JPWO2004108921A1 - 核酸導入法 - Google Patents
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Abstract
(a)核酸、高張液および細胞を接触させる工程、および(b)前記(a)工程の後、高張液の浸透圧を低下させる工程、を含む核酸導入法、およびオリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を成分として含有する核酸導入用試薬を提供する。
Description
本発明は、新規な核酸導入法に関する。より詳細には、本発明は、浸透圧の差を利用した新規な核酸導入法に関する。
アンチセンス核酸、短い干渉RNA(siRNA)などのオリゴヌクレオチドの細胞への効率的な導入は、これらの分子を用いた遺伝子機能解析において極めて重要である。従来の遺伝子導入法は、機能性分子の負電荷と細胞膜の負電荷およびそれらとイオン結合するカチオンリポソーム(Felgner,et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)、Invitrogen社,FOCUS,Vol.21,No.3(1999))やポリエチレンイミン(Boussif,et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,7297(1995))などの正電荷をもった運搬担体の複合体を細胞へ導入する方法や、細胞透過性ペプチドとオリゴヌクレオチドを共有結合させた融合分子を導入する方法(Thoren et al,FEBS Letters,482,265(2000)、Nagahara,et al,Nature medicine,4,1449(1998))、細胞に一過性に電気的に穴をあけて細胞へ導入する方法(Neumann,et al,EMBO J,1,841(1982))などであった。
正電荷をもった運搬担体との複合体を用いる導入法は接着培養細胞株への導入効率は概ね良好であるが、オリゴヌクレオチド−運搬担体複合体の細胞外から細胞内への取り込みにおいては細胞内在性の取り込み機構を用いるため、取り込み活性の低い細胞への導入は困難であった。また、運搬担体自身に細胞毒性や免疫アジュバント活性があるため、リンパ球などの浮遊細胞や初代培養細胞への導入は困難であった。細胞透過性ペプチドとオリゴヌクレオチドを共有結合させた融合分子を導入する方法では、共有結合形成反応効率の問題や反応の煩雑さに加え、オリゴヌクレオチドだけの作用ではなく、細胞透過性ペプチドと機能性分子の共有結合体としての作用しか観察することができないなどの問題があった。また細胞に一過性に電気的に穴をあけて機能性分子を導入する方法は、電気パルスのため細胞が極度のダメージを受け、多くの細胞が破裂してしまう問題などがあった。このように従来の核酸導入法は各々問題点があるため、細胞種を問わず効率良く核酸を導入することの可能な新たな核酸導入法が望まれている状況にあった。
正電荷をもった運搬担体との複合体を用いる導入法は接着培養細胞株への導入効率は概ね良好であるが、オリゴヌクレオチド−運搬担体複合体の細胞外から細胞内への取り込みにおいては細胞内在性の取り込み機構を用いるため、取り込み活性の低い細胞への導入は困難であった。また、運搬担体自身に細胞毒性や免疫アジュバント活性があるため、リンパ球などの浮遊細胞や初代培養細胞への導入は困難であった。細胞透過性ペプチドとオリゴヌクレオチドを共有結合させた融合分子を導入する方法では、共有結合形成反応効率の問題や反応の煩雑さに加え、オリゴヌクレオチドだけの作用ではなく、細胞透過性ペプチドと機能性分子の共有結合体としての作用しか観察することができないなどの問題があった。また細胞に一過性に電気的に穴をあけて機能性分子を導入する方法は、電気パルスのため細胞が極度のダメージを受け、多くの細胞が破裂してしまう問題などがあった。このように従来の核酸導入法は各々問題点があるため、細胞種を問わず効率良く核酸を導入することの可能な新たな核酸導入法が望まれている状況にあった。
本発明は、新規な核酸導入法を提供することを目的とする。より詳細には、本発明は浸透圧の差を利用した新規な核酸導入法を提供することを目的とする。
発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、運搬担体、細胞透過性ペプチド、電気パルスに依らない核酸の細胞への効率的な導入法を開発することに成功した。すなわち本発明は、細胞外液と細胞内液の浸透圧差を利用し、細胞が外界の溶液を摂取する現象の一つとして知られるpinocytosis(飲作用)を促進し、オリゴヌクレオチド等核酸の細胞への効率的な導入を可能にしたものである。
これまでpinocytosisを利用して細胞内へ低分子化合物や蛋白質を導入した報告はなされていた(Craig Y Okada et al.,Cell,29,33−41,1982)。しかしながら現在では既に陳腐化した技術となっており、核酸の導入に用いられた報告もない。
本発明者らは浸透圧差を利用した核酸を導入する方法につき検討した。すなわち(1)核酸を含有する高張液と細胞とを接触させてpinocytosisにより核酸を細胞内に取り込ませ、(2)その後前記高張液の浸透圧を低下させて細胞内でpinocytic vesicleを破裂・核酸を細胞内に放出させることにより、核酸を導入する方法につき鋭意検討を行った。その結果驚くべきことに、本方法を用いることにより、従来にない高い効率で核酸を導入できることを見出した。しかも、従来技術では導入が極めて困難であった細胞種へのオリゴヌクレオチドの効率的な導入が可能であることを見出した。また本方法は従来使用していたアジュバント(リポソーム、ポリエチレンイミン等)を使用しない方法であるため、従来法の問題点であった細胞毒性や免疫アジュバント活性も認められない。そのため接着性細胞株だけでなく、細胞毒性への感受性が高い初代培養細胞やリンパ球へのオリゴヌクレオチドの効率的な導入が可能となった。
本発明はかかる知見を基礎にして完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げるものである:
(1) 以下の工程(a)及び(b)を含む核酸導入法:
(a)核酸、高張液および細胞を接触させる工程、
(b)前記(a)の工程の後、高張液の浸透圧を低下させる工程、
(2) 前記工程(b)において、低張液と細胞とを接触させることにより浸透圧を低下させる、前記(1)記載の核酸導入法、
(3) 核酸がオリゴヌクレチドである、前記(1)または(2)記載の核酸導入法、
(4) オリゴヌクレオチドが、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチドまたはそれらの類縁体である、前記(3)記載の核酸導入法、
(5) オリゴヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド、2’−O−(2−メトキシ)エチル−修飾核酸(2’−MOE−修飾核酸)、短い干渉RNA(siRNA)、架橋型核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)またはモルフォリノ・アンチセンス核酸である、前記(3)又は(4)記載の核酸導入法、
(6) 高張液がオリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を含有する、前記(1)〜(5)いずれか記載の核酸導入法、
(7) オリゴ糖が二糖類である、前記(6)記載の核酸導入法、
(8) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(7)記載の核酸導入法、
(9) 多価アルコールがジオール、トリオール、ポリオールまたは糖アルコールである、前記(6)記載の核酸導入法、
(10) ジオールがグリコール誘導体である、前記(9)記載の核酸導入法、
(11) トリオールがグリセリン誘導体である、前記(9)記載の核酸導入法、
(12) ポリオールがポリグリコール誘導体である、前記(9)記載の核酸導入法、
(13) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(9)記載の核酸導入法、
(14) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(13)記載の核酸導入法、
(15) グリコール誘導体がエチレングリコールである、前記(10)記載の核酸導入法、
(16) グリセリン誘導体がグリセリンである、前記(11)記載の核酸導入法、
(17) ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、前記(12)記載の核酸導入法、
(18) ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、前記(17)記載の核酸導入法、
(19) ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、前記(18)記載の核酸導入法、
(20) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(13)記載の核酸導入法、
(21) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(14)記載の核酸導入法、
(22) 高張液が、(a)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(b)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有する、前記(6)記載の核酸導入法、
(23) オリゴ糖が二糖類である、前記(22)記載の核酸導入法、
(24) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(23)記載の核酸導入法、
(25) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(22)記載の核酸導入法、
(26) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(25)記載の核酸導入法、
(27) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(25)記載の核酸導入法、
(28) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(26)記載の核酸導入法、
(29) ジオールがグリコール誘導体である、前記(22)記載の核酸導入法、
(30) トリオールがグリセリン誘導体である、前記(22)記載の核酸導入法、
(31) ポリオールがポリグリコール誘導体である、前記(22)記載の核酸導入法、
(32) グリコール誘導体がエチレングリコールである、前記(29)記載の核酸導入法、
(33) グリセリン誘導体がグリセリンである、前記(30)記載の核酸導入法、
(34) ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、前記(31)記載の核酸導入法、
(35) ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、前記(34)記載の核酸導入法、
(36) ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、前記(35)記載の核酸導入法、
(37) 高張液が、(a)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(b)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを含有する、前記(22)記載の核酸導入法、
(38) 高張液が、(a)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(b)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを含有する、前記(37)記載の核酸導入法、
(39) 高張液がオリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質を含有する、前記(6)記載の核酸導入法、
(40) オリゴ糖が二糖類である、前記(39)記載の核酸導入法、
(41) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(40)記載の核酸導入法、
(42) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(39)記載の核酸導入法、
(43) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(42)記載の核酸導入法、
(44) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(42)記載の核酸導入法、
(45) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(43)記載の核酸導入法、
(46) 高張液がショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを含有する、前記(39)記載の核酸導入法、
(47) 高張液中に存在するオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内である、前記(1)〜(46)いずれか記載の核酸導入法、
(48) 高張液中に存在するオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.5M〜2.1Mの範囲内である、前記(47)記載の核酸導入法、
(49) 低張液の浸透圧が等張以下である、前記(2)〜(48)いずれか記載の核酸導入法、
(50) オリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を成分として含有する、核酸導入用試薬、
(51) 前記(1)〜(49)いずれか記載の核酸導入法のために用いられる、前記(50)記載の核酸導入用試薬、
(52) オリゴ糖が二糖類である、前記(50)または(51)記載の核酸導入用試薬、
(53) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(52)記載の核酸導入用試薬、
(54) 多価アルコールがジオール、トリオール、ポリオールまたは糖アルコールである、前記(50)または(51)記載の核酸導入用試薬、
(55) ジオールがグリコール誘導体である、前記(54)記載の核酸導入用試薬、
(56) トリオールがグリセリン誘導体である、前記(54)記載の核酸導入用試薬、
(57) ポリオールがポリグリコール誘導体である、前記(54)記載の核酸導入用試薬、
(58) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(54)記載の核酸導入用試薬、
(59) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(58)記載の核酸導入用試薬、
(60) グリコール誘導体がエチレングリコールである、前記(55)記載の核酸導入用試薬、
(61) グリセリン誘導体がグリセリンである、前記(56)記載の核酸導入用試薬、
(62) ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、前記(57)記載の核酸導入用試薬、
(63) ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、前記(62)記載の核酸導入用試薬、
(64) ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、前記(63)記載の核酸導入用試薬、
(65) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(58)記載の核酸導入用試薬、
(66) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(59)記載の核酸導入用試薬、
(67) (a)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(b)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを成分として含有する、前記(50)または(51)記載の核酸導入用試薬、
(68) オリゴ糖が二糖類である、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(69) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(68)記載の核酸導入用試薬、
(70) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(71) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(70)記載の核酸導入用試薬、
(72) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(70)記載の核酸導入用試薬、
(73) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(71)記載の核酸導入用試薬、
(74) ジオールがグリコール誘導体である、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(75) トリオールがグリセリン誘導体である、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(76) ポリオールがポリグリコール誘導体である、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(77) グリコール誘導体がエチレングリコールである、前記(74)記載の核酸導入用試薬、
(78) グリセリン誘導体がグリセリンである、前記(75)記載の核酸導入用試薬、
(79) ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、前記(76)記載の核酸導入用試薬、
(80) ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、前記(79)記載の核酸導入用試薬、
(81) ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、前記(80)記載の核酸導入用試薬、
(82) (a)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(b)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを成分として含有する、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(83) (a)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(b)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを成分として含有する、前記(82)記載の核酸導入用試薬、
(84) オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質を成分として含有する、前記(50)または(51)記載の核酸導入用試薬、
(85) オリゴ糖が二糖類である、前記(84)記載の核酸導入法、
(86) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(85)記載の核酸導入用試薬、
(87) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(84)記載の核酸導入用試薬、
(88) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(87)記載の核酸導入用試薬、
(89) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(87)記載の核酸導入用試薬、
(90) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(88)記載の核酸導入用試薬、
(91) ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを成分として含有する、前記(84)記載の核酸導入用試薬、
(92) 成分が固体または液体の形状にある、前記(50)〜(91)いずれか記載の核酸導入用試薬、
(93) オリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の成分を含有する場合に、各成分が各々独立した固体または液体の形状にある、前記(92)記載の核酸導入用試薬、
(94) 高張液中でのオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内になるようにあらかじめ調製された、前記(50)〜(93)いずれか記載の核酸導入用試薬、
(95) 高張液中でのオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.5M〜2.1Mの範囲内になるようにあらかじめ調製された、前記(94)記載の核酸導入用試薬、
(96) 前記(50)〜(95)いずれか記載の試薬を含有する核酸導入用キット、
(97) 前記(50)〜(96)いずれか記載の試薬またはキットの、核酸導入における使用、
(98) 前記(50)〜(96)いずれか記載の試薬またはキットを成分とする核酸導入剤、
(99) 前記(1)〜(49)いずれか記載の導入法により核酸が導入された細胞、
(100) 前記(1)〜(49)いずれか記載の導入法により核酸が導入された、マクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞、
(101) 前記(99)または(100)記載の細胞から調製された細胞由来のRNAまたはタンパク質、ならびに
(102) 前記(99)または(100)記載の細胞、若しくは前記(101)記載のRNAまたはタンパク質を用いることを特徴とする、導入した核酸に関連する遺伝子またはタンパク質の機能解析方法。
発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、運搬担体、細胞透過性ペプチド、電気パルスに依らない核酸の細胞への効率的な導入法を開発することに成功した。すなわち本発明は、細胞外液と細胞内液の浸透圧差を利用し、細胞が外界の溶液を摂取する現象の一つとして知られるpinocytosis(飲作用)を促進し、オリゴヌクレオチド等核酸の細胞への効率的な導入を可能にしたものである。
これまでpinocytosisを利用して細胞内へ低分子化合物や蛋白質を導入した報告はなされていた(Craig Y Okada et al.,Cell,29,33−41,1982)。しかしながら現在では既に陳腐化した技術となっており、核酸の導入に用いられた報告もない。
本発明者らは浸透圧差を利用した核酸を導入する方法につき検討した。すなわち(1)核酸を含有する高張液と細胞とを接触させてpinocytosisにより核酸を細胞内に取り込ませ、(2)その後前記高張液の浸透圧を低下させて細胞内でpinocytic vesicleを破裂・核酸を細胞内に放出させることにより、核酸を導入する方法につき鋭意検討を行った。その結果驚くべきことに、本方法を用いることにより、従来にない高い効率で核酸を導入できることを見出した。しかも、従来技術では導入が極めて困難であった細胞種へのオリゴヌクレオチドの効率的な導入が可能であることを見出した。また本方法は従来使用していたアジュバント(リポソーム、ポリエチレンイミン等)を使用しない方法であるため、従来法の問題点であった細胞毒性や免疫アジュバント活性も認められない。そのため接着性細胞株だけでなく、細胞毒性への感受性が高い初代培養細胞やリンパ球へのオリゴヌクレオチドの効率的な導入が可能となった。
本発明はかかる知見を基礎にして完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げるものである:
(1) 以下の工程(a)及び(b)を含む核酸導入法:
(a)核酸、高張液および細胞を接触させる工程、
(b)前記(a)の工程の後、高張液の浸透圧を低下させる工程、
(2) 前記工程(b)において、低張液と細胞とを接触させることにより浸透圧を低下させる、前記(1)記載の核酸導入法、
(3) 核酸がオリゴヌクレチドである、前記(1)または(2)記載の核酸導入法、
(4) オリゴヌクレオチドが、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチドまたはそれらの類縁体である、前記(3)記載の核酸導入法、
(5) オリゴヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド、2’−O−(2−メトキシ)エチル−修飾核酸(2’−MOE−修飾核酸)、短い干渉RNA(siRNA)、架橋型核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)またはモルフォリノ・アンチセンス核酸である、前記(3)又は(4)記載の核酸導入法、
(6) 高張液がオリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を含有する、前記(1)〜(5)いずれか記載の核酸導入法、
(7) オリゴ糖が二糖類である、前記(6)記載の核酸導入法、
(8) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(7)記載の核酸導入法、
(9) 多価アルコールがジオール、トリオール、ポリオールまたは糖アルコールである、前記(6)記載の核酸導入法、
(10) ジオールがグリコール誘導体である、前記(9)記載の核酸導入法、
(11) トリオールがグリセリン誘導体である、前記(9)記載の核酸導入法、
(12) ポリオールがポリグリコール誘導体である、前記(9)記載の核酸導入法、
(13) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(9)記載の核酸導入法、
(14) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(13)記載の核酸導入法、
(15) グリコール誘導体がエチレングリコールである、前記(10)記載の核酸導入法、
(16) グリセリン誘導体がグリセリンである、前記(11)記載の核酸導入法、
(17) ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、前記(12)記載の核酸導入法、
(18) ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、前記(17)記載の核酸導入法、
(19) ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、前記(18)記載の核酸導入法、
(20) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(13)記載の核酸導入法、
(21) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(14)記載の核酸導入法、
(22) 高張液が、(a)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(b)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有する、前記(6)記載の核酸導入法、
(23) オリゴ糖が二糖類である、前記(22)記載の核酸導入法、
(24) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(23)記載の核酸導入法、
(25) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(22)記載の核酸導入法、
(26) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(25)記載の核酸導入法、
(27) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(25)記載の核酸導入法、
(28) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(26)記載の核酸導入法、
(29) ジオールがグリコール誘導体である、前記(22)記載の核酸導入法、
(30) トリオールがグリセリン誘導体である、前記(22)記載の核酸導入法、
(31) ポリオールがポリグリコール誘導体である、前記(22)記載の核酸導入法、
(32) グリコール誘導体がエチレングリコールである、前記(29)記載の核酸導入法、
(33) グリセリン誘導体がグリセリンである、前記(30)記載の核酸導入法、
(34) ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、前記(31)記載の核酸導入法、
(35) ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、前記(34)記載の核酸導入法、
(36) ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、前記(35)記載の核酸導入法、
(37) 高張液が、(a)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(b)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを含有する、前記(22)記載の核酸導入法、
(38) 高張液が、(a)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(b)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを含有する、前記(37)記載の核酸導入法、
(39) 高張液がオリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質を含有する、前記(6)記載の核酸導入法、
(40) オリゴ糖が二糖類である、前記(39)記載の核酸導入法、
(41) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(40)記載の核酸導入法、
(42) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(39)記載の核酸導入法、
(43) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(42)記載の核酸導入法、
(44) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(42)記載の核酸導入法、
(45) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(43)記載の核酸導入法、
(46) 高張液がショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを含有する、前記(39)記載の核酸導入法、
(47) 高張液中に存在するオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内である、前記(1)〜(46)いずれか記載の核酸導入法、
(48) 高張液中に存在するオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.5M〜2.1Mの範囲内である、前記(47)記載の核酸導入法、
(49) 低張液の浸透圧が等張以下である、前記(2)〜(48)いずれか記載の核酸導入法、
(50) オリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を成分として含有する、核酸導入用試薬、
(51) 前記(1)〜(49)いずれか記載の核酸導入法のために用いられる、前記(50)記載の核酸導入用試薬、
(52) オリゴ糖が二糖類である、前記(50)または(51)記載の核酸導入用試薬、
(53) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(52)記載の核酸導入用試薬、
(54) 多価アルコールがジオール、トリオール、ポリオールまたは糖アルコールである、前記(50)または(51)記載の核酸導入用試薬、
(55) ジオールがグリコール誘導体である、前記(54)記載の核酸導入用試薬、
(56) トリオールがグリセリン誘導体である、前記(54)記載の核酸導入用試薬、
(57) ポリオールがポリグリコール誘導体である、前記(54)記載の核酸導入用試薬、
(58) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(54)記載の核酸導入用試薬、
(59) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(58)記載の核酸導入用試薬、
(60) グリコール誘導体がエチレングリコールである、前記(55)記載の核酸導入用試薬、
(61) グリセリン誘導体がグリセリンである、前記(56)記載の核酸導入用試薬、
(62) ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、前記(57)記載の核酸導入用試薬、
(63) ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、前記(62)記載の核酸導入用試薬、
(64) ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、前記(63)記載の核酸導入用試薬、
(65) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(58)記載の核酸導入用試薬、
(66) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(59)記載の核酸導入用試薬、
(67) (a)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(b)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを成分として含有する、前記(50)または(51)記載の核酸導入用試薬、
(68) オリゴ糖が二糖類である、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(69) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(68)記載の核酸導入用試薬、
(70) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(71) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(70)記載の核酸導入用試薬、
(72) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(70)記載の核酸導入用試薬、
(73) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(71)記載の核酸導入用試薬、
(74) ジオールがグリコール誘導体である、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(75) トリオールがグリセリン誘導体である、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(76) ポリオールがポリグリコール誘導体である、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(77) グリコール誘導体がエチレングリコールである、前記(74)記載の核酸導入用試薬、
(78) グリセリン誘導体がグリセリンである、前記(75)記載の核酸導入用試薬、
(79) ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、前記(76)記載の核酸導入用試薬、
(80) ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、前記(79)記載の核酸導入用試薬、
(81) ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、前記(80)記載の核酸導入用試薬、
(82) (a)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(b)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを成分として含有する、前記(67)記載の核酸導入用試薬、
(83) (a)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(b)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを成分として含有する、前記(82)記載の核酸導入用試薬、
(84) オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質を成分として含有する、前記(50)または(51)記載の核酸導入用試薬、
(85) オリゴ糖が二糖類である、前記(84)記載の核酸導入法、
(86) 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、前記(85)記載の核酸導入用試薬、
(87) 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、前記(84)記載の核酸導入用試薬、
(88) オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、前記(87)記載の核酸導入用試薬、
(89) 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、前記(87)記載の核酸導入用試薬、
(90) 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、前記(88)記載の核酸導入用試薬、
(91) ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを成分として含有する、前記(84)記載の核酸導入用試薬、
(92) 成分が固体または液体の形状にある、前記(50)〜(91)いずれか記載の核酸導入用試薬、
(93) オリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の成分を含有する場合に、各成分が各々独立した固体または液体の形状にある、前記(92)記載の核酸導入用試薬、
(94) 高張液中でのオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内になるようにあらかじめ調製された、前記(50)〜(93)いずれか記載の核酸導入用試薬、
(95) 高張液中でのオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.5M〜2.1Mの範囲内になるようにあらかじめ調製された、前記(94)記載の核酸導入用試薬、
(96) 前記(50)〜(95)いずれか記載の試薬を含有する核酸導入用キット、
(97) 前記(50)〜(96)いずれか記載の試薬またはキットの、核酸導入における使用、
(98) 前記(50)〜(96)いずれか記載の試薬またはキットを成分とする核酸導入剤、
(99) 前記(1)〜(49)いずれか記載の導入法により核酸が導入された細胞、
(100) 前記(1)〜(49)いずれか記載の導入法により核酸が導入された、マクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞、
(101) 前記(99)または(100)記載の細胞から調製された細胞由来のRNAまたはタンパク質、ならびに
(102) 前記(99)または(100)記載の細胞、若しくは前記(101)記載のRNAまたはタンパク質を用いることを特徴とする、導入した核酸に関連する遺伝子またはタンパク質の機能解析方法。
図1は、本発明核酸導入法(上段)、Oligofectamine法(中段)およびポリエチレンイミン法(下段)によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入結果を示す。図中、左側は導入細胞の明視野像を、また右側は蛍光視野像を示す。
図2は、本発明核酸導入法によりRAW264.7細胞にTLR4 siRNAを導入し、定量的PCRによりsiRNA効果を測定した結果を示す。図中、TLR4 siRNAはTLR4 siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、GAPDH mRNA量でノーマライズ後のTLR4 mRNA相対量を示す。
図3は、本発明核酸導入法によりRAW264.7細胞にTLR4 siRNAを導入し、LPSまたはGLA−60刺激によるTNFα産生の抑制効果を測定した結果を示す。図中、TLR4 siRNAはTLR4 siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、TNFα産生量を示す。
図4は、本発明核酸導入法によりRAW264.7細胞にFITC標識オリゴヌクレオチドを導入し、導入効率(上図)および細胞毒性(下図)を測定した結果を示す。横軸は導入効率のマーカーFITCの蛍光量(上図)および細胞毒性のマーカー7AADの蛍光量(下図)を示し、縦軸はEvent数を示す。
図5は、RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を測定した結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図6は、RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するショ糖と多価アルコール(PEG)の組み合わせが細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を測定した結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図7は、RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するソルビトールと多価アルコール(PEG)の組み合わせが細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を測定した結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図8は、DO11.10細胞を用いて、本発明核酸導入法が電荷を持たない核酸にも適用できるかどうかを検討した結果を示す。上図は電荷を持たない核酸アナログであるモルフォリノ・アンチセンス核酸を導入した結果を示し、下図は電荷を持つ核酸アナログであるホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドを導入した結果を示す。上図中、横軸は導入マーカーFluoresceinの蛍光量を示し、縦軸はEvent数を示す。下図中、横軸は導入マーカーFITCの蛍光量を示し、縦軸はEvent数を示す。
図9は、DO11.10細胞を用いて、本発明核酸導入法によるsiRNAの反復導入の効果を調べた結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図10は、本発明核酸導入法によりラット初代培養分化脂肪細胞にsiRNAを導入し、導入効率(ノックダウン活性)を測定した結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図11は、本発明核酸導入法によりRAW264.7細胞にsiRNAを反復導入し、導入効率(ノックダウン活性)をタンパクレベルで測定した結果を示す。図中、CtrlはネガティブコントロールsiRNAを示し、TLR2はTLR2に対するsiRNAを示す。またAnti−TLR2は抗TLR2抗体によって検出されたTLR2蛋白質を示し、Anti−GAPDHは抗GAPDH抗体によって検出されたGAPDH蛋白質を示す。
図2は、本発明核酸導入法によりRAW264.7細胞にTLR4 siRNAを導入し、定量的PCRによりsiRNA効果を測定した結果を示す。図中、TLR4 siRNAはTLR4 siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、GAPDH mRNA量でノーマライズ後のTLR4 mRNA相対量を示す。
図3は、本発明核酸導入法によりRAW264.7細胞にTLR4 siRNAを導入し、LPSまたはGLA−60刺激によるTNFα産生の抑制効果を測定した結果を示す。図中、TLR4 siRNAはTLR4 siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、TNFα産生量を示す。
図4は、本発明核酸導入法によりRAW264.7細胞にFITC標識オリゴヌクレオチドを導入し、導入効率(上図)および細胞毒性(下図)を測定した結果を示す。横軸は導入効率のマーカーFITCの蛍光量(上図)および細胞毒性のマーカー7AADの蛍光量(下図)を示し、縦軸はEvent数を示す。
図5は、RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を測定した結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図6は、RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するショ糖と多価アルコール(PEG)の組み合わせが細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を測定した結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図7は、RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するソルビトールと多価アルコール(PEG)の組み合わせが細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を測定した結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図8は、DO11.10細胞を用いて、本発明核酸導入法が電荷を持たない核酸にも適用できるかどうかを検討した結果を示す。上図は電荷を持たない核酸アナログであるモルフォリノ・アンチセンス核酸を導入した結果を示し、下図は電荷を持つ核酸アナログであるホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドを導入した結果を示す。上図中、横軸は導入マーカーFluoresceinの蛍光量を示し、縦軸はEvent数を示す。下図中、横軸は導入マーカーFITCの蛍光量を示し、縦軸はEvent数を示す。
図9は、DO11.10細胞を用いて、本発明核酸導入法によるsiRNAの反復導入の効果を調べた結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図10は、本発明核酸導入法によりラット初代培養分化脂肪細胞にsiRNAを導入し、導入効率(ノックダウン活性)を測定した結果を示す。図中、GAPDH siRNAはGAPDH siRNAを導入した結果を示し、Negative Control siRNAはネガティブコントロールであるsiRNAを導入した結果を示す。また縦軸は、Cyclophilin mRNA量でノーマライズ後のGAPDH mRNA相対量を示す。
図11は、本発明核酸導入法によりRAW264.7細胞にsiRNAを反復導入し、導入効率(ノックダウン活性)をタンパクレベルで測定した結果を示す。図中、CtrlはネガティブコントロールsiRNAを示し、TLR2はTLR2に対するsiRNAを示す。またAnti−TLR2は抗TLR2抗体によって検出されたTLR2蛋白質を示し、Anti−GAPDHは抗GAPDH抗体によって検出されたGAPDH蛋白質を示す。
本発明は、少なくとも以下の工程(a)及び(b):
(a)核酸、高張液および細胞を接触させる工程、
(b)前記(a)の工程の後、高張液の浸透圧を低下させる工程、
を含む核酸導入法を提供する。
工程(a)において用いられる核酸は、方法の原理上、その種類に制限は無くどのような核酸であっても導入対象として用いることができる。すなわちオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのいずれであっても良く、また一本鎖・二本鎖およびこれらの類縁体のいずれの形態であっても良い。本発明の核酸が一本鎖である場合、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれも用いることができる。さらに本発明の核酸がポリヌクレオチドの場合、プラスミドの形態であっても良い。
本発明の核酸として好ましくはオリゴヌクレオチドを挙げることができる。方法の原理上、導入するオリゴヌクレオチドの種類に制限はなく、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチドまたはこれらの類縁体のいずれも用いることができる。具体的には、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(実施例1等参照)、2’−O−(2−メトキシ)エチル−修飾核酸(2’−MOE−修飾核酸)、短い干渉RNA(small interfering RNA:siRNA、実施例2及び3参照)、架橋型核酸(Locked Nucleic Acid:LNA;Singh,et al,Chem.Commun.,455,1998)、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid:PNA;Nielsen,et al.,Science,254,1497,1991)、またはモルフォリノ・アンチセンス核酸(Morpholino antisense;Summerton and Weller,Antisense & Nucleic Acid Drug Development,7,187,1997)などを例示することができる。
本発明の核酸の高張液中での濃度は、細胞への導入が可能な濃度であれば如何なる濃度であっても良いが、通常は0.01μM〜1mMの範囲を、好ましくは1μM〜100μMの範囲を挙げることができる。
工程(a)において用いられる高張液は、等張以上の浸透圧を保ち、かつ核酸を含有する当該高張液と細胞とを接触させることにより細胞内への核酸の取り込みを可能とするような溶液であれば、如何なる溶液であっても、本発明の高張液として使用することができる。好ましくは、オリゴ糖類又は多価アルコール類に属する少なくとも1種(1つ)の物質を含有する高張液が挙げられる。
ここでオリゴ糖とは具体的には二糖類、三糖類、四糖類、五糖類または十糖類が挙げられ、好ましくは二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖または乳糖が挙げられる。
また前記で多価アルコールとは具体的にはジオール、トリオール、ポリオール、糖アルコールが挙げられる。より好ましくはトリオール、ポリオールまたは糖アルコールが挙げられる。
ここでジオールとしては、グリコール誘導体が挙げられる。グリコール誘導体としてはエチレングリコールが例示される。
またトリオールとしては、グリセリン誘導体が挙げられる。グリセリン誘導体としては、グリセリンが挙げられる。
またポリオールとしては、ポリグリコール誘導体が挙げられる。ポリグリコール誘導体としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。
当該ポリエチレングリコールは、分子量2000以下のポリエチレングリコールであれば如何なる分子量のものであっても良い。具体的には、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540およびPEG2000が例示される。
前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
本発明の核酸導入法において用いられる高張液は、前記に挙げた種々のオリゴ糖類または多価アルコール類に属する物質を少なくとも1種含有していれば良い。具体的には、前記において列挙した物質、例えばショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノース、ロビノビオース、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量2000以下のPEG−例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000等)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールおよび還元パラチノース等の物質の中から、任意に選択した少なくとも1種の物質を含有していれば良い。より具体的には、前記列挙した物質の中から任意に選択した1種の物質、2種の物質、3種の物質、または4種以上の物質を含有する高張液が例示される。その際、当該高張液、核酸及び細胞を接触させた際に細胞内への核酸の取り込みを可能とするために、高張液中に存在するオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるように調製する必要がある。この範囲内であれば如何なるモル濃度であっても良いが、好ましくは0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1M、さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の核酸導入法において用いられる高張液は、前記のようにオリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種(1つ)の物質を含有していれば良い。当該物質は1種のみを含有していても良く、2種以上を含有していても良い。2種以上を含有する場合は、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有することが好ましい。
ここで用いられるオリゴ糖は、具体的には二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、または十糖類が挙げられ、好ましくは二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
前記でジオールとしては、グリコール誘導体が挙げられる。グリコール誘導体としては、エチレングリコールが挙げられる。
またトリオールとしては、グリセリン誘導体が挙げられる。グリセリン誘導体としては、グリセリンが挙げられる。
またポリオールとしては、ポリグリコール誘導体が挙げられる。ポリグリコール誘導体としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。
当該ポリエチレングリコールは、分子量2000以下のポリエチレングリコールであれば如何なる分子量のものであっても良い。具体的には、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540およびPEG2000が例示される。
以上のような(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有する本発明の高張液の好ましい組み合わせとしては、(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを含有する高張液が例示される。
より好ましくは、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する1種の物質とを含有する高張液が挙げられ、具体的には、(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを含有する高張液が例示される。
このようにオリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の物質を含有する本発明の高張液は、当該高張液中に存在するオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるように調製されていれば、成分の各々はどのようなモル濃度であっても良い。好ましくは総モル濃度0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1Mの範囲が挙げられる。さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の高張液がオリゴ糖又は多価アルコールに属する2種の物質を含有する場合、前記のように総モル濃度が前記の範囲内であれば各々の成分のモル濃度は如何なる値であっても良いが、例えば(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質のモル濃度が0.5M〜2Mの範囲であり、かつ(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する1種の物質のモル濃度が0.1Mである場合などを例示することができる。
本発明の核酸導入法において用いられる高張液が、オリゴ糖又は多価アルコールに属する物質を1種類のみ含有する場合は、オリゴ糖又は糖アルコールの中から選択することが好ましい。
ここで用いられるオリゴ糖は、具体的には二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、または十糖類が挙げられ、好ましくは二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
以上のような、オリゴ糖又は糖アルコールに属する物質を1種類のみ含有する本発明の高張液としては、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを含有する高張液が好ましい。
このようにオリゴ糖類または多価アルコール類に属する物質を1種類のみ含有する本発明の高張液は、当該高張液中に存在するオリゴ糖または多価アルコールのモル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるように調製されていれば良い。好ましくはモル濃度0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1Mの範囲が挙げられる。さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の高張液は、オリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を含有しており、かつ当該高張液と核酸及び細胞を接触させることにより細胞内への核酸の取り込みを可能とするような溶液であれば、如何なる溶液であっても、本発明の高張液として使用することができる。具体的には本発明の高張液は、培養液、緩衝液および/または血清を含有することが好ましく、培養液、緩衝液および血清のいずれも含有することがより好ましい。
ここで用いられる培養液は、各々の細胞に合った培養液であればどのような培養液であっても良い。例えばRPMI1640(Invitrogen社)、DULBECCO’S MODIFIED EAGLE MEDIA(Invitrogen社)、F−10 Nutrient Mixture(Invitrogen社)、F−12 Nutrient Mixture(Invitrogen社)、Iscove’s Modified Dulbecco’s Media(Invitrogen社)またはMINIMUM ESSENTIAL MEDIA(Invitrogen社)などが例示される。
また緩衝液としては、HEPES緩衝液(シグマ社)、TRIS緩衝液(シグマ社)、PBS緩衝液(Invitrogen社)などが例示される。高張液中の緩衝液の濃度はどのようなモル濃度であっても良い。好ましくはモル濃度0M〜1Mの範囲が挙げられ、より好ましくは1mM〜100mM、最も好ましくは1mM〜10mMの範囲が挙げられる。
また血清としては、ウシ胎児血清、ウシ血清、仔ウシ血清、ウマ血清などが例示される。高張液中の血清の濃度はどのような濃度であっても良い。好ましくは0〜20%(v/v)の範囲が挙げられ、より好ましくは5〜10%(v/v)の範囲が挙げられる。
本発明の高張液全体の総モル濃度は、等張〜3Mの範囲内であれば良い。
本発明の核酸導入法において用いられる細胞は、方法の原理上、適応細胞種に制限はない。すなわち実施例で示したように、本発明の核酸導入法は、これまで核酸導入が極めて困難であった種々の細胞種への核酸導入を可能とした。従って細胞種を制限することなく、本発明の核酸導入法を適用することができる。
具体的には、通常の核酸導入が容易な細胞は勿論のこと、ハイブリドーマ、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆褐色脂肪細胞、初代培養褐色脂肪細胞、初代培養前駆白色脂肪細胞、初代培養白色脂肪細胞または初代培養神経細胞等に対して本発明の核酸導入法を適用することができる。
さらに本発明の方法は、原理上細胞の由来する種にとらわれることなく、動物細胞だけでなく、プロトプラスト状態を含む植物細胞、昆虫細胞、線虫細胞などに対しても適応可能である。
本発明の核酸導入法は、(a)核酸、高張液および細胞を接触させた後に、(b)前記高張液の浸透圧を低下させることを特徴とする。
ここで前記(b)において高張液の浸透圧を低下させるためには、具体的には、等張液またはそれ以下の浸透圧の溶液(低張液)と細胞とを接触させれば良く、低張液と細胞とを接触させることにより浸透圧を低下させることがより好ましい。具体的な組成としては、例えば培地:水(好ましくはDEPC処理水)が6:4の比率で混合された低張液、または水(蒸留水、DEPC処理水等)を挙げることができる。
次に本発明の核酸導入法の具体例を示す。
まず導入対象となる細胞を培養する。培養は、各々の細胞に合った培養液を用いて通常の条件(37℃、5%CO2)下で培養すれば良い。また細胞数(密度)は、各々の細胞が良好に生育できる程度の細胞数であれば良い。
高張液および低張液は、前述した本発明の高張液および低張液の組成となるように適宜調製すれば良い。
細胞への核酸の導入は以下のようにして行う。まず細胞から培養上清を除き、核酸及び高張液を接触させる。接触のさせ方としては、最終的に高張液中で核酸と細胞とが接触するような方法であればどのようなものであっても良い。具体的には、核酸を含有する高張液を予め調製し、これを前記細胞に添加する方法や、細胞に対してまず核酸(核酸含有溶液)を添加し、その後高張液を添加する方法などが例示される。
その後細胞を適当な時間保温する。保温時間は2分〜20分程度が好ましく、10分〜15分程度がより好ましい。その後核酸を含有する高張液を除去し、低張液を添加する。または高張液を除去することなく水を添加して低張にしても良い。その後適当な時間保温しても良いし、また添加した低張液を除去した後ふたたび低張液を添加して適当な時間保温しても良い。保温時間は2分〜10分程度が好ましい。前記高張液、低張液を添加した後の保温温度は、液体状態を保つ温度であれば特に制限はないが、好ましくは0℃〜42℃の範囲が、より好ましくは室温〜37℃の範囲が挙げられる。
その後低張液を除去し、通常の増殖培地を添加する。以上の操作により、核酸の導入が達成される。なお、この導入操作は反復して行うことが出来る。
本発明の核酸導入法は、従来にない高い効率(50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上)でオリゴヌクレオチドを導入することができる。しかも、従来技術では極めて困難であった細胞種へのオリゴヌクレオチドの効率的な導入が可能である。また本方法は従来使用していたアジュバント(リポソーム、ポリエチレンイミン等)を使用しない方法であるため、従来法の問題点であった細胞毒性や免疫アジュバント活性も認められない。そのため接着性細胞株だけでなく、細胞毒性への感受性が高い初代培養細胞やリンパ球へもオリゴヌクレオチドを効率的に導入することができる。
本発明は、前記本発明の核酸導入法のために用いられる核酸導入用試薬を提供する。
本発明の核酸導入用試薬は、オリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を成分として含有することを特徴とする。
オリゴ糖及び多価アルコールは、従来公知の通常の手法にて調製することができる。
ここでオリゴ糖とは具体的には二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で多価アルコールとはジオール、トリオール、ポリオールまたは糖アルコールが挙げられる。より好ましくはトリオール、ポリオールまたは糖アルコールが挙げられる。
ここでジオールとしては、グリコール誘導体が挙げられる。グリコール誘導体としてはエチレングリコールが例示される。
またトリオールとしては、グリセリン誘導体が挙げられる。グリセリン誘導体としては、グリセリンが挙げられる。
またポリオールとしてはポリグリコール誘導体が挙げられる。ポリグリコール誘導体としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。
当該ポリエチレングリコールは、分子量2000以下のポリエチレングリコールであれば如何なる分子量のものであっても良い。具体的には、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540およびPEG2000が例示される。
前記で糖アルコールとしては単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。単糖アルコール類としてはマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
本発明の核酸導入用試薬は、前記に挙げた種々のオリゴ糖類または多価アルコール類に属する物質を少なくとも1種含有していれば良い。具体的には、前記において列挙した物質、例えばショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノース、ロビノビオース、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量2000以下のPEG−例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000等)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールおよび還元パラチノース等の物質の中から、任意に選択した少なくとも1種の物質を含有していれば良い。より具体的には、前記列挙した物質の中から任意に選択した1種の物質、2種の物質、3種の物質または4種以上の物質を含有していても良い。その際、本発明の核酸導入用試薬を用いて調製した高張液と核酸および細胞を接触させた際に細胞内への核酸の取り込みを可能とするために、高張液中に存在するオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるものであれば、本発明の核酸導入用試薬中の各成分の濃度はどのようなものであっても良い。なお高張液中のオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度は前記範囲内であれば如何なるモル濃度であっても良いが、好ましくは0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1M、さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の核酸導入用試薬は、前記のようにオリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種(1つ)の物質を含有していれば良い。当該物質は1種のみを含有していても良く、2種以上を含有していても良い。2種以上を含有する場合は、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種とを含有することが好ましい。
ここで用いられるオリゴ糖は、二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
前記でジオールとしては、グリコール誘導体が挙げられる。グリコール誘導体としては、エチレングリコールが挙げられる。
またトリオールとしては、グリセリン誘導体が挙げられる。グリセリン誘導体としては、グリセリンが挙げられる。
またポリオールとしては、ポリグリコール誘導体が挙げられる。ポリグリコール誘導体としては、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
当該ポリエチレングリコールは、分子量2000以下のポリエチレングリコールであれば如何なる分子量のものであっても良い。具体的には、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540およびPEG2000が例示される。
以上のような(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有する本発明の核酸導入用試薬の好ましい組み合わせとしては、(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを成分として含有する核酸導入用試薬が例示される。
より好ましくは、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する1種の物質とを含有する核酸導入用試薬が挙げられ、具体的には(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを成分として含有する核酸導入用試薬が例示される。
このようにオリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の物質を含有する本発明の核酸導入用試薬は、本発明の核酸導入用試薬を用いて調製した高張液(すなわち核酸導入時に用いられる本発明の高張液)と核酸および細胞を接触させた際に細胞内への核酸の取り込みを可能とするために、高張液中に存在するオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるものであれば、本発明の核酸導入用試薬中の各成分の濃度は、どのようなモル濃度であっても良い。好ましくは、高張液中のオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1M、さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の核酸導入試薬がオリゴ糖又は多価アルコールに属する2種の物質を含有する場合、前記のように高張液中でのこれら2種の成分の総モル濃度が前記の範囲内であれば、各々の成分のモル濃度は如何なる値であっても良いが、例えば、高張液中における(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質のモル濃度が0.5M〜2Mの範囲であり、かつ(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する1種の物質のモル濃度が0.1Mである場合などを例示することができる。
本発明の核酸導入用試薬が、オリゴ糖又は多価アルコールに属する物質を1種類のみ含有する場合は、オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質を含有することが好ましい。
ここで用いられるオリゴ糖は、具体的には二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、または十糖類が挙げられ、好ましくは二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
以上のような、オリゴ糖又は糖アルコールに属する物質を1種類のみ含有する本発明の核酸導入用試薬としては、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを含有することが好ましい。
このようにオリゴ糖類または多価アルコール類に属する物質を1種のみ含有する本発明の核酸導入用試薬は、本発明の核酸導入用試薬を用いて調製した高張液(すなわち核酸導入時に用いられる本発明の高張液)と核酸および細胞を接触させた際に細胞内への核酸の取り込みを可能とするために、高張液中に存在するオリゴ糖または多価アルコールのモル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるものであれば、本発明の核酸導入用試薬中の当該物質(成分)の濃度は、どのようなモル濃度であっても良い。好ましくは、高張液中のオリゴ糖または多価アルコールのモル濃度0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1M、さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の核酸導入用試薬中の各成分は、固体の形状であっても、また液体の形状であっても良い。ここで固体の形状とは、ロウ状(ワックス等)の形態、ワセリン状の形態、フレーク状の形態、結晶化された形態、粉状の形態などを指す。また液体の形状とは、高粘性の形態、低粘性の形態、非粘性の形態などを指す。
オリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の成分(物質)を含有する場合は、各々の成分は、独立した固体または液体の形状であっても、また混合した固体または液体の形状であっても良い。
ここで独立した固体とは、各成分が別個に固体化していることを指す。各々の成分は1つの容器中に封入されていても良く、また別々の容器中に封入されていても良い。また前記で独立した液体とは、各々の成分が液体の状態で別々の容器中に封入されていることを指す。
前記で混合した固体とは、各成分が固体の形状で混合されている形態、または各成分が混合した状態で固形化され、1つの容器中に封入された形態を指す。また前記で混合した液体とは、各成分が液体の状態で混合され1つの容器中に封入されている形態、または1つの成分が液体の状態で他方の成分が固体の状態で混合され1つの容器中に封入されている形態を指す。
具体的には、例えば(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質が結晶化されており、かつ(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質がロウ(ワックス)状の形態にある場合が例示される。この場合、両者は1つの容器中に封入することが可能である。より具体的には、(1)結晶化されたショ糖、および(2)ロウ(ワックス)状のポリエチレングリコールが1つの容器中に封入された形態が例示される。
各々の成分が固体の形状にある場合、それぞれの成分にあった方法(加熱、希釈等)により溶解すれば良い。最終的に、培養液、緩衝液及び/または血清等を添加することにより、前記に示したモル濃度を示す本発明の高張液となるように調製すれば良い。
以上のような本発明の核酸導入用試薬は、核酸導入用のキットの一成分とすることができる。当該キットは、前記本発明の核酸導入試薬のみからなるキットであっても、また本発明の核酸導入試薬と他の成分とを含むキットであっても良い。当該キット中の他の成分としては、蛍光標識オリゴヌクレオチド、ポジティブコントロールsiRNAなどが挙げられる。
本発明の核酸導入用試薬およびキットは、核酸の導入を可能とするための核酸導入剤として使用することができる。
本発明は、前記本発明の核酸導入法により核酸が導入された細胞を提供する。
前述のように、本発明の核酸導入法により、高い効率で細胞に核酸導入することが可能となった。また、従来核酸の導入が困難であった種々の細胞にも核酸を導入できるようになった。本発明は、このような本発明の核酸導入法により核酸が導入された細胞を提供するものである。
本発明の細胞は、本発明の核酸導入法により核酸導入された如何なる細胞であっても良いが、例えばマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞に対して本発明の核酸導入法により核酸導入された細胞が挙げられる。
好ましくは、従来核酸導入が困難であった細胞、すなわちマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞に対して本発明の核酸導入法により核酸導入された細胞が挙げられる。
これらの細胞は、前記本発明の核酸導入法により作製することができる。
本発明は、前記本発明の細胞から調製された細胞由来のRNAまたはタンパク質を提供する。これら細胞由来のRNAやタンパク質を調製する方法は既に公知であり、たとえばMolecular Cloning 3rd Edition(Cold Spring Harbor Press)、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,Inc)などを参考にして容易に行うことができる。
本発明は、前記本発明の細胞、若しくは前記本発明のRNAまたはタンパク質を用いることを特徴とする、導入した核酸に関連する遺伝子またはタンパク質の機能解析方法も提供する。
本発明の核酸導入法は、前記のようにどのような核酸導入をも可能とするものであるが、標的遺伝子の発現・機能を抑制する、すなわちノックダウン細胞を作製する際に、特に好ましく用いることができる。
たとえばノックダウン細胞を用いた機能解析としてはアンチセンス核酸、短い干渉RNAまたはおとり型核酸を導入し、標的遺伝子またはその遺伝子がコードする蛋白質の生成または機能を抑制し、当該遺伝子の細胞での働きを調べることなどが挙げられる。
本発明の機能解析方法は、従来核酸導入が困難であった細胞、すなわちマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞に対して本発明の核酸導入法により核酸導入された細胞や、当該細胞由来のRNA、タンパク質を用いて行うことが好ましい。
(a)核酸、高張液および細胞を接触させる工程、
(b)前記(a)の工程の後、高張液の浸透圧を低下させる工程、
を含む核酸導入法を提供する。
工程(a)において用いられる核酸は、方法の原理上、その種類に制限は無くどのような核酸であっても導入対象として用いることができる。すなわちオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのいずれであっても良く、また一本鎖・二本鎖およびこれらの類縁体のいずれの形態であっても良い。本発明の核酸が一本鎖である場合、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれも用いることができる。さらに本発明の核酸がポリヌクレオチドの場合、プラスミドの形態であっても良い。
本発明の核酸として好ましくはオリゴヌクレオチドを挙げることができる。方法の原理上、導入するオリゴヌクレオチドの種類に制限はなく、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチドまたはこれらの類縁体のいずれも用いることができる。具体的には、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(実施例1等参照)、2’−O−(2−メトキシ)エチル−修飾核酸(2’−MOE−修飾核酸)、短い干渉RNA(small interfering RNA:siRNA、実施例2及び3参照)、架橋型核酸(Locked Nucleic Acid:LNA;Singh,et al,Chem.Commun.,455,1998)、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid:PNA;Nielsen,et al.,Science,254,1497,1991)、またはモルフォリノ・アンチセンス核酸(Morpholino antisense;Summerton and Weller,Antisense & Nucleic Acid Drug Development,7,187,1997)などを例示することができる。
本発明の核酸の高張液中での濃度は、細胞への導入が可能な濃度であれば如何なる濃度であっても良いが、通常は0.01μM〜1mMの範囲を、好ましくは1μM〜100μMの範囲を挙げることができる。
工程(a)において用いられる高張液は、等張以上の浸透圧を保ち、かつ核酸を含有する当該高張液と細胞とを接触させることにより細胞内への核酸の取り込みを可能とするような溶液であれば、如何なる溶液であっても、本発明の高張液として使用することができる。好ましくは、オリゴ糖類又は多価アルコール類に属する少なくとも1種(1つ)の物質を含有する高張液が挙げられる。
ここでオリゴ糖とは具体的には二糖類、三糖類、四糖類、五糖類または十糖類が挙げられ、好ましくは二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖または乳糖が挙げられる。
また前記で多価アルコールとは具体的にはジオール、トリオール、ポリオール、糖アルコールが挙げられる。より好ましくはトリオール、ポリオールまたは糖アルコールが挙げられる。
ここでジオールとしては、グリコール誘導体が挙げられる。グリコール誘導体としてはエチレングリコールが例示される。
またトリオールとしては、グリセリン誘導体が挙げられる。グリセリン誘導体としては、グリセリンが挙げられる。
またポリオールとしては、ポリグリコール誘導体が挙げられる。ポリグリコール誘導体としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。
当該ポリエチレングリコールは、分子量2000以下のポリエチレングリコールであれば如何なる分子量のものであっても良い。具体的には、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540およびPEG2000が例示される。
前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
本発明の核酸導入法において用いられる高張液は、前記に挙げた種々のオリゴ糖類または多価アルコール類に属する物質を少なくとも1種含有していれば良い。具体的には、前記において列挙した物質、例えばショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノース、ロビノビオース、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量2000以下のPEG−例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000等)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールおよび還元パラチノース等の物質の中から、任意に選択した少なくとも1種の物質を含有していれば良い。より具体的には、前記列挙した物質の中から任意に選択した1種の物質、2種の物質、3種の物質、または4種以上の物質を含有する高張液が例示される。その際、当該高張液、核酸及び細胞を接触させた際に細胞内への核酸の取り込みを可能とするために、高張液中に存在するオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるように調製する必要がある。この範囲内であれば如何なるモル濃度であっても良いが、好ましくは0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1M、さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の核酸導入法において用いられる高張液は、前記のようにオリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種(1つ)の物質を含有していれば良い。当該物質は1種のみを含有していても良く、2種以上を含有していても良い。2種以上を含有する場合は、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有することが好ましい。
ここで用いられるオリゴ糖は、具体的には二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、または十糖類が挙げられ、好ましくは二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
前記でジオールとしては、グリコール誘導体が挙げられる。グリコール誘導体としては、エチレングリコールが挙げられる。
またトリオールとしては、グリセリン誘導体が挙げられる。グリセリン誘導体としては、グリセリンが挙げられる。
またポリオールとしては、ポリグリコール誘導体が挙げられる。ポリグリコール誘導体としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。
当該ポリエチレングリコールは、分子量2000以下のポリエチレングリコールであれば如何なる分子量のものであっても良い。具体的には、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540およびPEG2000が例示される。
以上のような(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有する本発明の高張液の好ましい組み合わせとしては、(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを含有する高張液が例示される。
より好ましくは、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する1種の物質とを含有する高張液が挙げられ、具体的には、(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを含有する高張液が例示される。
このようにオリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の物質を含有する本発明の高張液は、当該高張液中に存在するオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるように調製されていれば、成分の各々はどのようなモル濃度であっても良い。好ましくは総モル濃度0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1Mの範囲が挙げられる。さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の高張液がオリゴ糖又は多価アルコールに属する2種の物質を含有する場合、前記のように総モル濃度が前記の範囲内であれば各々の成分のモル濃度は如何なる値であっても良いが、例えば(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質のモル濃度が0.5M〜2Mの範囲であり、かつ(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する1種の物質のモル濃度が0.1Mである場合などを例示することができる。
本発明の核酸導入法において用いられる高張液が、オリゴ糖又は多価アルコールに属する物質を1種類のみ含有する場合は、オリゴ糖又は糖アルコールの中から選択することが好ましい。
ここで用いられるオリゴ糖は、具体的には二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、または十糖類が挙げられ、好ましくは二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
以上のような、オリゴ糖又は糖アルコールに属する物質を1種類のみ含有する本発明の高張液としては、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを含有する高張液が好ましい。
このようにオリゴ糖類または多価アルコール類に属する物質を1種類のみ含有する本発明の高張液は、当該高張液中に存在するオリゴ糖または多価アルコールのモル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるように調製されていれば良い。好ましくはモル濃度0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1Mの範囲が挙げられる。さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の高張液は、オリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を含有しており、かつ当該高張液と核酸及び細胞を接触させることにより細胞内への核酸の取り込みを可能とするような溶液であれば、如何なる溶液であっても、本発明の高張液として使用することができる。具体的には本発明の高張液は、培養液、緩衝液および/または血清を含有することが好ましく、培養液、緩衝液および血清のいずれも含有することがより好ましい。
ここで用いられる培養液は、各々の細胞に合った培養液であればどのような培養液であっても良い。例えばRPMI1640(Invitrogen社)、DULBECCO’S MODIFIED EAGLE MEDIA(Invitrogen社)、F−10 Nutrient Mixture(Invitrogen社)、F−12 Nutrient Mixture(Invitrogen社)、Iscove’s Modified Dulbecco’s Media(Invitrogen社)またはMINIMUM ESSENTIAL MEDIA(Invitrogen社)などが例示される。
また緩衝液としては、HEPES緩衝液(シグマ社)、TRIS緩衝液(シグマ社)、PBS緩衝液(Invitrogen社)などが例示される。高張液中の緩衝液の濃度はどのようなモル濃度であっても良い。好ましくはモル濃度0M〜1Mの範囲が挙げられ、より好ましくは1mM〜100mM、最も好ましくは1mM〜10mMの範囲が挙げられる。
また血清としては、ウシ胎児血清、ウシ血清、仔ウシ血清、ウマ血清などが例示される。高張液中の血清の濃度はどのような濃度であっても良い。好ましくは0〜20%(v/v)の範囲が挙げられ、より好ましくは5〜10%(v/v)の範囲が挙げられる。
本発明の高張液全体の総モル濃度は、等張〜3Mの範囲内であれば良い。
本発明の核酸導入法において用いられる細胞は、方法の原理上、適応細胞種に制限はない。すなわち実施例で示したように、本発明の核酸導入法は、これまで核酸導入が極めて困難であった種々の細胞種への核酸導入を可能とした。従って細胞種を制限することなく、本発明の核酸導入法を適用することができる。
具体的には、通常の核酸導入が容易な細胞は勿論のこと、ハイブリドーマ、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆褐色脂肪細胞、初代培養褐色脂肪細胞、初代培養前駆白色脂肪細胞、初代培養白色脂肪細胞または初代培養神経細胞等に対して本発明の核酸導入法を適用することができる。
さらに本発明の方法は、原理上細胞の由来する種にとらわれることなく、動物細胞だけでなく、プロトプラスト状態を含む植物細胞、昆虫細胞、線虫細胞などに対しても適応可能である。
本発明の核酸導入法は、(a)核酸、高張液および細胞を接触させた後に、(b)前記高張液の浸透圧を低下させることを特徴とする。
ここで前記(b)において高張液の浸透圧を低下させるためには、具体的には、等張液またはそれ以下の浸透圧の溶液(低張液)と細胞とを接触させれば良く、低張液と細胞とを接触させることにより浸透圧を低下させることがより好ましい。具体的な組成としては、例えば培地:水(好ましくはDEPC処理水)が6:4の比率で混合された低張液、または水(蒸留水、DEPC処理水等)を挙げることができる。
次に本発明の核酸導入法の具体例を示す。
まず導入対象となる細胞を培養する。培養は、各々の細胞に合った培養液を用いて通常の条件(37℃、5%CO2)下で培養すれば良い。また細胞数(密度)は、各々の細胞が良好に生育できる程度の細胞数であれば良い。
高張液および低張液は、前述した本発明の高張液および低張液の組成となるように適宜調製すれば良い。
細胞への核酸の導入は以下のようにして行う。まず細胞から培養上清を除き、核酸及び高張液を接触させる。接触のさせ方としては、最終的に高張液中で核酸と細胞とが接触するような方法であればどのようなものであっても良い。具体的には、核酸を含有する高張液を予め調製し、これを前記細胞に添加する方法や、細胞に対してまず核酸(核酸含有溶液)を添加し、その後高張液を添加する方法などが例示される。
その後細胞を適当な時間保温する。保温時間は2分〜20分程度が好ましく、10分〜15分程度がより好ましい。その後核酸を含有する高張液を除去し、低張液を添加する。または高張液を除去することなく水を添加して低張にしても良い。その後適当な時間保温しても良いし、また添加した低張液を除去した後ふたたび低張液を添加して適当な時間保温しても良い。保温時間は2分〜10分程度が好ましい。前記高張液、低張液を添加した後の保温温度は、液体状態を保つ温度であれば特に制限はないが、好ましくは0℃〜42℃の範囲が、より好ましくは室温〜37℃の範囲が挙げられる。
その後低張液を除去し、通常の増殖培地を添加する。以上の操作により、核酸の導入が達成される。なお、この導入操作は反復して行うことが出来る。
本発明の核酸導入法は、従来にない高い効率(50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上)でオリゴヌクレオチドを導入することができる。しかも、従来技術では極めて困難であった細胞種へのオリゴヌクレオチドの効率的な導入が可能である。また本方法は従来使用していたアジュバント(リポソーム、ポリエチレンイミン等)を使用しない方法であるため、従来法の問題点であった細胞毒性や免疫アジュバント活性も認められない。そのため接着性細胞株だけでなく、細胞毒性への感受性が高い初代培養細胞やリンパ球へもオリゴヌクレオチドを効率的に導入することができる。
本発明は、前記本発明の核酸導入法のために用いられる核酸導入用試薬を提供する。
本発明の核酸導入用試薬は、オリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を成分として含有することを特徴とする。
オリゴ糖及び多価アルコールは、従来公知の通常の手法にて調製することができる。
ここでオリゴ糖とは具体的には二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で多価アルコールとはジオール、トリオール、ポリオールまたは糖アルコールが挙げられる。より好ましくはトリオール、ポリオールまたは糖アルコールが挙げられる。
ここでジオールとしては、グリコール誘導体が挙げられる。グリコール誘導体としてはエチレングリコールが例示される。
またトリオールとしては、グリセリン誘導体が挙げられる。グリセリン誘導体としては、グリセリンが挙げられる。
またポリオールとしてはポリグリコール誘導体が挙げられる。ポリグリコール誘導体としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。
当該ポリエチレングリコールは、分子量2000以下のポリエチレングリコールであれば如何なる分子量のものであっても良い。具体的には、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540およびPEG2000が例示される。
前記で糖アルコールとしては単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。単糖アルコール類としてはマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
本発明の核酸導入用試薬は、前記に挙げた種々のオリゴ糖類または多価アルコール類に属する物質を少なくとも1種含有していれば良い。具体的には、前記において列挙した物質、例えばショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノース、ロビノビオース、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量2000以下のPEG−例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000等)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールおよび還元パラチノース等の物質の中から、任意に選択した少なくとも1種の物質を含有していれば良い。より具体的には、前記列挙した物質の中から任意に選択した1種の物質、2種の物質、3種の物質または4種以上の物質を含有していても良い。その際、本発明の核酸導入用試薬を用いて調製した高張液と核酸および細胞を接触させた際に細胞内への核酸の取り込みを可能とするために、高張液中に存在するオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるものであれば、本発明の核酸導入用試薬中の各成分の濃度はどのようなものであっても良い。なお高張液中のオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度は前記範囲内であれば如何なるモル濃度であっても良いが、好ましくは0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1M、さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の核酸導入用試薬は、前記のようにオリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種(1つ)の物質を含有していれば良い。当該物質は1種のみを含有していても良く、2種以上を含有していても良い。2種以上を含有する場合は、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種とを含有することが好ましい。
ここで用いられるオリゴ糖は、二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
前記でジオールとしては、グリコール誘導体が挙げられる。グリコール誘導体としては、エチレングリコールが挙げられる。
またトリオールとしては、グリセリン誘導体が挙げられる。グリセリン誘導体としては、グリセリンが挙げられる。
またポリオールとしては、ポリグリコール誘導体が挙げられる。ポリグリコール誘導体としては、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
当該ポリエチレングリコールは、分子量2000以下のポリエチレングリコールであれば如何なる分子量のものであっても良い。具体的には、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540およびPEG2000が例示される。
以上のような(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有する本発明の核酸導入用試薬の好ましい組み合わせとしては、(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを成分として含有する核酸導入用試薬が例示される。
より好ましくは、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する1種の物質とを含有する核酸導入用試薬が挙げられ、具体的には(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを成分として含有する核酸導入用試薬が例示される。
このようにオリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の物質を含有する本発明の核酸導入用試薬は、本発明の核酸導入用試薬を用いて調製した高張液(すなわち核酸導入時に用いられる本発明の高張液)と核酸および細胞を接触させた際に細胞内への核酸の取り込みを可能とするために、高張液中に存在するオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるものであれば、本発明の核酸導入用試薬中の各成分の濃度は、どのようなモル濃度であっても良い。好ましくは、高張液中のオリゴ糖及び/または多価アルコールの総モル濃度0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1M、さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の核酸導入試薬がオリゴ糖又は多価アルコールに属する2種の物質を含有する場合、前記のように高張液中でのこれら2種の成分の総モル濃度が前記の範囲内であれば、各々の成分のモル濃度は如何なる値であっても良いが、例えば、高張液中における(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質のモル濃度が0.5M〜2Mの範囲であり、かつ(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する1種の物質のモル濃度が0.1Mである場合などを例示することができる。
本発明の核酸導入用試薬が、オリゴ糖又は多価アルコールに属する物質を1種類のみ含有する場合は、オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質を含有することが好ましい。
ここで用いられるオリゴ糖は、具体的には二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、または十糖類が挙げられ、好ましくは二糖類が挙げられる。また二糖類としてはショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、ルチノースまたはロビノビオースが挙げられ、好ましくはショ糖、麦芽糖、乳糖が挙げられる。
また前記で糖アルコールとしては、単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールが挙げられる。
単糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールが挙げられる。
前記でオリゴ糖アルコールとしては、二糖アルコール類が挙げられる。
二糖アルコール類としては、マルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースが挙げられる。
以上のような、オリゴ糖又は糖アルコールに属する物質を1種類のみ含有する本発明の核酸導入用試薬としては、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを含有することが好ましい。
このようにオリゴ糖類または多価アルコール類に属する物質を1種のみ含有する本発明の核酸導入用試薬は、本発明の核酸導入用試薬を用いて調製した高張液(すなわち核酸導入時に用いられる本発明の高張液)と核酸および細胞を接触させた際に細胞内への核酸の取り込みを可能とするために、高張液中に存在するオリゴ糖または多価アルコールのモル濃度が0.29M〜3Mの範囲内となるものであれば、本発明の核酸導入用試薬中の当該物質(成分)の濃度は、どのようなモル濃度であっても良い。好ましくは、高張液中のオリゴ糖または多価アルコールのモル濃度0.35M〜2.5Mの範囲が挙げられ、より好ましくは0.35M〜2.1M、さらに好ましくは0.5M〜2.1Mの範囲が挙げられる。
なお、如何なるモル濃度が適しているかは細胞によって異なっているが、例えば所望の細胞に対して1M、1.5Mおよび2Mの3種類の濃度で導入検討を行うことなどにより、その細胞に適したモル濃度を容易に決定することができる。
本発明の核酸導入用試薬中の各成分は、固体の形状であっても、また液体の形状であっても良い。ここで固体の形状とは、ロウ状(ワックス等)の形態、ワセリン状の形態、フレーク状の形態、結晶化された形態、粉状の形態などを指す。また液体の形状とは、高粘性の形態、低粘性の形態、非粘性の形態などを指す。
オリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の成分(物質)を含有する場合は、各々の成分は、独立した固体または液体の形状であっても、また混合した固体または液体の形状であっても良い。
ここで独立した固体とは、各成分が別個に固体化していることを指す。各々の成分は1つの容器中に封入されていても良く、また別々の容器中に封入されていても良い。また前記で独立した液体とは、各々の成分が液体の状態で別々の容器中に封入されていることを指す。
前記で混合した固体とは、各成分が固体の形状で混合されている形態、または各成分が混合した状態で固形化され、1つの容器中に封入された形態を指す。また前記で混合した液体とは、各成分が液体の状態で混合され1つの容器中に封入されている形態、または1つの成分が液体の状態で他方の成分が固体の状態で混合され1つの容器中に封入されている形態を指す。
具体的には、例えば(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質が結晶化されており、かつ(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質がロウ(ワックス)状の形態にある場合が例示される。この場合、両者は1つの容器中に封入することが可能である。より具体的には、(1)結晶化されたショ糖、および(2)ロウ(ワックス)状のポリエチレングリコールが1つの容器中に封入された形態が例示される。
各々の成分が固体の形状にある場合、それぞれの成分にあった方法(加熱、希釈等)により溶解すれば良い。最終的に、培養液、緩衝液及び/または血清等を添加することにより、前記に示したモル濃度を示す本発明の高張液となるように調製すれば良い。
以上のような本発明の核酸導入用試薬は、核酸導入用のキットの一成分とすることができる。当該キットは、前記本発明の核酸導入試薬のみからなるキットであっても、また本発明の核酸導入試薬と他の成分とを含むキットであっても良い。当該キット中の他の成分としては、蛍光標識オリゴヌクレオチド、ポジティブコントロールsiRNAなどが挙げられる。
本発明の核酸導入用試薬およびキットは、核酸の導入を可能とするための核酸導入剤として使用することができる。
本発明は、前記本発明の核酸導入法により核酸が導入された細胞を提供する。
前述のように、本発明の核酸導入法により、高い効率で細胞に核酸導入することが可能となった。また、従来核酸の導入が困難であった種々の細胞にも核酸を導入できるようになった。本発明は、このような本発明の核酸導入法により核酸が導入された細胞を提供するものである。
本発明の細胞は、本発明の核酸導入法により核酸導入された如何なる細胞であっても良いが、例えばマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞に対して本発明の核酸導入法により核酸導入された細胞が挙げられる。
好ましくは、従来核酸導入が困難であった細胞、すなわちマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞に対して本発明の核酸導入法により核酸導入された細胞が挙げられる。
これらの細胞は、前記本発明の核酸導入法により作製することができる。
本発明は、前記本発明の細胞から調製された細胞由来のRNAまたはタンパク質を提供する。これら細胞由来のRNAやタンパク質を調製する方法は既に公知であり、たとえばMolecular Cloning 3rd Edition(Cold Spring Harbor Press)、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,Inc)などを参考にして容易に行うことができる。
本発明は、前記本発明の細胞、若しくは前記本発明のRNAまたはタンパク質を用いることを特徴とする、導入した核酸に関連する遺伝子またはタンパク質の機能解析方法も提供する。
本発明の核酸導入法は、前記のようにどのような核酸導入をも可能とするものであるが、標的遺伝子の発現・機能を抑制する、すなわちノックダウン細胞を作製する際に、特に好ましく用いることができる。
たとえばノックダウン細胞を用いた機能解析としてはアンチセンス核酸、短い干渉RNAまたはおとり型核酸を導入し、標的遺伝子またはその遺伝子がコードする蛋白質の生成または機能を抑制し、当該遺伝子の細胞での働きを調べることなどが挙げられる。
本発明の機能解析方法は、従来核酸導入が困難であった細胞、すなわちマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞に対して本発明の核酸導入法により核酸導入された細胞や、当該細胞由来のRNA、タンパク質を用いて行うことが好ましい。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
本発明核酸導入法および従来法を用いたマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いて、浸透圧ショックによる本発明の核酸導入法(以下Osmotic transfection法とも称する)と従来法との比較を行った。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、5分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
1−2)Oligofectamineによるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチドの導入
オリゴヌクレオチド/Oligofectamine混合液の調製はInvitrogen社の推奨マニュアルに従って実施した。具体的には、Oligofectamine 9μlを150μlのOPTI−MEMI(Invitrogen)に懸濁し、室温で5分間静置後、等量のオリゴヌクレオチド希釈液(20μM FITC標識オリゴヌクレオチド9μlと150μlのOPTI−MEMIの混合液)と混和し、20分間室温に置いたものをオリゴヌクレオチド/Oligofectamine混合液として用いた。その後、上記24wellプレートで調製した細胞をOPTI−MEMIにて洗浄、培養上清を除去し、オリゴヌクレオチド/Oligofectamine 2000混合液318μlを静かに加え、6時間37℃、5%CO2下で静置後、上清を除去し、増殖培地10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)を3ml添加し、37℃、5%CO2下で導入後24時間培養を行った。
3.導入効率の観察
導入効率の観察は上記実施例1−1)と同様にCCDカメラを用いて実施した。
1−3)ポリエチレンイミンによるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチドの導入
ポリエチレンイミンとしてはjetPEI(PolyPlus社)を用いた。オリゴヌクレオチド/ポリエチレンイミン混合液の調製はPolyPlus社の推奨マニュアルに従って実施した。具体的には、7.5mM jetPEI 8μlを192μlの150mM NaCl水溶液(ナカライテスク)に懸濁し、等量のオリゴヌクレオチド希釈液(20μM FITC標識オリゴヌクレオチド40μlと160μlの150mM NaCl水溶液)と混和し、15分間室温に置いたものをオリゴヌクレオチド/ポリエチレンイミン混合液として用いた。その後、上記24wellプレートで調製した細胞にオリゴヌクレオチド/ポリエチレンイミン混合液400μlを静かに加え、24時間、37℃、5%CO2下で導入後24時間培養を行った。
3.導入効率の観察
導入効率の観察は上記実施例1−1)と同様にCCDカメラを用いて実施した。
1−4)本発明核酸導入法、Oligofectamine法およびポリエチレンイミン法によるオリゴヌクレオチド導入結果の比較
前記本発明核酸導入法、Oligofectamine法およびポリエチレンイミン法によるFITC標識オリゴヌクレオチド導入24時間後の細胞の形態、細胞へのダメージおよび導入効率を比較した。結果を図1に示す。
その結果、本発明核酸導入法では細胞の形態変化、ダメージはみとめられず、また視野中の80%以上の細胞にオリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。一方、Oligofectamine法、およびポリエチレンイミン法では視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられたが、導入操作時の細胞の剥離による細胞数の減少が認められると同時に明視野中の全ての細胞に形態変化がみとめられ、ほとんどの細胞がバーストし、細胞死がみとめられた。これらの結果から、本発明核酸導入法は、Oligofectamine法、およびポリエチレンイミン法とは異なり、細胞に形態変化やダメージを与えることなく、オリゴヌクレオチドを導入できることが分かった。
マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いて、浸透圧ショックによる本発明の核酸導入法(以下Osmotic transfection法とも称する)と従来法との比較を行った。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、5分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
1−2)Oligofectamineによるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチドの導入
オリゴヌクレオチド/Oligofectamine混合液の調製はInvitrogen社の推奨マニュアルに従って実施した。具体的には、Oligofectamine 9μlを150μlのOPTI−MEMI(Invitrogen)に懸濁し、室温で5分間静置後、等量のオリゴヌクレオチド希釈液(20μM FITC標識オリゴヌクレオチド9μlと150μlのOPTI−MEMIの混合液)と混和し、20分間室温に置いたものをオリゴヌクレオチド/Oligofectamine混合液として用いた。その後、上記24wellプレートで調製した細胞をOPTI−MEMIにて洗浄、培養上清を除去し、オリゴヌクレオチド/Oligofectamine 2000混合液318μlを静かに加え、6時間37℃、5%CO2下で静置後、上清を除去し、増殖培地10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)を3ml添加し、37℃、5%CO2下で導入後24時間培養を行った。
3.導入効率の観察
導入効率の観察は上記実施例1−1)と同様にCCDカメラを用いて実施した。
1−3)ポリエチレンイミンによるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチドの導入
ポリエチレンイミンとしてはjetPEI(PolyPlus社)を用いた。オリゴヌクレオチド/ポリエチレンイミン混合液の調製はPolyPlus社の推奨マニュアルに従って実施した。具体的には、7.5mM jetPEI 8μlを192μlの150mM NaCl水溶液(ナカライテスク)に懸濁し、等量のオリゴヌクレオチド希釈液(20μM FITC標識オリゴヌクレオチド40μlと160μlの150mM NaCl水溶液)と混和し、15分間室温に置いたものをオリゴヌクレオチド/ポリエチレンイミン混合液として用いた。その後、上記24wellプレートで調製した細胞にオリゴヌクレオチド/ポリエチレンイミン混合液400μlを静かに加え、24時間、37℃、5%CO2下で導入後24時間培養を行った。
3.導入効率の観察
導入効率の観察は上記実施例1−1)と同様にCCDカメラを用いて実施した。
1−4)本発明核酸導入法、Oligofectamine法およびポリエチレンイミン法によるオリゴヌクレオチド導入結果の比較
前記本発明核酸導入法、Oligofectamine法およびポリエチレンイミン法によるFITC標識オリゴヌクレオチド導入24時間後の細胞の形態、細胞へのダメージおよび導入効率を比較した。結果を図1に示す。
その結果、本発明核酸導入法では細胞の形態変化、ダメージはみとめられず、また視野中の80%以上の細胞にオリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。一方、Oligofectamine法、およびポリエチレンイミン法では視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられたが、導入操作時の細胞の剥離による細胞数の減少が認められると同時に明視野中の全ての細胞に形態変化がみとめられ、ほとんどの細胞がバーストし、細胞死がみとめられた。これらの結果から、本発明核酸導入法は、Oligofectamine法、およびポリエチレンイミン法とは異なり、細胞に形態変化やダメージを与えることなく、オリゴヌクレオチドを導入できることが分かった。
本発明核酸導入法によるRAW264.7細胞へのTLR4 siRNAの導入と定量的PCRによるsiRNA効果の測定
1.本発明核酸導入法によるRAW264.7細胞へのTLR4 siRNAの導入
TLR4 siRNA(sense配列5’−AUCCACAAGUCAAUCUCUCUU−3’;配列番号:2、antisense配列5’−GAGAGAUUGACUUGUGGAUUU−3’;配列番号:3の二本鎖RNA))はProligo社にて合成した。Negative Control #1 siRNAはAmbion社から購入した。本発明核酸導入法によるRAW264.7細胞へのTLR4 siRNAおよびNegative Control #1 siRNAの導入は上記実施例1−1)と同様に10μMのTLR4 siRNAあるいはNegative Control #1 siRNAを含有する高張液を調製し、実施例1−1)と同手法にて実施した。
2.導入細胞からのトータルRNAの回収及び定量的PCR
導入24時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、TLR4 mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GGATGATGCCTCCCTGGC−3’(配列番号:11)、Reverse Primer:5’−GGGATTCAAGCTTCCTGGTG−3’(配列番号:12))およびノーマライゼーションコントロールであるGAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−AACTCGGCCCCCAACACT−3’(配列番号:13)、Reverse Primer:5’−TAGGCCCCTCCTGTTATTATGG−3’(配列番号:14))を用いて、以下のように定量的PCRを実施した。
まずtotal RNA 1μgを鋳型にTaqMan Reverse Transcription Reagents(Applied Biosystems)を用い、キットのプロトコールにしたがってcDNA合成を行った。得られたトータルRNA50ng由来のcDNAを鋳型に検出用特異的Primer SetおよびSYBR Green PCR Master Mix and RT−PCR Kit(Applied Biosystems)をキットのプロトコールにしたがって混合し、Applied Biosystems社リアルタイムPCRシステムABI7700にて測定した。Negative Control #1 siRNA導入群とTLR4 siRNA導入群におけるGAPDHの発現量を等しいものとみなし、TLR4 mRNAの低減の割合を計算した。結果を図2に示す。
その結果、TLR4 siRNA導入群ではNegative Control #1 siRNA導入群と比較してTLR4 mRNAが83%消失していることが分かった。
以上の結果から、本発明核酸導入法によって蛍光標識オリゴヌクレオチドだけでなくsiRNAも導入することができること、導入したsiRNAは高い効率で細胞のmRNAを消失させることが分かった。
1.本発明核酸導入法によるRAW264.7細胞へのTLR4 siRNAの導入
TLR4 siRNA(sense配列5’−AUCCACAAGUCAAUCUCUCUU−3’;配列番号:2、antisense配列5’−GAGAGAUUGACUUGUGGAUUU−3’;配列番号:3の二本鎖RNA))はProligo社にて合成した。Negative Control #1 siRNAはAmbion社から購入した。本発明核酸導入法によるRAW264.7細胞へのTLR4 siRNAおよびNegative Control #1 siRNAの導入は上記実施例1−1)と同様に10μMのTLR4 siRNAあるいはNegative Control #1 siRNAを含有する高張液を調製し、実施例1−1)と同手法にて実施した。
2.導入細胞からのトータルRNAの回収及び定量的PCR
導入24時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、TLR4 mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GGATGATGCCTCCCTGGC−3’(配列番号:11)、Reverse Primer:5’−GGGATTCAAGCTTCCTGGTG−3’(配列番号:12))およびノーマライゼーションコントロールであるGAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−AACTCGGCCCCCAACACT−3’(配列番号:13)、Reverse Primer:5’−TAGGCCCCTCCTGTTATTATGG−3’(配列番号:14))を用いて、以下のように定量的PCRを実施した。
まずtotal RNA 1μgを鋳型にTaqMan Reverse Transcription Reagents(Applied Biosystems)を用い、キットのプロトコールにしたがってcDNA合成を行った。得られたトータルRNA50ng由来のcDNAを鋳型に検出用特異的Primer SetおよびSYBR Green PCR Master Mix and RT−PCR Kit(Applied Biosystems)をキットのプロトコールにしたがって混合し、Applied Biosystems社リアルタイムPCRシステムABI7700にて測定した。Negative Control #1 siRNA導入群とTLR4 siRNA導入群におけるGAPDHの発現量を等しいものとみなし、TLR4 mRNAの低減の割合を計算した。結果を図2に示す。
その結果、TLR4 siRNA導入群ではNegative Control #1 siRNA導入群と比較してTLR4 mRNAが83%消失していることが分かった。
以上の結果から、本発明核酸導入法によって蛍光標識オリゴヌクレオチドだけでなくsiRNAも導入することができること、導入したsiRNAは高い効率で細胞のmRNAを消失させることが分かった。
本発明核酸導入法によるRAW264.7細胞へのTLR4 siRNAの導入とノックダウン細胞を用いたバイオアッセイ
TLR4はLPS(Calbiochem)、GLA−60(WAKO CHEMICAL)の受容体であり、RAW264.7細胞をこれらの化合物で刺激するとTNFαの産生が誘導されることが知られている。そこで、実施例2に記載のようにRAW264.7細胞にTLR4 siRNAを導入し、24時間後に細胞をスクレーパーで剥がし、増殖培地に懸濁し、10000細胞を96wellプレートの各wellに播き、37℃、5%CO2にて培養を行った。siRNAの導入48時間後に培養上清を除去し、無刺激、10μg/ml GLA−60、10ng/ml LPSにて8時間刺激を行い、培養上清を回収した。対照として、TLR4 siRNAの代わりにNegative Control #1 siRNA(Sequitur社)を同条件にて導入し、48時間後に培養上清を除去し、無刺激、10μg/ml GLA−60、10ng/ml LPSにて8時間刺激を行い、培養上清を回収した。
TLR4 siRNA導入細胞および対照細胞の培養上清に含まれるTNFαをMouse TNF−αAN’ALYZA ELISAキット(コスモバイオ)にて定量した。結果を図3に示す。その結果、TLR4 siRNA導入細胞では対照細胞と比較してLPS刺激によるTNFαの産生が45%、GLA−60刺激によるTNFαの産生が66%低減することが分かった。
これらの結果から、本発明核酸導入法によってNegative Control siRNAを導入した細胞では通常の細胞と同様にLPS、あるいはGLA−60の刺激に応じたTNFαの産生誘導がみとめられるが、TLR4 siRNA導入細胞ではこれらの刺激に応じたTNFαの産生誘導が有意に抑制されることが分かり、本発明核酸導入法によるsiRNAの導入によって細胞機能が抑制されたことが示され、具体的には受容体−リガンド対の同定などの遺伝子機能の解析に有効であることが示された。
TLR4はLPS(Calbiochem)、GLA−60(WAKO CHEMICAL)の受容体であり、RAW264.7細胞をこれらの化合物で刺激するとTNFαの産生が誘導されることが知られている。そこで、実施例2に記載のようにRAW264.7細胞にTLR4 siRNAを導入し、24時間後に細胞をスクレーパーで剥がし、増殖培地に懸濁し、10000細胞を96wellプレートの各wellに播き、37℃、5%CO2にて培養を行った。siRNAの導入48時間後に培養上清を除去し、無刺激、10μg/ml GLA−60、10ng/ml LPSにて8時間刺激を行い、培養上清を回収した。対照として、TLR4 siRNAの代わりにNegative Control #1 siRNA(Sequitur社)を同条件にて導入し、48時間後に培養上清を除去し、無刺激、10μg/ml GLA−60、10ng/ml LPSにて8時間刺激を行い、培養上清を回収した。
TLR4 siRNA導入細胞および対照細胞の培養上清に含まれるTNFαをMouse TNF−αAN’ALYZA ELISAキット(コスモバイオ)にて定量した。結果を図3に示す。その結果、TLR4 siRNA導入細胞では対照細胞と比較してLPS刺激によるTNFαの産生が45%、GLA−60刺激によるTNFαの産生が66%低減することが分かった。
これらの結果から、本発明核酸導入法によってNegative Control siRNAを導入した細胞では通常の細胞と同様にLPS、あるいはGLA−60の刺激に応じたTNFαの産生誘導がみとめられるが、TLR4 siRNA導入細胞ではこれらの刺激に応じたTNFαの産生誘導が有意に抑制されることが分かり、本発明核酸導入法によるsiRNAの導入によって細胞機能が抑制されたことが示され、具体的には受容体−リガンド対の同定などの遺伝子機能の解析に有効であることが示された。
本発明核酸導入法によるラット初代培養肝細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養肝細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
肝細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で3分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で5分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
1.細胞の調製
ラット初代培養肝細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
肝細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で3分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で5分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
本発明核酸導入法によるラット初代培養筋芽細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養筋芽細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
筋芽細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で5分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
1.細胞の調製
ラット初代培養筋芽細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
筋芽細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で5分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
本発明核酸導入法によるラット初代培養筋細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養筋芽細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。その後、培養上清を除き、添付の筋分化培地に交換し、5日間培養を行い、分化筋細胞を得た。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
分化筋細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で5分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
1.細胞の調製
ラット初代培養筋芽細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。その後、培養上清を除き、添付の筋分化培地に交換し、5日間培養を行い、分化筋細胞を得た。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
分化筋細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で5分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
本発明核酸導入法によるラット初代培養脂肪細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の分化培地に交換し培養を行い、分化白色脂肪細胞を得た。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
分化脂肪細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の分化培地に交換し培養を行い、分化白色脂肪細胞を得た。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
分化脂肪細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
本発明核酸導入法によるラット初代培養神経細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養神経細胞は住友ベークライト株式会社より購入した。具体的には、添付の24ウェルプレート(住友ベークライト)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、添付の培地に交換し培養を行い、神経細胞を得た。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
神経細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
1.細胞の調製
ラット初代培養神経細胞は住友ベークライト株式会社より購入した。具体的には、添付の24ウェルプレート(住友ベークライト)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、添付の培地に交換し培養を行い、神経細胞を得た。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
神経細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。また、明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。
本発明核酸導入法および従来法を用いたラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
ラット初代培養前駆脂肪細胞を用い、本発明核酸導入法と従来法との比較を行った。
9−1)本発明核酸導入法によるラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し培養を行った。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
前駆白色脂肪細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
9−2)Oligofectamineによるラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し培養を行った。
2.オリゴヌクレオチドの導入
オリゴヌクレオチド/Oligofectamine混合液の調製はInvitrogen社の推奨マニュアルに従って実施した。具体的には、Oligofectamine 9μlを150μlのOPTI−MEMI(Invitrogen)に懸濁し、室温で5分間静置後、等量のオリゴヌクレオチド希釈液(20μM FITC標識オリゴヌクレオチド9μlと150μlのOPTI−MEMIの混合液)と混和し、20分間室温に置いたものをオリゴヌクレオチド/Oligofectamine混合液として用いた。その後、上記24wellプレートで調製した細胞をOPTI−MEMIにて洗浄、培養上清を除去し、オリゴヌクレオチド/Oligofectamine 2000混合液318μlを静かに加え、6時間37℃、5%CO2下で静置後、上清を除去し、生育培地を3ml添加し、37℃、5%CO2下で導入後24時間培養を行った。
3.導入効率の観察
導入効率の観察は上記実施例9−1)と同様にCCDカメラを用いて実施した。
9−3)Lipofectamine2000によるラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し培養を行った。
2.オリゴヌクレオチドの導入
オリゴヌクレオチド/Lipofectamine2000混合液の調製はInvitrogen社の推奨マニュアルに従って実施した。具体的には、Lipofectamine2000 3μlを150μlのOPTI−MEMI(Invitrogen)に懸濁し、室温で5分間静置後、等量のオリゴヌクレオチド希釈液(20μM FITC標識オリゴヌクレオチド3μlと150μlのOPTI−MEMIの混合液)と混和し、20分間室温に置いたものをオリゴヌクレオチド/Lipofectamine2000混合液として用いた。その後、上記24wellプレートで調製した細胞をOPTI−MEMIにて洗浄、培養上清を除去し、オリゴヌクレオチド/Lipofectamine2000混合液306μlを静かに加え、6時間37℃、5%CO2下で静置後、上清を除去し、生育培地を3ml添加し、37℃、5%CO2下で導入後24時間培養を行った。
3.導入効率の観察
導入効率の観察は上記実施例9−1)と同様にCCDカメラを用いて実施した。
9−4)本発明核酸導入法、Oligofectamine法およびLipofectamine2000法によるラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチド導入結果の比較
前記本発明核酸導入法、Oligofectamine法およびLipofectamine法によるFITC標識オリゴヌクレオチド導入24時間後の細胞の形態、細胞へのダメージおよび導入効率を比較した。
その結果、本発明核酸導入法では細胞の形態変化、ダメージはみとめられず、視野中の80%程度の細胞にオリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。一方、Oligofectamine法およびLipofectamine法では視野中のほとんどの細胞にFITCオリゴヌクレオチドの導入がみとめられなかった。これらの結果から、本発明核酸導入法は、Oligofectamine法およびLipofectamine法とは異なり、細胞に形態変化やダメージを与えることなく、ラット初代培養前駆脂肪細胞へもオリゴヌクレオチドを導入できることが分かった。
ラット初代培養前駆脂肪細胞を用い、本発明核酸導入法と従来法との比較を行った。
9−1)本発明核酸導入法によるラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し培養を行った。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
前駆白色脂肪細胞の培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
9−2)Oligofectamineによるラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し培養を行った。
2.オリゴヌクレオチドの導入
オリゴヌクレオチド/Oligofectamine混合液の調製はInvitrogen社の推奨マニュアルに従って実施した。具体的には、Oligofectamine 9μlを150μlのOPTI−MEMI(Invitrogen)に懸濁し、室温で5分間静置後、等量のオリゴヌクレオチド希釈液(20μM FITC標識オリゴヌクレオチド9μlと150μlのOPTI−MEMIの混合液)と混和し、20分間室温に置いたものをオリゴヌクレオチド/Oligofectamine混合液として用いた。その後、上記24wellプレートで調製した細胞をOPTI−MEMIにて洗浄、培養上清を除去し、オリゴヌクレオチド/Oligofectamine 2000混合液318μlを静かに加え、6時間37℃、5%CO2下で静置後、上清を除去し、生育培地を3ml添加し、37℃、5%CO2下で導入後24時間培養を行った。
3.導入効率の観察
導入効率の観察は上記実施例9−1)と同様にCCDカメラを用いて実施した。
9−3)Lipofectamine2000によるラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の生育培地に交換し培養を行った。
2.オリゴヌクレオチドの導入
オリゴヌクレオチド/Lipofectamine2000混合液の調製はInvitrogen社の推奨マニュアルに従って実施した。具体的には、Lipofectamine2000 3μlを150μlのOPTI−MEMI(Invitrogen)に懸濁し、室温で5分間静置後、等量のオリゴヌクレオチド希釈液(20μM FITC標識オリゴヌクレオチド3μlと150μlのOPTI−MEMIの混合液)と混和し、20分間室温に置いたものをオリゴヌクレオチド/Lipofectamine2000混合液として用いた。その後、上記24wellプレートで調製した細胞をOPTI−MEMIにて洗浄、培養上清を除去し、オリゴヌクレオチド/Lipofectamine2000混合液306μlを静かに加え、6時間37℃、5%CO2下で静置後、上清を除去し、生育培地を3ml添加し、37℃、5%CO2下で導入後24時間培養を行った。
3.導入効率の観察
導入効率の観察は上記実施例9−1)と同様にCCDカメラを用いて実施した。
9−4)本発明核酸導入法、Oligofectamine法およびLipofectamine2000法によるラット初代培養前駆脂肪細胞へのオリゴヌクレオチド導入結果の比較
前記本発明核酸導入法、Oligofectamine法およびLipofectamine法によるFITC標識オリゴヌクレオチド導入24時間後の細胞の形態、細胞へのダメージおよび導入効率を比較した。
その結果、本発明核酸導入法では細胞の形態変化、ダメージはみとめられず、視野中の80%程度の細胞にオリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。一方、Oligofectamine法およびLipofectamine法では視野中のほとんどの細胞にFITCオリゴヌクレオチドの導入がみとめられなかった。これらの結果から、本発明核酸導入法は、Oligofectamine法およびLipofectamine法とは異なり、細胞に形態変化やダメージを与えることなく、ラット初代培養前駆脂肪細胞へもオリゴヌクレオチドを導入できることが分かった。
高張液のショ糖濃度が導入効率に及ぼす効果に関する検討
高張液中のショ糖以外の組成は実施例1−1)と同様に保ったまま、ショ糖の濃度を0.5M、0.75M、1Mと変化させた時の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、0.5M、0.75Mまたは1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
0.75Mおよび1Mショ糖含有高張液を用いた場合は視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。0.5Mショ糖含有高張液を用いた場合は、0.75Mおよび1Mショ糖含有高張液を用いた場合に比してやや少なかったものの、細胞への蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。またいずれのショ糖濃度含有高張液を用いた場合においても明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。以上の結果から、高張液中のショ糖濃度としては0.5M〜1Mがより好ましいことが分かった。
高張液中のショ糖以外の組成は実施例1−1)と同様に保ったまま、ショ糖の濃度を0.5M、0.75M、1Mと変化させた時の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、0.5M、0.75Mまたは1Mショ糖、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
0.75Mおよび1Mショ糖含有高張液を用いた場合は視野中のほとんどすべての細胞に蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。0.5Mショ糖含有高張液を用いた場合は、0.75Mおよび1Mショ糖含有高張液を用いた場合に比してやや少なかったものの、細胞への蛍光オリゴヌクレオチドの導入がみとめられた。またいずれのショ糖濃度含有高張液を用いた場合においても明視野中の細胞に形態変化、細胞死はみとめられなかった。以上の結果から、高張液中のショ糖濃度としては0.5M〜1Mがより好ましいことが分かった。
高張液の糖の種類が導入効率に及ぼす効果に関する検討
高張液中の溶質のモル濃度は実施例1−1)と同様に保ったまま、糖の種類をショ糖、マンニトール、ソルビトール、あるいはキシリトールと変化させた時の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mの各種糖(ショ糖、マンニトール、ソルビトールあるいはキシリトール)、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
ショ糖、マンニトール、ソルビトールあるいはキシリトールのいずれの糖でも、導入効率に相違はみとめられなかった。これらの結果から、高張液の溶質として、いずれの糖も用いることができることが分かった。
高張液中の溶質のモル濃度は実施例1−1)と同様に保ったまま、糖の種類をショ糖、マンニトール、ソルビトール、あるいはキシリトールと変化させた時の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mの各種糖(ショ糖、マンニトール、ソルビトールあるいはキシリトール)、10%(w/v)ポリエチレングリコール1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
ショ糖、マンニトール、ソルビトールあるいはキシリトールのいずれの糖でも、導入効率に相違はみとめられなかった。これらの結果から、高張液の溶質として、いずれの糖も用いることができることが分かった。
高張液のPEGの種類が導入効率に及ぼす効果に関する検討
高張液中の溶質のモル濃度は実施例1−1)と同様に保ったまま、PEGの種類をPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000と変化させた時の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)(=100mM)ポリエチレングリコール1000あるいは等モル濃度のPEG(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000)、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
PEGのポリマー化の程度(平均分子量)を問わず、導入効率に相違はみとめられなかった。これらの結果から、高張液の溶質として、いずれのポリマー化の程度(平均分子量)のPEGも用いることができることが分かった。
高張液中の溶質のモル濃度は実施例1−1)と同様に保ったまま、PEGの種類をPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000と変化させた時の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)(=100mM)ポリエチレングリコール1000あるいは等モル濃度のPEG(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000)、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
PEGのポリマー化の程度(平均分子量)を問わず、導入効率に相違はみとめられなかった。これらの結果から、高張液の溶質として、いずれのポリマー化の程度(平均分子量)のPEGも用いることができることが分かった。
高張液のPEGをグリセリンと置換した場合に導入効率に及ぼす効果に関する検討
高張液中の溶質のモル濃度は実施例1−1)と同様に保ったまま、10%(w/v)(=100mM)PEG1000を等モル濃度のグリセリンに置換した場合の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)(=100mM)ポリエチレングリコール1000あるいは100mMグリセリン、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
PEGだけでなくグリセリンを用いた場合も導入効率に相違はみとめられなかった。これらの結果から、高張液の溶質として、PEGだけでなくグリセリンも用いることができることが分かった。
高張液中の溶質のモル濃度は実施例1−1)と同様に保ったまま、10%(w/v)(=100mM)PEG1000を等モル濃度のグリセリンに置換した場合の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖、10%(w/v)(=100mM)ポリエチレングリコール1000あるいは100mMグリセリン、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
PEGだけでなくグリセリンを用いた場合も導入効率に相違はみとめられなかった。これらの結果から、高張液の溶質として、PEGだけでなくグリセリンも用いることができることが分かった。
実施例1−1)の高張液のPEGとショ糖を等モル濃度のショ糖または糖アルコールと置換した場合に導入効率に及ぼす効果に関する検討
高張液中の溶質のモル濃度は実施例1−1)と同様に保ったまま、10%(w/v)(=100mM)PEG1000と1Mショ糖を等モル濃度のショ糖、ソルビトール、マンニトールまたはキシリトールに置換した場合の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖と10%(w/v)(=100mM)PEG1000、または1.1Mの各種糖(ショ糖、ソルビトール、マンニトールまたはキシリトール)、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
同じモル濃度(1.1M)であれば、PEGとショ糖の混合物だけでなく各種糖単体(ショ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)を用いた場合もオリゴヌクレオチドの導入が可能であることが分かった。これらの結果から、高張液の溶質として、PEGとショ糖の混合物だけでなく各成分単体も用いることができることが分かった。
高張液中の溶質のモル濃度は実施例1−1)と同様に保ったまま、10%(w/v)(=100mM)PEG1000と1Mショ糖を等モル濃度のショ糖、ソルビトール、マンニトールまたはキシリトールに置換した場合の導入効率の変化について調べた。
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)を10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)に懸濁し、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播き、37℃、5%CO2の条件で一晩培養した。
2.オリゴヌクレオチド含有高張液の調製
オリゴヌクレオチド含有高張液は以下の組成:10μM FITC標識オリゴヌクレオチド(20−mer;5’−GGA ACT TCC CTA AAG GGA GG−3’;配列番号:1)、1Mショ糖と10%(w/v)(=100mM)PEG1000、または1.1Mの各種糖(ショ糖、ソルビトール、マンニトールまたはキシリトール)、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
5.24well plateでの導入
RAW264.7細胞を各wellに100,000細胞ずつ播き、終夜培養したのちに培養上清を除き、オリゴヌクレオチド含有高張液を400μl添加した。次に、室温で10分間保温したのち、オリゴヌクレオチド含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、すぐに低張液を除いた。再び低張液3mlを添加し、室温で2分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
6.導入効率の観察
導入効率の観察は蛍光顕微鏡システム:紫外光源アキシオバード135用蛍光検鏡装置(Carl Zeiss)による励起光をFITCバンドパスフィルターを通し、20x対物レンズ、超高感度CCDカメラ(浜松ホトニクス)搭載微分干渉顕微鏡アキシオバード135(Carl Zeiss)を用いて実施した。導入24時間後にFITCの蛍光を上記蛍光顕微鏡システムによって2秒間露光して撮影した。細胞の形態は同システムにて可視光源、フィルターなしの条件下で0.03秒間露光して撮影した。
7.結果
同じモル濃度(1.1M)であれば、PEGとショ糖の混合物だけでなく各種糖単体(ショ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)を用いた場合もオリゴヌクレオチドの導入が可能であることが分かった。これらの結果から、高張液の溶質として、PEGとショ糖の混合物だけでなく各成分単体も用いることができることが分かった。
本発明核酸導入法を用いたマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞へのオリゴヌクレオチドの導入
本発明核酸導入法による導入効率、細胞毒性を調べるため、マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞を用いて、FITC標識核酸の導入効果、導入による細胞毒性の有無をFlow Cytometryにより調べた。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのFITC標識ヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.4Mショ糖、100mM(10%)PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.FITC標識オリゴヌクレオチド溶液の調製
実施例1と同様にして調製した。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
RAW264.7細胞を各2.0mlチューブに500,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mM FITC標識オリゴヌクレオチド溶液を10μl、高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。
1−2)FITC標識オリゴヌクレオチド導入効果の測定
Flow cytometer EPICS−XL IIシステムを用いて、フルオレセイン蛍光量を指標にオリゴヌクレオチド導入効果を調べた。
導入24時間後に細胞を回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mlの生育培地に再懸濁した。得られた細胞のフルオレセイン蛍光強度をEPICS XL IIシステム(ベックマン・コールター)を用いて測定した。FITC標識オリゴヌクレオチドの代わりに等量のDEPC−処理水を用いたコントロール細胞と本発明導入法によりFITC標識オリゴヌクレオチドを導入した細胞の結果を図4(上図)に示す。
その結果、本発明導入法を用いることにより、マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞にオリゴヌクレオチドを効率よく導入できることが分かった。
1−3).細胞毒性の測定
Flow cytometer EPICS−XL IIシステムを用いて、死細胞を染色する試薬7−アクチノマイシンD(7AAD)蛍光量を指標に導入処理時の細胞毒性を調べた。
導入処理24時間後に細胞を回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mlの生育培地に再懸濁した。10μlの7AAD溶液(ベックマン・コールター)を添加し、10分間室温にて保温後、得られた細胞の7AAD蛍光強度をEPICS XL IIシステム(ベックマン・コールター)を用いて測定した。高張液、低張液の代わりに成育培地を用いて同様の処理を行ったコントロール細胞と本発明導入法により導入処理を行った細胞の結果を図4(下図)に示す。
その結果、本発明導入処理は細胞毒性を示さないことが分かった。
以上の結果から、本発明導入法は効率良く核酸を導入できるとともに、細胞毒性が認められないことが確認された。
本発明核酸導入法による導入効率、細胞毒性を調べるため、マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞を用いて、FITC標識核酸の導入効果、導入による細胞毒性の有無をFlow Cytometryにより調べた。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのFITC標識ヌクレオチドの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.4Mショ糖、100mM(10%)PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.FITC標識オリゴヌクレオチド溶液の調製
実施例1と同様にして調製した。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
RAW264.7細胞を各2.0mlチューブに500,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mM FITC標識オリゴヌクレオチド溶液を10μl、高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。
1−2)FITC標識オリゴヌクレオチド導入効果の測定
Flow cytometer EPICS−XL IIシステムを用いて、フルオレセイン蛍光量を指標にオリゴヌクレオチド導入効果を調べた。
導入24時間後に細胞を回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mlの生育培地に再懸濁した。得られた細胞のフルオレセイン蛍光強度をEPICS XL IIシステム(ベックマン・コールター)を用いて測定した。FITC標識オリゴヌクレオチドの代わりに等量のDEPC−処理水を用いたコントロール細胞と本発明導入法によりFITC標識オリゴヌクレオチドを導入した細胞の結果を図4(上図)に示す。
その結果、本発明導入法を用いることにより、マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞にオリゴヌクレオチドを効率よく導入できることが分かった。
1−3).細胞毒性の測定
Flow cytometer EPICS−XL IIシステムを用いて、死細胞を染色する試薬7−アクチノマイシンD(7AAD)蛍光量を指標に導入処理時の細胞毒性を調べた。
導入処理24時間後に細胞を回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mlの生育培地に再懸濁した。10μlの7AAD溶液(ベックマン・コールター)を添加し、10分間室温にて保温後、得られた細胞の7AAD蛍光強度をEPICS XL IIシステム(ベックマン・コールター)を用いて測定した。高張液、低張液の代わりに成育培地を用いて同様の処理を行ったコントロール細胞と本発明導入法により導入処理を行った細胞の結果を図4(下図)に示す。
その結果、本発明導入処理は細胞毒性を示さないことが分かった。
以上の結果から、本発明導入法は効率良く核酸を導入できるとともに、細胞毒性が認められないことが確認された。
本発明核酸導入法を用いたマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの導入
マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を検討した。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.4Mオリゴ糖または多価アルコール、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。オリゴ糖としてショ糖(二糖類、シグマ)、多価アルコールとしてソルビトール(単糖アルコール類、シグマ)、マンニトール(単糖アルコール類、シグマ)、キシリトール(単糖アルコール類、シグマ)、マルチトール(二糖アルコール類、シグマ)、グリセリン(トリオール、ナカライテスク)を用いた。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM GAPDH siRNA(センス鎖21−mer;5’−CCACGAGAAAUAUGACAACUC−3’;配列番号:6、アンチセンス鎖21−mer;5’−GUUGUCAUAUUUCUCGUGGUU−3’;配列番号:7)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
RAW264.7細胞を各2.0mlチューブに100,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mM siRNA溶液を10μl、各高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。
1−2)siRNA導入に及ぼす効果の測定
GAPDH siRNAによる内在性GAPDH mRNAのノックダウン効率を指標に、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を調べた。
導入24時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、GAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−TCACCACCATGGAGAAGGC−3’(配列番号:15)、Reverse Primer:5’−CTAAGCAGTTGGTGGTGCAG−3’(配列番号:16))およびノーマライゼーションコントロールであるCyclophilin mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GTCAACCCCACCGTGTTCT−3’(配列番号:17)、Reverse Primer:5’−GAGGTACCTGCTGTCTTTGG−3’(配列番号:18))を用いて、実施例2と同様にして定量的PCRを実施した。Negative Control siRNA導入群とGAPDH siRNA導入群におけるCyclophilinの発現量を等しいものとみなし、GAPDH mRNAの低減の割合を計算した。結果を図5に示す。
その結果、GAPDH siRNA導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してGAPDH mRNAが、ショ糖含有高張液群で80.2%、ソルビトール含有高張液群で68.5%、マンニトール含有高張液群で75.6%、キシリトール含有高張液群で74.7%、マルチトール含有高張液群で69.8%、およびグリセリン含有高張液群で38.2%消失していることが分かった。
以上の結果から、高張液の溶質としてオリゴ糖、多価アルコールいずれを用いた場合でも、FITC標識オリゴヌクレオチドと同様にsiRNAも効率良く導入できること、および導入されたsiRNAがノックダウン活性を示すことが分かった。また、オリゴ糖とPEG類の組合せだけでなく、各種オリゴ糖や多価アルコールをそれぞれ単独に溶質として用いた場合においてもsiRNAを効率良く導入可能できたことから、導入効果は細胞と高張液の接触に依存することが確認された。
マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を検討した。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.4Mオリゴ糖または多価アルコール、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。オリゴ糖としてショ糖(二糖類、シグマ)、多価アルコールとしてソルビトール(単糖アルコール類、シグマ)、マンニトール(単糖アルコール類、シグマ)、キシリトール(単糖アルコール類、シグマ)、マルチトール(二糖アルコール類、シグマ)、グリセリン(トリオール、ナカライテスク)を用いた。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM GAPDH siRNA(センス鎖21−mer;5’−CCACGAGAAAUAUGACAACUC−3’;配列番号:6、アンチセンス鎖21−mer;5’−GUUGUCAUAUUUCUCGUGGUU−3’;配列番号:7)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
RAW264.7細胞を各2.0mlチューブに100,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mM siRNA溶液を10μl、各高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。
1−2)siRNA導入に及ぼす効果の測定
GAPDH siRNAによる内在性GAPDH mRNAのノックダウン効率を指標に、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を調べた。
導入24時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、GAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−TCACCACCATGGAGAAGGC−3’(配列番号:15)、Reverse Primer:5’−CTAAGCAGTTGGTGGTGCAG−3’(配列番号:16))およびノーマライゼーションコントロールであるCyclophilin mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GTCAACCCCACCGTGTTCT−3’(配列番号:17)、Reverse Primer:5’−GAGGTACCTGCTGTCTTTGG−3’(配列番号:18))を用いて、実施例2と同様にして定量的PCRを実施した。Negative Control siRNA導入群とGAPDH siRNA導入群におけるCyclophilinの発現量を等しいものとみなし、GAPDH mRNAの低減の割合を計算した。結果を図5に示す。
その結果、GAPDH siRNA導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してGAPDH mRNAが、ショ糖含有高張液群で80.2%、ソルビトール含有高張液群で68.5%、マンニトール含有高張液群で75.6%、キシリトール含有高張液群で74.7%、マルチトール含有高張液群で69.8%、およびグリセリン含有高張液群で38.2%消失していることが分かった。
以上の結果から、高張液の溶質としてオリゴ糖、多価アルコールいずれを用いた場合でも、FITC標識オリゴヌクレオチドと同様にsiRNAも効率良く導入できること、および導入されたsiRNAがノックダウン活性を示すことが分かった。また、オリゴ糖とPEG類の組合せだけでなく、各種オリゴ糖や多価アルコールをそれぞれ単独に溶質として用いた場合においてもsiRNAを効率良く導入可能できたことから、導入効果は細胞と高張液の接触に依存することが確認された。
本発明核酸導入法を用いたマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの導入
マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するオリゴ糖と多価アルコールの組合せが細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を検討した。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.4Mオリゴ糖、100mM多価アルコール、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。オリゴ糖としてショ糖またはソルビトール、多価アルコールとしてポリエチレングリコール200(PEG200)、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000を用いた。ショ糖、ソルビトールはシグマ、PEG類はナカライテスクより購入した。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM GAPDH siRNA(センス鎖21−mer;5’−CCACGAGAAAUAUGACAACUC−3’;配列番号:6、アンチセンス鎖21−mer;5’−GUUGUCAUAUUUCUCGUGGUU−3’;配列番号:7)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
RAW264.7細胞を各2.0mlチューブに100,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mM siRNA溶液を10μl、各高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。
1−2)siRNA導入に及ぼす効果の測定
GAPDH siRNAによる内在性GAPDH mRNAのノックダウン効率を指標に、高張液が含有するオリゴ糖と多価アルコールの組合せが細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を調べた。
導入24時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、GAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−TCACCACCATGGAGAAGGC−3’(配列番号:15)、Reverse Primer:5’−CTAAGCAGTTGGTGGTGCAG−3’(配列番号:16))およびノーマライゼーションコントロールであるCyclophilin mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GTCAACCCCACCGTGTTCT−3’(配列番号:17)、Reverse Primer:5’−GAGGTACCTGCTGTCTTTGG−3’(配列番号:18))を用いて、実施例2と同様にして定量的PCRを実施した。Negative Control siRNA導入群とGAPDH siRNA導入群におけるCyclophilinの発現量を等しいものとみなし、GAPDH mRNAの低減の割合を計算した。ショ糖と各種PEG類の組合せの結果を図6に、またソルビトールと各種PEG類の組合せの結果を図7に示す。
その結果、ショ糖と各種PEG類の組合せではGAPDH mRNAが、ショ糖とPEG200含有高張液群で69.2%、ショ糖とPEG300含有高張液群で77.9%、ショ糖とPEG400含有高張液群で69.1%、ショ糖とPEG600含有高張液群で72.9%、ショ糖とPEG1000含有高張液群で68.7%、およびショ糖とPEG1500含有高張液群で73.3%消失していることが分かった。また、ソルビトールと各種PEG類の組合せではGAPDH mRNAが、ソルビトールとPEG200含有高張液群で65.0%、ソルビトールとPEG300含有高張液群で62.9%、ソルビトールとPEG400含有高張液群で49.6%、ソルビトールとPEG600含有高張液群で41.8%、ソルビトールとPEG1000含有高張液群で70.5%、ソルビトールとPEG1500含有高張液群で57.7%、ソルビトールとPEG1540含有高張液群で37.8%、およびソルビトールとPEG2000含有高張液群で45.4%消失していることが分かった。
以上の結果から、高張液が含有する溶質としてオリゴ糖と多価アルコールの組合せを用いた場合でも、FITC標識オリゴヌクレオチドと同様にsiRNAも効率良く導入できること、および導入されたsiRNAがノックダウン活性を示すことが分かった。また、オリゴ糖とPEG類の組合せだけでなく、糖アルコールとPEG類の組合せを溶質として用いた場合においてもsiRNAを効率良く導入可能でき、導入されたsiRNAがノックダウン活性を示したことから、高張液の溶質としてオリゴ糖と多価アルコールの様々な組合せを用いることができることが確認された。
マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いて、高張液が含有するオリゴ糖と多価アルコールの組合せが細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を検討した。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞(ATCC No.TIB−71)は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.4Mオリゴ糖、100mM多価アルコール、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。オリゴ糖としてショ糖またはソルビトール、多価アルコールとしてポリエチレングリコール200(PEG200)、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000を用いた。ショ糖、ソルビトールはシグマ、PEG類はナカライテスクより購入した。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM GAPDH siRNA(センス鎖21−mer;5’−CCACGAGAAAUAUGACAACUC−3’;配列番号:6、アンチセンス鎖21−mer;5’−GUUGUCAUAUUUCUCGUGGUU−3’;配列番号:7)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
RAW264.7細胞を各2.0mlチューブに100,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mM siRNA溶液を10μl、各高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。
1−2)siRNA導入に及ぼす効果の測定
GAPDH siRNAによる内在性GAPDH mRNAのノックダウン効率を指標に、高張液が含有するオリゴ糖と多価アルコールの組合せが細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を調べた。
導入24時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、GAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−TCACCACCATGGAGAAGGC−3’(配列番号:15)、Reverse Primer:5’−CTAAGCAGTTGGTGGTGCAG−3’(配列番号:16))およびノーマライゼーションコントロールであるCyclophilin mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GTCAACCCCACCGTGTTCT−3’(配列番号:17)、Reverse Primer:5’−GAGGTACCTGCTGTCTTTGG−3’(配列番号:18))を用いて、実施例2と同様にして定量的PCRを実施した。Negative Control siRNA導入群とGAPDH siRNA導入群におけるCyclophilinの発現量を等しいものとみなし、GAPDH mRNAの低減の割合を計算した。ショ糖と各種PEG類の組合せの結果を図6に、またソルビトールと各種PEG類の組合せの結果を図7に示す。
その結果、ショ糖と各種PEG類の組合せではGAPDH mRNAが、ショ糖とPEG200含有高張液群で69.2%、ショ糖とPEG300含有高張液群で77.9%、ショ糖とPEG400含有高張液群で69.1%、ショ糖とPEG600含有高張液群で72.9%、ショ糖とPEG1000含有高張液群で68.7%、およびショ糖とPEG1500含有高張液群で73.3%消失していることが分かった。また、ソルビトールと各種PEG類の組合せではGAPDH mRNAが、ソルビトールとPEG200含有高張液群で65.0%、ソルビトールとPEG300含有高張液群で62.9%、ソルビトールとPEG400含有高張液群で49.6%、ソルビトールとPEG600含有高張液群で41.8%、ソルビトールとPEG1000含有高張液群で70.5%、ソルビトールとPEG1500含有高張液群で57.7%、ソルビトールとPEG1540含有高張液群で37.8%、およびソルビトールとPEG2000含有高張液群で45.4%消失していることが分かった。
以上の結果から、高張液が含有する溶質としてオリゴ糖と多価アルコールの組合せを用いた場合でも、FITC標識オリゴヌクレオチドと同様にsiRNAも効率良く導入できること、および導入されたsiRNAがノックダウン活性を示すことが分かった。また、オリゴ糖とPEG類の組合せだけでなく、糖アルコールとPEG類の組合せを溶質として用いた場合においてもsiRNAを効率良く導入可能でき、導入されたsiRNAがノックダウン活性を示したことから、高張液の溶質としてオリゴ糖と多価アルコールの様々な組合せを用いることができることが確認された。
本発明核酸導入法を用いたマウスT細胞様細胞株DO11.10細胞へのモルフォリノ・アンチセンス核酸の導入
本発明核酸導入法に核酸の電荷が必要であるのか否かを調べるため、マウスT細胞様細胞株DO11.10細胞を用いて、電荷を持たない核酸アナログであるモルフォリノ・アンチセンス核酸の導入効果を調べた。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスハイブリドーマDO11.10細胞へのモルフォリノ・アンチセンス核酸の導入
1.細胞の調製
DO11.10細胞は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:2.0Mショ糖、100mM PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.モルフォリノ・アンチセンス核酸溶液の調製
フルオレセイン標識モルフォリノ・アンチセンス核酸はフナコシから凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたフルオレセイン標識モルフォリノ・アンチセンス核酸は以下の配列:1mMモルフォリノ・アンチセンス(25−mer;5’−CCTCTTACCTCAGTTACAATTTATA−3’;配列番号:8)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
DO11.10細胞を各2.0mlチューブに500,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mMモルフォリノ・アンチセンス核酸溶液を10μl、高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。
1−2)モルフォリノ・アンチセンス核酸導入効果の測定
Flow cytometer EPICS−XL IIシステムを用いて、フルオレセイン蛍光量を指標にモルフォリノ・アンチセンス核酸導入効果を調べた。
導入24時間後に細胞を回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mlの生育培地に再懸濁した。得られた細胞のフルオレセイン蛍光強度をEPICS XL IIシステム(ベックマン・コールター)を用いて測定した。モルフォリノ・アンチセンス核酸の代わりに等量のDEPC−処理水を用いたコントロール細胞と本発明導入法によりモルフォリノ・アンチセンス核酸を導入した細胞の結果を図8(上図)に示す。同様の条件でモルフォリノ・アンチセンス核酸の代わりに、電荷をもつ核酸アナログFITC標識ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドを導入したときの結果を図8(下図)に示す。
その結果、本発明導入法を用いることにより、電荷を持つ核酸だけでなく、電荷を持たない核酸アナログであるモルフォリノ・アンチセンス核酸も細胞に効率よく導入できることが分かった。
以上の結果から、本発明導入法の効果は核酸電荷に依存しないことが分かった。
本発明核酸導入法に核酸の電荷が必要であるのか否かを調べるため、マウスT細胞様細胞株DO11.10細胞を用いて、電荷を持たない核酸アナログであるモルフォリノ・アンチセンス核酸の導入効果を調べた。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスハイブリドーマDO11.10細胞へのモルフォリノ・アンチセンス核酸の導入
1.細胞の調製
DO11.10細胞は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:2.0Mショ糖、100mM PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.モルフォリノ・アンチセンス核酸溶液の調製
フルオレセイン標識モルフォリノ・アンチセンス核酸はフナコシから凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたフルオレセイン標識モルフォリノ・アンチセンス核酸は以下の配列:1mMモルフォリノ・アンチセンス(25−mer;5’−CCTCTTACCTCAGTTACAATTTATA−3’;配列番号:8)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
DO11.10細胞を各2.0mlチューブに500,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mMモルフォリノ・アンチセンス核酸溶液を10μl、高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。
1−2)モルフォリノ・アンチセンス核酸導入効果の測定
Flow cytometer EPICS−XL IIシステムを用いて、フルオレセイン蛍光量を指標にモルフォリノ・アンチセンス核酸導入効果を調べた。
導入24時間後に細胞を回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mlの生育培地に再懸濁した。得られた細胞のフルオレセイン蛍光強度をEPICS XL IIシステム(ベックマン・コールター)を用いて測定した。モルフォリノ・アンチセンス核酸の代わりに等量のDEPC−処理水を用いたコントロール細胞と本発明導入法によりモルフォリノ・アンチセンス核酸を導入した細胞の結果を図8(上図)に示す。同様の条件でモルフォリノ・アンチセンス核酸の代わりに、電荷をもつ核酸アナログFITC標識ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドを導入したときの結果を図8(下図)に示す。
その結果、本発明導入法を用いることにより、電荷を持つ核酸だけでなく、電荷を持たない核酸アナログであるモルフォリノ・アンチセンス核酸も細胞に効率よく導入できることが分かった。
以上の結果から、本発明導入法の効果は核酸電荷に依存しないことが分かった。
本発明核酸導入法を用いたマウスハイブリドーマDO11.10細胞へのsiRNAの反復導入
マウスハイブリドーマDO11.10細胞を用いて、GAPDH siRNAの反復導入の効果を調べた。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスハイブリドーマDO11.10細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
DO11.10細胞は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:2.0Mショ糖、100mM PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM GAPDH siRNA(センス鎖21−mer;5’−CCACGAGAAAUAUGACAACUC−3’;配列番号:6、アンチセンス鎖21−mer;5’−GUUGUCAUAUUUCUCGUGGUU−3’;配列番号:7)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
DO11.10細胞を各2.0mlチューブに500,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mMモルフォリノ・アンチセンス核酸溶液を10μl、高張液を190μl添加した。次に、37℃で15分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.5mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。反復導入においては導入24時間毎に細胞を回収し、同条件にて再導入を実施した。
1−2)siRNA導入に及ぼす効果の測定
GAPDH siRNAによる内在性GAPDH mRNAのノックダウン効率を指標に、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を調べた。
単回導入、反復導入したそれぞれの細胞から、導入24時間、48時間、および72時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、GAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−TCACCACCATGGAGAAGGC−3’(配列番号:15)、Reverse Primer:5’−CTAAGCAGTTGGTGGTGCAG−3’(配列番号:16))およびノーマライゼーションコントロールであるCyclophilin mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GTCAACCCCACCGTGTTCT−32(配列番号:17)、Reverse Primer:5’−GAGGTACCTGCTGTCTTTGG−3’(配列番号:18))を用いて、実施例2と同様にして定量的PCRを実施した。Negative Control siRNA導入群とGAPDH siRNA導入群におけるCyclophilinの発現量を等しいものとみなし、GAPDH mRNAの低減の割合を計算した。結果を図9に示す。
その結果、GAPDH siRNA単回導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してGAPDH mRNAが24時間後で72.3%、48時間後で48.4%、72時間後で28.4%消失していることが分かった。一方、GAPDH siRNA反復導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してGAPDH mRNAが24時間後で71.4%、48時間後で70.4%、72時間後で68.0%消失していることが分かった。
以上の結果から、本発明導入法によって、マウスハイブリドーマDO11.10細胞においてもFITC標識オリゴヌクレオチドと同様にsiRNAも効率良く導入できること、および導入されたsiRNAがノックダウン活性を示すことが分かった。また、単回導入では時間の経過にしたがいノックダウン効果の減弱がみとめられるが、反復導入を行うことによって任意の期間siRNAのノックダウン効果を持続できることが分かった。
マウスハイブリドーマDO11.10細胞を用いて、GAPDH siRNAの反復導入の効果を調べた。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスハイブリドーマDO11.10細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
DO11.10細胞は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:2.0Mショ糖、100mM PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM GAPDH siRNA(センス鎖21−mer;5’−CCACGAGAAAUAUGACAACUC−3’;配列番号:6、アンチセンス鎖21−mer;5’−GUUGUCAUAUUUCUCGUGGUU−3’;配列番号:7)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
DO11.10細胞を各2.0mlチューブに500,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mMモルフォリノ・アンチセンス核酸溶液を10μl、高張液を190μl添加した。次に、37℃で15分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.5mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。反復導入においては導入24時間毎に細胞を回収し、同条件にて再導入を実施した。
1−2)siRNA導入に及ぼす効果の測定
GAPDH siRNAによる内在性GAPDH mRNAのノックダウン効率を指標に、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を調べた。
単回導入、反復導入したそれぞれの細胞から、導入24時間、48時間、および72時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、GAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−TCACCACCATGGAGAAGGC−3’(配列番号:15)、Reverse Primer:5’−CTAAGCAGTTGGTGGTGCAG−3’(配列番号:16))およびノーマライゼーションコントロールであるCyclophilin mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GTCAACCCCACCGTGTTCT−32(配列番号:17)、Reverse Primer:5’−GAGGTACCTGCTGTCTTTGG−3’(配列番号:18))を用いて、実施例2と同様にして定量的PCRを実施した。Negative Control siRNA導入群とGAPDH siRNA導入群におけるCyclophilinの発現量を等しいものとみなし、GAPDH mRNAの低減の割合を計算した。結果を図9に示す。
その結果、GAPDH siRNA単回導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してGAPDH mRNAが24時間後で72.3%、48時間後で48.4%、72時間後で28.4%消失していることが分かった。一方、GAPDH siRNA反復導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してGAPDH mRNAが24時間後で71.4%、48時間後で70.4%、72時間後で68.0%消失していることが分かった。
以上の結果から、本発明導入法によって、マウスハイブリドーマDO11.10細胞においてもFITC標識オリゴヌクレオチドと同様にsiRNAも効率良く導入できること、および導入されたsiRNAがノックダウン活性を示すことが分かった。また、単回導入では時間の経過にしたがいノックダウン効果の減弱がみとめられるが、反復導入を行うことによって任意の期間siRNAのノックダウン効果を持続できることが分かった。
本発明核酸導入法によるラット初代培養分化脂肪細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の分化培地に交換し培養を行い、分化白色脂肪細胞を得た。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.0Mショ糖、100mM PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM GAPDH siRNA(センス鎖21−mer;5’−CCACGAGAAAUAUGACAACUC−3’;配列番号:6、アンチセンス鎖21−mer;5’−GUUGUCAUAUUUCUCGUGGUU−3’;配列番号:7)。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
分化脂肪細胞の培養上清を除き、siRNA含有高張液を200μl添加した。室温で10分間保温したのち、siRNA含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、室温で10分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
1−2)siRNA導入に及ぼす効果の測定
GAPDH siRNAによる内在性GAPDH mRNAのノックダウン効率を指標に、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を調べた。
単回導入したそれぞれの細胞から、導入24時間、48時間、および72時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、GAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−TCACCACCATGGAGAAGGC−3’(配列番号:15)、Reverse Primer:5’−CTAAGCAGTTGGTGGTGCAG−3’(配列番号:16))およびノーマライゼーションコントロールであるCyclophilin mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GTCAACCCCACCGTGTTCT−3’(配列番号:17)、Reverse Primer:5’−GAGGTACCTGCTGTCTTTGG−3’(配列番号:18))を用いて、実施例2と同様にして定量的PCRを実施した。Negative Control siRNA導入群とGAPDH siRNA導入群におけるCyclophilinの発現量を等しいものとみなし、GAPDH mRNAの低減の割合を計算した。結果を図10に示す。
その結果、GAPDH siRNA導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してGAPDH mRNAが24時間後で71.7%、48時間後で56.6%、72時間後で24.3%消失していることが分かった。
以上の結果から、本発明導入法によって、初代培養分化脂肪細胞においてもFITC標識オリゴヌクレオチドと同様にsiRNAも効率良く導入できること、および導入されたsiRNAがノックダウン活性を示すことが分かった。
1.細胞の調製
ラット初代培養前駆白色脂肪細胞は株式会社ホクドーより購入した。具体的には、24ウェルプレート(Nalge Nunc)に100000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた状態で入荷し、入荷後直ちに添付の分化培地に交換し培養を行い、分化白色脂肪細胞を得た。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.0Mショ糖、100mM PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM GAPDH siRNA(センス鎖21−mer;5’−CCACGAGAAAUAUGACAACUC−3’;配列番号:6、アンチセンス鎖21−mer;5’−GUUGUCAUAUUUCUCGUGGUU−3’;配列番号:7)。
3.低張液の調製
低張液は、RPMI1640培地:DEPC処理水(6:4)混合液になるように調製した。
4.生育培地
ホクドーの培養キットに添付の培地を用いた。
5.24well plateでの導入
分化脂肪細胞の培養上清を除き、siRNA含有高張液を200μl添加した。室温で10分間保温したのち、siRNA含有高張液を除き、低張液3mlを添加し、室温で10分間保温したのち低張液を除去し、増殖培地3mlを添加した。
1−2)siRNA導入に及ぼす効果の測定
GAPDH siRNAによる内在性GAPDH mRNAのノックダウン効率を指標に、高張液が含有するオリゴ糖や多価アルコールの種類が細胞へのsiRNA導入に及ぼす効果を調べた。
単回導入したそれぞれの細胞から、導入24時間、48時間、および72時間後にQiagen社RNeasy kitを用いて細胞からトータルRNAを回収し、GAPDH mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−TCACCACCATGGAGAAGGC−3’(配列番号:15)、Reverse Primer:5’−CTAAGCAGTTGGTGGTGCAG−3’(配列番号:16))およびノーマライゼーションコントロールであるCyclophilin mRNAに特異的なプライマー(Forward Primer:5’−GTCAACCCCACCGTGTTCT−3’(配列番号:17)、Reverse Primer:5’−GAGGTACCTGCTGTCTTTGG−3’(配列番号:18))を用いて、実施例2と同様にして定量的PCRを実施した。Negative Control siRNA導入群とGAPDH siRNA導入群におけるCyclophilinの発現量を等しいものとみなし、GAPDH mRNAの低減の割合を計算した。結果を図10に示す。
その結果、GAPDH siRNA導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してGAPDH mRNAが24時間後で71.7%、48時間後で56.6%、72時間後で24.3%消失していることが分かった。
以上の結果から、本発明導入法によって、初代培養分化脂肪細胞においてもFITC標識オリゴヌクレオチドと同様にsiRNAも効率良く導入できること、および導入されたsiRNAがノックダウン活性を示すことが分かった。
本発明核酸導入法を用いたマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの反復導入
マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞を用いて、TLR2 siRNAの反復導入の効果を蛋白質レベルで調べた。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.4Mショ糖、100mM PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM TLR2 siRNA(センス鎖21−mer;5’−GUCUAAAGUCGAUCCGCGACA−3’;配列番号:9、アンチセンス鎖21−mer;5’−UCGCGGAUCGACUUUAGACUU−3’;配列番号:10)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
RAW264.7細胞を各2.0mlチューブに500,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mM siRNA溶液を10μl、高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。初回導入24時間後に細胞を回収し、同条件にて再導入を実施した。
1−2)蛋白質レベルの測定
TLR2 siRNAの導入による内在性TLR2蛋白質のノックダウン効果を調べた。
Negative Control siRNA、TLR2 siRNAを導入したそれぞれの細胞から、初回導入から48時間後に1%(w/v)SDS水溶液を用いてwhole cell lysateを調製した。蛋白質の定量はBCAキット(ピアス)を用いて実施。各サンプル40μgを1/4容量の5xサンプルバッファーと混合し、4%/20%グラジエントゲルPAGミニ「第一」4/20(第一化学)にて電気泳同を行った。泳同後、BioRad Western Blotting System(BioRad)を用いてImmobilon PVDF Transfer Menbrane(Millipore)に蛋白質をblottingした後、フィルターをBlockAce(大日本製薬)に浸し、4℃にて終夜保温することによりブロッキングを行った。
TLR2の検出においてはAnti−TLR2抗体(IMG−526、IMGENEX)1/250希釈液(BlockAceで希釈)にてフィルターを4℃、overnight保温後、TBST(Tris−buffered saline 0.1% Tween 20)にてフィルターを洗浄した。次に、goat anti−rabbit IgG−AP conjugate(BIOSOURCE)1/1000希釈液にてフィルターを室温で2時間保温後、TBST(Tris−buffered saline 0.1% Tween 20)にてフィルターを洗浄し、その後、フィルターをAlkaline Phosphatase Conjugate Substrate Kit(BioRad)にて染色した。GAPDHの検出においてはAnti−GAPDH(V−18、SantaCruz)1/100希釈液にてフィルターを4℃、overnight保温後、TBST(Tris−buffered saline 0.1% Tween 20)にてフィルターを洗浄した。次に、donky anti−goat IgG−AP conjugate(CHEMICON)1/1000希釈液にてフィルターを室温で2時間保温後、TBST(Tris−buffered saline 0.1% Tween 20)にてフィルターを洗浄し、その後、フィルターをAlkaline Phosphatase Conjugate Substrate Kit(BioRad)にて染色した。
結果を図11に示す。
その結果、TLR2 siRNA導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してTLR2蛋白質が減少していることが分かった。
以上の結果から、本発明導入法によって導入されたsiRNAのノックダウン効果が蛋白質レベルでもみとめられることが分かった。
以上の実施例1〜21の結果より以下のことが明らかとなった。
1)本発明の核酸導入法は、従来法になく核酸導入効率が高いことが分かった。
2)本発明の核酸導入法は、従来法と異なり、細胞に形態変化やダメージを与えることなく核酸を導入出来ることが分かった。また導入された核酸は細胞内で有効に機能することが分かった。
3)本発明の核酸導入法は、従来核酸導入が困難であると言われていた細胞(マクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、マウスハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞、初代培養神経細胞等)へも効率的な導入が可能であり、適応細胞種の制限無く使用できることが分かった。
4)本発明の核酸導入法は、核酸の電荷の有無によらず使用できることが分かった。
5)本発明の核酸導入法において用いられる高張液の成分としては、オリゴ糖、多価アルコールが挙げられ、具体的にはポリエチレングリコール、グリセリン、ショ糖、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、キシリトール等)等、種類を問わず使用できることが分かった。
6)本発明の核酸導入法において用いられる高張液中の溶質全体のモル濃度は0.5〜2.1M程度が好ましいことが分かった。
7)本発明の核酸導入法は、反復導入に使用できることが分かった。
マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞を用いて、TLR2 siRNAの反復導入の効果を蛋白質レベルで調べた。
1−1)本発明核酸導入法によるマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞へのsiRNAの導入
1.細胞の調製
RAW264.7細胞は10%(v/v)ウシ胎仔血清含有RPMI1640(Invitrogen)、T−75フラスコ(IWAKI)にて37℃、5%CO2の条件で培養した。
2.高張液の調製
高張液は以下の組成:1.4Mショ糖、100mM PEG1000、RPMI1640(Invitrogen)、5%(v/v)ウシ胎児血清、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)になるように調製した。
3.siRNA溶液の調製
siRNAはプロリゴジャパンから二本鎖アニーリング後の凍結乾燥品として購入した。これをDEPC−処理水(ナカライテスク)にて1mMの濃度となるように溶解した。用いたsiRNAは以下の配列:1mM Negative Control siRNA(センス鎖21−mer;5’−CAAGCUGACCCUGAAGUUCAU−3’;配列番号:4、アンチセンス鎖21−mer;5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGUU−3’;配列番号:5、プロリゴジャパン)、1mM TLR2 siRNA(センス鎖21−mer;5’−GUCUAAAGUCGAUCCGCGACA−3’;配列番号:9、アンチセンス鎖21−mer;5’−UCGCGGAUCGACUUUAGACUU−3’;配列番号:10)。
4.低張液
低張液として大塚蒸留水(大塚製薬)を用いた。
5.生育培地
RPMI1640(Invitrogen)にウシ胎児血清、硫酸カナマイシンをそれぞれ10%(v/v)、60mg/L加えて調製した。
6.懸濁状態での導入
RAW264.7細胞を各2.0mlチューブに500,000細胞ずつ回収し、卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、1mM siRNA溶液を10μl、高張液を190μl添加した。次に、37℃で10分間保温したのち、大塚蒸留水(大塚製薬)1.1mlを添加した。10分間保温したのち卓上高速遠心機(トミー精工)2,000回転/分にて5分間遠心し、培養上清を除き、生育培地2mlに再懸濁し、6well plate(IWAKI)に播いた。初回導入24時間後に細胞を回収し、同条件にて再導入を実施した。
1−2)蛋白質レベルの測定
TLR2 siRNAの導入による内在性TLR2蛋白質のノックダウン効果を調べた。
Negative Control siRNA、TLR2 siRNAを導入したそれぞれの細胞から、初回導入から48時間後に1%(w/v)SDS水溶液を用いてwhole cell lysateを調製した。蛋白質の定量はBCAキット(ピアス)を用いて実施。各サンプル40μgを1/4容量の5xサンプルバッファーと混合し、4%/20%グラジエントゲルPAGミニ「第一」4/20(第一化学)にて電気泳同を行った。泳同後、BioRad Western Blotting System(BioRad)を用いてImmobilon PVDF Transfer Menbrane(Millipore)に蛋白質をblottingした後、フィルターをBlockAce(大日本製薬)に浸し、4℃にて終夜保温することによりブロッキングを行った。
TLR2の検出においてはAnti−TLR2抗体(IMG−526、IMGENEX)1/250希釈液(BlockAceで希釈)にてフィルターを4℃、overnight保温後、TBST(Tris−buffered saline 0.1% Tween 20)にてフィルターを洗浄した。次に、goat anti−rabbit IgG−AP conjugate(BIOSOURCE)1/1000希釈液にてフィルターを室温で2時間保温後、TBST(Tris−buffered saline 0.1% Tween 20)にてフィルターを洗浄し、その後、フィルターをAlkaline Phosphatase Conjugate Substrate Kit(BioRad)にて染色した。GAPDHの検出においてはAnti−GAPDH(V−18、SantaCruz)1/100希釈液にてフィルターを4℃、overnight保温後、TBST(Tris−buffered saline 0.1% Tween 20)にてフィルターを洗浄した。次に、donky anti−goat IgG−AP conjugate(CHEMICON)1/1000希釈液にてフィルターを室温で2時間保温後、TBST(Tris−buffered saline 0.1% Tween 20)にてフィルターを洗浄し、その後、フィルターをAlkaline Phosphatase Conjugate Substrate Kit(BioRad)にて染色した。
結果を図11に示す。
その結果、TLR2 siRNA導入群ではNegative Control siRNA導入群と比較してTLR2蛋白質が減少していることが分かった。
以上の結果から、本発明導入法によって導入されたsiRNAのノックダウン効果が蛋白質レベルでもみとめられることが分かった。
以上の実施例1〜21の結果より以下のことが明らかとなった。
1)本発明の核酸導入法は、従来法になく核酸導入効率が高いことが分かった。
2)本発明の核酸導入法は、従来法と異なり、細胞に形態変化やダメージを与えることなく核酸を導入出来ることが分かった。また導入された核酸は細胞内で有効に機能することが分かった。
3)本発明の核酸導入法は、従来核酸導入が困難であると言われていた細胞(マクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、マウスハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞、初代培養神経細胞等)へも効率的な導入が可能であり、適応細胞種の制限無く使用できることが分かった。
4)本発明の核酸導入法は、核酸の電荷の有無によらず使用できることが分かった。
5)本発明の核酸導入法において用いられる高張液の成分としては、オリゴ糖、多価アルコールが挙げられ、具体的にはポリエチレングリコール、グリセリン、ショ糖、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、キシリトール等)等、種類を問わず使用できることが分かった。
6)本発明の核酸導入法において用いられる高張液中の溶質全体のモル濃度は0.5〜2.1M程度が好ましいことが分かった。
7)本発明の核酸導入法は、反復導入に使用できることが分かった。
本発明の新規な核酸導入法は、従来になく高い効率で核酸を導入することができる。しかも本発明の核酸導入法は、細胞に形態変化やダメージを与えることなく核酸を導入することができるため、導入された核酸は細胞内で有効に機能することができる。また本発明の導入法は、従来核酸導入が困難であると言われていた細胞へも効率良く核酸を導入することができる。従って本発明の核酸導入法は、従来解析不能であったあらゆる細胞を対象とした遺伝子機能解析(例えば受容体−リガンド対の同定などの遺伝子機能解析)に極めて有効に用いることができる。
配列番号:1に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:2に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:3に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:4に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:5に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:6に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:7に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:8に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:9に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:10に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:11に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:12に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:13に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:14に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:15に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:16に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:17に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:18に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:2に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:3に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:4に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:5に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:6に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:7に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:8に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:9に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:10に記載の塩基配列は合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号:11に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:12に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:13に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:14に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:15に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:16に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:17に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
配列番号:18に記載の塩基配列はPCRプライマーである。
Claims (102)
- 以下の工程(a)及び(b)を含む核酸導入法:
(a)核酸、高張液および細胞を接触させる工程、
(b)前記(a)の工程の後、高張液の浸透圧を低下させる工程。 - 前記工程(b)において、低張液と細胞とを接触させることにより浸透圧を低下させる、請求項1記載の核酸導入法。
- 核酸がオリゴヌクレチドである、請求項1または2記載の核酸導入法。
- オリゴヌクレオチドが、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチドまたはそれらの類縁体である、請求項3記載の核酸導入法。
- オリゴヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド、2’−O−(2−メトキシ)エチル−修飾核酸(2’−MOE−修飾核酸)、短い干渉RNA(siRNA)、架橋型核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)またはモルフォリノ・アンチセンス核酸である、請求項3又は4記載の核酸導入法。
- 高張液がオリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を含有する、請求項1〜5いずれか記載の核酸導入法。
- オリゴ糖が二糖類である、請求項6記載の核酸導入法。
- 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、請求項7記載の核酸導入法。
- 多価アルコールがジオール、トリオール、ポリオールまたは糖アルコールである、請求項6記載の核酸導入法。
- ジオールがグリコール誘導体である、請求項9記載の核酸導入法。
- トリオールがグリセリン誘導体である、請求項9記載の核酸導入法。
- ポリオールがポリグリコール誘導体である、請求項9記載の核酸導入法。
- 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、請求項9記載の核酸導入法。
- オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、請求項13記載の核酸導入法。
- グリコール誘導体がエチレングリコールである、請求項10記載の核酸導入法。
- グリセリン誘導体がグリセリンである、請求項11記載の核酸導入法。
- ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、請求項12記載の核酸導入法。
- ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、請求項17記載の核酸導入法。
- ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、請求項18記載の核酸導入法。
- 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、請求項13記載の核酸導入法。
- 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、請求項14記載の核酸導入法。
- 高張液が、(1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを含有する、請求項6記載の核酸導入法。
- オリゴ糖が二糖類である、請求項22記載の核酸導入法。
- 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、請求項23記載の核酸導入法。
- 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、請求項22記載の核酸導入法。
- オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、請求項25記載の核酸導入法。
- 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、請求項25記載の核酸導入法。
- 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、請求項26記載の核酸導入法。
- ジオールがグリコール誘導体である、請求項22記載の核酸導入法。
- トリオールがグリセリン誘導体である、請求項22記載の核酸導入法。
- ポリオールがポリグリコール誘導体である、請求項22記載の核酸導入法。
- グリコール誘導体がエチレングリコールである、請求項29記載の核酸導入法。
- グリセリン誘導体がグリセリンである、請求項30記載の核酸導入法。
- ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、請求項31記載の核酸導入法。
- ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、請求項34記載の核酸導入法。
- ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、請求項35記載の核酸導入法。
- 高張液が、(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを含有する、請求項22記載の核酸導入法。
- 高張液が、(1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを含有する、請求項37記載の核酸導入法。
- 高張液がオリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質を含有する、請求項6記載の核酸導入法。
- オリゴ糖が二糖類である、請求項39記載の核酸導入法。
- 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、請求項40記載の核酸導入法。
- 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、請求項39記載の核酸導入法。
- オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、請求項42記載の核酸導入法。
- 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、請求項42記載の核酸導入法。
- 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、請求項43記載の核酸導入法。
- 高張液がショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを含有する、請求項39記載の核酸導入法。
- 高張液中に存在するオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内である、請求項1〜46いずれか記載の核酸導入法。
- 高張液中に存在するオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.5M〜2.1Mの範囲内である、請求項47記載の核酸導入法。
- 低張液の浸透圧が等張以下である、請求項2〜48いずれか記載の核酸導入法。
- オリゴ糖又は多価アルコールに属する少なくとも1種の物質を成分として含有する、核酸導入用試薬。
- 請求項1〜49いずれか記載の核酸導入法のために用いられる、請求項50記載の核酸導入用試薬。
- オリゴ糖が二糖類である、請求項50または51記載の核酸導入用試薬。
- 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、請求項52記載の核酸導入用試薬。
- 多価アルコールがジオール、トリオール、ポリオールまたは糖アルコールである、請求項50または51記載の核酸導入用試薬。
- ジオールがグリコール誘導体である、請求項54記載の核酸導入用試薬。
- トリオールがグリセリン誘導体である、請求項54記載の核酸導入用試薬。
- ポリオールがポリグリコール誘導体である、請求項54記載の核酸導入用試薬。
- 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、請求項54記載の核酸導入用試薬。
- オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、請求項58記載の核酸導入用試薬。
- グリコール誘導体がエチレングリコールである、請求項55記載の核酸導入用試薬。
- グリセリン誘導体がグリセリンである、請求項56記載の核酸導入用試薬。
- ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、請求項57記載の核酸導入用試薬。
- ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、請求項62記載の核酸導入用試薬。
- ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、請求項63記載の核酸導入用試薬。
- 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、請求項58記載の核酸導入用試薬。
- 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、請求項59記載の核酸導入用試薬。
- (1)オリゴ糖又は糖アルコールに属する少なくとも1種の物質と、(2)ジオール、トリオール又はポリオールに属する少なくとも1種の物質とを成分として含有する、請求項50または51記載の核酸導入用試薬。
- オリゴ糖が二糖類である、請求項67記載の核酸導入用試薬。
- 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、請求項68記載の核酸導入用試薬。
- 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、請求項67記載の核酸導入用試薬。
- オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、請求項70記載の核酸導入用試薬。
- 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、請求項70記載の核酸導入用試薬。
- 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、請求項71記載の核酸導入用試薬。
- ジオールがグリコール誘導体である、請求項67記載の核酸導入用試薬。
- トリオールがグリセリン誘導体である、請求項67記載の核酸導入用試薬。
- ポリオールがポリグリコール誘導体である、請求項67記載の核酸導入用試薬。
- グリコール誘導体がエチレングリコールである、請求項74記載の核酸導入用試薬。
- グリセリン誘導体がグリセリンである、請求項75記載の核酸導入用試薬。
- ポリグリコール誘導体がポリエチレングリコールである、請求項76記載の核酸導入用試薬。
- ポリエチレングリコールが分子量2000以下のものである、請求項79記載の核酸導入用試薬。
- ポリエチレングリコールがPEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540またはPEG2000である、請求項80記載の核酸導入用試薬。
- (1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1種と、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000およびグリセリンから選択される少なくとも1種とを成分として含有する、請求項67記載の核酸導入用試薬。
- (1)ショ糖、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールと、(2)PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG1540、PEG2000またはグリセリンとを成分として含有する、請求項82記載の核酸導入用試薬。
- オリゴ糖又は糖アルコールに属する1種の物質を成分として含有する、請求項50または51記載の核酸導入用試薬。
- オリゴ糖が二糖類である、請求項84記載の核酸導入法。
- 二糖類がショ糖、麦芽糖または乳糖である、請求項85記載の核酸導入用試薬。
- 糖アルコールが単糖アルコール類またはオリゴ糖アルコールである、請求項84記載の核酸導入用試薬。
- オリゴ糖アルコールが二糖アルコール類である、請求項87記載の核酸導入用試薬。
- 単糖アルコール類がマンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはエリスリトールである、請求項87記載の核酸導入用試薬。
- 二糖アルコール類がマルチトール、ラクチトールまたは還元パラチノースである、請求項88記載の核酸導入用試薬。
- ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールまたはマルチトールを成分として含有する、請求項84記載の核酸導入用試薬。
- 成分が固体または液体の形状にある、請求項50〜91いずれか記載の核酸導入用試薬。
- オリゴ糖又は多価アルコールに属する2種以上の成分を含有する場合に、各成分が各々独立した固体または液体の形状にある、請求項92記載の核酸導入用試薬。
- 高張液中でのオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.29M〜3Mの範囲内になるようにあらかじめ調製された、請求項50〜93いずれか記載の核酸導入用試薬。
- 高張液中でのオリゴ糖および/または多価アルコールの総モル濃度が0.5M〜2.1Mの範囲内になるようにあらかじめ調製された、請求項94記載の核酸導入用試薬。
- 請求項50〜95いずれか記載の試薬を含有する核酸導入用キット。
- 請求項50〜96いずれか記載の試薬またはキットの、核酸導入における使用。
- 請求項50〜96いずれか記載の試薬またはキットを成分とする核酸導入剤。
- 請求項1〜49いずれか記載の導入法により核酸が導入された細胞。
- 請求項1〜49いずれか記載の導入法により核酸が導入された、マクロファージ様細胞株RAW264.7細胞、ハイブリドーマDO11.10細胞、初代培養肝細胞、初代培養筋芽細胞、初代培養筋細胞、初代培養前駆脂肪細胞、初代培養脂肪細胞または初代培養神経細胞。
- 請求項99または100記載の細胞から調製された細胞由来のRNAまたはタンパク質。
- 請求項99または100記載の細胞、若しくは請求項101記載のRNAまたはタンパク質を用いることを特徴とする、導入した核酸に関連する遺伝子またはタンパク質の機能解析方法。
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