JP2688867B2 - 海底洗掘抑止工法と海底洗掘抑止根固め構造 - Google Patents

海底洗掘抑止工法と海底洗掘抑止根固め構造

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JP2688867B2
JP2688867B2 JP3177110A JP17711091A JP2688867B2 JP 2688867 B2 JP2688867 B2 JP 2688867B2 JP 3177110 A JP3177110 A JP 3177110A JP 17711091 A JP17711091 A JP 17711091A JP 2688867 B2 JP2688867 B2 JP 2688867B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用範囲】 火力発電所、原子力発電所の温
排水並びにその他の工業施設から出る排水を波のある海
へ向って水中放水などした場合、その放水流や波によっ
て放水口の前面海底が洗掘され、放水構造物やその前面
に設けた被覆工が傾いたり、不安定になったり、破壊さ
れたりする。本発明は、このような放水流や波による海
底の洗掘を抑止する海底洗掘阻止工法及びそのための根
固め構造に関する。
【0002】
【従来の技術】 火力発電所や原子力発電所または各種
工業施設が、臨海地域に建てられている場合には、その
温排水などを、効率的に希釈、拡散するために放水口か
ら海中へ放水することが多い。その放水される海の底が
土砂質の場合には、放水流により放水口の前面海底に洗
掘現象が生じる。特に、放水流に波の影響が加わると、
当該洗掘現象の進行が加速される。この洗掘が放水口の
構造物や護岸などの基礎部分に達すると、それら基礎部
分の安定性が損なわれるため、洗掘の進行を食い止める
必要がある。
【0003】 従来は、放水口の前面海底に生じる洗掘
阻止対策として下記のような各種の工法が試みられてき
た。
【0004】 1.コンクリート板被覆工法 図6に示すように、放水口1前面の洗掘のおそれのある
海底面2が土砂で構成されている場合、この海底面2を
コンクリート板の被覆工3により被覆して土砂の舞上が
り移動を防ぎ、洗掘の進行を阻止しようとするものであ
る。図中、4は基礎捨石で、5は海面、6は消波ブロッ
クである。
【0005】 2.矢板打設工法 図6で示すように、コンクリート板被覆工法で施工した
被覆工3の先端部に更に矢板7を打設し、この矢板7前
面で洗掘の進行を阻止しようとするものである。
【0006】 3.吸い出し防シート(沈下防止用
布)敷設工法 図6で示すように、コンクリート板被覆工法で施工した
被覆工3の下に更に吸い出し防止シート8を敷設するこ
とにより、波浪による海底土砂の吸い出しを防ぎ、被覆
工3の沈下を防止するもので、広い意味で洗掘阻止対策
として使用されている。
【0007】 4.方塊(大型ブロック)設置工法 上記コンクリート板より重量の重い大型ブロックを用い
て安定性を増すことにより、洗掘によるブロックの崩壊
を防止するものである。
【0008】 5.捨石上面シート被覆工法 所要海底面の土砂を掘削排除して、砂利、採石、ブロッ
クなどを置換し、その置換部上面に合成樹脂シートを敷
設する工法である(特開昭51−5514号)。
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】 発電所や工業施設
などが海地域に建てられている場合には、放水口の前
面は、波浪によって動き易くなった海底の土砂が、上流
側からの土砂供給のない放水流によって沖に持ち去られ
るという過酷な条件下にあり、洗掘が加速される。ま
た、温排水を効率良く希釈、拡散されなければならない
ので、放水流やこれに合流する連行流を妨げる導流工や
減勢工が使えない状況にある。そのため、海底面を何か
で被覆する方法が最も確実な方法と考えられる。
【0010】 しかし、水中放流した場合には、海底面
近くの流れが連行流によって海底面に押し付けられる効
果(コアンダー効果)によって底面流速が大きくなり、
放水口からかなり離れてもなかなか底面流速が低減しな
い。更に、放水口が2本、3本と複数ある場合には、同
時放流により温排水が縮流を起こして、一つの流れにま
とまることにより、底面流速が大きく遠くまで底面流速
が低減しない。
【0011】 従って、コンクリート板などで被覆しよ
うとすれば、放水流による底面流速が十分に低減して、
洗掘が生じる虞のない範囲まで被覆しなければならず、
そのための建設コストが非常にかかる結果となる。だか
らといって被覆工を洗掘が生じる虞のない範囲の途中で
打ち切った場合には、被覆工の先端部で洗掘が生じる
が、それが次々と放水口側に進行してきて放水口構造物
や被覆工の安定性に問題を生ずる。
【0012】 前記従来の工法を放水口の前面海底に生
じる洗掘阻止対策として実験した結果、次のような難点
があり、放水流と波浪とによる洗掘に対する対策工法と
しては採用出来ないことが判明した。
【0013】 1.コンクリート板被覆工法の問題点 放水流だけの場合には、図6の被覆工3の先端海底が洗
掘されるだけで被覆工3のコンクリート板には、さした
る沈下や傾斜はみられないが、図7に示したように放水
流に波浪Wが加わると、被覆工3の先端部海底の洗掘現
象が激しく起こり、この洗掘現象が放水口側に進行し、
先端側コンクリート板(方塊)から順次沈下したり傾い
たりする。そうすると被覆工3のコンクリート板(方
塊)間に隙間が生じ、吸い出し現象が始まり、被覆工の
沈下と方塊の傾きが加速される。そして、コンクリート
板(方塊)の沈下量の差が大きくて上下にずれが生じる
と、洗掘現象と隙間の広がりによる吸い出し現象が一層
激しくなってたちまち崩壊し、このような洗掘、崩壊現
象が放水口側に向かって進行する。これでは、放水口構
物などの安定性に問題が生じることになる。
【0014】 2.矢板打設工法の問題点 この工法は、前記コンクリート板被覆工法の改良とし
て、図6の被覆先端部に矢板7を打ち込むものである。
しかし、この工法では、まず放水流が矢板7前面を洗掘
してその前面に段落を生じさせる。次に、この段落部分
を波の谷が通過すると、死水域に当たるところに渦が発
生し、矢板7の足下の土砂を激しく洗掘して巻き込む。
更に、上記段落部分を波の峰が通過して底面流が放水口
1向きに変化すると、多量の土砂を巻き込んだ渦が段落
を乗り越えて上方に浮き上がり、それを放水流がはるか
沖に流してしまう。
【0015】 また、矢板7前面の足下が深く洗掘され
ると、当該矢板7は裏側の土砂に押されてたわみ、被覆
工3のコンクリート板(方塊)が沈下して矢板の頭が飛
び出すような状態になる。こうなると当該矢板には前後
に波力が繰り返し作用し、矢板が前後にたわむ度に裏側
の土砂が吹き上げられ、バタバタと振動しながら、つい
には疲労切断するか、或は抜け上がることになる。この
ように、矢板を打設することは、かえって洗掘を促進す
る結果となる。
【0016】 3.吸い出し防止シート敷設工法の問題
点 当該吸い出し防止シートは、コンクリート板の下に敷設
されるものであるが、当該板を据え付ける際、シートは
剪断されたり、引っ張りを受たりすることが多く、シー
トの健全性を確保することは難しい。特に板と板との境
目でシートが切断される可能性が高く、わずかなシート
の切れ目でもコンクリート板の下流端に生じる渦ならび
にコンクリート板間の隙間から土砂の吸い出しが原因と
なって被覆工3の崩壊が起こり、経年的には、コンクリ
ート板の沈下を招き、洗掘を促進する結果となる。
【0017】 4.方塊(大型ブロック)設置工法の問
題点 放水流によって一方的に土砂が運び去られる場合、しか
も波による交番流の激しい場合には、図体の大きい大型
ブロックはその厚さが大きくなることから、前記矢板打
設工法と同様に、ブロック先端部に洗掘能力の大きな渦
を発生するので、いとも簡単に崩壊してしまう。
【0018】 5.捨石上面シート被覆工法の問題点 この工法は、コンクリート板被覆工法の変形したもので
あり、コンクリートの部分を合成樹脂シートに代えたも
のである。この方法は、その捨石置換領域やシートの敷
設範囲を底面流速の起こる広範囲にわたって、施工しな
ければ効果がないので、結局施工費用が高くなる。ま
た、上面のシートは、コンクリート板に比較してその耐
久力が弱いうえ、放水流と波浪によってバタつき、捨石
と激しく接触して変形し易いので、放水流と波浪とによ
って起こる強力な洗掘作用に対しては、耐え切れず、永
続的安定性に問題がある。
【0019】 本願発明者は、上記のような放水口から
波浪のある海の沖方向に排水を所定の流速で放流した際
に、放水口前面の放水流と波浪によって生じる洗掘作用
のメカニズムと、流下方向への被覆延長の短いコンクリ
ート板被覆工の洗掘による崩壊過程の研究、捨石が被覆
工の先端を保護する働きのメカニズムの研究、アーマコ
ートのメカニズムの研究などを重ねた結果、いくつかの
新しい技術知見を見出した。本願発明は、この新しい知
見に基づいた新しい発想による海底洗掘抑止工法と海底
洗掘抑止根固め構造を開発したのである。
【0020】 第1に、放水口から波浪のある海の沖方
向に排水を所定の流速で放流した場合、その放水流は底
面流速が大きく遠くまで減衰しないので、放水口構造物
やその前面に設けた被覆工の前面海底は、放水流と波浪
の作用を受けて広範囲に、且つ加速度的に洗掘され、し
かもその洗掘孔は放水口側に向かって洗掘がどんどん進
行してきて止まらず、遂には被覆工や放水口構造物を崩
してしまうとの知見を得た。
【0021】 第2に、同様に放水口の前面海底または
放水口の前面に設けた被覆工の前面海底を浚渫して捨石
群で置換すると、放水流と波浪の作用を受けて捨石群の
先端部直前の土砂質海底が洗掘され始め、洗掘孔が生じ
ると、捨石群の先端部分にある捨石が崩れて、洗掘孔の
洗掘斜面に展開移動し、これを繰り返して捨石が洗掘孔
の上流側洗掘斜面を覆うように、ほぼ一層の厚さで展開
し広がること。その捨石一つ一つは、前の捨石が洗掘に
よって移動すると次の捨石がその後に続くといったよう
に列を崩さずに展開移動して拡がり、上流側洗掘傾斜面
を洗掘底まで捨石が互いに適切に組み合せて敷き詰めた
状態にほぼ完全に被覆していわゆるアーマコートが形成
されること。洗掘孔は、その洗掘深さが放水流と波浪の
作用による土砂の移動限界水深にまで達すると、洗掘が
止まり捨石の展開も収束した状態の安定化した洗掘孔と
なること。このように洗掘斜面にアーマコートが形成さ
れると、それ以降は放水流と波浪の作用が極端に強く変
化しない限り洗掘の進行は停止し、洗掘斜面を保護する
との知見を得た。
【0022】 第3に、捨石群は、放水流と波により生
じる強力な洗掘作用に対してフレキシブル(柔軟)に対
応してその捨石群の姿を変化させることができるので、
放水流と波による作用を減殺し、洗掘を食い止める有効
な要素になり得ることに気付いた。そこで実験してみた
ところ、放水口より流下方向へ被覆延長の短いコンクリ
ート被覆工の場合に生じる海底の洗掘抑止対策として放
水口の前面海底を捨石群で置換する方法が好適であると
の知見を得た。
【0023】 発明者等は、これらの知見を利用して、
放水口の前面海底を浚渫して捨石群で置換したアーマコ
ート形成用海底洗掘抑止根固め構造を構築し、放水口構
造物から影響を及ぼさない位置に放水流と波の作用によ
り洗掘孔を生じさせ、これが安定化するまで発達させる
とともに、捨石がその洗掘斜面に展開移動することによ
ってアーマコートを形成させるようにした新しい発想に
基づく洗掘対策工法を開発したものである。
【0024】 本願発明の基本的な発想とその特長は、
次の通りである。第1に、従来のように放水流と波によ
り生じる強力な洗掘作用を許さないために、何らかの対
策施工をするというのではなく、放水流と波浪の作用に
よって海底が洗掘されることを予め想定するとともに、
海底に洗掘孔が生じるにともなって、捨石が洗掘斜面に
展開移動することを最初から想定し、これらの自然現象
の発生を許容することを前提とした対策施工を施し、そ
の洗掘孔が自然に洗掘作用とバランスして安定化するま
で発達させるとともに、捨石が生じた洗掘孔の洗掘斜面
に展開させアーマコートを形成して、洗掘の進行を食い
止めるとの思想に基づくものである。
【0025】 第2に、アーマコート形成用海底洗掘抑
止根固め構造は、放水流と波浪の作用によって海底が洗
掘されること、捨石が海底洗掘にともなって展開移動
し、変形することを予め想定したうえで、保護対象であ
る放水口構造物や被覆工に影響の無い程度に離れた位置
に、洗掘孔ができるように、また、その洗掘孔の上流側
の洗掘斜面に捨石が展開してアーマコートができるよう
にしたものである。それにより、海底流速の流下方向に
は短い距離の浚渫と捨石置換でも充分洗掘の進行を食い
止めることが出来、浚渫量と捨石置換量を大きく減らす
ことができるようにした。更に、アーマコート形成用海
底洗掘抑止根固め構造の施工後は、排水を所定の流速で
放流するだけで自然の作用により現場環境に適合した海
底洗掘抑止根固め工法を実現しようとするものである。
【0026】
【問題点を解決するための手段】 本願発明は、上記の
ような発想のもと技術課題を解決するための手段として
次のように構成したものである。
【0027】 特許を受けようとする第1発明は、放水
口の前面海底を浚渫し、捨石と置換する海底洗掘抑止工
法において、放水流と波浪による合成底面流速の最大値
が作用しても耐えて安定している所要重量以上の大きさ
の捨石を主体とした捨石群を、放水流と波浪の作用によ
って生じ、洗掘の規模が放水流の底面流速と波浪の底面
流速の和及び海底の地形、砂質等により定まる洗掘孔の
上流側洗掘斜面を一層で展開被覆するのに必要な所要置
換量以上集めて置換し、アーマコート形成用海底洗掘抑
止根固め構造を構築した後、放水口から排水を所定の流
速で放流することにより、置換した捨石群の先端部の前
面海底に放水流および波浪の洗掘作用により洗掘孔が生
じると、当該洗掘孔の上流側の洗掘斜面に捨石群が層状
に展開し、さらに展開した捨石層の先端部に洗掘孔が生
じ順次捨石層が展開し、洗掘孔の上流側洗掘斜面に捨石
層によるアーマコートを形成するようにしたことを特徴
とする海底洗掘抑止工法である。
【0028】 特許を受けようとする第2発明は、放水
口の前面に被覆工を設け、当該被覆工の前面の海底を浚
渫し、所要重量以上の大きさの捨石を主体とした捨石群
を所要置換量以上集めた捨石群と置換することを特徴と
する第1発明に記載の海底洗掘抑止工法である。
【0029】 特許を受けようとする第3発明は、置換
する捨石群が、放水流の底面流速と波浪の底面流速の和
で定まる放水流と波浪による合成底面流速の最大値が作
用しても耐えて安定している所要重量以上の大きさの捨
石を主体とし、それより重量や体積の小さい捨石少量と
で構成されていることを特徴とする第1発明または第2
発明に記載する海底洗掘抑止工法である。
【0030】 当該特許を受けようとする第1発明から
第3発明までは、海底洗掘抑止工法である。これらの発
明は、従来のように海底に洗掘孔を造らせないようにす
る海底洗掘防止工法と相違し、保護対象である放水口構
造物や被覆工に影響の無い位置に、斜面にアーマコート
の形成された洗掘孔を生じさせ、それによって洗掘が放
水口に向かってそれ以上進行するのを食い止めようとす
る海底洗掘抑止工法である。その施工法は、放水流と波
浪の作用によって海底が洗掘されることと、その海底洗
掘にともなってその洗掘斜面に捨石が展開移動してアー
マコートを形成する自然の作用を想定したうえで、放水
口の前面海底や被覆工の前面海底を浚渫し、所要重量以
上の捨石を主体とした捨石群を所要置換量以上置換し、
あとは所定の流速で放水口より排水を放流するだけであ
る。
【0031】 ここでアーマコートとは、自然の作用と
して川底や海底の表面が粗い礫で覆われて、その下の土
砂が流されなくなった現象のことである。最近では、湖
岸に発達する舌状砂州についても湖底にアーマコートの
形成がみとめられている。
【0032】 第2発明は、被覆工と捨石置換を組み合
わせた洗掘対策工である。第1発明のように放水口の前
面海底を捨石だけで置き換えようとすると、放水流が速
い放水口近傍の捨石を大重量のものにしないと、移動さ
れてしまう。しかし、大重量の捨石を必要量確保するの
が困難な場合がある。そこで、本発明では、放水流の速
い放水口近傍には大重量のもので製作可能なコンクリー
トブロック等の被覆工を施して不用意な移動を防ぎ、適
度に放水流の弱まったその先端部の海底だけを捨石で置
換するようにした海底洗掘抑止工法である。この洗掘対
策工は、捨石群が、被覆工と洗掘孔を滑らかに接続する
ので、被覆工の先端に渦の発生がないこと、および捨石
群が洗掘斜面に広がってこれを被覆することの2つのメ
カニズムによって洗掘の進行を効果的に抑止することが
できるものである。
【0033】 第3発明は、第1発明、第2発明に用い
る置換用捨石群について、特定した発明である。捨石群
の主体は、放水流の底面流速と波浪の底面流速の和で定
まる放水流と波浪による合成底面流速の最大値が作用し
ても耐えて安定している所要重量以上の大きさの捨石で
ある。そもそも捨石がその機能を発揮するには、水の流
速に耐えて安定し得る重量の捨石であることが必要であ
る。しかし本発明の場合には、放水流の底面流速と波浪
の底面流速が2重に作用するので、両者の和として求め
られる合成底面流速の最大値が作用しても耐えて安定し
ている所要重量以上の大きさの捨石であることが必要で
ある。
【0034】 なお、この主体となり得る捨石の所要重
量を定めるのに必要な放水口から所定距離離れた位置の
放水流による底面流速は、放水流が、常にほぼ一定の流
速で放出されており、その放出流速が解っているので、
これに基づき既に公知の3次元流動計算を用いて容易に
求めることができる。また洗掘孔は、捨石先端部の土砂
との境目部分に発生することがわかっているので、その
位置における放水流の底面流速は、容易に求めることが
できる。
【0035】 これに対し、波浪は不規則であるので、
その波浪の底面流速も常に一定せず、しかも振動する様
に往復運動するなど複雑である。そこで、波浪の大きさ
は、過去の記録と観測から現場の海域で最大と予測され
るものを想定して、これに基づいて計算により定めるも
のとする。このように捨石の大きさ(重量)を合成底面
流速の最大値が作用しても耐えて安定している所要重量
以上としたのは、安全性を確保するためである。当該捨
石の所要重量は、具体的には数式1に基づいて計算する
ことができる。
【0036】 また、捨石群には、上記所定重量以上の
捨石の他に、それより重量や体積の小さい捨石が少量必
要である。これは、図1、図2および図3、図4に示し
たように、所定重量以上の捨石の下部に置換しておく
と、緩衝材として、展開した大きい捨石の安定を保つと
ともに、砂の吸出しを低減し、目潰し効果を呈する。な
お、本願に記載されている発明中の捨石とは、所定以上
の重量があり腐食しにくい材質で形成された置換材料の
ことであって、天然の石だけでなく、既存のコンクリー
トブロックなど人工的置換材料であっても良いことは勿
論である。
【0037】 次に、捨石群の所要置換量以上について
は、次のようにして定める。発明者らが新たに得た技術
知見に基づいて、捨石群の所要置換量は、放水流と波浪
の作用によって生じ、洗掘規模が放水流の海底面流速
と波浪の海底面流速の和及び海底の地形、砂質等により
定まる洗掘孔の上流側洗掘斜面を一層で展開被覆するの
に見合う量として定まる。
【0038】 その新たに得た技術知見とは「放水口
の前面海底または放水口の前面に設けた被覆工の前面海
底を浚渫して捨石群で置換すると、放水流と波浪の作用
を受けて捨石群の先端部直前の土砂質海底が洗掘され、
捨石群の先端部分にある捨石が崩れて、洗掘孔の洗掘斜
面に展開移動し、捨石が洗掘孔の上流側洗掘斜面を覆う
ように、ほぼ一層の厚さで展開し広がること。その展
開移動した捨石は、上流側洗掘傾斜面を洗掘底まで捨石
が互いに適切に組み合せて敷き詰めた状態にほぼ完全に
被覆していわゆるアーマコートが形成されること。洗
掘孔は、その洗掘深さが放水流と波浪の作用による土砂
の移動限界水深にまで達すると、洗掘が止まり捨石の展
開も収束した状態の安定化した洗掘孔となること。こ
のように洗掘斜面にアーマコートが形成されると、それ
以降は放水流と波浪の作用が極端に強く変化しない限り
洗掘の進行は停止し、洗掘斜面を保護するとの知見を得
た。」というものである。
【0039】 つまり、繰り返しの実験と試作の結果、
本発明に係る海底洗掘抑止工法は、図5に示したモデル
図の様に放水口に影響のない位置にアーマコートが形成
された洗掘孔を生じさせることにより安定し、洗掘の進
行が停止する工法である。
【0040】 先ず、図1、図3に示すように放水口の
前面海底を浚渫し、その浚渫凹部に洗掘孔の上流側洗掘
斜面を一層で展開被覆するのに必要な所要置換量以上集
めた捨石群と置換してアーマコート形成用海底洗掘抑止
根固め構造を構築する。ここで所要置換量以上としたの
は、図5に示したように洗掘孔の上流側洗掘斜面を一層
で展開被覆するのに必要な所要置換量である展開部の他
に、予測を越えた自然条件の変化に対応して安全を確保
するための余裕分として接続部を設けることとしたから
である。
【0041】 その後、放水口から排水を所定の流速で
放流することにより当該アーマコート形成用海底洗掘抑
止根固め構造を放水流と波浪にさらすと、やがて、図2
または図4に示すように捨石群の一部が洗掘孔の上流側
洗掘斜面を一層で展開被覆するように当該根固め構造の
形状を変える。図5はそれをモデル図示したものであ
る。この際の洗掘深さZは、牛島、清水氏らが1990
年に発表した「乱流モデルを用いた温排水水中放流によ
る海底洗掘の予測」(海岸工学論文集.第37巻,P
P.389−393)の手法で予測出来る。また、実験
観測の結果、洗掘孔の捨石が展開する上流側洗掘斜面の
勾配αは、約20度であることが解った。従って、展開
部の長さLが数式2によって求めることができる。
【0042】 特許を受けようとする第4発明は、放水
口の前面海底を浚渫し、捨石と置換する海底洗掘抑止根
固め構造において、放水流と波浪による合成底面流速の
最大値が作用しても耐えて安定している所要重量以上の
大きさの捨石を主体とした捨石群を、放水流と波浪の作
用によって生じ、規模が放水流の底面流速と波浪の底面
流速の和及び海底の地形、砂質等により定まる洗掘孔の
上流側洗掘斜面を一層で展開被覆するのに必要な所要量
以上集め換し、アーマコート形成用海底洗掘抑止根
固め構造となし、放水口から排水を所定の流速で放流す
ることにより、置換した捨石群の先端部の前面海底に放
水流および波浪の洗掘作用により洗掘孔が生じると、当
該洗掘孔の上流側の洗掘斜面に捨石群の一部が層状に展
開し、さらに展開した捨石層の先端部に洗掘孔が生じ順
次捨石層が展開し、洗掘孔の上流側洗掘斜面に捨石層に
よるアーマコートを形成するようにしたことを特徴とす
る海底洗掘抑止根固め構造である。
【0043】 特許を受けようとする第5発明は、放水
口の前面に被覆工を設け、当該被覆工の前面の海底を浚
渫し、所要重量以上の大きさの捨石を主体とした捨石群
を所要置換量以上集めて置換することを特徴とする第4
発明に記載の海底洗掘抑止根固め構造である。
【0044】 特許を受けようとする第6発明は、置換
する捨石群が、放水流の底面流速と波浪の底面流速の和
で定まる放水流と波浪による合成底面流速の最大値が作
用しても耐えて安定している所要重量以上の大きさの捨
石を主体とし、それより重量や体積の小さい捨石少量と
で構成されていることを特徴とする第4発明または第5
発明に記載する海底洗掘抑止根固め構造である。
【0045】 以上第4発明、第5発明、第6発明は、
海底洗掘抑止根固め構造の発明である。これらは本願発
明を、「物の発明」として認識したものである。これら
の発明は、その主な構成要素や概念を、「物の発明」と
して認識した第1発明〜第3発明と共通しているので、
ここではその説明を省略する。
【0046】
【実施例】 以下、本発明を図示実施例に基づいて詳細
に説明する。図1は、放水口の前面海底に第1発明、第
4発明または第3発明、第6発明に係る海底洗掘抑止工
法または海底洗掘抑止根固め構造におけるアーマコート
形成用海底洗掘抑止根固め構造を構築した状態を示す縦
断説明図で、図2は、その後排水が放出され、放水口の
前面海底に第1発明、第4発明または第3発明、第6発
明に係る海底洗掘抑止工法または海底洗掘抑止根固め構
造が完成した状態を示す縦断説明図である。また、図3
は、第2発明、第5発明または第3発明、第6発明に係
る海底洗掘抑止工法または海底洗掘抑止根固め構造にお
けるアーマコート形成用海底洗掘抑止根固め構造を構築
した状態を示す縦断説明図で、図4は、その後排水が放
出され、放水口の前面海底に第2発明、第5発明または
第3発明、第6発明に係る海底洗掘抑止工法または海底
洗掘抑止根固め構造が完成した状態を示す縦断説明図で
ある。更に、図5は第1発明、第2発明、第3発明、第
4発明、第5発明、第6発明に係る海底洗掘抑止根固め
構造を適用したモデル図である。
【0047】 本願発明に係る海底洗掘抑止工法は、
1、図3、図5に示すように、先ず、放水口10から波
浪のある海の沖方向に排水を所定の流速で放流する放水
口構造物の前面海底12を、洗掘対策に必要な範囲にわ
たって浚渫して、出来たその浚渫凹部に一群の捨石1
6,13をもって置換して、放水口構築物またはその前
面海底に設けた被覆工14の先端部から浚渫凹部の沖側
にかけて連続した接続部と展開部とからなる捨石層を形
成してなるアーマコート形成用海底洗掘抑止根固め構造
を構築する。
【0048】 次に、放水口10から波浪のある海の沖
方向に排水を所定の流速で所定時間以上放流する。する
と構築したアーマコート形成用海底洗掘抑止根固め構造
の先端部(展開部)の前面海底12に、当該放水流と波
浪18の洗掘作用により自然に土砂を移動して洗掘孔を
生じさせる。すると当該洗掘孔の上流側の洗掘斜面20
の法肩20Aから展開部の捨石16,13が崩れ始め、
当該上流側の洗掘斜面20に展開部の捨石16,13を
自然に移動展開させる。この放水流と波浪18の作用に
よる洗掘と捨石の展開を繰り返しているうち、その洗掘
深さが当該放水流と波浪の洗掘作用による土砂の移動限
界水深Zにまで達して洗掘が止まり捨石の展開も収束し
て安定した状態になる(図2、図4、図5)。つまり、
このように洗掘孔が形成されはじめると、その直後から
その発達に応じて上流側の洗掘斜面20には常に展開し
た捨石により層状に被覆されたアーマコートが形成され
ているので、それまでの放水流と波浪による合成底面流
速の最大値更新されない限りどの段階でも海底の洗掘
作用は抑制された状態となっている。そして、その洗掘
孔が移動限界水深Zにまで達すると完全に洗掘が止まり
捨石の展開も収束して安定した状態になるのである。
【0049】 本願発明に係るこのような海底洗掘抑止
工法を数多くの実験結果からモデル図示したのが、図5
である。ここで、Zは最大洗掘深さ、dは捨石の径(球
として)、αは洗掘斜面の傾斜角、βは浚渫斜面の傾斜
角(浚渫工事においてはtanβは、約1/3程度とす
ることが多い。)、Lは捨石層の展開部の長さ、γは捨
石層の接続部の長さ、Dは捨石層の厚さである。そし
て、実験の結果、余裕分としての接続部の長さγは、構
造上大きな捨石の粒径dの5倍程度は必要である。ま
た、実験観測の結果、洗掘孔の捨石が展開する上流側洗
掘斜面20の勾配αは、約20度であることが解った。
【0050】 前記洗掘対策に必要な範囲とは、現場の
条件によって常識的に考えられる必要な幅と放水口10
からの距離によって設計上定められるが、原則的には、
その放水流の幅と放水口10から沿岸方向に測った流軸
の左右ドリフト幅との和によって定まる所要幅と、放水
流の底面流速と波浪の底面流速によって定まる放水口1
0からの必要な流下距離(洗掘孔を生じさせる位置の手
前までの距離)との積によって定まる範囲である。
【0051】 その置換する捨石群は、主体となる放水
流の底面流速と波浪の底面流速の和で定まる放水流と波
浪による合成底面流速の最大値が作用しても耐えて安定
している所要重量以上の大きさの捨石16と、それより
重量や体積の小さい少量の捨石13とで構成されてい
る。小さい捨石13は、所要重量以上の大きい捨石16
の層の下部にあって、大きい捨石の緩衝材として大きな
捨石の安定を良くするとともに、吸い出し防水シート1
5の切断の危険を低減したり、土砂の吸出しを低減し、
目潰し効果を発揮させるためのものである。このように
小さい捨石13は、捨石群としては補助的なもので少量
でよい。実験によると捨石群の15%程度が適当であっ
た。実際の施工の場合は、この小さい捨石13の層は、
図1,図3に示すように前記放水口10の構造物の下の
捨石層11や被覆工14の下部の捨石層と同じ捨石で連
続的に形成されている。当該、所要重量以上の大きさの
捨石の具体的な特定は、数式1の(イ)により定まる。
【0052】
【数式1】
【0053】 これを簡単に説明すると、捨石は、一般
に流速の最大値が作用しても耐えて安定している所要重
量以上の大きさにしなければ、捨石として機能しないこ
とになる。つまり、本発明の場合には、放水流と波浪に
よる合成底面流速の最大値が作用しても耐えて安定して
いる所要重量以上の大きさの捨石16でなければならな
い。これは、本発明の場合、つぎのようにして定められ
る。
【0054】 まず置換した捨石群の先端部の前面海底
を最大洗掘の位置として想定してその位置の底面流速を
もとめる。当該底面流速は、放水流の底面流速U1 と波
浪の底面流速U2 の和で定まる最大流速Umax(ロ)
とする。放水流の底面流速U1 は、放水流速が一定して
おり明確なので、公知の3次元流動計算によって、簡単
に求められる。当該地点の波浪の底面流速U2 は、設計
波高から式(ハ)により求める。なおこの際、最大洗掘
の位置は、放水口やその構造物から影響のない充分安全
な位置であることが必要である。被覆工や後述する接続
部の大きさや寸法は、これら予測される最大洗掘の位置
を加味して合理的に定められる。それから、当該最大流
速Umax(ロ)に基づいて、捨石マウンドの耐波浪所
要重量Wを式(イ)によって求める。
【0055】 次に、置換する捨石16,13の量は次
のようにして定められる。それは実験と試作の結果、本
発明に係る海底洗掘抑止工法は、図5に示したモデル図
の様になることによって安定し、洗掘の進行が停止する
ことが解ったので、このモデル図を基準として、定める
こととした。
【0056】 つまり、置換される捨石の量は、放水流
と波浪の洗掘作用によって生じる限界洗掘深さZをもっ
た洗掘孔の上流側斜面を一層で展開被覆するに必要な捨
石の所要置換量(展開部L)と放水口または被覆工の保
護と安全に必要な捨石の量(接続部γ)の和をもって定
められる。
【0057】 後者の接続部γは、安全のための余裕分
であるから、合理性、経済性に基づき適当な長さγでよ
いが、実験の結果では、構造上所要重量以上の捨石の径
の5倍程度は、必要である。しかるに、前者の展開部L
の所要置換量は、限界洗掘深さZをもった洗掘孔の上流
側斜面2を一層で展開被覆するに見合う量となる。つま
り、展開部の長さLは、展開の前後で捨石の量が変化し
ないとして、数式2により求めることが出来る。この際
の洗掘深さZは、牛島、清水氏らが1990年に発表し
た手法で予測出来るし、洗掘孔の捨石16,13が展開
する上流側洗掘斜面20の勾配αは、約20度であるこ
とが解ったので、展開部の長さLは、数式2によって求
めることができる。
【0058】
【数式2】
【0059】 図3、図4中の10は放水口で、その放
水口構造物の下には基礎の捨石層11が設けられてお
り、放水口10の前面の洗掘のおそれのある海底12
は、細砂で構成されている。また放水口の前面該海底1
2は、必要に応じて捨石13の上にコンクリート版を敷
設被覆した被覆工14が設けられている。この場合、上
記放水口10の下の捨石層11と、被覆工14の下部の
捨石13の層とは連続的に形成されている。また、少な
くとも上記被覆工14下部の捨石13の層の下には、必
要に応じて吸い出し防止シート15が敷設されている。
更に、図中、17は海面で、18は波浪、19は消波ブ
ロックを示す。
【0060】 上記のように、被覆工14前面の海底1
2を捨石16,13で置換すると、捨石16,13が被
覆工14と洗掘斜面20を滑らかに接続するので、洗掘
を促進する渦の発生がなく、被覆工14が移動したり崩
れたりせず、その前面海底に生じている洗掘孔の上流側
洗掘斜面20にアーマコートが形成されているので、洗
掘の進行を効果的に抑止することができる。
【0061】 ある発電所の場合、放水流の底面流速を
3次元流動計算の結果、放流中心線上の放水口から40
〜100mで約1.2m/s.、波浪による底面流速
は、設計波の条件(T=14s,Hmax=8.2m,
L=123.6m)から数式1(ハ)より3.8m/s
となる。主体となる捨石の所要重量Wは数式1(イ)よ
り0.97tとなるので、実際には1t/個とした。1
t/個の捨石の径dは0.9mとし、α=20度、tan
β=1/3,Dは3.2m,Zは17mとした。この条
件で数式2より展開部の長さL=20.5m、接続部の
長さγは4.5mとなり、必要な置換量は25.0mと
なった。
【0062】
【発明の効果】 本発明は上述したように、放水口前面
海底または被覆工の前面海底を浚渫し、その部分を放水
流と波浪による合成底面流速の最大値が作用しても耐え
て安定している所要重量以上の大きさの捨石を主体とし
た捨石群を、放水流と波浪の作用によって生じ、規模が
放水流の海底面流速と波浪の海底面流速の和及び海底の
地形、砂質等により定まる洗掘孔の上流側洗掘斜面を一
層で展開被覆するのに必要な所要置換量以上集めて置換
し、アーマコート形成用海底洗掘抑止根固め構造を構築
した後、放水口から排水を所定の流速で放流して、置換
した捨石群の先端部の前面海底に放水流および波浪の洗
掘作用により洗掘孔が生じると、当該洗掘孔の上流側の
洗掘斜面に捨石群が層状に展開し、さらに展開した捨石
層の先端部に洗掘孔が生じ順次捨石層が展開し、洗掘孔
の上流側洗掘斜面に捨石層によるアーマコートを形成す
るようにした海底洗掘抑止工法と海底洗掘抑止根固め構
造を提供したので、下記のような効果を奏する。
【0063】 1.放水流と波浪とが共存して作用する
場所の洗掘対策に広く利用することができる。 2.置換材料を捨石に特定することなく、所定の重量が
あれば、既存のコンクリートブロックなどを利用するこ
ともできる。 3.比重の大きい捨石を使用するので、形状が小さくて
も安定性があり、しかも安価に入手できる。 4.洗掘される範囲全体を覆う必要がないので、捨石の
量が少なくて済む。 5.局所洗掘を利用して置換した捨石が広がるので、あ
らかじめ洗掘範囲全体を浚渫して、その斜面を保護する
よりも浚渫量を少なくすることができる。 6.補修は捨石を追加投入するだけなので、非常に容易
で簡単である。 7.海底を捨石で置換しているので、放水口構造物ある
いは被覆工と洗掘孔が滑らかに接続し、洗掘を促進する
渦の発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 放水口の前面海底に第1発明、第4発明また
は第3発明、第6発明に係る海底洗掘抑止工法または海
底洗掘抑止根固め構造におけるアーマコート形成用海底
洗掘抑止根固め構造を構築した状態を示す縦断説明図で
ある。
【図2】 排水が放出され、放水口の前面海底に第1発
明、第4発明または第3発明、第6発明に係る海底洗掘
抑止工法または海底洗掘抑止根固め構造が完成した状態
を示す縦断説明図である。
【図3】 第2発明、第5発明または第3発明、第6発
明に係る海底洗掘抑止工法または海底洗掘抑止根固め構
造におけるアーマコート形成用海底洗掘抑止根固め構造
を構築した状態を示す縦断説明図である。
【図4】 排水が放出され、放水口の前面海底に第2発
明、第5発明または第3発明、第6発明に係る海底洗掘
抑止工法または海底洗掘抑止根固め構造が完成した状態
を示す縦断説明図である。
【図5】 第1発明、第2発明、第3発明、第4発明、
第5発明、第6発明に係る海底洗掘抑止根固め構造を適
用したモデル図である。1
【図6】 従来の海底洗掘抑止工法を適用した放水口近
傍の縦断面図である。
【図7】 従来の海底洗掘抑止工法が破壊した状態の縦
断面図である。
【符号の説明】1:放水口 2:海底面 3:被覆工 4:基礎捨石 5:海面 6:消波ブロック 7:矢板 8:防止シート 10:放水口 11:捨石層 12:海底 13:捨石 14:被覆工 15:吸い出し防止シート 16:所要重量以上の大きさの捨石 17:海面 18:波浪 19:消波ブロック 20:洗掘斜面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 明 仙台市青葉区中山7丁目2の1 東北電 力株式会社 電力技術研究所 土木研究 室内 (72)発明者 清水 隆夫 千葉県我孫子市我孫子1646 財団法人電 力中央研究所 我孫子研究所 水理部 構造水理研究室内 (56)参考文献 特開 昭51−55140(JP,A) 特公 昭60−53127(JP,B2)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放水口の前面海底を浚渫し、捨石と置換
    する海底洗掘抑止工法において、放水流と波浪による合
    成底面流速の最大値が作用しても耐えて安定している所
    要重量以上の大きさの捨石を主体とした捨石群を、放水
    流と波浪の作用によって生じ、洗掘規模が放水流の底
    面流速と波浪の底面流速の和及び海底の地形、砂質等に
    より定まる洗掘孔の上流側洗掘斜面を一層で展開被覆す
    るのに必要な所要置換量以上集めて置換し、アーマコー
    ト形成用海底洗掘抑止根固め構造を構築した後、放水口
    から排水を所定の流速で放流することにより、置換した
    捨石群の先端部の前面海底に放水流および波浪の洗掘作
    用により洗掘孔が生じると、当該洗掘孔の上流側の洗掘
    斜面に捨石群が層状に展開し、さらに展開した捨石層の
    先端部に洗掘孔が生じ順次捨石層が展開し、洗掘孔の上
    流側洗掘斜面に捨石層によるアーマコートを形成するよ
    うにしたことを特徴とする海底洗掘抑止工法。
  2. 【請求項2】 放水口の前面に被覆工を設け、当該被覆
    工の前面の海底を浚渫し、所要重量以上の大きさの捨石
    を主体とした捨石群を所要置換量以上集めた捨石群と置
    換することを特徴とする請求項1記載の海底洗掘抑止工
    法。
  3. 【請求項3】置換する捨石群が、放水流の底面流速と波
    浪の底面流速の和で定まる放水流と波浪による合成底面
    流速の最大値が作用しても耐えて安定している所要重量
    以上の大きさの捨石を主体とし、それより重量や体積の
    小さい捨石少量とで構成されていることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載する海底洗掘抑止工法。
  4. 【請求項4】 放水口の前面海底を浚渫し、捨石と置換
    する海底洗掘抑止根固め構造において、放水流と波浪に
    よる合成底面流速の最大値が作用しても耐えて安定して
    いる所要重量以上の大きさの捨石を主体とした捨石群
    を、放水流と波浪の作用によって生じ、規模が放水流の
    底面流速と波浪の底面流速の和及び海底の地形、砂質等
    により定まる洗掘孔の上流側洗掘斜面を一層で展開被覆
    するのに必要な所要量以上集めて置換し、アーマコート
    形成用海底洗掘抑止根固め構造を構築した後、放水口か
    ら排水を所定の流速で放流することにより、置換した捨
    石群の先端部の前面海底に放水流および波浪の洗掘作用
    により洗掘孔が生じると、当該洗掘孔の上流側の洗掘斜
    面に捨石群が層状に展開し、さらに展開した捨石層の先
    端部に洗掘孔が生じ順次捨石層が展開し、洗掘孔の上流
    側洗掘斜面に捨石層によるアーマコートを形成するよう
    にしたことを特徴とする海底洗掘抑止根固め構造。
  5. 【請求項5】 放水口の前面に被覆工を設け、当該被覆
    工の前面の海底を浚渫し、所要重量以上の大きさの捨石
    を主体とした捨石群を所要置換量以上集めて置換するこ
    とを特徴とする請求項4に記載の海底洗掘抑止根固め構
    造。
  6. 【請求項6】 置換する捨石群が、放水流の底面流速と
    波浪の底面流速の和で定まる放水流と波浪による合成底
    面流速の最大値が作用しても耐えて安定している所要重
    量以上の大きさの捨石を主体とし、それより重量や体積
    の小さい捨石少量とで構成されていることを特徴とする
    請求項4または請求項5に記載する海底洗掘抑止根固め
    構造。
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