JPWO2005024498A1 - 空間光変調素子及び空間光変調方法 - Google Patents

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Abstract

変調駆動光として極短パルスの高パワーレーザー光を用いても光変調特性が劣化しない長寿命の空間光変調素子の提供。プリズム2と、光照射によって屈折率が変化する光機能性材料からなる光機能性材料層3との間に、前記誘電体の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明材料からなる低屈折率層4を介在させてなる空間光変調素子1。この空間光変調素子1を用い、プリズムと低屈折率層との界面でプリズムを通して入射される被変調光5の反射を変調駆動光6により制御することを特徴とする空間光変調方法。

Description

本発明は、ディスプレイ装置、光情報処理装置などに用いられる空間光変調素子及び空間光変調方法に関する。さらに詳細には、被変調光を反射させるために従来の金属層に代えて低屈折率層を用いて、被変調光を導波モードで閉じ込めるかまたは反射させることにより使用寿命が長く、変調応答感度が高く、高速度での光変調を可能にした空間光変調素子及び空間光変調方法に関する。
従来より、表面プラズモン共鳴を用いた空間光変調素子としては、プリズムの一面に金属層と、光照射により屈折率が変化する物質からなる光機能性膜(色素含有膜などとも称される)とを積層してなる素子が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照。)。この素子は、変調するべき被変調光をプリズムを通して入射し、金属膜で閉じ込めるかまたは反射させてプリズムから出射する際に、光機能性膜に変調駆動光を必要に応じて照射することにより、変調駆動光のON/OFFによって被変調光の閉じ込め条件を変化させ高速光変調を実行可能な構造を有する素子である。
特開平5−273503号公報 特開2000−292758号公報 特開2000−314857号公報 特開2000−314859号公報 特開2000−314860号公報 特開2002−258332号公報
しかしながら、従来の空間光変調素子は、変調駆動光としてフェムト秒レーザー等の極短パルスの高パワーレーザー光を用いると金属層がダメージを受け、被変調光の光変調特性が劣化する可能性があり、素子の寿命が短いという問題がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされ、変調駆動光として極短パルスの高パワーレーザー光を用いても光変調特性が劣化しない長寿命の空間光変調素子の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、誘電体と、光照射によって屈折率が変化する光機能性材料からなる光機能性材料層との間に、前記誘電体の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明材料からなる低屈折率層を介在させてなることを特徴とする空間光変調素子を提供する。
また本発明は、誘電体と、光照射によって屈折率が変化する光機能性材料からなる光機能性材料層との間に、前記誘電体の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明材料からなる低屈折率層を介在させてなり、前記誘電体と低屈折率層との界面で誘電体を通して入射される被変調光の反射が変調駆動光により制御されるように構成したことを特徴とする空間光変調素子を提供する。
本発明の空間光変調素子において、前記低屈折率層は有機材料からなることが好ましい。
また前記低屈折率層は、含フッ素樹脂からなることが好ましい。
この含フッ素樹脂はC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体からなることが好ましい。
また本発明は、誘電体と、光照射によって屈折率が変化する光機能性材料からなる光機能性材料層との間に、前記誘電体の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明材料からなる低屈折率層を介在させてなる空間光変調素子を用い、前記誘電体と低屈折率層との界面で誘電体を通して入射される被変調光の反射を変調駆動光により制御することを特徴とする空間光変調方法を提供する。
本発明の空間光変調方法において、前記変調駆動光による被変調光の反射の制御が、被変調光の反射と、導波モードによる被変調光の閉じこめとの組み合わせであることが好ましい。
発明の効果
本発明の空間光変調素子は、従来の金属層に代えて透明な低屈折率層を備え、被変調光を誘電体と低屈折率層との界面で反射させ、光機能性材料に変調駆動光を必要に応じて照射することにより、変調駆動光のON/OFFによって被変調光の変調、制御を行うものである。このため、光機能性材料層に照射される変調駆動光及び被変調光によって素子が受けるダメージが低減され、フェムト秒レーザー光などの高パワーレーザー光を用いても長期間安定に動作し、耐久性に優れ、長寿命の素子を得ることができる。
また金属層に代えて透明な低屈折率層を備えた構成としたことで、変調駆動光のON/OFFによってより高感度に被変調光の反射率が変化し、変調応答感度が極めて高くなり、より高速度での変調が可能となり、ピコ秒オーダーの応答速度を有する空間光変調素子が実現可能となる。
さらに金属層に代えて透明な低屈折率層を備えた構成としたことで、被変調光の入射角と出射角が大きくなり、変調駆動光が出射側に漏れ出して検出されることに起因するノイズの発生が低減される。
図1:本発明の空間光変調素子の第1の実施形態を示す側面図である。
図2:本発明の空間光変調素子の第2の実施形態を示す側面図である。
図3:実施例の実験の測定に用いた測定系の構成図である。
図4:Ag型素子について計算した導波モード動作特性のグラフである。
図5:本発明素子について計算した導波モード動作特性のグラフである。
図6:図5の要部拡大図である。
図7:Ag型素子と本発明素子とのそれぞれの消衰係数kと反射率との関係を示すグラフである。
図8:本発明素子において、低屈折率層の膜厚を100〜800nmの間で変化させた場合の消衰係数kと反射率との関係を示すグラフである。
図9:本発明素子において、低屈折率層の屈折率実部nを変化させた場合の入射角θと反射率との関係を示すグラフである。
図10:本発明素子において、消衰係数kの値を変化させた場合の入射角θと反射率との関係を示すグラフである。
図11:発明素子において、低屈折率層の屈折率実部nを変化させた場合の消衰係数kと反射率との関係を示すグラフである。
図12:厚さ220nmのPFVI層のみを波長400nmのフェムト秒レーザー光で励起した際の過渡吸収スペクトルを示すグラフである。
図13:厚さ220nmのPFVI層のみを波長400nmのフェムト秒レーザー光で励起した際の630nmでの過渡吸収の経時変化を示すグラフである。
図14:厚さ220nmのPFVI層と低屈折率層との積層体を波長400nmのフェムト秒レーザー光(入射角θ=65度)で励起した際の過渡反射スペクトルを示すグラフである。
図15:厚さ220nmのPFVI層と低屈折率層との積層体を波長400nmのフェムト秒レーザー光(入射角θ=65度)で励起した際の680nmでの反射強度の経時変化を示すグラフである。
図16:厚さ220nmのPFVI層と低屈折率層との積層体を波長400nmのフェムト秒レーザー光で励起した直後の異なる入射角での過渡反射及びPFVI層のみでの過渡吸収スペクトルを示すグラフである。
図17:厚さ400nmのPFVI層と低屈折率層との積層体を波長400nmのフェムト秒レーザー光で励起した直後の異なる入射角での過渡反射及びPFVI層のみでの過渡吸収スペクトルを示すグラフである。
符号の説明
1,7…空間光変調素子、2…プリズム(誘電体)、3…光機能性材料層、4…低屈折率層、5…被変調光、6…変調駆動光、8…スライドガラス(誘電体)、11…回転ステージ、12…フェムト秒レーザー光源、14…BBO結晶、15,18…ハーフミラー、16…DO/HOセル、17…可変遅延ライン、19,20…光ファイバ、21…光検出器。
図1は本発明に係る空間光変調素子の第1の実施形態を示す図である。この空間光変調素子1は、誘電体からなるプリズム2(誘電体)と、光照射によって屈折率が変化する光機能性材料からなる光機能性材料層3との間に、プリズム2を構成する誘電体の屈折率n1よりも低い屈折率n2をもつ透明材料からなる低屈折率層4を介在させてなり、プリズム2と低屈折率層4との界面で、プリズム2を通して入射される被変調光5の反射が変調駆動光6により制御されるように構成されている。
本発明において被変調光5を入射する誘電体としては、このプリズム2に限定されず、板状、厚板状、ブロック状などの他の形状とし得る。断面三角形をなすプリズム2を用いることは、その第1面に低屈折率層4と光機能性材料層3とを積層し、プリズム2の第2面から被変調光5を入射し、プリズム2の第3面から反射した光を出射させる構造が容易に構築できることから、特に好ましい。
このプリズム2は、被変調光5の波長に対して透明である誘電体で形成される。特に被変調光の波長に対する屈折率が1.4〜3の範囲にある材質からなるものが好ましい。具体的にはBK7、石英ガラス、高屈折率ガラス、ポリカーボネート等が挙げられる。プリズム2と低屈折率層4の屈折率の差(n1−n2)は0.05〜0.9の範囲が好適である。
前記低屈折率層4を構成する材料は、その材料の屈折率n2が、プリズム2を構成する誘電体の屈折率n1よりも小さい(すなわち、n2<n1の関係を有する。)透明な材料であればよいが、被変調光の波長に対し耐光性の良好な無機材料又は有機材料が好ましい。このような無機材料としては、フッ化物結晶、フッ素添加石英ガラスなどが挙げられる。また有機材料としては、例えば含フッ素樹脂が挙げられる。無機材料からなる低屈折率層4は、スパッタ法、CVD法、蒸着法などによって成膜することができる。また有機材料からなる低屈折率層4は、樹脂溶液をスピンコート法などによって成膜することができる。製造コスト、製造の容易さなどの製造上の利点から、本発明の空間光変調素子1に用いる低屈折率層4としては、有機材料、特に含フッ素樹脂を用いることが好ましい。
この低屈折率層4の厚さは100〜1000nm、好ましくは200〜1000nm、より好ましくは300〜800nmの範囲とする。低屈折率層4の厚さが100〜1000nmであれば、被変調光5の変調が良好に行われ、十分な耐久性を得ることができ、長寿命の空間光変調素子1を得ることができる。
本発明の好適な実施形態において、低屈折率層4は含フッ素樹脂からなることが好ましく、さらにこの含フッ素樹脂は、C−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体からなることが好ましい。この含フッ素重合体はC−H結合の代わりにC−F結合(すなわち、炭素−フッ素結合)を有する。
含フッ素重合体として、従来よりテトラフルオロエチレン樹脂、パーフルオロ(エチレン−プロピレン)樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂、ビニリデンフルオライド樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂等が広く知られている。しかしながら、これらの含フッ素樹脂は結晶性を有するため、光の散乱が起こり、透明性が劣り、変調駆動光6が照射された際に融解などが生じ、耐久性が劣る可能性がある。
これに対して、非結晶性の含フッ素重合体は、結晶による光の散乱がないため、透明性に優れる。含フッ素重合体としては、C−H結合を実質上有しない非結晶性の含フッ素重合体であれば何ら限定されないが、主鎖に環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。主鎖に環構造を有する含フッ素重合体としては、含フッ素脂肪族環構造、含フッ素イミド環構造、含フッ素トリアジン環構造または含フッ素芳香族環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体では含フッ素脂肪族エーテル環構造を有するものがさらに好ましい。
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、含フッ素環構造を有するモノマーを重合して得られるものや、少なくとも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が好適である。
含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特公昭63−18964号公報等により知られている。即ち、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを単独重合することにより、またこのモノマーをテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニールエーテル)などのラジカル重合性モノマーと共重合することにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
また、少なくとも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特開昭63−238111号公報や特開昭63−238115号公報等により知られている。即ち、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等のモノマーを環化重合することにより、またはこのようなモノマーをテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)などのラジカル重合性モノマーと共重合することにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
また、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーとパーフルオロ(アリルビニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等の少なくとも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーとを共重合することによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
前記の含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、具体的には以下の(I)〜(IV)式から選ばれる繰り返し単位を有するものが例示される。なお、これらの含フッ素脂肪族環構造を有する重合体中のフッ素原子は、一部塩素原子で置換されていてもよい。
Figure 2005024498
[前記(I)〜(IV)式において、kは0〜5、mは0〜4、nは0〜1、k+m+nは1〜6、o,p,qはそれぞれ0〜5、o+p+qは1〜6、RはFまたはCF、RはFまたはCF、RはFまたはCF、XはFまたはCl、XはF,Cl,ORfまたはRf(Rfは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基)である。]
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、主鎖に環構造を有する重合体が好適であるが、環構造を有する重合単位を20モル%以上、好ましくは40モル%以上含有するものが透明性、機械的特性等の面から好ましい。
本発明において光機能性材料層3の材料としては、従来より空間光変調素子などの分野において、光照射により屈折率が変化する物質として知られている材料の中から選択して用いることができる。このような物質としては、例えば特開平5−273503号公報中に記載されているメチルオレンジやメチルレッドを高分子(ポリビニルアルコール)にドープした材料、液晶、フォトリフラクティブ結晶(チタン酸バリウム、ケイ酸ビスマスなど)、紫膜、フォトクロミック材料、または特開2000−292758号公報に記載されている次の式(1)〜(6)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2005024498
[式(1)中、DYEは、一価のシアニン色素陽イオンを表し、nは1以上の整数を表し、R及びRは、各々独立に置換基を表し、R及びRは、各々独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を表す。RとR、RとR、RとR又はRとRは各々互いに連結して環を形成してもよく、r及びsは、各々独立に0〜4の整数を表し、そしてrとsが2以上の場合には、複数のr及びsは各々互いに同じであっても異なっていてもよい。]
Figure 2005024498
[式(2)中、A,A,B及びBは置換基を表し、L,L,L,L及びLはメチン基を表し、Xは=O,=NR,=C(CN)を表し(ここでRは置換基を表す)、Xは−O,−NR,−C(CN)を表し(ここでRは置換基を表す)、m,nは0〜2の整数を表す。Mkはオニウムイオンを表す。kは電荷数を表す。]
Figure 2005024498
[式(3)中、A,A,B及びBは置換基を表し、L,L,L,L及びLはメチン基を表し、Xは=O,=NR,=C(CN)を表し(ここでRは置換基を表す)、Xは−O,−NR,−C(CN)を表し(ここでRは置換基を表す)、m,nは0〜2の整数を表す。YとEは炭素環または複素環を形成するのに必要な原子または原子群を表し、ZとGは炭素環または複素環を形成するのに必要な原子または原子群を表す。x及びyはそれぞれ独立に0または1を表す。Mkはオニウムイオンを表す。kは電荷数を表す。]
Figure 2005024498
[式(4)中、ZおよびZは5員または6員の含窒素複素環を形成するに必要な原子群を表し、R30,R31は各々独立にアルキル基を表し、L,L,L,LおよびLはメチン基を表し、n1,n2は各々0〜2の整数を表し、p,qは各々独立に0〜2の整数を表し、Mは電荷均衡対イオンを表す。]
Figure 2005024498
[式(5)中、m,nは各々独立に0〜2の整数を表し、X,Xは=NRまたは=CRを表し(R,R,Rは置換基を表す)、LおよびLは各々独立に2価の連結基を表す。]
Figure 2005024498
[式(6)中、Mは金属原子を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、または=NR21を表し、R21は、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表し、Z11は5員または6員の含窒素複素環を完成するために必要な原子団を表し、Z12は、芳香環または複素芳香環を完成するために必要な原子団を表す。]
前記式(1)〜(6)の化合物は、非晶質状態を保ち易くするために高分子化合物を併用することが望ましい。このような高分子化合物の例としては、ゼラチン、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然高分子物質、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース誘導体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンなどの炭化水素系樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、パーフルオロ(エチレン−プロピレン)樹脂、含フッ素脂肪族環構造、含フッ素イミド環構造、含フッ素トリアジン環構造または含フッ素芳香族環構造を有する含フッ素重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル−ポリ酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、塩素化ポリオレフィン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期重合物などの合成高分子物質を挙げることができる。
本発明において好適に用いることができる光機能性材料層3の別の材料としては、特開2002−328349号公報中に記載されている次の式(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005024498
[式(7)中、Xはビピリジニウム基の窒素原子に対して4位又は2位で結合したチオフェニル基、フリル基、ビチオフェニル基、ターチオフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基又はビニル基を表し、RとRはそれぞれ独立にアルキル基、ポリ(テトラメチレンオキシ)基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、Yはクロリド、ブロミド、ヨージド、アニオン性置換基をもつ芳香族分子、トリフルオロメチル基又は他の電子吸引性置換基を1個以上有するテトラフェニルホウ酸を表す。]
この式(7)の化合物は前記高分子化合物に分散状態で添加し、又は高分子化合物の主鎖の一部又は側鎖に含めた状態で用いることが好ましい。この式(7)の化合物を分散させた、又は主鎖の一部又は側鎖に含む高分子化合物は、その溶液をスピンコート法などによって容易に成膜することができる。この式(7)の化合物は、変調駆動光6として好適なフェムト秒レーザー光に対する耐光性に優れており、フェムト秒レーザーを用いる空間光変調素子1の光機能性材料層3の耐久性が高くなり、長寿命の空間光変調素子1を構築し得ることから、本発明に用いる光機能性材料として特に好ましい。
本発明において光機能性材料は、光照射により屈折率が変化する物質であればよい。また照射する光の波長については特に制限はなく、可視光から近赤外光まで広く選択可能である。すなわち、照射に用いる特性の波長の光を吸収して屈折率が変化する材料を光機能性材料として選択すればよい。
本発明の空間光変調素子1において、光機能性材料層3の厚さは100〜1000nm、好ましくは150〜1000nm、より好ましくは250〜800nmの範囲とする。光機能性材料層3の厚さが前記範囲であれば、被変調光5の変調が良好に行われ、十分な耐久性を得ることができ、長寿命の空間光変調素子1を得ることができる。
次に、この空間光変調素子1における光変調動作特性を説明する。
この空間光変調素子1を用いて光変調を行うには、図1に示すように断面三角形をなし第1面に低屈折率層4と光機能性材料層3とを積層してあるプリズム2の第2面から被変調光5を入射する。被変調光5は、入射角θが所定の範囲内である時にプリズム2と低屈折率層4との界面で反射され、プリズムの第3面から出射する。この時の入射角θの範囲は40度〜85度の範囲とされ、特に変調駆動光6を光機能性材料層3に照射した時に導波モードが生成され被変調光5が閉じ込められる角度に合わせることが好ましい。プリズム2に入射する被変調光5の波長は特に限定されない。
この空間光変調素子1の光機能性材料層3に、必要に応じて変調駆動光6を照射すると、光機能性材料層3の消衰係数kが増加し、この消衰係数kの増加に伴って、前記被変調光5の反射率が鋭敏に変化し、変調駆動光6のON/OFFによってプリズム2の第3面から出射する被変調光5の変調が行われる。変調駆動光6を光機能性材料層3に照射した時に導波モードが生成され被変調光5が閉じ込められる角度に合わせて被変調光5を入射した場合、変調駆動光6を照射しないOFF時には、被変調光5の反射率が変化せず、ほぼ全ての入射光がプリズム2と低屈折率層4との界面で反射され、プリズム2の第3面から出射する。一方、光機能性材料層3に変調駆動光6を照射する(ON時)と、光機能性材料層3の消衰係数kが増加し、この消衰係数kの増加に伴って、被変調光5の反射率が急落し、プリズム2の第3面から出射する被変調光5が急激に弱くなるか、又は実質的に無くなる。ここで被変調光5の反射率の急落は、プリズム2と低屈折率層4との界面から、低屈折率層4、光機能性材料層3までの間で定在波が導波モードとして生成し、結果として反射が見られなくなるためである。従って、変調駆動光6のON/OFFによって、被変調光5の光スイッチング又は強度変調が可能である。
変調駆動光6のON/OFF切り換えにより生じる反射率変化は、ON時では1ピコ秒以下、OFF時では数〜数百ピコ秒以下であり、この空間光変調素子1により極めて高速度の光変調が可能となる。
この空間光変調素子1は、従来の金属層に代えて透明な低屈折率層4を備え、被変調光5をプリズム2と低屈折率層4との界面で反射させ、光機能性材料3に変調駆動光6を必要に応じて照射することにより、変調駆動光6のON/OFFによって被変調光5の変調を行うものなので、光機能性材料層3に照射される変調駆動光6及び被変調光5によって素子が受けるダメージが低減され、フェムト秒レーザー光などの高パワーレーザー光を用いても長期間安定に動作し、耐久性に優れ、長寿命の素子を得ることができる。
また金属層に代えて透明な低屈折率層4を備えた構成としたことで、変調駆動光6のON/OFFによってより高感度に被変調光5の反射率が変化し、変調応答感度が極めて高くなり、より高速度での変調が可能となり、ピコ秒オーダーの応答速度を有する空間光変調素子が実現可能となる。
さらに金属層に代えて透明な低屈折率層4を備えた構成としたことで、被変調光5の入射角と出射角が大きくなり、変調駆動光6が出射側に漏れ出して検出されることに起因するノイズの発生が低減される。
図2は本発明の空間光変調素子の第2の実施形態を示す図である。この空間光変調素子7は、図1に示す第1の実施形態による空間光変調素子1とほぼ同様の構成要素を備えて構成されており、同じ構成要素には同一符号を付してある。この空間光変調素子7が第1の実施形態による空間光変調素子1と異なる点は、プリズム2と同じ屈折率(n1)を持つスライドガラス8を用い、このスライドガラス8の一面側に低屈折率層4と光機能性材料層3とを積層し、そのスライドガラス8の他面側にプリズム2を固定し、プリズム2から入射した被変調光5を、スライドガラス8と低屈折率層4との界面で反射させるように構成した点である。プリズム2とスライドガラス8とは、それらの材料と同じ屈折率のマッチング液や透明樹脂接着剤を介して固定することが望ましい。
この空間光変調素子7は、図1に示す第1の実施形態による空間光変調素子1と同様に、変調駆動光6のON/OFFによって被変調光5を高速度変調することが可能であり、第1の実施形態による空間光変調素子1と同様の効果を得ることができる。さらにこの空間光変調素子1は、スライドガラス8の一面側に低屈折率層4と光機能性材料層3とを積層したものなので、スピンコート法などによって低屈折率層4と光機能性材料層3とを形成することが容易となり、空間光変調素子1が製造し易くなり、製造コストを低下できる。
他の形態としては、プリズムではなく回折格子を用いても空間光変調素子を構成できる。
以下、実施例により本発明の作用効果をより具体的に説明する。
(従来の空間光変調素子の作製)
スライドガラス(屈折率n1=1.52)の一方の面に、厚さ50nmの銀(Ag)薄膜を真空蒸着法により成膜し、この銀薄膜上に、厚さ600nmの次式(8)で表されるPFVIからなる光機能性材料層をスピンコート法によって成膜し、さらにスライドガラスの他方の面に断面三角形のガラス製プリズムを載置し、銀薄膜を有する従来の空間光変調素子(以下、Ag型素子と記す。)を作製した。
Figure 2005024498
(本発明の空間光変調素子の作製)
スライドガラス(屈折率n1=1.52)の一方の面に、厚さ400nmの含フッ素樹脂の薄膜をスピンコート法により成膜した。ただしこの含フッ素樹脂としては、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)を環化重合して得られた、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体(旭硝子社製、サイトップ(登録商標)、屈折率n2=1.34)を用いた。この重合体はC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体である。この含フッ素樹脂からなる低屈折率層上に、厚さ600nmの式(8)で表されるPFVIからなる光機能性材料層をスピンコート法によって成膜し、さらにスライドガラスの他方の面に断面三角形のガラス製プリズム(屈折率n1=1.52)を載置し、低屈折率層を有する本発明の空間光変調素子(以下、本発明素子と記す。)を作製した。
(変調動作特性の測定)
図3は、前記の通り作製したAg型素子と本発明素子とのそれぞれの変調動作特性を測定するために用いた測定系を示す構成図である。
Ag型素子と本発明素子とは、回転ステージ11に固定する。この回転ステージ11は、被変調光5の入射方向に対して素子7の角度を変えることで、素子7の入射角θを適宜調整可能になっている。
被変調光5及び変調駆動光6は、フェムト秒レーザー光源12から照射されたレーザー光を分割して用いる。フェムト秒レーザー光源12から照射されたレーザー光は、BBO結晶14により半分の波長の第2高調波とし、この第2高調波をハーフミラー15で2つに分割し、ハーフミラー15の透過光をDO/HOセル16に集光し、フェムト秒の白色光を生成させ、この光を可変遅延ライン17に導いて必要なタイムラグを得るようにする。この可変遅延ライン17から出射した光をハーフミラー18で2つに分割し、このハーフミラー18の透過光を回転ステージに取り付けた素子7のプリズムに入射する。第1のハーフミラー15の反射光(第2高調波)は、素子7の光機能性材料層に照射して変調駆動光6とする。素子7から出射した被変調光は、光ファイバ19を通して光検出器21に入射される。第2のハーフミラー18の反射光は参照光として光ファイバ20を通して光検出器21に入射される。
(計算結果)
図4〜11はトランスファーマトリックス(Transfer matrix)法計算による検討結果を示す。
図4はAg型素子について計算した導波モード動作特性のグラフである。この計算において、被変調光5は緑色(543nm)のHe−Neレーザー光を用い、光機能性材料層の厚さは600nmとしている。
この図中、曲線(a)は光機能性材料層として屈折率n3a=1.5の材料とした場合の被変調光5の反射率と入射角度θとの関係を示し、曲線(b)は光機能性材料層として屈折率n3b=1.52の材料とした場合の被変調光5の反射率と入射角度θとの関係を示し、曲線(c)は光機能性材料層として屈折率1.5の材料とし、変調駆動光6を照射して屈折率虚部の変化を生じさせた(屈折率n3c=1.5+0.02i)場合の被変調光5の反射率と入射角度θとの関係を示す。
Ag型素子においては、光機能性材料層の屈折率が1.5〜1.52の範囲において、入射角θが45〜50度の間に導波モードが存在し、反射率が低下している。変調駆動光6のON時(b),(c)とOFF時(a)との比較から、変調駆動光6のON/OFFの切り換えによって屈折率の実部および/または虚部を変えると、OFF時の最小反射率の入射角における反射率が変化していることがわかる。
図5は本発明素子について計算した導波モード動作特性のグラフであり、図6は図5の要部拡大図である。この計算において、被変調光5の波長は600nmとしている。光機能性材料層に照射する変調駆動光6の照射強度を適宜調節して光機能性材料層の屈折率変化を調整し、その消衰係数kが0.0001〜0.002の所定値となるように調整し、入射角θに対する反射率を算出している。
これらの図中、曲線(a)は消衰係数kが0.0001の場合の反射率の変化を示し、(b)は消衰係数kが0.0002の場合の反射率の変化を示し、(c)は消衰係数kが0.0005の場合の反射率の変化を示し、(d)は消衰係数kが0.001の場合の反射率の変化を示し、(e)は消衰係数kが0.002の場合の反射率の変化を示す。
銀薄膜に代えて低屈折率層を用いると、かなり広い入射角の範囲で導波モードが現れる。この導波モードのうち、最も反射率変化が著しい入射角θ=72.5〜73.0度の範囲にある導波モードを対象として、消衰係数kを適宜変化させた場合の反射率の変化を計算した結果、図6に示すように、消衰係数kの僅かな増加によって反射率が急減する特徴が見られる。前述したAg型素子にあっては、消衰係数kの増加に伴って、反射率は上昇しており、本発明素子は消衰係数kの小さい領域での変化に対してAg型素子と逆の応答を示す。
図7は、Ag型素子(−□−)と本発明素子(−〇−)とのそれぞれの消衰係数kと反射率との関係を示すグラフである。
図7からわかるように、Ag型素子に比べて本発明素子では、光機能性材料層の消衰係数kの増加に対して、より高感度に反射率が変化している。本発明素子では、消衰係数kの上昇に伴い、初期の急激な反射率低下領域と、それに続くやや緩やかな反射率増加領域とがある。
また実際にフタロシアニン色素を種々の濃度で高分子に分散して薄膜を形成し、可視から近赤外域の波長において反射率を測定した。吸光度と膜厚から評価した消衰係数kに対して反射率の実測値をプロットすることにより、図7の計算結果が正しいことが確認された。この結果から、単なる吸収変化を用いる系に比べて、特に吸収変化の小さな領域で本発明素子では相対的に大きな光強度変化を実現できることが示された。具体例としては、光機能性材料層を300nm、サイトップ層を700nmとし、波長を632.8nmとした条件で測定したところ、消衰係数kが0.001の時、最大で1600倍の光強度変化が観測された。このことから、本発明の素子を用いると低パワーの変調駆動光での変調が可能であることが示された。
図8は本発明素子において、低屈折率層の膜厚を100〜800nmの間で変化させた場合の消衰係数kと反射率との関係を示すグラフである。
本発明素子において、消衰係数kの変化に対する反射率の変化挙動は、低屈折率層の膜厚に著しく依存し、その膜厚が大きいと消衰係数kの値が小さい方で反射率の急減とそれに続く増加の傾向を示す。一方、低屈折率層の膜厚が小さいと、消衰係数kの値が小さい方で反射率が急減する現象が見られなくなる。この結果から、本発明素子において、実際の消衰係数kの変化との関係で最適な膜厚を選択することで、高感度な光変調素子が得られることがわかる。
図9は本発明素子において、低屈折率層の屈折率実部nを変化させた(n=1.29〜1.45)場合の入射角θと反射率との関係を示すグラフである。
また図10は屈折率実部nが1.45の低屈折率層とした本発明素子において、消衰係数kの値を変化させた場合の入射角θと反射率との関係を示すグラフである。
これらの図から、低屈折率層の屈折率実部nは、1.29〜1.45の範囲のもので導波モードが形成されることがわかる。また屈折率実部nが小さいと、入射角θが低角度側に、nが大きいと広角度側にシフトする。それぞれにおけるモード入射角幅も屈折率実部nに依存している。
図11は本発明素子において、厚さ400nmの低屈折率層の屈折率実部nを変化させた(n=1.29〜1.45)場合の消衰係数kと反射率との関係を示すグラフである。
本発明素子において、消衰係数kの変化に対する反射率の変化挙動は、低屈折率層の屈折率実部nに著しく依存しており、nが小さいとkの値が小さい方で反射率の急減とそれに続く増加を示す。この結果から、本発明素子において、実際の消衰係数kの変化との関係で最適な低屈折率層の屈折率を選択することで、高感度な光変調素子が得られることがわかる。
以上の計算結果から、本発明素子においてもAg型素子と同様に、nあるいはkの変化で強度変調、nの変化で位相変調が可能であることがわかる。
(測定結果)
スライドガラス(屈折率n1=1.52)の一方の面に、厚さ300nmの含フッ素樹脂(旭硝子社製、サイトップ(登録商標)、屈折率n2=1.34)を環化重合して得られた主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体の薄膜をスピンコート法により成膜し、この含フッ素樹脂からなる低屈折率層上に、式(8)で表されるPFVIをスピンコート法によって積層し、厚さ220nm又は400nmの光機能性材料層とし、この低屈折率層+PFVI層積層体の光吸収、反射特性を調べた。
図12〜17は、前記低屈折率層+PFVI層積層体を用いて測定した光吸収、反射特性の実測データである。
図12は、厚さ220nmのPFVI層のみを波長400nmのフェムト秒レーザー光で励起した際の過渡吸収スペクトルを示すグラフである。
図13は、厚さ220nmのPFVI層のみを波長400nmのフェムト秒レーザー光で励起した際の630nmでの過渡吸収の経時変化を示すグラフである。
図14は、厚さ220nmのPFVI層と低屈折率層との積層体を波長400nmのフェムト秒レーザー光(入射角θ=65度)で励起した際の過渡反射スペクトルを示すグラフである。
図15は、厚さ220nmのPFVI層と低屈折率層との積層体を波長400nmのフェムト秒レーザー光(入射角θ=65度)で励起した際の680nmでの反射強度の経時変化を示すグラフである。
図16は、厚さ220nmのPFVI層と低屈折率層との積層体を波長400nmのフェムト秒レーザー光で励起した直後の異なる入射角での過渡反射及びPFVI層のみでの過渡吸収スペクトルを示すグラフである。
図17は、厚さ400nmのPFVI層と低屈折率層との積層体を波長400nmのフェムト秒レーザー光で励起した直後の異なる入射角での過渡反射及びPFVI層のみでの過渡吸収スペクトルを示すグラフである。
図12〜17に示したグラフから、光電子移動により可視〜近赤外域で超高速変化を示すPFVI層積層体において、フェムト秒レーザー励起(400nm)時にフェムト秒白色光スペクトル反射率の一時的な変化が繰り返しが確認された。よって、この積層体の超高速動作と耐久性が確認された。
また過渡反射率変化スペクトルのピークは、入射角θあるいは光機能性材料層(PFVI層)の膜厚に依存し、広角度入射条件あるいは厚い膜では短波長側にシフトした。よって、この積層体においてフェムト秒レーザーによる導波モードが存在することが確認された。
低屈折率層との積層体の反射率の変化は、同じ励起光強度で低屈折率層が存在しない透過率の変化に比べて、10倍以上大きかった。
また現在観測されている反射率変化は、ON時は1ピコ秒以下、OFF時は数〜数百ピコ秒である。
本発明によれば、フェムト秒レーザー光などの極短パルスの高パワーレーザー光を用いても長期間安定に動作し、耐久性に優れ、長寿命の空間光変調素子が提供できる。

Claims (7)

  1. 誘電体と、光照射によって屈折率が変化する光機能性材料からなる光機能性材料層との間に、前記誘電体の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明材料からなる低屈折率層を介在させてなることを特徴とする空間光変調素子。
  2. 誘電体と、光照射によって屈折率が変化する光機能性材料からなる光機能性材料層との間に、前記誘電体の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明材料からなる低屈折率層を介在させてなり、前記誘電体と低屈折率層との界面で誘電体を通して入射される被変調光の反射が変調駆動光により制御されるように構成したことを特徴とする空間光変調素子。
  3. 前記低屈折率層が有機材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の空間光変調素子。
  4. 前記低屈折率層が含フッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1、2または3に記載の空間光変調素子。
  5. 前記含フッ素樹脂がC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体からなることを特徴とする請求項4に記載の空間光変調素子。
  6. 誘電体と、光照射によって屈折率が変化する光機能性材料からなる光機能性材料層との間に、前記誘電体の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明材料からなる低屈折率層を介在させてなる空間光変調素子を用い、
    前記誘電体と低屈折率層との界面で誘電体を通して入射される被変調光の反射を変調駆動光により制御することを特徴とする空間光変調方法。
  7. 前記変調駆動光による被変調光の反射の制御が、被変調光の反射と、導波モードによる被変調光の閉じこめとの組み合わせであることを特徴とする請求項6に記載の空間光変調方法。
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