JPS648279B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、たとえば暖冷房に用いられるヒート
ポンプ用に供される熱交換器の密閉装置に係り、
特に、円筒形熱交換器の密閉構造における密閉装
置に関するものである。

二重円筒形の熱交換器において、その端部の密
閉を確実にするためには、冷熱サイクルによる、
通しボルトのような固定部材と内・外筒との、温
度膨張差による歪の発生が大きな問題点であつ
た。

特に、筒体を、たとえば井戸水使用による腐
食、コストなどの観点から筒体をプラスチツクな
どを用いる場合、問題となるものである。

すなわち、たとえば、７℃から50℃の水温が変
化した場合、塩化ビニール製の長さ700mmの外筒
と通しボルトとの軸方向における熱膨張の差が７
mm程度のものとなり、この差を吸収することが問
題となるものである。

本発明は、構造的に低コストで、各部材間の温
度膨張差を吸収しえて、良好な密閉性能が得られ
る耐圧機能と歪吸収機能とを不可分的に備えた熱
交換器の密閉装置の提供を、その目的とするもの
である。

本発明は上記目的を達成するために、樹脂製の
内・外筒を有し、この両者間の円筒環部に、内外
流体間の伝熱に供せられる伝熱管を設けるように
した熱交換器において、その熱交換器の端部に、
前記円筒環部の開口端を密閉するためのシール用
鏡板を被着すると共に、このシール用鏡板の外側
に弾性変形可能な補助鏡板をあてがつて多重の鏡
板構造とし、且つ前記補助鏡板、シール用鏡板及
び前記内筒の内部に締付け用金属部材を貫通させ
て、この締付け用金属部材の締付け力で前記補助
鏡板を弾性変形させつつ、前記補助鏡板及びシー
ル用鏡板を締付け固定してなる。

すなわち、このような構成よりなる本発明によ
れば、シール用鏡板及び補助鏡板は、締付け用金
属部材（例えば通しボルト）の締付け力を受け
て、熱交換器の端部に固定されるが、この場合、
補助鏡板が、前記締付け力を補助鏡板自身の弾性
変形に変えて蓄える。従つて、その弾性変形量
を、締付け用金属部材と内・外筒との温度膨張差
よりも充分に大きくとれば、この温度膨張差を吸
収でき、しかも温度膨張差吸収後に引き続き補助
鏡板を介してシール用鏡板に締付け力を与えるこ
とが可能となるので、円筒環部に対するシール用
鏡板の密閉性能を良好に維持することができる。

次に、本発明に係る実施例を図面に基づいて説
明する。

図は、本発明の一実施例に係る密閉装置を施し
た熱交換器の一部開披断面図である。

図において、１は外筒、２は内筒、３は円筒環
部であり、４は伝熱管に係る銅管、５は通しボル
トで、６はシール用鏡板（以下、鏡板をＡと称す
る）、７は補助鏡板（以下、鏡板Ｂと称する）、８
はパツキンＡ、９はパツキンＢ、１０は鍔部を有
するプラスチツク成形のパツキン抑えであつて、
１１は冷媒入口、１２は冷媒出口、１３は冷却水
入口、１４は冷却水出口である。

なお、上記の外筒１、内筒２は、樹脂製に係る
ものであり、鏡板Ａ６、鏡板Ｂ７は鋼板である。

外筒１と内筒２との間の円筒環部３に、コイル
状の銅管４が設けられる。鏡板Ａ６は環状を呈し
て、円筒環部３の開口端を覆うように被着され
る。一方、鏡板Ｂ７は、曲面を有する皿形を呈
し、弾性変形可能で、鏡板Ａ７の外側にあてがわ
れる。本実施例の鏡板Ａ６、鏡板Ｂ７は、熱交換
器の両端に夫々配置され、この鏡板Ａ６、鏡板Ｂ
７及び内筒２の内部に金属製の通しボルト５が貫
通され、通しボルト５の締付け力によつて、鏡板
Ａ６、鏡板Ｂ７が多重鏡板構造を呈しつつ締付け
固定される。

上記のような鏡板構成で、パツキンＡ８は、外
筒１と鏡板Ａ６との間をシールし、パツキンＢ９
は、パツキン抑え１０を介して鏡板Ｂ７により圧
縮され、内筒２と鏡板Ａ６とのシールしているも
のである。

上記のような熱交換器を、水冷熱交換器とする
と、冷媒は、冷媒入口１１より入つて、銅管４内
を通り、冷媒出口１２から出るものである。

また、水は、冷却水入口１３より入り、円筒環
部３を通過しながら、銅管４内の冷媒と熱交換を
行ない、冷却水出口１４より出るようになつてい
る。

しかして、上記に述べたような端部鏡板構造と
すれば、通しボルト５と外筒１あるいは内筒２間
の温度膨張率の差により、各部材間の歪量が相違
して、パツキンの締付け力が低下するのを防止す
ることができるものである。

すなわち、通しボルト５により鏡板を締付ける
ようにすると、その締付け力は、鏡板Ｂ７では、
内部弾性変形として蓄えられる。

よつて、その歪量を十分にとれば、冷熱サイク
ル時の各部材間の温度膨張差を吸収でき、パツキ
ンの締付けによる変形量を保持し、十分な密閉性
能を維持することができるものである。

特に、冷却水、たとえば井戸水あるいは水タン
クの繰り返し使用水などの水質が悪い場合、腐食
などが問題となり、これに対処して外筒１や内筒
２を硬質塩化ビニル製とした場合、通しボルト５
との温度膨張率差は顕著であり、この場合におけ
る上記構成の効果が大きいものである。

また、上記のような構造とすれば、通しボルト
５、鏡板Ｂ７を取りはずし、内筒２が除去可能と
なるので、内部の銅管４の掃除、たとえば表面に
付着したスケールなども容易に掃除することがで
きるようにした分解可能なものである。

なお、上記実施例においては、外側の鏡板Ｂ７
を用いて二重にしたものであるが、これと同等の
大きさ、もしくは小さい鏡板を、さらに重ねて多
重構成とすることができ、このようにすれば、さ
らに変形歪の吸収を、より効果あるものとするこ
とができる。

以上述べたところをも総合して、本発明による
ときは、低コストで、良好な密閉構造を有する熱
交換器を得ることができるものであり、実用的効
果にすぐれた発明ということができる。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明の一実施例に係る密閉装置を施し
た熱交換器の一部開披断面図である。 １…外筒、２…内筒、３…円筒環部、４…銅
管、５…通しボルト、６…鏡板Ａ、７…鏡板Ｂ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 樹脂製の内・外筒を有し、この両者間の円筒
   環部に、内外流体間の伝熱に供せられる伝熱管を
   設けるようにした熱交換器において、その熱交換
   器の端部に、前記円筒環部の開口端を密閉するた
   めのシール用鏡板を被着すると共に、このシール
   用鏡板の外側に弾性変形可能な補助鏡板をあてが
   つて多重の鏡板構造とし、且つ前記補助鏡板、シ
   ール用鏡板及び前記内筒の内部に締付け用金属部
   材を貫通させて、この締付け用金属部材の締付け
   力で前記補助鏡板を弾性変形させつつ、前記補助
   鏡板及びシール用鏡板を締付け固定してなること
   を特徴とする熱交換器の密閉装置。