JPWO2002095486A1 - 光源装置及び光照射装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
光発生部(160)から波長変換部(163)に至る光路中に配置され、前記光路を進行する光の自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行う位相変調器(132)を備えている。この場合、位相変調器(132)は、各瞬間の光強度に応じた位相変調を行うことにより、前記位相変調を行う。この結果、自己位相変調の効果が抑制されることにより、波長変換部に入射する光のスペクトル幅の拡大を抑制することができる。
Description
技術分野
本発明は、光源装置及び光照射装置、並びにデバイス製造方法に係り、さらに詳しくは、光増幅器によって増幅された光を波長変換して所望の波長の光を発生する光源装置及び該光源装置を備える光照射装置、並びに該光照射装置をリソグラフィ工程で用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
従来から、物体の微細構造の検査、物体の微細加工、また、視力矯正の治療等に光照射装置が使用されている。例えば、半導体素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを、投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「基板」又は「ウエハ」という)上に転写するために、光照射装置の一種である露光装置が用いられている。こうした露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式を採用する静止露光型の投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式を採用する走査露光型の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等が主として用いられている。また、視力矯正のために、角膜表面のアブレーション(PRK:Photorefractive Keratectomy)あるいは角膜内部のアブレーションLASIK:Laser Intrastromal Keratomileusis)を行って近眼や乱視等の治療をするために、光照射装置の一種であるレーザ治療装置が用いられている。
かかる光照射装置のために、短波長の光を発生する光源について多くの開発がなされてきた。こうした、短波長光源の開発の方向は、主に次の2種に大別される。その一つはレーザの発振波長自身が短波長であるエキシマレーザ光源の開発であり、もう一つは赤外又は可視光レーザの高調波発生を利用した短波長光源の開発である。
このうち、前者の方向に沿っては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を使用する光源装置が開発され、現在ではさらに短波長の光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)等を使用する光源装置の開発が進められている。しかし、これらのエキシマレーザは大型であること、有毒なフッ素ガスを使用するためレーザのメインテナンスが煩雑でかつ費用が高額となるなどの、光源装置として不利な点が存在する。
そこで、後者の方向に沿った短波長化の方法である、非線形光学結晶の非線形光学効果を利用し、長波長の光(赤外光、可視光)をより短波長の紫外光に変換する方法が注目を集めている。かかる方法を使用した光源装置としては、例えば、国際公開公報WO99/46835に開示されたもの(以下、単に「従来例」という)がある。
上述のような非線形光学結晶を使用する短波長化の方法では、非線形光学結晶における非線形光学効果の発生効率によって短波長光の発生効率が決まるが、現状では、利用可能な非線形光学結晶の非線形光学効果の発生効率が高いとはいい難い。このため、高輝度の紫外光を得るためには、非線形光学結晶に高強度の赤外光又は可視光を入射させる必要がある。そこで、上述の従来例では、半導体レーザ等によって発生したほぼ単一波長の赤外光又は可視光(以下、「基本光」ともいう)を、希土類元素が添加された増幅用光ファイバを有する光ファイバ増幅器で増幅して、非線形光学結晶に入射させる構成を採用している。
ところで、光ファイバ増幅器の増幅用光ファイバにおける光増幅作用により基本光を増幅すると、その増幅用光ファイバ(及びその後段の光ファイバ)内を高強度の光が進行することになる。この結果、光ファイバ内において非線形光学現象の一種である自己位相変調(Self Phase Modulation:SPM)が発生し、光の進行とともに、スペクトル幅が増大していく。こうしたスペクトル幅の増大は、光ファイバ内における光エネルギ密度が大きいほど大きくなる。
一方、露光装置における投影光学系には、通常、屈折光学素子であるレンズが使用されている。このため露光用照明光のスペクトル幅が大きくなると色収差が大きくなり、投影光学系の結像特性が劣化するので、基板へのパターンの転写精度が悪化することになる。
すなわち、従来例の光源装置を露光装置の露光用光源として使用した場合、スループット向上のため露光用照明光の輝度を高めると、露光用照明光のスペクトル幅の増大により色収差が増大し、基板へのパターンの転写精度の悪化を招く結果となってしまう。また、露光用照明光のスペクトル幅が大きいままであると、投影光学系の設計や製造が困難となってしまう。このため、高輝度かつ小スペクトル幅の光を射出可能な光源装置の実現が望まれていた。
本発明は、上記の事情のもとでなされたものであり、その第1の目的は、簡単な構成で、高輝度かつ小スペクトル幅の光を射出可能な光源装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高輝度かつ小スペクトル幅の光を対象物に照射することができる光照射装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、デバイスの生産性の向上を図ることが可能なデバイス製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明者等が研究の結果から得た知見によれば、媒質中を光が伝搬しているときに発生する自己位相変調は、その光の伝搬による屈折率の変化により伝搬光自らが位相変調されることにより発生する。ここで、光伝搬媒体における光の伝搬方向をZ方向とし、時刻をtとして、光伝搬媒体における伝搬光の光強度をI(Z,t)としたとき、光伝搬媒体の各Z位置及び各時刻における屈折率n(Z,t)は、
n(Z,t)=n0+n2・I(Z,t) …(1)
と表される。(1)式において、パラメータn0は線形屈折率であり、パラメータn2は非線形屈折率であり、いずれも光伝搬媒体の材料の種類によって定まるものである。
なお、厳密には、「非線形屈折率」というときには光強度I(Z,t)の高次成分も含まれるが、かかる高次成分は無視することができる程度に小さい。そこで、本明細書においては、「非線形屈折率」の用語を、(1)式におけるパラメータn2に光強度I(Z,t)を乗じた量を指すものとして用いるものとする。
そして、例えば光が光伝搬媒体を伝搬した後の自己位相変調量φNLは、光伝搬媒体の長さをLとしたとき、
φNL≒C・n2・L・I0 …(2)
と表される。ここで、パラメータCは、伝搬光のビーム形状等によって定まる定数であり、パラメータI0は光伝搬媒体への入射時のピーク光強度である。
したがって、光源装置における初期光の仕様及び光伝搬系の仕様が決まれば、その光伝搬系を介した光の自己位相変調量φNL(t)が分かるので、その自己位相変調量φNL(t)と逆の極性を有する位相変調を光路上の任意の場所で行えば、光伝搬系を介した光における自己位相変調に伴うスペクトル幅の拡大を抑制することができる。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、以下のような構成を採用する。
本発明は第1の観点からすると、所定波長の光を発生する光発生器を含む光発生部と;前記所定波長の光を増幅する光増幅部と;前記光増幅部で増幅された光を波長変換する波長変換部と;前記光発生部から前記波長変換部に至る光路中に配置され、前記光路を進行する光の自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行う位相変調器と;を備える第1の光源装置である。
これによれば、光発生部が発生した光が、光増幅部の光増幅媒体を介することにより増幅されるが、光増幅媒体等の光伝搬媒体中を高強度(より正確には高エネルギ密度)の光が伝搬することにより、自己位相変調を受ける。しかし、光発生部から波長変換部までの光路中に配置された位相変調器が、自己位相変調の事前又は事後に、その自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行うので、自己位相変調量が低減する。したがって、波長変換部に入射する光のスペクトル幅の拡大を抑制することができ、ひいては、波長変換部から射出される光のスペクトル幅の拡大を抑制することができる。
本発明の第1の光源装置では、前記位相変調器は、前記光路上に配置され、供給された変調用電気信号の振幅に応じた位相変調を行う電気光学変調素子と;前記電気光学変調素子を通過する光の強度に応じた振幅の電気信号を、前記変調用電気信号として、前記電気光学変調素子に供給する信号供給器と;を備えることとすることができる。
この場合において、前記位相変調器は、前記光発生部から前記光増幅部までの光路中に配置されることとすることができる。
また、本発明の第1の光源装置では、前記位相変調器は、前記光増幅部における光伝搬媒体の非線形屈折率の極性と反対の極性を有する材質から成る非線形光学部材を含むこととすることができる。
この場合において、前記非線形光学部材は、In1−XGaXAs1−YPY混晶から成ることとすることができる。
また、本発明の第1の光源装置では、前記光発生部が連続光を発生し、かつ、前記光発生部の直後の段に配置され、前記連続光からパルス光の切出しを行うパルス変調器を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の光源装置では、前記光発生器は、赤外域から可視域までの波長範囲内のほぼ単一波長のレーザ光を発生し、前記波長変換部は紫外光を射出することとすることができる。
本発明の第1の光源装置では、前記光増幅部は、増幅用光ファイバを含むこととすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、所定波長の光を発生する光発生器と;前記光発生器が発生した光が辿る光路における自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行う位相変調用信号が重畳された駆動信号を、前記光発生器に供給する駆動信号供給器と;前記所定波長の光を増幅する光増幅部と;を備える第2の光源装置である。
これによれば、光発生器から光を発生させるために供給される駆動信号に位相変調用信号を重畳させることにより、光発生器が発生した光が辿る光路における自己位相変調の少なくとも一部を相殺するので、自己位相変調量が低減する。したがって、自己位相変調によるスペクトル幅の拡大を抑制することができる。
本発明の第2の光源装置では、前記光発生器から前記光増幅部までの光路中に配置され、前記光発生器から射出された光からパルス光の切出しを行うパルス変調器を更に備えることとすることができる。
また、本発明の第2の光源装置では、前記光増幅部で増幅された光を波長変換する波長変換部を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記光発生器が、赤外域から可視域までの波長範囲内の単一波長のレーザ光を発生し、前記波長変換部が紫外光を射出することとすることができる。
また、本発明の第2の光源装置では、前記光増幅部が増幅用光ファイバを含むこととすることができる。
本発明は、第3の観点からすると、対象物に光を照射する光照射装置であって、本発明の第1及び第2光源装置のうちのいずれかの光源装置と;該光源装置から射出された光を前記対象物に向けて射出する照射光学系と;を備える光照射装置である。
これによれば、前記光源装置から射出された光を、照射光学系を介して対象物に向けて射出するので、波長変換された高輝度かつスペクトル幅の狭い光を対象物に照射することができる。
この場合において、前記光が照射される対象物としては、光照射装置の使用目的に応じて種々の対象物が用いられる。例えば、光照射装置をデバイスパターンの形成に使用する場合には、前記対象物として所定のパターンが形成されたマスクを用いることができ、この場合、光照射装置は、そのマスクから射出される光を感光物体に投射する投影光学系を更に備えることとすることができる。かかる場合には、高輝度かつスペクトル幅の狭い光がマスクに照射され、そのマスクを介した光が投影光学系に入射するので、投影光学系が屈折光学素子を含む場合、その色収差の発生を抑制することが可能となる。
本発明は、第4の観点からすると、マスクのパターンを感光物体上に転写する露光装置であって、本発明の第1及び第2光源装置のうちのいずれかの光源装置と;該光源装置から射出された光を前記マスクに照射する照明光学系と;を備える露光装置である。
これによれば、前記光源装置から射出された光を、照明光学系を介してマスクに照射するので、波長変換された高輝度かつスペクトル幅の狭い光をマスクに照射することができ、そのマスクを介した光で感光物体が露光される。従って、マスクのパターンを感光物体上に精度良く転写することが可能となる。
この場合において、前記マスクを介して前記感光物体に照射される光の強度又は積算光量を調整するために前記光源装置を制御する制御装置を更に備えることとすることができる。
また、リソグラフィ工程において、対象物としてマスクを用いる本発明の光照射装置、及び本発明の露光装置のいずれかを用い、前記マスク(及び投影光学系)を介して前記感光物体を露光することにより感光物体上にマスクのパターンを精度良く形成することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを生産性(歩留まりを含む)良く製造することができる。従って、本発明は、更に別の観点からすると、対象物としてマスクを用いる本発明の光照射装置及び本発明の露光装置のいずれかを用いるデバイス製造方法であるとも言える。
発明を実施するための最良の形態
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。
図1には、本発明の光学装置を含んで構成される本発明の光照射装置の第1の実施形態に係る露光装置10の概略構成が示されている。この露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である。
この露光装置10は、光源装置16及び照射光学系としての照明光学系12から成る照明系、この照明系からの露光用照明光(以下、「露光光」という)ILにより照明されるマスクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRを介した露光光ILを感光物体としてのウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持するZチルトステージ58が搭載されたXYステージ14、及びこれらの制御系等を備えている。
前記光源装置16は、例えば、波長193nm(ArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長)の紫外パルス光、あるいは波長157nm(F2レーザ光とほぼ同一波長)の紫外パルス光を出力する高調波発生装置である。この光源装置16は、前記照明光学系12、レチクルステージRST、投影光学系PL、Zチルトステージ58、XYステージ14及びこれら各部が搭載された不図示の本体コラム等から成る露光装置本体とともに、温度、圧力、湿度等が高精度に調整されたエンバイロンメンタル・チャンバ(以下、「チャンバ」という)11内に収納されている。
なお、本実施形態では、光源装置16を全てチャンバ内に配置するものとしたが、光源装置16の一部、例えば後述する波長変換部163のみをチャンバ内、特に照明光学系12と同一の架台に設け、この波長変換部163と光源16の本体部とを光ファイバ等で接続してもよい。
図2には、光源装置16の内部構成が装置全体を統括制御する主制御装置50とともにブロック図にて示されている。この図2に示されるように、光源装置16は、光源部16A、レーザ制御装置16B、及び変調制御装置16C等を含んで構成されている。
前記光源部16Aは、連続光発生部160、駆動信号供給器としての電流駆動器136、パルス変調器としての電気光学変調器(以下、「EOM」という)131、位相変調器としてのEOM132、光増幅部161、波長変換部163、及びビームモニタ機構164を含んで構成されている。
前記連続光発生部160は、光発生器としてのレーザ光源160A、光カップラBS、及び光アイソレータ160B等を有する。
前記レーザ光源160Aとしては、ここでは、単一波長発振レーザ、例えば、発振波長1.544μm、連続波出力(以下「CW出力」という)20mWのInGaAsP,DFB半導体レーザが用いられている。以下においては、レーザ光源160Aを適宜「DFB半導体レーザ160A」とも呼ぶものとする。このDFB半導体レーザ160Aは、電流駆動器136から供給された電流信号DVにより駆動され、電流信号DVの大きさに応じた光量のレーザ光を発生する。
なお、DFB半導体レーザは、通常、ヒートシンクの上に設けられ、これらが筐体内に収納されている。本実施形態では、DFB半導体レーザ160Aに付設されるヒートシンク上に温度調整器(例えばペルチェ素子など)が設けられており、レーザ制御装置16Bがその温度を制御することにより発振波長が制御(調整)可能な構成となっている。
前記光カップラBSとしては、透過率が97%程度のものが用いられている。このため、DFB半導体レーザ160Aからのレーザ光は、光カップラBSによって2つに分岐され、その97%程度が次段の光アイソレータ160Bに向かって進み、残り3%程度がビームモニタ機構164に入射するようになっている。
前記ビームモニタ機構164は、フォトダイオード等の光電変換素子から成るエネルギモニタ(図示省略)を含んでいる。このエネルギモニタの出力は、レーザ制御装置16Bを介して主制御装置50に供給されており、主制御装置50ではエネルギモニタの出力に基づいてレーザ光のエネルギ(パワー)を検出し、レーザ制御装置16Bを介して電流駆動器136を制御することにより、DFB半導体レーザ160Aで発振されるレーザ光の光量を必要に応じて制御する。
前記光アイソレータ160Bは、光カップラBSからEOM131に向かう方向の光のみを通過させ、反対向きの光の通過を阻止する。この光アイソレータ160Bにより、反射光(戻り光)に起因するDFB半導体レーザ160Aの発振モードの変化や雑音の発生等が防止される。
前記EOM131は、光アイソレータ160Bを通過したレーザ光(CW光(連続光))L1をパルス光に変換するためのものである。このEOM131は、図3Aに示されるように、入射した光L1が辿る光路が2分岐した後、再び合流する導波路310と、2分岐した導波路の双方それぞれに応じて設けられた電極311,312とを備えている。ここで、導波路310は、電圧が印加されるとその電圧値に応じて電圧印加部の屈折率が変化する材質で構成されている。また、電極311は、導波路を挟むように設けられた2つの電極板3111,3112から構成されており、この電極311(より正確には一方の電極3111)には、変調制御装置16Cからのパルス変調信号MD1を構成する一方の電圧信号MD11が供給されている。ここで、他方の電極3112は接地レベル(以下、「GND」と表す)となっている。また、電極312は、導波路を挟むように設けられた2つの電極板3121,3122から構成されており、この電極312(より正確には一方の電極3121)には、変調制御装置16Cからのパルス変調信号MD1を構成する一方の電圧信号MD12が供給されている。ここで、他方の電極3122はGNDレベルとなっている。
ここで、図3Aにおいては、説明を分かり易くするために、上記各電極板が、導波路310から離れた状態で示されているが、これらの電極板は実際には導波路310に接触していることが望ましい。後述する各実施形態における電極板についても同様である。
なお、以下の説明においては、電圧信号MD11及び電圧信号MD12を総称するときには、「パルス変調信号MD1」と呼ぶものとする。
なお、電極311,312の双方ともに電圧が印加されていないときに、射出光L2の光量が0となるように、導波路310における2つの分岐光路長が設定されている。また、電極311,312に互いに異なる電圧信号が印加されることにより、それらの印加電圧の差に応じた強度の光が射出されるようになっている。
このEOM131では、図3Bに示されるように、強度がほぼ一定の連続光L1を入射するが、変調制御装置16Cからのパルス変調信号MD1を構成する電圧信号MD11及びMD12が0Vの場合には、射出光L2の光量はほぼ0となる。そして、変調制御装置16Cから、電圧信号MD11として正電圧ピークを有するパルス信号が供給されるとともに、電圧信号MD11に同期して、電圧信号MD12として負電圧ピークを有するパルス信号が供給されると、電圧信号MD11の電圧レベルと電圧信号MD12の電圧レベルとの差に応じた光量の光が射出光L2として射出される。こうして、変調制御装置16Cによる制御のもとで、入射光L1のパルス切出し、すなわち、パルス変調が行われ、光パルス列が射出光L2として、EOM131から射出される。
なお、EOM131への印加電圧とDFB半導体レーザ160Aへの供給電流制御とを併用して、出力光のパルス化を行うことが望ましい。かかる場合には、消光比を向上することができる。このようにすれば、EOM131のみを用いる場合に比べて、消光比を向上しつつ、パルス幅が狭いパルス光を容易に発生させることが可能になるとともに、パルス光の発振間隔や発振の開始及びその停止などをより簡単に制御することが可能になる。
また、EOM131に代えて、音響光学変調器(AOM)を用いることも可能である。
図2に戻り、前記EOM132は、EOM131から射出された光(光パルス列)L2の各パルス光を位相変調するためのものである。このEOM132は、図4Aに示されるように、入射光L2が辿る導波路320と、電極321とを備えている。ここで、導波路320は、電圧が印加されるとその電圧値に応じて電圧印加部の屈折率が変化する材質で構成されている。また、電極321は、導波路を挟むように設けられた2つの電極板3211,3212から構成されており、この電極321(より正確には一方の電極板3211)には、変調制御装置16Cからの位相変調信号MD2が供給されている。ここで、他方の電極板3212はGNDレベルとなっている。
このEOM132では、図4Bに示されるように、導波路320を通過中の光の強度に応じた電圧レベルの位相変調信号MD2が電極321に印加されることにより、入射光L2の各瞬間に強度に応じて、導波路320の電圧印加部分の非線型屈折率が変化する。この結果、前述の(2)式に従って位相変調が行われる。かかる位相変調によって射出光L3に付与される位相変調量φPMは、図4Bに示されるように、射出光L3の各瞬間の強度に応じたものとなっている。なお、位相変調量φPMは、射出光L3の各光パルスがその後の波長変換部163までの光路において受ける自己位相変調量φSPMを相殺する量となるようになっている。かかる位相変調量φPMの調整は、光源装置16の構成の設計情報あるいは自己位相変調量φSPMの事前計測結果から求められる。そして、求められた自己位相変調量φSPM、導波路320の材質の電気光学特性、及び電極321の大きさ等から位相変調信号MD2の波形が決定される。
前記光増幅部161は、EOM132からのパルス光L3を増幅するもので、図5に示されるように、EOM132からのパルス光を時間順に周期的に振り分けて分岐(例えば、128分岐)する光分岐器166と、複数の光ファイバ増幅器167とを含んで構成されている。
図5に示されるように、光ファイバ増幅器167は、前段光増幅器141と後段光増幅器142とを備えている。ここで、前段光増幅器141は、増幅用光ファイバ1751、励起光(ポンプ光)を発生する励起用半導体レーザ1781、及び上述のEOM132の出力光と励起光とを合成し、その合成光を増幅用光ファイバ1751に供給する波長分割多重化装置(Wavelength Division Multiplexer:WDM)1791を有している。また、後段光増幅器142は、増幅用光ファイバ1752、励起光を発生する励起用半導体レーザ1782、及び前段光増幅器141の出力光と励起光とを合成し、その合成光を増幅用光ファイバ1752に供給する波長分割多重化装置1792を有している。そして、前段光増幅器141と後段光増幅器142との間には、DFB半導体レーザ160Aの発生光とほぼ同一波長の光を選択的に透過する光フィルタ176と、光アイソレータ177とが配置されている。
前記増幅用光ファイバ1751,1752(以下、総称するときには「増幅用光ファイバ175」と記す)は、シリカガラス又はフォスフェイトガラスを主材とし、コアとクラッドを有し、コアにエルビウム(Er)、あるいはErとイッテルビウム(Yb)との2種のイオンが高密度にドープされた光ファイバが用いられる。
以上のように構成された光ファイバ増幅器167において、増幅用光ファイバ1751,1752に、励起用半導体レーザ1781,1782が発生した励起光がWDM1791,1792を介して供給された状態で、WDM1791を介してパルス光が入射し増幅用光ファイバ1751,1752のコア中を進行すると、誘導放射が発生し、パルス光が増幅される。かかる光増幅にあたって、増幅用光ファイバ1751,1752は高い増幅率を有するので、波長の単一性が高い高輝度のパルス光が出力される。このため、効率良く狭帯域の光を得ることができる。
前記励起用半導体レーザ1781,1782は、DFB半導体レーザ160Aにおける発振波長よりも短い波長(例えば、980nm)の光を励起光として発生する。この励起光がWDM1791,1792を介して増幅用光ファイバ175に供給され、それによりErの殻外電子が励起され、いわゆるエネルギ準位の反転分布が発生する。なお、励起用半導体レーザ1781,1782は、変調制御装置16Cによって制御されるようになっている。
また、本実施形態では、各光ファイバ増幅器167のゲインの差を抑制するため、各光ファイバ増幅器167でその出力光の一部が分岐され、その分岐された光が、それぞれの分岐端に設けられた光電変換素子171によってそれぞれ光電変換されるようになっている。これらの光電変換素子171の出力信号が変調制御装置16Cに供給されるようになっている。
変調制御装置16Cでは、各光ファイバ増幅器167からの光出力が一定になるように(即ちバランスするように)、各励起用半導体レーザ1781,1782のドライブ電流をフィードバック制御するようになっている。
すなわち、変調制御装置16Cでは、上述したパルス変調及び位相変調を制御するとともに、各光ファイバ増幅器167からの光出力が一定になるように(即ちバランスするように)、各励起用半導体レーザ1781,1782のドライブ電流をフィードバック制御するようになっている。
以上のように構成された光増幅部161によって上述の光L3が増幅された光L4が、波長変換部163に向けて、光増幅部161から射出される。
この光L4は、それまでの光路の媒質(主に、光増幅部161内における増幅用光ファイバ1751,1752)内を進行することにより自己位相変調を受ける(自己位相変調が生じる)。しかし、上述したように、この自己位相変調による位相変調量φSPMを相殺するようにEOM132により位相変調が行われた光L3を光増幅部161に入射させるようにしているので(図4B参照)、光L4における位相変調量は、低減されたものとなっている。このため、光L4では、自己位相変調に伴うスペクトル幅の拡大が抑制されている。
かかる光L4におけるスペクトル幅の拡大の抑制の例が、図6A及び図6Bに示されている。ここで、図6Aには、EOM132による位相変調を行わない場合の光L4が有するスペクトル分布(比較例)が示されており、図6Bには、EOM132による位相変調が行われた本実施形態における光L4が有するスペクトル分布が示されている。図6Aと図6Bとを比較して確認されるように、本実施形態においては、光L4が有するスペクトル幅の拡大が抑制されている。
前記波長変換部163は、複数の非線形光学結晶を含み、光増幅部161からのパルス光(波長1.544μmの光)L4をその8倍高調波に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ出力波長(193nm)のパルス紫外光を発生する。
図7には、この波長変換部163の構成例が示されている。ここで、この図に基づいて波長変換部163の具体例について説明する。なお、図7には、光増幅部161から射出される波長1.544μmの光L4を基本波として、非線形光学結晶を用いて8倍波(高調波)に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ波長である193nmの紫外光を発生する構成例が示されている。
図7の波長変換部163では、基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)→4倍波(波長386nm)→7倍波(波長221nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換が行われる。
これを更に詳述すると、光増幅部161から射出された波長1.544μm(周波数ω)の光L4(基本波)は、1段目の非線形光学結晶183に入射する。基本波がこの非線形光学結晶183を通る際に、2次高調波発生により基本波の周波数ωの2倍、すなわち周波数2ω(波長は1/2の772nm)の2倍波が発生する。
この1段目の非線形光学結晶183として、LiB3O5(LBO)結晶が用いられ、基本波を2倍波に波長変換するための位相整合にLBO結晶の温度調節による方法、NCPM(Non−Critical Phase Matching)が使用される。NCPMは、非線形光学結晶内での基本波と第二高調波との角度ずれ(Walk−off)が起こらないため高効率で2倍波への変換を可能にし、また発生した2倍波はWalk−offによるビームの変形も受けないため有利である。
非線形光学結晶183で波長変換されずに透過した基本波と、波長変換で発生した2倍波とは、次段の波長板184でそれぞれ半波長、1波長の遅延が与えられて、基本波のみその偏光方向が90度回転し、2段目の非線形光学結晶186に入射する。2段目の非線形光学結晶186としてLBO結晶が用いられるとともに、そのLBO結晶では1段目の非線形光学結晶(LBO結晶)183とは異なる温度でのNCPMが使用される。この非線形光学結晶186では、1段目の非線形光学結晶183で発生した2倍波と、波長変換されずにその非線形光学結晶183を透過した基本波とから和周波発生により3倍波(波長515nm)を得る。
次に、非線形光学結晶186で得られた3倍波と、波長変換されずにその非線形光学結晶186を透過した基本波および2倍波とは、ダイクロイック・ミラー187により分離され、ここで反射された3倍波は集光レンズ190、及びダイクロイック・ミラー193を通って4段目の非線形光学結晶195に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー187を透過した基本波および2倍波は、集光レンズ188を通って3段目の非線形光学結晶189に入射する。
3段目の非線形光学結晶189としてはLBO結晶が用いられ、基本波が波長変換されずにそのLBO結晶を透過するとともに、2倍波がLBO結晶で2次高調波発生により4倍波(波長386nm)に変換される。非線形光学結晶189で得られた4倍波とそれを透過した基本波とは、ダイクロイック・ミラー191により分離され、ここを透過した基本波は集光レンズ194を通るとともに、ダイクロイック・ミラー196で反射されて5段目の非線形光学結晶198に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー191で反射された4倍波は、集光レンズ192を通ってダイクロイック・ミラー193に達し、ここでダイクロイック・ミラー187で反射された3倍波と同軸に合成されて4段目の非線形光学結晶195に入射する。
4段目の非線形光学結晶195としては、β−BaB2O4(BBO)結晶が用いられ、3倍波と4倍波とから和周波発生により7倍波(波長221nm)を得る。非線形光学結晶195で得られた7倍波は集光レンズ197を通るとともに、ダイクロイック・ミラー196で、ダイクロイック・ミラー191を透過した基本波と同軸に合成されて、5段目の非線形光学結晶198に入射する。
5段目の非線形光学結晶198としてLBO結晶が用いられ、基本波と7倍波とから和周波発生により8倍波(波長193nm)を得る。上記構成において、8倍波生成用LBO結晶198の代わりに、CsLiB6O10(CLBO)結晶、あるいはLi2B4O7(LB4)結晶などを用いることも可能である。なお、本実施形態では、3倍波と4倍波とから7倍波を生成するものとしたが、例えば基本波と6倍波とから7倍波を生成する場合には、その非線形光学結晶としてBBO結晶、CLBO結晶、LB4結晶、あるいはLBO結晶などを用いることが可能である。
図1に戻り、前記照明光学系12は、オプティカルインテグレータ、可変NDフィルタ、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を含んで構成されている。ここで、オプティカルインテグレータとしてはフライアイレンズ、内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)、あるいは回折光学素子等が用いられる。こうした照明光学系の構成は、例えば、特開平10−112433号公報、特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号公報などに開示されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
この照明光学系12から射出された露光光ILは、ミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域42Rを均一な照度分布で照明する。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、水平面(XY平面)内で移動可能であり、レチクルステージ駆動部49によって走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。この走査中のレチクルステージRSTの位置及び回転量は、レチクルステージRST上に固定された移動鏡52Rを介して外部のレーザ干渉計54Rによって計測され、このレーザ干渉計54Rの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
前記投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックな縮小系であり、共通のZ軸方向の光軸AXを有する複数枚のレンズエレメントから構成されている。また、この投影光学系PLとしては、投影倍率βが例えば1/4、1/5、1/6等のものが使用されている。このため、上記のようにして、露光光ILによりレチクルRにおける照明領域42Rが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンのうち照明領域42R部分の投影光学系PLによる縮小像(部分等立像)が、投影光学系PLの視野内で照明領域42Rと共役な矩形の投影領域42Wに投影され、ウエハWの表面に塗布されたレジスト上にその縮小像が転写される。
前記XYステージ14は、ウエハステージ駆動部56によって走査方向であるY軸方向及びこれに直交するX軸方向(図1における紙面直交方向)に2次元駆動されるようになっている。このXYステージ14上に搭載されたZチルトステージ58上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等により保持されている。Zチルトステージ58は、例えば3つのアクチュエータ(ピエゾ素子又はボイスコイルモータなど)によってウエハWのZ軸方向の位置(フォーカス位置)を調整すると共に、XY平面(投影光学系PLの像面)に対するウエハWの傾斜角を調整する機能を有する。また、XYステージ14の位置は、Zチルトステージ58上に固定された移動鏡52Wを介して外部のレーザ干渉計54Wにより計測され、このレーザ干渉計54Wの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
ここで、移動鏡は、実際には、X軸に垂直な反射面を有するX移動鏡とY軸に垂直な反射面を有するY移動鏡とが存在し、これに対応してレーザ干渉計もX軸位置計測用、Y軸位置計測用、及び回転(ヨーイング量、ピッチング量、ローリング量を含む)計測用のものがそれぞれ設けられているが、図1では、これらが代表的に、移動鏡52W、レーザ干渉計54Wとして示されている。
Zチルトステージ58上には、後述するレチクルアライメント等を行う際に使用される基準マーク板FMが設けられている。この基準マーク板FMは、その表面がウエハWの表面とほぼ同一の高さとされている。この基準マーク板FMの表面には、レチクルアライメント用基準マーク、ベースライン計測用基準マーク等の基準マークが形成されている。
更に、本実施形態の露光装置10では、図1に示されるように、主制御装置50の制御の下で、投影光学系PLの結像面(XY面)に設定される多数の計測点に向けてそれぞれピンホール又はスリットの像を形成するための結像光束を、光軸AXに対して斜め方向より照射する照射光学系60aと、それらの結像光束のウエハW表面での反射光束を受光する受光光学系60bとからなる斜入射方式の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)が設けられている。なお、本実施形態と同様の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)の詳細な構成は、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
走査露光時等に、主制御装置50は、受光光学系60bからの各計測点について検出されたZ位置に基づいて、計測点が存在するショット領域の一部の表面のZ位置及び傾斜量を逐次算出しつつ、この算出結果に基づいてZチルトステージ58のZ位置や傾斜角を不図示の駆動系を介して制御することにより、オートフォーカス(自動焦点合わせ)及びオートレベリングを実行する。
前記主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、これまでに説明した各種の制御を行う他、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング、露光タイミング等を制御する。また、本実施形態では、主制御装置50は、後述するように走査露光の際の露光量の制御を行う等の他、装置全体を統括制御する。
具体的には、主制御装置50は、例えば走査露光時には、レチクルRがレチクルステージRSTを介して、照明領域42Rに対して+Y方向(又は−Y方向)に速度VR=Vで走査されるのに同期して、XYステージ14を介してウエハWが投影領域42Wに対して−Y方向(又は+Y方向)に速度Vw=β・V(βはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レーザ干渉計54R、54Wの計測値に基づいてレチクルステージ駆動部49、ウエハステージ駆動部56をそれぞれ介してレチクルステージRST、XYステージ14の位置及び速度をそれぞれ制御する。また、ステッピングの際には、主制御装置50ではレーザ干渉計54Wの計測値に基づいてウエハステージ駆動部56を介してXYステージ14の位置を制御する。
次に、本実施形態の露光装置10において所定枚数(N枚)のウエハW上にレチクルパターンの露光を行う場合の露光シーケンスについて主制御装置50の制御動作を中心として説明する。
まず、主制御装置50では、不図示のレチクルローダを用いて露光対象のレチクルRをレチクルステージRST上にロードする。
次いで、不図示のレチクルアライメント系を用いてレチクルアライメントを行うとともに、前述した基準マークを用いてオファクシス方式のアライメント系(不図示)のベースライン計測を行う。なお、レチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号に詳細に開示されており、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
次に、主制御装置50では、不図示のウエハ搬送系にウエハWの交換を指示する。これにより、ウエハ搬送系及びXYステージ14上の不図示のウエハ受け渡し機構によってウエハ交換(ステージ上にウエハが無い場合は、単なるウエハロード)が行われる。このウエハ交換は、公知の露光装置と同様に行われるので詳細説明は省略する。
次いで、前述のベースライン計測が行われたアライメント系を用いてサーチアライメント及びいわゆるファインアライメント、例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に詳細に開示されるEGA方式のウエハアライメント等を含む一連のアライメント工程の処理を行う。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
次に、上記のアライメント結果及びショットマップデータに基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハWを移動させる動作と、前述した走査露光動作とを繰り返し行って、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の複数のショット領域にレチクルパターンを転写する。かかる走査露光中に、主制御装置50は、露光条件及びレジスト感度に応じて決定された目標積算露光量をウエハWに与えるため、変調制御装置16Cに指令を与え、露光光量の制御を行う。
1枚目のウエハWに対する露光が終了すると、主制御装置50では、不図示のウエハ搬送系にウエハWの交換を指示する。これにより、ウエハ搬送系及びXYステージ14上の不図示のウエハ受け渡し機構によってウエハ交換が行われ、以後上記と同様にしてその交換後のウエハに対してサーチアライメント、ファインアライメントを行う。
そして、上記と同様にして、このウエハW上の複数のショット領域にステップ・アンド・スキャン方式でレチクルパターンを転写する。
なお、露光条件(照明光学系の瞳面上での露光光ILの光量分布、すなわちレチクルRの照明条件、投影光学系PLの開口数などを含む)及びレチクルパターンの変更の少なくとも一方によって照度が変化するときは、ウエハ(レジスト)に適正な露光量が与えられるように、光源装置16から射出される光の周波数とピークパワーとの少なくとも一方を制御することが望ましい。このとき、周波数及びピークパワーの少なくとも一方に加えてレチクル及びウエハの走査速度を調整するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る光源装置16によると、連続光発生部160が発生した連続光をパルス変調した後、各パルス光に対して、当該各パルス光が波長変換部163までの光路上の媒質を通過する際に受ける自己位相変調に起因して生じる位相変調量を相殺する位相変調量の位相変調をEOM132によって行う。したがって、波長変換部163に入射する光におけるスペクトル幅の拡大を抑制することができ、単色性の良い光を波長変換部163に供給することができる。このため、波長変換部163から射出される波長変換光の単色性を高めることができる。
また、パルス変調を行うEOM131と光増幅部161との間に位相変調を行うEOM132を配置することにより、該EOM132を光増幅部161の後段に配置した場合などに比べて、EOM132を通過する光のピーク強度を低減することができる。これによりEOM132の部品寿命を長くすることができる。
さらに、比較的狭いパルス幅の光パルスを使用する場合には、EOM131と光増幅部161との間にEOM132を配置することにより、EOM131から射出されたパルス光を介在物が無い(あるいは、介在物が殆ど無い)状態でEOM132に入射させるので、パルス光を位相変調するのにあたって、位相変調用信号MD2を精度の良いタイミングでEOM132に供給することができる。したがって、パルス光に対して、各瞬間の光強度に応じた位相変調量を精度良く与えることができ、波長変換部163に入射する光におけるスペクトル幅の拡大を有効に抑制することができる。
また、位相変調器として電気光学効果を有する媒質を使用したEOM132を用いるので、レベル値の制御が精度良くかつ容易に行うことができる電圧信号の波形を調整することにより、精度良く位相変調を行うことができる。
また、連続光発生部160の直後の段において、EOM131を用いたパルス変調によってパルス切出しを行うので、光パルス切出し間隔や光増幅率を制御することにより、光源装置16として光量制御が容易な構成とすることができる。
また、本実施形態の露光装置によれば、露光にあたって単色性の高い照明光ILをレチクルRに照射できるので、投影光学系PLの色収差を効果的に抑制することができ、これによりレチクルRに形成されたパターンを精度良くウエハWに転写することができる。
なお、上記実施形態では、位相変調を行うEOM132を、パルス変調を行うEOM131と光増幅部161との間に配置したが、光増幅部161中や光増幅部161と波長変換部163との間に配置することもできる。要は、パルス光の伝搬する波長変換部163までの光路中にEOM132を配置すれば良い。
また、上記の実施形態では、パルス変調を行うEOM131と位相変調を行うEOM132とを別個に設けたが、EOM131にパルス変調信号MD1を構成する電圧信号MD11,MD12それぞれに位相変調信号MD2を重畳させた変調信号を供給することにより、1つの電気光学変調器によりパルス変調と位相変調とを同時に行うようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、パルス変調を行うEOM131として、2分岐した導波路それぞれに応じて電極131,132を配置したが、2分岐した導波路の一方のみに電極を配置する構成とすることもできる。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本第2の実施形態の露光装置は、光源装置の構成が前述した第1の実施形態の光源装置と異なる点を除き、前述した第1の実施形態の露光装置10と同様に構成されている。
すなわち、本第2の実施形態に係る光源装置16は、図8に示されるように、前述の第1の実施形態の光源装置(図2参照)と比べて、EOM132が無いこと、及び、光増幅部161に代えて光増幅部161’が用いらている点が相違する。以下、かかる相違点を中心として、本第2の実施形態の説明を行う。なお、本第2の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本第2の実施形態の光増幅部161’は、図9に示されるように、第1の実施形態の光増幅部161(図5参照)と比べて、光ファイバ増幅器167に代えて、光ファイバ増幅器167’を使用する点が異なる。この光ファイバ増幅器167’は、光ファイバ増幅器167における前段光増幅器141と後段光増幅器142との間、より正確には、光アイソレータ177とWDM1792との間に位相変調器138が配置されている点のみが、光ファイバ増幅器167と異なっている。
この位相変調器138は、図10Aに示されるように、増幅用光ファイバ1751,1752の非線形屈折率と反対の極性を有する非線形屈折率を有する非線形光学部材330と、該非線形光学部材330に対して一対の電極板3311,3312から成る電極331を介して電圧を印加するための直流電源332とを備えている。本第2の実施形態では、非線形光学部材330の材料として、半導体光増幅器の増幅用媒質としても使用されるIn1−XGaXAs1−YPY混晶が用いられている。
このIn1−XGaXAs1−YPY混晶は、パルス変調を行うEOM131から波長変換部163までのパルス光の光路における非線形光学部材330以外の主な非線形光学部材である増幅用光ファイバ1751,1752を構成するシリカガラスとは反対の極性の非線形屈折率を有している。すなわち、シリカガラスは正の非線形屈折率を有しているのに対して、In1−XGaXAs1−YPY混晶は負の非線形屈折率(=−2×10−15m2/W:Grant et al.,1991,Appl.Phys.Lett.58(11),p1119)を有しており、その絶対値がシリカガラスよりも5桁程度大きい。なお、In1−XGaXAs1−YPY混晶は、電圧が印加されていない場合には、1.55μm帯の光について吸収性を有するので、利得が「1」となるように、直流電源332から電極331を介して非線形光学部材330に電圧が印加されている。
位相変調器138では、図10Bに示されるように、入射したパルス光L21が、非線形光学部材330を通過することにより殆ど変形せずに(その強度(振幅)が変化せずに)パルス光L22が射出される。一方、パルス光が非線形光学部材330を通過すると、前述の(2)式に従って、パルス光の各瞬間の強度及び非線形光学部材330内おける光路長に応じた位相変調が行われる。かかる位相変調によって射出光L22に付与される位相変調量φPMは、図10Bに示されるように、射出光L22の各瞬間の強度に応じたものとなっている。なお、位相変調量φPMは、非線形光学部材330内おける光路長に比例するが、当該非線形光学部材330内おける光路長は、位相変調器138による位相変調量φPMが、パルス光が波長変換部163までの光路において受ける自己位相変調量φSPMを相殺する量となる長さに設定されている。
以上のように構成された光ファイバ増幅器167’にパルス光L2’が入射すると、第1の実施形態の場合と同様に、増幅用光ファイバ1751,1752を介することにより、パルス光が増幅されるとともに、主に増幅用光ファイバ1751,1752におけるパルス光の自己位相変調が、位相変調器138における位相変調によって相殺される。この結果、自己位相変調によるパルス光のスペクトル幅の拡大が抑制され、波長の単一性が高い高輝度のパルス光L3’が、光増幅部161’から波長変換部163へ向けて射出される。
すなわち、本第2の実施形態の光源装置16では、第1実施形態の場合と同様にして、連続光発生部160で発生された連続光L1’から、EOM131によってパルス切出しが行われて光パルス列L2’が生成される。こうして生成された光パルス列の各パルス列L2’の各パルス光は、光増幅部161’において増幅されるととともに、自己位相変調によるスペクトル幅の拡大が抑制される。そして、光増幅部161’から射出された光L3’が波長変換部163に入射して、波長変換された後、光源装置16の射出光として射出される。こうして光源装置16から射出された光を使用して、第1の実施形態の場合と同様にして、レチクルRに形成されたパターンがウエハWに転写される。
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光源装置16によると、前述した第1の実施形態と同等の作用により同等の効果を得ることができ、結果的に波長変換部163から射出される波長変換光の単色性を高めることができる。これに加えて、また、位相変調器として、非線形屈折率が、増幅用光ファイバ1751、1752の非線形屈折率の極性と反対の極性を有する非線形光学部材を使用するので、位相変調にあたって動的な制御をすることなく、精度良く位相変調を行うことができる。
また、本第2の実施形態の露光装置によると、露光にあたって単色性の高い照明光ILをレチクルRに照射できるので、投影光学系PLの色収差を効果的に抑制することができ、これによりレチクルRに形成されたパターンを精度良くウエハWに転写することができる。
なお、上記第2の実施形態では、位相変調を行う位相変調器138を、前段光増幅器141と後段光増幅器142との間に配置したが、非線形光学部材における光路長を調整した位相変調器138と同様のタイプの位相変調器を、EOM131と前段光増幅器141との間に配置してもよいし、また、後段光増幅器142と波長変換部163との間に配置してもよい。すなわち、第1の実施形態におけるEOM132と同様に、波長変換部163までのパルス光の伝搬する光路中に位相変調器138を、配置することができる。
また、上記第2の実施形態では、位相変調器138の非線形光学部材330の材料としてIn1−XGaXAs1−YPY混晶を用いたが、増幅用光ファイバ1751,1752の材料の非線形屈折率と極性が異なる非線形屈折率を有する材料であれば、非線形光学部材330の材料として採用することができる。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本第3の実施形態の露光装置は、光源装置の構成が前述した第1の実施形態の光源装置と異なる点を除き、前述した第1の実施形態の露光装置10と同様に構成されている。
すなわち、本第3の実施形態に係る光源装置16は、図11に示されるように、前述の第1の実施形態の光源装置(図2参照)と比べて、EOM132が無いこと、及び、直流電流信号を供給する電流駆動器136に代えて後述する位相変調信号が重畳された信号を供給する電流駆動器136’が用いられる点が相違する。以下、かかる相違点を中心として、本第3の実施形態の説明を行う。なお、本第3の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
ここで、本第3の実施形態で利用する位相変調の原理について簡単に説明する。
半導体レーザ素子は、活性層に電流が流れることにより伝導帯と価電子帯との間で反転分布を生じさせ、かかる反転分布状態における自然放射光の発生をトリガとして共振器より、供給された電流量に応じたレーザ光を発生する。こうした発光のための電流供給によりキャリアが発光部に集中するが、かかるキャリアの集中により屈折率が変化する。この屈折率の変化はキャリアの集中度によって変化するが、該キャリアの集中度は供給電流量によって変化する。
すなわち、供給電流量の変化によって発光部の屈折率が変化し、この屈折率の変化により射出されるレーザ光が位相変調される(前述の(2)式参照)。そして、この位相変調の量は、供給電流を変化させることにより、変化させることができる。
本第3の実施形態では、上記の原理を利用して、連続発生部160のDFB半導体レーザ160Aの駆動信号DV’を振幅変調することにより、位相変調されたレーザ光を発生させる。
すなわち、図12に示されるように、直流成分に位相変調のための交流成分が重畳した駆動信号DV’が、電流駆動器136’からDFB半導体レーザ160Aに供給される。ここで、駆動信号DV’における交流成分の周期は、後にEOMによって切り出される光パルス幅と同程度とされている。この結果、駆動信号DV’の波形に応じた強度波形の光L1”がDFB半導体レーザ160Aから射出される。こうしてDFB半導体レーザ160Aから射出された光L1”は、上述したように、各瞬間の強度に応じた位相変調がなされたものとなっている。
こうしてDFB半導体レーザ160Aから射出された光L1”は、EOM131によってパルス変調される。かかるパルス変調において、EOM131は、変調制御装置16Cからの変調信号MD1によるパルス切出し指示に応じて、EOM131から射出されたパルス光L2”が波長変換部163までの光路で受ける自己位相変調量φSPMを相殺可能な位相変調量φPMの時間変化となるタイミングでパルス切出しを行う。こうして、各パルス光が後に受ける自己位相変調を相殺する位相変調が施された光パルス列L2”が、EOM131から射出される。
以上のようにして生成された光パルス列L2”が光増幅部161に入射すると、第1の実施形態の場合と同様に、増幅用光ファイバ1751,1752を介することにより、各パルス光が増幅されるとともに、主に増幅用光ファイバ1751,1752におけるパルス光の自己位相変調が、DFB半導体レーザ160Aからの射出時に既に行われていた位相変調によって相殺される。この結果、自己位相変調によるパルス光のスペクトル幅の拡大が抑制され、波長の単一性が高い高輝度のパルス光L3”が、光増幅部161から波長変換部163へ向けて射出される。
すなわち、本第3の実施形態の光源装置16では、連続光発生部160で発生された位相変調光L1”から、EOM131が、後の自己位相変調を相殺する位相変調量の時間変化をするタイミングでパルス切出しを行い、光パルス列L2”を生成する。こうして生成された光パルス列L2”の各パルス光は、光増幅部161において増幅されるととともに、増幅用光ファイバ1751,1752における自己位相変調によるスペクトル幅の拡大が抑制される。そして、光増幅部161から射出された光L3”が波長変換部163に入射して、波長変換された後、光源装置16の射出光として射出される。こうして光源装置16から射出された光を使用して、第1の実施形態の場合と同様にして、レチクルRに形成されたパターンがウエハWに転写される。
以上説明したように、本第3の実施形態に係る光源装置16によると、連続光発生部160におけるレーザ光発生にあたって、連続光発生部160が発生した連続光をパルス変調した後、各パルス光に対して、当該各パルス光が波長変換部163までの光路上の媒質を通過する際に受ける自己位相変調に起因して生じる位相変調量を相殺する位相変調量の位相変調を行う。したがって、波長変換部163に入射する光におけるスペクトル幅の拡大を抑制することができ、単色性の良い光を波長変換部163に供給することができる。このため、波長変換部163から射出される波長変換光の単色性を高めることができる。
また、本第3の実施形態の露光装置によれば、露光にあたって単色性の高い照明光ILをレチクルRに照射できるので、投影光学系の色収差を効果的に抑制し、レチクルRに形成されたパターンを精度良くウエハWに転写することができる。
なお、上記第3の実施形態では、駆動信号DV’への位相変調用信号を連続的な交流電流成分としたが、パルス切出し指示に応じてほぼパルス幅程度の時間幅だけ強度用変調信号である位相変調用信号を直流成分に重畳し、その位相変調用信号の重畳した期間の駆動信号DV’による駆動によって発生した光を、EOM131でパルス切出ししてもよい。
なお、上記第1〜第3の実施形態それぞれで説明した位相変調の手法を任意に組み合わせて適用することが可能なことは勿論である。
また、上記の各実施形態では意図的に付与される位相変調量φPMは、自己位相変調量φSPMを相殺する量と必ずしも一致していなくとも良い。例えば、前述の露光装置で要求されるスペクトル幅が得られる程度の範囲内で位相変調量φPMを自己位相変調量φSPMと異ならせる、換言すれば位相変調量φPMが自己位相変調量φSPMの一部を相殺する量であっても良い。かかる場合にも、スペクトル幅の拡大を制御する効果を奏する。
また、上記の各実施形態における波長変換部の構成は一例であって、本発明の波長変換部の構成や非線形光学結晶の材料、出力波長などがこれに限定されないことは勿論である。例えば、光増幅部163から射出される波長1.57μmの基本波を、非線形光学結晶を用いて10倍波の高調波発生を行い、F2レーザと同じ波長である157nmの紫外光を発生することもできる。
また、上記の各実施形態では、レーザ光源160Aとして、DFB半導体レーザを使用したが、他の半導体レーザや、例えば発振波長が990nm付近のイッテルビウム(Yb)・ドープ・ファイバーレーザ等のファイバレーザを使用することもできる。
また、上記の各実施形態では、増幅用光ファイバとしてErドープファイバを採用したが、Ybドープファイバその他の希土類元素ドープファイバを採用することも可能である。
また、上記の各実施形態では、増幅用媒体として希土類元素がコア部に添加された光ファイバを採用したが、例えば、希土類元素が添加されたロッド状のガラス体を採用し、これに励起光を照射するようにしてもよい。
また、光増幅部161又は161’において並列に配置される光ファイバ増幅器の数は任意でよく、本発明に係る光源装置が適用される製品において要求される仕様に応じてその本数を決定すればよい。特に、光源装置として高出力を要求されない場合には、光ファイバ増幅器の数を減らして、構成を簡略化することができる。なお、光ファイバ増幅器を1つのみ含むように簡略化するときは、分岐器166も不要となる。
また、光ファイバ増幅器を直列に接続することにより、1経路の光増幅率を高めることもできる。かかる場合には、ジャイアントパルスの発生により破壊の可能性のある光ファイバ増幅器から波長変換部までの間に、適宜な光量制御装置を設ければよい。
また、上記各実施形態では単一のレーザ光源160Aを用いるものとしたが、複数のレーザ光源160Aを用いるとともに、図2に示される光源部16Aのうち、例えば少なくとも波長変換部163を除く残りの光学要素(光アイソレータ160B、EOM131、132、光増幅部161など)をレーザ光源と同数だけ設けるようにし、この複数の光源部と前述した波長分割多重化装置とによって生成される多数の出力光L4を波長変換部163に入射させるように構成しても良い。
また、上記の各実施形態では、光源装置が射出する紫外光の波長を、ArFエキシマレーザとほぼ同一に設定するものとしたが、その設定波長は任意でよく、この設定すべき波長に応じて、レーザ光源160Aの発振波長や波長変換部163の構成及び高調波の倍率などを決定すればよい。なお、設定波長は、一例として、ウエハ上に転写すべきパターンのデザインルール(線幅、ピッチなど)に応じて決定するようにしてもよく、さらにはその決定に際して前述の露光条件やレチクルの種類(位相シフト型か否か)などを考慮してもよい。
また、上記の各実施形態では、本発明に係る光源装置がステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に適用された場合について説明したが、露光装置以外でデバイス製造工程などに用いられる装置、例えば、ウエハ上に形成された回路パターンの一部(ヒューズなど)を切断するために用いられるレーザリペア装置などにも本発明に係る光源装置を適用することができる。また、本発明は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に限らず、静止露光型、例えばステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパなど)にも好適に適用できるものである。更にはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも適用できる。
また、上記の各実施形態では、本発明に係る光源装置が露光用照明光を発生する光源装置として使用される例を説明したが、露光用照明光とほぼ同一の波長の光を必要とする上述のレチクルアライメント用の光源装置、あるいは投影光学系の物体面又は像面に配置されるマークの投影像を検出して投影光学系の光学特性を求める空間像検出系の光源装置等として使用することも可能である。
なお、本発明の光源装置は、露光装置以外にも様々な装置に利用することができる。例えば、レーザ光を角膜に照射して表面のアブレーション(あるいは切開した角膜内部のアブレーション)を行い、角膜の曲率若しくは凹凸を矯正して近眼、乱視などの治療を行うレーザ治療装置に使用される光源装置として利用することができる。また、光学式検査装置等における光源装置としても、本発明の光源装置は利用可能である。
また、本発明の光源装置は、上記の実施形態における投影光学系のような光学系の光学調整(光軸合わせ等)用又は検査用としても利用可能である。さらには、エキシマレーザを光源として有する各種装置において、エキシマレーザに置き換えて本発明の光源装置を適用できる。
《デバイス製造方法》
次に、上記の各実施形態の露光装置及び方法を使用したデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造について説明する。
図13には、上記デバイスの製造例のフローチャートが示されている。この図13に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図14には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図14において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いることにより、露光工程(ステップ216)において上記各実施形態の露光装置が用いられるので、精度良くレチクルのパターンをウエハ上に転写することができる。この結果、高集積度のデバイスを生産性(歩留まりを含む)良く製造することができる。
産業上の利用可能性
以上詳細に説明したように、本発明の光源装置は、波長の単一性が向上した高輝度の光を発生するのに適している。また、本発明の光照射装置は、波長の単一性が向上した高輝度の光を対象物に照射するのに適しており、特に対象物がマスクである場合には、そのマスクに形成されたパターンの転写に適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、図1の光源装置の内部構成を主制御装置とともに示すブロック図である。
図3Aは、図2のパルス変調器の構成を概略的に示す図、図3Bは、図2のパルス変調器の作用を説明するためのタイミング図である。
図4Aは、図2の位相変調器の構成を概略的に示す図であり、図4Bは、図2の位相変調器の作用を説明するためのタイミング図である。
図5は、図2の光増幅部を構成する光ファイバ増幅器及びその周辺部を概略的に示す図である。
図6A及び図6Bは、位相変調によるスペクトル幅の拡大の抑制効果を説明するための図である。
図7は、図2の波長変換部の構成を示す図である。
図8は、第2の実施形態に係る光源装置の内部構成を主制御装置とともに示すブロック図である。
図9は、図8の光増幅部を構成する光ファイバ増幅器及びその周辺部を概略的に示す図である。
図10Aは、図9の位相変調器の構成を概略的に示す図、図10Bは、図9の位相変調器の作用を説明するためのタイミング図である。
図11は、第3の実施形態に係る光源装置の内部構成を主制御装置とともに示すブロック図である。
図12は、図11の光源装置における位相変調作用を説明するためのタイミング図である。
図13は、本発明のデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
図14は、図13のステップ204の具体例を示すフローチャートである。
本発明は、光源装置及び光照射装置、並びにデバイス製造方法に係り、さらに詳しくは、光増幅器によって増幅された光を波長変換して所望の波長の光を発生する光源装置及び該光源装置を備える光照射装置、並びに該光照射装置をリソグラフィ工程で用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
従来から、物体の微細構造の検査、物体の微細加工、また、視力矯正の治療等に光照射装置が使用されている。例えば、半導体素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを、投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「基板」又は「ウエハ」という)上に転写するために、光照射装置の一種である露光装置が用いられている。こうした露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式を採用する静止露光型の投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式を採用する走査露光型の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等が主として用いられている。また、視力矯正のために、角膜表面のアブレーション(PRK:Photorefractive Keratectomy)あるいは角膜内部のアブレーションLASIK:Laser Intrastromal Keratomileusis)を行って近眼や乱視等の治療をするために、光照射装置の一種であるレーザ治療装置が用いられている。
かかる光照射装置のために、短波長の光を発生する光源について多くの開発がなされてきた。こうした、短波長光源の開発の方向は、主に次の2種に大別される。その一つはレーザの発振波長自身が短波長であるエキシマレーザ光源の開発であり、もう一つは赤外又は可視光レーザの高調波発生を利用した短波長光源の開発である。
このうち、前者の方向に沿っては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を使用する光源装置が開発され、現在ではさらに短波長の光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)等を使用する光源装置の開発が進められている。しかし、これらのエキシマレーザは大型であること、有毒なフッ素ガスを使用するためレーザのメインテナンスが煩雑でかつ費用が高額となるなどの、光源装置として不利な点が存在する。
そこで、後者の方向に沿った短波長化の方法である、非線形光学結晶の非線形光学効果を利用し、長波長の光(赤外光、可視光)をより短波長の紫外光に変換する方法が注目を集めている。かかる方法を使用した光源装置としては、例えば、国際公開公報WO99/46835に開示されたもの(以下、単に「従来例」という)がある。
上述のような非線形光学結晶を使用する短波長化の方法では、非線形光学結晶における非線形光学効果の発生効率によって短波長光の発生効率が決まるが、現状では、利用可能な非線形光学結晶の非線形光学効果の発生効率が高いとはいい難い。このため、高輝度の紫外光を得るためには、非線形光学結晶に高強度の赤外光又は可視光を入射させる必要がある。そこで、上述の従来例では、半導体レーザ等によって発生したほぼ単一波長の赤外光又は可視光(以下、「基本光」ともいう)を、希土類元素が添加された増幅用光ファイバを有する光ファイバ増幅器で増幅して、非線形光学結晶に入射させる構成を採用している。
ところで、光ファイバ増幅器の増幅用光ファイバにおける光増幅作用により基本光を増幅すると、その増幅用光ファイバ(及びその後段の光ファイバ)内を高強度の光が進行することになる。この結果、光ファイバ内において非線形光学現象の一種である自己位相変調(Self Phase Modulation:SPM)が発生し、光の進行とともに、スペクトル幅が増大していく。こうしたスペクトル幅の増大は、光ファイバ内における光エネルギ密度が大きいほど大きくなる。
一方、露光装置における投影光学系には、通常、屈折光学素子であるレンズが使用されている。このため露光用照明光のスペクトル幅が大きくなると色収差が大きくなり、投影光学系の結像特性が劣化するので、基板へのパターンの転写精度が悪化することになる。
すなわち、従来例の光源装置を露光装置の露光用光源として使用した場合、スループット向上のため露光用照明光の輝度を高めると、露光用照明光のスペクトル幅の増大により色収差が増大し、基板へのパターンの転写精度の悪化を招く結果となってしまう。また、露光用照明光のスペクトル幅が大きいままであると、投影光学系の設計や製造が困難となってしまう。このため、高輝度かつ小スペクトル幅の光を射出可能な光源装置の実現が望まれていた。
本発明は、上記の事情のもとでなされたものであり、その第1の目的は、簡単な構成で、高輝度かつ小スペクトル幅の光を射出可能な光源装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高輝度かつ小スペクトル幅の光を対象物に照射することができる光照射装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、デバイスの生産性の向上を図ることが可能なデバイス製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明者等が研究の結果から得た知見によれば、媒質中を光が伝搬しているときに発生する自己位相変調は、その光の伝搬による屈折率の変化により伝搬光自らが位相変調されることにより発生する。ここで、光伝搬媒体における光の伝搬方向をZ方向とし、時刻をtとして、光伝搬媒体における伝搬光の光強度をI(Z,t)としたとき、光伝搬媒体の各Z位置及び各時刻における屈折率n(Z,t)は、
n(Z,t)=n0+n2・I(Z,t) …(1)
と表される。(1)式において、パラメータn0は線形屈折率であり、パラメータn2は非線形屈折率であり、いずれも光伝搬媒体の材料の種類によって定まるものである。
なお、厳密には、「非線形屈折率」というときには光強度I(Z,t)の高次成分も含まれるが、かかる高次成分は無視することができる程度に小さい。そこで、本明細書においては、「非線形屈折率」の用語を、(1)式におけるパラメータn2に光強度I(Z,t)を乗じた量を指すものとして用いるものとする。
そして、例えば光が光伝搬媒体を伝搬した後の自己位相変調量φNLは、光伝搬媒体の長さをLとしたとき、
φNL≒C・n2・L・I0 …(2)
と表される。ここで、パラメータCは、伝搬光のビーム形状等によって定まる定数であり、パラメータI0は光伝搬媒体への入射時のピーク光強度である。
したがって、光源装置における初期光の仕様及び光伝搬系の仕様が決まれば、その光伝搬系を介した光の自己位相変調量φNL(t)が分かるので、その自己位相変調量φNL(t)と逆の極性を有する位相変調を光路上の任意の場所で行えば、光伝搬系を介した光における自己位相変調に伴うスペクトル幅の拡大を抑制することができる。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、以下のような構成を採用する。
本発明は第1の観点からすると、所定波長の光を発生する光発生器を含む光発生部と;前記所定波長の光を増幅する光増幅部と;前記光増幅部で増幅された光を波長変換する波長変換部と;前記光発生部から前記波長変換部に至る光路中に配置され、前記光路を進行する光の自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行う位相変調器と;を備える第1の光源装置である。
これによれば、光発生部が発生した光が、光増幅部の光増幅媒体を介することにより増幅されるが、光増幅媒体等の光伝搬媒体中を高強度(より正確には高エネルギ密度)の光が伝搬することにより、自己位相変調を受ける。しかし、光発生部から波長変換部までの光路中に配置された位相変調器が、自己位相変調の事前又は事後に、その自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行うので、自己位相変調量が低減する。したがって、波長変換部に入射する光のスペクトル幅の拡大を抑制することができ、ひいては、波長変換部から射出される光のスペクトル幅の拡大を抑制することができる。
本発明の第1の光源装置では、前記位相変調器は、前記光路上に配置され、供給された変調用電気信号の振幅に応じた位相変調を行う電気光学変調素子と;前記電気光学変調素子を通過する光の強度に応じた振幅の電気信号を、前記変調用電気信号として、前記電気光学変調素子に供給する信号供給器と;を備えることとすることができる。
この場合において、前記位相変調器は、前記光発生部から前記光増幅部までの光路中に配置されることとすることができる。
また、本発明の第1の光源装置では、前記位相変調器は、前記光増幅部における光伝搬媒体の非線形屈折率の極性と反対の極性を有する材質から成る非線形光学部材を含むこととすることができる。
この場合において、前記非線形光学部材は、In1−XGaXAs1−YPY混晶から成ることとすることができる。
また、本発明の第1の光源装置では、前記光発生部が連続光を発生し、かつ、前記光発生部の直後の段に配置され、前記連続光からパルス光の切出しを行うパルス変調器を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の光源装置では、前記光発生器は、赤外域から可視域までの波長範囲内のほぼ単一波長のレーザ光を発生し、前記波長変換部は紫外光を射出することとすることができる。
本発明の第1の光源装置では、前記光増幅部は、増幅用光ファイバを含むこととすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、所定波長の光を発生する光発生器と;前記光発生器が発生した光が辿る光路における自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行う位相変調用信号が重畳された駆動信号を、前記光発生器に供給する駆動信号供給器と;前記所定波長の光を増幅する光増幅部と;を備える第2の光源装置である。
これによれば、光発生器から光を発生させるために供給される駆動信号に位相変調用信号を重畳させることにより、光発生器が発生した光が辿る光路における自己位相変調の少なくとも一部を相殺するので、自己位相変調量が低減する。したがって、自己位相変調によるスペクトル幅の拡大を抑制することができる。
本発明の第2の光源装置では、前記光発生器から前記光増幅部までの光路中に配置され、前記光発生器から射出された光からパルス光の切出しを行うパルス変調器を更に備えることとすることができる。
また、本発明の第2の光源装置では、前記光増幅部で増幅された光を波長変換する波長変換部を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記光発生器が、赤外域から可視域までの波長範囲内の単一波長のレーザ光を発生し、前記波長変換部が紫外光を射出することとすることができる。
また、本発明の第2の光源装置では、前記光増幅部が増幅用光ファイバを含むこととすることができる。
本発明は、第3の観点からすると、対象物に光を照射する光照射装置であって、本発明の第1及び第2光源装置のうちのいずれかの光源装置と;該光源装置から射出された光を前記対象物に向けて射出する照射光学系と;を備える光照射装置である。
これによれば、前記光源装置から射出された光を、照射光学系を介して対象物に向けて射出するので、波長変換された高輝度かつスペクトル幅の狭い光を対象物に照射することができる。
この場合において、前記光が照射される対象物としては、光照射装置の使用目的に応じて種々の対象物が用いられる。例えば、光照射装置をデバイスパターンの形成に使用する場合には、前記対象物として所定のパターンが形成されたマスクを用いることができ、この場合、光照射装置は、そのマスクから射出される光を感光物体に投射する投影光学系を更に備えることとすることができる。かかる場合には、高輝度かつスペクトル幅の狭い光がマスクに照射され、そのマスクを介した光が投影光学系に入射するので、投影光学系が屈折光学素子を含む場合、その色収差の発生を抑制することが可能となる。
本発明は、第4の観点からすると、マスクのパターンを感光物体上に転写する露光装置であって、本発明の第1及び第2光源装置のうちのいずれかの光源装置と;該光源装置から射出された光を前記マスクに照射する照明光学系と;を備える露光装置である。
これによれば、前記光源装置から射出された光を、照明光学系を介してマスクに照射するので、波長変換された高輝度かつスペクトル幅の狭い光をマスクに照射することができ、そのマスクを介した光で感光物体が露光される。従って、マスクのパターンを感光物体上に精度良く転写することが可能となる。
この場合において、前記マスクを介して前記感光物体に照射される光の強度又は積算光量を調整するために前記光源装置を制御する制御装置を更に備えることとすることができる。
また、リソグラフィ工程において、対象物としてマスクを用いる本発明の光照射装置、及び本発明の露光装置のいずれかを用い、前記マスク(及び投影光学系)を介して前記感光物体を露光することにより感光物体上にマスクのパターンを精度良く形成することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを生産性(歩留まりを含む)良く製造することができる。従って、本発明は、更に別の観点からすると、対象物としてマスクを用いる本発明の光照射装置及び本発明の露光装置のいずれかを用いるデバイス製造方法であるとも言える。
発明を実施するための最良の形態
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。
図1には、本発明の光学装置を含んで構成される本発明の光照射装置の第1の実施形態に係る露光装置10の概略構成が示されている。この露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である。
この露光装置10は、光源装置16及び照射光学系としての照明光学系12から成る照明系、この照明系からの露光用照明光(以下、「露光光」という)ILにより照明されるマスクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRを介した露光光ILを感光物体としてのウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持するZチルトステージ58が搭載されたXYステージ14、及びこれらの制御系等を備えている。
前記光源装置16は、例えば、波長193nm(ArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長)の紫外パルス光、あるいは波長157nm(F2レーザ光とほぼ同一波長)の紫外パルス光を出力する高調波発生装置である。この光源装置16は、前記照明光学系12、レチクルステージRST、投影光学系PL、Zチルトステージ58、XYステージ14及びこれら各部が搭載された不図示の本体コラム等から成る露光装置本体とともに、温度、圧力、湿度等が高精度に調整されたエンバイロンメンタル・チャンバ(以下、「チャンバ」という)11内に収納されている。
なお、本実施形態では、光源装置16を全てチャンバ内に配置するものとしたが、光源装置16の一部、例えば後述する波長変換部163のみをチャンバ内、特に照明光学系12と同一の架台に設け、この波長変換部163と光源16の本体部とを光ファイバ等で接続してもよい。
図2には、光源装置16の内部構成が装置全体を統括制御する主制御装置50とともにブロック図にて示されている。この図2に示されるように、光源装置16は、光源部16A、レーザ制御装置16B、及び変調制御装置16C等を含んで構成されている。
前記光源部16Aは、連続光発生部160、駆動信号供給器としての電流駆動器136、パルス変調器としての電気光学変調器(以下、「EOM」という)131、位相変調器としてのEOM132、光増幅部161、波長変換部163、及びビームモニタ機構164を含んで構成されている。
前記連続光発生部160は、光発生器としてのレーザ光源160A、光カップラBS、及び光アイソレータ160B等を有する。
前記レーザ光源160Aとしては、ここでは、単一波長発振レーザ、例えば、発振波長1.544μm、連続波出力(以下「CW出力」という)20mWのInGaAsP,DFB半導体レーザが用いられている。以下においては、レーザ光源160Aを適宜「DFB半導体レーザ160A」とも呼ぶものとする。このDFB半導体レーザ160Aは、電流駆動器136から供給された電流信号DVにより駆動され、電流信号DVの大きさに応じた光量のレーザ光を発生する。
なお、DFB半導体レーザは、通常、ヒートシンクの上に設けられ、これらが筐体内に収納されている。本実施形態では、DFB半導体レーザ160Aに付設されるヒートシンク上に温度調整器(例えばペルチェ素子など)が設けられており、レーザ制御装置16Bがその温度を制御することにより発振波長が制御(調整)可能な構成となっている。
前記光カップラBSとしては、透過率が97%程度のものが用いられている。このため、DFB半導体レーザ160Aからのレーザ光は、光カップラBSによって2つに分岐され、その97%程度が次段の光アイソレータ160Bに向かって進み、残り3%程度がビームモニタ機構164に入射するようになっている。
前記ビームモニタ機構164は、フォトダイオード等の光電変換素子から成るエネルギモニタ(図示省略)を含んでいる。このエネルギモニタの出力は、レーザ制御装置16Bを介して主制御装置50に供給されており、主制御装置50ではエネルギモニタの出力に基づいてレーザ光のエネルギ(パワー)を検出し、レーザ制御装置16Bを介して電流駆動器136を制御することにより、DFB半導体レーザ160Aで発振されるレーザ光の光量を必要に応じて制御する。
前記光アイソレータ160Bは、光カップラBSからEOM131に向かう方向の光のみを通過させ、反対向きの光の通過を阻止する。この光アイソレータ160Bにより、反射光(戻り光)に起因するDFB半導体レーザ160Aの発振モードの変化や雑音の発生等が防止される。
前記EOM131は、光アイソレータ160Bを通過したレーザ光(CW光(連続光))L1をパルス光に変換するためのものである。このEOM131は、図3Aに示されるように、入射した光L1が辿る光路が2分岐した後、再び合流する導波路310と、2分岐した導波路の双方それぞれに応じて設けられた電極311,312とを備えている。ここで、導波路310は、電圧が印加されるとその電圧値に応じて電圧印加部の屈折率が変化する材質で構成されている。また、電極311は、導波路を挟むように設けられた2つの電極板3111,3112から構成されており、この電極311(より正確には一方の電極3111)には、変調制御装置16Cからのパルス変調信号MD1を構成する一方の電圧信号MD11が供給されている。ここで、他方の電極3112は接地レベル(以下、「GND」と表す)となっている。また、電極312は、導波路を挟むように設けられた2つの電極板3121,3122から構成されており、この電極312(より正確には一方の電極3121)には、変調制御装置16Cからのパルス変調信号MD1を構成する一方の電圧信号MD12が供給されている。ここで、他方の電極3122はGNDレベルとなっている。
ここで、図3Aにおいては、説明を分かり易くするために、上記各電極板が、導波路310から離れた状態で示されているが、これらの電極板は実際には導波路310に接触していることが望ましい。後述する各実施形態における電極板についても同様である。
なお、以下の説明においては、電圧信号MD11及び電圧信号MD12を総称するときには、「パルス変調信号MD1」と呼ぶものとする。
なお、電極311,312の双方ともに電圧が印加されていないときに、射出光L2の光量が0となるように、導波路310における2つの分岐光路長が設定されている。また、電極311,312に互いに異なる電圧信号が印加されることにより、それらの印加電圧の差に応じた強度の光が射出されるようになっている。
このEOM131では、図3Bに示されるように、強度がほぼ一定の連続光L1を入射するが、変調制御装置16Cからのパルス変調信号MD1を構成する電圧信号MD11及びMD12が0Vの場合には、射出光L2の光量はほぼ0となる。そして、変調制御装置16Cから、電圧信号MD11として正電圧ピークを有するパルス信号が供給されるとともに、電圧信号MD11に同期して、電圧信号MD12として負電圧ピークを有するパルス信号が供給されると、電圧信号MD11の電圧レベルと電圧信号MD12の電圧レベルとの差に応じた光量の光が射出光L2として射出される。こうして、変調制御装置16Cによる制御のもとで、入射光L1のパルス切出し、すなわち、パルス変調が行われ、光パルス列が射出光L2として、EOM131から射出される。
なお、EOM131への印加電圧とDFB半導体レーザ160Aへの供給電流制御とを併用して、出力光のパルス化を行うことが望ましい。かかる場合には、消光比を向上することができる。このようにすれば、EOM131のみを用いる場合に比べて、消光比を向上しつつ、パルス幅が狭いパルス光を容易に発生させることが可能になるとともに、パルス光の発振間隔や発振の開始及びその停止などをより簡単に制御することが可能になる。
また、EOM131に代えて、音響光学変調器(AOM)を用いることも可能である。
図2に戻り、前記EOM132は、EOM131から射出された光(光パルス列)L2の各パルス光を位相変調するためのものである。このEOM132は、図4Aに示されるように、入射光L2が辿る導波路320と、電極321とを備えている。ここで、導波路320は、電圧が印加されるとその電圧値に応じて電圧印加部の屈折率が変化する材質で構成されている。また、電極321は、導波路を挟むように設けられた2つの電極板3211,3212から構成されており、この電極321(より正確には一方の電極板3211)には、変調制御装置16Cからの位相変調信号MD2が供給されている。ここで、他方の電極板3212はGNDレベルとなっている。
このEOM132では、図4Bに示されるように、導波路320を通過中の光の強度に応じた電圧レベルの位相変調信号MD2が電極321に印加されることにより、入射光L2の各瞬間に強度に応じて、導波路320の電圧印加部分の非線型屈折率が変化する。この結果、前述の(2)式に従って位相変調が行われる。かかる位相変調によって射出光L3に付与される位相変調量φPMは、図4Bに示されるように、射出光L3の各瞬間の強度に応じたものとなっている。なお、位相変調量φPMは、射出光L3の各光パルスがその後の波長変換部163までの光路において受ける自己位相変調量φSPMを相殺する量となるようになっている。かかる位相変調量φPMの調整は、光源装置16の構成の設計情報あるいは自己位相変調量φSPMの事前計測結果から求められる。そして、求められた自己位相変調量φSPM、導波路320の材質の電気光学特性、及び電極321の大きさ等から位相変調信号MD2の波形が決定される。
前記光増幅部161は、EOM132からのパルス光L3を増幅するもので、図5に示されるように、EOM132からのパルス光を時間順に周期的に振り分けて分岐(例えば、128分岐)する光分岐器166と、複数の光ファイバ増幅器167とを含んで構成されている。
図5に示されるように、光ファイバ増幅器167は、前段光増幅器141と後段光増幅器142とを備えている。ここで、前段光増幅器141は、増幅用光ファイバ1751、励起光(ポンプ光)を発生する励起用半導体レーザ1781、及び上述のEOM132の出力光と励起光とを合成し、その合成光を増幅用光ファイバ1751に供給する波長分割多重化装置(Wavelength Division Multiplexer:WDM)1791を有している。また、後段光増幅器142は、増幅用光ファイバ1752、励起光を発生する励起用半導体レーザ1782、及び前段光増幅器141の出力光と励起光とを合成し、その合成光を増幅用光ファイバ1752に供給する波長分割多重化装置1792を有している。そして、前段光増幅器141と後段光増幅器142との間には、DFB半導体レーザ160Aの発生光とほぼ同一波長の光を選択的に透過する光フィルタ176と、光アイソレータ177とが配置されている。
前記増幅用光ファイバ1751,1752(以下、総称するときには「増幅用光ファイバ175」と記す)は、シリカガラス又はフォスフェイトガラスを主材とし、コアとクラッドを有し、コアにエルビウム(Er)、あるいはErとイッテルビウム(Yb)との2種のイオンが高密度にドープされた光ファイバが用いられる。
以上のように構成された光ファイバ増幅器167において、増幅用光ファイバ1751,1752に、励起用半導体レーザ1781,1782が発生した励起光がWDM1791,1792を介して供給された状態で、WDM1791を介してパルス光が入射し増幅用光ファイバ1751,1752のコア中を進行すると、誘導放射が発生し、パルス光が増幅される。かかる光増幅にあたって、増幅用光ファイバ1751,1752は高い増幅率を有するので、波長の単一性が高い高輝度のパルス光が出力される。このため、効率良く狭帯域の光を得ることができる。
前記励起用半導体レーザ1781,1782は、DFB半導体レーザ160Aにおける発振波長よりも短い波長(例えば、980nm)の光を励起光として発生する。この励起光がWDM1791,1792を介して増幅用光ファイバ175に供給され、それによりErの殻外電子が励起され、いわゆるエネルギ準位の反転分布が発生する。なお、励起用半導体レーザ1781,1782は、変調制御装置16Cによって制御されるようになっている。
また、本実施形態では、各光ファイバ増幅器167のゲインの差を抑制するため、各光ファイバ増幅器167でその出力光の一部が分岐され、その分岐された光が、それぞれの分岐端に設けられた光電変換素子171によってそれぞれ光電変換されるようになっている。これらの光電変換素子171の出力信号が変調制御装置16Cに供給されるようになっている。
変調制御装置16Cでは、各光ファイバ増幅器167からの光出力が一定になるように(即ちバランスするように)、各励起用半導体レーザ1781,1782のドライブ電流をフィードバック制御するようになっている。
すなわち、変調制御装置16Cでは、上述したパルス変調及び位相変調を制御するとともに、各光ファイバ増幅器167からの光出力が一定になるように(即ちバランスするように)、各励起用半導体レーザ1781,1782のドライブ電流をフィードバック制御するようになっている。
以上のように構成された光増幅部161によって上述の光L3が増幅された光L4が、波長変換部163に向けて、光増幅部161から射出される。
この光L4は、それまでの光路の媒質(主に、光増幅部161内における増幅用光ファイバ1751,1752)内を進行することにより自己位相変調を受ける(自己位相変調が生じる)。しかし、上述したように、この自己位相変調による位相変調量φSPMを相殺するようにEOM132により位相変調が行われた光L3を光増幅部161に入射させるようにしているので(図4B参照)、光L4における位相変調量は、低減されたものとなっている。このため、光L4では、自己位相変調に伴うスペクトル幅の拡大が抑制されている。
かかる光L4におけるスペクトル幅の拡大の抑制の例が、図6A及び図6Bに示されている。ここで、図6Aには、EOM132による位相変調を行わない場合の光L4が有するスペクトル分布(比較例)が示されており、図6Bには、EOM132による位相変調が行われた本実施形態における光L4が有するスペクトル分布が示されている。図6Aと図6Bとを比較して確認されるように、本実施形態においては、光L4が有するスペクトル幅の拡大が抑制されている。
前記波長変換部163は、複数の非線形光学結晶を含み、光増幅部161からのパルス光(波長1.544μmの光)L4をその8倍高調波に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ出力波長(193nm)のパルス紫外光を発生する。
図7には、この波長変換部163の構成例が示されている。ここで、この図に基づいて波長変換部163の具体例について説明する。なお、図7には、光増幅部161から射出される波長1.544μmの光L4を基本波として、非線形光学結晶を用いて8倍波(高調波)に波長変換して、ArFエキシマレーザとほぼ同じ波長である193nmの紫外光を発生する構成例が示されている。
図7の波長変換部163では、基本波(波長1.544μm)→2倍波(波長772nm)→3倍波(波長515nm)→4倍波(波長386nm)→7倍波(波長221nm)→8倍波(波長193nm)の順に波長変換が行われる。
これを更に詳述すると、光増幅部161から射出された波長1.544μm(周波数ω)の光L4(基本波)は、1段目の非線形光学結晶183に入射する。基本波がこの非線形光学結晶183を通る際に、2次高調波発生により基本波の周波数ωの2倍、すなわち周波数2ω(波長は1/2の772nm)の2倍波が発生する。
この1段目の非線形光学結晶183として、LiB3O5(LBO)結晶が用いられ、基本波を2倍波に波長変換するための位相整合にLBO結晶の温度調節による方法、NCPM(Non−Critical Phase Matching)が使用される。NCPMは、非線形光学結晶内での基本波と第二高調波との角度ずれ(Walk−off)が起こらないため高効率で2倍波への変換を可能にし、また発生した2倍波はWalk−offによるビームの変形も受けないため有利である。
非線形光学結晶183で波長変換されずに透過した基本波と、波長変換で発生した2倍波とは、次段の波長板184でそれぞれ半波長、1波長の遅延が与えられて、基本波のみその偏光方向が90度回転し、2段目の非線形光学結晶186に入射する。2段目の非線形光学結晶186としてLBO結晶が用いられるとともに、そのLBO結晶では1段目の非線形光学結晶(LBO結晶)183とは異なる温度でのNCPMが使用される。この非線形光学結晶186では、1段目の非線形光学結晶183で発生した2倍波と、波長変換されずにその非線形光学結晶183を透過した基本波とから和周波発生により3倍波(波長515nm)を得る。
次に、非線形光学結晶186で得られた3倍波と、波長変換されずにその非線形光学結晶186を透過した基本波および2倍波とは、ダイクロイック・ミラー187により分離され、ここで反射された3倍波は集光レンズ190、及びダイクロイック・ミラー193を通って4段目の非線形光学結晶195に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー187を透過した基本波および2倍波は、集光レンズ188を通って3段目の非線形光学結晶189に入射する。
3段目の非線形光学結晶189としてはLBO結晶が用いられ、基本波が波長変換されずにそのLBO結晶を透過するとともに、2倍波がLBO結晶で2次高調波発生により4倍波(波長386nm)に変換される。非線形光学結晶189で得られた4倍波とそれを透過した基本波とは、ダイクロイック・ミラー191により分離され、ここを透過した基本波は集光レンズ194を通るとともに、ダイクロイック・ミラー196で反射されて5段目の非線形光学結晶198に入射する。一方、ダイクロイック・ミラー191で反射された4倍波は、集光レンズ192を通ってダイクロイック・ミラー193に達し、ここでダイクロイック・ミラー187で反射された3倍波と同軸に合成されて4段目の非線形光学結晶195に入射する。
4段目の非線形光学結晶195としては、β−BaB2O4(BBO)結晶が用いられ、3倍波と4倍波とから和周波発生により7倍波(波長221nm)を得る。非線形光学結晶195で得られた7倍波は集光レンズ197を通るとともに、ダイクロイック・ミラー196で、ダイクロイック・ミラー191を透過した基本波と同軸に合成されて、5段目の非線形光学結晶198に入射する。
5段目の非線形光学結晶198としてLBO結晶が用いられ、基本波と7倍波とから和周波発生により8倍波(波長193nm)を得る。上記構成において、8倍波生成用LBO結晶198の代わりに、CsLiB6O10(CLBO)結晶、あるいはLi2B4O7(LB4)結晶などを用いることも可能である。なお、本実施形態では、3倍波と4倍波とから7倍波を生成するものとしたが、例えば基本波と6倍波とから7倍波を生成する場合には、その非線形光学結晶としてBBO結晶、CLBO結晶、LB4結晶、あるいはLBO結晶などを用いることが可能である。
図1に戻り、前記照明光学系12は、オプティカルインテグレータ、可変NDフィルタ、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を含んで構成されている。ここで、オプティカルインテグレータとしてはフライアイレンズ、内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)、あるいは回折光学素子等が用いられる。こうした照明光学系の構成は、例えば、特開平10−112433号公報、特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号公報などに開示されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
この照明光学系12から射出された露光光ILは、ミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域42Rを均一な照度分布で照明する。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、水平面(XY平面)内で移動可能であり、レチクルステージ駆動部49によって走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。この走査中のレチクルステージRSTの位置及び回転量は、レチクルステージRST上に固定された移動鏡52Rを介して外部のレーザ干渉計54Rによって計測され、このレーザ干渉計54Rの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
前記投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックな縮小系であり、共通のZ軸方向の光軸AXを有する複数枚のレンズエレメントから構成されている。また、この投影光学系PLとしては、投影倍率βが例えば1/4、1/5、1/6等のものが使用されている。このため、上記のようにして、露光光ILによりレチクルRにおける照明領域42Rが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンのうち照明領域42R部分の投影光学系PLによる縮小像(部分等立像)が、投影光学系PLの視野内で照明領域42Rと共役な矩形の投影領域42Wに投影され、ウエハWの表面に塗布されたレジスト上にその縮小像が転写される。
前記XYステージ14は、ウエハステージ駆動部56によって走査方向であるY軸方向及びこれに直交するX軸方向(図1における紙面直交方向)に2次元駆動されるようになっている。このXYステージ14上に搭載されたZチルトステージ58上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等により保持されている。Zチルトステージ58は、例えば3つのアクチュエータ(ピエゾ素子又はボイスコイルモータなど)によってウエハWのZ軸方向の位置(フォーカス位置)を調整すると共に、XY平面(投影光学系PLの像面)に対するウエハWの傾斜角を調整する機能を有する。また、XYステージ14の位置は、Zチルトステージ58上に固定された移動鏡52Wを介して外部のレーザ干渉計54Wにより計測され、このレーザ干渉計54Wの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
ここで、移動鏡は、実際には、X軸に垂直な反射面を有するX移動鏡とY軸に垂直な反射面を有するY移動鏡とが存在し、これに対応してレーザ干渉計もX軸位置計測用、Y軸位置計測用、及び回転(ヨーイング量、ピッチング量、ローリング量を含む)計測用のものがそれぞれ設けられているが、図1では、これらが代表的に、移動鏡52W、レーザ干渉計54Wとして示されている。
Zチルトステージ58上には、後述するレチクルアライメント等を行う際に使用される基準マーク板FMが設けられている。この基準マーク板FMは、その表面がウエハWの表面とほぼ同一の高さとされている。この基準マーク板FMの表面には、レチクルアライメント用基準マーク、ベースライン計測用基準マーク等の基準マークが形成されている。
更に、本実施形態の露光装置10では、図1に示されるように、主制御装置50の制御の下で、投影光学系PLの結像面(XY面)に設定される多数の計測点に向けてそれぞれピンホール又はスリットの像を形成するための結像光束を、光軸AXに対して斜め方向より照射する照射光学系60aと、それらの結像光束のウエハW表面での反射光束を受光する受光光学系60bとからなる斜入射方式の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)が設けられている。なお、本実施形態と同様の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)の詳細な構成は、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
走査露光時等に、主制御装置50は、受光光学系60bからの各計測点について検出されたZ位置に基づいて、計測点が存在するショット領域の一部の表面のZ位置及び傾斜量を逐次算出しつつ、この算出結果に基づいてZチルトステージ58のZ位置や傾斜角を不図示の駆動系を介して制御することにより、オートフォーカス(自動焦点合わせ)及びオートレベリングを実行する。
前記主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、これまでに説明した各種の制御を行う他、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング、露光タイミング等を制御する。また、本実施形態では、主制御装置50は、後述するように走査露光の際の露光量の制御を行う等の他、装置全体を統括制御する。
具体的には、主制御装置50は、例えば走査露光時には、レチクルRがレチクルステージRSTを介して、照明領域42Rに対して+Y方向(又は−Y方向)に速度VR=Vで走査されるのに同期して、XYステージ14を介してウエハWが投影領域42Wに対して−Y方向(又は+Y方向)に速度Vw=β・V(βはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レーザ干渉計54R、54Wの計測値に基づいてレチクルステージ駆動部49、ウエハステージ駆動部56をそれぞれ介してレチクルステージRST、XYステージ14の位置及び速度をそれぞれ制御する。また、ステッピングの際には、主制御装置50ではレーザ干渉計54Wの計測値に基づいてウエハステージ駆動部56を介してXYステージ14の位置を制御する。
次に、本実施形態の露光装置10において所定枚数(N枚)のウエハW上にレチクルパターンの露光を行う場合の露光シーケンスについて主制御装置50の制御動作を中心として説明する。
まず、主制御装置50では、不図示のレチクルローダを用いて露光対象のレチクルRをレチクルステージRST上にロードする。
次いで、不図示のレチクルアライメント系を用いてレチクルアライメントを行うとともに、前述した基準マークを用いてオファクシス方式のアライメント系(不図示)のベースライン計測を行う。なお、レチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業については、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号に詳細に開示されており、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
次に、主制御装置50では、不図示のウエハ搬送系にウエハWの交換を指示する。これにより、ウエハ搬送系及びXYステージ14上の不図示のウエハ受け渡し機構によってウエハ交換(ステージ上にウエハが無い場合は、単なるウエハロード)が行われる。このウエハ交換は、公知の露光装置と同様に行われるので詳細説明は省略する。
次いで、前述のベースライン計測が行われたアライメント系を用いてサーチアライメント及びいわゆるファインアライメント、例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に詳細に開示されるEGA方式のウエハアライメント等を含む一連のアライメント工程の処理を行う。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
次に、上記のアライメント結果及びショットマップデータに基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハWを移動させる動作と、前述した走査露光動作とを繰り返し行って、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の複数のショット領域にレチクルパターンを転写する。かかる走査露光中に、主制御装置50は、露光条件及びレジスト感度に応じて決定された目標積算露光量をウエハWに与えるため、変調制御装置16Cに指令を与え、露光光量の制御を行う。
1枚目のウエハWに対する露光が終了すると、主制御装置50では、不図示のウエハ搬送系にウエハWの交換を指示する。これにより、ウエハ搬送系及びXYステージ14上の不図示のウエハ受け渡し機構によってウエハ交換が行われ、以後上記と同様にしてその交換後のウエハに対してサーチアライメント、ファインアライメントを行う。
そして、上記と同様にして、このウエハW上の複数のショット領域にステップ・アンド・スキャン方式でレチクルパターンを転写する。
なお、露光条件(照明光学系の瞳面上での露光光ILの光量分布、すなわちレチクルRの照明条件、投影光学系PLの開口数などを含む)及びレチクルパターンの変更の少なくとも一方によって照度が変化するときは、ウエハ(レジスト)に適正な露光量が与えられるように、光源装置16から射出される光の周波数とピークパワーとの少なくとも一方を制御することが望ましい。このとき、周波数及びピークパワーの少なくとも一方に加えてレチクル及びウエハの走査速度を調整するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る光源装置16によると、連続光発生部160が発生した連続光をパルス変調した後、各パルス光に対して、当該各パルス光が波長変換部163までの光路上の媒質を通過する際に受ける自己位相変調に起因して生じる位相変調量を相殺する位相変調量の位相変調をEOM132によって行う。したがって、波長変換部163に入射する光におけるスペクトル幅の拡大を抑制することができ、単色性の良い光を波長変換部163に供給することができる。このため、波長変換部163から射出される波長変換光の単色性を高めることができる。
また、パルス変調を行うEOM131と光増幅部161との間に位相変調を行うEOM132を配置することにより、該EOM132を光増幅部161の後段に配置した場合などに比べて、EOM132を通過する光のピーク強度を低減することができる。これによりEOM132の部品寿命を長くすることができる。
さらに、比較的狭いパルス幅の光パルスを使用する場合には、EOM131と光増幅部161との間にEOM132を配置することにより、EOM131から射出されたパルス光を介在物が無い(あるいは、介在物が殆ど無い)状態でEOM132に入射させるので、パルス光を位相変調するのにあたって、位相変調用信号MD2を精度の良いタイミングでEOM132に供給することができる。したがって、パルス光に対して、各瞬間の光強度に応じた位相変調量を精度良く与えることができ、波長変換部163に入射する光におけるスペクトル幅の拡大を有効に抑制することができる。
また、位相変調器として電気光学効果を有する媒質を使用したEOM132を用いるので、レベル値の制御が精度良くかつ容易に行うことができる電圧信号の波形を調整することにより、精度良く位相変調を行うことができる。
また、連続光発生部160の直後の段において、EOM131を用いたパルス変調によってパルス切出しを行うので、光パルス切出し間隔や光増幅率を制御することにより、光源装置16として光量制御が容易な構成とすることができる。
また、本実施形態の露光装置によれば、露光にあたって単色性の高い照明光ILをレチクルRに照射できるので、投影光学系PLの色収差を効果的に抑制することができ、これによりレチクルRに形成されたパターンを精度良くウエハWに転写することができる。
なお、上記実施形態では、位相変調を行うEOM132を、パルス変調を行うEOM131と光増幅部161との間に配置したが、光増幅部161中や光増幅部161と波長変換部163との間に配置することもできる。要は、パルス光の伝搬する波長変換部163までの光路中にEOM132を配置すれば良い。
また、上記の実施形態では、パルス変調を行うEOM131と位相変調を行うEOM132とを別個に設けたが、EOM131にパルス変調信号MD1を構成する電圧信号MD11,MD12それぞれに位相変調信号MD2を重畳させた変調信号を供給することにより、1つの電気光学変調器によりパルス変調と位相変調とを同時に行うようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、パルス変調を行うEOM131として、2分岐した導波路それぞれに応じて電極131,132を配置したが、2分岐した導波路の一方のみに電極を配置する構成とすることもできる。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本第2の実施形態の露光装置は、光源装置の構成が前述した第1の実施形態の光源装置と異なる点を除き、前述した第1の実施形態の露光装置10と同様に構成されている。
すなわち、本第2の実施形態に係る光源装置16は、図8に示されるように、前述の第1の実施形態の光源装置(図2参照)と比べて、EOM132が無いこと、及び、光増幅部161に代えて光増幅部161’が用いらている点が相違する。以下、かかる相違点を中心として、本第2の実施形態の説明を行う。なお、本第2の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本第2の実施形態の光増幅部161’は、図9に示されるように、第1の実施形態の光増幅部161(図5参照)と比べて、光ファイバ増幅器167に代えて、光ファイバ増幅器167’を使用する点が異なる。この光ファイバ増幅器167’は、光ファイバ増幅器167における前段光増幅器141と後段光増幅器142との間、より正確には、光アイソレータ177とWDM1792との間に位相変調器138が配置されている点のみが、光ファイバ増幅器167と異なっている。
この位相変調器138は、図10Aに示されるように、増幅用光ファイバ1751,1752の非線形屈折率と反対の極性を有する非線形屈折率を有する非線形光学部材330と、該非線形光学部材330に対して一対の電極板3311,3312から成る電極331を介して電圧を印加するための直流電源332とを備えている。本第2の実施形態では、非線形光学部材330の材料として、半導体光増幅器の増幅用媒質としても使用されるIn1−XGaXAs1−YPY混晶が用いられている。
このIn1−XGaXAs1−YPY混晶は、パルス変調を行うEOM131から波長変換部163までのパルス光の光路における非線形光学部材330以外の主な非線形光学部材である増幅用光ファイバ1751,1752を構成するシリカガラスとは反対の極性の非線形屈折率を有している。すなわち、シリカガラスは正の非線形屈折率を有しているのに対して、In1−XGaXAs1−YPY混晶は負の非線形屈折率(=−2×10−15m2/W:Grant et al.,1991,Appl.Phys.Lett.58(11),p1119)を有しており、その絶対値がシリカガラスよりも5桁程度大きい。なお、In1−XGaXAs1−YPY混晶は、電圧が印加されていない場合には、1.55μm帯の光について吸収性を有するので、利得が「1」となるように、直流電源332から電極331を介して非線形光学部材330に電圧が印加されている。
位相変調器138では、図10Bに示されるように、入射したパルス光L21が、非線形光学部材330を通過することにより殆ど変形せずに(その強度(振幅)が変化せずに)パルス光L22が射出される。一方、パルス光が非線形光学部材330を通過すると、前述の(2)式に従って、パルス光の各瞬間の強度及び非線形光学部材330内おける光路長に応じた位相変調が行われる。かかる位相変調によって射出光L22に付与される位相変調量φPMは、図10Bに示されるように、射出光L22の各瞬間の強度に応じたものとなっている。なお、位相変調量φPMは、非線形光学部材330内おける光路長に比例するが、当該非線形光学部材330内おける光路長は、位相変調器138による位相変調量φPMが、パルス光が波長変換部163までの光路において受ける自己位相変調量φSPMを相殺する量となる長さに設定されている。
以上のように構成された光ファイバ増幅器167’にパルス光L2’が入射すると、第1の実施形態の場合と同様に、増幅用光ファイバ1751,1752を介することにより、パルス光が増幅されるとともに、主に増幅用光ファイバ1751,1752におけるパルス光の自己位相変調が、位相変調器138における位相変調によって相殺される。この結果、自己位相変調によるパルス光のスペクトル幅の拡大が抑制され、波長の単一性が高い高輝度のパルス光L3’が、光増幅部161’から波長変換部163へ向けて射出される。
すなわち、本第2の実施形態の光源装置16では、第1実施形態の場合と同様にして、連続光発生部160で発生された連続光L1’から、EOM131によってパルス切出しが行われて光パルス列L2’が生成される。こうして生成された光パルス列の各パルス列L2’の各パルス光は、光増幅部161’において増幅されるととともに、自己位相変調によるスペクトル幅の拡大が抑制される。そして、光増幅部161’から射出された光L3’が波長変換部163に入射して、波長変換された後、光源装置16の射出光として射出される。こうして光源装置16から射出された光を使用して、第1の実施形態の場合と同様にして、レチクルRに形成されたパターンがウエハWに転写される。
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光源装置16によると、前述した第1の実施形態と同等の作用により同等の効果を得ることができ、結果的に波長変換部163から射出される波長変換光の単色性を高めることができる。これに加えて、また、位相変調器として、非線形屈折率が、増幅用光ファイバ1751、1752の非線形屈折率の極性と反対の極性を有する非線形光学部材を使用するので、位相変調にあたって動的な制御をすることなく、精度良く位相変調を行うことができる。
また、本第2の実施形態の露光装置によると、露光にあたって単色性の高い照明光ILをレチクルRに照射できるので、投影光学系PLの色収差を効果的に抑制することができ、これによりレチクルRに形成されたパターンを精度良くウエハWに転写することができる。
なお、上記第2の実施形態では、位相変調を行う位相変調器138を、前段光増幅器141と後段光増幅器142との間に配置したが、非線形光学部材における光路長を調整した位相変調器138と同様のタイプの位相変調器を、EOM131と前段光増幅器141との間に配置してもよいし、また、後段光増幅器142と波長変換部163との間に配置してもよい。すなわち、第1の実施形態におけるEOM132と同様に、波長変換部163までのパルス光の伝搬する光路中に位相変調器138を、配置することができる。
また、上記第2の実施形態では、位相変調器138の非線形光学部材330の材料としてIn1−XGaXAs1−YPY混晶を用いたが、増幅用光ファイバ1751,1752の材料の非線形屈折率と極性が異なる非線形屈折率を有する材料であれば、非線形光学部材330の材料として採用することができる。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本第3の実施形態の露光装置は、光源装置の構成が前述した第1の実施形態の光源装置と異なる点を除き、前述した第1の実施形態の露光装置10と同様に構成されている。
すなわち、本第3の実施形態に係る光源装置16は、図11に示されるように、前述の第1の実施形態の光源装置(図2参照)と比べて、EOM132が無いこと、及び、直流電流信号を供給する電流駆動器136に代えて後述する位相変調信号が重畳された信号を供給する電流駆動器136’が用いられる点が相違する。以下、かかる相違点を中心として、本第3の実施形態の説明を行う。なお、本第3の実施形態の説明にあたって、第1の実施形態と同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
ここで、本第3の実施形態で利用する位相変調の原理について簡単に説明する。
半導体レーザ素子は、活性層に電流が流れることにより伝導帯と価電子帯との間で反転分布を生じさせ、かかる反転分布状態における自然放射光の発生をトリガとして共振器より、供給された電流量に応じたレーザ光を発生する。こうした発光のための電流供給によりキャリアが発光部に集中するが、かかるキャリアの集中により屈折率が変化する。この屈折率の変化はキャリアの集中度によって変化するが、該キャリアの集中度は供給電流量によって変化する。
すなわち、供給電流量の変化によって発光部の屈折率が変化し、この屈折率の変化により射出されるレーザ光が位相変調される(前述の(2)式参照)。そして、この位相変調の量は、供給電流を変化させることにより、変化させることができる。
本第3の実施形態では、上記の原理を利用して、連続発生部160のDFB半導体レーザ160Aの駆動信号DV’を振幅変調することにより、位相変調されたレーザ光を発生させる。
すなわち、図12に示されるように、直流成分に位相変調のための交流成分が重畳した駆動信号DV’が、電流駆動器136’からDFB半導体レーザ160Aに供給される。ここで、駆動信号DV’における交流成分の周期は、後にEOMによって切り出される光パルス幅と同程度とされている。この結果、駆動信号DV’の波形に応じた強度波形の光L1”がDFB半導体レーザ160Aから射出される。こうしてDFB半導体レーザ160Aから射出された光L1”は、上述したように、各瞬間の強度に応じた位相変調がなされたものとなっている。
こうしてDFB半導体レーザ160Aから射出された光L1”は、EOM131によってパルス変調される。かかるパルス変調において、EOM131は、変調制御装置16Cからの変調信号MD1によるパルス切出し指示に応じて、EOM131から射出されたパルス光L2”が波長変換部163までの光路で受ける自己位相変調量φSPMを相殺可能な位相変調量φPMの時間変化となるタイミングでパルス切出しを行う。こうして、各パルス光が後に受ける自己位相変調を相殺する位相変調が施された光パルス列L2”が、EOM131から射出される。
以上のようにして生成された光パルス列L2”が光増幅部161に入射すると、第1の実施形態の場合と同様に、増幅用光ファイバ1751,1752を介することにより、各パルス光が増幅されるとともに、主に増幅用光ファイバ1751,1752におけるパルス光の自己位相変調が、DFB半導体レーザ160Aからの射出時に既に行われていた位相変調によって相殺される。この結果、自己位相変調によるパルス光のスペクトル幅の拡大が抑制され、波長の単一性が高い高輝度のパルス光L3”が、光増幅部161から波長変換部163へ向けて射出される。
すなわち、本第3の実施形態の光源装置16では、連続光発生部160で発生された位相変調光L1”から、EOM131が、後の自己位相変調を相殺する位相変調量の時間変化をするタイミングでパルス切出しを行い、光パルス列L2”を生成する。こうして生成された光パルス列L2”の各パルス光は、光増幅部161において増幅されるととともに、増幅用光ファイバ1751,1752における自己位相変調によるスペクトル幅の拡大が抑制される。そして、光増幅部161から射出された光L3”が波長変換部163に入射して、波長変換された後、光源装置16の射出光として射出される。こうして光源装置16から射出された光を使用して、第1の実施形態の場合と同様にして、レチクルRに形成されたパターンがウエハWに転写される。
以上説明したように、本第3の実施形態に係る光源装置16によると、連続光発生部160におけるレーザ光発生にあたって、連続光発生部160が発生した連続光をパルス変調した後、各パルス光に対して、当該各パルス光が波長変換部163までの光路上の媒質を通過する際に受ける自己位相変調に起因して生じる位相変調量を相殺する位相変調量の位相変調を行う。したがって、波長変換部163に入射する光におけるスペクトル幅の拡大を抑制することができ、単色性の良い光を波長変換部163に供給することができる。このため、波長変換部163から射出される波長変換光の単色性を高めることができる。
また、本第3の実施形態の露光装置によれば、露光にあたって単色性の高い照明光ILをレチクルRに照射できるので、投影光学系の色収差を効果的に抑制し、レチクルRに形成されたパターンを精度良くウエハWに転写することができる。
なお、上記第3の実施形態では、駆動信号DV’への位相変調用信号を連続的な交流電流成分としたが、パルス切出し指示に応じてほぼパルス幅程度の時間幅だけ強度用変調信号である位相変調用信号を直流成分に重畳し、その位相変調用信号の重畳した期間の駆動信号DV’による駆動によって発生した光を、EOM131でパルス切出ししてもよい。
なお、上記第1〜第3の実施形態それぞれで説明した位相変調の手法を任意に組み合わせて適用することが可能なことは勿論である。
また、上記の各実施形態では意図的に付与される位相変調量φPMは、自己位相変調量φSPMを相殺する量と必ずしも一致していなくとも良い。例えば、前述の露光装置で要求されるスペクトル幅が得られる程度の範囲内で位相変調量φPMを自己位相変調量φSPMと異ならせる、換言すれば位相変調量φPMが自己位相変調量φSPMの一部を相殺する量であっても良い。かかる場合にも、スペクトル幅の拡大を制御する効果を奏する。
また、上記の各実施形態における波長変換部の構成は一例であって、本発明の波長変換部の構成や非線形光学結晶の材料、出力波長などがこれに限定されないことは勿論である。例えば、光増幅部163から射出される波長1.57μmの基本波を、非線形光学結晶を用いて10倍波の高調波発生を行い、F2レーザと同じ波長である157nmの紫外光を発生することもできる。
また、上記の各実施形態では、レーザ光源160Aとして、DFB半導体レーザを使用したが、他の半導体レーザや、例えば発振波長が990nm付近のイッテルビウム(Yb)・ドープ・ファイバーレーザ等のファイバレーザを使用することもできる。
また、上記の各実施形態では、増幅用光ファイバとしてErドープファイバを採用したが、Ybドープファイバその他の希土類元素ドープファイバを採用することも可能である。
また、上記の各実施形態では、増幅用媒体として希土類元素がコア部に添加された光ファイバを採用したが、例えば、希土類元素が添加されたロッド状のガラス体を採用し、これに励起光を照射するようにしてもよい。
また、光増幅部161又は161’において並列に配置される光ファイバ増幅器の数は任意でよく、本発明に係る光源装置が適用される製品において要求される仕様に応じてその本数を決定すればよい。特に、光源装置として高出力を要求されない場合には、光ファイバ増幅器の数を減らして、構成を簡略化することができる。なお、光ファイバ増幅器を1つのみ含むように簡略化するときは、分岐器166も不要となる。
また、光ファイバ増幅器を直列に接続することにより、1経路の光増幅率を高めることもできる。かかる場合には、ジャイアントパルスの発生により破壊の可能性のある光ファイバ増幅器から波長変換部までの間に、適宜な光量制御装置を設ければよい。
また、上記各実施形態では単一のレーザ光源160Aを用いるものとしたが、複数のレーザ光源160Aを用いるとともに、図2に示される光源部16Aのうち、例えば少なくとも波長変換部163を除く残りの光学要素(光アイソレータ160B、EOM131、132、光増幅部161など)をレーザ光源と同数だけ設けるようにし、この複数の光源部と前述した波長分割多重化装置とによって生成される多数の出力光L4を波長変換部163に入射させるように構成しても良い。
また、上記の各実施形態では、光源装置が射出する紫外光の波長を、ArFエキシマレーザとほぼ同一に設定するものとしたが、その設定波長は任意でよく、この設定すべき波長に応じて、レーザ光源160Aの発振波長や波長変換部163の構成及び高調波の倍率などを決定すればよい。なお、設定波長は、一例として、ウエハ上に転写すべきパターンのデザインルール(線幅、ピッチなど)に応じて決定するようにしてもよく、さらにはその決定に際して前述の露光条件やレチクルの種類(位相シフト型か否か)などを考慮してもよい。
また、上記の各実施形態では、本発明に係る光源装置がステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に適用された場合について説明したが、露光装置以外でデバイス製造工程などに用いられる装置、例えば、ウエハ上に形成された回路パターンの一部(ヒューズなど)を切断するために用いられるレーザリペア装置などにも本発明に係る光源装置を適用することができる。また、本発明は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に限らず、静止露光型、例えばステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパなど)にも好適に適用できるものである。更にはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも適用できる。
また、上記の各実施形態では、本発明に係る光源装置が露光用照明光を発生する光源装置として使用される例を説明したが、露光用照明光とほぼ同一の波長の光を必要とする上述のレチクルアライメント用の光源装置、あるいは投影光学系の物体面又は像面に配置されるマークの投影像を検出して投影光学系の光学特性を求める空間像検出系の光源装置等として使用することも可能である。
なお、本発明の光源装置は、露光装置以外にも様々な装置に利用することができる。例えば、レーザ光を角膜に照射して表面のアブレーション(あるいは切開した角膜内部のアブレーション)を行い、角膜の曲率若しくは凹凸を矯正して近眼、乱視などの治療を行うレーザ治療装置に使用される光源装置として利用することができる。また、光学式検査装置等における光源装置としても、本発明の光源装置は利用可能である。
また、本発明の光源装置は、上記の実施形態における投影光学系のような光学系の光学調整(光軸合わせ等)用又は検査用としても利用可能である。さらには、エキシマレーザを光源として有する各種装置において、エキシマレーザに置き換えて本発明の光源装置を適用できる。
《デバイス製造方法》
次に、上記の各実施形態の露光装置及び方法を使用したデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造について説明する。
図13には、上記デバイスの製造例のフローチャートが示されている。この図13に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図14には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図14において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いることにより、露光工程(ステップ216)において上記各実施形態の露光装置が用いられるので、精度良くレチクルのパターンをウエハ上に転写することができる。この結果、高集積度のデバイスを生産性(歩留まりを含む)良く製造することができる。
産業上の利用可能性
以上詳細に説明したように、本発明の光源装置は、波長の単一性が向上した高輝度の光を発生するのに適している。また、本発明の光照射装置は、波長の単一性が向上した高輝度の光を対象物に照射するのに適しており、特に対象物がマスクである場合には、そのマスクに形成されたパターンの転写に適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、図1の光源装置の内部構成を主制御装置とともに示すブロック図である。
図3Aは、図2のパルス変調器の構成を概略的に示す図、図3Bは、図2のパルス変調器の作用を説明するためのタイミング図である。
図4Aは、図2の位相変調器の構成を概略的に示す図であり、図4Bは、図2の位相変調器の作用を説明するためのタイミング図である。
図5は、図2の光増幅部を構成する光ファイバ増幅器及びその周辺部を概略的に示す図である。
図6A及び図6Bは、位相変調によるスペクトル幅の拡大の抑制効果を説明するための図である。
図7は、図2の波長変換部の構成を示す図である。
図8は、第2の実施形態に係る光源装置の内部構成を主制御装置とともに示すブロック図である。
図9は、図8の光増幅部を構成する光ファイバ増幅器及びその周辺部を概略的に示す図である。
図10Aは、図9の位相変調器の構成を概略的に示す図、図10Bは、図9の位相変調器の作用を説明するためのタイミング図である。
図11は、第3の実施形態に係る光源装置の内部構成を主制御装置とともに示すブロック図である。
図12は、図11の光源装置における位相変調作用を説明するためのタイミング図である。
図13は、本発明のデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
図14は、図13のステップ204の具体例を示すフローチャートである。
【0013】
よる制御のもとで、入射光L1のパルス切出し、すなわち、パルス変調が行われ、光パルス列が射出光L2として、EOM131から射出される。
なお、EOM131への印加電圧とDFB半導体レーザ160Aへの供給電流制御とを併用して、出力光のパルス化を行うことが望ましい。かかる場合には、消光比を向上することができる。このようにすれば、EOM131のみを用いる場合に比べて、消光比を向上しつつ、パルス幅が狭いパルス光を容易に発生させることが可能になるとともに、パルス光の発振間隔や発振の開始及びその停止などをより簡単に制御することが可能になる。
また、EOM131に代えて、音響光学変調器(AOM)を用いることも可能である。
図2に戻り、前記EOM132は、EOM131から射出された光(光パルス列)L2の各パルス光を位相変調するためのものである。このEOM132は、図4Aに示されるように、入射光L2が辿る導波路320と、電極321とを備えている。ここで、導波路320は、電圧が印加されるとその電圧値に応じて電圧印加部の屈折率が変化する材質で構成されている。また、電極321は、導波路を挟むように設けられた2つの電極板3211,3212から構成されており、この電極321(より正確には一方の電極板3211)には、変調制御装置16Cからの位相変調信号MD2が供給されている。ここで、他方の電極板3212はGNDレベルとなっている。
このEOM132では、図4Bに示されるように、導波路320を通過中の光の強度に応じた電圧レベルの位相変調信号MD2が電極321に印加されることにより、入射光L2の各瞬間に強度に応じて、導波路320の電圧印加部分の電気光学効果による屈折率変化が生じる。この結果、前述の(2)式に従って位相変調が行われる。かかる位相変調によって射出光L3に付与される位相変調量φPMは、図4Bに示されるように、射出光L3の各瞬間の強度に応じたものとなっている。なお、位相変調量φPMは、射出光L3の各光パルスがその後の波長
よる制御のもとで、入射光L1のパルス切出し、すなわち、パルス変調が行われ、光パルス列が射出光L2として、EOM131から射出される。
なお、EOM131への印加電圧とDFB半導体レーザ160Aへの供給電流制御とを併用して、出力光のパルス化を行うことが望ましい。かかる場合には、消光比を向上することができる。このようにすれば、EOM131のみを用いる場合に比べて、消光比を向上しつつ、パルス幅が狭いパルス光を容易に発生させることが可能になるとともに、パルス光の発振間隔や発振の開始及びその停止などをより簡単に制御することが可能になる。
また、EOM131に代えて、音響光学変調器(AOM)を用いることも可能である。
図2に戻り、前記EOM132は、EOM131から射出された光(光パルス列)L2の各パルス光を位相変調するためのものである。このEOM132は、図4Aに示されるように、入射光L2が辿る導波路320と、電極321とを備えている。ここで、導波路320は、電圧が印加されるとその電圧値に応じて電圧印加部の屈折率が変化する材質で構成されている。また、電極321は、導波路を挟むように設けられた2つの電極板3211,3212から構成されており、この電極321(より正確には一方の電極板3211)には、変調制御装置16Cからの位相変調信号MD2が供給されている。ここで、他方の電極板3212はGNDレベルとなっている。
このEOM132では、図4Bに示されるように、導波路320を通過中の光の強度に応じた電圧レベルの位相変調信号MD2が電極321に印加されることにより、入射光L2の各瞬間に強度に応じて、導波路320の電圧印加部分の電気光学効果による屈折率変化が生じる。この結果、前述の(2)式に従って位相変調が行われる。かかる位相変調によって射出光L3に付与される位相変調量φPMは、図4Bに示されるように、射出光L3の各瞬間の強度に応じたものとなっている。なお、位相変調量φPMは、射出光L3の各光パルスがその後の波長
Claims (19)
- 所定波長の光を発生する光発生器を含む光発生部と;
前記所定波長の光を増幅する光増幅部と;
前記光増幅部で増幅された光を波長変換する波長変換部と;
前記光発生部から前記波長変換部に至る光路中に配置され、前記光路を進行する光の自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行う位相変調器と;を備える光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記位相変調器は、
前記光路上に配置され、供給された変調用電気信号の振幅に応じた位相変調を行う電気光学変調素子と;
前記電気光学変調素子を通過する光の強度に応じた振幅の電気信号を、前記変調用電気信号として、前記電気光学変調素子に供給する信号供給器と;を備えることを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記位相変調器は、前記光発生部から前記光増幅部までの光路中に配置されることを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記位相変調器は、前記光増幅部における光伝搬媒体の非線形屈折率の極性と反対の極性を有する材質から成る非線形光学部材を含むことを特徴とする光源装置。 - 請求項4に記載の光源装置において、
前記非線形光学部材は、In1−XGaXAs1−YPY混晶から成ることを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記光発生部は連続光を発生し、
前記光発生部の直後の段に配置され、前記連続光からパルス光の切出しを行うパルス変調器を更に備えることを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記光発生器は、赤外域から可視域までの波長範囲内のほぼ単一波長のレーザ光を発生し、前記波長変換部は紫外光を射出することを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記光増幅部は、増幅用光ファイバを含むことを特徴とする光源装置。 - 所定波長の光を発生する光発生器と;
前記光発生器が発生した光が辿る光路における自己位相変調の少なくとも一部を相殺する位相変調を行う位相変調用信号が重畳された駆動信号を、前記光発生器に供給する駆動信号供給器と;
前記所定波長の光を増幅する光増幅部と;を備える光源装置。 - 請求項9に記載の光源装置において、
前記光発生器から前記光増幅部までの光路に配置され、前記光発生器から射出された光からパルス光の切出しを行うパルス変調器を更に備えることを特徴とする光源装置。 - 請求項9に記載の光源装置において、
前記光増幅部で増幅された光を波長変換する波長変換部を更に備えることを特徴とする光源装置。 - 請求項11に記載の光源装置において、
前記光発生器は、赤外域から可視域までの波長範囲内のほぼ単一波長のレーザ光を発生し、前記波長変換部は紫外光を射出することを特徴とする光源装置。 - 請求項9に記載の光源装置において、
前記光増幅部は、増幅用光ファイバを含むことを特徴とする光源装置。 - 対象物に光を照射する光照射装置であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の光源装置と;
前記光源装置から射出された光を前記対象物に向けて射出する照射光学系と;を備える光照射装置。 - 請求項14に記載の光照射装置において、
前記対象物は、所定のパターンが形成されたマスクであり、
前記マスクから射出される前記光を感光物体に投射する投影光学系を更に備えることを特徴とする光照射装置。 - リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程では、請求項15に記載の光照射装置を用い、前記マスク及び投影光学系を介して前記感光物体を露光することを特徴とするデバイス製造方法。 - マスクのパターンを感光物体上に転写する露光装置であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の光源装置と;
前記光源装置から射出された光を前記マスクに照射する照明光学系と;を備える露光装置。 - 請求項17に記載の露光装置において、
前記マスクを介して前記感光物体に照射される光の強度又は積算光量を調整するために前記光源装置を制御する制御装置を更に備えることを特徴とする露光装置。 - リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程では、請求項17に記載の露光装置を用い、前記マスクを介して前記感光物体を露光することを特徴とするデバイス製造方法。
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