JPS641402Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は石油、液化ガス等を収容する大型球形
タンク内の検査、修理或は清掃等を行う場合に、
当該タンク内に組立てて設置する作業用回転足場
に関する。

従来、上述タンク内の足場は、丸太、鋼材等を
用いてタンクに固定構築していた為、足場部材の
搬入並びに足場の構築に長期間の日数を必要と
し、特に固定足場は、タンク内壁の全球面に沿つ
て構築する必要があり、しかも作業者は足場上に
あつて、所要各部へ移動して作業を行わなければ
ならないから、その作業に多大の労力と時間とを
費していた。

そこでこれらの欠点を回避したものとし、タン
ク内で組立てる回転式の足場が開発されるに至つ
た。この足場は、タンク内直径方向に適当幅だけ
をもつた上下多段階状に構築され、かつこれが作
業の進行につれて縦軸中心にて回転する構成であ
るから、前述の従来例に比べて、作業時の労力及
び作業日数並びに足場の構成部品点数等を軽減で
きて効果的ではあるが、現存するこの種の足場
は、各段の作業床が単に枠体に固定されているだ
けである為、作業床上での作業者の作業範囲は、
上下左右へ手を伸ばせる程度で限定され、従つて
当該作業床の数を多くしなければタンク内壁の全
球面にわたつて検査等を行なうことができず、し
かもこのようにしてもタンク内壁の作業床と対向
する部分の作業が行い難いという問題がある。

そこで本考案は上述回転式足場の問題点に鑑み
て検討の結果、各作業床を上下方向に移動自在に
構成することによつて、各作業床上でのタンク内
壁作業可能範囲を、その上下へ向けて大巾に拡大
して、作業性の向上を図り得るようにすると共
に、作業床の数をも低減して足場組立の労力をも
軽減しようとするのが、その目的である。

以下本考案を図示の実施例に基づいて詳述すれ
ば、足場１は第１図に示したように、ユニツト化
された足場部材を球形タンク２内で組立て構築す
るものであり、その足場部材は、上記タンク２の
上部中心位置に設けられている上部マンホール３
と、下部の中心線より一側へ偏した位置に設けら
れている下部マンホール４からタンク２内に搬入
される。

上記足場１は、既知の如くタンク２内の底部に
敷設される環状レール５と、該環状レール５に搭
載される台車６と、該台車６上に枠組みされる枠
体７と、該枠体７から夫々左右の側方に向けて、
多段階に延設した各水平支持枠８……と、その先
端部に装設される作業床９……とから構成されて
いる。

ここで、上記環状レール５は、球型タンク２内
の底部中心に水平に設置してあり、該レール５上
に搭載される台車６は、モータ１０等によつて自
在に正転、逆転されるようになつている。

又、上記枠体７は、台車６上にあつて、タンク
２の直径方向に適当な長さと幅を有して、所要の
高さまで枠組み形成されており、上記台車６と一
体に駆動回転されるよう台車６に固定してある。

又、上記各水平支持枠８……は、上記枠体７の
左右両側部から対称に延設されており、上下方向
へ適宜間隔をもたせて多段階に、かつ夫々を上記
タンク２の内壁に近接する長さに延出形成してあ
ると共に、第２図に示す如くその本体８ａには、
床部材８ｂと、その巾方向両側に手摺８ｃ，８ｃ
が立設されていて、上記枠体７から当該床部材８
ｂを作業通路として、その先端側に設けた作業床
９に至ることができる。

もちろん、上記枠体７には、各階の作業床９…
…へ通じるため、梯子階段Ｔが上記各水平支持枠
８……の基端部に連通して設けてある。

而して、この足場１は、タンク外のコントロー
ル室にあつて、又は作業者が作業床９……上で遠
隔操作することにより、タンク２の中心線を回転
中心として回転させ、所望位置で停止させた後、
タンク２内の所定部分の検査、修理等を行い、次
いで足場１を所望角度回転して停止させ作業を行
うといつた繰返しによつて、タンク１の内壁面が
清掃または修理等されることとなる。

上記各段の作業床９は、第２図ないし第４図に
示したように、上記各段の水平支持枠８に、昇降
スライド機構１１と昇降駆動機構１２により所望
高さに昇降操作自在なるよう支持させてあり、各
作業床９……上での作業範囲の拡大を図り得るよ
うに構成したものである。

ここで、上記スライド機構１１は、先ず水平支
持枠８の本体８ａにあつて、その先端部に、二本
の垂直杆１１ａ，１１ａを、巾方向両側に立設
し、該両垂直杆１１ａ，１１ａの上端に水平杆１
１ｂを架設して正面略門字形状の支持体１１ｃを
起立固定する。

さらに上記作業床９の基端部からは、その巾方
向両側にあつて、後方（水平支持枠側）へ二本の
支持アーム１１ｄ，１１ｄを水平に突設し、該各
支持アーム１１ｄ，１１ｄの先端に設けた筒体１
１ｅ，１１ｅが上記支持体１１ｃの垂直杆１１
ａ，１１ａに、昇降自在なるよう被嵌されて、当
該スライド機構１１が、形成されている。

一方前記昇降駆動機構１２として図示したもの
は、チエーンブロツク１２ａを用いるようにして
おり、該チエーンブロツク１２ａは上記支持体１
１ｃの水平杆１１ｂに吊持させ、チエーン１２ｂ
を作業床９に固設してある連結具９ａに連結し、
該チエーン１２ｂの端部１２ｃを操作することに
より作業床９が、垂直杆１１ａ，１１ａを案内と
する筒体１１ｅを上下に垂直移動可能１１ｅの摺
動によつて昇降動可能となるよう構成してある。

又、この昇降駆動機構１２としては上述チエー
ンブロツクの他にホイスト、小型けん引機、プー
リブロツク等を採択することができる。

尚、第３図、第４図において、１３は、球形タ
ンク２の内壁面を示している。

以上説明したように本考案に係る球形タンク内
の作業用回転足場によれば、球形タンク２内の底
部に設置された環状レール５上に、台車６付き枠
体７が、縦軸線を中心として回転操作可能なるよ
う搭載され、該枠体７の側部に複数個の作業員が
昇降できる作業床９……を多段階に設けてなる球
形タンク内の作業用回転足場において、上記枠体
７から側方へ延設され、各作業床９……への通路
となる各水平支持枠８にあつて、その端部に支持
体１１ｃを立設し、当該支持体１１ｃに作業床９
を、昇降スライド機構１１と昇降駆動機構１２と
により昇降動操作自在なるよう支持せしめて構成
したから、各作業床９……が、枠体７と一体的に
球形タンク２の円周方向に回転できることはもと
より、各別に昇降駆動機構１２によつて上下鉛直
方向に移動でき、これにより各段の作業床９……
の高さを随意に調整可能であるから、各作業床９
……上での作用範囲を拡大できると共に、従来の
固定式作業床では困難であつた例えば、タンク内
壁面１３における作業床と対向する部分や、上段
作業床近くの内壁面の検査、修理等が容易に行な
えることになる。

又、従来は作業床各段の間隔を大きくすれば短
身の作業者にあつては高所の作業ができなくな
り、又その間隔を小さくすると長身の作業者にあ
つては、上段の作業床に動作が妨げられるといつ
た問題があつたが、本案によれば、上述問題を解
消することができ作業能率を向上できるのみなら
ず、各段の作業床９……の間隔を大きくして作業
床９……の数を少なくすることもでき、足場全体
の構成部材を低減でき、かつその組立作業の期間
を短かく、かつ労力を軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る球型タンク内の作業用
回転足場を示した全体略示斜視図、第２図は同足
場における作業床部分を示した拡大斜視図、第３
図、第４図は同足場における作業床部分を夫々示
したもので、第３図は作業床を下降した状態の側
面図、第４図は作業床を上昇した状態の側面図で
ある。 ２……球型タンク、５……環状レール、６……
台車、７……枠体、８……各段の水平支持枠、９
……各段の作業床、１１……作業床の昇降スライ
ド機構、１１ｃ……支持体、１２……昇降駆動機
構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 球型タンク内に設置された環状レール上に、台
   車付きの枠体が縦軸線を中心として回転操作可能
   なるよう搭載され該枠体の側部に複数個の作業員
   が昇降できる作業床を多段階に設けてなる球形タ
   ンク内の作業用回転足場において、上記枠体から
   側方に延設され、各作業床への通路となる各水平
   支持枠にあつて、その端部に支持体を立設し、当
   該支持体に上記作業床を、昇降スライド機構と、
   昇降駆動機構とにより昇降動操作自在なるよう支
   持せしめてなる球形タンク内の作業用回転足場。