JPWO2005003820A1 - ビーム整形光学装置、光ヘッド及び光情報媒体駆動装置 - Google Patents
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Abstract
温度変化に伴うコリメート品質の劣化を抑えることを目的とする。コリメートレンズ2の光源20に近いレンズ面が、鏡筒3の一端面における後退面3aに当接している。鏡筒3の一端面の外側の突出面には、光軸Oに対称な複数の部位に溝11が形成されている。溝11に盛り付けられた接着剤15は、コリメートレンズ2の外周面に塗布され、コリメートレンズ2を鏡筒3に固定する。溝11は後退面3aよりも浅く形成されるので、接着剤15は後退面3aに侵入しない。鏡筒3は、板バネ13により、鏡筒ホルダ本体部5の内周に形成された断面V字形の壁面に押圧されることにより、鏡筒ホルダ本体部5の所定の位置に保持される。基準面からコリメートレンズ2の保持位置までの距離の単位温度あたりの変化量ΔLが、基準位置に対する光源20の単位温度あたりの移動変化量Δtと、コリメートレンズ2のバックフォーカスの単位温度あたりの変化量Δfとの和に合うように設定されている。
Description
本発明は、ビーム整形光学装置、並びに当該装置を用いた光ヘッド及び光情報媒体駆動装置に関する。
CD、DVD、Blu−rayディスク等の光ディスク媒体に情報を記録再生する光ヘッドの光学系において、光源としては、通常、半導体レーザが用いられるが、この半導体レーザ出射光の強度分布は一般的に楕円状の分布を有している。この楕円状の強度分布の光を光ヘッドにおける対物レンズで集光する場合、集光された光のスポット径は対物レンズの入射ビーム径に反比例することが一般的に知られており、楕円状の強度分布の長軸方向に対し、短軸方向では集光した光のスポット径が大きくなり、信号の記録再生の分解能が低下してしまうという課題がある。
強度分布の違いを補正するために、光ヘッドの光路中に円形開口を入れ、対物レンズに入射する光を円形に補正することも可能であるが、この場合、一部の光がけられてしまうため、レーザ光の利用効率が低下してしまうという欠点がある。
そこで、出射光の利用効率を損なうことなく集光性を改善するために、半導体レーザから出射される楕円強度分布の光束を、円形に近い強度分布のビームに変換するビーム整形光学装置が用いられている。
ビーム整形光学装置は、たとえば、レーザ光を平行光に変換するコリメートレンズと、屈折作用により楕円形状の平行光を円形に変換するビーム整形プリズムで構成される。
しかしながら、従来のビーム整形光学装置は、ビーム整形光学装置の温度変化に伴い、レンズを保持する部材の熱膨張、および、光学素子を配置する光学基台の熱膨張などが発生することがある。この場合には、コリメートレンズの焦点位置と光源の位置ずれが生じるため、コリメート光の平行度が低下し、その結果として、ビーム整形プリズムを通過したコリメート光に非点収差が発生してしまうという課題があった。また、コリメートレンズの構成材料の屈折率温度変化や光源の波長変動等が発生し、コリメートレンズの焦点位置と光源の位置ずれが生じるおそれがあるため、コリメート光の平行度が低下し、その結果として、ビーム整形プリズムを通過したコリメート光に非点収差が発生してしまうという課題があった。
従来の光ヘッドとして、例えば、特開平10−334472号公報に開示されるレンズ保持構造を有するものが知られている。図13に示すように、同公報に開示されるレンズ保持構造では、コリメートレンズ113を保持するレンズ枠124は、ほぼ円柱形状であり、光路を形成するためにその中心軸を光軸Oとする中空部を有している。
このレンズ枠124の中空部の一方開口端は、半導体レーザを取り付けるために、テーパを設けることにより拡径に形成されている。また、他方開口端側も拡径にして短筒状の内周面124aが形成されており、この内周面124aの内側にコリメートレンズ113が収納保持される。内周面124aはコリメートレンズの短筒状の外周面113aとの間に全周にわたって空隙125が形成されるように内周面124aの半径は外周面113aの半径より僅かに大きくしている。
また、この保持構造は、コリメートレンズ113の光軸方向の位置決めを行うために、光軸Oに関して回転対称となるリング状に形成された突き当て面124bに接着剤116を塗布し、この突き当て面124bにコリメートレンズ113の一方レンズ面113bを突き当てて接着剤116により接着固定することにより、レンズ枠124にコリメートレンズ113を保持している。リング状に形成された突き当て面124bは、外側半径をレンズ枠124の内周面124aまで広げても良いが、図13に示すようにコリメートレンズ113の外側113aまでの半径よりも小さくすることにより、接着剤116がレンズ枠124の内周面124aとコリメートレンズ113の外周面113aとの間にはみ出すことを防止することができ、また、仮にコリメートレンズ113が偏心した状態で固定されたとしても、レンズ面113bと突き当て面124bとの間の接着剤116による保持状態への影響を低減できるという利点が得られる。
また、レンズ枠124の内周面124aとコリメートレンズ113の外周面113aとの間に全周にわたって設けられた空隙125により、周囲温度の変化によるレンズ枠124の熱変形がコリメートレンズ113の外周面113aに直接作用することを防止するという効果が得られる。空隙125を確保すると、コリメートレンズ113とレンズ枠124の中心ずれを抑える効果は弱まるが、これには接着方法の変更により対応がなされている。
また、レンズ枠124の中に設けられたコリメートレンズ113の光軸方向の位置決めのためのリング状の突き当て面124bに接着剤116を塗布し、コリメートレンズ113を接着しているので、周囲温度の変化によるレンズ枠124の熱変形が接着剤116を介してコリメートレンズ113を半径方向に動かそうとする力が、放射状に分散することにより打ち消される。即ち、周囲温度が変化することによりレンズ枠124が熱膨張しても、このレンズ枠124に固定されているコリメートレンズ113は、レンズ枠の中心から等しい距離にあるリング状部分で接着剤116を介して固定されているので、レンズ枠124の熱膨張によってコリメートレンズ113に作用する半径方向外向きの力は、光軸Oに関して対称となる接着部分に働く逆方向で殆ど等しい力により相殺される。
また、コリメートレンズの構成材料の屈折率温度変化や光源の波長変動により、コリメート光の平行度が低下しない構成が特開2002−287018号公報に提案されている。図14に、同公報における従来のビーム整形光学装置を有する光ヘッドの構成の一例を示す。同図における従来のビーム整形光学装置は光源201、鏡筒210に固定されたコリメートレンズ202、ビーム整形光学素子203からなり、光源201から出射した楕円形状の強度分布をもつ発散光は、コリメートレンズ202により平行光に変換され、ビーム整形光学素子203により円形の強度分布を持つ光束に変換される。ビーム整形光学素子から出射した光束は、立ち上げミラー204により偏向され、対物レンズ205によりディスク206の記録面に集光される。ディスク記録面のピット列により変調され反射された光は、再び対物レンズ205を通過し、立ち上げミラー204により偏向され、ビーム整形光学素子203の分離面203aで分離された後、検出レンズ207により集光され、受光素子208により変調された信号光が受光される。
同公報に開示されているように、ビーム整形光学装置においては、コリメートレンズ202を構成する材料の温度変化に伴う屈折率変化と、光源の温度変化による波長変動に伴うコリメートレンズ202の屈折率変化とにより、コリメートレンズ202の焦点距離の変化をキャンセルし、これにより、温度変化によるコリメート光品質低下を抑制している。
光ヘッド装置では、低温から高温までの幅広い温度環境下での動作が保証されなければならない。しかしながら、図13に示した光ヘッドでは、コリメートレンズ113、コリメートレンズ113を保持するレンズ枠124、レンズ枠124を保持するレンズ保持構造に熱膨張が生じ、それによりレーザ発光点とコリメートレンズ113との間の相対位置にずれが発生する。それに加えて、雰囲気温度の変化に伴って、レーザ光源の波長が変動し、かつコリメートレンズ113の曲率及び屈折率が変化することにより、コリメートレンズ113の焦点距離にずれが発生する。その結果、ビーム整形光学素子への入射光のコリメート品質、即ち入射光の平行度が劣化するという問題点があった。入射光のコリメート品質が劣化することにより、ビーム整形後の光束に非点収差が発生し、対物レンズで集光したときのディスク面上のスポット品質が劣化し、その結果、記録再生特性が劣化するという不具合が生じていた。
また、図13に示した従来の光ヘッド装置では、コリメートレンズ113はそのレンズ面にて接着剤116により固定されているため、接着剤116の盛り量の装置毎のばらつき、及び接着位置によるばらつきにより、熱による接着剤116の膨張・収縮に伴うコリメートレンズ113の光軸方向及び光軸直交方向の変位がばらつくという問題点があった。接着剤116には熱膨張率の高い樹脂が用いられるので、温度変化に伴う接着剤116の膨張収縮の大きさは無視できない。例えば、接着剤116の厚さがばらつくことにより、温度変化に伴うコリメートレンズ113の光源からの距離の変化量がばらつき、接着剤116の幅が突き当て面124bの周に沿って不均一であることにより、温度変化に伴って半径方向の力がコリメートレンズ113に非対称に作用し、それによりコリメートレンズ113が光軸に直交する方向に変位していた。コリメートレンズ113の光軸に直交する方向の変位は、光軸Oのずれをもたらし、検出光スポットずれの原因となっていた。接着剤116を塗布する際のばらつきに起因するコリメートレンズ113の変位のばらつきは、吸収することができなかった。
また、レンズ面が接着されるため、接着剤116によるコリメートレンズ113の汚れの発生、レンズ枠124とコリメートレンズ113との間に空隙を設けることによる大型化、及びレンズ枠124の形状が複雑であることによるコストの増大という問題点に加えて、高い調整精度が必要になるという問題点があった。また、それに伴い、図13に示した鏡筒一体型のレンズ支持構造を有する光ヘッド装置、更には当該光ヘッド装置を有する光情報装置においても、温度特性の劣化、及びコスト増加という問題点が生じていた。
また、記録および再生時の光源の出力変化に伴う波長変動のように、温度以外の要因による光源の波長変動によりコリメートレンズの焦点距離の変化が生じ、ビーム整形光学装置出射光のコリメート品質が劣化してしまうという課題がある。
一般的な光学材料では短波長領域での波長に対する屈折率変動が大きいため、特に、Blu−rayディスクのように、短波長の光源を使用する場合、ビーム整形光学装置出射光のコリメート品質劣化は顕著に現れる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、温度変化に伴うコリメート品質の劣化を抑えたビーム整形光学装置、並びに当該装置を用いた光ヘッド及び光情報媒体駆動装置を提供することを目的とする。
強度分布の違いを補正するために、光ヘッドの光路中に円形開口を入れ、対物レンズに入射する光を円形に補正することも可能であるが、この場合、一部の光がけられてしまうため、レーザ光の利用効率が低下してしまうという欠点がある。
そこで、出射光の利用効率を損なうことなく集光性を改善するために、半導体レーザから出射される楕円強度分布の光束を、円形に近い強度分布のビームに変換するビーム整形光学装置が用いられている。
ビーム整形光学装置は、たとえば、レーザ光を平行光に変換するコリメートレンズと、屈折作用により楕円形状の平行光を円形に変換するビーム整形プリズムで構成される。
しかしながら、従来のビーム整形光学装置は、ビーム整形光学装置の温度変化に伴い、レンズを保持する部材の熱膨張、および、光学素子を配置する光学基台の熱膨張などが発生することがある。この場合には、コリメートレンズの焦点位置と光源の位置ずれが生じるため、コリメート光の平行度が低下し、その結果として、ビーム整形プリズムを通過したコリメート光に非点収差が発生してしまうという課題があった。また、コリメートレンズの構成材料の屈折率温度変化や光源の波長変動等が発生し、コリメートレンズの焦点位置と光源の位置ずれが生じるおそれがあるため、コリメート光の平行度が低下し、その結果として、ビーム整形プリズムを通過したコリメート光に非点収差が発生してしまうという課題があった。
従来の光ヘッドとして、例えば、特開平10−334472号公報に開示されるレンズ保持構造を有するものが知られている。図13に示すように、同公報に開示されるレンズ保持構造では、コリメートレンズ113を保持するレンズ枠124は、ほぼ円柱形状であり、光路を形成するためにその中心軸を光軸Oとする中空部を有している。
このレンズ枠124の中空部の一方開口端は、半導体レーザを取り付けるために、テーパを設けることにより拡径に形成されている。また、他方開口端側も拡径にして短筒状の内周面124aが形成されており、この内周面124aの内側にコリメートレンズ113が収納保持される。内周面124aはコリメートレンズの短筒状の外周面113aとの間に全周にわたって空隙125が形成されるように内周面124aの半径は外周面113aの半径より僅かに大きくしている。
また、この保持構造は、コリメートレンズ113の光軸方向の位置決めを行うために、光軸Oに関して回転対称となるリング状に形成された突き当て面124bに接着剤116を塗布し、この突き当て面124bにコリメートレンズ113の一方レンズ面113bを突き当てて接着剤116により接着固定することにより、レンズ枠124にコリメートレンズ113を保持している。リング状に形成された突き当て面124bは、外側半径をレンズ枠124の内周面124aまで広げても良いが、図13に示すようにコリメートレンズ113の外側113aまでの半径よりも小さくすることにより、接着剤116がレンズ枠124の内周面124aとコリメートレンズ113の外周面113aとの間にはみ出すことを防止することができ、また、仮にコリメートレンズ113が偏心した状態で固定されたとしても、レンズ面113bと突き当て面124bとの間の接着剤116による保持状態への影響を低減できるという利点が得られる。
また、レンズ枠124の内周面124aとコリメートレンズ113の外周面113aとの間に全周にわたって設けられた空隙125により、周囲温度の変化によるレンズ枠124の熱変形がコリメートレンズ113の外周面113aに直接作用することを防止するという効果が得られる。空隙125を確保すると、コリメートレンズ113とレンズ枠124の中心ずれを抑える効果は弱まるが、これには接着方法の変更により対応がなされている。
また、レンズ枠124の中に設けられたコリメートレンズ113の光軸方向の位置決めのためのリング状の突き当て面124bに接着剤116を塗布し、コリメートレンズ113を接着しているので、周囲温度の変化によるレンズ枠124の熱変形が接着剤116を介してコリメートレンズ113を半径方向に動かそうとする力が、放射状に分散することにより打ち消される。即ち、周囲温度が変化することによりレンズ枠124が熱膨張しても、このレンズ枠124に固定されているコリメートレンズ113は、レンズ枠の中心から等しい距離にあるリング状部分で接着剤116を介して固定されているので、レンズ枠124の熱膨張によってコリメートレンズ113に作用する半径方向外向きの力は、光軸Oに関して対称となる接着部分に働く逆方向で殆ど等しい力により相殺される。
また、コリメートレンズの構成材料の屈折率温度変化や光源の波長変動により、コリメート光の平行度が低下しない構成が特開2002−287018号公報に提案されている。図14に、同公報における従来のビーム整形光学装置を有する光ヘッドの構成の一例を示す。同図における従来のビーム整形光学装置は光源201、鏡筒210に固定されたコリメートレンズ202、ビーム整形光学素子203からなり、光源201から出射した楕円形状の強度分布をもつ発散光は、コリメートレンズ202により平行光に変換され、ビーム整形光学素子203により円形の強度分布を持つ光束に変換される。ビーム整形光学素子から出射した光束は、立ち上げミラー204により偏向され、対物レンズ205によりディスク206の記録面に集光される。ディスク記録面のピット列により変調され反射された光は、再び対物レンズ205を通過し、立ち上げミラー204により偏向され、ビーム整形光学素子203の分離面203aで分離された後、検出レンズ207により集光され、受光素子208により変調された信号光が受光される。
同公報に開示されているように、ビーム整形光学装置においては、コリメートレンズ202を構成する材料の温度変化に伴う屈折率変化と、光源の温度変化による波長変動に伴うコリメートレンズ202の屈折率変化とにより、コリメートレンズ202の焦点距離の変化をキャンセルし、これにより、温度変化によるコリメート光品質低下を抑制している。
光ヘッド装置では、低温から高温までの幅広い温度環境下での動作が保証されなければならない。しかしながら、図13に示した光ヘッドでは、コリメートレンズ113、コリメートレンズ113を保持するレンズ枠124、レンズ枠124を保持するレンズ保持構造に熱膨張が生じ、それによりレーザ発光点とコリメートレンズ113との間の相対位置にずれが発生する。それに加えて、雰囲気温度の変化に伴って、レーザ光源の波長が変動し、かつコリメートレンズ113の曲率及び屈折率が変化することにより、コリメートレンズ113の焦点距離にずれが発生する。その結果、ビーム整形光学素子への入射光のコリメート品質、即ち入射光の平行度が劣化するという問題点があった。入射光のコリメート品質が劣化することにより、ビーム整形後の光束に非点収差が発生し、対物レンズで集光したときのディスク面上のスポット品質が劣化し、その結果、記録再生特性が劣化するという不具合が生じていた。
また、図13に示した従来の光ヘッド装置では、コリメートレンズ113はそのレンズ面にて接着剤116により固定されているため、接着剤116の盛り量の装置毎のばらつき、及び接着位置によるばらつきにより、熱による接着剤116の膨張・収縮に伴うコリメートレンズ113の光軸方向及び光軸直交方向の変位がばらつくという問題点があった。接着剤116には熱膨張率の高い樹脂が用いられるので、温度変化に伴う接着剤116の膨張収縮の大きさは無視できない。例えば、接着剤116の厚さがばらつくことにより、温度変化に伴うコリメートレンズ113の光源からの距離の変化量がばらつき、接着剤116の幅が突き当て面124bの周に沿って不均一であることにより、温度変化に伴って半径方向の力がコリメートレンズ113に非対称に作用し、それによりコリメートレンズ113が光軸に直交する方向に変位していた。コリメートレンズ113の光軸に直交する方向の変位は、光軸Oのずれをもたらし、検出光スポットずれの原因となっていた。接着剤116を塗布する際のばらつきに起因するコリメートレンズ113の変位のばらつきは、吸収することができなかった。
また、レンズ面が接着されるため、接着剤116によるコリメートレンズ113の汚れの発生、レンズ枠124とコリメートレンズ113との間に空隙を設けることによる大型化、及びレンズ枠124の形状が複雑であることによるコストの増大という問題点に加えて、高い調整精度が必要になるという問題点があった。また、それに伴い、図13に示した鏡筒一体型のレンズ支持構造を有する光ヘッド装置、更には当該光ヘッド装置を有する光情報装置においても、温度特性の劣化、及びコスト増加という問題点が生じていた。
また、記録および再生時の光源の出力変化に伴う波長変動のように、温度以外の要因による光源の波長変動によりコリメートレンズの焦点距離の変化が生じ、ビーム整形光学装置出射光のコリメート品質が劣化してしまうという課題がある。
一般的な光学材料では短波長領域での波長に対する屈折率変動が大きいため、特に、Blu−rayディスクのように、短波長の光源を使用する場合、ビーム整形光学装置出射光のコリメート品質劣化は顕著に現れる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、温度変化に伴うコリメート品質の劣化を抑えたビーム整形光学装置、並びに当該装置を用いた光ヘッド及び光情報媒体駆動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るものは、基台と、前記基台に保持された鏡筒ホルダと、前記鏡筒ホルダに保持された光源と、前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズと、前記基台に保持され、前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子とを備え、前記鏡筒ホルダにおける所定の基準位置から前記コリメートレンズの保持位置までの距離の単位温度あたりの変化量と、前記基準位置に対する前記光源の単位温度あたりの移動変化量に前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの移動変化量を足した変化量との差が所定値以下となるように設定されているビーム整形光学装置である。
本発明の第2の態様に係るものは、基台と、前記基台に保持された鏡筒ホルダと、前記鏡筒ホルダに保持された光源と、前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズと、前記基台に保持され、前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子とを備え、前記鏡筒は、前記コリメートレンズの前記光源に近い面である前面に当接する当接部を有するビーム整形光学装置である。
このビーム整形光学装置において、前記鏡筒ホルダにおける所定の基準位置から前記前面までの距離の単位温度あたりの変化量と、前記基準位置に対する前記光源の単位温度あたりの移動変化量に前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの移動変化量を足した変化量との差が所定値以下になるように設定されていてもよい。
前記当接部は、前記コリメートレンズの前記前面に、接着剤を介することなく直接に当接してもよい。
前記当接部が平坦面であり、この当接部は前記コリメートレンズの前記前面に設けられた平坦面部に面接触していてもよい。
前記当接部が光軸に近いほど前記光源に近づく斜面であり、この当接部は前記コリメートレンズの前記前面に設けられた斜面部に面接触していてもよい。
前記コリメートレンズの外周面のうち光軸に対して対称な部位に接着剤が塗布され、前記コリメートレンズは、前記接着剤によって前記鏡筒に接着されていてもよい。
前記鏡筒の一端部は、その外周部が内周部よりも軸方向に突出した段差状に形成されており、前記内周部は、前記コリメートレンズの前記前面に当接する前記当接部を構成し、前記外周部には、光軸に対して対称となる複数の部位に互いに周方向に同一幅で内周側から外周側へ横断する溝が形成されており、前記溝に前記接着剤が塗布されている構成としてもよい。
前記溝は、前記内周部までには至らないように形成されていてもよい。
前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化が略零または負であるものとしてもよい。
また、前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化が正であるものとしてもよい。
また、前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化をdn1/dTとし、前記凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化をdn2/dTとしたときに、これらdn1/dT及びdn2/dTは、以下の関係式
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
を満たしている構成としてもよい。
この場合において、前記光源の波長における前記凸レンズを構成する材料のアッベ数が、前記波長における前記凹レンズを構成する材料のアッベ数よりも大きく、前記光源の波長をλ[nm]とし、よる前記コリメートレンズの波面収差をW[λ]とし、前記波長の変動による前記波面収差の変動をΔW/Δλとしたときに、このΔW/Δλは前記コリメートレンズの有効径に対して以下の関係式
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
を満たしているのが好ましい。
前記コリメートレンズは、単一のレンズで構成され、前記コリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負であり、前記コリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上であるものとしてもよい。
前記光源と前記コリメートレンズの前記前面までの距離の変化量をΔL[mm]とし、この変化量ΔLに対する波面収差の発生量をW(ΔL)[λ]とし、前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量をΔfb/ΔTとし、前記鏡筒、前記鏡筒ホルダ及び前記基台の熱膨張による前記光源と前記コリメートレンズとの間隔の単位温度あたりの変化量をΔL/ΔT[mm/℃]とし、常温をT0とし、前記ビーム整形光学装置の使用温度をTしたときに、以下の関係式
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]が満足されるようにすることができる。
前記コリメートレンズは、このコリメートレンズの焦点距離の0.5倍から1倍の厚みに構成されているものとしてもよい。
前記コリメートレンズは、単一のレンズで構成されるとともに、前記コリメートレンズの焦点距離の0.5倍から1倍の範囲の厚みに構成され、前記コリメートレンズは、屈折率温度変化が負で且つアッベ数が55以上である材料によって構成されていてもよい。
前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、同じ材料によって構成されていてもよい。
前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、互いに異なる材料からなり、それぞれの線膨張係数の差が10−6[/℃]以下であるものとしてもよい。
前記基台に保持され前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子が設けられる場合には、前記コリメートレンズの焦点位置は、前記ビーム整形光学素子から出射された光の収差が緩和される方向に前記光源の位置からずれていてもよい。
前記光源の波長は300nm以上で且つ500nm以下にしてもよい。
また、本発明は、前記ビーム整形光学装置と、前記ビーム整形光学素子を通過した光を収束させる対物レンズとを備える光ヘッドとすることもできる。
また、本発明は、前記光ヘッドと、光情報媒体を駆動するための駆動機構と、前記光ヘッドから得られるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号のそれぞれを用いて前記光ヘッドを制御するフォーカスサーボ機構及びトラッキングサーボ機構とを備える光情報駆動装置とすることできる。
本発明の第1の態様に係るビーム整形光学装置によれば、鏡筒ホルダの膨張収縮に伴うコリメートレンズの単位温度あたりの変化量と、光源の発光点の移動変化量にコリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量を足し合わせたものとの差が所定値以下となるようにコリメートレンズが配置されているので、温度変化に伴うビーム整形光学素子への入射光の平行度の劣化、即ち温度変化に伴うコリメート品質の劣化が抑制される。また、コリメートレンズが鏡筒を介して鏡筒ホルダに保持されるので、寸法の製造誤差を吸収してコリメートレンズを所定の位置に容易に位置合わせすることができる。従って、コリメートレンズの位置合わせを容易化し得るという利点を生かしつつ、上記変化量の合わせ込みを精度良く行うことができる。
本発明の第2の態様に係るビーム整形光学装置によれば、鏡筒が、コリメートレンズの前面に当接する当接部を有するので、鏡筒、鏡筒ホルダとは通常において同一材料ではないコリメートレンズの熱膨張が光源の発光点からコリメートレンズまでの距離の温度変化へ及ぼす影響が抑えられる。このため、温度変化によるコリメート品質の劣化を抑えるための最適設計を容易に行うことができる。
また、当接部がコリメートレンズの前面に接着剤を介することなく直接に当接する場合には、鏡筒、鏡筒ホルダと同一材料ではなく、かつ熱膨張率の高い接着剤が光源の発光点からコリメートレンズまでの距離の温度変化へ及ぼす影響が抑えられる。また、接着剤の不均一な塗布によりコリメートレンズの光軸方向及び光軸に直交する方向への変位にばらつきを生じるという不都合が解消される。従って、温度変化によるコリメート品質の劣化を抑えるための最適設計を容易に行うことができる。
また、鏡筒の当接部が平坦面であって、コリメートレンズの前面に設けられた平坦面に面接触する場合には、コリメートレンズの鏡筒との当接面を平坦面として形成すればよいので成型が容易である。
また、鏡筒の当接部が光軸に近いほど光源に近づく斜面であって、コリメートレンズの前面に設けられた斜面に面接触する場合には、光軸に直交する方向に沿ったコリメートレンズの位置が一点に定まる。それにより、コリメートレンズの光軸に直交する方向に沿った位置ずれが抑制される。
また、鏡筒が、コリメートレンズの外周面のうち光軸に対して対称な部位に塗布された接着剤を介してコリメートレンズを保持する場合には、温度変化に伴ってコリメートレンズに作用する半径方向の力が互いに相殺される。その結果、温度変化に伴うコリメートレンズの半径方向への位置ずれ、即ち光軸に直交する方向への位置ずれが抑制される。
また、鏡筒の一端面が段差を有し、その段差の内側に位置する内周部の端面がコリメートレンズの前面に当接する一方、段差の外側に位置する外周部の端面に、光軸に対して対称となる複数の部位に互いに同一幅で内周側から外周側へ横断する溝が形成され、この溝に接着剤が塗布されている場合には、塗布される接着剤の周方向の幅が溝によって均一に規制されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズに作用する半径方向の力が良好な精度で互いに相殺される。
そして、前記溝が前記内周部までには至らないように形成されている場合には、溝に塗布された接着剤がコリメートレンズの前面と後退面との間に回り込むことを防止することができる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化が略零または負である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化が正である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn1/dTと、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn2/dTが、
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
この場合において、光源の波長における凸レンズを構成する材料のアッベ数が、凹レンズを構成する材料のアッベ数より大きく、さらに、光源波長λの変動によるコリメートレンズの波面収差W[λ]の変動ΔW/Δλが、コリメートレンズの有効径に対し、
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
の関係がある場合には、ビーム整形光学装置を構成する光源の波長に影響されない、コリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが単一のレンズで構成され、コリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負であり、コリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、ビーム整形光学装置における光源とコリメートレンズの間隔の変化ΔL[mm]に対する波面収差の発生量をW(ΔL)[λ]とし、コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量をΔfb/ΔTとし、鏡筒、鏡筒ホルダ及び基台の熱膨張による光源とコリメートレンズの間隔の変化量をΔL/ΔT[mm/℃]とし、常温T0に対してビーム整形光学装置の使用温度Tにおける波面収差発生量Wが以下の関係式
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]
を満足するようにすれば、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズのレンズ厚みがコリメートレンズの焦点距離0.5倍から1倍の間にあれば、コリメートレンズを鏡筒を介することなく直接基台に保持することが可能となり、鏡筒の熱変形に影響されない、コリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが単一のレンズで構成され、そのレンズ厚みがコリメートレンズの焦点距離0.5倍から1倍の間にあり、さらにコリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負で、且つコリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上である場合には、光源の波長変動や光学系を配置する基台や鏡筒の熱膨張等の影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記鏡筒と鏡筒ホルダの材料が同じ場合には、鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、鏡筒と鏡筒ホルダの材料が互いに異なり、それぞれの線膨張係数の差が、10−6[/℃]以下である場合には、鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、コリメートレンズと鏡筒と鏡筒ホルダとの材料が互いに異なり、それぞれの線膨張係数の差が10−6[/℃]以下である場合には、コリメートレンズと鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、ビーム整形光学装置において、ビーム整形光学素子から出射された光の収差が緩和される方向に前記光源の位置からずれている場合には、ビーム整形光学装置を構成素子が持つ収差を相殺するように光源の位置をずらして配置することにより、ビーム整形光学装置からの出射光の波面収差を改善できる。
また、光源の波長が300nmから500nmの範囲内にある場合には、短波長の光源に対し温度特性の良好なビーム整形光学装置を構成できる。
また、ビーム整形光学装置と、前記ビーム整形光学素子を通過した光を収束させる対物レンズと備える光ヘッドによれば、対物レンズで集光された光がディスク面上へ形成するスポットの品質の温度変化に伴う劣化が抑制される。
また、前記光ヘッドと、光情報媒体を駆動するための駆動機構と、前記光ヘッドから得られるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号のそれぞれを用いて前記光ヘッドを制御するフォーカスサーボ機構及びトラッキングサーボ機構とを備える光情報媒体駆動装置とすれば、対物レンズで集光された光がディスク面上へ形成するスポットの品質の温度変化に伴う劣化が抑制され、それにより温度変化に伴う記録再生特性の劣化が抑制される。
本発明の第2の態様に係るものは、基台と、前記基台に保持された鏡筒ホルダと、前記鏡筒ホルダに保持された光源と、前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズと、前記基台に保持され、前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子とを備え、前記鏡筒は、前記コリメートレンズの前記光源に近い面である前面に当接する当接部を有するビーム整形光学装置である。
このビーム整形光学装置において、前記鏡筒ホルダにおける所定の基準位置から前記前面までの距離の単位温度あたりの変化量と、前記基準位置に対する前記光源の単位温度あたりの移動変化量に前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの移動変化量を足した変化量との差が所定値以下になるように設定されていてもよい。
前記当接部は、前記コリメートレンズの前記前面に、接着剤を介することなく直接に当接してもよい。
前記当接部が平坦面であり、この当接部は前記コリメートレンズの前記前面に設けられた平坦面部に面接触していてもよい。
前記当接部が光軸に近いほど前記光源に近づく斜面であり、この当接部は前記コリメートレンズの前記前面に設けられた斜面部に面接触していてもよい。
前記コリメートレンズの外周面のうち光軸に対して対称な部位に接着剤が塗布され、前記コリメートレンズは、前記接着剤によって前記鏡筒に接着されていてもよい。
前記鏡筒の一端部は、その外周部が内周部よりも軸方向に突出した段差状に形成されており、前記内周部は、前記コリメートレンズの前記前面に当接する前記当接部を構成し、前記外周部には、光軸に対して対称となる複数の部位に互いに周方向に同一幅で内周側から外周側へ横断する溝が形成されており、前記溝に前記接着剤が塗布されている構成としてもよい。
前記溝は、前記内周部までには至らないように形成されていてもよい。
前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化が略零または負であるものとしてもよい。
また、前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化が正であるものとしてもよい。
また、前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化をdn1/dTとし、前記凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化をdn2/dTとしたときに、これらdn1/dT及びdn2/dTは、以下の関係式
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
を満たしている構成としてもよい。
この場合において、前記光源の波長における前記凸レンズを構成する材料のアッベ数が、前記波長における前記凹レンズを構成する材料のアッベ数よりも大きく、前記光源の波長をλ[nm]とし、よる前記コリメートレンズの波面収差をW[λ]とし、前記波長の変動による前記波面収差の変動をΔW/Δλとしたときに、このΔW/Δλは前記コリメートレンズの有効径に対して以下の関係式
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
を満たしているのが好ましい。
前記コリメートレンズは、単一のレンズで構成され、前記コリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負であり、前記コリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上であるものとしてもよい。
前記光源と前記コリメートレンズの前記前面までの距離の変化量をΔL[mm]とし、この変化量ΔLに対する波面収差の発生量をW(ΔL)[λ]とし、前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量をΔfb/ΔTとし、前記鏡筒、前記鏡筒ホルダ及び前記基台の熱膨張による前記光源と前記コリメートレンズとの間隔の単位温度あたりの変化量をΔL/ΔT[mm/℃]とし、常温をT0とし、前記ビーム整形光学装置の使用温度をTしたときに、以下の関係式
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]が満足されるようにすることができる。
前記コリメートレンズは、このコリメートレンズの焦点距離の0.5倍から1倍の厚みに構成されているものとしてもよい。
前記コリメートレンズは、単一のレンズで構成されるとともに、前記コリメートレンズの焦点距離の0.5倍から1倍の範囲の厚みに構成され、前記コリメートレンズは、屈折率温度変化が負で且つアッベ数が55以上である材料によって構成されていてもよい。
前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、同じ材料によって構成されていてもよい。
前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、互いに異なる材料からなり、それぞれの線膨張係数の差が10−6[/℃]以下であるものとしてもよい。
前記基台に保持され前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子が設けられる場合には、前記コリメートレンズの焦点位置は、前記ビーム整形光学素子から出射された光の収差が緩和される方向に前記光源の位置からずれていてもよい。
前記光源の波長は300nm以上で且つ500nm以下にしてもよい。
また、本発明は、前記ビーム整形光学装置と、前記ビーム整形光学素子を通過した光を収束させる対物レンズとを備える光ヘッドとすることもできる。
また、本発明は、前記光ヘッドと、光情報媒体を駆動するための駆動機構と、前記光ヘッドから得られるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号のそれぞれを用いて前記光ヘッドを制御するフォーカスサーボ機構及びトラッキングサーボ機構とを備える光情報駆動装置とすることできる。
本発明の第1の態様に係るビーム整形光学装置によれば、鏡筒ホルダの膨張収縮に伴うコリメートレンズの単位温度あたりの変化量と、光源の発光点の移動変化量にコリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量を足し合わせたものとの差が所定値以下となるようにコリメートレンズが配置されているので、温度変化に伴うビーム整形光学素子への入射光の平行度の劣化、即ち温度変化に伴うコリメート品質の劣化が抑制される。また、コリメートレンズが鏡筒を介して鏡筒ホルダに保持されるので、寸法の製造誤差を吸収してコリメートレンズを所定の位置に容易に位置合わせすることができる。従って、コリメートレンズの位置合わせを容易化し得るという利点を生かしつつ、上記変化量の合わせ込みを精度良く行うことができる。
本発明の第2の態様に係るビーム整形光学装置によれば、鏡筒が、コリメートレンズの前面に当接する当接部を有するので、鏡筒、鏡筒ホルダとは通常において同一材料ではないコリメートレンズの熱膨張が光源の発光点からコリメートレンズまでの距離の温度変化へ及ぼす影響が抑えられる。このため、温度変化によるコリメート品質の劣化を抑えるための最適設計を容易に行うことができる。
また、当接部がコリメートレンズの前面に接着剤を介することなく直接に当接する場合には、鏡筒、鏡筒ホルダと同一材料ではなく、かつ熱膨張率の高い接着剤が光源の発光点からコリメートレンズまでの距離の温度変化へ及ぼす影響が抑えられる。また、接着剤の不均一な塗布によりコリメートレンズの光軸方向及び光軸に直交する方向への変位にばらつきを生じるという不都合が解消される。従って、温度変化によるコリメート品質の劣化を抑えるための最適設計を容易に行うことができる。
また、鏡筒の当接部が平坦面であって、コリメートレンズの前面に設けられた平坦面に面接触する場合には、コリメートレンズの鏡筒との当接面を平坦面として形成すればよいので成型が容易である。
また、鏡筒の当接部が光軸に近いほど光源に近づく斜面であって、コリメートレンズの前面に設けられた斜面に面接触する場合には、光軸に直交する方向に沿ったコリメートレンズの位置が一点に定まる。それにより、コリメートレンズの光軸に直交する方向に沿った位置ずれが抑制される。
また、鏡筒が、コリメートレンズの外周面のうち光軸に対して対称な部位に塗布された接着剤を介してコリメートレンズを保持する場合には、温度変化に伴ってコリメートレンズに作用する半径方向の力が互いに相殺される。その結果、温度変化に伴うコリメートレンズの半径方向への位置ずれ、即ち光軸に直交する方向への位置ずれが抑制される。
また、鏡筒の一端面が段差を有し、その段差の内側に位置する内周部の端面がコリメートレンズの前面に当接する一方、段差の外側に位置する外周部の端面に、光軸に対して対称となる複数の部位に互いに同一幅で内周側から外周側へ横断する溝が形成され、この溝に接着剤が塗布されている場合には、塗布される接着剤の周方向の幅が溝によって均一に規制されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズに作用する半径方向の力が良好な精度で互いに相殺される。
そして、前記溝が前記内周部までには至らないように形成されている場合には、溝に塗布された接着剤がコリメートレンズの前面と後退面との間に回り込むことを防止することができる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化が略零または負である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化が正である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn1/dTと、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn2/dTが、
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
この場合において、光源の波長における凸レンズを構成する材料のアッベ数が、凹レンズを構成する材料のアッベ数より大きく、さらに、光源波長λの変動によるコリメートレンズの波面収差W[λ]の変動ΔW/Δλが、コリメートレンズの有効径に対し、
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
の関係がある場合には、ビーム整形光学装置を構成する光源の波長に影響されない、コリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが単一のレンズで構成され、コリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負であり、コリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、ビーム整形光学装置における光源とコリメートレンズの間隔の変化ΔL[mm]に対する波面収差の発生量をW(ΔL)[λ]とし、コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量をΔfb/ΔTとし、鏡筒、鏡筒ホルダ及び基台の熱膨張による光源とコリメートレンズの間隔の変化量をΔL/ΔT[mm/℃]とし、常温T0に対してビーム整形光学装置の使用温度Tにおける波面収差発生量Wが以下の関係式
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]
を満足するようにすれば、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズのレンズ厚みがコリメートレンズの焦点距離0.5倍から1倍の間にあれば、コリメートレンズを鏡筒を介することなく直接基台に保持することが可能となり、鏡筒の熱変形に影響されない、コリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが単一のレンズで構成され、そのレンズ厚みがコリメートレンズの焦点距離0.5倍から1倍の間にあり、さらにコリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負で、且つコリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上である場合には、光源の波長変動や光学系を配置する基台や鏡筒の熱膨張等の影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記鏡筒と鏡筒ホルダの材料が同じ場合には、鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、鏡筒と鏡筒ホルダの材料が互いに異なり、それぞれの線膨張係数の差が、10−6[/℃]以下である場合には、鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、コリメートレンズと鏡筒と鏡筒ホルダとの材料が互いに異なり、それぞれの線膨張係数の差が10−6[/℃]以下である場合には、コリメートレンズと鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、ビーム整形光学装置において、ビーム整形光学素子から出射された光の収差が緩和される方向に前記光源の位置からずれている場合には、ビーム整形光学装置を構成素子が持つ収差を相殺するように光源の位置をずらして配置することにより、ビーム整形光学装置からの出射光の波面収差を改善できる。
また、光源の波長が300nmから500nmの範囲内にある場合には、短波長の光源に対し温度特性の良好なビーム整形光学装置を構成できる。
また、ビーム整形光学装置と、前記ビーム整形光学素子を通過した光を収束させる対物レンズと備える光ヘッドによれば、対物レンズで集光された光がディスク面上へ形成するスポットの品質の温度変化に伴う劣化が抑制される。
また、前記光ヘッドと、光情報媒体を駆動するための駆動機構と、前記光ヘッドから得られるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号のそれぞれを用いて前記光ヘッドを制御するフォーカスサーボ機構及びトラッキングサーボ機構とを備える光情報媒体駆動装置とすれば、対物レンズで集光された光がディスク面上へ形成するスポットの品質の温度変化に伴う劣化が抑制され、それにより温度変化に伴う記録再生特性の劣化が抑制される。
図1(a)は、本発明の実施の形態1によるビーム整形光学装置の全体構成を概略的に示す断面図であり、図1(b)は、光源付近の部分を示す断面図であり、図1(c)は、コリメートレンズ付近の部分を示す断面図であり、図1(d)は、鏡筒を光軸方向に見た側面図である。
図2は、図1の鏡筒の外観斜視図である。
図3(a)は、本発明の実施の形態2によるビーム整形光学装置の全体構成を概略的に示す断面図であり、図3(b)は、コリメートレンズ付近の部分を示す断面図であり、図3(c)は、鏡筒を光軸方向に見た断面図である。
図4は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置の断面図である。
図5は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置が25℃から60℃へ温度変化した際、発生する収差量と、コリメータレンズを構成する凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を示す特性図である。
図6は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置について、25℃(常温)から60℃へ温度変化した際に発生する収差量が0.03λになる場合の凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を示した特性図である。
図7は、本発明の実施の形態4によるビーム整形光学装置の構成を概略的に示す断面図である。
図8は、本発明の実施の形態5によるビーム整形光学装置の構成を概略的に示す断面図である。
図9は、本発明の実施の形態6によるビーム整形光学装置の構成を概略的に断面図である。
図10は、本発明の実施の形態7による光情報媒体駆動装置の概略側面図である。
図11は、図10の光情報駆動装置のブロック図である。
図12は、本発明の実施の形態8によるビーム整形光学装置の構成を概略的に断面図である。
図13(a),(b),(c)は、従来の光ヘッド装置のレンズ保持構造を示す図である。
図14は、従来のビーム整形光学装置を有する光ヘッド装置の構成を示す図である。
図2は、図1の鏡筒の外観斜視図である。
図3(a)は、本発明の実施の形態2によるビーム整形光学装置の全体構成を概略的に示す断面図であり、図3(b)は、コリメートレンズ付近の部分を示す断面図であり、図3(c)は、鏡筒を光軸方向に見た断面図である。
図4は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置の断面図である。
図5は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置が25℃から60℃へ温度変化した際、発生する収差量と、コリメータレンズを構成する凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を示す特性図である。
図6は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置について、25℃(常温)から60℃へ温度変化した際に発生する収差量が0.03λになる場合の凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を示した特性図である。
図7は、本発明の実施の形態4によるビーム整形光学装置の構成を概略的に示す断面図である。
図8は、本発明の実施の形態5によるビーム整形光学装置の構成を概略的に示す断面図である。
図9は、本発明の実施の形態6によるビーム整形光学装置の構成を概略的に断面図である。
図10は、本発明の実施の形態7による光情報媒体駆動装置の概略側面図である。
図11は、図10の光情報駆動装置のブロック図である。
図12は、本発明の実施の形態8によるビーム整形光学装置の構成を概略的に断面図である。
図13(a),(b),(c)は、従来の光ヘッド装置のレンズ保持構造を示す図である。
図14は、従来のビーム整形光学装置を有する光ヘッド装置の構成を示す図である。
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。特に図1(a)は、本実施の形態によるビーム整形光学装置101の全体の概略を示す側面断面図、図1(b)は、光源付近の部分を詳細に示す側面断面図、図1(c)はコリメートレンズ付近の部分を詳細に示す側面断面図、図1(d)は鏡筒部を含む部分を詳細に示す正面断面図である。図1において、20は光源、2はコリメートレンズ、6はビーム整形光学素子であり、光源20は、鏡筒ホルダ底部であるプレート5に固定され、コリメートレンズ2は、鏡筒3に保持されている。鏡筒3は、コリメートレンズ2と光源20との間で光軸Oが一致するように、鏡筒ホルダ本体部4に保持固定されている。鏡筒ホルダ本体部4は、基台7の所定の位置に固定されている。図示を略するが、基台7はビーム整形光学素子6をも保持しており、それにより鏡筒ホルダ30(鏡筒ホルダ本体部4及び鏡筒ホルダ底部5)とビーム整形光学素子6との間の位置関係を保っている。
光源20には半導体レーザ素子が用いられており、光源20の発光点1から出射した楕円形状の強度分布をもつ発散光8は、コリメートレンズ2により平行光9に変換され、ビーム整形光学素子6によりビーム径が変換されることにより円形の強度分布をもつ光束10となる。光源20に用いられる半導体レーザ素子は、例えばキャンタイプであって、フランジ部分のコリメートレンズ2に近い面である前面が鏡筒ホルダ底部5に当接し、背面がスプリング21で押圧されることにより鏡筒ホルダ底部5に保持されている。光源20と鏡筒ホルダ底部5とは、接着剤を介することなく互いに直接に当接する。スプリング21は、例えば鏡筒ホルダ底部5に連結する部材(不図示)によって付勢されている。なお、このスプリング21の代わりに鏡筒ホルダ底部5に光源20の下方に凸部が形成された板状のバネを取り付けると共に、板状のバネと光源20の下方とをこの凸部で接触支持するような構成としてもよい。
鏡筒ホルダ30と鏡筒3とは、熱膨張率を一致させるために同一の材料で構成されており、好ましくは、その材料として熱膨張率が低く(約2.4×10−6)、ある程度の強度を有し、熱変形し難く、かつ容易に成型可能な金属材料、例えばアルミニウム、亜鉛、マグネシウム等が用いられる。鏡筒ホルダ30及び鏡筒3の材料として、成型性は劣るがセラミクスも使用可能である。コリメートレンズ2は、好ましくはガラスを材料とする。
コリメートレンズ2は、円筒型の鏡筒3の一端面に固定されている。図2は、鏡筒3の外観図である。図1及び図2に示すように、鏡筒3の一端面には段差が形成されている。段差はその外周側に位置する外周部が軸方向に突出し、かつ段差の内周側に位置する内周部が外周部よりも軸方向に後退するように形成されている。コリメートレンズ2は外周部の内側に収納された状態で保持されている。前記内周部の端面としての後退面3aは、光軸Oに直交する平坦面となっており、コリメートレンズ2の前面(光源20に近い側のレンズ面)に形成された平坦面2aに面接触している。すなわち、鏡筒3の後退面3aはコリメートレンズ2の前面と当接する当接部を構成する。平坦面2aは、コリメートレンズ2の前面の外周に沿って環状に形成されている。平坦面2aは、光軸Oに直交する簡単な形状であるので、コリメートレンズ2を成型する際に容易に形成することができる。
鏡筒3の前記外周部は、コリメートレンズ2の外周面2bとの間に微小な間隙を残してこのコリメートレンズ2の外周面2bを覆っている。それにより、コリメートレンズ2及び鏡筒3の寸法の製造誤差を吸収することができる。
鏡筒3の外周部における端面である突出面16には、光軸Oに対して対称となる複数の部位(図1(d)及び図2では4箇所)に矩形状の溝11が形成されている。溝11は、周方向に沿った幅が互いに同一であり、内周側から外周側へ横断するように形成されている。また、溝11は後退面3aよりも浅く形成されている。つまり、この溝11は後退面3aまでには至らないような深さで突出面16に形成されている。この溝11に接着剤15を盛り付けることにより、コリメートレンズ2の外周面2bの定まった部位に接着剤15が塗布され、コリメートレンズ2が鏡筒3に固定される。望ましくは、コリメートレンズ2の平坦部2aを鏡筒3の後退面3aに押しつけるように、コリメートレンズ2に押圧力を付加しつつ、接着剤15を塗布することにより外周面2bが鏡筒3に固着される。それにより、接着剤15が固化した後も、残留応力により平坦面2aと平坦面3aとの間に押圧状態が維持される。接着剤15は、例えばディスペンサ等の精密計量器具を用いて、例えば0.1mg等の決まった量を塗布するのが望ましい。接着剤15の材料は、例えばアクリル系樹脂であり、好ましくは硬化させるのに加熱を要しないUV(紫外線)硬化性のものが用いられる。
このように、鏡筒3とコリメートレンズ2とを固定する接着剤15が、溝11によって外周面2bのうち光軸Oに対して対称となる部位に局在化されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズ2に作用する半径方向の力が互いに相殺される。特に、塗布される接着剤15の周方向の幅が、溝11によって均一に規制されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズ2に作用する半径方向の力が良好な精度で互いに相殺される。その結果、温度変化に伴うコリメートレンズ2の半径方向への位置ずれ、即ち光軸Oに直交する方向への位置ずれが抑制され、それにより、光軸ずれ、検出スポットずれが抑制される。なお、図1(d)に示すように、半径方向の力をより精度良く相殺する上で、接着剤15は、4箇所の溝に塗布するよりも2箇所の溝11にのみ塗布するのがより望ましい。
また、接着剤15はコリメートレンズ2の外周面2bに塗布され、鏡筒3との当接面である平坦面2aには塗布されない。しかも、溝11は後退面3aよりも浅く形成されるので、溝11に盛り付けられた接着剤15が、互いに当接する平坦面2aと平坦面3aとの間に回り込むことを防止することができる。従って、平坦面2aと平坦面3aとは、接着剤15を介することなく直接に当接する。それにより、光源20の発光点1からコリメートレンズ2までの距離の温度変化に伴う変化量の、接着剤15の熱膨張・熱収縮の影響によるばらつきが解消される。
鏡筒ホルダ本体部4は概略円筒型であるが、その内側面の周方向に沿った一部に断面V字型の壁面(以下、V字壁)が形成されており、内側面のうちV字壁に対向する部位に板バネ13が取り付けられている。板バネ13が円筒型の鏡筒3をV字壁へ押圧することにより、鏡筒3が鏡筒ホルダ本体部4内の所定の位置に保持される。特に、光軸Oに直交する方向の位置が一点に定まる。鏡筒3を鏡筒ホルダ本体部4に固定するのに接着剤が用いられないので、鏡筒3と鏡筒ホルダ本体部4との間の相対位置に、温度変化による接着剤の膨張・収縮の影響がない。その結果、光軸ずれ、検出スポットずれが抑制される。
また、コリメートレンズ2は、鏡筒3を介して鏡筒ホルダ本体部4に保持されるので、コリメートレンズ2の光軸O方向の位置合わせを容易に行うことができる。特に、鏡筒3その他の部材の寸法における製造誤差を吸収して、コリメートレンズ2を所定の位置に設置することが可能となる。また、鏡筒3を鏡筒ホルダ本体部4に固定するのに、板バネ13が用いられるので、鏡筒3の固定を容易に行うことができる。
鏡筒ホルダ底部5のうち光源20が当接する面を基準面(基準位置)として、当該基準面からコリメートレンズ2の位置までの距離Lの単位温度当たりの変化量をΔLとする。ここで、鏡筒3の軸方向端面にコリメートレンズ2の前面が当接しているので、コリメートレンズ2の位置とは、コリメートレンズ2の保持位置即ち平坦面2aの軸方向位置を差す。上記の通り、上記基準面とコリメートレンズ2の平坦面2aとの間には、同一の材料で構成され同一の熱膨張率を有する鏡筒ホルダ30のみが介在し、接着剤等の異種材料は介在しない。また、鏡筒3にはコリメートレンズ2の前面が当接するので、異種材料であるコリメートレンズ2の熱膨張・熱収縮の変化量ΔLへの影響が抑えられる。従って、変化量ΔLは、鏡筒ホルダ30の熱膨張率のみによって定量的に把握することができる。
光源20に用いられる半導体レーザ素子では、ステムと称される銅などの導電性部材の上に半導体チップが搭載されている。従って、基準面と半導体チップの発光点1との間には鏡筒ホルダ30とは異質材料が介在することになる。このため、基準面から発光点1までの距離tの単位温度当たりの変化量Δtを別個に考慮する必要がある。ここでいう発光点1とは半導体チップにおける軸方向端面をさしている。既に述べたように、光源20と鏡筒ホルダ30との間には接着剤は介在しないので、変化量Δtは、光源20の熱膨張率によって定量的に把握することが可能である。なお、距離tは、例えば1.3mm程度である。
コリメートレンズ2のバックフォーカスf、即ち発散光8から平行光線9を生成するための焦点距離の単位温度当たりの変化量Δfは、1つには温度変化に伴うコリメートレンズ2の球面形状の変化、即ち曲率の変化によって規定される。変化量Δfを規定する別の要因として、コリメートレンズ2を構成するガラス材料が持つ物性としての屈折率の温度依存性がある。温度が上昇すると曲率半径は大きくなり、バックフォーカスfを拡大させる要因となる。屈折率については、コリメートレンズ2の材料として適切なガラス材料の中においても、温度上昇に伴って上昇する(バックフォーカスfを縮小させる要因となる)材料と下降する(バックフォーカスfを拡大させる要因となる)材料との双方が知られている。
鏡筒ホルダ30の材料、コリメートレンズ2の形状、コリメートレンズ2の材料の組み合わせを選択することにより、変化量ΔL、Δt及びΔfを、ΔL=Δf+Δtとなるように合わせ込むことが可能である。しかも、基準面からコリメートレンズ2の保持位置まで同一部材が使用されており、接着剤の介在もないので、合わせ込みを精度よく行うことができる。それにより、コリメートレンズ2が出射する平行光9の温度変化に伴うコリメート品質の劣化が抑制される。
ここで、基準面からコリメートレンズ2の保持位置までの単位温度あたりの変化量ΔLを、バックフォーカスの単位温度あたりの変化量Δfと、基準面から発光点1までの距離tの単位温度あたりの変化量Δtとの和(Δf+Δt)に合わせるとは、周囲の温度変化等によって生ずるΔLと、(Δf+Δt)との差によって生ずる単位温度あたりの波面収差の変化量をΔW[mλ/μm]としたときに、以下の関係式
ΔW{ΔL−(Δf+Δt)}<0.03[λ]
を満足する範囲内に鏡筒ホルダ30及び鏡筒3の材料、コリメートレンズ2の形状、コリメートレンズ2の材料を選定することをいう。つまり、変化量ΔLと和(Δf+Δt)との差を所定値以下に抑えることにより、波面収差の変化量ΔWを0.03[λ]未満に抑えることができれば、通常の使用時における周囲温度の変化によっても光ヘッドに要求される記録再生性能を確保することができる。
上記の関係、即ちΔL=Δf+Δtは、ΔL−Δt=Δf、と書き換えることができる。ΔL−Δtは、光源20の発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量に相当する。従って、上記した3つの変化量の合わせ込みは、発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量を、コリメートレンズ2のバックフォーカスの単位温度当たりの変化量に合わせ込むことと同等である。
コリメートレンズ2は、好ましくは、図1に例示するように複数のレンズを組み合わせてなる組み合わせレンズである。組み合わせレンズを構成する各レンズは接着剤によって互いに固着されている。組み合わせレンズは、光源20に用いられる半導体レーザ素子の発光波長が温度変化に伴って変化することよって生じる色収差を吸収することができるので、コリメート品質を高める上で望ましい。また、コリメートレンズ2について様々な特性のものを幅広く選択することができるので、発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの単位温度あたりの変化量との合わせ込みが容易となるという利点が得られる。但し、高精度が要求されない場合には単一レンズの使用も可能である。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。このビーム整形光学装置102は、鏡筒3の後退面3cが、光軸Oに近いほど光源20に近づくように傾斜したすり鉢状の斜面であって、コリメートレンズの前面に設けられた同様形状の斜面2cに面接触する点において、実施の形態1によるビーム整形光学装置101とは異なっている。従って、ビーム整形光学装置102では、半径方向即ち光軸Oに直交する方向のコリメートレンズ2の位置が一点に定まるので、コリメートレンズ2の光軸Oに直交する方向への位置ずれがより効果的に抑制される。それにより、光軸ずれ、検出スポットずれがより効果的に抑制される。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。このビーム整形光学装置103は、従来例で示した図13のビーム整形光学装置とは異なり、コリメートレンズ2は凸および凹レンズからなる接合レンズで構成されている。また、凸および凹レンズはそれぞれ異なるアッベ数をもつ硝材が用いられ、光源20の波長が温度や制御電流により変動する範囲、たとえば発振波長±10nmの範囲において、波長変動による硝材屈折率の変化に伴うバックフォーカスの変動が少ない色消し構成を有す色消しレンズとなっている。従来例のようにコリメートレンズ2が色消し構成でない場合、光源の波長変動に伴いコリメートレンズ2にバックフォーカスの変動が生じ、その結果、コリメートレンズ2を透過した光の平行度が低下し、ビーム整形光学素子6においてコリメートレンズ2を透過した光に非点収差が生じてしまう。
さて、光学系の収差には、マルシャルの評価基準という指標が一般的に用いられているが、指標によれば平行光をレンズにより回折限界まで良好に集光する場合、平行光の波面収差が0.07λ以下であることが望ましいとされている。この場合、他の収差成分や光学素子の公差等を考慮すると、非点収差の発生量としては0.03λ以下に抑える必要がある。
色消しを行うためには、コリメートレンズにおける凸レンズのアッベ数を凹レンズのアッベ数より大きくすれば良いことが知られており、発振波長±10nmの範囲において、非点収差の発生量が0.03λ以下になるように、凸レンズおよび凹レンズの材料を選択すれば、波長変動によるコリメートレンズ2から出射する平行光9を集光レンズにより良好に集光させることができる。
たとえば、上記条件を満足する凸レンズ材料としては、たとえば、(株)オハラのS−FSL5(アッベ数vd=70)、凹レンズ材料として、たとえば、(株)オハラのS−LAH60(アッベ数vd=35)が使用できる。
図4に示す光学系全体の温度変化に伴い、コリメートレンズ2と光源20との間隔は鏡筒ホルダ30や鏡筒3の熱膨張により変化する。このとき、コリメートレンズ2の焦点距離やバックフォーカスも、光源20の発振波長の温度変化と、コリメートレンズ2の熱膨張、およびコリメートレンズ2の材料における屈折率の温度変化により変動する。この場合、使用温度範囲内において、光学系全体の温度変化に伴う、コリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの変化量が一致しなければ、温度変化によってコリメートレンズ2の焦点位置と光源の発光点位置が一致しなくなり、コリメートレンズ2から出射される平行光9の平行度が低下する。
光学系全体の温度上昇に伴う光学系の熱膨張によりコリメートレンズ2と光源20との間隔は長くなるため、温度上昇につれてコリメートレンズ2のバックフォーカスがコリメートレンズ2と光源20の間隔が同じ大きさで長くなれば、コリメートレンズ2から出射される平行光9の平行度低下を抑えることができる。
コリメートレンズ2を構成する凸レンズでは、光学系の温度上昇により光源20の発振波長が長くなるため、凸レンズの硝材の屈折率が低下することにより凸レンズの屈折力が小さくなり、コリメートレンズ2のバックフォーカスが長くなる。ただし、色消しの条件を満足させた場合には、凸レンズのアッベ数を大きくしたほうが有利なためバックフォーカスの伸びを十分に大きくすることはできない。この場合でも凸レンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが負であれば、温度上昇により、凸レンズの屈折率が低下するため、バックフォーカスを長くさせることができ、この屈折率低下によるバックフォーカスの伸びを増大させることができる。
また、コリメートレンズ2を構成する凹レンズでは、光学系の温度上昇により光源20の発振波長が長くなるため、凹レンズの硝材の屈折率が低下することによりコリメートレンズ2のバックフォーカスが減少する。ただし、色消しの条件を満足させた場合には、凸レンズのアッベ数を小さくしたほうが有利であり、したがって、光源20の発振波長が長くなることによって生ずる屈折率の低下を小さくすることができず、バックフォーカスの減少量を十分に抑えることはできない。ただし、凸レンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが正であれば、温度上昇による凸レンズの屈折率低下を抑えることができるため、バックフォーカスの減少分を補うことができる。
温度上昇に対し、凸レンズまたは凹レンズ、または凸レンズおよび凹レンズでバックフォーカスを増大させることにより、温度上昇によるコリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの変化量との差を抑制でき、温度変化によるコリメートレンズ2より出射する平行光9のコリメート品質の低下を抑えることができる。
具体的には、ビーム整形光学装置103における、光源20とコリメートレンズ2の間隔の変化に対する波面収差の発生量をW[λ]とし、ビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる際のコリメートレンズ2のバックフォーカスの温度変化量をΔfb/ΔT[mm/℃]とし、鏡筒3、鏡筒ホルダ30の熱膨張による光源20とコリメートレンズ2の間隔の変化をΔL/ΔT[mm/℃]とするとき、常温Toに対し、ビーム整形光学装置103の使用温度Tにおいて次式1)、
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−To)|)<0.03[λ] ‥‥‥1)
を満たすように各レンズ構成材料を選択する。右辺を0.03としたのは、他の収差成分や光学素子の公差等を考慮すれば、マルシャルの評価基準で示される0.07λよりも小さくした0.03λ以下とする必要があるからである。
具体的な例として、波長408nmのBlu−rayディスク用光学ヘッドに用いる図4のビーム整形光学装置103について、25℃(常温)から60℃へ温度変化した際に発生する収差量と、コリメートレンズ2を構成する凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を数値計算した。屈折率温度変化は一般の光学ガラス材料が有する範囲(−6×10−6〜12×10−6[/℃])で計算を行った。なお、図4のビーム整形光学装置103において、コリメートレンズ2の焦点距離は7mmであり色消しレンズとなっている。
計算結果を図5及び図6に示す。図5は横軸に凹レンズの屈折率温度変化をとり、縦軸に波面収差をとったものである。同図に示すように、凸レンズ構成材料の屈折率温度変化は小さい方が良く、式1)を満足するには凸レンズ構成材料の屈折率温度変化が負または略零、たとえば2×10−6以下が望ましい。また凹レンズ構成材料の屈折率温度変化はなるべく大きなものを使用すれば収差量を低減できる。
図6は、図4のビーム整形光学装置103について、25℃(常温)から60℃へ温度変化した際に発生する収差量が0.03λになる場合の凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を示したグラフである。このグラフに示すように、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn1/dTと、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn2/dTが、次式2)
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0 ‥‥‥2)
の関係を満たす場合、式1)の条件が成立し、ビーム整形光学装置103の出射光のコリメート品質低下を低減することができる。
図5および図6ではBlu−rayディスク用光学ヘッドについて例を示したが、コリメータが色消しレンズである場合、焦点距離やレンズ構成材料の屈折率によらず同様な結果となる。上記条件を満足する凸レンズ材料として、例えばS−FSL5(屈折率温度変化Δn/ΔT=0(波長400nm))等を使用でき、また凹レンズ材料として、例えばS−LAH60(屈折率温度変化Δn/ΔT=10.3(波長400nm))などが使用できる。
さらに、コリメートレンズ2の有効径に対し、光源波長λの変動によるコリメートレンズ2の波面収差W[λ]の変動ΔW/Δλが、マルシャルの評価基準の半分以下、たとえば|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]となるように各構成レンズの球面形状を最適化すれば、光源20の波長変動に対し収差の少ない平行光9を得ることができる。
さて、CD、DVD、Blu−rayディスク等の光ディスク媒体に情報を記録再生する光ヘッドの光学系において、コリメートレンズ2の焦点距離をf[mm]とすると、光源20とコリメートレンズ2との間隔は、焦点距離fの0.5倍〜1倍程度となる。コリメートレンズ2や光源20を保持している光学基台が金属、たとえばアルミのような線膨張の大きな材料で構成されている場合には、この場合の線膨張係数は2×10−5[/℃]程度であるため、光学系全体の熱膨張によりコリメートレンズ2と光源20との間隔はビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる場合、f×10−5×ΔT〜2×f×10−5×ΔT[mm・℃]程度となる。ここで、fの単位を[μm]とすれば、コリメートレンズ2と光源20との間隔の温度変化は0.01×f〜0.02×f[μm/℃]程度となる。
従って、光源20とコリメートレンズ2の間隔に対し、ビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる際の、コリメートレンズ2のバックフォーカスの温度変化量Δfb/ΔTが大きく、|Δfb/ΔT|>0.01×f[μm/℃]である場合、鏡筒3と、鏡筒ホルダ30をそれぞれ構成する材料として、線膨張係数の大きな材料、たとえば銅やアルミなどの金属材料(線膨張係数:1×10−5〜2×10−6[/℃])を用いれば非点収差の発生を抑えることができる。一方、バックフォーカスの温度変化量Δfb/ΔTが小さく、|Δfb/ΔT|≦0.01×f[μm/℃]である場合、鏡筒3と、鏡筒ホルダ30をそれぞれ構成する材料として、線膨張係数の小さな材料、たとえばセラミックや硝子(線膨張係数:1×10−5[/℃]以下)の材料を用いれば非点収差の発生を抑えることができる。
また、図4において、鏡筒3および鏡筒ホルダ30を同一の材料で形成すれば、周囲温度の変化に対し、鏡筒3および鏡筒ホルダ30はそれぞれ同様に膨張または収縮する。従って、熱による鏡筒3およびコリメートレンズ2の変形を抑制させることができ、平行光9の波面収差や光軸傾きを抑制できる。この場合、鏡筒3および鏡筒ホルダ30の材料としては、アルミ、鉄、銅などの金属、またはポリカーボネートなどの樹脂が適用できる。
本実施形態によるビーム整形光学装置103を光ディスク駆動装置に用いられる光ヘッドのビーム整形光学装置として用いれば、光源20の波長変動や、温度変化に対して安定な光ヘッドおよび光ディスク装置を構成することができる。特に、光源20の波長が300nmから500nmの範囲にある場合、一般的な光学材料では波長に対する屈折率の変動が大きいため効果的である。また、ビーム整形光学装置103においては、コリメートレンズ2の焦点位置と光源20の発光点位置をずらすことにより非点収差を発生させることができるが、光ヘッドの持つ非点収差を打ち消すようにコリメートレンズ2をずらして配置すれば、光ヘッドの集光特性をさらに改善することができる。
本実施形態において、温度変化により、コリメートレンズ2と光源20の位置関係が変化し、出射光に傾きが生じる場合がある。この場合、凹レンズおよび凸レンズの何れか一方、または両方を非球面レンズとし、正弦条件を満足する設計にすれば軸外特性を改善することができ、レンズ傾きによる影響を軽減することができる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4によるビーム整形光学装置104の構成例を概略的に示す断面図である。コリメートレンズ2の作製公差や色分散に配慮し硝材を選定した場合、第3の実施の形態における温度変化に伴うコリメートレンズ2の焦点距離の変化量が十分大きくとれない場合がある。このような場合、同図に示すように、線膨張係数の小さい材料、たとえば硝子やセラミックのような線膨張係数が10−5以下の材料からなる鏡筒3にコリメートレンズ2を固定し、さらに鏡筒3における光源20に近い側の端部を固着部14によって鏡筒ホルダ本体部4に固定することにより、ビーム整形光学装置104の温度変化によるコリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量を少なくすることができ、ビーム整形光学装置104における非点収差の発生量を少なく、たとえば0.03λ以下に抑えることができる。
さらにコリメートレンズ2と鏡筒3の線膨張係数の差が少ない、たとえば10−6以下であれば、それぞれが温度とともに同様に膨張するため、温度変化による鏡筒3の歪みによるコリメートレンズ2の位置ずれや歪みを抑えることができ、コリメートレンズ2の温度特性の安定性が向上する。
また、実施の形態3において、コリメートレンズ2のコバ面のうち、最も光源20に近い面でコリメートレンズ2を固定し、その固定した部分と光源20との距離を短く調整することにより、温度変化に伴う鏡筒ホルダ本体部4の膨張収縮による、コリメートレンズ2と光源20との間隔の変化を抑えても同様な効果が得られる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5によるビーム整形光学装置105の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すようにコリメートレンズ2は単レンズが用いられており、このコリメートレンズ2は、光源20の波長近傍たとえば発振波長±10nmの範囲においてバックフォーカスの変動が小さく(たとえば0.002mm以下)なるように、レンズ材料として光源20の波長におけるアッベ数が大きい(たとえば55以上)材料を用いて構成されている。
コリメートレンズ2は、アッベ数が大きいために、光学系の温度上昇に伴う光源20の発振波長の変動による屈折率減少が少なく、従って凸レンズのバックフォーカスの減少も少ない。このため、凸レンズを構成するレンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが負であれば、バックフォーカスを増大させることができ、温度による平行光9の品質低下を抑制することができる。さらに、コリメートレンズ2と鏡筒3と鏡筒ホルダ本体部4とをそれぞれ線膨張係数の差がほぼ等しい(たとえば10−6以下)材料で構成することにより、レンズ材料、鏡筒3、鏡筒ホルダ本体部4の各線膨張係数の違いによる温度変化に伴う光学系の歪を抑制させることができ、平行光9の品質低下を抑えることができる。
たとえば、コリメートレンズ2のレンズ材料として例えばホタロン(住田光学)が、また鏡筒3及び鏡筒ホルダ本体部4としてはセラミック材料などが適用できる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態6)
図9は、本発明の実施の形態6によるビーム整形光学装置106の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すように、コリメートレンズ2の厚み、即ちコリメートレンズ2の光軸方向の面間隔を例えばコリメートレンズ2の焦点距離の0.5〜1倍程度まで厚くすれば、鏡筒がなくてもコリメートレンズ2を安定に調整し固定できる。これにより、光学系の温度変化によるレンズ鏡筒の歪による平行光9の品質低下の影響を抑えることができる。
さらに、図9において、コリメートレンズ2の材料と鏡筒ホルダ本体部4を構成する材料との線膨張係数の差をほぼ等しく(たとえば10−6以下)することにより、各材料の線膨張係数の違いによる温度変化に伴う光学系の歪を抑制させることができ、平行光9の品質低下を抑えることができる。
なお、本実施例、図8では単レンズを用いて説明しているが、組レンズでも同様な効果を得ることができる。また、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態7)
図10は、本発明の実施の形態による光情報媒体駆動装置の概略構成を示す側面図であり、図11は同ブロック図である。この光情報媒体駆動装置110は、光ヘッド40と、回転駆動機構42と、回路基板43と、電源44と、受光装置53と、再生装置47と、トラッキングサーボ機構48と、フォーカスサーボ機構49とを備えている。
光ヘッド40は、例えば実施形態1によるビーム整形光学装置101と、光の方向を転換するための立ち上げミラー46と、光ディスク(光情報媒体)41の記録面に光を収束する対物レンズ45と、光ディスク41の記録面からの反射光の経路を入射光の経路から分岐させ、反射光を再生装置47へ入射するためのハーフミラー(不図示)とを備えている。なお、ビーム整形光学装置としては、実施形態2から6の何れかのものを使用してもよい。
ハーフミラーは、コリメートレンズ2からの出射光が対物レンズ45へ至るまでの経路に介挿される。光ヘッド40の対物レンズ45から出射し光ディスク41の記録面に収束する光によって、情報の記録、消去、及び読み取りが行われる。なお、光源20として使用される半導体レーザ素子は、望ましくは図10に示すように、電極として、接地電極とレーザダイオード電極の他に、モニタ電極(フォトダイオード等で検出した後発光による信号を取り出すための電極)を備えており、回路基板43からレーザダイオードへ通電される電流を制御することができるようになっている。
回転駆動機構42は、モータ(不図示)を備えており、軸に装着された光ディスク41を回転駆動する。回路基板43は、様々な回路素子(不図示)を備えており、再生装置47,トラッキングサーボ機構48及びフォーカスサーボ機構49の構成要素の一つとなっている。また上記の通り、回路基板43は、制御された電流を光ヘッド40へ供給する。電源44は、回路基板43、回転駆動装置42等に電力を供給する。受光装置53は、光ヘッド40によって分岐させられた反射光に基づいて、再生信号50、トラッキングエラー信号51及びフォーカスエラー信号52を生成する。
再生装置47は、再生信号50に基づいて光ディスク41に記録された情報を再生するもので、当該情報が例えば映像情報及び音声情報であれば、映像信号及び音声信号へ変換する。映像信号はモニタ(不図示)へ入力されることにより映像として表示され、音声信号はスピーカ(不図示)へ入力されることにより音声として出力される。トラッキングサーボ機構48は、トラッキングエラー信号51に基づいて、トラッキング誤差を補償するように光ヘッド40を制御する。同様に、フォーカスサーボ機構49は、フォーカスエラー信号52に基づいて、フォーカス誤差を補償するように光ヘッド40を制御する。
光ヘッド40及び光情報媒体駆動装置110は、ビーム整形光学装置101を備えるので、光ディスク41に光学的に情報を記録し、或いは光ディスク41の情報を光学的に再生する場合に、情報を記録或いは再生するためのスポット位置が雰囲気温度の変化に伴ってずれることを防止することができる。即ち、光ヘッド40及び光情報媒体駆動装置110は、雰囲気温度が変化しても記録・再生、及びトラッキング制御を精度よく行うことが可能であり、温度変化に対して安定で信頼性の高い装置として機能する。
(実施の形態8)
図12は、本発明の実施形態8によるビーム整形光学装置の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すように、実施形態8では、コリメートレンズ2を保持する鏡筒3を光源20がコリメートレンズ2の焦点位置から光軸方向にずれるように配置している。このため、ビーム整形光学素子6から出射された平行光に非点収差が発生する。一般に光ヘッドには、このビーム整形光学素子6から出射された平行光が通る光路に非点収差を発生させるような素子が存在する。このためこの素子によって生ずる非点収差を打ち消すようにビーム整形光学素子6において非点収差を発生させることにより、光ヘッド全体としての収差を低減し、光ヘッドの集光特性を向上させることができる。この場合の初期非点収差発生量は、光ヘッドとしての特性(例えば記録再生特性、耐落下衝撃性等)を確保できる10mλ以下とするのが好ましい。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。特に図1(a)は、本実施の形態によるビーム整形光学装置101の全体の概略を示す側面断面図、図1(b)は、光源付近の部分を詳細に示す側面断面図、図1(c)はコリメートレンズ付近の部分を詳細に示す側面断面図、図1(d)は鏡筒部を含む部分を詳細に示す正面断面図である。図1において、20は光源、2はコリメートレンズ、6はビーム整形光学素子であり、光源20は、鏡筒ホルダ底部であるプレート5に固定され、コリメートレンズ2は、鏡筒3に保持されている。鏡筒3は、コリメートレンズ2と光源20との間で光軸Oが一致するように、鏡筒ホルダ本体部4に保持固定されている。鏡筒ホルダ本体部4は、基台7の所定の位置に固定されている。図示を略するが、基台7はビーム整形光学素子6をも保持しており、それにより鏡筒ホルダ30(鏡筒ホルダ本体部4及び鏡筒ホルダ底部5)とビーム整形光学素子6との間の位置関係を保っている。
光源20には半導体レーザ素子が用いられており、光源20の発光点1から出射した楕円形状の強度分布をもつ発散光8は、コリメートレンズ2により平行光9に変換され、ビーム整形光学素子6によりビーム径が変換されることにより円形の強度分布をもつ光束10となる。光源20に用いられる半導体レーザ素子は、例えばキャンタイプであって、フランジ部分のコリメートレンズ2に近い面である前面が鏡筒ホルダ底部5に当接し、背面がスプリング21で押圧されることにより鏡筒ホルダ底部5に保持されている。光源20と鏡筒ホルダ底部5とは、接着剤を介することなく互いに直接に当接する。スプリング21は、例えば鏡筒ホルダ底部5に連結する部材(不図示)によって付勢されている。なお、このスプリング21の代わりに鏡筒ホルダ底部5に光源20の下方に凸部が形成された板状のバネを取り付けると共に、板状のバネと光源20の下方とをこの凸部で接触支持するような構成としてもよい。
鏡筒ホルダ30と鏡筒3とは、熱膨張率を一致させるために同一の材料で構成されており、好ましくは、その材料として熱膨張率が低く(約2.4×10−6)、ある程度の強度を有し、熱変形し難く、かつ容易に成型可能な金属材料、例えばアルミニウム、亜鉛、マグネシウム等が用いられる。鏡筒ホルダ30及び鏡筒3の材料として、成型性は劣るがセラミクスも使用可能である。コリメートレンズ2は、好ましくはガラスを材料とする。
コリメートレンズ2は、円筒型の鏡筒3の一端面に固定されている。図2は、鏡筒3の外観図である。図1及び図2に示すように、鏡筒3の一端面には段差が形成されている。段差はその外周側に位置する外周部が軸方向に突出し、かつ段差の内周側に位置する内周部が外周部よりも軸方向に後退するように形成されている。コリメートレンズ2は外周部の内側に収納された状態で保持されている。前記内周部の端面としての後退面3aは、光軸Oに直交する平坦面となっており、コリメートレンズ2の前面(光源20に近い側のレンズ面)に形成された平坦面2aに面接触している。すなわち、鏡筒3の後退面3aはコリメートレンズ2の前面と当接する当接部を構成する。平坦面2aは、コリメートレンズ2の前面の外周に沿って環状に形成されている。平坦面2aは、光軸Oに直交する簡単な形状であるので、コリメートレンズ2を成型する際に容易に形成することができる。
鏡筒3の前記外周部は、コリメートレンズ2の外周面2bとの間に微小な間隙を残してこのコリメートレンズ2の外周面2bを覆っている。それにより、コリメートレンズ2及び鏡筒3の寸法の製造誤差を吸収することができる。
鏡筒3の外周部における端面である突出面16には、光軸Oに対して対称となる複数の部位(図1(d)及び図2では4箇所)に矩形状の溝11が形成されている。溝11は、周方向に沿った幅が互いに同一であり、内周側から外周側へ横断するように形成されている。また、溝11は後退面3aよりも浅く形成されている。つまり、この溝11は後退面3aまでには至らないような深さで突出面16に形成されている。この溝11に接着剤15を盛り付けることにより、コリメートレンズ2の外周面2bの定まった部位に接着剤15が塗布され、コリメートレンズ2が鏡筒3に固定される。望ましくは、コリメートレンズ2の平坦部2aを鏡筒3の後退面3aに押しつけるように、コリメートレンズ2に押圧力を付加しつつ、接着剤15を塗布することにより外周面2bが鏡筒3に固着される。それにより、接着剤15が固化した後も、残留応力により平坦面2aと平坦面3aとの間に押圧状態が維持される。接着剤15は、例えばディスペンサ等の精密計量器具を用いて、例えば0.1mg等の決まった量を塗布するのが望ましい。接着剤15の材料は、例えばアクリル系樹脂であり、好ましくは硬化させるのに加熱を要しないUV(紫外線)硬化性のものが用いられる。
このように、鏡筒3とコリメートレンズ2とを固定する接着剤15が、溝11によって外周面2bのうち光軸Oに対して対称となる部位に局在化されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズ2に作用する半径方向の力が互いに相殺される。特に、塗布される接着剤15の周方向の幅が、溝11によって均一に規制されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズ2に作用する半径方向の力が良好な精度で互いに相殺される。その結果、温度変化に伴うコリメートレンズ2の半径方向への位置ずれ、即ち光軸Oに直交する方向への位置ずれが抑制され、それにより、光軸ずれ、検出スポットずれが抑制される。なお、図1(d)に示すように、半径方向の力をより精度良く相殺する上で、接着剤15は、4箇所の溝に塗布するよりも2箇所の溝11にのみ塗布するのがより望ましい。
また、接着剤15はコリメートレンズ2の外周面2bに塗布され、鏡筒3との当接面である平坦面2aには塗布されない。しかも、溝11は後退面3aよりも浅く形成されるので、溝11に盛り付けられた接着剤15が、互いに当接する平坦面2aと平坦面3aとの間に回り込むことを防止することができる。従って、平坦面2aと平坦面3aとは、接着剤15を介することなく直接に当接する。それにより、光源20の発光点1からコリメートレンズ2までの距離の温度変化に伴う変化量の、接着剤15の熱膨張・熱収縮の影響によるばらつきが解消される。
鏡筒ホルダ本体部4は概略円筒型であるが、その内側面の周方向に沿った一部に断面V字型の壁面(以下、V字壁)が形成されており、内側面のうちV字壁に対向する部位に板バネ13が取り付けられている。板バネ13が円筒型の鏡筒3をV字壁へ押圧することにより、鏡筒3が鏡筒ホルダ本体部4内の所定の位置に保持される。特に、光軸Oに直交する方向の位置が一点に定まる。鏡筒3を鏡筒ホルダ本体部4に固定するのに接着剤が用いられないので、鏡筒3と鏡筒ホルダ本体部4との間の相対位置に、温度変化による接着剤の膨張・収縮の影響がない。その結果、光軸ずれ、検出スポットずれが抑制される。
また、コリメートレンズ2は、鏡筒3を介して鏡筒ホルダ本体部4に保持されるので、コリメートレンズ2の光軸O方向の位置合わせを容易に行うことができる。特に、鏡筒3その他の部材の寸法における製造誤差を吸収して、コリメートレンズ2を所定の位置に設置することが可能となる。また、鏡筒3を鏡筒ホルダ本体部4に固定するのに、板バネ13が用いられるので、鏡筒3の固定を容易に行うことができる。
鏡筒ホルダ底部5のうち光源20が当接する面を基準面(基準位置)として、当該基準面からコリメートレンズ2の位置までの距離Lの単位温度当たりの変化量をΔLとする。ここで、鏡筒3の軸方向端面にコリメートレンズ2の前面が当接しているので、コリメートレンズ2の位置とは、コリメートレンズ2の保持位置即ち平坦面2aの軸方向位置を差す。上記の通り、上記基準面とコリメートレンズ2の平坦面2aとの間には、同一の材料で構成され同一の熱膨張率を有する鏡筒ホルダ30のみが介在し、接着剤等の異種材料は介在しない。また、鏡筒3にはコリメートレンズ2の前面が当接するので、異種材料であるコリメートレンズ2の熱膨張・熱収縮の変化量ΔLへの影響が抑えられる。従って、変化量ΔLは、鏡筒ホルダ30の熱膨張率のみによって定量的に把握することができる。
光源20に用いられる半導体レーザ素子では、ステムと称される銅などの導電性部材の上に半導体チップが搭載されている。従って、基準面と半導体チップの発光点1との間には鏡筒ホルダ30とは異質材料が介在することになる。このため、基準面から発光点1までの距離tの単位温度当たりの変化量Δtを別個に考慮する必要がある。ここでいう発光点1とは半導体チップにおける軸方向端面をさしている。既に述べたように、光源20と鏡筒ホルダ30との間には接着剤は介在しないので、変化量Δtは、光源20の熱膨張率によって定量的に把握することが可能である。なお、距離tは、例えば1.3mm程度である。
コリメートレンズ2のバックフォーカスf、即ち発散光8から平行光線9を生成するための焦点距離の単位温度当たりの変化量Δfは、1つには温度変化に伴うコリメートレンズ2の球面形状の変化、即ち曲率の変化によって規定される。変化量Δfを規定する別の要因として、コリメートレンズ2を構成するガラス材料が持つ物性としての屈折率の温度依存性がある。温度が上昇すると曲率半径は大きくなり、バックフォーカスfを拡大させる要因となる。屈折率については、コリメートレンズ2の材料として適切なガラス材料の中においても、温度上昇に伴って上昇する(バックフォーカスfを縮小させる要因となる)材料と下降する(バックフォーカスfを拡大させる要因となる)材料との双方が知られている。
鏡筒ホルダ30の材料、コリメートレンズ2の形状、コリメートレンズ2の材料の組み合わせを選択することにより、変化量ΔL、Δt及びΔfを、ΔL=Δf+Δtとなるように合わせ込むことが可能である。しかも、基準面からコリメートレンズ2の保持位置まで同一部材が使用されており、接着剤の介在もないので、合わせ込みを精度よく行うことができる。それにより、コリメートレンズ2が出射する平行光9の温度変化に伴うコリメート品質の劣化が抑制される。
ここで、基準面からコリメートレンズ2の保持位置までの単位温度あたりの変化量ΔLを、バックフォーカスの単位温度あたりの変化量Δfと、基準面から発光点1までの距離tの単位温度あたりの変化量Δtとの和(Δf+Δt)に合わせるとは、周囲の温度変化等によって生ずるΔLと、(Δf+Δt)との差によって生ずる単位温度あたりの波面収差の変化量をΔW[mλ/μm]としたときに、以下の関係式
ΔW{ΔL−(Δf+Δt)}<0.03[λ]
を満足する範囲内に鏡筒ホルダ30及び鏡筒3の材料、コリメートレンズ2の形状、コリメートレンズ2の材料を選定することをいう。つまり、変化量ΔLと和(Δf+Δt)との差を所定値以下に抑えることにより、波面収差の変化量ΔWを0.03[λ]未満に抑えることができれば、通常の使用時における周囲温度の変化によっても光ヘッドに要求される記録再生性能を確保することができる。
上記の関係、即ちΔL=Δf+Δtは、ΔL−Δt=Δf、と書き換えることができる。ΔL−Δtは、光源20の発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量に相当する。従って、上記した3つの変化量の合わせ込みは、発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量を、コリメートレンズ2のバックフォーカスの単位温度当たりの変化量に合わせ込むことと同等である。
コリメートレンズ2は、好ましくは、図1に例示するように複数のレンズを組み合わせてなる組み合わせレンズである。組み合わせレンズを構成する各レンズは接着剤によって互いに固着されている。組み合わせレンズは、光源20に用いられる半導体レーザ素子の発光波長が温度変化に伴って変化することよって生じる色収差を吸収することができるので、コリメート品質を高める上で望ましい。また、コリメートレンズ2について様々な特性のものを幅広く選択することができるので、発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの単位温度あたりの変化量との合わせ込みが容易となるという利点が得られる。但し、高精度が要求されない場合には単一レンズの使用も可能である。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。このビーム整形光学装置102は、鏡筒3の後退面3cが、光軸Oに近いほど光源20に近づくように傾斜したすり鉢状の斜面であって、コリメートレンズの前面に設けられた同様形状の斜面2cに面接触する点において、実施の形態1によるビーム整形光学装置101とは異なっている。従って、ビーム整形光学装置102では、半径方向即ち光軸Oに直交する方向のコリメートレンズ2の位置が一点に定まるので、コリメートレンズ2の光軸Oに直交する方向への位置ずれがより効果的に抑制される。それにより、光軸ずれ、検出スポットずれがより効果的に抑制される。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。このビーム整形光学装置103は、従来例で示した図13のビーム整形光学装置とは異なり、コリメートレンズ2は凸および凹レンズからなる接合レンズで構成されている。また、凸および凹レンズはそれぞれ異なるアッベ数をもつ硝材が用いられ、光源20の波長が温度や制御電流により変動する範囲、たとえば発振波長±10nmの範囲において、波長変動による硝材屈折率の変化に伴うバックフォーカスの変動が少ない色消し構成を有す色消しレンズとなっている。従来例のようにコリメートレンズ2が色消し構成でない場合、光源の波長変動に伴いコリメートレンズ2にバックフォーカスの変動が生じ、その結果、コリメートレンズ2を透過した光の平行度が低下し、ビーム整形光学素子6においてコリメートレンズ2を透過した光に非点収差が生じてしまう。
さて、光学系の収差には、マルシャルの評価基準という指標が一般的に用いられているが、指標によれば平行光をレンズにより回折限界まで良好に集光する場合、平行光の波面収差が0.07λ以下であることが望ましいとされている。この場合、他の収差成分や光学素子の公差等を考慮すると、非点収差の発生量としては0.03λ以下に抑える必要がある。
色消しを行うためには、コリメートレンズにおける凸レンズのアッベ数を凹レンズのアッベ数より大きくすれば良いことが知られており、発振波長±10nmの範囲において、非点収差の発生量が0.03λ以下になるように、凸レンズおよび凹レンズの材料を選択すれば、波長変動によるコリメートレンズ2から出射する平行光9を集光レンズにより良好に集光させることができる。
たとえば、上記条件を満足する凸レンズ材料としては、たとえば、(株)オハラのS−FSL5(アッベ数vd=70)、凹レンズ材料として、たとえば、(株)オハラのS−LAH60(アッベ数vd=35)が使用できる。
図4に示す光学系全体の温度変化に伴い、コリメートレンズ2と光源20との間隔は鏡筒ホルダ30や鏡筒3の熱膨張により変化する。このとき、コリメートレンズ2の焦点距離やバックフォーカスも、光源20の発振波長の温度変化と、コリメートレンズ2の熱膨張、およびコリメートレンズ2の材料における屈折率の温度変化により変動する。この場合、使用温度範囲内において、光学系全体の温度変化に伴う、コリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの変化量が一致しなければ、温度変化によってコリメートレンズ2の焦点位置と光源の発光点位置が一致しなくなり、コリメートレンズ2から出射される平行光9の平行度が低下する。
光学系全体の温度上昇に伴う光学系の熱膨張によりコリメートレンズ2と光源20との間隔は長くなるため、温度上昇につれてコリメートレンズ2のバックフォーカスがコリメートレンズ2と光源20の間隔が同じ大きさで長くなれば、コリメートレンズ2から出射される平行光9の平行度低下を抑えることができる。
コリメートレンズ2を構成する凸レンズでは、光学系の温度上昇により光源20の発振波長が長くなるため、凸レンズの硝材の屈折率が低下することにより凸レンズの屈折力が小さくなり、コリメートレンズ2のバックフォーカスが長くなる。ただし、色消しの条件を満足させた場合には、凸レンズのアッベ数を大きくしたほうが有利なためバックフォーカスの伸びを十分に大きくすることはできない。この場合でも凸レンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが負であれば、温度上昇により、凸レンズの屈折率が低下するため、バックフォーカスを長くさせることができ、この屈折率低下によるバックフォーカスの伸びを増大させることができる。
また、コリメートレンズ2を構成する凹レンズでは、光学系の温度上昇により光源20の発振波長が長くなるため、凹レンズの硝材の屈折率が低下することによりコリメートレンズ2のバックフォーカスが減少する。ただし、色消しの条件を満足させた場合には、凸レンズのアッベ数を小さくしたほうが有利であり、したがって、光源20の発振波長が長くなることによって生ずる屈折率の低下を小さくすることができず、バックフォーカスの減少量を十分に抑えることはできない。ただし、凸レンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが正であれば、温度上昇による凸レンズの屈折率低下を抑えることができるため、バックフォーカスの減少分を補うことができる。
温度上昇に対し、凸レンズまたは凹レンズ、または凸レンズおよび凹レンズでバックフォーカスを増大させることにより、温度上昇によるコリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの変化量との差を抑制でき、温度変化によるコリメートレンズ2より出射する平行光9のコリメート品質の低下を抑えることができる。
具体的には、ビーム整形光学装置103における、光源20とコリメートレンズ2の間隔の変化に対する波面収差の発生量をW[λ]とし、ビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる際のコリメートレンズ2のバックフォーカスの温度変化量をΔfb/ΔT[mm/℃]とし、鏡筒3、鏡筒ホルダ30の熱膨張による光源20とコリメートレンズ2の間隔の変化をΔL/ΔT[mm/℃]とするとき、常温Toに対し、ビーム整形光学装置103の使用温度Tにおいて次式1)、
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−To)|)<0.03[λ] ‥‥‥1)
を満たすように各レンズ構成材料を選択する。右辺を0.03としたのは、他の収差成分や光学素子の公差等を考慮すれば、マルシャルの評価基準で示される0.07λよりも小さくした0.03λ以下とする必要があるからである。
具体的な例として、波長408nmのBlu−rayディスク用光学ヘッドに用いる図4のビーム整形光学装置103について、25℃(常温)から60℃へ温度変化した際に発生する収差量と、コリメートレンズ2を構成する凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を数値計算した。屈折率温度変化は一般の光学ガラス材料が有する範囲(−6×10−6〜12×10−6[/℃])で計算を行った。なお、図4のビーム整形光学装置103において、コリメートレンズ2の焦点距離は7mmであり色消しレンズとなっている。
計算結果を図5及び図6に示す。図5は横軸に凹レンズの屈折率温度変化をとり、縦軸に波面収差をとったものである。同図に示すように、凸レンズ構成材料の屈折率温度変化は小さい方が良く、式1)を満足するには凸レンズ構成材料の屈折率温度変化が負または略零、たとえば2×10−6以下が望ましい。また凹レンズ構成材料の屈折率温度変化はなるべく大きなものを使用すれば収差量を低減できる。
図6は、図4のビーム整形光学装置103について、25℃(常温)から60℃へ温度変化した際に発生する収差量が0.03λになる場合の凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を示したグラフである。このグラフに示すように、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn1/dTと、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn2/dTが、次式2)
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0 ‥‥‥2)
の関係を満たす場合、式1)の条件が成立し、ビーム整形光学装置103の出射光のコリメート品質低下を低減することができる。
図5および図6ではBlu−rayディスク用光学ヘッドについて例を示したが、コリメータが色消しレンズである場合、焦点距離やレンズ構成材料の屈折率によらず同様な結果となる。上記条件を満足する凸レンズ材料として、例えばS−FSL5(屈折率温度変化Δn/ΔT=0(波長400nm))等を使用でき、また凹レンズ材料として、例えばS−LAH60(屈折率温度変化Δn/ΔT=10.3(波長400nm))などが使用できる。
さらに、コリメートレンズ2の有効径に対し、光源波長λの変動によるコリメートレンズ2の波面収差W[λ]の変動ΔW/Δλが、マルシャルの評価基準の半分以下、たとえば|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]となるように各構成レンズの球面形状を最適化すれば、光源20の波長変動に対し収差の少ない平行光9を得ることができる。
さて、CD、DVD、Blu−rayディスク等の光ディスク媒体に情報を記録再生する光ヘッドの光学系において、コリメートレンズ2の焦点距離をf[mm]とすると、光源20とコリメートレンズ2との間隔は、焦点距離fの0.5倍〜1倍程度となる。コリメートレンズ2や光源20を保持している光学基台が金属、たとえばアルミのような線膨張の大きな材料で構成されている場合には、この場合の線膨張係数は2×10−5[/℃]程度であるため、光学系全体の熱膨張によりコリメートレンズ2と光源20との間隔はビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる場合、f×10−5×ΔT〜2×f×10−5×ΔT[mm・℃]程度となる。ここで、fの単位を[μm]とすれば、コリメートレンズ2と光源20との間隔の温度変化は0.01×f〜0.02×f[μm/℃]程度となる。
従って、光源20とコリメートレンズ2の間隔に対し、ビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる際の、コリメートレンズ2のバックフォーカスの温度変化量Δfb/ΔTが大きく、|Δfb/ΔT|>0.01×f[μm/℃]である場合、鏡筒3と、鏡筒ホルダ30をそれぞれ構成する材料として、線膨張係数の大きな材料、たとえば銅やアルミなどの金属材料(線膨張係数:1×10−5〜2×10−6[/℃])を用いれば非点収差の発生を抑えることができる。一方、バックフォーカスの温度変化量Δfb/ΔTが小さく、|Δfb/ΔT|≦0.01×f[μm/℃]である場合、鏡筒3と、鏡筒ホルダ30をそれぞれ構成する材料として、線膨張係数の小さな材料、たとえばセラミックや硝子(線膨張係数:1×10−5[/℃]以下)の材料を用いれば非点収差の発生を抑えることができる。
また、図4において、鏡筒3および鏡筒ホルダ30を同一の材料で形成すれば、周囲温度の変化に対し、鏡筒3および鏡筒ホルダ30はそれぞれ同様に膨張または収縮する。従って、熱による鏡筒3およびコリメートレンズ2の変形を抑制させることができ、平行光9の波面収差や光軸傾きを抑制できる。この場合、鏡筒3および鏡筒ホルダ30の材料としては、アルミ、鉄、銅などの金属、またはポリカーボネートなどの樹脂が適用できる。
本実施形態によるビーム整形光学装置103を光ディスク駆動装置に用いられる光ヘッドのビーム整形光学装置として用いれば、光源20の波長変動や、温度変化に対して安定な光ヘッドおよび光ディスク装置を構成することができる。特に、光源20の波長が300nmから500nmの範囲にある場合、一般的な光学材料では波長に対する屈折率の変動が大きいため効果的である。また、ビーム整形光学装置103においては、コリメートレンズ2の焦点位置と光源20の発光点位置をずらすことにより非点収差を発生させることができるが、光ヘッドの持つ非点収差を打ち消すようにコリメートレンズ2をずらして配置すれば、光ヘッドの集光特性をさらに改善することができる。
本実施形態において、温度変化により、コリメートレンズ2と光源20の位置関係が変化し、出射光に傾きが生じる場合がある。この場合、凹レンズおよび凸レンズの何れか一方、または両方を非球面レンズとし、正弦条件を満足する設計にすれば軸外特性を改善することができ、レンズ傾きによる影響を軽減することができる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4によるビーム整形光学装置104の構成例を概略的に示す断面図である。コリメートレンズ2の作製公差や色分散に配慮し硝材を選定した場合、第3の実施の形態における温度変化に伴うコリメートレンズ2の焦点距離の変化量が十分大きくとれない場合がある。このような場合、同図に示すように、線膨張係数の小さい材料、たとえば硝子やセラミックのような線膨張係数が10−5以下の材料からなる鏡筒3にコリメートレンズ2を固定し、さらに鏡筒3における光源20に近い側の端部を固着部14によって鏡筒ホルダ本体部4に固定することにより、ビーム整形光学装置104の温度変化によるコリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量を少なくすることができ、ビーム整形光学装置104における非点収差の発生量を少なく、たとえば0.03λ以下に抑えることができる。
さらにコリメートレンズ2と鏡筒3の線膨張係数の差が少ない、たとえば10−6以下であれば、それぞれが温度とともに同様に膨張するため、温度変化による鏡筒3の歪みによるコリメートレンズ2の位置ずれや歪みを抑えることができ、コリメートレンズ2の温度特性の安定性が向上する。
また、実施の形態3において、コリメートレンズ2のコバ面のうち、最も光源20に近い面でコリメートレンズ2を固定し、その固定した部分と光源20との距離を短く調整することにより、温度変化に伴う鏡筒ホルダ本体部4の膨張収縮による、コリメートレンズ2と光源20との間隔の変化を抑えても同様な効果が得られる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5によるビーム整形光学装置105の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すようにコリメートレンズ2は単レンズが用いられており、このコリメートレンズ2は、光源20の波長近傍たとえば発振波長±10nmの範囲においてバックフォーカスの変動が小さく(たとえば0.002mm以下)なるように、レンズ材料として光源20の波長におけるアッベ数が大きい(たとえば55以上)材料を用いて構成されている。
コリメートレンズ2は、アッベ数が大きいために、光学系の温度上昇に伴う光源20の発振波長の変動による屈折率減少が少なく、従って凸レンズのバックフォーカスの減少も少ない。このため、凸レンズを構成するレンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが負であれば、バックフォーカスを増大させることができ、温度による平行光9の品質低下を抑制することができる。さらに、コリメートレンズ2と鏡筒3と鏡筒ホルダ本体部4とをそれぞれ線膨張係数の差がほぼ等しい(たとえば10−6以下)材料で構成することにより、レンズ材料、鏡筒3、鏡筒ホルダ本体部4の各線膨張係数の違いによる温度変化に伴う光学系の歪を抑制させることができ、平行光9の品質低下を抑えることができる。
たとえば、コリメートレンズ2のレンズ材料として例えばホタロン(住田光学)が、また鏡筒3及び鏡筒ホルダ本体部4としてはセラミック材料などが適用できる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態6)
図9は、本発明の実施の形態6によるビーム整形光学装置106の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すように、コリメートレンズ2の厚み、即ちコリメートレンズ2の光軸方向の面間隔を例えばコリメートレンズ2の焦点距離の0.5〜1倍程度まで厚くすれば、鏡筒がなくてもコリメートレンズ2を安定に調整し固定できる。これにより、光学系の温度変化によるレンズ鏡筒の歪による平行光9の品質低下の影響を抑えることができる。
さらに、図9において、コリメートレンズ2の材料と鏡筒ホルダ本体部4を構成する材料との線膨張係数の差をほぼ等しく(たとえば10−6以下)することにより、各材料の線膨張係数の違いによる温度変化に伴う光学系の歪を抑制させることができ、平行光9の品質低下を抑えることができる。
なお、本実施例、図8では単レンズを用いて説明しているが、組レンズでも同様な効果を得ることができる。また、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態7)
図10は、本発明の実施の形態による光情報媒体駆動装置の概略構成を示す側面図であり、図11は同ブロック図である。この光情報媒体駆動装置110は、光ヘッド40と、回転駆動機構42と、回路基板43と、電源44と、受光装置53と、再生装置47と、トラッキングサーボ機構48と、フォーカスサーボ機構49とを備えている。
光ヘッド40は、例えば実施形態1によるビーム整形光学装置101と、光の方向を転換するための立ち上げミラー46と、光ディスク(光情報媒体)41の記録面に光を収束する対物レンズ45と、光ディスク41の記録面からの反射光の経路を入射光の経路から分岐させ、反射光を再生装置47へ入射するためのハーフミラー(不図示)とを備えている。なお、ビーム整形光学装置としては、実施形態2から6の何れかのものを使用してもよい。
ハーフミラーは、コリメートレンズ2からの出射光が対物レンズ45へ至るまでの経路に介挿される。光ヘッド40の対物レンズ45から出射し光ディスク41の記録面に収束する光によって、情報の記録、消去、及び読み取りが行われる。なお、光源20として使用される半導体レーザ素子は、望ましくは図10に示すように、電極として、接地電極とレーザダイオード電極の他に、モニタ電極(フォトダイオード等で検出した後発光による信号を取り出すための電極)を備えており、回路基板43からレーザダイオードへ通電される電流を制御することができるようになっている。
回転駆動機構42は、モータ(不図示)を備えており、軸に装着された光ディスク41を回転駆動する。回路基板43は、様々な回路素子(不図示)を備えており、再生装置47,トラッキングサーボ機構48及びフォーカスサーボ機構49の構成要素の一つとなっている。また上記の通り、回路基板43は、制御された電流を光ヘッド40へ供給する。電源44は、回路基板43、回転駆動装置42等に電力を供給する。受光装置53は、光ヘッド40によって分岐させられた反射光に基づいて、再生信号50、トラッキングエラー信号51及びフォーカスエラー信号52を生成する。
再生装置47は、再生信号50に基づいて光ディスク41に記録された情報を再生するもので、当該情報が例えば映像情報及び音声情報であれば、映像信号及び音声信号へ変換する。映像信号はモニタ(不図示)へ入力されることにより映像として表示され、音声信号はスピーカ(不図示)へ入力されることにより音声として出力される。トラッキングサーボ機構48は、トラッキングエラー信号51に基づいて、トラッキング誤差を補償するように光ヘッド40を制御する。同様に、フォーカスサーボ機構49は、フォーカスエラー信号52に基づいて、フォーカス誤差を補償するように光ヘッド40を制御する。
光ヘッド40及び光情報媒体駆動装置110は、ビーム整形光学装置101を備えるので、光ディスク41に光学的に情報を記録し、或いは光ディスク41の情報を光学的に再生する場合に、情報を記録或いは再生するためのスポット位置が雰囲気温度の変化に伴ってずれることを防止することができる。即ち、光ヘッド40及び光情報媒体駆動装置110は、雰囲気温度が変化しても記録・再生、及びトラッキング制御を精度よく行うことが可能であり、温度変化に対して安定で信頼性の高い装置として機能する。
(実施の形態8)
図12は、本発明の実施形態8によるビーム整形光学装置の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すように、実施形態8では、コリメートレンズ2を保持する鏡筒3を光源20がコリメートレンズ2の焦点位置から光軸方向にずれるように配置している。このため、ビーム整形光学素子6から出射された平行光に非点収差が発生する。一般に光ヘッドには、このビーム整形光学素子6から出射された平行光が通る光路に非点収差を発生させるような素子が存在する。このためこの素子によって生ずる非点収差を打ち消すようにビーム整形光学素子6において非点収差を発生させることにより、光ヘッド全体としての収差を低減し、光ヘッドの集光特性を向上させることができる。この場合の初期非点収差発生量は、光ヘッドとしての特性(例えば記録再生特性、耐落下衝撃性等)を確保できる10mλ以下とするのが好ましい。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本発明は、周囲の温度変化に対して記録再生が要求されるビーム整形光学装置、この装置を用いた光ヘッド及び光情報媒体駆動装置に利用することができる。
本発明は、ビーム整形光学装置、並びに当該装置を用いた光ヘッド及び光情報媒体駆動装置に関する。
CD、DVD、Blu−rayディスク等の光ディスク媒体に情報を記録再生する光ヘッドの光学系において、光源としては、通常、半導体レーザが用いられるが、この半導体レーザ出射光の強度分布は一般的に楕円状の分布を有している。この楕円状の強度分布の光を光ヘッドにおける対物レンズで集光する場合、集光された光のスポット径は対物レンズの入射ビーム径に反比例することが一般的に知られており、楕円状の強度分布の長軸方向に対し、短軸方向では集光した光のスポット径が大きくなり、信号の記録再生の分解能が低下してしまうという課題がある。
強度分布の違いを補正するために、光ヘッドの光路中に円形開口を入れ、対物レンズに入射する光を円形に補正することも可能であるが、この場合、一部の光がけられてしまうため、レーザ光の利用効率が低下してしまうという欠点がある。
そこで、出射光の利用効率を損なうことなく集光性を改善するために、半導体レーザから出射される楕円強度分布の光束を、円形に近い強度分布のビームに変換するビーム整形光学装置が用いられている。
ビーム整形光学装置は、たとえば、レーザ光を平行光に変換するコリメートレンズと、屈折作用により楕円形状の平行光を円形に変換するビーム整形プリズムで構成される。
しかしながら、従来のビーム整形光学装置は、ビーム整形光学装置の温度変化に伴い、レンズを保持する部材の熱膨張、および、光学素子を配置する光学基台の熱膨張などが発生することがある。この場合には、コリメートレンズの焦点位置と光源の位置ずれが生じるため、コリメート光の平行度が低下し、その結果として、ビーム整形プリズムを通過したコリメート光に非点収差が発生してしまうという課題があった。また、コリメートレンズの構成材料の屈折率温度変化や光源の波長変動等が発生し、コリメートレンズの焦点位置と光源の位置ずれが生じるおそれがあるため、コリメート光の平行度が低下し、その結果として、ビーム整形プリズムを通過したコリメート光に非点収差が発生してしまうという課題があった。
従来の光ヘッドとして、例えば、下記特許文献1に開示されるレンズ保持構造を有するものが知られている。図13に示すように、同公報に開示されるレンズ保持構造では、コリメートレンズ113を保持するレンズ枠124は、ほぼ円柱形状であり、光路を形成するためにその中心軸を光軸Oとする中空部を有している。
このレンズ枠124の中空部の一方開口端は、半導体レーザを取り付けるために、テーパを設けることにより拡径に形成されている。また、他方開口端側も拡径にして短筒状の内周面124aが形成されており、この内周面124aの内側にコリメートレンズ113が収納保持される。内周面124aはコリメートレンズの短筒状の外周面113aとの間に全周にわたって空隙125が形成されるように内周面124aの半径は外周面113aの半径より僅かに大きくしている。
また、この保持構造は、コリメートレンズ113の光軸方向の位置決めを行うために、光軸Oに関して回転対称となるリング状に形成された突き当て面124bに接着剤116を塗布し、この突き当て面124bにコリメートレンズ113の一方レンズ面113bを突き当てて接着剤116により接着固定することにより、レンズ枠124にコリメートレンズ113を保持している。リング状に形成された突き当て面124bは、外側半径をレンズ枠124の内周面124aまで広げても良いが、図13に示すようにコリメートレンズ113の外側113aまでの半径よりも小さくすることにより、接着剤116がレンズ枠124の内周面124aとコリメートレンズ113の外周面113aとの間にはみ出すことを防止することができ、また、仮にコリメートレンズ113が偏心した状態で固定されたとしても、レンズ面113bと突き当て面124bとの間の接着剤116による保持状態への影響を低減できるという利点が得られる。
また、レンズ枠124の内周面124aとコリメートレンズ113の外周面113aとの間に全周にわたって設けられた空隙125により、周囲温度の変化によるレンズ枠124の熱変形がコリメートレンズ113の外周面113aに直接作用することを防止するという効果が得られる。空隙125を確保すると、コリメートレンズ113とレンズ枠124の中心ずれを抑える効果は弱まるが、これには接着方法の変更により対応がなされている。
また、レンズ枠124の中に設けられたコリメートレンズ113の光軸方向の位置決めのためのリング状の突き当て面124bに接着剤116を塗布し、コリメートレンズ113を接着しているので、周囲温度の変化によるレンズ枠124の熱変形が接着剤116を介してコリメートレンズ113を半径方向に動かそうとする力が、放射状に分散することにより打ち消される。即ち、周囲温度が変化することによりレンズ枠124が熱膨張しても、このレンズ枠124に固定されているコリメートレンズ113は、レンズ枠の中心から等しい距離にあるリング状部分で接着剤116を介して固定されているので、レンズ枠124の熱膨張によってコリメートレンズ113に作用する半径方向外向きの力は、光軸Oに関して対称となる接着部分に働く逆方向で殆ど等しい力により相殺される。
また、コリメートレンズの構成材料の屈折率温度変化や光源の波長変動により、コリメート光の平行度が低下しない構成が下記特許文献2に提案されている。図14に、同公報における従来のビーム整形光学装置を有する光ヘッドの構成の一例を示す。同図における従来のビーム整形光学装置は光源201、鏡筒210に固定されたコリメートレンズ202、ビーム整形光学素子203からなり、光源201から出射した楕円形状の強度分布をもつ発散光は、コリメートレンズ202により平行光に変換され、ビーム整形光学素子203により円形の強度分布を持つ光束に変換される。ビーム整形光学素子から出射した光束は、立ち上げミラー204により偏向され、対物レンズ205によりディスク206の記録面に集光される。ディスク記録面のピット列により変調され反射された光は、再び対物レンズ205を通過し、立ち上げミラー204により偏向され、ビーム整形光学素子203の分離面203aで分離された後、検出レンズ207により集光され、受光素子208により変調された信号光が受光される。
同公報に開示されているように、ビーム整形光学装置においては、コリメートレンズ202を構成する材料の温度変化に伴う屈折率変化と、光源の温度変化による波長変動に伴うコリメートレンズ202の屈折率変化とにより、コリメートレンズ202の焦点距離の変化をキャンセルし、これにより、温度変化によるコリメート光品質低下を抑制している。
特開平10−334472号公報
特開2002−287018号公報
光ヘッド装置では、低温から高温までの幅広い温度環境下での動作が保証されなければならない。しかしながら、図13に示した光ヘッドでは、コリメートレンズ113、コリメートレンズ113を保持するレンズ枠124、レンズ枠124を保持するレンズ保持構造に熱膨張が生じ、それによりレーザ発光点とコリメートレンズ113との間の相対位置にずれが発生する。それに加えて、雰囲気温度の変化に伴って、レーザ光源の波長が変動し、かつコリメートレンズ113の曲率及び屈折率が変化することにより、コリメートレンズ113の焦点距離にずれが発生する。その結果、ビーム整形光学素子への入射光のコリメート品質、即ち入射光の平行度が劣化するという問題点があった。入射光のコリメート品質が劣化することにより、ビーム整形後の光束に非点収差が発生し、対物レンズで集光したときのディスク面上のスポット品質が劣化し、その結果、記録再生特性が劣化するという不具合が生じていた。
また、図13に示した従来の光ヘッド装置では、コリメートレンズ113はそのレンズ面にて接着剤116により固定されているため、接着剤116の盛り量の装置毎のばらつき、及び接着位置によるばらつきにより、熱による接着剤116の膨張・収縮に伴うコリメートレンズ113の光軸方向及び光軸直交方向の変位がばらつくという問題点があった。接着剤116には熱膨張率の高い樹脂が用いられるので、温度変化に伴う接着剤116の膨張収縮の大きさは無視できない。例えば、接着剤116の厚さがばらつくことにより、温度変化に伴うコリメートレンズ113の光源からの距離の変化量がばらつき、接着剤116の幅が突き当て面124bの周に沿って不均一であることにより、温度変化に伴って半径方向の力がコリメートレンズ113に非対称に作用し、それによりコリメートレンズ113が光軸に直交する方向に変位していた。コリメートレンズ113の光軸に直交する方向の変位は、光軸Oのずれをもたらし、検出光スポットずれの原因となっていた。接着剤116を塗布する際のばらつきに起因するコリメートレンズ113の変位のばらつきは、吸収することができなかった。
また、レンズ面が接着されるため、接着剤116によるコリメートレンズ113の汚れの発生、レンズ枠124とコリメートレンズ113との間に空隙を設けることによる大型化、及びレンズ枠124の形状が複雑であることによるコストの増大という問題点に加えて、高い調整精度が必要になるという問題点があった。また、それに伴い、図13に示した鏡筒一体型のレンズ支持構造を有する光ヘッド装置、更には当該光ヘッド装置を有する光情報装置においても、温度特性の劣化、及びコスト増加という問題点が生じていた。
また、記録および再生時の光源の出力変化に伴う波長変動のように、温度以外の要因による光源の波長変動によりコリメートレンズの焦点距離の変化が生じ、ビーム整形光学装置出射光のコリメート品質が劣化してしまうという課題がある。
一般的な光学材料では短波長領域での波長に対する屈折率変動が大きいため、特に、Blu−rayディスクのように、短波長の光源を使用する場合、ビーム整形光学装置出射光のコリメート品質劣化は顕著に現れる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、温度変化に伴うコリメート品質の劣化を抑えたビーム整形光学装置、並びに当該装置を用いた光ヘッド及び光情報媒体駆動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るものは、基台と、前記基台に保持された鏡筒ホルダと、前記鏡筒ホルダに保持された光源と、前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズと、前記基台に保持され、前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子とを備え、前記鏡筒ホルダにおける所定の基準位置から前記コリメートレンズの保持位置までの距離の単位温度あたりの変化量と、前記基準位置に対する前記光源の単位温度あたりの移動変化量に前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの移動変化量を足した変化量との差が所定値以下となるように設定されているビーム整形光学装置である。
本発明の第2の態様に係るものは、基台と、前記基台に保持された鏡筒ホルダと、前記鏡筒ホルダに保持された光源と、前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズと、前記基台に保持され、前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子とを備え、前記鏡筒は、前記コリメートレンズの前記光源に近い面である前面に当接する当接部を有するビーム整形光学装置である。
このビーム整形光学装置において、前記鏡筒ホルダにおける所定の基準位置から前記前面までの距離の単位温度あたりの変化量と、前記基準位置に対する前記光源の単位温度あたりの移動変化量に前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの移動変化量を足した変化量との差が所定値以下になるように設定されていてもよい。
前記当接部は、前記コリメートレンズの前記前面に、接着剤を介することなく直接に当接してもよい。
前記当接部が平坦面であり、この当接部は前記コリメートレンズの前記前面に設けられた平坦面部に面接触していてもよい。
前記当接部が光軸に近いほど前記光源に近づく斜面であり、この当接部は前記コリメートレンズの前記前面に設けられた斜面部に面接触していてもよい。
前記コリメートレンズの外周面のうち光軸に対して対称な部位に接着剤が塗布され、前記コリメートレンズは、前記接着剤によって前記鏡筒に接着されていてもよい。
前記鏡筒の一端部は、その外周部が内周部よりも軸方向に突出した段差状に形成されており、前記内周部は、前記コリメートレンズの前記前面に当接する前記当接部を構成し、前記外周部には、光軸に対して対称となる複数の部位に互いに周方向に同一幅で内周側から外周側へ横断する溝が形成されており、前記溝に前記接着剤が塗布されている構成としてもよい。
前記溝は、前記内周部までには至らないように形成されていてもよい。
前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化が略零または負であるものとしてもよい。
また、前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化が正であるものとしてもよい。
また、前記コリメートレンズが、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化をdn1/dTとし、前記凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化をdn2/dTとしたときに、これらdn1/dT及びdn2/dTは、以下の関係式
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
を満たしている構成としてもよい。
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
を満たしている構成としてもよい。
この場合において、前記光源の波長における前記凸レンズを構成する材料のアッベ数が、前記波長における前記凹レンズを構成する材料のアッベ数よりも大きく、前記光源の波長をλ[nm]とし、よる前記コリメートレンズの波面収差をW[λ]とし、前記波長の変動による前記波面収差の変動をΔW/Δλとしたときに、このΔW/Δλは前記コリメートレンズの有効径に対して以下の関係式
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
を満たしているのが好ましい。
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
を満たしているのが好ましい。
前記コリメートレンズは、単一のレンズで構成され、前記コリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負であり、前記コリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上であるものとしてもよい。
前記光源と前記コリメートレンズの前記前面までの距離の変化量をΔL[mm]とし、この変化量ΔLに対する波面収差の発生量をW(ΔL)[λ]とし、前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量をΔfb/ΔTとし、前記鏡筒、前記鏡筒ホルダ及び前記基台の熱膨張による前記光源と前記コリメートレンズとの間隔の単位温度あたりの変化量をΔL/ΔT[mm/℃]とし、常温をT0とし、前記ビーム整形光学装置の使用温度をTしたときに、以下の関係式
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]が満足されるようにすることができる。
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]が満足されるようにすることができる。
前記コリメートレンズは、このコリメートレンズの焦点距離の0.5倍から1倍の厚みに構成されているものとしてもよい。
前記コリメートレンズは、単一のレンズで構成されるとともに、前記コリメートレンズの焦点距離の0.5倍から1倍の範囲の厚みに構成され、前記コリメートレンズは、屈折率温度変化が負で且つアッベ数が55以上である材料によって構成されていてもよい。
前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、同じ材料によって構成されていてもよい。
前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、互いに異なる材料からなり、それぞれの線膨張係数の差が10−6[/℃]以下であるものとしてもよい。
前記基台に保持され前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子が設けられる場合には、前記コリメートレンズの焦点位置は、前記ビーム整形光学素子から出射された光の収差が緩和される方向に前記光源の位置からずれていてもよい。
前記光源の波長は300nm以上で且つ500nm以下にしてもよい。
また、本発明は、前記ビーム整形光学装置と、前記ビーム整形光学素子を通過した光を収束させる対物レンズとを備える光ヘッドとすることもできる。
また、本発明は、前記光ヘッドと、光情報媒体を駆動するための駆動機構と、前記光ヘッドから得られるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号のそれぞれを用いて前記光ヘッドを制御するフォーカスサーボ機構及びトラッキングサーボ機構とを備える光情報駆動装置とすることできる。
本発明の第1の態様に係るビーム整形光学装置によれば、鏡筒ホルダの膨張収縮に伴うコリメートレンズの単位温度あたりの変化量と、光源の発光点の移動変化量にコリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量を足し合わせたものとの差が所定値以下となるようにコリメートレンズが配置されているので、温度変化に伴うビーム整形光学素子への入射光の平行度の劣化、即ち温度変化に伴うコリメート品質の劣化が抑制される。また、コリメートレンズが鏡筒を介して鏡筒ホルダに保持されるので、寸法の製造誤差を吸収してコリメートレンズを所定の位置に容易に位置合わせすることができる。従って、コリメートレンズの位置合わせを容易化し得るという利点を生かしつつ、上記変化量の合わせ込みを精度良く行うことができる。
本発明の第2の態様に係るビーム整形光学装置によれば、鏡筒が、コリメートレンズの前面に当接する当接部を有するので、鏡筒、鏡筒ホルダとは通常において同一材料ではないコリメートレンズの熱膨張が光源の発光点からコリメートレンズまでの距離の温度変化へ及ぼす影響が抑えられる。このため、温度変化によるコリメート品質の劣化を抑えるための最適設計を容易に行うことができる。
また、当接部がコリメートレンズの前面に接着剤を介することなく直接に当接する場合には、鏡筒、鏡筒ホルダと同一材料ではなく、かつ熱膨張率の高い接着剤が光源の発光点からコリメートレンズまでの距離の温度変化へ及ぼす影響が抑えられる。また、接着剤の不均一な塗布によりコリメートレンズの光軸方向及び光軸に直交する方向への変位にばらつきを生じるという不都合が解消される。従って、温度変化によるコリメート品質の劣化を抑えるための最適設計を容易に行うことができる。
また、鏡筒の当接部が平坦面であって、コリメートレンズの前面に設けられた平坦面に面接触する場合には、コリメートレンズの鏡筒との当接面を平坦面として形成すればよいので成型が容易である。
また、鏡筒の当接部が光軸に近いほど光源に近づく斜面であって、コリメートレンズの前面に設けられた斜面に面接触する場合には、光軸に直交する方向に沿ったコリメートレンズの位置が一点に定まる。それにより、コリメートレンズの光軸に直交する方向に沿った位置ずれが抑制される。
また、鏡筒が、コリメートレンズの外周面のうち光軸に対して対称な部位に塗布された接着剤を介してコリメートレンズを保持する場合には、温度変化に伴ってコリメートレンズに作用する半径方向の力が互いに相殺される。その結果、温度変化に伴うコリメートレンズの半径方向への位置ずれ、即ち光軸に直交する方向への位置ずれが抑制される。
また、鏡筒の一端面が段差を有し、その段差の内側に位置する内周部の端面がコリメートレンズの前面に当接する一方、段差の外側に位置する外周部の端面に、光軸に対して対称となる複数の部位に互いに同一幅で内周側から外周側へ横断する溝が形成され、この溝に接着剤が塗布されている場合には、塗布される接着剤の周方向の幅が溝によって均一に規制されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズに作用する半径方向の力が良好な精度で互いに相殺される。
そして、前記溝が前記内周部までには至らないように形成されている場合には、溝に塗布された接着剤がコリメートレンズの前面と後退面との間に回り込むことを防止することができる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化が略零または負である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化が正である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn1/dTと、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn2/dTが、
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
この場合において、光源の波長における凸レンズを構成する材料のアッベ数が、凹レンズを構成する材料のアッベ数より大きく、さらに、光源波長λの変動によるコリメートレンズの波面収差W[λ]の変動ΔW/Δλが、コリメートレンズの有効径に対し、
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
の関係がある場合には、ビーム整形光学装置を構成する光源の波長に影響されない、コリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
の関係がある場合には、ビーム整形光学装置を構成する光源の波長に影響されない、コリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが単一のレンズで構成され、コリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負であり、コリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上である場合には、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、ビーム整形光学装置における光源とコリメートレンズの間隔の変化ΔL[mm]に対する波面収差の発生量をW(ΔL)[λ]とし、コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量をΔfb/ΔTとし、鏡筒、鏡筒ホルダ及び基台の熱膨張による光源とコリメートレンズの間隔の変化量をΔL/ΔT[mm/℃]とし、常温T0に対してビーム整形光学装置の使用温度Tにおける波面収差発生量Wが以下の関係式
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]
を満足するようにすれば、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]
を満足するようにすれば、ビーム整形光学装置の温度変化に対し、影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズのレンズ厚みがコリメートレンズの焦点距離0.5倍から1倍の間にあれば、コリメートレンズを鏡筒を介することなく直接基台に保持することが可能となり、鏡筒の熱変形に影響されない、コリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記コリメートレンズが単一のレンズで構成され、そのレンズ厚みがコリメートレンズの焦点距離0.5倍から1倍の間にあり、さらにコリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負で、且つコリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上である場合には、光源の波長変動や光学系を配置する基台や鏡筒の熱膨張等の影響の少ないコリメート品質の高いビーム整形光学装置を構成できる。
また、前記鏡筒と鏡筒ホルダの材料が同じ場合には、鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、鏡筒と鏡筒ホルダの材料が互いに異なり、それぞれの線膨張係数の差が、10−6[/℃]以下である場合には、鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、コリメートレンズと鏡筒と鏡筒ホルダとの材料が互いに異なり、それぞれの線膨張係数の差が10−6[/℃]以下である場合には、コリメートレンズと鏡筒と鏡筒ホルダの線膨張係数の違いによる変形や歪みを抑えることができる。
また、ビーム整形光学装置において、ビーム整形光学素子から出射された光の収差が緩和される方向に前記光源の位置からずれている場合には、ビーム整形光学装置を構成素子が持つ収差を相殺するように光源の位置をずらして配置することにより、ビーム整形光学装置からの出射光の波面収差を改善できる。
また、光源の波長が300nmから500nmの範囲内にある場合には、短波長の光源に対し温度特性の良好なビーム整形光学装置を構成できる。
また、ビーム整形光学装置と、前記ビーム整形光学素子を通過した光を収束させる対物レンズと備える光ヘッドによれば、対物レンズで集光された光がディスク面上へ形成するスポットの品質の温度変化に伴う劣化が抑制される。
また、前記光ヘッドと、光情報媒体を駆動するための駆動機構と、前記光ヘッドから得られるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号のそれぞれを用いて前記光ヘッドを制御するフォーカスサーボ機構及びトラッキングサーボ機構とを備える光情報媒体駆動装置とすれば、対物レンズで集光された光がディスク面上へ形成するスポットの品質の温度変化に伴う劣化が抑制され、それにより温度変化に伴う記録再生特性の劣化が抑制される。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。特に図1(a)は、本実施の形態によるビーム整形光学装置101の全体の概略を示す側面断面図、図1(b)は、光源付近の部分を詳細に示す側面断面図、図1(c)はコリメートレンズ付近の部分を詳細に示す側面断面図、図1(d)は鏡筒部を含む部分を詳細に示す正面断面図である。図1において、20は光源、2はコリメートレンズ、6はビーム整形光学素子であり、光源20は、鏡筒ホルダ底部であるプレート5に固定され、コリメートレンズ2は、鏡筒3に保持されている。鏡筒3は、コリメートレンズ2と光源20との間で光軸Oが一致するように、鏡筒ホルダ本体部4に保持固定されている。鏡筒ホルダ本体部4は、基台7の所定の位置に固定されている。図示を略するが、基台7はビーム整形光学素子6をも保持しており、それにより鏡筒ホルダ30(鏡筒ホルダ本体部4及び鏡筒ホルダ底部5)とビーム整形光学素子6との間の位置関係を保っている。
図1は、本発明の実施の形態1によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。特に図1(a)は、本実施の形態によるビーム整形光学装置101の全体の概略を示す側面断面図、図1(b)は、光源付近の部分を詳細に示す側面断面図、図1(c)はコリメートレンズ付近の部分を詳細に示す側面断面図、図1(d)は鏡筒部を含む部分を詳細に示す正面断面図である。図1において、20は光源、2はコリメートレンズ、6はビーム整形光学素子であり、光源20は、鏡筒ホルダ底部であるプレート5に固定され、コリメートレンズ2は、鏡筒3に保持されている。鏡筒3は、コリメートレンズ2と光源20との間で光軸Oが一致するように、鏡筒ホルダ本体部4に保持固定されている。鏡筒ホルダ本体部4は、基台7の所定の位置に固定されている。図示を略するが、基台7はビーム整形光学素子6をも保持しており、それにより鏡筒ホルダ30(鏡筒ホルダ本体部4及び鏡筒ホルダ底部5)とビーム整形光学素子6との間の位置関係を保っている。
光源20には半導体レーザ素子が用いられており、光源20の発光点1から出射した楕円形状の強度分布をもつ発散光8は、コリメートレンズ2により平行光9に変換され、ビーム整形光学素子6によりビーム径が変換されることにより円形の強度分布をもつ光束10となる。光源20に用いられる半導体レーザ素子は、例えばキャンタイプであって、フランジ部分のコリメートレンズ2に近い面である前面が鏡筒ホルダ底部5に当接し、背面がスプリング21で押圧されることにより鏡筒ホルダ底部5に保持されている。光源20と鏡筒ホルダ底部5とは、接着剤を介することなく互いに直接に当接する。スプリング21は、例えば鏡筒ホルダ底部5に連結する部材(不図示)によって付勢されている。なお、このスプリング21の代わりに鏡筒ホルダ底部5に光源20の下方に凸部が形成された板状のバネを取り付けると共に、板状のバネと光源20の下方とをこの凸部で接触支持するような構成としてもよい。
鏡筒ホルダ30と鏡筒3とは、熱膨張率を一致させるために同一の材料で構成されており、好ましくは、その材料として熱膨張率が低く(約2.4×10−6)、ある程度の強度を有し、熱変形し難く、かつ容易に成型可能な金属材料、例えばアルミニウム、亜鉛、マグネシウム等が用いられる。鏡筒ホルダ30及び鏡筒3の材料として、成型性は劣るがセラミクスも使用可能である。コリメートレンズ2は、好ましくはガラスを材料とする。
コリメートレンズ2は、円筒型の鏡筒3の一端面に固定されている。図2は、鏡筒3の外観図である。図1及び図2に示すように、鏡筒3の一端面には段差が形成されている。段差はその外周側に位置する外周部が軸方向に突出し、かつ段差の内周側に位置する内周部が外周部よりも軸方向に後退するように形成されている。コリメートレンズ2は外周部の内側に収納された状態で保持されている。前記内周部の端面としての後退面3aは、光軸Oに直交する平坦面となっており、コリメートレンズ2の前面(光源20に近い側のレンズ面)に形成された平坦面2aに面接触している。すなわち、鏡筒3の後退面3aはコリメートレンズ2の前面と当接する当接部を構成する。平坦面2aは、コリメートレンズ2の前面の外周に沿って環状に形成されている。平坦面2aは、光軸Oに直交する簡単な形状であるので、コリメートレンズ2を成型する際に容易に形成することができる。
鏡筒3の前記外周部は、コリメートレンズ2の外周面2bとの間に微小な間隙を残してこのコリメートレンズ2の外周面2bを覆っている。それにより、コリメートレンズ2及び鏡筒3の寸法の製造誤差を吸収することができる。
鏡筒3の外周部における端面である突出面16には、光軸Oに対して対称となる複数の部位(図1(d)及び図2では4箇所)に矩形状の溝11が形成されている。溝11は、周方向に沿った幅が互いに同一であり、内周側から外周側へ横断するように形成されている。また、溝11は後退面3aよりも浅く形成されている。つまり、この溝11は後退面3aまでには至らないような深さで突出面16に形成されている。この溝11に接着剤15を盛り付けることにより、コリメートレンズ2の外周面2bの定まった部位に接着剤15が塗布され、コリメートレンズ2が鏡筒3に固定される。望ましくは、コリメートレンズ2の平坦部2aを鏡筒3の後退面3aに押しつけるように、コリメートレンズ2に押圧力を付加しつつ、接着剤15を塗布することにより外周面2bが鏡筒3に固着される。それにより、接着剤15が固化した後も、残留応力により平坦面2aと平坦面3aとの間に押圧状態が維持される。接着剤15は、例えばディスペンサ等の精密計量器具を用いて、例えば0.1mg等の決まった量を塗布するのが望ましい。接着剤15の材料は、例えばアクリル系樹脂であり、好ましくは硬化させるのに加熱を要しないUV(紫外線)硬化性のものが用いられる。
このように、鏡筒3とコリメートレンズ2とを固定する接着剤15が、溝11によって外周面2bのうち光軸Oに対して対称となる部位に局在化されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズ2に作用する半径方向の力が互いに相殺される。特に、塗布される接着剤15の周方向の幅が、溝11によって均一に規制されるので、温度変化に伴ってコリメートレンズ2に作用する半径方向の力が良好な精度で互いに相殺される。その結果、温度変化に伴うコリメートレンズ2の半径方向への位置ずれ、即ち光軸Oに直交する方向への位置ずれが抑制され、それにより、光軸ずれ、検出スポットずれが抑制される。なお、図1(d)に示すように、半径方向の力をより精度良く相殺する上で、接着剤15は、4箇所の溝に塗布するよりも2箇所の溝11にのみ塗布するのがより望ましい。
また、接着剤15はコリメートレンズ2の外周面2bに塗布され、鏡筒3との当接面である平坦面2aには塗布されない。しかも、溝11は後退面3aよりも浅く形成されるので、溝11に盛り付けられた接着剤15が、互いに当接する平坦面2aと平坦面3aとの間に回り込むことを防止することができる。従って、平坦面2aと平坦面3aとは、接着剤15を介することなく直接に当接する。それにより、光源20の発光点1からコリメートレンズ2までの距離の温度変化に伴う変化量の、接着剤15の熱膨張・熱収縮の影響によるばらつきが解消される。
鏡筒ホルダ本体部4は概略円筒型であるが、その内側面の周方向に沿った一部に断面V字型の壁面(以下、V字壁)が形成されており、内側面のうちV字壁に対向する部位に板バネ13が取り付けられている。板バネ13が円筒型の鏡筒3をV字壁へ押圧することにより、鏡筒3が鏡筒ホルダ本体部4内の所定の位置に保持される。特に、光軸Oに直交する方向の位置が一点に定まる。鏡筒3を鏡筒ホルダ本体部4に固定するのに接着剤が用いられないので、鏡筒3と鏡筒ホルダ本体部4との間の相対位置に、温度変化による接着剤の膨張・収縮の影響がない。その結果、光軸ずれ、検出スポットずれが抑制される。
また、コリメートレンズ2は、鏡筒3を介して鏡筒ホルダ本体部4に保持されるので、コリメートレンズ2の光軸O方向の位置合わせを容易に行うことができる。特に、鏡筒3その他の部材の寸法における製造誤差を吸収して、コリメートレンズ2を所定の位置に設置することが可能となる。また、鏡筒3を鏡筒ホルダ本体部4に固定するのに、板バネ13が用いられるので、鏡筒3の固定を容易に行うことができる。
鏡筒ホルダ底部5のうち光源20が当接する面を基準面(基準位置)として、当該基準面からコリメートレンズ2の位置までの距離Lの単位温度当たりの変化量をΔLとする。ここで、鏡筒3の軸方向端面にコリメートレンズ2の前面が当接しているので、コリメートレンズ2の位置とは、コリメートレンズ2の保持位置即ち平坦面2aの軸方向位置を差す。上記の通り、上記基準面とコリメートレンズ2の平坦面2aとの間には、同一の材料で構成され同一の熱膨張率を有する鏡筒ホルダ30のみが介在し、接着剤等の異種材料は介在しない。また、鏡筒3にはコリメートレンズ2の前面が当接するので、異種材料であるコリメートレンズ2の熱膨張・熱収縮の変化量ΔLへの影響が抑えられる。従って、変化量ΔLは、鏡筒ホルダ30の熱膨張率のみによって定量的に把握することができる。
光源20に用いられる半導体レーザ素子では、ステムと称される銅などの導電性部材の上に半導体チップが搭載されている。従って、基準面と半導体チップの発光点1との間には鏡筒ホルダ30とは異質材料が介在することになる。このため、基準面から発光点1までの距離tの単位温度当たりの変化量Δtを別個に考慮する必要がある。ここでいう発光点1とは半導体チップにおける軸方向端面をさしている。既に述べたように、光源20と鏡筒ホルダ30との間には接着剤は介在しないので、変化量Δtは、光源20の熱膨張率によって定量的に把握することが可能である。なお、距離tは、例えば1.3mm程度である。
コリメートレンズ2のバックフォーカスf、即ち発散光8から平行光線9を生成するための焦点距離の単位温度当たりの変化量Δfは、1つには温度変化に伴うコリメートレンズ2の球面形状の変化、即ち曲率の変化によって規定される。変化量Δfを規定する別の要因として、コリメートレンズ2を構成するガラス材料が持つ物性としての屈折率の温度依存性がある。温度が上昇すると曲率半径は大きくなり、バックフォーカスfを拡大させる要因となる。屈折率については、コリメートレンズ2の材料として適切なガラス材料の中においても、温度上昇に伴って上昇する(バックフォーカスfを縮小させる要因となる)材料と下降する(バックフォーカスfを拡大させる要因となる)材料との双方が知られている。
鏡筒ホルダ30の材料、コリメートレンズ2の形状、コリメートレンズ2の材料の組み合わせを選択することにより、変化量ΔL、Δt及びΔfを、ΔL=Δf+Δtとなるように合わせ込むことが可能である。しかも、基準面からコリメートレンズ2の保持位置まで同一部材が使用されており、接着剤の介在もないので、合わせ込みを精度よく行うことができる。それにより、コリメートレンズ2が出射する平行光9の温度変化に伴うコリメート品質の劣化が抑制される。
ここで、基準面からコリメートレンズ2の保持位置までの単位温度あたりの変化量ΔLを、バックフォーカスの単位温度あたりの変化量Δfと、基準面から発光点1までの距離tの単位温度あたりの変化量Δtとの和(Δf+Δt)に合わせるとは、周囲の温度変化等によって生ずるΔLと、(Δf+Δt)との差によって生ずる単位温度あたりの波面収差の変化量をΔW[mλ/μm]としたときに、以下の関係式
ΔW{ΔL−(Δf+Δt)}<0.03[λ]
を満足する範囲内に鏡筒ホルダ30及び鏡筒3の材料、コリメートレンズ2の形状、コリメートレンズ2の材料を選定することをいう。つまり、変化量ΔLと和(Δf+Δt)との差を所定値以下に抑えることにより、波面収差の変化量ΔWを0.03[λ]未満に抑えることができれば、通常の使用時における周囲温度の変化によっても光ヘッドに要求される記録再生性能を確保することができる。
ΔW{ΔL−(Δf+Δt)}<0.03[λ]
を満足する範囲内に鏡筒ホルダ30及び鏡筒3の材料、コリメートレンズ2の形状、コリメートレンズ2の材料を選定することをいう。つまり、変化量ΔLと和(Δf+Δt)との差を所定値以下に抑えることにより、波面収差の変化量ΔWを0.03[λ]未満に抑えることができれば、通常の使用時における周囲温度の変化によっても光ヘッドに要求される記録再生性能を確保することができる。
上記の関係、即ちΔL=Δf+Δtは、ΔL−Δt=Δf、と書き換えることができる。ΔL−Δtは、光源20の発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量に相当する。従って、上記した3つの変化量の合わせ込みは、発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量を、コリメートレンズ2のバックフォーカスの単位温度当たりの変化量に合わせ込むことと同等である。
コリメートレンズ2は、好ましくは、図1に例示するように複数のレンズを組み合わせてなる組み合わせレンズである。組み合わせレンズを構成する各レンズは接着剤によって互いに固着されている。組み合わせレンズは、光源20に用いられる半導体レーザ素子の発光波長が温度変化に伴って変化することよって生じる色収差を吸収することができるので、コリメート品質を高める上で望ましい。また、コリメートレンズ2について様々な特性のものを幅広く選択することができるので、発光点1からコリメートレンズ2までの距離の単位温度あたりの変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの単位温度あたりの変化量との合わせ込みが容易となるという利点が得られる。但し、高精度が要求されない場合には単一レンズの使用も可能である。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。このビーム整形光学装置102は、鏡筒3の後退面3cが、光軸Oに近いほど光源20に近づくように傾斜したすり鉢状の斜面であって、コリメートレンズの前面に設けられた同様形状の斜面2cに面接触する点において、実施の形態1によるビーム整形光学装置101とは異なっている。従って、ビーム整形光学装置102では、半径方向即ち光軸Oに直交する方向のコリメートレンズ2の位置が一点に定まるので、コリメートレンズ2の光軸Oに直交する方向への位置ずれがより効果的に抑制される。それにより、光軸ずれ、検出スポットずれがより効果的に抑制される。
図3は、本発明の実施の形態2によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。このビーム整形光学装置102は、鏡筒3の後退面3cが、光軸Oに近いほど光源20に近づくように傾斜したすり鉢状の斜面であって、コリメートレンズの前面に設けられた同様形状の斜面2cに面接触する点において、実施の形態1によるビーム整形光学装置101とは異なっている。従って、ビーム整形光学装置102では、半径方向即ち光軸Oに直交する方向のコリメートレンズ2の位置が一点に定まるので、コリメートレンズ2の光軸Oに直交する方向への位置ずれがより効果的に抑制される。それにより、光軸ずれ、検出スポットずれがより効果的に抑制される。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。このビーム整形光学装置103は、従来例で示した図13のビーム整形光学装置とは異なり、コリメートレンズ2は凸および凹レンズからなる接合レンズで構成されている。また、凸および凹レンズはそれぞれ異なるアッベ数をもつ硝材が用いられ、光源20の波長が温度や制御電流により変動する範囲、たとえば発振波長±10nmの範囲において、波長変動による硝材屈折率の変化に伴うバックフォーカスの変動が少ない色消し構成を有す色消しレンズとなっている。従来例のようにコリメートレンズ2が色消し構成でない場合、光源の波長変動に伴いコリメートレンズ2にバックフォーカスの変動が生じ、その結果、コリメートレンズ2を透過した光の平行度が低下し、ビーム整形光学素子6においてコリメートレンズ2を透過した光に非点収差が生じてしまう。
図4は、本発明の実施の形態3によるビーム整形光学装置の構成例を示す断面図である。このビーム整形光学装置103は、従来例で示した図13のビーム整形光学装置とは異なり、コリメートレンズ2は凸および凹レンズからなる接合レンズで構成されている。また、凸および凹レンズはそれぞれ異なるアッベ数をもつ硝材が用いられ、光源20の波長が温度や制御電流により変動する範囲、たとえば発振波長±10nmの範囲において、波長変動による硝材屈折率の変化に伴うバックフォーカスの変動が少ない色消し構成を有す色消しレンズとなっている。従来例のようにコリメートレンズ2が色消し構成でない場合、光源の波長変動に伴いコリメートレンズ2にバックフォーカスの変動が生じ、その結果、コリメートレンズ2を透過した光の平行度が低下し、ビーム整形光学素子6においてコリメートレンズ2を透過した光に非点収差が生じてしまう。
さて、光学系の収差には、マルシャルの評価基準という指標が一般的に用いられているが、指標によれば平行光をレンズにより回折限界まで良好に集光する場合、平行光の波面収差が0.07λ以下であることが望ましいとされている。この場合、他の収差成分や光学素子の公差等を考慮すると、非点収差の発生量としては0.03λ以下に抑える必要がある。
色消しを行うためには、コリメートレンズにおける凸レンズのアッベ数を凹レンズのアッベ数より大きくすれば良いことが知られており、発振波長±10nmの範囲において、非点収差の発生量が0.03λ以下になるように、凸レンズおよび凹レンズの材料を選択すれば、波長変動によるコリメートレンズ2から出射する平行光9を集光レンズにより良好に集光させることができる。
たとえば、上記条件を満足する凸レンズ材料としては、たとえば、(株)オハラのS−FSL5(アッベ数vd=70)、凹レンズ材料として、たとえば、(株)オハラのS−LAH60(アッベ数vd=35)が使用できる。
図4に示す光学系全体の温度変化に伴い、コリメートレンズ2と光源20との間隔は鏡筒ホルダ30や鏡筒3の熱膨張により変化する。このとき、コリメートレンズ2の焦点距離やバックフォーカスも、光源20の発振波長の温度変化と、コリメートレンズ2の熱膨張、およびコリメートレンズ2の材料における屈折率の温度変化により変動する。この場合、使用温度範囲内において、光学系全体の温度変化に伴う、コリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの変化量が一致しなければ、温度変化によってコリメートレンズ2の焦点位置と光源の発光点位置が一致しなくなり、コリメートレンズ2から出射される平行光9の平行度が低下する。
光学系全体の温度上昇に伴う光学系の熱膨張によりコリメートレンズ2と光源20との間隔は長くなるため、温度上昇につれてコリメートレンズ2のバックフォーカスがコリメートレンズ2と光源20の間隔が同じ大きさで長くなれば、コリメートレンズ2から出射される平行光9の平行度低下を抑えることができる。
コリメートレンズ2を構成する凸レンズでは、光学系の温度上昇により光源20の発振波長が長くなるため、凸レンズの硝材の屈折率が低下することにより凸レンズの屈折力が小さくなり、コリメートレンズ2のバックフォーカスが長くなる。ただし、色消しの条件を満足させた場合には、凸レンズのアッベ数を大きくしたほうが有利なためバックフォーカスの伸びを十分に大きくすることはできない。この場合でも凸レンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが負であれば、温度上昇により、凸レンズの屈折率が低下するため、バックフォーカスを長くさせることができ、この屈折率低下によるバックフォーカスの伸びを増大させることができる。
また、コリメートレンズ2を構成する凹レンズでは、光学系の温度上昇により光源20の発振波長が長くなるため、凹レンズの硝材の屈折率が低下することによりコリメートレンズ2のバックフォーカスが減少する。ただし、色消しの条件を満足させた場合には、凸レンズのアッベ数を小さくしたほうが有利であり、したがって、光源20の発振波長が長くなることによって生ずる屈折率の低下を小さくすることができず、バックフォーカスの減少量を十分に抑えることはできない。ただし、凸レンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが正であれば、温度上昇による凸レンズの屈折率低下を抑えることができるため、バックフォーカスの減少分を補うことができる。
温度上昇に対し、凸レンズまたは凹レンズ、または凸レンズおよび凹レンズでバックフォーカスを増大させることにより、温度上昇によるコリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量と、コリメートレンズ2のバックフォーカスの変化量との差を抑制でき、温度変化によるコリメートレンズ2より出射する平行光9のコリメート品質の低下を抑えることができる。
具体的には、ビーム整形光学装置103における、光源20とコリメートレンズ2の間隔の変化に対する波面収差の発生量をW[λ]とし、ビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる際のコリメートレンズ2のバックフォーカスの温度変化量をΔfb/ΔT[mm/℃]とし、鏡筒3、鏡筒ホルダ30の熱膨張による光源20とコリメートレンズ2の間隔の変化をΔL/ΔT[mm/℃]とするとき、常温Toに対し、ビーム整形光学装置103の使用温度Tにおいて次式1)、
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−To)|)<0.03 [λ] ‥‥‥1)
を満たすように各レンズ構成材料を選択する。右辺を0.03としたのは、他の収差成分や光学素子の公差等を考慮すれば、マルシャルの評価基準で示される0.07λよりも小さくした0.03λ以下とする必要があるからである。
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−To)|)<0.03 [λ] ‥‥‥1)
を満たすように各レンズ構成材料を選択する。右辺を0.03としたのは、他の収差成分や光学素子の公差等を考慮すれば、マルシャルの評価基準で示される0.07λよりも小さくした0.03λ以下とする必要があるからである。
具体的な例として、波長408nmのBlu−rayディスク用光学ヘッドに用いる図4のビーム整形光学装置103について、25℃(常温)から60℃へ温度変化した際に発生する収差量と、コリメートレンズ2を構成する凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を数値計算した。屈折率温度変化は一般の光学ガラス材料が有する範囲(−6×10−6〜12×10−6 [/℃])で計算を行った。なお、図4のビーム整形光学装置103において、コリメートレンズ2の焦点距離は7mmであり色消しレンズとなっている。
計算結果を図5及び図6に示す。図5は横軸に凹レンズの屈折率温度変化をとり、縦軸に波面収差をとったものである。同図に示すように、凸レンズ構成材料の屈折率温度変化は小さい方が良く、式1)を満足するには凸レンズ構成材料の屈折率温度変化が負または略零、たとえば2×10−6以下が望ましい。また凹レンズ構成材料の屈折率温度変化はなるべく大きなものを使用すれば収差量を低減できる。
図6は、図4のビーム整形光学装置103について、25℃(常温)から60℃へ温度変化した際に発生する収差量が0.03λになる場合の凹レンズおよび凸レンズ構成材料の屈折率温度変化の関係を示したグラフである。このグラフに示すように、凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn1/dTと、凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化dn2/dTが、次式2)
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0 ‥‥‥2)
の関係を満たす場合、式1)の条件が成立し、ビーム整形光学装置103の出射光のコリメート品質低下を低減することができる。
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0 ‥‥‥2)
の関係を満たす場合、式1)の条件が成立し、ビーム整形光学装置103の出射光のコリメート品質低下を低減することができる。
図5および図6ではBlu−rayディスク用光学ヘッドについて例を示したが、コリメータが色消しレンズである場合、焦点距離やレンズ構成材料の屈折率によらず同様な結果となる。上記条件を満足する凸レンズ材料として、例えばS−FSL5(屈折率温度変化Δn/ΔT=0(波長400nm))等を使用でき、また凹レンズ材料として、例えばS−LAH60(屈折率温度変化Δn/ΔT=10.3(波長400nm))などが使用できる。
さらに、コリメートレンズ2の有効径に対し、光源波長λの変動によるコリメートレンズ2の波面収差W[λ]の変動ΔW/Δλが、マルシャルの評価基準の半分以下、たとえば|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]となるように各構成レンズの球面形状を最適化すれば、光源20の波長変動に対し収差の少ない平行光9を得ることができる。
さて、CD、DVD、Blu−rayディスク等の光ディスク媒体に情報を記録再生する光ヘッドの光学系において、コリメートレンズ2の焦点距離をf[mm]とすると、光源20とコリメートレンズ2との間隔は、焦点距離fの0.5倍〜1倍程度となる。コリメートレンズ2や光源20を保持している光学基台が金属、たとえばアルミのような線膨張の大きな材料で構成されている場合には、この場合の線膨張係数は2×10−5[/℃]程度であるため、光学系全体の熱膨張によりコリメートレンズ2と光源20との間隔はビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる場合、f×10−5×ΔT〜2×f×10−5×ΔT[mm・℃]程度となる。ここで、fの単位を[μm]とすれば、コリメートレンズ2と光源20との間隔の温度変化は0.01×f〜0.02×f[μm/℃]程度となる。
従って、光源20とコリメートレンズ2の間隔に対し、ビーム整形光学装置103に温度変化ΔTが生じる際の、コリメートレンズ2のバックフォーカスの温度変化量Δfb/ΔTが大きく、|Δfb/ΔT|>0.01×f[μm/℃]である場合、鏡筒3と、鏡筒ホルダ30をそれぞれ構成する材料として、線膨張係数の大きな材料、たとえば銅やアルミなどの金属材料(線膨張係数:1×10−5〜2×10−6[/℃])を用いれば非点収差の発生を抑えることができる。一方、バックフォーカスの温度変化量Δfb/ΔTが小さく、|Δfb/ΔT|≦0.01×f[μm/℃]である場合、鏡筒3と、鏡筒ホルダ30をそれぞれ構成する材料として、線膨張係数の小さな材料、たとえばセラミックや硝子(線膨張係数:1×10−5[/℃]以下)の材料を用いれば非点収差の発生を抑えることができる。
また、図4において、鏡筒3および鏡筒ホルダ30を同一の材料で形成すれば、周囲温度の変化に対し、鏡筒3および鏡筒ホルダ30はそれぞれ同様に膨張または収縮する。従って、熱による鏡筒3およびコリメートレンズ2の変形を抑制させることができ、平行光9の波面収差や光軸傾きを抑制できる。この場合、鏡筒3および鏡筒ホルダ30の材料としては、アルミ、鉄、銅などの金属、またはポリカーボネートなどの樹脂が適用できる。
本実施形態によるビーム整形光学装置103を光ディスク駆動装置に用いられる光ヘッドのビーム整形光学装置として用いれば、光源20の波長変動や、温度変化に対して安定な光ヘッドおよび光ディスク装置を構成することができる。特に、光源20の波長が300nmから500nmの範囲にある場合、一般的な光学材料では波長に対する屈折率の変動が大きいため効果的である。また、ビーム整形光学装置103においては、コリメートレンズ2の焦点位置と光源20の発光点位置をずらすことにより非点収差を発生させることができるが、光ヘッドの持つ非点収差を打ち消すようにコリメートレンズ2をずらして配置すれば、光ヘッドの集光特性をさらに改善することができる。
本実施形態において、温度変化により、コリメートレンズ2と光源20の位置関係が変化し、出射光に傾きが生じる場合がある。この場合、凹レンズおよび凸レンズの何れか一方、または両方を非球面レンズとし、正弦条件を満足する設計にすれば軸外特性を改善することができ、レンズ傾きによる影響を軽減することができる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4によるビーム整形光学装置104の構成例を概略的に示す断面図である。コリメートレンズ2の作製公差や色分散に配慮し硝材を選定した場合、第3の実施の形態における温度変化に伴うコリメートレンズ2の焦点距離の変化量が十分大きくとれない場合がある。このような場合、同図に示すように、線膨張係数の小さい材料、たとえば硝子やセラミックのような線膨張係数が10−5以下の材料からなる鏡筒3にコリメートレンズ2を固定し、さらに鏡筒3における光源20に近い側の端部を固着部14によって鏡筒ホルダ本体部4に固定することにより、ビーム整形光学装置104の温度変化によるコリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量を少なくすることができ、ビーム整形光学装置104における非点収差の発生量を少なく、たとえば0.03λ以下に抑えることができる。
図7は、本発明の実施の形態4によるビーム整形光学装置104の構成例を概略的に示す断面図である。コリメートレンズ2の作製公差や色分散に配慮し硝材を選定した場合、第3の実施の形態における温度変化に伴うコリメートレンズ2の焦点距離の変化量が十分大きくとれない場合がある。このような場合、同図に示すように、線膨張係数の小さい材料、たとえば硝子やセラミックのような線膨張係数が10−5以下の材料からなる鏡筒3にコリメートレンズ2を固定し、さらに鏡筒3における光源20に近い側の端部を固着部14によって鏡筒ホルダ本体部4に固定することにより、ビーム整形光学装置104の温度変化によるコリメートレンズ2と光源20との間隔の変化量を少なくすることができ、ビーム整形光学装置104における非点収差の発生量を少なく、たとえば0.03λ以下に抑えることができる。
さらにコリメートレンズ2と鏡筒3の線膨張係数の差が少ない、たとえば10−6以下であれば、それぞれが温度とともに同様に膨張するため、温度変化による鏡筒3の歪みによるコリメートレンズ2の位置ずれや歪みを抑えることができ、コリメートレンズ2の温度特性の安定性が向上する。
また、実施の形態3において、コリメートレンズ2のコバ面のうち、最も光源20に近い面でコリメートレンズ2を固定し、その固定した部分と光源20との距離を短く調整することにより、温度変化に伴う鏡筒ホルダ本体部4の膨張収縮による、コリメートレンズ2と光源20との間隔の変化を抑えても同様な効果が得られる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5によるビーム整形光学装置105の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すようにコリメートレンズ2は単レンズが用いられており、このコリメートレンズ2は、光源20の波長近傍たとえば発振波長±10nmの範囲においてバックフォーカスの変動が小さく(たとえば0.002mm以下)なるように、レンズ材料として光源20の波長におけるアッベ数が大きい(たとえば55以上)材料を用いて構成されている。
図8は、本発明の実施の形態5によるビーム整形光学装置105の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すようにコリメートレンズ2は単レンズが用いられており、このコリメートレンズ2は、光源20の波長近傍たとえば発振波長±10nmの範囲においてバックフォーカスの変動が小さく(たとえば0.002mm以下)なるように、レンズ材料として光源20の波長におけるアッベ数が大きい(たとえば55以上)材料を用いて構成されている。
コリメートレンズ2は、アッベ数が大きいために、光学系の温度上昇に伴う光源20の発振波長の変動による屈折率減少が少なく、従って凸レンズのバックフォーカスの減少も少ない。このため、凸レンズを構成するレンズ材料の屈折率の温度変化Δn/ΔTが負であれば、バックフォーカスを増大させることができ、温度による平行光9の品質低下を抑制することができる。さらに、コリメートレンズ2と鏡筒3と鏡筒ホルダ本体部4とをそれぞれ線膨張係数の差がほぼ等しい(たとえば10−6以下)材料で構成することにより、レンズ材料、鏡筒3、鏡筒ホルダ本体部4の各線膨張係数の違いによる温度変化に伴う光学系の歪を抑制させることができ、平行光9の品質低下を抑えることができる。
たとえば、コリメートレンズ2のレンズ材料として例えばホタロン(住田光学)が、また鏡筒3及び鏡筒ホルダ本体部4としてはセラミック材料などが適用できる。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態6)
図9は、本発明の実施の形態6によるビーム整形光学装置106の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すように、コリメートレンズ2の厚み、即ちコリメートレンズ2の光軸方向の面間隔を例えばコリメートレンズ2の焦点距離の0.5〜1倍程度まで厚くすれば、鏡筒がなくてもコリメートレンズ2を安定に調整し固定できる。これにより、光学系の温度変化によるレンズ鏡筒の歪による平行光9の品質低下の影響を抑えることができる。
図9は、本発明の実施の形態6によるビーム整形光学装置106の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すように、コリメートレンズ2の厚み、即ちコリメートレンズ2の光軸方向の面間隔を例えばコリメートレンズ2の焦点距離の0.5〜1倍程度まで厚くすれば、鏡筒がなくてもコリメートレンズ2を安定に調整し固定できる。これにより、光学系の温度変化によるレンズ鏡筒の歪による平行光9の品質低下の影響を抑えることができる。
さらに、図9において、コリメートレンズ2の材料と鏡筒ホルダ本体部4を構成する材料との線膨張係数の差をほぼ等しく(たとえば10−6以下)することにより、各材料の線膨張係数の違いによる温度変化に伴う光学系の歪を抑制させることができ、平行光9の品質低下を抑えることができる。
なお、本実施例、図8では単レンズを用いて説明しているが、組レンズでも同様な効果を得ることができる。また、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
(実施の形態7)
図10は、本発明の実施の形態による光情報媒体駆動装置の概略構成を示す側面図であり、図11は同ブロック図である。この光情報媒体駆動装置110は、光ヘッド40と、回転駆動機構42と、回路基板43と、電源44と、受光装置53と、再生装置47と、トラッキングサーボ機構48と、フォーカスサーボ機構49とを備えている。
図10は、本発明の実施の形態による光情報媒体駆動装置の概略構成を示す側面図であり、図11は同ブロック図である。この光情報媒体駆動装置110は、光ヘッド40と、回転駆動機構42と、回路基板43と、電源44と、受光装置53と、再生装置47と、トラッキングサーボ機構48と、フォーカスサーボ機構49とを備えている。
光ヘッド40は、例えば実施形態1によるビーム整形光学装置101と、光の方向を転換するための立ち上げミラー46と、光ディスク(光情報媒体)41の記録面に光を収束する対物レンズ45と、光ディスク41の記録面からの反射光の経路を入射光の経路から分岐させ、反射光を再生装置47へ入射するためのハーフミラー(不図示)とを備えている。なお、ビーム整形光学装置としては、実施形態2から6の何れかのものを使用してもよい。
ハーフミラーは、コリメートレンズ2からの出射光が対物レンズ45へ至るまでの経路に介挿される。光ヘッド40の対物レンズ45から出射し光ディスク41の記録面に収束する光によって、情報の記録、消去、及び読み取りが行われる。なお、光源20として使用される半導体レーザ素子は、望ましくは図10に示すように、電極として、接地電極とレーザダイオード電極の他に、モニタ電極(フォトダイオード等で検出した後発光による信号を取り出すための電極)を備えており、回路基板43からレーザダイオードへ通電される電流を制御することができるようになっている。
回転駆動機構42は、モータ(不図示)を備えており、軸に装着された光ディスク41を回転駆動する。回路基板43は、様々な回路素子(不図示)を備えており、再生装置47,トラッキングサーボ機構48及びフォーカスサーボ機構49の構成要素の一つとなっている。また上記の通り、回路基板43は、制御された電流を光ヘッド40へ供給する。電源44は、回路基板43、回転駆動装置42等に電力を供給する。受光装置53は、光ヘッド40によって分岐させられた反射光に基づいて、再生信号50、トラッキングエラー信号51及びフォーカスエラー信号52を生成する。
再生装置47は、再生信号50に基づいて光ディスク41に記録された情報を再生するもので、当該情報が例えば映像情報及び音声情報であれば、映像信号及び音声信号へ変換する。映像信号はモニタ(不図示)へ入力されることにより映像として表示され、音声信号はスピーカ(不図示)へ入力されることにより音声として出力される。トラッキングサーボ機構48は、トラッキングエラー信号51に基づいて、トラッキング誤差を補償するように光ヘッド40を制御する。同様に、フォーカスサーボ機構49は、フォーカスエラー信号52に基づいて、フォーカス誤差を補償するように光ヘッド40を制御する。
光ヘッド40及び光情報媒体駆動装置110は、ビーム整形光学装置101を備えるので、光ディスク41に光学的に情報を記録し、或いは光ディスク41の情報を光学的に再生する場合に、情報を記録或いは再生するためのスポット位置が雰囲気温度の変化に伴ってずれることを防止することができる。即ち、光ヘッド40及び光情報媒体駆動装置110は、雰囲気温度が変化しても記録・再生、及びトラッキング制御を精度よく行うことが可能であり、温度変化に対して安定で信頼性の高い装置として機能する。
(実施の形態8)
図12は、本発明の実施形態8によるビーム整形光学装置の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すように、実施形態8では、コリメートレンズ2を保持する鏡筒3を光源20がコリメートレンズ2の焦点位置から光軸方向にずれるように配置している。このため、ビーム整形光学素子6から出射された平行光に非点収差が発生する。一般に光ヘッドには、このビーム整形光学素子6から出射された平行光が通る光路に非点収差を発生させるような素子が存在する。このためこの素子によって生ずる非点収差を打ち消すようにビーム整形光学素子6において非点収差を発生させることにより、光ヘッド全体としての収差を低減し、光ヘッドの集光特性を向上させることができる。この場合の初期非点収差発生量は、光ヘッドとしての特性(例えば記録再生特性、耐落下衝撃性等)を確保できる10mλ以下とするのが好ましい。
図12は、本発明の実施形態8によるビーム整形光学装置の構成例を概略的に示す断面図である。同図に示すように、実施形態8では、コリメートレンズ2を保持する鏡筒3を光源20がコリメートレンズ2の焦点位置から光軸方向にずれるように配置している。このため、ビーム整形光学素子6から出射された平行光に非点収差が発生する。一般に光ヘッドには、このビーム整形光学素子6から出射された平行光が通る光路に非点収差を発生させるような素子が存在する。このためこの素子によって生ずる非点収差を打ち消すようにビーム整形光学素子6において非点収差を発生させることにより、光ヘッド全体としての収差を低減し、光ヘッドの集光特性を向上させることができる。この場合の初期非点収差発生量は、光ヘッドとしての特性(例えば記録再生特性、耐落下衝撃性等)を確保できる10mλ以下とするのが好ましい。
なお、その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本発明は、周囲の温度変化に対して記録再生が要求されるビーム整形光学装置、この装置を用いた光ヘッド及び光情報媒体駆動装置に利用することができる。
Claims (24)
- 基台と、
前記基台に保持された鏡筒ホルダと、
前記鏡筒ホルダに保持された光源と、
前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、
前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズとを備え、
前記鏡筒ホルダにおける所定の基準位置から前記コリメートレンズの保持位置までの距離の単位温度あたりの変化量と、前記基準位置に対する前記光源の単位温度あたりの移動変化量に前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量を足した変化量との差が所定値以下になるように設定されているビーム整形光学装置。 - 基台と、
前記基台に保持された鏡筒ホルダと、
前記鏡筒ホルダに保持された光源と、
前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、
前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズとを備え、
前記鏡筒は、前記コリメートレンズの前記光源に近い面である前面に当接する当接部を有するビーム整形光学装置。 - 前記鏡筒ホルダにおける所定の基準位置から前記前面までの距離の単位温度あたりの変化量と、前記基準位置に対する前記光源の単位温度あたりの移動変化量に前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量を足した変化量との差が所定値以下になるように設定されている請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記当接部は、前記コリメートレンズの前記前面に接着剤を介することなく直接当接している請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記当接部は平坦面であり、この当接部は前記コリメートレンズの前記前面に設けられた平坦面部に面接触している請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記当接部は光軸に近いほど前記光源に近づく斜面であり、この当接部は前記コリメートレンズの前記前面に設けられた斜面部に面接触している請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記コリメートレンズの外周面のうち光軸に対して対称な部位に接着剤が塗布され、
前記コリメートレンズは、前記接着剤によって前記鏡筒に接着されている請求項2に記載のビーム整形光学装置。 - 前記鏡筒の一端部は、その外周部が内周部よりも軸方向に突出した段差状に形成されており、
前記内周部は、前記コリメートレンズの前記前面に当接する前記当接部を構成し、
前記外周部には、光軸に対して対称となる複数の部位に互いに周方向に同一幅で内周側から外周側へ横断する溝が形成されており、
前記溝に前記接着剤が塗布されている請求項7に記載のビーム整形光学装置。 - 前記溝は、前記内周部までには至らないように形成されている請求項8記載のビーム整形光学装置。
- 前記コリメートレンズは、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化が略零または負である請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記コリメートレンズは、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、前記凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化が正である請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記コリメートレンズは、凸レンズおよび凹レンズからなる少なくとも2枚以上のレンズで構成され、
前記凸レンズを構成する材料の屈折率温度変化をdn1/dTとし、前記凹レンズを構成する材料の屈折率温度変化をdn2/dTとしたときに、これらdn1/dT及びdn2/dTは、以下の関係式
dn2/dT>4.9×dn1/dT−5.0
を満たしている請求項2に記載のビーム整形光学装置。 - 前記光源の波長における前記凸レンズを構成する材料のアッベ数が、前記波長における前記凹レンズを構成する材料のアッベ数よりも大きく、
前記光源の波長をλ[nm]とし、よる前記コリメートレンズの波面収差をW[λ]とし、前記波長の変動による前記波面収差の変動をΔW/Δλとしたときに、このΔW/Δλは前記コリメートレンズの有効径に対して以下の関係式
|ΔW/Δλ|<0.03[λ/nm]
を満たしている請求項10から12の何れか1項に記載のビーム整形光学装置。 - 前記コリメートレンズは、単一のレンズで構成され、前記コリメートレンズを構成する材料の屈折率温度変化が負であり、前記コリメートレンズを構成する材料のアッベ数が55以上である請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記光源と前記コリメートレンズの前記前面までの距離の変化量をΔL[mm]とし、この変化量ΔLに対する波面収差の発生量をW(ΔL)[λ]とし、前記コリメートレンズのバックフォーカスの単位温度あたりの変化量をΔfb/ΔTとし、前記鏡筒、前記鏡筒ホルダ及び前記基台の熱膨張による前記光源と前記コリメートレンズとの間隔の単位温度あたりの変化量をΔL/ΔT[mm/℃]とし、常温をT0とし、前記ビーム整形光学装置の使用温度をTしたときに、以下の関係式
W(|(Δfb/ΔT−ΔL/ΔT)・(T−T0)|)<0.03[λ]が満足される請求項2に記載のビーム整形光学装置。 - 前記コリメートレンズは、このコリメートレンズの焦点距離の0.5倍から1倍の厚みに構成されている請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記コリメートレンズは、単一のレンズで構成されるとともに、前記コリメートレンズの焦点距離の0.5倍から1倍の範囲の厚みに構成され、
前記コリメートレンズは、屈折率温度変化が負で且つアッベ数が55以上である材料によって構成されている請求項2に記載のビーム整形光学装置。 - 前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、同じ材料によって構成されている請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、互いに異なる材料からなり、それぞれの線膨張係数の差が10−6[/℃]以下である請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記コリメートレンズと前記鏡筒と前記鏡筒ホルダとは、互いに異なる材料からなり、それぞれの線膨張係数の差が10−6[/℃]以下である請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 前記基台に保持され前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子が設けられ、
前記コリメートレンズの焦点位置は、前記ビーム整形光学素子から出射された光の収差が緩和される方向に前記光源の位置からずれている請求項2に記載のビーム整形光学装置。 - 前記光源の波長は300nm以上で且つ500nm以下にある請求項2に記載のビーム整形光学装置。
- 基台と、
前記基台に保持された鏡筒ホルダと、
前記鏡筒ホルダに保持された光源と、
前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、
前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズと、
前記基台に保持され、前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子と、
前記ビーム整形光学素子を通過した光を収束させる対物レンズとを備え、
前記鏡筒は、前記コリメートレンズの前記光源に近い面である前面に当接する当接部を有する光ヘッド。 - 基台と、前記基台に保持された鏡筒ホルダと、前記鏡筒ホルダに保持された光源と、
前記鏡筒ホルダに保持された鏡筒と、前記鏡筒に保持され、前記光源からの出射光を平行光に変換するためのコリメートレンズと、前記基台に保持され、前記平行光の光量分布を円形に変換するビーム整形光学素子と、前記ビーム整形光学素子を通過した光を収束させる対物レンズと、光情報媒体を駆動するための駆動機構とを有する光ヘッドと、
前記光ヘッドから得られるフォーカスエラー信号に基づいて前記光ヘッドを制御するフォーカスサーボ機構と、
前記光ヘッドから得られるトラッキングエラー信号に基づいて前記光ヘッドを制御するトラッキングサーボ機構とを備える光情報媒体駆動装置。
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