JPS641579Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、一本のレバーハンドルによつて熱
水と冷水との混合比を調整し、適宜な温水を得る
ようにした湯水混合栓における弁機構のシール構
造に関する。

〔従来の技術〕

一般に、この種の湯水混合栓は、第３図に例示
するように弁室イに連通する熱水室ロ、冷水室
ハ、及び蛇口ニを備えた外筐１と、上記弁室イ内
にケース２を介して挿嵌される公知の弁機構、例
えばケース２内の上端に係合される回転蓋５と、
該ケース２の下端に係着され、上述した外筐１の
熱水室ロ、冷水室ハにそれぞれ連通する流入口
４′，４′及び流出口４″を備えた底板４との間に、
上記回転蓋５を貫通し、その中間部がピン９′に
よつて支承される挺子杆９下端と係合し、上記回
転蓋５と共に回転し、且つ回転蓋の下面に沿つて
前後に摺動可能な誘導盤６及び中央部に混合室
７′を備え、上記誘導盤６と係合して該誘導盤と
同じ動作を行う可動デイスク７並びに前記底板４
の流入口４′，４′及び流出口４″と、それぞれが
連通する流入口８′，８′及び流出口８″を備えて
なる固定デイスク８を順次重合状に内装せしめた
もので、弁室イ内に嵌挿された上記弁機構を弁室
上端に螺合される押え環３によつてシート面イ′
方向に押止可能としたものである。

尚、同図中、１１，１１′は底板４の上下面に
介装されたパツキング、又１４は上記誘導盤６と
可動デイスク７間のＯリングを示す。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述した従来構造の湯水混合栓は、上記底板お
よび固定デイスクの流入口４′，８′内に流入する
熱水及び冷水並びに上記流出口４″，８″から流出
するる混合水の漏洩を防止する手段として、上記
底板４の上下面にその流入口４′，８′及び流出口
４″，８″を囲繞してパツキング１１，１１′を、
また上記可動デイスク７と誘導盤６間にＯリング
１４をそれぞれ装着させた上、押え環３を緊締す
ることによつて上記ケース２を押圧し、各パツキ
ング１１，１１′を固定デイスク８、底板４及び
弁室イのシート面イ′にそれぞれ圧着するように
したものであつた。

従つて、上記ケース２の下端面と底板４の上面
間及び底板４の下面と弁室のシート面間には、そ
れぞれ介装された各パツキング１１，１１′を充
分に降縮し得る間隙Ｓを必要としたものであつた
為、押え環３による締付けに際して屡々上記各パ
ツキング１１，１１′が弾性限界を越えて過大に
圧縮され、これが高温状態のもとでパツキングの
寿命を著しく低下させ、漏水発生の原因となると
いう単なる部材の加工精度の改善だけでは解決し
得ない問題点が見られたものである。

〔課題を解決するための手段〕

そこで本案は、上記外筐の弁室内に上記構成を
有する弁機構の底板を、押え環を介して外筐のシ
ート面に押圧可能とした湯水混合栓において、上
記底板の上面と対向するケースの下端面及び弁室
シート面と対向する底板の下面にそれぞれ複数対
乃至は等間隔で複数個の逆円錐状の抵抗ピンを突
成したことにより上述した問題点を解決したもの
である。

〔作 用〕

上記構成の湯水混合栓は、押え環の通常の締付
力では、各間隙に介在する抵抗ピンの先端が少し
く座屈して、ケース下端面と底板間及び底板下面
と弁室シート面間にそれぞれ所定の空隙を保持さ
せ得るため、該底板の上下面に装着された各パツ
キングに対する過剰な圧迫力が制限されるという
格別の作用を奏するものである。

〔実施例〕

以下、本案湯水混合栓を第１，２図に示す一つ
の実施例に基づいて更に具体的に述べると、図は
上述した第３図（従来例）に見られるものと同じ
く、弁室イに連通する熱水室ロ、冷水室ハ及び蛇
口ニを備えた外筐１とケース２の下端に底板４が
係着される形式の弁機構２、４〜１２を有し、一
本のレバーハンドル１０の操作によつて作動する
可動デイスク７が流入口４′，８′及び流出口４″，
８″の開口量を自在に調節するようにした湯水混
合栓である。

又１２，１３は硬質プラスチツク等からなり、
上記底板４の上面と対向するケース２の下端面及
び弁室シート面イ′と対向する底板４の下面に、
それぞれ一体に突成された逆円錐状の抵抗ピンで
あつて、底板４上下面のパツキング１１，１１′
厚に見合う高さを備えた逆円錐形状としたもので
ある。

而して上記抵抗ピン１２，１３は、通常ケース
下端面及び底板下面に等間隔で突成するのが好ま
しいが、第２図に示したように直径上で対向する
各対の抵抗ピン１２，１３を複数箇所に設けるよ
うにしてもよく、その場合は左右対称形に配する
ものである。更に上記抵抗ピン１２，１３を含む
ケース２及び底板４は通常硬質合成樹脂で一体成
型されるものであるが、押圧時に上記抵抗ピンが
一定量座屈可能な金属製であつても差し支えな
い。

尚、図中２′は上記ケース２の下端に突成され
た突子、４ａは底板の外縁に切設され、上記突子
２′が密嵌可能な凹部を示す。

〔考案の効果〕

叙上の構成に係る本案のシール構造によれば、
押え環３を一定の緊締力で外筐１に螺合して上記
ケース２を底板４に、更に該底板を弁室イのシー
ト面イ′にそれぞれ押圧した場合、それに伴つて
ケース及び底板下面の各抵抗ピン１２，１３の先
端が底板の上面並びにシート面イ′に当接して少
しく座屈した時点で弁機構全体の下降が停止する
ため、底板４上下面の各パツキング１１，１１′
は水密性を保つのに必要かつ充分な程度まで圧縮
されると同時に、過剰な圧迫が制限されることに
なる。

従つて、上記パツキング１１，１１′は常に弾
性限界以内の適度な圧縮に保持され、その老化を
防止して長期に亘つて該部の水密性を確保するこ
とができるのである。

又、本考案の弁機構によれば、長期の使用等に
より上記パツキング１１，１１′の水密性が劣化
した場合でも、その押え環３を更に大きな締付力
でケース２を押圧することにより、該ケース２及
び底板４の抵抗ピン１２，１３は、その円錐状先
端が更に座屈して降縮するから、上記各パツキン
グが更に一定量圧縮されて応急的な増し締め効果
を得ることができる等、この種湯水混合栓のシー
ル構造としては顕著な実用的効果が発揮されるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案湯水混合栓の中心部縦断面図、第
２図はその弁機構の仰視図、又第３図は従来の湯
水混合栓の中心部縦断面図である。 尚、図中１……外筐、２……ケース、３……押
え環、４……底板、５……回転蓋、６……誘導
盤、７……可動デイスク、８……固定デイスク、
９……梃子杆、１０……レバーハンドル、１１，
１１′……パツキング、１２，１３……抵抗ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外筐の弁室に内蔵され、一本のレバーハンドル
   によつて流入口及び流出口の開口量を調整し得る
   ようにした弁機構のケース下端に、上記流入口及
   び流出口を囲繞するパツキングを上下面に備えた
   底板を係着し、該ケースを介して押え環によつて
   上記底板を弁室シート面に圧着した湯水混合栓に
   おいて、上記底板と対向するケースの下端面及び
   底板の下面にそれぞれ複数個乃至は複数対の逆円
   錐状の抵抗ピンを突成したことを特徴とする湯水
   混合栓。