JPWO2002040980A1 - 基板検査方法、基板検査装置及び電子線装置 - Google Patents

基板検査方法、基板検査装置及び電子線装置 Download PDF

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中筋 護
野路 伸治
佐竹 徹
浜島 宗樹
金馬 利文
畠山 雅規
渡辺 賢治
曽布川 拓司
狩俣 努
吉川 省二
大和田 伸
西藤 睦
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Abstract

本発明は、荷電粒子線を基板に照射して基板に形成されたパターンを検査する基板検査装置に関する。荷電粒子線発生手段、そこから発生された荷電粒子線を複数の開口を有するマルチ開口板に照射させ、開口を通過した複数の荷電粒子線を基板表面に結像させる手段等を含む一次光学系、基板から放出される二次荷電粒子線が投入される二次光学系、前記二次荷電粒子線を検出して電気信号として出力する検出系及び前記電気信号を処理、評価する処理制御系を含む電子線装置と、基板を保持したり移動したりするステージ装置と、所望の雰囲気に制御可能なワーキングチャンバ等を備えている。

Description

技 術 分 野
半導体プロセスにおいて、デザインルールは100nmの時代を迎えようとしており、また生産形態はDRAMに代表される少品種大量生産からSOC(Silicon on Chip)のように多品種少量生産へ移行しつつある。それに伴い、製造工程数が増加し、各工程毎の歩留まり向上は必須となり、プロセス起因の欠陥検査が重要になる。本発明は、半導体プロセスにおける各工程後のウェーハ等の基板の検査を電子ビームを用いて行う基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置、或いはそれらを用いたデバイス製造方法に関する。
背 景 技 術
半導体デバイスの高集積化、パターンの微細化に伴い、高分解能、高スループットの検査装置が要求されている。100nmデザインルールのウェーハー基板の欠陥を調べるためには、100nm以下の分解能が必要であり、デバイスの高集積化による製造工程の増加により、検査量が増大するため、高スループットが要求されている。また、デバイスの多層化が進むにつれて、層間の配線をつなぐビアのコンタクト不良(電気的欠陥)を検出する機能も、検査装置に要求されている。現在は主に光方式の欠陥検査装置が使用されているが、分解能及び、コンタクト不良検査の点では、光方式の欠陥検査装置に代わって電子ビームを用いた欠陥検査装置が今後、検査装置の主流になると予想される。但し、電子ビーム方式欠陥検査装置にも弱点があり、それはスループットの点で光方式に劣ることである。
このため、高分解能、高スループット、且つ電気的欠陥検出が可能な検査装置の開発が要求されている。光方式での分解能は使用する光の波長の1/2が限界と言われており、実用化されている可視光の例では0.2μm程度である。
一方電子ビームを使用する方式では、通常走査型電子ビーム方式(SEM方式)が実用化されており、分解能は0.1μm、検査時間は8時間/枚(20cmウェーハ)である。電子ビーム方式はまた、電気的欠陥(配線の断線、導通不良、ビアの導通不良等)も検査可能であることが大きな特徴である。しかし、検査時間は非常に遅く、検査速度の速い欠陥検査装置の開発が期待されている。
一般に検査装置は高価でありまたスループットも他のプロセス装置に比べて低いために、現状では重要な工程の後、例えばエッチング、成膜、又はCMP(化学機械研磨)平坦化処理後等に使用されている。
電子ビームを用いた走査(SEM)方式の検査装置について説明する。SEM方式の検査装置は電子ビームを細く絞って(このビーム径が分解能に相当する)これを走査してライン状に試料を照射する。一方、ステージを電子ビームの走査方向に直角の方向に移動させることにより、平面状に観察領域を電子ビームで照射する。電子ビームの走査幅は一般に数100μmである。前記細く絞られた電子ビーム(一次電子線と呼ぶ)照射により発生した試料からの二次電子を検出器(シンチレータ+フォトマルチプライヤ(光電子増倍管)又は半導体方式の検出器(PINダイオード型)等)で検出する。照射位置の座標と二次電子の量(信号強度)を合成して画像化し、記憶装置に記憶し、あるいはCRT(ブラウン管)上に画像を出力する。以上はSEM(走査型電子顕微鏡)の原理であり、この方式で得られた画像から工程途中の半導体(通常はSi)ウェーハの欠陥を検出する。検査速度(スループットに相当する)は一次電子線の量(電流値)、ビーム径、検出器の応答速度で決まる。ビーム径0.1μm(分解能と同じと考えてよい)電流値100nA、検出器の応答速度100MHzが現在の最高値で、この場合で検査速度は20cm径のウェーハ一枚あたり約8時間と言われている。この検査速度が光に比べてきわめて遅い(1/20以下)ことが大きな問題点(欠点)となっている。
一方、SEM方式の欠点である検査速度を向上する方法として、複数の電子線を用いたSEM(マルチビームSEM)方式及び装置が開示されている。この方法は複数の電子線の本数分だけ検査速度を向上できるが、複数の一次電子線を斜め入射し、資料からの複数の二次電子線を斜め方向に取り出すため、試料からの二次電子も斜めの方向に放出されたもののみ検出器が拾うことになり、あるいは画像に影ができてしまうことや、さらに複数の電子線からのそれぞれの二次電子を分離することが困難であり、二次電子信号が互いに混入してしまうという問題が生じている。
従来、電子銃から放出される一次電子線をレンズ系で細く絞って試料面上に照射し、試料から放出される二次電子を検出して、線幅測定、欠陥検査等の試料面の評価を行う評価装置が知られている。このような評価装置においては、S/N比を一定値以上(例えば、22〜70)に大きくする必要がある.
熱電界放出電子銃を用いた場合、1ピクセル当り1000個〜10000個の二次電子を検出する必要がある。
例えば、二次電子の検出効率を10%とすると、1ピクセル当り一次電子を10〜10個照射する必要があった。これをドーズに換算すると、ドーズD(Q/cm)は、ピクセル寸法を0.1μm角とすると、
Figure 2002040980
となる。
このような16μc/cm〜160μc/cmのドーズの値は、トランジスタがほぼ完成した層以降のウエハにとってはかなり大きいドーズに相当し、大きなドーズ値の場合、トランジスタのスレシホルド電圧Vthが上昇したりする問題がある。
すなわち、従来の半導体ウエハの評価装置においては、S/N比を大きくする必要があることからドーズを大きくする必要があるが、ドーズを大きくして照射する一次電子線の量を大きくすると、ウエハ上のトランジスタのスレシホルド電圧が上昇してしまい、結局、ウエハの評価時に、半導体デバイスの特性を損ねてしまう場合がある。
また、従来技術では、一次電子線を試料表面の被検査領域に照射して取得した二次電子線の画像と、予め用意された基準画像との間に位置ずれが発生し、欠陥検出の精度を低下させるという問題もあった。この位置ずれは、一次電子線の照射領域がウェーハに対してずれ、検査パターンの一部が二次電子線の検出画像内から欠落するとき、特に大きな問題となり、単にマッチング領域を検出画像内で最適化する技術だけでは対処できない。これは、特に、高精細パターンの検査では致命的欠点となり得る。
発 明 の 概 要
本発明の目的は、高スループットでしかも高い信頼性度で試料の検査、評価が可能な基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の他の目的は、一次の荷電粒子線の照射量を少なくしても、二次電子の検出信号のS/N比を所望の大きさにすることができる基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の別の目的は、少ない情報量で欠陥検査を行うことが可能で、大型のサイズのウエハ等の試料の評価を高いスループットで評価するか或いは精度良く評価するかを選択できる基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、一度に複数の荷電粒子線を試料に照射させることができ、試料を走査する画素サイズに応じた前記一次光学系、二次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持する記憶部を有することにより測定精度の向上か評価のスループットの向上かを選択できる基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の別の目的は、一次光学系のレンズ条件の調整とは別個に、二次光学系の合焦条件や拡大率を調整し、これらの値の設計値からのズレを補正して高い信頼性度で試料の検査、評価が可能な基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、一次光学系と二次光学系とで開口角を独立に調整できるようにし、軸合わせが行えない光学部品は最小限とし、レンズ条件は両光学系とも調整可能とした基板検査装置及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、試料のパターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該領域に電子線や光を照射して重点的に評価を行うことによってそのような評価を迅速にできる基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、厚い基体を用いる必要なく可能な限り剛性が高いレーザー反射鏡、及び、ボイドによる鏡面の凹みを解消すると共に該鏡面の平面度を高精度に保つことが可能なレーザー反射鏡の少なくともいずれかを備えた基板検査装置及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、最小線幅が0.1ミクロン以下であってもキラー欠陥と非キラー欠陥とを区別することができ、しかも、SEMを用いた欠陥検査装置と比較して検査時間を短縮することができる基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、レーザー干渉計等の精密な測距装置をステージ位置に設けることによって、温度安定度が低い条件で測定を行う場合、及び、電子線装置の光学系と試料室すなわちステージとの間に相対的な振動がある場合等に、正確な検査を行うことができる基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、1台に複数の機能を持たせることによって、少ない台数で試料の検査、評価を可能にすることにより、半導体製造設備のクリーンルームに占める検査装置の床面積の割合を減少可能とする基板検査方法、基板検査装置、及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、静圧軸受けによる非接触支持機構と差動排気による真空シール機構を有し、荷電ビームの照射領域と静圧軸受けの支持部との間に圧力差を発生させるようにし、また静圧軸受けに面する部品表面から放出するガスを低減を可能にした基板検査装置及びその検査装置用の電子線装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、半導体デバイスの製造プロセスにおいて、上記のような基板検査方法、検査装置、その検査装置用の荷電粒子線装置を用いて試料の欠陥検査或いは評価を行うことにより、デバイス製品の歩留まりの向上及び欠陥製品の出荷防止を図った半導体デバイスの製造方法を提供することである。
なお、本願において、検査とは、単に欠陥等の不良状態の有無を検出するだけでなく、検出結果の評価を行う場合も含む。
本願の第1の発明による基板検査方法は、
(1)荷電粒子線発生手段から一次荷電粒子線を放出させるステップと、
(2)前記発生された一次荷電粒子線を一次光学系を介して基板に照射するステップと、
(3)前記一次荷電粒子線の照射により前記基板から放出された二次荷電粒子線を二次光学系に投入するステップと、
(4)前記二次光学系に投入された前記二次荷電粒子線を検出して電気信号に変換するステップと、
(5)前記電気信号を処理して基板を評価するステップと、
を備えて構成されている。
前記基板検査方法の実施形態において、前記荷電粒子線発生手段を空間電荷制限領域で動作させ、前記荷電粒子線発生手段から放出される一次荷電粒子線を前記一次光学系の複数の開口を有するマルチ開口板に照射させ、前記複数の開口を通過した複数の荷電粒子線を基板面上に結像させてもよい。また、前記荷電粒子線発生手段を空間電荷制限領域で動作させ、前記荷電粒子線発生手段は、前記一次光学系のマルチ開口板の複数の開口に対応した円周上の複数の電子放出領域から前記一次荷電粒子線を放出させてもよい。
更に、前記基板検査方法の他の実施形態において、前記検査方法が、(6)前記検出系が前記基板の複数の領域から放出された二次荷電粒子線を検出して複数のサブ画像データを得るステップと、(7)検出された複数のサブ画像データを並び替えて、基板の検査領域の画像データを生成するステップと、を更に備えいてもよく、或いは、更に、(8)評価された基板に関する基準画像データを予め記憶するステップと、(9)前記記憶された基準画像データと画像生成手段によって生成された画像データとを対比することにより、基板を評価するステップと、を備えていてもよい。
また、前記基板検査方法の他の実施形態において、前記基板がY軸方向に連続移動するよう制御し、複数の一次荷電粒子線の基板上の照射スポットをX軸方向にほぼ等間隔に形成し、かつ、走査領域がX軸方向に一部重複するように、それぞれの荷電粒子線を同時にX軸方向に走査し、サブ画像データを比較する際、それぞれの荷電粒子線のX座標及びY座標を考慮して、基板の表面の検査を行ってもよい。更に、前記基板検査方法において、前記基板を走査して照射する画素サイズに応じた前記一次光学系及び前記次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持してもよい。
更にまた、前記基板検査方法の他の実施形態において、前記検査方法が、更に、前記電気信号をパターン情報へ変換することと、前記パターン情報と基準パターンとを比較することと、を備え、複数の荷電粒子線のそれぞれの荷電粒子線間の距離の最小値を、前記二次光学系の分解能を前記基板の表面上での値に換算した値よりも大きくしてもよい。
更に、前記基板検査方法の他の実施形態が、更に、前記検出部から受け取った前記電気信号を2値化情報へ変換することと、前記2値化情報から矩形パターン情報へ変換することと、前記矩形パターン情報と基準パターンとを比較することと、を備えていてもよい。
前記第1の発明による基板検査方法の他の実施形態において、基板の画像を生成し、その画像より基板上に形成されたパターンを評価するに、前記基板の画像に対応した参照用画像を格納し、その格納された参照用画像を読出し、その読出された参照用画像と前記基板の画像とを比較して、その両画像の差異部を検出し、そしてその差異部を少なくとも短絡、断線、凸、欠け、ピンホール及び孤立の欠陥に分類するようにし、前記基板の画像を生成するに、一次光学系で細く絞った複数のビームを基板上で走査し、基板からの二次荷電粒子線を対物レンズで集束し、さらにこれをEXB分離器で一次光学系から分離し、二次光学系で上記基板からの二次荷電粒子線の軌道と光軸との角度を一段のレンズによって拡大して検出用マルチ開口に集束させて、複数の検出器で検出するようにしてもよい。
更に、前記基板検査方法の別の実施形態において、前記基板のパターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該領域に荷電粒子線を照射して重点的に評価を行うようにしてもよく、この場合、前記パターン形成面を複数の領域に分割して、領域毎にパターンを形成することにより全体のパターンを形成するようにしたパターン形成面の評価において、前記分割した領域のつなぎの領域を選択して前記評価を行うようにするか、或いは、パターン形成面を複数の隣接するストライプに分割し、各ストライプ毎にパターンをリソグラフィにより形成するようにしたパターン形成面の評価において、ストライプのつなぎ領域、リソグラフィにおけるパターン投影の主視野のつなぎ領域、あるいは、副視野のつなぎ領域を選択して前記評価を行うようにしてもよい。
更に、前記基板検査方法の別の実施形態において、前記基板のパターン形成面に荷電粒子線を照射して、前記二次荷電粒子線に基づき当該パターンの評価を行い、パターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該検査を行う装置の視野の中央部分を、選択した領域に一致させるようにしてもよい。
更にまた、前記第1の発明による基板検査方法の他の実施形態において、前記検査方法が、前記電気信号を処理して生成された画像データから、異常パターンを検出することと、前記の検出された異常パターンがキラー欠陥であるか否かを、所定の基準パターンとの関係に基づいて判定することと、を備えていてもよく、この場合、前記画像処理部が、前記複数の二次荷電粒子線に対応する複数の画像データを同時に又は並列に処理してもよい。
更にまた、前記基板検査方法の別の実施形態において、基板表面の欠陥検出、基板表面の欠陥レビュー、パターン線幅測定、及びパターン電位測定の内少なくとも2つの機能を行ってもよく、この場合、前記基板表面の欠陥検出は画像信号により得られる画像をパターンデータと比較するか又はダイ同士を比較することにより行われ、基板表面の欠陥レビューは基板表面上における一次荷電粒子線の走査と同期させたモニター上のビームの走査により得られる画像観察により行われ、パターン線幅測定は基板表面上における一次荷電粒子線の走査をパターンの短辺方向に行うときの二次荷電粒子線のラインプロファイル像により行われ、パターン電位測定は基板表面に最も近い電極に負の電位を与え基板表面の高い電位を持つパターンから放出される二次荷電粒子線を選択的に基板側へ追い戻すことにより行われてもよい。
前記基板検査方法の他の実施形態において、更に、基板1枚当たりの加工状態を、加工装置による基板1枚当たりの加工時間以内に評価するように、評価条件を設定することか、又は、1ロット当たりの加工状態を、加工装置による1ロット当たりの加工時間以内に評価するように、評価条件を設定することを備えていてもよく、この場合、基板表面の指定された領域のみの加工状態を評価するよう、基板の評価面積を設定することを備えていてもよい。
前記第1の発明による基板検査方法の更に別の実施形態において、前記検査方法が、更に、前記基板上で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の画像を各々取得することと、基準画像を記憶すること、前記取得された複数の被検査領域の画像と、前記記憶された前記基準画像とを比較することによって前記基板の欠陥を判断することと、を含んでいてもよい。
また、前記基板検査方法の他の実施形態において、前記検査方法が、更に、前記基板への一次荷電粒子線の照射を所望の雰囲気に制御されたワーキングチャンバ内で行うことと、前記ワーキングチャンバ内への及びそこからの前記基板の搬送を真空チャンバ内を通して行うことと、前記ワーキングチャンバ内で前記基板に電位を印加することと、前記基板の表面を観察して前記一次荷電粒子線の照射位置に対して前記基板をアライメントすることと、を備えていてもよい。
本願の第2の発明は、基板に一次荷電粒子線を照射して二次荷電粒子線を放出させ、前記二次荷電粒子線を検出して基板を評価する電子線装置において、
荷電粒子線を発生する荷電粒子線発生手段と、
前記一次荷電粒子線を複数本走査させて前記基板に照射する一次光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記基板から放出された二次荷電粒子線が投入される二次光学系と、
前記二次光学系に投入された二次荷電粒子線を検出して電気信号に変換する検出器を有する検出系と、
前記電気信号に基づいて基板の評価を行う処理制御系と、を備えて構成されている。
本願の第3の発明は、基板に一次荷電粒子線を照射して二次荷電粒子線を放出させ、前記二次荷電粒子線線を検出して基板を評価する電子線装置において、
荷電粒子線を発生する荷電粒子線発生手段と、
前記単一の一次荷電粒子線を走査させて前記基板に照射する一次光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記基板から放出された二次荷電粒子線が投入される二次光学系と、
前記二次光学系に投入された二次荷電粒子線を検出して電気信号に変換する検出器を有する検出系と、
前記電気信号に基づいて基板の評価を行う処理制御系と、を備えて構成されている。
前記第2の発明による電子線装置の実施形態において、前記荷電粒子線発生手段が空間電荷制限領域で動作するよう設定され、前記荷電粒子線発生手段のカソードは単結晶LaBで構成され、荷電粒子線発生手段から放出される荷電粒子線で複数の開口を有する前記一次光学系のマルチ開口板を照射し、前記複数の開口を通過した複数の荷電粒子線を前記基板面上に結像させるようにしても、或いは、前記荷電粒子線発生手段が空間電荷制限領域で動作するよう設定され、前記一次光学系は円周上に配置された複数の開口を有するマルチ開口板を備え、LaBからなる荷電粒子線発生手段のカソードは、電子放出領域が前記マルチ開口板の複数の開口に対応して複数個円周上に配置されていてもよい。
また、前記第2の発明による電子線装置の実施形態において、前記検出系が前記基板の複数の領域から放出された二次荷電粒子線を検出して複数のサブ画像データを得ることができ、前記電子線装置が、更に、検出された複数のサブ画像データを並び替えて、基板の検査領域の画像データを生成する画像生成手段を備えていてもよく、この場合、前記電子線装置が、更に、評価された基板に関する基準画像データを予め記憶する記憶手段と、前記憶手段に記憶された基準画像データと画像生成手段によって生成された画像データとを対比することにより、基板を評価する評価手段と、を備えていてもよい。前記場合において、更に、前記基板がY軸方向に連続移動するよう制御され、前記一次光学系は、複数の荷電粒子線をの基板上の照射スポットがX軸方向にほぼ等間隔に形成され、かつ、走査領域がX軸方向に一部重複するように、それぞれの荷電粒子線を同時にX軸方向に走査するよう構成されており、画像生成手段は、サブ画像データを並び替える際、それぞれの荷電粒子線のX座標及びY座標を考慮して、基板の表面の画像データを作成するよう構成されていてもよい。
更に、前記第2発明による電子線装置の他の実施形態において、前記装置が、前記一次荷電粒子線を前記基板に走査して照射する画素サイズに応じた前記一次光学系及び前記二次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持する記憶部を有していてもよい。
また、前記第3の発明による電子線装置の一つの実施形態において、前記装置が、前記一次荷電粒子線を前記基板に走査して照射する画素サイズに応じた前記一次光学系及び前記二次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持する記憶部を有していてもよい。
更にまた、前記第3の発明による電子線装置の他の実施形態において、前記装置が、前記電子光学系は絶縁物から加工し表面に金属コーティングを施した電極から成る軸対称レンズを少なくとも1段有し、前記荷電粒子線発生手段、一次光学系、二次光学系及び検出系の組合せが複数個あってそれぞれが鏡筒を備え、前記基板を走査する画素サイズに応じた前記一次光学系、二次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持する記憶部を有していてもよい。
更に、前記第2の発明による電子線装置の他の実施形態において、前記装置が、前記処理制御系が二次荷電粒子線処理部を備え、前記二次荷電粒子線処理部が、前記電気信号をパターン情報へ変換する手段と、前記パターン情報と基準パターンとを比較する手段と、を備えており、前記複数の荷電粒子線のそれぞれの粒子線間の距離の最小値を、前記二次光学系の分解能を前記基板の表面上での値に換算した値よりも大きくしてもよい。
更に、前記第2及び第3の発明による電子線装置の別の実施形態において、前記装置が、前記処理制御系が前記画像処理部を備え、前記画像処理部が、前記検出部から受け取った前記電気信号を2値化情報へ変換する手段と、前記2値化情報から矩形パターン情報へ変換する手段と、前記矩形パターン情報と基準パターンとを比較する手段と、を備えていてもよい。この場合、前記一次光学系及び二次光学系が鏡筒内に収納され、前記一次光学系は、前記鏡筒内において絶縁材料の表面に金属コーティングにより電極を形成した軸対称のレンズを少なくとも1個備えていてもよい。
更に、前記第2の発明による電子線装置の別の実施形態において、基板の画像を生成し、その画像より基板上に形成されたパターンを評価するに、前記基板の画像に対応した参照用画像を格納し、その格納された参照用画像を読出し、その読出された参照用画像と前記基板の画像とを比較して、その両画像の差異部を検出し、そしてその差異部を少なくとも短絡、断線、凸、欠け、ピンホール及び孤立の欠陥に分類するよう構成され、上記基板の画像を生成するに、一次光学系で細く絞った複数のビームを基板上で走査し、基板からの二次荷電粒子線を対物レンズで集束し、さらにこれをEXB分離器で一次光学系から分離し、二次光学系で上記基板からの二次荷電粒子線像を少なくとも一段のレンズによって、二次電子軌道と光軸との角度を拡大して検出用マルチ開口に集束させて、複数の検出器で検出してもよく、この場合、電子線装置が、更に、(1)前記基板をプリアライメントする機能、(2)その基板の検査遂行のためのレシピを予め登録する機能、(3)前記基板上に形成された基板番号を読取る機能、(4)その読込んだ基板番号から該基板に対応するレシピを読出す機能、(5)その読出したレシピに基づく検査を遂行する機能、(6)前記基板の検査点マップを予め登録する機能、(7)その登録された検査点マップを読出し、表示する機能、(8)その検査点マップ上での指定あるいは前記レシピの指示に基づいて前記基板を移動してその指定または指示された検査点を所望位置に位置づける機能、(9)その指定または指示された検査点の参照用画像を予め登録するための機能、(10)その指定または指示された検査点の参照画像を形成し、その指定または指示された検査点の位置決め用画像とその検査点の位置決め用参照画像とを照合することにより前記検査点の位置決めを行う機能、(11)その位置決めされた検査点の検査用画像を形成する機能、(12)前記位置決めされた検査点の検査用参照用画像を格納する機能、(13)前記検査用画像と前記検査用参照画像を表示する機能、(14)その両画像を比較して、差異部を検出する機能、(15)その両画像間の差異部を少なくとも短絡、断線、凸、欠け、ピンホールおよび孤立の欠陥に分類する機能、(16)前記少なくとも凸、欠け、ピンホールおよび孤立の欠陥についてサイズ分類する機能、(17)前記基板の差異部にプローブを照射し物理分析する機能、(18)前記指定または指示された検査点の差異部の分類結果を前記検査点マップに上書きする機能、(19)前記基板が基板である場合は、チップ単位、基板単位および指定基板単位での全欠陥、類型別欠陥およびサイズ別欠陥の密度を計算する機能、(20)前記欠陥類型別の欠陥サイズ−致命率表を予め登録する機能、(21)前記欠陥類型別の欠陥サイズ−致命率表を用いて、チップ単位、基板単位および指定基板単位での歩留まりを計算する機能、(22)前記指定された検査点の差異部検出結果、差異部の分類結果および各欠陥密度および歩留まり計算結果を登録する機能、(23)その登録された各検査結果、計算結果を出力するための機能を備えていてもよい。
前記第2の発明による電子線装置の別の実施形態において、前記一次光学系が、前記一次荷電粒子線を複数に成形する形成手段及びE×B分離器を備え、前記一次光学系用の開口角を決めるアパーチャが、前記形成手段と前記E×B分離器との間に設けられていても、前記一次光学系は、前記荷電粒子線発生手段から放出された一次荷電粒子線を集束してクロスオーバー像を形成するコンデンサレンズ及び前記一次荷電粒子線を複数に形成する形成手段を更に備え、前記形成手段は、該コンデンサレンズ及び該クロスオーバー像の間に配置され、前記一次光学系用の開口角は、前記クロスオーバー像の拡大率を変更することによって調整又は設計値に調整されても、或いは、前記一次光学系は、前記荷電粒子線発生手段から放出された一次荷電粒子線を集束して第1のクロスオーバー像を形成するコンデンサレンズ及び前記一次荷電粒子線を複数に形成する形成手段を更に備え、前記形成手段は、該コンデンサレンズ及び該第1のクロスオーバー像の間に配置され、前記二次光学系は、前記複数の二次荷電粒子線線を集束して第2のクロスオーバー像を形成するコンデンサレンズを更に備えていてもよい。
前記第1及び第2の発明による電子線装置の別の実施形態において、前記基板のパターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該領域に荷電粒子線を照射して重点的に評価を行うようにしてもよく、この場合、前記パターン形成面を複数の領域に分割して、領域毎にパターンを形成することにより全体のパターンを形成するようにしたパターン形成面の評価において、上記分割した領域のつなぎの領域を選択して上記評価を行うようにしても、或いはパターン形成面を複数の隣接するストライプに分割し、各ストライプ毎にパターンをリソグラフィにより形成されているパターン形成面の評価において、ストライプのつなぎ領域、リソグラフィにおけるパターン投影の主視野のつなぎ領域、あるいは、副視野のつなぎ領域を選択して上記評価を行うようにしてもよい。
更に、前記第2及び第3の発明による電子線装置の別の実施形態において、前記基板のパターン形成面に荷電粒子線を照射して、前記二次荷電粒子線に基づき当該パターンの評価を行い、パターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該電子線装置の視野の中央部分を、選択した領域に一致させるようにしてもよく、或いは、前記処理制御装置が、二次荷電粒子線処理部と、前記二次荷電粒子線処理部で生成された前記画像データから、異常パターンを検出する検出手段と、前記の検出された異常パターンがキラー欠陥であるか否かを、所定の基準パターンとの関係に基づいて判定する判定手段と、を備えていてもよい。
前記第1及び第2の発明による電子線装置の他の実施形態において、前記装置が、基板表面の欠陥検出、基板表面の欠陥レビュー、パターン線幅測定、及びパターン電位測定の内少なくとも2つの機能を有していてもよく、この場合、前記基板表面の欠陥検出は画像信号により得られる画像をパターンデータと比較するか又はダイ同士を比較することにより行われ、基板表面の欠陥レビューは基板表面上における一次荷電粒子線の走査と同期させたモニター上のビームの走査により得られる画像観察により行われ、パターン線幅測定は基板表面上における一次荷電粒子線の走査をパターンの短辺方向に行うときの二次荷電粒子線のラインプロファイル像により行われ、パターン電位測定は基板表面に最も近い電極に負の電位を与え基板表面の高い電位を持つパターンから放出される二次荷電粒子線を選択的に基板側へ追い戻すことにより行われてもよい。
前記第2及び第3の発明による電子線装置の他の実施形態において、前記装置が、更に、基板1枚当たりの加工状態を、加工装置による基板1枚当たりの加工時間以内に評価するように、評価条件を設定する評価条件設定手段、又は1ロット当たりの加工状態を、加工装置による1ロット当たりの加工時間以内に評価するように、評価条件を設定する評価条件設定手段を備えていてもよい。この場合、前記評価条件設定手段が、基板表面の指定された領域のみの加工状態を評価するよう、基板の評価面積を設定する手段を備えていてもよい。
前記第2及び第3の発明による電子線装置の別の実施形態において、前記処理制御装置が、前記基板上で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の画像を各々取得する画像取得手段と、基準画像を記憶する記憶手段と、前記画像取得手段により取得された複数の被検査領域の画像と、前記記憶手段に記憶された前記基準画像とを比較することによって前記基板の欠陥を判断する欠陥判断手段と、を含んでいてもよい。
更にまた、前記第2及び第3の発明による電子線装置の別の実施形態において、1枚の被検査基板上に、前記荷電粒子線発生手段、一次光学系、二次光学系、検出器を含む光学系を複数個配置されていてもよい。
更に、前記第2及び第3の発明による電子線装置の別の実施形態において、前記一次光学系が対物レンズを備え、前記対物レンズを構成する静電レンズは、その内側部が、外側のセラミックス材料と一体的に構成された線膨張率が低いセラミックス材料で形成されており、前記内側部のセラミックス材料の表面に金属コーティングにより複数の電極が形成され、前記複数の電極はそれぞれ、軸対称に形成されていてもよい。
更に、前記第2及び第3の発明による電子線装置の別の実施形態において、前記一次光学系が対物レンズを備え、前記対物レンズを構成する静電レンズは、その内側部が、切削加工が可能なセラミックス材料で形成されて、外側部のセラミックス材料と接着固定されており、前記内側部のセラミックス材料の表面に金属コーティングにより複数の電極が形成され、該複数の電極はそれぞれ、軸対称に形成されていてもよい。
本願の第4の発明は、荷電粒子線を基板に照射して基板に形成されたパターンを検査する基板検査装置において、
荷電粒子線を発生する荷電粒子線発生手段、前記荷電粒子線を前記基板に照射する一次光学系、前記荷電粒子線の照射により前記基板から放出される二次荷電粒子線が投入される二次光学系、前記二次光学系に投入された二次荷電粒子線を検出して電気信号として出力する検出系及び前記電気信号を処理、評価する処理制御系を含む電子線装置と、
基板を保持して前記基板を前記電子線装置に関して相対的に移動させるステージ装置と、
少なくとも前記ステージ装置の上部領域を外部から遮断し、所望の雰囲気に制御可能なワーキングチャンバと、
前記ステージ上への基板の搬入及び前記ステージからの基板の取り出しを行う基板搬送機構と、を備えて構成されている。
前記第4の発明による基板検査装置の実施形態において、前記装置が、前記ステージ装置の位置を検出するレーザー測距装置を備え、前記一次光学系が対物レンズを備え、前記対物レンズは、少なくともその外側部が線膨張率が低いセラミックス材料で形成された、軸対称の静電レンズで構成され、前記静電レンズの外側部にレーザー測距装置の固定鏡が取り付けられていてもよい。
また、前記基板検査装置の他の実施形態において、少なくとも前記ステージ装置に取り付けられ、或いは、前記ステージ装置の部材の一部を研磨してなるレーザー反射鏡を有し、前記レーザー反射鏡にレーザーを反射させることによって該ステージの位置を測定するレーザー測距手段を含み、前記レーザー反射鏡は、SiCセラミックスの基体で形成されていてもよい。
更に前記第4の発明にようる基板検査装置の別の実施形態において、前記荷電粒子線発生手段、前記一次光学系、前記二次光学系及び前記検出系を含む鏡筒が、複数、並設して配置され、前記基板検査装置が、少なくとも前記ステージ装置に取り付けられ、或いは、前記ステージ装置の部材の一部を研磨してなるレーザー反射鏡を有し、前記レーザー反射鏡にレーザーを反射させることによって該ステージの位置を測定するレーザー測距手段を備え、前記レーザー反射鏡は、SiCセラミックスの基体で形成され、前記複数の鏡筒の各々は、一体のセラミックスを加工して、その表面に選択的に金属コーティングを行うことにより外径を小寸法に加工された軸対称レンズを少なくとも1段備えていてもよい。
前記基板検査装置の他の実施形態において、前記ステージ装置には、静圧軸受けによる非接触支持機構と差動排気による真空シール機構とが設られ、前記基板面上の一次荷電粒子線が照射される箇所と、前記ステージ装置の静圧軸受け支持部との間にコンダクタンスが小さくなる仕切りが設けられ、荷電粒子線の照射領域と静圧軸受け支持部との間に圧力差が生じるようにしてもよい。
前記基板検査装置の他の実施形態において、前記ステージ装置のテーブルはハウジング内に収容されかつ静圧軸受けによりハウジングに対して非接触で支持されており、前記ステージが収容されたハウジングは真空排気され、前記電子線装置の前記基板面上に一次荷電荷電粒子線を照射する部分の周囲には、基板面上の前記一次荷電粒子線が照射される領域を排気する差動排気機構が設けられていてもよい。
また、前記基板検査装置の他の実施形態において、前記装置が、更に、床から前記真空チャンバへの振動を遮断する振動遮断装置を備えていてもよい。
更にまた、前記基板検査装置において、前記装置が、更に、前記ワーキングチャンバ内に配置された、前記検査対象に電位を印加する電位印加機構と、前記電子光学系に対する前記検査対象の位置決めのために前記検査対象の表面を観察してアライメントを制御するアライメント制御装置と、を備えていてもよい。
更に、前記基板検査装置の別の実施形態において、前記電子線装置が前記請求の範囲24ないし55のいずれかに記載の電子線装置であってもよい。
本願の第5の発明は、半導体デバイスの製造方法であって、前記基板検査方法、電子線装置及び基板検査装置のいずれかを用いて、プロセス途中、又は終了後の半導体基板を評価するステップを含んでいることを特徴とする半導体デバイス製造方法である。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、検査対象として表面にパターンが形成された基板すなわちウエハを検査する基板体検査装置として説明する。
図1及び図2において、本実施形態の基板検査装置1の主要構成要素が立面及び平面で示されている。
本実施形態の基板体検査装置1は、複数枚のウエハを収納したカセットを保持するカセットホルダ10と、ミニエンバイロメント装置20と、ワーキングチャンバを画成する主ハウジング30と、ミニエンバイロメント装置20と主ハウジング30との間に配置されていて、二つのローディングチャンバを画成するローダハウジング40と、ウエハをカセットホルダ10から主ハウジング30内に配置されたステージ装置50上に装填するローダー60と、真空ハウジングに取り付けられた荷電粒子線装置としての電子光学装置70と、を備え、それらは図1及び図2に示されるような位置関係で配置されている。半導体検査装置1は、更に、真空の主ハウジング30内に配置されたプレチャージユニット81と、ウエハに電位を印加する電位印加機構83(図15に図示)と、電子ビームキャリブレーション機構85(図16に図示)と、ステージ装置上でのウエハの位置決めを行うためのアライメント制御装置87を構成する光学顕微鏡871とを備えている。
カセットホルダ
カセットホルダ10は、複数枚(例えば25枚)のウエハが上下方向に平行に並べられた状態で収納されたカセット14(例えば、アシスト社製のFOUP、SMIFのようなクローズドカセット)を複数個(この実施形態では2個)保持するようになっている。このカセットホルダとしては、カセットをロボット等により搬送してきて自動的にカセットホルダ10に装填する場合にはそれに適した構造のものを、また人手により装填する場合にはそれに適したオープンカセット構造のものをそれぞれ任意に選択して設置できるようになっている。カセットホルダ10は、この実施形態では、自動的にカセット14が装填される形式であり、例えば昇降テーブル11と、その昇降テール11を上下移動させる公知の構造の昇降機構12とを備え、カセット14は昇降テーブル上に図2で鎖線図示の状態で自動的にセット可能になっていて、セット後、図2で実線図示の状態に自動的に回転されてミニエンバイロメント装置内の第1の搬送ユニットの回動軸線に向けられる。また、昇降テーブル11は図1で鎖線図示の状態に降下される。このように、自動的に装填する場合に使用するカセットホルダ、或いは人手により装填する場合に使用するカセットホルダはいずれも公知の構造のものを適宜使用すれば良いので、その構造及び機能の詳細な説明は省略する。
上記カセットホルダ10及びカセット14に代わる実施形態としては、図3に示されるような装置10aがある。この装置10aは、複数の直径300mmの基板Wを、基板搬送箱15a内に、互いに隔てて保管するものである。この基板搬送箱15aは、固定のテーブル11aの上に配置された箱本体151を有し、ウエハwをその箱本体内に固定された溝型ポケット(図示せず)内に水平にかつ互いに平行に収納した状態で搬送、保管等を行う。基板搬送箱15aの箱本体151aはミニエンバイロメント装置側の側面が開口していて、その開口部はミニエンバイロメント装置のハウジング22内に設けられた基板搬出入ドア152aによって選択的に開閉されるようになっている。この基板搬出入ドア152aは、図示しないドア自動開閉装置によって開閉操作されるようになっている。装置10aは、更に、前記ミニエンバイロメント装置側の開口部と反対側に位置し、フィルタ類及びファンモータの着脱を行うための開口部を覆う蓋体153aと、基板を保持するための前記溝型ポケット(図示せず)とULPAフィルタ155aと、ケミカルフィルタ156aと、ファンモータ157aとを備えている。この実施形態でも、ローダー60のロボット式の第1の搬送ユニット61により、ウエハWが出し入れされる。
なお、カセット14内に収納される基板すなわちウエハは、検査を受けるウエハであり、そのような検査は、半導体製造工程中でウエハを処理するプロセスの後、若しくはプロセスの途中で行われる。具体的には、成膜工程、CMP、イオン注入等を受けた基板すなわちウエハ、表面に配線パターンが形成されたウエハ、又は配線パターンが未だに形成されていないウエハが、カセット内に収納される。カセット14内に収容されるウエハは多数枚上下方向に隔ててかつ平行に並べて配置されているため、任意の位置のウエハと後述する第1の搬送ユニットで保持できるように、第1の搬送ユニットのアームを上下移動できるようになっている。
ミニエンバイロメント装置
図1、図2及び図4において、ミニエンバイロメント装置20は、雰囲気制御されるようになっているミニエンバイロメント空間21を画成するハウジング22と、ミニエンバイロメント空間21内で清浄空気のような気体を循環して雰囲気制御するための気体循環装置23と、ミニエンバイロメント空間21内に供給された空気の一部を回収して排出する排出装置24と、ミニエンバイロメント空間21内に配設されていて検査対象としての基板すなわちウエハを粗位置決めするプリアライナー25とを備えている。
ハウジング22は、頂壁221、底壁222及び四周を囲む周壁223を有していてい、ミニエンバイロメント空間21を外部から遮断する構造になっている。ミニエンバイロメント空間を雰囲気制御するために、気体循環装置23は、図4に示されるように、ミニエンバイロメント空間21内において、頂壁221に取り付けられていて、気体(この実施形態では空気)を清浄にして一つ又はそれ以上の気体吹き出し口(図示せず)を通して清浄空気を真下に向かって層流状に流す気体供給ユニット231と、ミニエンバイロメント空間内において底壁222の上に配置されていて、底に向かって流れ下った空気を回収する回収ダクト232と、回収ダクト232と気体供給ユニット231とを接続して回収された空気を気体供給ユニット231に戻す導管233とを備えている。この実施形態では、気体供給ユニット231は供給する空気の約20%をハウジング22の外部から取り入れて清浄にするようになっているが、この外部から取り入れられる気体の割合は任意に選択可能である。気体供給ユニット231は、清浄空気をつくりだすための公知の構造のHEPA若しくはULPAフィルタを備えている。清浄空気の層流状の下方向の流れすなわちダウンフローは、主に、ミニエンバイロメント空間21内に配置された後述する第1の搬送ユニットによる搬送面を通して流れるように供給され、搬送ユニットにより発生する恐れのある塵埃がウエハに付着するのを防止するようになっている。したがって、ダウンフローの噴出口は必ずしも図示のように頂壁に近い位置である必要はなく、搬送ユニットによる搬送面より上側にあればよい。また、ミニエンバイロメント空間全面に亘って流す必要もない。なお、場合によっては、清浄空気としてイオン風を使用することによって清浄度を確保することができる。また、ミニエンバイロメント空間内には清浄度を観察するためのセンサを設け、清浄度が悪化したときに装置をシャットダウンすることもできる。ハウジング22の周壁223のうちカセットホルダ10に隣接する部分には出入り口225が形成されている。出入り口225近傍には公知の構造のシャッタ装置を設けて出入り口225をミニエンバイロメント装置側から閉じるようにしてもよい。ウエハ近傍でつくる層流のダウンフローは、例えば0.3から0.4m/secの流速でよい。気体供給ユニットはミニエンバイロメント空間内でなくその外側に設けてもよい。
排出装置24は、前記搬送ユニットのウエハ搬送面より下側の位置で搬送ユニットの下部に配置された吸入ダクト241と、ハウジング22の外側に配置されたブロワー242と、吸入ダクト241とブロワー242とを接続する導管243と、を備えている。この排出装置24は、搬送ユニットの周囲を流れ下り搬送ユニットにより発生する可能性のある塵埃を含んだ気体を、吸入ダクト241により吸引し、導管243、244及びブロワー242を介してハウジング22の外側に排出する。この場合、ハウジング22の近くに引かれた排気管(図示せず)内に排出してもよい。
ミニエンバイロメント空間21内に配置されたアライナー25は、ウエハに形成されたオリエンテーションフラット(円形のウエハの外周に形成された平坦部分を言い、以下においてオリフラと呼ぶ)や、ウエハの外周縁に形成された一つ又はそれ以上のV型の切欠きすなわちノッチを光学的に或いは機械的に検出してウエハの軸線O−Oの周りの回転方向の位置を約±1度の精度で予め位置決めしておくようになっている。プリアライナーは検査対象であるウエハWの座標を決める機構の一部を構成し、検査対象の粗位置決めを担当する。このプリアライナー自体は公知の構造のものでよいので、その構造、動作の説明は省略する。
なお、図示しないが、プリアライナーの下部にも排出装置用の回収ダクトを設けて、プリアライナーから排出された塵埃を含んだ空気を外部に排出するようにしてもよい。
主ハウジング
図1及び図2において、ワーキングチャンバ31を画成する主ハウジング30は、ハウジング本体32を備え、そのハウジング本体32は、台フレーム36上に配置された振動遮断装置すなわち防振装置37の上に載せられたハウジング支持装置33によって支持されている。ハウジング支持装置33は矩形に組まれたフレーム構造体331を備えている。ハウジング本体32はフレーム構造体331上に配設固定されていて、フレーム構造体上に載せられた底壁321と、頂壁322と、底壁321及び頂壁322に接続されて四周を囲む周壁323とを備えていてワーキングチャンバ31を外部から隔離している。底壁321は、この実施形態では、上に載置されるステージ装置等の機器による加重で歪みの発生しないように比較的肉厚の厚い鋼板で構成されているが、その他の構造にしてもよい。この実施形態において、ハウジング本体及びハウジング支持装置33は、剛構造に組み立てられていて、台フレーム36が設置されている床からの振動がこの剛構造に伝達されるのを防振装置37で阻止するようになっている。ハウジング本体32の周壁323のうち後述するローダハウジングに隣接する周壁にはウエハ出し入れ用の出入り口325が形成されている。
なお、防振装置は、空気バネ、磁気軸受け等を有するアクティブ式のものでも、或いはこれらを有するパッシブ式のもよい。いずれも公知の構造のものでよいので、それ自体の構造及び機能の説明は省略する。ワーキングチャンバ31は公知の構造の真空排気装置(図示せず)により真空雰囲気に保たれるようになっている。台フレーム36の下には装置全体の動作を制御する制御装置2が配置されている。
上記真空排気装置は、いずれも図示されていない真空ポンプ、真空バルブ、真空ケージ、真空配管等から構成され、後述する電子光学系、検出器部、ワーキングチャンバ、ローディングチャンバ内を所定のシーケンスに従い真空排気する。各部においては必要な真空度を達成するように真空バルブが制御される。常時、真空度のモニターを行い、異常時にはインターロック機能により隔離バルブ(図示せず)によるチャンバ間又はチャンバと排気系との間のしゃ断等の緊急制御を行い、各部において必要な真空度を確保する。真空ポンプとしては、主排気にターボ分子ポンプ、粗引き用としてルーツ式ドライポンプを使用する。検査場所(電子線照射部)すなわちワーキングチャンバ内の圧力は10−3〜10−5Pa、好ましくは、その値より1桁小さい10−4〜10−6Paが実用的である。
ローダハウジング
図1、図2及び図5において、ローダハウジング40は、第1のローディングチャンバ41と第2のローディングチャンバ42とを画成するハウジング本体43を備えている。ハウジング本体43は底壁431と、頂壁432と、四周を囲む周壁433と、第1のローディングチャンバ41と第2のローディングチャンバ42とを仕切る仕切壁434とを有していて、両ローディングチャンバを外部から隔離できるようになっている。仕切壁434には両ローディングチャンバ間でウエハのやり取りを行うための開口すなわち出入り口435が形成されている。また、周壁433のミニエンバイロメント装置及び主ハウジングに隣接した部分には出入り口436及び437が形成されている。このローダハウジング40のハウジング本体43は、ハウジング支持装置33のフレーム構造体331上に載置されてそれによって支持されている。したがって、このローダハウジング40にも床の振動が伝達されないようになっている。ローダハウジング40の出入り口436とミニエンバイロメント装置のハウジング22の出入り口226とは整合されていて、そこにはミニエンバイロメント空間21と第1のローディングチャンバ41との連通を選択的に阻止するシャッタ装置27が設けられている。シャッタ装置27は、出入り口226及び436の周囲を囲んで側壁433と密に接触して固定されたシール材271、シール材271と協働して出入り口を介しての空気の流通を阻止する扉272と、その扉を動かす駆動装置273とを有している。また、ローダハウジング40の出入り口437とハウジング本体32の出入り口325とは整合されていて、そこには第2のローディングチャンバ42とワーキンググチャンバ31との連通を選択的に密封阻止するシャッタ装置45が設けられている。シャッタ装置45は、出入り口437及び325の周囲を囲んで側壁433及び323と密に接触してそれらに固定されたシール材451、シール材451と協働して出入り口を介しての空気の流通を阻止する扉452と、その扉を動かす駆動装置453とを有している。更に、仕切壁434に形成された開口には、扉461によりそれを閉じて第1及び第2のローディングチャンバ間の連通を選択的に密封阻止するシャッタ装置46が設けられている。扉461は駆動装置463によって開閉動作される。これらのシャッタ装置27、45及び46は、閉じ状態にあるとき各チャンバを気密シールできるようになっている。これらのシャッタ装置は公知のものでよいので、その構造及び動作の詳細な説明は省略する。なお、ミニエンバイロメント装置20のハウジング22の支持方法とローダハウジングの支持方法が異なり、ミニエンバイロメント装置を介して床からの振動がローダハウジング40、主ハウジング30に伝達されるのを防止するために、ハウジング22とローダハウジング40との間には出入り口の周囲を気密に囲むように防振用のクッション材を配置しておけば良い。
第1のローディングチャンバ41内には、複数(この実施形態では2枚)のウエハを上下に隔てて水平の状態で支持するウエハラック47が配設されている。ウエハラック47は、図6の示されるように、矩形の基板471の四隅に互いに隔てて直立状態で固定された支柱472を備え、各支柱472にはそれぞれ2段の支持部473及び474が形成され、その支持部の上にウエハWの周縁を載せて保持するようになっている。そして後述する第1及び第2の搬送ユニットのアームの先端を隣接する支柱間からウエハに接近させてアームによりウエハを把持するようになっている。
ローディングチャンバ41及び42は、前述のワーキングチャンバ用の真空排気装置と同様の構造を有する真空排気装置(図示せず)によって高真空状態(真空度としては10−5〜10−6Pa)に雰囲気制御され得るようになっている。この場合、第1のローディングチャンバ41を低真空チャンバとして低真空雰囲気に保ち、第2のローディングチャンバ42を高真空チャンバとして高真空雰囲気に保ち、ウエハの汚染防止を効果的に行うこともできる。このような構造を採用することによってローディングチャンバ内に収容されていて次に欠陥検査されるウエハをワーキングチャンバ内に遅滞なく搬送することができる。このようなローディングチャンバを採用することによって、後述するマルチビーム型電子装置原理と共に、欠陥検査のスループットを向上させ、更に保管状態が高真空状態であることを要求される電子源周辺の真空度を可能な限り高真空度状態にすることができる。
第1及び第2のローディングチャンバ41及び42は、それぞれ真空排気配管と不活性ガス(例えば乾燥純窒素)用のベント配管(それぞれ図示せず)が接続されている。これによって、各ローディングチャンバ内の大気圧状態は不活性ガスベント(不活性ガスを注入して不活性ガス以外の酸素ガス等が表面に付着するのを防止する)によって達成される。このような不活性ガスベントを行う装置自体は公知の構造のものでよいので、その詳細な説明は省略する。
なお、電子線を使用する本発明の検査装置において、後述する電子光学系の電子源として使用される代表的な六硼化ランタン(LaB)等は一度熱電子を放出する程度まで高温状態に加熱された場合には、酸素等に可能な限り接触させないことがその寿命を縮めないために肝要であるが、電子光学系が配置されているワーキングチャンバにウエハを搬入する前段階で上記のような雰囲気制御を行うことにより、より確実に実行できる。
ステージ装置
ステージ装置50は、主ハウジング30の底壁321上に配置された固定テーブル51と、固定テーブル上でY方向(図1において紙面に垂直の方向)に移動するYテーブル52と、Yテーブル上でX方向(図1において左右方向)に移動するXテーブル54と、Xテーブル上で回転可能な回転テーブル56と、回転テーブル56上に配置されたホルダ57とを備えている。そのホルダ57のウエハ載置面571上にウエハを解放可能に保持する。ホルダは、ウエハを機械的に或いは静電チャック方式で解放可能に把持できる公知の構造のものでよい。ステージ装置50は、サーボモータ、エンコーダ及び各種のセンサ(図示せず)を用いて、上記のような複数のテーブルを動作させることにより、載置面571上でホルダに保持されたウエハを電子光学装置から照射される電子ビームに対してX方向、Y方向及びZ方向(図1において上下方向)に、更にウエハの支持面に鉛直な軸線の回り方向(θ方向)に高い精度で位置決めできるようになっている。なお、Z方向の位置決めは、例えばホルダ上の載置面の位置をZ方向に微調整可能にしておけばよい。この場合、載置面の基準位置を微細径レーザによる位置測定装置(干渉計の原理を使用したレーザ干渉測距装置)によって検知し、その位置を図示しないフィードバック回路によって制御したり、それと共に或いはそれに代えてウエハのノッチ或いはオリフラの位置を測定してウエハの電子ビームに対する平面位置、回転位置を検知し、回転テーブルを微小角度制御可能なステッピングモータなどにより回転させて制御する。ワーキングチャンバ内での塵埃の発生を極力防止するために、ステージ装置用のサーボモータ521、541及びエンコーダ522、542は、主ハウジング30の外側に配置されている。なお、ステージ装置50は、例えばステッパー等で使用されている公知の構造のもので良いので、その構造及び動作の詳細な説明は省略する。また、上記レーザ干渉測距装置も公知の構造のものでよいので、その構造、動作の詳細な説明は省略する。
電子ビームに対するウエハの回転位置や、X、Y位置を予め後述する信号検出系或いは画像処理系に入力することで得られる信号の基準化を図ることもできる。更に、このホルダに設けられたウエハチャック機構は、ウエハをチャックするための電圧を静電チャックの電極に与えられるようになっていて、ウエハの外周部の3点(好ましくは周方向に等隔に隔てられた)を押さえて位置決めするようになっている。ウエハチャック機構は、二つの固定位置決めピンと、一つの押圧式クランクピンとを備えている。クランプピンは、自動チャック及び自動リリースを実現できるようになっており、かつ電圧印加の導通箇所を構成している。
なお、この実施形態では図2で左右方向に移動するテーブルをXテーブルとし、上下方向に移動するテーブルをYテーブルとしたが、同図で左右方向に移動するテーブルをYテーブルとし、上下方向に移動するテーブルをXテーブルとしてもよい。
ローダー
ローダー60は、ミニエンバイロメント装置20のハウジング22内に配置されたロボット式の第1の搬送ユニット61と、第2のローディングチャンバ42内に配置されたロボット式の第2の搬送ユニット63とを備えている。
第1の搬送ユニット61は、駆動部611に関して軸線O−Oの回りで回転可能になっている多節のアーム612を有している。多節のアームとしては任意の構造のものを使用できるが、この実施形態では、互いに回動可能に取り付けられた三つの部分を有している。第1の搬送ユニット61のアーム612の一つの部分すなわち最も駆動部611側の第1の部分は、駆動部611内に設けられた公知の構造の駆動機構(図示せず)により回転可能な軸613に取り付けられている。アーム612は、軸613により軸線O−Oの回りで回動できると共に、部分間の相対回転により全体として軸線O−Oに関して半径方向に伸縮可能になっている。アーム612の軸613から最も離れた第3の部分の先端には、公知の構造の機械式チャック又は静電チャック等のウエハを把持する把持装置616が設けられている。駆動部611は、公知の構造の昇降機構615により上下方向に移動可能になっている。
この第1の搬送ユニット61は、アーム612がカセットホルダに保持された二つのカセット14のうちいずれか一方の方向M1又はM2に向かってアームが伸び、カセット14内に収容されたウエハを1枚アームの上に載せ或いはアームの先端に取り付けたチャック(図示せず)により把持して取り出す。その後アームが縮み(図2に示すような状態)、アームがプリアライナー25の方向M3に向かって伸長できる位置まで回転してその位置で停止する。するとアームが再び伸びてアームに保持されたウエハをプリアライナー25に載せる。プリアライナーから前記と逆にしてウエハを受け取った後はアームは更に回転し第2のローディングチャンバ41に向かって伸長できる位置(向きM4)で停止し、第2のローディングチャンバ41内のウエハ受け47にウエハを受け渡す。なお、機械的にウエハを把持する場合にはウエハの周縁部(周縁から約5mmの範囲)を把持する。これはウエハには周縁部を除いて全面にデバイス(回路配線)が形成されており、この部分を把持するとデバイスの破壊、欠陥の発生を生じさせるからである。
第2の搬送ユニット63も第1の搬送ユニットと構造が基本的に同じであり、ウエハの搬送をウエハラック47とステージ装置の載置面上との間で行う点でのみ相違するだけであるから、詳細な説明は省略する。
上記ローダー60では、第1及び第2の搬送ユニット61及び63は、カセットホルダに保持されたカセットからワーキングチャンバ31内に配置されたステージ装置50上への及びその逆のウエハの搬送をほぼ水平状態に保ったままで行い、搬送ユニットのアームが上下動するのは、単に、ウエハのカセットからの取り出し及びそれへの挿入、ウエハのウエハラックへの載置及びそこからの取り出し及びウエハのステージ装置への載置及びそこからの取り出しのときるだけである。したがって、大型のウエハ、例えば直径30cmのウエハの移動もスムースに行うことができる。
次にカセットホルダに支持されたカセット14からワーキングチャンバ31内に配置されたステージ装置50までへのウエハの搬送を順を追って説明する。
カセットホルダ10は、前述のように人手によりカセットをセットする場合にはそれに適した構造のものが、また自動的にカセットをセットする場合にはそれに適した構造のものが使用される。この実施形態において、カセット14がカセットホルダ10の昇降テーブル11の上にセットされると、昇降テーブル11は昇降機構12によって降下されカセット14が出入り口225に整合される。
カセットが出入り口225に整合されると、カセットに設けられたカバー(図示せず)が開きまたカセット14とミニエンバイロメントの出入り口225との間には筒状の覆いが配置されてカセット内及びミニエンバイロメント空間内を外部から遮断する。これらの構造は公知のものであるから、その構造及び動作の詳細な説明は省略する。なお、ミニエンバイロメント装置20側に出入り口225を開閉するシャッタ装置が設けられている場合にはそのシャッタ装置が動作して出入り口225を開く。
一方第1の搬送ユニット61のアーム612は方向M1又はM2のいずれかに向いた状態(この説明ではM1の方向)で停止しており、出入り口225が開くとアームが伸びて先端でカセット内に収容されているウエハWのうち1枚を受け取る。なお、アームと、カセットから取り出されるべきウエハとの上下方向の位置調整は、この実施形態では第1の搬送ユニット61の駆動部611及びアーム612の上下移動で行うが、カセットホルダの昇降テーブルの上下動行っても或いはその両者で行ってもよい。
アーム612によるウエハの受け取りが完了すると、アームは縮み、シャッタ装置を動作して出入り口を閉じ(シャッタ装置がある場合)、次にアーム612は軸線O−Oの回りで回動して方向M3に向けて伸長できる状態になる。すると、アームは伸びて先端に載せられ或いはチャックで把持されたウエハをプリアライナー25の上に載せ、そのプリアライナーによってウエハの回転方向の向き(ウエハ平面に垂直な中心軸線の回りの向き)を所定の範囲内に位置決めする。位置決めが完了すると搬送ユニット61はアームの先端にプリアライナー25からウエハを受け取ったのちアームを縮ませ、方向M4に向けてアームを伸長できる姿勢になる。するとシャッタ装置27の扉272が動いて出入り口226及び436を開き、アーム612が伸びてウエハを第1のローディングチャンバ41内のウエハラック47の上段側又は下段側に載せる。なお、前記のようにシャッタ装置27が開いてウエハラック47にウエハが受け渡される前に、仕切壁434に形成された開口435はシャッタ装置46の扉461により気密状態で閉じられている。
上記第1の搬送ユニットによるウエハの搬送過程において、ミニエンバイロメント装置のハウジングの上に設けられた気体供給ユニット231からは清浄空気が層流状に流れ(ダウンフローとして)、搬送途中で塵埃がウエハの上面に付着するのを防止する。搬送ユニット周辺の空気の一部(この実施形態では供給ユニットから供給される空気の約20%で主に汚れた空気)は排出装置24の吸入ダクト241から吸引されてハウジング外に排出される。残りの空気はハウジングの底部に設けられた回収ダクト232を介して回収され再び気体供給ユニット231に戻される。
ローダハウジング40の第1のローディングチャンバ41内のウエハラック47内に第1の搬送ユニット61によりウエハが載せられると、シャッタ装置27が閉じて、ローディングチャンバ41内を密閉する。すると、第1のローディングチャンバ41内には不活性ガスが充填されて空気が追い出された後、その不活性ガスも排出されてそのローディングチャンバ41内は真空雰囲気にされる。この第1のローディングチャンバの真空雰囲気は低真空度でよい。ローディングチャンバ41内の真空度がある程度得られると、シャッタ装置46が動作して扉461で密閉していた出入り口434を開き、第2の搬送ユニット63のアーム632が伸びて先端の把持装置でウエハ受け47から1枚のウエハWを受け取る(先端の上に載せて或いは先端に取り付けられたチャックで把持して)。ウエハの受け取りが完了するとアームが縮み、シャッタ装置46が再び動作して扉461で出入り口435を閉じる。なお、シャッタ装置46が開く前にアーム632は予めウエハラック47の方向N1に向けて伸長できる姿勢になる。また、前記のようにシャッタ装置46が開く前にシャッタ装置45の扉452で出入り口437、325を閉じていて、第2のローディングチャンバ42内とワーキングチャンバ31内との連通を気密状態で阻止しており、第2のローディングチャンバ42内は真空排気される。
シャッタ装置46が出入り口435を閉じると、第2のローディングチャンバ内は再度真空排気され、第1のローディングチャンバ内よりも高真空度で真空にされる。その間に、第2の搬送ユニット61のアームはワーキングチャンバ31内のステージ装置50の方向に向いて伸長できる位置に回転される。一方ワーキングチャンバ31内のステージ装置では、Yテーブル52が、Xテーブル54の中心線X−Xが第2の搬送ユニット63の回動軸線O−Oを通るX軸線X−Xとほぼ一致する位置まで、図2で上方に移動し、また、Xテーブル54は図2で最も左側の位置に接近する位置まで移動し、この状態で待機している。第2のローディングチャンバがワーキングチャンバの真空状態と略同じになると、シャッタ装置45の扉452が動いて出入り口437、325を開き、アームが伸びてウエハを保持したアームの先端がワーキングチャンバ31内のステージ装置に接近する。そしてステージ装置50の載置面571上にウエハを載置する。ウエハの載置が完了するとアームが縮み、シャッタ装置45が出入り口437、325を閉じる。
以上は、カセット14内のウエハをステージ装置上に搬送するまでの動作に付いて説明したが、ステージ装置に載せられて処理が完了したウエハをステージ装置からカセット14内に戻すには前述と逆の動作を行って戻す。また、ウエハラック47に複数のウエハを載置しておくため、第2の搬送ユニットでウエハラックとステージ装置との間でウエハの搬送を行う間に、第1の搬送ユニットでカセットとウエハラックとの間でウエハの搬送を行うことができ、検査処理を効率良く行うことができる。
第1のローディングチャンバ41内のウエハラック47に、既に処理済みのウエハwと未処理のウエハWがある場合、まず、ステージ装置50上にローダーの第2の搬送ユニットのアームにより未処理のウエハを移動し、処理を開始する。この処理中に、処理済みのウエハをステージ装置50からウエハラック47に受け渡す。一方別の未処理のウエハWを同じくローダーの第1の搬送ユニットのアームによりカセット14から受け取ってプリアライナー25に送って位置決めさせた後。そのプリアライナーから受け取ってローディングチャンバ41内のウエハラックに転送する。このようにすることで、ウエハラックでは、ウエハの処理中に処理済みを未処理のウエハに置き換えることができる。また、検査や評価を行うこのような装置の利用の仕方によっては、ステージ装置を複数台並列に配置し、それぞれの装置に一つのウエハラックからウエハを移動することで、複数枚のウエハについて同じ処理を行うことができる。
主ハウジングの変形例
図7において、主ハウジングの支持方法の変形例がで示されている。図7[B]に示された変形例では、ハウジング支持装置33cを厚肉で矩形の銅板331cで構成し、その鋼板の上にハウジング本体32cが載せられている。したがって、ハウジング本体32cの底壁321cは、前記実施形態の底壁に比較して薄い構造になっている。図7[B]に示された変形例では、ハウジング支持装置33cのフレーム構造体336cによりハウジング本体32c及びローダハウジング40cを吊り下げて状態で支持するようになっている。フレーム構造体336cに固定された複数の縦フレーム337cの下端は、ハウジング本体32cの底壁321cの四隅に固定され、その底壁により周壁及び頂壁を支持するようになっている。そして防振装置37cは、フレーム構造体336cと台フレーム36cとの間に配置されている。また、ローダハウジング40もフレーム構造体336に固定された吊り下げ部材49cによって吊り下げられている。ハウジング本体32cのこの図7[B]に示された変形例では、吊り下げ式に支えるので主ハウジング及びその中に設けられた各種機器全体の低重心化が可能である。上記変形例を含めた主ハウジング及びローダハウジングの支持方法では主ハウジング及びローダハウジングに床からの振動が伝わらないようになっている。
図示しない別の変形例では、主ハウジングのハウジング本外のみがハウジング支持装置によって下から支えられ、ローダハウジングは隣接するミニエンバイロメント装置と同じ方法で床上に配置され得る。また、図示しない更に別の変形例では、主ハウジングのハウジング本体のみがフレーム構造体に吊り下げ式で支持され、ローダハウジングは隣接するミニエンバイロメント装置と同じ方法で床上に配置され得る。
電子線装置
以下においては、この実施形態の電子光学装置(以下単に電子線装置と呼ぶ)70に付いて説明する。電子線装置70は、ハウジング本体32に固定された鏡筒701を備え、その中には、図8及び図9に概略図示するような、荷電粒子線を放出する装置としての電子線放出装置すなわち電子銃71と、電子銃71から放出された一次電子線(以下では荷電粒子線の一つとして電子線を例に説明する)を試料である基板に照射する一次電子光学系(以下単に一次光学系)72と、基板から放出された二次電子が導入される二次電子光学系(以下単に二次光学系)74と、検出系76と、処理制御系77が設けられている。
電子線源として熱電子線源を使用している。電子放出材(エミッタ)はLaBである。高融点(高温での蒸気圧が低い)で仕事関数が小さい材料であれば、他の材料を使用することも可能である。複数の電子線を得るために、2通りの方法を用いることができる。一つは1本のエミッタ(突起が一つ)から1本の電子線を放出させ、複数の穴のいあた薄板(開口板)に通すことにより、複数の電子線を得る方法で、他の方法は、エミッタに複数の突起を形成して各突起から1本の電子線を放出させることによって全体として複数の電子線を放出される方法である。いずれの場合も電子線は突起の先端から高輝度放出が起こる性質を利用している。他の方式の電子線源例えば熱電界放出型の電子線も使用可能である。
なお、熱電子線源は電子放出材を加熱することにより電子を放出する方式であり、熱電界放出電子線源とは、電子放出材に高電界をかけることにより電子を放出させ、更に電子線放出部を加熱することにより、電子放出を安定させた方式である。
本発明においては、二次電子が持つショット雑音の大部分が一次電子線のショット雑音であり、一次電子線の持つショット雑音を減らすことにより二次電子のショット雑音を減らすことができる点に着目し、この実施形態の電子銃71は、一次電子線の照射量が少なくても二次電子の検出信号のS/N比を必要な大きさとすることができるように構成されている。
一次電子線のショット雑音を低減する手段について、以下に説明する。
電子銃がカソード温度で決まっている状態、すなわち温度制限領域で作動中の場合、電子銃が放出するショット雑音iは、次式で表わされる(電気通信学会編「通信工学ハンドブック」P.471(1957年)を参照)。
=2e・I・B         (1)
式(1)において、i は雑音電流の2乗平均値、eは電子の電荷、Iはアノード直流電流、Bは信号増幅器の周波数帯域である。電子流が空間電荷制限領域の場合は、
=Γ2e・I・B       (2)
となる。式(2)において、Γはショット雑音低減係数で1より小さい値である。
Γは、カソード温度が十分大きい場合、最小0.018程度になり、雑音電流は、温度制限領域の場合の13%まで小さくなる。この場合のS/N比は、二次電子≒一次電子であると仮定すると、
Figure 2002040980
となる。Γ=0.13とすると、式(3)から、以下のS/N比が得られる。
S/N=7.7(n/2)1/2      (4)
(n:二次電子個数/ピクセル)
即ち、空間電荷制限領域で動作する電子銃は、温度制限領域での電子銃(TFE)に比べて、ピクセル当りの二次電子数を59倍(=1/Γ=1/0.13)多く検出したのと等価になる。後者が前者よりも輝度が2桁程度大きいので、同じビーム径で同じ光学系を想定すると、後者は前者よりも2桁大きいビーム電流が得られる可能性があるが、前者に適した光学系を新たに設計すれば前者より1桁差のビーム電流が得られる。S/N比は前者比で1/55となる。言い換えると、空間電荷制限領域の電子銃では、温度制限領域の電子銃に比べて、測定時間が10/55≒0.18倍で済み、ドーズは1/55ですむことになる。
電子銃が空間電荷制限領域で動作中であるかどうかは、図10を参照して以下に説明する方法で調べることができる。
図10[A]は、電子銃電流とカソード加熱電流との関係を表しており、同図において、領域Qは、カソード加熱電流を増大させても電子銃電流が殆ど増加しない領域であり、この領域Qが空間電荷制限領域である。
また、図10[B]は、電子銃電流とアノード電圧との関係を表しており、同図において、領域Qは、アソード電圧を増加させると電子銃電流が急速に増加する領域であり、この領域Qも空間電荷制限領域である。
以上から、電子銃のカソード加熱電流を増大させて電子銃電流を測定し、該電子銃電流が飽和している領域Qであるか、または、電子銃のアノード電圧を増大させて電子銃電流を測定し、該電子銃電流が急激に変化している領域であれば、電子銃が空間電荷制限領域で動作中であるとすることができる。したがって、電子銃を空間電荷制限領域で動作させるための条件を設定することができる。
電子銃71は、上記したように、空間電荷制限領域で動作するように、加熱電流又はアノード電圧(アノード712に印加される電圧)が設定されている。電子銃71のカソード711は単結晶LaBで形成され、図示されていないが、その先端が角錐状の9個の突起を有している。これら突起は、図9に関連して後述する第1のマルチ開口板の複数の開口に対応して、円周上に配置されている。これら突起の先端は、30μm半径程度の曲率を有している。電子線がこれらの角錐状突起の頂点近傍のみから放出されるので、1mA程度の比較的大きい電子銃電流では、1kVの電圧の場合、1×10A/cmsr(1kV)の輝度が得られる。
一次光学系72は、電子銃71から放出された一次電子線を検査対象である基板すなわちウエハWの表面に照射する光学系で、一次電子線を集束する静電レンズすなわちコンデンサレンズ721と、コンデンサレンズ721の下方に配置されかつ複数の開口が形成されていて一次電子線を複数の一次電子ビームすなわちマルチビームに形成する第1のマルチ開口板723と、一次電子ビームを縮小する静電レンズである縮小レンズ725と、電磁偏向器727及び静電偏向器728を含むE×B分離器726と、対物レンズ729と、を備え、それらは、図8に示されるようにコンデンサレンズ721を最上部にして順に、しかも電子銃から放出される一次電子線の光軸OAが検査対象であるウエハWの表面に鉛直になるように配置されている。
縮小レンズ725及び対物レンズ729の像面湾曲収差の影響をなくすため、マルチ開口板723に形成される複数(この実施形態では9個)の開口7231は、図9に示されるように光軸OAを中心とした円の円周上に形成され、しかもその開口のX軸上への投影像のX方向の間隔Lxが同じになるように配置されている。個々の開口は例えば円形であり、その直径は1〜10ミクロン程度の大きさであるが、矩形の形状でもよい。更に、第1のマルチ開口板723の位置は、電子銃71から放出される一次電子線の強度が最も大きい位置に開口が位置するよう調整される必要がある。このため、マルチ開口板723は、マルチ開口板723を含む面内での移動を可能にするXYステージ、マルチ開口板723を含む面に垂直な方向での移動を可能にするZステージ及びマルチ開口板723を含む面の回転を可能にするθステージのうちの少なくとも一つのステージ上に載置され、マルチ開口板723によって形成される複数の電子線の強度が均一になり且つ最大になるように、マルチ開口板を支持するXYステージ、Zステージ及びθステージのうちの少なくとも一つのステージが調整される。
一次光学系72は、更に、ブランキング用静電偏向器731、一次電子ビームを偏向して走査させる静電偏向器733と、ブランキング用ナイフエッジ732と、対物レンズ729とウエハWとの間に配置された軸対称電極737とを備えている。軸対称電極737は、ウエハの電位0Vに対して例えば、−10Vに電位にされている。
次に、図11を参照してE×B分離器726に付いて説明する。図11[A]は、本発明の第1の実施形態のE×B分離器を示している。この分離器は、静電偏向器728と電磁偏向器727とにより構成されており、図11においては、光軸OA(図面に垂直な軸)に直交するX−Y平面上の断面として示されている。X軸方向及びY軸方向は互いに直交している。
静電偏向器728は、真空容器中に設けられた一対の電極(静電偏向電極)7281を備え、X軸方向に電界を生成する。これら静電偏向電極7281は、絶縁スペーサ7282を介して真空容器の真空壁7283に取り付けられており、これらの電極間距離Dpは、静電偏向電極7281のY軸方向の長さ2Lpよりも小さく設定されている。このような設定により、Z軸すなわち光軸OAの回りの形成される電界強度が一様な範囲を比較的大きくすることができるが、理想的には、Dp<Lpであれば、電界強度が一様な範囲をより大きくすることができる。
すなわち、電極の端部からDp/2の範囲は、電界強度が一様でないため、電界強度がほぼ一様な領域は、一様でない端部領域を除いた中心部の2Lp−Dpの領域となる。このため、電界強度が一様な領域が存在するためには、2Lp>Dpとする必要があり、更に、Lp>Dpと設定することにより、電界強度が一様な領域がより大きくなる。
真空壁7283の外側には、Y軸方向に磁界を生成するための電磁偏向器が設けられている。この電磁偏向器727は、電磁コイル7271及び電磁コイル7272を備え、これらコイルはそれぞれ、X軸方向及びY軸方向に磁界を生成する。なお、コイル7272だけでもY軸方向の磁界を生成できるが、電界と磁界との直交度を向上させるために、X軸方向に磁界を生成するコイル7271を設けている。すなわち、コイル7271によって生成された−X軸方向の磁界成分によって、コイル7272によって生成された+X軸方向を打ち消すことによって、電界と磁界との直交度を良好にすることができる。
これら磁界生成用のコイル7271及び7272は、真空容器の外に設けるため、それぞれを二分割して構成し、真空壁7283の両側から取り付け、部分7においてねじ止め等によって締め付けて一体化すればよい。
E×B分離器の最外層7273は、パーマロイ或いはフェライト製のヨークとして構成する。この最外層7273は、コイル7271及び7272と同様に、2分割して両側からコイル7272の外周に取り付けて、部分7274においてねじ止め等により一体化してもよい。
図11[B]は、本発明の第2の実施形態のE×B分離器の、光軸に直交する断面図を示している。この第2の実施形態のE×B分離器においては、静電偏向電極7281′は6極設けられている点が、図11[A]に示される第1の実施形態と異なっている。図11[B]において、図11[A]に示されたE×B分離器の構成要素に対応する構成要素は同じ参照番号に「′」(ダッシュ)を付して示し、それらの説明は省略する。これらの静電偏向電極7281′には、それぞれの電極の中央と光軸とを結んだ線と、電界の方向(X軸方向)との角度θ(i=0、1、2、3、4、5)としたときに、cosθに比例する電圧k・cosθ(kは定数)が供給される。ただし、θは、任意の角度である。
図11[B]に示した第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、X軸方向の電界しか作れないので、X軸及びY軸方向の磁界を生成するコイル7271′及び7272′を設け、直交度の修正を行う。
図11[B]に示した実施形態によれば、図11[A]に示した第1の実施形態に比べて、電界強度が一様な領域を更に大きくすることができる。
図11[A]及び[B]に示した実施形態において、磁界を生成するためのコイルはサドル型に形成しているが、トロイダル型のコイルを用いてもよい。
二次光学系74は、E×B分離器727により一次光学系から分離された二次電子を通す2段の静電レンズである拡大レンズ741及び743と、マルチ開口板745を備えている。第2のマルチ開口板745に形成される開口7451は、図9で破線で示されるように、一次光学系のマルチ開口板723に形成されている開口7231と一対一で対応するようになっていて、第1のマルチ開口板の開口7231より大きな径の円形の穴になっている。
検出系76は、二次光学系74の第2のマルチ開口板745の各開口7451に対応してそれに近接して配置された複数(この実施形態では9個)検出器761を備え、各検出器761は処理制御系77の画像データ処理部771にA/D変換器(増幅器を含む)763を介して電気的に接続されている。なお、図8では一つの検出器761のみ画像データ処理部771と接続されているように示されているが、各検出器は、それぞれ別個のA/D変換器763を介して画像データ処理部に接続されている。また画像データ処理部771は静電偏向器733とも接続され、静電偏向器により一次電子ビームを偏向させるための走査信号を静電偏向器に供給するようになっている。検出器用の素子として、例えば電子線強度を直接検出するPN接合ダイオード、或いは、電子により発光する蛍光板を介して発光強度を検出するPMT(光電子増倍管)などを用いることができる。
画像データ処理部771は、それぞれのA/D変換器763から供給された電気信号を、適切なスレッショルド電圧を設定することによって2値化情報へ変換し、この2値化情報を画像データに変換するようにしてもよい。このためには、静電偏向器733から画像データ処理部771に供給される、一次電子線を偏向させた走査信号が用いられる。画像データ処理部771は、こうして得られた画像データを適宜の記憶手段に蓄積しておくと共に、この得られた画像データを基準の回路パターンと比較するようになっていてもよい。これにより、ウエハW上の複数の、即ち、一次電子線と同数の回路パターンに対して同時に欠陥検査が実施される。
なお、図8に示す実施形態において、ウエハW上の或る回路パターンを表す画像データとの比較のために画像データ処理部771が使用する基準の回路パターンは種々のものを使用することができ、例えば、その画像データを生じる走査が行われたチップとは別のチップの同一場所から得られた画像データを用いることができる。
次に、上記構成の電子線装置70の動作に付いて説明する。
電子銃71から放出された一次荷電粒子線すなわち電子線は、一次光学系72のコンデンサレンズ721によって集束されてナイフエッジ732の位置P1においてクロスオーバを形成する。一方、コンデンサレンズ721によって集束された一次電子線は、第1のマルチ開口板723の複数の開口7231を通して複数(この実施形態では9本)の一次電子ビームが形成され、縮小レンズ725によって縮小されて位置P2に投影される。位置P2で合焦した後、更に対物レンズ729によってウエハWの表面上に合焦される。一方、一次電子線ビームは縮小レンズ725と対物レンズ729との間に配置された偏向器733によってウエハWの表面上を走査するように偏向される。
合焦された複数の一次電子ビームによってウエハWは複数の点が照射され、照射されたこれらの複数の点からは二次電子が放出される。この二次電子は、対物レンズ729の電界に引かれて細く集束され、E×B分離器726で偏向されて二次光学系74に投入される。二次電子による像はE×B分離器726に関して位置P2より近い位置P3において焦点を結ぶ。これは、一次電子ビームがウエハ面上で500eVのエネルギを有しているのに対して、二次電子が数evのエネルギしか有していないためである。
位置P3で合焦された二次電子の像は2段の拡大レンズ741、743で第2のマルチ開口板745の対応する開口7451の位置に合焦され、その像を各開口7451に対応して配置された検出器761で検出する。検出器761は、検出した電子線を、その強度を表す電気信号に変換する。このようにして変換された電気信号は、各検出器761から出力されてそれぞれA/D変換器763にデジタル信号に変換された後、処理制御系77の画像データ処理部771に入力される。画像データ処理部771は入力されたデジタル信号を画像データに変換する。画像データ処理部771には、一次電子線を偏向させるための走査信号が供給されるようになっているので、画像データ処理部はウエハの面を表す画像を表示することになる。この画像を設定器(図示せず)に予め設定された標準パターンと、比較器(図示せず)において比較することによってウエハWの被検出(評価)パターンの良否を検出する。
更に、レジストレーションによウエハWの被測定パターンを一次光学系の光軸の近くへ移動させ、ラインスキャンする事によって線幅評価信号を取り出し、これを適宜校正することによって、ウエハの表面に形成されたパターンの線幅を測定することができる。
一次電子を走査させながらウエハに照射するには、図12に示されるように行う。説明の簡素化のために電子線がEB1ないしEB4の4本の場合について説明すると、各一次電子線の照射点をEBp1ないしEBp4は、対応する走査区域SA1ないしSA4を図で左側から右側に向かってX方向に連続的に走査していく照射点を示す。各一次電子線は50μmの幅を走査できるように1本の電子線の照射点の大きさが決められている。そして電子線の照射点が対応する走査区域の右端に達した時点で、照射点を速やかにその走査区域の左側に戻す。一方ステージ装置はウエハをY方向に所定の速度で連続移動させる。
なお、一次光学系のマルチ開口板723の開口を通過した一次電子ビームをウエハWの表面に合焦させ、ウエハから放出される二次電子を検出器761に結像させる際に、一次光学系で生じるコマ収差、軸上色収差及び視野非点という3つの収差による影響を最小にするよう特に配慮する必要がある。
また、複数の一次電子ビーム間の間隔と、二次光学系との関係については、一次電子ビーム間の間隔を二次光学系の収差よりも大きい距離だけ離せば複数のビーム間のクロストークを無くすことができる。
上記においては、電子銃のカソードの複数の先端が円周上に配置されている例について説明したが、複数の先端を直線上に配置してもよい。この場合、第1のマルチ開口板723及び第2のマルチ開口板745に形成される開口も、カソードの先端に対応する位置に直線上に配置する必要がある。
図8に示した電子光学装置を用いて実機テストを行ったが、9本の電子ビームのビーム電流は、10nmのビーム径にしたときに3nAのビーム電流が得られた。温度制限領域で動作した場合の150nAのビーム電流と比較して、S/N比は同程度であった。また、9本の電子ビームの合計ビーム電流は27nAであり、150nAより十分小さいので、空間電荷効果によるビームボケは殆ど問題にならなかった。さらに、9本の電子ビームを用いたことにより、1本の電子ビームを用いる場合に比べて、約9倍の検査速度が期待できる。
次に図13を参照して、図8に示した電子光学装置の画像データ処理部771のより詳細な構成を説明する。画像データ処理部771は、サブ画像データ記憶手段7711、画像データ並替手段7712、サブ画像間重複部処理手段7713、被検査画像データ記憶手段7714、基準画像データ記憶手段7715、及び比較手段7716により構成されている。サブ画像データ記憶手段は7711は、二次電子検出用の検出器761それぞれによって検出されたサブ画像データを受けとって記憶するためのものであり、それぞれの検出器に対応する記憶領域を備えている。画像データ並替手段7712は、サブ画像データ記憶手段7711に記憶されたサブ画像データを、マルチビームそれぞれのX−Y座標に合致するように並び替えるためのものであり、また、サブ画像間重複部処理手段7713は、サブ画像間の境界を決めたり、どちらのサブ画像データを採用するかを決めたりするためのものである。並び替えられた画像データは、被検査画像データ記憶手段7714に格納される。比較手段7716は、被検査画像データ記憶手段に7714に記憶された画像データと、基準画像データ記憶手段7715に記憶された基準画像データとを対比し、その結果を出力する。
図14は、図13に示した画像データ並替手段7712の動作を説明するための説明図である。なお、図8に関連して説明したように、第1のマルチ開口板723及び第2のマルチ開口板745の開口(及び検出器761)の配置位置が相対的に一致し、かつ第1のマルチ開口板723の開口を通ってウエハW上に照射されるビームスポットのx軸上へ投影した点がほぼ等間隔となるように設計されている。したがって、マルチビームが第1のマルチ開口板723の複数の開口を通過してウエハWを照射することにより形成されるビームスポットも、X軸上へ投影するとほぼ等間隔に並ぶ。すなわち、図14において、光軸を中心とする円周上に形成されるマルチビーム(すなわちビームスポット)EB1〜EB9それぞれのX−Y座標を(x1,y1)〜(x9,y9)で表すと、x−x≒x−x≒x−x≒x−x≒x−x≒x−x≒x−x≒x−x≒Lx(一定、図9に示す)となる。
図8に示した電子光学装置により試料であるウエハWを評価する場合、ウエハWを載置したステージ装置50をY軸方向に連続的に移動させながら、ウエハW上にマルチビームEB1〜EB9を同時に照射し、これらマルチビームをしかも線幅d+ΔだけX軸方向に走査する。すなわち、隣接する二つのビームのX軸方向の走査を、Δ分だけオーバーラップさせる。これにより、マルチビームEB1〜EB9により走査される領域をSA1〜SA9で表すとすると、マルチビームEB1〜EB9は、対応する領域SA1〜SA9内でそれぞれラスタスキャンされることになる。
そして、マルチビームの照射によりウエハWの表面から放出された二次電子ビームを、第2のマルチ開口板745の開口を介して、対応する二次電子検出用の検出器761で検出し、サブ画像データ記憶手段7711のそれぞれの記憶領域にサブ画像データとして記憶する。画像データ並替手段7712は、該記憶装置7711に記憶されたサブ画像データを、検出器761−1〜761−9(ただし、検出器761−1〜761−9は、マルチビームEB1〜EB9にそれぞれ対応するものとする)の順番すなわち領域SA1、SA2、SA9、SA3、SA8、SA4、SA7、SA5、SA6に並び替える。
このとき、検出器761−1〜761−9のY軸方向の変位分を考慮する必要がある。例えば、検出器761−1及び761−2に関して言えば、y−yの距離をステージ装置50が移動するに要する時間Tを予め測定し、画像データ並替手段7712は、あるX軸方向の走査により得られた検出器761−1からのサブ画像データに隣接して、その走査からT時間後に得られた検出器761−2からのサブ画像データを並べるようにする。これにより、X座標の配置関係のみならず、X軸方向に隣接配置される画像データのY座標の値を一致させることができる。また、別の方法として、y−yの距離を画素数に変換し、その画素数だけ位置をずらしてもよい。
隣接する2つの領域の重複部分Δは、サブ画像間重複部処理手段7653において、例えば、以下のようにして決定する。図14の(B)は領域SA1とSA2との重複部分を示しており、図14の(B)において、Ptは評価すべきパターン(被評価パターン)であり、これらのパターンを横切らないように重複部分Δ内に境界線Bolを決め、境界線Bolの右側の領域はビームEB1に対応する検出器761−1からのサブ画像データを採用し、左側の領域はビームEB2に対応する検出器761−2からのサブ画像データを採用し、これらサブ画像データを合成する。すなわち、サブ画像間の境界とパターンとの交差が最小となるように境界を決める。他の重複部分も同様にして決定する。
このようにして合成した画像データの内、ウエハWの検査領域EAの内部の画像データのみを、被検査画像データ記憶手段7714に記憶する。
なお、1回の走査ではウエハWの検査領域EAの全て画像データを得ることができない場合、すなわち、図14に示すように、領域SA6の右側にさらに走査すべき領域がある場合、ビームEB1が領域SA6に隣接する新領域を走査することができるよう、ステージ装置50をX軸方向にステップさせ、上記と同様にして画像データを得ればよい。
そして、欠陥を検出する場合には、比較手段7716が、基準画像データ記憶手段7715に記憶された基準画像データと、被検査画像データ記憶手段7714に記憶された画像データとを対比することにより、ウエハW上の欠陥を検出することができる。また、同一のパターンを有する多数のウエハについて同様に合成画像を得、該画像データ同士を比較して、他の大多数の画像データと異なる部分を有する場合に、当該ウエハのその部分に欠陥が生じたものと判定してもよい。
線幅を検出する場合には、適宜の手法で線幅を測定する。
上記においては、一次電子ビームのビームスポットのX座標がほぼ等間隔である場合について説明したが、必ずしも等間隔である必要がない。例えば、各ビームのX軸方向の間隔を実測し、その値を画素数に変換し、その画素数だけ画像をずらせばよい。このような場合、照射スポット間のX座標の間隔が異なっていてもよい。
プレチャージユニット
プレチャージユニット81は、図1に示されるように、ワーキングチャンバ31内で電子光学装置70の鏡筒701に隣接して配設されている。本検査装置では検査対象である基板すなわちウエハに電子線を走査して照射することによりウエハ表面に形成されたデバイスパターン等を検査する形式の装置であるから、電子線の照射により生じる二次電子等の情報をウエハ表面の情報とするが、ウエハ材料、照射電子のエネルギ等の条件によってウエハ表面が帯電(チャージアップ)することがある。更に、ウエハ表面でも強く帯電する箇所、弱い帯電箇所が生じる可能性がある。ウエハ表面の帯電量にむらがあると二次電子情報もむらを生じ、正確な情報を得ることができない。そこで、本実施形態では、このむらを防止するために、荷電粒子照射部811を有するプレチャージユニット81が設けられている。検査するウエハの所定の箇所に検査電子を照射する前に、帯電むらをなくすためにこのプレチャージユニットの荷電粒子照射部811から荷電粒子を照射して帯電のむらを無くす。このウエハ表面のチャージアップは予めウエハ面の画像を形成し、その画像を評価することで検出し、その検出に基づいてプレチャージユニット81を動作させる。
また、このプレチャージユニットでは一次電子線をぼかして照射してもよい。
検査試料の電気的欠陥を検査する方法としては、本来電気的に絶縁されている部分とその部分が通電状態にある場合では、その部分の電圧が異なることを利用することもできる。
それは、まず、試料に事前に電荷を付与することで、本来電気的に絶縁されている部分の電圧と、本来電気的に絶縁されている部分であるが、何らかの原因で通電状態にある部分の電圧とに電圧差を生じさせ、その後、本発明のビームを照射することで、電圧差があるデータを取得し、この取得データを解析して、通電状態となっていることを検出する。
電圧印加機構
図15において、電位印加機構83は、ウエハから放出される二次電子情報(二次電子発生率)が、ウエハの電位に依存すると言う事実に基づいて、ウエハを載置するステージの設置台に±数Vの電位を印加することにより二次電子の発生を制御するものである。また、この電位印加機構は、照射電子が当初有しているエネルギーを減速し、ウエハに100〜500eV程度の照射電子エネルギーとするための用途も果たす。
電位印加機構83は、図15に示されるように、ステージ装置50の載置面571と電気的に接続された電圧印加装置831と、チャージアップ調査及び電圧決定システム(以下調査及び決定システム)832とを備えている。調査及び決定システム832は、電子線装置70の処理制御系77の画像形成部771に電気的に接続されたモニター833と、モニター833に接続されたオペレータ834と、オペレータ834に接続されたCPU835とを備えている。CPU835は、前記電圧印加装置831並びに偏向器733に信号を供給するようになっている。
上記電位印加機構は、検査対象であるウエハが帯電し難い電位を探し、その電位を印加するように設計されている。
電子ビームキャリブレーション機構
図16において、電子ビームキャリブレーション機構85は、前記回転テーブル上でウエハの載置面571の側部の複数箇所に設置された、ビーム電流測定用のそれぞれ複数のファラデーカップ851及び852を備えている。ファラデーカップ851は細いビーム用(約φ2μm)で、ファラデーカップ852太いビーム用(約φ30μm)である。細いビーム用のファラデーカップ851では回転テーブルをステップ送りすることで、ビームプロフィルを測定し。太いビーム用のファラデーカップ852ではビームの総電流量を計測する。ファラデーカップ851及び852は、上表面が載置面541上に載せられたウエハWの上表面と同じレベルになるように配置されている。このようにして電子銃から放出される一次電子線を常時監視する。これは、電子銃が常時一定の電子線を放出できるわけでなく、使用しているうちにその放出量が変化するためである。
アライメント制御装置
アライメント制御装置87は、ステージ装置50を用いてウエハWを電子光学装置70に対して位置決めさせる装置であって、ウエハを光学顕微鏡871を用いた広視野観察による概略合わせ(電子光学系によるよりも倍率が低い測定)、電子光学装置70の電子光学系を用いた高倍率合わせ、焦点調整、検査領域設定、パターンアライメント等の制御を行うようになっている。このように光学系を用いて低倍率でウエハを検査するのは、ウエハのパターンの検査を自動的に行うためには、電子線を用いた狭視野でウエハのパターンを観察してウエハアライメントを行う時に、電子線によるアライメントマークを容易に検出する必要があるからである。
光学顕微鏡871は、ハウジングに設けられ(ハウジング内で移動可能に設けられていてもよい)ており、光学顕微鏡を動作させるための光源も図示しないがハウジング内に設けられている。また高倍率の観察を行う電子光学系は電子光学装置70の電子光学系(一次光学系72及び二次光学系74)を共用するものである。その構成を概略図示すれば、図17に示されるようになる。ウエハ上の被観察点を低倍率で観察するには、ステージ装置50のXテーブル54をX方向に動かすことによってウエハの被観察点を光学顕微鏡の視野内に移動させる。光学顕微鏡871で広視野でウエハを視認してそのウエハ上の観察すべき位置をCCD872を介してモニタ873に表示させ、観察位置をおおよそ決定する。この場合光学顕微鏡の倍率を低倍率から高倍率に変化させていってもよい。
次に、ステージ装置50を電子光学装置70の光軸と光学顕微鏡871の光軸との間隔δxに相当する距離だけ移動させて光学顕微鏡で予め決めたウエハ上の被観察点を電子光学装置の視野位置に移動させる。この場合、電子光学装置の軸線O−Oと光学顕微鏡871の光軸O−Oとの間の距離(この実施形態ではX軸線に沿った方向にのみ両者は位置ずれしているものとするが、Y軸方向及びY軸方向に位置ずれしていてもよい)δxは予めわかっているのでその値δxだけ移動させれば被観察点を視認位置に移動させることができる。電子光学装置の視認位置への被観察点の移動が完了した後、電子光学系により高倍率で被観察点をSEM撮像して画像を記憶したり、モニタ873に表示させる。
このようにして電子光学系による高倍率でウエハの観察点をモニタに表示させた後、公知の方法によりステージ装置50の回転テーブル56の回転中心に関するウエハの回転方向の位置ずれすなわち電子光学系の光軸O−Oに対するウエハの回転方向のずれδθを検出し、また電子光学装置に関する所定のパターのX軸及びY軸方向の位置ずれを検出する。そしてその検出値並びに別途得られたウエハに設けられた検査マークのデータ或いはウエハのパターンの形状等に関するデータに基づいてステージ装置50の動作を制御してウエハのアライメントを行う。
制御系
制御系は、図示されていないが、主にメインコントローラ、制御コントローラ、ステージコントローラから構成されている。
メインコントローラにはマン−マシンインターフェイスが備えられており、オペレータの操作はここを通して行われる(種々の指示/命令、レシピなどの入力、検査スタートの指示、自動と手動検査モードの切り替え、手動検査モード時の時に必要な全てのコマンドの入力等)。その他、工場のホストコンピュータとのコミュニケーション、真空排気系の制御、ウエハ等の試料搬送、位置合わせの制御、他の制御コントローラやステージコントローラへのコマンドの伝達や情報の受け取り等もメインコントローラで行われる。また、光学顕微鏡からの画像信号の取得、ステージの変動信号を電子光学系にフィードバックさせて像の悪化を補正するステージ振動補正機能、使用観察位置のZ方向(二次光学系の光軸OAに沿う方向)の変位を検出して、電子光学系へフィードバックし、自動的に焦点を補正する自動焦点補正機能を備えている。電子光学系へのフィードバック信号等の授受、及びステージからの信号の授受は、それぞれ制御コントローラ及びステージコントローラを介して行われる。
制御コントローラは主に電子光学系の制御(電子銃、レンズ、アライナー、ウィーンフィルター用等の高精度電源の制御等)を担う。具体的には、照射領域に、倍率が変わった時にも常に一定の電子電流が照射されるようにすること、各倍率に対応して各レンズ系やアライナーへの自動電圧設定等の、各オペレーションモードに対応した各レンズ系やアライナーへの自動電圧設定等の制御(連続制御)が行われる。
ステージコントローラは主にステージの移動に関する制御を行い精密なX方向及びY方向のμmオーダーの移動(±0.5μm程度の誤差)を可能にしている。また、本ステージでは誤差精度±0.3秒程度以内で、回転方向の制御(θ制御)も行われる。
検査手順
一般に電子線を用いた欠陥検査装置は高価であり、またスループットも他のプロセス装置に比べて低いため、現状では最も検査が必要と考えられている重要な工程(例えば、エッチング、成膜(銅メッキも含む)、又はCMP(化学機械研磨)平坦化処理等)の後に使用されている。
検査されるウエハwは前述のようにローディングチャンバを通して超精密ステージ装置上で位置合わせされた後、静電チャック機構等により固定され、以後、図18に示される手順(検査フロー)に従って欠陥検査等が行われる。はじめに光学顕微鏡により必要に応じて各ダイの位置確認や、各場所の高さ検出が行われ記憶される。光学顕微鏡はこの他に欠陥等の見たい所の光学顕微鏡像を取得し、電子線像との比較等にも使用される。次にウエハの種類(どの工程後のウエハか、ウエハのサイズは200mmか300mmか等)に応じたレシピの情報を装置に入力し、以下検査場所の指定、電子光学系の設定、検査条件の設定等を行った後、画像取得を行いながら通常はリアルタイムで欠陥検査を行う。セル同士の比較、ダイ比較等が、アルゴリズムを備えた高速情報処理システムにより検査が行われ、必要に応じてCRT等への結果の出力やメモリーでの記憶を行う。欠陥にはパーティクル欠陥、形状異常(パターン欠陥)、及び電気的(配線又はビア等の断線及び導通不良等)欠陥等があり、これらを区別したり欠陥の大きさや、キラー欠陥(チップの使用が不可能になる重大な欠陥等)の分類を自動的にリアルタイムで行うこともできる。電気的欠陥の検出は、コントラスト異常を検出する事で達成される。例えば、導通不良の場所は電子線照射(500eV程度)により、通常正に帯電し、コントラストが低下するので正常な場所と区別ができる。この場合の電子線照射手段とは、通常、検査用の電子線照射手段以外に、別途、電位差によるコントラストを際だたせるために設けられた低電位(エネルギ)の電子線発生手段(熱電子発生、UV/光電子)等を言う。検査対象領域に検査用の電子線を照射する前に、この低電位エネルギの電子線を発生照射している。
電極の清浄
本発明の電子線装置が長時間動作すると、電子ビームの形成や変更に使用される様々な電極には有機物質が堆積する。表面の帯電により徐々に堆積していく絶縁体は電子ビームの形成や偏向機構に悪影響を及ぼすので、堆積した絶縁体は周期的に除去しなければならない。絶縁体の周期的な除去は絶縁体の堆積する領域の近傍の電極を利用して、真空中で水素や酸素或いはフッ素若しくはそれらを含む化合物(HF、O、HO、C等)のプラズマを作りだし、空間内のプラズマ電位を電極面にスパッタが生じる電位(数kV、例えば20V〜5kV)に維持することで、有機物質のみ酸化、水素化、フッ素化により除去する。
次に図19及び図20を参照して本発明による半導体デバイスの製造方法の実施例を説明する。
図19は、本発明による半導体デバイスの製造方法の一実施例を示すフローチャートである。この実施例の製造工程は以下の主工程を含んでいる。
(1)ウエハを製造するウエハ製造工程(又はウエハを準備するウエハ準備工程)
(2)露光に使用するマスクを製造するマスク製造工程(又はマスクを準備するマスク準備工程)
(3)ウエハに必要な加工処理を行うウエハプロセッシング工程
(4)ウエハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出し、動作可能にならしめるチップ組立工程
(5)できたチップを検査するチップ検査工程
なお、上記のそれぞれの主工程は更に幾つかのサブ工程からなっている。
これらの主工程中の中で、半導体デバイスの性能に決定的な影響を及ぼすのが(3)のウエハプロセッシング工程である。この工程では、設計された回路パターンをウエハ上に順次積層し、メモリやMPUとして動作するチップを多数形成する。このウエハプロセッシング工程は以下の各工程を含んでいる。
(A)絶縁層となる誘電体薄膜や配線部、或いは電極部を形成する金属薄膜等を形成する薄膜形成工程(CVDやスパッタリング等を用いる)
(B)この薄膜層やウエハ基板を酸化する酸化工程
(C)薄膜層やウエハ基板等を選択的に加工するためにマスク(レチクル)を用いてレジストパターンを形成するリソグラフィー工程
(D)レジストパターンに従って薄膜層や基板を加工するエッチング工程(例えばドライエッチング技術を用いる)
(E)イオン・不純物注入拡散工程
(F)レジスト剥離工程
(G)加工されたウエハを検査する工程
なお、ウエハプロセッシング工程は必要な層数だけ繰り返し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造する。
図20は、図19のウエハプロセッシング工程の中核をなすリソグラフィー工程を示すフローチャートである。このリソグラフィー工程は以下の各工程を含む。
(a)前段の工程で回路パターンが形成されたウエハ上にレジストをコートするレジスト塗布工程
(b)レジストを露光する工程
(c)露光されたレジストを現像してレジストのパターンを得る現像工程
(d)現像されたレジストパターンを安定化するためのアニール工程
上記の半導体デバイス製造工程、ウエハプロセッシング工程、リソグラフィー工程については、周知のものでありこれ以上の説明を要しないであろう。
上記(G)の検査工程に本発明に係る欠陥検査方法、欠陥検査装置を用いると、微細なパターンを有する半導体デバイスでも、スループット良く検査できるので、全数検査も可能となり、製品の歩留まりの向上、欠陥製品の出荷防止が可能と成る。
なお、上記実施形態では電子線装置70が1基のみ設けられた例を図1及び図2に示したが、図21に示されるように複数個並べて配置して一度に複数箇所を検査してもよい。
すなわち、図21[A]においては、4個の鏡筒(各鏡筒にはそれぞれ1基の電子線装置が設けられている)が1列に配列された構成例の平面図であり、図21[B]においては、それぞれ光軸OAを有する6個の鏡筒が2行3列に配列された構成例の平面である。図21[A]及び[B]の事例において、一つの鏡筒は、複数の電子線(その一つを符号EBで示す)を照射し、それをマルチ検出器により検出する。マルチ検出器は、複数の検出素子761を備え、各検出素子が1つの電子線EBを検出する。一つの鏡筒の複数の電子線により照射されるウエハ表面の最大外径を符号Sr1〜Sr6で示す。図21[A]及び[B]の事例において、複数の鏡筒は、互いに干渉しないように配置され、多数の鏡筒により一度に広い範囲のウエハ表面を検査することによりウエハ検査工程のスループットが大きくされる。図21[A]の事例では、ウエハW全体を検査するため、ウエハの表面が鏡筒の列に垂直の方向(矢印Ar1)へ連続移動される。
検査装置の変形例
次に基板であるウエハWに形成された回路パターンの検査方法の具体例について説明する。図22及び図23は、電子線リソグラフィを用いて回路パターン形成する場合の代表的な例を示している。すなわち、半導体チップSCTをX方向寸法で、例えば、5mm幅のY軸に延びるストライプStに分割し、当該半導体チップを載置するステージ装置50を、各ストライプに沿ってY方向に連続移動させながらマスクパターンをウエハに転写する。また、一つのストライプは、VFpで示したY方向寸法250μm、X方向寸法5mmの主視野に分割され、主視野VFpの内部はVFsで示した250μm角の副視野に分割され、副視野単位での転写が行われる。すなわち、主視野を構成する副視野のそれぞれに一つのマスクを用意し、各副視野をビームが1副視野ずつ当該副視野を走査することにより回路部分の転写を行う。
このような方法により回路パターン形成が行われた場合、最も欠陥が発生し易い箇所は一つのストライプStと隣のストライプStの境界であり、次に欠陥が発生し易い箇所は主視野VFp間の境界であり、第3番目に欠陥が発生し易いのは副視野VFs間の境界部分である。また線幅のバラツキが大きくなるのも同様でストライプ間境界部、主視野間、副視野間つなぎの順序である。
そこでこの実施形態では、評価装置に、BAstで示したストライプの境界を幅200μmの幅で(図22では7個所を)検査するモードを持たせた。より精度の高い評価を行う場合には、BApで示したように主視野のつなぎ部分を検査するモードを持たせ、また、BAsで示したように副視野間のつなぎ部分を検査するようにすることが好ましい。このようにして間引き検査することにより、全検査に要する時間の数分の一ないし数十分の一の時間で、大部分の欠陥を検出することができる。
また、電子線装置は視野の中心で光学系の収差が小さく、光学系の歪も小さいので視野の中心で測定した方が信頼性の高い評価が可能である。そこで、ストライプ幅をBAoで示したように、つなぎ領域及びそれ以外の領域をも評価する時でも、つなぎ領域はかならず評価装置の視野の中心部で評価するようにすると、欠陥を見落す確率は小さくなる。また、正常のパターンを欠陥と誤判断することも少ない。
走査用偏向器733、728は、ウエハWの表面上の一次電子線の照射点を、X方向に走査するようになされており、その走査距離は一次電子線照射点のX方向の間隔+αとなるようにしてある。ここで、αは重複して走査される領域のX方向の寸法で、0.3〜3mmある。
この電子線装置においてウエハWの面上の上記ストライプの境界を検査する場合には、ステージ装置50が、ウエハをY方向に連続的移動させながら検査を行う。その間、走査用偏向器733、728は、上述の如く、各1次電子線照射点をX方向に電子ビームのX方向距離+αだけ走査させる。例えば、前述のストライプの境界を幅200μmで検査する場合は、1次電子線照射点のX方向間隔を23μmとし、各1次電子線照射点は、23+αの幅の走査を行い、全体として、23×9(個)+α(=200μm+α)の範囲で検査幅が得られる。
欠陥検査を行う場合には、上記の如く走査して得られた画像と、メモリに予め蓄えられた欠陥の存在しない画像とを比較照合して、欠陥部分を自動的に検出する。
図24[A]には、線幅を測定する例が示されている。形成された実際のパターンPt2をAr2の方向に走査したときの実際の2次電子の強度信号がSiであり、この信号が予め較正して定められたスレッショールドレベルSLを連続的に超える部分の幅wsをパターンPt2の線幅として測定することができる。このように測定された線幅が所定の範囲内にない場合、当該パターンが欠陥を有すると判定することができる。
図24[B]には、ウエハ上に形成されたパターンの電位コントラストを測定する例が示されている。図8に示す構成において、対物レンズ729とウエハWとの間に配置された軸対称電極737に、例えばウエハ電位0Vに対して−10Vを与えておく。このときの−2Vの等電位面はEpSで示されるような形状とする。ここで、ウエハに形成されたパターンPt3及びPt4は、夫々−4Vと0Vの電位であるとする。この場合、パターンPt3から放出された2次電子は−2V等電位面EpSで2eVの運動エネルギーに相当する上向きの速度を持っているので、このポテンシャル障壁EpSを越え、軌道Tr1に示すように等電位面Veから脱出し、検出器761で検出される。一方、パターンPt4から放出された2次電子は−2Vの電位障壁を越えられず、軌道Tr2に示すようにウエハ面に追い戻されるので、検出されない。従って、パターンPt3の検出画像は明るく、パターンPt4の検出画像は暗くなる。かくして、電位コントラストが得られる。検出画像の明るさと電位とを予め較正しておけば、検出画像からパターンの電位を測定することができる。そして、この電位分布からパターンの欠陥部分を評価することができる。
それぞれの検出器761は、検出した2次電子線をその強度を表す電気信号へ変換する。こうした各検出器から出力された電気信号は増幅器763によってそれぞれ増幅された後、処理制御系77の画像データ処理部771によって受信され、画像データへ変換される。画像データ処理部771には、一次電子線を偏向させるための走査信号が更に供給されるので、画像データ処理部771はウエハWの面を表す画像を表示する。この画像を標準パターンと比較することにより、ウエハWの欠陥を検出することができる。
また、レジストレーションによりウエハW上の被評価パターンを一次光学系の光軸の近くへ移動させ、ラインスキャンすることによって線幅評価信号を取り出し、これを適宜に校正することにより、ウエハW上のパターンの線幅を測定することができる。
ステージ装置及び変形例
次に、ステージ装置の他の実施形態について、図25ないし図30を参照して説明する。この実施形態のステージ装置は、既に知られている静圧軸受けを使用した構造の改良に関する。なお、同図において、図1及び図2に示されるハウジング、ステージ装置、電子光学装置の構成要素に対応する構成要素は、同じ参照番号に接尾語dないしfを付して表す。また、幾つかの実施形態において共通の構成要素については同じ参照番号を付して示す。
図25において、ステージ装置50dは、真空排管309dによって真空排気されるチャンバ31d内において、ハウジング30dに固定された函型(上が開口している)の固定テーブル51dと、その固定テーブル51d内にX方向(図25[A]で左右方向)に移動可能に配置された同じく函型のXテーブル54dと、X方向可動部すなわちXテーブル54d内にY方向(図25[B]で左右方向)に移動可能に配置されたY方向可動部すなわちYテーブル52dと、Yテーブル52d上に配置された回転テーブル56dとを備えている。ウエハWは回転テーブル56d上に設けられた公知構造のホルダ(図示せず)により取り外し可能に保持されている。固定テーブル51dのガイド面511d及び512dとそれぞれ向かい合うXテーブル54dの底面543d及び側面544dには静圧軸受け58dが複数取り付けられており、この静圧軸受け58dの作用によりガイド面との間に微小隙間を維持しながらX方向(図25[A]で左右方向)に移動できる。また、Xテーブル54dのガイド面541d及び542dとそれぞれ向かい合うYテーブル52dの底面523d及び側面524dにも静圧軸受け58dが複数取り付けられており、この静圧軸受け58dの作用によりガイド面との間に微小隙間を維持しながらY方向(図25[B]で左右方向)に移動できる。更に、静圧軸受けの周りには、静圧軸受けに供給される高圧ガスが真空チャンバ31dの内部にリークしないように差動排気機構が設けられている。この様子を図26に示す。静圧軸受け58dの周囲に二重に溝581dと582dが構成されており、これらの溝は図示されていない真空配管と真空ポンプにより常時真空排気されている。このような構造により、Xテーブルは真空中を非接触状態で支持されX方向に自在に、またYテーブルは真空中を非接触状態で支持されY方向に自在に移動することができるようになっている。これらの二重の溝581d、582dは静圧軸受け58dが設けられている面にその静圧軸受けを囲むようにして形成されている。なお、静圧軸受けの構造は公知のもので良いので、その詳細な説明は省略する。
ステージ装置50dのYテーブル52dの上面には+Y方向と−Y方向(図25[B]で左右方向)に大きくほぼ水平に張り出した仕切り板525dが取り付けられ、Xテーブル54dの上面との間に常にコンダクタンスが小さい絞り部526dが構成されるようになっている。また、Xテーブル54dの上面にも同様の仕切り板545dが±X方向(図25[A]で左右方向)に張り出すように構成されており、ステージ台すなわち固定テーブル51d上面との間に常に絞り部546dが形成されるようになっている。
このため、回転テーブル56dがどの位置に移動しても常に絞り部526d、546dが形成されるので、Xテーブル及びYテーブルの移動時に511d、512d、541d、542dからガスが放出されても、絞り部526d、546dによって放出ガスの移動が妨げられるため、荷電ビームが照射されるウエハ近傍の空間G1の圧力上昇を非常に小さく押さえることができる。
静圧軸受け58dの周囲に形成された差動排気用の溝によって真空排気されるため、絞り部526d、546dが形成されている場合は、ガイド面からの放出ガスはこれらの差動排気部によって主に排気されることになる。このため、ステージ内部の空間G2やG3の圧力は、チャンバ31d内の圧力よりも高い状態になっている。したがって、空間G2やG3を、差動排気溝581d、582dで排気するだけでなく、真空排気する箇所を別に設ければ空間G2やG3の圧力を下げることができ、ウエハ近傍G1の圧力上昇を更に小さくすることができる。このための真空排気通路517dと547dとが設けられている。排気通路517dは固定テーブル及びハウジングを貫通してハウジングの外部に通じている。また、排気通路547dはXテーブル54dに形成されXテーブルの下面に開口している。
また、仕切り板545d及び525dを設置すると、チャンバ31dと仕切り板が干渉しないようにチャンバを大きくする必要が生じるが、仕切り板を伸縮可能な材料や構造にすることによってこの点を改善することが可能である。この実施例としては、仕切り板をゴムで構成したり蛇腹状にして、その移動方向の端部を、仕切り板525dの場合はXテーブル54dに、仕切り板545dの場合はハウジング30dの内壁にそれぞれ固定する構成とすることが考えられる。
図27において、ステージ装置及び鏡筒周辺の装置の別の実施態様が示されている。
この実施態様では、鏡筒701dの先端部すなわち電子線照射部702dの周囲に、ウエハWの上面との間に絞り部ができるように円筒状の仕切り91eが構成されている。このような構成では、XYステージからガスが放出されてチャンバ31d内の圧力が上昇しても、仕切りの内部G5は仕切り91eで仕切られており真空配管703dで排気されているので、チャンバ31d内と仕切りの内部G5との間に圧力差が生じ、仕切り内部の空間G5の圧力上昇を低く抑えられる。仕切り91eとウエハ面との隙間は、チャンバ31d内と照射部702dの周辺の圧力をどの程度に維持するかによって変わるが、凡そ数十μmないし数mm程度が適当である。なお、仕切り91e内と真空配管とは公知の方法により連通されている。
また、荷電ビーム照射装置すなわち電子光学装置では、ウエハWに数kV程度の高電圧を印加することがあり、導電性の材料をウエハの近傍に設置すると放電を起こす恐れがある。この場合には、仕切り91eの材質をセラミックス等の絶縁物で構成すれば、ウエハWと仕切り91eとの間で放電を起こすことがなくなる。
なお、ウエハW(試料)の周囲に配置したリング部材561eは回転テーブル56d上に設けられたホルダ(図示せず)に固定された板状の調整部品であり、ウエハのようなウエハの端部に荷電ビームを照射する場合であっても、仕切り91eの先端部全周に亘って微小隙間G6が形成されるように、ウエハと同一の高さに設定されている。これによって、ウエハWのどの位置に荷電ビームが照射しても、仕切り91eの先端部には常に一定の微小隙間G6が形成され、鏡筒先端部周囲の空間G5の圧力を安定に保つことができる。
図28において、鏡筒の先端部に差動排気装置を設けた別の実施態様が示されている。
鏡筒701dの電子線照射部702dの周囲に差動排気構造を内蔵した仕切り部材91fが設けられている。仕切り部材91fは環状の形状をしており、その内部に円周溝911fが形成され、その円周溝911fからは上方に排気通路912fが延びている。その排気通路は内部空間913fを経由して真空配管914fに接続されている。仕切り部材91fの下端はウエハWの上面との間に数十μmないし数mm程度の微小隙間を形成している。
このような構成では、ステージの移動に伴ってステージからガスが放出されてチャンバ31d内の圧力が上昇し先端部すなわち荷電ビームすなわち電子線照射部702dにガスが流入しようとしても、仕切り部材91fがウエハWとの隙間を絞ってコンダクタンスを非常に小さくしているためガスは流入を邪魔され流入量は減少する。更に、流入したガスは、円周溝911fから真空配管914fへ排気されるため、電子線照射部702dの周囲の空間G5へ流入するガスはほとんどなくなり、電子線照射部702dの圧力を所望の高真空のまま維持することができる。
図29において、鏡筒の先端部に差動排気装置を設けた更に別の実施態様が示されている。
チャンバ31d内における電子線照射部702dの周囲には仕切り部材91gが設けられ、電子線照射部702dをチャンバ31dから隔てている。この仕切り部材91gは、中央部分911gが、銅やアルミニュウム等の熱伝導性の良い材料からつくられた支持部材912gを介して冷凍機913gに連結されており、−100℃ないし−200℃程度に冷却されている。仕切り部材91gの部分914gは冷却されている中央部分911gと鏡筒の間の熱伝導を阻害するためのものであり、セラミックスや樹脂材等の熱伝導性の悪い材料でつくられている。また、仕切り部材91gの部分915gはセラミックス等の絶縁体でつくられ、仕切り部材91gの下端に形成されウエハWと仕切り部材91gが放電することを防ぐ役割を持っている。
このような構成により、チャンバ31d内から荷電ビーム照射部に流入しようとするガス分子は、冷却されている仕切り部材91gで流入を阻害される上、流入しても仕切り部材91gの表面に凍結捕集されてしまうため、荷電ビーム照射部702dの圧力を低く保つことができる。なお、冷凍機としては、液体窒素による冷却や、He冷凍機、パルスチューブ式冷凍機等の様様な冷凍機が使用できる。
図30において、ステージ装置の変形例及び鏡筒の先端部に仕切り部材を設けた構造を示す別の実施態様が示されている。
ステージ50dのX、Y両テーブルには、図25に示したのと同様に仕切り板545d、525dが設けられており、ウエハを保持するホルダ(図示せず)が任意の位置に移動しても、これらの仕切りによってステージ内の空間G5とチャンバ31d内とが絞り546d、526dを介して仕切られる。更に、電子線照射部702dの周りには図27に示したのと同様の仕切り91eが設けられており、チャンバ31d内と電子線照射部702dのある空間G5が絞りG6を介して仕切られている。このため、ステージ移動時、ステージに吸着しているガスが空間G2に放出されてこの部分の圧力を上昇させても、チャンバ31dの圧力上昇は低く抑えられ、空間G5の圧力上昇は更に低く抑えられる。これにより、電子線照射空間G5の圧力を低い状態に保つことができる。また、図28に示したように差動排気機構を内蔵した仕切り部材91fとしたり、図29に示したように冷凍機で冷却された仕切り部材91gとすることによって、空間G5を更に低い圧力で安定に維持することができるようになる。
図31において、ステージ装置及び作動排気装置の更に別の実施形態が示されている。この実施形態では図25ないし図30に示された構造と全体的に相違しているので、対応する構成部分には同じ参照番号を使用して全てに接尾語hを付して示されている。
ステージ装置50hの固定テーブル51hの台座511hはハウジング30hの底壁に固定され、Y方向(図31において紙面に垂直の方向)に移動するYテーブル52hが台座511hの上に載っている。Yテーブル52hの両側面(図30において左右側面)には、台座511hに載置された一対のY方向ガイド512h及び513hのYテーブルに面した側に形成された凹溝内に突出する突部522h及び523hが形成されている。その凹溝はY方向ガイドのほぼ全長に亘ってY方向(図31で紙面に垂直の方向)に伸びている。凹溝内に突出する突部の上、下面及び側面には公知の構造の静圧軸受け58hがそれぞれ設けられ、これらの静圧軸受けを介して高圧ガスを吹き出すことにより、Yテーブル52hはY方向ガイド512h、513hに対して非接触で支持され、Y方向に円滑に往復運動できるようになっている。また、台座511hとYテーブル52hとの間には、公知の構造のリニアモータ514hが配置されており、Y方向の駆動をそのリニアモータで行うようになっている。Yテーブルには、高圧ガス供給用のフレキシブル配管526hによって高圧ガスが供給され、Yテーブル内に形成されたガス通路(図示せず)を通じて上記静圧軸受け58hに対して高圧ガスが供給される。静圧軸受けに供給された高圧ガスは、Y方向ガイドの対向する案内面との間に形成された数ミクロンから数十ミクロンの隙間に噴出してYテーブルを案内面に対してX方向とZ方向(図31において上下方向)に正確に位置決めする役割を果たす。
Yテーブル52h上にはXテーブル54hがX方向(図31において左右方向)に移動可能に載置されている。Yテーブル52h上にはYテーブル用のY方向ガイド512h、513hと同じ構造の一対のX方向ガイド522h、523h(522hのみ図示)がXテーブル54hを間に挟んで設けられている。X方向ガイドのXテーブルに面した側にも凹溝が形成され、Xテーブルの側部(X方向ガイドに面した側部)には凹溝内に突出する突部が形成されている。その凹溝はX方向ガイドのほぼ全長に亘って伸びている。凹溝内に突出するXテーブル54hの突部の上、下面及び側面には前記静圧軸受け58hと同様の静圧軸受け(図示せず)が同様の配置で設けられている。Yテーブル52hとXテーブル54hとの間には、公知の構造のリニアモータ524hが配置されており、XテーブルのX方向の駆動をそのリニアモータで行うようにしている。そして、Xテーブル54hにはフレキシブル配管546hによって高圧ガスが供給され、静圧軸受けに高圧ガスを供給するようになっている。この高圧ガスが静圧軸受けからX方向ガイドの案内面に対して噴出されることによって、Xテーブル54hがY方向ガイドに対して高精度に非接触で支持されている。真空チャンバ31hは公知の構造の真空ポンプ等に接続された真空配管309h、518h、519hによって排気されている。配管518h、519hの入口側(真空チャンバ内側)は固定テーブル51hを貫通してその上面において、ステージ装置から高圧ガスが排出される位置の近くで開口しており、真空チャンバ内の圧力が静圧軸受けから噴出される高圧ガスにより上昇するのを極力防止している。
鏡筒701hの先端部すなわち電子線照射部702hの周囲には、差動排気機構92hが設けられ、真空チャンバ31h内の圧力が高くても電子線照射空間G5の圧力が十分低くなるようにしてある。すなわち、電子線照射部702h周囲に取り付けられた差動排気装置92hの環状部材921hは、その下面(ウエハ側の面)とウエハとの間で微少隙間(数ミクロンから数百ミクロン)G7が形成されるように、ハウジング30hに対して位置決めされており、その下面には環状溝922hが形成されている。環状溝922hは排気管923hにより図示しない真空ポンプ等に接続されている。したがって、微少隙間g5は環状溝922及び排気管923hを介して排気され、真空チャンバ31hから環状部材921hによって囲まれた空間G5内にガス分子が侵入しようとしても、排気されてしまう。これにより、電子線照射空間G5内の圧力を低く保つことができ、荷電ビームを問題なく照射することができる。この環状溝922hは、チャンバ内の圧力、電子線照射空間G5内の圧力によっては、二重構造或いは三重構造にしてもよい。
静圧軸受けに供給する高圧ガスは、一般にドライ窒素が使用される。しかしながら、可能ならば、更に高純度の不活性ガスにすることが好ましい。これは、水分や油分等の不純物がガス中に含まれると、これらの不純物分子が真空チャンバを画成するハウジングの内面やステージ構成部品の表面に付着して真空度を悪化させたり、ウエハ表面に付着して荷電ビーム照射空間の真空度を悪化させてしまうからである。
なお、以上の説明において、ウエハは通常Xテーブル上に直接載置されるのでなく、試料を取り外し可能に保持したりステージ装置50に対して微少な位置変更を行うなどの機能を持たせた試料台又はホルダの上に載置されているが、試料台等の有無及びその構造は本願発明の要旨には関係ないので、説明を簡素化するために省略されている。
以上に説明した荷電ビーム装置では、大気中で用いられる静圧軸受けのステージ機構をほぼそのまま使用できるので、露光装置等で用いられる大気用の高精度ステージと同等の高精度のXYステージを、ほぼ同等のコスト及び大きさで荷電ビーム装置用のXYステージに対して実現できる。
なお、以上説明した静圧ガイドの構造や配置及びアクチュエータ(リニアモータ)はあくまでも一実施例であり、大気中で使用可能な静圧ガイドやアクチュエータならば何でも適用できる。
次に差動排気装置の環状部材921及びそれに形成される環状溝922の大きさの数値例を図32に示す。なお、この例では環状溝は922h及び922h′の二重構造を有しており、それらは半径方向に隔てられている。
静圧軸受けに供給される高圧ガスの流量は、通常おおよそ20L/min(大気圧換算)程度である。真空チャンバCを、内径50mmで長さ2mの真空配管を介して20000L/minの排気速度を有するドライポンプで排気すると仮定すると、真空チャンバ内の圧力は、約160Pa(約1.2Torr)となる。この時、差動排気装置の環状部材921h及び環状溝等の寸法を、図32に示されるようにすれば、電子線照射空間G5内の圧力を10−4Pa(10−6Torr)にすることができる。
図33において、ハウジング30hによって画成された真空チャンバ31h及び作動排気装置のための真空排気回路93が示されている。真空チャンバ31hは、真空排気回路93の真空配管931a、931bを介してドライ真空ポンプ932が接続されている。また、差動排気装置92hの環状溝922hは排気口923hに接続された真空配管931cを介して超高真空ポンプであるターボ分子ポンプ933が接続されている。更に、鏡筒701の内部は、排気口703に接続された真空配管931dを介して、ターボ分子ポンプ934が接続されている。これらのターボ分子ポンプ933、934は、真空配管931e、931fによってドライ真空ポンプ932に接続されている。(本図では、ターボ分子ポンプの粗引きポンプと真空チャンバの真空排気用ポンプを1台のドライ真空ポンプで兼用したが、XYステージの静圧軸受けに供給する高圧ガスの流量、真空チャンバの容積や内表面積、真空配管の内径や長さに応じて、それらを別系統のドライ真空ポンプで排気する場合も考えられる。)
ステージ装置50hの静圧軸受けには、フレキシブル配管526h、546hを通して高純度の不活性ガス(N2ガス、Arガス等)が供給される。静圧軸受けから噴出したこれらのガス分子は真空チャンバ内に拡散し、排気口309h、518h、519hを通してドライ真空ポンプ932によって排気される。また、差動排気機構や荷電ビーム照射空間に侵入したこれらのガス分子は環状溝922h或いは鏡筒701hの先端部から吸引され、排気口923h及び703hを通ってターボ分子ポンプ933及び934によって排気され、ターボ分子ポンプから排出された後ドライ真空ポンプ932によって排気される。このように、静圧軸受けに供給された高純度不活性ガスはドライ真空ポンプに集められて排出される。
一方、ドライ真空ポンプ932の排気口は、配管931gを介して圧縮機935に接続され、圧縮機935の排気口は配管931h、931i、931k及びレギュレータ936、937を介してフレキシブル配管546h、526hに接続されている。このため、ドライ真空ポンプ932から排出された高純度不活性ガスは、圧縮機935によって再び加圧されレギュレータ936、937で適正な圧力に調整された後、再びステージ装置の静圧軸受けに供給される。
なお、静圧軸受けに供給されるガスは上述したようにできるだけ高純度にし、水分や油分が極力含まれないようにする必要があるため、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ及び圧縮機は、ガス流路に水分や油分が混入しないような構造であることが求められる。また、圧縮機の排出側配管931hの途中にコールドトラップやフィルタ等938を設け、循環するガス中に混入した水分や油分等の不純物質をトラップして静圧軸受けに供給されないようにすることも有効である。
こうすることによって、高純度不活性ガスを循環させて再利用できるので、高純度不活性ガスを節約でき、また、本装置が設置された部屋に不活性ガスをたれ流さないので、不活性ガスによる窒息等の事故が発生する恐れもなくすことができる。
なお、循環配管系には高純度不活性ガス供給源939が接続されており、ガスの循環を始める際に、真空チャンバCや真空配管931a〜931e及び加圧側配管931f〜931lを含む全ての循環系に高純度不活性ガスを満たす役割と、何らかの原因で循環するガスの流量が減少した際に不足分を供給する役割とを担っている。また、ドライ真空ポンプ932に大気圧以上まで圧縮する機能を持たせることによって、ドライ真空ポンプ932と圧縮機935を1台のポンプで兼ねさせることも可能である。
更に、鏡筒の排気に用いる超高真空ポンプには、ターボ分子ポンプの代わりにイオンポンプやゲッタポンプ等のポンプを使用することも可能である。ただし、これらの溜込み式ポンプを用いた場合は、この部分には循環配管系を構築することはできないことになる。また、ドライ真空ポンプの代わりに、ダイヤフラム式ドライポンプ等、他方式のドライポンプを使用することももちろん可能である。
電子線装置の他の実施形態
図34ないし図37において電子光学装置すなわち電子線装置の他の実施形態が全体を70iで示されている。同図において、図8に示された電子線装置と同じ構成部分には同じ参照番号を付して示し、それらの構造及び機能の詳細な説明は省略する。また、異なる構成部分には対応する参照番号に接尾語iを付して示す。更に、以下の各実施形態において、一次及び二次光学系にマルチ開口板を有する場合、第1のマルチ開口板の開口と第2のマルチ開口板の開口との間の関係は図9に示すものと同じであるから、図示及び説明は省略する。
この実施形態においては、二次光学系74iは単一のレンズのみを有する点、及び検出系76iが処理制御系77iの画像データ処理装置771に接続されたパターンメモリ772を備えている点を除けば図8に示される電子光学装置と同じである。
この装置において、二次電子像は、二次光学系74iのマルチ開口板745の開口7451の背後に配置された、検出系76iの検出器761で互いにクロストーク無しに検出され、画像形成装置すなわち画像データ処理装置771で画像形成される。また試料パターンの画像はパターンデータから形成され、別途パターンメモリ772に記憶されていて、二次電子像から形成された画像と比較することによって画像データ処理装置771に付属の画像比較回路で、短絡、断線、凸、欠け、ピンホール、孤立の欠陥に分類される。
また、ウエハW上のパターンの電位を測定するときは、軸対称電極737にウエハ面より低い電圧を与え、試料すなわちウエハWからの二次電子のエネルギーを選択して対物レンズ729側へ二次電子を通したり、ウエハW側へ二次電子を追い返したりすることにより、パターンの電圧を測定する。これにより、より低い電位を持つパターンから出た二次電子は多く検出し、より高い電位を持つパターンから出た二次電子は少なく検出して、これらの二次電子の検出量の大小で試料上のパターンの電位を測定する。
例えば、電極737に−10Vを与えたとき、該電極まわりに図35のように、0Vの等電位面が形成されたとする。このとき例えば、−2Vの電位を持つパターンからエネルギー0Vで発生した二次電子は0eVの等電位面でまだ1eV分のエネルギーを持っているので0Vのポテンシャル障壁を越えて検出されるが、+2Vの電位を持つパターンからエネルギー0eVで出た二次電子は、2eVの等電位面迄しか進めず、そこで試料側に戻されるので検出されない。このようにして、−2Vのパターンは明るく、2Vのパターンは暗い画像が形成される。このようにして電位コントラストが測定される。
また、高時間分解能の電位測定をおこなう場合は、ブランキング偏向器731にパルス電圧を印可し、ビームを偏向し、ブランキング用ナイフエッジ734でビームを遮断することにより短いパルス状のマルチビームを作り、上記の測定をおこなう。
例えば、ブランキング偏向器731の左側と右側の電極に、図36の[A]、[B]に示すようなパルス電圧を印可すると、ウエハには[C]に示すようなパルス状のビーム電流が入射する。このようにパルス状の電子線をパターンに入射させ、その時の二次電子を検出すれば、上記パルス幅の時間分解能でパターンの電位を測定することができる。なお、図においてブランキング偏向器731とブランキング用ナイフエッジ732間の点線は、ブランキング時の電子線軌道を示す。
次に、上記本発明の電子線装置を用いた検査手順について説明する。
本発明による検査手順の一例を図37に示す。ウエハカセットから取り出された(1)被検査ウエハ11はプリアライメントされると同時に、このウエハ上に形成されたウエハ番号が図示されていないウエハ番号読取り器によって読取られる(2)。ウエハ番号は各ウエハ固有のものである。読取られたウエハ番号をキーにして、予め登録されていた、このウエハに対応するレシピが読出される(3)。レシピは、このウエハの検査手順や検査条件を定めたものである。
以降の操作は、読み出したレシピに従って、自動的あるいは半自動的に行われる。ウエハ番号が読込まれた後、ウエハWは真空に保持された試料室内のXY−ステージ12上に搬送され、搭載される(4)。XY−ステージ12上に装填されたウエハWは試料室内に装着された一次及び二次光学系を用い、アライメントされる(5)。アライメントは、ウエハW上に形成されたアライメントパターンの拡大像を、レシピに付随して、予め登録されているアライメント用参照画像と比較し、参照画像と丁度重なるように、ステージ位置座標を補正することによって行われる。アライメント後、このウエハに対応したウエハマップ(検査点マップ)が読出され、ディスプレイ上に表示される(6)。ウエハマップには、このウエハの所要検査点と来歴が示されている。
ウエハマップ表示後、操作者はウエハマップ上に示された検査点の中から、検査したい箇所の対応点を指定する(7)。検査点が指定されると、被測定ウエハWは指定の検査点が電子ビーム直下に来るようにステージ移動により移動される(8)。その移動後、走査電子ビームが指定された検査点上に照射され、比較的低倍率での位置決め用画像が形成される。形成された像は、アライメント操作と同様に、予め登録されていた、指定の検査点に対応する位置決め用参照画像と比較され、参照用画像と丁度重なり合うように、検査点の精密な位置決めが行われる(9)。位置決めは、例えば、電子ビームの走査領域を微調整することによって行われる。
位置決めされたウエハは、被検査領域がほぼ画面中央、すなわち、電子ビーム直下に位置する。この状態で、被検査領域の高倍率検査用画像が形成される(10)。検査用画像は、レシピに付随して登録されている、この被検査領域に対応した検査用参照画像と比較され、両画像の差異部が検出される(11)。差異部はパターン欠陥と見做される。パターン欠陥は、少なくとも短絡、断線、凸、欠け、ピンホールおよび孤立の欠陥に分けて類型分類される(12)。
次いで、凸および孤立欠陥は、隣接パターンとの距離を最小スペースを単位とし、対向長(欠陥をパターンに投影したときのその影の長さ)を最小パターン幅を単位として、サイズ分類される。一方、ピンホールおよび欠け欠陥は、それらが存在するパターンの幅を幅方向の単位とし、最小パターン幅を長手方向の単位として、サイズ分類される(13)。なお、最小パターン幅および最小スペースは検査デバイスのパターン設計ルールに係る値であり、検査に先立ち、予め登録されている。
指定の検査点の欠陥判定、分類が終了した後、分類結果はウエハマップの指定検査点上に上書きされるとともに、検査データベースに格納される。上述のようにして、一箇所の検査が終了する。
さらに検査箇所が残っていれば、ウエハマップ上で次の検査点を指定し、図37中、検査点指定後の操作を繰返して行う。該ウエハの全検査が終了すると、チップ単位、ウエハ単位での全欠陥/類型別欠陥/サイズ別欠陥の密度や歩留まりが計算される(14)。歩留まり計算は、予め登録されている、欠陥類型別の欠陥サイズ−致命率表を用いて行われる。欠陥サイズ−致命率表は、サイズ分類された凸、欠け、ピンホールおよび孤立の各欠陥を、固有の致命率に対応付けるものである。これ等の計算結果は、検査結果とともに、検査データベースに格納され(14)、必要に応じて随時出力され、使用される(15)。
ウエハカセットの中に被測定ウエハが残っている場合には、次のウエハをウエハカセットから取り出した後、図37の手順に従って検査を行う。複数ウエハの密度および歩留まりも、ウエハの場合に準じて、計算される。
なお、検査画像の欠陥判定分類だけではなく、特性X線分析器やオージェ電子分析器などの分析機能を付属させれば、欠陥部の組成など、検査点の分析データを合わせて取得できる。
電子線装置の他の実施形態
図38及び図39において電子線装置の他の実施形態が全体を70jで示されている。同図において、図8に示された電子線装置と同じ構成部分には同じ参照番号を付して示し、それらの構造及び機能の詳細な説明は省略する。また、異なる構成部分には対応する参照番号に接尾語jを付して示す。
この実施形態においては、一次光学系72jのクロスオーバーを形成する点P1にアパーチャを画成するアパーチャプレート735が配置されている点、二次光学系74jのクロスオーバーを形成する点P4にアパーチャを画成するアパーチャプレート747が配置されている点、及び二次光学系74jが静電偏向器746を備えている点を除けば、図8に示される電子光学装置と同じである。
この実施形態の電子光学装置において、ウェーハW上の各照射スポットから放出された複数の二次電子線は、二次光学系74jを介して検出器に導かれる。拡大レンズ743の前段には、拡大レンズ743の軸合わせ装置として機能する静電偏向器746が設けられている。また、第2のクロスオーバー像の結像位置P4には、二次光学系の分解能を得るためのアパーチャを画成するアパーチャプレート747が設けられている。
ここで、二次光学系のウェーハ面換算での分解能より複数の一次電子ビームの間隔を大きくすることによって、複数ビーム間のクロストークは生じなくなる。照射スポット間隔を、上記した静電偏向器746で走査する。これによりSEMと同じ原理で画像を形成でき、ビーム本数に比例したスループットで試料面の画像が作成される。静電偏向器746の偏向角度を、E×B分離器726による電磁偏向角度の−1/2倍に近い値にすることによって、偏向の色収差を小さくできるので、偏向してもビーム径があまり大きくならないようにできる。
検出器761の各検出素子は、夫々の増幅器763を介して、検出信号を画像データに変換する処理制御系77の画像データ処理部771に接続される。画像データ処理部771には、一次電子線を偏向させるため偏向器733に与えられた走査信号と同じ信号が供給されるので、画像データ処理部771は、ビーム走査中に得られた検出信号からウェーハWの被走査面を表す画像を構成することができる。
図38より明らかなように、一次光学系の光路と二次光学系の光路とが共通の部分は、E×B分離器726から対物レンズ729を通りウェーハWに至る部分であるので、共通の光学部品としては、最小限度に抑えることができた。その結果、対物レンズ729のレンズ条件を一次電子ビームに合わせたとしても、二次電子線の合焦条件は、拡大レンズ741及び743で調整可能となる。後者の拡大レンズ743は、二次電子の軌道と光軸OAとの成す角θ1をθ2に拡大している。
また、対物レンズ729への軸合わせは、偏向器728に軸合わせ電源電圧を重畳させ、一次電子ビームに有利なように軸合わせを行うが、一次電子ビーム用に軸合わせしたことに起因する二次光学系の軸の外れは、二次光学系の軸合わせ装置すなわち偏向器746によって補償することができる。
開口を決めるアパーチャプレートは、一次電子ビームしか通らない、第1のクロスオーバー結像位置P1のアパーチャプレート735と、二次電子線しか通らない、第2のクロスオーバー結像位置P4のアパーチャプレート747とをそれぞれ設けたので、それぞれに最適なアパーチャ径を選択することができる。対物レンズ729の開口を、ここでのクロスオーバー径より十分大きい寸法とし、レンズ721及び725をズーム作用することでクロスオーバーサイズが対物レンズ729の位置で可変となるようにすることで、開口角を選択することができる。これによって、アパーチャを交換することなく、低収差と大ビーム電流とのトレードオフで定まる範囲の任意の最適値に、電気信号のみで調整することができる。
二次光学系の開口位置については、拡大レンズ741及び743で二次電子像が検出器761に合焦する条件とする。そして、アパーチャ位置を光軸OA方向に移動させ、検査面が一様な放出特性を持つウエハを使用した場合、すべての二次電子強度が一様になる位置で固定すればよい。この位置が図示のようにウエハからの主光線が光軸と交わる光軸方向位置となる。
パターンマッチングによるウエハWのパターン欠陥検査法では、電子線装置を制御するため設けられた図示しない制御部が、そのメモリに予め蓄えられていた欠陥の存在しないウエハの二次電子線基準画像と、実際に検出された二次電子線画像とを比較照合し、両者の類似度を算出する。例えば、類似度が閾値以下になった場合、「欠陥有り」と判定し、閾値を超える場合には「欠陥無し」と判定する。このとき、図示しないCRTに検出画像を表示してもよい。これによって、オペレータは、ウエハWが実際に欠陥を持つか否かを最終的に確認、評価することができる。更に、画像の部分領域毎を比較照合し、欠陥が存在する領域を自動的に検出してもよい。このとき、欠陥部分の拡大画像をCRTに表示するのが好適である。
また、同じダイを多数有するウエハの場合、上記のように基準画像を用いる必要無しに、検出されたダイ同士の検出画像を比較することによっても欠陥部分を検出できる。例えば、図39[A]には、1番目に検出されたダイの画像Im1及び2番目に検出された他のダイの画像Im2が示されている。3番目に検出された別のダイの画像が1番目の画像Im1と同じか又は類似と判断されれば、2番目のダイ画像Im2のNtの部分が欠陥を有すると判定され、欠陥部分を検出できる。このとき、検出画像をCRTに表示すると共に欠陥部分と判定された部分をマーク表示してもよい。
なお、ウエハ上に形成されたパターンの線幅を測定する場合及びパターンの電位コントラストを測定する場合は、図24に関連して説明したように行えば良いので、説明は省略する。
図38において、ブランキング偏向器731を設け、この偏向器731によって一次電子線をクロスオーバー結像点の開口に所定周期で偏向させ、当該ビームを短時間のみ通して他の時間は遮断することを繰り返すことによって、短いパルス幅のビーム束を作ることが可能となる。このような短パルス幅ビームを用いて上記したようなウエハ上の電位測定等を行えば、高時間分解能でデバイス動作を解析可能となる。即ち、本電子線装置をいわゆるEBテスターとして使用することができる。
電子線装置の他の実施形態
図40において電子光学装置すなわち電子線装置の他の実施形態が全体を70kで示されている。同図において、図8に示された電子線装置と同じ構成部分には同じ参照番号を付して示し、それらの構造及び機能の詳細な説明は省略する。また、異なる構成部分には対応する参照番号に接尾語kを付して示す。
この実施形態の電子線装置は、処理制御系77kの画像データ処理装置771に接続されたモード決定回路775を更に備えている点、このモード決定回路がCPU776、CPUに接続された記憶部777及びオペレータコンソール778が設けられている点及び記憶部が一次光学系72及び二次光学系74の各構成要素と接続されている点を除けば、図8の実施例と同じである。
この実施形態の電子線装置において、二次電子像は拡大レンズ741及び743により第2のマルチ開口板745の複数の開口7451の一で結像し、この二次電子像をそれぞれの検出器761により検出する。それぞれの検出器761は、検出した二次電子像をその強度を表す電気信号に変換する。こうして各検出器から出力された電気信号は対応する増幅器763により増幅された後、処理制御系77kの画像データ処理部771入力され、この画像処理部で画像データに変換される。画像データ処理部771には、一次電子ビームを偏向させるための走査信号が更に供給されるので、画像データ処理部771は試料すなわちウエハWの面を表す画像を表示する。この画像を基準パターンと比較することにより、ウエハの欠陥を検出することができ、また、レジストレーションによりウエハWの被評価パターンを一次光学系72の光軸OAの近くへ移動され、ラインスキャンすなわち走査することによって試料の上面に形成されたパターンの線幅評価信号を取り出し、これを適宜に校正することにより、パターンの線幅を測定することができる。
最小線幅0.1μmのパターンを有するウエハを評価する場合、画素サイズを0.2μmとして高いスループットで評価を行うモードと、画素サイズを0.1μmとしてスループットは前記モードの1/4であるがより細かい評価ができるモード、更には画素サイズを0.05μmとしてスループットは2番目のモードより更に1/4に低下するが更に細かい評価が可能なモードがあると、装置としての利用価値が高くなる。
一方画素サイズを変えるとそれに連動してビーム寸法も変え、走査量も変える必要がある。走査量を変えるには偏向器に与える電圧を変えるだけで十分である。しかし、ビーム寸法を変えるには多くのパラメータを変える必要がある。
図40において、マルチ開口板723の複数の開口7231を通った一次電子ビームは縮小レンズ725と対物レンズ729によって縮小される。従ってこれら二つのレンズのズーム作用で縮小率を変え、0.05μm、0.1μm及び0.2μm画素寸法に適したビーム寸法になるよう縮小レンズ725及び対物レンズ729の条件を予め定めておいて記憶部に保持しておき、モードを変える毎に取り出して設定すればよい。また、二次光学系について言えば、対物レンズは一次光学系の条件で決まるので、二次光学系には上記方法は使用できない。二次光学系ではE×B分離器727の後に設けられた少なくとも1段のレンズで、試料から試料面に垂直に放出された二次電子すなわち主光線が丁度二次光学系の第2のマルチ開口板745の各開口7451に入射するようにレンズ条件を決めればよい。これらのレンズ条件及び軸合わせ条件を三つのモードについてモード決定回路の記憶部777に保持すればよい。そして、オペレータコンソール778からの入力によりCPU776で制御して記憶部から取り出され、モードを変える毎に新しい値にセットし直される。
図41において、前記実施形態と同様のモード決定回路を単一の電子ビームを照射する走査型の電子線装置に適用した例が全体を70mで示されている。図41において、前記図40の実施形態の構成要素に対応する構成要素には同じ参照番号に接尾語mを付して示されている。
この実施形態において、コンデンサレンズ721mと対物レンズ729mは実質的に同じ構造になっているので、コンデンサレンズで代表して詳しく説明する。
静電軸対称レンズであるコンデンサレンズ721mは、セラミックス製の本体7210を備えている。この本体7210は中心部に円形穴7211を画成するように平面形状が環状に形成され、内周側が、図41において上下方向(光軸に沿う方向)に隔てられた三つの板状部分7212ないし7214に仕切られている。セラミックス製本体7210の外周、特に、板状部分7212ないし7214の周囲には金属のコーティング膜7212′ないし7214′が施されている。これらの、コーティング膜7212′ないし7214′はそれぞれ電極として機能し、コーティング膜7212′及び7214′には接地側に近い電圧が印加され、真ん中のコーティング膜7213′には絶対値の大きい正又は負の高電圧が本体7210に設けられた電極金具7215によって印加され、それによってレンズの作用を行うようになっている。このようなレンズは、一体のセラミックスを削って同時に加工を行うため加工精度が良く、レンズ外径寸法を小さくできる。
上記実施形態の電子線装置ではレンズの外径寸法を小さくすることが可能になるので電子線装置を収納している鏡筒の外径寸法も小さくできる。したがって径の大きなウエハのような試料に対しては、一枚の試料に対して複数の鏡筒を配置することが可能になる。例えば、図42に示されるように、X方向に4個の鏡筒2を並べたものをY方向に2列、合計で8個の鏡筒701mを一枚の試料に対して配置する。この配置は、各光学系の光軸をX軸方向へ投影した場合の光軸間距離が全て等しくした配置である。このような配置にすることにより、何回かの機械的走査で未評価領域や重複評価領域を無くすことができる。そして、ウエハWを保持しているステージ(図示せず)をY方向に連続移動させ、X方向に各鏡筒で1.1mm幅の走査を行えば、1回の機械的走査で8mm幅の評価ができる。なお、50μm幅は重複して評価が行われる領域となる。
モード毎のレンズ条件及び軸合わせ条件等は予め測定し、処理制御系77mのモード決定回路775に属する記憶部777に保持しておき、オペレータコンソール778からの入力によりCPU776で制御して記憶部から取り出され、モードを変える毎に新しい値にセットし直される。
電子線装置の他の実施形態
図43及び図44において電子光学装置すなわち電子線装置の他の実施形態が全体を70nで示されている。同図において、図8に示された電子線装置と同じ構成部分には同じ参照番号を付して示し、それらの構造及び機能の詳細な説明は省略する。また、異なる構成部分には対応する参照番号に接尾語nを付して示す。
この実施形態においては、ステージ装置及び対物レンズに関連してレーザー干渉型測距装置が設けられている点、及びクロスオーバーを形成する点P1にアパーチャプレートが配置されている点を除けば図8に示される電子光学装置と同じである。
図44において、図43に示した対物レンズ729nを構成する静電レンズの具体的構造を詳細に示している。対物レンズ729nは、光軸OAを中心とした軸対称構造に形成されており、図44においては、その右半分の断面図を示している。
対物レンズ729nは以下のようにして、作成される。まず、切削加工が可能なセラミックス材料に金属棒7299を埋め込みろう付けされた円筒形部品7290を作成する。そして、上部電極部7292、中央電極部7293、下部電極部7294、及び軸対称電極部7295を形成するように、セラミックス材料を旋盤加工する。次に、絶縁のためにセラミックス材料の表面を露出させる部分をマスキングして、残りの面を無電界メッキによって金属メッキを施し、これにより、上部電極7292’、中央電極7293’、下部電極9294’、及び軸対称電極7295’を形成する。
上部電極7292’には、その上面に接続されたリード線7296からの電圧が供給される。中央電極7293’及び下部電極7294’には、一対の金属棒7299を介してリード線7297からの電圧が供給される。なお、金属棒7299は真空シールを施す必要がない。軸対称電極7295’には、その下面に接続されたリード線7298から電圧が供給される。
このような構成を有するセラミックス製の円筒型部品を小型に作り、その外側に線膨張率が低いセラミックス部材7300(例えば、新日本製鐵社製のNEXCERAN113)を張り合わせる。そして、該セラミックス部材7300の外側に、平面的なレーザ固定鏡7301を接着固定する。セラミックス部材7300のレーザ光が当たる側を平面の鏡面に研磨することにより、レーザ固定鏡7301を形成してもよい。
レーザ固定鏡7301を対物レンズ729nに一体化(接着固定、又は一体構造化)することにより、ステージ装置の振動は勿論のこと、光学系がX−Y面方向に振動しても、該振動による電子ビームのずれをレーザ測長機で測定し電子ビーム位置に補正をかけることができる。すなわち、対物レンズ729nがX−Y方向に振動した場合でも、ステージ装置50nとの相対距離の変化がレーザ干渉型測距装置94で測定されているので、その変化を相殺するように、ビームに補正をかけることができる。これにより、光学系とステージとの相対微小振動を補正することができ、よって、光学系の振動による画像歪みを低減することができる。
図43に示す電子線装置を用いて試料としてのウエハWの表面に形成されたパターンの欠陥を検査する等の評価を行うには、静電偏向器733とウィーン・フィルタすなわちE×B分離器726の電磁偏向器728を連動させ且つステージ装置50nのX、Yテーブルを移動させて、複数の一次電子線によりウエハWの表面をX方向に走査しながら、ウエハWをY方向に連続的に移動させることにより、ウエハWの全表面を走査すればよい。すなわち、ステージ装置50を移動させてウエハWを走査開始端に位置させた後、一次電子線をX方向に且つ一次電子線の相互間隔、即ちLx(図9に図示)よりも僅かに大きい振幅で走査させながらステージ装置をY方向に連続的に移動させる。これにより、複数の一次電子線がX方向に走査する全距離に等しい幅wを有するY方向の領域が走査されたことになり、該領域での走査に伴う信号が検出器761から出力される。
次いで、ステージ装置を幅wに等しい距離だけX方向にステップ移動させた後、複数の一次電子線で幅wに等しい距離だけウエハWをX方向に走査しながらステージ装置50nのテーブルをY方向に連続的に移動させる。これにより、上記領域に隣り合う幅wの領域がX方向及びY方向に走査されたことになる。以下、同様の操作を反復することによってウエハWの全表面の走査を行い、走査の結果として検出器761から得られた信号を処理することで、ウエハWの評価を行うことができる。
なお、ステージ装置50nの移動を正確に制御するためにレーザー干渉型測距装置94を採用することが望ましい。そのために、ステージ装置のXテーブル及びYテーブルにレーザー移動鏡941を設けると共に、固定側の適所に、レーザー発振器943を内蔵するレーザー干渉型測距計942と、対物レンズに固定されたレーザー固定鏡946(図44の固定鏡7301と同じでよい)と、反射鏡944と、ダイクロイックミラー945とを図示のように設け、レーザー発振器943→ダイクロイックミラー945→反射鏡944→レーザー固定鏡946(7301)→反射鏡944→ダイクロイックミラー945→レーザー干渉型測距計942の経路を進行した光と、レーザー発振器943→ダイクロイックミラー945→レーザー固定鏡941→ダイクロイックミラー945→レーザー干渉型測距計942の経路を進行した光との干渉に基づいてステージ装置の位置を算出する。
図43に示したレーザー干渉型測長装置94では、図示の簡潔さのため、X軸及びY軸のいずれか1方向における測長手段のみを示し、他の1方向の測長装置は省略している。しかしながら、実際には、X軸及びY軸両方向の測長装置が設けられていることはいうまでもない。例えば、移動鏡941に関しては、ステージ装置のXテーブル及びYテーブルの直交する側面に各々X軸用及びY軸用の移動鏡が取り付けられる。
ウエハWが半導体ウェーハであるときには、上記の評価方法の代わりに、次のようにしてウエハWの評価を行ってもよい。すなわち、ウエハWの表面の適所にマーカーを設け、複数の一次電子線のうちマルチ開口板723の一つの開口で形成された電子線のみが前記マーカーを走査するようにして、そのときの検出器の出力を取り出し、マーカーの位置を検出する。これにより、ウエハWと一次電子線との位置関係を求めることができるので、ウエハWの表面に形成された回路パターンのX、Y方向の配置を予め求めておくことにより、当該回路パターンに合せて複数の一次電子線を正確に位置誘導し、回路パターン上を走査することにより、ウエハW上の回路バターンの評価を行うことができる。
また、レジストレーションによりウエハWの被評価パターンを一次光学系の光軸近くに移動させ、ウエハWを一次電子線でライン走査すると二次電子線が検出されるが、この二次電子線に対応する信号を検出して、ウエハWの面上の回路パターンの線幅を評価する信号を取り出し、この信号を適宜に校正することにより、ウエハWの面上のパターンの線幅を測定することができる。
図45において、前記実施形態の原理をと同様のモード決定回路を単一の電子ビームを照射する走査型の電子線装置に適用した例が全体を70pで示されている。図45において、前記図43の実施形態の構成要素に対応する構成要素には同じ参照番号に接尾語pを付して示されている。
電子銃71pはアノード713pとカソード711pとを備え、直径が10ミクロン程度の、クロスオーバーを有する一次電子線を放出する。こうして放出された一次電子線は軸合わせ用偏向器731p、731p′を経てコンデンサレンズ721pを通過し、コンデンサレンズ721pによって集束され、偏向器733p及びウィーンフィルタすなわちE×B分離器726pを通過した後、対物レンズ729pによって縮小されて、ステージ装置50上に載置されたウエハWの表面に形成された例えば矩形の複数の回路パターンの近傍に結像される。ウエハWに対して、偏向器10、40により、一次電子線による走査が行われる。
一次電子線による走査の結果、ウエハW上のパターンから放出された二次電子線は、対物レンズ729pの電界によって引かれて加速され、ウィーンフィルタ726によって光軸OAから逸れるように偏向されて一次電子線から分離される。こうして二次電子線は二次電子検出器761pによって検出される。二次電子用検出器761pは、入射した二次電子線の強度を表す電気信号を出力する。この検出器761pから出力された電気信号は、その対応の増幅器(図示せず)によって増幅された後、処理制御系77pの画像データ処理部771に入力される。
図45に示すように、電子銃71p、軸合わせ用偏向器731p、731p′、コンデンサレンズ721p、偏向器733p、ウィーンフィルタ726p、対物レンズ729p及び二次電子用の検出器761pは、ウエハWの所与の範囲に対応する径の鏡筒701p内に収納されて、一つの電子線走査検出系が構成され、一つの電子線走査検出系によって、ウエハW上の回路パターンが走査される。実際には、ウエハWの表面には複数のダイが形成されている。電子線走査検出系と同様の構成の電子線走査・検出系(図示せず)が、鏡筒701pと並列する形で、ウエハW上の異なるダイの同じ場所を走査するよう配置される。
電子線走査検出系については既に説明したとおりであるが、異なる点は、鏡筒当たり1ビーム・1検出器である各電子線走査・検出系内の二次電子検出系から出力された電気信号が処理制御系77の画像データ処理部771に入力されることである。そこで、画像データ処理部771は、それぞれの検出系から入力された電気信号を2値化情報へ変換し、この2値化情報を、電子線走査信号を参照して画像データに変換する。この実現のため、静電偏向器733pに与えられた信号波形が画像データ処理部771に供給される。ウエハWの表面に形成されたダイ毎に得られた画像データは、適宜の記憶手段に蓄積されると共に、基準のダイ・パターンと比較される。これにより、ウエハWの表面上に形成された複数のダイ・パターンの一つ一つについて欠陥を検出することができる。
なお、前記の実施形態と同様に、図45に示す実施形態においても、ウエハW上の或るダイ・パターンを表す画像データとの比較のために画像データ処理部771が使用する基準の回路パターンは種々のものを使用することができ、例えば、その画像データを生じる走査が行われたダイ・パターンのCADデータから得られた画像データを用いることができる。
ウィーンフィルタすなわちE×B分離器726pは静電偏向器728pとその周囲を取り巻くよう設置された電磁偏向器727pとを備えている。この電磁偏向器727pとして、例えば、白金合金を用いた永久磁石を電磁コイルの代わりに使用することが望ましい。これは、真空中で電流を流すことが適切でないからである。また、偏向器733pは一次電子線の方向を対物レンズ729pの軸と一致させるための軸合わせ装置と走査用装置を兼用する。
この記実施形態におけるコンデンサレンズ721p及び対物レンズ729pの製造方法は、図41に示された実施形態のコンデンサレンズ及び対物レンズの製造方法と同じでよいから、その詳細な説明は省略する。
このように、コンデンサレンズ721p及び対物レンズ729pをセラミックスの削り出しで作製するため、これらのレンズを高精度に加工することが可能であり、外径寸法を小さくすることができる。したがって、例えば、コンデンサレンズ2及び対物レンズ729pの外径を直径20mm以下にすると、直径200mmのウェーハの直径140mmの範囲を検査する場合には、図42に示されるように鏡筒を配列することによって、1枚のウエハに対して6個或いは8個の電子線装置を配置することができ、6倍或いは8倍のスループットを得ることができる。
なお、対物レンズ及びステージ装置に設けるレーザー反射鏡は、図46に示されるような製造プロセスで製造してもよい。
すなわち、図46に示すように、まず、SiCセラミックスを30mm×30mmの断面で長さが35cmになるように加工した(STP1)。そのレーザー反射面を粗面ではあるが平坦度の良い面に、細かいスリガラス状に研磨する(STP2)。次に、CVD装置によって、内部に形成されたボイドによる反射面の凹みや、粗面が十分埋まる程度(一例では、20μm厚)に、膜形成した(STP4)。ここで、凹み等が効率良く埋まるように、図示のように鉛直線と反射面とがほぼ45度の角度にした状態でミラーを傾けて長時間かけて膜形成した。
その後、鏡面研磨を行った(ステップSTP6)。CVDを取り付ける前の面は細かいスリガラス状であるので、研磨時に基体とCVD膜とがはがれることはない。鏡面研磨後は、多層膜、或いは、チタン、金等で反射膜を形成した(STP308)。
電子線装置の他の実施形態
図47において電子光学装置すなわち電子線装置の他の実施形態が全体を70qで示されている。同図において、図43に示された電子線装置と同じ構成部分には同じ参照番号を付して示し、それらの構造及び機能の詳細な説明は省略する。また、異なる構成部分には対応する参照番号に接尾語qを付して示す。
この実施形態においては、二次光学系74qのクロスオーバーを形成する点P4にアパーチャプレート747が配置されている点、二次光学系が静電偏向器746を備えている点、及び検出系に制御装置78が設けられている点を除けば図43に示される電子光学装置と同じである。
この実施形態において、検出器761の各検出器は、夫々の増幅器763を介して、検出信号を画像データに変換する処理制御系77qの画像データ処理部771に接続される。画像データ処理部には、一次電子線を偏向させるため偏向器733に与えられた走査信号と同じ信号が供給されるので、画像データ処理部771は、ビーム走査中に得られた検出信号からウエハWに形成されたパターンの二次電子パターン画像を構成することができる。
画像データ処理部771は、制御部780とデータ通信可能に接続される。この制御部780は、電子線装置全体を制御・管理すると共に、画像データ処理部により形成された二次電子パターン画像に基づいてウエハWの評価を実行する。
制御部780には、評価結果等を表示するための表示部782及びオペレータの指令を入力するための入力部781が接続されている。表示部782は、CRTや液晶ディスプレイ等で構成することができ、欠陥パターン、二次電子パターン画像、欠陥箇所の数などを表示することができる。
ウエハWは、ステージ装置50nの上に配置される。このステージ装置は、制御部78からの指令によりウエハWを載せた状態で水平面内をXY方向に移動可能に構成される。即ち、一次及び二次光学系に対しウエハWをXY方向に移動させることができる。ステージ装置及び対物レンズに関連して設けられるレーザー干渉型測距装置94は、図43に示された装置と構造及び機能が同じであるから、それらの詳細な説明は省略する。
移動鏡であるレーザー反射鏡941は、12インチウエハWを評価する場合、少なくとも30cm長を必要とし、更にYAW測定を行ったり、ステージ装置50nの固定マーカやファラディーカップ上に一次光学系の光軸OAを整列させるためには更に長くする必要があり、40cm程度になる場合が多い。本実施形態では、このように長いレーザー反射鏡941の基体を、その厚さを増加させることなく剛性の高いSiCセラミックスで形成する。ステージ装置の上面部材の側面を反射鏡として形成すると、更に剛性を向上させることができる。
固定鏡であるレーザー反射鏡946は、鏡筒の熱膨張による影響を回避するため、好ましくは、対物レンズ729の外筒に線膨張係数がほとんど0のセラミックスのリングを取り付け、そのリングに取り付ける。この固定鏡946を、移動鏡941と同様にSiCセラミックスで形成してもよい。
次に、上記実施形態に係る電子線装置の作用を説明する。図47より明らかなように、一次光学系の光路と二次光学系の光路とが共通の部分は、E×B分離器727から対物レンズ729を通りウエハWに至る部分であるので、共通の光学部品としては、最小限度に抑えることができた。その結果、対物レンズ729のレンズ条件を一次電子ビームに合わせたとしても、二次電子線の合焦条件は、拡大レンズ741及び743で調整可能となる。また、対物レンズ729への軸合わせは、偏向器733に軸合わせ電源電圧を重畳させ、一次電子ビームに有利なように軸合わせを行うが、一次電子ビーム用に軸合わせしたことに起因する二次光学系の軸の外れは、二次光学系の軸合わせ装置すなわち静電偏向器746によって補償することができる。
開口を決めるアパーチャプレート735、747は、一次電子ビームしか通らない、第1のクロスオーバー結像位置(開口アパーチャ4の設置位置)と、二次電子線しか通らない、第2のクロスオーバー結像位置(開口アパーチャ747の設置位置)とにそれぞれ設けたので、それぞれに最適なアパーチャ径を選択することができる。対物レンズ729の開口を、ここでのクロスオーバー径より十分大きい寸法とし、レンズ721及び725をズーム作用することでクロスオーバーサイズが対物レンズ729の位置で可変となるようにすることで、開口角を選択することができる。これによって、アパーチャを交換することなく、低収差と大ビーム電流とのトレードオフで定まる範囲の任意の最適値に、電気信号のみで調整することができる。
二次光学系の開口位置については、レンズ741及び743で二次電子像が検出器761に合焦する条件とする。そして、アパーチャ位置を光軸(Z)方向に移動させ、検査面が一様な放出特性を持つウエハを使用した場合、すべての二次電子強度が一様になる位置で固定すればよい。この位置が図示のようにウエハからの主光線が光軸と交わる光軸方向位置となる。
二次電子取得プロセスは、次の通りである。電子銃71から放出された一次電子線は、コンデンサレンズ721で収束され、位置P1でクロスオーバーを形成する。その途中で、一次電子線は、第1のマルチ開口板723の複数の開口7231を通過するので複数のビームが形成される。これら複数のビームは、縮小レンズ725によって点P2に合焦され、更に対物レンズ729を介してウエハW面上に縮小結像される。かくして、ウエハW上には、ほぼ同一強度に揃えられた一次電子線による複数の照射スポットが形成され、各照射スポットから二次電子が放出される。この間、静電偏向器733は、隣接するビーム間隔より僅かに広い領域を偏向させる。この偏向によって、ウエハ上の照射スポットはビームの並び方向を切れ目なく走査できる。
ウエハの各照射スポットから発生した二次電子のマルチビームは対物レンズ7の電界に引かれて細く集束され、E×B分離器726に至り、そこで生成された場(E×B)によって光軸OAに対して所定角度をなす方向に偏向され、二次光学系74qの光軸OAに沿って進行する。二次電子像は、点P2より対物レンズ729に近い点P3に焦点を結ぶ。これは、各一次電子線はウエハ面上で例えば500eVにエネルギーを持っているのに対し、二次電子線は一般に数eVのエネルギーしか持っていないためである。これらの二次電子のマルチビームは、拡大レンズ741及び743によって拡大され、第2のマルチ開口板745の複数の開口7451を通って検出器761で各々検出される。検出信号は、増幅器763を介して処理制御系77qの画像データ処理部771に送られて、二次電子画像パターンが形成される。
ステージ装置50nは、ウエハの検査面全体をマルチビームが走査可能となるように、同期的にウエハWを所定幅で逐次移動若しくは連続的に移動させる。このとき、レーザー干渉型測長装置94では、レーザー発振器943がレーザー光を発振する。発振されたレーザー光は、ハーフミラーすなわちダイクロイックミラー945により2ビームに分割される。ハーフミラー945を透過した一方のビームが移動鏡941に到達し、他方のビームが全反射ミラー944で反射されて固定鏡946に到達し、各々反射される。移動鏡941で反射されたビームは、ハーフミラー945を透過してレシーバーすなわちレーザー干渉型測距計942に導かれ、固定鏡946で反射されたビームは全反射ミラー944及びハーフミラー945で再び反射されてレシーバー942に導かれる。かくして、レシーバー942には、移動鏡941及び反射鏡946からの反射ビームの干渉光が検出される。検出信号は、制御部780に送られ、そこで、移動鏡941及び固定鏡946間のX及びY方向の距離、即ちステージ装置50nのXテーブル、YテーブルのXY座標位置が算出される。
制御部780は、ステージ装置のX、YテーブルのXY座標位置に基づいて、マルチビームの走査範囲に切れ目ができないようにステージ装置50nの移動を制御する。本実施形態では、レーザー反射鏡941、946の基体を、剛性の高いSiCで形成しているため、その厚さを増加させることなく鏡面の平面度を高精度に維持することができた。これによって、ステージ装置50nの高精度の位置制御が可能となり、正確な二次電子画像が得られる。また、レーザー反射鏡が薄くて済むため、スペースを取らない。更に、移動鏡941が軽量になるので、ステージ移動の負荷を軽減することができる。
以上のようにして形成された二次電子画像パターンに基づいて、制御部780は、例えば、以下のようなウエハの評価を行う。
パターンマッチングによるウエハWのパターン欠陥検査法では、制御部780が、そのメモリに予め蓄えられていた欠陥の存在しないウエハの二次電子線基準画像と、実際に検出された二次電子線画像とを比較照合し、両者の類似度を算出する。例えば、類似度が閾値以下になった場合、「欠陥有り」と判定し、閾値を超える場合には「欠陥無し」と判定する。このとき、表示部782に検出画像を表示してもよい。これによって、オペレータは、ウエハWが実際に欠陥を持つか否かを最終的に確認、評価することができる。更に、画像の部分領域毎を比較照合し、欠陥が存在する領域を自動的に検出してもよい。このとき、欠陥部分の拡大画像を表示部782に表示するのが好適である。
ウエハ上に形成されたパターンの線幅を測定する方法、及びパターンの電位コントラストを測定する方法は、図24に関連して説明した方法と同じでよいからその説明は省略する。
図47において、ブランキング用偏向器731を設け、この偏向器731によって一次電子線をクロスオーバー結像点のアパーチャプレート735のアパーチャに所定周期で偏向させ、当該ビームを短時間のみ通して他の時間は遮断することを繰り返すことによって、短いパルス幅のビーム束を作ることが可能となる。このような短パルス幅ビームを用いて上記したようなウエハ上の電位測定等を行えば、高時間分解能でデバイス動作を解析可能となる。即ち、本電子線装置をいわゆるEBテスターとして使用することができる。
電子線装置の他の実施形態
図48及び図49において電子光学装置すなわち電子線装置の他の実施形態が全体を70rで示されている。同図において、図43に示された電子線装置と同じ構成部分には同じ参照番号を付して示し、それらの構造及び機能の詳細な説明は省略する。
この実施形態においては、検出系に図40に示された電子線装置の設けられたモード決定回路と同様の制御装置775rが設けられている点を除けば図43に示される電子光学装置と同じである。したがって、以下においては、検出走査に関連した部分のみを説明する。
それぞれの検出器761は、入射した二次電子線の強度を表す電気信号を出力する。これらの電気信号は、それぞれ対応の増幅器763によって増幅された後、処理制御系77rの画像データ処理部771に入力される。画像データ処理部771は、それぞれの増幅器763から供給された電気信号を画像データに変換する。これは、画像データ処理部771には、一次電子線を偏向するため静電偏向器733に与えられる走査信号も供給されるためである。こうして、画像データ処理部771は、ウエハW上に形成された回路パターンそれぞれの画像データを同時に出力する。
画像データ処理部771から出力された複数の画像データは、制御装置775rのコンソール778rからの操作指令に従って動作するコンピュータ776rの制御の下で、記憶装置777rに順次取り込まれる。記憶装置777rは、このように回路パターンの走査にしたがって順次得られた画像データを蓄積するための画像メモリ部分と、走査によって得た画像データとの比較により異常パターンが存在するか否かを判定するための基準パターンを蓄積する基準パターン・データベースと、キラー欠陥と判定すべきパターン及び非キラー欠陥と判定すべきパターンを蓄積するための判定用パターン・データベースとを備える。そこで、コンピュータ776rは、或る回路パターンから得られた画像データを基準パターンの画像データと比較し、上記判定用パターン・データベースを用いて、キラー欠陥と非キラー欠陥とを識別するよう動作することができる。
また、コンピュータ776rは、図49に示す欠陥検査装置を用いてウエハWの表面に形成されたパターンの欠陥を検査する等の評価を行うことができるよう、一次電子線によるウエハWの走査を制御するようプログラムされている。すなわち、コンピュータ776rは、静電偏向器733とウィーンフィルタすなわちE×B分離器726の電磁偏向器727を連動させて、複数の一次電子線によりウエハWの表面をX方向に走査させながら、ステージ装置50nを制御してウエハWをY方向に連続的に移動させ、これによってウエハWの全表面の走査を行わせる。
具体的に説明すると、コンピュータ776rはステージ装置50nを移動させてウエハWを走査開始端に位置させた後、一次電子線をx方向に且つ一次電子線の相互間隔、Lx(図9に図示)よりも僅かに大きい振幅で走査させながらステージ装置をY方向に連続的に移動させる。これにより、複数の一次電子線がX方向に走査する全距離に等しい幅wを有するy方向の領域が走査されたことになり、該領域での走査に伴う信号が検出器761から出力される。
次いで、ステージ装置50nのXテーブルを幅wに等しい距離だけX方向にステップ移動させた後、複数の一次電子線で幅wに等しい距離だけウエハWをX方向に走査しながらステージ装置のYテーブルをY方向に連続的に移動させる。これにより、上記領域に隣り合う幅wの領域がX方向及びY方向に走査されたことになる。以下、同様の操作を反復することによってウエハWの全表面の走査を行い、走査の結果として検出器761から得られた信号を処理することで、ウエハWの評価を行うことができる。
なお、ステージ装置の測距動作は図43に示された実施形態と同じであるから、その詳細な説明は省略する。
ウエハWが半導体ウェーハであるときには、次のようにしてウエハWの評価を行ってもよい。すなわち、ウエハWの表面の適所にマーカーを設け、複数の一次電子線のうちマルチ開口板723の一つの開口で形成された電子線のみが前記マーカーを走査するようにして、そのときの検出器の出力を取り出し、マーカーの位置を検出する。これにより、ウエハWと一次電子線との位置関係を求めることができるので、ウエハWの表面に形成された回路パターンX、Y方向の配置を予め求めておくことにより、当該回路パターンに合せて複数の一次電子線を正確に位置誘導し、回路パターン上を走査することにより、ウエハW上の回路パターンの評価を行うことができる。
また、レジストレーションによりウエハWの被評価パターンを一次光学系の光軸近くに移動させ、ウエハWを一次電子線でライン走査すると二次電子線が検出されるが、この二次電子線に対応する信号を検出して、ウエハWの面上のパターンの線幅を評価する信号を取り出し、この信号を適宜に校正することにより、ウエハWの面上のパターンの線幅を測定することができる。
なお、各二次電子線を第2のマルチ開口板745の対応する開口に結像させること、換言すると、二次電子線の軌道Tr2を第2のマルチ開口板745の各対応の開口に合わさせるのは、E×B分離器726の後に1個のレンズがあれば可能であり、拡大レンズ743の励起を変え且つクロスオーバーP3の位置を変更することにより、容易に行うことができる。こうした調整によって二次電子線の合焦条件が外れるが、第2のマルチ開口板745の開口の穴径を大きく作ることにより、二次電子検出効果を悪化させることはなく、これによって欠陥検査に不都合が生じることはない。
ここで、図49の[A]、[B]及び[C]を参照しながら、図48の電子線装置におけるコンピュータ776rがどのように動作してキラー欠陥と非キラー欠陥とを識別するかについて説明する。前述のとおり、ウエハW上の複数の半導体チップに対して、複数の一次電子線によって同時に走査が行われ、各半導体チップ上の回路パターンを表す画像データが記憶装置777rに蓄積されていく。そこで、オペレータは、記憶装置777rに各回路パターン全体又は一部の画像データが蓄積された適宜の時点に、コンソール778rからコンピュータ776rに対して欠陥検査を実施するよう指令する。これに応答して、コンピュータ776rは、
(1)記憶装置777rから、一つの半導体チップの回路パターンの画像データの一部と、それに対応する基準パターンの画像データとを読み出させ、
(2)それらの画像データどおしを比較し、
(3)比較の結果として、正常パターンと異常パターンとを識別して、異常パターンが存在する画像データを取り出し、
(4)取り出された画像データを記憶装置777r内の判定用パターン・データベースの内容と比較して、異常パターンがキラー欠陥と非キラー欠陥のいずれに該当するかを判定し、
(5)次いで、上記の(1)〜(4)の手順を、走査から得た画像データの全ての部分について実施して当該半導体チップの回路パターンの欠陥検査を終了し、(6)次いで、他の残りの半導体チップについて1個ずつ、走査から得られた画像データについて上記の(1)〜(5)の手順を反復して、全ての被検査対象の半導体チップの欠陥検査を終了するようプログラムされている。
ここで、異常パターンと判定された個所がキラー欠陥であるか、非キラー欠陥であるかを判定するアルゴリズムについて説明する。このアルゴリズムは、「得られた画像データは異常パターンであることを示しているが、当該個所は実際には導電性材質である場合が、かなりの確率で存在する」という経験則に基づいている。いま、或る回路パターンの走査の結果、異常パターンを含む画像として、図49の[A]、[B]及び[C]に示す3種類の画像が得られたとする。これらの図において、ハッチングの施されていない白地の矩形部分Ptnは正常パターンを表す画像であり、ハッチングの施された矩形部分Pta−1、Pta−2は異常パターンを表す画像である。異常パターンに対応する矩形部分のうち、[A]に示す矩形部分Pta−1は1個の矩形部分Ptnと接し、[B]に示す矩形部分Pta−1は矩形部分Ptnとは全く接していないが、[C]に示す矩形部分Pta−2は2個又はそれ以上の矩形部分Ptnと接している。そこで、上記の経験則に基づき、[A]及び[B]に示す矩形部分Pta−1は非キラー欠陥であるが、[C]に示す矩形部分はキラー欠陥Pta−2であると判定する。
コンタクト・ホール層の画像に関しては、コンピュータ776rは、上記のアルゴリズムに従い、コンタクト・ホールと重なりを有する異常パターンはキラー欠陥とし、コンタクト・ホールと接していない異常パターンは非キラー欠陥と判定するよう動作する。更に、ゲート層の場合には、コンピュータ776rは、ゲート・パターンから所定の距離以内に接近した異常パターンをキラー欠陥を表すものと判定し、したがって、ゲート・パターンから所定の距離以上離れた異常パターンは非キラー欠陥と判定するよう動作する。
なお、記憶装置777r内の判定用パターン・データベースは、コンピュータ776rが欠陥検査のために作動している期間に、キラー欠陥及び非キラー欠陥と判定すべき新たな異常パターンが見出されると、その新たな異常パターンを追加することによって更新される。
電子線装置の他の実施形態
図50ないし図52において電子光学装置すなわち電子線装置の他の実施形態が全体を70sで示されている。同図において、図8に示された電子線装置の構成要素と対応する構成部分には同じ参照番号sを付して示し、それらの構造及び機能の詳細な説明は省略する。
図50において、71sは電子ビームを放出する電子銃、72sは一次光学系、723sは複数の小さな開口が設けられたマルチ開口板、721sはレンズ、731s及び733sは電磁偏向器、726sはE×B分離器、729sは対物レンズ、74sは二次光学系、741s及び743sはレンズ、761sは二次電子ビームを検出する検出器である。771sは処理制御系77sの画像形成装置、779sは走査制御装置であり、走査制御装置779sは、電子ビームを走査するための走査信号を偏向器731s及び733sに供給するためのものである。マルチ開口板723sは、図51の[A]に示すように、例えば9個(3×3)の開口、又は図51[B]に示されるように、7個(1×7)の開口が設けられている。なお、これら開口の配置及び個数は、図51のものに限定されず、適宜のものを採用可能である。
図50の装置において、電子銃71sから放出された電子ビームから、開口板723sの複数の開口によって、複数のビームが形成され、これら電子ビームは、レンズ721s、729sによってウエハWの表面に結像され、また、偏向器731s及び733sによって、複数の電子ビームは、ウエハ面を同時に走査される。ウエハWを保持したステージを固定した状態で、偏向器731s及び733sは走査制御装置779sにより制御され、電子ビームをX軸方向及びY軸方向に走査させる。これにより、ウエハWを固定した状態で、時点tにおいてウエハ表面に形成されたスポットとスポットとの間に、時点t、t、……において、順次スポットが形成され、結局、ウエハW表面の所定のエリア内のすべての点に電子ビーム・スポットが結像される。次いで、ウエハWを載置したステージが移動され、前回走査されたエリアに隣接するエリアが、同様にして走査される。
ウエハW上に電子ビームが結像されることによって放出された二次電子ビームは、E×B分離器726sによって偏向され、二次光学系のレンズ741s、743sによって検出器761sにより検出され、電気信号に変換されて検出器出力信号として画像形成装置771sに供給される。
図50の装置においては、例えば図51[A]に示した9個の開口が設けられたマルチ開口板723sを用いて、ウエハ表面に9個の電子ビーム・スポットを結像するよう構成され、マルチ開口板723sの開口の配列に対応して、検出器761sには、これら9個のスポットからの2次電子ビームをそれぞれ検出するように、9個の検出素子が設けられている。
画像形成装置771sには、走査制御装置779sからの走査信号も供給されており、検出器出力信号は、走査信号に対応づけられピクセル位置の信号として、画像データ記憶装置(不図示)に格納される。これにより、ウエハWの表面画像が画像形成装置771sにより形成される。
このようにして形成されたウエハ表面の画像は、一致/不一致検出装置(不図示)において、予め格納されている標準のすなわち無欠陥の画像パターンとピクセル毎に対比され、不一致のピクセルが検出された場合に、ウエハに欠陥があると認定している。また、ウエハ表面の画像をモニタ・スクリーンに表示し、経験を積んだオペレータ等が画像を監視してウエハ表面の欠陥を検査してもよい。
さらに、ウエハ上に形成された配線パターン及び電極パターン等の線幅を測定する場合、評価すべきパターン部分を光軸上又はその間近に移動させ、該部分をラインス・キャンすることによって線幅評価用の電気信号を取り出し、必要に応じて較正を行うことによって、線幅を測定する。
このような構成を有する評価装置において、本発明においては、加工装置によって加工されたウエハ表面を検査するために、評価装置を加工装置の近傍に配置し、しかも、評価装置全体の動作を制御装置(不図示)によって、該加工装置の1枚当たりの加工時間にぼほ等しい検査時間となるように、ウエハ表面の所定の位置又は複数のエリアからなる領域のみを検査するよう制御する。この制御においては、まず、評価装置のステージ上にウエハを固定し、評価装置の制御装置に、ウエハの必要最小の評価項目とウエハの1枚当たりの加工所要時間とを入力する評価項目は、例えば、加工装置がリソグラフィ装置であれば、最小線幅のバラツキであり、加工装置がエッチング装置であれば、欠陥検査である。次いで、制御装置は、入力された評価項目と入力された加工所要時間に基づいて、ウエハの1枚当たりの加工状態評価時間が加工所要時間以内又はほぼ等しくなるように、ウエハの評価面積すなわち検査領域を設定する。
所定の領域のみを検査するため、ウエハWを評価装置中で移動させる範囲が少なくなるので、ウエハ表面全体を検査する場合と対比して、評価装置の床面積を小さくすることができる。また、評価時間と加工時間をほぼ一致させるため、評価装置のスループットが加工装置のスループットとほぼ一致し、したがって、欠陥が発見された場合等において、欠陥状態に対応して加工装置の動作異常等を発見することが容易となる。
なお、図50に示した電子線装置を1ユニットして備える鏡筒を、図52に示されるようにアレイ状に複数個配置することによって、検査装置を構成することもできる。すなわち、図52[A]は、マルチ開口板723の開口が、図51[A]に示した9個である場合の鏡筒を6個、2行3列に配置した場合の、ウエハW上の電子ビーム・スポットの状態を模式的に示している。一方、図52[B]は、マルチ開口板723sの開口が、図51[B]に示した一列7個である場合の鏡筒を4個、1行4列に配置した場合の、ウエハW上の電子ビーム・スポットの状態を模式的に示している。
図52において、各鏡筒によって生じるビーム・スポットのグループは、符号BGで示した円形で表しており、各円形の中心から伸びる直線Rは、各鏡筒における二次電子ビームの放出方向、すなわち、図50のレンズ741s及び743s並びに検出器761sからなる二次電子ビーム検出系の配置方向を示している。図52[A]及び[B]に示したように、二次電子ビーム検出系は、相互に干渉しないように配置されており、これにより、複数の鏡筒を効率よく配置することができ、したがって、評価装置全体の床面積を必要以上に大きくすることがない。
なお、複数の鏡筒の配置関係及び個数は、図52の[A]及び[B]で示したビーム・スポットが得られるものに限定されないことは勿論である。図52の[B]に示したような1xNの鏡筒を用いた場合、ウエハWは必要に応じて矢印a方向に連続移動される。
複数の光学系を用いた第2の実施例においても、第1の実施例の場合と同様に、評価装置は加工装置の近傍に配置され、しかも、制御装置(不図示)によって、該加工装置の1枚当たりの加工時間にぼほ等しい検査時間となるように、動作が制御される。この場合、加工時間によっては、ウエハ表面全体を検査しても、ウエハ表面の所定の領域のみを検査してもよく、要は、1枚当たりの加工時間と検査時間とがほぼ一致するように制御すればよい。この場合も、ウエハWを移動させる範囲が少なくなり、評価装置の床面積を小さくすることができる。また、評価装置のスループットが加工装置のスループットとほぼ一致するので、欠陥が発見された場合等において、加工装置の動作異常等を発見することが容易となる。
また、加工時間が特に短い加工装置での加工状態を評価するには、2枚に1枚、あるいは3枚に1枚等のように、抜き取り検査を行って、1ロット当たりのスループットを一致させてもよい。
電子線装置の他の実施形態
次に、図53ないし図59を参照して、ウエハに形成されたパターンの欠陥検査に付いて詳しく説明する。なお、図53では、検査装置を、いわゆるマルチビーム型の電子線装置に適用した例を全体を70tで示し、先の実施形態の構成要素に対応する構成要素には同じ参照番号に接尾語tを付して示し、それらの構造及び機能の詳細な説明は省略し、新たに加わった事項のみ詳細に説明する。
図53おいて、71tは次電子線を放出する電子銃、721tは放出された一次電子線を集束させる静電レンズ、726tは形成された一次電子線を電場E及び磁場Bの直交する場で半導体ウエハWに略垂直に当たるように直進させるE×B偏向器、729tは偏向された一次電子線をウエハW上に結像させる対物レンズ、50tはウエハWを載置した状態で水平面内で移動するステージ装置、741tは一次電子線の照射によりウエハWから放出された二次電子線を結像させる静電レンズ、761tは結像された各像について各ビームの強度を個別に検出する検出器である。検出器761tからの信号は画像形成回路765tに入力され二次電子画像が形成される。この実施形態の電子線装置は、更に、装置全体を制御すると共に検出器761tにより検出された二次電子画像に基づいてウエハWの欠陥を検出する処理を実行する処理制御系77tを含んでいる。なお、上記二次電子画像には、二次電子だけでなく散乱電子や反射電子による画像を取得できるが、ここでは二次電子画像取得を選択した場合について述べる。
また、対物レンズ729tとウエハWとの間には、一次電子線のウエハWへの入射角度を電場等によって偏向させる偏向電極733tが介在されている。この偏向電極733tには、該偏向電極の電場を制御する偏向制御器75tが接続されている。この偏向制御器75tは、処理制御系77tに接続され、その処理制御系77tからの指令に応じた電場が偏向電極733tで生成されるように該偏向電極を制御する。なお、偏向制御器75tは、偏向電極733tに与える電圧を制御する電圧制御装置として構成することができる。
検出器761tは、静電レンズ741tによって結像された二次電子画像を後処理可能な信号に変換することができる限り、任意の構成とすることができる。
処理制御系77tは、図53に例示されたように、汎用的なパーソナルコンピュータ等から構成することができる。このコンピュータは、所定のプログラムに従って各種制御、演算処理を実行する制御部本体791と、本体791の処理結果を表示するCRT796と、オペレータが命令を入力するためのキーボードやマウス等の入力部797と、を備える。勿論、欠陥検査装置専用のハードウェア、或いは、ワークステーションなどから処理制御系77tを構成してもよい。
制御部本体791は、図示しないCPU、RAM、ROM、ハードディスク、ビデオ基板等の各種制御基板等から構成される。RAM若しくはハードディスクなどのメモリ上には、検出器761tから受信した電気信号即ちウエハWの二次電子画像のデジタル画像データを記憶するための二次電子画像記憶領域792が割り当てられている。また、ハードディスク上には、予め欠陥の存在しないウエハの基準画像データを記憶しておく基準画像記憶部793が存在する。更に、ハードディスク上には、欠陥検査装置全体を制御する制御プログラムの他、記憶領域792から二次電子画像データを読み出し、該画像データに基づき所定のアルゴリズムに従ってウエハWの欠陥を自動的に検出する欠陥検出プログラム794が格納されている。この欠陥検出プログラム794は、詳細を更に後述するように、基準画像記憶部793から読み出した基準画像と、実際に検出された二次電子線画像とをマッチングして、欠陥部分を自動的に検出し、欠陥有りと判定した場合、オペレータに警告表示する機能を有する。このとき、CRT796の表示部に二次電子画像EImを表示するようにしてもよい。
次に、第1実施形態に係る欠陥検査装置の作用を図55乃至図57のフローチャートを例にして説明する。
先ず、図55のメインルーチンの流れに示すように、検査対象となるウエハWをステージ装置50tの上にセットする(ステップ1000)。これは、先に説明したローダーによりウエハWを一枚毎に自動的にステージ装置50上にセットする形態であってもよい。
次に、ウエハW表面のXY平面上で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の画像を各々取得する(ステップ1002)。これら画像取得すべき複数の被検査領域とは、図59に示すように、例えばウエハ検査表面TS上に、参照番号RA1、RA2、...RAk、...で示す矩形領域のことであり、これらは、ウエハの検査パターンTPtの回りで、部分的に重なり合いながら位置がずらされていることがわかる。例えば、図54に示されたように、16個の被検査領域の画像TAI(被検査画像)が取得される。ここで、図54に示す画像は、矩形の桝目が1画素(或いは、画素より大きいブロック単位でもよい)に相当し、このうち黒塗りの桝目がウエハW上のパターンの画像部分に相当する。このステップ1002の詳細は図56のフローチャートで後述する。
次に、ステップ1002で取得した複数の被検査領域の画像データを記憶部793に記憶された基準画像データと、各々比較照合し(図55のステップ1004)、上記複数の被検査領域により網羅されるウエハ検査面に欠陥が有るか否かが判定される。この工程では、いわゆる画像データ同士のマッチング処理を実行するが、その詳細については図57のフローチャートで後述する。
ステップ1004の比較結果より、上記複数の被検査領域により網羅されるウエハ検査面に欠陥が有ると判定された場合(ステップ1006肯定判定)、オペレータに欠陥の存在を警告する(ステップ1008)。警告の方法として、例えば、CRT796の表示部に欠陥の存在を知らせるメッセージを表示したり、これと同時に欠陥の存在するパターンの拡大した二次電子画像EImを表示してもよい。このような欠陥ウエハを直ちにステージ装置上から取り出し、欠陥の無いウエハとは別の保管場所に格納してもよい(ステップ1010)。
ステップ1004の比較処理の結果、ウエハWに欠陥が無いと判定された場合(ステップ1006否定判定)、現在検査対象となっているウエハWについて、検査すべき領域が未だ残っているか否かが判定される(ステップ1012)。検査すべき領域が残っている場合(ステップ1012肯定判定)、ステージ装置50tを駆動し、これから検査すべき他の領域が一次電子線の照射領域内に入るようにウエハWを移動させる(ステップ1014)。その後、ステップ1002に戻って当該他の検査領域に関して同様の処理を繰り返す。
検査すべき領域が残っていない場合(ステップ1012否定判定)、或いは、欠陥ウエハの抜き取り工程(ステップ1010)の後、現在検査対象となっているウエハWが、最終のウエハであるか否か、即ち図示しないローダーに未検査のウエハが残っていないか否かが判定される(ステップ1016)。最終のウエハでない場合(ステップ1016否定判定)、検査済みウエハを所定の格納箇所に保管し、その代わりに新しい未検査のウエハをステージ装置にセットする(ステップ1018)。その後、ステップ1002に戻って当該ウエハに関して同様の処理を繰り返す。最終のウエハであった場合(ステップ1016肯定判定)、検査済みウエハを所定の格納箇所に保管し、全工程を終了する。
次に、ステップ1002の処理の流れを図56のフローチャートに従って説明する。
図56では、先ず、画像番号iを初期値1にセットする(ステップ1020)。この画像番号は、複数の被検査領域画像の各々に順次付与された識別番号である。次に、セットされた画像番号iの被検査領域について画像位置(X,Y)を決定する(ステップ1022)。この画像位置は、被検査領域を画定させるための該領域内の特定位置、例えば該領域内の中心位置として定義される。現時点では、i=1であるから画像位置(X,Y)となり、これは例えば図59に示された被検査領域RA1の中心位置に該当する。全ての被検査画像領域の画像位置は予め定められており、例えば処理制御系77tのハードディスク上に記憶され、ステップ1022で読み出される。
次に、図53の偏向電極733tを通過する一次電子線がステップ1022で決定された画像位置(X,Y)の被検査画像領域に照射されるように、偏向制御器75tが偏向電極733tに電位を加える(図56のステップ1024)。
次に、電子銃71tから一次電子線を放出し、静電レンズ721t、E×B分離器726t、対物レンズ729t及び偏向電極733tを通して、セットされたウエハW表面上に照射する(ステップ1026)。このとき、一次電子線は、ウエハ検査表面TS上の画像位置(X,Y)の被検査画像領域に照射される。画像番号i=1の場合、被検査領域はRA1となる。
一次電子線が照射された被検査領域からは二次電子が放出される。そこで、発生した二次電子線を拡大投影系の静電レンズ741tにより所定の倍率で検出器761tに結像させる。検出器761tは、結像された二次電子線を検出し、検出素子毎の電気信号即ちデジタル画像データに変換出力する(ステップ1028)。そして、検出した画像番号iのデジタル画像データを二次電子画像記憶領域792に転送する(ステップ1030)。
次に、画像番号iを1だけインクリメントし(ステップ1032)、インクリメントした画像番号(i+1)が一定値iMAXを越えているか否かを判定する(ステップ1034)。このiMAXは、取得すべき被検査画像の数であり、図54の上述した例では、「16」である。
画像番号iが一定値iMAXを越えていない場合(ステップ1034否定判定)、再びステップ1022に戻り、インクリメントした画像番号(i+1)について画像位置(Xi+1,Yi+1)を再び決定する。この画像位置は、前のルーチンで決定した画像位置(X,Y)からX方向及び/又はY方向に所定距離(ΔX,ΔY)だけ移動させた位置である。図59の例では、被検査領域は、(X,Y)からY方向にのみ移動した位置(X,Y)となり、破線で示した矩形領域RA2となる。なお、(ΔX,ΔY)(i=1,2,...iMAX)の値は、ウエハ検査面TSのパターンTPtが検出器761tの視野から実際に経験的にどれだけずれるかというデータと、被検査領域の数及び面積から適宜定めておくことができる。
そして、ステップ1022乃至1032の処理をiMAX個の被検査領域について順次繰り返し実行する。これらの被検査領域は、図59に示すように、k回移動した画像位置(X,Y)では被検査画像領域RAkとなるように、ウエハの検査面TS上で、部分的に重なり合いながら位置がずらされていく。このようにして、図54に例示した16個の被検査画像データが画像記憶領域792に取得される。取得した複数の被検査領域の画像TAI(被検査画像)は、図54に例示されたように、ウエハ検査面TA上のパターンTPtの画像Iptを部分的若しくは完全に取り込んでいることがわかる。
インクリメントした画像番号iがiMAXを越えた場合(ステップ1034肯定判定)、このサブルーチンをリターンして図55のメインルーチンの比較工程(ステップ1004)に移行する。
なお、ステップ1030でメモリ転送された画像データは、検出器761tにより検出された各画素毎の二次電子の強度値(いわゆるベタデータ)からなるが、後段の比較工程(図55のステップ1004)で基準画像とマッチング演算を行うため、様々な演算処理を施した状態で記憶領域792に格納しておくことができる。このような演算処理には、例えば、画像データのサイズ及び/又は濃度を基準画像データのサイズ及び/又は濃度に一致させるための正規化処理や、所定画素数以下の孤立した画素群をノイズとして除去する処理などがある。更には、単純なベタデータではなく、高精細パターンの検出精度を低下させない範囲で検出パターンの特徴を抽出した特徴マトリクスにデータ圧縮変換しておいてもよい。このような特徴マトリクスとして、例えば、M×N画素からなる2次元の被検査領域を、m×n(m<M,n<N)ブロックに分割し、各ブロックに含まれる画素の二次電子強度値の総和(若しくはこの総和値を被検査領域全体の総画素数で割った正規化値)を、各マトリックス成分としてなる、m×n特徴マトリックスなどがある。この場合、基準画像データもこれと同じ表現で記憶しておく。本発明の実施形態でいう画像データとは、単なるベタデータは勿論のこと、このように任意のアルゴリズムで特徴抽出された画像データを包含する。
次に、ステップ1004の処理の流れを図57のフローチャートに従って説明する。
先ず、処理制御系77tのCPUは、基準画像記憶部793(図53)から基準画像データをRAM等のワーキングメモリ上に読み出す(ステップ1040)。この基準画像は、図54では参照番号SImで表される。そして、画像番号iを1にリセットし(ステップ1042)、記憶領域792から画像番号iの被検査画像データをワーキングメモリ上に読み出す(ステップ1044)。
次に、読み出した基準画像データと、画像iのデータとをマッチングして、両者間の距離値Dを算出する(ステップ1046)。この距離値Dは、基準画像と、被検査画像iとの間の類似度を表し、距離値が大きいほど基準画像と被検査画像との差異が大きいことを表している。この距離値Dとして類似度を表す量であれば任意のものを採用することができる。例えば、画像データがM×N画素からなる場合、各画素の二次電子強度(又は特徴量)をM×N次元空間の各位置ベクトル成分とみなし、このM×N次元空間上における基準画像ベクトル及び画像iベクトル間のユークリッド距離又は相関係数を演算してもよい。勿論、ユークリッド距離以外の距離、例えばいわゆる市街地距離等を演算することもできる。更には、画素数が大きい場合、演算量が膨大になるので、上記したようにm×n特徴ベクトルで表した画像データ同士の距離値を演算してもよい。
次に、算出した距離値Dが所定の閾値Thより小さいか否かを判定する(ステップ1048)。この閾値Thは、基準画像と被検査画像との間の十分な一致を判定する際の基準として実験的に求められる。距離値Dが所定の閾値Thより小さい場合(ステップ1048肯定判定)、当該ウエハWの当該検査面TSには「欠陥無し」と判定し(ステップ1050)、本サブルーチンをリターンする。即ち、被検査画像のうち1つでも基準画像と略一致したものがあれば、「欠陥無し」と判定する。このように全ての被検査画像とのマッチングを行う必要が無いので、、高速判定が可能となる。図54の例の場合、3行3列目の被検査画像が、基準画像に対して位置ずれが無く略一致していることがわかる。
距離値Dが所定の閾値Th以上の場合(ステップ1048否定判定)、画像番号iを1だけインクリメントし(ステップ1052)、インクリメントした画像番号(i+1)が一定値iMAXを越えているか否かを判定する(ステップ1054)。
画像番号iが一定値iMAXを越えていない場合(ステップ1054否定判定)、再びステップ1054に戻り、インクリメントした画像番号(i+1)について画像データを読み出し、同様の処理を繰り返す。
画像番号iが一定値iMAXを越えた場合(ステップ1054肯定判定)、当該ウエハWの当該検査面TSには「欠陥有り」と判定し(ステップ1056)、本サブルーチンをリターンする。即ち、被検査画像の全てが基準画像と略一致していなければ、「欠陥有り」と判定する。
なお、上記実施形態では、検査方法を一つのタイプのマルチビーム型の電子線装置に関連して説明したが、この実施形態の検査方法は、例えば、図45で例示した走査型の電子線装置に適用することができる。しかしながら、ここでは簡略化のためにそのような電子線装置の例示は省略する。
なお、上記実施形態の説明では、それぞれが単独で特徴的部分を備える電子線装置につき別々に説明してきたが、1台の電子線装置に前記複数の特徴的部分を組み合わせて持たせてもよい。
発明の効果
本発明による基板検査方法、基板検査装置及びその装置に使用する荷電粒子線装置によれば、次のような効果を奏することが可能である。
(1)複数の一次荷電粒子線である電子線を同時に試料に走査して照射させることにより、サブ画像データを得、該サブ画像データをそのX−Y座標を考慮して並び替え合成してウエハの検査領域の画像データを得ることができるので、スループットが格段に向上できる。
(2)荷電粒子線である電子銃を空間電荷制限領域で動作させており、これにより、従来の温度制限領域で動作させる場合に比べて、S/N比が大幅に向上する。したがって、少ないビーム電流で従来例と同様のS/N比を得ることができる。
(3)複数の一次電子ビームを用いて同時に試料ウエハを走査しても、小さいビーム電流で所定のS/N比を得ることができるので、空間電荷効果によるビームボケを無視できる程度に小さくすることができる。
(4)電子線装置を、スループットは小さいが細かい評価が可能なモードとスループットは大きいが粗い評価となるモードとを迅速に選択して動作させるすることができ、試料の検査、評価を効率よく行うことができる。
(5)単一の絶縁体を削って静電レンズをつくるので、高精度のレンズを小径にすることができるので、電子線装置を小型化でき、大径のウエハに対しては複数の鏡筒を同時に配置して検査、評価を高いスループットで行える。
(6)試料の表面に形成された回路パターンを、0、1情報ではなく矩形パターン情報として得るようにしたので、該画像パターンを蓄積するメモリの容量、データ転送速度及びデータ比較速度を大幅に向上させることが可能である(この効果は、コンタクトホール層やゲート層のようなパターン密度の低いレイヤにおいて特に顕著である)。
(7)二次電子像を少なくとも一段のレンズで拡大するようにしたので、一次光学系のレンズ条件の調整とは別個に、二次光学系の合焦条件や拡大率を調整することができ、したがって、これらの設計値からのズレを補正することができ、また、欠陥を分類して致命的欠陥を正確、迅速に検出することができる。
(8)半導体デバイスの製造において、欠陥が発生し易い領域のみを集中的に検査可能なので検査時間を短くして、しかも、検出が必要とされる欠陥を実質的に全部検出できる。
(9)レーザー干渉型測距装置で用いられるレーザー反射鏡に剛性の高いSiCセラミックスの基体を用いたので、基体を厚くする必要無しに鏡面の歪みや反りを無くして平面の精度を上げることができ、位置測定の誤検出を防止すると共に、ステージの軽量化及びステージ移動の際のスペースの確保が図れる。
また、本発明のレーザー反射鏡は、SiCセラミックスの基体に更にSiCで膜形成した後、鏡面研磨を行うことにより形成されるので、経年変化で膜がはがれるおそれが無くなるという優れた効果が得られる。更に、SiCの膜形成において、基体の面に対し斜めとなる種々の方向からSiCを堆積させるようにすれば、ボイドによる鏡面の凹みが適切に解消され、鏡面の平面度を高精度に保つことが可能となる。
また、一次光学系と二次光学系との共通部分を必要最小限としたので、上記効果に加えて、一次光学系と二次光学系とをほぼ独立に調整することができ、この場合、二次光学系の試料面換算での分解能より一次電子マルチビームの間隔を大きくすることによって、ビーム間のクロストークを生じなくさせることができる。
(10)一つの電子光学鏡筒に、一体のセラミックスを加工して、その表面に選択的に金属コーティングを行うことにより外径を小寸法に加工された軸対称レンズを少なくとも1段備えるようにしたので、上記効果に加え、一枚の試料上に複数の電子光学鏡筒を並設可能になり、試料の検査、評価のスループットを向上させることができる、という優れた効果が得られる。
(11)更に本発明のデバイス製造方法によれば、上記電子線装置を用いて加工中又は完成品のウェーハを高スループットで高精度に評価することができるので、製品の歩留向上及び欠陥製品の出荷防止が可能となる、という優れた効果が得られる。
(12)最小線幅が0.1ミクロン以下の領域であっても、キラー欠陥と非キラー欠陥との識別を自動的に行うことができるので、信頼性の高い欠陥検査を実施することが可能になる。
(13)欠陥検査期間中にキラー欠陥と非キラー欠陥との新たなパターンが見出される度に、それらのパターンをデータベースに追加することができるので、ユーザーフレンドリな装置を提供することが可能になる。
(14)隣接する二次電子線から取得された画像データを用いて不一致部や欠陥を検出することができるので、画像データを蓄積するためのメモリ容量を小さくすることが可能である、
(15)対物レンズとして用いる静電レンズの少なくとも外側を線膨張率が低いセラミックス材料で形成し、該材料にレーザ固定鏡を取り付けるか又はセラミックス材料に鏡面加工を施してレーザ固定鏡を形成しているので、温度安定性が低い環境であっても、また、光学系と試料室との間に相対的振動が生じても、試料の正確な評価を行うことができる。
(16)1台の装置により、欠陥検出、欠陥レビュー、パターン線幅測定、パターン電位測定等多目的の検査、測定及び評価を行うことができるので、検査装置によりクリーンルーム内に多くの床面積を占めることがなく、それ故、デバイス製造装置を多く配置することができ、クリーンルームの有効利用を図ることができる。
また、鏡筒を複数配置し、各鏡筒に試料表面を照射するマルチビーム及び対応する複数の検出素子を設けることにより、検査工程のスループット(単位時間当たりの検査量)を高めることがきる。
(17)電子線装置及び検査装置を小型化することができるとともに、電子線装置のスループットをウエハの加工装置のスループットと整合させることができ、これにより、欠陥を有するウエハが検出された時点で、リアルタイムで加工装置の動作をチェックすることができるので、欠陥を有するウエハを不要に製造しつづける恐れが低減する。
(18)ステージ装置が真空内で高精度な位置決め性能を発揮することができ、更に、荷電ビーム照射位置の圧力が上昇しにくくでき、それによって、試料に対する荷電ビームによる処理を高精度に行うことができる。
(19)静圧軸受け支持部から放出されたガスが仕切りを通過して荷電ビーム照射領域側に通過することがほとんどできない。これによって荷電ビーム照射位置の真空度を更に安定させることができる。
(20)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビームの照射領域の真空度が安定した検査装置を実現することができるので、検査性能が高く、試料を汚染する恐れのない検査装置を提供することができる。
(21)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビーム照射領域の真空度が安定した露光装置を実現することができるので、露光精度が高く、試料を汚染する恐れのない露光装置を提供することができる。
(22)大気中で一般に用いられる静圧軸受け式のステージと同様の構造を持ったステージ(差動排気機構を持たない静圧軸受け支持のステージ)を使用して、ステージ上の試料に対して荷電ビームによる処理を安定に行うことができる。
(23)荷電粒子線照射領域の真空度に対する影響を最小限に抑えることが可能になり、荷電ビームによる試料への処理を安定化させることができる。
(24)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビーム照射領域の真空度が安定した露光装置を安価に提供することができる。
(25)試料上で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の画像を各々取得し、これらの被検査領域の画像と基準画像とを比較することによって、試料の欠陥を検査するようにしたので、被検査画像と基準画像との位置ずれによる欠陥検査精度の低下を防止できる、という優れた効果が得られる。
(26)上記荷電粒子線装置を用いて加工中又は完成品のウェーハを評価するようにしたので、高精度な評価が可能となり、デバイス製造の歩留まりを向上させると共に、欠陥製品の出荷を未然に防止することができる。という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明による検査装置の主要構成要素を示す立面図であって、図2の線A−Aに沿って見た図である。
図2は、図1に示す検査装置の主要構成要素の平面図であって、図1の線B−Bに沿って見た図である。
図3は、カセットホルダの変形例を示す断面図である。
図4は、図1のミニエンバイロメント装置を示す断面図であって、線C−Cに沿って見た図である。
図5は、図1のローダハウジングを示す図であって、図2の線D−Dに沿って見た図である。
図6は、ウエハラックの拡大図であって、[A]は側面図で、[B]は[A]の線E−Eに沿って見た断面図である。
図7は、主ハウジングの支持方法の変形例を示す図である。
図8は、図1の検査装置の電子光学装置の概略構成を示す模式図である。
図9は、図8の電子光学装置の一次光学系に使用されているマルチ開口板の開口の位置関係を示す図である。
図10は、図8の電子光学装置の電子銃を駆動する領域を説明する図である。
図11は、E×B分離器の説明図である。
図12は、ウエハへの一次電子線の走査照射方法を説明する図である。
図13は、図8に示した画像データ処理部の構成を示すブロック図である。
図14は、図13に示した画像データ並替手段の動作を説明するための説明図である。
図15は、電位印加機構を示す図である。
図16は、電子ビームキャリブレーション機構を説明する図であって、[A]は側面図であり、[B]は平面図である。
図17は、ウエハのアライメント制御装置の概略説明図である。
図18は、検査フローのブロック線図である。
図19は、本発明による半導体デバイスの製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
図20は、図19のウエハプロセッシング工程の中核をなすリソグラフィー工程を示すフローチャートである。
図21は、電子線装置の鏡筒の配列状態を示す図である。
図22は、検査方法の変形例における評価領域の説明図である。
図23は、図22における円Crで囲まれた部分の拡大図である。
図24[A]は、パターン線幅検査の説明図で、図24[B]は、パターンの電位コントラスト測定の説明図である。
図25は、本発明の基板検査装置に使用されるステージ装置の他の実施形態を示す図であって、[A]が正面図で[B]が側面図である。
図26は、図25に示される静圧軸受け部分の詳細を示す斜視図である。
図27は、本発明の基板検査装置に使用されるステージ装置の他の実施形態及び鏡筒先端の排気装置の実施形態を示す図である。
図28は、本発明の基板検査装置に使用されるステージ装置及び鏡筒先端の排気装置の他の実施形態を示す図である。
図29は、本発明の基板検査装置に使用されるステージ装置及び鏡筒先端の排気装置の更に別の実施形態を示す図である。
図30は、本発明の基板検査装置に使用されるステージ装置及び鏡筒先端の排気装置の更に別の実施形態を示す図である。
図31は、本発明の基板検査装置に使用される別の実施形態の真空チャンバ及びXYステージを示す図である。
図32は、図31に示された装置に設けられた作動排気機構の一例を示す図である。
図33は、図31に示された装置のガスの循環配管系を示す図である。
図34は、本発明に係る電子線装置の他の実施形態を概略的に示す図である。
図35は、電位コントラスト測定時の電位分布を示す概略図である。
図36は、高時間分解能の電位測定時におけるブランキング偏向器に印可されるパルス電位と試料に入射するビーム電流との関係を示す図である。
図37は、本発明における検査手順を説明するためのフロー図である。
図38は、本発明に係る電子線装置の更に別の実施形態の概略構成図である。
図39は、本発明に係るウェーハ検査方法を説明する図であって、パターン欠陥検出を示す図である。
図40は、本発明に係る電子線装置の更に別の実施形態の模式図である。
図41は、図40の電子線装置の特徴を適用した走査型電子線装置の実施形態の模式図である。
図42は、図42電子線装置の光学系の配列状態を説明する図である。
図43は、本発明に係る電子線装置の更に別の実施形態を概略的に示す図である。
図44は、図43に示した電子線装置に具備される対物レンズを構成する静電レンズの構成を示す説明図である。
図45は、図43に示した装置の特徴を適用した走査型電子線装置の実施形態を概略的に示す図である。
図46は、図44に示されたレーザー反射鏡の好ましい製造プロセスを示す図である。
図47は、本発明に係る電子線装置の更に別の実施形態を示す概略図である。
図48は、本発明に係る電子線装置の更に別の実施形態を示す概略図である。
図49は、図48の電子線装置を使用して行う検査のキラー欠陥と非キラー欠陥との識別を説明するための図である。
図50は、本発明に係る電子線装置の更に別の実施形態を示す概略図である。
図51は、図50に示した電子線装置に具備される複数の開口を有する開口板を示す説明図である。
図52は、本発明に係る電子線装置を内蔵した光学系を複数個配列した例を示す説明図である。
図53は、本発明に係る電子線装置を利用した欠陥検査装置の別の実施形態を示す概略構成図である。
図54は、図53の欠陥検査装置で取得される複数の被検査画像及び基準画像の例を示す図である。
図55は、図53の欠陥検査装置におけるウェーハ検査のメインルーチンの流れを示すフローチャートである。
図56は、図55における複数の被検査画像データ取得工程のサブルーチンの詳細な流れを示すフローチャートである。
図57は、図55における比較工程のサブルーチンの詳細な流れを示すフローチャートである。
図58は、半導体ウェーハの表面上で部分的に重なり合いながら互いから位置がずらされた複数の被検査領域を概念的に示す図である。

Claims (65)

  1. 基板検査方法において、
    (1)荷電粒子線発生手段から一次荷電粒子線を放出させるステップと、
    (2)前記発生された一次荷電粒子線を一次光学系を介して基板に照射するステップと、
    (3)前記一次荷電粒子線の照射により前記基板から放出された二次荷電粒子線を二次光学系に投入するステップと、
    (4)前記二次光学系に投入された前記二次荷電粒子線を検出して電気信号に変換するステップと、
    (5)前記電気信号を処理して基板を評価するステップと、
    を備えた基板検査方法。
  2. 請求の範囲1に記載の基板検査方法において、前記荷電粒子線発生手段を空間電荷制限領域で動作させ、前記荷電粒子線発生手段から放出される一次荷電粒子線を前記一次光学系の複数の開口を有するマルチ開口板に照射させ、前記複数の開口を通過した複数の荷電粒子線を基板面上に結像させる基板検査方法。
  3. 請求の範囲1に記載の基板検査方法において、前記荷電粒子線発生手段を空間電荷制限領域で動作させ、前記荷電粒子線発生手段は、前記一次光学系のマルチ開口板の複数の開口に対応した円周上の複数の電子放出領域から前記一次荷電粒子線を放出する基板検査方法。
  4. 請求の範囲1ないし3のいずれかに記載の基板検査方法において、
    (6)前記検出系が前記基板の複数の領域から放出された二次荷電粒子線を検出して複数のサブ画像データを得るステップと、
    (7)検出された複数のサブ画像データを並び替えて、基板の検査領域の画像データを生成するステップと、
    を更に備える基板検査方法。
  5. 請求の範囲4に記載の基板検査方法において、更に、
    (8)評価された基板に関する基準画像データを予め記憶するステップと、
    (9)前記記憶された基準画像データと画像生成手段によって生成された画像データとを対比することにより、基板を評価するステップと、
    を備えている基板検査方法。
  6. 請求の範囲4又は5に記載の基板検査方法において、
    前記基板がY軸方向に連続移動するよう制御し、
    複数の一次荷電粒子線の基板上の照射スポットをX軸方向にほぼ等間隔に形成し、かつ、走査領域がX軸方向に一部重複するように、それぞれの荷電粒子線を同時にX軸方向に走査し、
    サブ画像データを比較する際、それぞれの荷電粒子線のX座標及びY座標を考慮して、基板の表面の検査を行う基板検査方法。
  7. 請求の範囲1ないし6のいずれかに記載の基板検査方法において、
    更に、前記基板を走査して照射する画素サイズに応じた前記一次光学系及び前記二次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持する基板検査方法。
  8. 請求の範囲1ないし7のいずれかに記載の基板検査方法において、更に、
    前記電気信号をパターン情報へ変換することと、
    前記パターン情報と基準パターンとを比較することと、
    を備えてなり、
    複数の荷電粒子線のそれぞれの荷電粒子線間の距離の最小値を、前記二次光学系の分解能を前記基板の表面上での値に換算した値よりも大きくした基板検査方法。
  9. 請求の範囲1ないし7のいずれかに記載の基板検査方法において、更に、
    前記検出部から受け取った前記電気信号を2値化情報へ変換することと、
    前記2値化情報から矩形パターン情報へ変換することと、
    前記矩形パターン情報と基準パターンとを比較することと、
    を備えている基板検査方法。
  10. 請求の範囲1に記載の基板検査方法において、基板の画像を生成し、その画像より基板上に形成されたパターンを評価するに、前記基板の画像に対応した参照用画像を格納し、その格納された参照用画像を読出し、その読出された参照用画像と前記基板の画像とを比較して、その両画像の差異部を検出し、そしてその差異部を少なくとも短絡、断線、凸、欠け、ピンホール及び孤立の欠陥に分類するようにし、
    前記基板の画像を生成するに、一次光学系で細く絞った複数のビームを基板上で走査し、基板からの二次荷電粒子線を対物レンズで集束し、さらにこれをEXB分離器で一次光学系から分離し、二次光学系で上記基板からの二次荷電粒子線の軌道と光軸との角度を一段のレンズによって拡大して検出用マルチ開口に集束させて、複数の検出器で検出する基板検査方法。
  11. 請求の範囲1ないし10のいずれかに記載の基板検査方法において、
    前記基板のパターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該領域に荷電粒子線を照射して重点的に評価を行うようにした基板検査方法。
  12. 請求の範囲11に記載の基板検査方法において、前記パターン形成面を複数の領域に分割して、領域毎にパターンを形成することにより全体のパターンを形成するようにしたパターン形成面の評価において、前記分割した領域のつなぎの領域を選択して前記評価を行うようにした基板検査方法。
  13. 請求の範囲11に記載の基板検査方法において、
    パターン形成面を複数の隣接するストライプに分割し、各ストライプ毎にパターンをリソグラフィにより形成されているパターン形成面の評価において、ストライプのつなぎ領域、リソグラフィにおけるパターン投影の主視野のつなぎ領域、あるいは、副視野のつなぎ領域を選択して前記評価を行うようにした基板検査方法。
  14. 請求の範囲1ないし10のいずれかに記載の基板検査方法において、
    前記基板のパターン形成面に荷電粒子線を照射して、前記二次荷電粒子線に基づき当該パターンの評価を行い、パターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該検査を行う装置の視野の中央部分を、選択した領域に一致させるようにした基板検査方法。
  15. 請求の範囲1ないし3に記載の基板検査方法において、
    前記電気信号を処理して生成された画像データから、異常パターンを検出することと、
    前記の検出された異常パターンがキラー欠陥であるか否かを、所定の基準パターンとの関係に基づいて判定することと、
    を備える基板検査方法。
  16. 請求の範囲15に記載の基板検査方法において、前記画像処理部が、前記複数の二次荷電粒子線に対応する複数の画像データを同時に又は並列に処理する基板検査方法。
  17. 請求の範囲1ないし16のいずれかに記載の基板検査方法において、
    基板表面の欠陥検出、基板表面の欠陥レビュー、パターン線幅測定、及びパターン電位測定の内少なくとも2つの機能を行う基板検査方法。
  18. 請求の範囲17に記載の基板検査方法において、
    前記基板表面の欠陥検出は画像信号により得られる画像をパターンデータと比較するか又はダイ同士を比較することにより行われ、基板表面の欠陥レビューは基板表面上における一次荷電粒子線の走査と同期させたモニター上のビームの走査により得られる画像観察により行われ、パターン線幅測定は基板表面上における一次荷電粒子線の走査をパターンの短辺方向に行うときの二次荷電粒子線のラインプロファイル像により行われ、パターン電位測定は基板表面に最も近い電極に負の電位を与え基板表面の高い電位を持つパターンから放出される二次荷電粒子線を選択的に基板側へ追い戻すことにより行われる基板検査方法。
  19. 請求の範囲1ないし18のいずれかに記載の基板検査方法において、
    更に、基板1枚当たりの加工状態を、加工装置による基板1枚当たりの加工時間以内に評価するように、評価条件を設定することを備える基板検査方法。
  20. 請求の範囲1ないし18のいずれかに記載の基板検査方法において、
    更に、1ロット当たりの加工状態を、加工装置による1ロット当たりの加工時間以内に評価するように、評価条件を設定することを備える基板検査方法。
  21. 請求の範囲19又は20に記載の基板検査方法において、基板表面の指定された領域のみの加工状態を評価するよう、基板の評価面積を設定することを備える基板検査方法。
  22. 請求の範囲1ないし3のいずれかに記載の基板検査方法において、
    前記基板上で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の画像を各々取得することと、
    基準画像を記憶すること、
    前記取得された複数の被検査領域の画像と、前記記憶された前記基準画像とを比較することによって前記基板の欠陥を判断することと、
    を含む基板検査方法。
  23. 請求の範囲1ないし22に記載の基板検査方法において、更に、
    前記基板への一次荷電粒子線の照射を所望の雰囲気に制御されたワーキングチャンバ内で行うことと、
    前記ワーキングチャンバ内への及びそこからの前記基板の搬送を真空チャンバ内を通して行うことと、
    前記ワーキングチャンバ内で前記基板に電位を印加することと、
    前記基板の表面を観察して前記一次荷電粒子線の照射位置に対して前記基板をアライメントすることと、
    を備える基板検査方法。
  24. 基板に一次荷電粒子線を照射して二次荷電粒子線を放出させ、前記二次荷電粒子線を検出して基板を評価する電子線装置において、
    荷電粒子線を発生する荷電粒子線発生手段と、
    前記一次荷電粒子線を複数本走査させて前記基板に照射する一次光学系と、
    前記荷電粒子線の照射により前記基板から放出された二次荷電粒子線が投入される二次光学系と、
    前記二次光学系に投入された二次荷電粒子線を検出して電気信号に変換する検出器を有する検出系と、
    前記電気信号に基づいて基板の評価を行う処理制御系と、
    を備えた電子線装置。
  25. 基板に一次荷電粒子線を照射して二次荷電粒子線を放出させ、前記二次荷電粒子線線を検出して基板を評価する電子線装置において、
    荷電粒子線を発生する荷電粒子線発生手段と、
    前記単一の一次荷電粒子線を走査させて前記基板に照射する一次光学系と、
    前記荷電粒子線の照射により前記基板から放出された二次荷電粒子線が投入される二次光学系と、
    前記二次光学系に投入された二次荷電粒子線を検出して電気信号に変換する検出器を有する検出系と、
    前記電気信号に基づいて基板の評価を行う処理制御系と、
    を備えた電子線装置。
  26. 請求の範囲24に記載の電子線装置において、前記荷電粒子線発生手段が空間電荷制限領域で動作するよう設定され、前記荷電粒子線発生手段のカソードは単結晶LaBで構成され、荷電粒子線発生手段から放出される荷電粒子線で複数の開口を有する前記一次光学系のマルチ開口板を照射し、前記複数の開口を通過した複数の荷電粒子線を前記基板面上に結像させる電子線装置。
  27. 請求の範囲24に記載の電子線装置において、前記荷電粒子線発生手段が空間電荷制限領域で動作するよう設定され、前記一次光学系は円周上に配置された複数の開口を有するマルチ開口板を備え、LaBからなる荷電粒子線発生手段のカソードは、電子放出領域が前記マルチ開口板の複数の開口に対応して複数個円周上に配置されている電子線装置。
  28. 請求の範囲24、26又は27に記載の電子線装置において、前記検出系が前記基板の複数の領域から放出された二次荷電粒子線を検出して複数のサブ画像データを得ることができ、
    前記電子線装置が、更に、検出された複数のサブ画像データを並び替えて、基板の検査領域の画像データを生成する画像生成手段を備える電子線装置。
  29. 請求の範囲28に記載の電子線装置において、前記電子線装置が、更に、評価された基板に関する基準画像データを予め記憶する記憶手段と、
    前記憶手段に記憶された基準画像データと画像生成手段によって生成された画像データとを対比することにより、基板を評価する評価手段と、
    を備えている電子線装置。
  30. 請求の範囲28又は29に記載の電子線装置において、
    前記基板がY軸方向に連続移動するよう制御され、
    前記一次光学系は、複数の荷電粒子線を基板上の照射スポットがX軸方向にほぼ等間隔に形成され、かつ、走査領域がX軸方向に一部重複するように、それぞれの荷電粒子線を同時にX軸方向に走査するよう構成されており、
    画像生成手段は、サブ画像データを並び替える際、それぞれの荷電粒子線のX座標及びY座標を考慮して、基板の表面の画像データを作成するよう構成されている電子線装置。
  31. 請求の範囲24、26ないし30のいずれかに記載の電子線装置において、更に、前記一次荷電粒子線を前記基板に走査して照射する画素サイズに応じた前記一次光学系及び前記二次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持する記憶部を有する電子線装置。
  32. 請求の範囲25に記載の電子線装置において、更に、前記一次荷電粒子線を前記基板に走査して照射する画素サイズに応じた前記一次光学系及び前記二次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持する記憶部を有する電子線装置。
  33. 請求の範囲25又は32に記載の電子線装置において、
    前記電子光学系は絶縁物から加工し表面に金属コーティングを施した電極から成る軸対称レンズを少なくとも1段有し、
    前記電子線装置が、前記荷電粒子線発生手段、一次光学系、二次光学系及び検出系の組合せが複数個あってそれぞれが鏡筒を備え、前記基板を走査する画素サイズに応じた前記一次光学系、二次光学系のレンズ条件又は軸合わせ条件を保持する記憶部を有する電子線装置。
  34. 請求の範囲24、26ないし31のいずれかに記載の電子線装置において、
    前記処理制御系が二次荷電粒子線処理部を備え、前記二次荷電粒子線処理部が、
    前記電気信号をパターン情報へ変換する手段と、
    前記パターン情報と基準パターンとを比較する手段と、
    を備えてなり、
    前記複数の荷電粒子線のそれぞれの粒子線間の距離の最小値を、前記二次光学系の分解能を前記基板の表面上での値に換算した値よりも大きくした電子線装置。
  35. 請求の範囲24ないし33のいずれかに記載の電子線装置において、
    前記処理制御系が前記画像処理部を備え、前記画像処理部が、
    前記検出部から受け取った前記電気信号を2値化情報へ変換する手段と、
    前記2値化情報から矩形パターン情報へ変換する手段と、
    前記矩形パターン情報と基準パターンとを比較する手段と、
    を備えている電子線装置。
  36. 請求の範囲34又は35に記載の電子線装置において、
    前記一次光学系及び二次光学系が鏡筒内に収納され、前記一次光学系は、前記鏡筒内において絶縁材料の表面に金属コーティングにより電極を形成した軸対称のレンズを少なくとも1個備えている電子線装置。
  37. 請求の範囲24に記載の電子線装置において、基板の画像を生成し、その画像より基板上に形成されたパターンを評価するに、前記基板の画像に対応した参照用画像を格納し、その格納された参照用画像を読出し、その読出された参照用画像と前記基板の画像とを比較して、その両画像の差異部を検出し、そしてその差異部を少なくとも短絡、断線、凸、欠け、ピンホール及び孤立の欠陥に分類するよう構成され、上記基板の画像を生成するに、一次光学系で細く絞った複数のビームを基板上で走査し、基板からの二次荷電粒子線を対物レンズで集束し、さらにこれをEXB分離器で一次光学系から分離し、二次光学系で上記基板からの二次荷電粒子線像を少なくとも一段のレンズによって、二次電子軌道と光軸との角度を拡大して検出用マルチ開口に集束させて、複数の検出器で検出する電子線装置。
  38. 請求の範囲37に記載の電子線装置において、更に、
    (1)前記基板をプリアライメントする機能、(2)その基板の検査遂行のためのレシピを予め登録する機能、(3)前記基板上に形成された基板番号を読取る機能、(4)その読込んだ基板番号から該基板に対応するレシピを読出す機能、(5)その読出したレシピに基づく検査を遂行する機能、(6)前記基板の検査点マップを予め登録する機能、(7)その登録された検査点マップを読出し、表示する機能、(8)その検査点マップ上での指定あるいは前記レシピの指示に基づいて前記基板を移動してその指定または指示された検査点を所望位置に位置づける機能、(9)その指定または指示された検査点の参照用画像を予め登録するための機能、(10)その指定または指示された検査点の参照画像を形成し、その指定または指示された検査点の位置決め用画像とその検査点の位置決め用参照画像とを照合することにより前記検査点の位置決めを行う機能、(11)その位置決めされた検査点の検査用画像を形成する機能、(12)前記位置決めされた検査点の検査用参照用画像を格納する機能、(13)前記検査用画像と前記検査用参照画像を表示する機能、(14)その両画像を比較して、差異部を検出する機能、(15)その両画像間の差異部を少なくとも短絡、断線、凸、欠け、ピンホールおよび孤立の欠陥に分類する機能、(16)前記少なくとも凸、欠け、ピンホールおよび孤立の欠陥についてサイズ分類する機能、(17)前記基板の差異部にプローブを照射し物理分析する機能、(18)前記指定または指示された検査点の差異部の分類結果を前記検査点マップに上書きする機能、(19)前記基板が基板である場合は、チップ単位、基板単位および指定基板単位での全欠陥、類型別欠陥およびサイズ別欠陥の密度を計算する機能、(20)前記欠陥類型別の欠陥サイズ−致命率表を予め登録する機能、(21)前記欠陥類型別の欠陥サイズ−致命率表を用いて、チップ単位、基板単位および指定基板単位での歩留まりを計算する機能、(22)前記指定された検査点の差異部検出結果、差異部の分類結果および各欠陥密度および歩留まり計算結果を登録する機能、(23)その登録された各検査結果、計算結果を出力するための機能を備える電子線装置。
  39. 請求の範囲24、26又は27に記載の電子線装置において、
    前記一次光学系が、前記一次荷電粒子線を複数に成形する形成手段及びE×B分離器を備え、
    前記一次光学系用の開口角を決めるアパーチャが、前記形成手段と前記E×B分離器との間に設けられている電子線装置。
  40. 請求の範囲24、26又は27に記載の電子線装置において、
    前記一次光学系は、前記荷電粒子線発生手段から放出された一次荷電粒子線を集束してクロスオーバー像を形成するコンデンサレンズ及び前記一次荷電粒子線を複数に形成する形成手段を更に備え、前記形成手段は、該コンデンサレンズ及び該クロスオーバー像の間に配置され、前記一次光学系用の開口角は、前記クロスオーバー像の拡大率を変更することによって調整又は設計値に調整される電子線装置。
  41. 請求の範囲24、26又は27に記載の電子線装置において、
    前記一次光学系は、前記荷電粒子線発生手段から放出された一次荷電粒子線を集束して第1のクロスオーバー像を形成するコンデンサレンズ及び前記一次荷電粒子線を複数に形成する形成手段を更に備え、前記形成手段は、該コンデンサレンズ及び該第1のクロスオーバー像の間に配置され、
    前記二次光学系は、前記複数の二次荷電粒子線を集束して第2のクロスオーバー像を形成するコンデンサレンズを更に備えた電子線装置。
  42. 請求の範囲24ないし41のいずれかに記載の電子線装置において、
    前記基板のパターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該領域に荷電粒子線を照射して重点的に評価を行うようにした電子線装置。
  43. 請求の範囲42に記載の電子線装置において、前記パターン形成面を複数の領域に分割して、領域毎にパターンを形成することにより全体のパターンを形成するようにしたパターン形成面の評価において、上記分割した領域のつなぎの領域を選択して上記評価を行うようにした電子線装置。
  44. 請求の範囲42に記載の電子線装置において、
    パターン形成面を複数の隣接するストライプに分割し、各ストライプ毎にパターンをリソグラフィにより形成されているパターン形成面の評価において、ストライプのつなぎ領域、リソグラフィにおけるパターン投影の主視野のつなぎ領域、あるいは、副視野のつなぎ領域を選択して上記評価を行うようにした電子線装置。
  45. 請求の範囲24ないし44のいずれかに記載の電子線装置において、
    前記基板のパターン形成面に荷電粒子線を照射して、前記二次荷電粒子線に基づき当該パターンの評価を行い、パターン形成面の中で欠陥の発生が多いと予想される領域や評価値のバラツキが多いと予想される領域を選択して、当該電子線装置の視野の中央部分を、選択した領域に一致させるようにした電子線装置。
  46. 請求の範囲24ないし44のいずれかにに記載の電子線装置において、
    前記処理制御装置が、二次荷電粒子線信号処理部と、
    前記二次荷電粒子線信号処理部で生成された前記画像データから、異常パターンを検出する検出手段と、
    前記の検出された異常パターンがキラー欠陥であるか否かを、所定の基準パターンとの関係に基づいて判定する判定機能と、
    を備える電子線装置。
  47. 請求の範囲24ないし46のいずれかに記載の電子線装置において、
    基板表面の欠陥検出、基板表面の欠陥レビュー、パターン線幅測定、及びパターン電位測定の内少なくとも2つの機能を有する電子線装置。
  48. 請求の範囲47に記載の電子線装置において、
    前記基板表面の欠陥検出は画像信号により得られる画像をパターンデータと比較するか又はダイ同士を比較することにより行われ、基板表面の欠陥レビューは基板表面上における一次荷電粒子線の走査と同期させたモニター上のビームの走査により得られる画像観察により行われ、パターン線幅測定は基板表面上における一次荷電粒子線の走査をパターンの短辺方向に行うときの二次荷電粒子線のラインプロファイル像により行われ、パターン電位測定は基板表面に最も近い電極に負の電位を与え基板表面の高い電位を持つパターンから放出される二次荷電粒子線を選択的に基板側へ追い戻すことにより行われる電子線装置。
  49. 請求の範囲24ないし48のいずれかに記載の電子線装置において、
    更に、基板1枚当たりの加工状態を、加工装置による基板1枚当たりの加工時間以内に評価するように、評価条件を設定する評価条件設定手段を備えている電子線装置。
  50. 請求の範囲24ないし48のいずれかに記載の電子線装置において、
    更に、1ロット当たりの加工状態を、加工装置による1ロット当たりの加工時間以内に評価するように、評価条件を設定する評価条件設定手段を備えている電子線装置。
  51. 請求の範囲49又は50に記載の電子線装置において、前記評価条件設定手段は、基板表面の指定された領域のみの加工状態を評価するよう、基板の評価面積を設定する手段を備えている電子線装置。
  52. 請求の範囲24ないし51のいずれかに記載の電子線装置において、
    前記処理制御装置が、
    前記基板上で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の画像を各々取得する画像取得手段と、
    基準画像を記憶する記憶手段と、
    前記画像取得手段により取得された複数の被検査領域の画像と、前記記憶手段に記憶された前記基準画像とを比較することによって前記基板の欠陥を判断する欠陥判断手段と、
    を含む電子線装置。
  53. 請求の範囲24ないし52のいずれかに記載の電子線装置であって、1枚の被検査基板上に、前記荷電粒子線発生手段、一次光学系、二次光学系、検出器を含む光学系を複数個配置することを特徴とする電子線装置。
  54. 請求の範囲24ないし53のいずれかに記載の電子線装置において、
    前記一次光学系が対物レンズを備え、
    前記対物レンズを構成する静電レンズは、その内側部が、外側のセラミックス材料と一体的に構成された線膨張率が低いセラミックス材料で形成されており、
    前記内側部のセラミックス材料の表面に金属コーティングにより複数の電極が形成され、
    前記複数の電極はそれぞれ、軸対称に形成されている電子線装置。
  55. 請求の範囲24ないし53のいずれかに記載の電子線装置において、
    前記一次光学系が対物レンズを備え、
    前記対物レンズを構成する静電レンズは、その内側部が、切削加工が可能なセラミックス材料で形成されて、外側部のセラミックス材料と接着固定されており、
    前記内側部のセラミックス材料の表面に金属コーティングにより複数の電極が形成され、
    該複数の電極はそれぞれ、軸対称に形成されている電子線装置。
  56. 荷電粒子線を基板に照射して基板に形成されたパターンを検査する基板検査装置において、
    荷電粒子線を発生する荷電粒子線発生手段、前記荷電粒子線を前記基板に照射する一次光学系、前記荷電粒子線の照射により前記基板から放出される二次荷電粒子線が投入される二次光学系、前記二次光学系に投入された二次荷電粒子線を検出して電気信号として出力する検出系及び前記電気信号を処理、評価する処理制御系を含む電子線装置と、
    基板を保持して前記基板を前記電子線装置に関して相対的に移動させるステージ装置と、
    少なくとも前記ステージ装置の上部領域を外部から遮断し、所望の雰囲気に制御可能なワーキングチャンバと、
    前記ステージ上への基板の搬入及び前記ステージからの基板の取り出しを行う基板搬送機構と、
    を備える基板検査装置。
  57. 請求の範囲56に記載の基板検査装置において、
    更に、前記ステージ装置の位置を検出するレーザー測距装置を備え、
    前記一次光学系が対物レンズを備え、前記対物レンズは、少なくともその外側部が線膨張率が低いセラミックス材料で形成された、軸対称の静電レンズで構成され、
    前記静電レンズの外側部にレーザー測距装置の固定鏡が取り付けられている基板検査装置。
  58. 請求の範囲56又は57に記載の基板検査装置において、
    少なくとも前記ステージ装置に取り付けられ、或いは、前記ステージ装置の部材の一部を研磨してなるレーザー反射鏡を有し、前記レーザー反射鏡にレーザーを反射させることによって該ステージの位置を測定するレーザー測距手段を含み、
    前記レーザー反射鏡は、SiCセラミックスの基体で形成されている基板検査装置。
  59. 請求の範囲56又は57に記載の基板検査装置において、
    前記荷電粒子線発生手段、前記一次光学系、前記二次光学系及び前記検出系を含む鏡筒が、複数、並設して配置され、
    少なくとも前記ステージ装置に取り付けられ、或いは、前記ステージ装置の部材の一部を研磨してなるレーザー反射鏡を有し、前記レーザー反射鏡にレーザーを反射させることによって該ステージの位置を測定するレーザー測距手段を備え、
    前記レーザー反射鏡は、SiCセラミックスの基体で形成され、
    前記複数の鏡筒の各々は、セラミックスを加工して、その表面に選択的に金属コーティングを行うことにより外径を小寸法に加工された軸対称レンズを少なくとも1段備える基板検査装置。
  60. 請求の範囲56ないし59のいずれかに記載の基板検査装置において、
    前記ステージ装置には、静圧軸受けによる非接触支持機構と差動排気による真空シール機構とを設け、
    前記基板面上の一次荷電粒子線が照射される箇所と、前記ステージ装置の静圧軸受け支持部との間にコンダクタンスが小さくなる仕切りを設け、
    荷電粒子線の照射領域と静圧軸受け支持部との間に圧力差が生じるようにしたことを特徴とする基板検査装置。
  61. 請求の範囲56ないし59のいずれかに記載の基板検査装置において、
    前記ステージ装置のテーブルはハウジング内に収容されかつ静圧軸受けによりハウジングに対して非接触で支持されており、
    前記ステージが収容されたハウジングは真空排気され、
    前記電子線装置の前記基板面上に一次荷電荷電粒子線を照射する部分の周囲には、基板面上の前記一次荷電粒子線が照射される領域を排気する差動排気機構が設けられたことを特徴とする基板検査装置。
  62. 請求の範囲56ないし61のいずれかに記載の基板検査装置において、更に、
    床から前記真空チャンバへの振動を遮断する振動遮断装置を備えていることを特徴とした基板検査装置。
  63. 請求の範囲56ないし62のいずれかに記載の基板検査装置において、更に、
    前記ワーキングチャンバ内に配置された、前記検査対象に電位を印加する電位印加機構と、
    前記電子光学系に対する前記検査対象の位置決めのために前記検査対象の表面を観察してアライメントを制御するアライメント制御装置と、
    を備えている基板検査装置。
  64. 請求の範囲56ないし63に記載の基板検査装置において、
    前記電子線装置が、前記請求の範囲24ないし55のいずれかに記載の電子線装置である基板検査装置。
  65. 半導体デバイスの製造方法であって、請求の範囲1ないし64に記載の基板検査方法、電子線装置及び基板検査装置のいずれかを用いて、プロセス途中、又は終了後の半導体基板を評価するステップを含んでいることを特徴とする半導体デバイス製造方法。
JP2002542859A 2000-11-17 2001-11-02 基板検査方法、基板検査装置及び電子線装置 Pending JPWO2002040980A1 (ja)

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