JPWO2003095851A1 - 制振機能を備えた軸部材 - Google Patents
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Abstract
軸方向に沿ったスプライン溝や螺旋状のねじ溝等が形成された金属製の軸部材に作用する振動を積極的に減衰させることが可能であり、もって騒音の発生を可及的に防止することが可能な軸部材を提供する。かかる目的を達成する軸部材は、中空部を備えた金属製の軸本体と、かかる中空部を隙間なく満たす振動吸収体としてのセラミックス材料とから構成され、かかるセラミックス材料は粉体、粒状体又は流動体の状態で軸本体の中空部内に充填され、かかる中空部内で該中空部に合致した形状に成形される。
Description
技 術 分 野
本発明は、軸方向に沿ったスプライン溝や螺旋状のねじ溝等が形成された金属製の軸部材に係り、特に、振動や騒音を早期に減衰させるための改良に関する。
背 景 技 術
例えば、従来のボールスプラインとしては、軸方向に沿ってボール転走溝が形成されたスプライン軸と、無限循環するボールを介して該スプライン軸に係合するスプラインナットとから構成され、上記スプラインナットがスプライン軸の周囲を軸方向に沿って自在に運動すると共に、スプライン軸とスプラインナットとの間でトルク伝達を可能としたものが知られている。
また、従来のボールねじ装置としては、所定のピッチで螺旋状のボール転動溝が形成されたねじ軸と、無限循環するボールを介してこのねじ軸に螺合するスクリューナットとから構成され、上記ねじ軸の回転に応じて上記スクリューナットがその軸方向へ運動するものが知られている。
ところで、これらのボールねじ装置やボールスプライン等を使用する際には、スプライン軸又はねじ軸とナットとの相対的な移動に伴って上記ボールが無限循環し、該ボールが次々にこれら軸部材と離接することから、上記ナットが高速で運動すると、軸部材に対してボールが勢い良く衝突する結果を招き、かかる衝突によって軸部材が加振されると共に、耳障りな発振音を生じるという問題点があった。
また、この種のボールねじ装置やボールスプラインは産業用ロボットのZ軸等に多用されているが、かかるZ軸を高精度で位置決めするためには、スプライン軸やねじ軸に作用する振動を早期に減衰させる必要があり、かかる振動が収まるまでの整定時間が長いと、一つの作業単位を終了させるまでのタクトタイムが長くなり、生産効率が低下するといった問題点がある。
従来、このような問題点に鑑みた軸部材としては特開昭62−103133号公報に開示される中空軸が知られている。この中空軸の周壁は金属製の内層及び外層の間にセラミックス材料の中間層をラミネートして形成されており、振動の伝達がされ難い傾向を有している。
しかし、ラミネート構造の中空軸は製作に手間がかかり、生産コストも嵩むといった問題点があった。また、軸部材に作用する振動は該軸部材そのものの形状や使用用途によって異なり、かかる振動を効果的に減衰させるためには、ラミネートされる中間層を振動の周波数等に応じて最適化することが必要となる。この点に関し、中間層をラミネートした中空軸では該中間層が薄く形成されていることから、該中間層の設計、選択に幅がなく、各種用途において振動を効果的に減衰させることが難しいといった問題点があった。
発明の開示
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、軸部材に作用する振動を積極的に減衰させることが可能であり、もって騒音の発生を可及的に防止することが可能な軸部材を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の軸部材は、中空部を備えた金属製の軸本体と、かかる中空部を隙間なく満たす振動吸収体としてのセラミックス材料とから構成されることを特徴とするものである。
かかるセラミックス材料は所定の形状に成形した後に、加圧下で軸本体の中空部内に押し込んでも差し支えないが、軸部材の組み立て手間を考慮した場合、セラミックス材料が粉体、粒状体又は流動体の状態で軸本体の中空部内に充填され、かかる中空部内で該中空部に合致した形状に成形されるのが好ましい。
更に、上記セラミックス材料は水硬性粉体及び非水硬性粉体を主成分とする水硬性組成物であることが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下、添付図面に基づいて本発明の制振機能を備えた軸部材を詳細に説明する。
図1は自動車のパワーステアリグ装置に使用するタイロッド8の一例を示すものである。このタイロッド8が適用されるパワーステアリング装置は、図2に示すように、ステアリシグ系1と、ステアリング系1の出力軸2に連結したラックアンドピニオン機構3と、ステアリング系1の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段4と、この操舵トルク検出手段4の検出信号に基づいて制御信号を発生する制御手段5と、この制御手段5の制御信号に基づいて操舵トルクに応じた捕助トルクを発生する電動機6と、上記タイロッドに螺合すると共に上記電動機6によって回転を与えられるステアリング用ボールねじ7とを備えたものであり、ステアリングハンドル1aを操舵すると、ラックアンドピニオン機構3およびステアリング用ボールねじ7によってタイロッド8がその軸線方向に直線運動し、タイロッド8の両端に連結された車輪11a,11bが転舵するように構成されている。
上記ステアリング系1は、ステアリングハンドル1aと、このステアリングハンドル1aに連結した入力軸12と、この入力軸12に連結される出力軸2とを備えており、上記操舵ルク検出手段4が操舵トルク、すなわち入力軸12と出力軸2との相対ねじれ角を検出するように構成されている。
また、上記ラックアンドピニオン機構3は、自在継手を介して上記出力軸2の先端に結合されたピニオン歯車11と、上記タイロッド8に形成されると共に上記ピニオン歯車11と噛み合うラック歯9とを備え、上記ステアリングハンドル1aが回転すると、入力軸12及び出力軸2を介してピニオン歯車11にステアリングハンドル1aの回転が伝達され、かかるピニオン歯車11がラック歯9を有するタイロッド8を軸線方向へ押し動かすようになっている。
上記タイロッド8は中空部8aを備えた中空軸であり、その一端側には上記ラック歯9が形成される一方、他端側には螺旋状のボール転動溝10が形成され、かかるボール転動溝10には該ボール転動溝10を転動する多数のボールを介して上記ステアリング用ボール7ねじが螺合している。タイロッド8の両端には一対のボールジョイント13,13を介して車輪11a,11bが連結されており、ステアリングハンドル1aの操作によってタイロッド8が軸線方向へ直線運動を行うと、かかる直線運動がボールジョイント13を介して各車輪11a,11bに揺動運動として伝達され、車輪11a,11bの操舵が行われるようになっている。
更に、上記ステアリングハンドル1aの操作に伴うタイロッド8の軸線方向への移動を円滑に行うため、上記電動機6は操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、かかる補助トルクによって上記ステアリング用ボールねじ7を所定の方向へ回転させる。これにより、ステアリングハンドル1aを操舵すると、タイロッド8はラックアンドピニオン機構のみでなく、ステアリング用ボールねじ7によっても軸線方向へ押し動かされる。
一方、上記タイロッド8は、中空部を備えた金属製の軸本体8bの外周面に対して前述の如くラック歯9とボール転動溝10を形成したものであり、これらラック歯9及びボール転動溝10は切削加工又は転造加工によって形成されている。ラック歯9及びボール転動溝10は単一の軸本体8bに対して形成しても差し支えないが、ラック歯が形成された中空軸とボール転動溝が形成された中空軸とを溶接等によって接合することにより、中空部を備えた軸本体を形成するようにしても良い。
図3は上記タイロッド8の軸方向に垂直な断面を示すものである。本実施例のタイロッド8の中空部8aにはセラミックス材料からなる振動吸収体8cが隙間なく詰められており、かかる振動吸収体8cは軸本体8bの内周面に密着している。かかる振動吸収体8cは円筒形状に成形されたものを軸本体8bの中空部8aに対して圧入するようにして、かかる軸本体8bと一体化しても良いが、振動吸収体8cそのものを精度良く円筒状に成形する手間や、軸本体8bの中空部8a内に凹凸が存在する場合等を考慮すると、粉体、粒状体又は流動体の状態で軸本体8bの中空部内に充填され、かかる中空部8a内で該中空部8aに合致した形状に成形されるのが好ましい。
このため、本実施例では水硬性粉体及び非水硬性粉体を主成分とする水硬性組成物(商品名:ジーマ、住友大阪セメント製)を上記軸本体の中空部内に加圧充填し、これを水熱合成することでセラミックス材料からなる振動吸収体を軸本体と一体化した。ここで、水硬性粉体とは水により硬化する粉体を意味し、例えば、珪酸カルシウム化合物粉体、カルシウムアルミネート化合物粉体、カルシウムフルオロアルミネート化合物粉体、カルシウムサルファアルミネート化合物粉体、カルシウムアルミノフェライト化合物粉体、リン酸カルシウム化合物粉体、半水又は無水石膏粉体、自硬性を有する生石灰粉体、これら粉体の2種類以上の混合物粉体が例示でき、この代表例として、例えば、ポルトランドセメントのような粉体を挙げることができる。
また、非水硬性粉体とは、単体では水と接触しても硬化することのない粉体を意味するが、アルカリ性もしくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気において、その成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む。このような非水硬性粉体を添加することによって、成形体の成形時の充填率を高め、得られる成形体の空隙率を減少することが可能となり、成形体の寸法安定性を向上することができる。非水硬性粉体の代表例としては、例えば、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸化カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末、シリカフューム粉末等をあげることができる。
非水硬性粉体の配合量は、水硬性粉体と非水硬性粉体とからなる混合粉体の組成比率で10〜50重量%、好ましくは25〜35重量%である。もし、配合量が10重量%未満の場合には充填率が低くなり、また50重量%超の場合には強度及び充填率が低くなり、いずれの場合においても成形、硬化後の諸性質、例えば機械加工時における欠けを生じさせたり、寸法安定性に悪影響を及ぼすため好ましくない。したがって、機械加工性等を考慮すると充填率が低くなりすぎないように非水硬性粉体の配合量を調節することが望ましい。
上記軸本体と振動吸収体とを一体化する具体的な工程としては、先ず、ポルトランドセメント等の水硬性粉体、シリカフューム等の非水硬性粉体及びその他の添加物からなる混合粉体に、水硬性粉体と非水硬性粉体との混合粉体の100重量部に対して、水を30重量部以下または理論水和量未満含有したものを混合して成形用混合物を調整する。混合には成形用混合物に強力な剪断力を加えることができる混合方法若しくは混合機械を用いることが好ましい。
次に、このようにして得られた成形用混合物を軸本体の中空部に対して加圧充填し、充填が完了したならば、硬化させるために養生を行う。この養生は室温又は高温高圧下において行われ、養生時間は養生温度により変化する。
これにより、軸本体の中空部内に対し、かかる中空部の形状に拘らず、セラミックス材料からなる振動吸収体を隙間なく満たすことができた。
以下の表1は中空軸と、この中空軸内に上記振動吸収体を充填したものとについて、固有振動数を計測すると共に、強制的に加振した場合の周波数応答特性を計測し、その際の減衰比及びゲイン差(dB)を求めた結果を示すものである。この表1に示されるように、中空軸にセラミックス材料からなる振動吸収体を隙間なく充填したものはそのままの中空軸に比べて減衰比が大きいことが確認された。
また、前述のようにして中空軸に充填されるセラミックス材料は、非水硬性粉体の配合量や充填時の加圧力を適宜変更することにより、空隙率や硬さを自由に調整することができるので、中空軸の形状や作用する振動数に応じた減衰性能を軸部材に付与することも可能である。
このため、本実施例のステアリング装置によれば、ステアリングハンドルの操作によってピニオン歯車がラック歯と噛み合い、あるいはステアリング用ボールねじが回転することによって、上記タイロッドに振動が生じたとしても、かかる振動が早期に減衰されるので、この振動に伴う騒音が自動車の車室内に伝播するを抑えることが可能となるものである。
図4及び図5は本発明を適用したロボットアームの実施例を示すものである。
このロボットアームはボールねじスプライン及び一対のモータによって構成されており、一対のモータの回転及び停止を組み合わせることで、アームとしての出力軸に直進、回転、スパイラルの各運動を行われることができるようになっている。
上記ボールねじスプラインは、図4に示すように、一本の出力軸50の外周面に螺旋状のボールねじ溝51及び軸方向に延びるボールスプライン溝52を重複して形成し、上記ボールねじ溝51にはボールねじナット53を螺合させる一方、上記ボールスプライン溝52にはボールスプラインナット54を嵌合させたものであり、これらボールねじナット53及びボールスプラインナット54の停止・回転の選択に応じ、上記出力軸50が軸方向へストロークあるいは回転運動を行うように意図されている。従って、取付ハウジングに対して上記ボールねじナット53及びボールスプラインナット54を自在に回転させることができるよう、これら各ナット53,54の外周面には無数のボール55,56を介してサポートベアリング57,58が組み付けられている。
このボールねじスプラインは図5に示すようにしてハウジングに取り付けられて使用される。すなわち、ボールねじナット53及びボールスプラインナット54の各サポートベアリング57,58はハウジング59に固定されており、各ナット53,54がハウジング59に対して回転自在に支持されている。また、ボールねじナット53及びボールスプラインナット54の夫々の端部にはプーリ60,61が固定され、これらプーリ60,61に架け回されるタイミングベルトによって図示外のモータの回転力が各ナット53,54に伝達されるようになっている。
ここで、上記ボールねじナット53は、出力軸50のボールねじ溝51に対向する螺旋状の負荷ボール溝62が内周面に形成されたナット本体63と、このナット本体63の両端部に固定されてボール64の無限循環を介助する一対のエンドキャップ65と、出力軸50のボールねじ溝51とナット本体63の負荷ボール溝62の間に挟み込まれた無数のボール64とから構成されており、出力軸50とボールねじナット53との相対的な回転運動に伴い上記ボール64が上記ボールねじ溝51と負荷ボール溝62との間を転動するようになっている。また、上記ナット本体63にはその軸方向に沿ってボール戻し孔66が形成される一方、上記エンドキャップ65にはナット本体63の負荷ボール溝62を転走し終えたボール64を上記ボール戻し孔66に送り込むための方向転換溝(図示せず)が形成されており、ボールねじナット53の回転に伴ってボール64が無限循環するように構成されている。
また、上記ボールスプラインナット54は、出力軸50のボールスプライン溝52に対向する負荷ボール溝67が内周面に形成されたナット本体68と、出力軸50のボールスプライン溝52とナット本体68の負荷ボール溝67の間に挟み込まれた無数のボール69と、上記ナット本体68の中空部に固定されて上記ボール69を案内保持するボール保持器70とから構成されており、出力軸50とボールねじナット54との相対的な回転を防止しつつ、出力軸50を軸方向へ案内するようになっている。
更に、上記出力軸50は、中空部を備えた軸本体と、この軸本体の中空部内に隙間なく充填された振動吸収体とから構成され、かかる振動吸収体は前述したタイロッド8と同様のセラミックス材料から形成されている。
そして、以上のように構成された従来の複合運動駆動装置では、図示外の2つのモータを用いて上記ボールねじナット53及びボールスプラインナット54の夫々を別個独立に回転させ、上記ボールねじナット53の回転運動とボールスプラインナット54の回転運動とを組み合せることにより、出力軸50のストローク運動、回転運動、あるいはストローク及び回転を組み合わせたスパイラル運動が得られるようになっている。例えば、ボールスプラインナット54を静止させた状態でボールねじナット53を回転させると、出力軸50からはボールねじナット53の回転方向に応じたストローク運動が得られる。また、ボールねじナット53を静止させた状態でボールスプラインナット54を回転させると、出力軸50からはボールスプラインナット54の回転方向に合致したスパイラル運動が得られる。
このロボットアームにおいては、出力軸50にストローク運動、回転運動、あるいはスパイラル運動を与えると、ボールねじナット53及びボールスプラインナット54に具備された多数のボールが出力軸50のボールスプライン溝52及びボールねじ溝51を転動するので、かかる転動によって出力軸50が加振され、また、出力軸50それ自身の回転に伴う振動が発生してしまう。従って、ボールねじナット53及びボールスプラインナット54を高速で回転させた場合等には、所定の運動が終了して位置決めされた後の出力軸50に振動が残存してしまい、かかる振動が減衰するまで、停止位置におけるロボット作業を行うことができず、タクトタイムが短縮化できないといった問題点がある。
しかし、本実施例のロボットアームでは、出力軸50の中空部内にセラミックス材料からなる振動吸収体を充填しているので、ボールの転動や出力軸それ自体の高速回転によって該出力軸に生じた振動を早期に減衰させることができ、かかるロボットアームを用いた組み立て作業等のタクトタイムを短縮化することが可能となるものである。
図6は本発明を適用したボールねじ装置のねじ軸80を示すものである。
図1に示したタイロッド8、図4に示したロボットアームの出力軸50はいずれも両軸端が開口した中空軸に形成されており、両端部の開口から振動吸収体を中空部内に充填していた。しかし、ボールねじ装置のねじ軸においては、その両軸端に該ねじ軸の回転を支承するためのベアリングを装着する必要があり、また、該ねじ軸にモータの回転を伝達するための継手を装着する必要があり、軸端を使用用途に応じた形状に加工しなければならない場合が多々ある。
従って、図6に示すねじ軸80では、外周面に螺旋状のボール転動溝81が形成された中空軸82の中空部83内に振動吸収体84を充填した後、この中空軸82の両端開口に対して所定の形状に加工済みの端末部85,86を接合し、かかる開口を閉塞するように構成した。中空軸82の軸端に対する端末部85,86の接合には摩擦溶接を用いた。具体的には、中空軸82と端末部85,86の軸心を合致させた状態で、中空軸82を固定する一方、端末部85,86を高速で回転させ、端末部85,86を中空軸82の軸方向端面に対して圧接させた。
これにより、セラミックス材料からなる振動吸収体84が充填された中空軸82の両軸端に端末部85,86を具備させることができ、振動に対する減衰比の大きなねじ軸80を製造することが可能となる。
産業上の利用可能性
以上説明してきたように、制振機能を備えた本発明の軸部材によれば、セラミックス材料からなる振動吸収体を軸本体の中空部内に隙間なく充填することにより、軸部材に作用する振動を積極的に減衰させることが可能であり、もって騒音の発生を可及的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明が適用されたタイロッド(軸部材)の実施例を示す正面図である。
図2は図1に示したタイロッドを用いたステアリング装置の構成を示す概略図である。
図3は図1のIII−III線断面図である。
図4は本発明が出力軸に適用されたボールねじスプラインを示す斜視図である。
図5は図4に示したボールねじスプラインを用いたロボットアームの組み立て例を示す断面図である。
図6は本発明を適用したボールねじ装置のねじ軸の実施例を示す正面図である。
[符号の説明]
8…タイロッド(軸部材)、8a…中空部、8b…軸本体、8c…振動吸収体
本発明は、軸方向に沿ったスプライン溝や螺旋状のねじ溝等が形成された金属製の軸部材に係り、特に、振動や騒音を早期に減衰させるための改良に関する。
背 景 技 術
例えば、従来のボールスプラインとしては、軸方向に沿ってボール転走溝が形成されたスプライン軸と、無限循環するボールを介して該スプライン軸に係合するスプラインナットとから構成され、上記スプラインナットがスプライン軸の周囲を軸方向に沿って自在に運動すると共に、スプライン軸とスプラインナットとの間でトルク伝達を可能としたものが知られている。
また、従来のボールねじ装置としては、所定のピッチで螺旋状のボール転動溝が形成されたねじ軸と、無限循環するボールを介してこのねじ軸に螺合するスクリューナットとから構成され、上記ねじ軸の回転に応じて上記スクリューナットがその軸方向へ運動するものが知られている。
ところで、これらのボールねじ装置やボールスプライン等を使用する際には、スプライン軸又はねじ軸とナットとの相対的な移動に伴って上記ボールが無限循環し、該ボールが次々にこれら軸部材と離接することから、上記ナットが高速で運動すると、軸部材に対してボールが勢い良く衝突する結果を招き、かかる衝突によって軸部材が加振されると共に、耳障りな発振音を生じるという問題点があった。
また、この種のボールねじ装置やボールスプラインは産業用ロボットのZ軸等に多用されているが、かかるZ軸を高精度で位置決めするためには、スプライン軸やねじ軸に作用する振動を早期に減衰させる必要があり、かかる振動が収まるまでの整定時間が長いと、一つの作業単位を終了させるまでのタクトタイムが長くなり、生産効率が低下するといった問題点がある。
従来、このような問題点に鑑みた軸部材としては特開昭62−103133号公報に開示される中空軸が知られている。この中空軸の周壁は金属製の内層及び外層の間にセラミックス材料の中間層をラミネートして形成されており、振動の伝達がされ難い傾向を有している。
しかし、ラミネート構造の中空軸は製作に手間がかかり、生産コストも嵩むといった問題点があった。また、軸部材に作用する振動は該軸部材そのものの形状や使用用途によって異なり、かかる振動を効果的に減衰させるためには、ラミネートされる中間層を振動の周波数等に応じて最適化することが必要となる。この点に関し、中間層をラミネートした中空軸では該中間層が薄く形成されていることから、該中間層の設計、選択に幅がなく、各種用途において振動を効果的に減衰させることが難しいといった問題点があった。
発明の開示
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、軸部材に作用する振動を積極的に減衰させることが可能であり、もって騒音の発生を可及的に防止することが可能な軸部材を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の軸部材は、中空部を備えた金属製の軸本体と、かかる中空部を隙間なく満たす振動吸収体としてのセラミックス材料とから構成されることを特徴とするものである。
かかるセラミックス材料は所定の形状に成形した後に、加圧下で軸本体の中空部内に押し込んでも差し支えないが、軸部材の組み立て手間を考慮した場合、セラミックス材料が粉体、粒状体又は流動体の状態で軸本体の中空部内に充填され、かかる中空部内で該中空部に合致した形状に成形されるのが好ましい。
更に、上記セラミックス材料は水硬性粉体及び非水硬性粉体を主成分とする水硬性組成物であることが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下、添付図面に基づいて本発明の制振機能を備えた軸部材を詳細に説明する。
図1は自動車のパワーステアリグ装置に使用するタイロッド8の一例を示すものである。このタイロッド8が適用されるパワーステアリング装置は、図2に示すように、ステアリシグ系1と、ステアリング系1の出力軸2に連結したラックアンドピニオン機構3と、ステアリング系1の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段4と、この操舵トルク検出手段4の検出信号に基づいて制御信号を発生する制御手段5と、この制御手段5の制御信号に基づいて操舵トルクに応じた捕助トルクを発生する電動機6と、上記タイロッドに螺合すると共に上記電動機6によって回転を与えられるステアリング用ボールねじ7とを備えたものであり、ステアリングハンドル1aを操舵すると、ラックアンドピニオン機構3およびステアリング用ボールねじ7によってタイロッド8がその軸線方向に直線運動し、タイロッド8の両端に連結された車輪11a,11bが転舵するように構成されている。
上記ステアリング系1は、ステアリングハンドル1aと、このステアリングハンドル1aに連結した入力軸12と、この入力軸12に連結される出力軸2とを備えており、上記操舵ルク検出手段4が操舵トルク、すなわち入力軸12と出力軸2との相対ねじれ角を検出するように構成されている。
また、上記ラックアンドピニオン機構3は、自在継手を介して上記出力軸2の先端に結合されたピニオン歯車11と、上記タイロッド8に形成されると共に上記ピニオン歯車11と噛み合うラック歯9とを備え、上記ステアリングハンドル1aが回転すると、入力軸12及び出力軸2を介してピニオン歯車11にステアリングハンドル1aの回転が伝達され、かかるピニオン歯車11がラック歯9を有するタイロッド8を軸線方向へ押し動かすようになっている。
上記タイロッド8は中空部8aを備えた中空軸であり、その一端側には上記ラック歯9が形成される一方、他端側には螺旋状のボール転動溝10が形成され、かかるボール転動溝10には該ボール転動溝10を転動する多数のボールを介して上記ステアリング用ボール7ねじが螺合している。タイロッド8の両端には一対のボールジョイント13,13を介して車輪11a,11bが連結されており、ステアリングハンドル1aの操作によってタイロッド8が軸線方向へ直線運動を行うと、かかる直線運動がボールジョイント13を介して各車輪11a,11bに揺動運動として伝達され、車輪11a,11bの操舵が行われるようになっている。
更に、上記ステアリングハンドル1aの操作に伴うタイロッド8の軸線方向への移動を円滑に行うため、上記電動機6は操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、かかる補助トルクによって上記ステアリング用ボールねじ7を所定の方向へ回転させる。これにより、ステアリングハンドル1aを操舵すると、タイロッド8はラックアンドピニオン機構のみでなく、ステアリング用ボールねじ7によっても軸線方向へ押し動かされる。
一方、上記タイロッド8は、中空部を備えた金属製の軸本体8bの外周面に対して前述の如くラック歯9とボール転動溝10を形成したものであり、これらラック歯9及びボール転動溝10は切削加工又は転造加工によって形成されている。ラック歯9及びボール転動溝10は単一の軸本体8bに対して形成しても差し支えないが、ラック歯が形成された中空軸とボール転動溝が形成された中空軸とを溶接等によって接合することにより、中空部を備えた軸本体を形成するようにしても良い。
図3は上記タイロッド8の軸方向に垂直な断面を示すものである。本実施例のタイロッド8の中空部8aにはセラミックス材料からなる振動吸収体8cが隙間なく詰められており、かかる振動吸収体8cは軸本体8bの内周面に密着している。かかる振動吸収体8cは円筒形状に成形されたものを軸本体8bの中空部8aに対して圧入するようにして、かかる軸本体8bと一体化しても良いが、振動吸収体8cそのものを精度良く円筒状に成形する手間や、軸本体8bの中空部8a内に凹凸が存在する場合等を考慮すると、粉体、粒状体又は流動体の状態で軸本体8bの中空部内に充填され、かかる中空部8a内で該中空部8aに合致した形状に成形されるのが好ましい。
このため、本実施例では水硬性粉体及び非水硬性粉体を主成分とする水硬性組成物(商品名:ジーマ、住友大阪セメント製)を上記軸本体の中空部内に加圧充填し、これを水熱合成することでセラミックス材料からなる振動吸収体を軸本体と一体化した。ここで、水硬性粉体とは水により硬化する粉体を意味し、例えば、珪酸カルシウム化合物粉体、カルシウムアルミネート化合物粉体、カルシウムフルオロアルミネート化合物粉体、カルシウムサルファアルミネート化合物粉体、カルシウムアルミノフェライト化合物粉体、リン酸カルシウム化合物粉体、半水又は無水石膏粉体、自硬性を有する生石灰粉体、これら粉体の2種類以上の混合物粉体が例示でき、この代表例として、例えば、ポルトランドセメントのような粉体を挙げることができる。
また、非水硬性粉体とは、単体では水と接触しても硬化することのない粉体を意味するが、アルカリ性もしくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気において、その成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む。このような非水硬性粉体を添加することによって、成形体の成形時の充填率を高め、得られる成形体の空隙率を減少することが可能となり、成形体の寸法安定性を向上することができる。非水硬性粉体の代表例としては、例えば、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸化カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末、シリカフューム粉末等をあげることができる。
非水硬性粉体の配合量は、水硬性粉体と非水硬性粉体とからなる混合粉体の組成比率で10〜50重量%、好ましくは25〜35重量%である。もし、配合量が10重量%未満の場合には充填率が低くなり、また50重量%超の場合には強度及び充填率が低くなり、いずれの場合においても成形、硬化後の諸性質、例えば機械加工時における欠けを生じさせたり、寸法安定性に悪影響を及ぼすため好ましくない。したがって、機械加工性等を考慮すると充填率が低くなりすぎないように非水硬性粉体の配合量を調節することが望ましい。
上記軸本体と振動吸収体とを一体化する具体的な工程としては、先ず、ポルトランドセメント等の水硬性粉体、シリカフューム等の非水硬性粉体及びその他の添加物からなる混合粉体に、水硬性粉体と非水硬性粉体との混合粉体の100重量部に対して、水を30重量部以下または理論水和量未満含有したものを混合して成形用混合物を調整する。混合には成形用混合物に強力な剪断力を加えることができる混合方法若しくは混合機械を用いることが好ましい。
次に、このようにして得られた成形用混合物を軸本体の中空部に対して加圧充填し、充填が完了したならば、硬化させるために養生を行う。この養生は室温又は高温高圧下において行われ、養生時間は養生温度により変化する。
これにより、軸本体の中空部内に対し、かかる中空部の形状に拘らず、セラミックス材料からなる振動吸収体を隙間なく満たすことができた。
以下の表1は中空軸と、この中空軸内に上記振動吸収体を充填したものとについて、固有振動数を計測すると共に、強制的に加振した場合の周波数応答特性を計測し、その際の減衰比及びゲイン差(dB)を求めた結果を示すものである。この表1に示されるように、中空軸にセラミックス材料からなる振動吸収体を隙間なく充填したものはそのままの中空軸に比べて減衰比が大きいことが確認された。
また、前述のようにして中空軸に充填されるセラミックス材料は、非水硬性粉体の配合量や充填時の加圧力を適宜変更することにより、空隙率や硬さを自由に調整することができるので、中空軸の形状や作用する振動数に応じた減衰性能を軸部材に付与することも可能である。
このため、本実施例のステアリング装置によれば、ステアリングハンドルの操作によってピニオン歯車がラック歯と噛み合い、あるいはステアリング用ボールねじが回転することによって、上記タイロッドに振動が生じたとしても、かかる振動が早期に減衰されるので、この振動に伴う騒音が自動車の車室内に伝播するを抑えることが可能となるものである。
図4及び図5は本発明を適用したロボットアームの実施例を示すものである。
このロボットアームはボールねじスプライン及び一対のモータによって構成されており、一対のモータの回転及び停止を組み合わせることで、アームとしての出力軸に直進、回転、スパイラルの各運動を行われることができるようになっている。
上記ボールねじスプラインは、図4に示すように、一本の出力軸50の外周面に螺旋状のボールねじ溝51及び軸方向に延びるボールスプライン溝52を重複して形成し、上記ボールねじ溝51にはボールねじナット53を螺合させる一方、上記ボールスプライン溝52にはボールスプラインナット54を嵌合させたものであり、これらボールねじナット53及びボールスプラインナット54の停止・回転の選択に応じ、上記出力軸50が軸方向へストロークあるいは回転運動を行うように意図されている。従って、取付ハウジングに対して上記ボールねじナット53及びボールスプラインナット54を自在に回転させることができるよう、これら各ナット53,54の外周面には無数のボール55,56を介してサポートベアリング57,58が組み付けられている。
このボールねじスプラインは図5に示すようにしてハウジングに取り付けられて使用される。すなわち、ボールねじナット53及びボールスプラインナット54の各サポートベアリング57,58はハウジング59に固定されており、各ナット53,54がハウジング59に対して回転自在に支持されている。また、ボールねじナット53及びボールスプラインナット54の夫々の端部にはプーリ60,61が固定され、これらプーリ60,61に架け回されるタイミングベルトによって図示外のモータの回転力が各ナット53,54に伝達されるようになっている。
ここで、上記ボールねじナット53は、出力軸50のボールねじ溝51に対向する螺旋状の負荷ボール溝62が内周面に形成されたナット本体63と、このナット本体63の両端部に固定されてボール64の無限循環を介助する一対のエンドキャップ65と、出力軸50のボールねじ溝51とナット本体63の負荷ボール溝62の間に挟み込まれた無数のボール64とから構成されており、出力軸50とボールねじナット53との相対的な回転運動に伴い上記ボール64が上記ボールねじ溝51と負荷ボール溝62との間を転動するようになっている。また、上記ナット本体63にはその軸方向に沿ってボール戻し孔66が形成される一方、上記エンドキャップ65にはナット本体63の負荷ボール溝62を転走し終えたボール64を上記ボール戻し孔66に送り込むための方向転換溝(図示せず)が形成されており、ボールねじナット53の回転に伴ってボール64が無限循環するように構成されている。
また、上記ボールスプラインナット54は、出力軸50のボールスプライン溝52に対向する負荷ボール溝67が内周面に形成されたナット本体68と、出力軸50のボールスプライン溝52とナット本体68の負荷ボール溝67の間に挟み込まれた無数のボール69と、上記ナット本体68の中空部に固定されて上記ボール69を案内保持するボール保持器70とから構成されており、出力軸50とボールねじナット54との相対的な回転を防止しつつ、出力軸50を軸方向へ案内するようになっている。
更に、上記出力軸50は、中空部を備えた軸本体と、この軸本体の中空部内に隙間なく充填された振動吸収体とから構成され、かかる振動吸収体は前述したタイロッド8と同様のセラミックス材料から形成されている。
そして、以上のように構成された従来の複合運動駆動装置では、図示外の2つのモータを用いて上記ボールねじナット53及びボールスプラインナット54の夫々を別個独立に回転させ、上記ボールねじナット53の回転運動とボールスプラインナット54の回転運動とを組み合せることにより、出力軸50のストローク運動、回転運動、あるいはストローク及び回転を組み合わせたスパイラル運動が得られるようになっている。例えば、ボールスプラインナット54を静止させた状態でボールねじナット53を回転させると、出力軸50からはボールねじナット53の回転方向に応じたストローク運動が得られる。また、ボールねじナット53を静止させた状態でボールスプラインナット54を回転させると、出力軸50からはボールスプラインナット54の回転方向に合致したスパイラル運動が得られる。
このロボットアームにおいては、出力軸50にストローク運動、回転運動、あるいはスパイラル運動を与えると、ボールねじナット53及びボールスプラインナット54に具備された多数のボールが出力軸50のボールスプライン溝52及びボールねじ溝51を転動するので、かかる転動によって出力軸50が加振され、また、出力軸50それ自身の回転に伴う振動が発生してしまう。従って、ボールねじナット53及びボールスプラインナット54を高速で回転させた場合等には、所定の運動が終了して位置決めされた後の出力軸50に振動が残存してしまい、かかる振動が減衰するまで、停止位置におけるロボット作業を行うことができず、タクトタイムが短縮化できないといった問題点がある。
しかし、本実施例のロボットアームでは、出力軸50の中空部内にセラミックス材料からなる振動吸収体を充填しているので、ボールの転動や出力軸それ自体の高速回転によって該出力軸に生じた振動を早期に減衰させることができ、かかるロボットアームを用いた組み立て作業等のタクトタイムを短縮化することが可能となるものである。
図6は本発明を適用したボールねじ装置のねじ軸80を示すものである。
図1に示したタイロッド8、図4に示したロボットアームの出力軸50はいずれも両軸端が開口した中空軸に形成されており、両端部の開口から振動吸収体を中空部内に充填していた。しかし、ボールねじ装置のねじ軸においては、その両軸端に該ねじ軸の回転を支承するためのベアリングを装着する必要があり、また、該ねじ軸にモータの回転を伝達するための継手を装着する必要があり、軸端を使用用途に応じた形状に加工しなければならない場合が多々ある。
従って、図6に示すねじ軸80では、外周面に螺旋状のボール転動溝81が形成された中空軸82の中空部83内に振動吸収体84を充填した後、この中空軸82の両端開口に対して所定の形状に加工済みの端末部85,86を接合し、かかる開口を閉塞するように構成した。中空軸82の軸端に対する端末部85,86の接合には摩擦溶接を用いた。具体的には、中空軸82と端末部85,86の軸心を合致させた状態で、中空軸82を固定する一方、端末部85,86を高速で回転させ、端末部85,86を中空軸82の軸方向端面に対して圧接させた。
これにより、セラミックス材料からなる振動吸収体84が充填された中空軸82の両軸端に端末部85,86を具備させることができ、振動に対する減衰比の大きなねじ軸80を製造することが可能となる。
産業上の利用可能性
以上説明してきたように、制振機能を備えた本発明の軸部材によれば、セラミックス材料からなる振動吸収体を軸本体の中空部内に隙間なく充填することにより、軸部材に作用する振動を積極的に減衰させることが可能であり、もって騒音の発生を可及的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明が適用されたタイロッド(軸部材)の実施例を示す正面図である。
図2は図1に示したタイロッドを用いたステアリング装置の構成を示す概略図である。
図3は図1のIII−III線断面図である。
図4は本発明が出力軸に適用されたボールねじスプラインを示す斜視図である。
図5は図4に示したボールねじスプラインを用いたロボットアームの組み立て例を示す断面図である。
図6は本発明を適用したボールねじ装置のねじ軸の実施例を示す正面図である。
[符号の説明]
8…タイロッド(軸部材)、8a…中空部、8b…軸本体、8c…振動吸収体
Claims (4)
- 中空部を備えた金属製の軸本体と、かかる中空部を隙間なく満たす振動吸収体としてのセラミックス材料とから構成されることを特徴とする軸部材。
- 上記セラミックス材料は粉体、粒状体又は流動体の状態で軸本体の中空部内に充填され、かかる中空部内で該中空部に合致した形状に成形されることを特徴とする請求項1記載の軸部材。
- 上記セラミックス材料は水硬性粉体及び非水硬性粉体を主成分とする水硬性組成物であることを特徴とする請求項1記載の軸部材。
- 軸本体の両端開口部が該開口部に対して接合された端末部よって閉塞され、前記振動吸収体が軸本体の中空部内に密閉されていることを特徴とする請求項1記載の軸部材。
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