JPWO2004090181A1 - 銅基合金 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、昨今、青銅中に含まれるPb(鉛)が人体に悪影響を及ぼすとして大きな社会問題となっており、世界的にもPbの水道水中への浸出量が厳しく規制されつつある。
そこで、このような状況に基づいて、新たに有用なPbレス銅合金の開発が急務となり、そのなかで、Bi系、Bi−Sb系、Bi−Se系等の各種の材料が開発されている。
例えば、特公平5−63536号公報では、銅合金中の鉛に代えてBiを添加して切削性を上げ、脱亜鉛を防止した鉛レス銅合金が提案されている。
また、特許第2889829号公報では、切削性向上のためのBi添加による鋳造時のポロシティ発生を、Sbの添加により抑制し、機械的強度を上げた無鉛青銅が提案されている。
さらに、米国特許第5614038号明細書では、SeとBiの添加により、特にZn−Se化合物を析出させ、機械的性質及び切削性や鋳造性をCAC406と実質同等とした青銅合金が提案されている。
これらPbレス銅合金は、その量産時において、従来のCAC406の製造と鋳造設備を共用して製造しているところが多く、このような場合、炉及び取鍋等からのPbの混入が考えられる。
また、上記Pbレス銅合金は、市販のインゴットや、コスト及び環境に配慮して、スクラップ等のリサイクル材を用いて製造されるが、これらの材料には不可避不純物としてのPbの混入が避けられない。
従って、上記Pbレス銅合金は、鋳造設備をPbレス銅合金専用としても、不可避不純物レベルでの0.4重量%以下のPbの含有を許容しているのが現状である。
特公平5−63536号公報、特許第2889829号公報、米国特許第5614038号明細書のように、Pbの代替元素として、Biを添加したPbレス青銅鋳物において、上述のような微量のPbを含有している場合、鋳物材料が100℃を超えるような高温下に曝されると、機械的性質、とりわけ引張強度が低下するおそれがある。
これは、Pbの代替成分として、Biを添加したPbレス青銅鋳物にPbが微量でも含有している場合、Cuに固溶しないBi及びPbが低融点のBi−Pb2元系共晶物として結晶粒界、及び結晶粒内に存在し、ここが高温下において局部的に弱い部分となり、引張強度が低下するためである。
ここで、共晶とは融液中からαとβの結晶が同時に晶出してできる組織であり、その結晶粒は非常に微細で、αとβが混ざり合った組織である。
上記引張強度の低下は、実際の水道用配管器材の使用に影響を及ぼすものではないが、市場では、よりCAC406に近い機械的性質を得られるPbレス青銅鋳物の供給が求められている。
本発明は、上記の実情に鑑みて開発に至ったものであり、その目的とするところは、単独若しくは互いに結合した状態のBi、Pbとの合金又は金属間化合物を合金組織中に形成することで、高温下での引張強度の低下を改善し、機械的性質を更にCAC406に近づけたPbレスの銅基合金を提供することにある。
上記添加元素は、Te、P、Zr、Ti、Co、In、Ca、B、及びミッシュメタルからなる群より1種又は2種以上選択される銅基合金である。
上記添加元素は、0.01〜2.0重量%含有される銅基合金である。
合金組織中におけるBi−Pb2元系共晶物の発生を抑制した銅基合金である。
上記銅基合金は、少なくとも、Sn2.8〜6.0重量%、Zn1.0〜12.0重量%、Bi0.1〜3.0重量%を含有する銅基合金である。
上記銅基合金は、少なくとも、Sn2.8〜6.0重量%、Zn1.0〜12.0重量%、Bi0.1〜2.4重量%、Se0.05〜1.2重量%を含有する銅基合金である。
上記銅基合金に含まれるPbの含有量は、0.25重量%以下とした銅基合金である。
第2図は、引張試験2の試験結果を示したグラフである。
第3図は、引張試験3の試験結果を示したグラフである。
第4図は、引張試験3の試験結果を示したグラフである。
第5図は、引張試験3の試験結果を示したグラフである。
第6図は、引張試験4の試験結果を示したグラフである。
第7図は、切削性試験の試験結果を示したグラフである。
第8図は、試料No.62〜No.64のシャルピー衝撃試験結果、及びBi−Pb面積比率を示したグラフである。
第9図は、試料No.65〜No.67のシャルピー衝撃試験結果、及びBi−Pb面積比率を示したグラフである。
第10図は、標準サンプル(比較例)の金属組織写真(倍率400倍)である。
第11図は、第10図の金属組織写真における各元素のマッピングである。
第12図は、Pを0.09重量%含有した試料No.63の金属組織写真(倍率400倍)である。
第13図は、第12図の金属組織写真における各元素のマッピングである。
第14図は、Teを0.21重量%含有した試料No.66の金属組織写真(倍率400倍)である。
第15図は、第14図の金属組織写真における各元素のマッピングである。
第16図は、試料No.62〜No.64の面積比率を測定した組織観察写真(画像処理前、及び画像処理後)である。
第17図は、試料No.65〜No.67の面積比率を測定した組織観察写真(画像処理前、及び画像処理後)である。
合金に添加元素を加えると、合金組織中にBi−M金属間化合物(又は合金)、Pb−M金属間化合物(又は合金)、或いはBi−Pb−M金属間化合物(又は合金)等が形成され、合金組織中におけるBi−Pb2元系共晶物の発生を抑制する。なお、上記Mとは添加元素のことであり、Te、P、Zr、Ti、Co、In、Ca、B、及びミッシュメタル等からなる群より1種又は2種以上選択されたものである。
これは、Te、P、Zr、Ti、Co、In、Ca、B、及びミッシュメタル等からなる群より1種又は2種以上選択された添加元素を含有することで、鋳物の凝固過程において、合金組織中にBi−Pb2元系共晶物が晶出するよりも早く、Bi−Pb2元系共晶物より融点の高いBi−M金属間化合物(又は合金)、Pb−M金属間化合物(又は合金)、或いはBi−Pb−M金属間化合物(又は合金)等が形成され、合金組織中にBi−Pb2元系共晶物を形成するBi、Pbが減少するためであり、これにより、Bi−Pb2元系共晶物の発生が抑制される。
上述のように、Bi−Pb2元系共晶物の発生が抑制されることで、高温下での機械的性質を向上させる。
特に、好ましい銅基合金としては、Cu−Sn−Zn−Bi系、及びCu−Sn−Zn−Bi−Se系の銅基合金であり、この銅基合金は、以下に示す成分元素を含有する形態を採用しており、各成分範囲とその理由を具体的に詳述する。
Sn:2.8〜6.0重量%
α相に固溶し、強度、硬さの向上、及びSnO2の保護皮膜の形成により、耐磨耗性と耐食性を向上させるために含有する。Snは実用成分範囲において、含有量を増やすにつれて、切削性を低下する元素である。従って、含有量を抑えつつ、更には耐食性を低下させない範囲で、機械的性質を確保することが必要となる。より好ましい範囲として、Snの含有量の影響を受けやすい伸びの特性に注目し、鋳造条件が若干異なっても、最も特性の良い4.0重量%付近の伸びを確実に得られる範囲として、3.5〜4.5重量%を見出した。
Zn:1.0〜12.0重量%
切削性に影響を与えずに、硬さや機械的性質、とりわけ伸びを向上させる元素として有効である。高温特性改善に有効な含有量は、Bi、Pbと合金又は金属間化合物を形成するTe等の添加元素とSeの含有量を考慮すると、1.0重量%以上が有効である。また、Znは溶湯中へのガス吸収によるSn酸化物の発生を抑制し、溶湯の健全性にも有効であるので、この作用を発揮させるために4.0重量%以上の含有が有効である。より実用的には、BiやSeの抑制分を補う観点から5.0重量%以上の含有が望ましい。一方、Znは蒸気圧が高いので、作業環境の確保や、鋳造性を考慮すると、12.0重量%以下の含有が望ましい。経済性も考えると、とりわけ約8.0重量%が最適である。
Bi:0.1〜3.0重量%
0.1重量%以上の含有が切削性を向上させるために有効である。鋳造の凝固過程で鋳造品に発生するポロシティに入り込み、引け巣等の鋳造欠陥の発生を抑制し、鋳物の健全性を確保するためには、0.6重量%以上含有することが有効である。一方、必要とされる機械的性質を確保するためには、3.0重量%以下とすることが有効であり、とりわけ1.7重量%以下とすることが含有量を抑えつつ、機械的性質を十分確保するために有効である。実用的には、Seの含有と共にBiを0.1〜2.4重量%含有することが好ましく、Seの最適含有量も考慮すると、約1.3重量%が最適である。
Se:0.05〜1.2重量%
銅合金中にBi−Se、Zn−Se、Cu−Seの金属間化合物として存在し、Biと同様に切削性や鋳物の健全性の確保に寄与する成分である。従って、Seの含有は、Biの含有量を抑えつつ、機械的性質や鋳物の健全性に有効である。その含有量の上限値は、経済性の観点から1.2重量%とした。また、Seは微量の含有でも鋳物の健全性の確保に寄与するが、その作用を確実に得るためには、0.05重量%以上の含有が有効であり、この値を下限値とした。とりわけ約0.2重量%が最適である。
Te:0.01〜1.0重量%
Teは、マトリックス中に固溶することなく、分散することによって、切削性を向上させる成分である。しかし、Teによる切削性向上効果は0.01重量%未満では発揮されない。また、金属間化合物TePb(融点約917℃)を晶出させ、Bi−Pb2元系共晶物の発生を抑制するためには、0.05重量%以上の含有が好ましいが、1.0重量%を超えての含有は経済性が悪く、含有量に見合うだけの引張強度の低下の改善にはならない。これらの点から、Teの含有量を0.01〜1.0重量%とし、好ましくは0.05〜0.5重量%とした。
P:0.01〜0.5重量%
溶湯の脱酸を促進し、健全な鋳物を製作することを目的として、0.01〜0.5重量%を含有する。過剰の含有は固相線が低下し偏析を起こしやすい。また、Pは結晶粒を微細化し、機械的性質を向上させる働きがある。脱酸剤としてPを添加する場合、合金へのP含有量は通常、0.015〜0.03重量%であるが、Bi−Pb2元系共晶物(融点約125℃)よりも高融点である金属間化合物Pb3P2を晶出させ、Bi−Pb2元系共晶物の生成を抑制し、高温下における引張強度の低下を改善するためには、0.05〜0.1重量%の含有が好ましい。
Pb:0.25重量%以下
不純物レベルでもPbが0.3〜0.4重量%含有されるおそれがあるため、Pbを積極的に含有させない不可避不純物の範囲として、0.25重量%以下とした。
上記したTe、Zrの他、本発明の銅基合金において、Bi−Pb2元系共晶物の発生を抑制することを目的に含有される添加元素は、Te、P、Zr、Ti、Co、In、Ca、B、及びミッシュメタル等からなる群より1種又は2種以上選択することが可能であり、その含有量は0.01〜1.0重量%が好ましい。また、Sbを0.05〜0.5重量%含有した銅基合金についても、前記添加元素を添加することにより、Bi−Pb2元系共晶物の発生を抑制し、高温特性改善の効果がある。その他、本発明の銅基合金における不可避不純物としては、Fe(0.3重量%以下)、Al(0.01重量%以下)、Si(0.01重量%以下)が挙げられる。
本発明における鉛レス銅基合金のうち、添加元素としてTe、Zrを含有したCu−Sn−Zn−Bi−Se系およびCu−Sn−Zn−Bi系青銅鋳物の引張試験を行い、その試験結果を説明する。引張試験は、試験片をCO2鋳型を用いて鋳込み温度1130℃でJIS A号方案に鋳造後、切削加工により製作したJIS Z2201に規定の4号試験片とし、アムスラー引張試験機を用いて行った。なお、引張試験は各試料n=4で行い、試験結果はその平均値である。
引張試験は以下の4つの条件で行った。
(試験1)
Teの含有量:0〜1.48重量%、試験温度:室温(22℃)、100℃および150℃とした。試料の組成を表1に示す。この試験1で、Te含有の効果を確認する。
(試験2)
Teの含有量:0〜0.17重量%、Seの含有量:0〜1.2重量%、試験温度:150℃とした。試料の組成を表2に示す。この試験2で、Teの含有による効果を、Seの含有量を変えた試料にて確認する。
(試験3)
Teの含有量:0〜0.22重量%、Seの含有量:0〜0.83重量%、Znの含有量:1.02〜8.53重量%、試験温度:150℃とした。試料の組成を表3に示す。この試験3で、低Znへの適用を確認する。
(試験4)
Zrの含有量:0〜0.21重量%、試験温度:室温(20℃)、100℃および150℃とした。試料の組成を表4に示す。この試験4で、Zr含有の効果を確認する。
試験1の結果を表5及び第1図に示す。この結果からTeを0.04重量%、0.11重量%、0.16重量%、0.50重量%、0.99重量%、1.48重量%含有することにより、100℃では標準175.7N/mm2と比較して、それぞれ198.3N/mm2、210.1N/mm2、218.6N/mm2、215.9N/mm2、202.3N/mm2、197.7N/mm2と引張強度が向上しており、150℃においても標準155.4N/mm2と比較すると、それぞれ168.0N/mm2、185.5N/mm2、209.7N/mm2、208.5N/mm2、195.1N/mm2、194.8N/mm2と引張強度が向上した。このことから、Teを含有させることにより、室温で十分な引張強度を有し、更には高温での引張強度を改善できる。しかし、1.0重量%を超えての含有は経済性が悪いため、含有量を1重量%以下とした。表5及び第1図に示すように、Te0.16重量%において、高温での引張強度が最も高くなる。
試験2の結果を表6及び第2図に示す。なお、Se=0、0.2重量%、0.4重量%、0.6重量%、1.2重量%はいずれも狙い値である。この結果から、Se=0のとき、Teを0、0.06重量%、0.11重量%、0.14重量%含有させた試料No.8、13、18、23において、引張強度は、それぞれ104.7N/mm2、109.1N/mm2、118.9N/mm2、124.6N/mm2と引張強度が若干向上した。Se=0.2のとき、Teを0、0.06重量%、0.10重量%、0.14重量%含有させた試料No.9、14、19、24において、引張強度は、それぞれ150.0N/mm2、150.7N/mm2、161.8N/mm2、167.3N/mm2とSe=0の場合より引張強度が向上した。同様にSe=0.4のとき、Teを0、0.04重量%、0.12重量%、0.15重量%含有させた試料No.10、15、20、25において、引張強度は、それぞれ146.7N/mm2、148.2N/mm2、185.5N/mm2、204.7N/mm2であり、Se=0.6のとき、Teを0、0.05重量%、0.10重量%、0.17重量%含有させた試料No.11、16、21、26においては、それぞれ159.6N/mm2、156.4N/mm2、188.0N/mm2、204.4N/mm2であり、Se=1.2のとき、Teを0、0.06重量%、0.11重量%、0.15重量%含有させた試料No.12、17、22、27においては、それぞれ163.5N/mm2、176.6N/mm2、201.2N/mm2、215.3N/mm2であり、Teの含有量の増加に伴い引張強度が向上した。このことは、Teの含有に加え、Seの含有量を増すことにより、高温での引張強度が改善されていることを示すものである。
とりわけ、第2図に示すように、Seを0.2重量%含有することにより、高温下における引張強度が、Seを全く含有しない供試品に対して約50%向上し、Teを0.05重量%以上含有することにより、高温下における引張強度は更に向上する。Seの含有量が増えるに伴って、高温下における引張強度も向上するが、その増加傾向は緩やかなものとなる。本実施例においては、経済性の観点からSeの含有量の上限値を1.2重量%としているが、引張強度の向上割合を考慮すると、0.4重量%を上限とするのが好ましく、とりわけ、0.2重量%が最適である。
試験3の結果を表7、及び第3図乃至第5図に示す。なお、Zn=2重量%、4重量%および8重量%、Se=0、0.3重量%および0.6重量%はいずれも狙い値である。この結果から、Zn=2の水準では、Se=0のとき、Teを0、0.12重量%、0.21重量%含有した試料No.28〜No.30における引張強度は、それぞれ121.4N/mm2、150.7N/mm2、155.5N/mm2であり、Se=0.3のとき、Teを0、0.10重量%、0.21重量%含有した試料No.31〜No.33における引張強度は、それぞれ170.4N/mm2、198.7N/mm2、200.4N/mm2であり、Se=0.6のとき、Teを0、0.09重量%、0.22重量%含有した試料No.34〜No.36における引張強度は、それぞれ154.1N/mm2、198.0N/mm2、215.8N/mm2であり、Se、Te含有量の増加に伴い引張強度が向上した。また、Zn=4重量%(試料No.37〜No.45)、8重量%(試料No.46〜No.54)の水準でも、同様にSe=0ではTe含有量の増加に伴う引張強度の向上はSe=0.3重量%及び0.6重量%の場合に比べて少ないが、Se=0.3重量%及び0.6重量%の場合は、Se、Te含有量の増加に伴い引張強度が向上した。このことは、試験2と同様、Teの含有に加え、Seの含有量を増すことにより、高温での引張強度が改善されていることを示すものである。表7、第3図乃至第5図に示すように、Znの含有量が低くとも、本発明の適用の効果がある。
試験4の結果を表8及び第6図に示す。この結果からZrを0.05重量%、0.12重量%、0.21重量%含有することにより、100℃では標準170.4N/mm2と比較して、それぞれ180.1N/mm2、194.7N/mm2、205.6N/mm2と引張強度が向上しており、150℃においても標準149.4N/mm2と比較すると、それぞれ157.8N/mm2、172.0N/mm2、184.2N/mm2と引張強度が向上した。室温においてはTeと同様、Zr含有量により引張強度の増減はなく、いずれも十分な引張強度を有している。このことから、Zrを含有させることによっても、室温で十分な引張強度を有し、更には高温での引張強度を改善できる。以上の試験から、Teの含有は高温での引張強度を改善することができ、更にはSeとの交互作用によっても、高温での引張強度を改善できることが判明した。また、Zrの含有によっても、高温での引張強度を改善できるが、その効果はTeより若干低い。
次に、Te添加による切削性能を評価するため、切削試験を行った。
切削試験は従来材、Teを含有した本発明実施品、CAC406について行った。化学成分値を表9に示す。
切削試験条件は、加工径φ30、送り量0.2mm/rev、切込量3.0mm、回転数1800rpm、切削速度170m/min、切削状態ドライで行い、評価はCAC406の切削抵抗を100としたとき、各試料の切削抵抗を切削性指数として表し評価した。以下に切削性指数の求め方を示す。
切削性指数=(CAC406の切削抵抗値)/(各試料の切削抵抗値)×100
切削性試験の結果を表10及び第7図に示す。この結果から、比較例の切削性指数は84.4、Teを0.51重量%含有させた試料は95.1であり、Teを含有させることにより切削性が大幅に改善されている。
次に、本発明における銅基合金のうち、添加元素としてPを含有したCu−Sn−Zn−Bi−Se系青銅合金の試験例を含んだ実施例、及び添加元素としてTeを含有したCu−Sn−Zn−Bi−Se系青銅合金の試験例を含んだ実施例を説明する。
Cu−Sn−Zn−Bi−Se系青銅合金をベースに、添加元素として、Pを0.05〜0.09重量%含有した青銅鋳物と、Teを0.1〜0.21重量%含有した青銅鋳物を用意し、この青銅鋳物に高温シャルピー衝撃試験を行い、その試験結果を説明する。なお、前記青銅鋳物に含まれるPbの含有量は、0.2重量%以下とした。
シャルピー衝撃試験は、試験片をCO2鋳型を用いて鋳込み温度1130℃で鋳造後、切削加工により製作したJIS Z2202に規定の3号試験片とし、試験機にはJIS B7722に規定のシャルピー衝撃試験機(300J)を用いて行った。また、試験にはオイルバスを使用し、試験片を高温オイルにより100℃に昇温後、10分間保持し、オイルバスから取り出した後、5秒以内でシャルピー衝撃試験を行った。
表11に、各試験片の化学成分値を示し、表12に、標準サンプル(試料No.64)の衝撃値を100%として、Pを0.05重量%(試料No.62)、0.09重量%(試料No.63)含有した試料の衝撃値(対標準比率)を示す。なお、これら試料No.62〜No.64のデータをグラフ化したものを第8図に示す。
また、表12に、標準サンプル(試料No.67)の衝撃値を100%として、Teを0.1重量%(試料No.65)、0.21重量%(試料No.66)含有した試料の衝撃値を示す。なお、これら試料No.65〜No.67のデータをグラフ化したものを第9図に示す。
第8図に示すように、Pを0.05重量%含有すると、衝撃値が標準サンプルに比べて126%向上し、Pを0.09重量%含有すると、衝撃値が標準サンプルに比べて273%向上した。従って、Pの含有に伴って、合金の衝撃値が向上することが判明した。
また、第9図に示すように、Teを0.1重量%含有すると、衝撃値が標準サンプルに比べて175%向上し、Teを0.21重量%含有すると、衝撃値が標準サンプルに比べて248%向上した。従って、Pの含有と同様、Teの含有に伴って、合金の衝撃値が向上することが判明した。
高温衝撃試験の結果、標準サンプルと比較すると、Pの含有が平均して200%、Teの含有が平均して212%の衝撃値の向上を示した。
なお、同表、同図に表されているBi−Pb共晶物の面積比率については、後述する。
さらに、各試験片に、EDX定量分析、及びマッピングを行った。
マッピングとは、特定の元素がどの場所に存在するかを分析するものであり、元素が集中的に存在している部分を黄色で表示するものである。各分析は、シャルピー衝撃試験後の試験片について、その破断面を避けて切断した切断面に対して行なった。新たな標準サンプル(比較例)の金属組織写真(倍率400倍)を第10図に示し、第10図の金属組織写真における各元素のマッピングを第11図に示す。
また、この標準サンプル(比較例)の化学成分値を表13に示し、第10図の金属組織写真に表した領域1〜3におけるEDX定量分析結果を表14に示す。
第11図及び表14から明らかであるように、第11図に示す標準サンプルのマッピング結果から、BiとPbは領域1において共存していることが判明し、表14に示すEDX定量分析結果から、BiとPbは領域1において集中してBi−Pb2元系共晶物を作っていることが判明した。
次に、Pを0.09重量%含有した試料No.63の金属組織写真(倍率400倍)を第12図に示し、第12図の金属組織写真における各元素のマッピングを第13図に示す。また、第12図の金属組織写真に表した領域1、2におけるEDX定量分析結果を表15に示す。
第13図及び表15から明らかであるように、第13図に示すマッピング結果から、PとPbは領域1において共存していることが判明し、表15に示すEDX定量分析結果から、PとPbは領域1において集中的にP−Pb金属間化合物を作っていることが判明した。
ここで、合金とは、2種類以上の金属元素が固体状態で溶け合った状態をいう。さらに、金属間化合物とは、合金の中でも2つ以上の成分金属が、互いに比較的簡単な原子数の割合で結合してできる化合物のことをいう。
次に、Teを0.21重量%含有した試料No.66の金属組織写真(倍率400倍)を第14図に示し、第14図の金属組織写真における各元素のマッピングを第15図に示す。また、第14図の金属組織写真に表した領域1〜5におけるEDX定量分析結果を表16に示す。
第15図及び表16から明らかであるように、第15図に示すマッピング結果から、TeとPbは領域1、3、4、5において共存していることが判明し、表16に示すEDX定量分析結果から、TeとPbは上記領域、とりわけ、領域5において集中的にTe−Pb金属間化合物を作っていることが判明した。
また、Bi−Pb2元系共晶物の面積比率を測定するため、組織観察写真を取り込み、画像解析ソフトにより解析を行った。
面積比率とは、画像として取り込んだ視野の面積に対して、目的物(Bi−Pb2元系共晶物相)が占める面積の割合をいう。
Bi−Pb2元系共晶物相の特定は、EDX定量分析結果と金属組織写真を比較して行なった。金属組織写真は倍率400倍で撮影し、面積比率は各試料で20視野の平均値を算出した。
標準サンプル(試料No.64)、P0.05重量%含有した試料No.62、及びP0.09重量%含有した試料No.63の面積比率を測定した組織観察写真(画像処理前、及び画像処理後)を第16図に示す。なお、添加元素としてPを含有した場合のBi−Pb2元系共晶物の面積比率を測定した結果を表11に示す。
また、標準サンプル(試料No.67)、Te0.1重量%含有した試料No.65、及びTe0.21重量%含有した試料No.66の面積比率を測定した組織観察写真(画像処理前、及び画像処理後)を第17図に示す。なお、添加元素としてTeを含有した場合のBi−Pb2元系共晶物の面積比率を測定した結果を表12に示す。
表12に示すように、標準サンプル(試料No.64)のBi−Pb相の面積比率は0.268%であり、Pを含有したときのBi−Pb相の面積比率は、P0.05重量%含有で0.103%、P0.09重量%含有で0.104%であった。なお、これら試料No.62〜No.64のデータをグラフ化したものを第8図に示す。
また、表12に示すように、標準サンプル(試料No.67)のBi−Pb相面積比率は0.212%であり、Te0.1重量%含有で0.052%、Te0.21重量%含有で0.035%であった。なお、これら試料No.65〜No.67のデータをグラフ化したものを第9図に示す。
第8図及び第9図に示すように、添加元素として、P及びTeを含有することで、Bi−Pb相の面積比率が0.2%以下に抑制されていることが判明した。とりわけBi−Pb2元系共晶物の発生を0.1%以下に抑制すると、標準サンプル比較で衝撃値が約130%と向上することが判明した。
上記した高温衝撃試験、EDX定量分析、マッピング、及びBi−Pb2元系共晶物の面積比率の測定から、P及びTeを含有することにより、合金組織中にP−Pb金属間化合物、Te−Pb金属間化合物等を作り、Bi−Pb2元系共晶物の発生を抑制し、さらに、これらの金属間化合物の融点が高いことから、高温の衝撃値が向上したことが判明した。
なお、本発明の銅基合金は、上記した青銅合金に限定されるものではなく、さらに、黄銅系の合金、例えば、熱間鍛造用黄銅の場合には、Cu59.0〜62.0重量%、Sn0.5〜1.5重量%、Bi1.0〜2.0重量%、Se0.03〜0.20重量%、Fe0.05〜0.20重量%、P0.05〜0.10重量%の成分範囲を含有し、切削加工用黄銅の場合には、Cu61.0〜63.0重量%、Sn0.3〜0.7重量%、Bi1.5〜2.5重量%、Se0.03〜0.20重量%、Fe0.1〜0.30重量%、P0.05〜0.10重量%の成分範囲を含有する鉛レス銅基合金等にも適用可能である。
さらに、上記実施例においては、Te、P等の添加元素を加えることにより、合金組織中におけるBi−Pb2元系共晶物の発生を抑制するようにしているが、銅基合金の鋳造過程において、スクラップ等のリターン材の使用量を減らし、Pbの含有量を不可避不純物としての上限値である0.2重量%よりも更に低く調整することにより抑制してもよい。
また、本発明の銅基合金は、バルブ、継手、管、水栓、給水・給湯用品等の水接触製品を加工成形したり、ガス器具、洗濯機、空調機等の電気・機械製品を加工成形したりするのに適している。
その他、本発明の銅基合金を材料として好適な部材・部品は、特に、バルブや水栓等の水接触部品、即ち、ボールバルブ、ボールバルブ中の空用ボール、バタフライバルブ、ゲートバルブ、グローブバルブ、チェックバルブ、給水栓、給湯器や温水洗浄便座等の取付金具、給水管、接続管及び管継手、冷媒管、電気温水器部品(ケーシング、ガスノズル、ポンプ部品、バーナなど)、ストレーナ、水道メータ用部品、水中下水道用部品、排水プラグ、エルボ管、ベローズ、便器用接続フランジ、スピンドル、ジョイント、ヘッダー、分岐栓、ホースニップル、水栓付属金具、止水栓、給排水配水栓用品、衛生陶器金具、シャワー用ホースの接続金具、ガス器具、ドアやノブ等の建材、家電製品、サヤ管ヘッダー用アダプタ、自動車クーラー部品、釣り具部品、顕微鏡部品、水道メーター部品、計量器部品、鉄道パンタグラフ部品、その他の部材・部品に広く応用することができる。更には、トイレ用品、台所用品、浴室品、洗面所用品、家具部品、居間用品、スプリンクラー用部品、ドア部品、門部品、自動販売機部品、洗濯機部品、空調機部品、ガス溶接機用部品、熱交換器用部品、太陽熱温水器部品、金型及びその部品、ベアリング、歯車、建設機械用部品、鉄道車両用部品、輸送機器用部品、素材、中間品、最終製品及び組立体等にも広く適用できる。
ものではないが、市場では、よりCAC406に近い機械的性質を得られるPbレス青銅鋳物の供給が求められている。
本発明は、上記の実情に鑑みて開発に至ったものであり、その目的とするところは、単独若しくは互いに結合した状態のBi、Pbとの合金又は金属間化合物を合金組織中に形成することで、高温下での引張強度の低下を改善し、機械的性質を更にCAC406に近づけたPbレスの銅基合金を提供することにある。
【発明の開示】
上記の目的を達成するため、本発明は、Bi、Pbを含有した銅基合金であって、合金中に0.01〜1.0重量%のTeを添加元素として加え、合金組織中にBi−Pb2元系共晶物より融点の高いPb−Te金属間化合物を形成することにより、合金組織中におけるBi−Pb2元系共晶物の発生を抑制し、高温下における機械的性質、特に引張強度を改善した銅基合金である。
上記Teの添加量を0.01〜0.22重量%とした銅基合金である。
上記銅基合金は、少なくとも、Sn2.8〜6.0重量%、Zn1.0〜12.0重量%、Bi0.1〜3.0重量%を含有する銅基合金である。
上記銅基合金は、少なくとも、Sn2.8〜6.0重量%、Zn1.0〜12.0重量%、Bi0.1〜2.4重量%、Se0.05〜1.2重量%を含有する銅基合金である。
上記銅基合金に含まれるPbの含有量は、0.25重量%以下とした
第16図は、試料No.62〜No.64の面積比率を測定した組織観察写真(画像処理前、及び画像処理後)である。
第17図は、試料No.65〜No.67の面積比率を測定した組織観察写真(画像処理前、及び画像処理後)である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の銅基合金において、単独若しくは互いに結合した状態で存在するBi、Pbと、合金又は金属間化合物を形成する添加元素の添加意義について説明する。
合金に添加元素であるTeを加えると、合金組織中にPb−Te金属間化合物(又は合金)が形成され、合金組織中におけるBi−Pb2元系共晶物の発生を抑制する。
これは、添加元素であるTeを含有することで、鋳物の凝固過程において、合金組織中にBi−Pb2元系共晶物が晶出するよりも早く、Bi−Pb2元系共晶物より融点の高いPb−Te金属間化合物(又は合金)が形成され、合金組織中にBi−Pb2元系共晶物を形成するBi、Pbが減少するためであり、これにより、Bi−Pb2元系共晶物の発生を抑制し、高温下での機械的性質の向上を実現させている。
特に、好ましい銅基合金としては、Cu−Sn−Zn−Bi系、及びCu−Sn−Zn−Bi−Se系の銅基合金であり、この銅基合金は、
保するために有効である。実用的には、Seの含有と共にBiを0.1〜2.4重量%含有することが好ましく、Seの最適含有量も考慮すると、約1.3重量%が最適である。
Se:0.05〜1.2重量%
銅合金中にBi−Se、Zn−Se、Cu−Seの金属間化合物として存在し、Biと同様に切削性や鋳物の健全性の確保に寄与する成分である。従って、Seの含有は、Biの含有量を抑えつつ、機械的性質や鋳物の健全性に有効である。その含有量の上限値は、経済性の観点から1.2重量%とした。また、Seは微量の含有でも鋳物の健全性の確保に寄与するが、その作用を確実に得るためには、0.05重量%以上の含有が有効であり、この値を下限値とした。とりわけ約0.2重量%が最適である。
Te:0.01〜1.0重量%
Teは、マトリックス中に固溶することなく、分散することによって、切削性を向上させる成分である。しかし、Teによる切削性向上効果は0.01重量%未満では発揮されない。また、金属間化合物TePb(融点約917℃)を晶出させ、Bi−Pb2元系共晶物の発生を抑制するためには、0.05重量%以上の含有が好ましいが、1.0重量%を超えての含有は経済性が悪く、含有量に見合うだけの引張強度の低下の改善にはならない。これらの点から、Teの含有量を0.01〜1.0重量%とし、好ましくは0.05〜0.5重量%とした。
P:0.01〜0.5重量%
溶湯の脱酸を促進し、健全な鋳物を製作することを目的として、0.01〜0.5重量%を含有する。過剰の含有は固相線が低下し偏析を起こしやすい。脱酸剤としてPを添加する場合、合金へのP含有量は通常、0.015〜0.03重量%であるが、Bi−Pb2元系共晶物(融点約125℃)よりも高融点である金属間化合物Pb3P2を晶出させ、Bi−Pb2元系共晶物の生成を抑制し、高温下における引張強度の低
下を改善するためには、0.05〜0.1重量%の含有が好ましい。
Pb:0.25重量%以下
不純物レベルでもPbが0.3〜0.4重量%含有されるおそれがあるため、Pbを積極的に含有させない不可避不純物の範囲として、0.25重量%以下とした。
上記したTeの他、本発明の銅基合金において、Bi−Pb2元系共晶物の発生を抑制することを目的に含有される添加元素は、Te、P、Zr、Ti、Co、In、Ca、B、及びミッシュメタル等からなる群より1種又は2種以上選択することが可能であり、その含有量は0.01〜1.0重量%が好ましい。
上記添加元素を含有することで、鋳物の凝固過程において、合金組織中にBi−Pb2元系共晶物が晶出するよりも早く、Bi−Pb2元系共晶物より融点の高いBi−M金属間化合物(又は合金)、Pb−M金属間化合物(又は合金)、或いはBi−Pb−M金属間化合物(又は合金)等が形成され、合金組織中にBi−Pb2元系共晶物を形成するBi、Pbが減少するためであり、これにより、Bi−Pb2元系共晶物の発生が抑制される。
なお、上記Mは上記添加元素のことであり、上述のように、Bi−Pb2元系共晶物の発生が抑制されることで、高温下での機械的性質を向上させる。また、Sbを0.05〜0.5重量%含有した銅基合金についても、前記添加元素を添加することにより、Bi−Pb2元系共晶物の発生を抑制し、高温特性改善の効果がある。その他、本発明の銅基合金における不可避不純物としては、Fe(0.3重量%以下)、Al(0.01重量%以下)、Si(0.01重量%以下)が挙げられる。
本発明における鉛レス銅基合金のうち、添加元素としてTe、Zrを含有したCu−Sn−Zn−Bi−Se系およびCu−Sn−Zn−Bi系青銅鋳物の引張試験を行い、その試験結果を説明する。引張試験は、試験片をCO2鋳型を用いて鋳込み温度1130℃でJIS A号方案に鋳造後、切削加工により製作したJIS Z2201に規定の4号試験片とし、アムスラー引張試験機を用いて行った。なお、引張試験は各試料n=4で行い、試験結果はその平均値である。
引張試験は以下の4つの条件で行った。
(試験1)
Teの含有量:0.04〜1.48重量%(本発明)、試験温度:室温(22℃)、100℃および150℃とした。試料の組成を表1に示す。この試験1で、Te含有の効果を確認する。
(試験2)
Teの含有量:0.04〜0.17重量%(本発明)、Seの含有量:0〜1.2重量%、試験温度:150℃とした。試料の組成を表2に示す。この試験2で、Teの含有による効果を、Seの含有量を変えた試料にて確認する。
(試験3)
Teの含有量:0.09〜0.22重量%(本発明)、Seの含有量:0〜0.83重量%、Znの含有量:1.02〜8.53重量%、試験温度:150℃とした。試料の組成を表3に示す。この試験3で、低Znへの適用を確認する。
Bi−Pb2元系共晶物相の特定は、EDX定量分析結果と金属組織写真を比較して行なった。金属組織写真は倍率400倍で撮影し、面積比率は各試料で20視野の平均値を算出した。
標準サンプル(試料No.64)、P0.05重量%含有した試料No.62、及びP0.09重量%含有した試料No.63の面積比率を測定した組織観察写真(画像処理前、及び画像処理後)を第16図に示す。なお、添加元素としてPを含有した場合のBi−Pb2元系共晶物の面積比率を測定した結果を表12に示す。
また、標準サンプル(試料No.67)、Te0.1重量%含有した試料No.65、及びTe0.21重量%含有した試料No.66の面積比率を測定した組織観察写真(画像処理前、及び画像処理後)を第17図に示す。なお、添加元素としてTeを含有した場合のBi−Pb2元系共晶物の面積比率を測定した結果を表12に示す。
表12に示すように、標準サンプル(試料No.64)のBi−Pb相の面積比率は0.268%であり、Pを含有したときのBi−Pb相の面積比率は、P0.05重量%含有で0.103%、P0.09重量%含有で0.104%であった。なお、これら試料No.62〜No.64のデータをグラフ化したものを第8図に示す。
また、表12に示すように、標準サンプル(試料No.67)のBi−Pb相面積比率は0.212%であり、Te0.1重量%含有で0.052%、Te0.21重量%含有で0.035%であった。なお、これら試料No.65〜No.67のデータをグラフ化したものを第9図に示す。
第8図及び第9図に示すように、添加元素として、P及びTeを含有することで、Bi−Pb相の面積比率が0.2%以下に抑制されていることが判明した。とりわけBi−Pb2元系共晶物の発生を0.1%以下に抑制すると、標準サンプル比較で衝撃値が約130%と向上することが判明した。
上記した高温衝撃試験、EDX定量分析、マッピング、及びBi−P
Claims (7)
- 単独若しくは互いに結合した状態のBi、Pbと、合金又は金属間化合物を形成する添加元素を加えることにより、高温下での機械的性質、特に引張強度を改善したことを特徴とする銅基合金。
- 上記添加元素は、Te、P、Zr、Ti、Co、In、Ca、B、及びミッシュメタルからなる群より1種又は2種以上選択される請求の範囲第1項に記載の銅基合金。
- 上記添加元素は、0.01〜2.0重量%含有される請求の範囲第1項又は第2項に記載の銅基合金。
- 合金組織中におけるBi−Pb2元系共晶物の発生を抑制した請求の範囲第1項乃至第3項の何れか1項に記載の銅基合金。
- 上記銅基合金は、少なくとも、Sn2.8〜6.0重量%、Zn1.0〜12.0重量%、Bi0.1〜3.0重量%を含有する請求の範囲第1項乃至第4項の何れか1項に記載の銅基合金。
- 上記銅基合金は、少なくとも、Sn2.8〜6.0重量%、Zn1.0〜12.0重量%、Bi0.1〜2.4重量%、Se0.05〜1.2重量%を含有する請求の範囲第1項乃至第4項の何れか1項に記載の銅基合金。
- 上記銅基合金に含まれるPbの含有量は、0.25重量%以下である請求の範囲第1項乃至第6項の何れか1項に記載の銅基合金。
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