JPWO2004039201A1 - 髪止め具 - Google Patents
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Abstract
Description
この髪止め具(P)は、開閉操作部(51b)(52b)を指で摘んで閉じ合わせると、先端部(51a)(52a)の閉じ合わせが解除されて、両挟持片(51)(52)の先端部(51a)(52a)から中間部にかけての領域、すなわち毛髪挟持部(51c)(52c)が、巻ばね(56)の付勢力に抗して拡開するよう構成されている。そして図14及び図15に示すように拡開された両挟持片(51)(52)間に毛髪(H)を束ねるように配置して、開閉操作部(51b)(52b)の閉じ合わせを解除することにより、毛髪(H)を挟持部(51c)(52c)間に束ねて挟持できるよう構成されている。
このような髪止め具(P)は、毛髪(H)が挟持部(51c)(52c)に対し滑り易いため、毛髪(H)を挟持部(51c)(52c)間に束ねて挟持した際に、髪止め具(P)が毛髪(H)に対し簡単に位置ずれしてしまい、初期の髪止め状態に維持することが困難であった。
そこで下記特許文献1に示すように、挟持片(51)(52)のうち外側の挟持片(51)に沿って滑り止め部材が設けられた髪止め具(P)が記載されている。この髪止め具(P)は、毛髪挟持状態において、滑り止め部材(60)に毛髪(H)を滑り止め状態に対接させることにより、毛髪(H)に対する滑りを防止するようにしている。
しかしながら、上記特許文献1等に示す従来の髪止め具(P)においては、閉じた状態において、挟持部(51c)(52c)間の隙間が、先端部(51a)(52a)から軸受突片(53)(54)にかけて漸次拡開するように構成されている。従って、挟持部(51c)(52c)間の基端部には大きい空隙部(S)が形成されている。このため、髪止め具(P)を毛髪(H)に挟持させた状態においては、挟持部(51c)(52c)の先端部(51a)(52a)側の部分では十分な挟着力を得ることができるのに対し、基端部側の部分では空隙部(S)が形成されているため、十分な挟持力を得ることが困難である。
加えて、髪止め具(P)は、それ自体枢軸(55)側に重心が偏在している。従って、図12の矢符に示すように、髪止め具(P)を毛髪(H)に装着した状態において、先端部(51a)(52a)側を中心として、操作部(51b)(52b)側が下方にずれ動いて傾き、初期の状態に髪止め具(P)が保持されないという難があった。
このように従来の髪止め具(P)は、装着安定性に劣り、使用感や、装着時の外観体裁を損なうという問題があった。
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、装着安定性に優れ、使用感及び装着時の外観を向上させることができる髪止め具を提供することを目的とする。
この発明の他の目的は、以下の説明により明らかにされるであろう。
この発明の髪止め具においては、一対の挟持片における相対応する挟持部の基端部側に、その基端部の空隙部を埋設する態様に滑り止め部材を設けているため、毛髪を挟持した際に、滑り止め部材が毛髪に滑り止め状態に弾接して、毛髪に確実に位置固定される。従って、毛髪挟持部における先端部と基端部との両端部において、毛髪に対し十分な挟着力を得ることができ、髪止め具自体が位置ずれするのを確実に防止することができる。
本発明においては、前記一対の挟持片のうち一方の挟持片に前記滑り止め部材が設けられるとともに、前記一対の挟持片を閉じた状態において、前記滑り止め部材の先端が、他方の挟持片に接触するよう配置されてなる構成を採用するのが好ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、空隙部において滑り止め部材が一方の挟持片から他方の挟持片にかけて確実に配置されるため、毛髪挟持時に、滑り止め部材を毛髪に確実に弾接でき、髪止め具自体の位置ずれを、より確実に防止することができる。
更に本発明においては、前記一対の挟持片のうち一方の挟持片に前記滑り止め部材が設けられるとともに、前記滑り止め部材が一方の挟持片側に圧縮変形するよう構成されてなるものを採用するのが良い。
すなわちこの場合には、毛髪挟持時に、滑り止め部材の毛髪に対する圧接力が過度に大きくなるのを防止することができる。
更に本発明において、前記滑り止め部材は、合成ゴム又は軟質合成樹脂の成形品により形成されてなる構成を採用するのが望ましい。
また本発明においては、前記滑り止め部材が、前記一対の挟持片のうち外側の挟持片に設けられてなる構成を採用するのが、より好ましい。
また本発明において、前記滑り止め部材は、弾性曲成変形自在な棒形状を有し、その滑り止め部材の両端部が、一方の挟持片に取り付けられるとともに、中間部が、他方の挟持片側に向けて突出するようにU字状に湾曲した状態に配置されてなる構成を採用するのが、より望ましい。
すなわちこの構成を採用した場合、滑り止め部材がブリッジ状に配置されるため、滑り止め部材により空隙部全域を隙間なく埋設するものと比較して、材料の使用量を少なくでき、材料費を削減することができる。
また本発明において、前記滑り止め部材は、棒形状の取付部と、中間部がU字状に曲成され、かつ両端が前記取付部の両端に接続された滑り止め本体とを有し、前記取付部が、一方の挟持片に取り付けられるとともに、前記滑り止め本体の中間部が、他方の挟持片側に向けて突出するように配置されていなる構成を採用するのが、一層望ましい。
すなわちこの構成を採用した場合、滑り止め部材の本体がブリッジ状に配置されるため、滑り止め部材により空隙部全域を隙間なく埋設するものと比較して、材料の使用量を少なくでき、材料費を削減することができる。しかも、取付部を一方の挟持片に取り付けるだけで簡単に、滑り止め部材を髪止め具に組み付けることができる。なおこの構成においては、前記滑り止め本体として、帯状の形状のものを好適に採用することができる。
また本発明において、前記付勢手段は、前記枢軸に巻回状態に配置された巻ばねによって構成されてなるものを好適に採用することができる。
更に本発明において、前記一対の挟持片の毛髪挟持部は、その中間部が外側に突出する円弧状に形成されてなる構成を採用するのが一層好ましい。
すなわちこの構成を採用する場合、髪止め具を頭部外表面に無理なく沿わせて装着することができ、より使い易い髪止め具を提供することができる。
また本発明においては、前記一対の挟持片のうち外側の挟持片が硬質合成樹脂により構成されてなるものを、より好適に採用することができる。
更に本発明においては、前記一対の挟持片のうち内側の挟持片が金属により構成されてなるものを、より一層好適に採用することができる。
また本発明においては、前記一対の挟持片の基端部側の内面に、対応する挟持片に向かって突出する軸受突片がそれぞれ設けられ、これらの軸受突片が前記枢軸によって連結されてなる構成を採用するこができる。
また本発明においては、相接する前記軸受突片のうち一方の軸受突片における毛髪挟持部側の側縁に、他方の軸受突片における対応側縁を被さる態様に、毛髪巻き込み防止壁が設けられてなる構成を採用するのが、一層望ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、軸受突片間等に毛髪が入り込むのを防止でき、毛髪が絡み付いて毛髪が引き抜かれる等の不具合を確実に防止することができる。
更に本発明において、相接する前記軸受突片は、前記挟持片の両側にそれぞれ設けられ、相接する軸受突片のうち外側に位置する両軸受突片における毛髪挟持部側の側縁間を架け渡す態様に巻き込み防止壁が設けられ、その巻き込み防止壁が、内側に位置する両軸受突片の毛髪挟持部側を覆うように配置されてなる構成を採用するのが、より一層好ましい。
すなわちこの構成を採用した場合には、軸受突片間に毛髪が入り込んで絡み付くのを、より確実に防止することができる。
更に本発明においては、前記一対の挟持片のうち外側の挟持片の毛髪挟持部に長さ方向に延びるスリットが形成され、前記滑り止め部材は、弾性曲成変形自在な棒形状を有し、前記滑り止め部材の両端部が、前記スリットに挿通された状態で固定されるとともに、中間部が内側の挟持片に向けて突出するようにU字状に湾曲した状態に配置されてなる構成を採用するのが、より一層望ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、滑り止め部材を不具合なく取り付けることができる。
また本発明においては、前記一対の挟持片のうち外側の挟持片の毛髪挟持部に長さ方向に延びるスリットが形成され、前記滑り止め部材は、棒形状の取付部と、中間部がU字状に曲成され、かつ両端が前記取付部の両端に接続された滑り止め本体とを有し、前記取付部が、前記スリットに挿通された状態で固定されるとともに、前記滑り止め本体の中間部が、他方の挟持片側に向けて突出するように配置されてなる構成を採用するのが、なお一層望ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、滑り止め部材を不具合なく簡単に取り付けることができる。なおこの構成においては、前記滑り止め本体として、帯状の形状のものを好適に採用することができる。
また本発明において、相接する前記軸受突片は、前記挟持片の両側にそれぞれ設けられ、相接する軸受突片のうち外側に位置する両軸受突片における毛髪挟持部側の側縁に沿って毛髪巻き込み防止壁がそれぞれ設けられ、これらの両毛髪巻き込み防止壁が、内側に位置する両軸受突片の毛髪挟持部側を覆うように配置されてなる構成を採用するのが、なお一層好ましい。
すなわちこの構成を採用した場合には、軸受突片間に毛髪が入り込んで絡み付くのを、より確実に防止することができる。
更に本発明においては、前記一対の挟持片のうち外側の挟持片の毛髪挟持部に長さ方向に延びるスリットが形成され、前記滑り止め部材は、弾性曲成変形自在な棒形状を有し、前記滑り止め部材の一端部が、前記スリットに挿通された状態で固定されてなるとともに、他端部が、前記両毛髪巻き込み防止壁間に挿通された状態で固定され、中間部が内側の挟持片に向けて突出するようにU字状に湾曲した状態に配置されてなる構成を採用するのが、より一段と層望ましい。
すなわちこの構成を採用する場合には、滑り止め部材を不具合なく確実に取り付けることができる。
図2は、第1実施形態の髪止め具を分解して示す斜視図である。
図3は、図1のY−Y線断面図である。
図4は、図1のZ−Z線断面図である。
図5は、第1実施形態の髪止め具を閉じた状態で示す側面断面図である。
図6は、第1実施形態の髪止め具を開いた状態で示す側面断面図である。
図7は、この発明の第2実施形態である髪止め具を分解して示す斜視図である。
図8は、第2実施形態の髪止め具を閉じた状態で示す側面断面図である。
図9は、第2実施形態の髪止め具を開いた状態で示す側面断面図である。
図10は、この発明の第3実施形態である髪止め具を閉じた状態で示す側面断面図である。
図11は、第3実施形態の髪止め具における毛髪装着部基端側を示す正面断面図である。
図12は、従来の髪止め具を示す斜視図である。
図13は、図12のX−X線断面図である。
図14は、従来の髪止め具を毛髪装着状態で示す側面図である。
図15は、従来の髪止め具を使用状態で示す側面図である。
一対の挟持片(1)(2)は、いずれも細長い帯板状部材であり、基端部に開閉操作部(1b)(2b)が設けられるとともに、基端部を除く領域、換言すれば先端部(1a)(2a)から中間部にかけての領域に、毛髪挟着部(1c)(2c)が設けられている。両挟持片(1)(2)の挟着部(1c)(2c)は、その中間部が外側(上側)に突出する円弧状に形成されている。
一対の挟持片(1)(2)のうち、髪止め具(P1)を頭髪(毛髪)に装着した状態において、外側に位置する挟持片(1)(以下、外側挟持片と称する)は、硬質ないしは半硬質の合成樹脂一体成形品により構成される。また、内側に位置する挟持片(2)(以下、内側挟持片と称する)は、金属板のプレス成形品により構成されている。
なお本発明において、挟持片(1)(2)の材質は特に限定されるものではなく、例えば外側挟持片(1)を、金属や他の材料により形成しても良く、内側挟持片(2)を、合成樹脂や他の材料により形成するようにしても良い。もっとも本発明においては、耐腐食性や軽量性を考慮して、内側挟持片(2)はアルミニウム等の金属により構成するのが好ましい。
外側挟持片(1)は、その基端部側の両側縁部に、具体的には、装着部(1c)と操作部(1b)との間における両側縁部に、内側挟持片(2)に向かって下向きに突出する一対の軸受突片(3)(3)が一体に形成されている。これら一対の軸受突片(3)(3)には、それぞれ中央部に軸挿通孔(3a)(3a)が形成されている。
また外側挟持片(1)の装着部(1c)には、その長さ方向に沿って連続してスリット(1d)が形成されている。
内側挟持片(2)は、その基端部側の両側縁部に、具体的には、装着部(2c)と操作部(2b)との間における両側縁部に、外側挟持片(1)に向かって上向きに突出する一対の軸受突片(4)(4)が一体に形成されている。これら一対の軸受突片(4)(4)には、それぞれ中央部に軸挿通孔(4a)(4a)が形成されている。
そして、外側挟持片(1)の各軸受突片(3)(3)が、内側挟持片(2)の各軸受突片(4)(4)の幅方向外側に位置する態様で、対応する軸受突片(3)(4)同士が沿うようにして配置される。更に、これらの軸受突片(3)(4)の軸挿通孔(3a)(4a)に枢軸(5)が回転自在に挿着される。これにより、一対の挟持片(1)(2)が枢軸(5)を中心にして開閉自在に連結されて、対応する挟持部(1c)(2c)が接離自在に構成される。
また枢軸(5)には、図3及び図4に示すように、付勢手段としての巻ばね(6)が巻き付けられている。この巻ばね(6)の両端延出部は、両挟持片(1)(2)の操作部(1b)(2b)の裏面に当接配置されている。そして、この巻ばね(6)の付勢力により、一対の挟持片(1)(2)は、その挟持部(1c)(2c)が常に閉じるように付勢されている。なお、本発明において、付勢手段は、上記の巻ばね(6)に限られることはなく、どのようなものを用いても良い。
図5及び図6に示すように本実施形態において、両挟持片(1)(2)が閉じられた状態において、操作部(1b)(2b)を指で摘んで閉じ合わせると、先端部(1a)(2a)の閉じ合わせが解除されて、毛髪挟持部(1c)(2c)が、巻ばね(6)の付勢力に抗して拡開するよう構成されている。
更にこの状態から、開閉操作部(1b)(2b)の閉じ合わせを解除すると、巻ばね(6)の付勢力により、毛髪挟持部(1c)(2c)が閉じ合わされるよう構成されている。
ここで、挟持片(1)(2)を閉じ合わせた状態において、挟持部(1c)(2c)間の隙間は、先端部(1a)(2a)から軸受突片(3)(4)にかけて漸次拡開するように構成されている。従って、挟持部(1c)(2c)間における枢軸(5)側の端部(基端部)には、変形三角形状の大きい空隙部(S)が形成されている。
そこで、本実施形態においては、上記の隙間(S)を埋設するように滑り止め部材(10)が設けられている。この滑り止め部材(10)は、合成ゴムや軟質合成樹脂からなる角棒状の成形品をもって構成されている。この滑り止め部材(10)の両端部(11)(12)が、上記スリット(1d)に挿入された状態でスリット内周面に接着固定されている。更に滑り止め部材(10)の中間部(15)は、内側の挟持片(2)に向けて突出するようにU字状に湾曲した状態に配置されている。そして両挟持片(1)(2)が閉じられた状態においては、中間部(15)の山頂部が内側挟持片(2)における挟持部(2c)の内面に、軽く接触した状態に配置される。なお参考までに、図2の想像線に滑り止め部材(10)の自然状態を示す。
この滑り止め部材(10)は、十分な柔軟性を有するものであり、両挟持片(1)(2)によって毛髪を挟み込んだ際には、滑り止め部材(10)の中間部(15)は、毛髪に押されて容易に凹み(圧縮)変形するよう構成されている。
なお本発明において、滑り止め部材(10)は、弾性変形し得るものであれば、材質等は特に限定されるものではないが、この実施形態のように、合成ゴムや軟質合成樹脂からなるものを好適に用いることができる。具体的には、軟質ナイロン、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル(PVC)系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等のエラストマーの他、ポリブタジエン等の合成ゴム、更にはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、軟質ポリ塩化ビニル等を用いることができる。また柔軟性の目安としては、ショアDで硬度10〜60のものを好適に使用することができる。
また滑り止め部材(10)の形状も特に限定されるものではなく、他の形状のものを用いても良く、更に設置形状も上記の山形に限定されるものではなく、波形に設置するようにしても良い。
更に滑り止め部材(10)は、挟持片(1)の幅方向や長さ方向に並べて複数設けるようにしても良い。
また滑り止め部材(10)は、必ずしも外側挟持片(1)に取り付ける必要はなく、内側挟持片(2)に取り付けても良く、両挟持片(1)(2)に取り付けるようにしても良い。
ところで、図3及び図4に示すように、上記一対の挟持片(1)(2)の対応する軸受突片(3)(4)同士は、互いに円滑に回動されるように、強く密着しておらず、両者間には僅かな遊び(隙間)が設けられている。従って、髪止め具(P1)を使用した際には、軸受突片(3)(4)間の隙間や、内側の両軸受突片(4)(4)間に、毛髪が入り込んで絡み付く恐れがある。このように毛髪が絡み付いた状態で、髪止め具(P1)を頭部から取り外すと、毛髪が引き抜かれるという不具合が生じる。
そこで、本実施形態では、軸受突片(3)(4)相互間や内側の両軸受突片(4)(4)間に毛髪が入り込むのを防止する目的で、外側に位置する両軸受突片(3)(3)には、その間を架け渡すようにして毛髪巻き込み防止壁(7)が一体形成されている。この毛髪巻き込み防止壁(7)は、外側の両軸受突片(3)(3)における枢軸(5)よりも挟持部(1c)(2c)側に位置する側縁に沿って配置されて、相接する内側の挟持片(2)における両軸受突片(4)(4)の側縁を覆うように配置されている。更に図5に示すようにこの毛髪巻き込み防止壁(7)は、両挟持片(1)(2)の閉じ合わせ状態の下で、枢軸(5)の下方にまで延設され、図6に示すように、両挟持片(1)(2)を大きく広げた際にも、可能な限り広い範囲にわたって、内外の軸受突片(3)(4)間の隙間及び内側の軸受突片(4)(4)の空間を覆うことができるよう構成されている。これにより、軸受突片(3)(4)相互間や内側の両軸受突片(4)(4)間に毛髪が入り込むのを確実に防止することができる。
図2及び図5に示すように、本実施形態の髪止め具(P1)は、内側の挟持片(2)における両軸受突片(4)(4)の基端部には、毛髪挟持部(2c)側に開口し、かつ軸挿通孔(4a)の下方にまで至るスロット(4b)が形成されている。そして、両挟持片(1)(2)を閉じた状態において、上側挟持片(1)の両軸受突片(3)(3)間に架け渡された毛髪巻き込み防止壁(7)が、スロット(4b)に挿入される。
また図6に示すように、両挟持片(1)(2)を開いた状態において、上側挟持片(1)の巻き込み防止壁(7)は、その先端縁のみがスロット(4b)から抜け出して、両挟持片(1)(2)における軸受突片(3)(4)間の毛髪装着部(1c)(2c)側のほぼ全域を確実に覆うように配置される。従って、挟持片(1)(2)の開き角度にかかわらず、軸受突片(3)(4)間が常に毛髪巻き込み防止壁(7)によって覆われるため、軸受突片(3)(4)間への毛髪の巻き込みを確実に防止することができる。
ところで、枢軸(5)は、図4に示すように、その基端部に頭部(5a)を有するものである。そしてその枢軸(5)は上記軸受突片(3)(4)の軸挿通孔(3a)(4a)に挿通されて、先端部(5b)が加締められて、軸受突片(3)(4)に抜止め状態に組み付けられるものである。このように枢軸(5)の両端部には、径大端部(5a)(5b)が設けられるため、この径大端部(5a)(5b)と、外側軸受突片(3)の外面との間に毛髪が入り込む隙間が形成される。
そこで、本実施形態においては、外側挟持片(1)の軸受突片(3)における外面側に、上記枢軸(5)の径大端部(5a)(5b)を収容し得る筒状部(8)が外方に突出するように一体的に形成されている。こうして、径大端部(5a)(5b)が筒状部(8)に覆われることにより、毛髪が径大端部(5a)(5b)と外側の軸受突片(3)との間に入り込むのを確実に防止することができる。
以上の構成の本実施形態の髪止め具(P1)を使用する場合には、操作部(1b)(2b)を指で摘んで閉じ合わせて、毛髪挟持部(1c)(2c)を開く。そしてその状態で、両挟持片(1)(2)間に毛髪を束ねるように配置して、操作部(1b)(2b)の閉じ合わせを解除する。これにより挟持部(1c)(2c)が巻ばね(6)の付勢力によって閉じ合わさって、その間に毛髪が束ねて挟持される。
この毛髪挟持状態においては、挟持部(1c)(2c)の先端部(1a)(2a)は強い挟持力で閉じ合わさって、毛髪に確実に固定される一方、挟持部(1c)(2c)の基端部には、その基端部の空隙部(S)を埋設ないしは閉塞する態様に滑り止め部材(10)を設けているため、この滑り止め部材(10)が毛髪に滑り止め状態に弾接して、毛髪に確実に位置固定される。従って、挟持部(1c)(2c)の先端部(1a)(2a)と基端部との両端部において、毛髪に対し十分な挟着力を得ることができ、髪止め具(P1)が位置ずれするのを確実に防止することができる。このように本実施形態の髪止め具(P1)は、装着安定性に優れ、良好な使用感及び装着外観性を得ることができる。
更に滑り止め部材(10)は、両端部(11)(12)を固定し、かつ中間部(15)をU字状に湾曲させたブリッジタイプに設けているため、滑り止め部材(10)により空隙部(S)の全域を隙間なく埋設する場合と比較して、材料費を削減して、コストの削減を図ることができる。
また本実施形態においては、外側の軸受突片(4)(4)間に毛髪巻き込み防止壁(9)を形成して、軸受突片(3)(4)相互間や内側の両軸受突片(4)(4)間に毛髪が入り込むのを防止しているため、毛髪が絡み付いて毛髪が引き抜かれる等の不具合を確実に防止でき、使用者に不快感等を与えることはない。
更に外側挟持片(1)の軸受突片(3)における外面側に、枢軸(5)の径大端部(5a)(5b)を収容し得る筒状部(8)を形成しているため、毛髪が径大端部(5a)(5b)と外側の軸受突片(3)との間に入り込むのを防止でき、この点においても、毛髪の絡み付きを、より確実に防止することができる。
しかも、外側挟持片(1)に筒状部(8)を一体に形成するものであるため、外側挟持片(1)が筒状部(8)によって補強され、ひいては挟持片(1)全体が補強され、髪止め具(P1)自体の耐久性を確実に向上させることができる。
また本実施形態の髪止め具(P1)は、外側の挟持片(1)に、滑り止め部材(10)を装着するものであるため、既存の髪止め具に、棒状合成ゴム等の滑り止め部材を取り付けるだけで簡単に製作することができる。
図7ないし図9はこの発明の第2実施形態である髪止め具(P2)を示す図である。これらの図に示すように、この髪止め具(P2)は、外側挟持片(1)に設けられる滑り止め部材(20)の構成が、上記第1実施形態における滑り止め部材(10)の構成と異なっている。
すなわち本髪止め具(P2)における滑り止め部材(20)は、滑り止め本体(21)と、取付部(25)とを一体に有する合成ゴムや軟質合成樹脂の成形品をもって構成されている。取付部(25)は、外側挟持片(1)のスリット(1d)に挿入し得る角棒状に形成されている。滑り止め本体(21)は、帯状に形成されており、その両端が取付部の両端に連結されて、中間部(21a)が下方に向けて突出するようにU字状に湾曲した状態に形成されている。
この滑り止め部材(20)の取付部(25)が、外側挟持片(1)のスリット(1d)に挿入された状態でスリット内周面に接着固定される。そして両挟持片(1)(2)が閉じられた状態においては、滑り止め本体(21)が挟持部(1c)(2c)の基端部における空隙部(S)を埋設ないしは閉塞する態様に配置されるとともに、中間部(21a)が内側挟持片(2)における挟持部(2c)の内面に軽く接触した状態に配置される。
なお本実施形態の滑り止め部材(20)における材質は、十分な柔軟性を有し、弾性変形し得るものであれば、特に限定されるものではなく、上記第1実施形態における滑り止め部材(20)と同様の材質を好適に用いることができる。
本第2実施形態において、他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同一部分に同一符号を付して、重複説明は省略する。
この実施形態の髪止め具(P2)においても、上記第1実施形態と同様に、同様の作用効果を奏する。
その上更に、滑り止め部材(20)が棒状の取付部(25)を有するものであるため、その棒状取付部(25)を、外側挟持片(1)のスリット(1d)に、挿入固定するだけで簡単に、組み付けることができるので、滑り止め部材付きの髪止め具(P2)を、より一層簡単に製作することができる。
図10及び図11はこの発明の第3実施形態である髪止め具(P3)を示す図である。両図に示すように、この髪止め具(P3)は、上記第1実施形態の髪止め具(P1)と比較した場合、主として、毛髪巻き込み防止壁(7)の構成が異なるものである。
すなわち本髪止め具(P3)において、外側の両軸受突片(4)(4)における枢軸(5)よりも挟持部(1c)側の端縁に、巻き込み防止壁(7a)(7a)が挟持片(1)の幅方向内側に向かって延びるように一体的にそれぞれ形成されている。こうして、内側の両軸受突片(4)(4)における挟持部(2c)側の端縁を、両側2つの巻き込み防止壁(7a)(7a)により覆って、軸受突片(3)(4)間に毛髪が入り込むのを防止するようにしている。
また滑り止め部材(10)は、その一端部(11)が上記と同様に、外側挟持片(1)のスリット(1d)に挿入されて固定されるとともに、他端部(12)が両巻き込み防止壁(7a)(7a)間の隙間に挿通されて、外側の両軸受突片(3)(3)間に配置される。更に滑り止め部材(10)の他端部(12)には、挟持片(1)の幅広のアンカー部(12a)が一体に形成されており、このアンカー部(12a)が両巻き込み防止壁(7a)(7a)に係止されることにより、滑り止め部材(10)の他端部(12)が抜止め状態に組み付けられている。
その他の構成は、上記第1実施形態の髪止め具(P1)の構成と実質的に同様であるため、同一又は相当部分に同一符号を付して、重複説明は省略する。
この髪止め具(P3)においても、上記と同様に同様の効果を得ることができる。
その上更に、本実施形態においては、滑り止め部材(10)の他端部(12)を軸受突片(3)の内部に配置するものであるため、滑り止め部材(10)の設置位置を、枢軸(5)に可及的に近接させることができ、使用時には、滑り止め部材(10)を軸受(5)の近接位置で毛髪に滑り止め状態で弾接させることができる。このため、髪止め具(P3)を、長さ方向全域において、より一層バランス良く毛髪に挟持させることができ、より一層安定させた状態で装着することができる。
なお上記第2実施形態においては、外側軸受突片(3)の端縁に内方突出状に毛髪巻き込み防止壁(7a)を形成するようにしているが、本発明はそれだけに限られず、内側軸受突片(4)の端縁に外方突出状に毛髪巻き込み防止壁を形成し、その防止壁により外側軸受突片(3)を覆うように形成しても良い。
以上のように、本発明の髪止め具によれば、一対の挟持片における相対応する挟持部の基端部側に、その基端部の空隙部を埋設する態様に滑り止め部材を設けているため、毛髪を挟持した際に、滑り止め部材が毛髪に滑り止め状態に弾接して、毛髪に確実に位置固定される。従って、毛髪挟持部における先端部と基端部との両端部において、毛髪に対し十分な挟着力を得ることができ、髪止め具自体が位置ずれするのを確実に防止でき、装着安定性に優れ、良好な使用感及び装着外観性を得ることができるという効果がある。
また本発明において、一対の挟持片の軸受突片に、その突片間の毛髪装着部側を覆うように毛髪巻き込み防止壁を形成する場合には、軸受突片間等に毛髪が入り込むのを防止でき、毛髪が絡み付いて毛髪が引き抜かれる等の不具合を確実に防止できて、使用者に不快感等を与えることはないという利点がある。
この出願は、2002年10月29日付で出願された日本国特許出願特開2002−313688号の優先権主張を伴うものであり、その開示内容は、そのまま本願の一部を構成するものである。
ここで用いられた用語および説明は、この発明に係る実施形態を説明するために用いられたものであって、この発明はこれに限定されるものではない。この発明は請求の範囲であれば、その精神を逸脱するものではない限り、いかなる設計的変更も許容するものである。
Claims (20)
- 先端部から中間部にかけての領域に毛髪挟持部が設けられるとともに、基端部に操作部が設けられた一対の挟持片と、
前記一対の挟持片を並行に配置した状態でそれらの基端部側同士を回動自在に連結し、前記一対の挟持片を開閉自在に構成する枢軸と、
前記一対の挟持片を閉じる方向に付勢し、相対応する前記毛髪挟持部間に毛髪を挟持させるための付勢手段とを備え、
前記一対の挟持片を閉じた状態において、相対応する前記毛髪挟持部間における前記枢軸側の端部に空隙部が形成される一方、
前記一対の挟持片の少なくともいずれか一方に、閉じた状態において前記空隙部を埋設する態様に、弾性変形自在な滑り止め部材が設けられてなることを特徴とする髪止め具。 - 前記一対の挟持片のうち一方の挟持片に前記滑り止め部材が設けられるとともに、
前記一対の挟持片を閉じた状態において、前記滑り止め部材の先端が、他方の挟持片に接触するよう配置されてなる請求項1記載の髪止め具。 - 前記一対の挟持片のうち一方の挟持片に前記滑り止め部材が設けられるとともに、
前記滑り止め部材が一方の挟持片側に圧縮変形するよう構成されてなる請求項1記載の髪止め具。 - 前記滑り止め部材は、合成ゴム又は軟質合成樹脂の成形品により形成されてなる請求項1記載の髪止め具。
- 前記滑り止め部材が、前記一対の挟持片のうち外側の挟持片に設けられてなる請求項1記載の髪止め具。
- 前記滑り止め部材は、弾性曲成変形自在な棒形状を有し、
その滑り止め部材の両端部が、一方の挟持片に取り付けられるとともに、中間部が、他方の挟持片側に向けて突出するようにU字状に湾曲した状態に配置されてなる請求項1記載の髪止め具。 - 前記滑り止め部材は、棒形状の取付部と、中間部がU字状に曲成され、かつ両端が前記取付部の両端に接続された滑り止め本体とを有し、
前記取付部が、一方の挟持片に取り付けられるとともに、前記滑り止め本体の中間部が、他方の挟持片側に向けて突出するように配置されてなる請求項1記載の髪止め具。 - 前記滑り止め本体は、帯状の形状を有する請求項7記載の髪止め具。
- 前記付勢手段は、前記枢軸に巻回状態に配置された巻ばねによって構成されてなる請求項1記載の髪止め具。
- 前記一対の挟持片の毛髪挟持部は、その中間部が外側に突出する円弧状に形成されてなる請求項1記載の髪止め具。
- 前記一対の挟持片のうち外側の挟持片が硬質合成樹脂により構成されてなる請求項1記載の髪止め具。
- 前記一対の挟持片のうち内側の挟持片が金属により構成されてなる請求項1記載の髪止め具。
- 前記一対の挟持片の基端部側の内面に、対応する挟持片に向かって突出する軸受突片がそれぞれ設けられ、これらの軸受突片が前記枢軸によって連結されてなる請求項1記載の髪止め具。
- 相接する前記軸受突片のうち一方の軸受突片における毛髪挟持部側の側縁に、他方の軸受突片における対応側縁を被さる態様に、毛髪巻き込み防止壁が設けられてなる請求項13記載の髪止め具。
- 相接する前記軸受突片は、前記挟持片の両側にそれぞれ設けられ、
相接する軸受突片のうち外側に位置する両軸受突片における毛髪挟持部側の側縁間を架け渡す態様に巻き込み防止壁が設けられ、その巻き込み防止壁が、内側に位置する両軸受突片の毛髪挟持部側を覆うように配置されてなる請求項13記載の髪止め具。 - 前記一対の挟持片のうち外側の挟持片の毛髪挟持部に長さ方向に延びるスリットが形成され、
前記滑り止め部材は、弾性曲成変形自在な棒形状を有し、
前記滑り止め部材の両端部が、前記スリットに挿通された状態で固定されるとともに、中間部が内側の挟持片に向けて突出するようにU字状に湾曲した状態に配置されてなる請求項15記載の髪止め具。 - 前記一対の挟持片のうち外側の挟持片の毛髪挟持部に長さ方向に延びるスリットが形成され、
前記滑り止め部材は、棒形状の取付部と、中間部がU字状に曲成され、かつ両端が前記取付部の両端に接続された滑り止め本体とを有し、
前記取付部が、前記スリットに挿通された状態で固定されるとともに、前記滑り止め本体の中間部が、他方の挟持片側に向けて突出するように配置されてなる請求項15記載の髪止め具。 - 前記滑り止め本体は、帯状の形状を有する請求項17記載の髪止め具。
- 相接する前記軸受突片は、前記挟持片の両側にそれぞれ設けられ、
相接する軸受突片のうち外側に位置する両軸受突片における毛髪挟持部側の側縁に沿って毛髪巻き込み防止壁がそれぞれ設けられ、これらの両毛髪巻き込み防止壁が、内側に位置する両軸受突片の毛髪挟持部側を覆うように配置されてなる請求項13記載の髪止め具。 - 前記一対の挟持片のうち外側の挟持片の毛髪挟持部に長さ方向に延びるスリットが形成され、
前記滑り止め部材は、弾性曲成変形自在な棒形状を有し、
前記滑り止め部材の一端部が、前記スリットに挿通された状態で固定されてなるとともに、他端部が、前記両毛髪巻き込み防止壁間に挿通された状態で固定され、中間部が内側の挟持片に向けて突出するようにU字状に湾曲した状態に配置されてなる請求項19記載の髪止め具。
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