JPWO2002103025A1 - 新規な硫酸化糖及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

下記一般式で表される硫酸化糖が記載されている。[A]−(6SO3−GlcNAc)−[C]−R(式中、(6SO3−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、[A]は水酸基又は糖残基を示し、[C]は糖残基を示し、Rは水酸基又は置換水酸基を示す)この硫酸化糖は、白血球に存在するセレクチンタンパク質と効果的に結合するため、抗炎症薬の作用を有するものであり、医薬の現場などで広く使用が期待される。

Description

技術分野
本発明は、新規な硫酸化糖及びその製造方法に関する。
背景技術
硫酸基を分子内に有する糖や糖脂質には、硫酸化シアリールルイスXやスルファチドなどが知られており、ヒトや動物の白血球に存在するセレクチンタンパク質などと特異的に結合することが知られている。従って、これらの硫酸化糖は、セレクチンブロッカーを示すことから抗炎症薬やガン転移の防止といった医薬品などの開発応用に期待されている。
従来、この種の硫酸化糖及びその製造方法にはいろいろな方法が開発されており、以下のような方法がある。
(1)抽出法や、クロマトグラフィー等の分離法により天然物から回収する方法
(2)酵素を用いる方法
(3)化学合成による方法
(4)前記(2)及び(3)の組み合わせによる方法
前記(1)の方法は、一般に極微量の目的物を得られるにすぎない。前記(3)の方法は大量に目的化合物が得られるものの、反応ステップが一般に長く、多くの労力を必要とする。前記(2)の方法は、次に述べるように、硫酸基のない糖合成に関しては、比較的多くの報告例があるが、硫酸基を有する糖の合成例は、あまり知られていない。
ところで、酵素を用いる公知の硫酸化糖の合成方法は、用いる酵素の性質により、2つに分けられている。
(a)硫酸基転移酵素による合成
Figure 2002103025
この合成法については、C.−H.Wong,J.Org.Chem.,65,5565−5574(2000).J.Am.Chem.Soc.,117,8031(1995)に記載されている。
(b)ガラクトース転移酵素による合成
Figure 2002103025
この合成法については、Lubineau,Carbohydrate Res.,305,501(1998)に記載されている。
前記した如き酵素を用いる反応は、反応としての有用性は指摘されているが、実際にその反応を実施するには大きな困難を伴う。
前記(a)の方法では、硫酸基を転移させる転移酵素(硫酸基転移酵素:スルフオトランスフエラーゼ)を使用する点に特徴があるが、使用する転移酵素は高価なものであり、このような高価な酵素を用いて硫酸化糖を製造する結果、製品が高価とならざるを得ず、実際の工業規模で生産を行う場合には、製造価格の点で使用できないものとなる。また、硫酸基の導入位置も還元末端側の6位に限られるため、非還元末端側に硫酸基を導入した硫酸化糖の合成が困難であるなど一般的な方法とは言い難い。
次に、(b)の方法では、硫酸基を転移させる転移酵素(ガラクトース転移酵素)が用いられるが、この酵素自体は既に各反応に使用されることから既に開発されている状態にあるが、やはり高価であり、また、利用される基質も大幅に限定されており、実用的な方法であるとは言い難い。
本発明の課題を示すと、以下の通りである。
(1)糖の非還元末端側に硫酸化糖鎖を導入した構造を有する新規な硫酸化糖及びその硫酸化糖の製造方法を提供すること。
(2)糖の還元末端側に硫酸化糖鎖を導入した構造を有する新規な硫酸化糖及びその硫酸化糖の製造方法を提供すること。
発明の開示
本発明者らは、酵素として、N−アセチルヘキソサミニダーゼまたはN−アセチルグルコサミニダーゼの存在下において、硫酸化糖を供与体に用い、「他の糖」を受容体に用いて両者を反応させると、その「他の糖」の非還元末側に硫酸化糖鎖を伸長させ得ることを見出した。また、同じく、硫酸化糖を受容体に用い、「他の糖」を供与体に用いて両者を反応させると、その「他の糖」の還元末端側に硫酸化糖鎖を伸長させ得ることを見いだした。
これらの方法に用いられるN−アセチルヘキソサミニダーゼ(又はN−アセチルグルコサミニダーゼ)は、実質上同一の酵素であるが、この酵素の使用により前記反応を促進させることができる。この酵素は、手に入りやすく、経済的に問題がない酵素であり、結果として前記の反応を工業的に有利に行うことができる。
本発明によれば、以下に示す新規な硫酸化糖及びその製造方法が提供される。
(1)下記一般式(I)で表されることを特徴とする硫酸化糖。
[A]−(6SO−GlcNAc)−[C]−R (I)
(式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、[A]は水酸基又は糖残基を示し、[C]は糖残基を示し、Rは水酸基又は置換水酸基を示す)
(2)該一般式(I)における[A]を示す糖残基が、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン及びそれら糖からなるオリゴ糖の中から選ばれる糖から誘導された糖残基であることを特徴とする前記(1)に記載の硫酸化糖。
(3)該一般式(I)における[C]を示す置換水酸基が、パラニトロフェノキシ基であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の硫酸化糖。
(4)該[A]を示す糖残基が、硫酸基又はリン酸基を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の硫酸化糖。
(5)該一般式(I)における[C]を示す糖残基が、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン及びそれらの糖からなるオリゴ糖の中から選ばれる糖から誘導された糖残基であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の硫酸化糖。
(6)該[C]を示す糖残基が、硫酸基又はリン酸基を含有することを特徴とする前記(5)に記載の硫酸化糖。
(7)下記一般式(II)で表されることを特徴とする硫酸化糖。
HO−(GlcNAc)−(6SO−GlcNAc)−[D] (II)(式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、(GlcNAc)はN−アセチルグルコサミン残基を示し、[D]は水酸基、置換水酸基又は糖残基を示す)
(8)該一般式(II)における[D]を示す糖残基が、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン及びそれら糖からなるオリゴ糖の中から選ばれる糖から誘導された糖残基であることを特徴とする前記(7)に記載の硫酸化糖。
(9)該一般式(II)における[D]を示す置換水酸基が、パラニトロフェノキシ基であることを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の硫酸化糖。
(10)該[D]を示す糖残基が、硫酸基又はリン酸基を含有することを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれかに記載の硫酸化糖。
(11)下記一般式(I)
[A]−(6SO−GlcNAc)−[C]−R (I)
(式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、[A]は水酸基又は糖残基を示し、[C]は糖残基を示し、Rは水酸基又は置換水酸基を示す)
で表される硫酸化糖を製造する方法において、下記一般式(Ia)
[A]−(6SO−GlcNAc)−[B] (Ia)
(式中、(6SO−GlcNAc)及び[A]は前記と同じ意味を有し、[B]は置換水酸基又は糖残基を示す)
で表される硫酸化糖鎖と、下記一般式(Ib)
HO−[C]−R (Ib)
(式中、[C]及びRは前記と同じ意味を有する)
で表される糖とを、N−アセチルヘキサミニダーゼ又はN−アセチルグルコサミダーゼの存在下で反応させることを特徴とする前記一般式(I)で表される硫酸化糖鎖の製造方法。
(12)下記一般式(II)
HO−(GlcNAc)−(6SO−GlcNAc)−[D] (II)(式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、(GlcNAc)はN−アセチルグルコサミン残基を示し、[D]は水酸基、置換水酸基又は糖残基を示す)
で表される硫酸化糖を製造する方法において、下記一般式(IIa)
HO−(6SO−GlcNAc)−[D] (IIa)
(式中、(6SO−GlcNAc)及び[D]は前記と同じ意味を有する)
で表される硫酸化糖と、下記一般式(IIb)
HO−(GlcNAc)−[Z] (IIb)
(式中、(GlcNAc)はN−アセチルグルコサミン残基を示し、[Z]は、水酸基、置換水酸基又は糖残基を示す)
で表される糖とを、N−アセチルヘキサミニダーゼ又はN−アセチルグルコサミダーゼの存在下で反応させることを特徴とする前記一般式(II)で表される硫酸化糖の製造方法。
本発明の第1の態様によれば、下記一般式(I)で表される硫酸化糖及びその製造方法が提供される。
[A]−(6SO−GlcNAc)−[C]−R (I)
前記式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミンから誘導される残基を示す。
前記[A]は、水酸基又は糖残基を示す。糖残基には、単糖、オリゴ糖及び多糖の中から選ばれる糖から誘導される残基が包含される。単糖には、従来公知のもの、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン等が包含される。オリゴ糖には、それらの単糖からなるオリゴ糖や、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン等が包含される。多糖には、前記単糖やオリゴ糖が高度に重合したもの等が包含される。これらの糖は、硫酸基やリン酸基を含有していてもよい。
前記[C]は、糖残基を示す。糖残基には、単糖、オリゴ糖及び多糖の中から選ばれる糖から誘導される残基が包含される。単糖には、従来公知のもの、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン等が包含される。オリゴ糖には、それらの単糖からなるオリゴ糖や、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン等が包含される。多糖には、前記多糖やオリゴ糖が高度に重合したもの等が包含される。これらの糖は、硫酸基やリン酸基を含有していてもよい。
Rは水酸基又は置換水酸基を示す。
前記置換水酸基は、水酸基における水素が置換基で置換されたものを意味し、−OR’で表される。この場合のR’が置換基を示し、この置換基R’には、脂肪族基や芳香族基が包含される。脂肪族基には不飽和結合が存在していてもよく、その炭素数は1〜4である。このような脂肪族基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられる。芳香族基には、フェニル及び置換フェニルが包含される。置換フェニルとしては、ニトロ基やアルコキシ基等で置換されたものが挙げられ、好ましい置換フェニルは、パラニトロフェニルやオルトニトロフェニル等である。
本発明の第2の態様によれば、下記一般式(II)で表される硫酸化糖及びその製造方法が提供される。
HO−(GlcNAc)−(6SO−GlcNAc)−[D] (II)
前記式中、(6SO−GlcNAc)は前記と同じ意味を示し、(GlcNAc)はアセチルグルコサミンから誘導された残基を示す。
前記[D]は、水酸基、置換水酸基又は糖残基を示す。糖残基には、単糖、オリゴ糖及び多糖の中から選ばれる糖から誘導される残基が包含される。単糖には、従来公知のもの、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン等が包含される。オリゴ糖には、それらの単糖からなるオリゴ糖や、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン等が包含される。多糖には、前記単糖やオリゴ糖が高度に重合したもの等が包含される。これらの糖は、硫酸基やリン酸基を含有していてもよい。
前記置換水酸基は、水酸基における水素が置換基で置換されたものを意味し、その具体例としては前記で示したものを挙げることができる。
本発明による前記一般式(I)で表される硫酸化糖は、下記一般式(Ia)
[A]−(6SO−GlcNAc)−[B] (Ia)
(式中、(6SO−GlcNAc)及び[A]は前記と同じ意味を有し、[B]は置換水酸基又は糖残基を示す)
で表される硫酸化糖と、下記一般式(Ib)
HO−[C]−R (Ib)
(式中、[C]は糖残基を示し、Rは水酸基又は置換水酸基を示す)
で表される糖とを、N−アセチルヘキサミニダーゼ又はN−アセチルグルコサミダーゼの存在下で反応させることによって製造される。
前記反応は、以下の反応式で示される。
[A]−(6SO−GlcNAc)−[B]+HO−[C]−R
→ [A]−(6SO−GlcNAc)−[C]−R+B (a)
前記一般式(Ia)において、[B]と(6SO−GlcNAc)との間の結合様式は、α結合およびβ結合のいずれでもよく、[B]は、(6SO−GlcNAc)の1位に結合している。[B]が単糖及びオリゴ糖の中から選ばれる糖から誘導された残基の場合、その[B]の2位、3位、4位又は6位と[6−SO−GlcNAc]の1位とが結合している。但し、[B]がN−アセチルグルコサミンやN−アセチルマンノサミン等から誘導される残基の場合、その[B]の1位以外の3位、4位又は6位と(6−SO−GlcNAc)の1位とが結合している。
前記一般式(IIa)で表される硫酸化糖は、公知の化合物であり、その天然品及び合成品が市販されている。
前記一般式(IIa)で表される硫酸化糖の具体例を示すと、以下の通りである。
(1)HO−(6SO−GlcNAc)−OCH
(2)HO−(6SO−GlcNAc)−OC
(3)HO−(6SO−GlcNAc)−OCNO
(NOはオルト又はパラ位が好ましい)
(4)HO−[Gal]−(6SO−GlcNAc)−OCH
(5)HO−[Gal]−(6SO−GlcNAc)−OC
(6)HO−[Gal]−(6SO−GlcNAc)−OCNO
(NOはオルト又はパラ位が好ましい)
前記式中、[Gal]は、ガラクトース残基を示す。ガラクトース残基[Gal]は、グルコース残基、マンノース残基、N−アセチルグルコサミン残基、N−アセチルガラクトサミン残基又はN−アセチルマンノサミン残基、それらのオリゴ糖残基等で置換することができる。
前記[A]−(6SO−GlcNAc)−[B]の構造式を示すと下記の通りである。
Figure 2002103025
前記式中、RとRとの組合せは以下の通りである。
▲1▼ R=[A]、R=H
▲2▼ R=H、R=[A]
▲3▼ R=H、R=H([A]がOHである場合)
前記[A]を示す糖残基の構造式を示すと下記の通りである。
Figure 2002103025
前記式中、R〜Rは水素であるか又はR〜Rのうちの1つが硫酸基、リン酸基又は糖残基であり、残りのものは水素である。糖残基としては、グルコース、ガラクトース等の単糖から誘導される糖残基や、それらの糖のオリゴ糖等から誘導される糖残基が包含される。
前記[B]を示す糖残基の構造式を示すと下記の通りである。
Figure 2002103025
前記式中、Rはアルキル基、フェニル基、置換フェニル基、水素又は糖残基を示し、R〜R11のうちの1つは結合手(−)であり、(6SO−GlcNAc)の1位(構造式Iaの[B]が結合する位置)に結合し、残りは水素を示す。その水素の1つは硫酸基又はリン酸基で置換されていてもよい。
なお、前記式[A]及び[B]において、RO−、RO−、R−、RO−、R10O−は、アキシャル配置でも、エクアトリアル配置でもよい。
前記一般式(I)及び(Ia)において、[A]と(6−SO−GlcNAc)との間の結合様式は、α結合及びβ結合のいずれでもよく、[A]の1位と、(6SO−GlcNAc)の3位又は4位とが結合している。
また、前記[A]を示す糖残基において、その6位、2位、3位又は4位は硫酸化又はリン酸化されていてもよい。この糖の硫酸化物やリン酸化物には、例えば、3位が硫酸化されたガラクトースや6位がリン酸化されたグリコース等が包含される。
前記[C]−Rにおいて、[C]は糖残基を示す。この場合の糖残基には、単糖、オリゴ糖及び多糖の中から選ばれる糖から誘導される残基が包含される。多糖には、従来公知のもの、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン等が包含される。オリゴ糖には、それらの単糖からなるオリゴ糖や、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン等が包含される。多糖には、前記単糖やオリゴ糖が高度に重合したもの等が包含される。
Rは水酸基又は置換水酸基を示すが、この場合の置換水酸基の具体例としては、前記したものを挙げることができる。
前記[C]を示す糖残基において、その1位の水酸基は、置換水酸基であることができる。この場合の置換水酸基としては、前記したものを挙げることができる。
前記[C]を示す糖残基の1例についてその構造式を示すと、以下の通りである。
Figure 2002103025
前記式中、R12は水素、置換基又は糖残基を示す。R13〜R16のうちの1つは結合手(−)であり、残りは水素を示すが、その1つは糖残基や、硫酸基やリン酸基等であってもよい。OR13はNHAcであってもよい。
前記、糖残基[C]を与える糖としては、以下のものが挙げられる。
メチル α−グルコピラノシド、
ラクトース(ガラクトピラノシルβ1→4グルコピラノシド)
β−D−N−アセチルグルコサミン
本発明では、前記一般式(Ia)の硫酸化糖と前記一般式(Ia)の糖とを反応させる。この場合の反応は、硫酸基(SO)含有糖を転移させる反応である。
原料の使用割合は、通常モル比で、1対1の割合であるが、どちらかを過剰量用いても差し支えない。反応は液相で行われ、反応温度は、0〜80℃、好ましくは室温〜50℃の範囲である。用いる酵素は、N−アセチルヘキソサミニダーゼ(又はN−アセチルグルコサミニダーゼ)である。この酵素は、カビ、仔牛の臓器、バクテリア、豆、酵母又は組み換えDNA等に由来するものであることができる。
酵素である、N−アセチルヘキソサミニダーゼ(E.C.3.2.1.52)または、N−アセチルグルコサミニダーゼ(E.C.3.2.1.52)(両酵素は本質的に同一であるが、市販品の中には2つの異なった名称で市販されている)は、各種の担体に担持させて用いることもできる。酵素を担体に担持させて用いる場合には、安価に行うことができる。担体には、アルギン酸樹脂、リポソームなどを挙げることができる。
反応は溶媒の存在下に行う。溶媒としては通常水系媒体が用いられる。
反応終了後反応生成物は原料物質に対して1〜80%の単離収率で得ることができる。反応終了後、反応生成物を逆相クロマトグラフィー、分子ふるい、イオン交換などの手段により分離精製することができる。
本反応には、燐酸緩衝液やトリス塩酸緩衝液、HEPES緩衝液のような通常用いられる緩衝液を用いる。また、アセトニトリルやメタノールなどの親水性有機溶媒もこの緩衝液中に加えられる。その割合は、0〜90%であるが、10〜50%が望ましい。まれに、トルエンやジエチルエーテルのような溶媒も用いられるが、この場合には、2相系となる。反応は、0℃〜80℃の範囲で行われる。望ましくは、室温近辺〜50℃で行われる。
前記反応で得られる[A]−[6SO−GlcNAc]−[C]−Rにおいて、その(6SO−GlcNAc)と[C]との結合様式は、β1→2,β1→3,β1→4,β1→6,α1→2、α1→3、α1→4、α1→6のいずれか、もしくは、これらの混合物である。[C]がN−アセチルグルコサミンやN−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミンの場合には、β1→2及びα1→2の結合様式は除かれる。[C]に硫酸基やリン酸基が含まれる場合には、それらのアニオン性基が存在する位置への結合は除かれる。
[A]と(6SO−GlcNAc)との結合様式は、α結合及びβ結合のいずれでもよく、[A]の1位と(6SO−GlcNAc)の3位又は4位とが結合している。
前記一般式(I)の硫酸化糖の具体的例を示すと、以下の通りである。
(1)HO−β−D−(6−sulfo)−GlcNAc−(1→4)−α−Glc−OCH
(2)HO−(6−sulfo)−GlcNAcβ−(1→3 or 6)−Galβ1→4−Glc
(3)HO−(6−sulfo)−GlcNAcβ−(1→3 or 4)−GlcNAc
本発明の一般式(I)の化合物の特徴は、硫酸化糖を糖鎖供与体に、他の糖を糖鎖受容体に用いて処理することにより得られる、非還元末端側に硫酸化糖鎖を伸長させた構造体である。この目的生成物に対応する副生成物は、糖Bである。
本発明による前記の一般式(I)の化合物は、白血球に存在するセレクチンタンパク質と効果的に結合するため、抗炎症薬の作用を有するものであり、医薬の現場などで広く使用されると期待される。
本発明による前記一般式(II)で表される硫酸化糖は、下記一般式(IIa)
HO−(6SO−GlcNAc)−[D] (IIa)
で表される硫酸化糖と、下記一般式(IIb)
HO−(GlcNAc)−[Z] (IIb)
で表される糖とを、前記した酵素の存在下で反応させることによって製造される。
この場合の反応式を示すと以下の通りである。
HO−(6SO−GlcNAc)−[D]+HO−(GlcNAc)
−[Z] → HO−(GlcNAc)
−(6SO−GlcNAc)−[D]+Z (b)
前記[D]は、水酸基、置換水酸基又は糖残基を示す。糖残基には、単糖、オリゴ糖及び多糖の中から選ばれる糖から誘導される残基が包含される。多糖には、従来公知のもの、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン等が包含される。オリゴ糖には、それらの単糖からなるオリゴ糖や、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン等が包含される。多糖には、前記単糖やオリゴ糖が高度に重合したもの等が包含される。これらの糖は、硫酸基やリン酸基を含有していてもよい。[Z]及び[D]が糖残基の場合、[Z]は[D]と異なる糖残基であることが好ましい。
置換水酸基は、水酸基の水素が置換基によって置換されたものを意味し、その具体例については前記に示されている。
この[D]を示す糖残基と6−硫酸化−N−アセチルグルコサミン残基(6SO−GlcNAc)との間の結合様式は、(6SO−GlcNAc)の1位と、[D]の2位、3位、4位又は6位との間の結合である。[D]は、その2位、3位、4位及び6位のうちの(6SO−GlcNAc)と結合していない位置に存在する水酸基のうちの1つは、硫酸化又はリン酸化されていてもよい。また、[D]がN−アセチルグルコサミン残基等の場合は、その2位が封鎖されていることから、その結合位置は2位を除いた3位、4位又は6位である。
前記一般式(IIa)で表される硫酸化糖は、反応に際しては、糖鎖受容体として作用し、糖鎖供与体としてのHO−(GlcNAc)−[Z]と反応させることにより、その糖還元末端に硫酸化糖鎖を伸長させることができる。本発明で糖鎖受容体として用いる好ましい硫酸化糖としては、p−ニトロフェニルβ−D−(6−スルホ)−N−アセチルグルコサミンを示すことができる。
前記HO−(GlcNAc)−[Z]において、[Z]は(GlcNAc)の1位に結合する。[Z]が糖残基の場合には、(GlcNAc)と[Z]との結合様式は、α結合及びβ結合のいずれでもよく、(GlcNAc)の1位と、[Z]の2位、3位、4位又は6位と結合している。[Z]において、その2位、3位、4位及び6位のうちの(6−SO−GlcNAc)と結合していない位置に存在する水酸基の1つは硫酸化又はリン酸化されていてもよい。また、糖残基[Z]がN−アセチルグルコサミン残基等の2位が封鎖されている場合には、その結合位置は2位を除いた3位、4位又は6位である。
本発明で好ましく用いられる用いられる糖鎖供与体は、パラニトロフェニル−β−アセチルグルコサミン((GlcNAc)−[パラニトロフェニル])等である。
本発明においては、前記HO−(6SO−GlcNAc)−[D]で表される硫酸化糖と、一般式HO−(GlcNAc)−[Z]で表される糖とを反応させて、一般式HO−(GlcNAc)−[Z]の糖鎖HO−(GlcNAc)を、一般式HO−(6SO−GlcNAc)−[D]の硫酸化糖鎖(6SO−GlcNAc)に転移させる。これによって前記一般式(II)の硫酸化糖を製造することができる。
原料の使用割合は、通常、モル比で1対1の割合で反応させるが、どちらかを過剰量用いても差し支えない。反応は液相で行われ、反応温度は、0〜80℃、好ましくは室温〜50℃の範囲である。
用いる酵素は、N−アセチルヘキソサミニダーゼ(E.C.3.2.1.52)又はN−アセチルグルコサミニダーゼ(E.C.3.2.1.52)である。これら酵素の由来は、カビ、仔牛の臓器、バクテリア、豆、酵母及び組み換えDNA等である。酵素は各種の担体に担持させて用いることができる。このように酵素を担体に担持させて用いることにより、安価に反応を行うことができる。担体には、アルギン酸ポリマーやリポソームなどを挙げることができる。
反応は溶媒の存在下に行う。溶媒としては、通常水が用いられる。反応終了後、反応生成物を原料物質に対して1〜80%の単離収率で得ることができる。反応終了後、反応生成物を逆相クロマトグラフィー、分子ふるい(ゲル濾過)、イオン交換樹脂の手段により分離精製することができる。
本反応は、リン酸緩衝液やトリス塩酸緩衝液、HEPES緩衝液のような通常用いられる緩衝液をもちいる。また、アセトニトリルやメタノールなどの親水性有機溶媒もこの緩衝液中に加ることができる。その割合は、0〜90%であるが、10〜50%が望ましい。まれに、トルエンやジエチルエーテルのような溶媒も用いられるが、この場合には、2相系となる。反応は、0℃〜80℃の範囲で行われる。反応温度は、望ましくは、室温近辺〜50℃である。
本発明による第2の硫酸化糖鎖は、下記一般式(II)で表される。
HO−(GlcNAc)−(6SO−GlcNAc)−[D] (II) 前記式中、[D]は前記と同じ意味を有する。
前記(GlcNAc)と(6SO−GlcNAc)との間の結合様式は、α結合及びβ結合のいずれでもよく、(GlcNAc)の1位と、(6SO−GlcNAc)の3位又は4位とが結合している。つまり、本発明の硫酸化糖鎖は、糖の還元末端側に硫酸化糖鎖を有することを特徴とする糖化合物である。
本発明による前記一般式(II)の硫酸化糖鎖は、白血球に存在するセレクチンタンパク質と効果的に結合するため、抗炎症薬の作用を有するものであり、医薬の現場などでとして広く使用されると期待される。
本発明による好ましいものは、下記式で表される硫酸化糖である。
Figure 2002103025
実施例
以下に、本発明の実施例を示す。本発明はこれに限定されるものではない。得られた物質の確認は、NMRによった。
実施例1
(一般式(I)の化合物の合成)
p−ニトロフェニルβ−D−(6−スルフォ)−N−アセチルグルコサミンナトリウム塩(54mg)とメチルα−D−グルコピラノシド(500mg)を、50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0、1mL)中に溶かし、Aspergillus oryzae由来のβ−D−N−アセチルヘキソサミニダーゼ(10.5ユニット)(EC.3.2.1.52,シグマ社製)を加え、35℃で71時間インキュベートした。反応液を100℃の水に5分間浸して反応を止めた。次に、その反応混合液をDEAE セファデックスA−25カラムで精製した(溶離液:水→0.2M酢酸アンモニウム溶液)。Dowex−50W−X8カラム(H)でさらに精製し、最後にBio−Gel P−2クロマトグラフィーで精製した。その結果、目的生成物である、β−D−(6−sulfo)−GlcNAc−(1→4)−α−Glc−OCHを9.8mg(17%)得た。
H NMR(400MHZ,DO):δ5.187(d,1H,J1,2 3.2Hz,H−1),4.704(d,1H,J1,2 8.4Hz,H−1’),3.403(s,3H,OMe),and 2.032(3H,Ac).
13C NMR:δ176.23,100.98,96.63,77.66,75.61,74.79,73.23,72.92,72.38,71.52,71.25,62.26,56.71,55.79,23.58.
[α]+27.5°(C=0.47,HO)
FAB−MS 522(M+Na)
実施例2
(一般式(I)の化合物の合成)
p−ニトロフェニル β−D−(6−スルフォ)−N−アセチルグルコサミン ナトリウム塩(40mg)とラクトース(ガラクトピラノシルβ1→4グルコピラノシド)(510mg)を50mMの酢酸ナトリウムの緩衝液(pH6.0,1.4mL)中に溶かし、bovine epididyms(仔牛)由来のβ−D−N−アセチルグルコサミニダーゼA(EC.3.2.1.52,シグマ社製)(5ユニット/4.2mL)を1.2mL加え、35℃で29時間インキュベートした。反応液を100℃の水に5分間浸して反応を止めた。次に、その反応混合液をC−18 ODSカラム、DEAE セファデックスA−25カラム、Dowex−50W−X8カラム(H)、最後に、Bio−Gel P2カラムの順で精製した。その結果、目的生成物である、(6−sulfo)−GlcNAcβ−(1→3)−Galβ1→4−Glcを16mg得た。
H NMR(DO):δ5.188(d,1H,J1,2 3.6Hz,H−1α),4.733(H−1”),4.710(H−1’),4.689(H−1β),and 2.032(3H,Ac).
実施例3
(一般式(I)の化合物の合成)
p−ニトロフェニル β−D−(6−スルフォ)−N−アセチルグルコサミン ナトリウム塩(50mg)とβ−D−N−アセチルグルコサミン(250mg)を50mMの酢酸ナトリウムの緩衝液(pH6.0,2.0mL)中に溶かし、Aspergillus oryzae由来のβ−D−N−アセチルヘキソサミニダーゼ(EC.3.2.1.52,シグマ社製)(30ユニット/500μl)0.5mlを加え、35℃で370時間インキュベートした。反応液を100℃の水に5分間浸して反応を止めた。次に、その反応混合液をC−18 ODSカラム、DEAE セファデックスA−25カラム、Dowex−50W−X8カラム(H)、最後に、Bio−Gel P2カラムの順で精製した。その結果、目的生成物である、(6−sulfo)−GlcNAcβ−(1→4)−GlcNAcを7.3mg(38%)得た。
400MHZ−H NMR(DO):δ5.180(d,1H,J1,2 2.4Hz,H−1α),4.693(d,1H,J1,2 7.6Hz,H−1β),4.591(d,1H,J1’,2’ 8.4Hz,H−1’α),),4.582(d,1H,J1’,2’ 8.4Hz,H−1’β),and 2.054 and 2.032(3H,Ac X2).
[α]+12°(C=1.3,HO)
FAB−MS 548(M+Na)
実施例4
(一般式(II)の化合物の合成)
p−ニトロフェニル β−D−N−アセチルグルコサミン(100mg)とp−ニトロフェニル β−D−(6−スルフォ)−N−アセチルグルコサミン(800mg)を50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0,10mL)中に溶かし、Aspergillus oryzae由来のβ−D−N−アセチルヘキソサミニダーゼ(シグマ社製)3ユニットを加え、35℃で7時間インキュベートした。反応液を100℃の水に5分間浸して反応を止めた。次に、その溶液を直接C−18 ODS カラムで精製した。生成物と未反応のアクセプターの混合したフラクションについて、25%メタノール溶液を溶離液としトヨパール HW−40Sでさらに精製した。目的とするβ−D−GlcNAc−(1→4)−β−D−(6−sulfo)−GlcNAc−OCNO−pを25mg(14%)得た。
H NMR(DO):δ8.251(d,2H,J 9.2Hz,m−Ph),7.191(d,2H,J 9.2Hz,o−Ph),5.325(d,1H,J1,2 8.4,H−1),4.658(d,1H,J1’,2’ 8.4,H−1’),2.102,2.005(6H,2Ac).
[α]−28°(C=0.6,HO)
FAB−MS 670(M+Na)
産業上の利用可能性
本発明によれば、市販酵素であるN−アセチルヘキソサミニダーゼを用いて、(1)硫酸化糖を供与体とし、他の糖を受容体として反応させると、非還元末側に硫酸化糖を伸長させた新規な硫酸化糖を得ることができた。また、(2)硫酸化糖を受容体に、他の糖を供与体に用いて処理すると、還元末側に硫酸化糖を伸張させた新規な硫酸化糖を得ることができた。
これらの新規生成物は、白血球に存在するセレクチンタンパク質と効果的に結合するため、抗炎症薬の作用を有するものであり、医薬の現場などでとして広く使用されると期待される。

Claims (12)

  1. 下記一般式(I)で表されることを特徴とする硫酸化糖。
    [A]−(6SO−GlcNAc)−[C]−R (I)(式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、[A]は水酸基又は糖残基を示し、[C]は糖残基を示し、Rは水酸基又は置換水酸基を示す)
  2. 該一般式(I)における[A]を示す糖残基が、グルコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン及びそれら糖からなるオリゴ糖の中から選ばれる糖から誘導された糖残基であることを特徴とする請求の範囲(1)に記載の硫酸化糖。
  3. 該一般式(I)における[C]を示す置換水酸基が、パラニトロフェノキシ基であることを特徴とする請求の範囲(1)又は(2)に記載の硫酸化糖。
  4. 該[A]を示す糖残基が、硫酸基又はリン酸基を含有することを特徴とする請求の範囲(1)〜(3)のいずれかに記載の硫酸化糖。
  5. 該一般式(I)における[C]を示す糖残基が、グリコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン及びそれらの糖からなるオリゴ糖の中から選ばれる糖から誘導された糖残基であることを特徴とする請求の範囲(1)〜(4)のいずれかに記載の硫酸化糖。
  6. 該[C]を示す糖残基が、硫酸基又はリン酸基を含有することを特徴とする請求の範囲(5)に記載の硫酸化糖。
  7. 下記一般式(II)で表されることを特徴とする硫酸化糖。
    HO−(GlcNAc)−(6SO−GlcNAc)−[D] (II)(式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、(GlcNAc)はN−アセチルグルコサミン残基を示し、[D]は水酸基、置換水酸基又は糖残基を示す)
  8. 該一般式(II)における[D]を示す糖残基が、グリコース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン及びそれらの糖からなるオリゴ糖の中から選ばれる糖から誘導された糖残基であることを特徴とする請求の範囲(7)に記載の硫酸化糖。
  9. 該一般式(II)における[D]を示す置換水酸基が、パラニトロフェノキシ基であることを特徴とする請求の範囲(7)又は(8)に記載の硫酸化糖。
  10. 該[D]を示す糖残基が、硫酸基又はリン酸基を含有することを特徴とする請求の範囲(7)〜(9)のいずれかに記載の硫酸化糖。
  11. 下記一般式(I)
    [A]−(6SO−GlcNAc)−[C]−R (I)
    (式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、[A]は水酸基又は糖残基を示し、[C]は糖残基を示し、Rは水酸基又は置換水酸基を示す)
    で表される硫酸化糖を製造する方法において、下記一般式(Ia)
    [A]−(6SO−GlcNAc)−[B] (Ia)
    (式中、(6SO−GlcNAc)及び[A]は前記と同じ意味を有し、[B]は置換水酸基又は糖残基を示す)
    で表される硫酸化糖と、下記一般式(Ib)
    HO−[C]−R (Ib)
    (式中、[C]は糖残基を示し、Rは水酸基又は置換水酸基を示す)
    で表される糖とを、N−アセチルヘキサミニダーゼ又はN−アセチルグルコサミダーゼの存在下で反応させることを特徴とする前記一般式(II)で表される硫酸化糖の製造方法。
  12. 下記一般式(II)
    HO−(GlcNAc)−(6SO−GlcNAc)−[D] (II)
    (式中、(6SO−GlcNAc)は6−硫酸化N−アセチルグルコサミン残基を示し、(GlcNAc)はN−アセチルグルコサミン残基を示し、[D]は水酸基、置換水酸基又は糖残基を示す)
    で表される硫酸化糖を製造する方法において、下記一般式(IIa)
    HO−(6SO−GlcNAc)−[D] (IIa)
    (式中、(6SO−GlcNAc)及び[D]は前記と同じ意味を有する)
    で表される硫酸化糖と、下記一般式(IIb)
    HO−(GlcNAc)−[Z] (IIb)
    (式中、(GlcNAc)N−アセチルグルコサミン残基を示し、[Z]は、水酸基、置換水酸基又は糖残基を示す)
    で表される糖とを、N−アセチルヘキサミニダーゼ又はN−アセチルグルコサミダーゼの存在下で反応させることを特徴とする前記一般式(II)で表される硫酸化糖鎖の製造方法。
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