JPWO2002071143A1 - 光源装置、光照射装置及び露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
第1の波長の光と第2の波長の光を同軸で入射した非線形光学結晶(189)が、非臨界位相整合又は擬似位相整合によって第1の波長の光からその第2高調波である第3の光を効率良く生成するとともに、第2の波長の光と前記第3の波長の光とをほぼ同軸で射出する。従って、後段の非線形光学結晶(191)において、第2の波長の光と前記第3の波長の光との和周波生成における位相整合のための光路調整用部品を使用せずに、効率良く和周波生成を行うことができる。このため、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる。
Description
技術分野
本発明は、光源装置、光照射装置及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、さらに詳しくは、レーザ光を波長変換した光を発生する光源装置、該光源装置を備える光照射装置及び露光装置、並びに前記光照射装置をリソグラフィ工程で用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
従来から、物体の微細構造の検査、物体の微細加工、また、視力矯正の治療等に光照射装置が使用されている。例えば、半導体素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを、投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「基板」又は「ウエハ」という)上に転写するために、光照射装置の一種である露光装置が用いられている。こうした露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式を採用する静止露光型の投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式を採用する走査露光型の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等が主として用いられている。また、視力矯正のために、角膜表面のアブレーション(PRK:Photorefractive Keratectomy)あるいは角膜内部のアブレーション(LASIK:Laser Intrastromal Keratomileusis)を行って近視や乱視等の治療をするために、光照射装置の一種であるレーザ治療装置が用いられている。
かかる光照射装置のために、短波長の光を発生する光源について多くの開発がなされてきた。こうした、短波長光源の開発の方向は、主に次の2種に大別される。その一つはレーザの発振波長自身が短波長であるエキシマレーザ光源の開発であり、もう一つは赤外又は可視光レーザの高調波生成を利用した短波長光源の開発である。
このうち、前者の方向に沿っては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を使用する光源装置が開発され、現在ではさらに短波長の光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)等を使用する光源装置の開発が進められている。しかし、これらのエキシマレーザは大型であること、有毒なフッ素ガスを使用するためレーザのメインテナンスが煩雑でかつ費用が高額となるなどの、光源装置として不利な点が存在する。
そこで、後者の方向に沿った短波長化の方法である、非線形光学結晶の非線形光学効果を利用し、長波長の光(赤外光、可視光)をより短波長の紫外光に変換する方法が注目を集めている。かかる方法を使用した光源装置としては、例えば、国際公開公報WO99/46835に開示されたもの(以下、単に「従来例」という)がある。
上述のような非線形光学結晶を使用する短波長化の方法では、複数の非線形光学結晶を直列(及び、必要に応じて並列)に配置し、各非線形光学結晶における第2高調波生成又は和周波生成により、段階的に波長変換をする方法が、一般的に採用されている。こうした波長変換の方法を採用した場合には、ある段の非線形光学結晶において生成した第2高調波と、より前の段で使用した光あるいは生成した光との和周波生成を、より後の段の非線形光学結晶で行わせることがしばしば起きる。
しかしながら、通常使用される臨界位相整合の方法では、非線形光学結晶内において第2高調波生成や和周波生成により発生した光の進行方向と、その元となった非線形光学結晶への入射光の進行方向との角度ずれ(Walk−off)が発生する。したがって、和周波生成により短波長の光を効率良く発生させるために、ある段の非線形光学結晶において生成された第2高調波と、より前の段で使用した光あるいは生成された光とを、より後の段の非線形光学結晶に同軸で入射させるには、少なくとも一方の光についてその光路(光軸)を調整することが必要であった。このため、光軸調整用に多くの光学部品を配置しなければ、段階的に波長変換をする光源装置を実現することができなかった。
このため、段階的に波長変換をする従来の光源装置の構成は複雑かつ大規模なものとなってしまうとともに、微妙な光路調整が必須であった。
本発明は、上記の事情のもとでなされたものであり、その第1の目的は、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる光源装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、効率良く波長変換された光を物体(照射対象物)に照射することができる光照射装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、効率良く波長変換された光を用いて第1物体に形成されたパターンを第2物体上に精度良く転写することができる露光装置を提供することにある。
また、本発明の第4の目的は、デバイスの生産性の向上を図ることが可能なデバイス製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明は、第1の観点からすると、単一波長の光を発生するレーザ光発生部と;前記レーザ光発生部が発生するレーザ光と同一波長の光を入射光として波長変換を行う波長変換部と;を備え、前記波長変換部は、前記入射光及び該入射光の高調波のうちの第1の波長の光と第2の波長の光とを入射し、非臨界位相整合及び擬似位相整合の一方を使用した第2高調波生成により、前記第1の波長の1/2の波長である第3の波長の光を生成し、前記第2の波長の光と前記第3の波長の光とをほぼ同軸で射出する第1の非線形光学結晶を有することを特徴とする光源装置である。
これによれば、第1の非線形光学結晶が、非臨界位相整合又は擬似位相整合によって第1の波長の光からその第2高調波である第3の波長の光を効率良く生成するとともに、第2の波長の光と前記第3の波長の光とをほぼ同軸で射出する。このため、例えば、第1の非線形光学結晶の後段において、第2の波長の光と前記第3の波長の光との和周波生成を効率良く行うのにあたって、その位相整合のために光路の調整を行わずに済む。従って、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる。
この場合において、前記第1の非線形光学結晶として、GdYCOB(GdXY1−XCa4O(BO3)3)結晶(O<X<1)、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかを採用することができる。
この場合において、前記第1の非線形光学結晶を、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかとし、前記第1の波長の光が、前記第1の非線形光学結晶中を、非線形光学定数がほぼ最大となる方向に進行する構成とすることができる。
また、本発明の光源装置では、前記波長変換部が、前記第1の非線形光学結晶から射出された前記第2の波長の光と前記第3の波長の光とを入射し、和周波生成により第4の波長の光を生成する第2の非線形光学結晶を更に有する構成とすることができる。
この場合において、前記波長変換部が、前記第1の非線形光学結晶と前記第2の非線形光学結晶との間における前記第2の波長の光及び前記第3の波長の光の光路上に配設され、前記第2の波長の光と前記第3の波長の光との光軸ずれを補正する光路補正器を更に有する構成とすることができる。
また、本発明の光源装置では、前記波長変換部が、前記第1の非線形光学結晶よりも前段に配置され、非臨界位相整合及び擬似位相整合の一方を使用して波長変換を行う少なくとも1つの非線形光学結晶を更に有する構成とすることができる。
この場合において、前記少なくとも1つの非線形光学結晶それぞれとして、LBO(LiB3O5)結晶、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかを採用することができる。
また、本発明の光源装置では、前記レーザ光発生部が発生した光を増幅し、前記波長変換部へ向けて射出する光増幅部を更に備える構成とすることができる。
この場合において、前記光増幅部が光ファイバ増幅器を有する構成とすることができる。
また、本発明の光源装置では、前記レーザ光発生器が赤外域から可視域までの波長範囲内のレーザ光を発生し、前記波長変換部が紫外光を射出する構成とすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、物体に光を照射する光照射装置であって、本発明の光源装置と;前記光源装置から射出された光を前記物体に向けて射出する照射光学系と;を備える光照射装置である。
これによれば、本発明の光源装置から射出された光を、照射光学系を介して物体に照射するので、効率良く波長変換された光を物体に照射することができる。
この場合において、前記光が照射される物体としては、光照射装置の使用目的に応じて種々の物体が用いられる。例えば、光照射装置をデバイスパターンの形成に使用する場合には、前記物体として感光物体を用いることができる。
本発明は、第3の観点からすると、本発明の光源装置と;該光源装置から射出された光を第1物体に照射する照明光学系と;を備え、前記第1物体に形成されたパターンが第2物体に転写されるように前記第1物体に照射された光で前記第2物体を露光することを特徴とする露光装置である。
これによれば、本発明の光源装置から射出された光が照明光学系によりパターンが形成された第1物体に照射されるので、効率良く波長変換された光が第1物体に照射され、その第1物体に照射された光で第2物体が露光される。従って、第1物体に形成されたパターンを第2物体に精度良く転写することが可能になる。
また、リソグラフィ工程において、物体として感光物体を用いる本発明の光照射装置を用いて前記感光物体を露光することにより、感光物体上にパターンを精度良く形成することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを生産性(歩留まりを含む)良く製造することができる。また、リソグラフィ工程において、本発明の露光装置を用いて第2物体上に第1物体に形成されたパターンを転写することにより、第2物体上に精度良くそのパターンを転写することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを生産性(歩留まりを含む)良く製造することができる。従って、本発明は、更に別の観点からすると、本発明の光照射装置あるいは露光装置などを用いるデバイス製造方法であるとも言える。
発明を実施するための最良の形態
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。
図1には、本発明に係る光源装置を含んで構成された第1の実施形態に係る光照射装置としての露光装置10の概略構成が示されている。この露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である。
この露光装置10は、光源装置16及び照明光学系12から成る照明系、この照明系からの露光用照明光(以下、「照明光」又は「露光光」という)ILにより照明されるレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRを介した露光光ILを感光物体(及び物体)としてのウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持するZチルトステージ58が搭載されたXYステージ14、及びこれらの制御系等を備えている。
前記光源装置16は、例えば、波長193nm(ArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長)の紫外パルス光、あるいは波長157nm(F2レーザ光とほぼ同一波長)の紫外パルス光を出力する高調波生成装置である。この光源装置16は、前記照明光学系12、レチクルステージRST、投影光学系PL、Zチルトステージ58、XYステージ14及びこれら各部が搭載された不図示の本体コラム等から成る露光装置本体とともに、温度、圧力、湿度等が高精度に調整されたエンバイロンメンタル・チャンバ(以下、「チャンバ」という)11内に収納されている。なお、本第1の実施形態では、光源装置16を全てチャンバ11内に配置するものとしたが、光源装置16の一部、例えば後述する波長変換部163のみをチャンバ11内、特に照明光学系12と同一の架台に設け、この波長変換部163と光源装置16の本体部とを光ファイバ等で接続しても良い。
図2には、光源装置16の内部構成が装置全体を統括制御する主制御装置50とともにブロック図にて示されている。この図2に示されるように、光源装置16は、光源部16A、レーザ制御装置16B、及び光量制御装置16C等を含んで構成されている。
前記光源部16Aは、レーザ光発生部としてのパルス光発生部160、光増幅部161、波長変換部163、及びビームモニタ機構164を含んで構成されている。
前記パルス光発生部160は、レーザ光源160A、光カップラBS、光アイソレータ160B及び光変調器としての電気光学変調器(以下、「EOM」という)160C等を有する。
前記レーザ光源160Aとしては、ここでは、単一波長発振レーザ、例えば、発振波長1.544μm、連続波出力(以下「CW出力」という)のDFB半導体レーザが用いられている。以下においては、レーザ光源160Aを適宜「DFB半導体レーザ160A」とも呼ぶものとする。
なお、DFB半導体レーザは、通常、ヒートシンクの上に設けられ、これらが筐体内に収納されている。本第1の実施形態では、DFB半導体レーザ160Aに付設されるヒートシンク上に温度調整器(例えばペルチェ素子など)が設けられており、レーザ制御装置16Bがその温度を制御することにより発振波長が制御(調整)可能な構成となっている。
前記光カップラBSとしては、透過率が97%程度のものが用いられている。このため、DFB半導体レーザ160Aからのレーザ光は、光カップラBSによって2つに分岐され、その97%程度が次段の光アイソレータ160Bに向かって進み、残り3%程度がビームモニタ機構164に入射するようになっている。
前記ビームモニタ機構164は、フォトダイオード等の光電変換素子から成るエネルギモニタ(図示省略)を含んでいる。このエネルギモニタの出力は、レーザ制御装置16Bを介して主制御装置50に供給されており、主制御装置50ではエネルギモニタの出力に基づいてレーザ光のエネルギパワーを検出し、レーザ制御装置16Bを介してDFB半導体レーザ160Aで発振されるレーザ光の光量を必要に応じて制御する。
前記光アイソレータ160Bは、光カップラBSからEOM160Cに向かう方向の光のみを通過させ、反対向きの光の通過を阻止する。この光アイソレータ160Bにより、反射光(戻り光)に起因するDFB半導体レーザ160Aの発振モードの変化や雑音の発生等が防止される。
前記EOM160Cは、光アイソレータ160Bを通過したレーザ光(CW光(連続光))をパルス光に変換するためのものである。EOM160Cとしては、屈折率の時間変化に伴うチャープによる半導体レーザ出力の波長広がりが小さくなるように、チャープ補正を行った電極構造を持つ電気光学変調器(例えば二電極型変調器)が用いられている。EOM160Cは、光量制御装置16Cから印加される電圧パルスに同期して変調されたパルス光を出力する。例えば、EOM160CによりDFB半導体レーザ160Aで発振されたレーザ光がパルス幅1ns、繰り返し周波数100kHz(パルス周期約10μs)のパルス光に変調する。なお、繰り返し周波数は、光ファイバ増幅器における自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)に起因するノイズの影響を抑制できる値が選択される。
なお、EOM160Cへの印加電圧とDFB半導体レーザ160Aへの供給電流制御とを併用して、出力光のパルス化を行うことが望ましい。かかる場合には、消光比を向上することができる。このようにすれば、EOM160Cのみを用いる場合に比べて、消光比を向上しつつ、パルス幅が狭いパルス光を容易に発生させることが可能になるとともに、パルス光の発振間隔や発振の開始及びその停止などをより簡単に制御することが可能になる。また、EOM160Cに代えて、音響光学変調器(AOM)を用いることも可能である。
前記光増幅部161は、EOM160Cからのパルス光を増幅するもので、図3に示されるように、EOM160Cからのパルス光を時間順に周期的に振り分けて分岐(例えば、128分岐)する光分岐器166と、複数の光ファイバ増幅器167とを含んで構成されている。
図3に示されるように、光ファイバ増幅器167は、増幅用媒体としての増幅用光ファイバ175、ポンプ光を発生する励起用半導体レーザ1781,1782、上述のEOM160Cの出力光とポンプ光とを合成し、こうして得られた合成光を増幅用光ファイバ175に供給する波長分割多重化装置(Wavelength Division Multiplexer:WDM)1791,1792を備えている。ここで、励起用半導体レーザ1781及びWDM1791は前方励起に使用され、一方、励起用半導体レーザ1782及びWDM1792は後方励起に使用されている。これにより、入力光強度に対する光増幅率の線形性の維持と、光増幅率の向上とを図っている。
前記増幅用光ファイバ175は、シリカガラス又はフォスフェイトガラスを主材とし、コアとクラッドを有し、コアにエルビウム(Er)、あるいはErとイッテルビウム(Yb)との2種のイオンが高密度にドープされた光ファイバが用いられる。
以上のように構成された光ファイバ増幅器167において、増幅用光ファイバ175に、励起用半導体レーザ1781,1782が発生したポンプ光がWDM1791,1792を介して供給された状態で、WDM1791を介してパルス光が入射し増幅用光ファイバ175のコア中を進行すると、誘導放射が発生し、パルス光が増幅される。かかる光増幅にあたって、増幅用光ファイバ175は高い増幅率を有するので、波長の単一性が高い高輝度のパルス光が出力される。このため、効率良く狭帯域の光を得ることができる。
前記励起用半導体レーザ1781,1782は、DFB半導体レーザ160Aにおける発振波長よりも短い波長(例えば、980nm)の光をポンプ光として発生する。このポンプ光がWDM1791,1792を介して増幅用光ファイバ175に供給され、それによりErの殻外電子が励起され、いわゆるエネルギ準位の反転分布が発生する。なお、励起用半導体レーザ1781,1782は、光量制御装置16Cによって制御されるようになっている。
また、本第1の実施形態では、各光ファイバ増幅器167のゲインの差を抑制するため、光ファイバ増幅器167の内部で出力光の一部が分岐され、それぞれの分岐端に設けられた光電変換素子171によって前記分岐された光がそれぞれ光電変換されるようになっている。これらの光電変換素子171の出力信号が光量制御装置16Cに供給されるようになっている。
光量制御装置16Cでは、各光ファイバ増幅器167からの光出力が一定になるように(即ちバランスするように)、各励起用半導体レーザ1781,1782のドライブ電流をフィードバック制御するようになっている。
前記波長変換部163は、複数の非線形光学結晶を含み、光増幅部161からのパルス光(波長1.544μmの光)をその8倍高調波に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ出力波長(193nm)のパルス紫外光を発生する。
図4には、この波長変換部163の構成例が示されている。ここで、この図に基づいて波長変換部163の具体例について説明する。なお、図4には、光増幅部161から射出される波長1.544μmの光を基本波として、非線形光学結晶を用いて8倍波(高調波)に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ波長である193nmの紫外光を発生する構成例を示す。
図4の波長変換部163では、基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)→4倍波(波長386nm)→7倍波(波長221nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換が行われる。
これを更に詳述すると、光増幅部161から射出された波長1.544μm(周波数ω)の光(基本波)は、集光レンズ181を介して、1段目の非線形光学結晶183に入射する。基本波がこの非線形光学結晶183を通る際に、いわゆるタイプ1の第2高調波生成により基本波の周波数ωの2倍、すなわち周波数2ω(波長は1/2の772nm)の2倍波が発生する。
この1段目の非線形光学結晶183として、LiB3O5(LBO)結晶が用いられ、不図示の温度調整器によって温度調整され、基本波を2倍波に波長変換するための位相整合が、ノンクリティカル位相整合(NCPM:Non−Critical Phase Matching)によって行われる。NCPMは、非線形光学結晶内での基本波と第二高調波との角度ずれ(Walk−off)が起こらず、高効率で2倍波への変換を可能にする。また、発生した2倍波はWalk−offによるビームの変形も受けないため有利である。そして、NCPMによる第2高調波生成ではWalk−offが発生しないため、非線形光学結晶183からは、基本波及び2倍波がほぼ同軸で射出される。
非線形光学結晶183から射出された基本波と2倍波とは、波長板184でそれぞれの電界成分に半波長、1波長の遅延が与えられる。この結果、基本波のみその偏光方向が90度回転する。そして、偏光方向が90度回転した基本波と2倍波とが、集光レンズ185を介して、2段目の非線形光学結晶186に入射する。2段目の非線形光学結晶186としてLBO結晶が用いられるとともに、そのLBO結晶は1段目の非線形光学結晶(LBO結晶)183とは異なる温度でNCPMによる位相整合が図られる。この非線形光学結晶186では、1段目の非線形光学結晶183で発生した2倍波と、波長変換されずにその非線形光学結晶183を透過した基本波とからタイプ1の和周波生成により3倍波(波長515nm)を得る。そして、非線形光学結晶186からは、基本波、2倍波、および3倍波がほぼ同軸で射出される。
次に、非線形光学結晶186から射出された基本波と、2倍波及び3倍波とは、波長選択素子であるダイクロイック・ミラー187により分離される。ここで、2倍波及び3倍波は反射され、集光レンズ188を介した後、3段目の非線形光学結晶189に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー187を透過した基本波は、ミラー194、集光レンズ1951,1952、及びミラー196を順次介し、後述する最終段である5段目の非線形光学結晶198へ向けて進行する。
3段目の非線形光学結晶189としてはGdYCOB(GdXY1−XCa4O(BO3)3)結晶が用いられ、3倍波は波長変換されずにそのLBO結晶を透過するとともに、2倍波がタイプ1の第2高調波生成により4倍波(波長386nm)に変換される。このGdYCOB結晶189は、組成を決定するパラメータXを調整して、2倍波から4倍波を生成する第2高調波生成をNCPMにより行える複屈折率を有するようにされている。なお、GdYCOB結晶189も温度制御によって、位相整合角の微調整が行われるようになっている。そして、非線形光学結晶189からは、3倍波及び4倍波がほぼ同軸で射出される。
非線形光学結晶189から射出された3倍波及び4倍波は、集光レンズ190を介して、4段目の非線形光学結晶191に入射する。4段目の非線形光学結晶191としては、BBO(β−BaB2O4)結晶が用いられ、3倍波と4倍波とからタイプ1の和周波生成により7倍波(波長221nm)を生成する。非線形光学結晶191で得られた7倍波は集光レンズ192,193を介するとともに、ダイクロイック・ミラー197で、前述したダイクロイック・ミラー187を透過した基本波と同軸に合成されて、5段目の非線形光学結晶198に入射する。
5段目の非線形光学結晶198としてLBO結晶が用いられ、基本波と7倍波とからタイプ1の和周波生成により8倍波(波長193nm)を得る。上記構成において、8倍波生成用LBO結晶198のかわりに、CsLiB6O10(CLBO)結晶、あるいはLi2B4O7(LB4)結晶などを用いることも可能である。なお、本実施形態では、3倍波と4倍波とから7倍波を生成するものとしたが、例えば基本波と6倍波とから7倍波を生成する場合には、その非線形光学結晶としてBBO結晶、CLBO結晶、LB4結晶、あるいはLBO結晶などを用いることが可能である。
図1に戻り、前記照明光学系12は、オプティカルインテグレータ、可変NDフィルタ、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を含んで構成されている。ここで、オプティカルインテグレータとしてはフライアイレンズ、内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)、あるいは回折光学素子等が用いられる。こうした照明光学系の構成は、例えば、特開平10−112433号公報、特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号公報などに開示されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
この照明光学系12から射出された露光光ILは、ミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域42Rを均一な照度分布で照明する。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、水平面(XY平面)内で移動可能であり、レチクルステージ駆動部49によって走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。この走査中のレチクルステージRSTの位置及び回転量は、レチクルステージRST上に固定された移動鏡52Rを介して外部のレーザ干渉計54Rによって計測され、このレーザ干渉計54Rの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
前記投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックな縮小系であり、共通のZ軸方向の光軸AXを有する複数枚のレンズエレメントから構成されている。また、この投影光学系PLとしては、投影倍率βが例えば1/4、1/5、1/6等のものが使用されている。このため、上記のようにして、露光光ILによりレチクルRにおける照明領域42Rが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンのうち照明領域42R内の一部を投影光学系PLによって投影倍率βで縮小した像が、投影光学系PLの視野内で照明領域42Rと共役な矩形の投影領域42Wに形成され、ウエハWの表面に塗布されたレジスト(感光剤)にその縮小像が転写される。
前記XYステージ14は、ウエハステージ駆動部56によって走査方向であるY方向及びこれに直交するX方向(図1における紙面直交方向)に2次元駆動されるようになっている。このXYステージ14上に搭載されたZチルトステージ58上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等により保持されている。Zチルトステージ58は、例えば3つのアクチュエータ(ピエゾ素子又はボイスコイルモータなど)によってウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)を調整すると共に、XY平面(投影光学系PLの像面)に対するウエハWの傾斜角を調整する機能を有する。また、XYステージ14の位置は、Zチルトステージ58上に固定された移動鏡52Wを介して外部のレーザ干渉計54Wにより計測され、このレーザ干渉計54Wの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
ここで、移動鏡は、実際には、X軸に垂直な反射面を有するX移動鏡とY軸に垂直な反射面を有するY移動鏡とが存在し、これに対応してレーザ干渉計もX軸位置計測用、Y軸位置計測用、及び回転(ヨーイング量、ピッチング量、ローリング量を含む)計測用のものがそれぞれ設けられているが、図1では、これらが代表的に、移動鏡52W、レーザ干渉計54Wとして示されている。
Zチルトステージ58上には、後述するレチクルアライメント等を行う際に使用される基準マーク板FMが設けられている。この基準マーク板FMは、その表面がウエハWの表面とほぼ同一の高さとされている。この基準マーク板FMの表面には、レチクルアライメント用基準マーク、ベースライン計測用基準マーク等の基準マークが形成されている。
更に、本第1の実施形態の露光装置10では、図1に示されるように、主制御装置50の制御の下で、投影光学系PLの結像面(XY平面)に設定される多数の計測点に向けてそれぞれピンホール又はスリットの像を形成するための結像光束を、光軸AXに対して斜め方向より照射する照射系60aと、それらの結像光束のウエハW表面での反射光束を受光する受光系60bとからなる斜入射方式の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)が設けられている。なお、本第1の実施形態と同様の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)の詳細な構成は、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
走査露光時等に、主制御装置50は、受光光学系60bからの各計測点について検出されたZ位置に基づいて、計測点が存在するショット領域の一部の表面のZ位置及び傾斜量を逐次算出しつつ、この算出結果に基づいてZチルトステージ58のZ位置や傾斜角を不図示の駆動系を介して制御することにより、オートフォーカス(自動焦点合わせ)及びオートレベリングを実行する。
前記主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、これまでに説明した各種の制御を行う他、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング、露光タイミング等を制御する。また、本第1の実施形態では、主制御装置50は、後述するように走査露光の際の露光量の制御を行ったりする等の他、装置全体を統括制御する。
具体的には、主制御装置50は、例えば走査露光時には、レチクルRが照明領域42Rに対してレチクルステージRSTを介して+Y方向(又は−Y方向)に速度VR=Vで走査されるのに同期して、XYステージ14を介してウエハWが投影領域42Wに対して−Y方向(又は+Y方向)に速度VW=β・V(βはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レーザ干渉計54R、54Wの計測値に基づいてレチクルステージ駆動部49、ウエハステージ駆動部56をそれぞれ介してレチクルステージRST、XYステージ14の位置及び速度をそれぞれ制御する。また、ステッピングの際には、主制御装置50ではレーザ干渉計54Wの計測値に基づいてウエハステージ駆動部56を介してXYステージ14の位置を制御する。
次に、本第1の実施形態の露光装置10において所定枚数(N枚)のウエハW上にレチクルパターンの露光を行う場合の露光シーケンスについて主制御装置50の制御動作を中心として説明する。
まず、主制御装置50では、不図示のレチクルローダを用いて露光対象のレチクルRをレチクルステージRST上にロードする。
次いで、不図示のレチクルアライメント系を用いてレチクルアライメントを行うとともに、前述した基準マークを用いてオフアクシス方式のアライメント系(不図示)のベースライン計測を行う。なお、レチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号に詳細に開示されており、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
次に、主制御装置50では、不図示のウエハ搬送系にウエハWの交換を指示する。これにより、ウエハ搬送系及びXYステージ14上の不図示のウエハ受け渡し機構によってウエハ交換(ステージ上にウエハが無い場合は、単なるウエハロード)が行われる。このウエハ交換は、公知の露光装置と同様に行われるので詳細説明は省略する。
次いで、前述のベースライン計測が行われたアライメント系を用いて、ファインアライメント、例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に詳細に開示されるEGA方式のウエハアライメント等を含む一連のアライメント工程の処理が行われる。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
次に、上記のアライメント結果及びショットマップデータに基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置にウエハWを移動させる動作と、前述した走査露光動作とを繰り返し行って、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の複数のショット領域にレチクルパターンを転写する。かかる走査露光中に、主制御装置50は、露光条件及びレジスト感度に応じて決定された目標積算露光量をウエハWに与えるため、光量制御装置16Cに指令を与え、露光光量の制御を行う。
1枚目のウエハWに対する露光が終了すると、主制御装置50では、不図示のウエハ搬送系にウエハWの交換を指示する。これにより、ウエハ搬送系及びXYステージ14上の不図示のウエハ受け渡し機構によってウエハ交換が行われ、以後上記と同様にしてその交換後のウエハに対してサーチアライメント、ファインアライメントを行う。
そして、上記と同様にして、このウエハW上の複数のショット領域にステップ・アンド・スキャン方式でレチクルパターンを転写する。
なお、露光条件及び/又はレチクルパターンの変更によって照度が変化するときは、ウエハ(レジスト)に適正な露光量が与えられるように、光源16から射出される光の周波数とピークパワーとの少なくとも一方を制御することが望ましい。このとき、周波数及びピークパワーの少なくとも一方に加えてレチクル及びウエハの走査速度を調整するようにしても良い。
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、光照射装置としての露光装置10を構成する照射光学系が照明光学系12、ミラーM、コンデンサレンズ32及び投影光学系PLによって構成されている。但し、露光装置の種類によっては、投影光学系は必ずしも用いられないので、このような場合には、光源装置と感光物体との間に配置される光学系及び光学素子によって照射光学系が構成されることになる。
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光源装置16によれば、パルス光発生部160が発生した連続的な光パルス列を光増幅部161が増幅した後、波長変換部163において、非臨界位相整合を多用して段階的に波長変換するので、通常の臨界位相整合の場合に位相整合のために光路を設定するための多くの光部品を用いることなく、高輝度の波長変換光(紫外光)を発生することができる。すなわち、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる。
また、本第1の実施形態の露光装置10によれば、走査露光にあたって高輝度の照明光ILをレチクルRに照射できるので、レチクルRに形成されたパターンを精度良く効率的にウエハWに転写することができる。
なお、上記の第1の実施形態では、3段目の非線形光学結晶189から射出された光が、集光レンズ190を介して4段目の非線形光学結晶191に入射するように構成したが(図4参照)、図5に示されるように、非線形光学結晶189と非線形光学結晶191との間に、非線形光学結晶189から射出された3倍波と4倍波との同軸性を補正する光路補正器199を更に配置する構成とすることもできる。光路補正器199としては、光軸に垂直な方向へのずれを補正する平行平面板、プリズム対等や、光軸方向へのずれを補正するレンズ等を用いることができる。このような構成は、非線形光学結晶191の加工誤差等により3倍波と4倍波との同軸性が所望の精度で達成できないような場合に有効である。
また、ダイクロイック・ミラー187,197の波長弁別性能が十分でないときには、図6に示されるように、基本波を反射し、基本波よりも短い波長の光を透過するダイクロイック・ミラー187A,197A、2倍波及び3倍波を効率良く反射するミラー194A、7倍波を効率良く反射するミラー196Aを使用し、ミラー194Aとミラー196Aとの間で、4倍波及び7倍波の生成を行っても良い。
また、ダイクロイック・ミラー187,197の波長弁別性能やミラー194,196の反射性能、更には波長変換部における入射光方向と射出光方向との所望の関係に応じて、波長変換部を、図7〜図9に代表的に示されるような様々な構成とすることもできる。
なお、上述の図5〜図9に関する説明では、図4と同じ部材には同一の符号を付して、その説明を省略している。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本第2の実施形態の露光装置は、第1の実施形態の露光装置10と同様に構成されており、光源装置における波長変換部の構成のみが相違する。かかる相違点に主に着目して、以下の説明を行う。なお、本第2の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本第2の実施形態の波長変換部163では、上述した第1の実施形態の波長変換部と同様に、光増幅部161からのパルス光(波長1.544μmの光:基本波)をその8倍高調波に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ出力波長(193nm)のパルス紫外光を発生する。本第2の実施形態の波長変換部163は、図10に示されるように、図4に示される第1の実施形態の波長変換部と比べて、(a)基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)の波長変換を第2高調波生成により行う1段目の非線形光学結晶として、LiB3O5(LBO)結晶183に代えて周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶301が使用されている点、(b)2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)の波長変換を和周波生成により行う2段目の非線形光学結晶として、LBO結晶186に代えて周期的ドメイン反転LN結晶302が使用されている点、(c)2倍波(波長772nm)→4倍波(波長386nm)の波長変換を行う3段目の非線形光学結晶として、GdYCOB結晶189に代えて周期的ドメイン反転LN結晶303が使用されている点、(d)図4における非線形光学結晶183とレンズ185との間に配置された基本波についての1/2波長板183が取り除かれている点、及び、(e)ミラー196とダイクロイック・ミラー197との間における基本波の光路上に、基本波についての1/2波長板321が配置されている点が相違している。
周期的ドメイン反転LN結晶は、周期的ドメイン反転誘電体結晶の一種であり、擬似位相整合(QPM:Quasi−Phase Matching)により、第2高調波生成あるいは和周波生成を行う。周期的ドメイン反転誘電体結晶としては、周期的ドメイン反転LN結晶以外に、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶、及び水晶QPM素子等があり、これらの周期的ドメイン反転誘電体結晶も、周期的ドメイン反転LN結晶301〜303に代えて使用することができる。
QPMによる第2高調波又は和周波の生成でも、元となった光(原波)の進行方向と、生成した光の進行方向との角度ずれ(Walk−off)が発生しないため、非線形光学結晶301〜303からは、原波及び生成光が同軸で射出される。このため、NCPMの場合と同様に、後の段の非線形光学結晶における位相整合のための光路調整用の光学部品の多くを省略することができる。
QPMを行うためには、例えば、図11に示されるように、同図における紙面上下方向の矢印で表される誘電分極方向が互いに反対向きの領域305及び領城306が、光の進行方向に沿って交互かつ周期的に形成された周期的ドメイン反転LN結晶301(302,303)を使用する。ここで、領域305及び領域306の光の進行方向に沿った幅は、以下のように定められるΛに設定されている。
周期的ドメイン反転LN結晶301,303の場合のように、第2高調波生成を行うときには、幅Λは、周期的ドメイン反転LN結晶301,303内において、入射光の波数ベクトルの絶対値をk1とし、生成される第2高調波の波数ベクトルの絶対値をk2として、
Λ=2π/(k2−2k1) …(1)
によって定められる。
なお、周期的ドメイン反転LN結晶302の場合のように、和周波生成を行うときには、幅Λは、周期的ドメイン反転LN結晶302内において、入射光の波数ベクトルの絶対値をk3,k4とし、生成される和周波の波数ベクトルの絶対値をk5として、
Λ=2π/(k5−(k3+k4)) …(2)
によって定められる。
上記の領域305及び領域306のようなドメイン領域の形成は、例えば、周期的ドメイン反転LN結晶、周期的ドメイン反転LT結晶、及び周期的ドメイン反転KTP結晶の場合には、一方の種類の領域にのみ、誘電分極方向が通常(電圧印加されないとき)の誘電分極方向と逆方向となるような高電圧を印加することにより行われる。また、例えば、水晶QPMの場合には、応力発生をさせることにより行われる。
かかる周期的ドメイン反転誘電体結晶を使用したQPMによる第2高調波生成や和周波生成では、周期的ドメイン反転誘電体結晶の結晶方位と入射光の進行方向との関係によって、波長変換効率が異なる。かかる波長変換効率は、第2高調波生成や和周波生成において利用する非線形光学定数の種類に依存するが、周期的ドメイン反転LN結晶、周期的ドメイン反転LT結晶、及び周期的ドメイン反転KTP結晶の場合には、非線形光学定数d33を利用するときが最も波長変換効率が高くなる。本実施形態においては、こうした最も波長変換効率が高くなる非線形光学定数d33を利用する方向に沿って、入射した光を進行させることにしている。
以上のように、本実施形態では、周期的ドメイン反転LN結晶301〜303において非線形光学定数d33を利用して、第2高調波生成や和周波生成を行うが、こうした場合におけるQPMによる第2高調波生成では、原波(入射光)の偏光方向と生成光(波長変換光)の偏光方向とが平行となることになる。また、QPMによる和周波生成では、互いに平行に設定される第1原波及び第2原波の偏光方向と生成光の偏光方向とが平行となることになる。
一方、第1の実施形態におけるNCPMによるタイプ1の第2高調波生成では、原波の偏光方向と、生成光の偏光方向とは互いに直交する。また、第1の実施形態におけるNCPMやCPMによるタイプ1の和周波生成では、互いに平行に設定される第1原波及び第2原波の偏光方向と、生成光の偏光方向とは互いに直交する。
以上のような、QPMとNCPM及びCPMとの作用の相違、及び、タイプ1の和周波生成における、非線形光学結晶への入射時における第1原波の偏光方向と第2原波の偏光方向における平行性の要請(以下、「偏光方向平行化の要請」という)により、本第2の実施形態の波長変換部163は、第1の実施形態の波長変換部と比べて、上述の(d)及び(e)の構成上の相違点を有する構成とされている。
以下、本第2の実施形態の波長変換部163の作用を説明する。
光増幅部161から射出された波長1.544μm(周波数ω)の光(基本波)は、集光レンズ181を介して、1段目の非線形光学結晶301に入射する。基本波がこの非線形光学結晶301を通る際に、第2高調波生成により基本波の周波数ωの2倍、すなわち周波数2ωの2倍波が発生する。ここで、基本波の偏光方向と2倍波の偏光方向とはほぼ平行となっており、基本波と2倍波とは非線形光学結晶301からほぼ同軸で射出される。
非線形光学結晶301から射出された基本波と2倍波とは、集光レンズ185を介して、2段目の非線形光学結晶302に入射する。この非線形光学結晶302では、1段目の非線形光学結晶301で発生した2倍波と、波長変換されずにその非線形光学結晶301を透過した基本波とから和周波生成により3倍波(波長515nm)を得る。そして、非線形光学結晶302からは、基本波、2倍波、及び3倍波がほぼ同軸で射出される。ここで、基本波、2倍波、及び3倍波それぞれの偏光方向は互いにほぼ平行となっている。
次に、非線形光学結晶302から射出された基本波と、2倍波及び3倍波とは、波長選択素子であるダイクロイック・ミラー187により分離される。ここで、2倍波及び3倍波は反射され、集光レンズ188を介した後、3段目の非線形光学結晶303に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー187を透過した基本波は、ミラー194、集光レンズ1951,1952、ミラー196、及び1/2波長板321を順次介し、後述する最終段である5段目の非線形光学結晶198へ向けて進行する。なお、基本波は、1/2波長板321を介することにより、偏光方向が90°回転する。
3段目の非線形光学結晶303では、3倍波は波長変換されずにそのまま透過するとともに、2倍波が第2高調波生成により4倍波(波長386nm)に変換される。そして、非線形光学結晶303からは、3倍波及び4倍波がほぼ同軸で射出される。ここで、3倍波及び4倍波それぞれの偏光方向はほぼ平行となっている。
非線形光学結晶303から射出された3倍波及び4倍波は、集光レンズ190を介して、4段目の非線形光学結晶191に入射する。非線形光学結晶191では、3倍波と4倍波とから和周波生成により7倍波(波長221nm)を生成する。ここで、3倍波又は4倍波の偏光方向と7倍波の偏光方向とは互いに直交している。
非線形光学結晶191で得られた7倍波は集光レンズ192,193を介するとともに、ダイクロイック・ミラー197で、前述したダイクロイック・ミラー187を透過した基本波と同軸に合成されて、5段目の非線形光学結晶198に入射する。ここで、上述した1/2波長板321の作用により、非線形光学結晶198に入射する段階における基本波の偏光方向と7倍波の偏光方向とがほぼ平行となるように調整されている。
そして、5段目の非線形光学結晶198において、基本波と7倍波とから和周波生成により8倍波(波長193nm)を得る。
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光源装置16によれば、パルス光発生部160が発生した連続的な光パルス列を光増幅部161が増幅した後、波長変換部163において、擬似位相整合を多用して段階的に波長変換するので、通常の臨界位相整合の場合に位相整合のために光路を設定するための多くの光部品を用いることなく、高輝度の波長変換光(紫外光)を発生することができる。すなわち、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる。
また、本第2の実施形態の露光装置によれば、走査露光にあたって高輝度の照明光ILをレチクルRに照射できるので、レチクルRに形成されたパターンを精度良く効率的にウエハWに転写することができる。
なお、本第2の実施形態では、波長変換部163における1〜3段目の非線形光学結晶の全てに周期的ドメイン反転誘電体結晶301〜303を使用したが、図12に示されるように、波長変換部163における1段目及び3段目の非線形光学結晶として、周期的ドメイン反転誘電体結晶301,303を使用することもできる。かかる場合には、上述した和周波生成における偏光方向平行化の要請を満たすために、非線形光学結晶303と非線形光学結晶191との間の光路上に、3倍波の偏光方向と4倍波の偏光方向とを平行化する波長板322が配置される構成となる。なお、この場合には、図10における1/2波長板321は不用である。
また、図13に示されるように、波長変換部163における1段目及び2段目の非線形光学結晶として、周期的ドメイン反転誘電体結晶301,302を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じ、図12の場合と同様に、非線形光学結晶189と非線形光学結晶191との間の光路上に、3倍波の偏光方向と4倍波の偏光方向とを平行化する波長板322が配置される構成となる。なお、この場合にも、図10における1/2波長板321は不用である。
また、図14に示されるように、波長変換部163における2段目及び3段目の非線形光学結晶として、周期的ドメイン反転誘電体結晶302,303を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じ、第1の実施形態の場合と同様に、非線形光学結晶183と非線形光学結晶302との間(図14では、非線形光学結晶183とレンズ185との間)の光路上に基本波の偏光方向と2倍波の偏光方向とを平行化する波長板184が配置されるとともに、図10の場合と同様に1/2波長板321が配置される構成となる。
また、図15に示されるように、波長変換部163における1段目の非線形光学結晶としてのみ、周期的ドメイン反転誘電体結晶301を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じた波長板は全く不用となる。
また、図16に示されるように、波長変換部163における2段目の非線形光学結晶としてのみ、周期的ドメイン反転誘電体結晶302を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じ、第1の実施形態の場合と同様に、非線形光学結晶183と非線形光学結晶302との間(図16では、非線形光学結晶183とレンズ185との間)の光路上に基本波の偏光方向と2倍波の偏光方向とを平行化する波長板184が配置されるとともに、図12又は図13の場合と同様に、非線形光学結晶189と非線形光学結晶191との間の光路上に、3倍波の偏光方向と4倍波の偏光方向とを平行化する波長板322が配置される構成となる。なお、この場合にも、図10における1/2波長板321は不用である。
また、図17に示されるように、波長変換部163における3段目の非線形光学結晶としてのみ、周期的ドメイン反転誘電体結晶303を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じ、第1の実施形態の場合と同様に、非線形光学結晶183と非線形光学結晶186との間(図17では、非線形光学結晶183とレンズ185との間)の光路上に基本波の偏光方向と2倍波の偏光方向とを平行化する波長板184が配置されるとともに、非線形光学結晶186と非線形光学結晶303との間の光路上に、2倍波の偏光方向と3倍波の偏光方向とを平行化する波長板323が配置される構成となる。なお、この場合にも、図10における1/2波長板321は不用である。
また、上記の第2の実施形態では、波長変換部163における1段目の非線形光学結晶301と2段目の非線形光学結晶302との間の光路上にレンズ185を配置したが、図18に示されるように、非線形光学結晶301と非線形光学結晶302とを近接させて配置することにより、レンズ185を省略することができる。これにより波長変換部163の小型化を図ることができる。
また、上記の第2の実施形態においても、第1の実施形態の場合と同様に、8倍波生成用LBO結晶198の代わりに、CLBO結晶、あるいはLB4結晶などを用いることが可能である。なお、本実施形態では3倍波と4倍波とから7倍波を生成するものとしたが、例えば基本波と6倍波とから7倍波を生成する場合には、その非線形光学結晶としてBBO結晶、CLBO結晶、LB4結晶、あるいはLBO結晶などを用いることが可能である。
また、上記の第2の実施形態においても、第1の実施形態における図5〜図9への変形と同様の変形が可能である。
また、上記の第2の実施形態では、第1の実施形態の波長変換部における1〜3段目の非線形光学結晶を、NCPMにより第2高調波生成又は和周波生成を行う非線形光学結晶から、QPMにより第2高調波生成又は和周波生成を行う周期的ドメイン反転誘電体結晶に置き換えたが、周期的ドメイン反転誘電体結晶として水晶QPM素子を使用すれば、第1の実施形態の波長変換部における全ての非線形光学結晶を、水晶QPM素子に置き換えることができる。
なお、上記の各実施形態では、光源部160からパルス光が射出されるため、波長変換部163における基本波〜7倍波は全てパルス光となる。このため、効率的に8倍波を発生するには、波長変換部163において、基本波から順次7倍波にまでに波長変換され、該7倍波が基本波と同軸に合成されるまでの光路長と、基本波が7倍波と同軸に合成されるまでの光路の光路長とをほぼ同一に設定することが必要になる。このためには、予め上記の波長変換部163を構成する光学部品の幾何学的配置を考慮するとともに、最終的に、ダイクロイック・ミラー187からレンズ188等を順次介してダイクロイック・ミラー197に至る光路、又はダイクロイック・ミラー187からミラー194等を順次介してダイクロイック・ミラー197に至る光路に、例えば光透過性の平行平板又は複数のミラー等からなる光路長補正部材を挿入すれば良い。
また、上記の各実施形態における波長変換部の非線形光学結晶の材料、出力波長等は一例であって、これに限定されないことは勿論である。例えば、光増幅部161から射出される波長1.57μmの基本波を、非線形光学結晶を用いて10倍波の高調波生成を行い、F2レーザと同じ波長である157nmの紫外光を発生することもできる。
また、上記の各実施形態では、レーザ光源160Aとして、DFB半導体レーザを使用したが、他の半導体レーザや、例えば発振波長が990nm付近のイッテルビウム(Yb)・ドープ・ファイバーレーザ等のファイバレーザを使用することもできる。
また、上記の各実施形態では、増幅用光ファイバとしてErドープファイバを採用したが、Ybドープファイバその他の希土類元素ドープファイバを採用することも可能である。
また、上記の各実施形態では、増幅用媒体として希土類元素がコア部に添加された光ファイバを採用したが、例えば、希土類元素が添加されたロッド状のガラス体を採用し、これに励起光を照射するようにしても良い。
また、光増幅部161において並列に配置される光ファイバ増幅器167の数は任意でよく、本発明に係る光源装置が適用される製品において要求される仕様に応じてその本数を決定すれば良い。特に、光源装置として高出力を要求されない場合には、光ファイバ増幅器167の数を減らして、構成を簡略化することができる。なお、光ファイバ増幅器167を1つのみ含むように簡略化するときは、分岐器166も不要となる。
また、上記の各実施形態では、光源装置が射出する紫外光の波長を、ArFエキシマレーザとほぼ同一に設定するものとしたが、その設定波長は任意でよく、この設定すべき波長に応じて、レーザ光源160Aの発振波長や波長変換部163の構成及び高調波の倍率などを決定すれば良い。なお、設定波長は、一例として、ウエハ上に転写すべきパターンのデザインルール(線幅、ピッチなど)に応じて決定するようにしてもよく、さらにはその決定に際して前述の露光条件やレチクルの種類(位相シフト型か否か)などを考慮しても良い。
また、上記の各実施形態では、本発明に係る光源装置がステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に適用された場合について説明したが、露光装置以外でデバイス製造工程などに用いられる装置、例えば、ウエハ上に形成された回路パターンの一部(ヒューズなど)を切断するために用いられるレーザリペア装置などにも本発明に係る光源装置を適用することができる。また、本発明は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に限らず、静止露光型、例えばステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパなど)にも好適に適用できるものである。更にはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも適用できる。
また、上記の実施形態では、本発明に係る光源装置が露光用照明光を発生する光源装置として使用される例を説明したが、露光用照明光とほぼ同一の波長の光を必要とする上述のレチクルアライメント用の光源装置、あるいは投影光学系の物体面又は像面に配置されるマークの投影像を検出して当該投影光学系の光学特性を求める空間像検出系の光源装置等として使用することも可能である。
なお、本発明の光源装置は、露光装置以外にも様々な装置に利用することができる。例えば、レーザ光を角膜に照射して表面のアブレーション(あるいは切開した角膜内部のアブレーション)を行い、角膜の曲率若しくは凹凸を矯正して近眼、乱視などの治療を行うレーザ治療装置に使用される光源装置として利用することができる。また、光学式検査装置等における光源装置としても、本発明の光源装置は利用可能である。
また、本発明の光源装置は、上記の実施形態における投影光学系のような光学系の光学調整(光軸合わせ等)用又は検査用としても利用可能である。さらには、エキシマレーザを光源として有する各種装置において、エキシマレーザに置き換えて本発明の光源装置を適用できる。
なお、図2に示された光源装置16の構成は図1の露光装置10における使用を前提としたものであって、光源装置16は、図2の構成に限られるものではない。露光装置では高精度な波長制御や光量制御等が必要となるが、例えば、露光装置以外で厳密な光量制御等が不要であれば、光量モニタや光量制御装置16C等を設けなくとも良い。
次に、上記の各実施形態の露光装置を使用したデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造について説明する。
まず、設計ステップにおいて、デバイスの機能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、マスク製作ステップにおいて、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ウエハ製造ステップにおいて、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ウエハ処理ステップにおいて、上記のステップで用意されたマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成する。
このウエハ処理ステップは、例えば、半導体デバイスの製造にあたっては、ウエハの表面を酸化させる酸化ステップ、ウエハ表面に絶縁膜を形成するCVDステップ、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する電極形成ステップ、ウエハにイオンを打ち込むイオン打込みステップといったウエハプロセスの各段階の前処理工程と、後述する後処理工程を有している。前処理工程は、ウエハプロセスの各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、前処理工程が終了すると、レジスト処理ステップにおいてウエハに感光剤が塗布され、引き続き、露光ステップにおいて上記で説明した露光装置10によってマスク(又はレチクル)に形成された回路パターンをウエハに転写する。すなわちウエハの露光を行う。次に、現像ステップにおいて露光されたウエハが現像され、引き続き、エッチングステップにおいて、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、レジスト除去ステップにおいて、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
以上のようにして、前処理工程と、レジスト処理ステップからレジスト除去ステップまでの後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
こうしてウエハ処理ステップが終了すると、組み立てステップにおいて、ウエハ処理ステップにおいて処理されたウエハを用いてチップ化する。この組み立てには、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)やパッケージング工程(チップ封入)等の工程が含まれる。
最後に、検査ステップにおいて、組み立てステップで作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
以上のようにして、精度良く微細なパターンが形成されたデバイスが、高い生産性で製造される。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の光源装置は、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生するのに適している。また、本発明の光照射装置は、効率良く波長変換された光を物体に照射するのに適している。また、本発明の露光装置は、パターンを物体に転写するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、微細なパターンを感光物体上に形成するのに適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、図1の光源装置の内部構成を主制御装置とともに示すブロック図である。
図3は、図2の光増幅部を構成する光ファイバ増幅器及びその周辺部を、波長変換部の一部とともに概略的に示す図である。
図4は、図2の波長変換部の構成を示す図である。
図5は、図4の波長変換部の変形例(その1)を説明するための図である。
図6は、図4の波長変換部の変形例(その2)を説明するための図である。
図7は、図4の波長変換部の変形例(その3)を説明するための図である。
図8は、図4の波長変換部の変形例(その4)を説明するための図である。
図9は、図4の波長変換部の変形例(その5)を説明するための図である。
図10は、第2実施形態に係る波長変換部の構成を示す図である。
図11は、図10の周期的ドメイン反転誘電体結晶の構成を示す図である。
図12は、図10の波長変換部の変形例(その1)を説明するための図である。
図13は、図10の波長変換部の変形例(その2)を説明するための図である。
図14は、図10の波長変換部の変形例(その3)を説明するための図である。
図15は、図10の波長変換部の変形例(その4)を説明するための図である。
図16は、図10の波長変換部の変形例(その5)を説明するための図である。
図17は、図10の波長変換部の変形例(その6)を説明するための図である。
図18は、図10の波長変換部の変形例(その7)を説明するための図である。
本発明は、光源装置、光照射装置及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、さらに詳しくは、レーザ光を波長変換した光を発生する光源装置、該光源装置を備える光照射装置及び露光装置、並びに前記光照射装置をリソグラフィ工程で用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
従来から、物体の微細構造の検査、物体の微細加工、また、視力矯正の治療等に光照射装置が使用されている。例えば、半導体素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを、投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「基板」又は「ウエハ」という)上に転写するために、光照射装置の一種である露光装置が用いられている。こうした露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式を採用する静止露光型の投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式を採用する走査露光型の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等が主として用いられている。また、視力矯正のために、角膜表面のアブレーション(PRK:Photorefractive Keratectomy)あるいは角膜内部のアブレーション(LASIK:Laser Intrastromal Keratomileusis)を行って近視や乱視等の治療をするために、光照射装置の一種であるレーザ治療装置が用いられている。
かかる光照射装置のために、短波長の光を発生する光源について多くの開発がなされてきた。こうした、短波長光源の開発の方向は、主に次の2種に大別される。その一つはレーザの発振波長自身が短波長であるエキシマレーザ光源の開発であり、もう一つは赤外又は可視光レーザの高調波生成を利用した短波長光源の開発である。
このうち、前者の方向に沿っては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を使用する光源装置が開発され、現在ではさらに短波長の光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)等を使用する光源装置の開発が進められている。しかし、これらのエキシマレーザは大型であること、有毒なフッ素ガスを使用するためレーザのメインテナンスが煩雑でかつ費用が高額となるなどの、光源装置として不利な点が存在する。
そこで、後者の方向に沿った短波長化の方法である、非線形光学結晶の非線形光学効果を利用し、長波長の光(赤外光、可視光)をより短波長の紫外光に変換する方法が注目を集めている。かかる方法を使用した光源装置としては、例えば、国際公開公報WO99/46835に開示されたもの(以下、単に「従来例」という)がある。
上述のような非線形光学結晶を使用する短波長化の方法では、複数の非線形光学結晶を直列(及び、必要に応じて並列)に配置し、各非線形光学結晶における第2高調波生成又は和周波生成により、段階的に波長変換をする方法が、一般的に採用されている。こうした波長変換の方法を採用した場合には、ある段の非線形光学結晶において生成した第2高調波と、より前の段で使用した光あるいは生成した光との和周波生成を、より後の段の非線形光学結晶で行わせることがしばしば起きる。
しかしながら、通常使用される臨界位相整合の方法では、非線形光学結晶内において第2高調波生成や和周波生成により発生した光の進行方向と、その元となった非線形光学結晶への入射光の進行方向との角度ずれ(Walk−off)が発生する。したがって、和周波生成により短波長の光を効率良く発生させるために、ある段の非線形光学結晶において生成された第2高調波と、より前の段で使用した光あるいは生成された光とを、より後の段の非線形光学結晶に同軸で入射させるには、少なくとも一方の光についてその光路(光軸)を調整することが必要であった。このため、光軸調整用に多くの光学部品を配置しなければ、段階的に波長変換をする光源装置を実現することができなかった。
このため、段階的に波長変換をする従来の光源装置の構成は複雑かつ大規模なものとなってしまうとともに、微妙な光路調整が必須であった。
本発明は、上記の事情のもとでなされたものであり、その第1の目的は、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる光源装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、効率良く波長変換された光を物体(照射対象物)に照射することができる光照射装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、効率良く波長変換された光を用いて第1物体に形成されたパターンを第2物体上に精度良く転写することができる露光装置を提供することにある。
また、本発明の第4の目的は、デバイスの生産性の向上を図ることが可能なデバイス製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明は、第1の観点からすると、単一波長の光を発生するレーザ光発生部と;前記レーザ光発生部が発生するレーザ光と同一波長の光を入射光として波長変換を行う波長変換部と;を備え、前記波長変換部は、前記入射光及び該入射光の高調波のうちの第1の波長の光と第2の波長の光とを入射し、非臨界位相整合及び擬似位相整合の一方を使用した第2高調波生成により、前記第1の波長の1/2の波長である第3の波長の光を生成し、前記第2の波長の光と前記第3の波長の光とをほぼ同軸で射出する第1の非線形光学結晶を有することを特徴とする光源装置である。
これによれば、第1の非線形光学結晶が、非臨界位相整合又は擬似位相整合によって第1の波長の光からその第2高調波である第3の波長の光を効率良く生成するとともに、第2の波長の光と前記第3の波長の光とをほぼ同軸で射出する。このため、例えば、第1の非線形光学結晶の後段において、第2の波長の光と前記第3の波長の光との和周波生成を効率良く行うのにあたって、その位相整合のために光路の調整を行わずに済む。従って、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる。
この場合において、前記第1の非線形光学結晶として、GdYCOB(GdXY1−XCa4O(BO3)3)結晶(O<X<1)、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかを採用することができる。
この場合において、前記第1の非線形光学結晶を、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかとし、前記第1の波長の光が、前記第1の非線形光学結晶中を、非線形光学定数がほぼ最大となる方向に進行する構成とすることができる。
また、本発明の光源装置では、前記波長変換部が、前記第1の非線形光学結晶から射出された前記第2の波長の光と前記第3の波長の光とを入射し、和周波生成により第4の波長の光を生成する第2の非線形光学結晶を更に有する構成とすることができる。
この場合において、前記波長変換部が、前記第1の非線形光学結晶と前記第2の非線形光学結晶との間における前記第2の波長の光及び前記第3の波長の光の光路上に配設され、前記第2の波長の光と前記第3の波長の光との光軸ずれを補正する光路補正器を更に有する構成とすることができる。
また、本発明の光源装置では、前記波長変換部が、前記第1の非線形光学結晶よりも前段に配置され、非臨界位相整合及び擬似位相整合の一方を使用して波長変換を行う少なくとも1つの非線形光学結晶を更に有する構成とすることができる。
この場合において、前記少なくとも1つの非線形光学結晶それぞれとして、LBO(LiB3O5)結晶、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかを採用することができる。
また、本発明の光源装置では、前記レーザ光発生部が発生した光を増幅し、前記波長変換部へ向けて射出する光増幅部を更に備える構成とすることができる。
この場合において、前記光増幅部が光ファイバ増幅器を有する構成とすることができる。
また、本発明の光源装置では、前記レーザ光発生器が赤外域から可視域までの波長範囲内のレーザ光を発生し、前記波長変換部が紫外光を射出する構成とすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、物体に光を照射する光照射装置であって、本発明の光源装置と;前記光源装置から射出された光を前記物体に向けて射出する照射光学系と;を備える光照射装置である。
これによれば、本発明の光源装置から射出された光を、照射光学系を介して物体に照射するので、効率良く波長変換された光を物体に照射することができる。
この場合において、前記光が照射される物体としては、光照射装置の使用目的に応じて種々の物体が用いられる。例えば、光照射装置をデバイスパターンの形成に使用する場合には、前記物体として感光物体を用いることができる。
本発明は、第3の観点からすると、本発明の光源装置と;該光源装置から射出された光を第1物体に照射する照明光学系と;を備え、前記第1物体に形成されたパターンが第2物体に転写されるように前記第1物体に照射された光で前記第2物体を露光することを特徴とする露光装置である。
これによれば、本発明の光源装置から射出された光が照明光学系によりパターンが形成された第1物体に照射されるので、効率良く波長変換された光が第1物体に照射され、その第1物体に照射された光で第2物体が露光される。従って、第1物体に形成されたパターンを第2物体に精度良く転写することが可能になる。
また、リソグラフィ工程において、物体として感光物体を用いる本発明の光照射装置を用いて前記感光物体を露光することにより、感光物体上にパターンを精度良く形成することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを生産性(歩留まりを含む)良く製造することができる。また、リソグラフィ工程において、本発明の露光装置を用いて第2物体上に第1物体に形成されたパターンを転写することにより、第2物体上に精度良くそのパターンを転写することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを生産性(歩留まりを含む)良く製造することができる。従って、本発明は、更に別の観点からすると、本発明の光照射装置あるいは露光装置などを用いるデバイス製造方法であるとも言える。
発明を実施するための最良の形態
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。
図1には、本発明に係る光源装置を含んで構成された第1の実施形態に係る光照射装置としての露光装置10の概略構成が示されている。この露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である。
この露光装置10は、光源装置16及び照明光学系12から成る照明系、この照明系からの露光用照明光(以下、「照明光」又は「露光光」という)ILにより照明されるレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRを介した露光光ILを感光物体(及び物体)としてのウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持するZチルトステージ58が搭載されたXYステージ14、及びこれらの制御系等を備えている。
前記光源装置16は、例えば、波長193nm(ArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長)の紫外パルス光、あるいは波長157nm(F2レーザ光とほぼ同一波長)の紫外パルス光を出力する高調波生成装置である。この光源装置16は、前記照明光学系12、レチクルステージRST、投影光学系PL、Zチルトステージ58、XYステージ14及びこれら各部が搭載された不図示の本体コラム等から成る露光装置本体とともに、温度、圧力、湿度等が高精度に調整されたエンバイロンメンタル・チャンバ(以下、「チャンバ」という)11内に収納されている。なお、本第1の実施形態では、光源装置16を全てチャンバ11内に配置するものとしたが、光源装置16の一部、例えば後述する波長変換部163のみをチャンバ11内、特に照明光学系12と同一の架台に設け、この波長変換部163と光源装置16の本体部とを光ファイバ等で接続しても良い。
図2には、光源装置16の内部構成が装置全体を統括制御する主制御装置50とともにブロック図にて示されている。この図2に示されるように、光源装置16は、光源部16A、レーザ制御装置16B、及び光量制御装置16C等を含んで構成されている。
前記光源部16Aは、レーザ光発生部としてのパルス光発生部160、光増幅部161、波長変換部163、及びビームモニタ機構164を含んで構成されている。
前記パルス光発生部160は、レーザ光源160A、光カップラBS、光アイソレータ160B及び光変調器としての電気光学変調器(以下、「EOM」という)160C等を有する。
前記レーザ光源160Aとしては、ここでは、単一波長発振レーザ、例えば、発振波長1.544μm、連続波出力(以下「CW出力」という)のDFB半導体レーザが用いられている。以下においては、レーザ光源160Aを適宜「DFB半導体レーザ160A」とも呼ぶものとする。
なお、DFB半導体レーザは、通常、ヒートシンクの上に設けられ、これらが筐体内に収納されている。本第1の実施形態では、DFB半導体レーザ160Aに付設されるヒートシンク上に温度調整器(例えばペルチェ素子など)が設けられており、レーザ制御装置16Bがその温度を制御することにより発振波長が制御(調整)可能な構成となっている。
前記光カップラBSとしては、透過率が97%程度のものが用いられている。このため、DFB半導体レーザ160Aからのレーザ光は、光カップラBSによって2つに分岐され、その97%程度が次段の光アイソレータ160Bに向かって進み、残り3%程度がビームモニタ機構164に入射するようになっている。
前記ビームモニタ機構164は、フォトダイオード等の光電変換素子から成るエネルギモニタ(図示省略)を含んでいる。このエネルギモニタの出力は、レーザ制御装置16Bを介して主制御装置50に供給されており、主制御装置50ではエネルギモニタの出力に基づいてレーザ光のエネルギパワーを検出し、レーザ制御装置16Bを介してDFB半導体レーザ160Aで発振されるレーザ光の光量を必要に応じて制御する。
前記光アイソレータ160Bは、光カップラBSからEOM160Cに向かう方向の光のみを通過させ、反対向きの光の通過を阻止する。この光アイソレータ160Bにより、反射光(戻り光)に起因するDFB半導体レーザ160Aの発振モードの変化や雑音の発生等が防止される。
前記EOM160Cは、光アイソレータ160Bを通過したレーザ光(CW光(連続光))をパルス光に変換するためのものである。EOM160Cとしては、屈折率の時間変化に伴うチャープによる半導体レーザ出力の波長広がりが小さくなるように、チャープ補正を行った電極構造を持つ電気光学変調器(例えば二電極型変調器)が用いられている。EOM160Cは、光量制御装置16Cから印加される電圧パルスに同期して変調されたパルス光を出力する。例えば、EOM160CによりDFB半導体レーザ160Aで発振されたレーザ光がパルス幅1ns、繰り返し周波数100kHz(パルス周期約10μs)のパルス光に変調する。なお、繰り返し周波数は、光ファイバ増幅器における自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)に起因するノイズの影響を抑制できる値が選択される。
なお、EOM160Cへの印加電圧とDFB半導体レーザ160Aへの供給電流制御とを併用して、出力光のパルス化を行うことが望ましい。かかる場合には、消光比を向上することができる。このようにすれば、EOM160Cのみを用いる場合に比べて、消光比を向上しつつ、パルス幅が狭いパルス光を容易に発生させることが可能になるとともに、パルス光の発振間隔や発振の開始及びその停止などをより簡単に制御することが可能になる。また、EOM160Cに代えて、音響光学変調器(AOM)を用いることも可能である。
前記光増幅部161は、EOM160Cからのパルス光を増幅するもので、図3に示されるように、EOM160Cからのパルス光を時間順に周期的に振り分けて分岐(例えば、128分岐)する光分岐器166と、複数の光ファイバ増幅器167とを含んで構成されている。
図3に示されるように、光ファイバ増幅器167は、増幅用媒体としての増幅用光ファイバ175、ポンプ光を発生する励起用半導体レーザ1781,1782、上述のEOM160Cの出力光とポンプ光とを合成し、こうして得られた合成光を増幅用光ファイバ175に供給する波長分割多重化装置(Wavelength Division Multiplexer:WDM)1791,1792を備えている。ここで、励起用半導体レーザ1781及びWDM1791は前方励起に使用され、一方、励起用半導体レーザ1782及びWDM1792は後方励起に使用されている。これにより、入力光強度に対する光増幅率の線形性の維持と、光増幅率の向上とを図っている。
前記増幅用光ファイバ175は、シリカガラス又はフォスフェイトガラスを主材とし、コアとクラッドを有し、コアにエルビウム(Er)、あるいはErとイッテルビウム(Yb)との2種のイオンが高密度にドープされた光ファイバが用いられる。
以上のように構成された光ファイバ増幅器167において、増幅用光ファイバ175に、励起用半導体レーザ1781,1782が発生したポンプ光がWDM1791,1792を介して供給された状態で、WDM1791を介してパルス光が入射し増幅用光ファイバ175のコア中を進行すると、誘導放射が発生し、パルス光が増幅される。かかる光増幅にあたって、増幅用光ファイバ175は高い増幅率を有するので、波長の単一性が高い高輝度のパルス光が出力される。このため、効率良く狭帯域の光を得ることができる。
前記励起用半導体レーザ1781,1782は、DFB半導体レーザ160Aにおける発振波長よりも短い波長(例えば、980nm)の光をポンプ光として発生する。このポンプ光がWDM1791,1792を介して増幅用光ファイバ175に供給され、それによりErの殻外電子が励起され、いわゆるエネルギ準位の反転分布が発生する。なお、励起用半導体レーザ1781,1782は、光量制御装置16Cによって制御されるようになっている。
また、本第1の実施形態では、各光ファイバ増幅器167のゲインの差を抑制するため、光ファイバ増幅器167の内部で出力光の一部が分岐され、それぞれの分岐端に設けられた光電変換素子171によって前記分岐された光がそれぞれ光電変換されるようになっている。これらの光電変換素子171の出力信号が光量制御装置16Cに供給されるようになっている。
光量制御装置16Cでは、各光ファイバ増幅器167からの光出力が一定になるように(即ちバランスするように)、各励起用半導体レーザ1781,1782のドライブ電流をフィードバック制御するようになっている。
前記波長変換部163は、複数の非線形光学結晶を含み、光増幅部161からのパルス光(波長1.544μmの光)をその8倍高調波に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ出力波長(193nm)のパルス紫外光を発生する。
図4には、この波長変換部163の構成例が示されている。ここで、この図に基づいて波長変換部163の具体例について説明する。なお、図4には、光増幅部161から射出される波長1.544μmの光を基本波として、非線形光学結晶を用いて8倍波(高調波)に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ波長である193nmの紫外光を発生する構成例を示す。
図4の波長変換部163では、基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)→4倍波(波長386nm)→7倍波(波長221nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換が行われる。
これを更に詳述すると、光増幅部161から射出された波長1.544μm(周波数ω)の光(基本波)は、集光レンズ181を介して、1段目の非線形光学結晶183に入射する。基本波がこの非線形光学結晶183を通る際に、いわゆるタイプ1の第2高調波生成により基本波の周波数ωの2倍、すなわち周波数2ω(波長は1/2の772nm)の2倍波が発生する。
この1段目の非線形光学結晶183として、LiB3O5(LBO)結晶が用いられ、不図示の温度調整器によって温度調整され、基本波を2倍波に波長変換するための位相整合が、ノンクリティカル位相整合(NCPM:Non−Critical Phase Matching)によって行われる。NCPMは、非線形光学結晶内での基本波と第二高調波との角度ずれ(Walk−off)が起こらず、高効率で2倍波への変換を可能にする。また、発生した2倍波はWalk−offによるビームの変形も受けないため有利である。そして、NCPMによる第2高調波生成ではWalk−offが発生しないため、非線形光学結晶183からは、基本波及び2倍波がほぼ同軸で射出される。
非線形光学結晶183から射出された基本波と2倍波とは、波長板184でそれぞれの電界成分に半波長、1波長の遅延が与えられる。この結果、基本波のみその偏光方向が90度回転する。そして、偏光方向が90度回転した基本波と2倍波とが、集光レンズ185を介して、2段目の非線形光学結晶186に入射する。2段目の非線形光学結晶186としてLBO結晶が用いられるとともに、そのLBO結晶は1段目の非線形光学結晶(LBO結晶)183とは異なる温度でNCPMによる位相整合が図られる。この非線形光学結晶186では、1段目の非線形光学結晶183で発生した2倍波と、波長変換されずにその非線形光学結晶183を透過した基本波とからタイプ1の和周波生成により3倍波(波長515nm)を得る。そして、非線形光学結晶186からは、基本波、2倍波、および3倍波がほぼ同軸で射出される。
次に、非線形光学結晶186から射出された基本波と、2倍波及び3倍波とは、波長選択素子であるダイクロイック・ミラー187により分離される。ここで、2倍波及び3倍波は反射され、集光レンズ188を介した後、3段目の非線形光学結晶189に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー187を透過した基本波は、ミラー194、集光レンズ1951,1952、及びミラー196を順次介し、後述する最終段である5段目の非線形光学結晶198へ向けて進行する。
3段目の非線形光学結晶189としてはGdYCOB(GdXY1−XCa4O(BO3)3)結晶が用いられ、3倍波は波長変換されずにそのLBO結晶を透過するとともに、2倍波がタイプ1の第2高調波生成により4倍波(波長386nm)に変換される。このGdYCOB結晶189は、組成を決定するパラメータXを調整して、2倍波から4倍波を生成する第2高調波生成をNCPMにより行える複屈折率を有するようにされている。なお、GdYCOB結晶189も温度制御によって、位相整合角の微調整が行われるようになっている。そして、非線形光学結晶189からは、3倍波及び4倍波がほぼ同軸で射出される。
非線形光学結晶189から射出された3倍波及び4倍波は、集光レンズ190を介して、4段目の非線形光学結晶191に入射する。4段目の非線形光学結晶191としては、BBO(β−BaB2O4)結晶が用いられ、3倍波と4倍波とからタイプ1の和周波生成により7倍波(波長221nm)を生成する。非線形光学結晶191で得られた7倍波は集光レンズ192,193を介するとともに、ダイクロイック・ミラー197で、前述したダイクロイック・ミラー187を透過した基本波と同軸に合成されて、5段目の非線形光学結晶198に入射する。
5段目の非線形光学結晶198としてLBO結晶が用いられ、基本波と7倍波とからタイプ1の和周波生成により8倍波(波長193nm)を得る。上記構成において、8倍波生成用LBO結晶198のかわりに、CsLiB6O10(CLBO)結晶、あるいはLi2B4O7(LB4)結晶などを用いることも可能である。なお、本実施形態では、3倍波と4倍波とから7倍波を生成するものとしたが、例えば基本波と6倍波とから7倍波を生成する場合には、その非線形光学結晶としてBBO結晶、CLBO結晶、LB4結晶、あるいはLBO結晶などを用いることが可能である。
図1に戻り、前記照明光学系12は、オプティカルインテグレータ、可変NDフィルタ、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を含んで構成されている。ここで、オプティカルインテグレータとしてはフライアイレンズ、内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)、あるいは回折光学素子等が用いられる。こうした照明光学系の構成は、例えば、特開平10−112433号公報、特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号公報などに開示されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
この照明光学系12から射出された露光光ILは、ミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域42Rを均一な照度分布で照明する。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、水平面(XY平面)内で移動可能であり、レチクルステージ駆動部49によって走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。この走査中のレチクルステージRSTの位置及び回転量は、レチクルステージRST上に固定された移動鏡52Rを介して外部のレーザ干渉計54Rによって計測され、このレーザ干渉計54Rの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
前記投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックな縮小系であり、共通のZ軸方向の光軸AXを有する複数枚のレンズエレメントから構成されている。また、この投影光学系PLとしては、投影倍率βが例えば1/4、1/5、1/6等のものが使用されている。このため、上記のようにして、露光光ILによりレチクルRにおける照明領域42Rが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンのうち照明領域42R内の一部を投影光学系PLによって投影倍率βで縮小した像が、投影光学系PLの視野内で照明領域42Rと共役な矩形の投影領域42Wに形成され、ウエハWの表面に塗布されたレジスト(感光剤)にその縮小像が転写される。
前記XYステージ14は、ウエハステージ駆動部56によって走査方向であるY方向及びこれに直交するX方向(図1における紙面直交方向)に2次元駆動されるようになっている。このXYステージ14上に搭載されたZチルトステージ58上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等により保持されている。Zチルトステージ58は、例えば3つのアクチュエータ(ピエゾ素子又はボイスコイルモータなど)によってウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)を調整すると共に、XY平面(投影光学系PLの像面)に対するウエハWの傾斜角を調整する機能を有する。また、XYステージ14の位置は、Zチルトステージ58上に固定された移動鏡52Wを介して外部のレーザ干渉計54Wにより計測され、このレーザ干渉計54Wの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
ここで、移動鏡は、実際には、X軸に垂直な反射面を有するX移動鏡とY軸に垂直な反射面を有するY移動鏡とが存在し、これに対応してレーザ干渉計もX軸位置計測用、Y軸位置計測用、及び回転(ヨーイング量、ピッチング量、ローリング量を含む)計測用のものがそれぞれ設けられているが、図1では、これらが代表的に、移動鏡52W、レーザ干渉計54Wとして示されている。
Zチルトステージ58上には、後述するレチクルアライメント等を行う際に使用される基準マーク板FMが設けられている。この基準マーク板FMは、その表面がウエハWの表面とほぼ同一の高さとされている。この基準マーク板FMの表面には、レチクルアライメント用基準マーク、ベースライン計測用基準マーク等の基準マークが形成されている。
更に、本第1の実施形態の露光装置10では、図1に示されるように、主制御装置50の制御の下で、投影光学系PLの結像面(XY平面)に設定される多数の計測点に向けてそれぞれピンホール又はスリットの像を形成するための結像光束を、光軸AXに対して斜め方向より照射する照射系60aと、それらの結像光束のウエハW表面での反射光束を受光する受光系60bとからなる斜入射方式の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)が設けられている。なお、本第1の実施形態と同様の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)の詳細な構成は、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
走査露光時等に、主制御装置50は、受光光学系60bからの各計測点について検出されたZ位置に基づいて、計測点が存在するショット領域の一部の表面のZ位置及び傾斜量を逐次算出しつつ、この算出結果に基づいてZチルトステージ58のZ位置や傾斜角を不図示の駆動系を介して制御することにより、オートフォーカス(自動焦点合わせ)及びオートレベリングを実行する。
前記主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、これまでに説明した各種の制御を行う他、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング、露光タイミング等を制御する。また、本第1の実施形態では、主制御装置50は、後述するように走査露光の際の露光量の制御を行ったりする等の他、装置全体を統括制御する。
具体的には、主制御装置50は、例えば走査露光時には、レチクルRが照明領域42Rに対してレチクルステージRSTを介して+Y方向(又は−Y方向)に速度VR=Vで走査されるのに同期して、XYステージ14を介してウエハWが投影領域42Wに対して−Y方向(又は+Y方向)に速度VW=β・V(βはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レーザ干渉計54R、54Wの計測値に基づいてレチクルステージ駆動部49、ウエハステージ駆動部56をそれぞれ介してレチクルステージRST、XYステージ14の位置及び速度をそれぞれ制御する。また、ステッピングの際には、主制御装置50ではレーザ干渉計54Wの計測値に基づいてウエハステージ駆動部56を介してXYステージ14の位置を制御する。
次に、本第1の実施形態の露光装置10において所定枚数(N枚)のウエハW上にレチクルパターンの露光を行う場合の露光シーケンスについて主制御装置50の制御動作を中心として説明する。
まず、主制御装置50では、不図示のレチクルローダを用いて露光対象のレチクルRをレチクルステージRST上にロードする。
次いで、不図示のレチクルアライメント系を用いてレチクルアライメントを行うとともに、前述した基準マークを用いてオフアクシス方式のアライメント系(不図示)のベースライン計測を行う。なお、レチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号に詳細に開示されており、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
次に、主制御装置50では、不図示のウエハ搬送系にウエハWの交換を指示する。これにより、ウエハ搬送系及びXYステージ14上の不図示のウエハ受け渡し機構によってウエハ交換(ステージ上にウエハが無い場合は、単なるウエハロード)が行われる。このウエハ交換は、公知の露光装置と同様に行われるので詳細説明は省略する。
次いで、前述のベースライン計測が行われたアライメント系を用いて、ファインアライメント、例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に詳細に開示されるEGA方式のウエハアライメント等を含む一連のアライメント工程の処理が行われる。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
次に、上記のアライメント結果及びショットマップデータに基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置にウエハWを移動させる動作と、前述した走査露光動作とを繰り返し行って、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の複数のショット領域にレチクルパターンを転写する。かかる走査露光中に、主制御装置50は、露光条件及びレジスト感度に応じて決定された目標積算露光量をウエハWに与えるため、光量制御装置16Cに指令を与え、露光光量の制御を行う。
1枚目のウエハWに対する露光が終了すると、主制御装置50では、不図示のウエハ搬送系にウエハWの交換を指示する。これにより、ウエハ搬送系及びXYステージ14上の不図示のウエハ受け渡し機構によってウエハ交換が行われ、以後上記と同様にしてその交換後のウエハに対してサーチアライメント、ファインアライメントを行う。
そして、上記と同様にして、このウエハW上の複数のショット領域にステップ・アンド・スキャン方式でレチクルパターンを転写する。
なお、露光条件及び/又はレチクルパターンの変更によって照度が変化するときは、ウエハ(レジスト)に適正な露光量が与えられるように、光源16から射出される光の周波数とピークパワーとの少なくとも一方を制御することが望ましい。このとき、周波数及びピークパワーの少なくとも一方に加えてレチクル及びウエハの走査速度を調整するようにしても良い。
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、光照射装置としての露光装置10を構成する照射光学系が照明光学系12、ミラーM、コンデンサレンズ32及び投影光学系PLによって構成されている。但し、露光装置の種類によっては、投影光学系は必ずしも用いられないので、このような場合には、光源装置と感光物体との間に配置される光学系及び光学素子によって照射光学系が構成されることになる。
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光源装置16によれば、パルス光発生部160が発生した連続的な光パルス列を光増幅部161が増幅した後、波長変換部163において、非臨界位相整合を多用して段階的に波長変換するので、通常の臨界位相整合の場合に位相整合のために光路を設定するための多くの光部品を用いることなく、高輝度の波長変換光(紫外光)を発生することができる。すなわち、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる。
また、本第1の実施形態の露光装置10によれば、走査露光にあたって高輝度の照明光ILをレチクルRに照射できるので、レチクルRに形成されたパターンを精度良く効率的にウエハWに転写することができる。
なお、上記の第1の実施形態では、3段目の非線形光学結晶189から射出された光が、集光レンズ190を介して4段目の非線形光学結晶191に入射するように構成したが(図4参照)、図5に示されるように、非線形光学結晶189と非線形光学結晶191との間に、非線形光学結晶189から射出された3倍波と4倍波との同軸性を補正する光路補正器199を更に配置する構成とすることもできる。光路補正器199としては、光軸に垂直な方向へのずれを補正する平行平面板、プリズム対等や、光軸方向へのずれを補正するレンズ等を用いることができる。このような構成は、非線形光学結晶191の加工誤差等により3倍波と4倍波との同軸性が所望の精度で達成できないような場合に有効である。
また、ダイクロイック・ミラー187,197の波長弁別性能が十分でないときには、図6に示されるように、基本波を反射し、基本波よりも短い波長の光を透過するダイクロイック・ミラー187A,197A、2倍波及び3倍波を効率良く反射するミラー194A、7倍波を効率良く反射するミラー196Aを使用し、ミラー194Aとミラー196Aとの間で、4倍波及び7倍波の生成を行っても良い。
また、ダイクロイック・ミラー187,197の波長弁別性能やミラー194,196の反射性能、更には波長変換部における入射光方向と射出光方向との所望の関係に応じて、波長変換部を、図7〜図9に代表的に示されるような様々な構成とすることもできる。
なお、上述の図5〜図9に関する説明では、図4と同じ部材には同一の符号を付して、その説明を省略している。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本第2の実施形態の露光装置は、第1の実施形態の露光装置10と同様に構成されており、光源装置における波長変換部の構成のみが相違する。かかる相違点に主に着目して、以下の説明を行う。なお、本第2の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本第2の実施形態の波長変換部163では、上述した第1の実施形態の波長変換部と同様に、光増幅部161からのパルス光(波長1.544μmの光:基本波)をその8倍高調波に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ出力波長(193nm)のパルス紫外光を発生する。本第2の実施形態の波長変換部163は、図10に示されるように、図4に示される第1の実施形態の波長変換部と比べて、(a)基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)の波長変換を第2高調波生成により行う1段目の非線形光学結晶として、LiB3O5(LBO)結晶183に代えて周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶301が使用されている点、(b)2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)の波長変換を和周波生成により行う2段目の非線形光学結晶として、LBO結晶186に代えて周期的ドメイン反転LN結晶302が使用されている点、(c)2倍波(波長772nm)→4倍波(波長386nm)の波長変換を行う3段目の非線形光学結晶として、GdYCOB結晶189に代えて周期的ドメイン反転LN結晶303が使用されている点、(d)図4における非線形光学結晶183とレンズ185との間に配置された基本波についての1/2波長板183が取り除かれている点、及び、(e)ミラー196とダイクロイック・ミラー197との間における基本波の光路上に、基本波についての1/2波長板321が配置されている点が相違している。
周期的ドメイン反転LN結晶は、周期的ドメイン反転誘電体結晶の一種であり、擬似位相整合(QPM:Quasi−Phase Matching)により、第2高調波生成あるいは和周波生成を行う。周期的ドメイン反転誘電体結晶としては、周期的ドメイン反転LN結晶以外に、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶、及び水晶QPM素子等があり、これらの周期的ドメイン反転誘電体結晶も、周期的ドメイン反転LN結晶301〜303に代えて使用することができる。
QPMによる第2高調波又は和周波の生成でも、元となった光(原波)の進行方向と、生成した光の進行方向との角度ずれ(Walk−off)が発生しないため、非線形光学結晶301〜303からは、原波及び生成光が同軸で射出される。このため、NCPMの場合と同様に、後の段の非線形光学結晶における位相整合のための光路調整用の光学部品の多くを省略することができる。
QPMを行うためには、例えば、図11に示されるように、同図における紙面上下方向の矢印で表される誘電分極方向が互いに反対向きの領域305及び領城306が、光の進行方向に沿って交互かつ周期的に形成された周期的ドメイン反転LN結晶301(302,303)を使用する。ここで、領域305及び領域306の光の進行方向に沿った幅は、以下のように定められるΛに設定されている。
周期的ドメイン反転LN結晶301,303の場合のように、第2高調波生成を行うときには、幅Λは、周期的ドメイン反転LN結晶301,303内において、入射光の波数ベクトルの絶対値をk1とし、生成される第2高調波の波数ベクトルの絶対値をk2として、
Λ=2π/(k2−2k1) …(1)
によって定められる。
なお、周期的ドメイン反転LN結晶302の場合のように、和周波生成を行うときには、幅Λは、周期的ドメイン反転LN結晶302内において、入射光の波数ベクトルの絶対値をk3,k4とし、生成される和周波の波数ベクトルの絶対値をk5として、
Λ=2π/(k5−(k3+k4)) …(2)
によって定められる。
上記の領域305及び領域306のようなドメイン領域の形成は、例えば、周期的ドメイン反転LN結晶、周期的ドメイン反転LT結晶、及び周期的ドメイン反転KTP結晶の場合には、一方の種類の領域にのみ、誘電分極方向が通常(電圧印加されないとき)の誘電分極方向と逆方向となるような高電圧を印加することにより行われる。また、例えば、水晶QPMの場合には、応力発生をさせることにより行われる。
かかる周期的ドメイン反転誘電体結晶を使用したQPMによる第2高調波生成や和周波生成では、周期的ドメイン反転誘電体結晶の結晶方位と入射光の進行方向との関係によって、波長変換効率が異なる。かかる波長変換効率は、第2高調波生成や和周波生成において利用する非線形光学定数の種類に依存するが、周期的ドメイン反転LN結晶、周期的ドメイン反転LT結晶、及び周期的ドメイン反転KTP結晶の場合には、非線形光学定数d33を利用するときが最も波長変換効率が高くなる。本実施形態においては、こうした最も波長変換効率が高くなる非線形光学定数d33を利用する方向に沿って、入射した光を進行させることにしている。
以上のように、本実施形態では、周期的ドメイン反転LN結晶301〜303において非線形光学定数d33を利用して、第2高調波生成や和周波生成を行うが、こうした場合におけるQPMによる第2高調波生成では、原波(入射光)の偏光方向と生成光(波長変換光)の偏光方向とが平行となることになる。また、QPMによる和周波生成では、互いに平行に設定される第1原波及び第2原波の偏光方向と生成光の偏光方向とが平行となることになる。
一方、第1の実施形態におけるNCPMによるタイプ1の第2高調波生成では、原波の偏光方向と、生成光の偏光方向とは互いに直交する。また、第1の実施形態におけるNCPMやCPMによるタイプ1の和周波生成では、互いに平行に設定される第1原波及び第2原波の偏光方向と、生成光の偏光方向とは互いに直交する。
以上のような、QPMとNCPM及びCPMとの作用の相違、及び、タイプ1の和周波生成における、非線形光学結晶への入射時における第1原波の偏光方向と第2原波の偏光方向における平行性の要請(以下、「偏光方向平行化の要請」という)により、本第2の実施形態の波長変換部163は、第1の実施形態の波長変換部と比べて、上述の(d)及び(e)の構成上の相違点を有する構成とされている。
以下、本第2の実施形態の波長変換部163の作用を説明する。
光増幅部161から射出された波長1.544μm(周波数ω)の光(基本波)は、集光レンズ181を介して、1段目の非線形光学結晶301に入射する。基本波がこの非線形光学結晶301を通る際に、第2高調波生成により基本波の周波数ωの2倍、すなわち周波数2ωの2倍波が発生する。ここで、基本波の偏光方向と2倍波の偏光方向とはほぼ平行となっており、基本波と2倍波とは非線形光学結晶301からほぼ同軸で射出される。
非線形光学結晶301から射出された基本波と2倍波とは、集光レンズ185を介して、2段目の非線形光学結晶302に入射する。この非線形光学結晶302では、1段目の非線形光学結晶301で発生した2倍波と、波長変換されずにその非線形光学結晶301を透過した基本波とから和周波生成により3倍波(波長515nm)を得る。そして、非線形光学結晶302からは、基本波、2倍波、及び3倍波がほぼ同軸で射出される。ここで、基本波、2倍波、及び3倍波それぞれの偏光方向は互いにほぼ平行となっている。
次に、非線形光学結晶302から射出された基本波と、2倍波及び3倍波とは、波長選択素子であるダイクロイック・ミラー187により分離される。ここで、2倍波及び3倍波は反射され、集光レンズ188を介した後、3段目の非線形光学結晶303に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー187を透過した基本波は、ミラー194、集光レンズ1951,1952、ミラー196、及び1/2波長板321を順次介し、後述する最終段である5段目の非線形光学結晶198へ向けて進行する。なお、基本波は、1/2波長板321を介することにより、偏光方向が90°回転する。
3段目の非線形光学結晶303では、3倍波は波長変換されずにそのまま透過するとともに、2倍波が第2高調波生成により4倍波(波長386nm)に変換される。そして、非線形光学結晶303からは、3倍波及び4倍波がほぼ同軸で射出される。ここで、3倍波及び4倍波それぞれの偏光方向はほぼ平行となっている。
非線形光学結晶303から射出された3倍波及び4倍波は、集光レンズ190を介して、4段目の非線形光学結晶191に入射する。非線形光学結晶191では、3倍波と4倍波とから和周波生成により7倍波(波長221nm)を生成する。ここで、3倍波又は4倍波の偏光方向と7倍波の偏光方向とは互いに直交している。
非線形光学結晶191で得られた7倍波は集光レンズ192,193を介するとともに、ダイクロイック・ミラー197で、前述したダイクロイック・ミラー187を透過した基本波と同軸に合成されて、5段目の非線形光学結晶198に入射する。ここで、上述した1/2波長板321の作用により、非線形光学結晶198に入射する段階における基本波の偏光方向と7倍波の偏光方向とがほぼ平行となるように調整されている。
そして、5段目の非線形光学結晶198において、基本波と7倍波とから和周波生成により8倍波(波長193nm)を得る。
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光源装置16によれば、パルス光発生部160が発生した連続的な光パルス列を光増幅部161が増幅した後、波長変換部163において、擬似位相整合を多用して段階的に波長変換するので、通常の臨界位相整合の場合に位相整合のために光路を設定するための多くの光部品を用いることなく、高輝度の波長変換光(紫外光)を発生することができる。すなわち、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生することができる。
また、本第2の実施形態の露光装置によれば、走査露光にあたって高輝度の照明光ILをレチクルRに照射できるので、レチクルRに形成されたパターンを精度良く効率的にウエハWに転写することができる。
なお、本第2の実施形態では、波長変換部163における1〜3段目の非線形光学結晶の全てに周期的ドメイン反転誘電体結晶301〜303を使用したが、図12に示されるように、波長変換部163における1段目及び3段目の非線形光学結晶として、周期的ドメイン反転誘電体結晶301,303を使用することもできる。かかる場合には、上述した和周波生成における偏光方向平行化の要請を満たすために、非線形光学結晶303と非線形光学結晶191との間の光路上に、3倍波の偏光方向と4倍波の偏光方向とを平行化する波長板322が配置される構成となる。なお、この場合には、図10における1/2波長板321は不用である。
また、図13に示されるように、波長変換部163における1段目及び2段目の非線形光学結晶として、周期的ドメイン反転誘電体結晶301,302を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じ、図12の場合と同様に、非線形光学結晶189と非線形光学結晶191との間の光路上に、3倍波の偏光方向と4倍波の偏光方向とを平行化する波長板322が配置される構成となる。なお、この場合にも、図10における1/2波長板321は不用である。
また、図14に示されるように、波長変換部163における2段目及び3段目の非線形光学結晶として、周期的ドメイン反転誘電体結晶302,303を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じ、第1の実施形態の場合と同様に、非線形光学結晶183と非線形光学結晶302との間(図14では、非線形光学結晶183とレンズ185との間)の光路上に基本波の偏光方向と2倍波の偏光方向とを平行化する波長板184が配置されるとともに、図10の場合と同様に1/2波長板321が配置される構成となる。
また、図15に示されるように、波長変換部163における1段目の非線形光学結晶としてのみ、周期的ドメイン反転誘電体結晶301を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じた波長板は全く不用となる。
また、図16に示されるように、波長変換部163における2段目の非線形光学結晶としてのみ、周期的ドメイン反転誘電体結晶302を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じ、第1の実施形態の場合と同様に、非線形光学結晶183と非線形光学結晶302との間(図16では、非線形光学結晶183とレンズ185との間)の光路上に基本波の偏光方向と2倍波の偏光方向とを平行化する波長板184が配置されるとともに、図12又は図13の場合と同様に、非線形光学結晶189と非線形光学結晶191との間の光路上に、3倍波の偏光方向と4倍波の偏光方向とを平行化する波長板322が配置される構成となる。なお、この場合にも、図10における1/2波長板321は不用である。
また、図17に示されるように、波長変換部163における3段目の非線形光学結晶としてのみ、周期的ドメイン反転誘電体結晶303を使用することもできる。かかる場合には、和周波生成における偏光方向平行化の要請に応じ、第1の実施形態の場合と同様に、非線形光学結晶183と非線形光学結晶186との間(図17では、非線形光学結晶183とレンズ185との間)の光路上に基本波の偏光方向と2倍波の偏光方向とを平行化する波長板184が配置されるとともに、非線形光学結晶186と非線形光学結晶303との間の光路上に、2倍波の偏光方向と3倍波の偏光方向とを平行化する波長板323が配置される構成となる。なお、この場合にも、図10における1/2波長板321は不用である。
また、上記の第2の実施形態では、波長変換部163における1段目の非線形光学結晶301と2段目の非線形光学結晶302との間の光路上にレンズ185を配置したが、図18に示されるように、非線形光学結晶301と非線形光学結晶302とを近接させて配置することにより、レンズ185を省略することができる。これにより波長変換部163の小型化を図ることができる。
また、上記の第2の実施形態においても、第1の実施形態の場合と同様に、8倍波生成用LBO結晶198の代わりに、CLBO結晶、あるいはLB4結晶などを用いることが可能である。なお、本実施形態では3倍波と4倍波とから7倍波を生成するものとしたが、例えば基本波と6倍波とから7倍波を生成する場合には、その非線形光学結晶としてBBO結晶、CLBO結晶、LB4結晶、あるいはLBO結晶などを用いることが可能である。
また、上記の第2の実施形態においても、第1の実施形態における図5〜図9への変形と同様の変形が可能である。
また、上記の第2の実施形態では、第1の実施形態の波長変換部における1〜3段目の非線形光学結晶を、NCPMにより第2高調波生成又は和周波生成を行う非線形光学結晶から、QPMにより第2高調波生成又は和周波生成を行う周期的ドメイン反転誘電体結晶に置き換えたが、周期的ドメイン反転誘電体結晶として水晶QPM素子を使用すれば、第1の実施形態の波長変換部における全ての非線形光学結晶を、水晶QPM素子に置き換えることができる。
なお、上記の各実施形態では、光源部160からパルス光が射出されるため、波長変換部163における基本波〜7倍波は全てパルス光となる。このため、効率的に8倍波を発生するには、波長変換部163において、基本波から順次7倍波にまでに波長変換され、該7倍波が基本波と同軸に合成されるまでの光路長と、基本波が7倍波と同軸に合成されるまでの光路の光路長とをほぼ同一に設定することが必要になる。このためには、予め上記の波長変換部163を構成する光学部品の幾何学的配置を考慮するとともに、最終的に、ダイクロイック・ミラー187からレンズ188等を順次介してダイクロイック・ミラー197に至る光路、又はダイクロイック・ミラー187からミラー194等を順次介してダイクロイック・ミラー197に至る光路に、例えば光透過性の平行平板又は複数のミラー等からなる光路長補正部材を挿入すれば良い。
また、上記の各実施形態における波長変換部の非線形光学結晶の材料、出力波長等は一例であって、これに限定されないことは勿論である。例えば、光増幅部161から射出される波長1.57μmの基本波を、非線形光学結晶を用いて10倍波の高調波生成を行い、F2レーザと同じ波長である157nmの紫外光を発生することもできる。
また、上記の各実施形態では、レーザ光源160Aとして、DFB半導体レーザを使用したが、他の半導体レーザや、例えば発振波長が990nm付近のイッテルビウム(Yb)・ドープ・ファイバーレーザ等のファイバレーザを使用することもできる。
また、上記の各実施形態では、増幅用光ファイバとしてErドープファイバを採用したが、Ybドープファイバその他の希土類元素ドープファイバを採用することも可能である。
また、上記の各実施形態では、増幅用媒体として希土類元素がコア部に添加された光ファイバを採用したが、例えば、希土類元素が添加されたロッド状のガラス体を採用し、これに励起光を照射するようにしても良い。
また、光増幅部161において並列に配置される光ファイバ増幅器167の数は任意でよく、本発明に係る光源装置が適用される製品において要求される仕様に応じてその本数を決定すれば良い。特に、光源装置として高出力を要求されない場合には、光ファイバ増幅器167の数を減らして、構成を簡略化することができる。なお、光ファイバ増幅器167を1つのみ含むように簡略化するときは、分岐器166も不要となる。
また、上記の各実施形態では、光源装置が射出する紫外光の波長を、ArFエキシマレーザとほぼ同一に設定するものとしたが、その設定波長は任意でよく、この設定すべき波長に応じて、レーザ光源160Aの発振波長や波長変換部163の構成及び高調波の倍率などを決定すれば良い。なお、設定波長は、一例として、ウエハ上に転写すべきパターンのデザインルール(線幅、ピッチなど)に応じて決定するようにしてもよく、さらにはその決定に際して前述の露光条件やレチクルの種類(位相シフト型か否か)などを考慮しても良い。
また、上記の各実施形態では、本発明に係る光源装置がステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に適用された場合について説明したが、露光装置以外でデバイス製造工程などに用いられる装置、例えば、ウエハ上に形成された回路パターンの一部(ヒューズなど)を切断するために用いられるレーザリペア装置などにも本発明に係る光源装置を適用することができる。また、本発明は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に限らず、静止露光型、例えばステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパなど)にも好適に適用できるものである。更にはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも適用できる。
また、上記の実施形態では、本発明に係る光源装置が露光用照明光を発生する光源装置として使用される例を説明したが、露光用照明光とほぼ同一の波長の光を必要とする上述のレチクルアライメント用の光源装置、あるいは投影光学系の物体面又は像面に配置されるマークの投影像を検出して当該投影光学系の光学特性を求める空間像検出系の光源装置等として使用することも可能である。
なお、本発明の光源装置は、露光装置以外にも様々な装置に利用することができる。例えば、レーザ光を角膜に照射して表面のアブレーション(あるいは切開した角膜内部のアブレーション)を行い、角膜の曲率若しくは凹凸を矯正して近眼、乱視などの治療を行うレーザ治療装置に使用される光源装置として利用することができる。また、光学式検査装置等における光源装置としても、本発明の光源装置は利用可能である。
また、本発明の光源装置は、上記の実施形態における投影光学系のような光学系の光学調整(光軸合わせ等)用又は検査用としても利用可能である。さらには、エキシマレーザを光源として有する各種装置において、エキシマレーザに置き換えて本発明の光源装置を適用できる。
なお、図2に示された光源装置16の構成は図1の露光装置10における使用を前提としたものであって、光源装置16は、図2の構成に限られるものではない。露光装置では高精度な波長制御や光量制御等が必要となるが、例えば、露光装置以外で厳密な光量制御等が不要であれば、光量モニタや光量制御装置16C等を設けなくとも良い。
次に、上記の各実施形態の露光装置を使用したデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造について説明する。
まず、設計ステップにおいて、デバイスの機能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、マスク製作ステップにおいて、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ウエハ製造ステップにおいて、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ウエハ処理ステップにおいて、上記のステップで用意されたマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成する。
このウエハ処理ステップは、例えば、半導体デバイスの製造にあたっては、ウエハの表面を酸化させる酸化ステップ、ウエハ表面に絶縁膜を形成するCVDステップ、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する電極形成ステップ、ウエハにイオンを打ち込むイオン打込みステップといったウエハプロセスの各段階の前処理工程と、後述する後処理工程を有している。前処理工程は、ウエハプロセスの各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、前処理工程が終了すると、レジスト処理ステップにおいてウエハに感光剤が塗布され、引き続き、露光ステップにおいて上記で説明した露光装置10によってマスク(又はレチクル)に形成された回路パターンをウエハに転写する。すなわちウエハの露光を行う。次に、現像ステップにおいて露光されたウエハが現像され、引き続き、エッチングステップにおいて、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、レジスト除去ステップにおいて、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
以上のようにして、前処理工程と、レジスト処理ステップからレジスト除去ステップまでの後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
こうしてウエハ処理ステップが終了すると、組み立てステップにおいて、ウエハ処理ステップにおいて処理されたウエハを用いてチップ化する。この組み立てには、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)やパッケージング工程(チップ封入)等の工程が含まれる。
最後に、検査ステップにおいて、組み立てステップで作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
以上のようにして、精度良く微細なパターンが形成されたデバイスが、高い生産性で製造される。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の光源装置は、簡単な構成で、波長変換された光を効率良く発生するのに適している。また、本発明の光照射装置は、効率良く波長変換された光を物体に照射するのに適している。また、本発明の露光装置は、パターンを物体に転写するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、微細なパターンを感光物体上に形成するのに適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、図1の光源装置の内部構成を主制御装置とともに示すブロック図である。
図3は、図2の光増幅部を構成する光ファイバ増幅器及びその周辺部を、波長変換部の一部とともに概略的に示す図である。
図4は、図2の波長変換部の構成を示す図である。
図5は、図4の波長変換部の変形例(その1)を説明するための図である。
図6は、図4の波長変換部の変形例(その2)を説明するための図である。
図7は、図4の波長変換部の変形例(その3)を説明するための図である。
図8は、図4の波長変換部の変形例(その4)を説明するための図である。
図9は、図4の波長変換部の変形例(その5)を説明するための図である。
図10は、第2実施形態に係る波長変換部の構成を示す図である。
図11は、図10の周期的ドメイン反転誘電体結晶の構成を示す図である。
図12は、図10の波長変換部の変形例(その1)を説明するための図である。
図13は、図10の波長変換部の変形例(その2)を説明するための図である。
図14は、図10の波長変換部の変形例(その3)を説明するための図である。
図15は、図10の波長変換部の変形例(その4)を説明するための図である。
図16は、図10の波長変換部の変形例(その5)を説明するための図である。
図17は、図10の波長変換部の変形例(その6)を説明するための図である。
図18は、図10の波長変換部の変形例(その7)を説明するための図である。
Claims (14)
- 単一波長の光を発生するレーザ光発生部と;
前記レーザ光発生部が発生するレーザ光と同一波長の光を入射光として波長変換を行う波長変換部と;を備え、
前記波長変換部は、前記入射光及び該入射光の高調波のうちの第1の波長の光と第2の波長の光とを入射し、非臨界位相整合及び擬似位相整合の一方を使用した第2高調波生成により、前記第1の波長の1/2の波長である第3の波長の光を生成し、前記第2の波長の光と前記第3の波長の光とをほぼ同軸で射出する第1の非線形光学結晶を有することを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
第1の非線形光学結晶は、GdYCOB(GdXY1−XCa4O(BO3)3)結晶、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする光源装置。 - 請求項2に記載の光源装置において、
前記第1の非線形光学結晶は、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかであり、
前記第1の波長の光は、前記第1の非線形光学結晶中を、非線形光学定数がほぼ最大となる方向に進行することを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記波長変換部は、前記第1の非線形光学結晶から射出された前記第2の波長の光と前記第3の波長の光とを入射し、和周波生成により第4の波長の光を生成する第2の非線形光学結晶を更に有することを特徴とする光源装置。 - 請求項4に記載の光源装置において、
前記波長変換部は、前記第1の非線形光学結晶と前記第2の非線形光学結晶との間における前記第2の波長の光及び前記第3の波長の光の光路上に配設され、前記第2の波長の光と前記第3の波長の光との光軸ずれを補正する光路補正器を更に有することを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記波長変換部は、前記第1の非線形光学結晶よりも前段に配置され、非臨界位相整合及び擬似位相整合の一方を使用して波長変換を行う少なくとも1つの非線形光学結晶を更に有することを特徴とする光源装置。 - 請求項6に記載の光源装置において、
前記少なくとも1つの非線形光学結晶それぞれは、LBO(LiB3O5)結晶、周期的ドメイン反転LN(LiNbO3)結晶、周期的ドメイン反転LT(LiTaO3)結晶、及び周期的ドメイン反転KTP(KTiOPO4)結晶からなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記レーザ光発生部が発生した光を増幅し、前記波長変換部へ向けて射出する光増幅部を更に備えることを特徴とする光源装置。 - 請求項8に記載の光源装置において、
前記光増幅部は、光ファイバ増幅器を有することを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記レーザ光発生器は、赤外域から可視域までの波長範囲内のレーザ光を発生し、前記波長変換部は紫外光を射出することを特徴とする光源装置。 - 物体に光を照射する光照射装置であって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源装置と;
前記光源装置から射出された光を前記物体に向けて射出する照射光学系と;を備える光照射装置。 - 請求項11に記載の光照射装置において、
前記物体は、感光物体であることを特徴とする光照射装置。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源装置と;
前記光源装置から射出された光を第1物体に照射する照明光学系と;を備え、
前記第1物体に形成されたパターンが第2物体に転写されるように前記第1物体に照射された光で前記第2物体を露光することを特徴とする露光装置。 - リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程では、請求項12に記載の光照射装置を用いて前記感光物体を露光することを特徴とするデバイス製造方法。
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