JPWO2004109884A1 - ケーブル装置 - Google Patents
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Abstract
ケーブルに関し、非使用時等にケーブルを収納してコンパクト化と、操作時の操作性とを高めたケーブル装置を提供する。電子装置(PC112、携帯端末113)の接続に用いられるケーブル装置(2)であって、電子装置に接続されるコネクタ部(6、8)を有するケーブル(4)を収納する筐体(10)と、この筐体内にケーブルを巻き取って収納させる巻取機構(18)と、この巻取機構に回転力を付与して巻取機構にケーブルを巻き取らせる操作部(巻取ノブ22)とを備え、操作部は、操作時に筐体から引き上げられて巻取機構にケーブルを巻き取らせ、非操作時に筐体側に引き下げられる構成である。
Description
本発明は、携帯電話機、PDC(Personal Digital Cellular)機器、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC(Personal Computer)等の携帯端末や、各種持ち運び可能な電子機器等、各種の電子装置に使用されるケーブルに関し、非使用時にケーブルを収納し、使用時にケーブルを伸長させて必要な長さが確保可能なケーブル装置に関する。
従来、携帯電話機、ノートPC等の携帯端末の外部機器との接続には、モジュラーケーブル等、各種のケーブルが用いられるが、その使用時、不必要に長い場合には机上等の作業空間を狭めたり、乱雑になったり、携帯時や搬送時にも邪魔になる等、煩わしいものである。また、扱いが不適切な場合には、コネクタにごみが付着したり、ケーブルやコネクタを損傷させてしまうおそれがある。
このため、非使用時にはそのケーブルを巻き取って収納する等の工夫がなされてきた。この種の技術について、先行特許文献には特開平9−307801号公報、特開2002−179341号公報等がある。
特開平9−307801号公報には、電子機器内に各種のケーブルを巻き取るとともに、そのケーブルに接続されたカメラ本体が電子機器内に巻き取られたケーブルとともに収納されるという構成が開示されている。この電子機器では、ケーブルの巻取りにゼンマイばねが用いられており、電子機器からケーブルが引き出されると、ゼンマイばねが巻き戻されるので、その復元力を利用してケーブルを電子機器内に巻き取るという構成である。
また、特開2002−179341号公報には、モデムコードを巻き取るコード収納ユニットが開示されている。このコード収納ユニットでは、非使用時に、モデムコードを巻き取って収納し、また、使用時でも不必要な長さ分を巻き取ることが可能である。
ところで、従来のケーブルの収納や巻取りは、電子機器や収納ユニット内にケーブルのみを収納する構造であり、その収納操作に手間取るという不都合がある。ゼンマイばねの復元力を用いた巻取りでは、ゼンマイばねの復元力が低下すると、ケーブルの収納が不十分になるという不都合がある。
また、特開2002−179341号公報には、複数のケーブルを収納ユニット内に収納することが開示されているが、複数の巻取機構が平板上に併設されたユニットでは、設置面積が大きくなり、小型化された電子機器では机上の使用面積を占有し、ケーブルの収納のため、嵩張り感を与えるという不都合がある。
このため、非使用時にはそのケーブルを巻き取って収納する等の工夫がなされてきた。この種の技術について、先行特許文献には特開平9−307801号公報、特開2002−179341号公報等がある。
特開平9−307801号公報には、電子機器内に各種のケーブルを巻き取るとともに、そのケーブルに接続されたカメラ本体が電子機器内に巻き取られたケーブルとともに収納されるという構成が開示されている。この電子機器では、ケーブルの巻取りにゼンマイばねが用いられており、電子機器からケーブルが引き出されると、ゼンマイばねが巻き戻されるので、その復元力を利用してケーブルを電子機器内に巻き取るという構成である。
また、特開2002−179341号公報には、モデムコードを巻き取るコード収納ユニットが開示されている。このコード収納ユニットでは、非使用時に、モデムコードを巻き取って収納し、また、使用時でも不必要な長さ分を巻き取ることが可能である。
ところで、従来のケーブルの収納や巻取りは、電子機器や収納ユニット内にケーブルのみを収納する構造であり、その収納操作に手間取るという不都合がある。ゼンマイばねの復元力を用いた巻取りでは、ゼンマイばねの復元力が低下すると、ケーブルの収納が不十分になるという不都合がある。
また、特開2002−179341号公報には、複数のケーブルを収納ユニット内に収納することが開示されているが、複数の巻取機構が平板上に併設されたユニットでは、設置面積が大きくなり、小型化された電子機器では机上の使用面積を占有し、ケーブルの収納のため、嵩張り感を与えるという不都合がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、ケーブルに関し、非使用時等にケーブルを収納してコンパクト化と、収納や取出し操作時の操作性とを高めたケーブル装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のケーブル装置は、電子装置の接続に用いられるケーブル装置であって、前記電子装置に接続されるコネクタ部を有するケーブルを収納する筐体と、この筐体内に前記ケーブルを巻き取って収納させる巻取機構と、この巻取機構に回転力を付与して前記巻取機構に前記ケーブルを巻き取らせる操作部とを備え、前記操作部は、操作時に前記筐体から引き上げられて前記巻取機構に前記ケーブルを巻き取らせ、非操作時に前記筐体側に引き下げられる構成としたものである。
係る構成としたことにより、このケーブル装置にあっては、コネクタ部を有するケーブルが巻取機構により巻き取られ、収納部である筐体に収納される。従って、使用時には必要な長さ分だけ巻き戻して筐体からケーブルを引き出して使用し、非使用時には筐体に収納することができる。操作部は、ケーブルの引出しや収納時に使用され、巻取機構の操作に用いられる。そして、この操作部は、使用時、筐体から引き出され、非使用時には筐体側に引き下げられて収納される。
また、上記目的を達成するには、前記巻取機構は、前記操作部により回転して巻芯部の中途部にフランジ部を設けて複数の巻取部が区画された巻枠を備え、この巻枠の前記巻取部のそれぞれに前記ケーブルを巻き取る構成としてもよい。
上記目的を達成するには、前記筐体に基板を備えるとともに、前記ケーブルに接続される接続部を備える構成としてもよい。係る構成により、操作部を回転させて巻取部にケーブルを巻き取ることが可能であり、この巻取りによりケーブルが筐体内に収納される。
上記目的を達成するには、前記筐体は、外部の支持部材に支持させる支持部を備える構成としてもよい。支持部による支持は、筐体の安定化に寄与する。
上記目的を達成するには、前記筐体に進退自在に前記操作部が取り付けられるとともに、前記巻取部と前記操作部との間にクラッチ部を備え、前記操作部の引出しにより前記巻取部に前記操作部が連結される構成としてもよい。
上記目的を達成するには、前記接続部は、前記基板を介在して分岐又は接続されたコネクタ部である構成としてもよい。
上記目的を達成するには、前記筐体内に前記ケーブルを巻き取る2以上の巻取部を、その軸方向に設置する構成としてもよい。
上記目的を達成するには、前記筐体は、その外面部に前記筐体を立てて支持するスタンド部を備える構成としてもよく、また、前記筐体は、その外部面に前記筐体を支持部材に支持させるクリップ部を備える構成としてもよい。
また、上記目的を達成するには、前記筐体は、前記ケーブルの前記コネクタ部を収納する収納部を備える構成としてもよい。
このように、本発明のケーブル装置は、次のような効果ないし利点を有するものである。
(a) 使用時にはケーブル及びコネクタ部を筐体から引き出し、ケーブルの非使用時や使用時でも不必要な長さ分を筐体内に巻き取って収納することができ、ケーブル及びコネクタ部の引出し及び収納を容易に行えるとともに、非使用時、筐体でケーブル及びコネクタ部を防護でき、利便性に優れたケーブル装置を実現できる。
(b) 操作時に筐体から操作部を引き上げて巻取機構を操作し、非操作時に筐体側に操作部を引き下げる構成であるので、非操作時のコンパクト化が図られ、操作時には巻取操作の操作性を高めることができ、ケーブルの巻取操作が容易で、コンパクト化されたケーブル装置を提供できる。
(c) 筐体に基板を備えるとともに、ケーブルに接続される接続部を備えた構成とすれば、接続部を利用してケーブルに付随する接続が可能であり、ケーブルの多機能化を実現できる。
(d) 筐体が外部の支持部材に支持させる支持部を備えた構成とすれば、筐体を外部の支持部材に容易に固定してケーブル装置の設置を安定化でき、ケーブルの引回しが容易化されるとともに、固定位置の選択ができ、コネクタ部に過剰な応力が加わることを防止できる。
(e) 電子装置に接続されるケーブルのコンパクト化とともに、ケーブル装置が使用される電子装置の機能性の向上に寄与することができる。
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明瞭となるであろう。
上記目的を達成するため、本発明のケーブル装置は、電子装置の接続に用いられるケーブル装置であって、前記電子装置に接続されるコネクタ部を有するケーブルを収納する筐体と、この筐体内に前記ケーブルを巻き取って収納させる巻取機構と、この巻取機構に回転力を付与して前記巻取機構に前記ケーブルを巻き取らせる操作部とを備え、前記操作部は、操作時に前記筐体から引き上げられて前記巻取機構に前記ケーブルを巻き取らせ、非操作時に前記筐体側に引き下げられる構成としたものである。
係る構成としたことにより、このケーブル装置にあっては、コネクタ部を有するケーブルが巻取機構により巻き取られ、収納部である筐体に収納される。従って、使用時には必要な長さ分だけ巻き戻して筐体からケーブルを引き出して使用し、非使用時には筐体に収納することができる。操作部は、ケーブルの引出しや収納時に使用され、巻取機構の操作に用いられる。そして、この操作部は、使用時、筐体から引き出され、非使用時には筐体側に引き下げられて収納される。
また、上記目的を達成するには、前記巻取機構は、前記操作部により回転して巻芯部の中途部にフランジ部を設けて複数の巻取部が区画された巻枠を備え、この巻枠の前記巻取部のそれぞれに前記ケーブルを巻き取る構成としてもよい。
上記目的を達成するには、前記筐体に基板を備えるとともに、前記ケーブルに接続される接続部を備える構成としてもよい。係る構成により、操作部を回転させて巻取部にケーブルを巻き取ることが可能であり、この巻取りによりケーブルが筐体内に収納される。
上記目的を達成するには、前記筐体は、外部の支持部材に支持させる支持部を備える構成としてもよい。支持部による支持は、筐体の安定化に寄与する。
上記目的を達成するには、前記筐体に進退自在に前記操作部が取り付けられるとともに、前記巻取部と前記操作部との間にクラッチ部を備え、前記操作部の引出しにより前記巻取部に前記操作部が連結される構成としてもよい。
上記目的を達成するには、前記接続部は、前記基板を介在して分岐又は接続されたコネクタ部である構成としてもよい。
上記目的を達成するには、前記筐体内に前記ケーブルを巻き取る2以上の巻取部を、その軸方向に設置する構成としてもよい。
上記目的を達成するには、前記筐体は、その外面部に前記筐体を立てて支持するスタンド部を備える構成としてもよく、また、前記筐体は、その外部面に前記筐体を支持部材に支持させるクリップ部を備える構成としてもよい。
また、上記目的を達成するには、前記筐体は、前記ケーブルの前記コネクタ部を収納する収納部を備える構成としてもよい。
このように、本発明のケーブル装置は、次のような効果ないし利点を有するものである。
(a) 使用時にはケーブル及びコネクタ部を筐体から引き出し、ケーブルの非使用時や使用時でも不必要な長さ分を筐体内に巻き取って収納することができ、ケーブル及びコネクタ部の引出し及び収納を容易に行えるとともに、非使用時、筐体でケーブル及びコネクタ部を防護でき、利便性に優れたケーブル装置を実現できる。
(b) 操作時に筐体から操作部を引き上げて巻取機構を操作し、非操作時に筐体側に操作部を引き下げる構成であるので、非操作時のコンパクト化が図られ、操作時には巻取操作の操作性を高めることができ、ケーブルの巻取操作が容易で、コンパクト化されたケーブル装置を提供できる。
(c) 筐体に基板を備えるとともに、ケーブルに接続される接続部を備えた構成とすれば、接続部を利用してケーブルに付随する接続が可能であり、ケーブルの多機能化を実現できる。
(d) 筐体が外部の支持部材に支持させる支持部を備えた構成とすれば、筐体を外部の支持部材に容易に固定してケーブル装置の設置を安定化でき、ケーブルの引回しが容易化されるとともに、固定位置の選択ができ、コネクタ部に過剰な応力が加わることを防止できる。
(e) 電子装置に接続されるケーブルのコンパクト化とともに、ケーブル装置が使用される電子装置の機能性の向上に寄与することができる。
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明瞭となるであろう。
図1は本発明の第1の実施形態に係るケーブル装置を示す平面図である。
図2は、図1に示すケーブル装置のII−II線断面をケーブルのコネクタ部の省略により示した図である。
図3(A)はケーブルが取り付けられた巻枠を示す図である。
図3(B)はケーブルの巻回始点を示す図である。
図4は筐体から巻取ノブを引き出した状態を示す断面図である。
図5は巻取ノブの連結部と巻枠との連結関係を示す図である。
図6(A)は連結前の連結部と巻枠との関係を示す断面図である。
図6(B)は連結された連結部と巻枠との関係を示す断面図である。
図7(A)及び図7(B)はケーブル装置の配線を示す図である。
図8はケーブル及びコネクタ部を引き出したケーブル装置を示す図である。
図9は第2の実施形態に係るケーブル装置を示す平面図である。
図10は、図9に示すケーブル装置のX−X線断面をケーブルのコネクタ部の省略により示した図である。
図11(A)は第3の実施形態に係るケーブル装置を示す側面図である。
図11(B)は第3の実施形態に係るケーブル装置の背面図である。
図12(A)は第4の実施形態に係るケーブル装置を示す側面図である。
図12(B)は第4の実施形態に係るケーブル装置を示す背面図である。
図13は第5の実施形態に係る電子装置を示す図である。
図14はケーブル装置の配線を示す図である。
図2は、図1に示すケーブル装置のII−II線断面をケーブルのコネクタ部の省略により示した図である。
図3(A)はケーブルが取り付けられた巻枠を示す図である。
図3(B)はケーブルの巻回始点を示す図である。
図4は筐体から巻取ノブを引き出した状態を示す断面図である。
図5は巻取ノブの連結部と巻枠との連結関係を示す図である。
図6(A)は連結前の連結部と巻枠との関係を示す断面図である。
図6(B)は連結された連結部と巻枠との関係を示す断面図である。
図7(A)及び図7(B)はケーブル装置の配線を示す図である。
図8はケーブル及びコネクタ部を引き出したケーブル装置を示す図である。
図9は第2の実施形態に係るケーブル装置を示す平面図である。
図10は、図9に示すケーブル装置のX−X線断面をケーブルのコネクタ部の省略により示した図である。
図11(A)は第3の実施形態に係るケーブル装置を示す側面図である。
図11(B)は第3の実施形態に係るケーブル装置の背面図である。
図12(A)は第4の実施形態に係るケーブル装置を示す側面図である。
図12(B)は第4の実施形態に係るケーブル装置を示す背面図である。
図13は第5の実施形態に係る電子装置を示す図である。
図14はケーブル装置の配線を示す図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は第1の実施形態に係るケーブル装置を示し、図1はその平面図、図2は図1のケーブル装置のII−II線断面をケーブルのコネクタ部を省略して示した図である。
このケーブル装置2には単一又は複数のケーブル4が巻き取られて出入れ可能に収納される。ケーブル4の両端には電子装置等に接続する第1及び第2のコネクタ部6、8が取り付けられ、携帯端末や情報処理装置等の電子装置間の接続に用いられる。各コネクタ部6、8は同一の形態でもよく、又は規格や形式が異なるものでもよい。規格や形式の異なるコネクタ部6、8で構成されるケーブル装置2ではコネクタ変換器が構成されることになる。
このケーブル装置2の筐体10は例えば、合成樹脂等で形成されて、第1及び第2の収納部12、14を備えており、収納部12にはケーブル4が収納され、収納部14にはケーブル4に付属しているコネクタ部6、8が収納される。この実施形態の場合、収納部12は円筒体であって、収納部14は収納部12の壁面部を延長した台形状の角筒体である。収納部14の一側面部にはゲート部16が形成され、このゲート部16によりケーブル4及びその端部に付属したコネクタ部6、8の出入れが可能である。ゲート部16は隣接する複数の側面部のそれぞれに形成してもよい。
収納部12にはケーブル4が巻き取られる巻取機構18が設けられている。この巻取機構18は巻枠20と操作部としての巻取ノブ22とを備えている。巻枠20は、その下面部側に突設された複数の突部24を回転支持部として収納部12の平坦面上の底面に回転可能に支持されているとともに、収納部12の上部側を部分的に塞ぐ天板部26がその上方移動を制限している。このため、巻枠20は収納部12内の一定空間内での回転が可能である。この場合、突部24は、収納部12の底面部に形成し、巻枠20の下面側を平坦面としてもよい。そして、巻枠20は、円筒形の巻芯部28と、この巻芯部28の周囲に巻き空間を例えば、二分割する仕切りとして、上フランジ部30、中フランジ部32及び下フランジ部34を備えており、これら3つのフランジ部30、32、34により2つの巻取部36、38が構成されている。この実施形態では、各巻取部36、38に跨がって単一のケーブル4が巻き取られ、例えば、図3(A)、図3(B)に示すように、中フランジ部32に貫通部40が設けられ、この貫通部40にケーブル4を貫通させ、この貫通部分をケーブル4の巻回始点部42としている。このケーブル4の巻回始点部42は巻芯部28に固定してもよく、また、可動できるようにしてもよい。
巻芯部28と各フランジ部30、32、34の外径は同心円状であり、巻枠20の回転を容易にするため、各フランジ部30、32、34の直径は収納部12の内壁径より小さく設定されている。上フランジ部30の上面部には高さの異なる突部44が設けられ、この突部44と天板部26の開口46の内縁とにより、巻枠20の直径方向の過剰な移動が制限されているとともに、天板部26の下面側には突部45が形成され、この突部45によって巻枠20の上方移動が制限されているので、巻枠20の回転位置が設定され、巻枠20の安定回転が確保されている。また、この実施形態では、巻取部36、38の間隔幅Wは巻き取られるケーブル4の直径Rに対応し、その直径Rより僅かに大きく設定されている(W>R)。このため、巻き取られるケーブル4は、各フランジ部30、32、34によって案内され、各巻取部36、38間で2段多層巻きの状態(図2)を呈する。
巻取ノブ22は例えば、合成樹脂で形成されており、その形状は収納部12の形状に対応して収納部14の外径と同径の円盤で構成されている。この巻取ノブ22の下面部には円筒状に複数の連結部48が形成され、各連結部48は巻枠20の巻芯部28の内側を貫通させて巻枠20の底面側の貫通孔49から下方に突出させることにより、巻枠20に巻取ノブ22が回転可能であるとともに、図4に示すように、上下動可能に支持されている。
そして、連結部48と巻芯部28の間にはクラッチ機構50が設けられており、この実施形態では、図5、図6(A)及び図6(B)に示すように、連結部48の外面部に突部52が形成され、巻枠20の巻芯部28の内壁部に櫛歯状の複数の凹部54が形成されている。これら突部52と凹部54とが係合可能である。巻取ノブ22が後退している場合(図2)には、図6(A)に示すように、両者の係合が解除され、また、巻取ノブ22が筐体10より引き上げられている場合(図4)には、図6(B)に示すように、両者が係合する関係に、上下方向の位置をずらして凹部54及び突部52が形成されている。両者が係合しているとき、巻取ノブ22に加えられた回転力が巻枠20に作用し、その回転力により巻枠20が回転する。
また、巻取ノブ22の背面部には基板56が固定されている。この場合、巻取ノブ22の下面部に形成された棚部58と、巻取ノブ22の下面部に形成されたねじ固定部60に基板56を貫通させたビス62とにより、基板56が位置決めされて巻取ノブ22の背面側に固定されている。基板56の支持及び固定は、接着剤等の固定手段を用いてもよい。この基板56には接続部としての第3のコネクタ部64が固定され、このコネクタ部64に対応する差込み口としての窓部66が巻取ノブ22の上面に形成されている。この窓部66を通して他のケーブル68のコネクタ部70をコネクタ部64に着脱させることができる。
そして、収納部14の上面部にはテーパ部72が形成され、このテーパ部72によって巻取ノブ22と収納部14との段差の発生が防止されている。テーパ部72は、収納部14の補強部材としての機能もある。
このようなケーブル装置2では、図7(A)に示すように、ケーブル4が複数本の導線として例えば、M本の導線74とN本の導線76を備えているものとすれば、一方のコネクタ部6にM本及びN本の導線74、76を接続し、M本側の導線74をコネクタ部8に接続し、N本側の導線76を基板56の導体78を介してコネクタ部64に接続されている。このような構成によれば、M本の導線74とN本の導線76からなるケーブル4を分岐し、1つのコネクタ部6に対して2つのコネクタ部8、64が形成され、多機能化されたケーブル装置が実現されている。この場合、例えば、図7(B)に示すように、導線74側も基板56の導体80を介して連結してもよい。
このような構成とすれば、巻取ノブ22を回転させてケーブル4を巻き戻し、収納部14から露出させてコネクタ部6、8に張力を加えると、図8に示すように、ケーブル4が筐体10の収納部12から巻き戻されて引き出される。この状態で、各コネクタ部6、8に図示しない情報処理装置や携帯端末等の電子装置を接続し、情報の授受や信号の送受に利用することができる。この場合、ケーブル装置2には、各電子装置に隣接して設置でき、ケーブル4の送り出し量を最適化させて使用することができる。また、コネクタ部64には他のケーブル68(図2、図4)を通して他の電子装置等に接続することができる。
そして、ケーブル4を筐体10の内部に巻き取るには、図4に示すように、筐体10から巻取ノブ22を引き上げて突出させ、連結部48の突部52を巻芯部28の凹部54に挿入させ、両者を結合させた状態で巻取ノブ22をその窓部66に指を掛けて回転させると、その回転力が連結部48を通して巻芯部28に伝達され、巻取ノブ22とともに巻枠20が回転する。この回転により、ケーブル4は巻芯部28の巻取部36、38に二分されて各ケーブル4が巻き取られるとともに、その端部のコネクタ部6、8が収納部14に収納される。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は第2の実施形態に係るケーブル装置を示し、図9はその平面図、図10は図9のケーブル装置のX−X線断面をケーブルのコネクタ部を省略して示した図である。
第1の実施形態では、巻枠20に上下2段の巻取部36、38を形成して2段多層巻きによりケーブル4を収納したが、第2の実施形態では、巻枠20に単一の巻取部86として1段多層巻きとしたものである。第1の実施形態のケーブル装置2では、設置面積を小さくすることができるのに対し、第2の実施形態のケーブル装置2では偏平化が図られている。
この実施形態に係るケーブル装置2では、筐体10の収納部14の上面部をフラット化するとともに、巻取ノブ22を筐体10の上部に設置し、巻取ノブ22の連結部48は巻枠20の上フランジ部30の上面部に固定され、装置の偏平化が実現されている。また、この場合、筐体10の天板部26の内縁部を収納部12の中心方向に張り出させるとともに、その下面側に突出部81が形成されているので、これら天板部26及び突出部81が巻枠20の上フランジ部30の上面部に臨み、接触可能である。このため、巻枠20は突出部81によって上方への移動が阻止されているので、収納部12内での安定回転が図られている。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図11を参照して説明する。図11(A)は、第3の実施形態に係るケーブル装置を示す側面図、図11(B)はその背面図を示している。
第1の実施形態に係るケーブル装置2では、筐体10の底面部を平坦化して設置の安定化を図っているのに対し、第3の実施形態に係るケーブル装置2では、筐体10の背面部に支持部としてスタンド部88がねじ90によって取り付けられている。このスタンド部88は、筐体10の背面部に密着して取り付けられる支柱部92と、この支柱部92の下端部側に突出させた一対のステイ部94と、ステイ部94の下面側に形成された支持面部96とを備えたものである。支持面部96の下面は、筐体10の側面部に一致し、その側面部と支持面部96とによって設置面を形成しており、筐体10を直立させて設置することができる。また、支柱部92に取り付けられたねじ90は着脱することができ、スタンド部88を取り付けた場合には直立状態、そのスタンド部88を外した場合には、筐体10の底面を設置面として水平状態に設置できる等、ケーブル装置2の設置形態の自由度を高めている。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図12を参照して説明する。図12(A)は第4の実施形態に係るケーブル装置を示す側面図、12(B)はその背面図を示している。
第4の実施形態に係るケーブル装置2では、筐体10の背面部に支持部としてクリップ部98がねじ100によって取り付けられている。このクリップ部98は、筐体10の背面部に密着して取り付けられる支持部102と、この支持部102の上端部側にU字形に突出させた引掛部104とを備えたものである。このようなケーブル装置2によれば、パソコン等の筐体部分、例えば、液晶表示部106に引っ掛けて支持させることができ、机等の作業空間を狭めることがない。この場合、他の設置形態として、引掛部104の頂面部108が筐体10の側面に一致していることを利用し、第3の実施形態に係るスタンド部88と同様に、頂面部108を設置面として筐体10を直立状態で机等に設置することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、第5の実施形態に係る電子装置を示している。
この実施形態に係る電子装置110は、携帯型パーソナルコンピュータ112と携帯端末113とがケーブル装置2によって接続され、このケーブル装置2のケーブル4のケーブル114側に接続されたコネクタ部6にUSB(Universal Serial Bus)コネクタが使用され、ケーブル4のケーブル116側に接続されたコネクタ部8にIMT(International Mobile Telecommunication)−2000用コネクタが使用されている。即ち、ケーブル114はUSBケーブルで4芯構造、ケーブル116はIMT−2000ケーブルで10芯の信号線と同軸ケーブルとから構成されている。そして、コネクタ部8への直流電源の供給を外部からケーブル116を介して行うため、ケーブル装置2にはコネクタ部118及びケーブル120を介して交流直流変換器であるACアダプタ122が接続され、商用電源を変換した直流電源がケーブル装置2及びケーブル116を介して携帯端末113に供給されている。
このケーブル装置2及びケーブル4の構成は、例えば、図14に示すように構成されており、携帯型パーソナルコンピュータ112と携帯端末113とは、ケーブル114の導線124、126、基板56及びケーブル116の導線128、130により、データ等の授受、信号の送受が行われている。また、交流電源132をACアダプタ122で整流して得られた直流が、ケーブル120、コネクタ部118及びケーブル116の導線134、136を通じて携帯端末113に給電されている。従って、このケーブル装置2では、規格が異なるコネクタ部6、8のコネクタ変換器であるとともに、直流電源の給電部として機能している。
ところで、従来のケーブルの収納や巻取りは、電子装置や収納ユニット内にケーブルのみを収納する構造であって、そのケーブルに付随する他のケーブル等を接続するものではない。このため、ケーブルの接続と関連する接続には別個のケーブル等を用意し、必要な接続をしなければならないという不都合があった。例えば、携帯型パーソナルコンピュータ112と携帯端末113とをケーブルで情報授受を行う場合、パーソナルコンピュータからの給電ができない場合には、携帯端末への給電は内蔵バッテリに依存することになる。また、ACアダプタ122による給電はケーブルを外して行い、内蔵バッテリの充電完了後まで、情報の授受ができないという不都合があったが、このケーブル装置2を使用すれば、情報の授受、信号の送受に加え、単一のケーブル装置2のみで携帯端末113への給電を商用電源を通じて行うことができ、利便性を高めることができる。
次に、以上述べたケーブル装置の実施形態について、その技術的な意義、変形例等を以下に列挙する。
(1) ケーブル装置2は、上記の構成としたので、筐体10、巻枠20及び巻取ノブ22等はポリプロピレン等の合成樹脂で成形加工によって製造することができる。即ち、合成樹脂によって軽量なケーブル装置2を実現することができる。実施の形態では、合成樹脂によって形成することを述べているが、ケーブル装置2は、アルミニウム等の金属材料で形成しても、軽量化、コンパクト化を図ることができる。
(2) 第1の実施形態に係るケーブル装置2は、巻枠20の軸方向に複数段の巻取部として2つの巻取部36、38を形成しているので、ケーブル4の巻取長を同一にしたとき、巻枠20の垂直投影面積を小さくでき、筐体10の設置面積を縮小化でき、コンパクト化を図ることができる。このようなケーブル装置2によれば、筐体10の小型化とともに、ケーブル装置2が占める面積を縮小でき、机等の使用面積の有効利用に寄与する。
(3) ケーブル装置2は、電子装置に接続されるコネクタ部6、8を有するケーブル4を収納する筐体10、筐体10内にケーブル4を巻き取って収納させる巻取機構18、この巻取機構18に回転力を付与して巻取機構18にケーブル4を巻き取らせる操作部としての巻取ノブ22を備えたので、巻取ノブ22の操作のみにより、筐体10内にケーブル4の巻取り及びコネクタ部6、8を収納し、また、容易に引き出すことができ、ケーブル4及びコネクタ部6、8のコンパクト化とともに、筐体10による防護を図ることができる。
(4) 第1の実施形態のように、操作部としての巻取ノブ22を、操作時に筐体10から引き上げて巻取機構18を操作し、非操作時に筐体10側に後退させる構成としたので、巻取操作の容易化とともに、ケーブル装置2のコンパクト化を図ることができる。
(5) 筐体10に基板56を備えるとともに、ケーブル4に接続される接続部としてのコネクタ部64を備えた構成とすることにより、ケーブル4に付随するコネクタ部やケーブルを設置し、電子装置間の複合的な接続が可能となる。
(6) 第3及び第4の実施形態に記載したように、筐体10は外部の支持部材に支持させる支持部を備えており、この支持部は例えば、スタンド部88、クリップ部98として構成されているので、これらの支持部を用いて机、他の機器又は被服等の支持部材への設置や取付け等の多様性のある設置形態を選択して用いることができるとともに、ケーブル装置2を特定箇所に固定して使用することができ、利便性を高めることができる。
(7) 第5の実施形態に記載したように、ケーブル装置2を電子装置のケーブル接続に用いることにより、ケーブル接続を整理し、電子装置の機能性を高めることができる。即ち、ケーブル装置2を介して情報処理装置と携帯端末とを接続し、筐体10の接続部に電源を接続してなる電子装置によれば、電子装置間のケーブル接続と給電とを単一のケーブル装置2で実現することができ、電子装置の周辺部のケーブル接続関係を単純化することができる。
(8) ケーブル装置2の筐体10上に接続部を設け、この接続部が基板56を介在してケーブル4を分岐し、そのケーブル4の一部の導線にコネクタ部を接続する構成とすれば、そのコネクタ部を利用してケーブルに他のケーブルや電子装置を容易に接続することができ、ケーブル装置2の多機能化を実現することができる。
(9) 実施形態では、筐体10に設置された基板56にコネクタ部64を設置した構成としたが、基板56からケーブルを引き出し、そのケーブルにコネクタ部や他の電子装置を接続してもよい。
(10) 実施形態では、巻枠20のケーブル4の巻回始点部42を中フランジ部32を貫通させて設置しているので、ケーブル4の巻回始点部42を容易に移動させることができ、ケーブル4の全長の所望の位置にケーブル装置2の筐体10を移動させることができる。
(11) 筐体10に進退自在に巻取ノブ22が取り付けられるとともに、巻芯部28と巻取ノブ22との間にクラッチ機構50を備え、巻取ノブ22の引出しにより巻枠20の巻芯部28に巻取ノブ22の連結部48が連結される構成としたので、巻取ノブ22が引き出されたときのみ、ケーブル4を巻き取ることができ、巻取ノブ22を後退させたとき、ケーブル4の巻取りを解除することができ、不用意にケーブル4が出入れされることがない。
(12) 実施形態では、単一のケーブル4の収納について説明したが、巻枠20の各巻取部36、38のそれぞれにケーブルを巻き付ける等、複数のケーブルを収納するように構成してもよい。この場合、巻枠20の巻取部36、38の巻芯部28を同径に設定したが、その直径の変更により、ケーブルの巻回量を異ならせてもよい。このような巻芯部28の直径の変更は、単一のケーブル4について行ってもよく、その場合、巻取量が変更されるので、それに応じてケーブル4に対する筐体10の位置を調節することができる。
(13) 実施形態では、筐体10の収納部12、14の内壁面等にケーブルガイド部としてガイドローラやガイド突部を設けてもよく、このようなケーブルガイド部を設置すれば、移動するケーブル4を滑らかに巻回し、又は巻き戻すことができる。
そして、以上述べたように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための最良の形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、係る変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明の第1の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は第1の実施形態に係るケーブル装置を示し、図1はその平面図、図2は図1のケーブル装置のII−II線断面をケーブルのコネクタ部を省略して示した図である。
このケーブル装置2には単一又は複数のケーブル4が巻き取られて出入れ可能に収納される。ケーブル4の両端には電子装置等に接続する第1及び第2のコネクタ部6、8が取り付けられ、携帯端末や情報処理装置等の電子装置間の接続に用いられる。各コネクタ部6、8は同一の形態でもよく、又は規格や形式が異なるものでもよい。規格や形式の異なるコネクタ部6、8で構成されるケーブル装置2ではコネクタ変換器が構成されることになる。
このケーブル装置2の筐体10は例えば、合成樹脂等で形成されて、第1及び第2の収納部12、14を備えており、収納部12にはケーブル4が収納され、収納部14にはケーブル4に付属しているコネクタ部6、8が収納される。この実施形態の場合、収納部12は円筒体であって、収納部14は収納部12の壁面部を延長した台形状の角筒体である。収納部14の一側面部にはゲート部16が形成され、このゲート部16によりケーブル4及びその端部に付属したコネクタ部6、8の出入れが可能である。ゲート部16は隣接する複数の側面部のそれぞれに形成してもよい。
収納部12にはケーブル4が巻き取られる巻取機構18が設けられている。この巻取機構18は巻枠20と操作部としての巻取ノブ22とを備えている。巻枠20は、その下面部側に突設された複数の突部24を回転支持部として収納部12の平坦面上の底面に回転可能に支持されているとともに、収納部12の上部側を部分的に塞ぐ天板部26がその上方移動を制限している。このため、巻枠20は収納部12内の一定空間内での回転が可能である。この場合、突部24は、収納部12の底面部に形成し、巻枠20の下面側を平坦面としてもよい。そして、巻枠20は、円筒形の巻芯部28と、この巻芯部28の周囲に巻き空間を例えば、二分割する仕切りとして、上フランジ部30、中フランジ部32及び下フランジ部34を備えており、これら3つのフランジ部30、32、34により2つの巻取部36、38が構成されている。この実施形態では、各巻取部36、38に跨がって単一のケーブル4が巻き取られ、例えば、図3(A)、図3(B)に示すように、中フランジ部32に貫通部40が設けられ、この貫通部40にケーブル4を貫通させ、この貫通部分をケーブル4の巻回始点部42としている。このケーブル4の巻回始点部42は巻芯部28に固定してもよく、また、可動できるようにしてもよい。
巻芯部28と各フランジ部30、32、34の外径は同心円状であり、巻枠20の回転を容易にするため、各フランジ部30、32、34の直径は収納部12の内壁径より小さく設定されている。上フランジ部30の上面部には高さの異なる突部44が設けられ、この突部44と天板部26の開口46の内縁とにより、巻枠20の直径方向の過剰な移動が制限されているとともに、天板部26の下面側には突部45が形成され、この突部45によって巻枠20の上方移動が制限されているので、巻枠20の回転位置が設定され、巻枠20の安定回転が確保されている。また、この実施形態では、巻取部36、38の間隔幅Wは巻き取られるケーブル4の直径Rに対応し、その直径Rより僅かに大きく設定されている(W>R)。このため、巻き取られるケーブル4は、各フランジ部30、32、34によって案内され、各巻取部36、38間で2段多層巻きの状態(図2)を呈する。
巻取ノブ22は例えば、合成樹脂で形成されており、その形状は収納部12の形状に対応して収納部14の外径と同径の円盤で構成されている。この巻取ノブ22の下面部には円筒状に複数の連結部48が形成され、各連結部48は巻枠20の巻芯部28の内側を貫通させて巻枠20の底面側の貫通孔49から下方に突出させることにより、巻枠20に巻取ノブ22が回転可能であるとともに、図4に示すように、上下動可能に支持されている。
そして、連結部48と巻芯部28の間にはクラッチ機構50が設けられており、この実施形態では、図5、図6(A)及び図6(B)に示すように、連結部48の外面部に突部52が形成され、巻枠20の巻芯部28の内壁部に櫛歯状の複数の凹部54が形成されている。これら突部52と凹部54とが係合可能である。巻取ノブ22が後退している場合(図2)には、図6(A)に示すように、両者の係合が解除され、また、巻取ノブ22が筐体10より引き上げられている場合(図4)には、図6(B)に示すように、両者が係合する関係に、上下方向の位置をずらして凹部54及び突部52が形成されている。両者が係合しているとき、巻取ノブ22に加えられた回転力が巻枠20に作用し、その回転力により巻枠20が回転する。
また、巻取ノブ22の背面部には基板56が固定されている。この場合、巻取ノブ22の下面部に形成された棚部58と、巻取ノブ22の下面部に形成されたねじ固定部60に基板56を貫通させたビス62とにより、基板56が位置決めされて巻取ノブ22の背面側に固定されている。基板56の支持及び固定は、接着剤等の固定手段を用いてもよい。この基板56には接続部としての第3のコネクタ部64が固定され、このコネクタ部64に対応する差込み口としての窓部66が巻取ノブ22の上面に形成されている。この窓部66を通して他のケーブル68のコネクタ部70をコネクタ部64に着脱させることができる。
そして、収納部14の上面部にはテーパ部72が形成され、このテーパ部72によって巻取ノブ22と収納部14との段差の発生が防止されている。テーパ部72は、収納部14の補強部材としての機能もある。
このようなケーブル装置2では、図7(A)に示すように、ケーブル4が複数本の導線として例えば、M本の導線74とN本の導線76を備えているものとすれば、一方のコネクタ部6にM本及びN本の導線74、76を接続し、M本側の導線74をコネクタ部8に接続し、N本側の導線76を基板56の導体78を介してコネクタ部64に接続されている。このような構成によれば、M本の導線74とN本の導線76からなるケーブル4を分岐し、1つのコネクタ部6に対して2つのコネクタ部8、64が形成され、多機能化されたケーブル装置が実現されている。この場合、例えば、図7(B)に示すように、導線74側も基板56の導体80を介して連結してもよい。
このような構成とすれば、巻取ノブ22を回転させてケーブル4を巻き戻し、収納部14から露出させてコネクタ部6、8に張力を加えると、図8に示すように、ケーブル4が筐体10の収納部12から巻き戻されて引き出される。この状態で、各コネクタ部6、8に図示しない情報処理装置や携帯端末等の電子装置を接続し、情報の授受や信号の送受に利用することができる。この場合、ケーブル装置2には、各電子装置に隣接して設置でき、ケーブル4の送り出し量を最適化させて使用することができる。また、コネクタ部64には他のケーブル68(図2、図4)を通して他の電子装置等に接続することができる。
そして、ケーブル4を筐体10の内部に巻き取るには、図4に示すように、筐体10から巻取ノブ22を引き上げて突出させ、連結部48の突部52を巻芯部28の凹部54に挿入させ、両者を結合させた状態で巻取ノブ22をその窓部66に指を掛けて回転させると、その回転力が連結部48を通して巻芯部28に伝達され、巻取ノブ22とともに巻枠20が回転する。この回転により、ケーブル4は巻芯部28の巻取部36、38に二分されて各ケーブル4が巻き取られるとともに、その端部のコネクタ部6、8が収納部14に収納される。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は第2の実施形態に係るケーブル装置を示し、図9はその平面図、図10は図9のケーブル装置のX−X線断面をケーブルのコネクタ部を省略して示した図である。
第1の実施形態では、巻枠20に上下2段の巻取部36、38を形成して2段多層巻きによりケーブル4を収納したが、第2の実施形態では、巻枠20に単一の巻取部86として1段多層巻きとしたものである。第1の実施形態のケーブル装置2では、設置面積を小さくすることができるのに対し、第2の実施形態のケーブル装置2では偏平化が図られている。
この実施形態に係るケーブル装置2では、筐体10の収納部14の上面部をフラット化するとともに、巻取ノブ22を筐体10の上部に設置し、巻取ノブ22の連結部48は巻枠20の上フランジ部30の上面部に固定され、装置の偏平化が実現されている。また、この場合、筐体10の天板部26の内縁部を収納部12の中心方向に張り出させるとともに、その下面側に突出部81が形成されているので、これら天板部26及び突出部81が巻枠20の上フランジ部30の上面部に臨み、接触可能である。このため、巻枠20は突出部81によって上方への移動が阻止されているので、収納部12内での安定回転が図られている。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図11を参照して説明する。図11(A)は、第3の実施形態に係るケーブル装置を示す側面図、図11(B)はその背面図を示している。
第1の実施形態に係るケーブル装置2では、筐体10の底面部を平坦化して設置の安定化を図っているのに対し、第3の実施形態に係るケーブル装置2では、筐体10の背面部に支持部としてスタンド部88がねじ90によって取り付けられている。このスタンド部88は、筐体10の背面部に密着して取り付けられる支柱部92と、この支柱部92の下端部側に突出させた一対のステイ部94と、ステイ部94の下面側に形成された支持面部96とを備えたものである。支持面部96の下面は、筐体10の側面部に一致し、その側面部と支持面部96とによって設置面を形成しており、筐体10を直立させて設置することができる。また、支柱部92に取り付けられたねじ90は着脱することができ、スタンド部88を取り付けた場合には直立状態、そのスタンド部88を外した場合には、筐体10の底面を設置面として水平状態に設置できる等、ケーブル装置2の設置形態の自由度を高めている。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図12を参照して説明する。図12(A)は第4の実施形態に係るケーブル装置を示す側面図、12(B)はその背面図を示している。
第4の実施形態に係るケーブル装置2では、筐体10の背面部に支持部としてクリップ部98がねじ100によって取り付けられている。このクリップ部98は、筐体10の背面部に密着して取り付けられる支持部102と、この支持部102の上端部側にU字形に突出させた引掛部104とを備えたものである。このようなケーブル装置2によれば、パソコン等の筐体部分、例えば、液晶表示部106に引っ掛けて支持させることができ、机等の作業空間を狭めることがない。この場合、他の設置形態として、引掛部104の頂面部108が筐体10の側面に一致していることを利用し、第3の実施形態に係るスタンド部88と同様に、頂面部108を設置面として筐体10を直立状態で机等に設置することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、第5の実施形態に係る電子装置を示している。
この実施形態に係る電子装置110は、携帯型パーソナルコンピュータ112と携帯端末113とがケーブル装置2によって接続され、このケーブル装置2のケーブル4のケーブル114側に接続されたコネクタ部6にUSB(Universal Serial Bus)コネクタが使用され、ケーブル4のケーブル116側に接続されたコネクタ部8にIMT(International Mobile Telecommunication)−2000用コネクタが使用されている。即ち、ケーブル114はUSBケーブルで4芯構造、ケーブル116はIMT−2000ケーブルで10芯の信号線と同軸ケーブルとから構成されている。そして、コネクタ部8への直流電源の供給を外部からケーブル116を介して行うため、ケーブル装置2にはコネクタ部118及びケーブル120を介して交流直流変換器であるACアダプタ122が接続され、商用電源を変換した直流電源がケーブル装置2及びケーブル116を介して携帯端末113に供給されている。
このケーブル装置2及びケーブル4の構成は、例えば、図14に示すように構成されており、携帯型パーソナルコンピュータ112と携帯端末113とは、ケーブル114の導線124、126、基板56及びケーブル116の導線128、130により、データ等の授受、信号の送受が行われている。また、交流電源132をACアダプタ122で整流して得られた直流が、ケーブル120、コネクタ部118及びケーブル116の導線134、136を通じて携帯端末113に給電されている。従って、このケーブル装置2では、規格が異なるコネクタ部6、8のコネクタ変換器であるとともに、直流電源の給電部として機能している。
ところで、従来のケーブルの収納や巻取りは、電子装置や収納ユニット内にケーブルのみを収納する構造であって、そのケーブルに付随する他のケーブル等を接続するものではない。このため、ケーブルの接続と関連する接続には別個のケーブル等を用意し、必要な接続をしなければならないという不都合があった。例えば、携帯型パーソナルコンピュータ112と携帯端末113とをケーブルで情報授受を行う場合、パーソナルコンピュータからの給電ができない場合には、携帯端末への給電は内蔵バッテリに依存することになる。また、ACアダプタ122による給電はケーブルを外して行い、内蔵バッテリの充電完了後まで、情報の授受ができないという不都合があったが、このケーブル装置2を使用すれば、情報の授受、信号の送受に加え、単一のケーブル装置2のみで携帯端末113への給電を商用電源を通じて行うことができ、利便性を高めることができる。
次に、以上述べたケーブル装置の実施形態について、その技術的な意義、変形例等を以下に列挙する。
(1) ケーブル装置2は、上記の構成としたので、筐体10、巻枠20及び巻取ノブ22等はポリプロピレン等の合成樹脂で成形加工によって製造することができる。即ち、合成樹脂によって軽量なケーブル装置2を実現することができる。実施の形態では、合成樹脂によって形成することを述べているが、ケーブル装置2は、アルミニウム等の金属材料で形成しても、軽量化、コンパクト化を図ることができる。
(2) 第1の実施形態に係るケーブル装置2は、巻枠20の軸方向に複数段の巻取部として2つの巻取部36、38を形成しているので、ケーブル4の巻取長を同一にしたとき、巻枠20の垂直投影面積を小さくでき、筐体10の設置面積を縮小化でき、コンパクト化を図ることができる。このようなケーブル装置2によれば、筐体10の小型化とともに、ケーブル装置2が占める面積を縮小でき、机等の使用面積の有効利用に寄与する。
(3) ケーブル装置2は、電子装置に接続されるコネクタ部6、8を有するケーブル4を収納する筐体10、筐体10内にケーブル4を巻き取って収納させる巻取機構18、この巻取機構18に回転力を付与して巻取機構18にケーブル4を巻き取らせる操作部としての巻取ノブ22を備えたので、巻取ノブ22の操作のみにより、筐体10内にケーブル4の巻取り及びコネクタ部6、8を収納し、また、容易に引き出すことができ、ケーブル4及びコネクタ部6、8のコンパクト化とともに、筐体10による防護を図ることができる。
(4) 第1の実施形態のように、操作部としての巻取ノブ22を、操作時に筐体10から引き上げて巻取機構18を操作し、非操作時に筐体10側に後退させる構成としたので、巻取操作の容易化とともに、ケーブル装置2のコンパクト化を図ることができる。
(5) 筐体10に基板56を備えるとともに、ケーブル4に接続される接続部としてのコネクタ部64を備えた構成とすることにより、ケーブル4に付随するコネクタ部やケーブルを設置し、電子装置間の複合的な接続が可能となる。
(6) 第3及び第4の実施形態に記載したように、筐体10は外部の支持部材に支持させる支持部を備えており、この支持部は例えば、スタンド部88、クリップ部98として構成されているので、これらの支持部を用いて机、他の機器又は被服等の支持部材への設置や取付け等の多様性のある設置形態を選択して用いることができるとともに、ケーブル装置2を特定箇所に固定して使用することができ、利便性を高めることができる。
(7) 第5の実施形態に記載したように、ケーブル装置2を電子装置のケーブル接続に用いることにより、ケーブル接続を整理し、電子装置の機能性を高めることができる。即ち、ケーブル装置2を介して情報処理装置と携帯端末とを接続し、筐体10の接続部に電源を接続してなる電子装置によれば、電子装置間のケーブル接続と給電とを単一のケーブル装置2で実現することができ、電子装置の周辺部のケーブル接続関係を単純化することができる。
(8) ケーブル装置2の筐体10上に接続部を設け、この接続部が基板56を介在してケーブル4を分岐し、そのケーブル4の一部の導線にコネクタ部を接続する構成とすれば、そのコネクタ部を利用してケーブルに他のケーブルや電子装置を容易に接続することができ、ケーブル装置2の多機能化を実現することができる。
(9) 実施形態では、筐体10に設置された基板56にコネクタ部64を設置した構成としたが、基板56からケーブルを引き出し、そのケーブルにコネクタ部や他の電子装置を接続してもよい。
(10) 実施形態では、巻枠20のケーブル4の巻回始点部42を中フランジ部32を貫通させて設置しているので、ケーブル4の巻回始点部42を容易に移動させることができ、ケーブル4の全長の所望の位置にケーブル装置2の筐体10を移動させることができる。
(11) 筐体10に進退自在に巻取ノブ22が取り付けられるとともに、巻芯部28と巻取ノブ22との間にクラッチ機構50を備え、巻取ノブ22の引出しにより巻枠20の巻芯部28に巻取ノブ22の連結部48が連結される構成としたので、巻取ノブ22が引き出されたときのみ、ケーブル4を巻き取ることができ、巻取ノブ22を後退させたとき、ケーブル4の巻取りを解除することができ、不用意にケーブル4が出入れされることがない。
(12) 実施形態では、単一のケーブル4の収納について説明したが、巻枠20の各巻取部36、38のそれぞれにケーブルを巻き付ける等、複数のケーブルを収納するように構成してもよい。この場合、巻枠20の巻取部36、38の巻芯部28を同径に設定したが、その直径の変更により、ケーブルの巻回量を異ならせてもよい。このような巻芯部28の直径の変更は、単一のケーブル4について行ってもよく、その場合、巻取量が変更されるので、それに応じてケーブル4に対する筐体10の位置を調節することができる。
(13) 実施形態では、筐体10の収納部12、14の内壁面等にケーブルガイド部としてガイドローラやガイド突部を設けてもよく、このようなケーブルガイド部を設置すれば、移動するケーブル4を滑らかに巻回し、又は巻き戻すことができる。
そして、以上述べたように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための最良の形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、係る変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明のケーブル装置は、使用時にはケーブル及びコネクタ部を筐体から引き出し、ケーブルの非使用時や使用時でも不必要な長さ分を筐体内に巻き取って収納することができ、ケーブル及びコネクタ部の引出し及び収納を容易に行えるとともに、非使用時、筐体でケーブル及びコネクタ部を防護でき、利便性に優れたケーブル装置を実現でき、有用である。
本発明のケーブル装置は、操作時に筐体から操作部を引き上げて巻取機構を操作し、非操作時に筐体側にその操作部を引き下げることができ、非操作時のコンパクト化が図られ、操作時には巻取操作の操作性を高めることができ、ケーブルの巻取操作が容易で、コンパクト化を図ることができる。
本発明のケーブル装置は、各種電子装置に接続されるケーブルのコンパクト化を図ることができ、電子装置の機能性の向上に寄与することができる。
本発明のケーブル装置は、操作時に筐体から操作部を引き上げて巻取機構を操作し、非操作時に筐体側にその操作部を引き下げることができ、非操作時のコンパクト化が図られ、操作時には巻取操作の操作性を高めることができ、ケーブルの巻取操作が容易で、コンパクト化を図ることができる。
本発明のケーブル装置は、各種電子装置に接続されるケーブルのコンパクト化を図ることができ、電子装置の機能性の向上に寄与することができる。
Claims (10)
- 電子装置の接続に用いられるケーブル装置であって、
前記電子装置に接続されるコネクタ部を有するケーブルを収納する筐体と、
この筐体内に前記ケーブルを巻き取って収納させる巻取機構と、
この巻取機構に回転力を付与して前記巻取機構に前記ケーブルを巻き取らせる操作部と、
を備え、前記操作部は、操作時に前記筐体から引き上げられて前記巻取機構に前記ケーブルを巻き取らせ、非操作時に前記筐体側に引き下げられる構成としたケーブル装置。 - 前記巻取機構は、前記操作部により回転して巻芯部の中途部にフランジ部を設けて複数の巻取部が区画された巻枠を備え、この巻枠の前記巻取部のそれぞれに前記ケーブルを巻き取る構成とした請求の範囲1記載のケーブル装置。
- 前記筐体に基板を備えるとともに、前記ケーブルに接続される接続部を備える構成とした請求の範囲1記載のケーブル装置。
- 前記筐体は、外部の支持部材に支持させる支持部を備える構成とした請求の範囲1記載のケーブル装置。
- 前記筐体に進退自在に前記操作部が取り付けられるとともに、前記巻取部と前記操作部との間にクラッチ部を備え、前記操作部の引出しにより前記巻取部に前記操作部が連結される構成とした請求の範囲1記載のケーブル装置。
- 前記接続部は、前記基板を介在して分岐又は接続されたコネクタ部である構成とした請求の範囲3記載のケーブル装置。
- 前記筐体内に前記ケーブルを巻き取る2以上の巻取部を、その軸方向に設置する構成とした請求の範囲1記載のケーブル装置。
- 前記筐体は、その外面部に前記筐体を立てて支持するスタンド部を備える構成とした請求の範囲1記載のケーブル装置。
- 前記筐体は、その外部面に前記筐体を支持部材に支持させるクリップ部を備える構成とした請求の範囲1記載のケーブル装置。
- 前記筐体は、前記ケーブルの前記コネクタ部を収納する収納部を備える構成とした請求の範囲1記載のケーブル装置。
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