JPS645805B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は予備発泡粒子の製造方法に関し、特
に各種コーテイング用薬剤が均一にコーテイング
された予備発泡粒子を得るのに好適な方法を提供
しようとしている。

従来より発泡ポリスチレン等の発泡性樹脂粒子
を加熱発泡させて発泡成形品を得る、いわゆる発
泡成形に用いる発泡性樹脂粒子としては、予め適
宜発泡槽内で加熱膨脹させると共に各種薬剤をコ
ーテイングした予備発泡粒子を使用することが広
く行なわれている。

上記薬剤は成形後の冷却時間の短縮や成形性の
改善等を目的とするものであり、パラフインオイ
ルやポリエチレンワツクス等を成分としている。

ところが上記薬剤のコーテイング方法として、
従来採用されていた、予備発泡を行なう前に適宜
ブレンド装置にてコーテイングする方法では、ブ
レンド工程の余分な手間および設備がかかると共
に、コーテイングされた発泡性樹脂粒子を直ちに
予備発泡処理せずに放置しておくと、コーテイン
グした薬剤が変質したり、発泡性樹脂粒子同士が
ブロツキングを起す欠点もあつた。

その為予備発泡工程において発泡性樹脂粒子の
供給フイーダーあるいはホツパー出口等で薬剤を
投入混合することも考えられたが、発泡性樹脂粒
子全体に均一なコーテイングを施すことが難かし
く、一層の改善が望まれていた。

そこでこの発明方法においては上記発泡性樹脂
粒子への薬剤のコーテイングにおける従来方法の
欠点を解消し、より均一で能率的なコーテイング
が行なえる予備発泡粒子の製造方法を開発したも
のであり、その方法としては、発泡槽内へ発泡性
熱可塑性樹脂粒子を供給し、この樹脂粒子を攪拌
しながら加熱媒体により加熱発泡させて予備発泡
粒子を製造する方法において、発泡槽内に設けた
邪魔棒の中空部内へ樹脂粒子にコーテイングする
薬剤を供給し、邪魔棒に形成した多数の小孔から
発泡槽内の樹脂粒子へと薬剤を散布することを特
徴としている。

次いでこの発明の実施態様について図を参照し
ながら以下に例示する。

１は予備発泡装置の本体を示し、そのうち１０
は発泡槽、１１は発泡槽１０を貫通する中心軸に
取付けた攪拌羽根であり、モーター等の駆動部１
２にて回動自在に設けている。１３は邪魔棒であ
り、複数段の攪拌羽根１１と交互に、攪拌羽根１
１や中心軸に当接しない位置で発泡槽１０内を横
断して発泡槽１０の外壁に固定取付されている。
次に発泡槽１０上部において２０はマジツクロー
ダー、２１は樹脂受ホツパー、２２は計量ホツパ
ーであり、原料となる発泡性樹脂粒子をマジツク
ローダー２０で適宜原料供給部より吸上げて樹脂
受ホツパー２１へ落下させ、必要量の発泡性樹脂
粒子を計量ホツパー２２で計量した後発泡槽１０
内へ落下供給するものである。そして予備発泡の
終了した予備発泡粒子は発泡槽１０下部の取出部
１４から発泡槽１０外へ回収されるようになつて
いる。また１５は発泡槽１０下部に設けた蒸気室
であり、この蒸気室１５へ加熱媒体となる蒸気を
導入し、蒸気室１５と発泡槽１０との境界に設け
た有孔板１６を通して蒸気を発泡槽１０内の発泡
性樹脂粒子間へ噴出させて樹脂粒子を加熱発泡さ
せるものである（第１図参照）。

以上のごとき予備発泡装置の基本構造について
は、従来のバツチ式予備発泡装置と略同様の構造
であり、また予備発泡装置としては連続的に原料
の発泡性樹脂粒子を供給しながら予備発泡の完了
した予備発泡粒子を順次発泡槽から回収できる、
連続式の予備発泡装置にも適用できるものであ
る。

この発明の特徴としては、前記邪魔棒１３の中
心軸部分に中空部１７を形成し、この中空部１７
から邪魔棒１３の下面等の表面に連通し発泡槽１
０内に開孔する小孔１８を多数穿設しているもの
である。また発泡槽１０外に露出した邪魔棒１３
の一端部において、３０は中空部１７に連結した
薬剤の供給パイプであり、薬剤タンク３１に接続
されている。

邪魔棒１３の構造のうち、中空部１７および小
孔１８は邪魔棒１３の全長にわたつて形成しても
よいが、発泡槽１内において発泡性樹脂粒子が攪
拌作用による遠心力のために外周側付近に多くが
位置することになる関係上、図のごとく邪魔棒１
３の端部付近のみに中空部１７および小孔１８を
形成している方が樹脂粒子に充分コーテイングで
きて好ましい。また小孔１８は邪魔棒１３の下面
だけでなく側面や上面に形成することもできる。

そして上記小孔１８の大きさとしては、樹脂粒
子の通過を許さない程度の大きさ、例えば0.4〜
0.5mm程度にして実施でき、一本の邪魔棒１３に
例えば20〜30個の小孔１８を形成して実施する
が、実施上薬剤や発泡性樹脂粒子の種類、薬剤の
供給量あるいは樹脂粒子の量などの条件によつて
種々変更して実施することもできる。

また邪魔棒１３の全体形状としては円柱状、角
柱状などにて実施できる。

さらに発泡槽１０内に取付けた複数本の邪魔棒
１３のうち、中空部１７および小孔１８を形成す
るのは、最下部等の一本のみであつても実施でき
るが、必要に応じて適宜本数の邪魔棒１３あるい
は全ての邪魔棒１３に中空部１７および小孔１８
を形成して、薬剤の散布を行なえるようにしても
良い。

次に図示した実施装置においては、薬剤の供給
パイプ３０の途中に邪魔棒１３側から順次、電磁
弁３２計量容器３３およびポンプ３４を設置して
あり、さらに３５は計量容器３３への加圧空気供
給用電磁弁であり、３６は逆止弁である。そして
上記計量容器３３等による薬剤の供給方法を説明
すると、まず電磁弁３２を閉じた状態にして、ポ
ンプ３４で薬剤を一定量薬剤タンク３１から計量
容器３３へと送給する。このとき電磁弁３５は大
気開放側に設定している。次に電磁弁３２を開
き、加圧空気用の電磁弁３５をエアー側に切換え
ることにより、加圧空気を計量容器３３内へ送り
込んで薬剤を加圧し、供給パイプ３０を経て薬剤
を邪魔棒１３の中空部１７内へと供給するもので
ある。

上記機構による薬剤の供給方法によれば、供給
する薬剤量を正確に計量して発泡性樹脂粒子にコ
ーテイングできるので、過不足のない最適なコー
テイング処理を施した予備発泡粒子を得るのに好
都合である。

但し薬剤の供給方法としては上記実施例に限定
されるものではなく、一定量の薬剤を供給できる
ものであれば種々の既知機構や既知方法が採用で
きる。また予備発泡装置としてバツチ式でなく連
続式の装置を用いる場合には、薬剤も連続的に一
定量を供給するようにすればよい。

この発明に用いる薬剤としては、従来より使用
されている既知の各種薬剤、例えば成型サイクル
アツプ剤、予備発泡ブロツク防止剤あるいは融着
促進剤等が自由に使用でき、その成分としてはパ
ラフイン油やポリエチレンワツクスその他のもの
からなつている。

そして薬剤を発泡槽１０内へ散布するタイミン
グとしては、発泡槽１０内へ一定量の発泡性樹脂
粒子を供給し終えた後、薬剤を邪魔棒１３の小孔
１８から樹脂粒子間へ散布し、次いで蒸気加熱を
行なう方法、あるいは樹脂粒子を供給しながら同
時に薬剤を散布し、その後蒸気加熱を行なう方
法、さらには樹脂粒子を供給した後、薬剤を散布
しながら蒸気加熱を開始する方法など何れの方法
でも実施可能である。

以上のごとく構成されたこの発明方法によれ
ば、予備発泡槽１０内で薬剤を発泡性樹脂粒子に
コーテイングするので、従来のごときブレンド装
置やブレンド工程に要する設備費や作業時間が削
減でき、能率的でコスト安価にして薬剤がコーテ
イングされた予備発泡粒子を得ることができるも
のであると共に、ブレンド工程と予備発泡工程と
の間の待期時間における薬剤の変質など樹脂粒子
の品質低下も生じず好都合なものとなる。

しかも発泡槽１０内において、攪拌作用に用い
られる邪魔棒１３の内部に中空部１７を設け、こ
の中空部１７に薬剤を供給して、邪魔棒１３に形
成した小孔１８から発泡槽１０内へ薬剤を散布す
るので、散布された薬剤は直ちに攪拌羽根１１の
回転に伴なつて樹脂粒子と共に攪拌混合され、樹
脂粒子全体に万遍なく均一に薬剤をコーテイング
することが出来ることになる。

従つて樹脂粒子を発泡槽１０へ供給する前にホ
ツパーやスクリユーフイーダー内などで薬剤を散
布する方法に比べても、より確実に攪拌混合され
るのではるかに均一なコーテイングが行なえ、好
品質の予備発泡粒子を製造できることになると共
に、薬剤の偏在等によるブロツキングの心配も完
全に解消できることになる。

また前記説明により明らかなごとく、特別なブ
レンド機構は全く必要なく、邪魔棒１３をわずか
に改良するだけでこの発明方法を実施できるの
で、設備コストは非常に安価になると共に、従来
の予備発泡装置を改良して使用することも容易で
ある。

さらに薬剤の散布の為に余分な処理時間を要す
ることもないので、成形工程全体の能率化にとつ
ても非常に有効な方法である等、品質の優れた予
備発泡粒子を能率よく安価に製造できる方法とし
て優れた長所を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図はこの発明の実施態様を例示するものであ
り、第１図は予備発泡装置全体の一部欠截正面
図、第２図は前図−線断面図、第３図は薬剤
供給機構の概略図である。 １……予備発泡装置本体、１０……発泡槽、１
１……攪拌羽根、１３……邪魔棒、１７……中空
部、１８……小孔、３０……薬剤供給パイプ、３
１……薬剤タンク、３３……計量容器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 発泡槽内へ発泡性熱可塑性樹脂粒子を供給
   し、この樹脂粒子を攪拌しながら加熱媒体により
   加熱発泡させて予備発泡粒子を製造する方法にお
   いて、発泡槽内に設けた邪魔棒の中空部内へ樹脂
   粒子にコーテイングする薬剤を供給し、邪魔棒に
   形成した多数の小孔から発泡槽内の樹脂粒子へと
   薬剤を散布することを特徴とする予備発泡粒子の
   製造方法。