JPWO2003104446A1 - 新規アシラーゼ遺伝子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属β−ラクタムアシラーゼをコードするDNAを有する遺伝子及び基質分解を低減させアシラーゼ活性を増強させた該改変遺伝子、当該遺伝子の塩基配列から予想されるタンパク質、当該遺伝子によりコードされたβ−ラクタムアシラーゼ、当該遺伝子を有する組換えベクター、当該組換えベクターを含む形質転換体、当該酵素の製造方法および当該酵素を用いたβ−ラクタム系抗生物質の生産方法に関する。
背景技術
アモキシシリン、アンピシリン、セファロスポリンをはじめとする多くのβ−ラクタム系抗生物質は、ペニシリウム(Penicillium)属およびセファロスポリウム(Cephalosporium)属等の菌類を培養することによって得られる発酵生成物を出発材料として製造されている。
たとえば、ペニシリンG(PenG)、ペニシリンV(PenV)あるいはセファロスポリンCからアミド結合を開裂(脱アシル化)し、半合成ペニシリン及びセファロスポリンの工業的生産の最も重要な中間体である6−アミノペニシラン酸(6−APA)あるいは7−アミノセファロスポラン酸(7−ACA)を生産するために、ペニシリンGアシラーゼ(ペニシリンGアミダーゼとも称されるベンジルペニシリンアミドヒドロラーゼ、EC3.5.1.11)が産業上使用されている。この酵素は、PenGから通常化学的に製造されるフェニルアセチル−7−アミノデアセトキシセファロスポラン酸の、7−アミノデアセトキシセファロスポラン酸(7−ADCA)への変換にも工業的に使用されている。これらβ−ラクタム母核である6−APA、7−ACA、7−ADCAと側鎖化合物との化学合成反応により製造された半合成ペニシリン類およびセファロスポリン類は、β−ラクタム系抗生物質の重要な市場を形成している。
従来β−ラクタム母核生産での脱アシル化において有用な酵素は、加水分解酵素として分類され、当該分野においては通常「アシラーゼ」もしくは「アミダーゼ」と呼ばれている。これらアシラーゼ酵素の中でもβ−ラクタム系抗生物質を基質として認識するものは、さらに「β−ラクタムアシラーゼ」として特定されている。このβ−ラクタムアシラーゼの活性には、アシル基が水によって脱離する場合の加水分解(脱アシル)活性と、その可逆反応である活性化された側鎖基質から求核物質へのアシル基の転移を触媒する転移活性がある。この化学的形態は次の一般式によって表される。すなわち、特定のアシラーゼによって基質として受け入れられる化合物:X−CO−NH−Yにおける該化学的形態XおよびYの特性は、該当するアシラーゼの基質特異性によって決定される。Xは側鎖を表し、一方Yはアシルアクセプタ基を表している。例えば、PenGの場合X−CO−はフェニルアセチル側鎖を表し、かつ−NH−Yは6−APAを表している。これらβ−ラクタムアシラーゼは、β−ラクタム系抗生物質の生産において、アシル基転移反応工程を化学合成法から酵素法へ転換する可能性があることにより注目されているが、いまだ生産効率が悪い点から実用化には至っていない。
β−ラクタムアシラーゼは、基質特異性や分子的特徴において以下のように分類されている(Process Biochemistry,27,131,1992、World J.Microbiology&Biotechnology,10,129,1994)。β−ラクタムアシラーゼは大きく分けて、ペニシリンアシラーゼとセファロスポリンアシラーゼに分類され、さらにペニシリンアシラーゼはペニシリンGアシラーゼと、ペニシリンVアシラーゼ、アンピシリンアシラーゼに細分類され、セファロスポリンアシラーゼは、セファロスポリンアシラーゼとグルタリル−7−ACA(GL−7−ACA)アシラーゼに細分類される。
これまで6−APA生産等で産業上利用されてきたペニシリンGアシラーゼは小サブユニット(α:16−26kDa)と大サブユニット(α:54−66kDa)からなるヘテロ2量体を形成しており、一方ペニシリンVアシラーゼは分子量35KDaのサブユニットの4量体、また、アンピシリンアシラーゼは分子量72kDaのホモ2量体の形成が知られている。また、基質特異性より、αアミノ酸ヒドロラーゼという名前をもつものもあるが、この場合も化学反応の形態では上記アシラーゼ活性に含まれる。
これらアシラーゼのうちペニシリンGアシラーゼをコードしている微生物のアシラーゼ遺伝子配列が明らかにされている。即ち、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)(Nucleic Acids Res.,14(14),5713,1996)、クルイベラ シトロフィリア(Kluyvera citrophila)(Gene,49,69,1986)、アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenes faecalis)(特開平4−228073)、プロビデンシア レテゲリ(Providencia rettgeri)(DNA seq.,3,195,1992)、アリスロバクター ビスコサス(Arthrobacter viscosus)(Appl.Environ.Microbiol.,54,2603,1988)、アーケオグロバス フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)(Nature,390,364,1997)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)(FEMS Microbiol.Lett.125,287,1995)等である。また、ヘテロ2量体構造を持つ、GL−7−ACAアシラーゼはシュードモナス(Pseudomonas)sp.(J.Ferment.Bioeng.,77,591,1994)、セファロスポリンアシラーゼはシュードモナス(Pseudomonas)sp.(J.Bacteriol.,163,1222,1985、J.Bacteriol.,169,5821,1987)等が明らかにされている。
これらは遺伝子ファミリーとしてDNAレベルで明らかにされているため遺伝子クローニングは容易であり、また、微生物ゲノムライブラリーの酵素活性を指標にした方法によってスクリーニングすることによるDNA取得も容易に可能である。
発明の要約
本発明が解決しようとする課題は、活性の高いβ−ラクタムアシラーゼタンパク質、当該β−ラクタムアシラーゼタンパク質をコードする遺伝子、当該遺伝子を有する組換えベクター、当該組換えベクターを含む形質転換体、および当該β−ラクタムアシラーゼを用いたアモキシシリン等のβ−ラクタム系抗生物質の製造方法を提供することである。従来のペニシリンGアシラーゼはアモキシシリン等のβ−ラクタム系抗生物質への合成効率が低く、またフェニル酢酸、フェノキシ酢酸やアモキシシリンで合成活性が強く阻害されるため、これら性質が改善された酵素の出現が工業的に有利であるために求められていた。
我々は6−アミノペニシラン酸(6−APA)とD−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)からアモキシシリンを効率よく生産する酵素を得ることを目的として様々な菌株を土壌よりスクリーニングした結果、グラム陰性細菌であるステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物がβ−ラクタムアシラーゼを生産することを見出した。この菌株からβ−ラクタムアシラーゼを精製し、さらにその遺伝子クローニングを行った。その結果、β−ラクタムアシラーゼ遺伝子をクローニングして配列番号1で示されるDNA塩基配列を決定した。本発明でいう遺伝子とは、機能を持つ核酸上の配列であり、例えばタンパク質やtRNA、rRNAなどの一次構造を規定している核酸上の領域、またはmRNAへの転写調節領域、タンパク質への翻訳調節領域などの制御機能を持つ核酸上の領域を含む。該遺伝子のオープンリーディングフレームは1911塩基からなり、配列番号2で示される636アミノ酸配列からなる分子量約70kDaのタンパク質をコードしていることが判明した。さらに、該遺伝子を宿主中で発現させ、アシル化活性を有することを確認した。また、該構造遺伝子中、配列番号1で示されるDNA塩基配列の735番目のアデニンをグアニンに置換して、配列番号2で示されるアミノ酸配列の204番目のメチオニンをバリンに変異させることにより、基質D−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)のエステル分解活性が低減しアシラーゼ活性が増強した改変アシラーゼを創製することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明のβ−ラクタムアシラーゼ生産菌はステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属し、本発明者らが土壌より分離したステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株は本発明に最も有効に使用される菌株の一例である。
即ち、本発明は、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物が産生するβ−ラクタムアシラーゼ、およびステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株が産生するβ−ラクタムアシラーゼ、及び該酵素の基質D−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)のエステル分解活性を低減させることによりアシラーゼ活性を増強させた改変アシラーゼに関する。
さらに、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子に関し、また、配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子に関し、さらに、配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子に関し、また、配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子に関し、さらに、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子に関する。
さらに、本発明は、配列番号1で示される塩基配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする部分に対応する塩基配列が、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列をコードするDNAを含む遺伝子に関する。また、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物から単離された上記遺伝子に関する。
また、本発明は、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質を生産し、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物に関する。
また、本発明は、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号1で示される塩基配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする部分に対応する塩基配列が、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、配列番号1で示される塩基配列を含むポリヌクレオチド、および、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物から単離された上記ポリヌクレオチドに関する。
さらに、本発明は、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質に関し、また、配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるアミノ酸配列からなるタンパク質に関し、また、配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質に関し、また、配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質に関する。
さらに、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質に関する。
また、本発明は、上記遺伝子に含まれる転写調節配列を含む遺伝子;上記遺伝子に含まれる翻訳調節配列を含む遺伝子;転写及び/又は翻訳調節配列を含むレギュロンの制御下にある上記遺伝子であって、当該調節配列の一方または両方がそれぞれ同じ又は異なる生物から得られた他の転写及び/又は翻訳調節配列に置き換えられている遺伝子に関する。
さらに、本発明は、上記遺伝子を1以上含む組換えベクター、上記組換えベクターで宿主を形質転換してなる形質転換体、宿主がグラム陰性微生物である上記形質転換体、宿主がグラム陽性微生物である上記形質転換体、pUCNTkmTn5−KNK−L/HB101(FERM BP−8362)である上記形質転換体、及びpUCNT−Tn5−MuKNK−L1/HB101(FERM BP−8369)である上記形質転換体に関する。
また、本発明は、上記形質転換体を培養し、当該形質転換体が産生したβ−ラクタムアシラーゼを回収することからなるβ−ラクタムアシラーゼの製造法に関し、上記ポリヌクレオチドによりコードされたアミノ酸配列からなるβ−ラクタムアシラーゼにも関し、さらに、上記微生物または上記形質転換体を培養し、その菌体、菌体混合培養液、菌体の破砕物、もしくは、菌体から抽出精製されたβ−ラクタムアシラーゼ、を固定化してなる固定化β−ラクタムアシラーゼに関する。
さらに、上記組換えベクターを調製し、当該ベクターで宿主を形質転換し、得られた形質転換体をクローン化し選択することからなる、形質転換体中でβ−ラクタムアシラーゼを産生するまたはその産生を増強する方法に関する。
また、本発明は、当該酵素を用いた、アモキシシリン等のβ−ラクタム系抗生物質の製造方法に関する。
また、上記ポリヌクレオチドによりコードされたアミノ酸配列からなるβ−ラクタムアシラーゼにより、アモキシシリン等のβ−ラクタム系抗生物質を製造する方法に関する。
本発明のステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属β−ラクタムアシラーゼ酵素は、報告されているエシェリヒア コリ(Escherichia coli)ペニシリンGアシラーゼ(Nucleic Acids Res.,14(14),5713,1996)、クルイベラ シトロフィリア(Kluyvera citrophila)ペニシリンGアシラーゼ(Gene,49,69,1986)、アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenes faecalis)ペニシリンGアシラーゼ(特開平4−228073)、プロビデンシア レテゲリ(Providencia rettgeri)ペニシリンGアシラーゼ(DNA seq.,3,195,1992)、アリスロバクター ビスコサス(Arthrobacter viscosus)ペニシリンGアシラーゼ(Appl.Environ.Microbiol.,54,2603,1988)、アーケオグロバス フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)ペニシリンアシラーゼ(Nature,390,364,1997)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)ペニシリンGアシラーゼ(FEMS Microbiol.Lett.,125,287,1995)、シュードモナス(Pseudomonas)C427 GL−7ACAアシラーゼ(J.Ferment.Bioeng.,77,591,1994)、シュードモナス(Pseudomonas)GK16 セファロスポリンアシラーゼ(J.Bacteriol.,163,1222,1985)、シュードモナス(Pseudomonas)SE83 セファロスポリンアシラーゼ(J.Bacteriol.,169,5821,1987)の遺伝子配列と特徴的な相同性を示さない。また、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属β−ラクタムアシラーゼに関するDNA配列ならびにアミノ酸配列に関する報告はない。
酵素遺伝子を取得する過程で、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株ゲノムライブラリーから通常のアシラーゼ酵素活性測定スクリーニングも試みたが、活性を示す陽性クローンを得ることはできなかった。これは、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)β−ラクタムアシラーゼ自身のプロモーターが宿主大腸菌内でRNA転写活性を持たないあるいは弱いので、宿主大腸菌内で酵素が発現しない又は発現が非常に弱いと推測された。
発明の詳細な開示
以下、本発明を詳細に説明する。
ここで述べる遺伝子とは、アミノ酸をコードする領域と、5’上流および3’下流でRNAに転写される領域、さらにこの領域外の部分でも転写および翻訳の実行や効率に関わる調節領域を含む領域のことを示す。ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)由来の本発明の遺伝子をステノトロフォモナスマルトフィリア−β−ラクタムアシラーゼ(smacy)、smacy遺伝子の発現ポリペプチドをSMACYと略する。
本発明の一つの形態によると、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物が産生するβ−ラクタムアシラーゼが提供される。ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物としては、β−ラクタムアシラーゼを産生する能力がある限り特に限定されないが、例えば、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、ステノトロフォモナス アシダミニフィラ(Stenotrophomonas acidaminiphila)、ステノトロフォモナス アフリカナ(Stenotrophomonas africana)、ステノトロフォモナス ニトリトイレダカアンス(Stenotrophomonas nitritireducans)等が挙げられる。
好ましくはステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株が産生するβ−ラクタムアシラーゼが提供される。
さらに、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質もしくは、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質もしくは、配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質が提供される。
さらに、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質もしくは、配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを有する遺伝子が提供される。本発明のDNAであって配列番号1と完全同一の塩基配列を有しないものを、以下では「DNA変異体」とも称する。
当該遺伝子は、好ましくはステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物から単離されたものである。より好ましくはステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)から単離されたものである。
ここで、「実質的に同一のアミノ酸配列」とは、活性が性質的に同質なタンパク質を構成しており、配列番号2で示される全アミノ酸配列との相同性の程度が全体で約80%以上、好ましくは約90%以上であるアミノ酸配列を意味する。
また、「1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の方法により欠失、置換もしくは付加できる程度の数のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されることを意味する。
つまり、本発明において、DNA変異体は、当該分野において既知の方法によって、配列番号1の塩基配列からなるDNAから調製することができる。このような操作としては、例えば、部位特異的突然変異誘発、点変異、欠失、重複、逆位、転座、遺伝コードの縮重等により、アミノ酸配列を変えずに塩基配列のみを変更する保存的変更が挙げられる。
上記DNA変異体としては、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたタンパク質をコードするDNAが好ましく、なかでも、配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるタンパク質をコードするDNAがより好ましい。配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンをバリンに置換するには、例えば、配列番号1で示されるDNA塩基配列の735番目のアデニンがグアニンに置換されたDNAを用いる。
さらに、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを有する遺伝子が提供される。
ここで、「翻訳後修飾」とは、mRNAからタンパク質へ翻訳後の部分的なアミノ酸配列の除去や修飾であり、たとえば、微生物のペリプラズム領域へタンパク質が移行する際に必要であるシグナル配列(タンパク質N末端部分の約20アミノ酸であり疎水性アミノ酸を特徴とする)が酵素的に除去されたものである。
β−ラクタムアシラーゼ活性とは、アシル基が水によって脱離する場合には加水分解(脱アシル)活性をさし、可逆反応として活性化された側鎖基質から求核物質へのアシル基の転移を触媒する場合には転移活性をさす。なお、加水分解活性の場合は、1ユニットは1分間あたり1μmoleのアモキシシリンの加水分解を触媒する酵素量とし、また、転移活性の場合は、1ユニットは1分間あたり1μmoleのアモキシシリンを合成する酵素量とし、HPLC等を用いて定量を行うことができる。
さらに、本発明の遺伝子は、配列番号1で示される塩基配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする部分に対応する塩基配列が、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列をコードするDNAを含む遺伝子であってもよい。つまり、配列番号1で示される塩基配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列をコードするDNAを含有するものである。
また、本発明は、以下のポリヌクレオチドを提供するものである。配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、および配列番号1で示される塩基配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする部分に対応する塩基配列が、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド、配列番号1で示される塩基配列を含むポリヌクレオチド、および、ステノトロフォモナス(Stenotropbomonas)属に属する微生物から単離された上記ポリヌクレオチド。
さらに、本発明のタンパク質としては、配列番号2のアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよいし、また、配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質であってもよいし、また、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質であってもよい。本発明のタンパク質であって配列番号2と完全同一のアミノ酸配列を有しないものを、以下では「変異タンパク質」とも称する。
この際、変異タンパク質としては、上述のようなDNA変異体によってコードされるタンパク質、さらには、基本的なβ−ラクタムアシラーゼ活性は変化させずにアミノ酸配列が保存的あるいは半保存的に変更(例えば、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン等の脂肪族鎖を有するアミノ酸同士の置換や、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン等の芳香族鎖を有するアミノ酸同士の置換)されたタンパク質等が挙げられる。
上記変異タンパク質として、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質が好ましく、なかでも、配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるアミノ酸配列からなるタンパク質がより好ましい。このような変異β−ラクタムアシラーゼは、基質D−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)のエステル分解活性が低減されアシラーゼ活性が増強される。
また、本発明は、上述の本発明の遺伝子に含まれる転写調節配列を含む遺伝子、及び、翻訳調節配列を含む遺伝子を提供する。当該転写調節配列としては、配列番号1の125番目から100塩基上流部分を含む配列である。当該翻訳調節配列としては、配列番号1の125番目から50塩基上流部分を含む配列である。
さらに、本発明は、転写及び/又は翻訳調節配列を含むレギュロンの制御下にあり、当該調節配列の一方または両方が、それぞれ同じ又は異なる生物から得られた他の転写及び/又は翻訳調節配列に置き換えられている遺伝子を提供する。
ここで、同じ又は異なる生物から得られた他の転写調節配列及び翻訳調節配列としては、本発明の遺伝子を発現できるものであれば特に制限されることはなく、当該分野において既知のものが使用される。具体的には、大腸菌や放線菌由来の一般的な調節配列等が挙げられる。
本発明の別の形態によると、上述の本発明の遺伝子を1以上含む組換えベクターが提供される。また、当該組換えベクターを含む形質転換体も提供される。
この組換えベクターは、本発明の遺伝子を、適当な制限酵素で切断された組換え用ベクター中に連結されることによって調製される。
本発明の組換えベクター作製に用いられる組換え用ベクターとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、転写効率を上げるために例えばlacオペロン、T7RNAポリメラーゼプロモーターなどを挿入遺伝子の上流に付与し、選択マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子などを持つベクター等が挙げられる。
組換えベクターの調製法としては、当業者に周知の方法を採用することができ、例えば、Molecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)等に記載の方法を適用することができる。
また、形質転換体の作製に用いられる宿主としては、特に制限されないが、例えば、グラム陰性微生物、グラム陽性微生物等が挙げられる。グラム陰性微生物としては、例えば、エシェリヒア(Esherichia)属、シュードモナス(Psudomonas)属等が挙げられ、グラム陽性微生物としては、例えば、バチルス(Bacillus)属、ストレプトマイセス(Streptmyces)属が挙げられる。
形質転換体の調製法としては、当業者に周知の方法を採用することができ、例えば、Molecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)等に記載の方法を適用することができる。
このようにして得られた形質転換体としては、具体的にはpUCNTkmTn5−KNK−L/HB101(受託番号;FERM BP−8362、寄託機関;独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)、原寄託日;平成14年10月30日)、及びpUCNT−Tn5−MuKNK−L/HB101(受託番号;FERM BP−8369、寄託機関;独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)、原寄託日;平成15年4月23日)を挙げることができる。
さらに本発明は、上述した制御配列に関して操作された、β−ラクタムアシラーゼ遺伝子を含む組換えベクター、および当該組換えベクターを含む形質転換体を提供する。
本発明の別の形態によると、上記形質転換体を培養し、当該形質転換体が産生したβ−ラクタムアシラーゼを回収することからなるβ−ラクタムアシラーゼの製造法、つまり、β−ラクタムアシラーゼをコードされた形質転換体、またはβ−ラクタムアシラーゼをコードされた組換えベクターを含む形質転換体を培養し、単離形態のβ−ラクタムアシラーゼを回収することからなるβ−ラクタムアシラーゼの製造方法を提供する。
また、上記微生物または上記形質転換体を培養し、その菌体、菌体混合培養液、菌体の破砕物、もしくは、菌体から抽出精製されたβ−ラクタムアシラーゼ、を固定化してなる固定化β−ラクタムアシラーゼを提供する。
さらに、上記組換えベクターを調製し、当該組換えベクターで宿主を形質転換し、得られた形質転換体をクローン化し選択することからなる、形質転換体中でβ−ラクタムアシラーゼを産生する又はその産生を増強する方法を提供する。
形質転換体は通常の栄養培地で培養することにより導入した組換えDNAの形質を発現させることができる。組換えDNAに遺伝子DNAまたはベクターDNA由来の性質が付与されている場合は、その性質に合わせて培地に薬剤(例えばカナマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン等)を補ってもかまわない。
このようにして得られた形質転換体を酵素源として得るには、通常の培地を用いて培養を行えばよいが、必要に応じてIPTG(isopropylthio−β−D−galactoside)等の添加などの酵素誘導のための処理を行うこともできる。
形質転換体の培養のために用いられる培地としては、通常、炭素源(例えば、グルコースやシュークロースのような炭水化物、酢酸のような有機酸、アルコール類等)、窒素源(例えば、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩等)および無機イオン(例えば、リン酸イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、鉄イオン等)を含有する普通の培地が挙げられる。これに、ビタミン、アミノ酸などの有機微量栄養素を添加すると、好ましい結果が得られる場合が多い。
さらに本発明の別の形態によると、前記β−ラクタムアシラーゼ酵素を作用させる様態としては、当該形質転換体の培養液、菌体、菌体処理物、固定化菌体、菌体から抽出した酵素、固定化酵素などを挙げることができる。これらは、大規模なアシル化またはアシル基転換化工程で使用することができる。
菌体処理物としては、例えば、粗抽出液、培養菌体凍結乾燥体、アセトン乾燥体、リゾチームで処理した菌体、超音波破砕した菌体が挙げられる。
当該酵素含有液からは、公知のタンパク質あるいは酵素等の単離または精製方法により、さらに精製を行うことができる。例えば、硫安、食塩、硫酸ナトリウム等を添加する塩析沈殿法やアセトン等を添加する有機溶媒沈殿等の手段により沈殿物として本酵素を回収することができる。また、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等の手段を組み合わせることにより精製することができる。
このようにして得られた当該β−ラクタムアシラーゼはフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、アモキシシリンによる酵素阻害をほとんど示さないという特徴的な性質を持つ。
さらに、これら菌体、菌体処理物、無細胞酵素抽出物、精製酵素は、公知の手段で固定化することができる。固定化は当業者に周知の方法である架橋法、共有結合法、物理的吸着法、包括法などで行うことができる。なお、固定化法については、例えばWO96/20275に示される方法が参考になる。
固定化に使用される支持体としては、Duolite A568またはDS17186(ローム・アンド・ハース社:登録商標)などのフェノールホルムアルデヒド陰イオン交換樹脂、Amberlite IRA935、IRA945、IRA901(ローム・アンド・ハース社:登録商標)、Lewatit OC1037(バイエル社:登録商標)、Diaion EX−05(三菱化学:登録商標)などのポリスチレン樹脂のような各種アミンやアンモニウム塩あるいはジエタノールアミン型の官能基を持つ各種陰イオン交換樹脂が適している。その他、DEAE−セルロースなどの支持体も使用することができる。
さらに、酵素の吸着をより強固かつ安定にするため、通常、架橋剤を用いるが、好適な例として、グルタルアルデヒドを挙げることができる。使用する酵素は、精製酵素だけでなく、菌体、菌体処理物、無細胞酵素抽出物など種々の精製度のものが使用できる。固定化菌体あるいは固定化酵素の調製は、菌体液あるいは酵素液を支持体を加えて攪拌して吸着させた後、架橋処理をする等の通常の調製法が使用できる。
β−ラクタム系抗生物質は、β−ラクタム母核基質と側鎖基質を水や緩衝液などの媒質中で当該酵素と接触させる方法により合成することができる。この際用いる側鎖基質としては、エステル化合物およびその塩酸塩やアミド体を用いることができる。β−ラクタム系抗生物質がアモキシシリンである場合には、β−ラクタム母核基質が6−アミノペニシラン酸(6−APA)であり、側鎖基質がD−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)等である。
すなわち、当該反応は、通常、菌体、菌体処理物、無細胞酵素抽出物、精製酵素またはそれらの固定化物を、基質を含む媒質中に溶解あるいは懸濁させ、または通過させることにより行うことができる。この反応は、例えば20〜40℃で30分から8時間程度反応させることによって行うことができる。
発明を実施するための最良の形態
以下の実施例により、本発明をさらに説明する。つまり、本発明の遺伝子、タンパク質、組換えベクター、形質転換体、β−ラクタム系抗生物質の生産等の実施態様を以下に説明するが、本発明は下記実施態様に制限されるものではない。
材料及び方法
β−ラクタムアシラーゼ遺伝子のクローニング
全体的な遺伝子操作およびクローニング法は、Molecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に記載されているように行った。DNA操作に使用した酵素、プラスミド及びイーコリ(E.coli)クローニング宿主は、市場の供給者から購入しその説明に従い使用した。
培地
B培地
ペプトン 5g/l、イーストエクストラクト 5g/l、K2HPO4 2g/l、シュークロース 20g/l、MgCl2・6H2O 1g/l、グルタミン酸ナトリウム 2g/l、FeSO4・7H2O 0.1g/l、pH7.2
LB培地
バクトトリプトン 10g/l、イーストエクストラクト 5g/l、NaCl 5g/l、pH7.0
CM培地
肉エキス 10g/l、イーストエクストラクト 5g/l、NaCl 3g/l、pH7.0
緩衝液
1×SSC 0.15M NaCl、0.015M sodium citrate
30mM KPB(pH6.0)30mM KH2PO4、KOHでpH6.0に調整
50mM KPB(pH5.0)50mM KH2PO4、KOHでpH5.0に調整
菌株
ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株を、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)β−ラクタムアシラーゼ遺伝子の供与株として使用した。
エシェリヒア コリ(Escherichia coli)DH5α株、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101株を組換えプラスミドの宿主として使用した。
シュードモナス リボフラビナ(Pseudomonas riboflavina)をバイオアッセイ菌として使用した。
β−ラクタムアシラーゼ活性
β−ラクタムアシラーゼの活性とは、アシル基が水によって脱離する場合には加水分解(脱アシル)活性をさし、可逆反応として活性化された側鎖基質から求核物質へのアシル基の転移を触媒する場合には転移活性をさす。
加水分解活性の場合、1ユニットは1分間あたり1μmoleのアモキシシリンの加水分解を触媒する酵素量とする。
転移活性の場合、1ユニットは1分間あたり1μmoleのアモキシシリンを合成する酵素量とする。
反応条件は以下に示し、定量はHPLCにより行った。
アモキシシリンの分解反応
アモキシシリンを30mM KPB(pH6.0)に0.5%になるように溶かした液200μlに、(試験例1)の酵素液10μlを加え、30℃で振とうしながら1時間反応させ、1N HClを基質液の1/20量加えて反応を停止させた。
アモキシシリン合成反応
6−アミノペニシラン酸(6−APA)、HPGOMe・HClを30mM KPB(pH6.0)に0.5%になるように溶かして基質液とした。菌体あるいは粗酵素液を基質液に懸濁し、30℃で4時間振とうしながら反応させた。1N HClを基質液の1/20量加えて反応を停止させた。
D−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)加水分解反応
HPGOMe・HClを30mM KPB(pH8.0)に0.5%になるように溶かして基質液とした。菌体あるいは粗酵素液を基質液に懸濁し、30℃で4時間振とうしながら反応させた。1N HClを基質液の1/20量加えて反応を停止させた。
薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いた検出
菌体反応、粗酵素反応における、アモキシシリンの検出を薄層クロマトグラフィーで行った。反応液を遠心して上清を回収してシリカゲル薄層プレートに微量スポットし、酢酸エチル:酢酸:水=60:20:20の展開溶媒にて展開させ、溶媒除去後ニンヒドリン反応にてアモキシシリンを検出した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた検出
反応液を遠心して上清を回収し、移動相で10倍希釈してHPLCで測定した。分析条件は、カラムはコスモシル5C18 AR(ナカライテスク社)を用い、移動相は1%アセトニトリル/50mM KPB(pH5.0)、流速1.0ml/min、カラム温度35°C、測定波長225nmで行った。ピークは標準品を用いて同定し、アモキシシリンの標準品として、アモキシシリン三水和物(和光純薬)を用いた。保持時間は、HPG 1.8min、6−APA 5.9min、アモキシシリン 7.5min、HPGOMe・HCl 9.4minであった。
(実施例1)ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株のβ−ラクタムアシラーゼの精製
KNK12A株をB培地を用いて30℃で増殖させた。以下の操作は、4℃で行った。細胞を遠心分離により回収し、0.1M Tris・HCl(pH8.0)に懸濁し、EDTA・2Naを4.7g/l、リゾチームを0.13g/lになるよう添加し、一晩撹拌した。MgSO4・7H2Oを3.13g/l、bovine pancreatic deoxyribonuclease Iを0.06mg/lになるように添加して一晩反応させ、菌体を超音波破砕し、上清を遠心分離で回収した。Ca(CH3COO)2・H2Oを22.9g/l、KH2PO4を22.9g/lになるよう添加し、上清を遠心分離で回収した。透析後、陽イオン交換ゲルクロマトグラフ(CMセファロースCL−6B)を3回、ゲル濾過クロマトグラフ(セファクリル−300)を1回用いて精製を行った(Agric.Biol.Chem.,44(5),1069,1980)。カラムから溶出された画分はTLCによりアモキシシリン合成活性を確認し、次の精製段階へ進めた。得られたSMACYタンパク質は、SDS−PAGEにより約70kDaの分子量を示した。
(実施例2)ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株のβ−ラクタムアシラーゼのアミノ酸配列の決定
上記(実施例1)の精製法で得られたSMACYタンパク質を、リジルエンドペプチダーゼにより限定分解し、ペプチド断片のアミノ酸配列を決定した。SMACYタンパク質をバッファー(10mM Tris・HCl(pH9.0)、4M Urea)に懸濁してリジルエンドペプチダーゼをSMACYタンパク質の1/50量になるよう添加し、37℃で6時間反応させた。逆相カラム(YMC−Pack PROTEIN−RP(ワイエムシィ社))にてペプチドを分取し、Model 49Xプロテインシークエンサー(アプライド・バイオシステム社)で解析を行った。得られたアミノ酸配列を、配列番号3に示した。
(実施例3)ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株のβ−ラクタムアシラーゼ遺伝子のクローニング
ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株のゲノムDNAを単離してNcoIで消化した6−8kbpのフラクションを、NcoIおよびアルカリフォスファターゼ(CIAP)処理したpSL301プラスミド(インビトロジェン社)にクローニングしたものを、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101株に形質転換し、L−Ampプレート(LB培地にバクトアガー 15g/l、アンピシリン 50mg/lになるよう添加したもの)にまき、37℃で一晩培養した。このプレートのコロニーをナイロンメンブレンにレプリカし、コロニーが適当な大きさになるまで培養した後、菌体を溶菌してフィルターを作成した。配列番号3に含まれるアミノ酸配列で、配列番号5で示されるアミノ酸配列をコードする配列番号4に示されるK1オリゴヌクレオチドをプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。Gene Images 3’−oligolabelling(アマシャム ファルマシア バイオテック社)でK1オリゴヌクレオチドの3’末端を蛍光ラベルし、50℃のハイブリダイゼーションバッファー(5×SSC、0.1%sodium dodecyl sulfate、20倍希釈liquid block(アマシャム ファルマシア バイオテック社)、0.5%dextran sulphate)中で一晩ハイブリダイズさせた。室温の5×SSC溶液(0.1%sodium dodecyl sulfate)、次いで42℃の1×SSC溶液(0.1%sodium dodecyl sulfate)中でメンブレンを洗浄し、Gene Images CDP−Star detection module(アマシャム ファルマシア バイオテック社)で検出を行い、陽性クローンを得た。このクローンより得られたプラスミドをpSLKNK27とした。このpSLKNK27には約6.3kbpのゲノム断片が挿入されていた。
(実施例4)β−ラクタムアシラーゼ遺伝子の配列決定
上記で得られた陽性クローンの配列を、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(アプライド・バイオシステム社)を用いたデオキシ配列決定によりシークエンシング反応を行い、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer(アプライド・バイオシステム社)で解析を行った。得られたβ−ラクタムアシラーゼ遺伝子配列を配列番号1に、予測されたアミノ酸配列を配列番号2に示した。
(実施例5)β−ラクタムアシラーゼ遺伝子の発現ベクターの構築
pUC19プラスミドのlac Z遺伝子の開始コドン部位にNde Iサイトを作製するプライマーを作製してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、pUC19プラスミドにNde Iサイトを1カ所加えたpUCNdeプラスミドを作製した。pTrc99A(アマシャム ファルマシア バイオテック社)プラスミドも同様にPCRを行い、Nco IサイトをNde Iサイトに変えたpTrcNdeプラスミドを作製した。pUCNdeプラスミドをNde I、Ssp Iで切断した2.0kbp断片と、pTrcNdeプラスミドをNde I、Ssp Iで切断した0.6kbp断片をライゲーションして、pUCNTプラスミドを作製した(Journal of Bioscience and Bioengineering,87,149,1999、WO94/03613)。
pUCNTプラスミドをCrf10 I、Ssp Iで切断した1.8kbpの断片と、pKC7プラスミド(Gene,7,79,1979)をテンプレートとしてカナマイシン耐性遺伝子をCrf10 I、Ssp Iサイトを持つようにPCRで1.2kbpの断片を作製し、ライゲーションしてpUCNTkmTn5(kamr)プラスミドを作製した。
次に、pSLKNK27をテンプレートとし、K−Nde I−4プライマー(配列番号6:GGAATTCCATATGCATGTGCGTGCCGTAGC)とK−BamH I−1プライマー(配列番号7:CGCGGATCCTCAGTACACCGGCAGGTC)を用いてPCRを行ってβ−ラクタムアシラーゼ構造遺伝子断片を増幅した。このDNA断片をpUCNTkmTn5(kamr)プラスミドベクターのNdeIサイトとBamHIサイトにクローニングし、pUCNTkmTn5−KNK−Lとした。この発現ベクターの構築図を図1に示した。
(実施例6)β−ラクタムアシラーゼ遺伝子の発現
pUCNTkmTn5−KNK−LプラスミドをE.coli HB101に形質転換した株(pUCNTkmTn5−KNK−L/HB101)をLB培地にカナマイシンを50mg/lになるよう添加したものにまき、30℃で一晩培養した。菌体を遠心分離で回収し、30mM KPBに懸濁した後、超音波破砕して上清を遠心分離で回収し、SDS−PAGEを行ったところ、約70kDaのバンドが確認され、β−ラクタムアシラーゼが発現されていることが確認された。
(実施例7)β−ラクタムアシラーゼ活性の確認
pUCNTkmTn5−KNK−L/HB101株を(実施例6)と同様に一晩培養後、1mMになるようにIPTGを添加してさらに3時間培養した。菌体をLysozyme 0.44mg/mlで15分間氷上で処理し、超音波破砕、遠心した上清を粗酵素液とした。粗酵素液の総タンパク質量はブラッドフォード法にて定量した。基質(0.5%HPGOMe・HCl,0.5%6−APA)200μlに25μgのタンパク質を添加し、30℃で1時間振とうしながら反応させ、10倍に希釈して10μlをHPLCで分析し、アモキシシリンのピークを検出した。これにより、pUCNTkmTn5プラスミドにクローニングされたステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株β−ラクタムアシラーゼ遺伝子がエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101株で発現され、活性を持つことが確認された。
(実施例8)β−ラクタムアシラーゼの精製
pUCNTkmTn5−KNK−L/HB101株を(実施例1)のように培養し、細胞破砕した後、上清を遠心分離で回収した。この上清を0.45μmフィルターで濾過し、AKTA explorer 10Sシステム(アマシャムファルマシア バイオテック社)を用い、陽イオン交換ゲルクロマトグラフを行った。カラムから溶出された画分はTLCによりアモキシシリン合成活性を確認した。アモキシシリン合成活性を示した画分をSDS−PAGEを行ったところ、β−ラクタムアシラーゼがフラクションの総タンパク質の10%以上を占めるまで精製が進んでいることが確認できたので、このフラクションを用いて以下の諸性質を調べた。
(試験例1)アモキシシリン合成活性の比較
ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株由来β−ラクタムアシラーゼと既知のエシェリヒア コリ(Escherichia coli) PenG amidase(sigma社)のアモキシシリン合成活性を比較した。酵素液として、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株由来β−ラクタムアシラーゼは(実施例8)で得られたフラクション(酵素濃度 約3.2ng/10μl)、エシェリヒア コリ(Escherichia coli) PenG amidaseは100倍希釈液(10.2 munit/10μl、酵素濃度 約3.5ng/10μl)を用いた。
6−APA及びHPGOMe・HClを30mM KPB(pH6.0)に0.5%になるように溶かした基質液200μlに、酵素液10μlを加え、30℃で振とうしながら反応させた。反応開始から0、5、10、15、30、45、60、75、90、105、120分間後に1N HClを基質液の1/20量加えて反応を停止させた。生成したアモキシシリンの検出はHPLCを用いて行った。その結果を図3に示す。
この結果から、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株由来β−ラクタムアシラーゼは、エシェリヒア コリ(Escherichia coli) PenG amidaseと比較して、非常に高い変換率でアモキシシリンを合成することがわかった。
(試験例2)フェニル酢酸(PAA)とフェノキシ酢酸(PXA)による合成活性阻害の比較
6−APA及びHPGOMe・HClを30mM KPB(pH6.0)に0.5%になるように溶かした基質液200μlに、(試験例1)の酵素液10μlを加えた。PAAは0.3%、PXAは0.35%になるように加え、30℃で振とうしながら1時間反応させ、1N HClを基質液の1/20量加えて反応を停止させた。生成したアモキシシリンの検出はHPLCを用いて行った。それぞれの酵素において、基質のみで反応させた時のアモキシシリン合成量を100%とする、相対活性を表した結果を表1に示す。
この結果から、エシェリヒア コリ(Escherichia coli) PenG amidaseはフェニル酢酸又はフェノキシ酢酸によってアモキシシリンの合成が阻害されるが、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株由来β−ラクタムアシラーゼは、まったく阻害されないか、又は、阻害されたとしてもわずかであることがわかった。
(試験例3)アモキシシリンの分解活性
アモキシシリンを30mM KPB(pH6.0)に0.5%になるように溶かした液200μlに、(試験例1)の酵素液10μlを加え、30℃で振とうしながら1時間反応させ、1N HClを基質液の1/20量加えて反応を停止させた。残存したアモキシシリンの検出はHPLCを用いて行った。その結果を図4に示す。
この結果から、エシェリヒア コリ(Escherichia coli) PenG amidaseがアモキシシリンを非常に素早く分解するのに対して、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株由来β−ラクタムアシラーゼはアモキシシリンの分解速度が遅いことがわかった。
(試験例4)HPGOMeの分解活性の比較
HPGOMe・HClを30mM KPB(pH6.0)に0.5%になるように溶かした液200μlに、(試験例1)の酵素液10μlを加え、30℃で振とうしながら1時間反応させ、1N HClを基質液の1/20量加えて反応を停止させた。残存したHPGOMeの検出はHPLCを用いて行った。その結果を図5に示す。
この結果から、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株由来β−ラクタムアシラーゼは、エシェリヒア コリ(Escherichia coli) PenG amidaseに対して、HPGOMeの分解速度が速いことがわかった。
(実施例9)β−ラクタムアシラーゼの樹脂への固定化
pUCNTkmTn5−KNK−L/HB101株を(実施例7)と同様に培養後、菌体破砕処理を行い粗酵素液を調製した。これに、0.1M KPB (pH7.0)で平衡化したDuoliteA−568(ローム・アンド・ハース社)を、総タンパク質40mgに対して樹脂1gになるように添加し、窒素シール下、4℃で20時間攪拌し、吸着させた。この吸着樹脂を0.1M KPB (pH7.0)および10mMジチオスレイトール(DTT)で洗浄後、0.2% グルタルアルデヒド、0.1M KPB(pH7.0)で4℃、10分間反応させてタンパク質を架橋し、固定化樹脂を作製した。この樹脂を基質(0.5% HPGOMe・HCl 0.5% 6−APA) 200μlに対し1mg添加し、30℃で4時間振とうしながら反応させ、10倍に希釈して10μlをHPLCで分析し、アモキシシリンのピークを検出した。
(実施例10)ランダム変異導入アシラーゼ酵素組換体ライブラリーの作製
pUCNTkmTn5−KNK−Lプラスミドをテンプレートとし、MT−197プライマー(配列番号8:AAAAAGCAGGCTGGCACGACAGGTTTCCCGACTGGA)とMT−198プライマー(配列番号9:AGAAAGCTGGGTGGATCCTCAGTACACCGGCAGGTCGA)とを使用してPCRを行った。反応にはDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(クロンテック社)を使用した。0.2mlのマイクロチューブに1ngのテンプレートとそれぞれ10pmoleのプライマーを加え、キットに付属のバッファーを5μl、Diversify dNTP Mixを1μl、TITANIUM Taq Polymeraseを添加した。また、8mM MnSO4溶液を0から4μlまで、2mM dGTP溶液を1から5μlまで添加量を変えることでランダム変異個数を長さ1kbpあたり2.0から8.1個となるよう調整した。滅菌水を加えて反応液量を50μlに合わせた後に、94℃30秒・68℃2分の反応を25サイクル行ってDNAの増幅と変異導入を行った。
ランダム変異導入したDNAをテンプレートとし、attB1プライマー(配列番号10:GGGGACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCT)とattB2プライマー(配列番号11:GGGGACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGT)とを使用して定法に従いPCRを行った。得られたDNA断片130ngと、Gateway Cloning System(インビトロジェン社)に付属のpDONR(インビトロジェン社)を300ng、バッファーを4μl、BP Clonase 4μlを混合して、滅菌水で反応液量を20μlに合わせてから25℃で1時間の反応の後に、2μlのProteinaseKを添加して37℃で10分の反応を行った。
(実施例11)ランダム変異株のスクリーニング
ランダム変異導入DNAライブラリーでE.coli DH5αを形質転換して、カナマイシンを25mg/Lになるように添加したLB寒天平板培地にコロニーが1枚あたり100個程度になるようにまき、37℃で一晩静置培養した。生じたコロニーをベルベットでカナマイシン含有CM寒天平板培地2枚にレプリカし、再び37℃で一晩静置培養した。レプリカしたプレートの1枚に、42℃に保温しておいた7mlのCM軟寒天培地に0.02%のHPGOMe・HClと0.01%の6−APA、0.3%のPseudomonas riboflavina CM培地終夜培養液を混合して重層し、固化した後に28℃で一晩静置培養を行った。Pseudomonas riboflavinaの生育阻止円が現れたコロニーをアモキシシリンが生成されたポジティブ株とした。
ポジティブ株をレプリカプレートから10mlのCM培地に植菌して、37℃で一晩しんとう培養した。2mlの培養液から菌体を遠心分離で回収し、pH6.0の30mM KPBに懸濁した後に1mlの基質(30mM KPBに0.5% HPGOMe・HCl、0.5% 6−APAを溶解させてpH6.0に調整)に混合して30℃で1時間反応させた。50μlの1N HClを加えて反応を停止した後、遠心した上清を30mM KPBで25倍に希釈して10μlをHPLCで分析した。数万個の変異株の中から、生成アモキシシリン/副生成HPGの比率がコントロールの組み換えβ−ラクタムアシラーゼ生産株 pUCNTkmTn5−KNK−L/HB101株と比べて約2倍に向上した変異株0902−2−1株を取得した。得られた変異株の保持するプラスミドを通常のアルカリ法で調製した。BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(アプライド・バイオシステムズ社)を用いてシークエンシング反応を行い、その配列をABI PRISM 310 Genetic Analyzer(アプライド・バイオシステムズ社)で解析を行った。得られた塩基配列情報より、配列番号1で示されるβ−ラクタムアシラーゼ構造遺伝子中735番目アデニンのグアニンへの変異が明らかになり、配列番号2で示されるアミノ酸配列の204番目のメチオニンがバリンに変異していることが明らかになった。
(実施例12)変異型アシラーゼ発現ベクターの作製
変異株0902−2−1株の保持するプラスミドをテンプレートにし、MT−216プライマー(配列番号12:CGCCTCTAGAAGCGATTCGCCGCGCATGCGCGACC)とMT−219プライマー(配列番号13:GCACAAGCTTCTTCCACCAGGTCAGCTGG)とを使用してPCRを行った。得られた約570bpのDNA断片を制限酵素XbaIとHindIIIとで完全消化した。
一方、pUCNTkmTn5−KNK−Lプラスミドをテンプレートにし、MT−217プライマー(配列番号14:TCGCTTCTAGAGGCGCGGCCGGCAGCATCGTAGGGC)とMT−218プライマー(配列番号15:GGAAGAAGCTTGTGCAGCACCCGGCC)とを使用してPCRを行った。得られた約4.4kbpのDNA断片を制限酵素XbaIで完全消化し、HindIIIで部分消化した。
両者を混合してライゲーション反応を行い、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101を形質転換した。得られたカナマイシン耐性コロニーからアルカリ法でプラスミドを調製し、1アミノ酸置換変異アシラーゼ遺伝子をコードする変異プラスミドpUCNT−Tn5−MuKNK−L1を作製した。この発現ベクターを図2に示した。
(実施例13) 変異型アシラーゼの能力比較試験
β−ラクタムアシラーゼ生産株 pUCNTkmTn5−KNK−L/HB101株と1アミノ酸置換変異β−ラクタムアシラーゼ生産株 pUCNT−Tn5−MuKNK−L1/HB101株を10mlのCM培地に植菌して、37℃で一晩振盪培養した。2mlの培養液から菌体を遠心分離で回収し、pH6.0の30mM KPBに懸濁した後に1mlの基質(30mM KPBに0.5% HPGOMe・HCl、0.5% 6−APAを溶解させてpH6.0に調整)に混合して30℃で反応させた。反応開始から10、20、30、60、90、180分後に1N HClを基質液の1/20量加えて反応を停止した後、遠心した上清を30mM KPBで25倍に希釈して10μlをHPLCで分析した。そのアモキシリン変換効率比較を図6に、D−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)のエステル分解度比較を図7に示す。
産業上の利用可能性
ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属β−ラクタムアシラーゼ遺伝子或いは基質分解活性を低減させアシラーゼ活性を増強させた該改変遺伝子を発現ベクターに結合して宿主中で発現させることにより、効率よくβ−ラクタムアシラーゼ或いは改変β−ラクタムアシラーゼを調製することができる。このβ−ラクタムアシラーゼ或いは改変β−ラクタムアシラーゼを利用して、大量の脱アシル化/アシル基転換化の工程に使用することができ、たとえば、アモキシシリンの酵素的生産法に利用することができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例5で行った本発明の1態様であるβ−ラクタムアシラーゼ遺伝子の発現ベクターの構築図である。
図2は、実施例12で構築した本発明の変異β−ラクタムアシラーゼ遺伝子の発現ベクター図である。
図3は、試験例1で行ったアモキシシリンの合成活性の比較結果を示すグラフである。
図4は、試験例3で行ったアモキシシリンの分解活性の比較結果を示すグラフである。
図5は、試験例1で行ったD−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)の分解活性の比較結果を示すグラフである。
図6は、実施例13で行った変異β−ラクタムアシラーゼのアモキシシリンの合成活性の比較結果を示すグラフである。
図7は、実施例13で行ったD−p−ハイドロキシフェニルグリシンメチルエステル(HPGOMe)のエステル分解活性の比較結果を示すグラフである。
なお、図3、図4、図5、図6および図7のグラフ中において、KNK12Aはステノトロフォモナス マルトフィリアKNK12A株由来β−ラクタムアシラーゼを表し、PenG amidaseはエシェリヒア コリ由来 PenG amidaseを表し、変異型はpUCNT−Tn5−MuKNK−L1/HB101株産生1アミノ酸置換変異β−ラクタムアシラーゼを表す。
Claims (38)
- ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物が産生するβ−ラクタムアシラーゼ。
- ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)KNK12A株が産生するβ−ラクタムアシラーゼ。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子。
- 配列番号1で示される塩基配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする部分に対応する塩基配列が、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列をコードするDNAを含む遺伝子。
- ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物から単離された請求の範囲第3〜8項のいずれかに記載の遺伝子。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質を生産し、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 配列番号1で示される塩基配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする部分に対応する塩基配列が、配列番号2で示されるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 配列番号1で示される塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属に属する微生物から単離された請求の範囲第11〜17項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列からなるタンパク質。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンがバリンであるアミノ酸配列からなるタンパク質。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において204番目のメチオニンが置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質。
- 配列番号2で示されるアミノ酸配列において、翻訳後修飾され、かつβ−ラクタムアシラーゼ活性を有するタンパク質。
- 請求の範囲第3〜9項のいずれかに記載の遺伝子に含まれる転写調節配列を含む遺伝子。
- 請求の範囲第3〜9項のいずれかに記載の遺伝子に含まれる翻訳調節配列を含む遺伝子。
- 転写及び/又は翻訳調節配列を含むレギュロンの制御下にある請求の範囲第3〜9のいずれかに記載の遺伝子であって、当該調節配列の一方又は両方がそれぞれ同じ又は異なる生物から得られた他の転写及び/又は翻訳調節配列に置き換えられている遺伝子。
- 請求の範囲第3、4、5、6、7、8、9又は26項に記載の遺伝子を1以上含む組換えベクター。
- 請求の範囲第27項記載の組換えベクターで宿主を形質転換してなる形質転換体。
- 宿主がグラム陰性微生物である請求の範囲第28項記載の形質転換体。
- 宿主がグラム陽性微生物である請求の範囲第28項記載の形質転換体。
- pUCNTkmTn5−KNK−L/HB101(FERM BP−8362)である請求の範囲第28項記載の形質転換体。
- pUCNTTn5−MuKNK−L1/HB101(FERM BP−8369)である請求の範囲第28項記載の形質転換体。
- 請求の範囲第28〜32項のいずれかに記載の形質転換体を培養し、当該形質転換体が産生したβ−ラクタムアシラーゼを回収することを特徴とする、β−ラクタムアシラーゼの製造方法。
- 請求の範囲第11〜18項のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされたアミノ酸配列からなるβ−ラクタムアシラーゼ。
- 請求の範囲第10項記載の微生物、または請求の範囲第28〜32項のいずれかに記載の形質転換体を培養し、その菌体、菌体混合培養液、菌体の破砕物、もしくは、菌体から抽出精製されたβ−ラクタムアシラーゼ、を固定化してなる固定化β−ラクタムアシラーゼ。
- 請求の範囲第27項記載の組換えベクターを調製し、当該組換えベクターで宿主を形質転換し、得られた形質転換体をクローン化し選択することからなる、形質転換体中でβ−ラクタムアシラーゼを産生する又はその産生を増強する方法。
- 請求の範囲第34項記載のβ−ラクタムアシラーゼによりβ−ラクタム系抗生物質を製造する方法。
- β−ラクタム系抗生物質がアモキシシリンである請求の範囲第37項記載の製造方法。
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