地局22′は各グループの無線端末42の台数を、基地局22′自身の許容コード多重度数以内に設定し、全グループに同一の応答タイミングを割り当てできる。基地局22′は一部のグループに同一応答タイミングを割り当てし、他のグループにグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てすることもできる。
図1は本発明の第1実施形態に係る配信システム100の構成図である。この図1に示す配信システム100は、N(Nは自然数を表し例えば30)台の無線端末40(又は41)を有する無線アクセスネットワーク(無線ネットワーク)101と、30台の無線端末40との間において、無線アクセスネットワーク101を介してパケットを送受信するコアネットワーク(有線ネットワーク)102とをそなえたものである。
この配信システム100は、加入者電話サービスの提供と、ウェブキャスト(例えばインターネット放送)とを行なうものであって、コアネットワーク102に設けられた配信サーバが、インターネットを介して静止画像,動画像又は音声等のデータをパケット化し、連続的なデータの流れ(ストリーム)として複数のユーザに対して配信するものである。
(1)無線アクセスネットワーク101の構成
無線アクセスネットワーク101は、基地局22と30台の無線端末40とによって構成されており、また、コアネットワーク102に設けられたルータを介して外部のIPネットワーク104に接続されている。なお、無線端末42は第2実施形態において後述する。
(1−1)クライアント端末21
30台のクライアント端末21は、それぞれ、30台の無線端末40に接続されコアネットワーク102からのマルチキャストパケットを受信するものであって、例えばユーザのパソコンである。各クライアント端末21は、多様なストリームのうちの所望のストリームを選択的に受信する。すなわち、マルチキャストサーバ11と30台のクライアント端末21とが1対N(1対多)の関係になっている。
なお、各クライアント端末21は、無線アクセスネットワーク101を除けば、コアネットワーク102側と直接接続されるノードに相当し、独立したサーバとしても機能する。従って、「独立したサーバ」である点において「ホストサーバ」と称することができる。クライアント端末21と無線端末40とを含めて無線端末と称することもできる。
(1−2)基地局22
本発明の基地局22は、各無線端末40をグループ化しグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てし30台の無線端末40およびコアネットワーク102側と通信するものである。
この基地局22は、マルチキャストパケットの配信に当たり、各無線端末40の識別番号(無線端末識別情報)に基づいて、例えば30台の無線端末40(以下、無線端末#1〜#30と表記することがある。)について、無線端末#1〜#10をグループ1,無線端末#11〜#20をグループ2,無線端末#21〜#30をグループ3等にグループ化し、各グループ1〜3を代表する1台の無線端末(代表端末又は後述するマスタ端末)を割り当てるようにしている。基地局22は、グループ1に属する無線端末#1〜#10に対してマルチキャストパケットを送信後、そのグループ1の代表端末#1から、他の無線端末#2〜#10からの応答を含めた応答メッセージを受信する。
(1−3)無線端末40(41)
各無線端末40,41は無線パケットを送受信するものであって、例えば携帯電話機である。また、各無線端末40は、マルチキャストパケットの受信に対して応答するときに、基地局22を介さずに直接端末間通信できるようになっている。各無線端末40は、セル内におり、基地局22の通信圏内にいる。このため、セル内の無線端末40の台数は、基地局22および無線端末40間において設定可能な無線リンク数と、基地局22の通信処理能力とに基づいて決定され、30台に制約されるものではない。
ここで、30台の無線端末40は、基地局22において、グループ1〜3にグループ化され、グループ毎に1台の代表端末が選択され、また、代表端末は基地局22からの信号によって指定される。例えばグループ1について、10台の無線端末#1〜#10のうちの無線端末#1が、グループ1に属する他の無線端末#2〜#10を代表する端末として割り当てられ、また、残りの無線端末#2〜#10はその無線端末#1に従属するものとして割り当てられるのである。以下の説明においては、この代表端末をマスタ端末(マスタとなる無線端末,マスタ)と称し、また、マスタ端末に従属する無線端末40をスレーブ端末(スレーブとなる無線端末,スレーブ)と称する。
マスタ端末はスレーブ端末が行なう処理又は動作を制御又は管理するが、スレーブ端末はマスタ端末を直接的に制御又は管理することができず、マスタ端末とスレーブ端末との相対関係が主従関係になっている。
ここで、マスタ端末の主な機能は、(i)基地局22から下り方向の全無線端末40宛に配信されるマルチキャストパケット(マルチキャストデータ)又は確認要求に対して、上り方向の基地局22に対して他の無線端末#2〜#10からの応答を含めた応答信号を返送することと、(ii)グループ内のスレーブ端末と通信(端末間通信)することとの2種類である。
一方、スレーブ端末の機能は、配信されたマルチキャストパケットについての応答をマスタ端末に送信することである。
また、端末−基地局間通信(同一グループの全無線端末40と基地局22との通信)がW−CDMA(Wideband−Code Division Multiplexing Access)方式を用いており、かつ端末間通信(同一グループのマスタ端末とスレーブ端末との通信)が周波数ホッピング等を用いる場合、周波数帯域は、各通信が相互に干渉しないように割り当てられる。すなわち、異なる通信方式が採用されている。
本発明のマスタ端末(無線端末)は、例えば40台の無線端末40,41宛てに送信されたマルチキャストパケットを基地局22から受信するものであり、自端末を除く40台の無線端末40,41から、マルチキャストパケットの受信に対する応答信号をW−CDMA方式(第1の無線通信方式)により基地局22を介さずに受信する受信手段と、この受信手段により受信した応答信号と、自端末における前記マルチキャストパケットの受信に対する応答信号とに基づいて一括応答信号を生成し、基地局22に対して周波数ホッピング等(第2の無線通信方式)により送信する一括応答手段とをそなえている(後述する図8等参照)。従って、同一グループに属する他のスレーブ端末からの複数の応答は、マスタ端末において束ねられ、その束ねられた応答が一括して基地局22に対して応答されるので、無線区間における輻輳が回避される。
(1−4)無線アクセス方式
無線アクセスネットワーク101のアクセス方式は、例えばCDMA(Code Division Multiplexing Access)が用いられ(本実施形態においてはCDMAとする。)、基地局22は、各グループを構成する無線端末数を基地局22が許容できるコード多重度数以内にする。第1実施形態においては、各無線端末41が送信する応答信号の数を削減することにより、輻輳が回避されるようになっている。さらに、無線アクセスネットワークにおける無線アクセス方式は、FDMA(Frequency Division Multiplexing Access)およびTDMA(Time Division Multiplexing Access)方式を用いることができる。ここで、TDMA方式を用いる場合は、無線端末40がパケットを送信する送信スロット(基地局22から見て受信スロット)の数が、マスタ端末の数よりも多い場合に、全無線端末40がアクセスできる。
また、無線アクセスネットワーク101の変復調方式は、無線端末40および基地局22間は符号拡散変調(拡散変調),符号拡散復調(逆拡散復調)が用いられ、また、無線端末41間は周波数ホッピング等が用いられている。
なお、これらの変復調方式およびアクセス方式は、ともに、システム仕様の変更等により変更される。また、後述する第2実施形態においても、これらの変復調方式およびアクセス方式を用いることができる。
そして、ブロードキャストによってセル内の全ての無線端末40は、基地局22からのブロードキャストパケット(ブロードキャストデータ)を受信し、また、マルチキャストによってプロバイダと契約又は登録された無線端末40のみが、セル内においてマルチキャストパケット(マルチキャストデータ)を受信する。
なお、ブロードキャストパケットは、マルチキャストパケットとほぼ同一処理されるものなので、以下、特に断らない限り、マルチキャストパケットについて説明しブロードキャストパケットについての重複説明を省略する。
(2)コアネットワーク102
次に、コアネットワーク102は、ルータ103と、IPネットワーク104と、マルチキャストルータ10と、マルチキャストサーバ11とをそなえて構成されている。ルータ103は、パケットを転送するものであって、無線アクセスネットワーク101側がコアネットワーク102にアクセスするためのファイアウォールとして機能している。IPネットワーク104は、以下に述べるマルチキャストサーバ11からのマルチキャストパケットを転送するものであり、例えばインターネット又はパケットをカプセル化して転送するネットワークである。
(2−1)マルチキャストルータ10
また、マルチキャストルータ10は、30台のクライアント端末21のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末21をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットを基地局22側に転送するものである。このマルチキャストグループ情報は、マルチキャスト対象のクライアント端末21を表すメンバーシップ情報と、マルチキャストサーバ11とクライアント端末21との配信ルートを表すマルチキャストツリーとを対応付けたものである。
マルチキャストルータ10は、受信パケットのアドレスに基づいて受信パケットを転送する転送部と、30台のクライアント端末21のうちのマルチキャストパケットの送信先となる1又は複数のクライアント端末21の情報およびその1又は複数のクライアント端末21の情報を識別するマルチキャストグループID(Identification)(マルチキャストグループ識別情報)とを対応付けて保持するマルチキャストグループ管理テーブルとをそなえて構成されている。
図25はマルチキャストルータ10のマルチキャストグループ管理テーブルの一例を示す図である。この図25に示すマルチキャストグループ管理テーブルの「グループ1」がマルチキャストグループ識別情報であり、また、この「グループ1」に対応付けられた「#1〜#N」が、1又は複数のクライアント端末21の情報である。
そして、マルチキャストルータ10は、無線アクセスネットワーク101の30台の無線端末を介して30台のクライアント端末21に対して、メンバー確認(メンバー確認メッセージ)を送信し、このメンバー確認に対する応答を受信することにより、30台のクライアント端末21の有無又は30台のクライアント端末21の稼働又は非稼働を知る。また、マルチキャストルータ10は、逐次、各クライアント端末21とのメッセージ交換によって、保持データを更新する。これにより、ブロードキャスト/マルチキャストメンバーシップ情報を管理している。
従って、不要なマルチキャストパケット,ブロードキャストパケット等が無線アクセスネットワーク101に送信されず、無線アクセスネットワーク101の負荷が軽減される。
さらに、マルチキャストルータ10は、無線アクセスネットワーク101配下のクライアント端末21に加えて、マルチキャストツリーに対応するIPネットワーク104における配下のマルチキャストグループのメンバーとなるクライアント端末21について、ブロードキャスト/マルチキャストの各メンバーシップ情報をも管理している。
(2−2)マルチキャストサーバ11
さらに、マルチキャストサーバ11は、マルチキャストルータ10のマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットをマルチキャストルータ10に転送するものである。
(3)本発明の配信方法
図2は本発明の第1実施形態に係るブロードキャスト/マルチキャストの各パケットの配信系統を説明するための図であり、この図2に示すマルチキャストサーバ11が、マルチキャストパケットを、マルチキャストルータ10に転送するようになっている。なお、図2に示すもので上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものを表す。
本発明の配信方法は、30台の無線端末40を有する無線アクセスネットワーク101と、30台の無線端末40とパケットを送受信するコアネットワーク102とをそなえた配信システム100におけるものである。
マルチキャストルータ10が、30台の無線端末40に接続されコアネットワーク102からのマルチキャストパケットを受信する30台のクライアント端末21のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末21をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいてマルチキャストパケットを無線基地局22に転送する。
そして、基地局22が1又は複数の無線端末40をグループ化したグループ識別情報に基づいてマルチキャストパケットを無線端末40に対して送信するのである。
ここで、マルチキャストルータ10の転送は、マルチキャストグループのメンバーシップ情報と、マルチキャストツリー情報とを参照しており、また、基地局22は、無線区間の物理的なインタフェース処理と無線リンク制御とを行なっている。
(4)配信システム100のプロトコルスタック
次に、図3を参照して、配信システム100のプロトコルスタックについて詳述する。
図3は本発明の第1実施形態に係る配信システム100のプロトコルスタックを説明するための図である。この図3に示すクライアント端末21は、上位プロトコル処理部21a,IPプロトコル処理部21b,MAC(Media Access Control)およびLLC(Link Layer Control)制御部(以下、MAC/LLC制御部と表示する。)21c,有線物理レイヤ処理部21dをそなえて構成されている。
この上位プロトコル処理部21aおよびIPプロトコル処理部21bは、それぞれ、クライアント端末21とマルチキャストルータ10との通信リンク(通信セッション)の開放又は接続についての管理等およびIPレイヤにおける開放又は接続等のリンク管理等を行なうものである。この機能は例えばソフトウェアアプリケーション等によって発揮される。また、リンク管理の一例は、上位プロトコル処理部21aおよびIPプロトコル処理部21bが、メモリ(図示省略)に、複数の通信リンクの識別番号と、クライアント端末21およびマルチキャストルータ10間において用いられるローカルIPアドレス(プライベートIPアドレス)とを対応付けて保持するのである。
次に、MAC/LLC制御部21cは、クライアント端末21および無線端末40間におけるパケットの再送制御等を行なうものであり、また、有線物理レイヤ処理部21dは、クライアント端末21および無線端末40間の物理(PHYsical)レイヤデータを処理するものである。従って、クライアント端末21および無線端末40間は、IPプロトコルが用いられずに、下位プロトコルが適用されている。
さらに、無線端末40は、クライアント端末21からのフレームに含まれるMACアドレスとMACアドレステーブル(図示省略)とに基づいてそのフレームの転送又は廃棄を行なうブリッジ処理部20aと、クライアント端末21のMAC/LLC制御部21cおよび有線物理レイヤ処理部21dとの間における下位プロトコル処理を行なうMAC/LLC制御部20bおよび有線物理レイヤ処理部20cと、基地局22との無線リンクを制御する無線リンク制御部20dと、基地局22および無線端末40間の無線インタフェースに基づく処理を行なう無線物理レイヤ処理部20eとをそなえて構成されている。
また、基地局22は、受信データについて、無線端末40からのパケットに含まれるMACアドレスとMACアドレステーブル(図示省略)とに基づいてその受信パケットの転送又は廃棄を行なうブリッジ処理部22aと、無線端末40の無線リンク制御部20d,無線物理レイヤ処理部20eとの間における無線リンク制御,無線物理レイヤ処理を行なう無線リンク制御部22d,無線物理レイヤ処理部22eと、マルチキャストルータ10との間における下位レイヤ処理を行なうMAC/LLC制御部22b,有線物理レイヤ処理部22cとをそなえて構成されている。
そして、マルチキャストルータ10は、クライアント端末21および無線端末40のメンバーを管理するマルチキャスト制御部10aと、IPレベルにおける開放又は接続等のリンク管理等を行なうIPプロトコル処理部10bと、基地局22のMAC/LLC制御部22b,有線物理レイヤ処理部22cとの間における下位レイヤ処理を行なうMAC/LLC制御部10c,有線物理レイヤ処理部10dとをそなえて構成されている。
さらに、マルチキャストサーバ11は、クライアント端末21とマルチキャストルータ10との通信リンクの開放又は接続についての管理等およびIPレベルにおける開放又は接続等のリンク管理等を行なう上位プロトコル処理部11a,IPプロトコル処理部11bと、マルチキャストルータ10のMAC/LLC制御部10c,有線物理レイヤ処理部10dとの間における下位レイヤ処理を行なうMAC/LLC制御部11c,有線物理レイヤ処理部11dとをそなえて構成されている。
これにより、マルチキャストサーバ11およびクライアント端末21間におけるリンクの設定に当たり、マルチキャストルータ10は、そのクライアント端末21にローカルIPアドレスを割り当てて、IPネットワーク104からのパケットに含まれるグローバルIPアドレスをローカルIPアドレスに変換し、パケットを基地局22に転送する。一方、マルチキャストルータ10は、基地局22からのパケットを受信すると、ローカルIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する。
このように、マルチキャストパケット(マルチキャストデータ)の通信リンクは、クライアント端末21のIPプロトコル処理部21bとマルチキャストルータ10のIPプロトコル処理部10bとの間において相互に設定される。
図3において、基地局22と無線端末40との各ブリッジ処理部20a,22aは、いずれも、受信データについてIPプロトコル処理等の上位プロトコルにおける終端処理を行なわずに下位プロトコル処理のみを実施している。
図26(a)はIPv6(Internet Protocol Version 6 Protocol)パケットのヘッダの一例を示す図である。この図26(a)に示すIPv6パケットは、多くのIPアドレスを確保するためのものである。具体的には、両ブリッジ処理部20a,22aは、受信パケットからヘッダのみを抽出し、そのヘッダから、送信元アドレスおよび送信先アドレス(宛先アドレス)のみを抽出する。そして、マルチキャストルータ10又はクライアント端末21において呼が発生すると、両ブリッジ処理部20a,22aは、抽出したアドレスを参照することにより、一対一のユニキャスト通信又はマルチキャスト通信を判別する。
また、図26(b)はマルチキャストパケットのアドレス形式の一例を示す図であり、基地局22は、この図26(b)に示すフォーマットによって、ユニキャスト又はマルチキャスト(ブロードキャスト)を切り替え可能となり、効率的な配信ができる。一方、無線端末40も、基地局22と同様に、返送タイミングの調整有無をアドレス抽出によって切り替え可能になっている。
また、IPマルチキャスト通信が発生した場合、図26(a)に示すIPヘッダ上の宛先アドレスは、図26(b)に示す形式に沿った「マルチキャストアドレス」となる。
(5)マルチキャストパケットの配信と応答
図4は本発明の第1実施形態に係るグループ毎の返送タイミングを説明するための図である。この図4に示すグループA,B,Cは、いずれも、3台の無線端末#1〜#3を有し、マスタ(Master)端末として機能するものは、グループAの無線端末#2とグループBの無線端末#2とグループCの無線端末#1とである。一方、スレーブ(Slave)端末として機能するものは、グループAの無線端末#1,#3と、グループBの無線端末#1,#3と、グループCの無線端末#1,#2とである。なお、図4に示す割り当ておよび台数は、いずれも、一例であり、また、図4に示すもので上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものを表す。
ここで、マルチキャスト応答に用いられる周波数については、各グループA,B,Cのマスタ端末#2,#2,#1が基地局22と通信するための周波数帯は同一(例えばf1)であり、また、グループA,B,Cにおいて、スレーブ端末とマスタ端末との端末間通信に用いられる周波数帯はf2である。グループA,B,Cは、周波数帯f2において、周波数ホッピングパターンを異ならせることにより、それぞれ、別個に通信できる。また、周波数帯をグループA,B,C間で別個のものとしてもよい。
さらに、基地局22は、グループA,B,Cに属する9台の全無線端末#1〜#3に対して、グループA,B,C(グループ識別情報)と、各グループA,B,Cにおいてマスタ又はスレーブであることを示すマスタ/スレーブ関係(マスタ又はスレーブ関係)とを通知する。
これにより、グループAにおいて、マスタ端末#2とスレーブ端末#1,#3とはともに基地局22から直接マルチキャストデータを受信する。そして、スレーブ端末#1,#3はともにマスタ端末#2に対して応答信号を送信し、マスタ端末#2が、スレーブ端末#1,#3の応答と自端末の応答とを一括して基地局22に対して応答する。グループB,CについてもグループAと同一である。
(6)基地局22
次に、図5〜図7を参照して、基地局22について詳述する。
(6−1)基地局22の構成
図5は本発明の第1実施形態に係る基地局22のブロック図である。この図5に示す基地局22は、パケット受信部19と、RLP(Radio Link Protocol:無線リンク制御プロトコル)フレーム処理部24と、無線フレーム処理部25と、無線送信部26と、アンテナ50と、グループ化処理部27とをそなえて構成されている。ここで、パケット受信部19は、マルチキャストルータ10側からのパケットを受信処理するものである。
また、RLPフレーム処理部24は、グループ化処理部27からのパケットにグループ識別信号とマスタスレーブ識別信号とを挿入するとともに、3GPPにて規定される下位プロトコル処理を行なうものである。下位プロトコル処理の一例は、無線リンク制御プロトコルに基づく誤り訂正用ビットの挿入、無線区間におけるパケットの再送制御用のカウンタ,タイマ値等のフレーム書き込み等である。具体的には、カウンタは、無線端末40に対して送信するフレーム総数,送信済みのフレーム数と、無線端末40から受信するフレーム総数,受信済みのフレーム数とをカウントする。すなわち、基地局22が、例えば1000個程度の多数のパケットを無線端末40に対して配信する場合に、RLPフレーム処理部24は、「1000個のパケットのうちの何個のパケットが受信されたか」を表す情報、又は「何番目のパケットを受信できていないので、その受信できなかったパケットの再送要求」等のメッセージを無線端末40と送受信する。
そして、無線フレーム処理部25は、RLPフレーム処理部24において書き込み又は挿入されたフレームについて、移動管理機能を有するIPv6フォーマット処理するものである。
さらに、無線送信部26は、グループ識別情報およびマスタスレーブ識別信号を含む無線フレームについて、変調,アップコンバートおよび帯域フィルタリング等を行なった無線パケットを30台の無線端末40に対して送信するものである。また、アンテナ50は、無線送信部26からの無線パケットを送信するものである。
そして、グループ化処理部27は、無線アクセスネットワーク101に属する各無線端末#1〜#3の無線端末識別番号に基づいて各無線端末#1〜#3をグループ化したグループ識別情報を生成するものであって、受信バッファ23aと、IPヘッダ検出部(IPヘッダ検出部)23bと、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cと、マスタ/スレーブ識別信号/グループ識別信号(マスタ/スレーブ識別信号およびグループ識別信号)生成部27aと、無線端末管理テーブル27bとをそなえて構成されている。
ここで、受信バッファ23aは、パケット受信部19にて受信されたパケットを保持するものであり、IPヘッダ検出部23bはこの受信バッファ23aに保持されたパケットからIPヘッダを抽出するものであり、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cはIPヘッダ検出部23bにて抽出されたヘッダから送信先IPアドレスを含むフィールド(送信先IPアドレスフィールド)を抽出するものである。
さらに、無線端末管理テーブル27bは、無線端末識別番号と、マルチキャストグループID(Identification)と、グループ識別信号と、マスタ/スレーブ識別信号とを関連付けて保持するものである。
(6−2)無線端末管理テーブル27b
図6は本発明の第1実施形態に係る無線端末管理テーブル27bの一例を示す図であり、この図6に示す無線端末管理テーブル27bのマルチキャストグループIDは、マルチキャストルータ10に保持されたマルチキャストグループ情報に基づいて得られる。グループ識別番号は、マルチキャストグループIDについて、さらに細分化したものであって基地局22が割り当てるものである。また、無線端末識別番号は基地局22がセル内の無線端末40とメッセージを交換することにより得られる。そして、マスタ端末は無線端末識別番号によりグループ化された無線端末40のうちの基地局22に最も近い無線端末40を保持している。この理由は、マスタ端末は、グループに属する他の全スレーブ端末を代表するので、セルが基地局22を中心に形成される以上、基地局22と確実に通信でき、かつ他のスレーブ端末からの応答信号を受信できる位置にいる必要があるからである。
また、マルチキャストグループID(第1のグループ識別情報)とグループ識別番号(第2のグループ識別情報)とは、いずれも、30台の無線端末40を階層的に細分化するためのものとして割り当てられている。この細分化は、無線端末40の上位アプリケーションソフトウェアが、セル内の無線端末40の台数を監視することにより行なわれ、無線端末40の台数の増加に伴う無線アクセスネットワーク101の負荷を軽減するために行なわれる。
具体的には、グループ識別番号のみを用いて無線端末40を管理すると、無線端末40の数が増加するにしたがい、グループ数が増大し、各グループの無線端末40の返送タイミングが重複する。従って、無線端末40の上位アプリケーションが、予め、第2のグループ識別情報(マルチキャストグループID)および必要に応じて第3のグループ識別情報を生成するようになっている。
これにより、グループ識別番号Aは無線端末#1〜#10を識別し、また、グループ識別番号B〜Eは、それぞれ、無線端末#11〜#20に対応付けられて保持されている。従って、基地局22は、無線アクセスネットワーク101に属する各無線端末40の無線端末識別番号に基づいて各無線端末40をグループ化するようになっている。
これにより、図5に示す基地局22において、パケット受信部19が、上位のマルチキャストサーバ11又はマルチキャストルータ10からマルチキャストパケットを受信すると、グループ化処理部28は、無線端末識別番号を読み出して無線端末管理テーブル27bを参照し、グループ識別番号とマスタ/スレーブ識別信号とをRLPフレームに挿入し、そして、無線送信部26が、無線パケットを無線端末40に対して送信する。これにより、各無線端末40は、各無線端末40自身が、マスタ端末又はスレーブ端末(以下、マスタ/スレーブと表記する。)であることを識別する。
(6−3)基地局22の処理フロー
基地局22の処理フローについて図7を参照して詳述する。
図7は本発明の第1実施形態に係る基地局22の動作を説明するためのフローチャートである。パケット受信部19が上位側のマルチキャストルータ10からのパケットを受信すると(ステップC1)、IPヘッダ検出部23bは、受信パケットからIPヘッダを抽出し(ステップC2)、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cは、抽出されたIPヘッダから送信先IPアドレスフィールドを抽出し(ステップC3)、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスであるか否かを判定する(ステップC4)。
ここで、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスである場合、Yルートを通り、マスタスレーブ識別信号/グループ識別信号生成部27aは、無線端末管理テーブル27bに保持された無線端末識別番号を読み出して(ステップC5)、マスタ/スレーブ識別信号を生成し(ステップC7)、グループ識別信号を生成する(ステップC6)。そして、RLPフレーム処理部24は、生成されたグループ識別番号とマスタ/スレーブ識別信号と再送制御用カウンタ等とをそれぞれフレームに挿入してRLPフレームを生成する(ステップC8)。続いて、無線フレーム処理部25は、グループ識別番号およびマスタスレーブ識別信号等を含むRLPフレームを無線フレームに変換し(ステップC9)、無線送信部26は、変換された無線パケットをアンテナ50から無線端末40に送信する(ステップC10)。
なお、ステップC4において、送信先IPアドレスが、ブロードキャストアドレスの場合は、マルチキャストと同様にステップC5〜ステップC10の各処理を行なう。一方、送信先IPアドレスがマルチキャストアドレス又はブロードキャストアドレスでない場合は、Nルートを通り、ステップC8以降の通常のパケット処理が行なわれる。
このように、本発明の基地局22によれば、受信パケットがマルチキャストパケットであるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、処理を切り替えるので、基地局22における処理負荷が軽減され、無線リソースの有効利用が図れる。
次に、図8を参照して、マスタ端末について詳述する。なお、図8に示すもので上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものを表す。
(7)マスタ端末
(7−1)マスタ端末の構成
図8は本発明の第1実施形態に係る無線端末40(マスタ端末)のブロック図である。この図8に示す無線端末40は、(i)アンテナ51,共用器52からなる受信前段部と、(ii)無線受信部30a,無線フレーム処理部(第1無線フレーム処理部)30b,RLPフレーム処理部(第1RLPフレーム処理部)30c,受信バッファ32からなる受信処理部と、(iii)RLPフレーム処理部(第2RLPフレーム処理部)30d,無線フレーム処理部(第2無線フレーム処理部)30e,無線送信部30fからなる送信処理部と、(iv)マスタ端末としての処理を行なうマスタ端末管理部33とをそなえて構成されている。
(i)ここで、アンテナ51は、無線パケットを送受信するものであり、共用器52は受信パケットと送信パケットとを分離するものである。
(ii)また、無線受信部30aは、無線信号の周波数変換(ダウンコンバート)と復調とを行ないベースバンド信号を出力するものであり、第1無線フレーム処理部30bは、無線受信部30aにて復調されたベースバンド信号の先頭位置等のフレーム範囲を検出し、ベースバンド信号に含まれる余剰ビット等を除去するものである。
そして、第1RLPフレーム処理部30cは、第1無線フレーム処理部30bにて処理されたフレームから配信データを出力するものである。また、第1RLPフレーム処理部30cは、無線パケットの誤り訂正用ビットの除去およびパケットの再送制御等を行なう。なお、再送制御は、基地局22から受信するフレーム総数,受信済みのフレーム数と、基地局22に対して送信するフレーム総数,送信済みのフレーム数とをカウントする。
受信バッファ32は、第1RLPフレーム処理部30cからのデータを保持するものである。すなわち、受信バッファ32は、受信した各無線パケットに含まれる誤り訂正用ビットとパケットの再送制御用ビットとのそれぞれが除去されたデータを保持する。
(iii)さらに、第2RLPフレーム処理部30dは、クライアント端末からのデータと、マスタ端末管理部33からスレーブ端末に対する問い合わせ要求信号データとについてRLPフレーム処理するものであり、第2無線フレーム処理部30eは、RLPフレーム処理されたパケットについて配信システム100の仕様に基づくフォーマット処理を行なうものであり、そして、無線送信部30fはフォーマット処理されたパケットを無線送信するものである。
(iv)そして、マスタ端末管理部33は、グループ識別信号抽出部33aと、マスタ/スレーブ識別信号抽出部33bと、スレーブ端末応答信号抽出部33cと、マスタ端末制御部33dと、スレーブ端末管理テーブル33eと、スレーブ端末問い合わせ要求信号生成部33fと、送信バッファ31gとをそなえて構成されている。
ここで、グループ識別信号抽出部33aは、第1RLPフレーム処理部30cにてRLPフレーム処理されたパケットからグループ識別信号を抽出し、抽出したグループ識別信号を、マスタ端末制御部33dに入力するものである。
マスタ/スレーブ識別信号抽出部33bは、第1RLPフレーム処理部30cにてRLPフレーム処理されたパケットから、マスタ/スレーブ識別信号を抽出し、抽出したマスタ/スレーブ識別信号をマスタ端末制御部33dに対して入力するものである。
そして、スレーブ端末応答信号抽出部33cは、無線端末40自身がスレーブ端末に対して送信した確認要求に対し、そのスレーブ端末が送信した応答信号を抽出するものであって、受信バッファ32に保持された多数の保持領域の中からスレーブ端末からの応答信号データを抽出するのである。
さらに、マスタ端末制御部33dは、(i)スレーブ端末から送信される各種のメッセージ(グループ識別信号,マスタ/スレーブ識別信号およびスレーブ端末からの応答信号)の受信処理と、(ii)自端末を含めて複数のスレーブ端末からの応答信号を一括した一括応答信号の送信処理と、(iii)複数のスレーブ端末に対する問い合わせ要求信号の生成処理とのそれぞれを行なうものである。
また、送信バッファ31gは、マスタ端末制御部33dからの一括応答信号データと、ホストサーバ21側からの信号データとを保持するものである。
(7−2)本発明のマスタ端末
上記の無線受信部30aは、自端末を除く40台の無線端末40,41から、マルチキャストパケットの受信に対する応答信号をW−CDMA方式(第1の無線通信方式)により基地局22を介さずに受信する受信手段として機能している。
さらに、マスタ端末管理部33は、受信手段(無線受信部30a)により受信した応答信号と、自端末における前記マルチキャストパケットの受信に対する応答信号とに基づいて一括応答信号を生成し、基地局22に対して周波数ホッピング等(第2の無線通信方式)により送信する一括応答手段として機能している。
(7−3)スレーブ端末管理
また、図9は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末管理テーブル33eの一例を示す図である。この図9に示すスレーブ端末管理テーブル33eは、マルチキャストグループID「1」と、グループ識別番号「グループA」と、スレーブ端末識別番号「#2」,「#3」,「#4」とをそれぞれ関連付けて保持するものである。ここで、マルチキャストグループIDはマルチキャストサーバ11が配信するマルチキャストデータを識別するものであり、グループ識別番号は、このマルチキャストグループIDについて基地局22が割り当てた無線リンクを識別するものであり、また、マルチキャストグループIDおよびグループ識別番号は、ともに、マスタ端末#1が、基地局22との間におけるメッセージ交換によって得られる。
そして、スレーブ端末識別番号はマスタ端末の配下のスレーブ端末を表し、マスタ端末管理部33のスレーブ端末問い合わせ要求信号生成部33fが、各スレーブ端末#2,#3に対して、問い合わせ要求信号を順次通知し、各スレーブ端末#2,#3からの応答信号に含まれるスレーブ端末識別番号を抽出することにより得られる。なお、マスタ端末は、この問い合わせ要求/応答によってグループ内のスレーブ端末の稼動台数を把握するようにもなっている。マスタ端末#1は、このスレーブ端末識別信号を、スレーブ端末管理テーブル33eに書き込み、逐次、更新される。
さらに、他のスレーブ端末#1,#3は、いずれも、マスタ端末#1との端末間通信によって、マスタ/スレーブ識別信号を共有している。
これにより、スレーブ端末#1,#3は、マルチキャストサーバ11からのマルチキャストパケットを受信すると、その応答を直接的に基地局22に返送せずに、マスタ端末#2に対して送信する。また、マスタ端末#2は、受信した応答信号を、送信バッファ31gに保持し、その保持した応答信号を所定タイミングで読み出して、自端末を含めた一括した一括応答信号を基地局22に対して返送するのである。
このように、グループAに属する3台の無線端末#1〜#3のうちの無線端末#2だけが、応答信号を送信するので、無線端末#1,#3が「応答」を返送するためだけに確保する無線リンク数を減少できる。特に、一グループに属する無線端末40の台数が多い場合は、顕著な効果を得ることができ、各無線端末40が占有する無線リンク数を減少させることができる。
さらに、他のグループB,Cに属する無線端末40についても、グループAに属する無線端末#1と同様に、マスタ端末のみが基地局22に対して応答信号を送信し、スレーブ端末は応答信号をマスタ端末に送信し、マスタ端末がその応答信号をー括して基地局22に送信する。
(7−4)マスタ端末の処理フロー
次に、マスタ端末が基地局22からデータを受信したときの処理と、マスタ端末がスレーブ端末からデータを受信したときの処理との各処理フローについてそれぞれ図10,図11を参照して詳述する。
図10は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末の下り方向パケットの受信処理を説明するためのフローチャートである。マスタ端末の無線受信部30aは基地局22からのパケットデータを受信すると(ステップD1)、グループ識別信号抽出部33aは、受信データからグループ識別信号を抽出し(ステップD2)、また、受信データからマスタ/スレーブ識別信号を抽出し(ステップD3)、抽出したマスタ/スレーブ識別信号がマスタ又はスレーブの種別を判定する(ステップD4)。そして、マスタ/スレーブ識別信号が「スレーブ」の場合は、「スレーブ」と付したルートを通り、制御がスレーブ端末に移動する(Bと付した処理ステップD5)。
一方、各マスタ/スレーブ識別信号がマスタの場合は、「マスタ」と付したルートを通り、スレーブ端末問い合わせ要求信号生成部33fは、各スレーブ端末への問い合わせ要求信号を生成する(ステップD6)。そして、マスタ端末のRLPフレーム処理部30dは、RLPフレームを生成し(ステップD7)、無線フレーム処理部30eは、無線フレームを生成し(ステップD8)、そして、無線送信部30fは、スレーブ端末に対してパケットデータを送信する(ステップD9)。
このように、本発明のマスタ端末によれば、マルチキャストサーバからのパケットに含まれるマスタ/スレーブ識別信号に基づいて処理を切り替えるので、処理負荷が軽減され、無線リソースの有効利用が図れる。
次に、図11は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末の上り方向パケットの送信処理を説明するためのフローチャートである。マスタ端末の無線受信部30aはスレーブ端末からのパケットデータを受信すると(ステップE1)、グループ識別信号抽出部33aは、受信データからグループ識別信号を抽出し(ステップE2)、抽出したグループ識別信号がマスタ端末自身の属するグループ(自グループ)であるか否かを判定する(ステップE3)。ここで、グループ識別信号が自グループでない場合は、Nルートを通り、パケットの宛先がないので処理を終了する(ステップE4)。一方、グループ識別信号が自グループである場合は、Yルートを通り、受信データからスレーブ端末の応答信号を抽出し(ステップE5)、その応答信号種別を判定する(ステップE6)。
ここで、応答信号種別が「問い合わせ応答信号」である場合は、「問い合わせ応答信号」と付されたルートを通り、さらに、マスタ端末制御部33dは、そのスレーブ端末の識別信号がスレーブ端末管理テーブル33eに保持されているか(管理テーブルに有り)又は保持されていないか(管理テーブルになし)を判定する(ステップE7)。そして、「管理テーブルに有り」のときは「有り」と付されたルートを通り、ステップE9にて、全スレーブ端末からの応答信号の有無が判定される。
この一方、ステップE6において、応答信号種別が「マルチキャスト応答信号」である場合は、マスタ端末制御部33dは、「マルチキャスト応答信号」と付されたルートを通り、ステップE9以降の処理を行なう。
さらに、ステップE7において、「管理テーブルになし」のときは「なし」と付されたルートを通り、マスタ端末制御部33dは、スレーブ端末管理テーブル33eを更新する(ステップE8)。
そして、ステップE9において、マスタ端末制御部33dは、自端末を含め全スレーブ端末からの応答信号の有無を判定し、未だ全スレーブ端末からの応答信号を受信していない場合は、Nルートを通り、ステップE5以降の処理を繰り返す。また、全スレーブ端末からの応答信号を受信している場合は、Yルートを通り、マスタ端末制御部33dは、送信バッファ31gに保持されている全スレーブ端末からの応答信号をあわせて一括応答信号を生成する(ステップE10)。
そして、マスタ端末のRLPフレーム処理部30dは、RLPフレームを生成し(ステップE11)、無線フレーム処理部30eは、無線フレームを生成し(ステップE12)、そして、無線送信部30fは、基地局22に対してパケットデータを送信する(ステップE13)。
このように、スレーブ端末は、マルチキャストサーバ11からのマルチキャストパケットを受信しても、その応答信号を直接的に基地局22に返送せずに、マスタ端末に対して送信し(ステップE1)、マスタ端末は、全スレーブ端末からの応答信号を受信し続け(ステップE9)、全スレーブ端末からの応答信号を受信したときに、全応答信号を一括して基地局22に対して返送する。
従って、スレーブ端末からの応答信号の数が大幅に減少するので、輻輳が防止され、かつ無線リソースを有効に用いることができる。
(8)スレーブ端末
(8−1)スレーブ端末の構成
次に、図12は本発明の第1実施形態に係る無線端末41(スレーブ端末)のブロック図である。この図12に示す無線端末41は、図8に示す無線端末40とほぼ同一の構成であり、スレーブ無線端末管理部(スレーブ端末管理部)34をそなえて構成されている。このスレーブ端末管理部34は、基地局22からの配信データを受信するとともに、無線端末41が属するグループのマスタ端末に対して情報データを送信する。そして、スレーブ端末問い合わせ要求信号抽出部34aは、マスタ端末からの問い合わせ要求信号を抽出するものである。さらに、スレーブ端末問い合わせ応答信号生成部34cは、スレーブ端末制御部34bから問い合わせ要求メッセージに応じて、マスタ端末#1に対して、RLPフレーム処理部30d等を介して、応答信号を送信するものである。なお、図12に示すもので上述したものと同様の符号を有するものは同一のもの又は同一機能を有するものであり、それらについての重複説明を省略する。
これにより、無線端末41は、マスタ/スレーブ識別信号の抽出によって、自身がスレーブ端末であると判断すると、RLPフレームに組み込まれたグループ識別番号を抽出し、そして、マスタ端末#1からの問い合わせ要求信号を受信すると、応答信号を生成してマスタ端末#1に返送する。
また、上位のマルチキャストサーバ11又はマルチキャストルータ10に対する返送は、クライアント端末21からのIPパケットデータのヘッダ部から送信先IPアドレスフィールド情報を抽出し、送信先がマルチキャストサーバ11であることを判定することで、応答信号の返送先をマスタの無線端末40に切り替えて応答信号を返送する。
(8−2)スレーブ端末の処理フロー
次に、図13は本発明の第1実施形態に係るスレーブ端末の送受信処理を説明するためのフローチャートである。スレーブ端末の無線受信部30aは、基地局22を介してマルチキャストサーバ11からのパケットデータを受信すると(ステップF1)、受信データからIPヘッダを抽出し(ステップF2),さらに、送信先IPアドレスフィールドを抽出し(ステップF3)、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスであるか否かを判定する(ステップF4)。
ここで、マルチキャストアドレスと判定された場合は、Yルートを通り、スレーブ端末問い合わせ応答信号生成部34cは、マルチキャスト応答信号を生成し(ステップF5)、RLPフレーム処理部30dは、RLPフレームを生成し(ステップF9)、無線フレーム処理部30eは、無線フレームを生成し(ステップF10)、そして、無線送信部30fは、マスタ端末に対してデータを送信する(ステップF11)。さらに、ステップF4にて、マルチキャストアドレスと判定されない場合は、Nルートを通り、ステップF9以降の処理を行なう。
また、図10のBの処理(F6)に対応し、スレーブ端末が基地局22からマスタ端末を介して問い合わせ要求信号を受信すると(ステップF7)、マスタ端末への問い合わせ応答信号を生成して(ステップF8)、マスタ端末にその問い合わせ応答信号を送信する(ステップF9〜ステップF11)。
このように、スレーブ端末は、受信パケットがマルチキャストサーバ11からのものか、又はマスタ端末からのものかの判定結果に基づいて、マスタ端末に対する問い合わせ応答信号の生成又は非生成を切り替えるので、無線リンクにおける応答信号の数が抑制され、輻輳制御できる。そして、無線リソースの有効利用が図れる。
また、例えば3GPP(3rd Generation Partnership Project)にて、マルチメディアサービスのブロードキャスト/マルチキャスト通信方式のMBMS(Multimedia Broadcast/Multicast Service)においても、無線基地局22側からの配信開始、あるいは、無線基地局22からの認証解除や暗号化解除のためのキー情報を無線端末に配信したのちに、無線端末から一斉に応答信号を返送する場合においても、有効に輻輳制御ができる。
このように、やはり、単なる応答信号を送信するだけの無線リンクが設定されないので、物理的な回線数を節約できる。
(9)動作説明
(9−1)応答信号の送信タイミング
図14(a)〜図14(d)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る応答信号の送信タイミングを示す図である。
ここで、基地局22は、時刻tMにおいて、マルチキャストパケットを(下り方向)に送信しようとしたときに、各無線端末40の返送タイミングを予め各無線端末40に通知する。各無線端末40はその返送タイミングに基づいて返送される。また、無線端末#1〜#3と基地局22とが用いる周波数は特定のものが割り当てられている。
この図14(a)に示す基地局22は、時刻tMにて下り方向のグループA,B,Cに対してマルチキャストし、全無線端末40(グループA,B,Cの無線端末#1〜#3)は、マルチキャストに含まれる情報データを同時に受信する。ここで、各無線端末#1〜#3と基地局22とが通信するときと、各無線端末#1〜#3がグループ内において端末間で通信するときとのそれぞれに用いられる送信周波数は異なるようにしている。
次に、図14(b)に示すグループAの無線端末#2は無線端末#1に対してパケットを送信し(時刻1)、グループBの無線端末#2はグループBの無線端末#1(Master)に対してパケットを送信し、さらにグループCの無線端末#3はグループCの無線端末#1(Master)に対してパケットを送信する。
従って、基地局22がマルチキャストした無線パケットは、グループAの無線端末#1にて受信され、この無線端末#1が、グループAに属する他の無線端末#2,#3と、他のグループB,Cに属するマスタ端末#1とにそれぞれ送信する。すなわち、グループAの無線端末#1が、基地局22から受信したパケットを他のグループB,Cの無線端末#1,#2に対して中継送信する。
この中継送信は、さらに続けられ、グループAの無線端末#3はグループAの無線端末#1に対してパケットを送信(時刻4)、また、図14(c),図14(d)にそれぞれ示すグループB,Cの各無線端末#1も、グループAの無線端末#1とほぼ同様に、適度の間隔を空けて無線端末#1自身の各種情報データをグループB,Cの各無線端末#1のマスタ端末に送信する(時刻5,6)。
そして、グループAの無線端末#1は、グループAの無線端末#2,#3のほかに、各グループA,B,Cに属する無線端末40から得られた情報データを一括して基地局22に送信する(時刻7)。また、グループB,Cの各無線端末#1は、直接、インターネット側に接続したい場合に、情報データを一括返信できる(時刻8,9)。
このように、無線アクセスネットワーク101の無線端末40が、基地局22に対して特定の期間内に集中した応答信号の返送が回避される。
(9−2)マルチキャストパケットの配信および応答
図15は本発明の第1実施形態に係るマスタ端末およびスレーブ端末と基地局22との間のメッセージ送受信を説明するためのシーケンスを示す図である。この図15に示すマスタ端末#1(無線端末40),スレーブ端末#2(無線端末41)はともにグループAに属する。また、グループB,Cにそれぞれ属するマスタ端末#1,スレーブ端末#2はいずれも図15に示すシーケンスと同一のシーケンスなので重複説明を省略する。L1M,L1S等を付したものはメッセージ又は処理を表す。
基地局22は、マスタ端末#1,スレーブ端末#2に対してそれぞれ確認要求(配下の無線端末の確認要求)を送信する(L1M,L1S)。マスタ端末#1,スレーブ端末#2は、この確認要求を受信すると、マスタ端末#1,スレーブ端末#2自身の識別番号を含む確認応答を基地局22に通知する(L2M,L2S)。次に、基地局22は、各確認応答を受信すると、配下のマスタ端末#1,スレーブ端末#2のメンバーリストを作成し(L3)、このメンバーリストに基づいてグループリストを作成し(L4)、また、作成したグループリスト情報としてマスタ端末#1,スレーブ端末#2に対してそれぞれグループ識別番号を通知する(L5M,L5S)。そして、マスタ端末#1,スレーブ端末#2は、それぞれ、受信したグループ識別番号を管理テーブル33eに格納し、応答信号返送時刻を設定する(L6M,L6S)。ここで、マスタ端末#1,スレーブ端末#2は、ともに、返送タイミングからα時間経過後の期間において、ランダムな時間を決定又は設定しているからである。そして、基地局22は、マスタ端末#1,スレーブ端末#2に対して、それぞれ、マスタ/スレーブ識別信号を通知する(マスタ通知,スレーブ通知;L7M,L7S)。マスタ端末#1,スレーブ端末#2は、受信したマスタ/スレーブ識別信号を、いずれも、メモリに書き込む(L8M,L8S)。この状態において、基地局22がマルチキャストルータ10からのマルチキャストパケット(マルチキャストデータ)を受信すると(L9)、そのマルチキャストデータをマスタ端末#1とスレーブ端末#2および他のスレーブ端末に対して配信する(L10)。ここで、マスタ端末#1はマルチキャストパケットを受信すると、スレーブ端末#2ほかのスレーブ端末の処理時間を考慮した時間、待ち合わせ処理により待機状態になる。スレーブ端末#2はマルチキャストパケットを受信すると、応答信号を基地局22ではなく、マスタ端末#1に対して返送する(L11)。また、マスタ端末#1は、(L10)にてマルチキャストパケットの受信後、待ち合わせ時間経過後、基地局22に対して、応答信号を返送する(L12)。
このように、マスタ端末#1は、同一グループに属する無線端末の処理時間に合わせて応答信号を基地局22に返送する。
このように、第1実施形態においては、マスタ端末#1がスレーブ端末#2の返送信号を代理返信するので、無線リンクの占有時間が短縮化され、輻輳が回避される。
また、ブロードキャストパケットの転送については、マルチキャストパケットとほぼ同一であり、配信システム100は、ブロードキャストを用いた場合においても、マルチキャストと同様な効果が得られる。
このようにして、無線アクセスネットワーク101において、ブロードキャスト/マルチキャスト通信によって無線端末側にデータが配信された後に、無線端末側から基地局22に対して発生する上り方向の無線アクセスネットワーク101における輻輳発生を抑制でき、無線リソースの有効利用が図れるとともに、基地局22における処理負荷が軽減できる。
(B)本発明の第2実施形態の説明
第2実施形態は、無線アクセスネットワーク101において、基地局が、ブロードキャスト/マルチキャストした後に、ブロードキャスト/マルチキャストメンバーから応答される場合に、各グループの無線端末(図21の無線端末42)が、基地局に対して応答タイミングをずらすことにより輻輳を回避するようにしている。
(B1)無線アクセス方式
そして、同一グループに属する無線端末の返送タイミングは、基地局の同一受信スロットにし、また、各グループ間における返送タイミングを時間オフセットのようにずらす処理をも用いることによって、返送タイミングは相互に異なるようにできる。これにより、基地局は、多数の無線端末からの応答について処理可能となる。
さらに、CDMA方式を用いることにより、多重化コードを分離できるので、許容できる多重度数以内でグループを形成し、各無線端末を同時に応答させるようにもできる。
ここで、グループ毎に異なる受信枠を定義した理由を説明する。
本発明の配信システムは、IPマルチキャストを前提としているので、上位アプリケーションがサービスする内容によっては、1台の基地局の配下に設けられた無線端末の数が増大する。この状況において、ACK衝突の発生確率を低下させるために、グループ毎に異なる受信枠を設定することが必要である。
また、無線インタフェースに、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:搬送波感知多重アクセス/衝突回避)方式を用いた場合には、ACK衝突が発生した後に、全無線端末が待ち合わせ状態になる。従って、ACK衝突の頻度が高くなると、待ち合わせ状態の累積時間が長くなり、配下の端末がACKの返送処理を完了するまでに多くの時間を要する。この状態において、上位側装置にてACK応答待ちタイムアウトとなるケースも生じうるので、このタイムアウトを回避するためにも受信枠を設定することが有効である。
また、無線インタフェースにおいて、3GPP(W−CDMAを用いた場合)のようなランダムアクセス制御を用いた場合においても、上り方向の通信チャネル確保において待ち時間が短縮できる。
さらに、同一のマルチキャストグループにおいても、各クライアント端末21に優先度のようなユーザ識別情報を付与し、この優先度に応じてクライアント端末21又は無線端末をグループ化することもある。この場合は、優先度の高いクライアント端末21に対しては、ACKの返送タイミングが早くなるように、早期に所望の受信枠を設定する等の振り分け処理を可能とする。
(B2)返送タイミング
図16は本発明の第2実施形態に係るグループ毎の返送タイミングを説明するための図である。この図16に示す無線アクセスネットワーク101aは、基地局22′と、各3台の無線端末(以下、無線端末#1〜#3と表示する。)からなるグループA,B,Cとをそなえて構成されている。ここで、グループA,B,Cはいずれも基地局22′によって割り当てられたものである。グループAに属する無線端末#1〜#3は、ともに、t1+α期間内に基地局22′に対して応答信号を送信している。また、グループBに属する無線端末#1〜#3は、t2+α期間内に基地局22′に対して応答信号を送信し、そして、グループCに属する無線端末#1〜#3は、ともに、t3+α期間内に基地局22′に対して応答信号を送信するようになっている。
これにより、基地局22′が、下り方向の全無線端末(グループA,B,Cの全無線端末#1〜#3)に対してマルチキャストデータを配信する。一方、グループAに属する3台の無線端末#1〜#3は、マルチキャストサーバ11から配信されたマルチキャストパケットを受信すると、同一の返送タイミングで応答信号を上り方向の基地局22′に送信する。また、グループB,Cに属する各3台の無線端末#1〜#3は、グループAに属する3台の無線端末#1〜#3の返送タイミングと異なるタイミングで応答信号を基地局22′に送信する。
そして、グループA,B,Cの各3台の全無線端末#1〜#3は、上り方向の基地局22′に対して予め決定された返送タイミングで応答信号を返送する。
図17(a)〜図17(d)はそれぞれ本発明の第2実施形態に係る配信パケットおよび応答信号の送受信タイミングチャートを示す図である。基地局22′が、この図17(a)に示す時刻t0にてマルチキャストパケット(下り方向)を送信する。基地局22′は、各無線端末#1〜#3の返送タイミングを予め各無線端末#1〜#3に通知し各無線端末#1〜#3はその返送タイミングに基づいて返送処理を行なう。
具体的には、時刻t0からt1時間経過後、時刻t0からt2時間経過する前までに、図17(b)に示すグループAの各無線端末は、基地局22′に対して応答信号を返信する。また、図17(c)に示すグループBの各無線端末42は、時刻(t0+t2)から時刻(t0+t3)までに応答信号を返信し、図17(d)に示すグループCの各無線端末42は、時刻(t0+t3)から応答信号を返信する。
このように、無線アクセスネットワーク101aの無線端末#1〜#3が、基地局22′に対して特定の期間内に集中した応答信号の返送が回避される。
(12)基地局22′
(12−1)基地局22′の構成
図18は本発明の第2実施形態に係る基地局22′のブロック図である。この図18に示す基地局22′は、基地局22とほぼ同一の機能を有し、パケット受信部19と、グループ化処理部23と、RLP(Radio Link Protocol:無線リンク制御プロトコル)フレーム処理部24と、無線フレーム処理部25と、無線送信部26と、アンテナ50とをそなえて構成されている。
ここで、グループ化処理部23は、無線アクセスネットワーク101aに属する各無線端末42の無線端末識別番号に基づいて30台の無線端末42をグループ化したグループ識別情報を各無線端末に付与するとともにグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てるものであって、送信バッファ23a,IPヘッダ検出部(IPヘッダ検出部)23b,送信先IPアドレスフィールド抽出部23c,無線端末管理テーブル23e,テーブル検索およびグループ識別信号生成部(以下、テーブル検索/グループ識別信号生成部と表示する。)23dをそなえて構成されている。
ここで、送信バッファ23aは、送信するパケットを保持するものであり、IPヘッダ検出部23bは、この送信バッファ23aに保持されたパケットからIPヘッダを抽出するものであり、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cは、IPヘッダ検出部23bにて抽出されたヘッダから送信先IPアドレスフィールドを抽出するものである。
さらに、無線端末管理テーブル23eは、無線アクセスネットワーク101aに属する各無線端末#1〜#3の無線端末識別番号を保持するものである。
図19(a)は本発明の第2実施形態に係る無線端末管理テーブル23eの一例を示す図である。この図19(a)に示す無線端末管理テーブル23eは、マルチキャストグループID(第2のグループ識別情報)とグループ識別番号(第1のグループ識別情報)と無線端末識別番号とをそれぞれ関連付けて保持している。
なお、無線端末42の台数がさらに多数(例えば100台)の場合、基地局22′の上位アプリケーションが、第3のグループ識別情報として、例えば図19(b)に示すグループα,β,γ等を新たに生成し、各グループの無線端末#1〜#3の返送タイミングの重複を回避して輻輳を防止する。
また、テーブル検索/グループ識別信号生成部23d(図18)は、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cにて抽出された送信先IPアドレスフィールドと無線端末管理テーブル23eに保持された無線端末識別番号とに基づいてグループ識別信号を生成するものである。
次に、RLPフレーム処理部24は、例えば、受信パケットに含まれる誤り訂正用ビットの除去、無線区間におけるパケット再送制御用のカウンタ(数ビットのカウンタビット)やタイマ値をフレームに書き込む等の処理を行なうものである。具体的には、カウント対象のデータ例は、送信フレームの総数,無線端末に対する送信済みのフレーム個数,受信フレームの総数,無線端末から受信済みのフレーム個数等である。さらに、RLPフレーム処理部24は、テーブル検索/グループ識別信号生成部23dにて生成されたグループ識別信号を送信パケットに挿入するようにもなっている。
そして、無線フレーム処理部25は、RLPフレーム処理部24にてカウンタが書き込まれたパケットについて、符号化又は誤り訂正処理等を行なうものである。
さらに、無線送信部26は、グループ化処理部にて得られたグループ識別情報および応答タイミングと、コアネットワーク102側から転送されたバケットについてRLPフレーム処理および無線フレーム処理された無線パケットとを30台の無線端末42に対して送信するものである。なお、無線送信部26は、無線信号の変調等の処理をも行なう。また、アンテナ50は、無線送信部26からの無線パケットを送信するものである。
(12−2)基地局22′の処理フロー
図20は本発明の第2実施形態に係る基地局22′の動作を説明するためのフローチャートである。基地局22′のパケット受信部19は、上位側のマルチキャストルータ10からのパケットデータを受信すると(ステップA1)、IPヘッダ検出部23bは、受信データからIPヘッダを抽出し(ステップA2)、送信先IPアドレスフィールド抽出部23cは、抽出されたIPヘッダから送信先IPアドレスフィールドを抽出し(ステップA3)、送信先IPアドレスが、マルチキャストを表すマルチキャストアドレスであるか否かを判定する(ステップA4)。
ここで、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスである場合、Yルートを通り、テーブル検索/グループ識別信号生成部23dはグループ識別信号を生成する(ステップA5)。具体的には、テーブル検索/グループ識別信号生成部23dは、無線端末管理テーブル23eに保持された無線フレーム又はRLPフレームに挿入する無線端末識別番号を参照することにより、配下の無線端末42についてグループ化する。そして、RLPフレーム処理部24は、例えば再送制御用のカウンタおよびグループ識別番号をフレームに挿入してRLPフレームを生成する(ステップA6)。続いて、無線フレーム処理部25はグループ識別番号を含むパケットをフレーム処理し(ステップA7)、そして、無線送信部26はフレーム処理された無線パケットをアンテナ50から無線端末42側に送信する(ステップA8)。
なお、ステップA4において、送信先IPアドレスが、マルチキャストアドレスでない場合は、テーブル検索/グループ識別信号生成部23dは、グループ識別信号を生成せずに、Nルートを通り、ステップA6以降の各処理が行なわれる。
このように、本発明の基地局22′によれば、受信パケットがマルチキャストパケットであるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、処理を切り替えるので、基地局22′における処理負荷が軽減され、無線リソースの有効利用が図れる。
(13)無線端末42
(13−1)無線端末42の構成
図21は本発明の第2実施形態に係る無線端末42のブロック図である。この図21に示す無線端末42のうちの返送タイミングを設定する返送タイミング処理部31について詳述する。
返送タイミング処理部31は、グループ識別信号抽出およびテーブル参照部(以下、グループ識別信号抽出/テーブル参照部と表示する。)31aと、返送タイマ設定部31cと、バッファ制御部31dと、送信バッファ31gと、返送タイマ値管理テーブル31bと、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eと、IPヘッダ検出部31fとをそなえて構成されている。
グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aは、第1RLPフレーム処理部30cにてRLPフレーム処理されたパケットからグループ識別信号を抽出し、抽出したグループ識別信号に割り当てられた返送タイミングを、返送タイマ値管理テーブル31bを参照して決定するものである。すなわち、グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aは、無線受信部30aにて受信されたグループ識別信号に対応する応答タイミングを、返送タイマ値管理テーブル31bから読み出して決定する応答タイミング決定部として機能している。
図22は本発明の第2実施形態に係る返送タイマ値管理テーブル31bの一例を示す図である。この図22に示す返送タイマ値管理テーブル31bは、無線端末識別番号と、グループ識別番号と、返送タイマ値(応答タイミング値)と、送信先アドレスとを関連付けて保持するものである。具体的には、無線端末識別番号#1は例えば無線端末42自身に割り当てられた番号であり、グループ識別番号は、無線端末42が属するグループA,Cを識別するものである。
そして、返送タイマ値は、無線端末42が基地局22′に対して応答信号を返送するまでの待機時間を表し、無線端末42がグループAのメンバーとして動作する場合のタイマ値(例えば100秒)と、グループCのメンバーとして動作する場合のタイマ値(例えば200秒)とのそれぞれを保持している。なお、タイマ値は100秒等の真値の代わりに、100秒を表す「1」,200秒を表す「2」等の値を用いることもできる。また、送信先アドレスは、無線端末42がグループA又はグループCのメンバーになったときに送信するサーバのアドレスを表す。
これにより、無線端末42がグループAに属する場合は、例えば100秒間だけ待機してサーバ1に対して応答信号を送信する。
次に、返送タイマ設定部31cは、グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aにて決定されたタイマ値を、送信するパケットを保持する送信バッファ31gを制御又は管理するバッファ制御部31dに設定するものである。
さらに、IPヘッダ検出部31fは、クライアント端末21からのIPパケットのIPヘッダを抽出するものであり、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eは、IPヘッダ検出部31fにて抽出されたIPヘッダから、送信先IPアドレスフィールドを抽出して抽出した送信先IPアドレスをバッファ制御部31dに入力するものである。
これにより、無線端末42において、無線受信部30aが上位のマルチキャストサーバ11又はマルチキャストルータ10側からの無線パケットを受信すると、第1RLPフレーム処理部30cにおいて処理されたデータは、クライアント端末21および返送タイミング処理部31のそれぞれに送信される。ここで、クライアント端末21は、処理データを受信すると、配信のための無線リンクを設定する。
一方、グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aは、RLPフレームに挿入されたグループ識別番号を抽出し、そのグループ識別番号について返送タイマ値管理テーブル31bを参照して返送タイマ値管理テーブル31bに保持された返送タイマ値を読み出し、返送タイマ値設定部31cは、読み出されたタイマ値をバッファ制御部31dに設定する。さらに、クライアント端末21からのIPパケットはIPヘッダ検出部31fにて抽出され、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eにおいて、抽出されたIPヘッダから送信先IPアドレスが取得され、送信先IPアドレスがマルチキャストサーバ11宛か否かが判定され、この判定結果に基づいて返送タイミング調整の有無が決定される。
これにより、送信バッファ31gにおける返送タイミングが制御される。
(13−2)無線端末の処理フロー
次に、無線端末42の処理フローについて図23を参照して詳述する。
図23は本発明の第2実施形態に係る無線端末42の動作を説明するためのフローチャートであって、無線端末42が基地局22′およびクライアント端末21のそれぞれからパケットデータを受信したときの処理が表示されている。
無線端末42は基地局22′からのパケットデータを受信すると(ステップB1)、グループ識別信号抽出/テーブル参照部31aは、受信データからグループ識別信号を抽出し(ステップB2)、抽出したグループ識別信号について返送タイマ値管理テーブルからグループに対応するタイマ値を読み出して(ステップB3)、返送タイマ値設定部がバッファ制御部に返送タイマ値を設定する(ステップB4)。
一方、無線端末42は、クライアント端末21からパケットデータを受信すると(ステップB5)、IPヘッダ検出部31fが受信データからIPヘッダを抽出し(ステップB6)、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eは送信先IPアドレスフィールドから送信先IPアドレスを抽出し(ステップB7)、抽出した送信先IPアドレスが、マルチキャストサーバ11のアドレスであるか否かを判定する(ステップB8)。
ここで、マルチキャストサーバ11のアドレスである場合、Yルートを通り、送信先IPアドレスフィールド抽出部31eは、バッファ制御部31dに返送タイマ値を設定する(ステップB9)。そして、ステップB10において、タイマがタイムアップしたか否かが、監視され続ける(Nルート参照)。タイムアップすると、Yルートを通り、第2RLPフレーム処理部30dは、RLPフレームを生成し(ステップB11)、無線フレーム処理部30eは、無線フレームを生成し(ステップB12)、無線送信部30fは、基地局22′に対してパケットデータを送信する(ステップB13)。なお、ステップB8において、抽出された送信先アドレスがマルチキャストサーバ11のアドレスではないと判定されると、Nルートを通り、ステップB11以降の処理が行なわれる。
このように、本発明の無線端末42によれば、クライアント端末21からのパケットが、マルチキャストサーバ11宛か否かを判定しその判定結果に基づいて処理を切り替えるので、処理負荷が軽減され、やはり無線リソースの有効利用が図れる。
また、図24は本発明の第2実施形態に係る無線端末42および基地局22′間のメッセージ送受信を説明するためのシーケンスを示す図であり、グループAに属する無線端末#1〜#3はいずれもこの図24に示すシーケンスで同一処理する。なお、M1〜M11を付したものはメッセージ又は処理を表す。
基地局22′は、配下の無線端末42に対して、確認要求を送信する(M1)。無線端末42は、この確認要求を受信すると、無線端末42自身の識別番号を含む確認応答を基地局22′に通知する(M2)。
次に、基地局22′は、確認応答を受信すると、配下の無線端末42のメンバーリストを作成し(M3)、このメンバーリストに基づいてグループリストを作成し(M4)、また、作成したグループリスト情報として無線端末42に対してグループ識別番号を通知する(M5)。
無線端末42は、受信したグループ識別番号を管理テーブル31b(受信バッファ)に格納し(M6)、応答信号返送時刻を設定する(M7)。無線端末42は返送タイミングからα時間経過後の期間においてランダムな時間をメモリ等に設定する。
この状態において、基地局22′は、コアネットワーク102側からマルチキャストパケットを受信すると(M8)、マルチキャストパケットから抽出されたマルチキャストデータを無線パケットに挿入しその無線マルチキャストパケットを無線端末42に配信する(M9)。無線端末42は、基地局22′から配信されたマルチキャストパケットの受信後、M7にて設定した応答信号の返送時刻になるまで例えばt分間待ち合わせし(M10)、応答信号を基地局22′に返送する(M11)。
このように、グループAに属する無線端末42は、設定した返送時間に合わせて、一斉に応答信号を返送する。
また、グループB,Cに属する各無線端末42は、返送時間がグループAと異なる点以外は、グループAに属する無線端末42のシーケンスと同一である。そして、グループBに属する1台以上の無線端末42と、グループCに属する1台以上の無線端末42とは、それぞれ、グループAに属する無線端末42の返送時間と異なる返送時間(図17(C),図17(d)参照)で一斉に返送する。
また、ブロードキャストパケットの転送については、マルチキャストパケットとほぼ同一であり、配信システム100は、ブロードキャストを用いた場合においても、マルチキャストと同様な効果が得られる。
このように、本発明の無線端末42は、設定した返送時間に合わせて、一斉に応答信号を返送し、また、グループ毎に異なる返送タイミング(t1/t2/t3)で応答信号を送信するので、輻輳が回避される。
(C)その他
本発明は上述した実施態様およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
上記の相対関係は、主従関係のほかに、各スレーブ端末に割り当てた優先度を用いることもできる。
図2に示す無線端末40は、1波の無線リンクが割り当てられるので、通常、クライアント端末21の台数は1台である。一方、1台の無線端末40に2台以上のクライアント端末21を接続し、各クライアント端末21が時間分割することにより、30台のクライアント端末21を稼働することができる。
基地局22(22′)のグループ化は、無線端末識別番号に基づいて行なわれているが、クライアント端末21の端末識別番号を用いてグループ化することもできる。具体的には、基地局22(22′)は、配下のクライアント端末21に対して確認要求を送信する。無線端末40は、図3に示す確認要求をブリッジし、ブリッジした確認要求をそのままクライアント端末21に転送する。そして、クライアント端末21のAC/LLC制御部21cおよび有線物理レイヤ処理部21dは、ともに、ブリッジされた確認要求について下位プロトコル処理を行ない、処理した確認要求を、上位プロトコル処理部21a又はIPプロトコル処理部21bに通知する。これにより、クライアント端末21は、自分自身に対する確認要求を受信する。そして、クライアント端末21は、この確認要求に対して確認応答を、マルチキャストルータ10側に対して返送するのである。
なお、図18に示す基地局22′のグループ化処理部23は、全グループに同一の応答タイミングを割り当てることもできる。さらに、グループ化処理部23は全グループのうちの一部のグループに同一の応答タイミングを割り当てるとともに、全グループのうちの他のグループについてグループ毎に異なる応答タイミングを割り当て可能である。また、アクセス方式がCDMAの場合、基地局22′は各グループの無線端末42の台数を、基地局22′自身の許容コード多重度数以内に設定し、全グループに同一の応答タイミングを割り当てできる。基地局22′は一部のグループに同一応答タイミングを割り当てし、他のグループにグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てすることもできる。
以上詳述したように、本発明の配信システムによれば、無線アクセスネットワークの無線基地局が、ブロードキャスト/マルチキャスト通信を用いて複数の無線端末にデータを配信した後に、無線端末から無線基地局に対して発生する上り方向の無線アクセスネットワークにおける輻輳発生を抑制でき、無線リソースの有効利用が図れるとともに、無線基地局における処理負荷が軽減でき、また、処理遅延の発生が回避され、安定した配信サービスが得られる。
また、フレーム処理されたデータについて、マルチメディアサービスのブロードキャスト/マルチキャスト通信方式を用いたMBMSに、本発明を適用することができる。
また、フレーム処理されたデータについて、マルチメディアサービスのブロードキャスト/マルチキャスト通信方式を用いたMBMSに、本発明を適用することができる。
Claims (11)
- 1又は複数の無線端末を有する無線ネットワークと、該1又は複数の無線端末とパケットを送受信する有線ネットワークとをそなえた配信システムであって、
該1又は複数の無線端末に接続され該有線ネットワークからのマルチキャストパケットを受信する複数のクライアント端末と、
各無線端末をグループ化しグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てし該1又は複数の無線端末および該有線ネットワーク側と通信する無線基地局と、
該複数のクライアント端末のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいて該マルチキャストパケットを該無線基地局側に転送するマルチキャストルータと、
該マルチキャストルータの該マルチキャストグループ情報に基づいて該マルチキャストパケットを該マルチキャストルータに転送するマルチキャストサーバとをそなえて構成されたことを特徴とする、配信システム。 - 該無線基地局が、
該無線ネットワークに属する各無線端末の無線端末識別情報に基づいて各無線端末をグループ化するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第1項記載の配信システム。 - 1又は複数の無線端末を有する無線ネットワークと、該1又は複数の無線端末とパケットを送受信する有線ネットワークとをそなえた配信システムにおける無線基地局であって、
該無線ネットワークに属する各無線端末の無線端末識別情報に基づいて該1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報を生成するグループ化処理部と、
該グループ化処理部にて生成された該グループ識別情報および該応答タイミングと、該有線ネットワーク側から転送されたパケットに起因する無線パケットとを該1又は複数の無線端末に対して送信する無線送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、無線基地局。 - 該グループ化処理部が、
該グループ識別情報に対応付けて該1又は複数の無線端末間の相対関係を表す相対関係情報を生成するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第3項記載の無線基地局。 - 該グループ化処理部が、
該グループ識別情報に対応付けてグループ毎に異なる応答タイミングを割り当てるように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第3項記載の無線基地局。 - 1又は複数の無線端末を有する無線ネットワークと、該1又は複数の無線端末とパケットを送受信するコアネットワークとをそなえた配信システムにおける無線端末であって、
該1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報を含む無線パケットを受信する無線受信部と、
該無線端末識別情報と、グループ識別番号と、応答タイミング値とを関連付けて保持する保持部と、
該無線受信部にて受信された該グループ識別情報に対応する応答タイミングを、該保持部から読み出して決定する応答タイミング決定部と、
該応答タイミング決定部にて決定された該応答タイミングで、応答信号を該無線基地局に対して送信する無線送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、無線端末。 - 該無線受信部にて受信された該無線マルチキャストパケットを、該1又は複数の無線端末に接続され該有線ネットワークからのマルチキャストパケットを受信する複数のクライアント端末に転送するとともに、該複数のクライアント端末からのパケットを該無線送信部に転送するクライアント端末転送部とをそなえて構成されたことを特徴とする、請求の範囲第6項記載の無線端末。
- 該無線基地局から送信された、該複数のクライアント端末間の相対関係を表す相対関係情報を管理する管理部を設け、
該無線送信部が、該管理部にて保持された該相対関係情報を、該無線端末自身が属するグループ内の他の1又は複数の無線端末に対して送信するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第6項記載の無線端末。 - 該管理部が、
該他の1又は複数の無線端末に対して問い合わせた稼動情報についての応答に応じて該他の1又は複数の無線端末の稼働情報を管理するとともに、該稼働情報を該無線基地局に対して一括して通知するように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第8項記載の無線端末。 - 複数の無線端末宛てに送信されたマルチキャストパケットを無線基地局から受信する無線端末において、
自端末を除く該複数の無線端末から、該マルチキャストパケットの受信に対する応答信号を第1の無線通信方式により該無線基地局を介さずに受信する受信手段と、
該受信手段により受信した応答信号と、自端末における前記マルチキャストパケットの受信に対する応答信号とに基づいて、一括応答信号を生成し、該無線基地局に第2の無線通信方式により送信する一括応答手段とをそなえたことを特徴とする、無線端末。 - 1又は複数の無線端末を有する無線ネットワークと、該1又は複数の無線端末とパケットを送受信するコアネットワークとをそなえた配信システムにおける配信方法であって、
マルチキャストルータが、該1又は複数の無線端末に接続され該有線ネットワークからのマルチキャストパケットを受信する複数のクライアント端末のうちのマルチキャスト対象のクライアント端末をグループ化したマルチキャストグループ情報に基づいて該マルチキャストパケットを無線基地局に転送し、
該無線基地局が、該1又は複数の無線端末をグループ化したグループ識別情報に基づいて該マルチキャストパケットを該無線端末に対して送信することを特徴とする、配信方法。
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