JPWO2004042675A1 - 視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、また、3次元座標で表された大量のデジタル画像データに基づく地形の凹凸部の高低及び傾斜を、等高線に代えて、色調で表現することにより視覚的に立体感を付与可能な傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムに関する。
最も典型的には,2つの成分を座標値に変換して、その交点を二次元面上にプロットし、各交点に残る第3の成分の属性を付記する仕方(例えば、町内案内図)が知られているが、これだと第3の成分の違いを簡単に把握できない。
この点、第3の成分の属性的特徴を図形表示すること(例えば、市街案内図)もなされているが、それでも情報の局在化を免れることはできず、属性の連続的な変化が分からない。
そこで、二成分の連続的特徴(例えば、海岸、河川、湖沼等の外形線)と、第3の成分の属性等値線(例えば、等高線)を記入する仕方が汎用されているが、やはり、属性の変化状態を直感的に視認することが難しい。
ここで、より具体的に,地形図を考えてみる。
解析図化機によるメッシュ測量では、地形を格子状に分割し、それに標高値を付与してDEM(デジタルエレベイションモデル「Digital Elavation Model」)のデータを得る。これを計算機で処理して、例えば地形の高度、傾斜角、斜面方位、ラプラシアン、流域区分、水系等に関するパラメータを計算し、面上に分布する計算結果を対応する画像に変換できる。
航空機レーザー計測では、更に詳細な情報を含むデータが得られる。
これらのデータは、地形図にすべて盛り込まれる訳ではない。
例えば,高低及び傾斜に関する情報を取り出し、等高線として地図に記入する。だが、そこから立体的な地形を想像することは容易でない。
斜め上方から光を当てた陰影図として立体感を出す画像もあるが、これだと特定方向の傾斜が強調される。
この点,グレイスケール(明度の段階)あるいはレインボウカラー(色相の段階)で表示した地形画像は、地形の幾何的特徴とその分布状態を直感的に視認でき、有用であるが、効果的な立体視感が得られない。
文献1:「特開平1−46902号公報」
地上開度又は地下開度のいずれかをメガフィルタとして用い、これにより画像を処理することもあり、これだと比較的大域での地形の特徴を補足できるが、立体視感の点で物足りず、特に局所的な立体視感に不満が残る。
文献2:「岩手大論文:横山隆三・白沢道生・菊地祐(1999)開度による地形特徴の表示,写真測量とリモートセンシング,vo.38,no.4,26−34」
ここで、地形図に立体視感を与える従来方法について述べる。
(ステレオマッチング画像、三次元画像)
基本的に視差を使用した画像で、2枚の写真を用いる。赤/青フィルター、偏光フィルター、回折格子、又はレンティキュラーレンズによる場合など様々な方法があるが、いずれも特定の方向から見る必要があり、また眼鏡を必要とする。しかも、拡大、縮小が難しい。
三次元画像は、特定方向から見下ろした画像で、影の部分が見えず,また遠くが小さく、近くは解像度が不足するので、判読に不向きである。しかも画像作成に時間を要する。
(等高線による表現)
等高線は山地の地形表現に好適だが、急傾斜(例えば、急崖部)或いは緩傾斜もしくは平坦地(平野部)で、段階的に高さを割り当てられた等高線が極度に集合、離散し、地形の判読に時間がかかる。
傾斜の角度及び向きを等高線の間隔の変化から推測することになり、従って単純な拡大、縮小に馴染まず、場合により作り直しが必要になる。
等高線が混み合うと隙間がなくなり、崖記号で置換する。この作業は手間を要し、またベクトル化の障害になる。
小さな凹凸は、各等高線に高さを付与しないと判読できない。
(二次元的な標高値を有する画像データの集合)
航空写真測量による図化作業では、特定の高度を連ねた等高線情報を直接取得し、等高線間の高度は与えない。
航空機レーザー計測或いは解析図化機によるメッシュ測量の場合には、DEMデータを取得し、それに基づき等高線の二次元的な分布を求め、必要に応じ等高線のスムージングを行うが、最終的に等高線に含まれない情報、例えば、等高線間の三次元的幾何情報が使用されずに残る。
本発明は以上の点に鑑みなされた。
従って、本発明は、ベクトル場をその局所的な立体的属性も含め直感的に視認可能な仕方で実質的に二次元の視野上に視覚化するための視覚化処理システム,視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムを提供することをその課題とする。
本発明は、また、地形の高低及び勾配の度合いを一目で立体的に把握できる傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムを提供することをその課題とする。
発明の要旨
前記課題を解決すべく、本発明に係る視覚化処理システムは、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1のオペレータと、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2のオペレータと、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3のオペレータと、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4のオペレータと、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度に対応する諧調表示を行う第5のオペレータとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して、対応する座標点列を得るとともに、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度、つまり盛り上がりの度合い(例えば、地形図の尾根度)と、沈下度、つまり沈み込みの度合い(例えば、地形図の谷度)とを求め、それらを(差分も含む広義な範囲で)合目的的に重み付け合成して、局所領域での浮沈度、つまり、盛り上がり及び沈み込みの度合い(例えば、地形図の尾根谷度)を求め、これを二次元面上の対応する領域に諧調表示するようにしているので、ベクトル場をその局所的な立体的属性も含め直感的に視認可能な仕方で、実質的な二次元面上に視覚化できる。
前記浮上度は、好ましくは、前記座標点列を連結する面の局所領域における片面側の立体角で表される。
前記沈下度は、好ましくは、前記座標点列を連結する面の局所領域における他面側の立体角で表される。
前記視覚化処理システムは、好ましくは、更に、前記座標点列を連結する面の斜度分布を求める第6のオペレータを備え、前記第5のオペレータは、好ましくは、前記二次元面上に前記斜度分布を(より好ましくは赤色系の色で)色調表示,即ち彩度表示し、その明度に関し、前記諧調表示を行う。
前記視覚化処理システムは、好ましくは、更に、前記座標点列のうち前記ベクトル場での属性が等値な座標点を連結して属性等値線を得る第7のオペレータと、前記諧調表示がなされた二次元面上に前記属性等値線を写像する第8のオペレータとを備える。
本発明に係る視覚化処理方法は、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1の工程と、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2の工程と、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3の工程と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4の工程と、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度を諧調表示する第5の工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る視覚化処理プログラムは、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1の処理と、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2の処理と、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3の処理と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4の処理と、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度を諧調表示する第5の処理とをコンピュータに行わせるべく機能することを特徴とする。
本発明に係る傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システムは、3次元座標が付与されている多数のデジタルデータを記憶したデータベースと、コンピュータとからなることを特徴とし、前記コンピュータは、前記デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する手段と、前記等高線の間をメッシュ化する手段と、それぞれのメッシュに着目点を割り付け、この着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める手段と、この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する手段と、前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する手段と、前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理方法は、デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する工程と、前記等高線の間をメッシュ化する工程と、それぞれのメッシュに着目点を割り付け、該着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める工程と、この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する工程と、前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する工程と、前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理プログラムは、コンピュータを、3次元座標が付与されている多数のデジタルデータを読み出す手段、前記デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する手段、前記等高線の間をメッシュ化する手段、それぞれのメッシュに着目点を割り付け、該着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める手段、この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する手段、前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する手段、及び前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する手段として機能させることを特徴とする。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る視覚化処理システムのブロック図;
図2は、図1の視覚化処理システムの処理手順及び処理結果を示す流れ図;
図3は、図2の流れ図のA部詳細図;
図4は、図2の流れ図のB部詳細図;
図5は、図2の流れ図のC部詳細図;
図6は、図2の流れ図のD部詳細図;
図7は、図2の流れ図のE部詳細図;
図8は、図2の流れ図のF部詳細図;
図9は、図2の流れ図のG部詳細図;
図10は、図2の流れ図のH部詳細図;
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システムのブロック図;
図12は、図11の視覚化処理システムにおけるレーザ計測の説明図;
図13は、図11の視覚化処理システムにおける8方向配列の説明図;
図14は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度及び地下開度の原理説明図;
図15は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度及び地下開度の主要パターン説明図;
図16は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度及び地下開度の立体的説明図;
図17は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度及び地下開度の標本地点及び距離の説明図;
図18は、図11の視覚化処理システムにおけるグレイスケースの割当て説明図;
図19は、図11の視覚化処理システムの凸部強調画像生成部、凹部強調画像生成部、及び第1の合成部のブロック図;
図20は、図11の視覚化処理システムの斜度強調画像作成部及び第2の合成部のブロック図;
図21は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度画像及び地下開度画像と合成画像との生成過程説明図;
図22は、図11の視覚化処理システムにおける傾斜赤色化立体画像の生成過程説明図;
図23は、図11の視覚化処理システムにより得られた富士山青木ヶ原の立体視化画像を示す図;
図24は、富士山青木ヶ原の天神山スキー場南方地域の航空写真測量に基づく等高線付地形図;
図25は、同上地域のレーザ測量データに基づく等高線付地形図;
図26は、同上地域の立体視化画像を示す拡大図;
図27は、別の地域の立体視化画像を示す拡大図;
図28は、別の地域の立体視化画像を示す拡大図;
図29は、人体のX線透視図;
図30は、図29の透視図の段彩スライス画像;
図31は、図29の透視図を図1の視覚化処理システムで処理して得た赤色諧調浮沈度分布画像;そして
図32は、図31の画像を図30の画像に重ねた合成画像である。
発明を実施するための最適な形態
以下に、本発明を実施するための最適な形態を例示的に説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、図1〜図10を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は本実施形態に係る視覚化処理システムVPS1のブロック図、図2は同システムVPS1の処理手順P1〜P8及び処理結果A〜Iを示す流れ図、そして図3〜図10はそれぞれ主要な処理結果A〜Hを詳細に示す図である。
図1に示すように、視覚化処理システムVPS1は、ワークステーション、プロセッサ、マイクロコンピュータ、ロジック、レジスタ等の適宜な組み合わせからなる中央情報処理装置(CPU)51と、この中央情報処理装置51に必要な制御・操作情報を入力するキーボード(KB)、マウス、対話型ソフトスイッチ、外部通信チャネル等を含む情報入力部54と、中央情報処理装置51から出力された情報を広義な意味で表示・伝送するディスプレイ、プリンタ、外部通信チャネル等を含む情報出力部55と、中央情報処理装置51に読み込まれるオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等の情報が格納されたロム(ROM)等の第1の記憶部52と、中央情報処理装置51で随時処理すべき情報及び中央情報処理装置51から随時書き込まれる情報を格納するラム(RAM)等の第2の記憶部53とを備える。第1及び第2の記憶部52,53を適宜統合、細分化することは差し支えない。
第1の記憶部52には、所定のアプリケーション上で動作する視覚化処理プログラム60が格納され、この視覚化処理プログラム60は、本実施形態では、中央情報処理装置51に読み込まれて図2に示す8つの視覚化処理P1〜P8をそれぞれ実行可能なプログラム群を含む第1〜第8処理ファイル61〜68により構成されるが、それらプログラム群の分類、配備は自由に設定可能である。
第2の記憶部53には、視覚処理プログラム60の処理対象となるベクトル場70が格納される。このベクトル場70は、実質的に3種以上の情報を抽出可能な1つ以上の成分を有する情報ベクトルの有限集合(総数N個)であればよく、本実施形態の各ベクトルは、富士山地表面の微小な有限分割領域を代表する着目点に関し、その経度情報及び緯度情報を参照テーブルで確認可能な識別(Id)番号と、隣接する着目点又は三角基準点に対する高度差とを含む2成分ベクトルである。
第1処理ファイル61は、n番目(n=1〜N)に処理した2成分ベクトルVnの識別番号Idnと高度差とから、その経度xn、緯度yn、及び海抜高度znを算出し、その値を第2の記憶部53に格納された仮想的な三次元(3D)のX−Y−Z直交座標空間80内の対応する座標点Qn={Xn=xn、Yn=yn、Zn=zn}に対応付けることにより、つまり、記憶部53内の座標点Qnに対応した記憶領域にベクトルVnの識別番号Idnを格納することにより、ベクトルVnを座標空間80に写像し、これを総数N個のベクトルについて行うことにより、ベクトル場70を座標空間80に写像する(図2の処理P1)。
第1処理ファイル61は、更に、座標空間80内の総数N個又はそれ未満の適宜な個数のId付き座標点の列{Qn:n≦N}を必要な滑らかさで連結する曲面Sを最小二乗法等で求めて、これを総数M個{M≦N}の微小な面領域{Sm:m≦M}に分割し、それぞれ着目点Qmを定め、関連情報を記憶部53に格納する。
第2処理ファイル62は、各面領域Smに関し、その着目点Qmから所定半径内に位置する曲面Sの表側(Z+側)の局所領域Lm +を確認し、それにより画成される着目点Qm周りの開放度(即ち、天側に対する見通し立体角又はそれと等価な二回微分値)Ψm +を求め(図2の処理P2)、面領域Smの浮上度として記憶する。この浮上度Ψm +を曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Aとして図3に示す。この画像Aは、地形の尾根側、つまり(曲面Sの)凸部をいかにも凸部らしく明瞭に示す。
第3処理ファイル63は、上記面領域Smに関し、その着目点Qmから上記所定半径内に位置する曲面Sの裏側(Z−側)の局所領域Lm −を確認し、それにより画成される着目点Qm周りの開放度(即ち、地側に対する見通し立体角又はそれと等価な二回微分値)Ψm −を求め(図2の処理P3)、面領域Smの沈下度として記憶する。この沈下度Ψm −を曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Cとして図5に示す。この画像Cは、地形の谷側、つまり(曲面Sの)凹部をいかにも凹部らしく明瞭に示す。この画像Cが前記画像Aの単純な反転にならない点に留意する必要がある。
第4処理ファイル64は、上記面領域Smに関し、その浮上度Ψm +と沈下度Ψm −とを合目的的に(つまり、尾根と谷のどちらを重視するかに従い)定めた配分割合w+:w−(w++w−=0)で重み付け合成(w+Ψm ++w−Ψm −)することにより、前記所定半径内に位置する曲面Sの表裏の局所領域Lm(Lm +,Lm −)が着目点Qm周りにもたらす立体的効果を求め(図2の処理P4)、面領域Smの浮沈度Ψmとして記憶する。この浮沈度Ψmを曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Bとして図4に示す。この画像Bは、(曲面Sの)の凸部を凸部らしくまた凹部を凹部らしく明瞭に示すことにより、地形の尾根と谷とを際立たせ、視覚的立体感を増強する。なお、画像Bは、上記合成の重み付けがw+=−w−=1になっている。
ここで、第6処理ファイル66を説明する。このファイル66は、上記面領域Smに関し、その最大傾斜度(又はそれと等価な一回微分値)Gmを、直接的に又は最小二乗法を介し間接的に求め(図2の処理P6)、上記面領域Smの斜度Gmとして記憶する。この斜度Gmを曲面S全体に渡り赤系統の色Rで色調表示した画像(の無彩色表示画像)を処理結果Dとして図6に示す。この画像Dも、地形(つまり曲面S)の立体感を視覚的に醸成する効果を持つ。
第5処理ファイル65は、三次元座標空間80をその関連情報(Ψm、Gm,R)と共に、情報出力部55の二次元面90に写像(図2の処理P5)することにより、前記座標点Qmの列を連結する面Sの分割領域Smに対応する二次元面90上の領域90mに、前記斜度GmのR色調表示を行うとともに、そのR色調の明度について、前記浮沈度Ψmに対応する諧調表示を行う。この画像(の無彩色表示画像)を処理結果Fとして図8に示す。この画像Fは、地形(つまり曲面S)に視覚的立体感が付与されている。
図7の画像Eは、前記画像Dの情報(つまり斜度Gmを示すR色調)と画像Aに対応する浮沈度(つまり浮上度Ψm +)の情報とを処理ファイル65で二次元面90に写像(処理P5)した結果を示し、尾根部が強調されている。
図9の画像Gは、前記画像Dの情報(斜度Gmを示すR色調)と画像Cに対応する浮沈度(つまり沈下度Ψm −)の情報とを処理ファイル65で二次元面90に写像(処理P5)した結果を示し、谷部が強調されている。
第7処理ファイル67は、前記座標点Qnの列のうち、前記ベクトル70場のベクトルVnの成分から抽出される属性(本実施形態では海抜高度zn)が等値な座標点Qnを連結した属性等値線(本実施形態では地形の等高線及び外形線)Eaを求めて、これを記憶し、必要に応じ、出力ないしは表示する(図2の処理P7)。図2にその表示処理結果Iを示す。この結果Iも、地形(つまり曲面S)の立体形状の把握に寄与する。
第8処理ファイル68は、前記二次元面90上に、前記三次元座標空間80をその関連情報(Ψm、Gm,R)と共に写像ないしは出力表示するとともに、上記属性等値線Eaを写像ないしは出力表示する(図2の処理P8)。その表示画像(の無彩色表示画像)を処理結果Hとして図10に示す。この画像Hも、地形(つまり曲面S)に視覚的立体感が付与されている。
従って本実施形態に係る視覚化処理システムVPS1は、ベクトル場70を三次元の座標空間80に写像して対応する座標点列Qmを得る第1のオペレータ(61)と、前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lm +での浮上度Ψm +を求める第2のオペレータ(62)と、前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lm −での沈下度Ψm −を求める第3のオペレータ(63)と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lmでの浮沈度Ψmを求める第4のオペレータ(64)と、前記座標空間80を二次元面90に写像し、前記座標点列を連結する面Sの分割領域Smに対応する二次元面90上の領域90mに前記浮沈度に対応する諧調表示を行う第5のオペレータ(65)とを備える。ここにオペレータとは、あらかじめ設定もしくはプログラムされた演算処理機能もしくは演算処理命令を実行する要素もしくはその集合又は手段を意味する。
前記視覚化処理システムVPS1は、更に、前記座標点列を連結する面Sの斜度Gm分布を求める第6のオペレータ(66)を備え、前記第5のオペレータ(65)は、前記二次元面90上に前記斜度分布を赤色系の色Rで色調表示し、その明度に関し、前記諧調表示を行う。
前記視覚化処理システムVPS1は、更に、前記座標点列のうち前記ベクトル70場での属性が等値な座標点を連結して属性等値線Eaを得る第7のオペレータ(67)と、前記諧調表示がなされた二次元面90上に前記属性等値線Eaを写像する第8のオペレータ(68)とを備える。
本実施形態によれば、ベクトル場70をその局所的な立体的属性も含め直感的に視認可能な仕方で、実質的な二次元面90上に視覚化できる。
本実施形態に係る視覚化処理方法は、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1の工程P1と、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2の工程P2と、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3の工程P3と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4の工程P4と、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度を諧調表示する第5の工程P5とを備える。
本実施形態に係る視覚化処理プログラム60は、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1の処理P1と、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2の処理P2と、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3の処理P3と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4の処理P4と、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度を諧調表示する第5の処理P5とを中央情報処理装置51に行わせるべく機能する。
(第2の実施の形態)
次に、図11〜図28を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図11は本実施形態に係る傾斜赤色化立体画像生成装置4を含む視覚化処理システムVPS2全体のブロック図、図12は同システムVPS2におけるレーザ計測の説明図、図13は8方向配列の説明図、図14は地上開度及び地下開度の原理説明図、図15は地上開度及び地下開度の主要パターン説明図、図16は地上開度及び地下開度の立体的説明図、図17は地上開度及び地下開度の標本地点及び距離の説明図、図18はグレイスケースの割当て説明図、図19は凸部強調画像生成部、凹部強調画像生成部、及び第1の合成部のブロック図、図20は斜度強調画像作成部及び第2の合成部のブロック図、図21は地上開度画像及び地下開度画像と合成画像との生成過程説明図、そして図22は傾斜赤色化立体画像の生成過程説明図である。
また図23は視覚化処理システムVPS2により得られた富士山青木ヶ原の立体視化画像、図24は富士山青木ヶ原の天神山スキー場南方地域の航空写真測量に基づく等高線付地形図、図25は同上地域のレーザ測量データに基づく等高線付地形図、図26は同上地域の立体視化画像を示す拡大図、図27は別の地域の立体視化画像を示す拡大図、そして図28は別の地域の立体視化画像を示す拡大図である。
本実施形態は、DEM(Digital Elavation Model)データをもとに、第1実施形態の斜度Gmに対応する斜度と、第1の実施の形態の浮上度Ψm +に相当する地上開度と、第1の実施の形態の沈下度Ψm −に相当する地下開度との3つのパラメータを求め、その平面分布をグレイスケール画像として保存する。
地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することにより、尾根や山頂部分を白っぽく、また谷や窪地を黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像(以下立体赤色化マップともいう)が生成される。
つまり、本実施形態の立体化マップの立体表現手法は、等高線の間をメッシュ化し、それぞれの隣のメッシュとの差すなわち傾斜は赤の色調で表現し、周辺に比べて高いか低いかはグレイスケールで表現する。これは第1の実施の形態の浮沈度Ψmに相当し、本実施形態では、尾根谷度と呼ばれ、より明るいほうが周辺に比べて高く(尾根的)、より暗いほうが周辺に比べて低い(谷的)ことを示唆し、その明暗を乗算合成することにより立体感が生じる。
図11に、本実施形態に係る傾斜赤色化立体画像作成装置4の概略構成を示す。図11に示すように、本実施形態の傾斜赤色化立体画像作成装置4は、以下に説明するコンピュータ機能を備えている。また、この傾斜赤色化立体画像作成装置4には、各種データベースが接続される。
データベース1には、レーザデータRiが保存される。このレーザデータ(Rx、Ry、Rz:レーザデータによる座標であることを示すためにRを付加)は、図12に示すように対象地域上空(デジタルカメラ撮影範囲が好ましい)を水平飛行する航空機により、下方にレーザ光を発射し、往復に要した時間と、航空機の位置、姿勢、発射角度から計算(コンピュータ)によって、地表面のx、y、zを求めて保存している。前述の飛行位置の把握にはGPS(図示せず)、姿勢の把握にはIMUを用いる。
レーザ発射器(図示せずZ)は、毎秒33000回発射することが可能であり、80cmに1点の密度で標高点(Rx、Ry、Rz)の取得が可能である。
1回のレーザ発射について複数の反射パルスが測定された場合には、最終反射のデータを採用して保存する。
また、受信したレーザデータの分布傾向を検討し、周辺よりもスパイク状が高い点は、通過できなかった樹木のレーザデータと認定して取り除き、さらに樹木以外に家屋や、自動車、橋等のレーザデータも取り除く。従ってデータベース1には、地表面のレーザデータRiのみが保存される。
データベース2には、少なくともデジタルカメラ撮影範囲の等高線地図Hi(2万5000分の1:等高線に番号を付している)を格納する。また、この等高線図の特徴点の座標(Hx、Hy、Hz:等高線図データ)を付加している。
また、データベース3にはステレオマッチングデータMiを保存している。このステレオマッチングデータMiは、同じエリアを撮影した2枚の航空写真から立体画像を生成する。例えば、2枚の写真の内で既知の建物の面を抽出し、この建物の面にZ値を与えて立体化(Mx、My、Mz)し、これを基準として他の地物にZ値を与えて行く。
DEMデータ作成部6は、データベース1のレーザデータRiを読み込み、それぞれの同じ標高値を結んだ等高線図を生成し、この等高線図に対してTINを作成して地面を復元する。そして、TINと各格子点の交わる点の高さを求めDEMデータ(DEM:Digital Elavation Model)を作成する。
また、DEMデータ作成部6は、データベース2に保存されている等高線地図Hiを読み、等高線同士を結んだTINを生成し、これを前述のDEMデータにコンバートしている。
次に、本実施形態で用いるDEMデータについて説明する。例えば、「数値地図50mメッシュ(標高)」は1/25,000地形図の縦・横を各々200等分したメッシュ(メッシュ間隔は緯線方向が2.25秒、経線方向が1.50秒となっている)の中心の標高を1m刻みで読み出して2次元配列とする。
また、本実施形態の傾斜赤色化立体画像作成装置4は、図11に示すように地上開度データ作成部9と、地下開度データ作成部10と、傾斜算出部8と、凸部強調画像作成部11と、凹部強調画像作成部12と、斜度強調部13と、第1の合成部14と、第2の合成部15とを備えている。
本実施形態では、開度という概念を用いている。開度は当該地点が周囲に比べて地上に突き出ている程度及び地下に食い込んでいる程度を数量化したものである。つまり、地上開度は、図14に示すように、着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している。
開度は距離Lと周辺地形に依存している。図15は9種の基本地形についての地上開度及び地下開度を、方位毎の地上角及び地下角の8角形グラフで示したものである。一般に地上開度は周囲から高く突き出ている地点ほど大きくなり、山頂や尾根では大きな値をとり窪地や谷底では小さい。逆に地下開度は地下に低く食い込んでいる地点ほど大きくなり、窪地や谷底では大きな値をとり山頂や尾根では小さい。実際には、距離Lの範囲内でも種々の基本地形が混在しているために、地上角及び地下角の8角形グラフは変形され開度も種々の値をとることが多い。
前述のようにDφL及びDψLがLに対して非増加特性をもっていることから、ΦL及びΨLもまたLに対して非増加特性を持っている。
また、開度図は計算距離の指定によって、地形規模に適合した情報抽出が可能であり、方向性及び局所ノイズに依存しない表示が可能である。
つまり、尾根線及び谷線の抽出に優れており、豊富な地形・地質情報が判読できるものであり、図16に示すように、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体:図16の(a))において、設定した当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点Bを結ぶ直線L1と、水平線とがなす角度ベクトルθiを求める。この角度ベクトルの求め方を8方向に渡って実施し、これらを平均化したものを地上開度θiと称し、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体)に空気層を押し当てた立体(図16の(b))を裏返した反転DEMデータ(図16の(c))の当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点C(一番深い所に相当する)を結ぶ直線L2と、水平線とがなす角度を求める。この角度を8方向に渡って求めて平均化したのを地下開度ψiと称している。
すなわち、地上開度データ作成部9は、着目点から一定距離までの範囲に含まれるDEMデータ上において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線(図16の(a)のL1)の傾斜の最大値(鉛直方向から見たとき)を求める。このような処理を8方向に対して行う。傾斜の角度は天頂からの角度(平坦なら90度、尾根や山頂では90度以上、谷底や窪地では90度以下)また、地下開度データ作成部10は、反転DEMデータの着目点から一定距離までの範囲において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線の傾斜の最大値(図16の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときには最小値)を求める。このような処理を8方向に対して行う。
図16の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときの角度ψiは、平坦なら90度、尾根や山頂では90度以下、谷底や窪地では90度以上である。
つまり、地上開度と地下開度は、図17に示すように、2つの基本地点A(iA,jA,HA)とB(iB,jB,HB)を考える。標本間隔が1mであることからAとBの距離は
P={(iA−iB)2+(jA−jB)2}1/2...(1)
となる。
図17の(a)は標高0mを基準として、標本地点のAとBの関係を示したものである。標本地点Aの標本地点Bに対する仰角θは
θ=tan−1{(HB−HA)/P
で与えられる。θの符号は▲1▼HA<HBの場合には正となり、▲2▼HA>HBの場合には負となる。
着目する標本地点から方位D距離Lの範囲内にある標本地点の集合をDSLと記述して、これを「着目する標本地点のD−L集合」を呼ぶことにする。ここで、
DβL :着目する標本地点のDSLの各要素に対する仰角のうちの最大値
DδL :着目する標本地点のDSLの各要素に対する仰角のうちの最小値
として(図17の(b)参照)、次の定義をおこなう。
定義1:着目する標本地点のD−L集合の地上角及び地下角とは、各々
DφL=90−DβL
及び
DψL=90+DδL
を意味するものとする。
DφLは着目する標本地点から距離L以内で方位Dの空を見ることができる天頂角の最大値を意味している。一般に言われる地平線角とはLを無限大にした場合の地上角に相当している。また、DψLは着目する標本地点から距離L以内で方位Dの地中を見ることができる天底角の最大値を意味している。Lを増大させると、DSLに属する標本地点の数は増加することから、DβLに対して非減少特性を持ち、逆にDδLは非増加特性を持つ。したがってDφL及びDψ1.は共にLに対して非増加特性を持つことになる。
測量学における高角度とは、着目する標本地点を通過する水平面を基準にして定義される概念であり、θとは厳密には一致しない。また地上角及び地下角を厳密に議論しようとすれば、地球の曲率も考慮しなければならず、定義1は必ずしも正確な記述ではない。定義1はあくまでもDEMを用いて地形解析をおこなうことを前提として定義された概念である。
地上角及び地下角は指定された方位Dについての概念であったが、これを拡張したものとして、次の定義を導入する。
定義II:着目する標本地点の距離Lの地上開度及び地下開度とは、各々 ΦL=(0φL+45φL+90φL+135φL+180φL+225φL+270φL+315φL)/8
及び
ΨL=(0ψL+45ψL+90ψL+135ψL+180ψL+225ψL+270ψL+315ψL)/8
を意味するものとする。
地上開度は着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している(図14参照)。
傾斜算出部8は、DEMデータを正方形にメッシュ化し、このメッシュ上の着目点と隣接する正方形の面の平均傾斜を求める。隣接する正方形は4通り存在しており、いずれか一つを着目正方形とする。そして、この着目正方形の4隅の高度と平均傾斜とを求める。平均傾斜は最小二乗法を用いて4点から近似した面の傾きである。
凸部強調画像作成部11は、図18(a)に示すように、尾根、谷底を明るさで表現するための第1のグレイスケールを備え、地上開度データ作成部9が地上開度(着目点からLの範囲を8方向見たときの、平均角度:高いところにいるかを判定するための指標)を求める毎に、この地上開度θiの値に対応する明るさ(明度)を算出する。
例えば、地上開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第1のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。
つまり、尾根の部分(凸部)の部分ほど地上開度の値が大きいので、色が白くなる。
そして、図19に示すように、凸部強調画像作成部11の凸部強調用色割当処理20が地上開度画像データDaを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第1のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを地上開度ファイル21に保存(地上開度画像データDpa)する。次に、諧調補部22がこの地上開度画像データDpaの色諧調を反転させた地上開度レイヤーDpをファイル23に保存する。つまり、尾根が白くなるように調整した地上開度レイヤーDpを得ている。
凹部抽出部12は、図18(b)に示すように、谷底、尾根を明るさで表現するための第2のグレイスケールを備え、地下開度データ作成部10が地下開度ψi(着目点から8方向の平均)を求める毎に、この地上開度ψiの値に対応する明るさを算出する。
例えば、地下開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第2のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。
つまり、谷底の部分(凹部)の部分ほど地下開度の値が大きいので、色が黒くなることになる。
そして、図19に示すように、凹部強調画像作成部12の凹部強調用色割当処理25は、地下開度画像データDbを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第2のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを地下開度ファイル26に保存する。次に、諧調補正処理27が地下開度画像データDbの色諧調を補正する。
色が黒くなり過ぎた場合は、トーンカーブを補正した度合いの色にする。これを地下開度レイヤーDqと称してファイル28に保存する。
斜度強調部13は、図18(c)に示すように、傾斜の度合いを明るさで表現するに応じたで表現するための第3のグレイスケールを備え、傾斜算出部8が傾斜度(着目点から4方向の平均)を求める毎に、この傾斜度の値に対応する第3のグレイスケールの明るさ(明度)を算出する。
例えば、斜度αiの値が0度から70度程度の範囲に収まる場合は、0度から50度を第3のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。つまり、0度が白、50度以上が黒。傾斜αの大きい地点ほど色が黒くなる。
そして、図20に示すように、斜度強調画像作成部13の斜度強調用色割当処理30は、地下開度画像データDbと地上開度画像データDaとの差画像を斜度画像Draとしてファイル31に保存する。
このとき、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第3のグレイスケールに基づく色データを割り付ける。次に、赤色処理がRGBカラーモード機能でRを強調する。つまり、傾斜が大きいほど赤が強調された傾斜強調画像Drをファイル33に得る。
第1の合成部14は、地上開度レイヤーDpと地下開度レイヤーDqとを乗算して合成した合成画像Dh(Dh=Dp+Dl)を得る。このとき、谷の部分が潰れないように両方のバランスを調整する。
前述の「乗算」というのは、フォトショップ(photoshop)上のレイヤーモードの用語で、数値処理上はOR演算となる。
このバランス調整は、地上開度と地下開度の値の配分は、ある地点を地点を中心として一定の半径(L/2)の地表面を切り取る。
空全体が一様な明るさの場合に地表面から見上げる空の広さが地面の明るさを与える。
つまり、地上開度が明るさとなる。しかし、光が回り込むことまで考えると、地下開度の値も考慮するべきである。
この両者の比をどのようにするべきかで、地形の尾根の部分を強調したり、任意に変化させることができる。谷の中の地形を強調したいときはbの値を大きくする。
明るさの指標=a×地上開度−b×地下開度
但し、a+b=1
すなわち、図21に示すように、地上開度レイヤーDp(尾根を白強調)と地下開度レイヤーDq(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像を得る(Dh=Dp+Dl)。
一方、第2の合成部は、ファイルの傾斜強調画像Drと第1の合成部で合成して得た合成画像Dhと合成した尾根が赤色で強調された立体赤色化画像Kiを得て、表示部に表示する。
すなわち、図22に示すように、地上開度レイヤーDp(尾根を白強調)と地下開度レイヤーDq(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像Dhを得ると共に、斜度画像Draに対して傾斜が多きほど赤が強調された傾斜強調画像Drを得る。
そして、この傾斜強調画像Drと合成画像Dhとを合成する。
図23は、本実施形態の処理を用いた青木ヶ原一帯の立体地図である。図23に示すよう、天神山スキー場の直ぐ南にある氷穴火口列は青木ヶ原溶岩流を流出させた火口の一つである。空中写真では深い樹林に阻害され、その位置を確認することが困難である。また、航空測量による等高線地図では氷穴火口列は表現することが困難(図24参照)であったが、レーザデータによる地図(図25参照)では氷穴火口列らしいことが分かる。
これに対して、本実施形態の立体映像によれば、図26に示すように氷穴火口列であることがハッキリ分かると共に、溶岩流が作る凹凸や登山道も分かる。
また、図27及び図28は拡大図であり、溶岩流れ、道路の傾斜、凹凸が視覚的に分かる。
なお、上記実施の形態の手法は、金星の地形や火星の地形に適用できる。さらに、電子顕微鏡で測定された凹凸の可視化にも適用できる。また、ゲーム機器に適用すれば、めがねをかけなくとも立体感が得られる。
以上のように、本実施形態によれば、DEM(Digital Elavation Model)データをもとに、傾斜、地上開度、地下開度の3つのパラメータを求め、平面分布をグレイスケール画像として保存。地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することによって、尾根や山頂部分が白っぽく、谷や窪地が黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像が生成できる。このため、一目で凹凸の高低の度合い及び傾斜の度合いを把握させることができる。
(第3の実施の形態)
次に、図29〜図32を参照して、図1の視覚化処理システムVPS1を援用した本発明の第3の実施の形態を説明する。
図29は人体のX線透視図、図30は同透視図の段彩スライス画像、図31は同透視図を上記視覚化処理システムVPS1で処理して得た赤色諧調浮沈度分布画像、そして図32は図31の画像を図30の画像に重ねた合成画像である。
図30の段彩スライス画像は、図29のX線透視図の各画素の色相をその明度に応じスライスし段彩化した画像で、本実施形態では、上記画素の位置情報と明度とを成分とするベクトルの場を視覚化処理システムVPS1のベクトル場70として記憶部53に格納し、視覚化処理プログラム60の第7処理ファイル67による処理P7の結果として情報出力部55に表示される。
また図31の赤色諧調浮沈度分布画像が、視覚化処理プログラム60の第5処理ファイル65による処理P5の結果として情報出力部55に表示される。
そして図32の合成画像が、視覚化処理プログラム60の第8処理ファイル68による処理P8の結果として情報出力部55に表示される。
また、地形の高低及び勾配の度合いを一目で立体的に把握できる傾斜赤色化立体画像を生成する視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムが提供される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムに関し、特に、実質的に三つの成分をまとめて表示した三次元ベクトル(例えば、立体的地形データ)或いは多次元ベクトル(例えば、立体的地形データと地質データとを併有するデータ)中の特定の三成分に関する三次元ベクトルが分布するベクトル場(例えば,地表面を表す地形データの集合)を、直感的に視認可能な仕方(例えば、視覚的立体感を与える仕方)で、実質的に二次元の視野(例えば、平面又は曲面)上に視覚化するための視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムに関する。
【0002】
本発明は、また、3次元座標で表された大量のデジタル画像データに基づく地形の凹凸部の高低及び傾斜を、等高線に代えて、色調で表現することにより視覚的に立体感を付与可能な傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
三次元ベクトル場の二次元面上での視覚化は、古来より多くの試みがなされている。
【0004】
最も典型的には,2つの成分を座標値に変換して、その交点を二次元面上にプロットし、各交点に残る第3の成分の属性を付記する仕方(例えば、町内案内図)が知られているが、これだと第3の成分の違いを簡単に把握できない。
【0005】
この点、第3の成分の属性的特徴を図形表示すること(例えば、市街案内図)もなされているが、それでも情報の局在化を免れることはできず、属性の連続的な変化が分からない。
【0006】
そこで、二成分の連続的特徴(例えば、海岸、河川、湖沼等の外形線)と、第3の成分の属性等値線(例えば、等高線)を記入する仕方が汎用されているが、やはり、属性の変化状態を直感的に視認することが難しい。
【0007】
ここで、より具体的に,地形図を考えてみる。
【0008】
解析図化機によるメッシュ測量では、地形を格子状に分割し、それに標高値を付与してDEM(デジタルエレベイションモデル「Digital Elavation Model」)のデータを得る。これを計算機で処理して、例えば地形の高度、傾斜角、斜面方位、ラプラシアン、流域区分、水系等に関するパラメータを計算し、面上に分布する計算結果を対応する画像に変換できる。
【0009】
航空機レーザー計測では、更に詳細な情報を含むデータが得られる。
【0010】
これらのデータは、地形図にすべて盛り込まれる訳ではない。
【0011】
例えば,高低及び傾斜に関する情報を取り出し、等高線として地図に記入する。だが、そこから立体的な地形を想像することは容易でない。
【0012】
斜め上方から光を当てた陰影図として立体感を出す画像もあるが、これだと特定方向の傾斜が強調される。
【0013】
この点,グレイスケール(明度の段階)あるいはレインボウカラー(色相の段階)で表示した地形画像は、地形の幾何的特徴とその分布状態を直感的に視認でき、有用であるが、効果的な立体視感が得られない。
【0014】
文献1:「特開平1−46902号公報」
地上開度又は地下開度のいずれかをメガフィルタとして用い、これにより画像を処理することもあり、これだと比較的大域での地形の特徴を補足できるが、立体視感の点で物足りず、特に局所的な立体視感に不満が残る。
【0015】
文献2:「岩手大論文:横山隆三・白沢道生・菊地祐(1999)開度による地形特徴の表示,写真測量とリモートセンシング,vo.38,no.4,26-34」
ここで、地形図に立体視感を与える従来方法について述べる。
【0016】
(ステレオマッチング画像、三次元画像)
基本的に視差を使用した画像で、2枚の写真を用いる。赤/青フィルター、偏光フィルター、回折格子、又はレンティキュラーレンズによる場合など様々な方法があるが、いずれも特定の方向から見る必要があり、また眼鏡を必要とする。しかも、拡大、縮小が難しい。
【0017】
三次元画像は、特定方向から見下ろした画像で、影の部分が見えず,また遠くが小さく、近くは解像度が不足するので、判読に不向きである。しかも画像作成に時間を要する。
【0018】
(等高線による表現)
等高線は山地の地形表現に好適だが、急傾斜(例えば、急崖部)或いは緩傾斜もしくは平坦地(平野部)で、段階的に高さを割り当てられた等高線が極度に集合、離散し、地形の判読に時間がかかる。
【0019】
傾斜の角度及び向きを等高線の間隔の変化から推測することになり、従って単純な拡大、縮小に馴染まず、場合により作り直しが必要になる。
【0020】
等高線が混み合うと隙間がなくなり、崖記号で置換する。この作業は手間を要し、またベクトル化の障害になる。
【0021】
小さな凹凸は、各等高線に高さを付与しないと判読できない。
【0022】
(二次元的な標高値を有する画像データの集合)
航空写真測量による図化作業では、特定の高度を連ねた等高線情報を直接取得し、等高線間の高度は与えない。
【0023】
航空機レーザー計測或いは解析図化機によるメッシュ測量の場合には、DEMデータを取得し、それに基づき等高線の二次元的な分布を求め、必要に応じ等高線のスムージングを行うが、最終的に等高線に含まれない情報、例えば、等高線間の三次元的幾何情報が使用されずに残る。
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は以上の点に鑑みなされた。
【0025】
従って、本発明は、ベクトル場をその局所的な立体的属性も含め直感的に視認可能な仕方で実質的に二次元の視野上に視覚化するための視覚化処理システム,視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムを提供することをその課題とする。
【0026】
本発明は、また、地形の高低及び勾配の度合いを一目で立体的に把握できる傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記課題を解決すべく、本発明に係る視覚化処理システムは、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1のオペレータと、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2のオペレータと、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3のオペレータと、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4のオペレータと、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度に対応する諧調表示を行う第5のオペレータとを備えることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して、対応する座標点列を得るとともに、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度、つまり盛り上がりの度合い(例えば、地形図の尾根度)と、沈下度、つまり沈み込みの度合い(例えば、地形図の谷度)とを求め、それらを(差分も含む広義な範囲で)合目的的に重み付け合成して、局所領域での浮沈度、つまり、盛り上がり及び沈み込みの度合い(例えば、地形図の尾根谷度)を求め、これを二次元面上の対応する領域に諧調表示するようにしているので、ベクトル場をその局所的な立体的属性も含め直感的に視認可能な仕方で、実質的な二次元面上に視覚化できる。
【0029】
前記浮上度は、好ましくは、前記座標点列を連結する面の局所領域における片面側の立体角で表される。
【0030】
前記沈下度は、好ましくは、前記座標点列を連結する面の局所領域における他面側の立体角で表される。
【0031】
前記視覚化処理システムは、好ましくは、更に、前記座標点列を連結する面の斜度分布を求める第6のオペレータを備え、前記第5のオペレータは、好ましくは、前記二次元面上に前記斜度分布を(より好ましくは赤色系の色で)色調表示,即ち彩度表示し、その明度に関し、前記諧調表示を行う。
【0032】
前記視覚化処理システムは、好ましくは、更に、前記座標点列のうち前記ベクトル場での属性が等値な座標点を連結して属性等値線を得る第7のオペレータと、前記諧調表示がなされた二次元面上に前記属性等値線を写像する第8のオペレータとを備える。
【0033】
本発明に係る視覚化処理方法は、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1の工程と、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2の工程と、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3の工程と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4の工程と、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度を諧調表示する第5の工程とを備えることを特徴とする。
【0034】
本発明に係る視覚化処理プログラムは、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1の処理と、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2の処理と、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3の処理と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4の処理と、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度を諧調表示する第5の処理とをコンピュータに行わせるべく機能することを特徴とする。
【0035】
本発明に係る傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システムは、3次元座標が付与されている多数のデジタルデータを記憶したデータベースと、コンピュータとからなることを特徴とし、前記コンピュータは、前記デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する手段と、前記等高線の間をメッシュ化する手段と、それぞれのメッシュに着目点を割り付け、この着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める手段と、この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する手段と、前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する手段と、前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する手段とを備えることを特徴とする。
【0036】
本発明に係る傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理方法は、デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する工程と、前記等高線の間をメッシュ化する工程と、それぞれのメッシュに着目点を割り付け、該着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める工程と、この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する工程と、前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する工程と、前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する工程とを備えることを特徴とする。
【0037】
本発明に係る傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理プログラムは、コンピュータを、3次元座標が付与されている多数のデジタルデータを読み出す手段、前記デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する手段、前記等高線の間をメッシュ化する手段、それぞれのメッシュに着目点を割り付け、該着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める手段、この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する手段、前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する手段、及び前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、ベクトル場をその局所的な立体的属性も含め直感的に視認可能な仕方で、実質的な二次元面上に視覚化できる。
【0039】
また、DEM(Digital Elavation Model)データをもとに、傾斜、地上開度、地下開度の3つのパラメータを求め、平面分布をグレイスケール画像として保存。地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することによって、尾根や山頂部分が白っぽく、谷や窪地が黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像が生成できる。このため、一目で凹凸の高低の度合い及び傾斜の度合いを把握させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、本発明を実施するための最適な形態を例示的に説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
先ず、図1〜図10を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は本実施形態に係る視覚化処理システムVPS1のブロック図、図2は同システムVPS1の処理手順P1〜P8及び処理結果A〜Iを示す流れ図、そして図3〜図10はそれぞれ主要な処理結果A〜Hを詳細に示す図である。
【0042】
図1に示すように、視覚化処理システムVPS1は、ワークステーション、プロセッサ、マイクロコンピュータ、ロジック、レジスタ等の適宜な組み合わせからなる中央情報処理装置(CPU)51と、この中央情報処理装置51に必要な制御・操作情報を入力するキーボード(KB)、マウス、対話型ソフトスイッチ、外部通信チャネル等を含む情報入力部54と、中央情報処理装置51から出力された情報を広義な意味で表示・伝送するディスプレイ、プリンタ、外部通信チャネル等を含む情報出力部55と、中央情報処理装置51に読み込まれるオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等の情報が格納されたロム(ROM)等の第1の記憶部52と、中央情報処理装置51で随時処理すべき情報及び中央情報処理装置51から随時書き込まれる情報を格納するラム(RAM)等の第2の記憶部53とを備える。第1及び第2の記憶部52,53を適宜統合、細分化することは差し支えない。
【0043】
第1の記憶部52には、所定のアプリケーション上で動作する視覚化処理プログラム60が格納され、この視覚化処理プログラム60は、本実施形態では、中央情報処理装置51に読み込まれて図2に示す8つの視覚化処理P1〜P8をそれぞれ実行可能なプログラム群を含む第1〜第8処理ファイル61〜68により構成されるが、それらプログラム群の分類、配備は自由に設定可能である。
【0044】
第2の記憶部53には、視覚処理プログラム60の処理対象となるベクトル場70が格納される。このベクトル場70は、実質的に3種以上の情報を抽出可能な1つ以上の成分を有する情報ベクトルの有限集合(総数N個)であればよく、本実施形態の各ベクトルは、富士山地表面の微小な有限分割領域を代表する着目点に関し、その経度情報及び緯度情報を参照テーブルで確認可能な識別(Id)番号と、隣接する着目点又は三角基準点に対する高度差とを含む2成分ベクトルである。
【0045】
第1処理ファイル61は、n番目(n=1〜N)に処理した2成分ベクトルVnの識別番号Idnと高度差とから、その経度xn、緯度yn、及び海抜高度znを算出し、その値を第2の記憶部53に格納された仮想的な三次元(3D)のX−Y−Z直交座標空間80内の対応する座標点Qn={Xn=xn、Yn=yn、Zn=zn}に対応付けることにより、つまり、記憶部53内の座標点Qnに対応した記憶領域にベクトルVnの識別番号Idnを格納することにより、ベクトルVnを座標空間80に写像し、これを総数N個のベクトルについて行うことにより、ベクトル場70を座標空間80に写像する(図2の処理P1)。
【0046】
第1処理ファイル61は、更に、座標空間80内の総数N個又はそれ未満の適宜な個数のId付き座標点の列{Qn:n≦N}を必要な滑らかさで連結する曲面Sを最小二乗法等で求めて、これを総数M個{M≦N}の微小な面領域{Sm:m≦M}に分割し、それぞれ着目点Qmを定め、関連情報を記憶部53に格納する。
【0047】
第2処理ファイル62は、各面領域Smに関し、その着目点Qmから所定半径内に位置する曲面Sの表側(Z+側)の局所領域Lm+を確認し、それにより画成される着目点Qm周りの開放度(即ち、天側に対する見通し立体角又はそれと等価な二回微分値)Ψm+を求め(図2の処理P2)、面領域Smの浮上度として記憶する。この浮上度Ψm+を曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Aとして図3に示す。この画像Aは、地形の尾根側、つまり(曲面Sの)凸部をいかにも凸部らしく明瞭に示す。
【0048】
第3処理ファイル63は、上記面領域Smに関し、その着目点Qmから上記所定半径内に位置する曲面Sの裏側(Z-側)の局所領域Lm-を確認し、それにより画成される着目点Qm周りの開放度(即ち、地側に対する見通し立体角又はそれと等価な二回微分値)Ψm-を求め(図2の処理P3)、面領域Smの沈下度として記憶する。この沈下度Ψm-を曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Cとして図5に示す。この画像Cは、地形の谷側、つまり(曲面Sの)凹部をいかにも凹部らしく明瞭に示す。この画像Cが前記画像Aの単純な反転にならない点に留意する必要がある。
【0049】
第4処理ファイル64は、上記面領域Smに関し、その浮上度Ψm+と沈下度Ψm-とを合目的的に(つまり、尾根と谷のどちらを重視するかに従い)定めた配分割合w+:w−(w++w−=0)で重み付け合成(w+Ψm++w−Ψm-)することにより、前記所定半径内に位置する曲面Sの表裏の局所領域Lm(Lm+,Lm-)が着目点Qm周りにもたらす立体的効果を求め(図2の処理P4)、面領域Smの浮沈度Ψmとして記憶する。この浮沈度Ψmを曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Bとして図4に示す。この画像Bは、(曲面Sの)の凸部を凸部らしくまた凹部を凹部らしく明瞭に示すことにより、地形の尾根と谷とを際立たせ、視覚的立体感を増強する。なお、画像Bは、上記合成の重み付けがw+=−w−=1になっている。
【0050】
ここで、第6処理ファイル66を説明する。このファイル66は、上記面領域Smに関し、その最大傾斜度(又はそれと等価な一回微分値)Gmを、直接的に又は最小二乗法を介し間接的に求め(図2の処理P6)、上記面領域Smの斜度Gmとして記憶する。この斜度Gmを曲面S全体に渡り赤系統の色Rで色調表示した画像(の無彩色表示画像)を処理結果Dとして図6に示す。この画像Dも、地形(つまり曲面S)の立体感を視覚的に醸成する効果を持つ。
【0051】
第5処理ファイル65は、三次元座標空間80をその関連情報(Ψm、Gm,R)と共に、情報出力部55の二次元面90に写像(図2の処理P5)することにより、前記座標点Qmの列を連結する面Sの分割領域Smに対応する二次元面90上の領域90mに、前記斜度GmのR色調表示を行うとともに、そのR色調の明度について、前記浮沈度Ψmに対応する諧調表示を行う。この画像(の無彩色表示画像)を処理結果Fとして図8に示す。この画像Fは、地形(つまり曲面S)に視覚的立体感が付与されている。
【0052】
図7の画像Eは、前記画像Dの情報(つまり斜度Gmを示すR色調)と画像Aに対応する浮沈度(つまり浮上度Ψm+)の情報とを処理ファイル65で二次元面90に写像(処理P5)した結果を示し、尾根部が強調されている。
【0053】
図9の画像Gは、前記画像Dの情報(斜度Gmを示すR色調)と画像Cに対応する浮沈度(つまり沈下度Ψm-)の情報とを処理ファイル65で二次元面90に写像(処理P5)した結果を示し、谷部が強調されている。
【0054】
第7処理ファイル67は、前記座標点Qnの列のうち、前記ベクトル70場のベクトルVnの成分から抽出される属性(本実施形態では海抜高度zn)が等値な座標点Qnを連結した属性等値線(本実施形態では地形の等高線及び外形線)Eaを求めて、これを記憶し、必要に応じ、出力ないしは表示する(図2の処理P7)。図2にその表示処理結果Iを示す。この結果Iも、地形(つまり曲面S)の立体形状の把握に寄与する。
【0055】
第8処理ファイル68は、前記二次元面90上に、前記三次元座標空間80をその関連情報(Ψm、Gm,R)と共に写像ないしは出力表示するとともに、上記属性等値線Eaを写像ないしは出力表示する(図2の処理P8)。その表示画像(の無彩色表示画像)を処理結果Hとして図10に示す。この画像Hも、地形(つまり曲面S)に視覚的立体感が付与されている。
【0056】
従って本実施形態に係る視覚化処理システムVPS1は、ベクトル場70を三次元の座標空間80に写像して対応する座標点列Qmを得る第1のオペレータ(61)と、前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lm+での浮上度Ψm+を求める第2のオペレータ(62)と、前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lm-での沈下度Ψm-を求める第3のオペレータ(63)と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lmでの浮沈度Ψmを求める第4のオペレータ(64)と、前記座標空間80を二次元面90に写像し、前記座標点列を連結する面Sの分割領域Smに対応する二次元面90上の領域90mに前記浮沈度に対応する諧調表示を行う第5のオペレータ(65)とを備える。ここにオペレータとは、あらかじめ設定もしくはプログラムされた演算処理機能もしくは演算処理命令を実行する要素もしくはその集合又は手段を意味する。
【0057】
前記視覚化処理システムVPS1は、更に、前記座標点列を連結する面Sの斜度Gm分布を求める第6のオペレータ(66)を備え、前記第5のオペレータ(65)は、前記二次元面90上に前記斜度分布を赤色系の色Rで色調表示し、その明度に関し、前記諧調表示を行う。
【0058】
前記視覚化処理システムVPS1は、更に、前記座標点列のうち前記ベクトル70場での属性が等値な座標点を連結して属性等値線Eaを得る第7のオペレータ(67)と、前記諧調表示がなされた二次元面90上に前記属性等値線Eaを写像する第8のオペレータ(68)とを備える。
【0059】
本実施形態によれば、ベクトル場70をその局所的な立体的属性も含め直感的に視認可能な仕方で、実質的な二次元面90上に視覚化できる。
【0060】
本実施形態に係る視覚化処理方法は、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1の工程P1と、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2の工程P2と、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3の工程P3と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4の工程P4と、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度を諧調表示する第5の工程P5とを備える。
【0061】
本実施形態に係る視覚化処理プログラム60は、ベクトル場を三次元の座標空間に写像して対応する座標点列を得る第1の処理P1と、前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度を求める第2の処理P2と、前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度を求める第3の処理P3と、前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度を求める第4の処理P4と、前記座標空間を二次元面に写像し、前記座標点列を連結する面の分割領域に対応する二次元面上の領域に前記浮沈度を諧調表示する第5の処理P5とを中央情報処理装置51に行わせるべく機能する。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に、図11〜図28を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0063】
図11は本実施形態に係る傾斜赤色化立体画像生成装置4を含む視覚化処理システムVPS2全体のブロック図、図12は同システムVPS2におけるレーザ計測の説明図、図13は8方向配列の説明図、図14は地上開度及び地下開度の原理説明図、図15は地上開度及び地下開度の主要パターン説明図、図16は地上開度及び地下開度の立体的説明図、図17は地上開度及び地下開度の標本地点及び距離の説明図、図18はグレイスケースの割当て説明図、図19は凸部強調画像生成部、凹部強調画像生成部、及び第1の合成部のブロック図、図20は斜度強調画像作成部及び第2の合成部のブロック図、図21は地上開度画像及び地下開度画像と合成画像との生成過程説明図、そして図22は傾斜赤色化立体画像の生成過程説明図である。
【0064】
また図23は視覚化処理システムVPS2により得られた富士山青木ヶ原の立体視化画像、図24は富士山青木ヶ原の天神山スキー場南方地域の航空写真測量に基づく等高線付地形図、図25は同上地域のレーザ測量データに基づく等高線付地形図、図26は同上地域の立体視化画像を示す拡大図、図27は別の地域の立体視化画像を示す拡大図、そして 図28は別の地域の立体視化画像を示す拡大図である。
【0065】
本実施形態は、DEM(Digital Elavation Model)データをもとに、第1実施形態の斜度Gmに対応する斜度と、第1の実施の形態の浮上度Ψm+に相当する地上開度と、第1の実施の形態の沈下度Ψm-に相当する地下開度との3つのパラメータを求め、その平面分布をグレイスケール画像として保存する。
【0066】
地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することにより、尾根や山頂部分を白っぽく、また谷や窪地を黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像(以下立体赤色化マップともいう)が生成される。
【0067】
つまり、本実施形態の立体化マップの立体表現手法は、等高線の間をメッシュ化し、それぞれの隣のメッシュとの差すなわち傾斜は赤の色調で表現し、周辺に比べて高いか低いかはグレイスケールで表現する。これは第1の実施の形態の浮沈度Ψmに相当し、本実施形態では、尾根谷度と呼ばれ、より明るいほうが周辺に比べて高く(尾根的)、より暗いほうが周辺に比べて低い(谷的)ことを示唆し、その明暗を乗算合成することにより立体感が生じる。
【0068】
図11に、本実施形態に係る傾斜赤色化立体画像作成装置4の概略構成を示す。図11に示すように、本実施形態の傾斜赤色化立体画像作成装置4は、以下に説明するコンピュータ機能を備えている。また、この傾斜赤色化立体画像作成装置4には、各種データベースが接続される。
【0069】
データベース1には、レーザデータRiが保存される。このレーザデータ(Rx、Ry、Rz:レーザデータによる座標であることを示すためにRを付加)は、図12に示すように対象地域上空(デジタルカメラ撮影範囲が好ましい)を水平飛行する航空機により、下方にレーザ光を発射し、往復に要した時間と、航空機の位置、姿勢、発射角度から計算(コンピュータ)によって、地表面のx、y、zを求めて保存している。前述の飛行位置の把握にはGPS(図示せず)、姿勢の把握にはIMUを用いる。
【0070】
レーザ発射器(図示せずZ)は、毎秒33000回発射することが可能であり、80cmに1点の密度で標高点(Rx、Ry、Rz)の取得が可能である。
【0071】
1回のレーザ発射について複数の反射パルスが測定された場合には、最終反射のデータを採用して保存する。
【0072】
また、受信したレーザデータの分布傾向を検討し、周辺よりもスパイク状が高い点は、通過できなかった樹木のレーザデータと認定して取り除き、さらに樹木以外に家屋や、自動車、橋等のレーザデータも取り除く。従ってデータベース1には、地表面のレーザデータRiのみが保存される。
【0073】
データベース2には、少なくともデジタルカメラ撮影範囲の等高線地図Hi(2万5000分の1:等高線に番号を付している)を格納する。また、この等高線図の特徴点の座標(Hx、Hy、Hz:等高線図データ)を付加している。
【0074】
また、データベース3にはステレオマッチングデータMiを保存している。このステレオマッチングデータMiは、同じエリアを撮影した2枚の航空写真から立体画像を生成する。例えば、2枚の写真の内で既知の建物の面を抽出し、この建物の面にZ値を与えて立体化(Mx、My、Mz)し、これを基準として他の地物にZ値を与えて行く。
【0075】
DEMデータ作成部6は、データベース1のレーザデータRiを読み込み、それぞれの同じ標高値を結んだ等高線図を生成し、この等高線図に対してTINを作成して地面を復元する。そして、TINと各格子点の交わる点の高さを求めDEMデータ(DEM:Digital Elavation Model)を作成する。
【0076】
また、DEMデータ作成部6は、データベース2に保存されている等高線地図Hiを読み、等高線同士を結んだTINを生成し、これを前述のDEMデータにコンバートしている。
【0077】
次に、本実施形態で用いるDEMデータについて説明する。例えば、「数値地図50mメッシュ(標高)」は1/25,000地形図の縦・横を各々200等分したメッシュ(メッシュ間隔は緯線方向が2.25秒、経線方向が1.50秒となっている)の中心の標高を1m刻みで読み出して2次元配列とする。
【0078】
また、本実施形態の傾斜赤色化立体画像作成装置4は、図11に示すように地上開度データ作成部9と、地下開度データ作成部10と、傾斜算出部8と、凸部強調画像作成部11と、凹部強調画像作成部12と、斜度強調部13と、第1の合成部14と、第2の合成部15とを備えている。
【0079】
本実施形態では、開度という概念を用いている。開度は当該地点が周囲に比べて地上に突き出ている程度及び地下に食い込んでいる程度を数量化したものである。つまり、地上開度は、図14に示すように、着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している。
【0080】
開度は距離Lと周辺地形に依存している。図15は9種の基本地形についての地上開度及び地下開度を、方位毎の地上角及び地下角の8角形グラフで示したものである。一般に地上開度は周囲から高く突き出ている地点ほど大きくなり、山頂や尾根では大きな値をとり窪地や谷底では小さい。逆に地下開度は地下に低く食い込んでいる地点ほど大きくなり、窪地や谷底では大きな値をとり山頂や尾根では小さい。実際には、距離Lの範囲内でも種々の基本地形が混在しているために、地上角及び地下角の8角形グラフは変形され開度も種々の値をとることが多い。
【0081】
前述のように DφL 及び DψL がLに対して非増加特性をもっていることから、ΦL 及びΨL もまたLに対して非増加特性を持っている。
【0082】
また、開度図は計算距離の指定によって、地形規模に適合した情報抽出が可能であり、方向性及び局所ノイズに依存しない表示が可能である。
【0083】
つまり、尾根線及び谷線の抽出に優れており、豊富な地形・地質情報が判読できるものであり、図16に示すように、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体:図16の(a))において、設定した当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点Bを結ぶ直線L1と、水平線とがなす角度ベクトルθiを求める。この角度ベクトルの求め方を8方向に渡って実施し、これらを平均化したものを地上開度θiと称し、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体)に空気層を押し当てた立体(図16の(b))を裏返した反転DEMデータ(図16の(c))の当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点C(一番深い所に相当する)を結ぶ直線L2と、水平線とがなす角度を求める。この角度を8方向に渡って求めて平均化したのを地下開度ψiと称している。
【0084】
すなわち、地上開度データ作成部9は、着目点から一定距離までの範囲に含まれるDEMデータ上において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線(図16の(a)のL1)の傾斜の最大値(鉛直方向から見たとき)を求める。このような処理を8方向に対して行う。傾斜の角度は天頂からの角度(平坦なら90度、尾根や山頂では90度以上、谷底や窪地では90度以下) また、地下開度データ作成部10は、反転DEMデータの着目点から一定距離までの範囲において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線の傾斜の最大値(図16の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときには最小値)を求める。このような処理を8方向に対して行う。
【0085】
図16の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときの角度ψiは、平坦なら90度、尾根や山頂では90度以下、谷底や窪地では90度以上である。
【0086】
つまり、地上開度と地下開度は、図17に示すように、2つの基本地点A(iA,jA,HA)とB(iB,jB,HB)を考える。標本間隔が1mであることからAとBの距離は
P = {(iA − iB)2 + (jA − jB)2}1/2 …(1)
となる。
【0087】
図17の(a)は標高0mを基準として、標本地点のAとBの関係を示したものである。標本地点Aの標本地点Bに対する仰角θは
θ=tan-1{(HB −HA )/P
で与えられる。θの符号は(1)HA<HB の場合には正となり、(2)HA>HB の場合には負となる。
【0088】
着目する標本地点から方位D距離Lの範囲内にある標本地点の集合を DSL と記述して、これを「着目する標本地点のD−L集合」を呼ぶことにする。ここで、
DβL :着目する標本地点の DSL の各要素に対する仰角のうちの最大値
DδL :着目する標本地点の DSL の各要素に対する仰角のうちの最小値
として(図17の(b)参照)、次の定義をおこなう。
【0089】
定義1:着目する標本地点のD−L集合の地上角及び地下角とは、各々
DφL =90− DβL
及び
DψL =90+ DδL
を意味するものとする。
【0090】
DφL は着目する標本地点から距離L以内で方位Dの空を見ることができる天頂角の最大値を意味している。一般に言われる地平線角とはLを無限大にした場合の地上角に相当している。また、DψL は着目する標本地点から距離L以内で方位Dの地中を見ることができる天底角の最大値を意味している。Lを増大させると、 DSL に属する標本地点の数は増加することから、 DβL に対して非減少特性を持ち、逆に DδL は非増加特性を持つ。したがって DφL 及び Dψ1 .は共にLに対して非増加特性を持つことになる。
【0091】
測量学における高角度とは、着目する標本地点を通過する水平面を基準にして定義される概念であり、θとは厳密には一致しない。また地上角及び地下角を厳密に議論しようとすれば、地球の曲率も考慮しなければならず、定義1は必ずしも正確な記述ではない。定義1はあくまでもDEMを用いて地形解析をおこなうことを前提として定義された概念である。
【0092】
地上角及び地下角は指定された方位Dについての概念であったが、これを拡張したものとして、次の定義を導入する。
【0093】
定義II:着目する標本地点の距離Lの地上開度及び地下開度とは、各々 ΦL=(0φL +45φL +90φL +135φL +180φL +225φL +270φL +315φL )/8
及び
ΨL=(0ψL +45ψL +90ψL +135ψL +180ψL +225ψL +270ψL +315ψL )/8
を意味するものとする。
【0094】
地上開度は着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している(図14参照)。
【0095】
傾斜算出部8は、DEMデータを正方形にメッシュ化し、このメッシュ上の着目点と隣接する正方形の面の平均傾斜を求める。隣接する正方形は4通り存在しており、いずれか一つを着目正方形とする。そして、この着目正方形の4隅の高度と平均傾斜とを求める。平均傾斜は最小二乗法を用いて4点から近似した面の傾きである。
【0096】
凸部強調画像作成部11は、図18(a)に示すように、尾根、谷底を明るさで表現するための第1のグレイスケールを備え、地上開度データ作成部9が地上開度(着目点からLの範囲を8方向見たときの、平均角度:高いところにいるかを判定するための指標)を求める毎に、この地上開度θiの値に対応する明るさ(明度)を算出する。
【0097】
例えば、地上開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第1のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。
【0098】
つまり、尾根の部分(凸部)の部分ほど地上開度の値が大きいので、色が白くなる。
【0099】
そして、図19に示すように、凸部強調画像作成部11の凸部強調用色割当処理20が地上開度画像データDaを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第1のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを地上開度ファイル21に保存(地上開度画像データDpa)する。次に、諧調補部22がこの地上開度画像データDpaの色諧調を反転させた地上開度レイヤーDpをファイル23に保存する。つまり、尾根が白くなるように調整した地上開度レイヤーDpを得ている。
【0100】
凹部抽出部12は、図18(b)に示すように、谷底、尾根を明るさで表現するための第2のグレイスケールを備え、地下開度データ作成部10が地下開度ψi(着目点から8方向の平均)を求める毎に、この地上開度ψiの値に対応する明るさを算出する。
【0101】
例えば、地下開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第2のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。
【0102】
つまり、谷底の部分(凹部)の部分ほど地下開度の値が大きいので、色が黒くなることになる。
【0103】
そして、図19に示すように、凹部強調画像作成部12の凹部強調用色割当処理25は、地下開度画像データDbを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第2のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを地下開度ファイル26に保存する。次に、諧調補正処理27が地下開度画像データDbの色諧調を補正する。
【0104】
色が黒くなり過ぎた場合は、トーンカーブを補正した度合いの色にする。これを地下開度レイヤーDqと称してファイル28に保存する。
【0105】
斜度強調部13は、図18(c)に示すように、傾斜の度合いを明るさで表現するに応じたで表現するための第3のグレイスケールを備え、傾斜算出部8が傾斜度(着目点から4方向の平均)を求める毎に、この傾斜度の値に対応する第3のグレイスケールの明るさ(明度)を算出する。
【0106】
例えば、斜度αiの値が0度から70度程度の範囲に収まる場合は、0度から50度を第3のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。つまり、0度が白、50度以上が黒。傾斜αの大きい地点ほど色が黒くなる。
【0107】
そして、図20に示すように、斜度強調画像作成部13の斜度強調用色割当処理30は、地下開度画像データDbと地上開度画像データDaとの差画像を斜度画像Draとしてファイル31に保存する。
【0108】
このとき、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第3のグレイスケールに基づく色データを割り付ける。次に、赤色処理がRGBカラーモード機能でRを強調する。つまり、傾斜が大きいほど赤が強調された傾斜強調画像Drをファイル33に得る。
【0109】
第1の合成部14は、地上開度レイヤーDpと地下開度レイヤーDqとを乗算して合成した合成画像Dh(Dh=Dp+D1 )を得る。このとき、谷の部分が潰れないように両方のバランスを調整する。
【0110】
前述の「乗算」というのは、フォトショップ(photoshop)上のレイヤーモードの用語で、数値処理上はOR演算となる。
【表1】
【0111】
このバランス調整は、地上開度と地下開度の値の配分は、ある地点を地点を中心として一定の半径(L/2)の地表面を切り取る。
【0112】
空全体が一様な明るさの場合に地表面から見上げる空の広さが地面の明るさを与える。
【0113】
つまり、地上開度が明るさとなる。しかし、光が回り込むことまで考えると、地下開度の値も考慮するべきである。
【0114】
この両者の比をどのようにするべきかで、地形の尾根の部分を強調したり、任意に変化させることができる。谷の中の地形を強調したいときはbの値を大きくする。
【0115】
明るさの指標=a×地上開度−b×地下開度
但し、a+b=1
すなわち、図21に示すように、地上開度レイヤーDp(尾根を白強調)と地下開度レイヤーDq(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像を得る(Dh=Dp+D1 )。
【0116】
一方、第2の合成部は、ファイルの傾斜強調画像Drと第1の合成部で合成して得た合成画像Dhと合成した尾根が赤色で強調された立体赤色化画像Kiを得て、表示部に表示する。
【0117】
すなわち、図22に示すように、地上開度レイヤーDp(尾根を白強調)と地下開度レイヤーDq(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像Dhを得ると共に、斜度画像Draに対して傾斜が多きほど赤が強調された傾斜強調画像Drを得る。
【0118】
そして、この傾斜強調画像Drと合成画像Dhとを合成する。
図23は、本実施形態の処理を用いた青木々原一帯の立体地図である。図23に示すよう、天神山スキー場の直ぐ南にある「氷穴火口列は青木ヶ原溶岩流を流出させた火口の一つである。空中写真では深い樹林に阻害され、その位置を確認することが困難である。また、航空測量による等高線地図では氷穴火口列は表現することが困難(図24参照)であったが、レーザデータによる地図(図25参照)では氷穴火口列らしいことが分かる。
【0119】
これに対して、本実施形態の立体映像によれば、図26に示すように氷穴火口列であることがハッキリ分かると共に、溶岩流が作る凹凸や登山道も分かる。
【0120】
また、図27及び図28は拡大図であり、溶岩流れ、道路の傾斜、凹凸が視覚的に分かる。
【0121】
なお、上記実施の形態の手法は、金星の地形や火星の地形に適用できる。さらに、電子顕微鏡で測定された凹凸の可視化にも適用できる。また、ゲーム機器に適用すれば、めがねをかけなくとも立体感が得られる。
【0122】
以上のように、本実施形態によれば、DEM(Digital Elavation Model)データをもとに、傾斜、地上開度、地下開度の3つのパラメータを求め、平面分布をグレイスケール画像として保存。地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することによって、尾根や山頂部分が白っぽく、谷や窪地が黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像が生成できる。このため、一目で凹凸の高低の度合い及び傾斜の度合いを把握させることができる。
【0123】
(第3の実施の形態)
次に、図29〜図32を参照して、図1の視覚化処理システムVPS1を援用した本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0124】
図29は人体のX線透視図、図30は同透視図の段彩スライス画像、図31は同透視図を上記視覚化処理システムVPS1で処理して得た赤色諧調浮沈度分布画像、そして図32は図31の画像を図30の画像に重ねた合成画像である。
【0125】
図30の段彩スライス画像は、図29のX線透視図の各画素の色相をその明度に応じスライスし段彩化した画像で、本実施形態では、上記画素の位置情報と明度とを成分とするベクトルの場を視覚化処理システムVPS1のベクトル場70として記憶部53に格納し、視覚化処理プログラム60の第7処理ファイル67による処理P7の結果として情報出力部55に表示される。
【0126】
また図31の赤色諧調浮沈度分布画像が、視覚化処理プログラム60の第5処理ファイル65による処理P5の結果として情報出力部55に表示される。
【0127】
そして図32の合成画像が、視覚化処理プログラム60の第8処理ファイル68による処理P8の結果として情報出力部55に表示される。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明によれば、ベクトル場その局所的な立体的属性も含め直感的に視認可能な仕方で実質的に二次元の視野上に視覚化することが可能な視覚化処理システム,視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムが提供される。
【0129】
また、地形の高低及び勾配の度合いを一目で立体的に把握できる傾斜赤色化立体画像を生成する視覚化処理システム、視覚化処理方法、及び視覚化処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0130】
本発明の上記及びその他の特徴、作用、及び効果は、以下に添付図面を参照してなされる本発明を実施するための最適な形態の説明を読むことにより明らかとなる。添付図面中:
【図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る視覚化処理システムのブロック図である。
【図2】
図2は、図1の視覚化処理システムの処理手順及び処理結果を示す流れ図である。
【図3】
図3は、図2の流れ図のA部詳細図である。
【図4】
図4は、図2の流れ図のB部詳細図である。
【図5】
図5は、図2の流れ図のC部詳細図である。
【図6】
図6は、図2の流れ図のD部詳細図である。
【図7】
図7は、図2の流れ図のE部詳細図である。
【図8】
図8は、図2の流れ図のF部詳細図である。
【図9】
図9は、図2の流れ図のG部詳細図である。
【図10】
図10は、図2の流れ図のH部詳細図である。
【図11】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システムのブロック図である。
【図12】
図12は、図11の視覚化処理システムにおけるレーザ計測の説明図である。
【図13】
図13は、図11の視覚化処理システムにおける8方向配列の説明図である。
【図14】
図14は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度及び地下開度の原理説明図である。
【図15】
図15は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度及び地下開度の主要パターン説明図である。
【図16】
図16は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度及び地下開度の立体的説明図である。
【図17】
図17は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度及び地下開度の標本地点及び距離の説明図である。
【図18】
図18は、図11の視覚化処理システムにおけるグレイスケースの割当て説明図である。
【図19】
図19は、図11の視覚化処理システムの凸部強調画像生成部、凹部強調画像生成部、及び第1の合成部のブロック図である。
【図20】
図20は、図11の視覚化処理システムの斜度強調画像作成部及び第2の合成部のブロック図である。
【図21】
図21は、図11の視覚化処理システムにおける地上開度画像及び地下開度画像と合成画像との生成過程説明図である。
【図22】
図22は、図11の視覚化処理システムにおける傾斜赤色化立体画像の生成過程説明図である。
【図23】
図23は、図11の視覚化処理システムにより得られた富士山青木ヶ原の立体視化画像を示す図である。
【図24】
図24は、富士山青木ヶ原の天神山スキー場南方地域の航空写真測量に基づく等高線付地形図である。
【図25】
図25は、同上地域のレーザ測量データに基づく等高線付地形図である。
【図26】
図26は、同上地域の立体視化画像を示す拡大図である。
【図27】
図27は、別の地域の立体視化画像を示す拡大図である。
【図28】
図28は、別の地域の立体視化画像を示す拡大図である。
【図29】
図29は、人体のX線透視図である。
【図30】
図30は、図29の透視図の段彩スライス画像である。
【図31】
図31は、図29の透視図を図1の視覚化処理システムで処理して得た赤色諧調浮沈度分布画像である。
【図32】
図32は、図31の画像を図30の画像に重ねた合成画像である。
【符号の説明】
【0131】
4 傾斜赤色化立体画像作成装置
6 DEMデータ作成部
9 地上開度データ作成部
10 地下開度データ作成部
8 傾斜算出部
11 凸部強調画像作成部
12 凹部強調画像作成部
13 斜度強調部
14 第1の合成部
15 第2の合成部
をコンピュータ(51)に行わせるべく機能することを特徴とする。
前記第2の処理(P2)は、
前記着目点Qmから所定半径内に位置する前記面Sの表側(Z+側)の領域により画成される前記着目点の鉛直方向で最大頂点となる点を結ぶ直線と水平線とがなす角度ベクトルを求め、
該角度ベクトルを8方向に渡って求め、これらを平均化して前記浮上度を求めていることを特徴とする
さらに、前記第3の処理(P3)は、
前記微少な面領域Sm、それぞれ前記着目点Qmを定め、この着目点Qmから所定半径内に位置する前記面Sの裏側(Z−側)の領域により画成される着目点の鉛直下方で最大頂点となる点を結ぶ直線と水平線とがなす角度ベクトルを求め、
前記角度ベクトルを前記8方向に渡って求め、これらを平均化して前記沈下度を求めていることを特徴とする。
Claims (12)
- ベクトル場(70)を三次元の座標空間(80)に写像して対応する座標点列を得る第1のオペレータ(61)と、
前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度(A)を求める第2のオペレータ(62)と、
前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度(C)を求める第3のオペレータ(63)と、
前記浮上度(A)と前記沈下度(C)とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度(B)を求める第4のオペレータ(64)と、
前記座標空間(80)を二次元面(90)に写像し、前記座標点列を連結する面の局所領域に対応する二次元面(90)上の領域に前記浮沈度に対応する諧調表示(F)を行う第5のオペレータ(65)と
を備えることを特徴とする視覚化処理システム(VPS1;VPS2)。 - 前記浮上度(B)は、前記座標点列を連結する面の局所領域における片面側の立体角で表されることを特徴とする請求項1に記載の視覚化処理システム(VPS1;VPS2)。
- 前記沈下度(C)は、前記座標点列を連結する面の局所領域における他面側の立体角で表されることを特徴とする請求項2に記載の視覚化処理システム(VPS1;VPS2)。
- 更に、前記座標点列を連結する面の斜度分布(D)を求める第6のオペレータ(66)を備え、
前記第5のオペレータ(65)は、前記二次元面(90)上に前記斜度分布(D)を色調表示(F)し、その明度に関し前記諧調表示(F)を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の視覚化処理システム(VPS1;VPS2)。 - 前記第5のオペレータ(65)は、前記斜度分布(D)を赤色系の色で色調表示(F)することを特徴とする請求項4に記載の視覚化処理システム(VPS1;VPS2)。
- 更に、前記座標点列のうち前記ベクトル場(70)での属性が等値な座標点を連結して属性等値線(I)を得る第7のオペレータ(67)と、
前記諧調表示(F)がなされた二次元面(90)上に前記属性等値線(I)を写像する第8のオペレータ(68)と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の視覚化処理システム(VPS1;VPS2)。 - ベクトル場(70)を三次元の座標空間(80)に写像して対応する座標点列を得る第1の手段(61)と、
前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度(A)を求める第2の手段(62)と、
前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度(C)を求める第3の手段(63)と、
前記浮上度(A)と前記沈下度(C)とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度(B)を求める第4の手段(64)と、
前記座標空間(80)を二次元面(90)に写像し、前記座標点列を連結する面の局所領域に対応する二次元面(90)上の領域に前記浮沈度(B)に対応する諧調表示(F)を行う第5の手段(65)と
を備えることを特徴とする視覚化処理システム(VPS1;VPS2)。 - ベクトル場(70)を三次元の座標空間(80)に写像して対応する座標点列を得る第1の工程(P1)と、
前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度(A)を求める第2の工程(P2)と、
前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度(C)を求める第3の工程(P3)と、
前記浮上度(A)と前記沈下度(C)とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度(B)を求める第4の工程(P4)と、
前記座標空間(80)を二次元面(90)に写像し、前記座標点列を連結する面の局所領域に対応する二次元面(90)上の領域に前記浮沈度(B)を諧調表示(F)する第5の工程(P5)と
を備えることを特徴とする視覚化処理方法。 - ベクトル場(70)を三次元の座標空間(80)に写像して対応する座標点列を得る第1の処理(P1)と、
前記座標点列を連結する面の局所領域での浮上度(A)を求める第2の処理(P2)と、
前記座標点列を連結する面の局所領域での沈下度(C)を求める第3の処理(P3)と、
前記浮上度(A)と前記沈下度(C)とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面の局所領域での浮沈度(B)を求める第4の処理(P4)と、
前記座標空間(80)を二次元面(90)に写像し、前記座標点列を連結する面の局所領域に対応する二次元面(90)上の領域に前記浮沈度(B)を諧調表示(F)する第5の処理(P5)と
をコンピュータ(51)に行わせるべく機能することを特徴とする視覚化処理プログラム(60)。 - 3次元座標が付与されている多数のデジタルデータを記憶したデータベースと、
コンピュータとからなり、
前記コンピュータは、
前記デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する手段と、
前記等高線の間をメッシュ化する手段と、
それぞれのメッシュに着目点を割り付け、該着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める手段と、
この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する手段と、
前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する手段と、
前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する手段と
を備える
ことを特徴とする傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理システム(VPS1)。 - デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する工程と、
前記等高線の間をメッシュ化する工程と、
それぞれのメッシュに着目点を割り付け、該着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める工程と、
この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する工程と、
前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する工程と、
前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する工程と
を備えることを特徴とする傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理方法。 - コンピュータを、
3次元座標が付与されている多数のデジタルデータを読み出す手段、
前記デジタルデータの同じZ値を有する3次元座標を繋いだ等高線を有する立体等高線画像を生成する手段、
前記等高線の間をメッシュ化する手段、
それぞれのメッシュに着目点を割り付け、該着目点を有するメッシュの隣同士のメッシュとのZ値の差の平均を求める手段、
この平均の差の大きさの度合いに応じた赤の諧調を前記着目点を有するメッシュに割り当てた傾斜赤色化画像を生成する手段、
前記着目点を有するメッシュの尾根谷度に応じて明度を変えたグレイスケール画像を生成する手段、及び
前記傾斜赤色化画像と前記グレイスケール画像とを乗算合成することで、傾斜の度合い及び高低の度合いを色で表現した傾斜赤色化立体画像を画面に表示する手段
として機能させることを特徴とする傾斜赤色化立体画像を生成するための視覚化処理プログラム。
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