JPWO2003078904A1 - 常圧水蒸気用熱交換構造体および熱交換方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は構造が簡単で、任意の温度に温度調節された熱交換媒体を得ることが可能な常圧水蒸気用熱交換構造体およびその熱交換構造体を用いる熱交換方法を提供することを目的としており、常圧の水蒸気が有するエネルギーを熱交換媒体を介して利用可能な熱に変換するための常圧水蒸気用熱交換構造体が、常圧水蒸気の導入部、常圧水蒸気通流部、常圧水蒸気通流部における熱交換量を調節する熱交換能力調節手段および常圧水蒸気が凝縮することによって生じるドレインを排出するドレイン排出部を含む排出手段を備えていることを特徴としている。
Description
技術分野
本発明は、圧力がほぼ大気圧である常圧水蒸気が有するエネルギーを、温水、温風、輻射熱等の日常利用することができる熱の形態に交換するための常圧水蒸気用熱交換構造体および熱交換方法に関し、さらに詳しくは、常圧の水蒸気から、簡単な構造でありながら任意の温度の熱を容易に得ることができる熱交換構造体およびその熱交換構造体を用いた熱交換方法に関する。
背景技術
水蒸気は、多くの分野で、様々な形態で利用されており、産業上、日常生活上有用なエネルギー源のひとつとなっている。水蒸気の中でも、大気圧以上に加圧された高温高圧の過熱水蒸気は、エネルギーの保有量が大きく、特に、圧力が数10気圧の過熱水蒸気は、蒸気タービンを利用した発電用のエネルギー源として用いられていることはよく知られている。発電用のような大きなエネルギーを必要とする場合には、高温高圧の水蒸気が有用である。
また、水蒸気の中でも、身近な例では、1気圧程度の低い圧力の水蒸気は、ラジエータ型の暖房用のエネルギー源として利用されている。
このような従来型の水蒸気利用システムでは、水蒸気を発生させる装置、水蒸気のエネルギーを利用する装置、水蒸気搬送用の配管系等の構造体は、閉鎖系で構成されている。そのために、作動時の圧力だけではなく、休止時の減圧状態にも耐えるだけの強度が要求されている。したがって、大掛かりな設備となり、それに伴って設備費も高くつくという問題があったので、広い分野で水蒸気を利用するということは行われていなかった。
一方、大気圧の水蒸気は、比較的に容易に得ることができる。なお、ここでは、常圧の水蒸気とは、大気圧に対して0〜数100Pa程度低い圧力を有する水蒸気、すなわち主として開放系の水蒸気発生装置で発生させたような水蒸気を意味している。常圧の水蒸気は、ほぼ大気圧の開放系内で、水を沸騰させることによって発生させることができる。つまり、必要があれば比較的に簡単な設備で、容易に発生させることができる。
例えば、都市ごみや産業資源を焼却処分するような場合にも、必要に応じて廃熱を常圧の水蒸気として回収することができる。また、バイオマス資源の利用方法として、バイオマス資源を燃料化し、利用する方法がある。この場合、バイオマス資源を燃料化する技術は確立されつつあるが、燃焼させることによって発生する熱をどのように有効利用するかが大きな課題となっている。常圧の水蒸気の有効な用途があれば、そのようなバイオマス燃料を燃焼させることによって、熱源としての常圧の水蒸気を得ることができる。むろん、そのような燃料を用いなくても、必要に応じて、石油等の燃料を利用してもよい。その他、過熱水蒸気で発電を行なった後の水蒸気、コジェネレーションシステムから排出される水蒸気なども常圧の水蒸気として利用可能な熱源である。
水蒸気は、大きな潜熱を含んでいるので、常圧の水蒸気の利用方法としては、その潜熱を有効に利用するのが得策である。現状では、常圧の水蒸気が有するエネルギーを、簡単な設備で、効果的に利用しようとする試みは少なく、一部に、常圧の水蒸気を利用する方法に関する提案が行なわれている。
例えば、特開2000−39156号公報では、常圧の水蒸気を発生させる手段と放熱器とで構成された放熱暖房用の装置が提案されている。この装置の場合には、放熱後の水蒸気を常圧の水蒸気発生手段に戻して再利用する仕組みとなっている。この装置の場合、常圧の水蒸気を積極的に凝縮させることを目的としていないので、常圧の水蒸気が保有する潜熱を十分に利用することは難しい。また、放熱温度は、主に水蒸気の流量で調節しなければならないので、精度のよい温度調節も難しいという短所がある。
このように、常圧の水蒸気の利用に関する従来の技術には、未解決の課題が多い。特に、常圧の水蒸気は、凝縮温度がほぼ100℃であるので、暖房、乾燥等の用途に応じて選べる温度、用途に応じて選べる温水や温風といった熱の形態に変換して利用できることが要求される。しかし、それに応えられる適当な手段がないのが実状である。
常圧の水蒸気を、用途に応じた任意の温度に調節して利用することができる技術、熱を利用する用途に応じて、温水、温風、輻射熱または対象物の直接加熱といった形態で利用することができる技術が確立されれば、常圧の水蒸気の用途とその使用量は飛躍的に拡大するものと推定される。常圧の水蒸気の用途が広がれば、前述のようなバイオマス燃料等のより有効な利用も可能になる。また、常圧の水蒸気との熱交換によって得られる温水、温風等の熱交換媒体の温度を精度よく調節できれば、暖房、乾燥等に対して、常圧の水蒸気を効果的に利用することも可能になる。
発明の開示
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、構造が簡単で、任意の温度に温度調節された熱交換媒体を得ることが可能な常圧水蒸気用熱交換構造体およびその熱交換構造体を用いる熱交換方法を提供することを目的としている。
本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(1)は、導入部における圧力が大気圧を超えない常圧水蒸気の保有エネルギーを、熱交換媒体を介して利用可能な熱に変換するための常圧水蒸気用熱交換構造体であって、常圧水蒸気導入部、常圧水蒸気通流部、該常圧水蒸気通流部における前記常圧水蒸気の熱交換量を調節する熱交換能力調節手段、および前記常圧水蒸気が凝縮することによって生じるドレインを排出するドレイン排出部を含む排出手段を備えていることを特徴としている。
上記した常圧水蒸気用熱交換構造体(1)は、常圧の水蒸気から水蒸気が保有する潜熱および一部の顕熱を利用するものであるので、大気圧を大きく超えるような圧力に対する構造体の耐圧性や100℃を数10度も超えるような温度への耐熱性を必要としない。したがって、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)によれば構造体を簡単にでき、また安価に提供でき、かつ取り扱いも容易となる。また、利用する熱の形態としては、温風、温水、輻射熱および対象物の直接加熱などいずれの形態でも対応可能であるので、選択の自由度が高い。さらに、これらの温風、温水などの熱交換媒体の温度を、任意の温度に、かつ精度よく調節することができるので、熱交換後の熱交換媒体が使いやすく、用途が広い。上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)には、このような多くの長所があるので、常圧水蒸気の用途が拡大し、引いては、都市ごみの燃焼熱、バイオマス燃料の燃焼熱などの有効利用に結びつくという、産業上、大きな効果が得られる。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(2)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、前記常圧水蒸気通流部が放熱部を有し、該放熱部が熱交換媒体通流部内に配置されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(2)によれば、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)における常圧水蒸気通流部が放熱部を有する常圧水蒸気通流部で構成されているので、放熱部に近接する領域で、水や空気との間で効率的に熱交換を行なうことができる。したがって、特に温水や温風を得るのに適している。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(3)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(2)において、前記熱交換媒体が空気であり、前記放熱部で熱交換された空気を、放熱部から強制的に排出させるための送風手段を備えていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(3)によれば、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(2)を基に、温風を得ることができるように構成されたものであり、好みの温度に調節された好みの風量の温風を得ることができるという特長がある。したがって、暖房用や乾燥用の装置として特に好適である。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(4)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(2)において、前記熱交換媒体が水であり、前記熱交換媒体通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状貯水部、該容器状貯水部の壁部に設けられた給水部および温水取出部を含んで構成されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(4)によれば、常圧水蒸気用熱交換構造体(2)を基に、温水を得ることができるように構成されたものであり、90℃以上の温水を得ることができるという特長がある。したがって、貯湯式給湯装置として特に好適である。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(5)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が水であり、熱交換媒体通流部zが、前記容器状通流部の外部から水が供給される給水部、前記容器状通流部の中に配置された前記水の散布手段および排水部を含んで構成されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(5)によれば、上記した常圧水蒸気用熱交換構造体(1)における常圧水蒸気通流部がある程度の内容積を持つ容器状の常圧水蒸気通流部で構成されている。そして、常圧水蒸気の流れの中に水を散布し、常圧水蒸気と水を直接接触させることにより、温水を得るものである。放熱により凝縮した常圧水蒸気のドレインも温水として回収できるので、常圧水蒸気の保有熱の回収効率に優れている。上記常圧水蒸気用熱交換構造体(5)は、好みの温度に調節された好みの水量の温水を得ることができるという特長がある。特に、面伝熱熱交換による間接熱交換では、規模の大型化に伴い熱交換部の面積が大きくなるので、保守が難しくなり、初期投資も高額になる傾向がある。一方、直接接触凝縮法では、保守が極めて容易であり、スケールメリットにより大型化に伴う投資額の増加も僅かである。したがって、地域暖房や規模の大きい温水プール等での循環水の温度管理用として、特に好適である。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(6)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が水であり、熱交換媒体通流部が、前記容器状通流部の外部から水が供給される給水部、前記容器状通流部の中に配置された管状の熱交換部および排水部を含んで構成されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(6)によれば、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(5)と同様に、常圧水蒸気通流部がある程度の内容積を持つ容器状の常圧水蒸気通流部で構成されている。そして、熱交換媒体である水が、常圧水蒸気の流れの中に配置された管状の熱交換部の中を流れるように構成されており、常圧水蒸気と水とを熱交換管の管壁を介して接触させることにより、温水を得るものである。したがって、熱交換媒体である水と常圧水蒸気が凝縮したドレインとが混じりあうことがない。また、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(5)の場合と同様に、好みの温度に調節された好みの水量の温水を得ることができるという特長もある。そのために、清浄な温水を必要とするような場合に適している。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(7)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、外周部が断熱性部材ならびに少なくとも1面に設けられた熱交換媒体部材およびその外側の赤外線透過部材により囲まれた容器状通流部で構成されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(7)によれば、熱交換媒体の熱放散面からその前方に輻射熱を放散するので、熱放散面の前方に位置する人や対象物に対する暖房効果や加温効果を発揮する。したがって、建造物の壁や天井などの構成部材として使用し、暖房用の構造体として利用することができる。また、暖房、加温用の単体の装置としても利用することができる。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(8)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が前記常圧水蒸気の熱により直接加熱される被加熱物であり、前記常圧水蒸気通流部内に、前記被加熱物を載置する通水性の載置台を備えていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(8)によれば、常圧水蒸気通流部がある程度の内容積を持つ容器状の常圧水蒸気通流部で構成されており、その中に、被加熱物を置くための載置台が設けられている。したがって、被加熱物と常圧水蒸気との間で直接熱交換を行なうことができるという利点があり、様々な対象物を加熱することが可能で、特に蒸し器として好適である。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(9)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)〜(8)のいずれかにおいて、前記排出手段が、吸引用ポンプを備えていることを特徴としている。
吸引用ポンプは、常圧水蒸気用熱交換構造体が休止状態、すなわち常圧水蒸気通流部の内部に水蒸気が満たされていない状態からスタートする場合に、予め常圧水蒸気通流部の内部の空気を強制的に吸引排出する場合や、常圧水蒸気通流部の内部のドレインが多くなり過ぎたような場合に、ドレインを強制的に排出するのに用いられる。したがって、排出手段の一部として、吸引用ポンプを設けることにより、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)〜(8)を安定して操業させることができるという優れた効果が得られる。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(10)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)〜(9)のいずれかにおいて、前記ドレイン排出部が、一端が前記排出手段の排水管に開口し、他端が外部に開口した排水口を有する縦断面形状がU字形の管で構成され、前記排水口と該排水口の下方に設けられた開口部との間に、該開口部を閉塞可能な大きさで、比重が1未満の浮遊体を備えていることを特徴としている。
上記のドレイン排水部は、常圧水蒸気が凝縮したドレインが連続的に流れ込んでくると、そのドレインを排水口から連続的に排出し、常圧水蒸気用熱交換構造体にドレインが一定量以上、滞留しないようにする働きを持っている。
また、本発明に係る常圧水蒸気の熱交換方法(1)は、導入部における圧力が大気圧を超えない常圧水蒸気の保有エネルギーを、熱交換媒体を介して利用可能な熱に変換するための常圧水蒸気の熱交換方法であって、常圧水蒸気通流部、前記常圧水蒸気と直接的もしくは間接的に接触する熱交換媒体通流部または前記常圧水蒸気と直接的に接触する熱交換媒体部材、前記常圧水蒸気通流部における前記常圧水蒸気の熱交換量を調節する熱交換能力調節手段および前記常圧水蒸気が凝縮することにより生じるドレインを排出するドレイン排出部を含む排出手段を備えた常圧水蒸気用熱交換構造体を用い、前記常圧水蒸気通流部を、大気圧との圧力差を0〜マイナス数100Paに維持した状態で、前記常圧水蒸気と前記熱交換媒体との間で熱交換することを特徴としている。
上記の常圧水蒸気の熱交換方法(1)は、常圧の水蒸気から水蒸気が保有する潜熱および一部の顕熱を利用するものであるので、用いる設備である構造体の耐圧性や耐熱性を必要としない。したがって、簡単な構造体により、安いコストで、容易に熱交換を行なうことができる。また、利用する熱の形態としては、温風、温水、輻射熱および対象物の直接加熱いずれの形態を選ぶことができるので、選択の自由度が高い。上記の常圧水蒸気の熱交換方法には、このような多くの長所があるので、常圧水蒸気の用途が拡大し、引いては、都市ごみの燃焼熱、バイオマス燃料の燃焼熱などの有効利用に結びつくという、産業上、大きな効果が得られる。
また、本発明に係る常圧水蒸気の熱交換方法(2)は、上記常圧水蒸気の熱交換方法(1)において、前記熱交換能力調節手段を用いて、前記常圧水蒸気通流部における大気の割合を調節することにより、熱交換量を調節することを特徴としている。
上記常圧水蒸気の熱交換方法(2)は、上記常圧水蒸気の熱交換方法(1)の持つ長所に加えて、温風、温水などの熱交換媒体の温度を、任意の温度に、さらに精度よく調節することができるので、熱交換後の熱交換媒体が使いやすく、いっそう用途を広げることができるという効果をもっている。
なお、本明細書で用いている「導入部における圧力が大気圧を超えない常圧水蒸気」とは、主に開放系の水蒸気発生装置や水蒸気収容装置から供給される水蒸気であり、大気との圧力差が、0〜マイナス数100Pa(水柱数10mm)の水蒸気を意味する。ただし、前述の常圧水蒸気通流部における圧力より高い。上記の開放系の水蒸気発生装置や水蒸気収容装置から導入部までの間の水蒸気配管は、その間の圧力損失をできるだけ小さくすることができるように、かつ十分な量の水蒸気が供給できるように、供給能力の大きい蒸気配管を設けるようにするのがよい。
また、単に常圧水蒸気と記載する場合には、大気圧との圧力差が、0〜マイナス数100Pa、例えば0〜500Pa程度の範囲を意味する。
また、熱交換媒体とは水または空気(大気)であり、熱交換媒体部材とは常圧水蒸気と熱交換を行なう部材を意味し、熱交換媒体部材には常圧水蒸気と直接熱交換を行う熱交換対象物を含むものとする。それらの熱交換前の温度は、熱交換媒体として使用できる状態であれば、どのような温度でもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体および熱交換方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明に係る実施の形態(1)を説明するための図である。図1は、実施の形態(1)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体1Aを示す斜視図、図2〜図4は、実施の形態(1)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体の細部を説明するための図、図5および図6は、それぞれ実施の形態(2)、(3)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体1B、1Cを示す図である。図1〜図6から明らかなように、実施の形態(1)〜(3)は、熱交換媒体が常圧水蒸気通流部の外側を通流する場合であり、常圧水蒸気通流部とその外側の熱交換媒体との間で熱交換を行なうのに好適な場合である。
図1に示されているように、常圧水蒸気用熱交換構造体1Aは、常圧水蒸気1の導入部2、放熱部3を備える常圧水蒸気通流部4、常圧水蒸気通流部4の末端部に設けられた排出手段5および熱交換能力調節手段6を備えている。常圧水蒸気1は、導入部2から導入され、放熱部3で放熱することにより凝縮してドレインとなり、ドレインが排出手段5から排出されるように構成されている。
放熱部3では、常圧水蒸気1の持つエネルギーをできるだけ効率よく熱に変換させる必要がある。そのために、放熱部3は熱伝導性のよい鉄または鉄合金、アルミニウム、銅などの金属材料を用いて構成するのがよく、また単位質量当たりの常圧水蒸気が接触する放熱部3面積を、できるだけ大きくするのがよい。
図2は、常圧水蒸気用熱交換構造体1Aにおける排出手段5および熱交換能力調節手段6を一体化した装置の1例を示す模式的構成図である。なお、この装置は、後述の常圧水蒸気用熱交換構造体1B〜3Aにも用いることができる。ここで、排出手段5は、ドレイン排水部5a、常圧水蒸気通流部4との間に開閉用バルブ5cが接続された吸引用ポンプ5bを含んで構成されている。
排出手段5のドレイン排水部5aは、常圧水蒸気通流部4における熱交換により、水蒸気が凝縮して生じた水を排出するための装置である。常圧水蒸気通流部4の下部のもっとも低くなる位置にドレイン集水部(図示せず)を設けて、ドレインを集水しやすくなっている。ドレイン排水部5aについては、後で詳しく説明する。吸引用ポンプ5bは、休止状態、すなわち常圧水蒸気通流部4の内部に水蒸気が満たされていない状態からスタートする場合に、予め常圧水蒸気通流部4の内部の空気を強制的に吸引排出する場合や、放熱部3内における常圧水蒸気に対する大気の割合を調整するために大気を強制的に排出させる場合に用いられる。また、吸引用ポンプ5bは、後述の熱交換能力調節手段6における熱交換能力調節用の空気を、常圧水蒸気通流部4に吸引させるための大気通流部としても利用される。
なお、吸引用ポンプ5bのように、1つのポンプを種々の目的に共用するのではなく、用途別に、常圧水蒸気通流部4の空気の吸引ポンプと常圧水蒸気通流部4への空気の導入用のバルブとを、それぞれ装備してもよい。
熱交換能力調節手段6は、常圧水蒸気通流部4に外気を導入することにより、熱交換後の熱交換媒体の温度を調節するのに用いられるものであり、常圧水蒸気通流部4内の水蒸気位置を検出するための温度センサ6bおよび温度測定結果を基に、開閉用バルブ5cの開閉を調節するとともに吸引用ポンプ5bを駆動させることにより、常圧水蒸気通流部4への大気の導入量を制御する制御部6dを含んで構成されている。
図3は、図1におけるA−A線断面図であり、熱交換能力調節手段6により、熱交換後の熱交換媒体の温度を制御することができる原理を説明するための図である。図3(a)は、常圧水蒸気通流部4に設けられている放熱部3に常圧水蒸気1(ドット部)が充満している状態を示している。この場合には、放熱部3のほぼすべての領域で熱交換が行なわれるので、熱交換後の熱交換媒体の温度は高くなる。図3(b)は、放熱部3の内容積のほぼ半分に大気9(白地部)が導入された状態を示している。放熱部3に大気9が導入されると、大気9は、常圧水蒸気に含まれていた非凝縮性気体とともに、常圧水蒸気通流部4の排出管7側に集まる。この場合には、放熱部3のほぼ半分で熱交換が行なわれる。そのために、常圧水蒸気1と熱交換媒体との間の熱交換が、図3(a)の場合に比べると約半分となり、熱交換後の熱交換媒体の温度が図3(a)の場合に比べて低くなる。このように、常圧水蒸気通流部4(放熱部3)に対する大気9の導入量を調節することにより、熱交換後の熱交換媒体の温度を広い範囲で調節することができる。
図2に示した熱交換能力調節手段6に用いられる温度センサ6bは、常圧水蒸気通流部4における常圧水蒸気1または大気9の存在領域を検知するためのセンサである。このセンサは、常圧水蒸気1と大気9とを識別することができるものであればよく、温度センサではなく、他のセンサを用いることも可能であり、例えば、電気抵抗値を測定するセンサを利用することもできる。
また、水蒸気は凝縮すると体積が著しく減少する。具体的には、1モルの水蒸気(標準状態で22.4リットル)は、18グラム(約0.018リットル)の水に変化する。そのために、水蒸気の凝縮部では瞬間的に減圧状態になるので、この減圧状態を利用することにより、水蒸気を水蒸気通流部4内に自動的に補給していくことができる。
図4は、前述の排出手段5に設けられるドレイン排出部5aを示す図であり、同図(a)は外観斜視図、同図(b)は縦断面斜視図である。
図4に示すドレイン排出部5aは、縦断面がU字形の管状であり、一端側41(以下、接続端41と記す)が図1および図2に示した排出管7からドレインが流入可能に接続されており、他端42(以下、閉塞端42と記す)は端部が閉塞されている。閉塞端42側近傍には、管状部壁面に大気に通じる排水口43が設けられており、その下方には、開口部44が形成されている。この開口部44と閉塞端42との間には、浮遊体46が挿入されている。この浮遊体46は水に浮くものであり、比重が1未満、好ましくは0.5程度で、開口部44および排水口43を通り抜けない大きさとなっている。
浮遊体46は、前述の図2に示した排出手段5に設けられている吸引用ポンプ5bにより、常圧水蒸気通流部4内のドレインや大気を強制的に排出する場合に、ドレイン排出部5aから大気が吸引されるのを防止するために設けられたものである。浮遊体46は水より軽いので、ドレインが排出される場合には、水に浮いて排水の障害にはならない。しかし、浮遊体46は、開口部44から大気が吸引され始めると開口部44を塞ぎ、開口部44から大気が吸引されないように作用する。浮遊体46と開口部44の形状の関係は、浮遊体46が球形、開口部44が浮遊体46より径の小さい円形となっている。ただし、浮遊体によって開口部が閉塞できる関係にあれば、他の形状の関係にあるものでもよい。別の実施の形態では、例えば、開口部が楕円の場合、浮遊体は球形でなくてもよい。また、開口部が角形で、浮遊体が角錐形や板状であってもよい。
図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aに常圧水蒸気1が導入されると、常圧水蒸気通流部4に設けられた放熱部3で、常圧水蒸気1と熱交換媒体との間で熱交換が行なわれる。ここで、熱交換されて加熱された熱交換媒体が発生する。図1に示した構成を有する常圧水蒸気通流部4のタイプの場合、熱交換媒体としては、空気または水のいずれをも用いることができる。
図5は、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aを基本的な構成要素とする実施の形態(2)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体であり、熱交換媒体が空気の場合に好適な常圧水蒸気用熱交換構造体1Bを示す外観図である。この常圧水蒸気用熱交換構造体1Bは、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aに対して、その外側にさらに空気通流部51が設けられている。すなわち、空気通流部51内に、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aが収められた構成となっている。
図5に示したように、常圧水蒸気1は、常圧水蒸気1の導入部2から導入され、空気通流部51の内部に設置された常圧水蒸気通流部4の放熱部3を通過する際に熱交換を行ない、ドレインとなってドレイン排出部5aから排出される。空気通流部51の内部には、空気を循環させるための送風機(図示せず)が装備されており、熱交換媒体である空気52は、空気通流部51の上部から強制的に吸引されて、放熱部3を通過する間に熱交換されて温風53となり、下部から送り出されるように構成されている。
図5に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Bは、暖房用装置として好適である。この常圧水蒸気用熱交換構造体1Bの場合には、前述の熱交換能力調節手段6により、温風53の温度を希望の温度に調節することが容易である。特に、送風量を一定としても、温風の温度を容易に調節できるという特長がある。放熱部3での熱交換量を増減するために、送風量を増減させるというような操作が不要であるので、空気の快適な室内循環流を維持できるという利点がある。
図6は、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aを基本的な構成要素とする実施の形態(3)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体であり、熱交換媒体が水の場合に好適な常圧水蒸気用熱交換構造体1Cを示す部分断面斜視図である。この常圧水蒸気用熱交換構造体1Cは、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aに対して、その外側にさらに水通流部61が設けられている。すなわち、水通流部61内に、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aが収められた構成となっている。
水通流部61は、周囲が断熱材で断熱された容器状であり、その下部に給水部62、上部に温水取出部63を備えている。水通流部61の内部に配置された常圧水蒸気用熱交換構造体1Cに流れる常圧水蒸気の熱交換の態様は、図5に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Bの場合と同じである。
給水部62から水通流部61内に供給された水は、放熱部3を通過する間に熱交換されて温度上昇し、温水となって温水取出部63から外部に取り出されるように構成されている。水通流部61を構成する容器状貯水部は、温水の熱が放散しないように、上記のように断熱材で被覆されていることが好ましい。また、給水部62は水通流部61の底部、すなわち、放熱部3の下方に取り付けることが好ましい。温水取出部63は、水通流部61の天井部ではなく、側壁面の上部側に取り付けられてもよい。
図6に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Cは、貯湯式給湯装置として好適である。
図7および図8は、本発明の実施の形態(4)、(5)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図である。図7(a)、(b)は、実施の形態(4)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体2Aを示す部分断面斜視図、要部の斜視図、図8(a)、(b)は、実施の形態(5)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(2B)を示す部分断面斜視図、要部の斜視図である。
実施の形態(4)は、熱交換媒体が常圧水蒸気通流部71の内側を通流する態様の場合であり、常圧水蒸気通流部71の内部で、熱交換媒体との間で熱交換を行なうのに好適な形態である。したがって、実施の形態(4)および(5)の場合には、常圧水蒸気用熱交換構造体2A、2Bの常圧水蒸気通流部が、図1に示したような放熱部3を有する態様のものではなく、図7および図8に示されているように、外周部が断熱性部材71aで囲まれた、ある程度の容積を有するほぼ密閉された容器状のもので構成されている。
図7(a)に示す実施の形態(4)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体2Aは、熱交換媒体が水72で、熱交換媒体通流部が、容器状の常圧水蒸気通流部71の外部に通じる給水部74、容器状の常圧水蒸気通流部71の中に配置された水散布手段76、排水部75およびこの水散布手段76と排水部75との間に形成される空間部とで構成されている。また、常圧水蒸気通流部71には、実施の形態(1)の場合と同様に、常圧水蒸気1の導入部2、排出手段5が、常圧水蒸気1が通流可能なように接続され、さらに熱交換能力調節手段6が設けられている。
常圧水蒸気用熱交換構造体2Aの場合、常圧水蒸気1は導入部2から導入され、容器状の常圧水蒸気通流部71を流れてその間に熱交換され、凝縮して温水となる。また、熱交換媒体である水72は、給水部74から供給され、常圧水蒸気通流部71内の上部に配置された水散布手段76から散布される。散布された水は、常圧水蒸気通流部71内を落下する過程で、常圧水蒸気1との熱交換により温度上昇して温水となる。この温水は、上記の常圧水蒸気が凝縮して生じた温水とともに、排水部75から取り出され、取り出された温水が、熱源として利用される。
なお、常圧水蒸気用熱交換構造体2Aの場合、導入されたほとんどの水蒸気は凝縮して温水となり、排水部75から排出される。ただし、一部の常圧水蒸気1は未凝縮の状態で排出される可能性があるので、排出手段5を欠かすことはできない。また、常圧水蒸気1の導入部2と排出手段5の位置関係は、導入部2は常圧水蒸気通流部71の壁部のできるだけ高い位置、排出手段5は導入部2に対向する壁面の下部とするのが好ましい。
また、常圧水蒸気通流部71内で、安定した水位が得られるように、図7(a)に示すように、水位センサ77が設けられ、水位情報を基に、給水弁78を調節して供給水の流量を制御するようになっている。
図7(b)は、上記の水散布手段76を示す要部の斜視図である。散布手段76は、給水部74に通じる給水管76a、給水管76aから分岐した複数の散水管76bおよび散水管76bに設けられた複数のノズル76cで構成されている。散布される水は、熱交換後の温水の温度を高くする必要がある場合には、熱交換効率を高くするために、できるだけ小さな水滴とするのがよい。そのためには、小さな径のノズル76cを数多く設けるようにする。また、水が底部に落下するまでの時間を長くするのも効果的であるので、ノズル76cの向きを下向きにするのではなく、上向きまたは斜め上向きとしてもよい。その場合には、散布手段76の設置位置は、散布した水が常圧水蒸気通流部71の天井まで到達しない高さに設定する。
図8に示す実施の形態(5)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体2Bは、熱交換媒体が水72であることと、容器状の常圧水蒸気通流部71を備えていることは、常圧水蒸気用熱交換構造体2Aの場合と同様である。ただし、熱交換媒体通流部が、水散布手段76に代えて、多数の熱交換用管86bを備えた熱交換部86で構成されている点が相違している。すなわち、熱交換媒体通流部は容器状の常圧水蒸気通流部71の外部に通じる給水部84と、排水部85と、容器状の常圧水蒸気通流部71の中に配置された熱交換部86とが一体的に形成されて構成されている。
常圧水蒸気用熱交換構造体2Bの場合、常圧水蒸気1は、導入部2から導入され、容器状の常圧水蒸気通流部71を流れて、その間に熱交換部86で熱交換が行なわれて凝縮し、凝縮したドレインは排出手段5から排出される。また、熱交換媒体である水72は、給水部84から供給され、常圧水蒸気通流部71内に配置された熱交換部86の熱交換用管86b内を流れる過程で、常圧水蒸気1との熱交換により温度上昇して温水となる。この温水は、排水部85から取り出され、取り出された温水が熱源として利用される。
なお、常圧水蒸気用熱交換構造体2Bの場合にも、常圧水蒸気用熱交換構造体2Aの場合と同様に、常圧水蒸気1の導入部2と排出手段5の位置関係は、導入部2は常圧水蒸気通流部71の壁部のできるだけ高い位置、排出手段5は導入部2に対向する壁面の下部とするのが好ましい。
図8(b)は、上記の管状の熱交換部86を示す要部の斜視図である。熱交換部86は、給水部84に通じる直方体形状のヘッダー部86aと、ヘッダー部86aから分岐した複数の熱交換用管86bと、排水部85に通じる直方体形状の集水部86cとで構成されている。熱交換用管86bは、熱交換効率を高くするために、肉厚の薄い管で、熱伝導率が高い材料を使用して作製されている。例えば、熱交換用によく用いられる鋼管や、アルミニウム管、銅管などの非鉄金属管などが好適である。
なお、実施の形態(4)および(5)の場合にも、実施の形態(1)の場合と同様に、熱交換能力調節手段6(図2)により、常圧水蒸気通流部71内への大気の導入量を調節することにより、熱交換後の熱交換媒体、すなわち温水の温度を調節することが可能である。この温度の調節については、実施の形態(1)の場合とほぼ同様であるので、ここではその詳しい説明を省略する。
図9は、実施の形態(6)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図であり、常圧水蒸気用熱交換構造体3Aを示す部分断面斜視図およびその断面図である。
実施の形態(6)は、熱交換媒体が常圧水蒸気通流部の少なくとも1面に設けられた熱交換媒体部材の場合であり、常圧水蒸気の持つ熱から主に輻射熱を発生させるためのものである。すなわち、実施の形態(6)は、常圧水蒸気の持つ熱を温水や温風に変換するのではなく、常圧水蒸気によって熱交換媒体部材の温度を上昇させ、その熱交換媒体部材から発せられる輻射熱を熱源として利用しようとするものである。
実施の形態(6)の場合には、図9に示されているように、常圧水蒸気用熱交換構造体3Aの常圧水蒸気通流部91が、図1に示したような放熱部3を有する態様のものではなく、外周部が断熱性部材ならびに少なくとも1面に設けられた熱交換媒体部材92およびその前面の赤外線透過部材93により囲まれた、ある程度の容積を有するほぼ密閉された容器状に構成されている。そして、この容器状の常圧水蒸気通流部91の壁部に、常圧水蒸気1の導入部2および排出手段5が設けられている。
図9(a)に示す常圧水蒸気用熱交換構造体3Aは、容器状の常圧水蒸気通流部91を囲む、天井面を含む壁面のうちの少なくとも1面が、板状の熱交換媒体部材92およびその前面に設けられた赤外線透過性部材93で構成され、その他の壁面は断熱性部材で囲まれた態様となっている。
図9(b)は、常圧水蒸気通流部91の図9(a)におけるB−B線断面図、図9(c)は、常圧水蒸気通流部91の図9(a)におけるC−C線断面図である。常圧水蒸気1は、導入部2から常圧水蒸気通流部91に導入され、仕切り板94で仕切られて形成された流路に従って流れ、その間に熱交換媒体部材92との間で熱交換が行なわれて、凝縮した水となって排出手段5から外部に排出される。
熱交換媒体部材92は、銅やアルミニウムなど熱伝導率の高い金属材料で構成されるのが好ましい。常圧水蒸気1との熱交換により、常圧水蒸気1と接触している面の温度が上昇すると、熱伝導により外面側(熱放散面)の温度が上昇し、熱放散面から前方方向に輻射熱が放出される。輻射熱が放出されると熱交換媒体部材92の熱放散面の温度が下がるので、熱交換媒体部材92には、厚み方向に内側から外側へ熱の流れが生じる。したがって、常圧水蒸気が定常的に流れていると、熱交換媒体部材92の内側から外側へ熱が定常的に流れ、連続的に輻射熱が放出されることとなる。なお、熱交換媒体部材92の熱放散面は、赤外線の放出特性を向上させるために、黒体化処理が施されていることが好ましい。
熱交換媒体部材92の前面に設けられる赤外線透過性部材93は、輻射熱を効果的に発生させるための部材であり、熱交換媒体部材92の熱放散面の熱が、空気の対流により失われないようにする働きをするものである。図9(c)に示したように、熱交換媒体部材92と赤外線透過性部材93との間はほぼ密閉された状態の空気層95となっている。そのために、空気層95空気の対流による外部への対流伝熱損失を減少させることができる。また、赤外線透過性部材93は、赤外線を透過する性質を有する材料、例えば透明ポリエチレンフィルムで形成されているので、輻射熱の透過を遮ることがない。したがって、熱交換媒体部材92の前方にある対象物に輻射熱を効率的に当てて、加温することができる。
熱交換媒体部材92の熱放散面から放出される熱量の計算結果の1例は、次のとおりである。常圧水蒸気通流部91に十分な常圧水蒸気1が供給され、水蒸気が100℃で凝縮し、熱交換媒体部材92の熱放散面側に黒体化処理が施されているものとする。熱交換媒体部材92が熱伝導率の高い銅のような場合には、熱交換媒体部材92の熱放散面の温度もほぼ100℃となる。その場合、熱放散面からは約1.1kW/m2(1.1kJ/s・m2)の熱が放出される。また、熱交換媒体部材92の材質や厚さの設定により、熱交換媒体部材92の熱放散面の温度をある程度制御することが可能である。熱放散面の温度が80℃、60℃、40℃の場合には、それぞれ0.88、0.70、0.54kW/m2(0.88、0.70、0.54kJ/s・m2)の熱が放出される。
なお、実施の形態(6)の場合にも、実施の形態(1)〜(5)の場合と同様に、熱交換能力調節手段6により、常圧水蒸気通流部91内への大気の導入量を調節することにより、熱交換媒体部材92の熱交換量、すなわち、輻射熱量を容易に調節することができる。この輻射熱量の調節については、実施の形態(1)の場合とほぼ同様であるので、ここではその詳しい説明を省略する。
上記の常圧水蒸気用熱交換構造体3Aは、構造物の壁や天井など建造物の構成部材として使用した場合、その熱放散面の前方に位置する人や対象物の暖房、加温を効率的に行なうことができる。むろん、建造物の構成部材としてではなく、単独の暖房装置、加温装置として、壁部や天井部に取り付けて利用することもできる。
図10は、実施の形態(7)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための部分断面斜視図である。
図10に示す実施の形態(7)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体4Aは、容器状の常圧水蒸気通流部101内に、加熱対象物102を載置する載置台103が設けられている。容器状の常圧水蒸気通流部101には、常圧水蒸気1の導入部2、排出手段5が、常圧水蒸気1が通流可能なように接続され、さらに熱交換能力調節手段6が設けられている。
常圧水蒸気用熱交換構造体4Aの場合、常圧水蒸気1は導入部2から導入され、容器状の常圧水蒸気通流部101を流れて、加熱対象物102との間で直接熱交換され、凝縮してドレインとなり、排出手段5から排出されるようになっている。
また、加熱対象物102の載置台103は、常圧水蒸気が凝縮することによって発生するドレインが下部に流下しやすいように、網目状のような通水性のあるもので構成されている。
なお、常圧水蒸気1の導入部2と排出手段5との位置関係は、導入部2は常圧水蒸気通流部101の壁部のできるだけ高い位置、排出手段5は導入部2に対向する壁面の下部とするのが好ましい。
また、実施の形態(7)の場合にも、実施の形態(1)の場合と同様に、熱交換能力調節手段6(図2参照)により、常圧水蒸気通流部101内への大気の導入量を調節することにより、加熱対象物との間の熱交換量、すなわち加熱対象物の加熱条件を調節することが可能である。この熱交換量の調節については、実施の形態(1)の場合とほぼ同様であるので、ここではその詳しい説明を省略するが、この調節にはもちろん、常圧水蒸気通流部101内に常圧水蒸気1が満たされているか、いないかの調節も含まれている。
以上、実施の形態(1)〜(7)について説明したが、実施の形態(1)〜(7)として例示したいずれの場合にも、排出手段5は、図2に示した態様の吸引用ポンプ5bを備えることが好ましい。吸引用ポンプ5bは、前述のように、休止状態、すなわち常圧水蒸気通流部4、71、91、101の内部に水蒸気が満たされていない状態からスタートする場合に、予め常圧水蒸気通流部4、71、91、101の内部の空気を強制的に吸引排出する場合に用いられる。さらに、常圧水蒸気通流部4、71、91、101に大気を送り込んで熱交換量を調節する場合や、熱交換を停止させる際に、常圧水蒸気通流部4に大気を送り込んで常圧水蒸気が常圧水蒸気通流部に流れ込むのを停止させる場合など、常圧水蒸気用熱交換構造体1A〜1C、2A、2B、3A、4Aを安定して操業させるのに有効である。
さらに、上記の実施の形態(1)〜(7)のいずれの場合にも、排出手段5は、図2に示した態様のドレイン排出部5aを備えることが好ましい。
実施の形態(1)〜(7)で説明した本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体1A〜1C、2A、2B、3A、4Aを用いて、常圧水蒸気の熱交換を行なう場合には、常圧水蒸気通流部4、71、91、101を、大気圧との圧力差を0〜マイナス数100Paに維持した状態で、常圧水蒸気と熱交換媒体との間で熱交換を行うようにするのがよい。
産業上の利用可能性
都市ごみや産業資源を焼却処分するような場合にも、必要に応じて廃熱を常圧の水蒸気として回収し、本発明を利用することができる。また、バイオマス資源を燃料化し、利用する場合にも本発明を利用することができる。その他広く燃焼させることによって発生する熱を有効利用することができる。その他、過熱水蒸気で発電を行なった後の水蒸気、コジェネレーションシステムから排出される水蒸気なども本発明を適用すれば常圧の水蒸気として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施の形態(1)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を示す斜視図である。
図2は実施の形態(1)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体の排出手段および熱交換能力調節手段を示す模式的構成図である。
図3(a)、(b)は、熱交換能力調節手段により、熱交換媒体の温度を制御することができる原理を説明するための断面図である。
図4は排出手段に設けられるドレイン排出部を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面斜視図である。
図5は図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体を基本的な構成要素とする実施の形態(2)に係る熱交換媒体が空気の場合に好適な常圧水蒸気用熱交換構造体を示す外観斜視図である。
図6は図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体を基本な構成要素とする実施の形態(3)に係る、熱交換媒体が水の場合に好適な常圧水蒸気用熱交換構造体を示す部分断面斜視図である。
図7は実施の形態(4)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図であり、(a)は部分断面斜視図、(b)は要部の斜視図である。
図8は実施の形態(5)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図であり、(a)は部分断面斜視図、(b)は要部の斜視図である。
図9は実施の形態(6)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図であり、(a)は部分断面斜視図、(b)および(c)はその断面図である。
図10は実施の形態(7)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための部分断面斜視図である。
本発明は、圧力がほぼ大気圧である常圧水蒸気が有するエネルギーを、温水、温風、輻射熱等の日常利用することができる熱の形態に交換するための常圧水蒸気用熱交換構造体および熱交換方法に関し、さらに詳しくは、常圧の水蒸気から、簡単な構造でありながら任意の温度の熱を容易に得ることができる熱交換構造体およびその熱交換構造体を用いた熱交換方法に関する。
背景技術
水蒸気は、多くの分野で、様々な形態で利用されており、産業上、日常生活上有用なエネルギー源のひとつとなっている。水蒸気の中でも、大気圧以上に加圧された高温高圧の過熱水蒸気は、エネルギーの保有量が大きく、特に、圧力が数10気圧の過熱水蒸気は、蒸気タービンを利用した発電用のエネルギー源として用いられていることはよく知られている。発電用のような大きなエネルギーを必要とする場合には、高温高圧の水蒸気が有用である。
また、水蒸気の中でも、身近な例では、1気圧程度の低い圧力の水蒸気は、ラジエータ型の暖房用のエネルギー源として利用されている。
このような従来型の水蒸気利用システムでは、水蒸気を発生させる装置、水蒸気のエネルギーを利用する装置、水蒸気搬送用の配管系等の構造体は、閉鎖系で構成されている。そのために、作動時の圧力だけではなく、休止時の減圧状態にも耐えるだけの強度が要求されている。したがって、大掛かりな設備となり、それに伴って設備費も高くつくという問題があったので、広い分野で水蒸気を利用するということは行われていなかった。
一方、大気圧の水蒸気は、比較的に容易に得ることができる。なお、ここでは、常圧の水蒸気とは、大気圧に対して0〜数100Pa程度低い圧力を有する水蒸気、すなわち主として開放系の水蒸気発生装置で発生させたような水蒸気を意味している。常圧の水蒸気は、ほぼ大気圧の開放系内で、水を沸騰させることによって発生させることができる。つまり、必要があれば比較的に簡単な設備で、容易に発生させることができる。
例えば、都市ごみや産業資源を焼却処分するような場合にも、必要に応じて廃熱を常圧の水蒸気として回収することができる。また、バイオマス資源の利用方法として、バイオマス資源を燃料化し、利用する方法がある。この場合、バイオマス資源を燃料化する技術は確立されつつあるが、燃焼させることによって発生する熱をどのように有効利用するかが大きな課題となっている。常圧の水蒸気の有効な用途があれば、そのようなバイオマス燃料を燃焼させることによって、熱源としての常圧の水蒸気を得ることができる。むろん、そのような燃料を用いなくても、必要に応じて、石油等の燃料を利用してもよい。その他、過熱水蒸気で発電を行なった後の水蒸気、コジェネレーションシステムから排出される水蒸気なども常圧の水蒸気として利用可能な熱源である。
水蒸気は、大きな潜熱を含んでいるので、常圧の水蒸気の利用方法としては、その潜熱を有効に利用するのが得策である。現状では、常圧の水蒸気が有するエネルギーを、簡単な設備で、効果的に利用しようとする試みは少なく、一部に、常圧の水蒸気を利用する方法に関する提案が行なわれている。
例えば、特開2000−39156号公報では、常圧の水蒸気を発生させる手段と放熱器とで構成された放熱暖房用の装置が提案されている。この装置の場合には、放熱後の水蒸気を常圧の水蒸気発生手段に戻して再利用する仕組みとなっている。この装置の場合、常圧の水蒸気を積極的に凝縮させることを目的としていないので、常圧の水蒸気が保有する潜熱を十分に利用することは難しい。また、放熱温度は、主に水蒸気の流量で調節しなければならないので、精度のよい温度調節も難しいという短所がある。
このように、常圧の水蒸気の利用に関する従来の技術には、未解決の課題が多い。特に、常圧の水蒸気は、凝縮温度がほぼ100℃であるので、暖房、乾燥等の用途に応じて選べる温度、用途に応じて選べる温水や温風といった熱の形態に変換して利用できることが要求される。しかし、それに応えられる適当な手段がないのが実状である。
常圧の水蒸気を、用途に応じた任意の温度に調節して利用することができる技術、熱を利用する用途に応じて、温水、温風、輻射熱または対象物の直接加熱といった形態で利用することができる技術が確立されれば、常圧の水蒸気の用途とその使用量は飛躍的に拡大するものと推定される。常圧の水蒸気の用途が広がれば、前述のようなバイオマス燃料等のより有効な利用も可能になる。また、常圧の水蒸気との熱交換によって得られる温水、温風等の熱交換媒体の温度を精度よく調節できれば、暖房、乾燥等に対して、常圧の水蒸気を効果的に利用することも可能になる。
発明の開示
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、構造が簡単で、任意の温度に温度調節された熱交換媒体を得ることが可能な常圧水蒸気用熱交換構造体およびその熱交換構造体を用いる熱交換方法を提供することを目的としている。
本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(1)は、導入部における圧力が大気圧を超えない常圧水蒸気の保有エネルギーを、熱交換媒体を介して利用可能な熱に変換するための常圧水蒸気用熱交換構造体であって、常圧水蒸気導入部、常圧水蒸気通流部、該常圧水蒸気通流部における前記常圧水蒸気の熱交換量を調節する熱交換能力調節手段、および前記常圧水蒸気が凝縮することによって生じるドレインを排出するドレイン排出部を含む排出手段を備えていることを特徴としている。
上記した常圧水蒸気用熱交換構造体(1)は、常圧の水蒸気から水蒸気が保有する潜熱および一部の顕熱を利用するものであるので、大気圧を大きく超えるような圧力に対する構造体の耐圧性や100℃を数10度も超えるような温度への耐熱性を必要としない。したがって、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)によれば構造体を簡単にでき、また安価に提供でき、かつ取り扱いも容易となる。また、利用する熱の形態としては、温風、温水、輻射熱および対象物の直接加熱などいずれの形態でも対応可能であるので、選択の自由度が高い。さらに、これらの温風、温水などの熱交換媒体の温度を、任意の温度に、かつ精度よく調節することができるので、熱交換後の熱交換媒体が使いやすく、用途が広い。上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)には、このような多くの長所があるので、常圧水蒸気の用途が拡大し、引いては、都市ごみの燃焼熱、バイオマス燃料の燃焼熱などの有効利用に結びつくという、産業上、大きな効果が得られる。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(2)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、前記常圧水蒸気通流部が放熱部を有し、該放熱部が熱交換媒体通流部内に配置されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(2)によれば、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)における常圧水蒸気通流部が放熱部を有する常圧水蒸気通流部で構成されているので、放熱部に近接する領域で、水や空気との間で効率的に熱交換を行なうことができる。したがって、特に温水や温風を得るのに適している。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(3)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(2)において、前記熱交換媒体が空気であり、前記放熱部で熱交換された空気を、放熱部から強制的に排出させるための送風手段を備えていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(3)によれば、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(2)を基に、温風を得ることができるように構成されたものであり、好みの温度に調節された好みの風量の温風を得ることができるという特長がある。したがって、暖房用や乾燥用の装置として特に好適である。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(4)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(2)において、前記熱交換媒体が水であり、前記熱交換媒体通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状貯水部、該容器状貯水部の壁部に設けられた給水部および温水取出部を含んで構成されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(4)によれば、常圧水蒸気用熱交換構造体(2)を基に、温水を得ることができるように構成されたものであり、90℃以上の温水を得ることができるという特長がある。したがって、貯湯式給湯装置として特に好適である。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(5)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が水であり、熱交換媒体通流部zが、前記容器状通流部の外部から水が供給される給水部、前記容器状通流部の中に配置された前記水の散布手段および排水部を含んで構成されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(5)によれば、上記した常圧水蒸気用熱交換構造体(1)における常圧水蒸気通流部がある程度の内容積を持つ容器状の常圧水蒸気通流部で構成されている。そして、常圧水蒸気の流れの中に水を散布し、常圧水蒸気と水を直接接触させることにより、温水を得るものである。放熱により凝縮した常圧水蒸気のドレインも温水として回収できるので、常圧水蒸気の保有熱の回収効率に優れている。上記常圧水蒸気用熱交換構造体(5)は、好みの温度に調節された好みの水量の温水を得ることができるという特長がある。特に、面伝熱熱交換による間接熱交換では、規模の大型化に伴い熱交換部の面積が大きくなるので、保守が難しくなり、初期投資も高額になる傾向がある。一方、直接接触凝縮法では、保守が極めて容易であり、スケールメリットにより大型化に伴う投資額の増加も僅かである。したがって、地域暖房や規模の大きい温水プール等での循環水の温度管理用として、特に好適である。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(6)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が水であり、熱交換媒体通流部が、前記容器状通流部の外部から水が供給される給水部、前記容器状通流部の中に配置された管状の熱交換部および排水部を含んで構成されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(6)によれば、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(5)と同様に、常圧水蒸気通流部がある程度の内容積を持つ容器状の常圧水蒸気通流部で構成されている。そして、熱交換媒体である水が、常圧水蒸気の流れの中に配置された管状の熱交換部の中を流れるように構成されており、常圧水蒸気と水とを熱交換管の管壁を介して接触させることにより、温水を得るものである。したがって、熱交換媒体である水と常圧水蒸気が凝縮したドレインとが混じりあうことがない。また、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(5)の場合と同様に、好みの温度に調節された好みの水量の温水を得ることができるという特長もある。そのために、清浄な温水を必要とするような場合に適している。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(7)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、外周部が断熱性部材ならびに少なくとも1面に設けられた熱交換媒体部材およびその外側の赤外線透過部材により囲まれた容器状通流部で構成されていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(7)によれば、熱交換媒体の熱放散面からその前方に輻射熱を放散するので、熱放散面の前方に位置する人や対象物に対する暖房効果や加温効果を発揮する。したがって、建造物の壁や天井などの構成部材として使用し、暖房用の構造体として利用することができる。また、暖房、加温用の単体の装置としても利用することができる。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(8)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)において、前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が前記常圧水蒸気の熱により直接加熱される被加熱物であり、前記常圧水蒸気通流部内に、前記被加熱物を載置する通水性の載置台を備えていることを特徴としている。
上記常圧水蒸気用熱交換構造体(8)によれば、常圧水蒸気通流部がある程度の内容積を持つ容器状の常圧水蒸気通流部で構成されており、その中に、被加熱物を置くための載置台が設けられている。したがって、被加熱物と常圧水蒸気との間で直接熱交換を行なうことができるという利点があり、様々な対象物を加熱することが可能で、特に蒸し器として好適である。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(9)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)〜(8)のいずれかにおいて、前記排出手段が、吸引用ポンプを備えていることを特徴としている。
吸引用ポンプは、常圧水蒸気用熱交換構造体が休止状態、すなわち常圧水蒸気通流部の内部に水蒸気が満たされていない状態からスタートする場合に、予め常圧水蒸気通流部の内部の空気を強制的に吸引排出する場合や、常圧水蒸気通流部の内部のドレインが多くなり過ぎたような場合に、ドレインを強制的に排出するのに用いられる。したがって、排出手段の一部として、吸引用ポンプを設けることにより、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)〜(8)を安定して操業させることができるという優れた効果が得られる。
また、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(10)は、上記常圧水蒸気用熱交換構造体(1)〜(9)のいずれかにおいて、前記ドレイン排出部が、一端が前記排出手段の排水管に開口し、他端が外部に開口した排水口を有する縦断面形状がU字形の管で構成され、前記排水口と該排水口の下方に設けられた開口部との間に、該開口部を閉塞可能な大きさで、比重が1未満の浮遊体を備えていることを特徴としている。
上記のドレイン排水部は、常圧水蒸気が凝縮したドレインが連続的に流れ込んでくると、そのドレインを排水口から連続的に排出し、常圧水蒸気用熱交換構造体にドレインが一定量以上、滞留しないようにする働きを持っている。
また、本発明に係る常圧水蒸気の熱交換方法(1)は、導入部における圧力が大気圧を超えない常圧水蒸気の保有エネルギーを、熱交換媒体を介して利用可能な熱に変換するための常圧水蒸気の熱交換方法であって、常圧水蒸気通流部、前記常圧水蒸気と直接的もしくは間接的に接触する熱交換媒体通流部または前記常圧水蒸気と直接的に接触する熱交換媒体部材、前記常圧水蒸気通流部における前記常圧水蒸気の熱交換量を調節する熱交換能力調節手段および前記常圧水蒸気が凝縮することにより生じるドレインを排出するドレイン排出部を含む排出手段を備えた常圧水蒸気用熱交換構造体を用い、前記常圧水蒸気通流部を、大気圧との圧力差を0〜マイナス数100Paに維持した状態で、前記常圧水蒸気と前記熱交換媒体との間で熱交換することを特徴としている。
上記の常圧水蒸気の熱交換方法(1)は、常圧の水蒸気から水蒸気が保有する潜熱および一部の顕熱を利用するものであるので、用いる設備である構造体の耐圧性や耐熱性を必要としない。したがって、簡単な構造体により、安いコストで、容易に熱交換を行なうことができる。また、利用する熱の形態としては、温風、温水、輻射熱および対象物の直接加熱いずれの形態を選ぶことができるので、選択の自由度が高い。上記の常圧水蒸気の熱交換方法には、このような多くの長所があるので、常圧水蒸気の用途が拡大し、引いては、都市ごみの燃焼熱、バイオマス燃料の燃焼熱などの有効利用に結びつくという、産業上、大きな効果が得られる。
また、本発明に係る常圧水蒸気の熱交換方法(2)は、上記常圧水蒸気の熱交換方法(1)において、前記熱交換能力調節手段を用いて、前記常圧水蒸気通流部における大気の割合を調節することにより、熱交換量を調節することを特徴としている。
上記常圧水蒸気の熱交換方法(2)は、上記常圧水蒸気の熱交換方法(1)の持つ長所に加えて、温風、温水などの熱交換媒体の温度を、任意の温度に、さらに精度よく調節することができるので、熱交換後の熱交換媒体が使いやすく、いっそう用途を広げることができるという効果をもっている。
なお、本明細書で用いている「導入部における圧力が大気圧を超えない常圧水蒸気」とは、主に開放系の水蒸気発生装置や水蒸気収容装置から供給される水蒸気であり、大気との圧力差が、0〜マイナス数100Pa(水柱数10mm)の水蒸気を意味する。ただし、前述の常圧水蒸気通流部における圧力より高い。上記の開放系の水蒸気発生装置や水蒸気収容装置から導入部までの間の水蒸気配管は、その間の圧力損失をできるだけ小さくすることができるように、かつ十分な量の水蒸気が供給できるように、供給能力の大きい蒸気配管を設けるようにするのがよい。
また、単に常圧水蒸気と記載する場合には、大気圧との圧力差が、0〜マイナス数100Pa、例えば0〜500Pa程度の範囲を意味する。
また、熱交換媒体とは水または空気(大気)であり、熱交換媒体部材とは常圧水蒸気と熱交換を行なう部材を意味し、熱交換媒体部材には常圧水蒸気と直接熱交換を行う熱交換対象物を含むものとする。それらの熱交換前の温度は、熱交換媒体として使用できる状態であれば、どのような温度でもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体および熱交換方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明に係る実施の形態(1)を説明するための図である。図1は、実施の形態(1)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体1Aを示す斜視図、図2〜図4は、実施の形態(1)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体の細部を説明するための図、図5および図6は、それぞれ実施の形態(2)、(3)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体1B、1Cを示す図である。図1〜図6から明らかなように、実施の形態(1)〜(3)は、熱交換媒体が常圧水蒸気通流部の外側を通流する場合であり、常圧水蒸気通流部とその外側の熱交換媒体との間で熱交換を行なうのに好適な場合である。
図1に示されているように、常圧水蒸気用熱交換構造体1Aは、常圧水蒸気1の導入部2、放熱部3を備える常圧水蒸気通流部4、常圧水蒸気通流部4の末端部に設けられた排出手段5および熱交換能力調節手段6を備えている。常圧水蒸気1は、導入部2から導入され、放熱部3で放熱することにより凝縮してドレインとなり、ドレインが排出手段5から排出されるように構成されている。
放熱部3では、常圧水蒸気1の持つエネルギーをできるだけ効率よく熱に変換させる必要がある。そのために、放熱部3は熱伝導性のよい鉄または鉄合金、アルミニウム、銅などの金属材料を用いて構成するのがよく、また単位質量当たりの常圧水蒸気が接触する放熱部3面積を、できるだけ大きくするのがよい。
図2は、常圧水蒸気用熱交換構造体1Aにおける排出手段5および熱交換能力調節手段6を一体化した装置の1例を示す模式的構成図である。なお、この装置は、後述の常圧水蒸気用熱交換構造体1B〜3Aにも用いることができる。ここで、排出手段5は、ドレイン排水部5a、常圧水蒸気通流部4との間に開閉用バルブ5cが接続された吸引用ポンプ5bを含んで構成されている。
排出手段5のドレイン排水部5aは、常圧水蒸気通流部4における熱交換により、水蒸気が凝縮して生じた水を排出するための装置である。常圧水蒸気通流部4の下部のもっとも低くなる位置にドレイン集水部(図示せず)を設けて、ドレインを集水しやすくなっている。ドレイン排水部5aについては、後で詳しく説明する。吸引用ポンプ5bは、休止状態、すなわち常圧水蒸気通流部4の内部に水蒸気が満たされていない状態からスタートする場合に、予め常圧水蒸気通流部4の内部の空気を強制的に吸引排出する場合や、放熱部3内における常圧水蒸気に対する大気の割合を調整するために大気を強制的に排出させる場合に用いられる。また、吸引用ポンプ5bは、後述の熱交換能力調節手段6における熱交換能力調節用の空気を、常圧水蒸気通流部4に吸引させるための大気通流部としても利用される。
なお、吸引用ポンプ5bのように、1つのポンプを種々の目的に共用するのではなく、用途別に、常圧水蒸気通流部4の空気の吸引ポンプと常圧水蒸気通流部4への空気の導入用のバルブとを、それぞれ装備してもよい。
熱交換能力調節手段6は、常圧水蒸気通流部4に外気を導入することにより、熱交換後の熱交換媒体の温度を調節するのに用いられるものであり、常圧水蒸気通流部4内の水蒸気位置を検出するための温度センサ6bおよび温度測定結果を基に、開閉用バルブ5cの開閉を調節するとともに吸引用ポンプ5bを駆動させることにより、常圧水蒸気通流部4への大気の導入量を制御する制御部6dを含んで構成されている。
図3は、図1におけるA−A線断面図であり、熱交換能力調節手段6により、熱交換後の熱交換媒体の温度を制御することができる原理を説明するための図である。図3(a)は、常圧水蒸気通流部4に設けられている放熱部3に常圧水蒸気1(ドット部)が充満している状態を示している。この場合には、放熱部3のほぼすべての領域で熱交換が行なわれるので、熱交換後の熱交換媒体の温度は高くなる。図3(b)は、放熱部3の内容積のほぼ半分に大気9(白地部)が導入された状態を示している。放熱部3に大気9が導入されると、大気9は、常圧水蒸気に含まれていた非凝縮性気体とともに、常圧水蒸気通流部4の排出管7側に集まる。この場合には、放熱部3のほぼ半分で熱交換が行なわれる。そのために、常圧水蒸気1と熱交換媒体との間の熱交換が、図3(a)の場合に比べると約半分となり、熱交換後の熱交換媒体の温度が図3(a)の場合に比べて低くなる。このように、常圧水蒸気通流部4(放熱部3)に対する大気9の導入量を調節することにより、熱交換後の熱交換媒体の温度を広い範囲で調節することができる。
図2に示した熱交換能力調節手段6に用いられる温度センサ6bは、常圧水蒸気通流部4における常圧水蒸気1または大気9の存在領域を検知するためのセンサである。このセンサは、常圧水蒸気1と大気9とを識別することができるものであればよく、温度センサではなく、他のセンサを用いることも可能であり、例えば、電気抵抗値を測定するセンサを利用することもできる。
また、水蒸気は凝縮すると体積が著しく減少する。具体的には、1モルの水蒸気(標準状態で22.4リットル)は、18グラム(約0.018リットル)の水に変化する。そのために、水蒸気の凝縮部では瞬間的に減圧状態になるので、この減圧状態を利用することにより、水蒸気を水蒸気通流部4内に自動的に補給していくことができる。
図4は、前述の排出手段5に設けられるドレイン排出部5aを示す図であり、同図(a)は外観斜視図、同図(b)は縦断面斜視図である。
図4に示すドレイン排出部5aは、縦断面がU字形の管状であり、一端側41(以下、接続端41と記す)が図1および図2に示した排出管7からドレインが流入可能に接続されており、他端42(以下、閉塞端42と記す)は端部が閉塞されている。閉塞端42側近傍には、管状部壁面に大気に通じる排水口43が設けられており、その下方には、開口部44が形成されている。この開口部44と閉塞端42との間には、浮遊体46が挿入されている。この浮遊体46は水に浮くものであり、比重が1未満、好ましくは0.5程度で、開口部44および排水口43を通り抜けない大きさとなっている。
浮遊体46は、前述の図2に示した排出手段5に設けられている吸引用ポンプ5bにより、常圧水蒸気通流部4内のドレインや大気を強制的に排出する場合に、ドレイン排出部5aから大気が吸引されるのを防止するために設けられたものである。浮遊体46は水より軽いので、ドレインが排出される場合には、水に浮いて排水の障害にはならない。しかし、浮遊体46は、開口部44から大気が吸引され始めると開口部44を塞ぎ、開口部44から大気が吸引されないように作用する。浮遊体46と開口部44の形状の関係は、浮遊体46が球形、開口部44が浮遊体46より径の小さい円形となっている。ただし、浮遊体によって開口部が閉塞できる関係にあれば、他の形状の関係にあるものでもよい。別の実施の形態では、例えば、開口部が楕円の場合、浮遊体は球形でなくてもよい。また、開口部が角形で、浮遊体が角錐形や板状であってもよい。
図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aに常圧水蒸気1が導入されると、常圧水蒸気通流部4に設けられた放熱部3で、常圧水蒸気1と熱交換媒体との間で熱交換が行なわれる。ここで、熱交換されて加熱された熱交換媒体が発生する。図1に示した構成を有する常圧水蒸気通流部4のタイプの場合、熱交換媒体としては、空気または水のいずれをも用いることができる。
図5は、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aを基本的な構成要素とする実施の形態(2)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体であり、熱交換媒体が空気の場合に好適な常圧水蒸気用熱交換構造体1Bを示す外観図である。この常圧水蒸気用熱交換構造体1Bは、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aに対して、その外側にさらに空気通流部51が設けられている。すなわち、空気通流部51内に、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aが収められた構成となっている。
図5に示したように、常圧水蒸気1は、常圧水蒸気1の導入部2から導入され、空気通流部51の内部に設置された常圧水蒸気通流部4の放熱部3を通過する際に熱交換を行ない、ドレインとなってドレイン排出部5aから排出される。空気通流部51の内部には、空気を循環させるための送風機(図示せず)が装備されており、熱交換媒体である空気52は、空気通流部51の上部から強制的に吸引されて、放熱部3を通過する間に熱交換されて温風53となり、下部から送り出されるように構成されている。
図5に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Bは、暖房用装置として好適である。この常圧水蒸気用熱交換構造体1Bの場合には、前述の熱交換能力調節手段6により、温風53の温度を希望の温度に調節することが容易である。特に、送風量を一定としても、温風の温度を容易に調節できるという特長がある。放熱部3での熱交換量を増減するために、送風量を増減させるというような操作が不要であるので、空気の快適な室内循環流を維持できるという利点がある。
図6は、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aを基本的な構成要素とする実施の形態(3)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体であり、熱交換媒体が水の場合に好適な常圧水蒸気用熱交換構造体1Cを示す部分断面斜視図である。この常圧水蒸気用熱交換構造体1Cは、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aに対して、その外側にさらに水通流部61が設けられている。すなわち、水通流部61内に、図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Aが収められた構成となっている。
水通流部61は、周囲が断熱材で断熱された容器状であり、その下部に給水部62、上部に温水取出部63を備えている。水通流部61の内部に配置された常圧水蒸気用熱交換構造体1Cに流れる常圧水蒸気の熱交換の態様は、図5に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Bの場合と同じである。
給水部62から水通流部61内に供給された水は、放熱部3を通過する間に熱交換されて温度上昇し、温水となって温水取出部63から外部に取り出されるように構成されている。水通流部61を構成する容器状貯水部は、温水の熱が放散しないように、上記のように断熱材で被覆されていることが好ましい。また、給水部62は水通流部61の底部、すなわち、放熱部3の下方に取り付けることが好ましい。温水取出部63は、水通流部61の天井部ではなく、側壁面の上部側に取り付けられてもよい。
図6に示した常圧水蒸気用熱交換構造体1Cは、貯湯式給湯装置として好適である。
図7および図8は、本発明の実施の形態(4)、(5)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図である。図7(a)、(b)は、実施の形態(4)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体2Aを示す部分断面斜視図、要部の斜視図、図8(a)、(b)は、実施の形態(5)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体(2B)を示す部分断面斜視図、要部の斜視図である。
実施の形態(4)は、熱交換媒体が常圧水蒸気通流部71の内側を通流する態様の場合であり、常圧水蒸気通流部71の内部で、熱交換媒体との間で熱交換を行なうのに好適な形態である。したがって、実施の形態(4)および(5)の場合には、常圧水蒸気用熱交換構造体2A、2Bの常圧水蒸気通流部が、図1に示したような放熱部3を有する態様のものではなく、図7および図8に示されているように、外周部が断熱性部材71aで囲まれた、ある程度の容積を有するほぼ密閉された容器状のもので構成されている。
図7(a)に示す実施の形態(4)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体2Aは、熱交換媒体が水72で、熱交換媒体通流部が、容器状の常圧水蒸気通流部71の外部に通じる給水部74、容器状の常圧水蒸気通流部71の中に配置された水散布手段76、排水部75およびこの水散布手段76と排水部75との間に形成される空間部とで構成されている。また、常圧水蒸気通流部71には、実施の形態(1)の場合と同様に、常圧水蒸気1の導入部2、排出手段5が、常圧水蒸気1が通流可能なように接続され、さらに熱交換能力調節手段6が設けられている。
常圧水蒸気用熱交換構造体2Aの場合、常圧水蒸気1は導入部2から導入され、容器状の常圧水蒸気通流部71を流れてその間に熱交換され、凝縮して温水となる。また、熱交換媒体である水72は、給水部74から供給され、常圧水蒸気通流部71内の上部に配置された水散布手段76から散布される。散布された水は、常圧水蒸気通流部71内を落下する過程で、常圧水蒸気1との熱交換により温度上昇して温水となる。この温水は、上記の常圧水蒸気が凝縮して生じた温水とともに、排水部75から取り出され、取り出された温水が、熱源として利用される。
なお、常圧水蒸気用熱交換構造体2Aの場合、導入されたほとんどの水蒸気は凝縮して温水となり、排水部75から排出される。ただし、一部の常圧水蒸気1は未凝縮の状態で排出される可能性があるので、排出手段5を欠かすことはできない。また、常圧水蒸気1の導入部2と排出手段5の位置関係は、導入部2は常圧水蒸気通流部71の壁部のできるだけ高い位置、排出手段5は導入部2に対向する壁面の下部とするのが好ましい。
また、常圧水蒸気通流部71内で、安定した水位が得られるように、図7(a)に示すように、水位センサ77が設けられ、水位情報を基に、給水弁78を調節して供給水の流量を制御するようになっている。
図7(b)は、上記の水散布手段76を示す要部の斜視図である。散布手段76は、給水部74に通じる給水管76a、給水管76aから分岐した複数の散水管76bおよび散水管76bに設けられた複数のノズル76cで構成されている。散布される水は、熱交換後の温水の温度を高くする必要がある場合には、熱交換効率を高くするために、できるだけ小さな水滴とするのがよい。そのためには、小さな径のノズル76cを数多く設けるようにする。また、水が底部に落下するまでの時間を長くするのも効果的であるので、ノズル76cの向きを下向きにするのではなく、上向きまたは斜め上向きとしてもよい。その場合には、散布手段76の設置位置は、散布した水が常圧水蒸気通流部71の天井まで到達しない高さに設定する。
図8に示す実施の形態(5)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体2Bは、熱交換媒体が水72であることと、容器状の常圧水蒸気通流部71を備えていることは、常圧水蒸気用熱交換構造体2Aの場合と同様である。ただし、熱交換媒体通流部が、水散布手段76に代えて、多数の熱交換用管86bを備えた熱交換部86で構成されている点が相違している。すなわち、熱交換媒体通流部は容器状の常圧水蒸気通流部71の外部に通じる給水部84と、排水部85と、容器状の常圧水蒸気通流部71の中に配置された熱交換部86とが一体的に形成されて構成されている。
常圧水蒸気用熱交換構造体2Bの場合、常圧水蒸気1は、導入部2から導入され、容器状の常圧水蒸気通流部71を流れて、その間に熱交換部86で熱交換が行なわれて凝縮し、凝縮したドレインは排出手段5から排出される。また、熱交換媒体である水72は、給水部84から供給され、常圧水蒸気通流部71内に配置された熱交換部86の熱交換用管86b内を流れる過程で、常圧水蒸気1との熱交換により温度上昇して温水となる。この温水は、排水部85から取り出され、取り出された温水が熱源として利用される。
なお、常圧水蒸気用熱交換構造体2Bの場合にも、常圧水蒸気用熱交換構造体2Aの場合と同様に、常圧水蒸気1の導入部2と排出手段5の位置関係は、導入部2は常圧水蒸気通流部71の壁部のできるだけ高い位置、排出手段5は導入部2に対向する壁面の下部とするのが好ましい。
図8(b)は、上記の管状の熱交換部86を示す要部の斜視図である。熱交換部86は、給水部84に通じる直方体形状のヘッダー部86aと、ヘッダー部86aから分岐した複数の熱交換用管86bと、排水部85に通じる直方体形状の集水部86cとで構成されている。熱交換用管86bは、熱交換効率を高くするために、肉厚の薄い管で、熱伝導率が高い材料を使用して作製されている。例えば、熱交換用によく用いられる鋼管や、アルミニウム管、銅管などの非鉄金属管などが好適である。
なお、実施の形態(4)および(5)の場合にも、実施の形態(1)の場合と同様に、熱交換能力調節手段6(図2)により、常圧水蒸気通流部71内への大気の導入量を調節することにより、熱交換後の熱交換媒体、すなわち温水の温度を調節することが可能である。この温度の調節については、実施の形態(1)の場合とほぼ同様であるので、ここではその詳しい説明を省略する。
図9は、実施の形態(6)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図であり、常圧水蒸気用熱交換構造体3Aを示す部分断面斜視図およびその断面図である。
実施の形態(6)は、熱交換媒体が常圧水蒸気通流部の少なくとも1面に設けられた熱交換媒体部材の場合であり、常圧水蒸気の持つ熱から主に輻射熱を発生させるためのものである。すなわち、実施の形態(6)は、常圧水蒸気の持つ熱を温水や温風に変換するのではなく、常圧水蒸気によって熱交換媒体部材の温度を上昇させ、その熱交換媒体部材から発せられる輻射熱を熱源として利用しようとするものである。
実施の形態(6)の場合には、図9に示されているように、常圧水蒸気用熱交換構造体3Aの常圧水蒸気通流部91が、図1に示したような放熱部3を有する態様のものではなく、外周部が断熱性部材ならびに少なくとも1面に設けられた熱交換媒体部材92およびその前面の赤外線透過部材93により囲まれた、ある程度の容積を有するほぼ密閉された容器状に構成されている。そして、この容器状の常圧水蒸気通流部91の壁部に、常圧水蒸気1の導入部2および排出手段5が設けられている。
図9(a)に示す常圧水蒸気用熱交換構造体3Aは、容器状の常圧水蒸気通流部91を囲む、天井面を含む壁面のうちの少なくとも1面が、板状の熱交換媒体部材92およびその前面に設けられた赤外線透過性部材93で構成され、その他の壁面は断熱性部材で囲まれた態様となっている。
図9(b)は、常圧水蒸気通流部91の図9(a)におけるB−B線断面図、図9(c)は、常圧水蒸気通流部91の図9(a)におけるC−C線断面図である。常圧水蒸気1は、導入部2から常圧水蒸気通流部91に導入され、仕切り板94で仕切られて形成された流路に従って流れ、その間に熱交換媒体部材92との間で熱交換が行なわれて、凝縮した水となって排出手段5から外部に排出される。
熱交換媒体部材92は、銅やアルミニウムなど熱伝導率の高い金属材料で構成されるのが好ましい。常圧水蒸気1との熱交換により、常圧水蒸気1と接触している面の温度が上昇すると、熱伝導により外面側(熱放散面)の温度が上昇し、熱放散面から前方方向に輻射熱が放出される。輻射熱が放出されると熱交換媒体部材92の熱放散面の温度が下がるので、熱交換媒体部材92には、厚み方向に内側から外側へ熱の流れが生じる。したがって、常圧水蒸気が定常的に流れていると、熱交換媒体部材92の内側から外側へ熱が定常的に流れ、連続的に輻射熱が放出されることとなる。なお、熱交換媒体部材92の熱放散面は、赤外線の放出特性を向上させるために、黒体化処理が施されていることが好ましい。
熱交換媒体部材92の前面に設けられる赤外線透過性部材93は、輻射熱を効果的に発生させるための部材であり、熱交換媒体部材92の熱放散面の熱が、空気の対流により失われないようにする働きをするものである。図9(c)に示したように、熱交換媒体部材92と赤外線透過性部材93との間はほぼ密閉された状態の空気層95となっている。そのために、空気層95空気の対流による外部への対流伝熱損失を減少させることができる。また、赤外線透過性部材93は、赤外線を透過する性質を有する材料、例えば透明ポリエチレンフィルムで形成されているので、輻射熱の透過を遮ることがない。したがって、熱交換媒体部材92の前方にある対象物に輻射熱を効率的に当てて、加温することができる。
熱交換媒体部材92の熱放散面から放出される熱量の計算結果の1例は、次のとおりである。常圧水蒸気通流部91に十分な常圧水蒸気1が供給され、水蒸気が100℃で凝縮し、熱交換媒体部材92の熱放散面側に黒体化処理が施されているものとする。熱交換媒体部材92が熱伝導率の高い銅のような場合には、熱交換媒体部材92の熱放散面の温度もほぼ100℃となる。その場合、熱放散面からは約1.1kW/m2(1.1kJ/s・m2)の熱が放出される。また、熱交換媒体部材92の材質や厚さの設定により、熱交換媒体部材92の熱放散面の温度をある程度制御することが可能である。熱放散面の温度が80℃、60℃、40℃の場合には、それぞれ0.88、0.70、0.54kW/m2(0.88、0.70、0.54kJ/s・m2)の熱が放出される。
なお、実施の形態(6)の場合にも、実施の形態(1)〜(5)の場合と同様に、熱交換能力調節手段6により、常圧水蒸気通流部91内への大気の導入量を調節することにより、熱交換媒体部材92の熱交換量、すなわち、輻射熱量を容易に調節することができる。この輻射熱量の調節については、実施の形態(1)の場合とほぼ同様であるので、ここではその詳しい説明を省略する。
上記の常圧水蒸気用熱交換構造体3Aは、構造物の壁や天井など建造物の構成部材として使用した場合、その熱放散面の前方に位置する人や対象物の暖房、加温を効率的に行なうことができる。むろん、建造物の構成部材としてではなく、単独の暖房装置、加温装置として、壁部や天井部に取り付けて利用することもできる。
図10は、実施の形態(7)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための部分断面斜視図である。
図10に示す実施の形態(7)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体4Aは、容器状の常圧水蒸気通流部101内に、加熱対象物102を載置する載置台103が設けられている。容器状の常圧水蒸気通流部101には、常圧水蒸気1の導入部2、排出手段5が、常圧水蒸気1が通流可能なように接続され、さらに熱交換能力調節手段6が設けられている。
常圧水蒸気用熱交換構造体4Aの場合、常圧水蒸気1は導入部2から導入され、容器状の常圧水蒸気通流部101を流れて、加熱対象物102との間で直接熱交換され、凝縮してドレインとなり、排出手段5から排出されるようになっている。
また、加熱対象物102の載置台103は、常圧水蒸気が凝縮することによって発生するドレインが下部に流下しやすいように、網目状のような通水性のあるもので構成されている。
なお、常圧水蒸気1の導入部2と排出手段5との位置関係は、導入部2は常圧水蒸気通流部101の壁部のできるだけ高い位置、排出手段5は導入部2に対向する壁面の下部とするのが好ましい。
また、実施の形態(7)の場合にも、実施の形態(1)の場合と同様に、熱交換能力調節手段6(図2参照)により、常圧水蒸気通流部101内への大気の導入量を調節することにより、加熱対象物との間の熱交換量、すなわち加熱対象物の加熱条件を調節することが可能である。この熱交換量の調節については、実施の形態(1)の場合とほぼ同様であるので、ここではその詳しい説明を省略するが、この調節にはもちろん、常圧水蒸気通流部101内に常圧水蒸気1が満たされているか、いないかの調節も含まれている。
以上、実施の形態(1)〜(7)について説明したが、実施の形態(1)〜(7)として例示したいずれの場合にも、排出手段5は、図2に示した態様の吸引用ポンプ5bを備えることが好ましい。吸引用ポンプ5bは、前述のように、休止状態、すなわち常圧水蒸気通流部4、71、91、101の内部に水蒸気が満たされていない状態からスタートする場合に、予め常圧水蒸気通流部4、71、91、101の内部の空気を強制的に吸引排出する場合に用いられる。さらに、常圧水蒸気通流部4、71、91、101に大気を送り込んで熱交換量を調節する場合や、熱交換を停止させる際に、常圧水蒸気通流部4に大気を送り込んで常圧水蒸気が常圧水蒸気通流部に流れ込むのを停止させる場合など、常圧水蒸気用熱交換構造体1A〜1C、2A、2B、3A、4Aを安定して操業させるのに有効である。
さらに、上記の実施の形態(1)〜(7)のいずれの場合にも、排出手段5は、図2に示した態様のドレイン排出部5aを備えることが好ましい。
実施の形態(1)〜(7)で説明した本発明に係る常圧水蒸気用熱交換構造体1A〜1C、2A、2B、3A、4Aを用いて、常圧水蒸気の熱交換を行なう場合には、常圧水蒸気通流部4、71、91、101を、大気圧との圧力差を0〜マイナス数100Paに維持した状態で、常圧水蒸気と熱交換媒体との間で熱交換を行うようにするのがよい。
産業上の利用可能性
都市ごみや産業資源を焼却処分するような場合にも、必要に応じて廃熱を常圧の水蒸気として回収し、本発明を利用することができる。また、バイオマス資源を燃料化し、利用する場合にも本発明を利用することができる。その他広く燃焼させることによって発生する熱を有効利用することができる。その他、過熱水蒸気で発電を行なった後の水蒸気、コジェネレーションシステムから排出される水蒸気なども本発明を適用すれば常圧の水蒸気として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施の形態(1)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を示す斜視図である。
図2は実施の形態(1)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体の排出手段および熱交換能力調節手段を示す模式的構成図である。
図3(a)、(b)は、熱交換能力調節手段により、熱交換媒体の温度を制御することができる原理を説明するための断面図である。
図4は排出手段に設けられるドレイン排出部を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面斜視図である。
図5は図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体を基本的な構成要素とする実施の形態(2)に係る熱交換媒体が空気の場合に好適な常圧水蒸気用熱交換構造体を示す外観斜視図である。
図6は図1に示した常圧水蒸気用熱交換構造体を基本な構成要素とする実施の形態(3)に係る、熱交換媒体が水の場合に好適な常圧水蒸気用熱交換構造体を示す部分断面斜視図である。
図7は実施の形態(4)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図であり、(a)は部分断面斜視図、(b)は要部の斜視図である。
図8は実施の形態(5)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図であり、(a)は部分断面斜視図、(b)は要部の斜視図である。
図9は実施の形態(6)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための図であり、(a)は部分断面斜視図、(b)および(c)はその断面図である。
図10は実施の形態(7)に係る常圧水蒸気用熱交換構造体を説明するための部分断面斜視図である。
Claims (12)
- 導入部における圧力が大気圧を超えない常圧水蒸気の保有エネルギーを、熱交換媒体を介して利用可能な熱に変換するための常圧水蒸気用熱交換構造体であって、常圧水蒸気導入部、常圧水蒸気通流部、該常圧水蒸気通流部における前記常圧水蒸気の熱交換量を調節する熱交換能力調節手段、および前記常圧水蒸気が凝縮することによって生じるドレインを排出するドレイン排出部を含む排出手段を備えていることを特徴とする常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記常圧水蒸気通流部が放熱部を有し、該放熱部が熱交換媒体通流部内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記熱交換媒体が空気であり、前記放熱部で熱交換された空気を、該放熱部から強制的に排出させるための送風手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記熱交換媒体が水であり、前記熱交換媒体通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状貯水部、該容器状貯水部の壁部に設けられた給水部および温水取出部を含んで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が水であり、熱交換媒体通流部が、前記容器状通流部の外部から水が供給される給水部、前記容器状通流部の中に配置された前記水の散布手段および前記容器状通流部の外部に通じる排水部を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が水であり、熱交換媒体通流部が、前記容器状通流部の外部から水が供給される給水部、前記容器状通流部の中に配置された管状の熱交換部および排水部とを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材ならびに少なくとも1面に設けられた熱交換媒体部材およびその外側の赤外線透過部材により囲まれた容器状通流部で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記常圧水蒸気通流部が、外周部が断熱性部材で囲まれた容器状通流部で構成され、該容器状通流部の壁部に前記常圧水蒸気導入部および前記排出手段が設けられ、前記熱交換媒体が前記常圧水蒸気の熱により直接加熱される被加熱物であり、前記常圧水蒸気通流部内に、前記被加熱物を載置する通水性の載置台を備えていることを特徴とする請求項1に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記排出手段が、吸引用ポンプを備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 前記ドレイン排出部が、一端が前記排出手段の排水管に開口し、他端が外部に開口した排水口を有する縦断面がU字形状の管で構成され、前記排水口と該排水口の下方に設けられた開口部との間に、該開口部を閉塞可能な大きさで、比重が1未満の浮遊体を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の常圧水蒸気用熱交換構造体。
- 導入部における圧力が大気圧を超えない常圧水蒸気の保有エネルギーを、熱交換媒体を介して利用可能な熱に変換するための常圧水蒸気の熱交換方法であって、常圧水蒸気通流部、前記常圧水蒸気と直接的もしくは間接的に接触する熱交換媒体通流部または前記常圧水蒸気と直接的に接触する熱交換媒体、前記常圧水蒸気通流部における前記常圧水蒸気の熱交換量を調節する熱交換能力調節手段および前記常圧水蒸気が凝縮することによって生じるドレインを排出するドレイン排出部を含む排出手段を備えた常圧水蒸気用熱交換構造体を用い、前記常圧水蒸気通流部の圧力を大気圧との圧力差0〜マイナス数100Paに維持した状態で前記常圧水蒸気と前記熱交換媒体との間で熱交換を行なわせることを特徴とする常圧水蒸気の熱交換方法。
- 前記熱交換能力調節手段を用いて、前記常圧水蒸気通流部における大気の割合を調節することにより、熱交換量を調節することを特徴とする請求項11に記載の常圧水蒸気の熱交換方法。
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