JPWO2004114283A1 - フォーカス制御装置およびトラッキング制御装置 - Google Patents

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Abstract

センサ手段(101)と、誤差信号合成手段(102)と、誤差入力部(104)、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群に第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部(106)、フォーカス誤差値群と第2の外乱値群と第2の外乱値群と第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部及び増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段(103)と、駆動手段(108)と、フォーカスアクチュエータ(109)とを含むフォーカス制御装置において、利得変更部の増幅演算利得を検出複素振幅値と所定の複素振幅値と補正複素値とに基づいて変更し、補正複素値の位相を、第1の外乱値群の位相と実質的に同一とする。

Description

本発明は、半導体レーザ等のレーザ光を用いて光ディスクに情報の記録や再生を行う光ディスク装置に用いるフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置に関する。
一般に、光ディスク装置に用いられるフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置は、光ディスク上に情報を記録または再生するために重要な装置である。このようなフォーカス制御装置では、光ディスクが変動し、または光ディスク装置が振動しても正確な記録再生ができるように、光ディスクの記録面と出射光の焦点との間のずれを、例えば±0.5マイクロメートル(μm)以内という高精度に制御しなければならない。このためには、フォーカス制御装置のループゲイン特性を常に所望の特性に合わせておく必要がある。そしてトラッキング制御装置では、光ディスク上のトラックに偏芯等が存在しても正確な記録や再生ができるように、光ディスク上のトラックと光スポットとのずれを、例えば±0.1マイクロメートル(μm)以内という高精度に制御しなければならない。このためには、トラッキング制御装置のループゲイン特性を常に所望の特性に合わせておく必要がある。
しかしながら、フォーカス誤差信号およびトラッキング誤差信号の検出感度やフォーカスアクチュエータおよびトラッキングアクチュエータの感度のばらつき、さらに温度変化、経時変化によって、所望のループゲイン特性を保つことが困難であるという課題があった。
このような課題に対して、光ビームの微小スポットと制御目標位置との間のズレを検出する制御誤差信号検出手段と、光ビームの微小スポットを制御目標位置に移動して保持するサーボ手段と、サーボループに外乱信号を加える外乱信号発生手段と、サーボループ内に加えた外乱信号に応答した信号の複素振幅を検出する手段と、複素振幅検出手段の出力に基づいて、予め記憶しておいたサーボループに加えた外乱信号の複素振幅値からのサーボループの位相・ゲイン特性を検出する演算手段と、演算手段からの出力に応じてサーボループの位相・ゲイン特性を変化させる調整手段とを備えた光学式記録再生装置によって、ループゲイン特性を調整する技術が開示されている(例えば、日本国特開平4−49530号公報参照)。この技術では、サーボループに加えた外乱信号に応答した信号の複素振幅を検出し、その複素振幅と予め記憶しておいたサーボループに加えた外乱信号の複素振幅値とにより、サーボループの位相・ゲイン特性を変化させ、サーボループの位相・ゲイン特性を所望の特性に調整する。この技術を適用すれば、少ない回路構成によってサーボループのゲイン・位相特性を高速高精度に測定することができ、さらにサーボループのゲイン・位相特性を調整してサーボループの特性を所定の値にすることができるため、安定なサーボ特性を達成することができる。
しかしながら、上記の技術では、予め記憶している所定の複素振幅値の値(ここで、値とは所定の複素振幅値の位相及び振幅を意味する)に依って、フォーカス制御装置およびトラッキング制御装置のサーボループ特性の調整に誤差が生じることが分かった。特に、周期関数(正弦関数)の1周期を時間的にN等分して保存された外乱値群を順次加算するように外乱信号発生手段を構成した場合には、分割数Nの値が小さくなるほど調整誤差が大きくなることが分かった。また、光ディスクの高密度化や高耐振化の為にサーボループ特性の広帯域化が必要な場合には、周期関数の周波数が上がり、外乱信号発生手段の外乱値群の加算周波数が同じとすると、実質的に分割数Nが小さくなる。さらに、省電力化の為に演算手段の動作速度が遅くなった場合にも、この分割数Nを小さくしなければならない。その結果、調整誤差は大きくなる。このように、今後、光ディスクの高密度化や高耐振化、機器の省電力化が促進されれば、フォーカス制御装置およびトラッキング制御装置におけるサーボループ特性の調整誤差が大きくなるという問題がある。
本発明は、精度良くフォーカスサーボ系の利得やトラッキングサーボ系の利得を調整することができ、所望のループゲイン特性に精度良く調整することができるフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係るフォーカス制御装置は、光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、複数個のセンサ信号を演算合成してフォーカス誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、フォーカス誤差信号に基づいてフォーカス誤差値群を生成する誤差入力部、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、駆動電流に応じて対物レンズを駆動するフォーカスアクチュエータとを含むフォーカス制御装置であって、利得変更部が、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて増幅演算利得を変更し、補正複素値の位相が、外乱加算部における第1の外乱値群の位相と実質的に同一であることを特徴とする。なお、この構成のフォーカス制御装置を、以下においては、第1のフォーカス制御装置とも称する。
また、本発明に係るフォーカス制御装置は、光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、複数個のセンサ信号を演算合成してフォーカス誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、フォーカス誤差信号に基づいてフォーカス誤差値群を生成する誤差入力部、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、検出複素振幅値と所定の複素振幅値とに基づいて増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、駆動電流に応じて対物レンズを駆動するフォーカスアクチュエータとを含むフォーカス制御装置であって、利得変更部が、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と検出複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて増幅演算利得を変更し、補正複素値の位相が、外乱加算部における第1の外乱値群の逆位相と実質的に同一であることを特徴とする。なお、この構成のフォーカス制御装置を、以下においては、第2のフォーカス制御装置とも称する。
本発明に係るトラッキング制御装置は、光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、複数個のセンサ信号を演算合成してトラッキング誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、トラッキング誤差信号に基づいてトラッキング誤差値群を生成する誤差入力部、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、駆動電流に応じて対物レンズを駆動するトラッキングアクチュエータとを含むトラッキング制御装置であって、利得変更部が、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて増幅演算利得を変更し、補正複素値の位相が、外乱加算部における第1の外乱値群の位相と実質的に同一であることを特徴とする。なお、この構成のトラッキング制御装置を、以下においては、第1のトラッキング制御装置とも称する。
また、本発明に係るトラッキング制御装置は、光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、複数個のセンサ信号を演算合成してトラッキング誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、トラッキング誤差信号に基づいてトラッキング誤差値群を生成する誤差入力部、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、駆動電流に応じて対物レンズを駆動するトラッキングアクチュエータとを含むトラッキング制御装置であって、利得変更部が、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と検出複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて増幅演算利得を変更し、補正複素値の位相が、外乱加算部における第1の外乱値群の逆位相と実質的に同一であることを特徴とする。なお、この構成のフォーカス制御装置を、以下においては、第2のトラッキング制御装置とも称する。
図1は、本実施の形態に係るフォーカス制御装置の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施の形態に係るフォーカス制御装置に設けられた演算器の構成を示すブロック図である。
図3は、本実施の形態に係るフォーカス制御装置の動作を示すフローチャートである。
図4は、本実施の形態に係るフォーカス制御装置の演算器に設けられた利得変更器の動作を説明するためのフォーカスサーボ系のブロック線図である。
図5は、本実施の形態に係るフォーカス制御装置の演算器に設けられた利得変更器の動作を説明するためのグラフである。
図6は、本実施の形態に係るトラッキング制御装置の構成を示すブロック図である。
図7は、本実施の形態に係るトラッキング制御装置に設けられた演算器の構成を示すブロック図である。
図8は、本実施の形態に係るトラッキング制御装置の動作を示すフローチャートである。
図9は、本実施の形態に係るトラッキング制御装置の演算器に設けられた利得変更器の動作を説明するためのトラッキングサーボ系のブロック線図である。
図10は、本実施の形態に係るトラッキング制御装置の演算器に設けられた利得変更器の動作を説明するためのグラフである。
本発明に係るフォーカス制御装置は、上述のように、光センサ手段と、誤差信号合成手段と、演算手段と、駆動手段と、フォーカスアクチュエータとを含む。演算手段は、誤差入力部と、外乱加算部と、位相補償部と、駆動出力部と、応答検出部と、利得変更部とを更に有している。なお、演算手段の利得変更部以外については、公知のいかなる構成であってもよい。
誤差入力部は、光センサ手段及び誤差信号合成手段により生成されたフォーカス誤差信号に基づいてフォーカス誤差値群を生成する。フォーカス誤差値群は、例えば、フォーカス誤差信号に対して所定の時間間隔でサンプリング処理することによって生成することができる。サンプリング処理は、通常、一定の時間間隔で行われる。
外乱加算部は、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する。周期性を有する第1の外乱値群は、所定の周期関数に対して所定の時間間隔でサンプリング処理することによって生成される階段状の関数の値を表す数値群と概念的に同一である。なお、以下において、上記の周期関数を外乱生成関数と略記する。フォーカス誤差値群と第1の外乱値群を加えるとは、時間的に同期したフォーカス誤差値群を構成するフォーカス誤差値と第1の外乱値群を構成する外乱値とを1つずつ順次に加算して外乱加算誤差値群を生成することを意味する。
位相補償部は、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する。詳しくは、1つのフォーカス誤差値に対して1つの駆動値が順次に生成される。なお、増幅演算利得は、応答検出部及び利得変更部によって決定される。
駆動出力部は、位相補償部で生成された駆動値群に基づいて駆動信号を生成し、駆動信号を駆動手段に出力する。
応答検出部は、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する。周期性を有する第2の外乱値群及び周期性を有する第3の外乱値群は、上記の第1の外乱値群の場合と同様に定義される。第1の外乱値群と同一の周期性を有するとは、第1の外乱値群の周期と同一であることを意味する。なお、第2の外乱値群や第3の外乱値群と第1の外乱値群とで、振幅や位相は異なっていてもよい。
ここで、第1〜第3の外乱値群の振幅と位相とについて説明する。第1〜第3の外乱値群等の外乱値群の振幅は、外乱生成関数の振幅と、外乱生成関数にサンプリング処理及び0次ホールド処理を行う伝達関数より求まる。第1〜第3の外乱値群等の外乱値群の位相は、外乱生成関数の位相と、外乱生成関数にサンプリング処理及び0次ホールド処理を行う伝達関数より求まる。本明細書では、第1〜第3の外乱値群の位相とは、第1の外乱値群に対する外乱生成関数の位相を基準(位相が零)とする位相差を意味し、外乱生成関数より位相が進む場合を正にとり、位相が遅れる場合を負にとる。外乱値群の振幅及び位相は、それぞれ、外乱生成関数の振幅及び位相と異なることに注意を要する。また、サンプリングの時間間隔が長いほど(分割数が小さいほど)、外乱生成関数と伝達関数との振幅差や位相差は大きくなる。
利得変更部は、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と補正複素値に基づいて増幅演算利得を変更する。第1のフォーカス制御装置では、補正複素値として第1の外乱値群の位相と実質的に同一の位相である複素値を用いて所定の複素振幅値を補正する。これにより、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相の相違を補正でき、位相補償部で参照される増幅演算利得を従来よりも高精度で調整することができる。特に、分割数が小さければ、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が大きくなるために、その効果は更に大きくなる。なお、第1のフォーカス制御装置における所定の複素振幅値は、従来のフォーカス制御装置で用いられていた値と同一とすることができる。
本明細書において、検出複素振幅値、所定の複素振幅値及び補正複素値等の複素値の位相とは、複素平面上における正の実軸と、原点と複素値に対応する点とを結ぶ直線とのなす角を意味する。正の実軸から正の虚軸方向への回転角度を正とし、正の実軸から負の虚軸方向への回転角度を負とする。また、本明細書において、第1の外乱値群の位相と実質的に同一とは、補正複素値を意図的には第1の外乱値群の位相と異ならせないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
また、第2のフォーカス制御装置における利得変更部は、補正複素値として、第1の外乱値群の位相と実質的に逆位相である複素値を用いて検出複素振幅値を補正する。なお、逆位相とは、正負が逆の位相を意味する。つまり、第1のフォーカス制御装置における補正複素値と第2のフォーカス制御装置における補正複素値とは、共役な複素数である。これにより、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相の相違を補正でき、位相補償部で参照される増幅演算利得を従来よりも高精度で調整することができる。なお、第2のフォーカス制御装置における所定の複素振幅値は、従来のフォーカス制御装置で用いられていた値と同一とすることができる。特に、分割数が小さければ、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が大きくなるために、その効果は更に大きくなる。
ここで、従来よりもフォーカスサーボ系の利得や増幅演算利得を高精度で調整できることについて簡単に説明する。通常、増幅演算利得の初期設定値は、設定どおりに光ディスクが配置され、かつ第1〜第3の外乱値群の位相として外乱生成関数(アナログ信号)の位相を仮定した場合に最適化されるように決定されている。フォーカスサーボ系の利得はその系の一巡伝達関数の利得に相当する。また、フォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得の変化に応じて、応答検出部で検出される検出複素振幅値が変化する。
したがって、第1及び第2のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差(補正複素数の位相)を考慮することによって、フォーカスサーボ系の利得を高精度で調整できる。更に、フォーカスサーボ系の利得を高精度で調整できることによって、位相補償部で参照する増幅演算利得を高精度で調整できる。なお、従来のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群(伝達関数)との位相差は考慮されていない。
本発明に係る第1のフォーカス制御装置では、検出複素振幅値をα、所定の複素振幅値をβ、補正複素値をγとしたとき、利得変更部は、|α/(α+β×γ)|の値に基づいて増幅演算利得を変更することが好ましい。この値に従えば、フォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得を正確に調整できるからである。なお、最終的な値が|α/(α+β×γ)|と同一であれば、所定の複素振幅値と補正振幅値とが乗算される限りにおいて、どのような方法で演算を行ってもよい。
本発明に係る第1のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、補正複素数値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、所定の複素振幅値の位相が、実質的に0であることが好ましい。第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が−2π/N/2となるからである。第1の外乱値群の1周期を構成する数値群が、N個の外乱値からなるとは、分割数がNであることと同義である。なお、本明細書において、実質的に−2π/N/2であるとは、所定の複素振幅値を意図的には−2π/N/2と異ならせないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。以下において、位相が実質的に所定の数値であるという場合、上記と同様の意味とする。
本発明に係る第1のフォーカス制御装置では、補正複素値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、第1の外乱値群の周波数をfmとし、フォーカス誤差信号から駆動信号を生成する演算手段における処理時間をTdとしたとき、所定の複素振幅値の位相が−2π×fm×Tdであることが好ましい。演算処理手段における処理時間に基づく位相のずれは−2π×fm×Tdであるために、演算手段における処理時間に依存するフォーカスサーボ系の利得の変化を抑制できるからである。
本発明に係る第2のフォーカス制御装置では、検出複素振幅値をα、所定の複素振幅値をβ、補正複素値をγとしたとき、利得変更部は、|α×γ/(α×γ+β)|の値に基づいて増幅演算利得を変更することが好ましい。この値に従えば、フォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得を正確に調整できるからである。なお、最終的な値が|α×γ/(α×γ+β)|と同一であれば、検出複素振幅値と補正振幅値とが乗算される限りにおいて、どのような方法で演算を行ってもよい。
本発明に係る第2のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、所定の複素振幅値の位相が、実質的に0であることが好ましい。第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が−2π/N/2となるからである。
本発明に係る第2のフォーカス制御装置では、補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、第1の外乱値群の周波数をfmとし、フォーカス誤差信号から駆動信号を生成する演算手段における処理時間をTdとしたとき、所定の複素振幅値の位相が、実質的に2π×fm×Tdであることが好ましい。演算手段における処理時間に依存するフォーカスサーボ系の利得の変化を抑制することができる。
本発明に係る第1及び第2のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、N個の外乱値を記憶する記憶部を更に有することが好ましい。外乱加算部では、第1の外乱値群は周期性を有するため、1周期ごとに同一の値が外乱値として用いられる。したがって、記憶部を設けてN個の外乱値を記憶させておけば、任意の外乱値を記憶部から抽出することができる。これにより、各外乱値を演算によって算出する場合に比べて、高速な処理が実現できる。本明細書において、実質的に均等に分割するとは、均等でない分割を意図的には行わないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
本発明に係る第1及び第2のフォーカス制御装置では、第2の外乱値群の位相が、第1の外乱値群の位相と実質的に同一であり、第3の外乱値群の位相が、第2の外乱値群の位相と実質的にπ/2だけ異なることが好ましい。検出複素振幅値を正確に検出できるからである。本明細書において、実質的にπ/2だけ異なるとは、意図的にはπ/2以外の位相差に設定しないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
本発明に係る第1及び第2のフォーカス制御装置では、応答検出部は
第1の外乱値群の周期の整数倍の時間の間に入力された複数のフォーカス誤差値に基づいて検出複素振幅値を検出することが好ましい。検出複素振幅値の測定誤差を低減できるからである。特に、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群の個数が少ない場合(分割数が小さい場合)には、その効果は大きくなる。
本発明に係る第1及び第2のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割された4の整数倍の個数の外乱値からなることが好ましい。
本発明に係るトラッキング制御装置は、上述のように、光センサ手段と、誤差信号合成手段と、演算手段と、駆動手段と、トラッキングアクチュエータとを含む。演算手段は、誤差入力部と、外乱加算部と、位相補償部と、駆動出力部と、応答検出部と、利得変更部とを更に有している。なお、演算手段の利得変更部以外については、公知のいかなる構成であってもよい。
誤差入力部は、光センサ手段及び誤差信号合成手段により生成されたトラッキング誤差信号に基づいてトラッキング誤差値群を生成する。トラッキング誤差値群は、例えば、トラッキング誤差信号に対して所定の時間間隔でサンプリング処理し、かつサンプリング処理された値をサンプリングの時間間隔にわたって0次ホールド処理することによって生成することができる。サンプリング処理は、通常、一定の時間間隔で行われる。
外乱加算部は、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する。トラッキング誤差値群と第1の外乱値群を加えるとは、時間的に同期したトラッキング誤差値群を構成するトラッキング誤差値と第1の外乱値群を構成する外乱値とを1つずつ順次に加算して外乱加算誤差値群を生成することを意味する。
位相補償部は、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する。詳しくは、1つのトラッキング誤差値に対して1つの駆動値が順次に生成される。なお、増幅演算利得は、応答検出部及び利得変更部によって決定される。
駆動出力部は、位相補償部で生成された駆動値群に基づいて駆動信号を生成し、駆動信号を駆動手段に出力する。
応答検出部は、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する。
利得変更部は、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と補正複素値に基づいて増幅演算利得を変更する。第1のトラッキング制御装置では、補正複素値として第1の外乱値群の位相と実質的に同一の位相である複素値を用いて所定の複素振幅値を補正する。これにより、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相の相違を補正でき、位相補償部で参照される増幅演算利得を従来よりも高精度で調整することができる。特に、分割数が小さければ、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が大きくなるために、その効果は更に大きくなる。なお、第1のトラッキング制御装置における所定の複素振幅値は、従来のトラッキング制御装置で用いられていた値と同一とすることができる。
また、第2のトラッキング制御装置における利得変更部は、補正複素値として、第1の外乱値群の位相と実質的に逆位相である複素値を用いて検出複素振幅値を補正する。なお、逆位相とは、正負が逆の位相を意味する。つまり、第1のトラッキング制御装置における補正複素値と第2のトラッキング制御装置における補正複素値とは、共役な複素数である。これにより、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相の相違を補正でき、位相補償部で参照される増幅演算利得を従来よりも高精度で調整することができる。なお、第2のトラッキング制御装置における所定の複素振幅値は、従来のトラッキング制御装置で用いられていた値と同一とすることができる。特に、分割数が小さければ、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が大きくなるために、その効果は更に大きくなる。
ここで、従来よりもトラッキングサーボ系の利得や増幅演算利得を高精度で調整できることについて簡単に説明する。通常、増幅演算利得の初期設定値は、設定どおりに光ディスクが配置され、かつ第1〜第3の外乱値群の位相として外乱生成関数(アナログ信号)の位相を仮定した場合に最適化されるように決定されている。トラッキングサーボ系の利得はその系の一巡伝達関数の利得に応じて変化する。また、トラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得は、応答検出部で検出される検出複素振幅値及び第1の外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差に応じて変化する。
したがって、第1及び第2のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差(補正複素数の位相)を考慮することによって、トラッキングサーボ系の利得を高精度で調整できる。更に、トラッキングサーボ系の利得を高精度で調整できることによって、位相補償部で参照する増幅演算利得を高精度で調整できる。なお、従来のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差は考慮されていない。
本発明に係る第1のトラッキング制御装置では、検出複素振幅値をα、所定の複素振幅値をβ、補正複素値をγとしたとき、利得変更部は、|α/(α+β×γ)|の値に基づいて増幅演算利得を変更することが好ましい。この値に従えば、トラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得を正確に調整できるからである。なお、最終的な値が|α/(α+β×γ)|と同一であれば、所定の複素振幅値と補正振幅値とが乗算される限りにおいて、どのような方法で演算を行ってもよい。
本発明に係る第1のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、補正複素数値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、所定の複素振幅値の位相が、実質的に0であることが好ましい。第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が−2π/N/2となるからである。第1の外乱値群の1周期を構成する数値群が、N個の外乱値からなるとは、分割数がNであることと同義である。なお、本明細書において、実質的に−2π/N/2であるとは、所定の複素振幅値を意図的には−2π/N/2と異ならせないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。以下において、位相が実質的に所定の数値であるという場合、上記と同様の意味とする。
本発明に係る第1のトラッキング制御装置では、補正複素値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、第1の外乱値群の周波数をfmとし、トラッキング誤差信号から駆動信号を生成する演算手段における処理時間をTdとしたとき、所定の複素振幅値の位相が−2π×fm×Tdであることが好ましい。演算処理手段における処理時間に基づく位相のずれは−2π×fm×Tdであるために、演算手段における処理時間に依存するトラッキングサーボ系の利得の変化を抑制できるからである。
本発明に係る第2のトラッキング制御装置では、検出複素振幅値をα、所定の複素振幅値をβ、補正複素値をγとしたとき、利得変更部は、|α×γ/(α×γ+β)|の値に基づいて増幅演算利得を変更することが好ましい。この値に従えば、トラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得を正確に調整できるからである。なお、最終的な値が|α×γ/(α×γ+β)|と同一であれば、検出複素振幅値と補正振幅値とが乗算される限りにおいて、どのような方法で演算を行ってもよい。
本発明に係る第2のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、所定の複素振幅値の位相が、実質的に0であることが好ましい。第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が−2π/N/2となるからである。
本発明に係る第2のトラッキング制御装置では、補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、第1の外乱値群の周波数をfmとし、トラッキング誤差信号から駆動信号を生成する演算手段における処理時間をTdとしたとき、所定の複素振幅値の位相が、実質的に2π×fm×Tdであることが好ましい。演算手段における処理時間に依存するトラッキングサーボ系の利得の変化を抑制することができる。
本発明に係る第1及び第2のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、N個の外乱値を記憶する記憶部を更に有することが好ましい。外乱加算部では、第1の外乱値群は周期性を有するため、1周期ごとに同一の値が外乱値として用いられる。したがって、記憶部を設けてN個の外乱値を記憶させておけば、任意の外乱値を記憶部から抽出することができる。これにより、各外乱値を演算によって算出する場合に比べて、高速な処理が実現できる。本明細書において、実質的に均等に分割するとは、均等でない分割を意図的には行わないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
本発明に係る第1及び第2のトラッキング制御装置では、第2の外乱値群の位相が、第1の外乱値群の位相と実質的に同一であり、第3の外乱値群の位相が、第2の外乱値群の位相と実質的にπ/2だけ異なることが好ましい。検出複素振幅値を正確に検出できるからである。本明細書において、実質的にπ/2だけ異なるとは、意図的にはπ/2以外の位相差に設定しないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
本発明に係る第1及び第2のトラッキング制御装置では、応答検出部は、第1の外乱値群の周期の整数倍の時間の間に入力された複数のトラッキング誤差値に基づいて検出複素振幅値を検出することが好ましい。検出複素振幅値の測定誤差を低減できるからである。特に、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群の個数が少ない場合(分割数が小さい場合)には、その効果は大きくなる。
本発明に係る第1及び第2のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割された4の整数倍の個数の外乱値からなることが好ましい。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るフォーカス制御装置100の構成を示すブロック図である。フォーカス制御装置100は、センサ(センサ手段)101を備えている。センサ101は、光ディスク111からの反射光を受光し、複数個のセンサ信号SEを誤差信号合成器(誤差信号合成手段)102へ出力する。誤差信号合成器102は、複数個のセンサ信号SEを演算合成したフォーカス誤差信号FEを演算装置(演算手段)103へ供給する。
演算装置103は、誤差入力部104と演算器105と駆動出力部106とメモリ107とを有している。メモリ107には、ROM107aとRAM107bとが設けられている。
誤差入力部104は、誤差信号合成器102によって合成されたフォーカス誤差信号FEに基づいてフォーカス誤差値を順次に生成して演算器105へ供給する。順次に生成された複数のフォーカス誤差値がフォーカス誤差値群である。
図2は、演算器105の構成を示すブロック図である。演算器105は、外乱加算器(外乱加算部)1を有している。外乱加算器1は、誤差入力部104によって生成されたフォーカス誤差値に外乱値を加えて出力する。演算器105には、位相補償器(位相補償部)2が設けられている。位相補償器2は、外乱加算器1の出力値に少なくとも位相補償演算と増幅演算とを行い駆動値を出力する。演算器105は、応答検出器(応答検出部)3を有している。応答検出器3は、誤差入力部104によって生成されたフォーカス誤差値に基づいて外乱値に応答した検出複素振幅値を検出する。演算器105には、利得変更器(利得変更部)4が設けられている。利得変更器4は、応答検出器3によって検出された検出複素振幅値と所定の複素振幅値と所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに応じて位相補償器2の増幅演算利得を変更する。
駆動出力部106は、位相補償器2から出力された駆動値に基づいて駆動信号を駆動回路(駆動手段)108へ出力する。駆動回路108は、駆動信号に略比例した駆動電流をフォーカスアクチュエータ109へ出力する。フォーカスアクチュエータ109は、駆動電流に応じて対物レンズ110を駆動する。
このように構成されたフォーカス制御装置100の動作を説明する。
センサ101が光ディスク111からの反射光を電気信号に変換して複数個のセンサ信号SEを出力すると、誤差信号合成器102は、複数個のセンサ信号SEの入力に応じてフォーカス誤差信号FEを出力する。
誤差信号合成器102では、例えば、複数個のセンサ信号SEをそれぞれセンサ信号A、センサ信号B、センサ信号Cおよびセンサ信号Dとすると、センサ信号A、B、CおよびDを用いて、(A+B)−KE×(C+D)の演算を行った信号をフォーカス誤差信号FEとして出力している。ここで、KEは所定の実数値である。
演算装置103は、誤差信号合成器102からのフォーカス誤差信号FEを入力し、メモリ107に内蔵された後述するプログラムによって計算処理することにより、駆動信号FODを出力する。演算装置103が出力する駆動信号FODは駆動回路108に入力される。そして、駆動回路(駆動手段)108では、電力増幅を行いフォーカスアクチュエータ109に電力を供給して、対物レンズ110を駆動する。
このように、センサ101と誤差信号合成器102と演算装置103とフォーカスアクチュエータ109と駆動回路108とによってフォーカス制御装置が構成されている。
図1に示す演算装置103に設けられたメモリ107は、所定のプログラムと定数とが格納されたロム領域107a(ROM:リードオンリーメモリ)と随時必要な変数値を格納するラム領域107b(RAM:ランダムアクセスメモリ)とに別れている。演算器105は、ロム領域107a内のプログラムに従って所定の動作や演算を行っている。図3にそのプログラムの具体的な一例を示す。以下に、その動作を詳細に説明する。
まず処理201では、後述する処理に必要な変数値の初期設定を行う。具体的には、まず参照値テーブルポインタSCを初期化する(SC←0)。ここで、参照値テーブルポインタSCの値は正の整数であり、0からN−1までの値をとる。Nは1周期の外乱値群に含まれる外乱値の個数、つまり、1周期の外乱値群の分割数である。なお、本実施の形態1では、分割数Nは、4の倍数の正の整数である(一実施例としては、Nを20とする)。
次に、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCを初期化する(GC←0)。ここでフォーカスゲイン調整完了フラッグGCは、0または1の値をとり、0の時は、フォーカスゲイン調整が完了していないことを意味し、1の時は、フォーカスゲイン調整が完了していることを意味する。したがって、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCを初期化することにより、フォーカスゲイン調整が完了していない設定にしている。
そして、正弦波の波数を計数する波数カウンタKCを初期化する(KC←0)。ここで、波数カウンタKCの値は正の整数であり、0からKまでの値をとる。Kは、測定波数であり、3以上の正の整数である(一実施例としては、Kを50とする)。さらに、後述する応答検出処理205において検出する検出複素振幅値(α)の実数部SUMRと検出複素振幅値の虚数部SUMIとを初期化する(SUMR←0、SUMI←0)。
さらに、処理201では、後述する位相補償処理214の動作の初期設定として変数FE_Iの値を零に初期化する(FE_I←0)。その後、処理202の動作を行う。
処理202では、フォーカス誤差値FEDの入力動作を行う。すなわち、演算装置103の誤差入力部104に入力された誤差信号合成器102からのフォーカス誤差信号FEをAD変換し、フォーカス誤差値FEDに直す。その後、処理203の動作を行う。
処理203では、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値に応じて、次に行う処理を選択している。具体的には、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値が1の場合には処理217の動作に移行し、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値が1でない場合には処理204の動作に移行する。この処理203により、フォーカスゲイン調整が完了すると、処理217の動作に移行し、後述する利得変更処理212の動作を最初の1回のみ行うように構成している。
処理204では、参照値テーブルポインタSCに分割数Nを4で割った値を加算し、その加算値の分割数Nを法とする値を計算し、余弦波テーブルポインタCCの値とする。すなわち、CC←(SC+N/4) MOD Nの演算を行う。ここで、A MOD Bは、AのBを法とする値を表す。例えば、A=24,B=20の場合、A MOD Bは4となる。すなわち、値Aを値Bで割った時の剰余を表す。このような演算を行うことにより、余弦波テーブルポインタCCの値は、0からN−1の範囲の数値となる。その後、処理205の動作を行う。
処理205では、参照値テーブルポインタSCに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている参照値テーブルを参照し、参照値Q[SC](第2の外乱値群を構成する外乱値)を得る。その参照値Q[SC]にフォーカス誤差値FEDを乗算し、その乗算値と検出複素振幅値の実数部SUMRを加算した値を新しい検出複素振幅値の実数部SUMRとする(SUMR←SUMR+FED×Q[SC])。ここで、参照値テーブルポインタSCの時のQ[SC]を、(数式1)に示す。
Figure 2004114283
(数式1)において、Pは参照値振幅、Nは分割数、πは円周率を表す。参照値振幅Pは正の実数である(一実施例では、100とする)。
さらに処理205では、余弦波テーブルポインタCCに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている参照値テーブルを参照し、参照値Q[CC](第3の外乱値群を構成する外乱値)を得る。その参照値Q[CC]にフォーカス誤差値FEDを乗算し、その乗算値と検出複素振幅値の虚数部SUMIを加算した値を新しい検出複素振幅値の虚数部SUMIとする(SUMI←SUMI+FED×Q[CC])。
ここで、処理204の動作により、参照値テーブルポインタSCと余弦波テーブルポインタCCとの間の差をN/4(ここで、Nは分割数)としている。これにより、参照値Q[SC]と参照値Q[CC]との値の位相差が2π/4となる。したがって、実施の形態1では、分割数Nを4の倍数にすることにより、第2の外乱値群の位相と第3の外乱値群の位相との位相差を正確に2π/4としている。また、参照値Q[SC]と参照値Q[CC]とに共通の参照値テーブルを用いて、sin関数やcos関数の計算に要する演算量を削減している。処理205の後、処理206の動作を行う。ここで、処理205は図2に示される応答検出器3に対応している。
処理206では、参照値テーブルポインタSCに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている正弦波の関数テーブルを参照し、外乱値FADD(第1の外乱値群を構成する外乱値)とする(FADD←table[SC])。table[SC]を、(数式2)に示す。
Figure 2004114283
(数式2)において、Adは外乱値振幅、Nは分割数、πは円周率を表す。外乱値振幅Adは正の実数である(一実施例では、100とする)。一実施例の場合、下記の(数式3)に示すように、正弦波の関数テーブルと参照値テーブルとを兼用した数値テーブルを用いることができるために、メモリ領域を削減することができる。したがって、メモリ容量の観点からは、外乱値振幅Adと参照値振幅Pとは同じ値とすることが好ましい。
Figure 2004114283
処理206の動作の後、処理207の動作を行う。処理207では、フォーカス誤差値FEDに外乱値FADDを加算した値を、誤差信号FOEとする(FOE←FED+FADD)。その後、処理208の動作を行う。ここで、処理207は、図2に示される外乱加算器(外乱加算部)1において行われる処理に相当する。
処理208では、参照値テーブルポインタSCの値に1を加算し、その値を新しい参照値テーブルポインタSCの値としている(SC←SC+1)。このように処理することにより、参照値テーブルポインタSCは、1ずつ増加する値となる。その後、処理209の動作を行う。
処理209では、参照値テーブルポインタSCと分割数Nの値とに応じて、次に行う処理を選択している。すなわち、参照値テーブルポインタSCとN−1との値が同じ場合は、処理210の動作へ移行する。参照値テーブルポインタSCとN−1の値が同じでない場合は、処理211の動作へ移行する。
ここで、処理208と処理209との動作により、1ずつ増加する参照値テーブルポインタSCがN−1と等しくなるということは、処理205と処理206とで用いた参照値テーブルの全体(第1の外乱値群、第2の外乱値群及び第3の外乱値群の1周期を構成するそれぞれN個の外乱値)を順次に参照したことに相当する。このことは、処理206において1周期分の第1の外乱値群が得られ、処理207において、順次に入力されるN個のフォーカス誤差値に、順次に参照されるN個(1周期分)の外乱値FADDが加算されたことを意味する。
処理210では、参照値テーブルポインタSCの値を0にする(SC←0)。すなわち、参照値テーブルポインタSCを初期化する。
さらに、処理210では、波数カウンタKCの値に1を加算した値を新しい波数カウンタKCの値としている(KC←KC+1)。このように処理することにより、波数カウンタKCは、1ずつ増加する値となる。その後、処理211の動作を行う。処理210の動作により、N個のフォーカス誤差値にN個の外乱値FADDが加算される毎に、波数カウンタKCが1だけ増加する。
処理211では、波数カウンタKCと測定波数Kとの値に応じて、次に行う処理を選択している。すなわち、波数カウンタKCと測定波数Kとの値が同じ場合は、処理212の動作へ移行する。波数カウンタKCと測定波数Kとの値が同じでない場合は、処理214の動作へ移行する。
処理212では、図2に示される利得変更器4(利得変更部)の動作を行う。すなわち、利得変更演算を行うことによって、フォーカスゲイン調整を行う。以下、利得変更器4の具体的な動作を説明する。
まず、利得変更器4における所定の複素振幅値(β)を補正複素数値(γ)で補正した補正複素振幅値RUは、あらかじめ計算されており、下記に示す(数式4)としている。
Figure 2004114283
(数式4)において、Re(RU)は、補正複素振幅値RUの実数部を表し、Im(RU)は補正複素振幅値RUの虚数部を表す。Kは測定波数、Nは1周期の外乱値群の分割数(外乱値)、Pは参照値振幅、Adは外乱値の振幅であり、また、jは虚数を表し、下記に示す(数式5)で定義される。
Figure 2004114283
補正複素振幅値RUの位相−d1は、下記に示す(数式6)としている。ここで、K×N×P×Ad/2(位相が零である正の実数)が所定の複素振幅値であり、cos(−d1)+jsin(−d1)が補正複素値(位相が−d1)である。
(数式6)において、πは円周率を表す。すべての定数は、応答検出器3の動作前に既知であるため、補正複素振幅値RUをあらかじめ計算することができる。
Figure 2004114283
次に、利得変更器4では、補正複素振幅値RUと、応答検出器3によって検出した検出複素振幅値(SUMR+j・SUMI)を用いて、後述する位相補償器2の増幅演算利得kgの値の大きさを補正している。具体的には、下記に示す(数式7)を用いて、増幅演算利得kgの値を補正した補正増幅演算利得kg’を新たに増幅演算利得kgの値に変更する。
Figure 2004114283
(数式7)において、|H|は、測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得であり、下記に示す(数式8)となる。
Figure 2004114283
(数式8)における測定周波数fmは、下記に示す(数式9)となっている。
Figure 2004114283
(数式9)において、fsはサンプリング周波数、Nは分割数を表す。(一実施例では、サンプリング周波数fsを100kHzとする。この場合、分割数Nが20であるため、測定周波数fmは、5kHzとなる)。
すなわち、測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の利得|H|を求め、その逆数を増幅演算利得kgの値に乗算することによって、増幅演算利得kgの値を補正(補正増幅演算利得kg’の値に変更)する。これにより、フォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整することができる。すなわち、フォーカスゲイン調整を行っている。
処理212の動作の後、処理213の動作を行う。処理213では、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値を1にする(GC←1)。ここで、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値を1にすることは、利得変更器4の動作が完了し、フォーカスゲイン調整が完了したことを意味する。その後、処理214の動作を行う。
処理214では、誤差信号FOEに対して位相補償演算及び増幅演算を行う。具体的には、まず誤差信号FOEをk1倍(ここでk1は、正の実数である)した値と変数FE_Iを加算した値を新しい変数FE_Iの値とする(FE_I←FE_I+FOE×k1)。また変数FE_Iの値をk2倍(ここでk2は、正の実数である)した値と誤差信号FOEをk3倍(ここでk3は、正の実数である)した値とを加算した値から、後述する変数FE1の値をk4倍(ここでk4は、k3よりも小さい正の実数である)した値を減算した値に増幅演算利得kgの値を乗算し、その値を変数FDの値とする[FD←(FE_I×k2+FOE×k3−FE1×k4)×kg]。さらに誤差信号FEDの値を変数FE1の新しい値とする(FE1←FED)。その後、処理215の動作を行う。
この演算を行うことにより、誤差信号FOEの位相補償及び増幅が行われ、その結果が変数FDの値となる。ここで、処理214は、位相補償器2における処理に相当する。
処理215では、変数FDの内容を演算装置103の駆動出力部106に出力し、変数FDの値に比例した駆動信号FODに変換する。その後、処理216の動作を行う。
処理216では、所定時間の遅延処理を行う。すなわち、あらかじめ決められたサンプリング周波数fsで誤差入力部104や駆動出力部106の動作が行われるように遅延動作を行う。その後、処理202の動作へ戻る。
処理217では、フォーカス誤差値FEDの値を、誤差信号FOEとする(FOE←FED)。その後、処理214の動作を行う。すなわち、処理213でフォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値に1が設定された後は、処理203の動作により、処理217の動作が誤差入力部104の動作毎に行われる。すなわち、利得変更器4の動作が終了した次のサンプリングタイミングの後は、処理204から処理213の動作が行われず、処理217の処理が行われる。
以上、センサ101と誤差信号合成器102と演算装置103とフォーカスアクチュエータ109と駆動回路108とによってフォーカス制御装置が構成され、演算装置103は、誤差入力部104と外乱加算器1と位相補償器2と駆動出力部106と応答検出器3と利得変更器4とによって構成されている。
このように構成されたフォーカス制御装置によれば、フォーカスサーボ系の利得を、分割数Nの値に依らず、正確に調整することができる。具体的には、利得変更処理212の動作により、フォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)となるように位相補償処理214において増幅演算利得kgが調整される。以下、このことについて詳しく説明する。
実施の形態1では、利得変更処理212(利得変更器4の動作)により、フォーカスサーボ系の利得を所望の値に調整している。以下、利得変更処理212を中心に、フォーカスサーボ系の利得が所望の値に調整されることを詳しく説明する。
利得変更処理212では、前述したように、(数式6)に示す位相を持つ補正複素振幅値RUと検出複素振幅値(SUMR+j・SUMI)とを用いて、増幅演算利得kgを変化させている。これにより、フォーカスゲイン調整を行っている。ここで、フォーカスゲイン調整とは、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(0dBは1倍を意味する)になることを意味する。
利得変更処理212では、前述した(数式7)を用いて増幅演算利得kgを更新している。ここで、|H|が測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得であることについて詳しく説明する。
まず、参照値テーブルポインタSCがSCの時、外乱加算処理207において加算される外乱値FADDは、前述した(数式2)によって示される。また、(数式2)によって示される外乱値FADDに対するフォーカスサーボ系の応答Y[SC]は、フォーカスサーボ系の線形成が成り立つ範囲で、下記に示す(数式10)と表現することができる。
Figure 2004114283
(数式10)において、Rはフォーカスサーボ系の応答Y[SC]の振幅を表し、θはフォーカスサーボ系の応答Yと第1の外乱値群との位相差を表す。
したがって、(数式1)と(数式10)とを用いて、応答検出処理206の検出複素振幅値(SUMR+j・SUMI)を計算すると、検出複素振幅値の実数部SUMRは、下記に示す(数式11)となる。また、同様に、検出複素振幅値の虚数部SUMRIは、下記に示す(数式12)となる。
Figure 2004114283
(数式11)及び(数式12)において、Yはフォーカスサーボ系の応答Y[SC]の複素振幅であり、Re(Y)は応答Yの実数部を表し、Im(Y)は応答Yの虚数部を表す。なお、YKC[SC]は、波数カウンタKCの値ごと(1周期ごと)のフォーカスサーボ系の応答を表す。
実施の形態1では、応答検出処理205において検出複素振幅値を演算する際、第1の外乱値群の周期のK倍(Kは測定波数)の時間だけ積分加算している。これにより、検出複素振幅値SUMRとSUMIとが、それぞれ、より正確に複素振幅Yの実数部と虚数部とに対応した値となる。すなわち、フォーカスサーボ系の応答Yの複素振幅の振幅と位相とを正確に検出することができる。
(数式11)と(数式12)と(数式4)とを(数式8)に代入すると、利得|H|は、下記に示す(数式13)となる。
Figure 2004114283
一方、図4にフォーカスサーボ系のブロック線図を示す。図4より、フォーカスサーボ系の外乱値FADDからフォーカスサーボ系の応答Y[SC]までのフォーカスサーボ系の閉ループ特性は、下記に示す(数式14)となる。
Figure 2004114283
(数式14)において、FAは参照値テーブルポインタSCがSCの時の外乱値FADDの外乱複素振幅値を表し、Yは外乱値FADD[SC]に対するフォーカスサーボ系の応答Y[SC]の応答複素振幅値を表し、Hはフォーカスサーボ系の一巡伝達関数を表し、Dは外乱値FADDのフォーカスサーボ系に対する実質的な外乱加算部の伝達関数を表す。
外乱複素振幅値FAは、前述した(数式4)より下記に示す(数式15)となる。
Figure 2004114283
さらに、(数式14)と(数式15)とにより下記に示す(数式16)が得られる。
Figure 2004114283
(数式13)と(数式16)とを比較すると、|H|が測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得であることが分かる。
最後に、加算部の伝達関数Dについて説明する。図5に、外乱値FADDの出力値の様子を示す。縦軸は外乱値FADDの値を示し、横軸は参照値テーブルポインタSCの値を示す。図5に示すように外乱値FADDは1サンプルタイミング毎に(参照値テーブルポインタSCの値が変化する毎に)外乱値FADDの値が変化する階段状の出力値となる。図5において、波形FADDが順次に出力される外乱値FADDの波形(第1の外乱値群の波形)である。すなわち、1サンプルタイミング毎に正弦波値(図5において、正弦波値は波形W1(外乱生成関数)によって示す)がサンプリングされ、0次ホールドされた波形となる。このようなサンプリングと0次ホールドを行う処理の伝達関数は、下記に示す(数式17)となる。
Figure 2004114283
Figure 2004114283
(数式17)において、fmは測定周波数、fsはサンプリング周波数、Nは分割数を表す。
以上より、第1の外乱値群のフォーカスサーボ系に対する実質的な加算部の伝達関数Dは、前述した(数式17)で表される。すなわち、(数式18)となる。
Figure 2004114283
ここで、実施の形態1において併記した一実施例では、第1の外乱値群の分割数Nを20としているため、下記に示す(数式19)が成立する。
Figure 2004114283
図5に示す波形W2は、波形W1に比べて、位相が2π/N/2遅れた波形を示す。また、図5から、波形FADD(第1の外乱値群)が略2π/N/2の位相遅れを持つことも分かる。
以上より、外乱加算部1の伝達関数が加算部の伝達関数Dとなることが分かる。これにより、測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の利得|H|は、前述した(数式8)となることがわかる。さらに、(数式7)により増幅演算利得kgが所望の値に補正され、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整できることがわかる。
このように、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整できることは、利得変更処理212の補正複素振幅値RUの位相を(数式6)のように設定していることに依る。また、(数式6)は、前述した説明により、外乱値FADDからなる第1の外乱値群のフォーカスサーボ系への実質的な位相に対応していることも分かる。
また、実施の形態1では、外乱値FADDのフォーカスサーボ系への実質的な位相に応じて、利得変更処理212の補正複素振幅値RUの位相を変化させているため、分割数Nが小さくなっても、精度良くフォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
さらに、分割数Nを変更することにより、測定周波数fmが変更できるため、フォーカスサーボ系の利得を所望の値に調整することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明のフォーカス制御装置の他の一実施形態について説明する。実施の形態2では、利得変更処理(利得変更部)の動作を除く構成は、前述した実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
実施の形態2に係る利得変更処理では、所定の複素振幅値RU2を下記に示す(数式20)とする。
Figure 2004114283
Figure 2004114283
(数式20)において、Re(RU2)は所定の複素振幅値RU2の実数部を表し、Im(RU2)は所定の複素振幅値RU2の虚数部を表す。さらに、Kは測定波数、Nは分割数、Pは参照値振幅、Adは第1の外乱値群の振幅である。
さらに、補正複素値CUを下記に示す(数式21)とする。
Figure 2004114283
ここで、所定の複素振幅値RU2の位相は0であり、補正複素値CUとの位相はd2となっている。この位相d2は、前述した(数式6)に示した実施の形態1の位相−d1と逆位相(2π/2/N)であり、外乱値FADDからなる第1の外乱値群のフォーカスサーボ系に対する実質的な逆位相になっている。
利得変更処理では、増幅演算部利得kgを下記に示す(数式22)によって補正する。
Figure 2004114283
すなわち、測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の利得|H|を求め、その逆数を増幅演算利得kgに乗算することにより、増幅演算利得kgを補正(補正増幅演算利得kg’の値に変更)する。これにより、フォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
(数式22)からフォーカスサーポ系の利得|H|を抜き出すと、下記に示す(数式23)となる。
Figure 2004114283
以上より、(数式23)は、前述した(数式8)と等価であることが分かる。
したがって、実施の形態2では、検出複素振幅値を補正複素値CUxによって補正することにより、分割数Nが小さくなっても、精度良くフォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
さらに、実施の形態2の構成は、前述した実施の形態1の効果に加えて、利得変更処理(利得変更部の動作)で用いる所定の複素振幅値を実数値(位相が0)としている。これにより、あらかじめ記憶しておく容量を少なくしている。
(実施の形態3)
実施の形態3では、本発明に係るフォーカス制御装置のさらに他の一実施形態について説明する。
実施の形態3では、利得変更処理(利得変更部の動作)を除く構成は前述した実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。以下、実施の形態3の利得変更処理(利得変更部の動作)を利得変更処理412とする。
前述した実施の形態1及び実施の形態2では、演算装置103(図1参照)における演算時間に依存した位相のずれは考慮していないが、実施の形態3では、演算時間に依存した位相のずれを考慮して、更に高精度でフォーカスサーボ系の利得を調整する。すなわち、上記の(数式20)における位相d2に代えて、下記の(数式24)で示す位相d3を用いる。その他の利得変更処理の構成及び動作は、前述した実施の形態1及び実施の形態2の利得変更処理と同じであるため、説明を省略する。
Figure 2004114283
(数式24)において、fmは測定周波数、Tdは誤差入力部104の入力動作から駆動出力部106の出力動作までの演算時間(演算手段の演算時間)Tdを表す。すなわち、(数式24)の位相d3は、2π/N/2と2π×fm×Tdとを加算した値となっている。演算時間Tdは、駆動出力部106の出力動作が誤差入力部104の入力動作よりもどれだけ時間的に遅れて実行されたかを示すものである。なお、この場合、所定の複素振幅値(β)がK・N・P・Ad/2・{cos(−2π×fm×Td)+jsin(−2π×fm×Td)}であり、補正複素値(γ)が{cos(2π/N/2)+jsin(2π/N/2)}である場合に相当している。
このように構成することにより、演算時間Tdによる位相のずれ(−2π×fm×Td)が前述した(数式6)の位相d1に比べて無視できない程度に大きくなっても、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)により正確に調整できる。以下、このことについて詳しく説明する。
まず、演算時間Tdによる位相のずれが前述した(数式6)によって示される位相に比べて、無視できる程度に小さい場合には、前述した実施の形態1及び実施の形態2で用いた第1の外乱値群の位相である(数6)の値と(数式24)の値とがほぼ等しくなるため、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)に調整できることがわかる。
次に、演算時間Tdが前述した(数6)によって示される位相値に比べて、無視できない程度に大きい場合について説明する。
この場合、演算時間Tdに依存する位相のずれは、前述した(数式6)によって示される位相に対して加算される。演算時間Tdによる位相のずれTpは、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmに対しては、下記に示す(数式25)となる。
Figure 2004114283
以上より、(数式25)と(数式6)とを加算することにより(数式24)が得られる。
実施の形態3では、利得変更処理の動作により、演算時間Tdが(数式6)で示される位相値に比べて、無視できない程度に大きい場合でも、(数式24)に示すようにその影響を考慮して、増幅演算利得kgの演算を行っているため、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)により正確に調整できる。
なお、本実施の形態3では、フォーカスサーボ系の利得|H|を算出するために、所定の複素振幅値(β)の位相部分と補正複素値とを予め演算した値(複素利得Hの分母及び分子に所定の複素振幅値と共役な複素値を乗算した値)を用いたが、他の演算方法により算出してもよく、本発明は実施の形態3の演算方法に限定されるものではない。
また、図2に示された位相補償器2における処理214に限定されるものではなく、フォーカスサーボ系の位相を補償する動作を行うものであれば良い。図2に示された位相補償器2と異なる構成の位相補償器を設けたとしても、本発明に含まれる。
また、上記の実施の形態1〜3では、外乱値を1サンプル毎に出力しているが、これを複数サンプル毎に出力するように構成してもよく、このように変更しても本発明に含まれる。
さらに、上記の実施の形態1〜3のデジタル回路で構成した部分をアナログ回路で構成することや、アナログ回路で構成した部分をデジタル回路で構成することなど、様々な変更が考えられる。このように変更を行っても本発明に含まれることは言うまでもない。
以上のように実施の形態1〜3によれば、利得変更器4の動作により、精度良くフォーカス制御装置のループゲイン特性を調整することができる。特に、分割数Nが小さい場合であっても、精度良くフォーカス制御装置のループゲイン特性を調整することができる。すなわち、利得変更処理において、利得変更処理の補正複素値の位相を外乱加算部の第1の外乱値の位相に応じた値にし、補正複素値によって検出複素振幅値又は所定の複素振幅値を補正することにより、精度良くループゲイン特性を調整している。
特に、フォーカスサーボ系の広帯域化と演算装置の省電力化とを目的とした動作クロックの低下により、分割数Nはますます小さくなる傾向にある。このような場合でも、本実施の形態に係るフォーカス制御装置を用いることにより、精度良くループゲイン特性を調整することが可能である。
(実施の形態4)
図6は、実施の形態4に係るトラッキング制御装置100Aの構成を示すブロック図である。トラッキング制御装置100Aは、センサ(センサ手段)101Aを備えている。センサ101Aは、光ディスク111からの反射光を受光し、複数個のセンサ信号SE1を誤差信号合成器(誤差信号合成手段)102Aへ出力する。誤差信号合成器102Aは、複数個のセンサ信号SE1を演算合成したトラッキング誤差信号TEを演算装置(演算手段)103Aへ供給する。
演算装置103Aは、誤差入力部104Aと演算器105Aと駆動出力部106Aとメモリ107とを有している。メモリ107には、ROM107aとRAM107bとが設けられている。
誤差入力部104Aは、誤差信号合成器102Aによって合成されたトラッキング誤差信号TEに基づいてトラッキング誤差値を順次に生成して演算器105Aへ供給する。順次に生成された複数のトラッキング誤差値がトラッキング誤差値群である。
図7は、演算器105Aの構成を示すブロック図である。演算器105Aは、外乱加算器(外乱加算部)1Aを有している。外乱加算器1Aは、誤差入力部104Aによって生成されたトラッキング誤差値に外乱値を加えて出力する。演算器105Aには、位相補償器(位相補償部)2Aが設けられている。位相補償器2Aは、外乱加算器1Aの出力値に少なくとも位相補償演算と増幅演算とを行い駆動値を出力する。演算器105Aは、応答検出器(応答検出部)3Aを有している。応答検出器3Aは、誤差入力部104Aによって生成されたトラッキング誤差値に基づいて外乱値に応答した検出複素振幅値を検出する。演算器105Aには、利得変更器(利得変更部)4Aが設けられている。利得変更器4Aは、応答検出器3Aによって検出された検出複素振幅値と所定の複素振幅値と所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに応じて位相補償器2Aの増幅演算利得を変更する。
駆動出力部106Aは、位相補償器2Aから出力された駆動値に基づいて駆動信号を駆動回路(駆動手段)108Aへ出力する。駆動回路108Aは、駆動信号に略比例した駆動電流をトラッキングアクチュエータ109Aへ出力する。トラッキングアクチュエータ109Aは、駆動電流に応じて対物レンズ110を駆動する。
このように構成されたトラッキング制御装置100Aの動作を説明する。
センサ101Aが光ディスク111からの反射光を電気信号に変換して複数個のセンサ信号SE1を出力すると、誤差信号合成器102Aは、複数個のセンサ信号SE1の入力に応じてトラッキング誤差信号TEを出力する。
誤差信号合成器102Aでは、例えば、複数個のセンサ信号SE1をそれぞれセンサ信号A1、センサ信号B1、センサ信号C1およびセンサ信号D1とすると、センサ信号A1、B1、C1およびD1を用いて、(A1+B1)−KE1×(C1+D1)の演算を行った信号をトラッキング誤差信号TEとして出力している。ここで、KE1は所定の実数値である。
演算装置103Aは、誤差信号合成器102Aからのトラッキング誤差信号TEが入力され、メモリ107Aに内蔵された後述するプログラムによって計算処理することにより、駆動信号TODを出力する。演算装置103Aが出力する駆動信号TODは駆動回路108Aに入力される。そして、駆動回路(駆動手段)108Aでは、電力増幅を行いトラッキングアクチュエータ109Aに電力を供給して、対物レンズ110を駆動する。
このように、センサ101Aと誤差信号合成器102Aと演算装置103Aとトラッキングアクチュエータ109Aと駆動回路108Aとによってトラッキング制御装置が構成されている。
図6に示す演算装置103Aに設けられたメモリ107は、所定のプログラムと定数とが格納されたロム領域107a(ROM:リードオンリーメモリ)と随時必要な変数値を格納するラム領域107b(RAM:ランダムアクセスメモリ)とに別れている。演算器105は、ロム領域107a内のプログラムに従って所定の動作や演算を行っている。図8にそのプログラムの具体的な一例を示す。以下に、その動作を詳細に説明する。
まず処理401では、後述する処理に必要な変数値の初期設定を行う。具体的には、まず参照値テーブルポインタSCxを初期化する(SCx←0)。ここで、参照値テーブルポインタSCxの値は正の整数であり、0からNx−1までの値をとる。Nxは1周期の外乱値群に含まれる外乱値の個数、つまり、1周期の外乱値群の分割数である。なお、本実施の形態4では、分割数Nxは、4の倍数の正の整数である(一実施例としては、Nxを20とする)。
次に、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxを初期化する(GCx←0)。ここでトラッキングゲイン調整完了フラッグGCxは、0または1の値をとり、0の時は、トラッキングゲイン調整が完了していないことを意味し、1の時は、トラッキングゲイン調整が完了していることを意味する。したがって、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxを初期化することにより、トラッキングゲイン調整が完了していない設定にしている。
そして、正弦波の波数を計数する波数カウンタKCxを初期化する(KCx←0)。ここで、波数カウンタKCxの値は正の整数であり、0からKxまでの値をとる。Kxは、測定波数であり、3以上の正の整数である(一実施例としては、Kxを50とする)。さらに、後述する応答検出処理405において検出する検出複素振幅値(α)の実数部SUMRと検出複素振幅値の虚数部SUMIxとを初期化する(SUMRx←0、SUMIx←0)。
さらに、処理401では、後述する位相補償処理414の動作の初期設定として変数TE_Iの値を零に初期化する(TE_I←0)。その後、処理202の動作を行う。
処理402では、トラッキング誤差値TEDの入力動作を行う。すなわち、演算装置103の誤差入力部104に入力された誤差信号合成器102からのトラッキング誤差信号FEをAD変換し、トラッキング誤差値FEDに直す。その後、処理203の動作を行う。
処理403では、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値に応じて、次に行う処理を選択している。具体的には、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値が1の場合には処理417の動作に移行し、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値が1でない場合には処理404の動作に移行する。この処理403により、トラッキングゲイン調整が完了すると、処理417の動作に移行し、後述する利得変更処理412の動作を最初の1回のみ行うように構成している。
処理404では、参照値テーブルポインタSCxに分割数Nxを4で割った値を加算し、その加算値の分割数Nxを法とする値を計算し、余弦波テーブルポインタCCxの値とする。すなわち、CCx←(SCx+Nx/4) MOD Nxの演算を行う。ここで、A MOD Bは、AのBを法とする値を表す。例えば、A=24,B=20の場合、A MOD Bは4となる。すなわち、値Aを値Bで割った時の剰余を表す。このような演算を行うことにより、余弦波テーブルポインタCCxの値は、0からNx−1の範囲の数値となる。その後、処理405の動作を行う。
処理405では、参照値テーブルポインタSCxに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている参照値テーブルを参照し、参照値Qx[SCx](第2の外乱値群を構成する外乱値)を得る。その参照値Qx[SCx]にトラッキング誤差値TEDを乗算し、その乗算値と検出複素振幅値の実数部SUMRxを加算した値を新しい検出複素振幅値の実数部SUMRxとする(SUMRx←SUMRx+TED×Qx[SCx])。ここで、参照値テーブルポインタSCxの時のQx[SCx]を、(数式26)に示す。
Figure 2004114283
(数式26)において、Pxは参照値振幅、Nxは分割数、πは円周率を表す。参照値振幅Pxは正の実数である(一実施例では、100とする)。
さらに処理405では、余弦波テーブルポインタCCxに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている参照値テーブルを参照し、参照値Qx[CCx](第3の外乱値群を構成する外乱値)を得る。その参照値Qx[CCx]にトラッキング誤差値FEDを乗算し、その乗算値と検出複素振幅値の虚数部SUMIxを加算した値を新しい検出複素振幅値の虚数部SUMIxとする(SUMIx←SUMIx+TED×Qx[CCx])。
ここで、処理404の動作により、参照値テーブルポインタSCxと余弦波テーブルポインタCCxとの間の差をNx/4(ここで、Nxは分割数)としている。これにより、参照値Qx[SCx]と参照値Qx[CCx]との値の位相差が2π/4となる。したがって、実施の形態4では、分割数Nxを4の倍数にすることにより、第2の外乱値群の位相と第3の外乱値群の位相との位相差を正確に2π/4としている。また、参照値Qx[SCx]と参照値Qx[CCx]とに共通の参照値テーブルを用いて、sin関数やcos関数の計算に要する演算量を削減している。処理405の後、処理406の動作を行う。ここで、処理405は図7に示される応答検出器3Aに対応している。
処理406では、参照値テーブルポインタSCxに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている正弦波の関数テーブルを参照し、外乱値TADD(第1の外乱値群を構成する外乱値)とする(TADD←tablex[SCx])。tablex[SCx]を、(数式27)に示す。
Figure 2004114283
(数式27)において、Adxは外乱値振幅、Nxは分割数、πは円周率を表す。外乱値振幅Adxは正の実数である(一実施例では、100とする)。一実施例の場合、下記の(数式28)に示すように、正弦波の関数テーブルと参照値テーブルとを兼用した数値テーブルを用いることができるために、メモリ領域を削減することができる。したがって、メモリ容量の観点からは、外乱値振幅Adxと参照値振幅Pxとは同じ値とすることが好ましい。
Figure 2004114283
処理406の動作の後、処理407の動作を行う。処理407では、トラッキング誤差値TEDに外乱値TADDを加算した値を、誤差信号TOEとする(TOE←TED+TADD)。その後、処理408の動作を行う。ここで、処理407は、図7に示される外乱加算器(外乱加算部)1Aにおいて行われる処理に相当する。
処理408では、参照値テーブルポインタSCxの値に1を加算し、その値を新しい参照値テーブルポインタSCxの値としている(SCx←SCx+1)。このように処理することにより、参照値テーブルポインタSCxは、1ずつ増加する値となる。その後、処理409の動作を行う。
処理409では、参照値テーブルポインタSCxと分割数Nxの値とに応じて、次に行う処理を選択している。すなわち、参照値テーブルポインタSCxとNx−1との値が同じ場合は、処理410の動作へ移行する。参照値テーブルポインタSCxとNx−1の値が同じでない場合は、処理411の動作へ移行する。
ここで、処理408と処理409との動作により、1ずつ増加する参照値テーブルポインタSCxがNx−1と等しくなるということは、処理405と処理406とで用いた参照値テーブルの全体(第1の外乱値群、第2の外乱値群及び第3の外乱値群の1周期を構成するそれぞれNx個の外乱値)を順次に参照したことに相当する。このことは、処理406において1周期分の第1の外乱値群が得られ、処理407において、順次に入力されるN個のトラッキング誤差値に、順次に参照されるNx個(1周期分)の外乱値TADDが加算されたことを意味する。
処理410では、参照値テーブルポインタSCxの値を0にする(SCx←0)。すなわち、参照値テーブルポインタSCxを初期化する。
さらに、処理410では、波数カウンタKCxの値に1を加算した値を新しい波数カウンタKCxの値としている(KCx←KCx+1)。このように処理することにより、波数カウンタKCxは、1ずつ増加する値となる。その後、処理411の動作を行う。処理410の動作により、Nx個のトラッキング誤差値にNx個の外乱値TADDが加算される毎に、波数カウンタKCxが1だけ増加する。
処理411では、波数カウンタKCxと測定波数Kxとの値に応じて、次に行う処理を選択している。すなわち、波数カウンタKCxと測定波数Kxとの値が同じ場合は、処理412の動作へ移行する。波数カウンタKCxと測定波数Kxとの値が同じでない場合は、処理414の動作へ移行する。
処理412では、図7に示される利得変更器(利得変更部)4Aの動作を行う。すなわち、利得変更演算を行うことによって、トラッキングゲイン調整を行う。以下、利得変更器4Aの具体的な動作を説明する。
まず、利得変更器4Aにおける所定の複素振幅値(β)を補正複素数値(γ)で補正した補正複素振幅値RUxは、あらかじめ計算されており、下記に示す(数式29)としている。
Figure 2004114283
(数式29)において、Re(RUx)は、補正複素振幅値RUxの実数部を表し、Im(RUx)は補正複素振幅値RUxの虚数部を表す。Kxは測定波数、Nxは1周期の外乱値群の分割数、Pxは参照値振幅、Adxは外乱値の振幅であり、また、jは虚数を表し、下記に示す(数式30)で定義される。
Figure 2004114283
補正複素振幅値RUxの位相−d1xは、下記に示す(数式31)としている。ここで、Kx×Nx×Px×Adx/2(位相が零である正の実数)が所定の複素振幅値であり、cos(−d1x)+jsin(−d1x)が補正複素値(位相が−d1x)である。
Figure 2004114283
(数式31)において、πは円周率を表す。すべての定数は、応答検出器3Aの動作前に既知であるため、補正複素振幅値RUxをあらかじめ計算することができる。
次に、利得変更器4Aでは、補正複素振幅値RUxと、応答検出器3Aによって検出した検出複素振幅値(SUMRx+j・SUMIx)を用いて、後述する位相補償器2Aの増幅演算利得kgxの値の大きさを補正している。具体的には、下記に示す(数式32)を用いて、増幅演算利得kgxの値を補正した補正増幅演算利得kgx’を新たに増幅演算利得kgxの値に変更する。
Figure 2004114283
(数式32)において、|Hx|は、測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得であり、下記に示す(数式33)となる。
Figure 2004114283
Figure 2004114283
(数式33)における測定周波数fmxは、下記に示す(数式34)となっている。
Figure 2004114283
(数式34)において、fsxはサンプリング周波数、Nxは分割数を表す。(一実施例では、サンプリング周波数fsxを100kHzとする。この場合、分割数Nxが20であるため、測定周波数fmxは、5kHzとなる)。
すなわち、測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の利得|Hx|を求め、その逆数を増幅演算利得kgxの値に乗算することによって、増幅演算利得kgxの値を補正(補正増幅演算利得kgx’の値に変更)する。これにより、トラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整することができる。すなわち、トラッキングゲイン調整を行っている。
処理412の動作の後、処理413の動作を行う。処理413では、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値を1にする(GCx←1)。ここで、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値を1にすることは、利得変更器4Aの動作が完了し、トラッキングゲイン調整が完了したことを意味する。その後、処理414の動作を行う。
処理414では、誤差信号TOEに対して位相補償演算及び増幅演算を行う。具体的には、まず誤差信号TOEをk1x倍(ここでk1xは、正の実数である)した値と変数TE_Iを加算した値を新しい変数TE_Iの値とする(TE_I←TE_I+TOE×k1x)。また変数TE_Iの値をk2x倍(ここでk2xは、正の実数である)した値と誤差信号TOEをk3x倍(ここでk3xは、正の実数である)した値とを加算した値から、後述する変数TE1の値をk4x倍(ここでk4xは、k3xよりも小さい正の実数である)した値を減算した値に増幅演算利得kgxの値を乗算し、その値を変数TDの値とする[TD←(TE_I×k2x+TOE×k3x−TE1×k4x)×kgx]。さらに誤差信号TEDの値を変数TE1の新しい値とする(TE1←TED)。その後、処理415の動作を行う。
この演算を行うことにより、誤差信号TOEの位相補償及び増幅が行われ、その結果が変数TDの値となる。ここで、処理414は、位相補償器2Aにおける処理に相当する。
処理415では、変数TDの内容を演算装置103Aの駆動出力部106Aに出力し、変数TDの値に比例した駆動信号TODに変換する。その後、処理416の動作を行う。
処理416では、所定時間の遅延処理を行う。すなわち、あらかじめ決められたサンプリング周波数fsxで誤差入力部104Aや駆動出力部106Aの動作が行われるように遅延動作を行う。その後、処理402の動作へ戻る。
処理417では、トラッキング誤差値TEDの値を、誤差信号TOEとする(TOE←TED)。その後、処理414の動作を行う。すなわち、処理413でトラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値に1が設定された後は、処理403の動作により、処理417の動作が誤差入力部104Aの動作毎に行われる。すなわち、利得変更器4Aの動作が終了した次のサンプリングタイミングの後は、処理404から処理413の動作が行われず、処理417の処理が行われる。
以上、センサ101Aと誤差信号合成器102Aと演算装置103Aとトラッキングアクチュエータ109Aと駆動回路108Aとによってトラッキング制御装置が構成され、演算装置103Aは、誤差入力部104Aと外乱加算器1Aと位相補償器2Aと駆動出力部106Aと応答検出器3Aと利得変更器4Aとによって構成されている。
このように構成されたトラッキング制御装置によれば、トラッキングサーボ系の利得を、分割数Nxの値に依らず、正確に調整することができる。具体的には、利得変更処理412の動作により、トラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)となるように位相補償処理414において増幅演算利得kgxが調整される。以下、このことについて詳しく説明する。
実施の形態4では、利得変更処理412(利得変更器4Aの動作)により、トラッキングサーボ系の利得を所望の値に調整している。以下、利得変更処理412を中心に、トラッキングサーボ系の利得が所望の値に調整されることを詳しく説明する。
利得変更処理412では、前述したように、(数式31)に示す位相を持つ補正複素振幅値RUxと検出複素振幅値(SUMRx+j・SUMIx)とを用いて、増幅演算利得kgxを変化させている。これにより、トラッキングゲイン調整を行っている。ここで、トラッキングゲイン調整とは、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(0dBは1倍を意味する)になることを意味する。
利得変更処理412では、前述した(数式32)を用いて増幅演算利得kgxを更新している。ここで、|Hx|が測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得であることについて詳しく説明する。
まず、参照値テーブルポインタSCxがSCxの時、外乱加算処理407において加算される外乱値TADDは、前述した(数式27)によって示される。また、(数式27)によって示される外乱値TADDに対するトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]は、トラッキングサーボ系の線形成が成り立つ範囲で、下記に示す(数式35)と表現することができる。
Figure 2004114283
(数式35)において、Rxはトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]の振幅を表し、θxはトラッキングサーボ系の応答Yxと第1の外乱値群との位相差を表す。
したがって、(数式26)と(数式35)とを用いて、応答検出処理406の検出複素振幅値(SUMRx+j・SUMIx)を計算すると、検出複素振幅値の実数部SUMRxは、下記に示す(数式36)となる。また、同様に、検出複素振幅値の虚数部SUMRIxは、下記に示す(数式37)となる。
Figure 2004114283
(数式36)及び(数式37)において、Yxはトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]の複素振幅であり、Re(Yx)は応答Yxの実数部を表し、Im(Yx)は応答Yxの虚数部を表す。なお、YxKC[SCx]は、波数カウンタKCxの値ごと(1周期ごと)のトラッキングサーボ系の応答を表す。
実施の形態4では、応答検出処理405において検出複素振幅値を演算する際、第1の外乱値群の周期のKx倍(Kxは測定波数)の時間だけ積分加算している。これにより、検出複素振幅値SUMRxとSUMIxとが、それぞれ、より正確に複素振幅Yxの実数部と虚数部とに対応した値となる。すなわち、トラッキングサーボ系の応答Yxの複素振幅の振幅と位相とを正確に検出することができる。
(数式36)と(数式37)と(数式29)とを(数式33)に代入すると、利得|Hx|は、下記に示す(数式38)となる。
Figure 2004114283
一方、図9にトラッキングサーボ系のブロック線図を示す。図9より、トラッキングサーボ系の外乱値TADDからトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]までのトラッキングサーボ系の閉ループ特性は、下記に示す(数式39)となる。
Figure 2004114283
(数式39)において、TAは参照値テーブルポインタSCxがSCxの時の外乱値TADDの外乱複素振幅値を表し、Yxは外乱値TADD[SCx]に対するトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]の応答複素振幅値を表し、Hxはトラッキングサーボ系の一巡伝達関数を表し、Dxは外乱値TADDのトラッキングサーボ系に対する実質的な外乱加算部の伝達関数を表す。
外乱複素振幅値TAは、前述した(数式29)より下記に示す(数式40)となる。
Figure 2004114283
さらに、(数式39)と(数式40)とにより下記に示す(数式41)が得られる。
Figure 2004114283
(数式38)と(数式41)とを比較すると、|Hx|が測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得であることが分かる。
最後に、加算部の伝達関数Dxについて説明する。図10に、外乱値TADDの出力値の様子を示す。縦軸は外乱値TADDの値を示し、横軸は参照値テーブルポインタSCxの値を示す。図10に示すように外乱値TADDは1サンプルタイミング毎に(参照値テーブルポインタSCxの値が変化する毎に)外乱値TADDの値が変化する階段状の出力値となる。図10において、波形TADDが順次に出力される外乱値TADDの波形(第1の外乱値群の波形)である。すなわち、1サンプルタイミング毎に正弦波値(図10において、正弦波値は波形W3(外乱生成関数)によって示す)がサンプリングされ、0次ホールドされた波形となる。このようなサンプリングと0次ホールドを行う処理の伝達関数は、下記に示す(数式42)となる。
Figure 2004114283
(数式42)において、fmxは測定周波数、fsxはサンプリング周波数、Nxは分割数を表す。
以上より、第1の外乱値群のトラッキングサーボ系に対する実質的な加算部の伝達関数Dxは、前述した(数式42)で表される。すなわち、(数式43)となる。
Figure 2004114283
ここで、実施の形態4において併記した一実施例では、第1の外乱値群の分割数Nxを20としているため、下記に示す(数式44)が成立する。
Figure 2004114283
図10に示す波形W4は、波形W3に比べて、位相が2π/N/2遅れた波形を示す。また、図5から、波形TADD(第1の外乱値群)が略2π/N/2の位相遅れを持つことも分かる。
以上より、外乱加算部1Aの伝達関数が加算部の伝達関数Dxとなることが分かる。これにより、測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の利得|Hx|は、前述した(数式33)となることがわかる。さらに、(数式32)により増幅演算利得kgxが所望の値に補正され、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整できることがわかる。
このように、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整できることは、利得変更処理412の補正複素振幅値RUxの位相を(数式31)のように設定していることに依る。また、(数式31)は、前述した説明により、外乱値TADDからなる第1の外乱値群のトラッキングサーボ系への実質的な位相に対応していることも分かる。
また、実施の形態4では、外乱値TADDのトラッキングサーボ系への実質的な位相に応じて、利得変更処理412の補正複素振幅値RUxの位相を変化させているため、分割数Nxが小さくなっても、精度良くトラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
さらに、分割数Nxを変更することにより、測定周波数fmxが変更できるため、トラッキングサーボ系の利得を所望の値に調整することができる。
(実施の形態5)
実施の形態5では、本発明のトラッキング制御装置の他の一実施形態について説明する。実施の形態5では、利得変更処理(利得変更部)の動作を除く構成は、前述した実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
実施の形態5に係る利得変更処理では、所定の複素振幅値RU2xを下記に示す(数式45)とする。
Figure 2004114283
(数式45)において、Re(RU2x)は所定の複素振幅値RU2xの実数部を表し、Im(RU2x)は所定の複素振幅値RU2xの虚数部を表す。さらに、Kxは測定波数、Nxは分割数、Pxは参照値振幅、Adxは第1の外乱値群の振幅である。
さらに、補正複素値CUxを下記に示す(数式46)とする。
Figure 2004114283
ここで、所定の複素振幅値RU2の位相は0であり、補正複素値CUとの位相は、d2となっている。この位相d2xは、前述した(数式31)に示した実施の形態4の位相−d1xと逆位相(2π/2/N)であり、外乱値TADDからなる第1の外乱値群のトラッキングサーボ系に対する実質的な逆位相になっている。
利得変更処理では、増幅演算部利得kgxを下記に示す(数式47)によって補正する。
Figure 2004114283
すなわち、測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の利得|Hx|を求め、その逆数を増幅演算利得kgxに乗算することにより、増幅演算利得kgxを補正(補正増幅演算利得kgx’に変更)する。これにより、トラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
(数式47)からトラッキングサーボ系の利得|Hx|を抜き出すと、下記に示す(数式48)となる。
Figure 2004114283
以上より、(数式48)は、前述した(数式33)と等価であることが分かる。
したがって、実施の形態5では、検出複素振幅値を補正複素値CUxによって補正することにより、分割数Nxが小さくなっても、精度良くトラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
さらに、実施の形態5の構成は、前述した実施の形態4の効果に加えて、利得変更処理(利得変更部の動作)で用いる所定の複素振幅値を実数値(位相が0)としている。これにより、あらかじめ記憶しておく容量を少なくしている。
(実施の形態6)
実施の形態6では、本発明に係るトラッキング制御装置のさらに他の一実施形態について説明する。実施の形態6では、利得変更処理(利得変更部の動作)を除く構成は前述した実施の形態4と同じであるため、説明を省略する。
前述した実施の形態4及び実施の形態5では、演算装置103A(図6参照)における演算時間に依存した位相のずれは考慮していないが、実施の形態6では、演算時間に依存した位相のずれを考慮して、更に高精度でトラッキングサーボ系の利得を調整する。すなわち、上記の(数式48)における位相d2xに代えて、下記の(数式49)で示す位相d3xを用いる。その他の利得変更処理の構成及び動作は、前述した実施の形態4及び実施の形態5の利得変更処理と同じであるため、説明を省略する。
Figure 2004114283
(数式49)において、fmxは測定周波数、Tdxは誤差入力部104Aの入力動作から駆動出力部106Aの出力動作までの演算時間(演算手段の演算時間)Tdxを表す。すなわち、(数式49)の位相d3xは、2π/Nx/2と2π×fmx×Tdxとを加算した値となっている。演算時間Tdxは、駆動出力部106Aの出力動作が誤差入力部104Aの入力動作よりもどれだけ時間的に遅れて実行されたかを示すものである。なお、この場合、所定の複素振幅値(β)がKx・Nx・Px・Adx/2・{cos(−2π×fmx×Tdx)+jsin(−2π×fmx×Tdx)}であり、補正複素値(γ)が{cos(2π/Nx/2)+jsin(2π/Nx/2)}である場合に相当している。
このように構成することにより、演算時間Tdxによる位相のずれ(−2π×fmx×Tdx)が前述した(数式31)の位相d1xに比べて無視できない程度に大きくなっても、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)により正確に調整できる。以下、このことについて詳しく説明する。
まず、演算時間Tdxによる位相のずれが前述した(数式31)によって示される位相に比べて、無視できる程度に小さい場合には、前述した実施の形態4及び実施の形態5で用いた第1の外乱値群の位相である(数31)の値と(数式49)の値とがほぼ等しくなるため、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)に調整できることがわかる。
次に、演算時間Tdxが前述した(数31)によって示される位相値に比べて、無視できない程度に大きい場合について説明する。
この場合、演算時間Tdxに依存する位相のずれは、前述した(数式31)によって示される位相に対して加算される。演算時間Tdxによる位相のずれTpxは、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxに対しては、下記に示す(数式50)となる。
Figure 2004114283
以上より、(数式50)と(数式31)とを加算することにより(数式49)が得られる。
実施の形態6では、利得変更処理の動作により、演算時間Tdが(数式31)で示される位相に比べて、無視できない程度に大きい場合でも、(数式49)に示すようにその影響を考慮して、増幅演算利得kgxの演算を行っているため、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)により正確に調整できる。
なお、本実施の形態6では、トラッキングサーボ系の利得|Hx|を算出するために、所定の複素振幅値(β)の位相部分と補正複素値とを予め演算した値(複素利得Hxの分母及び分子に所定の複素振幅値と共役な複素値を乗算した値)を用いたが、他の演算方法により算出されてもよく、本発明は実施の形態6の演算方法に限定されるものではない。
また、位相補償処理は、図7に示された位相補償器2Aにおける処理414に限定されるものではなく、トラッキングサーボ系の位相を補償する動作を行うものであれば良い。図7に示された位相補償器2Aと異なる構成の位相補償器を設けたとしても、本発明に含まれる。
また、上記の実施の形態4〜6では、外乱値を1サンプル毎に出力しているが、これを複数サンプル毎に出力するように構成してもよく、このように変更しても本発明に含まれる。
さらに、上記の実施の形態4〜6のデジタル回路で構成した部分をアナログ回路で構成することや、アナログ回路で構成した部分をデジタル回路で構成することなど、様々な変更が考えられる。このように変更を行っても本発明に含まれることは言うまでもない。
以上のように実施の形態4〜6によれば、利得変更器4の動作により、精度良くトラッキング制御装置のループゲイン特性を調整することができる。特に、分割数Nが小さい場合であっても、精度良くトラッキング制御装置のループゲイン特性を調整することができる。すなわち、利得変更処理において、利得変更処理の補正複素値の位相を第1の外乱値の位相に応じた値にし、補正複素値によって検出複素振幅値又は所定の複素振幅値を補正することにより、精度良くループゲイン特性を調整している。
特に、トラッキングサーボ系の広帯域化と演算装置の省電力化とを目的とした動作クロックの低下により、分割数Nxはますます小さくなる傾向にある。このような場合でも、本実施の形態に係るトラッキング制御装置を用いることにより、精度良くループゲイン特性を調整することが可能である。
本発明のフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置は、半導体レーザ等のレーザ光を用いて光ディスクに情報の記録や再生を行う光ディスク装置に用いるフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置として有用である。
【書類名】明細書
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ等のレーザ光を用いて光ディスクに情報の記録や再生を行う光ディスク装置に用いるフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスク装置に用いられるフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置は、光ディスク上に情報を記録または再生するために重要な装置である。このようなフォーカス制御装置では、光ディスクが変動し、または光ディスク装置が振動しても正確な記録再生ができるように、光ディスクの記録面と出射光の焦点との間のずれを、例えば±0.5マイクロメートル(μm)以内という高精度に制御しなければならない。このためには、フォーカス制御装置のループゲイン特性を常に所望の特性に合わせておく必要がある。そしてトラッキング制御装置では、光ディスク上のトラックに偏芯等が存在しても正確な記録や再生ができるように、光ディスク上のトラックと光スポットとのずれを、例えば±0.1マイクロメートル(μm)以内という高精度に制御しなければならない。このためには、トラッキング制御装置のループゲイン特性を常に所望の特性に合わせておく必要がある。
【0003】
しかしながら、フォーカス誤差信号およびトラッキング誤差信号の検出感度やフォーカスアクチュエータおよびトラッキングアクチュエータの感度のばらつき、さらに温度変化、経時変化によって、所望のループゲイン特性を保つことが困難であるという課題があった。
【0004】
このような課題に対して、光ビームの微小スポットと制御目標位置との間のズレを検出する制御誤差信号検出手段と、光ビームの微小スポットを制御目標位置に移動して保持するサーボ手段と、サーボループに外乱信号を加える外乱信号発生手段と、サーボループ内に加えた外乱信号に応答した信号の複素振幅を検出する手段と、複素振幅検出手段の出力に基づいて、予め記憶しておいたサーボループに加えた外乱信号の複素振幅値からのサーボループの位相・ゲイン特性を検出する演算手段と、演算手段からの出力に応じてサーボループの位相・ゲイン特性を変化させる調整手段とを備えた光学式記録再生装置によって、ループゲイン特性を調整する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、サーボループに加えた外乱信号に応答した信号の複素振幅を検出し、その複素振幅と予め記憶しておいたサーボループに加えた外乱信号の複素振幅値とにより、サーボループの位相・ゲイン特性を変化させ、サーボループの位相・ゲイン特性を所望の特性に調整する。この技術を適用すれば、少ない回路構成によってサーボループのゲイン・位相特性を高速高精度に測定することができ、さらにサーボループのゲイン・位相特性を調整してサーボループの特性を所定の値にすることができるため、安定なサーボ特性を達成することができる。
【0005】
しかしながら、上記の技術では、予め記憶している所定の複素振幅値の値(ここで、値とは所定の複素振幅値の位相及び振幅を意味する)に依って、フォーカス制御装置およびトラッキング制御装置のサーボループ特性の調整に誤差が生じることが分かった。特に、周期関数(正弦関数)の1周期を時間的にN等分して保存された外乱値群を順次加算するように外乱信号発生手段を構成した場合には、分割数Nの値が小さくなるほど調整誤差が大きくなることが分かった。また、光ディスクの高密度化や高耐振化の為にサーボループ特性の広帯域化が必要な場合には、周期関数の周波数が上がり、外乱信号発生手段の外乱値群の加算周波数が同じとすると、実質的に分割数Nが小さくなる。さらに、省電力化の為に演算手段の動作速度が遅くなった場合にも、この分割数Nを小さくしなければならない。その結果、調整誤差は大きくなる。このように、今後、光ディスクの高密度化や高耐振化、機器の省電力化が促進されれば、フォーカス制御装置およびトラッキング制御装置におけるサーボループ特性の調整誤差が大きくなるという問題がある。
【特許文献1】 特開平4−49530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、精度良くフォーカスサーボ系の利得やトラッキングサーボ系の利得を調整することができ、所望のループゲイン特性に精度良く調整することができるフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフォーカス制御装置は、光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、複数個のセンサ信号を演算合成してフォーカス誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、フォーカス誤差信号に基づいてフォーカス誤差値群を生成する誤差入力部、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、駆動電流に応じて対物レンズを駆動するフォーカスアクチュエータとを含むフォーカス制御装置であって、利得変更部が、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて増幅演算利得を変更し、補正複素値の位相が、外乱加算部における第1の外乱値群の位相と実質的に同一であることを特徴とする。なお、この構成のフォーカス制御装置を、以下においては、第1のフォーカス制御装置とも称する。
【0008】
また、本発明に係るフォーカス制御装置は、光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、複数個のセンサ信号を演算合成してフォーカス誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、フォーカス誤差信号に基づいてフォーカス誤差値群を生成する誤差入力部、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、検出複素振幅値と所定の複素振幅値とに基づいて増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、駆動電流に応じて対物レンズを駆動するフォーカスアクチュエータとを含むフォーカス制御装置であって、利得変更部が、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と検出複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて増幅演算利得を変更し、補正複素値の位相が、外乱加算部における第1の外乱値群の逆位相と実質的に同一であることを特徴とする。なお、この構成のフォーカス制御装置を、以下においては、第2のフォーカス制御装置とも称する。
【0009】
本発明に係るトラッキング制御装置は、光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、複数個のセンサ信号を演算合成してトラッキング誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、トラッキング誤差信号に基づいてトラッキング誤差値群を生成する誤差入力部、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、駆動電流に応じて対物レンズを駆動するトラッキングアクチュエータとを含むトラッキング制御装置であって、利得変更部が、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて増幅演算利得を変更し、補正複素値の位相が、外乱加算部における第1の外乱値群の位相と実質的に同一であることを特徴とする。なお、この構成のトラッキング制御装置を、以下においては、第1のトラッキング制御装置とも称する。
【0010】
また、本発明に係るトラッキング制御装置は、光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、複数個のセンサ信号を演算合成してトラッキング誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、トラッキング誤差信号に基づいてトラッキング誤差値群を生成する誤差入力部、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、駆動電流に応じて対物レンズを駆動するトラッキングアクチュエータとを含むトラッキング制御装置であって、利得変更部が、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と検出複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて増幅演算利得を変更し、補正複素値の位相が、外乱加算部における第1の外乱値群の逆位相と実質的に同一であることを特徴とする。なお、この構成のフォーカス制御装置を、以下においては、第2のトラッキング制御装置とも称する。
【発明の効果】
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るフォーカス制御装置は、上述のように、光センサ手段と、誤差信号合成手段と、演算手段と、駆動手段と、フォーカスアクチュエータとを含む。演算手段は、誤差入力部と、外乱加算部と、位相補償部と、駆動出力部と、応答検出部と、利得変更部とを更に有している。なお、演算手段の利得変更部以外については、公知のいかなる構成であってもよい。
【0012】
誤差入力部は、光センサ手段及び誤差信号合成手段により生成されたフォーカス誤差信号に基づいてフォーカス誤差値群を生成する。フォーカス誤差値群は、例えば、フォーカス誤差信号に対して所定の時間間隔でサンプリング処理することによって生成することができる。サンプリング処理は、通常、一定の時間間隔で行われる。
【0013】
外乱加算部は、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する。周期性を有する第1の外乱値群は、所定の周期関数に対して所定の時間間隔でサンプリング処理することによって生成される階段状の関数の値を表す数値群と概念的に同一である。なお、以下において、上記の周期関数を外乱生成関数と略記する。フォーカス誤差値群と第1の外乱値群を加えるとは、時間的に同期したフォーカス誤差値群を構成するフォーカス誤差値と第1の外乱値群を構成する外乱値とを1つずつ順次に加算して外乱加算誤差値群を生成することを意味する。
【0014】
位相補償部は、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する。詳しくは、1つのフォーカス誤差値に対して1つの駆動値が順次に生成される。なお、増幅演算利得は、応答検出部及び利得変更部によって決定される。
【0015】
駆動出力部は、位相補償部で生成された駆動値群に基づいて駆動信号を生成し、駆動信号を駆動手段に出力する。
【0016】
応答検出部は、誤差入力部で生成されたフォーカス誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する。周期性を有する第2の外乱値群及び周期性を有する第3の外乱値群は、上記の第1の外乱値群の場合と同様に定義される。第1の外乱値群と同一の周期性を有するとは、第1の外乱値群の周期と同一であることを意味する。なお、第2の外乱値群や第3の外乱値群と第1の外乱値群とで、振幅や位相は異なっていてもよい。
【0017】
ここで、第1〜第3の外乱値群の振幅と位相とについて説明する。第1〜第3の外乱値群等の外乱値群の振幅は、外乱生成関数の振幅と、外乱生成関数にサンプリング処理及び0次ホールド処理を行う伝達関数より求まる。第1〜第3の外乱値群等の外乱値群の位相は、外乱生成関数の位相と、外乱生成関数にサンプリング処理及び0次ホールド処理を行う伝達関数より求まる。本明細書では、第1〜第3の外乱値群の位相とは、第1の外乱値群に対する外乱生成関数の位相を基準(位相が零)とする位相差を意味し、外乱生成関数より位相が進む場合を正にとり、位相が遅れる場合を負にとる。外乱値群の振幅及び位相は、それぞれ、外乱生成関数の振幅及び位相と異なることに注意を要する。また、サンプリングの時間間隔が長いほど(分割数が小さいほど)、外乱生成関数と伝達関数との振幅差や位相差は大きくなる。
【0018】
利得変更部は、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と補正複素値に基づいて増幅演算利得を変更する。第1のフォーカス制御装置では、補正複素値として第1の外乱値群の位相と実質的に同一の位相である複素値を用いて所定の複素振幅値を補正する。これにより、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相の相違を補正でき、位相補償部で参照される増幅演算利得を従来よりも高精度で調整することができる。特に、分割数が小さければ、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が大きくなるために、その効果は更に大きくなる。なお、第1のフォーカス制御装置における所定の複素振幅値は、従来のフォーカス制御装置で用いられていた値と同一とすることができる。
【0019】
本明細書において、検出複素振幅値、所定の複素振幅値及び補正複素値等の複素値の位相とは、複素平面上における正の実軸と、原点と複素値に対応する点とを結ぶ直線とのなす角を意味する。正の実軸から正の虚軸方向への回転角度を正とし、正の実軸から負の虚軸方向への回転角度を負とする。また、本明細書において、第1の外乱値群の位相と実質的に同一とは、補正複素値を意図的には第1の外乱値群の位相と異ならせないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
【0020】
また、第2のフォーカス制御装置における利得変更部は、補正複素値として、第1の外乱値群の位相と実質的に逆位相である複素値を用いて検出複素振幅値を補正する。なお、逆位相とは、正負が逆の位相を意味する。つまり、第1のフォーカス制御装置における補正複素値と第2のフォーカス制御装置における補正複素値とは、共役な複素数である。これにより、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相の相違を補正でき、位相補償部で参照される増幅演算利得を従来よりも高精度で調整することができる。なお、第2のフォーカス制御装置における所定の複素振幅値は、従来のフォーカス制御装置で用いられていた値と同一とすることができる。特に、分割数が小さければ、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が大きくなるために、その効果は更に大きくなる。
【0021】
ここで、従来よりもフォーカスサーボ系の利得や増幅演算利得を高精度で調整できることについて簡単に説明する。通常、増幅演算利得の初期設定値は、設定どおりに光ディスクが配置され、かつ第1〜第3の外乱値群の位相として外乱生成関数(アナログ信号)の位相を仮定した場合に最適化されるように決定されている。フォーカスサーボ系の利得はその系の一巡伝達関数の利得に相当する。また、フォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得の変化に応じて、応答検出部で検出される検出複素振幅値が変化する。
【0022】
したがって、第1及び第2のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差(補正複素数の位相)を考慮することによって、フォーカスサーボ系の利得を高精度で調整できる。更に、フォーカスサーボ系の利得を高精度で調整できることによって、位相補償部で参照する増幅演算利得を高精度で調整できる。なお、従来のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群(伝達関数)との位相差は考慮されていない。
【0023】
本発明に係る第1のフォーカス制御装置では、検出複素振幅値をα、所定の複素振幅値をβ、補正複素値をγとしたとき、利得変更部は、|α/(α+β×γ)|の値に基づいて増幅演算利得を変更することが好ましい。この値に従えば、フォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得を正確に調整できるからである。なお、最終的な値が|α/(α+β×γ)|と同一であれば、所定の複素振幅値と補正複素値とが乗算される限りにおいて、どのような方法で演算を行ってもよい。
【0024】
本発明に係る第1のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、補正複素数値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、所定の複素振幅値の位相が、実質的に0であることが好ましい。第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が−2π/N/2となるからである。第1の外乱値群の1周期を構成する数値群が、N個の外乱値からなるとは、分割数がNであることと同義である。なお、本明細書において、実質的に−2π/N/2であるとは、所定の複素振幅値を意図的には−2π/N/2と異ならせないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。以下において、位相が実質的に所定の数値であるという場合、上記と同様の意味とする。
【0025】
本発明に係る第1のフォーカス制御装置では、補正複素値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、第1の外乱値群の周波数をfmとし、フォーカス誤差信号から駆動信号を生成する演算手段における処理時間をTdとしたとき、所定の複素振幅値の位相が−2π×fm×Tdであることが好ましい。演算処理手段における処理時間に基づく位相のずれは−2π×fm×Tdであるために、演算手段における処理時間に依存するフォーカスサーボ系の利得の変化を抑制できるからである。
【0026】
本発明に係る第2のフォーカス制御装置では、検出複素振幅値をα、所定の複素振幅値をβ、補正複素値をγとしたとき、利得変更部は、|α×γ/(α×γ+β)|の値に基づいて増幅演算利得を変更することが好ましい。この値に従えば、フォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得を正確に調整できるからである。なお、最終的な値が|α×γ/(α×γ+β)|と同一であれば、検出複素振幅値と補正複素値とが乗算される限りにおいて、どのような方法で演算を行ってもよい。
【0027】
本発明に係る第2のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、所定の複素振幅値の位相が、実質的に0であることが好ましい。第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が−2π/N/2となるからである。
【0028】
本発明に係る第2のフォーカス制御装置では、補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、第1の外乱値群の周波数をfmとし、フォーカス誤差信号から駆動信号を生成する演算手段における処理時間をTdとしたとき、所定の複素振幅値の位相が、実質的に2π×fm×Tdであることが好ましい。演算手段における処理時間に依存するフォーカスサーボ系の利得の変化を抑制することができる。
【0029】
本発明に係る第1及び第2のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、N個の外乱値を記憶する記憶部を更に有することが好ましい。外乱加算部では、第1の外乱値群は周期性を有するため、1周期ごとに同一の値が外乱値として用いられる。したがって、記憶部を設けてN個の外乱値を記憶させておけば、任意の外乱値を記憶部から抽出することができる。これにより、各外乱値を演算によって算出する場合に比べて、高速な処理が実現できる。本明細書において、実質的に均等に分割するとは、均等でない分割を意図的には行わないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
【0030】
本発明に係る第1及び第2のフォーカス制御装置では、第2の外乱値群の位相が、第1の外乱値群の位相と実質的に同一であり、第3の外乱値群の位相が、第2の外乱値群の位相と実質的にπ/2だけ異なることが好ましい。検出複素振幅値を正確に検出できるからである。本明細書において、実質的にπ/2だけ異なるとは、意図的にはπ/2以外の位相差に設定しないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
【0031】
本発明に係る第1及び第2のフォーカス制御装置では、応答検出部は、第1の外乱値群の周期の整数倍の時間の間に入力された複数のフォーカス誤差値に基づいて検出複素振幅値を検出することが好ましい。検出複素振幅値の測定誤差を低減できるからである。特に、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群の個数が少ない場合(分割数が小さい場合)には、その効果は大きくなる。
【0032】
本発明に係る第1及び第2のフォーカス制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割された4の整数倍の個数の外乱値からなることが好ましい。
【0033】
本発明に係るトラッキング制御装置は、上述のように、光センサ手段と、誤差信号合成手段と、演算手段と、駆動手段と、トラッキングアクチュエータとを含む。演算手段は、誤差入力部と、外乱加算部と、位相補償部と、駆動出力部と、応答検出部と、利得変更部とを更に有している。なお、演算手段の利得変更部以外については、公知のいかなる構成であってもよい。
【0034】
誤差入力部は、光センサ手段及び誤差信号合成手段により生成されたトラッキング誤差信号に基づいてトラッキング誤差値群を生成する。トラッキング誤差値群は、例えば、トラッキング誤差信号に対して所定の時間間隔でサンプリング処理し、かつサンプリング処理された値をサンプリングの時間間隔にわたって0次ホールド処理することによって生成することができる。サンプリング処理は、通常、一定の時間間隔で行われる。
【0035】
外乱加算部は、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する。トラッキング誤差値群と第1の外乱値群を加えるとは、時間的に同期したトラッキング誤差値群を構成するトラッキング誤差値と第1の外乱値群を構成する外乱値とを1つずつ順次に加算して外乱加算誤差値群を生成することを意味する。
【0036】
位相補償部は、外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する。詳しくは、1つのトラッキング誤差値に対して1つの駆動値が順次に生成される。なお、増幅演算利得は、応答検出部及び利得変更部によって決定される。
【0037】
駆動出力部は、位相補償部で生成された駆動値群に基づいて駆動信号を生成し、駆動信号を駆動手段に出力する。
【0038】
応答検出部は、誤差入力部で生成されたトラッキング誤差値群と、第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、第2の外乱値群と同一の周期性を有し、第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する。
【0039】
利得変更部は、検出複素振幅値と所定の複素振幅値と補正複素値に基づいて増幅演算利得を変更する。第1のトラッキング制御装置では、補正複素値として第1の外乱値群の位相と実質的に同一の位相である複素値を用いて所定の複素振幅値を補正する。これにより、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相の相違を補正でき、位相補償部で参照される増幅演算利得を従来よりも高精度で調整することができる。特に、分割数が小さければ、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が大きくなるために、その効果は更に大きくなる。なお、第1のトラッキング制御装置における所定の複素振幅値は、従来のトラッキング制御装置で用いられていた値と同一とすることができる。
【0040】
また、第2のトラッキング制御装置における利得変更部は、補正複素値として、第1の外乱値群の位相と実質的に逆位相である複素値を用いて検出複素振幅値を補正する。なお、逆位相とは、正負が逆の位相を意味する。つまり、第1のトラッキング制御装置における補正複素値と第2のトラッキング制御装置における補正複素値とは、共役な複素数である。これにより、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相の相違を補正でき、位相補償部で参照される増幅演算利得を従来よりも高精度で調整することができる。なお、第2のトラッキング制御装置における所定の複素振幅値は、従来のトラッキング制御装置で用いられていた値と同一とすることができる。特に、分割数が小さければ、外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が大きくなるために、その効果は更に大きくなる。
【0041】
ここで、従来よりもトラッキングサーボ系の利得や増幅演算利得を高精度で調整できることについて簡単に説明する。通常、増幅演算利得の初期設定値は、設定どおりに光ディスクが配置され、かつ第1〜第3の外乱値群の位相として外乱生成関数(アナログ信号)の位相を仮定した場合に最適化されるように決定されている。トラッキングサーボ系の利得はその系の一巡伝達関数の利得に応じて変化する。また、トラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得は、応答検出部で検出される検出複素振幅値及び外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差に応じて変化する。
【0042】
したがって、第1及び第2のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差(補正複素数の位相)を考慮することによって、トラッキングサーボ系の利得を高精度で調整できる。更に、トラッキングサーボ系の利得を高精度で調整できることによって、位相補償部で参照する増幅演算利得を高精度で調整できる。なお、従来のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差は考慮されていない。
【0043】
本発明に係る第1のトラッキング制御装置では、検出複素振幅値をα、所定の複素振幅値をβ、補正複素値をγとしたとき、利得変更部は、|α/(α+β×γ)|の値に基づいて増幅演算利得を変更することが好ましい。この値に従えば、トラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得を正確に調整できるからである。なお、最終的な値が|α/(α+β×γ)|と同一であれば、所定の複素振幅値と補正複素値とが乗算される限りにおいて、どのような方法で演算を行ってもよい。
【0044】
本発明に係る第1のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、補正複素数値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、所定の複素振幅値の位相が、実質的に0であることが好ましい。第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が−2π/N/2となるからである。第1の外乱値群の1周期を構成する数値群が、N個の外乱値からなるとは、分割数がNであることと同義である。なお、本明細書において、実質的に−2π/N/2であるとは、所定の複素振幅値を意図的には−2π/N/2と異ならせないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。以下において、位相が実質的に所定の数値であるという場合、上記と同様の意味とする。
【0045】
本発明に係る第1のトラッキング制御装置では、補正複素値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、第1の外乱値群の周波数をfmとし、トラッキング誤差信号から駆動信号を生成する演算手段における処理時間をTdとしたとき、所定の複素振幅値の位相が−2π×fm×Tdであることが好ましい。演算処理手段における処理時間に基づく位相のずれは−2π×fm×Tdであるために、演算手段における処理時間に依存するトラッキングサーボ系の利得の変化を抑制できるからである。
【0046】
本発明に係る第2のトラッキング制御装置では、検出複素振幅値をα、所定の複素振幅値をβ、補正複素値をγとしたとき、利得変更部は、|α×γ/(α×γ+β)|の値に基づいて増幅演算利得を変更することが好ましい。この値に従えば、トラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得を正確に調整できるからである。なお、最終的な値が|α×γ/(α×γ+β)|と同一であれば、検出複素振幅値と補正複素値とが乗算される限りにおいて、どのような方法で演算を行ってもよい。
【0047】
本発明に係る第2のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、所定の複素振幅値の位相が、実質的に0であることが好ましい。第1の外乱値群に対応する外乱生成関数と第1の外乱値群との位相差が−2π/N/2となるからである。
【0048】
本発明に係る第2のトラッキング制御装置では、補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、第1の外乱値群の周波数をfmとし、トラッキング誤差信号から駆動信号を生成する演算手段における処理時間をTdとしたとき、所定の複素振幅値の位相が、実質的に2π×fm×Tdであることが好ましい。演算手段における処理時間に依存するトラッキングサーボ系の利得の変化を抑制することができる。
【0049】
本発明に係る第1及び第2のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、N個の外乱値を記憶する記憶部を更に有することが好ましい。外乱加算部では、第1の外乱値群は周期性を有するため、1周期ごとに同一の値が外乱値として用いられる。したがって、記憶部を設けてN個の外乱値を記憶させておけば、任意の外乱値を記憶部から抽出することができる。これにより、各外乱値を演算によって算出する場合に比べて、高速な処理が実現できる。本明細書において、実質的に均等に分割するとは、均等でない分割を意図的には行わないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
【0050】
本発明に係る第1及び第2のトラッキング制御装置では、第2の外乱値群の位相が、第1の外乱値群の位相と実質的に同一であり、第3の外乱値群の位相が、第2の外乱値群の位相と実質的にπ/2だけ異なることが好ましい。検出複素振幅値を正確に検出できるからである。本明細書において、実質的にπ/2だけ異なるとは、意図的にはπ/2以外の位相差に設定しないことを意味し、計算誤差や作製誤差等によって厳密に一致しない場合を含意する。
【0051】
本発明に係る第1及び第2のトラッキング制御装置では、応答検出部は、第1の外乱値群の周期の整数倍の時間の間に入力された複数のトラッキング誤差値に基づいて検出複素振幅値を検出することが好ましい。検出複素振幅値の測定誤差を低減できるからである。特に、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群の個数が少ない場合(分割数が小さい場合)には、その効果は大きくなる。
【0052】
本発明に係る第1及び第2のトラッキング制御装置では、第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割された4の整数倍の個数の外乱値からなることが好ましい。
【0053】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0054】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るフォーカス制御装置100の構成を示すブロック図である。フォーカス制御装置100は、センサ(センサ手段)101を備えている。センサ101は、光ディスク111からの反射光を受光し、複数個のセンサ信号SEを誤差信号合成器(誤差信号合成手段)102へ出力する。誤差信号合成器102は、複数個のセンサ信号SEを演算合成したフォーカス誤差信号FEを演算装置(演算手段)103へ供給する。
【0055】
演算装置103は、誤差入力部104と演算器105と駆動出力部106とメモリ107とを有している。メモリ107には、ROM107aとRAM107bとが設けられている。
【0056】
誤差入力部104は、誤差信号合成器102によって合成されたフォーカス誤差信号FEに基づいてフォーカス誤差値を順次に生成して演算器105へ供給する。順次に生成された複数のフォーカス誤差値がフォーカス誤差値群である。
【0057】
図2は、演算器105の構成を示すブロック図である。演算器105は、外乱加算器(外乱加算部)1を有している。外乱加算器1は、誤差入力部104によって生成されたフォーカス誤差値に外乱値を加えて出力する。演算器105には、位相補償器(位相補償部)2が設けられている。位相補償器2は、外乱加算器1の出力値に少なくとも位相補償演算と増幅演算とを行い駆動値を出力する。演算器105は、応答検出器(応答検出部)3を有している。応答検出器3は、誤差入力部104によって生成されたフォーカス誤差値に基づいて外乱値に応答した検出複素振幅値を検出する。演算器105には、利得変更器(利得変更部)4が設けられている。利得変更器4は、応答検出器3によって検出された検出複素振幅値と所定の複素振幅値と所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに応じて位相補償器2の増幅演算利得を変更する。
【0058】
駆動出力部106は、位相補償器2から出力された駆動値に基づいて駆動信号を駆動回路(駆動手段)108へ出力する。駆動回路108は、駆動信号に略比例した駆動電流をフォーカスアクチュエータ109へ出力する。フォーカスアクチュエータ109は、駆動電流に応じて対物レンズ110を駆動する。
【0059】
このように構成されたフォーカス制御装置100の動作を説明する。
【0060】
センサ101が光ディスク111からの反射光を電気信号に変換して複数個のセンサ信号SEを出力すると、誤差信号合成器102は、複数個のセンサ信号SEの入力に応じてフォーカス誤差信号FEを出力する。
【0061】
誤差信号合成器102では、例えば、複数個のセンサ信号SEをそれぞれセンサ信号A、センサ信号B、センサ信号Cおよびセンサ信号Dとすると、センサ信号A、B、CおよびDを用いて、(A+B)−KE×(C+D)の演算を行った信号をフォーカス誤差信号FEとして出力している。ここで、KEは所定の実数値である。
【0062】
演算装置103は、誤差信号合成器102からのフォーカス誤差信号FEを入力し、メモリ107に内蔵された後述するプログラムによって計算処理することにより、駆動信号FODを出力する。演算装置103が出力する駆動信号FODは駆動回路108に入力される。そして、駆動回路(駆動手段)108では、電力増幅を行いフォーカスアクチュエータ109に電力を供給して、対物レンズ110を駆動する。
【0063】
このように、センサ101と誤差信号合成器102と演算装置103とフォーカスアクチュエータ109と駆動回路108とによってフォーカス制御装置が構成されている。
【0064】
図1に示す演算装置103に設けられたメモリ107は、所定のプログラムと定数とが格納されたロム領域107a(ROM:リードオンリーメモリ)と随時必要な変数値を格納するラム領域107b(RAM:ランダムアクセスメモリ)とに別れている。演算器105は、ロム領域107a内のプログラムに従って所定の動作や演算を行っている。図3にそのプログラムの具体的な一例を示す。以下に、その動作を詳細に説明する。
【0065】
まず処理201では、後述する処理に必要な変数値の初期設定を行う。具体的には、まず参照値テーブルポインタSCを初期化する(SC←0)。ここで、参照値テーブルポインタSCの値は整数であり、0からN−1までの値をとる。Nは1周期の外乱値群に含まれる外乱値の個数、つまり、1周期の外乱値群の分割数である。なお、本実施の形態1では、分割数Nは、4の倍数の正の整数である(一実施例としては、Nを20とする)。
【0066】
次に、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCを初期化する(GC←0)。ここでフォーカスゲイン調整完了フラッグGCは、0または1の値をとり、0の時は、フォーカスゲイン調整が完了していないことを意味し、1の時は、フォーカスゲイン調整が完了していることを意味する。したがって、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCを初期化することにより、フォーカスゲイン調整が完了していない設定にしている。
【0067】
そして、正弦波の波数を計数する波数カウンタKCを初期化する(KC←0)。ここで、波数カウンタKCの値は整数であり、0からKまでの値をとる。Kは、測定波数であり、3以上の正の整数である(一実施例としては、Kを50とする)。さらに、後述する応答検出処理205において検出する検出複素振幅値(α)の実数部SUMRと検出複素振幅値の虚数部SUMIとを初期化する(SUMR←0、SUMI←0)。
【0068】
さらに、処理201では、後述する位相補償処理214の動作の初期設定として変数FE_Iの値を零に初期化する(FE_I←0)。その後、処理202の動作を行う。
【0069】
処理202では、フォーカス誤差値FEDの入力動作を行う。すなわち、演算装置103の誤差入力部104に入力された誤差信号合成器102からのフォーカス誤差信号FEをAD変換し、フォーカス誤差値FEDに直す。その後、処理203の動作を行う。
【0070】
処理203では、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値に応じて、次に行う処理を選択している。具体的には、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値が1の場合には処理217の動作に移行し、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値が1でない場合には処理204の動作に移行する。この処理203により、フォーカスゲイン調整が完了すると、処理217の動作に移行し、後述する利得変更処理212の動作を最初の1回のみ行うように構成している。
【0071】
処理204では、参照値テーブルポインタSCに分割数Nを4で割った値を加算し、その加算値の分割数Nを法とする値を計算し、余弦波テーブルポインタCCの値とする。すなわち、CC←(SC+N/4) MOD Nの演算を行う。ここで、A MOD Bは、AのBを法とする値を表す。例えば、A=24,B=20の場合、A MOD Bは4となる。すなわち、値Aを値Bで割った時の剰余を表す。このような演算を行うことにより、余弦波テーブルポインタCCの値は、0からN−1の範囲の数値となる。その後、処理205の動作を行う。
【0072】
処理205では、参照値テーブルポインタSCに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている参照値テーブルを参照し、参照値Q[SC](第2の外乱値群を構成する外乱値)を得る。その参照値Q[SC]にフォーカス誤差値FEDを乗算し、その乗算値と検出複素振幅値の実数部SUMRを加算した値を新しい検出複素振幅値の実数部SUMRとする(SUMR←SUMR+FED×Q[SC])。ここで、参照値テーブ
ルポインタSCの時のQ[SC]を、(1)に示す。
【0073】
【数1】
Figure 2004114283
【0074】
1)において、Pは参照値振幅、Nは分割数、πは円周率を表す。参照値振幅Pは正の実数である(一実施例では、100とする)。
【0075】
さらに処理205では、余弦波テーブルポインタCCに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている参照値テーブルを参照し、参照値Q[CC](第3の外乱値群を構成する外乱値)を得る。その参照値Q[CC]にフォーカス誤差値FEDを乗算し、その乗算値と検出複素振幅値の虚数部SUMIを加算した値を新しい検出複素振幅値の虚数部SUMIとする(SUMI←SUMI+FED×Q[CC])。
【0076】
ここで、処理204の動作により、参照値テーブルポインタSCと余弦波テーブルポインタCCとの間の差をN/4(ここで、Nは分割数)としている。これにより、参照値Q[SC]と参照値Q[CC]との値の位相差が2π/4となる。したがって、実施の形態1では、分割数Nを4の倍数にすることにより、第2の外乱値群の位相と第3の外乱値群の位相との位相差を正確に2π/4としている。また、参照値Q[SC]と参照値Q[CC]とに共通の参照値テーブルを用いて、sin関数やcos関数の計算に要する演算量を削減している。処理205の後、処理206の動作を行う。ここで、処理205は図2に示される応答検出器3に対応している。
【0077】
処理206では、参照値テーブルポインタSCに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている正弦波の関数テーブルを参照し、外乱値FADD(第1の外乱値群を構成する外乱値)とする(FADD←table[SC])。table[SC]を、(2)に示す。
【0078】
【数2】
Figure 2004114283
【0079】
2)において、Adは外乱値振幅、Nは分割数、πは円周率を表す。外乱値振幅Adは正の実数である(一実施例では、100とする)。一実施例の場合、下記の(3)に示すように、正弦波の関数テーブルと参照値テーブルとを兼用した数値テーブルを用いることができるために、メモリ領域を削減することができる。したがって、メモリ容量の観点からは、外乱値振幅Adと参照値振幅Pとは同じ値とすることが好ましい。
【0080】
【数3】
Figure 2004114283
【0081】
処理206の動作の後、処理207の動作を行う。処理207では、フォーカス誤差値FEDに外乱値FADDを加算した値を、誤差信号FOEとする(FOE←FED+FADD)。その後、処理208の動作を行う。ここで、処理207は、図2に示される外乱加算器(外乱加算部)1において行われる処理に相当する。
【0082】
処理208では、参照値テーブルポインタSCの値に1を加算し、その値を新しい参照値テーブルポインタSCの値としている(SC←SC+1)。このように処理することにより、参照値テーブルポインタSCは、1ずつ増加する値となる。その後、処理209の動作を行う。
【0083】
処理209では、参照値テーブルポインタSCと分割数Nの値とに応じて、次に行う処理を選択している。すなわち、参照値テーブルポインタSCとN−1との値が同じ場合は、処理210の動作へ移行する。参照値テーブルポインタSCとN−1の値が同じでない場合は、処理211の動作へ移行する。
【0084】
ここで、処理208と処理209との動作により、1ずつ増加する参照値テーブルポインタSCがN−1と等しくなるということは、処理205と処理206とで用いた参照値テーブルの全体(第1の外乱値群、第2の外乱値群及び第3の外乱値群の1周期を構成するそれぞれN個の外乱値)を順次に参照したことに相当する。このことは、処理206において1周期分の第1の外乱値群が得られ、処理207において、順次に入力されるN個のフォーカス誤差値に、順次に参照されるN個(1周期分)の外乱値FADDが加算されたことを意味する。
【0085】
処理210では、参照値テーブルポインタSCの値を0にする(SC←0)。すなわち、参照値テーブルポインタSCを初期化する。
【0086】
さらに、処理210では、波数カウンタKCの値に1を加算した値を新しい波数カウンタKCの値としている(KC←KC+1)。このように処理することにより、波数カウンタKCは、1ずつ増加する値となる。その後、処理211の動作を行う。処理210の動作により、N個のフォーカス誤差値にN個の外乱値FADDが加算される毎に、波数カウンタKCが1だけ増加する。
【0087】
処理211では、波数カウンタKCと測定波数Kとの値に応じて、次に行う処理を選択している。すなわち、波数カウンタKCと測定波数Kとの値が同じ場合は、処理212の動作へ移行する。波数カウンタKCと測定波数Kとの値が同じでない場合は、処理214の動作へ移行する。
【0088】
処理212では、図2に示される利得変更器4(利得変更部)の動作を行う。すなわち、利得変更演算を行うことによって、フォーカスゲイン調整を行う。以下、利得変更器4の具体的な動作を説明する。
【0089】
まず、利得変更器4における所定の複素振幅値(β)を補正複素数値(γ)で補正した補正複素振幅値RUは、あらかじめ計算されており、下記に示す(4)としている。
【0090】
【数4】
Figure 2004114283
【0091】
4)において、Re(RU)は、補正複素振幅値RUの実数部を表し、Im(RU)は補正複素振幅値RUの虚数部を表す。Kは測定波数、Nは1周期の外乱値群の分割数(外乱値)、Pは参照値振幅、Adは外乱値の振幅であり、また、jは虚数を表し、下記に示す(5)で定義される。
【0092】
【数5】
Figure 2004114283
【0093】
補正複素振幅値RUの位相−d1は、下記に示す(6)としている。ここで、K×N×P×Ad/2(位相が零である正の実数)が所定の複素振幅値であり、cos(−d1)+jsin(−d1)が補正複素値(位相が−d1)である。
【0094】
6)において、πは円周率を表す。すべての定数は、応答検出器3の動作前に既知であるため、補正複素振幅値RUをあらかじめ計算することができる。
【0095】
【数6】
Figure 2004114283
【0096】
次に、利得変更器4では、補正複素振幅値RUと、応答検出器3によって検出した検出複素振幅値(SUMR+j・SUMI)を用いて、後述する位相補償器2の増幅演算利得kgの値の大きさを補正している。具体的には、下記に示す(7)を用いて、増幅演算利得kgの値を補正した補正増幅演算利得kg’を新たに増幅演算利得kgの値に変更する。
【0097】
【数7】
Figure 2004114283
【0098】
7)において、|H|は、測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得であり、下記に示す(8)となる。
【0099】
【数8】
Figure 2004114283
【0100】
8)における測定周波数fmは、下記に示す(9)となっている。
【0101】
【数9】
Figure 2004114283
【0102】
9)において、fsはサンプリング周波数、Nは分割数を表す。(一実施例では、サンプリング周波数fsを100kHzとする。この場合、分割数Nが20であるため、測定周波数fmは、5kHzとなる)。
【0103】
すなわち、測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の利得|H|を求め、その逆数を増幅演算利得kgの値に乗算することによって、増幅演算利得kgの値を補正(補正増幅演算利得kg’の値に変更)する。これにより、フォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整することができる。すなわち、フォーカスゲイン調整を行っている。
【0104】
処理212の動作の後、処理213の動作を行う。処理213では、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値を1にする(GC←1)。ここで、フォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値を1にすることは、利得変更器4の動作が完了し、フォーカスゲイン調整が完了したことを意味する。その後、処理214の動作を行う。
【0105】
処理214では、誤差信号FOEに対して位相補償演算及び増幅演算を行う。具体的には、まず誤差信号FOEをk1倍(ここでk1は、正の実数である)した値と変数FE_Iを加算した値を新しい変数FE_Iの値とする(FE_I←FE_I+FOE×k1)。また変数FE_Iの値をk2倍(ここでk2は、正の実数である)した値と誤差信号FOEをk3倍(ここでk3は、正の実数である)した値とを加算した値から、後述する変数FE1の値をk4倍(ここでk4は、k3よりも小さい正の実数である)した値を減算した値に増幅演算利得kgの値を乗算し、その値を変数FDの値とする[FD←(FE_I×k2+FOE×k3−FE1×k4)×kg]。さらに誤差信号FEDの値を変数FE1の新しい値とする(FE1←FED)。その後、処理215の動作を行う。
【0106】
この演算を行うことにより、誤差信号FOEの位相補償及び増幅が行われ、その結果が変数FDの値となる。ここで、処理214は、位相補償器2における処理に相当する。
【0107】
処理215では、変数FDの内容を演算装置103の駆動出力部106に出力し、変数FDの値に比例した駆動信号FODに変換する。その後、処理216の動作を行う。
【0108】
処理216では、所定時間の遅延処理を行う。すなわち、あらかじめ決められたサンプリング周波数fsで誤差入力部104や駆動出力部106の動作が行われるように遅延動作を行う。その後、処理202の動作へ戻る。
【0109】
処理217では、フォーカス誤差値FEDの値を、誤差信号FOEとする(FOE←FED)。その後、処理214の動作を行う。すなわち、処理213でフォーカスゲイン調整完了フラッグGCの値に1が設定された後は、処理203の動作により、処理217の動作が誤差入力部104の動作毎に行われる。すなわち、利得変更器4の動作が終了した次のサンプリングタイミングの後は、処理204から処理213の動作が行われず、処理217の処理が行われる。
【0110】
以上、センサ101と誤差信号合成器102と演算装置103とフォーカスアクチュエータ109と駆動回路108とによってフォーカス制御装置が構成され、演算装置103は、誤差入力部104と外乱加算器1と位相補償器2と駆動出力部106と応答検出器3と利得変更器4とによって構成されている。
【0111】
このように構成されたフォーカス制御装置によれば、フォーカスサーボ系の利得を、分割数Nの値に依らず、正確に調整することができる。具体的には、利得変更処理212の動作により、フォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)となるように位相補償処理214において増幅演算利得kgが調整される。以下、このことについて詳しく説明する。
【0112】
実施の形態1では、利得変更処理212(利得変更器4の動作)により、フォーカスサーボ系の利得を所望の値に調整している。以下、利得変更処理212を中心に、フォーカスサーボ系の利得が所望の値に調整されることを詳しく説明する。
【0113】
利得変更処理212では、前述したように、(6)に示す位相を持つ補正複素振幅値RUと検出複素振幅値(SUMR+j・SUMI)とを用いて、増幅演算利得kgを変化させている。これにより、フォーカスゲイン調整を行っている。ここで、フォーカスゲイン調整とは、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(0dBは1倍を意味する)になることを意味する。
【0114】
利得変更処理212では、前述した(7)を用いて増幅演算利得kgを更新している。ここで、|H|が測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得であることについて詳しく説明する。
【0115】
まず、参照値テーブルポインタSCがSCの時、外乱加算処理207において加算される外乱値FADDは、前述した(2)によって示される。また、(2)によって示される外乱値FADDに対するフォーカスサーボ系の応答Y[SC]は、フォーカスサーボ系の線形成が成り立つ範囲で、下記に示す(10)と表現することができる。
【0116】
【数10】
Figure 2004114283
【0117】
10)において、Rはフォーカスサーボ系の応答Y[SC]の振幅を表し、θはフォーカスサーボ系の応答Yと第1の外乱値群との位相差を表す。
【0118】
したがって、(1)と(10)とを用いて、応答検出処理206の検出複素振幅値(SUMR+j・SUMI)を計算すると、検出複素振幅値の実数部SUMRは、下記に示す(11)となる。また、同様に、検出複素振幅値の虚数部SUMIは、下記に示す(12)となる。
【0119】
【数11】
Figure 2004114283
【0120】
【数12】
Figure 2004114283
【0121】
11)及び(12)において、Yはフォーカスサーボ系の応答Y[SC]の複素振幅であり、Re(Y)は応答Yの実数部を表し、Im(Y)は応答Yの虚数部を表す。なお、YKC[SC]は、波数カウンタKCの値ごと(1周期ごと)のフォーカスサーボ系の応答を表す。
【0122】
実施の形態1では、応答検出処理205において検出複素振幅値を演算する際、第1の外乱値群の周期のK倍(Kは測定波数)の時間だけ積分加算している。これにより、検出複素振幅値SUMRとSUMIとが、それぞれ、より正確に複素振幅Yの実数部と虚数部とに対応した値となる。すなわち、フォーカスサーボ系の応答Yの複素振幅の振幅と位相とを正確に検出することができる。
【0123】
11)と(12)と(4)とを(8)に代入すると、利得|H|は、下記に示す(13)となる。
【0124】
【数13】
Figure 2004114283
【0125】
一方、図4にフォーカスサーボ系のブロック線図を示す。図4より、フォーカスサーボ系の外乱値FADDからフォーカスサーボ系の応答Y[SC]までのフォーカスサーボ系の閉ループ特性は、下記に示す(14)となる。
【0126】
【数14】
Figure 2004114283
【0127】
14)において、FAは参照値テーブルポインタSCがSCの時の外乱値FADDの外乱複素振幅値を表し、Yは外乱値FADD[SC]に対するフォーカスサーボ系の応答Y[SC]の応答複素振幅値を表し、Hはフォーカスサーボ系の一巡伝達関数を表し、Dは外乱値FADDのフォーカスサーボ系に対する実質的な外乱加算部の伝達関数を表す。
【0128】
外乱複素振幅値FAは、前述した(4)より下記に示す(15)となる。
【0129】
【数15】
Figure 2004114283
【0130】
さらに、(14)と(15)とにより下記に示す(16)が得られる。
【0131】
【数16】
Figure 2004114283
【0132】
13)と(16)とを比較すると、|H|が測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の一巡伝達関数の利得であることが分かる。
【0133】
最後に、加算部の伝達関数Dについて説明する。図5に、外乱値FADDの出力値の様子を示す。縦軸は外乱値FADDの値を示し、横軸は参照値テーブルポインタSCの値を示す。図5に示すように外乱値FADDは1サンプルタイミング毎に(参照値テーブルポインタSCの値が変化する毎に)外乱値FADDの値が変化する階段状の出力値となる。図5において、波形FADDが順次に出力される外乱値FADDの波形(第1の外乱値群の波形)である。すなわち、1サンプルタイミング毎に正弦波値(図5において、正弦波値は波形W1(外乱生成関数)によって示す)がサンプリングされ、0次ホールドされた波形となる。このようなサンプリングと0次ホールドを行う処理の伝達関数は、下記に示す(17)となる。
【0134】
【数17】
Figure 2004114283
【0135】
17)において、fmは測定周波数、fsはサンプリング周波数、Nは分割数を表す。
【0136】
以上より、第1の外乱値群のフォーカスサーボ系に対する実質的な加算部の伝達関数Dは、前述した(17)で表される。すなわち、(18)となる。
【0137】
【数18】
Figure 2004114283
【0138】
ここで、実施の形態1において併記した一実施例では、第1の外乱値群の分割数Nを20としているため、下記に示す(19)が成立する。
【0139】
【数19】
Figure 2004114283
【0140】
図5に示す波形W2は、波形W1に比べて、位相が2π/N/2遅れた波形を示す。また、図5から、波形FADD(第1の外乱値群)が略2π/N/2の位相遅れを持つことも分かる。
【0141】
以上より、外乱加算部1の伝達関数が加算部の伝達関数Dとなることが分かる。これにより、測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の利得|H|は、前述した(8)となることがわかる。さらに、(7)により増幅演算利得kgが所望の値に補正され、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整できることがわかる。
【0142】
このように、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整できることは、利得変更処理212の補正複素振幅値RUの位相を(6)のように設定していることに依る。また、(6)は、前述した説明により、フォーカスサーボ系に対して、外乱値FADDからなる第1の外乱値群の実質的な位相に対応していることも分かる。
【0143】
また、実施の形態1では、フォーカスサーボ系に対する外乱値FADDの実質的な位相に応じて、利得変更処理212の補正複素振幅値RUの位相を変化させているため、分割数Nが小さくなっても、精度良くフォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
【0144】
さらに、分割数Nを変更することにより、測定周波数fmが変更できるため、フォーカスサーボ系の利得を所望の値に調整することができる。
【0145】
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明のフォーカス制御装置の他の一実施形態について説明する。実施の形態2では、利得変更処理(利得変更部)の動作を除く構成は、前述した実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0146】
実施の形態2に係る利得変更処理では、所定の複素振幅値RU2を下記に示す(20)とする。
【0147】
【数20】
Figure 2004114283
【0148】
20)において、Re(RU2)は所定の複素振幅値RU2の実数部を表し、Im(RU2)は所定の複素振幅値RU2の虚数部を表す。さらに、Kは測定波数、Nは分割数、Pは参照値振幅、Adは第1の外乱値群の振幅である。
【0149】
さらに、補正複素値CUを下記に示す(21)とする。
【0150】
【数21】
Figure 2004114283
【0151】
ここで、所定の複素振幅値RU2の位相は0であり、補正複素値CUとの位相はd2となっている。この位相d2は、前述した(6)に示した実施の形態1の位相−d1と逆位相(2π/2/N)であり、外乱値FADDからなる第1の外乱値群のフォーカスサーボ系に対する実質的な逆位相になっている。
【0152】
利得変更処理では、増幅演算部利得kgを下記に示す(22)によって補正する。
【0153】
【数22】
Figure 2004114283
【0154】
すなわち、測定周波数fmにおけるフォーカスサーボ系の利得|H|を求め、その逆数を増幅演算利得kgに乗算することにより、増幅演算利得kgを補正(補正増幅演算利得kg’の値に変更)する。これにより、フォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
【0155】
22)からフォーカスサーボ系の利得|H|を抜き出すと、下記に示す(23)となる。
【0156】
【数23】
Figure 2004114283
【0157】
以上より、(23)は、前述した(8)と等価であることが分かる。
【0158】
したがって、実施の形態2では、検出複素振幅値を補正複素値CUによって補正することにより、分割数Nが小さくなっても、精度良くフォーカスサーボ系の利得を測定周波数fmで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
【0159】
さらに、実施の形態2の構成は、前述した実施の形態1の効果に加えて、利得変更処理(利得変更部の動作)で用いる所定の複素振幅値を実数値(位相が0)としている。これにより、あらかじめ記憶しておく容量を少なくしている。
【0160】
(実施の形態3)
実施の形態3では、本発明に係るフォーカス制御装置のさらに他の一実施形態について説明する。
【0161】
実施の形態3では、利得変更処理(利得変更部の動作)を除く構成は前述した実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。以下、実施の形態3の利得変更処理(利得変更部の動作)を利得変更処理412とする。
【0162】
前述した実施の形態1及び実施の形態2では、演算装置103(図1参照)における演算時間に依存した位相のずれは考慮していないが、実施の形態3では、演算時間に依存した位相のずれを考慮して、更に高精度でフォーカスサーボ系の利得を調整する。すなわち、上記の(数23)における位相d2に代えて、下記の(24)で示す位相d3を用いる。その他の利得変更処理の構成及び動作は、前述した実施の形態1及び実施の形態2の利得変更処理と同じであるため、説明を省略する。
【0163】
【数24】
Figure 2004114283
【0164】
24)において、fmは測定周波数、Tdは誤差入力部104の入力動作から駆動出力部106の出力動作までの演算時間(演算手段の演算時間)Tdを表す。すなわち、(24)の位相d3は、2π/N/2と2π×fm×Tdとを加算した値となっている。演算時間Tdは、駆動出力部106の出力動作が誤差入力部104の入力動作よりもどれだけ時間的に遅れて実行されたかを示すものである。なお、この場合、所定の複素振幅値(β)がK・N・P・Ad/2・{cos(−2π×fm×Td)+jsin(−2π×fm×Td)}であり、補正複素値(γ)が{cos(2π/N/2)+jsin(2π/N/2)}である場合に相当している。
【0165】
このように構成することにより、演算時間Tdによる位相のずれ(−2π×fm×Td)が前述した(6)の位相d1に比べて無視できない程度に大きくなっても、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)により正確に調整できる。以下、このことについて詳しく説明する。
【0166】
まず、演算時間Tdによる位相のずれが前述した(6)によって示される位相に比べて、無視できる程度に小さい場合には、前述した実施の形態1及び実施の形態2で用いた第1の外乱値群の位相である(数6)の値と(24)の値とがほぼ等しくなるため、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)に調整できることがわかる。
【0167】
次に、演算時間Tdが前述した(数6)によって示される位相値に比べて、無視できない程度に大きい場合について説明する。
【0168】
この場合、演算時間Tdに依存する位相のずれは、前述した(6)によって示される位相に対して加算される。演算時間Tdによる位相のずれTPは、フォーカスサーボ系の測定周波数fmに対しては、下記に示す(25)となる。
【0169】
【数25】
Figure 2004114283
【0170】
以上より、(25)と(6)とを加算することにより(24)が得られる。
【0171】
実施の形態3では、利得変更処理の動作により、演算時間Tdが(6)で示される位相値に比べて、無視できない程度に大きい場合でも、(24)に示すようにその影響を考慮して、増幅演算利得kgの演算を行っているため、フォーカスサーボ系の利得が測定周波数fmで0dB(1倍)により正確に調整できる。
【0172】
なお、本実施の形態3では、フォーカスサーボ系の利得|H|を算出するために、所定の複素振幅値(β)の位相部分と補正複素値とを予め演算した値(複素利得Hの分母及び分子に所定の複素振幅値と共役な複素値を乗算した値)を用いたが、他の演算方法により算出してもよく、本発明は実施の形態3の演算方法に限定されるものではない。
【0173】
また、図2に示された位相補償器2における処理214に限定されるものではなく、フォーカスサーボ系の位相を補償する動作を行うものであれば良い。図2に示された位相補償器2と異なる構成の位相補償器を設けたとしても、本発明に含まれる。
【0174】
また、上記の実施の形態1〜3では、外乱値を1サンプル毎に出力しているが、これを複数サンプル毎に出力するように構成してもよく、このように変更しても本発明に含まれる。
【0175】
さらに、上記の実施の形態1〜3のデジタル回路で構成した部分をアナログ回路で構成することや、アナログ回路で構成した部分をデジタル回路で構成することなど、様々な変更が考えられる。このように変更を行っても本発明に含まれることは言うまでもない。
【0176】
以上のように実施の形態1〜3によれば、利得変更器4の動作により、精度良くフォーカス制御装置のループゲイン特性を調整することができる。特に、分割数Nが小さい場合であっても、精度良くフォーカス制御装置のループゲイン特性を調整することができる。すなわち、利得変更処理において、利得変更処理の補正複素値の位相を外乱加算部の第1の外乱値の位相に応じた値にし、補正複素値によって検出複素振幅値又は所定の複素振幅値を補正することにより、精度良くループゲイン特性を調整している。
【0177】
特に、フォーカスサーボ系の広帯域化と演算装置の省電力化とを目的とした動作クロックの低下により、分割数Nはますます小さくなる傾向にある。このような場合でも、本実施の形態に係るフォーカス制御装置を用いることにより、精度良くループゲイン特性を調整することが可能である。
【0178】
(実施の形態4)
図6は、実施の形態4に係るトラッキング制御装置100Aの構成を示すブロック図である。トラッキング制御装置100Aは、センサ(センサ手段)101Aを備えている。センサ101Aは、光ディスク111からの反射光を受光し、複数個のセンサ信号SE1を誤差信号合成器(誤差信号合成手段)102Aへ出力する。誤差信号合成器102Aは、複数個のセンサ信号SE1を演算合成したトラッキング誤差信号TEを演算装置(演算手段)103Aへ供給する。
【0179】
演算装置103Aは、誤差入力部104Aと演算器105Aと駆動出力部106Aとメモリ107とを有している。メモリ107には、ROM107aとRAM107bとが設けられている。
【0180】
誤差入力部104Aは、誤差信号合成器102Aによって合成されたトラッキング誤差信号TEに基づいてトラッキング誤差値を順次に生成して演算器105Aへ供給する。順次に生成された複数のトラッキング誤差値がトラッキング誤差値群である。
【0181】
図7は、演算器105Aの構成を示すブロック図である。演算器105Aは、外乱加算器(外乱加算部)1Aを有している。外乱加算器1Aは、誤差入力部104Aによって生成されたトラッキング誤差値に外乱値を加えて出力する。演算器105Aには、位相補償器(位相補償部)2Aが設けられている。位相補償器2Aは、外乱加算器1Aの出力値に少なくとも位相補償演算と増幅演算とを行い駆動値を出力する。演算器105Aは、応答検出器(応答検出部)3Aを有している。応答検出器3Aは、誤差入力部104Aによって生成されたトラッキング誤差値に基づいて外乱値に応答した検出複素振幅値を検出する。演算器105Aには、利得変更器(利得変更部)4Aが設けられている。利得変更器4Aは、応答検出器3Aによって検出された検出複素振幅値と所定の複素振幅値と所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに応じて位相補償器2Aの増幅演算利得を変更する。
【0182】
駆動出力部106Aは、位相補償器2Aから出力された駆動値に基づいて駆動信号を駆動回路(駆動手段)108Aへ出力する。駆動回路108Aは、駆動信号に略比例した駆動電流をトラッキングアクチュエータ109Aへ出力する。トラッキングアクチュエータ109Aは、駆動電流に応じて対物レンズ110を駆動する。
【0183】
このように構成されたトラッキング制御装置100Aの動作を説明する。
【0184】
センサ101Aが光ディスク111からの反射光を電気信号に変換して複数個のセンサ信号SE1を出力すると、誤差信号合成器102Aは、複数個のセンサ信号SE1の入力に応じてトラッキング誤差信号TEを出力する。
【0185】
誤差信号合成器102Aでは、例えば、複数個のセンサ信号SE1をそれぞれセンサ信号A1、センサ信号B1、センサ信号C1およびセンサ信号D1とすると、センサ信号A1、B1、C1およびD1を用いて、(A1+B1)−KE1×(C1+D1)の演算を行った信号をトラッキング誤差信号TEとして出力している。ここで、KE1は所定の実数値である。
【0186】
演算装置103Aは、誤差信号合成器102Aからのトラッキング誤差信号TEが入力され、メモリ107aに内蔵された後述するプログラムによって計算処理することにより、駆動信号TODを出力する。演算装置103Aが出力する駆動信号TODは駆動回路108Aに入力される。そして、駆動回路(駆動手段)108Aでは、電力増幅を行いトラッキングアクチュエータ109Aに電力を供給して、対物レンズ110を駆動する。
【0187】
このように、センサ101Aと誤差信号合成器102Aと演算装置103Aとトラッキングアクチュエータ109Aと駆動回路108Aとによってトラッキング制御装置が構成されている。
【0188】
図6に示す演算装置103Aに設けられたメモリ107は、所定のプログラムと定数とが格納されたロム領域107a(ROM:リードオンリーメモリ)と随時必要な変数値を格納するラム領域107b(RAM:ランダムアクセスメモリ)とに別れている。演算器105Aは、ロム領域107a内のプログラムに従って所定の動作や演算を行っている。図8にそのプログラムの具体的な一例を示す。以下に、その動作を詳細に説明する。
【0189】
まず処理401では、後述する処理に必要な変数値の初期設定を行う。具体的には、まず参照値テーブルポインタSCxを初期化する(SCx←0)。ここで、参照値テーブルポインタSCxの値は整数であり、0からNx−1までの値をとる。Nxは1周期の外乱値群に含まれる外乱値の個数、つまり、1周期の外乱値群の分割数である。なお、本実施の形態4では、分割数Nxは、4の倍数の正の整数である(一実施例としては、Nxを20とする)。
【0190】
次に、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxを初期化する(GCx←0)。ここでトラッキングゲイン調整完了フラッグGCxは、0または1の値をとり、0の時は、トラッキングゲイン調整が完了していないことを意味し、1の時は、トラッキングゲイン調整が完了していることを意味する。したがって、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxを初期化することにより、トラッキングゲイン調整が完了していない設定にしている。
【0191】
そして、正弦波の波数を計数する波数カウンタKCxを初期化する(KCx←0)。ここで、波数カウンタKCxの値は整数であり、0からKxまでの値をとる。Kxは、測定波数であり、3以上の正の整数である(一実施例としては、Kxを50とする)。さらに、後述する応答検出処理405において検出する検出複素振幅値(α)の実数部SUMRxと検出複素振幅値の虚数部SUMIxとを初期化する(SUMRx←0、SUMIx←0)。
【0192】
さらに、処理401では、後述する位相補償処理414の動作の初期設定として変数TE_Iの値を零に初期化する(TE_I←0)。その後、処理402の動作を行う。
【0193】
処理402では、トラッキング誤差値TEDの入力動作を行う。すなわち、演算装置103Aの誤差入力部104Aに入力された誤差信号合成器102Aからのトラッキング誤差信号TEをAD変換し、トラッキング誤差値TEDに直す。その後、処理403の動作を行う。
【0194】
処理403では、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値に応じて、次に行う処理を選択している。具体的には、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値が1の場合には処理417の動作に移行し、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値が1でない場合には処理404の動作に移行する。この処理403により、トラッキングゲイン調整が完了すると、処理417の動作に移行し、後述する利得変更処理412の動作を最初の1回のみ行うように構成している。
【0195】
処理404では、参照値テーブルポインタSCxに分割数Nxを4で割った値を加算し、その加算値の分割数Nxを法とする値を計算し、余弦波テーブルポインタCCxの値とする。すなわち、CCx←(SCx+Nx/4) MOD Nxの演算を行う。ここで、A MOD Bは、AのBを法とする値を表す。例えば、A=24,B=20の場合、A MOD Bは4となる。すなわち、値Aを値Bで割った時の剰余を表す。このような演算を行うことにより、余弦波テーブルポインタCCxの値は、0からNx−1の範囲の数値となる。その後、処理405の動作を行う。
【0196】
処理405では、参照値テーブルポインタSCxに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている参照値テーブルを参照し、参照値Qx[SCx](第2の外乱値群を構成する外乱値)を得る。その参照値Qx[SCx]にトラッキング誤差値TEDを乗算し、その乗算値と検出複素振幅値の実数部SUMRxを加算した値を新しい検出複素振幅値の実数部SUMRxとする(SUMRx←SUMRx+TED×Qx[SCx])。ここで、参照値テーブルポインタSCxの時のQx[SCx]を、(26)に示す。
【0197】
【数26】
Figure 2004114283
【0198】
26)において、Pxは参照値振幅、Nxは分割数、πは円周率を表す。参照値振幅Pxは正の実数である(一実施例では、100とする)。
【0199】
さらに処理405では、余弦波テーブルポインタCCxに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている参照値テーブルを参照し、参照値Qx[CCx](第3の外乱値群を構成する外乱値)を得る。その参照値Qx[CCx]にトラッキング誤差値TEDを乗算し、その乗算値と検出複素振幅値の虚数部SUMIxを加算した値を新しい検出複素振幅値の虚数部SUMIxとする(SUMIx←SUMIx+TED×Qx[CCx])。
【0200】
ここで、処理404の動作により、参照値テーブルポインタSCxと余弦波テーブルポインタCCxとの間の差をNx/4(ここで、Nxは分割数)としている。これにより、参照値Qx[SCx]と参照値Qx[CCx]との値の位相差が2π/4となる。したがって、実施の形態4では、分割数Nxを4の倍数にすることにより、第2の外乱値群の位相と第3の外乱値群の位相との位相差を正確に2π/4としている。また、参照値Qx[SCx]と参照値Qx[CCx]とに共通の参照値テーブルを用いて、sin関数やcos関数の計算に要する演算量を削減している。処理405の後、処理406の動作を行う。ここで、処理405は図7に示される応答検出器3Aに対応している。
【0201】
処理406では、参照値テーブルポインタSCxに基づいてメモリ107のROM領域107aに格納されている正弦波の関数テーブルを参照し、外乱値TADD(第1の外乱値群を構成する外乱値)とする(TADD←tablex[SCx])。tablex[SCx]を、(27)に示す。
【0202】
【数27】
Figure 2004114283
【0203】
27)において、Adxは外乱値振幅、Nxは分割数、πは円周率を表す。外乱値振幅Adxは正の実数である(一実施例では、100とする)。一実施例の場合、下記の(28)に示すように、正弦波の関数テーブルと参照値テーブルとを兼用した数値テーブルを用いることができるために、メモリ領域を削減することができる。したがって、メモリ容量の観点からは、外乱値振幅Adxと参照値振幅Pxとは同じ値とすることが好ましい。
【0204】
【数28】
Figure 2004114283
【0205】
処理406の動作の後、処理407の動作を行う。処理407では、トラッキング誤差値TEDに外乱値TADDを加算した値を、誤差信号TOEとする(TOE←TED+TADD)。その後、処理408の動作を行う。ここで、処理407は、図7に示される外乱加算器(外乱加算部)1Aにおいて行われる処理に相当する。
【0206】
処理408では、参照値テーブルポインタSCxの値に1を加算し、その値を新しい参照値テーブルポインタSCxの値としている(SCx←SCx+1)。このように処理することにより、参照値テーブルポインタSCxは、1ずつ増加する値となる。その後、処理409の動作を行う。
【0207】
処理409では、参照値テーブルポインタSCxと分割数Nxの値とに応じて、次に行う処理を選択している。すなわち、参照値テーブルポインタSCxとNx−1との値が同じ場合は、処理410の動作へ移行する。参照値テーブルポインタSCxとNx−1の値が同じでない場合は、処理411の動作へ移行する。
【0208】
ここで、処理408と処理409との動作により、1ずつ増加する参照値テーブルポインタSCxがNx−1と等しくなるということは、処理405と処理406とで用いた参照値テーブルの全体(第1の外乱値群、第2の外乱値群及び第3の外乱値群の1周期を構成するそれぞれNx個の外乱値)を順次に参照したことに相当する。このことは、処理406において1周期分の第1の外乱値群が得られ、処理407において、順次に入力されるNx個のトラッキング誤差値に、順次に参照されるNx個(1周期分)の外乱値TADDが加算されたことを意味する。
【0209】
処理410では、参照値テーブルポインタSCxの値を0にする(SCx←0)。すなわち、参照値テーブルポインタSCxを初期化する。
【0210】
さらに、処理410では、波数カウンタKCxの値に1を加算した値を新しい波数カウンタKCxの値としている(KCx←KCx+1)。このように処理することにより、波数カウンタKCxは、1ずつ増加する値となる。その後、処理411の動作を行う。処理410の動作により、Nx個のトラッキング誤差値にNx個の外乱値TADDが加算される毎に、波数カウンタKCxが1だけ増加する。
【0211】
処理411では、波数カウンタKCxと測定波数Kxとの値に応じて、次に行う処理を選択している。すなわち、波数カウンタKCxと測定波数Kxとの値が同じ場合は、処理412の動作へ移行する。波数カウンタKCxと測定波数Kxとの値が同じでない場合は、処理414の動作へ移行する。
【0212】
処理412では、図7に示される利得変更器(利得変更部)4Aの動作を行う。すなわち、利得変更演算を行うことによって、トラッキングゲイン調整を行う。以下、利得変更器4Aの具体的な動作を説明する。
【0213】
まず、利得変更器4Aにおける所定の複素振幅値(β)を補正複素数値(γ)で補正した補正複素振幅値RUxは、あらかじめ計算されており、下記に示す(29)としている。
【0214】
【数29】
Figure 2004114283
【0215】
29)において、Re(RUx)は、補正複素振幅値RUxの実数部を表し、Im(RUx)は補正複素振幅値RUxの虚数部を表す。Kxは測定波数、Nxは1周期の外乱値群の分割数、Pxは参照値振幅、Adxは外乱値の振幅であり、また、jは虚数を表し、下記に示す(30)で定義される。
【0216】
【数30】
Figure 2004114283
【0217】
補正複素振幅値RUxの位相−d1xは、下記に示す(31)としている。ここで、Kx×Nx×Px×Adx/2(位相が零である正の実数)が所定の複素振幅値であり、cos(−d1x)+jsin(−d1x)が補正複素値(位相が−d1x)である。
【0218】
【数31】
Figure 2004114283
【0219】
31)において、πは円周率を表す。すべての定数は、応答検出器3Aの動作前に既知であるため、補正複素振幅値RUxをあらかじめ計算することができる。
【0220】
次に、利得変更器4Aでは、補正複素振幅値RUxと、応答検出器3Aによって検出した検出複素振幅値(SUMRx+j・SUMIx)を用いて、後述する位相補償器2Aの増幅演算利得kgxの値の大きさを補正している。具体的には、下記に示す(32)を用いて、増幅演算利得kgxの値を補正した補正増幅演算利得kgx’を新たに増幅演算利得kgxの値に変更する。
【0221】
【数32】
Figure 2004114283
【0222】
32)において、|Hx|は、測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得であり、下記に示す(33)となる。
【0223】
【数33】
Figure 2004114283
【0224】
33)における測定周波数fmxは、下記に示す(34)となっている。
【0225】
【数34】
Figure 2004114283
【0226】
34)において、fsxはサンプリング周波数、Nxは分割数を表す。(一実施例では、サンプリング周波数fsxを100kHzとする。この場合、分割数Nxが20であるため、測定周波数fmxは、5kHzとなる)。
【0227】
すなわち、測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の利得|Hx|を求め、その逆数を増幅演算利得kgxの値に乗算することによって、増幅演算利得kgxの値を補正(補正増幅演算利得kgx’の値に変更)する。これにより、トラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整することができる。すなわち、トラッキングゲイン調整を行っている。
【0228】
処理412の動作の後、処理413の動作を行う。処理413では、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値を1にする(GCx←1)。ここで、トラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値を1にすることは、利得変更器4Aの動作が完了し、トラッキングゲイン調整が完了したことを意味する。その後、処理414の動作を行う。
【0229】
処理414では、誤差信号TOEに対して位相補償演算及び増幅演算を行う。具体的には、まず誤差信号TOEをk1x倍(ここでk1xは、正の実数である)した値と変数TE_Iを加算した値を新しい変数TE_Iの値とする(TE_I←TE_I+TOE×k1x)。また変数TE_Iの値をk2x倍(ここでk2xは、正の実数である)した値と誤差信号TOEをk3x倍(ここでk3xは、正の実数である)した値とを加算した値から、後述する変数TE1の値をk4x倍(ここでk4xは、k3xよりも小さい正の実数である)した値を減算した値に増幅演算利得kgxの値を乗算し、その値を変数TDの値とする[TD←(TE_I×k2x+TOE×k3x−TE1×k4x)×kgx]。さらに誤差信号TEDの値を変数TE1の新しい値とする(TE1←TED)。その後、処理415の動作を行う。
【0230】
この演算を行うことにより、誤差信号TOEの位相補償及び増幅が行われ、その結果が変数TDの値となる。ここで、処理414は、位相補償器2Aにおける処理に相当する。
【0231】
処理415では、変数TDの内容を演算装置103Aの駆動出力部106Aに出力し、変数TDの値に比例した駆動信号TODに変換する。その後、処理416の動作を行う。
【0232】
処理416では、所定時間の遅延処理を行う。すなわち、あらかじめ決められたサンプリング周波数fsxで誤差入力部104Aや駆動出力部106Aの動作が行われるように遅延動作を行う。その後、処理402の動作へ戻る。
【0233】
処理417では、トラッキング誤差値TEDの値を、誤差信号TOEとする(TOE←TED)。その後、処理414の動作を行う。すなわち、処理413でトラッキングゲイン調整完了フラッグGCxの値に1が設定された後は、処理403の動作により、処理417の動作が誤差入力部104Aの動作毎に行われる。すなわち、利得変更器4Aの動作が終了した次のサンプリングタイミングの後は、処理404から処理413の動作が行われず、処理417の処理が行われる。
【0234】
以上、センサ101Aと誤差信号合成器102Aと演算装置103Aとトラッキングアクチュエータ109Aと駆動回路108Aとによってトラッキング制御装置が構成され、演算装置103Aは、誤差入力部104Aと外乱加算器1Aと位相補償器2Aと駆動出力部106Aと応答検出器3Aと利得変更器4Aとによって構成されている。
【0235】
このように構成されたトラッキング制御装置によれば、トラッキングサーボ系の利得を、分割数Nxの値に依らず、正確に調整することができる。具体的には、利得変更処理412の動作により、トラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)となるように位相補償処理414において増幅演算利得kgxが調整される。以下、このことについて詳しく説明する。
【0236】
実施の形態4では、利得変更処理412(利得変更器4Aの動作)により、トラッキングサーボ系の利得を所望の値に調整している。以下、利得変更処理412を中心に、トラッキングサーボ系の利得が所望の値に調整されることを詳しく説明する。
【0237】
利得変更処理412では、前述したように、(31)に示す位相を持つ補正複素振幅値RUxと検出複素振幅値(SUMRx+j・SUMIx)とを用いて、増幅演算利得kgxを変化させている。これにより、トラッキングゲイン調整を行っている。ここで、トラッキングゲイン調整とは、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(0dBは1倍を意味する)になることを意味する。
【0238】
利得変更処理412では、前述した(32)を用いて増幅演算利得kgxを更新している。ここで、|Hx|が測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得であることについて詳しく説明する。
【0239】
まず、参照値テーブルポインタSCxがSCxの時、外乱加算処理407において加算される外乱値TADDは、前述した(27)によって示される。また、(27)によって示される外乱値TADDに対するトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]は、トラッキングサーボ系の線形成が成り立つ範囲で、下記に示す(35)と表現することができる。
【0240】
【数35】
Figure 2004114283
【0241】
35)において、Rxはトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]の振幅を表し、θxはトラッキングサーボ系の応答Yxと第1の外乱値群との位相差を表す。
【0242】
したがって、(26)と(35)とを用いて、応答検出処理406の検出複素振幅値(SUMRx+j・SUMIx)を計算すると、検出複素振幅値の実数部SUMRxは、下記に示す(36)となる。また、同様に、検出複素振幅値の虚数部SUMIxは、下記に示す(37)となる。
【0243】
【数36】
Figure 2004114283
【0244】
【数37】
Figure 2004114283
【0245】
36)及び(37)において、Yxはトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]の複素振幅であり、Re(Yx)は応答Yxの実数部を表し、Im(Yx)は応答Yxの虚数部を表す。なお、YxKC[SCx]は、波数カウンタKCxの値ごと(1周期ごと)のトラッキングサーボ系の応答を表す。
【0246】
実施の形態4では、応答検出処理405において検出複素振幅値を演算する際、第1の外乱値群の周期のKx倍(Kxは測定波数)の時間だけ積分加算している。これにより、検出複素振幅値SUMRxとSUMIxとが、それぞれ、より正確に複素振幅Yxの実数部と虚数部とに対応した値となる。すなわち、トラッキングサーボ系の応答Yxの複素振幅の振幅と位相とを正確に検出することができる。
【0247】
36)と(37)と(29)とを(33)に代入すると、利得|Hx|は、下記に示す(38)となる。
【0248】
【数38】
Figure 2004114283
【0249】
一方、図9にトラッキングサーボ系のブロック線図を示す。図9より、トラッキングサーボ系の外乱値TADDからトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]までのトラッキングサーボ系の閉ループ特性は、下記に示す(39)となる。
【0250】
【数39】
Figure 2004114283
【0251】
39)において、TAは参照値テーブルポインタSCxがSCxの時の外乱値TADDの外乱複素振幅値を表し、Yxは外乱値TADD[SCx]に対するトラッキングサーボ系の応答Yx[SCx]の応答複素振幅値を表し、Hxはトラッキングサーボ系の一巡伝達関数を表し、Dxは外乱値TADDのトラッキングサーボ系に対する実質的な外乱加算部の伝達関数を表す。
【0252】
外乱複素振幅値TAは、前述した(29)より下記に示す(40)となる。
【0253】
【数40】
Figure 2004114283
【0254】
さらに、(39)と(40)とにより下記に示す(41)が得られる。
【0255】
【数41】
Figure 2004114283
【0256】
38)と(41)とを比較すると、|Hx|が測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の一巡伝達関数の利得であることが分かる。
【0257】
最後に、加算部の伝達関数Dxについて説明する。図10に、外乱値TADDの出力値の様子を示す。縦軸は外乱値TADDの値を示し、横軸は参照値テーブルポインタSCxの値を示す。図10に示すように外乱値TADDは1サンプルタイミング毎に(参照値テーブルポインタSCxの値が変化する毎に)外乱値TADDの値が変化する階段状の出力値となる。図10において、波形TADDが順次に出力される外乱値TADDの波形(第1の外乱値群の波形)である。すなわち、1サンプルタイミング毎に正弦波値(図10において、正弦波値は波形W3(外乱生成関数)によって示す)がサンプリングされ、0次ホールドされた波形となる。このようなサンプリングと0次ホールドを行う処理の伝達関数は、下記に示す(42)となる。
【0258】
【数42】
Figure 2004114283
【0259】
42)において、fmxは測定周波数、fsxはサンプリング周波数、Nxは分割数を表す。
【0260】
以上より、第1の外乱値群のトラッキングサーボ系に対する実質的な加算部の伝達関数Dxは、前述した(42)で表される。すなわち、(43)となる。
【0261】
【数43】
Figure 2004114283
【0262】
ここで、実施の形態4において併記した一実施例では、第1の外乱値群の分割数Nxを20としているため、下記に示す(44)が成立する。
【0263】
【数44】
Figure 2004114283
【0264】
図10に示す波形W4は、波形W3に比べて、位相が2π/Nx/2遅れた波形を示す。また、図10から、波形TADD(第1の外乱値群)が略2π/Nx/2の位相遅れを持つことも分かる。
【0265】
以上より、外乱加算部1Aの伝達関数が加算部の伝達関数Dxとなることが分かる。これにより、測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の利得|Hx|は、前述した(33)となることがわかる。さらに、(32)により増幅演算利得kgxが所望の値に補正され、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整できることがわかる。
【0266】
このように、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整できることは、利得変更処理412の補正複素振幅値RUxの位相を(31)のように設定していることに依る。また、(31)は、前述した説明により、トラッキングサーボ系に対して、外乱値TADDからなる第1の外乱値群の実質的な位相に対応していることも分かる。
【0267】
また、実施の形態4では、トラッキングサーボ系に対する外乱値TADDの実質的な位相に応じて、利得変更処理412の補正複素振幅値RUxの位相を変化させているため、分割数Nxが小さくなっても、精度良くトラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
【0268】
さらに、分割数Nxを変更することにより、測定周波数fmxが変更できるため、トラッキングサーボ系の利得を所望の値に調整することができる。
【0269】
(実施の形態5)
実施の形態5では、本発明のトラッキング制御装置の他の一実施形態について説明する。実施の形態5では、利得変更処理(利得変更部)の動作を除く構成は、前述した実施の形態と同じであるため、説明を省略する。
【0270】
実施の形態5に係る利得変更処理では、所定の複素振幅値RU2xを下記に示す(45)とする。
【0271】
【数45】
Figure 2004114283
【0272】
45)において、Re(RU2x)は所定の複素振幅値RU2xの実数部を表し、Im(RU2x)は所定の複素振幅値RU2xの虚数部を表す。さらに、Kxは測定波数、Nxは分割数、Pxは参照値振幅、Adxは第1の外乱値群の振幅である。
【0273】
さらに、補正複素値CUxを下記に示す(46)とする。
【0274】
【数46】
Figure 2004114283
【0275】
ここで、所定の複素振幅値RU2xの位相は0であり、補正複素値CUxとの位相は、d2xとなっている。この位相d2xは、前述した(31)に示した実施の形態4の位相−d1xと逆位相(2π/2/Nx)であり、外乱値TADDからなる第1の外乱値群のトラッキングサーボ系に対する実質的な逆位相になっている。
【0276】
利得変更処理では、増幅演算部利得kgxを下記に示す(47)によって補正する。
【0277】
【数47】
Figure 2004114283
【0278】
すなわち、測定周波数fmxにおけるトラッキングサーボ系の利得|Hx|を求め、その逆数を増幅演算利得kgxに乗算することにより、増幅演算利得kgxを補正(補正増幅演算利得kgx’に変更)する。これにより、トラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
【0279】
47)からトラッキングサーボ系の利得|Hx|を抜き出すと、下記に示す(48)となる。
【0280】
【数48】
Figure 2004114283
【0281】
以上より、(48)は、前述した(33)と等価であることが分かる。
【0282】
したがって、実施の形態5では、検出複素振幅値を補正複素値CUxによって補正することにより、分割数Nxが小さくなっても、精度良くトラッキングサーボ系の利得を測定周波数fmxで0dB(1倍)に正確に調整することができる。
【0283】
さらに、実施の形態5の構成は、前述した実施の形態4の効果に加えて、利得変更処理(利得変更部の動作)で用いる所定の複素振幅値を実数値(位相が0)としている。これにより、あらかじめ記憶しておく容量を少なくしている。
【0284】
(実施の形態6)
実施の形態6では、本発明に係るトラッキング制御装置のさらに他の一実施形態について説明する。実施の形態6では、利得変更処理(利得変更部の動作)を除く構成は前述した実施の形態4と同じであるため、説明を省略する。
【0285】
前述した実施の形態4及び実施の形態5では、演算装置103A(図6参照)における演算時間に依存した位相のずれは考慮していないが、実施の形態6では、演算時間に依存した位相のずれを考慮して、更に高精度でトラッキングサーボ系の利得を調整する。すなわち、上記の(48)における位相d2xに代えて、下記の(49)で示す位相d3xを用いる。その他の利得変更処理の構成及び動作は、前述した実施の形態4及び実施の形態5の利得変更処理と同じであるため、説明を省略する。
【0286】
【数49】
Figure 2004114283
【0287】
49)において、fmxは測定周波数、Tdxは誤差入力部104Aの入力動作から駆動出力部106Aの出力動作までの演算時間(演算手段の演算時間)Tdxを表す。すなわち、(49)の位相d3xは、2π/Nx/2と2π×fmx×Tdxとを加算した値となっている。演算時間Tdxは、駆動出力部106Aの出力動作が誤差入力部104Aの入力動作よりもどれだけ時間的に遅れて実行されたかを示すものである。なお、この場合、所定の複素振幅値(β)がKx・Nx・Px・Adx/2・{cos(−2π×fmx×Tdx)+jsin(−2π×fmx×Tdx)}であり、補正複素値(γ)が{cos(2π/Nx/2)+jsin(2π/Nx/2)}である場合に相当している。
【0288】
このように構成することにより、演算時間Tdxによる位相のずれ(−2π×fmx×Tdx)が前述した(31)の位相d1xに比べて無視できない程度に大きくなっても、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)により正確に調整できる。以下、このことについて詳しく説明する。
【0289】
まず、演算時間Tdxによる位相のずれが前述した(31)によって示される位相に比べて、無視できる程度に小さい場合には、前述した実施の形態4及び実施の形態5で用いた第1の外乱値群の位相である(数31)の値と(49)の値とがほぼ等しくなるため、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)に調整できることがわかる。
【0290】
次に、演算時間Tdxが前述した(数31)によって示される位相値に比べて、無視できない程度に大きい場合について説明する。
【0291】
この場合、演算時間Tdxに依存する位相のずれは、前述した(31)によって示される位相に対して加算される。演算時間Tdxによる位相のずれTPxは、トラッキングサーボ系の測定周波数fmxに対しては、下記に示す(50)となる。
【0292】
【数50】
Figure 2004114283
【0293】
以上より、(50)と(31)とを加算することにより(49)が得られる。
【0294】
実施の形態6では、利得変更処理の動作により、演算時間Tdxが(31)で示される位相に比べて、無視できない程度に大きい場合でも、(49)に示すようにその影響を考慮して、増幅演算利得kgxの演算を行っているため、トラッキングサーボ系の利得が測定周波数fmxで0dB(1倍)により正確に調整できる。
【0295】
なお、本実施の形態6では、トラッキングサーボ系の利得|Hx|を算出するために、所定の複素振幅値(β)の位相部分と補正複素値とを予め演算した値(複素利得Hxの分母及び分子に所定の複素振幅値と共役な複素値を乗算した値)を用いたが、他の演算方法により算出されてもよく、本発明は実施の形態6の演算方法に限定されるものではない。
【0296】
また、位相補償処理は、図7に示された位相補償器2Aにおける処理414に限定されるものではなく、トラッキングサーボ系の位相を補償する動作を行うものであれば良い。図7に示された位相補償器2Aと異なる構成の位相補償器を設けたとしても、本発明に含まれる。
【0297】
また、上記の実施の形態4〜6では、外乱値を1サンプル毎に出力しているが、これを複数サンプル毎に出力するように構成してもよく、このように変更しても本発明に含まれる。
【0298】
さらに、上記の実施の形態4〜6のデジタル回路で構成した部分をアナログ回路で構成することや、アナログ回路で構成した部分をデジタル回路で構成することなど、様々な変更が考えられる。このように変更を行っても本発明に含まれることは言うまでもない。
【0299】
以上のように実施の形態4〜6によれば、利得変更器4Aの動作により、精度良くトラッキング制御装置のループゲイン特性を調整することができる。特に、分割数Nxが小さい場合であっても、精度良くトラッキング制御装置のループゲイン特性を調整することができる。すなわち、利得変更処理において、利得変更処理の補正複素値の位相を第1の外乱値の位相に応じた値にし、補正複素値によって検出複素振幅値又は所定の複素振幅値を補正することにより、精度良くループゲイン特性を調整している。
【0300】
特に、トラッキングサーボ系の広帯域化と演算装置の省電力化とを目的とした動作クロックの低下により、分割数Nxはますます小さくなる傾向にある。このような場合でも、本実施の形態に係るトラッキング制御装置を用いることにより、精度良くループゲイン特性を調整することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0301】
本発明のフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置は、半導体レーザ等のレーザ光を用いて光ディスクに情報の記録や再生を行う光ディスク装置に用いるフォーカス制御装置およびトラッキング制御装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0302】
【図1】図1は、実施の形態1に係るフォーカス制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係るフォーカス制御装置に設けられた演算器の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1に係るフォーカス制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、実施の形態1に係るフォーカス制御装置の演算器に設けられた利得変更器の動作を説明するためのフォーカスサーボ系のブロック線図である。
【図5】図5は、実施の形態1に係るフォーカス制御装置の演算器に設けられた利得変更器の動作を説明するためのグラフである。
【図6】図6は、実施の形態4に係るトラッキング制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、実施の形態4に係るトラッキング制御装置に設けられた演算器の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、実施の形態4に係るトラッキング制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施の形態4に係るトラッキング制御装置の演算器に設けられた利得変更器の動作を説明するためのトラッキングサーボ系のブロック線図である。
【図10】図10は、実施の形態4に係るトラッキング制御装置の演算器に設けられた利得変更器の動作を説明するためのグラフである。

Claims (24)

  1. 光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、
    前記複数個のセンサ信号を演算合成してフォーカス誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、
    前記フォーカス誤差信号に基づいてフォーカス誤差値群を生成する誤差入力部、前記誤差入力部で生成された前記フォーカス誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、前記外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、前記駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、前記誤差入力部で生成された前記フォーカス誤差値群と、前記第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、前記第2の外乱値群と同一の周期性を有し、前記第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、前記増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、
    前記駆動信号に実質的に比例した駆動電流を出力する駆動手段と、
    前記駆動電流に応じて対物レンズを駆動するフォーカスアクチュエータとを含むフォーカス制御装置であって、
    前記利得変更部が、前記検出複素振幅値と所定の複素振幅値と前記所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて前記増幅演算利得を変更し、
    前記補正複素値の位相が、前記外乱加算部における前記第1の外乱値群の位相と実質的に同一であることを特徴とするフォーカス制御装置。
  2. 前記検出複素振幅値をα、前記所定の複素振幅値をβ、前記補正複素値をγとしたとき、
    前記利得変更部は、|α/(α+β×γ)|の値に基づいて前記増幅演算利得を変更する請求項1に記載のフォーカス制御装置。
  3. 前記第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、
    前記補正複素数値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、
    前記所定の複素振幅値の位相が、実質的に0である請求項2に記載のフォーカス制御装置。
  4. 前記補正複素値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、
    前記第1の外乱値群の周波数をfmとし、前記フォーカス誤差信号から前記駆動信号を生成する前記演算手段における処理時間をTdとしたとき、前記所定の複素振幅値の位相が−2π×fm×Tdである請求項2に記載のフォーカス制御装置。
  5. 光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、
    前記複数個のセンサ信号を演算合成してフォーカス誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、
    前記フォーカス誤差信号に基づいてフォーカス誤差値群を生成する誤差入力部、前記誤差入力部で生成された前記フォーカス誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、前記外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、前記駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、前記誤差入力部で生成された前記フォーカス誤差値群と、前記第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、前記第2の外乱値群と同一の周期性を有し、前記第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、前記増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、
    前記駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、
    前記駆動電流に応じて対物レンズを駆動するフォーカスアクチュエータとを含むフォーカス制御装置であって、
    前記利得変更部が、前記検出複素振幅値と所定の複素振幅値と前記検出複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて前記増幅演算利得を変更し、
    前記補正複素値の位相が、前記外乱加算部における前記第1の外乱値群の逆位相と実質的に同一であることを特徴とするフォーカス制御装置。
  6. 前記検出複素振幅値をα、前記所定の複素振幅値をβ、前記補正複素値をγとしたとき、
    前記利得変更部は、|α×γ/(α×γ+β)|の値に基づいて前記増幅演算利得を変更する請求項5に記載のフォーカス制御装置。
  7. 前記第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、
    前記補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、
    前記所定の複素振幅値が、実質的に0である請求項6に記載のフォーカス制御装置。
  8. 前記補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、
    前記第1の外乱値群の周波数をfmとし、前記フォーカス誤差信号から前記駆動信号を生成する前記演算手段における処理時間をTdとしたとき、前記所定の複素振幅値の位相が、実質的に−2π×fm×Tdである請求項6に記載のフォーカス制御装置。
  9. 前記第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、
    前記N個の外乱値を記憶する記憶部を更に有する請求項1又は5に記載のフォーカス制御装置。
  10. 前記第2の外乱値群の位相が、前記第1の外乱値群の位相と実質的に同一であり、
    前記第3の外乱値群の位相が、前記第2の外乱値群の位相と実質的にπ/2だけ異なる請求項1又は5に記載のフォーカス制御装置。
  11. 前記応答検出部は、前記第1の外乱値群の周期の整数倍の時間の間に入力された複数のフォーカス誤差値を参照して前記検出複素振幅値を検出する請求項1又は5に記載のフォーカス制御装置。
  12. 前記第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割された4の整数倍の個数の外乱値からなる請求項1又は5に記載のフォーカス制御装置。
  13. 光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、
    前記複数個のセンサ信号を演算合成してトラッキング誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、
    前記トラッキング誤差信号に基づいてトラッキング誤差値群を生成する誤差入力部、前記誤差入力部で生成された前記トラッキング誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、前記外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、前記駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、前記誤差入力部で生成された前記トラッキング誤差値群と、前記第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、前記第2の外乱値群と同一の周期性を有し、前記第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、前記増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、
    前記駆動信号に実質的に比例した駆動電流を出力する駆動手段と、
    前記駆動電流に応じて対物レンズを駆動するトラッキングアクチュエータとを含むトラッキング制御装置であって、
    前記利得変更部が、前記検出複素振幅値と所定の複素振幅値と前記所定の複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて前記増幅演算利得を変更し、
    前記補正複素値の位相が、前記外乱加算部における前記第1の外乱値群の位相と実質的に同一であることを特徴とするトラッキング制御装置。
  14. 前記検出複素振幅値をα、前記所定の複素振幅値をβ、前記補正複素値をγとしたとき、
    前記利得変更部は、|α/(α+β×γ)|の値に基づいて前記増幅演算利得を変更する請求項13に記載のトラッキング制御装置。
  15. 前記第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、
    前記補正複素数値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、
    前記所定の複素振幅値の位相が、実質的に0である請求項14に記載のトラッキング制御装置。
  16. 前記補正複素値の位相が、実質的に−2π/N/2であり、
    前記第1の外乱値群の周波数をfmとし、前記トラッキング誤差信号から前記駆動信号を生成する前記演算手段における処理時間をTdとしたとき、前記所定の複素振幅値の位相が−2π×fm×Tdである請求項14に記載のトラッキング制御装置。
  17. 光ディスクからの反射光を受光し、複数個のセンサ信号を出力するセンサ手段と、
    前記複数個のセンサ信号を演算合成してトラッキング誤差信号を生成する誤差信号合成手段と、
    前記トラッキング誤差信号に基づいてトラッキング誤差値群を生成する誤差入力部、前記誤差入力部で生成された前記トラッキング誤差値群に周期性を有する第1の外乱値群を加えて出力する外乱加算部、前記外乱加算部の出力に少なくとも位相補償演算と増幅演算利得に応じた増幅演算とを行って駆動値群を生成する位相補償部、前記駆動値群に基づいて駆動信号を生成する駆動出力部、前記誤差入力部で生成された前記トラッキング誤差値群と、前記第1の外乱値群と同一の周期性を有する第2の外乱値群と、前記第2の外乱値群と同一の周期性を有し、前記第2の外乱値群と位相の異なる第3の外乱値群とに基づいて検出複素振幅値を検出する応答検出部、及び、前記増幅演算利得を変更する利得変更部を有する演算手段と、
    前記駆動信号に略比例した駆動電流を出力する駆動手段と、
    前記駆動電流に応じて対物レンズを駆動するトラッキングアクチュエータとを含むトラッキング制御装置であって、
    前記利得変更部が、前記検出複素振幅値と所定の複素振幅値と前記検出複素振幅値を補正する補正複素値とに基づいて前記増幅演算利得を変更し、
    前記補正複素値の位相が、前記外乱加算部における前記第1の外乱値群の逆位相と実質的に同一であることを特徴とするトラッキング制御装置。
  18. 前記検出複素振幅値をα、前記所定の複素振幅値をβ、前記補正複素値をγとしたとき、
    前記利得変更部は、|α×γ/(α×γ+β)|の値に基づいて前記増幅演算利得を変更する請求項17に記載のトラッキング制御装置。
  19. 前記第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、
    前記補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、
    前記所定の複素振幅値が、実質的に0である請求項18に記載のトラッキング制御装置。
  20. 前記補正複素値の位相が、実質的に2π/N/2であり、
    前記第1の外乱値群の周波数をfmとし、前記トラッキング誤差信号から前記駆動信号を生成する前記演算手段における処理時間をTdとしたとき、前記所定の複素振幅値の位相が、実質的に−2π×fm×Tdである請求項18に記載のトラッキング制御装置。
  21. 前記第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割されたN個の外乱値からなり、
    前記N個の外乱値を記憶する記憶部を更に有する請求項13又は17に記載のトラッキング制御装置。
  22. 前記第2の外乱値群の位相が、前記第1の外乱値群の位相と実質的に同一であり、
    前記第3の外乱値群の位相が、前記第2の外乱値群の位相と実質的にπ/2だけ異なる請求項13又は17に記載のトラッキング制御装置。
  23. 前記応答検出部は、前記第1の外乱値群の周期の整数倍の時間の間に入力された複数のトラッキング誤差値を参照して前記検出複素振幅値を検出する請求項13又は17に記載のトラッキング制御装置。
  24. 前記第1の外乱値群の1周期を構成する数値群は、時間的に実質的に均等に分割された4の整数倍の個数の外乱値からなる請求項13又は17に記載のトラッキング制御装置。
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