JPWO2003016639A1 - 流砂防止海底ダム及びその築造方法 - Google Patents
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Abstract
この発明は、海岸の侵食を和らげると共に、砂浜を造成することを目的としたものである。この発明は、砕波水深を人為的に浅くし、波の勢力を弱めると共に、砂の沖側への流出を防止すべく砕波点付近又は砕波点より岸側の海底地盤上に捨石基礎地盤を造成し、当該捨石基礎基盤上に消波構造体を設置し、当該消波構造体の岸側の背後に砂流出防止堤を構築したことを特徴とする流砂防止海底ダムにより目的を達成した。
Description
技術分野
この発明は、海岸の流砂を防止することを目的とした流砂防止海底ダム及びその築造方法に関する。
背景技術
従来海岸の侵食防止および砂浜の維持対策としては、人工リーフ、潜堤、離岸堤、ヘッドランド、突堤等が知られている。前記人工リーフ、潜堤以外は水面上に構造物の躯体が大きく見えるため、利用上または景観上好ましくないとの意見もある。
発明の開示
前記人工リーフ及び潜堤は水面下にあり、景観を損ねることは無かった。しかし、基礎捨石部の法先が洗堀され易く、消波を主目的とすることから、砂の流失を直接阻止することができないなどの問題点があった。
すなわち、前記人工リーフ、潜堤等は、波の勢力を弱めるので、その背後(岸側)に砂を溜めることはできるが、これらの堤体は海水の透過率が大きく、砂を直接貯留できる構造になっていないので、波の方向、沿岸流などにより再び流されることがある。つまり、前記人工リーフ、潜堤等は、間接的に砂を溜めることはできるが、積極、直接的に砂を溜める構造とはなっていない。従って、波によって巻き上げられた渚線付近の砂が堤体を透過して沖合へ運び去られてしまうという問題があった。
一方、砂を直接貯留するための構造物も存在するが、従来のこのような構造物は、砕波後の波の勢力が弱まった地点に構築するもので、構造物自ら強大な波力に抵抗することはできなかった。
前記のように、従来の構造物は、砂の流出を阻止できておらず、砂浜海岸の決壊は大きな問題となっている。この問題は日本は申すに及ばず世界各地で発生している。
しかし、この問題に対する根本的かつ有効な対策は無く、沖合から海底の砂を採取し、或いは砂を海外から輸入して決壊海岸に投入するなど、いわば対症療法に終始しているのが現状である。このままでは、問題の十分の改善は望むべくもなく、毎年膨大な維持費を投じているにも拘わらず、逐年悪化の一途を辿っている。
海岸の侵食防止および砂浜の維持は、消波により海岸に打ち寄せる波浪の勢いを弱めることと、海岸の砂を海底ダムの岸側へ沈降させ、沖合に運ばれる砂を減少させることによってかなりの効果が期待される。
そこで、この発明は、自然の力を破壊力としてではなく、造成力に変換する為に利用し、人工の手助けをするという観点に立って、自然エネルギーによる流砂を最小限に留めるのみならず、流砂を岸辺に保留させることにより、上記問題点を解決したのである。具体的には、人工の海底ダムによって、砕波し、海岸を崩壊する波浪の勢いを弱めると共に、沖合に運ばれる砂を、海底ダムの岸側へ沈殿させて、海岸の崩壊防止に成功したのみならず、砂浜造成に成功したのである。
即ち海底ダムの発明は、砕波点付近又は砕波点より岸側の海底地盤上に捨石基礎地盤を造成し、当該捨石基礎基盤上に消波構造体を設置し、当該消波構造体の岸側の背後に砂流出防止堤を構築したものである。
ここで、前記捨石基礎地盤は、高強度部材を接合して形成した格子枠を海底地盤に据え付けた砕波敷設材と、当該砕波敷設材の前記格子枠の桝目に嵌合係止した消波材とによって構成することができる。
また、消波構造体は、内部に空隙を有するように組立式消波ブロックを波の打ち寄せ方向、海岸の左右方向、深さ方向に立体的に組み合わせた砕波ブロック列とすることができる。内部に空隙を有するようにするのは、海岸の砂のみを海底ダムの岸側に保留させ、引潮は海底ダムの沖側へ通過できるようにするためである。
前記砂流出防止堤は、割石、消波材及び埋土を適宜組み合わせて構成することができる。
次に海底ダムの築造方法の発明は、砕波点付近又は砕波点より岸側の海底地盤上に、高強度部材よりなる格子枠を水平状に敷設し、該格子枠の桝目に消波材を嵌合掛止させて捨石基礎地盤を造成し、該捨石基礎地盤上に消波ブロックを立体的に組み合わせた消波構造体を設置し、当該消波構造体の沖側へ消波材を並置して海底ダムとする方法である。
また、前記消波構造体の沖側へ消波材を並置した後、前記消波構造体の岸側の背後に流砂防止材を介装させて割石を積み上げ、当該割石の岸側を埋土して、海底ダムとすることもできる。
ここで、第8図、第9図を用いて、海岸の砂の移動のメカニズムについて説明する。海岸の砂の移動については多くの研究がされているが、まだその実態が完全には解明されていないのが現状である。しかし、このような現状にあって、大略、以下のように考えられている。
第8図中、記号iは海底勾配を示している。また、H0′は換算沖波波高(equivalent deepwater wave)、L0は波長を示している。ここで、H0′は、沖波高H0から計算されるものであるが、その計算方法等についての説明は省略する。
波が砕ける位置は、海底勾配iや、波形勾配H0/L0の条件によって大きく異なるものであるが、概ね、水深hbがH0′の1.5〜2.5倍となる位置で砕ける。
従って、水深の深い沖合の大きな波は砕けることなく岸に向かい、水深hb/波高H0′の値が概ね1.5〜2.5以下の水深となる浅瀬に近づくと波は砕ける。これを砕波という。
第9図は、砕波が岸に向かって進み、遡上域に達し、砂浜を削り海岸を侵食する様子を概念的に示したものである。
砕波33は、水深h1/波高H1が概ね1.5〜2.5となる砕波点30で発生し、波高H1はさらに砕けながら進行する。遡上域31に達した砕波33は砂浜32を削り海岸を侵食する。
削りとられた砂は、沖に向かって運ばれ、砕波点30の近辺で沈下堆積し、砂州34ができる。
シケが収まると、シケのときより小さな波でも砂州34のところで砕波し、砂州34の砂は再び遡上域31に運ばれる。このバランスが保たれていれば侵食は起きないが、砂はシケのときだけでなく、小さな波でも浮遊し、移動する。これは沖波と砂の粒径、水温等に関係するが、一般に沖波の周期が長くなると砂は沖側へ移動する。ただしその量が問題で、シケのときに移動する量が圧倒的に多い。
海岸の砂の移動のメカニズムは、概ね以上の如く考えられている。
そこで、この発明の海底ダムは、砕波水深を人為的に浅くすることを目的としている。この発明の海底ダム25を第7図のように、在来の砕波帯付近に築造すれば、砕波水深h2が浅くなるから、従来は砕けなかった大きな波も、水深h2/波高H2の値が砕波の条件となる1.5〜2.5を満たすこととなり、この位置で砕かれる。波の勢力は非常に弱められ、第7図中の遡上域35は、第9図中の従来の遡上域31と比較してその範囲が非常に狭くなり、砂を削る量も非常に少なくなる。しかも新しい砂洲の位置は海底ダム25の手前で止まるから、削られた砂が沖合の深みに落ちることはない。
また、海岸を洗堀した波が引潮の際に海底ダムが抵抗になって流速を弱め、砂の沈殿を促すので、海底ダムを越えて沖合に流される砂が著しく少なくなる。
前記のようにこの発明の海底ダムは砕波点付近にあって、砕波し、その勢力を弱める作用効果を奏する為、基礎は海底地盤上へ堅固に築造され、洗堀によるブロックの飛散等を受けない構造であって、耐久性がなければならない。そこで、この発明の海底ダムの基礎とする捨石基礎地盤を構成する材料は、鋼材等の高強度部材としている。
また、海底ダムの上部沖側は、大波浪に耐え得ると共に、着実に消波する特性を付与するものでなければならない。従って、海底ダムの高さは、水面下における波浪の急激な変化を生じる付近に亘って設ける必要がある。
前記海底ダムは、大波浪の砕波を受けて更に波浪のエネルギーを消失させることを目的とする構造物である。従って、海底ダムの岸側の構造は、消波ブロックその他を詰めて消波構造体を構築し、その巾は少なくとも7m〜10m以上であることが望ましい。このようにして波浪のエネルギーは、海底ダムがない場合に比し、大幅に低下するので、海岸に加えられる破壊力も急速に弱化し、従って海岸の破壊は最小限にとどめられる。
前記消波構造体の岸側は、割石その他によって強度補強をかねて消波流の流動に耐える構造とする。また、岸側の面を緩傾斜に造成して、流砂の沈殿を促すようにする。
前記海底ダムは、維持・造成すべき砂浜の最先端に位置するものであるので、海岸と海底ダムとの間に海底ダムとは別体の砂止め構造物を築造することも考えられる。
この発明の海底ダムは、海岸、特に砂浜の破壊流失を最小限に止めると共に、沖合から運ばれてきた多量の砂を沈殿させることにより、自然力を利用して砂浜を造成することができる。すなわち、この発明は砂浜造成の補助的役割(自然力の手助け)を果たすものである。従って自然力による海岸の破壊は未然に防止されるのみならず、逐年砂浜面積を増大させることができる。
発明を実施するための最良の形態
実施例1
この発明の海底ダム25実施例を第1図、第2図に基づいて説明する。
まず、従来の砕波点付近に、格子状桝目を有する消波敷設材1を水平に海底地盤G上に据え付け、その桝目に石やコンクリートブロック等の消波材2を密に嵌め込んで、水平な捨石基礎地盤3を作る。この消波敷設材1を据え付ける位置は、砕波点付近であれば、砕波点より岸側であっても沖側であってもよい。
捨石基礎地盤3の沖側先端部には、適当な水平部分41が設けられている。当該水平部分41の岸側には、数十%の空隙率を有するように組立式消波ブロック4を組み立てて構築した消波構造体42を設置する。この消波構造体42は陸上で構築しておいて、海中の捨石基礎地盤3の水平部分41に据え付ける。なお、この組立式消波ブロック4は、日本特許第2037152号に係るブロックを使用することができる。
この組立式消波ブロック4は、短ブロックと長ブロックとがある。短ブロックは長手方向の両端の両側に凸部を設けた形状となっている。長ブロックではさらに長手方向の中央の両側にも凸部が設けられた形状となっている。組立式消波ブロック4は当該凸部に他の組立式消波ブロック4を係止して種々の形状の消波構造体42を形成することができる。
消波構造体42は、第1図図示のように側面から見ると、その底辺を成す長ブロック4a、岸側の斜辺を成す長ブロック4b、沖側の斜辺を成す長ブロック4cが組み合わされて三角構造43を形成している。
この三角構造43は、長ブロック4aを捨石基礎基盤3上に水平に載置し、その上に長ブロック4bを斜めに載置し、長ブロック4cをその下端を前記水平部分41の岸側の段差部分41aに係止し、長ブロック4aの沖側端部に立て掛けるように配置して形成されている。このとき、各長ブロック4a、4b、4cは、お互いの凸部に係止されるので、強固な三角形を形成している。
組立式消波ブロック4は、さらに長ブロック4d、4e、4fを用いて、三角構造43とほぼ同一形状であるが、その組み方を異にする第2図(a)図示のような三角構造44を形成する。
消波構造体42は、第2図(b)図示のように、三角構造43、44を左右方向に交互に複数列並列し、スペーサ突起15、15を介して鋼材16、16によって連結して構成されている。
このように異なる組み方をした三角構造43、44を左右方向に複数列並列し、連結することによって、消波構造体42は一体化した構造として構築されることとなる。
なお、第2図(b)は、消波構造体42を海側から見たときの概念図である。
上記のように構成された消波構造体42の岸側背面には裏込石5を投入する。このとき裏込石5を投入した岸側の面は、長ブロック4bの傾斜に対応した斜面となっている。この裏込石5の斜面には流砂防止材である防砂シート6を貼る。これは、砂浜の砂が裏込石5を通って、消波構造体42、捨石基礎地盤3に流出しないようにするためである。
防砂シート6は、その上面を栗石7で被覆し、さらにその岸側背面に割石8を投入する。また、裏込石5、栗石7の上面には一つ一つの質量が200kg程度の大割石14を敷き詰めてある。このように海底ダム25を構成することにより、割石8の岸側の背後には砂8aが自然に溜まる。
ここで、この砂8aが溜まった部分が局部的に深く掘れる場合は、第1図図示のように割石8の岸側の背後に栗石9等を敷くこともある。この栗石9等は散乱しないように、下に格子網10を敷きこれに係止する。栗石9等が散乱しなければ、こんぶ等の海藻が着生し、海岸の環境が改善される効果がある。
尚、図中、符号10、11は鋼材製の格子網、符号12は水面である。
前記実施例において、海側から矢示13のように波浪が押し寄せて来た場合には、先ず消波構造体42によって大凡砕波され、ついで大割石14(例えば質量200kg以上)などにより更に砕波され、この間の幅10m位を通過する間に大波浪は消波される。これにより、大波浪は砕波後、消波され、砂は概ね海底ダム25の岸側に沈殿する。
ついで引波に際しては、各割石などの間に砂がつまり、又は防砂シート6によって砂の流失が阻止されるので、波浪によって海側に運ばれる砂は著しく少なくなる。
一方前記組立式消波ブロック4、消波材2などの作用によって砕波されるので、岸辺に当たる波浪の勢力は著しく削減され、海岸破壊の大きな力は大いに減少する。
実施例2
この発明の他の実施例を第3図、第4図に基づいて説明する。
この実施例の海底ダム45と、実施例1記載の海底ダム25とが異なる点は、組立式消波ブロック4の組み方、すなわち、消波構造体42と46との形状の相違のみである。
この実施例の消波構造体46は、実施例1の消波構造体42とは異なり、第3図図示のように側面から見ると、下底を成す長ブロック4a、上底を成す短ブロック4g、斜辺を成す短ブロック4hが組み合わされて台形構造47を形成している。
この台形構造47は長ブロック4aを捨石基礎基盤3上に水平に載置し、その上に短ブロック4gを平行に載置し、短ブロック4hを長ブロック4aの岸側端部に立て掛けるように配置して形成されている。
組立式消波ブロック4は、さらに短ブロック4hを長ブロック4aの沖側端部に立て掛けるようにして、台形構造47とほぼ同一形状であるが、その組み方を異にする第4図(a)図示のような台形構造48を形成する。
消波構造体46は、第4図(b)図示のように、台形構造47、48を左右方向に交互に複数列並列し、スペーサ突起15、15を介して鋼材16、16によって連結して構成されている。
このように異なる組み方をした台形構造47、48を左右方向に複数列並列し、連結することによって、消波構造体46は一体化した構造として構築されることとなる。
なお、第4図(b)は、消波構造体46を海側から見たときの概念図である。
この実施例2は、消波構造体42と46との形状が相違する以外は構造、作用、効果において総て実施例1と同一につき、実施例1の海底ダムと同一の構成については、図面中に同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施例3
この発明のさらに他の実施例を図5について説明する。
この実施例の海底ダム49と、実施例1記載の海底ダム25とが異なる点は、組立式消波ブロック4の組み方、すなわち、消波構造体42と50との形状の相違のみである。
この実施例の消波構造体50は、第5図図示のように側面から見ると、実施例1の消波構造体42における三角構造43(44)が波の打ち寄せ方向に2つ並列しており、その2つの三角構造43(44)、43(44)の間に形成される三角形の空間に、逆さにされた三角構造43(44)がさらに組み合わされて、大きな台形を形成している。すなわち、実施例1における三角構造43(44)を三個、台形に並べ、これをスペーサ突起15、15を介して左右方向に複数列並列し、鋼材16、16によって連結して構成している。
この実施例3は、消波構造体42と50との形状が相違する以外は構造、作用、効果において総て実施例1と同一につき、実施例1の海底ダムと同一の構成については、図面中に同一の符号を付して、その説明を省略する。
なお、この発明の海底ダム25、45、49は、第6図(a)図示のように平面コ状に配置して砂の流出を防止する場合もある。
また、第6図(b)図示のようにポケットビーチのような地形で岬と岬の間に平面アーチ状に配置する場合もある。図中、符号24は汀線、23は防波堤(又は岬)である。この発明の海底ダム25、45、49は、第7図図示のように、波浪の砕波位置36付近に設ける。従って砂が自然に溜まるか、または海底ダムと岸側の凹部に砂を投入しても、従来のように流出しないから、砂浜は安全に確保される。
この発明の効果としては、以下の事項が挙げられる。
すなわち、この発明によれば、砕波地点付近に海底ダムを造成し、砕波、消波などにより波浪の勢力を削減するので、砂を沈殿させると共に、海岸の侵食破壊を可及的に小さくする効果がある。
また海底ダムにより沖合いに運ばれる砂が海底ダムの岸側に沈殿し、流出を阻止するので、自動的に砂浜を造成できる効果がある。
この発明によれば、自然力を最大限に利用するので、海底ダム造成後は、何等の人工力を加えることなく、海岸の侵食を阻止し、かつ砂浜を自動的に造成できる効果がある。
また、消波敷設材1を水平に海底地盤G上に据え付け、その上に消波材、消波ブロックからなる消波構造体を設置しているので、波や海底地盤の変形等により消波材、消波構造体が傾いたり、崩壊したりするおそれがない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施例の海底ダムの組立式消波ブロックを組み立てた三角構造の側面が表れる面の一部を省略した拡大概念図である。
第2図(a)は、第1図図示の海底ダムの第1図に表れた三角構造に隣り合う三角構造が表れる面の一部を省略した拡大概念図である。
第2図(b)は、第1図、第2図(a)図示の海底ダムの消波構造体において第1図に表れた三角構造と、第2図(a)に表れた三角構造とを左右方向に交互に連結した状態の一部を省略した拡大概念図である。
第3図は、他の実施例の海底ダムの組立式消波ブロックを組み立てた台形構造の側面が表れる面の一部を省略した拡大断面図である。
第4図(a)は、第3図図示の海底ダムの第3図に表れた台形構造に隣り合う台形構造が表れる面の一部を省略した拡大概念図である。
第4図(b)は、第3図、第4図(a)図示の海底ダムの消波構造体において第3図に表れた台形構造と、第4図(a)に表れた台形構造とを左右方向に交互に連結した状態の一部を省略した拡大概念図である。
第5図は、さらに異なる組立式消波ブロックの組み方をした実施例の一部を省略した概念図である。
第6図(a)は、海底ダムを平面コ状に設置した実施例の概念図である。
第6図(b)は、海底ダムを平面アーチ状に設置した実施例の概念図である。
第7図は、この発明の海底ダムを設置した海浜の一部を省略した説明図である。
第8図は、砕波の発生条件の説明図である。
第9図は、従来の海浜の一部を省略した説明図である。
この発明は、海岸の流砂を防止することを目的とした流砂防止海底ダム及びその築造方法に関する。
背景技術
従来海岸の侵食防止および砂浜の維持対策としては、人工リーフ、潜堤、離岸堤、ヘッドランド、突堤等が知られている。前記人工リーフ、潜堤以外は水面上に構造物の躯体が大きく見えるため、利用上または景観上好ましくないとの意見もある。
発明の開示
前記人工リーフ及び潜堤は水面下にあり、景観を損ねることは無かった。しかし、基礎捨石部の法先が洗堀され易く、消波を主目的とすることから、砂の流失を直接阻止することができないなどの問題点があった。
すなわち、前記人工リーフ、潜堤等は、波の勢力を弱めるので、その背後(岸側)に砂を溜めることはできるが、これらの堤体は海水の透過率が大きく、砂を直接貯留できる構造になっていないので、波の方向、沿岸流などにより再び流されることがある。つまり、前記人工リーフ、潜堤等は、間接的に砂を溜めることはできるが、積極、直接的に砂を溜める構造とはなっていない。従って、波によって巻き上げられた渚線付近の砂が堤体を透過して沖合へ運び去られてしまうという問題があった。
一方、砂を直接貯留するための構造物も存在するが、従来のこのような構造物は、砕波後の波の勢力が弱まった地点に構築するもので、構造物自ら強大な波力に抵抗することはできなかった。
前記のように、従来の構造物は、砂の流出を阻止できておらず、砂浜海岸の決壊は大きな問題となっている。この問題は日本は申すに及ばず世界各地で発生している。
しかし、この問題に対する根本的かつ有効な対策は無く、沖合から海底の砂を採取し、或いは砂を海外から輸入して決壊海岸に投入するなど、いわば対症療法に終始しているのが現状である。このままでは、問題の十分の改善は望むべくもなく、毎年膨大な維持費を投じているにも拘わらず、逐年悪化の一途を辿っている。
海岸の侵食防止および砂浜の維持は、消波により海岸に打ち寄せる波浪の勢いを弱めることと、海岸の砂を海底ダムの岸側へ沈降させ、沖合に運ばれる砂を減少させることによってかなりの効果が期待される。
そこで、この発明は、自然の力を破壊力としてではなく、造成力に変換する為に利用し、人工の手助けをするという観点に立って、自然エネルギーによる流砂を最小限に留めるのみならず、流砂を岸辺に保留させることにより、上記問題点を解決したのである。具体的には、人工の海底ダムによって、砕波し、海岸を崩壊する波浪の勢いを弱めると共に、沖合に運ばれる砂を、海底ダムの岸側へ沈殿させて、海岸の崩壊防止に成功したのみならず、砂浜造成に成功したのである。
即ち海底ダムの発明は、砕波点付近又は砕波点より岸側の海底地盤上に捨石基礎地盤を造成し、当該捨石基礎基盤上に消波構造体を設置し、当該消波構造体の岸側の背後に砂流出防止堤を構築したものである。
ここで、前記捨石基礎地盤は、高強度部材を接合して形成した格子枠を海底地盤に据え付けた砕波敷設材と、当該砕波敷設材の前記格子枠の桝目に嵌合係止した消波材とによって構成することができる。
また、消波構造体は、内部に空隙を有するように組立式消波ブロックを波の打ち寄せ方向、海岸の左右方向、深さ方向に立体的に組み合わせた砕波ブロック列とすることができる。内部に空隙を有するようにするのは、海岸の砂のみを海底ダムの岸側に保留させ、引潮は海底ダムの沖側へ通過できるようにするためである。
前記砂流出防止堤は、割石、消波材及び埋土を適宜組み合わせて構成することができる。
次に海底ダムの築造方法の発明は、砕波点付近又は砕波点より岸側の海底地盤上に、高強度部材よりなる格子枠を水平状に敷設し、該格子枠の桝目に消波材を嵌合掛止させて捨石基礎地盤を造成し、該捨石基礎地盤上に消波ブロックを立体的に組み合わせた消波構造体を設置し、当該消波構造体の沖側へ消波材を並置して海底ダムとする方法である。
また、前記消波構造体の沖側へ消波材を並置した後、前記消波構造体の岸側の背後に流砂防止材を介装させて割石を積み上げ、当該割石の岸側を埋土して、海底ダムとすることもできる。
ここで、第8図、第9図を用いて、海岸の砂の移動のメカニズムについて説明する。海岸の砂の移動については多くの研究がされているが、まだその実態が完全には解明されていないのが現状である。しかし、このような現状にあって、大略、以下のように考えられている。
第8図中、記号iは海底勾配を示している。また、H0′は換算沖波波高(equivalent deepwater wave)、L0は波長を示している。ここで、H0′は、沖波高H0から計算されるものであるが、その計算方法等についての説明は省略する。
波が砕ける位置は、海底勾配iや、波形勾配H0/L0の条件によって大きく異なるものであるが、概ね、水深hbがH0′の1.5〜2.5倍となる位置で砕ける。
従って、水深の深い沖合の大きな波は砕けることなく岸に向かい、水深hb/波高H0′の値が概ね1.5〜2.5以下の水深となる浅瀬に近づくと波は砕ける。これを砕波という。
第9図は、砕波が岸に向かって進み、遡上域に達し、砂浜を削り海岸を侵食する様子を概念的に示したものである。
砕波33は、水深h1/波高H1が概ね1.5〜2.5となる砕波点30で発生し、波高H1はさらに砕けながら進行する。遡上域31に達した砕波33は砂浜32を削り海岸を侵食する。
削りとられた砂は、沖に向かって運ばれ、砕波点30の近辺で沈下堆積し、砂州34ができる。
シケが収まると、シケのときより小さな波でも砂州34のところで砕波し、砂州34の砂は再び遡上域31に運ばれる。このバランスが保たれていれば侵食は起きないが、砂はシケのときだけでなく、小さな波でも浮遊し、移動する。これは沖波と砂の粒径、水温等に関係するが、一般に沖波の周期が長くなると砂は沖側へ移動する。ただしその量が問題で、シケのときに移動する量が圧倒的に多い。
海岸の砂の移動のメカニズムは、概ね以上の如く考えられている。
そこで、この発明の海底ダムは、砕波水深を人為的に浅くすることを目的としている。この発明の海底ダム25を第7図のように、在来の砕波帯付近に築造すれば、砕波水深h2が浅くなるから、従来は砕けなかった大きな波も、水深h2/波高H2の値が砕波の条件となる1.5〜2.5を満たすこととなり、この位置で砕かれる。波の勢力は非常に弱められ、第7図中の遡上域35は、第9図中の従来の遡上域31と比較してその範囲が非常に狭くなり、砂を削る量も非常に少なくなる。しかも新しい砂洲の位置は海底ダム25の手前で止まるから、削られた砂が沖合の深みに落ちることはない。
また、海岸を洗堀した波が引潮の際に海底ダムが抵抗になって流速を弱め、砂の沈殿を促すので、海底ダムを越えて沖合に流される砂が著しく少なくなる。
前記のようにこの発明の海底ダムは砕波点付近にあって、砕波し、その勢力を弱める作用効果を奏する為、基礎は海底地盤上へ堅固に築造され、洗堀によるブロックの飛散等を受けない構造であって、耐久性がなければならない。そこで、この発明の海底ダムの基礎とする捨石基礎地盤を構成する材料は、鋼材等の高強度部材としている。
また、海底ダムの上部沖側は、大波浪に耐え得ると共に、着実に消波する特性を付与するものでなければならない。従って、海底ダムの高さは、水面下における波浪の急激な変化を生じる付近に亘って設ける必要がある。
前記海底ダムは、大波浪の砕波を受けて更に波浪のエネルギーを消失させることを目的とする構造物である。従って、海底ダムの岸側の構造は、消波ブロックその他を詰めて消波構造体を構築し、その巾は少なくとも7m〜10m以上であることが望ましい。このようにして波浪のエネルギーは、海底ダムがない場合に比し、大幅に低下するので、海岸に加えられる破壊力も急速に弱化し、従って海岸の破壊は最小限にとどめられる。
前記消波構造体の岸側は、割石その他によって強度補強をかねて消波流の流動に耐える構造とする。また、岸側の面を緩傾斜に造成して、流砂の沈殿を促すようにする。
前記海底ダムは、維持・造成すべき砂浜の最先端に位置するものであるので、海岸と海底ダムとの間に海底ダムとは別体の砂止め構造物を築造することも考えられる。
この発明の海底ダムは、海岸、特に砂浜の破壊流失を最小限に止めると共に、沖合から運ばれてきた多量の砂を沈殿させることにより、自然力を利用して砂浜を造成することができる。すなわち、この発明は砂浜造成の補助的役割(自然力の手助け)を果たすものである。従って自然力による海岸の破壊は未然に防止されるのみならず、逐年砂浜面積を増大させることができる。
発明を実施するための最良の形態
実施例1
この発明の海底ダム25実施例を第1図、第2図に基づいて説明する。
まず、従来の砕波点付近に、格子状桝目を有する消波敷設材1を水平に海底地盤G上に据え付け、その桝目に石やコンクリートブロック等の消波材2を密に嵌め込んで、水平な捨石基礎地盤3を作る。この消波敷設材1を据え付ける位置は、砕波点付近であれば、砕波点より岸側であっても沖側であってもよい。
捨石基礎地盤3の沖側先端部には、適当な水平部分41が設けられている。当該水平部分41の岸側には、数十%の空隙率を有するように組立式消波ブロック4を組み立てて構築した消波構造体42を設置する。この消波構造体42は陸上で構築しておいて、海中の捨石基礎地盤3の水平部分41に据え付ける。なお、この組立式消波ブロック4は、日本特許第2037152号に係るブロックを使用することができる。
この組立式消波ブロック4は、短ブロックと長ブロックとがある。短ブロックは長手方向の両端の両側に凸部を設けた形状となっている。長ブロックではさらに長手方向の中央の両側にも凸部が設けられた形状となっている。組立式消波ブロック4は当該凸部に他の組立式消波ブロック4を係止して種々の形状の消波構造体42を形成することができる。
消波構造体42は、第1図図示のように側面から見ると、その底辺を成す長ブロック4a、岸側の斜辺を成す長ブロック4b、沖側の斜辺を成す長ブロック4cが組み合わされて三角構造43を形成している。
この三角構造43は、長ブロック4aを捨石基礎基盤3上に水平に載置し、その上に長ブロック4bを斜めに載置し、長ブロック4cをその下端を前記水平部分41の岸側の段差部分41aに係止し、長ブロック4aの沖側端部に立て掛けるように配置して形成されている。このとき、各長ブロック4a、4b、4cは、お互いの凸部に係止されるので、強固な三角形を形成している。
組立式消波ブロック4は、さらに長ブロック4d、4e、4fを用いて、三角構造43とほぼ同一形状であるが、その組み方を異にする第2図(a)図示のような三角構造44を形成する。
消波構造体42は、第2図(b)図示のように、三角構造43、44を左右方向に交互に複数列並列し、スペーサ突起15、15を介して鋼材16、16によって連結して構成されている。
このように異なる組み方をした三角構造43、44を左右方向に複数列並列し、連結することによって、消波構造体42は一体化した構造として構築されることとなる。
なお、第2図(b)は、消波構造体42を海側から見たときの概念図である。
上記のように構成された消波構造体42の岸側背面には裏込石5を投入する。このとき裏込石5を投入した岸側の面は、長ブロック4bの傾斜に対応した斜面となっている。この裏込石5の斜面には流砂防止材である防砂シート6を貼る。これは、砂浜の砂が裏込石5を通って、消波構造体42、捨石基礎地盤3に流出しないようにするためである。
防砂シート6は、その上面を栗石7で被覆し、さらにその岸側背面に割石8を投入する。また、裏込石5、栗石7の上面には一つ一つの質量が200kg程度の大割石14を敷き詰めてある。このように海底ダム25を構成することにより、割石8の岸側の背後には砂8aが自然に溜まる。
ここで、この砂8aが溜まった部分が局部的に深く掘れる場合は、第1図図示のように割石8の岸側の背後に栗石9等を敷くこともある。この栗石9等は散乱しないように、下に格子網10を敷きこれに係止する。栗石9等が散乱しなければ、こんぶ等の海藻が着生し、海岸の環境が改善される効果がある。
尚、図中、符号10、11は鋼材製の格子網、符号12は水面である。
前記実施例において、海側から矢示13のように波浪が押し寄せて来た場合には、先ず消波構造体42によって大凡砕波され、ついで大割石14(例えば質量200kg以上)などにより更に砕波され、この間の幅10m位を通過する間に大波浪は消波される。これにより、大波浪は砕波後、消波され、砂は概ね海底ダム25の岸側に沈殿する。
ついで引波に際しては、各割石などの間に砂がつまり、又は防砂シート6によって砂の流失が阻止されるので、波浪によって海側に運ばれる砂は著しく少なくなる。
一方前記組立式消波ブロック4、消波材2などの作用によって砕波されるので、岸辺に当たる波浪の勢力は著しく削減され、海岸破壊の大きな力は大いに減少する。
実施例2
この発明の他の実施例を第3図、第4図に基づいて説明する。
この実施例の海底ダム45と、実施例1記載の海底ダム25とが異なる点は、組立式消波ブロック4の組み方、すなわち、消波構造体42と46との形状の相違のみである。
この実施例の消波構造体46は、実施例1の消波構造体42とは異なり、第3図図示のように側面から見ると、下底を成す長ブロック4a、上底を成す短ブロック4g、斜辺を成す短ブロック4hが組み合わされて台形構造47を形成している。
この台形構造47は長ブロック4aを捨石基礎基盤3上に水平に載置し、その上に短ブロック4gを平行に載置し、短ブロック4hを長ブロック4aの岸側端部に立て掛けるように配置して形成されている。
組立式消波ブロック4は、さらに短ブロック4hを長ブロック4aの沖側端部に立て掛けるようにして、台形構造47とほぼ同一形状であるが、その組み方を異にする第4図(a)図示のような台形構造48を形成する。
消波構造体46は、第4図(b)図示のように、台形構造47、48を左右方向に交互に複数列並列し、スペーサ突起15、15を介して鋼材16、16によって連結して構成されている。
このように異なる組み方をした台形構造47、48を左右方向に複数列並列し、連結することによって、消波構造体46は一体化した構造として構築されることとなる。
なお、第4図(b)は、消波構造体46を海側から見たときの概念図である。
この実施例2は、消波構造体42と46との形状が相違する以外は構造、作用、効果において総て実施例1と同一につき、実施例1の海底ダムと同一の構成については、図面中に同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施例3
この発明のさらに他の実施例を図5について説明する。
この実施例の海底ダム49と、実施例1記載の海底ダム25とが異なる点は、組立式消波ブロック4の組み方、すなわち、消波構造体42と50との形状の相違のみである。
この実施例の消波構造体50は、第5図図示のように側面から見ると、実施例1の消波構造体42における三角構造43(44)が波の打ち寄せ方向に2つ並列しており、その2つの三角構造43(44)、43(44)の間に形成される三角形の空間に、逆さにされた三角構造43(44)がさらに組み合わされて、大きな台形を形成している。すなわち、実施例1における三角構造43(44)を三個、台形に並べ、これをスペーサ突起15、15を介して左右方向に複数列並列し、鋼材16、16によって連結して構成している。
この実施例3は、消波構造体42と50との形状が相違する以外は構造、作用、効果において総て実施例1と同一につき、実施例1の海底ダムと同一の構成については、図面中に同一の符号を付して、その説明を省略する。
なお、この発明の海底ダム25、45、49は、第6図(a)図示のように平面コ状に配置して砂の流出を防止する場合もある。
また、第6図(b)図示のようにポケットビーチのような地形で岬と岬の間に平面アーチ状に配置する場合もある。図中、符号24は汀線、23は防波堤(又は岬)である。この発明の海底ダム25、45、49は、第7図図示のように、波浪の砕波位置36付近に設ける。従って砂が自然に溜まるか、または海底ダムと岸側の凹部に砂を投入しても、従来のように流出しないから、砂浜は安全に確保される。
この発明の効果としては、以下の事項が挙げられる。
すなわち、この発明によれば、砕波地点付近に海底ダムを造成し、砕波、消波などにより波浪の勢力を削減するので、砂を沈殿させると共に、海岸の侵食破壊を可及的に小さくする効果がある。
また海底ダムにより沖合いに運ばれる砂が海底ダムの岸側に沈殿し、流出を阻止するので、自動的に砂浜を造成できる効果がある。
この発明によれば、自然力を最大限に利用するので、海底ダム造成後は、何等の人工力を加えることなく、海岸の侵食を阻止し、かつ砂浜を自動的に造成できる効果がある。
また、消波敷設材1を水平に海底地盤G上に据え付け、その上に消波材、消波ブロックからなる消波構造体を設置しているので、波や海底地盤の変形等により消波材、消波構造体が傾いたり、崩壊したりするおそれがない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施例の海底ダムの組立式消波ブロックを組み立てた三角構造の側面が表れる面の一部を省略した拡大概念図である。
第2図(a)は、第1図図示の海底ダムの第1図に表れた三角構造に隣り合う三角構造が表れる面の一部を省略した拡大概念図である。
第2図(b)は、第1図、第2図(a)図示の海底ダムの消波構造体において第1図に表れた三角構造と、第2図(a)に表れた三角構造とを左右方向に交互に連結した状態の一部を省略した拡大概念図である。
第3図は、他の実施例の海底ダムの組立式消波ブロックを組み立てた台形構造の側面が表れる面の一部を省略した拡大断面図である。
第4図(a)は、第3図図示の海底ダムの第3図に表れた台形構造に隣り合う台形構造が表れる面の一部を省略した拡大概念図である。
第4図(b)は、第3図、第4図(a)図示の海底ダムの消波構造体において第3図に表れた台形構造と、第4図(a)に表れた台形構造とを左右方向に交互に連結した状態の一部を省略した拡大概念図である。
第5図は、さらに異なる組立式消波ブロックの組み方をした実施例の一部を省略した概念図である。
第6図(a)は、海底ダムを平面コ状に設置した実施例の概念図である。
第6図(b)は、海底ダムを平面アーチ状に設置した実施例の概念図である。
第7図は、この発明の海底ダムを設置した海浜の一部を省略した説明図である。
第8図は、砕波の発生条件の説明図である。
第9図は、従来の海浜の一部を省略した説明図である。
Claims (6)
- 砕波点付近又は砕波点より岸側の海底地盤上に捨石基礎地盤を造成し、当該捨石基礎基盤上に消波構造体を設置し、当該消波構造体の岸側の背後に砂流出防止堤を構築したことを特徴とする流砂防止海底ダム。
- 捨石基礎地盤は、高強度部材を接合して形成した格子枠を海底地盤に据え付けた砕波敷設材と、当該砕波敷設材の前記格子枠の桝目に嵌合係止した消波材とによって構成されたことを特徴とする請求項1記載の流砂防止海底ダム。
- 消波構造体は、内部に空隙を有するように組立式消波ブロックを波の打ち寄せ方向、海岸の左右方向、深さ方向に立体的に組み合わせた砕波ブロック列としたことを特徴とする請求項1記載の流砂防止海底ダム。
- 砂流出防止堤は、割石、消波材及び埋土としたことを特徴とする請求項1記載の流砂防止海底ダム。
- 砕波点付近又は砕波点より岸側の海底地盤上に、高強度部材よりなる格子枠を水平状に敷設し、該格子枠の桝目に消波材を嵌合掛止させて捨石基礎地盤を造成し、該捨石基礎地盤上に消波ブロックを立体的に組み合わせた消波構造体を設置し、当該消波構造体の沖側へ消波材を並置することを特徴とした流砂防止海底ダムの築造方法。
- 砕波点付近又は砕波点より岸側の海底地盤上に、高強度部材よりなる格子枠を水平状に敷設し、該格子枠の桝目に消波材を嵌合掛止させて捨石基礎地盤を造成し、該捨石基礎地盤上に消波ブロックを立体的に組み合わせた消波構造体を設置し、当該消波構造体の沖側へ消波材を並置し、前記消波構造体の岸側の背後に流砂防止材を介装させて割石を積み上げ、当該割石の岸側を埋土することを特徴とした流砂防止海底ダムの築造方法。
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