JPS6411455B2 - - Google Patents
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- JPS6411455B2 JPS6411455B2 JP58039758A JP3975883A JPS6411455B2 JP S6411455 B2 JPS6411455 B2 JP S6411455B2 JP 58039758 A JP58039758 A JP 58039758A JP 3975883 A JP3975883 A JP 3975883A JP S6411455 B2 JPS6411455 B2 JP S6411455B2
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Description
【発明の詳細な説明】
本発明は複合材料用補強材に関し、さらに詳し
くは、繊維強化プラスチツク用として好適な補強
材に関する。
くは、繊維強化プラスチツク用として好適な補強
材に関する。
繊維強化プラスチツク(以下、FRPという)
は、従来、たとえば次のようにして成形してい
る。すなわち、補強繊維の織物にB―ステージの
熱硬化性樹脂を含浸してなる織物プリプレグや、
補強繊維を一方向に互に並行かつシート状に引き
揃えたものにB―ステージの熱硬化性樹脂を含浸
してなる一方向性プリプレグなどの補強基材を用
い、これら基材をその補強繊維が所望の方向を向
くように複数枚重ね合わせ、加圧加熱して上記熱
硬化性樹脂を硬化することによつて成形してい
る。織物プリプレグの代わりに生織物を用い、そ
れを重ね合わせた後にB―ステージの熱硬化性樹
脂を含浸する場合もある。しかしながら、このよ
うにして成形したFRPは、厚み方向の強度、特
に層間剥離強度や層間剪断強度が低いという欠点
がある。
は、従来、たとえば次のようにして成形してい
る。すなわち、補強繊維の織物にB―ステージの
熱硬化性樹脂を含浸してなる織物プリプレグや、
補強繊維を一方向に互に並行かつシート状に引き
揃えたものにB―ステージの熱硬化性樹脂を含浸
してなる一方向性プリプレグなどの補強基材を用
い、これら基材をその補強繊維が所望の方向を向
くように複数枚重ね合わせ、加圧加熱して上記熱
硬化性樹脂を硬化することによつて成形してい
る。織物プリプレグの代わりに生織物を用い、そ
れを重ね合わせた後にB―ステージの熱硬化性樹
脂を含浸する場合もある。しかしながら、このよ
うにして成形したFRPは、厚み方向の強度、特
に層間剥離強度や層間剪断強度が低いという欠点
がある。
すなわち、FRPは、補強繊維の軸方向には強
度や弾性率といつた特性が十分に発現されるが、
これらの特性は、軸方向から離れる(軸方向に対
して角度をもつ)にしたがつて急激に低下すると
いう、極めて異方性の大きな材料である。しかる
に、上記従来のFRPは、面方向には補強繊維が
存在するが、厚み方向には全く存在していないの
で、この厚み方向の強度はほとんど樹脂のみが支
えているわけである。
度や弾性率といつた特性が十分に発現されるが、
これらの特性は、軸方向から離れる(軸方向に対
して角度をもつ)にしたがつて急激に低下すると
いう、極めて異方性の大きな材料である。しかる
に、上記従来のFRPは、面方向には補強繊維が
存在するが、厚み方向には全く存在していないの
で、この厚み方向の強度はほとんど樹脂のみが支
えているわけである。
一方、近年になつて、上記方法のように成形時
に基材を重ね合わせてゆくのではなく、複数枚の
基材を予め一体に縫合しておいた補強材を使用す
る方法、すなわち、複数枚の織物基材をその補強
繊維が所望の方向を向くように重ね合わせ、その
重ね合せ体の厚み方向に補強繊維の縫糸を貫通さ
せて一体に縫合してなる補強材を用いる方法が提
案されている。この方法によれば、成形時に基材
を1枚1枚重ね合わせてゆく手間を省くことがで
きるばかりか、縫糸による補強効果によつて
FRPの厚み方向の強度が向上する。しかしなが
ら、FRP全体としてみた強度を向上することに
は必ずしもならない。
に基材を重ね合わせてゆくのではなく、複数枚の
基材を予め一体に縫合しておいた補強材を使用す
る方法、すなわち、複数枚の織物基材をその補強
繊維が所望の方向を向くように重ね合わせ、その
重ね合せ体の厚み方向に補強繊維の縫糸を貫通さ
せて一体に縫合してなる補強材を用いる方法が提
案されている。この方法によれば、成形時に基材
を1枚1枚重ね合わせてゆく手間を省くことがで
きるばかりか、縫糸による補強効果によつて
FRPの厚み方向の強度が向上する。しかしなが
ら、FRP全体としてみた強度を向上することに
は必ずしもならない。
すなわち、織物からなるFRP用の補強基材、
特に航空機用FRP構造材を成形するような場合
に使用する織物基材は、一般に、経糸および緯糸
の密度、つまり織密度が小さいか、または織糸同
士の拘束力の小さい朱子組織を採用している。そ
のため、経糸と緯糸との交錯による組織の形態保
持性が大変小さく、目ずれを起こしやすい。上記
織物基材が常用されている主たる理由は、そのよ
うな織物は経糸と緯糸の交錯部における織糸、つ
まり補強繊維の屈曲が小さいので、その屈曲部へ
の応力集中が小さく、補強繊維の特性があますと
ころなく発現されて、薄くても強度が高く、かつ
信頼性の高いFRPが得られるからである。しか
して、そのような織物基材の重ね合せ体を縫合す
る場合、あまり緩く縫合したのではFRPを形成
した場合にFRPの厚み方向において縫糸が弛ん
で補強の意味をなさず、かといつてあまり強く縫
合すると縫糸の貫通部分で重ね合せ体の表面にへ
こみができてFRPを成形した場合にその部分が
樹脂のみになつてしまい、いずれの場合も強度の
高いFRPを得ることができないので、縫糸に張
力をかけながら、FRPを成形した場合の厚みの
0.9〜1.1倍程度の厚みになるように縫合してい
る。しかしながら、そうすると、基材の織物は上
述したように目ずれを大変起こしやすいので、縫
糸に引つ張られて織糸の配列が大きく乱れてしま
う。しかして、FRPは上述したように異方性が
極めて大きな材料であるから、その面方向強度が
大きく低下する。その低下は、ときとして縫糸に
よる厚み方向強度の向上分を上回わるほどであ
る。したがつて、縫合によつて厚み方向の強度を
向上することができても、FRP全体としてみた
強度を向上することには必ずしもならない。基材
が上記織物にB―ステージの熱硬化性樹脂を含浸
してなる織物プリプレグである場合でも、縫合の
際に、縫合を行いやすくするために重ね合せ体を
熱硬化性樹脂のゲル化温度未満の温度に予熱し、
樹脂の粘度を下げることから、やはり同様の不都
合を生ずる。
特に航空機用FRP構造材を成形するような場合
に使用する織物基材は、一般に、経糸および緯糸
の密度、つまり織密度が小さいか、または織糸同
士の拘束力の小さい朱子組織を採用している。そ
のため、経糸と緯糸との交錯による組織の形態保
持性が大変小さく、目ずれを起こしやすい。上記
織物基材が常用されている主たる理由は、そのよ
うな織物は経糸と緯糸の交錯部における織糸、つ
まり補強繊維の屈曲が小さいので、その屈曲部へ
の応力集中が小さく、補強繊維の特性があますと
ころなく発現されて、薄くても強度が高く、かつ
信頼性の高いFRPが得られるからである。しか
して、そのような織物基材の重ね合せ体を縫合す
る場合、あまり緩く縫合したのではFRPを形成
した場合にFRPの厚み方向において縫糸が弛ん
で補強の意味をなさず、かといつてあまり強く縫
合すると縫糸の貫通部分で重ね合せ体の表面にへ
こみができてFRPを成形した場合にその部分が
樹脂のみになつてしまい、いずれの場合も強度の
高いFRPを得ることができないので、縫糸に張
力をかけながら、FRPを成形した場合の厚みの
0.9〜1.1倍程度の厚みになるように縫合してい
る。しかしながら、そうすると、基材の織物は上
述したように目ずれを大変起こしやすいので、縫
糸に引つ張られて織糸の配列が大きく乱れてしま
う。しかして、FRPは上述したように異方性が
極めて大きな材料であるから、その面方向強度が
大きく低下する。その低下は、ときとして縫糸に
よる厚み方向強度の向上分を上回わるほどであ
る。したがつて、縫合によつて厚み方向の強度を
向上することができても、FRP全体としてみた
強度を向上することには必ずしもならない。基材
が上記織物にB―ステージの熱硬化性樹脂を含浸
してなる織物プリプレグである場合でも、縫合の
際に、縫合を行いやすくするために重ね合せ体を
熱硬化性樹脂のゲル化温度未満の温度に予熱し、
樹脂の粘度を下げることから、やはり同様の不都
合を生ずる。
上述したような、縫合による補強繊維の曲がり
問題は、基材が、補強繊維の配列がB―ステージ
のB―ステージのみによつて維持されている一方
向性プリプレグの場合には一層顕著に起こる。特
に、縫糸による縫い方向が補強繊維の引き揃え方
向と一致する場合には、縫糸が補強繊維間にめり
込んでしまい、縫合そのものが困難になることさ
えある。
問題は、基材が、補強繊維の配列がB―ステージ
のB―ステージのみによつて維持されている一方
向性プリプレグの場合には一層顕著に起こる。特
に、縫糸による縫い方向が補強繊維の引き揃え方
向と一致する場合には、縫糸が補強繊維間にめり
込んでしまい、縫合そのものが困難になることさ
えある。
本発明の目的は、従来の補強材の上記欠点を解
決し、面方向強度および厚み方向強度がともに高
く、全休強度を大きく向上させることができるば
かりか、信頼性の高い複合材料を得ることができ
る補強材を提供するにある。
決し、面方向強度および厚み方向強度がともに高
く、全休強度を大きく向上させることができるば
かりか、信頼性の高い複合材料を得ることができ
る補強材を提供するにある。
上記目的を達成するための本発明は、シート状
補強基材の重ね合せ体と、その重ね合せ体の少な
くとも一面に重ね合せ配置したシートと、それら
補強基材とシートとの重ね合せ体を一体に縫合し
ている縫糸とを有し、上記補強基材は、補強繊維
の、織物、織物プリプレグまたは一方向性プリプ
レグからなり、上記シートは、ピン孔成長抵抗度
が200〜2000g/mmである織物または織物プリプ
レグからなり、上記縫糸は、上記補強基材を構成
している補強繊維よりも大きな破断伸度を有す
る、横断面積が0.008〜0.12mm2である補強繊維糸
からなり、かつ、上記補強基材とシートとの重ね
合せ体を単環縫いによつて縫合している複合材料
用補強材を特徴とするものである。
補強基材の重ね合せ体と、その重ね合せ体の少な
くとも一面に重ね合せ配置したシートと、それら
補強基材とシートとの重ね合せ体を一体に縫合し
ている縫糸とを有し、上記補強基材は、補強繊維
の、織物、織物プリプレグまたは一方向性プリプ
レグからなり、上記シートは、ピン孔成長抵抗度
が200〜2000g/mmである織物または織物プリプ
レグからなり、上記縫糸は、上記補強基材を構成
している補強繊維よりも大きな破断伸度を有す
る、横断面積が0.008〜0.12mm2である補強繊維糸
からなり、かつ、上記補強基材とシートとの重ね
合せ体を単環縫いによつて縫合している複合材料
用補強材を特徴とするものである。
本発明において、ピン孔成長抵抗度とは、次の
ようにして測定したものである。
ようにして測定したものである。
すなわち、まず、シート、つまり織物または織
物プリプレグを、後述する縫糸の延在方向が長手
方向になるように長さ120mm、幅50mmに切り出し、
その長手方向一端から10mmまでの部分全体をチヤ
ツクで挾み、上記一端から20mmの位置で、かつ幅
方向の中心位置に、横断面が円形で、かつ先端の
みがとがつた外径1mm、長さ40mmの剛直なピンを
シート面に垂直に20mmほど刺し込み、固定する。
次に、チヤツクを、シートの面方向で、かつ上記
ピンから離反する方向に10mm/分の一定速度で移
動させながら、チヤツクの移動量とそれに加わる
荷重との関係をチヤートに記録する。次に、チヤ
ツクが2mm移動したときにそのチヤツクに加わる
荷重(g)を測定し、その荷重を移動量2mmで除
した値をピン孔成長抵抗度と定義する。たとえ
ば、上記荷重が400gであれば、ピン孔成長抵抗
度は200g/mmということになる。上記測定は、
シートがプリプレグである場合には、シートを80
℃の温度に3分間哂した直後に行う。チヤツクが
2mm移動するまでの間に織糸が切断する場合に
は、そのようなことが起こる直前の荷重をチヤー
ト上から読み取り、それを同じくチヤート上から
読み取つたそのときのチヤツクの移動量で除し、
これをピン孔成長抵抗度と定義する。
物プリプレグを、後述する縫糸の延在方向が長手
方向になるように長さ120mm、幅50mmに切り出し、
その長手方向一端から10mmまでの部分全体をチヤ
ツクで挾み、上記一端から20mmの位置で、かつ幅
方向の中心位置に、横断面が円形で、かつ先端の
みがとがつた外径1mm、長さ40mmの剛直なピンを
シート面に垂直に20mmほど刺し込み、固定する。
次に、チヤツクを、シートの面方向で、かつ上記
ピンから離反する方向に10mm/分の一定速度で移
動させながら、チヤツクの移動量とそれに加わる
荷重との関係をチヤートに記録する。次に、チヤ
ツクが2mm移動したときにそのチヤツクに加わる
荷重(g)を測定し、その荷重を移動量2mmで除
した値をピン孔成長抵抗度と定義する。たとえ
ば、上記荷重が400gであれば、ピン孔成長抵抗
度は200g/mmということになる。上記測定は、
シートがプリプレグである場合には、シートを80
℃の温度に3分間哂した直後に行う。チヤツクが
2mm移動するまでの間に織糸が切断する場合に
は、そのようなことが起こる直前の荷重をチヤー
ト上から読み取り、それを同じくチヤート上から
読み取つたそのときのチヤツクの移動量で除し、
これをピン孔成長抵抗度と定義する。
本発明の補強材をさらに詳細に説明するに、図
面(一部破断した概略斜視図)はFRP用補強材
を示すもので、補強材1は、補強繊維の織物から
なる基材2,3,4,5,6を、それらの経糸お
よび緯糸を構成している補強繊維の方向が、厚み
方向にあつて交互に0゜/90゜、±45゜であるように重
ね合わせてなる重ね合せ体7と、この重ね合せ体
7の上下両面に重ね合わせて配置した、ピン孔成
長抵抗度が200〜2000g/mmである薄い織物から
なるシート8,9と、上記基材2,3,4,5,
6とシート8,9を一体に縫合している、上記織
物を構成している補強繊維よりも大きな破断伸度
を有し、しかも、横断面積が0.008〜0.12mm2であ
る補強繊維糸からなる縫糸10,11,12,1
3を有している。上記一体縫合は単環縫いによつ
て行われており、縫糸10,11,12,13が
それぞれ補強材1の上面から下面へ、また下面か
ら上面へと繰り返し貫通しながら補強材1の長手
方向に等ピツチで延在している。この縫糸10,
11,12,13の延在方向が、上述したピン孔
成長抵抗度の測定に際して切り出される測定片の
長手方向である。また、上記縫糸10,11,1
2,13は、補強材の幅方向においては互に等間
隔で配置されている。
面(一部破断した概略斜視図)はFRP用補強材
を示すもので、補強材1は、補強繊維の織物から
なる基材2,3,4,5,6を、それらの経糸お
よび緯糸を構成している補強繊維の方向が、厚み
方向にあつて交互に0゜/90゜、±45゜であるように重
ね合わせてなる重ね合せ体7と、この重ね合せ体
7の上下両面に重ね合わせて配置した、ピン孔成
長抵抗度が200〜2000g/mmである薄い織物から
なるシート8,9と、上記基材2,3,4,5,
6とシート8,9を一体に縫合している、上記織
物を構成している補強繊維よりも大きな破断伸度
を有し、しかも、横断面積が0.008〜0.12mm2であ
る補強繊維糸からなる縫糸10,11,12,1
3を有している。上記一体縫合は単環縫いによつ
て行われており、縫糸10,11,12,13が
それぞれ補強材1の上面から下面へ、また下面か
ら上面へと繰り返し貫通しながら補強材1の長手
方向に等ピツチで延在している。この縫糸10,
11,12,13の延在方向が、上述したピン孔
成長抵抗度の測定に際して切り出される測定片の
長手方向である。また、上記縫糸10,11,1
2,13は、補強材の幅方向においては互に等間
隔で配置されている。
上記において、基材を構成している補強繊維
は、炭素繊維、ガラス繊維、有機高弾性繊維(た
とえば、ポリアラミド繊維など)、シリコンカー
バイド繊維、アルミナ繊維等の高強度、高弾性率
繊維である。なお、基材が織物やそのプリプレグ
である場合、織糸はマルチフイラメントからなつ
ているが、その織糸は、FRPを成形する際の樹
脂の含浸性をよくするため、またFRP中におけ
る体積含有率を高くするため、さらには縫合によ
る切断や損傷を防止するため、撚数ができるだけ
少ないのが好ましい。特に、補強繊維が炭素繊維
である場合には、炭素繊維は弾性率が極めて高
く、かつ破断伸度が小さいために曲げの力に対し
て弱いので、実質的に無撚りであるのが好まし
い。
は、炭素繊維、ガラス繊維、有機高弾性繊維(た
とえば、ポリアラミド繊維など)、シリコンカー
バイド繊維、アルミナ繊維等の高強度、高弾性率
繊維である。なお、基材が織物やそのプリプレグ
である場合、織糸はマルチフイラメントからなつ
ているが、その織糸は、FRPを成形する際の樹
脂の含浸性をよくするため、またFRP中におけ
る体積含有率を高くするため、さらには縫合によ
る切断や損傷を防止するため、撚数ができるだけ
少ないのが好ましい。特に、補強繊維が炭素繊維
である場合には、炭素繊維は弾性率が極めて高
く、かつ破断伸度が小さいために曲げの力に対し
て弱いので、実質的に無撚りであるのが好まし
い。
基材たる織物は、平織物、朱子織物、綾織物な
ど、いずれの織組織の織物であつてもよいが、上
述したように、経糸と緯糸の交錯部における織
糸、つまり補強繊維の屈曲が小さいと、その屈曲
部への応力集中が小さくなり、補強繊維の特性が
余すところなく発現されて、薄くても強度が高
く、かつ信頼性の高いFRPが得られるので、上
記シートと同様に定義したピン孔成長抵抗度が10
〜180g/mmである、特に朱子織物であるのが好
ましい。なお、織物が炭素繊維からなるものであ
る場合、上記応力集中は[補強繊維の弾性率/樹
脂の弾性率]に比例して大きくなることから、ピ
ン孔成長抵抗度がより低い10〜150g/mmの範囲
にあるのが好ましい。
ど、いずれの織組織の織物であつてもよいが、上
述したように、経糸と緯糸の交錯部における織
糸、つまり補強繊維の屈曲が小さいと、その屈曲
部への応力集中が小さくなり、補強繊維の特性が
余すところなく発現されて、薄くても強度が高
く、かつ信頼性の高いFRPが得られるので、上
記シートと同様に定義したピン孔成長抵抗度が10
〜180g/mmである、特に朱子織物であるのが好
ましい。なお、織物が炭素繊維からなるものであ
る場合、上記応力集中は[補強繊維の弾性率/樹
脂の弾性率]に比例して大きくなることから、ピ
ン孔成長抵抗度がより低い10〜150g/mmの範囲
にあるのが好ましい。
また、織物として、特公昭57―52221号公報に
記載されているような、実質的に屈曲を有しない
真直ぐな補強繊維糸を互に並行かつシート状に引
き揃えてなる少なくとも2個の糸条群を補助糸よ
つて一体に織成した、いわゆるノンクリンプ織物
を使用すると、補強繊維糸が応力の集中するよう
な屈曲を有していないために、特に補強材の面方
向において補強繊維の特性が余すところなく発現
され、FRPの面方向強度が一層向上するので好
ましい。
記載されているような、実質的に屈曲を有しない
真直ぐな補強繊維糸を互に並行かつシート状に引
き揃えてなる少なくとも2個の糸条群を補助糸よ
つて一体に織成した、いわゆるノンクリンプ織物
を使用すると、補強繊維糸が応力の集中するよう
な屈曲を有していないために、特に補強材の面方
向において補強繊維の特性が余すところなく発現
され、FRPの面方向強度が一層向上するので好
ましい。
基材は、上記織物にB―ステージ(たとえば、
「プラスチツク工業辞典」、第107頁、1973年9月
25日、株式会社工業調査会刊)の熱硬化性樹脂を
含浸してなる織物プリプレグであつてもよい。熱
硬化性樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、フエノール樹脂、ポリイミド
樹脂のようなものである。基材はまた、上記補強
繊維を一方向に互に並行かつシート状に引き揃え
たものにB―ステージの上記熱硬化性樹脂を含浸
してなる、いわゆる一方向性プリプレグであつて
もよい。
「プラスチツク工業辞典」、第107頁、1973年9月
25日、株式会社工業調査会刊)の熱硬化性樹脂を
含浸してなる織物プリプレグであつてもよい。熱
硬化性樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、フエノール樹脂、ポリイミド
樹脂のようなものである。基材はまた、上記補強
繊維を一方向に互に並行かつシート状に引き揃え
たものにB―ステージの上記熱硬化性樹脂を含浸
してなる、いわゆる一方向性プリプレグであつて
もよい。
上述したような基材の重ね合せ枚数は、成形し
たいFRPの厚みに応じて任意に選べばよい。ま
た、重ね合わせる際の補強繊維の方向は、すべて
の基材についてその補強繊維の方向が同一方向を
向くように重ね合わせてもよいし、ある基材につ
いては補強材の長手方向を向くようにし、またあ
る基材については長手方向に対してある角度をも
つようにするなど、任意の角度の組み合せとして
重ね合わせてもよい。たとえば、図面に示したよ
うな0゜/90゜、±45゜の組み合せは、面方向に疑似等
方性のFRPを成形する場合に好適である。また、
ねじり強度を重視する場合には、すべての基材を
その補強繊維が±30゜〜±60゜、好ましくは±45゜の
方向を向くように重ね合わせる。なお、基材は、
補材の長手方向および/または幅方向において重
ね合せ枚数が異なつていてもよい。すなわち、同
一寸法の基材を用いる必要は必ずしもない。ま
た、図面に示したようにシート状または平板状に
重ね合わせる必要は必ずしもなく、1枚の基材を
渦巻状に、または複数枚の基材の重ね合せ体を渦
巻状に巻回することであつてもよい。換言すれ
ば、本発明の補強材は、シート状または平板状で
あつても、筒状であつてもよいものである。
たいFRPの厚みに応じて任意に選べばよい。ま
た、重ね合わせる際の補強繊維の方向は、すべて
の基材についてその補強繊維の方向が同一方向を
向くように重ね合わせてもよいし、ある基材につ
いては補強材の長手方向を向くようにし、またあ
る基材については長手方向に対してある角度をも
つようにするなど、任意の角度の組み合せとして
重ね合わせてもよい。たとえば、図面に示したよ
うな0゜/90゜、±45゜の組み合せは、面方向に疑似等
方性のFRPを成形する場合に好適である。また、
ねじり強度を重視する場合には、すべての基材を
その補強繊維が±30゜〜±60゜、好ましくは±45゜の
方向を向くように重ね合わせる。なお、基材は、
補材の長手方向および/または幅方向において重
ね合せ枚数が異なつていてもよい。すなわち、同
一寸法の基材を用いる必要は必ずしもない。ま
た、図面に示したようにシート状または平板状に
重ね合わせる必要は必ずしもなく、1枚の基材を
渦巻状に、または複数枚の基材の重ね合せ体を渦
巻状に巻回することであつてもよい。換言すれ
ば、本発明の補強材は、シート状または平板状で
あつても、筒状であつてもよいものである。
シートたる上記織物は、縫合の際に縫糸によつ
て基材の補強繊維の配列が乱されるのを防止する
もので、基材を構成しているのと同様の上記補強
繊維や、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レー
ヨン繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、フエ
ノール繊維、ビニロン繊維、フツ素繊維、ポリビ
ニルアルコール繊維などの平織物、朱子織物、綾
織物などからなつている。これらの織物は、成形
時における樹脂の含浸性をよくしたり、基材との
接着性をよくするために、繊維の製造工程でサイ
ジング剤が使用される場合にはそれを除去した
り、シラン等で処理しておくのが好ましい。シー
トはまた、上記織物にB―ステージの上記熱硬化
性樹脂を含浸してなる織物プリプレグであつても
よい。なお、基材との組み合せにおいては、基材
が織物である場合にはシートもやはり織物である
のがよく、基材がプリプレグである場合にはシー
トはプリプレグであるのが好ましい。
て基材の補強繊維の配列が乱されるのを防止する
もので、基材を構成しているのと同様の上記補強
繊維や、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レー
ヨン繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、フエ
ノール繊維、ビニロン繊維、フツ素繊維、ポリビ
ニルアルコール繊維などの平織物、朱子織物、綾
織物などからなつている。これらの織物は、成形
時における樹脂の含浸性をよくしたり、基材との
接着性をよくするために、繊維の製造工程でサイ
ジング剤が使用される場合にはそれを除去した
り、シラン等で処理しておくのが好ましい。シー
トはまた、上記織物にB―ステージの上記熱硬化
性樹脂を含浸してなる織物プリプレグであつても
よい。なお、基材との組み合せにおいては、基材
が織物である場合にはシートもやはり織物である
のがよく、基材がプリプレグである場合にはシー
トはプリプレグであるのが好ましい。
シートは、ピン孔成長抵抗度が200〜2000g/
mmである必要がある。好ましくは200〜1200g/
である。すなわち、上記抵抗度が200g/mm未満
では、縫合時に縫糸に引つ張られて目ずれが容易
に起こり、それにつれて基材の補強繊維の配列が
乱れてしまう。また、2000g/mmを越えるような
高いピン孔成長抵抗度のシートを使用すると、縫
合を行いにくくなるばかりか、縫合時の縫糸とシ
ートとの摩擦が極端に大きくなつて縫糸が傷付け
られ、縫糸の強度が低下して、FRPの厚み方向
強度を向上させるという縫合の意味が失われてし
まう。特に、縫糸として、結節強度が低く、毛羽
立ちやすい炭素繊維を使用する場合にはこの傾向
が著しく顕著になる。
mmである必要がある。好ましくは200〜1200g/
である。すなわち、上記抵抗度が200g/mm未満
では、縫合時に縫糸に引つ張られて目ずれが容易
に起こり、それにつれて基材の補強繊維の配列が
乱れてしまう。また、2000g/mmを越えるような
高いピン孔成長抵抗度のシートを使用すると、縫
合を行いにくくなるばかりか、縫合時の縫糸とシ
ートとの摩擦が極端に大きくなつて縫糸が傷付け
られ、縫糸の強度が低下して、FRPの厚み方向
強度を向上させるという縫合の意味が失われてし
まう。特に、縫糸として、結節強度が低く、毛羽
立ちやすい炭素繊維を使用する場合にはこの傾向
が著しく顕著になる。
ここで、シートのピン孔成長抵抗度は、織物ま
たは織物プリプレグが、織物の経糸および緯糸、
すなわち織物相互の拘束力によつて組織されてい
ることから、一般に、織糸同士の拘束力が大きい
ほど大きくなる。しかして、織糸同士の拘束力に
影響を与える要因としては、織糸の曲げ剛性、織
糸の繊度、織組織、織密度等がある。織糸の曲げ
剛性が大きいほど、織組織が朱子織から綾織、平
織と交錯数が増えるのにしたがつてピン孔成長抵
抗度が大きくなる。同様に、織糸繊度が大きくな
るのにしたがつて、また、織密度が大きくなつて
交錯数が増えるのにしたがつてピン孔成長抵抗度
が大きくなる。また、ピンの挿入によつて織糸の
移動が開始された後の、織糸の移動に伴う抵抗
は、拘束力よりも、むしろ織物の幾何学的形態、
すなわち、交錯の緻密さや、織糸の曲げ剛性等に
よつて決まるが、その傾向は上述した、織糸の拘
束力の場合と同様である。
たは織物プリプレグが、織物の経糸および緯糸、
すなわち織物相互の拘束力によつて組織されてい
ることから、一般に、織糸同士の拘束力が大きい
ほど大きくなる。しかして、織糸同士の拘束力に
影響を与える要因としては、織糸の曲げ剛性、織
糸の繊度、織組織、織密度等がある。織糸の曲げ
剛性が大きいほど、織組織が朱子織から綾織、平
織と交錯数が増えるのにしたがつてピン孔成長抵
抗度が大きくなる。同様に、織糸繊度が大きくな
るのにしたがつて、また、織密度が大きくなつて
交錯数が増えるのにしたがつてピン孔成長抵抗度
が大きくなる。また、ピンの挿入によつて織糸の
移動が開始された後の、織糸の移動に伴う抵抗
は、拘束力よりも、むしろ織物の幾何学的形態、
すなわち、交錯の緻密さや、織糸の曲げ剛性等に
よつて決まるが、その傾向は上述した、織糸の拘
束力の場合と同様である。
シートは、150℃における熱収縮率が5%以下
であるのが好ましい。さらに好ましいのは、1%
以下である。すなわち、基材を構成している補強
繊維は一般に熱収縮率が小さいので、シートの熱
収縮率が大きいと、成形時の加熱によつてシート
のみが大きく収縮し、それによつて基材の補強繊
維の配列が乱されることがある。
であるのが好ましい。さらに好ましいのは、1%
以下である。すなわち、基材を構成している補強
繊維は一般に熱収縮率が小さいので、シートの熱
収縮率が大きいと、成形時の加熱によつてシート
のみが大きく収縮し、それによつて基材の補強繊
維の配列が乱されることがある。
縫糸は、補強材の厚み方向に伸びていて、
FRPを成形した場合にその厚み方向の強度を向
上させ、ひいてはFRP全体の強度を向上させる
ものである。そのような縫糸は、炭素繊維、ガラ
ス繊維、有機高弾性繊維などの高強度、高弾性率
繊維のマルチフイラメントからなつている。単糸
径は、3〜15μであるのが好ましい。特に、ガラ
ス繊維からなるものである場合には、ガラス繊維
は結節強度が小さいので、7μ以下の細いもので
あるのが好ましい。有機高弾性繊維の場合には、
同様の理由から単糸径10〜15μのものが好まし
い。なお、縫糸は大きく屈曲しているので、補強
材に加わる応力が集中してその縫糸から補強材の
破壊が進行することがある。そのため、縫糸は基
材を構成している補強繊維よりも大きな破断伸度
を有するものでなければならない。たとえば、基
材が炭素繊維からなるものである場合、縫糸はガ
ラス繊維または有機高弾性繊維であるのが好まし
い。
FRPを成形した場合にその厚み方向の強度を向
上させ、ひいてはFRP全体の強度を向上させる
ものである。そのような縫糸は、炭素繊維、ガラ
ス繊維、有機高弾性繊維などの高強度、高弾性率
繊維のマルチフイラメントからなつている。単糸
径は、3〜15μであるのが好ましい。特に、ガラ
ス繊維からなるものである場合には、ガラス繊維
は結節強度が小さいので、7μ以下の細いもので
あるのが好ましい。有機高弾性繊維の場合には、
同様の理由から単糸径10〜15μのものが好まし
い。なお、縫糸は大きく屈曲しているので、補強
材に加わる応力が集中してその縫糸から補強材の
破壊が進行することがある。そのため、縫糸は基
材を構成している補強繊維よりも大きな破断伸度
を有するものでなければならない。たとえば、基
材が炭素繊維からなるものである場合、縫糸はガ
ラス繊維または有機高弾性繊維であるのが好まし
い。
また、縫糸は、縫合時の単糸切れや糸割れを防
止するために、30回/m以上の上撚りを有してい
るのが好ましい。しかしながら、上撚り数があま
り多くなると横断面形状が丸くなり、FRP中に
おける補強繊維の体積含有率が低くなるので、
7.0回/m以下であるのが好ましい。
止するために、30回/m以上の上撚りを有してい
るのが好ましい。しかしながら、上撚り数があま
り多くなると横断面形状が丸くなり、FRP中に
おける補強繊維の体積含有率が低くなるので、
7.0回/m以下であるのが好ましい。
さらに、縫糸は、上述したように補強繊維のマ
ルチフイラメントからなつているが、その横断面
積は、0.008〜0.12mm2の範囲でなければならない。
すなわち、縫糸があまりに細いと、縫合効果を得
るためには縫合密度を高くする必要がでてくる
が、そうすると、縫合時にニードルや縫糸が基材
やシートを貫通する回数が増え、基材やシートを
構成している補強繊維等のみならず、縫糸自身の
損傷も大きくなつて、全体強度や信頼性に優れた
FRPが得られなくなる。一方、縫糸があまりに
太いと、縫合時における縫糸と基材やシートとの
擦過が著しくなり、同様に基材やシートを構成し
ている補強繊維等や縫糸自身の損傷が大きくなる
ばかりか、縫糸が基材の補強繊維を押し広げて蛇
行させるようになり、やはり全体強度や信頼性に
優れたFRPが得られなくなる。この点、横断面
積が0.008〜0.12mm2の範囲である縫糸を使用すれ
ば、上述した問題を防止できる。
ルチフイラメントからなつているが、その横断面
積は、0.008〜0.12mm2の範囲でなければならない。
すなわち、縫糸があまりに細いと、縫合効果を得
るためには縫合密度を高くする必要がでてくる
が、そうすると、縫合時にニードルや縫糸が基材
やシートを貫通する回数が増え、基材やシートを
構成している補強繊維等のみならず、縫糸自身の
損傷も大きくなつて、全体強度や信頼性に優れた
FRPが得られなくなる。一方、縫糸があまりに
太いと、縫合時における縫糸と基材やシートとの
擦過が著しくなり、同様に基材やシートを構成し
ている補強繊維等や縫糸自身の損傷が大きくなる
ばかりか、縫糸が基材の補強繊維を押し広げて蛇
行させるようになり、やはり全体強度や信頼性に
優れたFRPが得られなくなる。この点、横断面
積が0.008〜0.12mm2の範囲である縫糸を使用すれ
ば、上述した問題を防止できる。
縫糸による縫合は、単環縫いによつて行う。す
なわち、上記実施例に示した単環縫いは、重ね合
せ体の厚み方向において上糸と下糸が交錯して
180゜屈曲する本縫いとは異なり、厚み方向にあつ
て屈曲することがないので、縫糸の強度や弾性率
といつた特性を余すところなく利用することがで
き、FRPの厚み方向強度の向上効果が大きい。
なお、このとき、図面において、シートは下面の
みに重ね合わせてもよい。すなわち、下面におい
ては、2本の縫糸が互に反対方向に90゜曲がる形
で縫い目を形成しており、縫糸の張力が互に反対
方向に作用して基材の補強繊維を拡げるように働
いているので、そのような面にのみシートを重ね
合わせるようにすると、より薄肉のFRPを成形
することができるばかりか、成形作業も容易にな
る。換言すれば、シートは基材の重ね合せ体の必
要な一面のみに重ね合わせることであつてよい。
なわち、上記実施例に示した単環縫いは、重ね合
せ体の厚み方向において上糸と下糸が交錯して
180゜屈曲する本縫いとは異なり、厚み方向にあつ
て屈曲することがないので、縫糸の強度や弾性率
といつた特性を余すところなく利用することがで
き、FRPの厚み方向強度の向上効果が大きい。
なお、このとき、図面において、シートは下面の
みに重ね合わせてもよい。すなわち、下面におい
ては、2本の縫糸が互に反対方向に90゜曲がる形
で縫い目を形成しており、縫糸の張力が互に反対
方向に作用して基材の補強繊維を拡げるように働
いているので、そのような面にのみシートを重ね
合わせるようにすると、より薄肉のFRPを成形
することができるばかりか、成形作業も容易にな
る。換言すれば、シートは基材の重ね合せ体の必
要な一面のみに重ね合わせることであつてよい。
また、縫糸の特性をそのまま発現させるため
に、縫糸は基材の重ね合せ体の面に垂直な方向に
対して−15゜〜+15゜の角度をなしているのが好ま
しい。最も好ましいのは0゜である。すなわち、
FRPは補強繊維の軸方向に最も高強度であるか
ら、FRPの厚み方向強度を効果的に向上させる
ためには、上記角度が0゜であるのが最も好ましい
のである。
に、縫糸は基材の重ね合せ体の面に垂直な方向に
対して−15゜〜+15゜の角度をなしているのが好ま
しい。最も好ましいのは0゜である。すなわち、
FRPは補強繊維の軸方向に最も高強度であるか
ら、FRPの厚み方向強度を効果的に向上させる
ためには、上記角度が0゜であるのが最も好ましい
のである。
縫糸による補強材の縫合厚みは、FRPを成形
した場合の厚みの0.9〜1.1倍程度になるようにす
るのが好ましい。すなわち、あまり強く縫合する
と、後の樹脂含浸が困難になつたり、FRPを成
形した場合に補強材表面の縫糸貫通部に樹脂溜り
を生ずることがあり、また弱すぎるとFRPを成
形した場合にその厚み方向で縫糸が弛んでしま
い、厚み方向強度の向上効果が低くなる。
した場合の厚みの0.9〜1.1倍程度になるようにす
るのが好ましい。すなわち、あまり強く縫合する
と、後の樹脂含浸が困難になつたり、FRPを成
形した場合に補強材表面の縫糸貫通部に樹脂溜り
を生ずることがあり、また弱すぎるとFRPを成
形した場合にその厚み方向で縫糸が弛んでしま
い、厚み方向強度の向上効果が低くなる。
縫合は、通常、ニードルを使用して行う。この
とき、基材やシートがプリプレグであると、B―
ステージの熱硬化性樹脂のためにニードルが貫通
しにくいので、プリプレグおよび/またはニード
ルを、プリプレグの樹脂のゲル化温度未満の温度
に加熱しておくとよい。基材および/またはシー
トをプリプレグ化しておく主たる理由は、FRP
中における樹脂分布をより一様にすることがで
き、またFRP中に残存するボイドがより少なく
なるということにあるが、縫合は若干行いにくく
なる。
とき、基材やシートがプリプレグであると、B―
ステージの熱硬化性樹脂のためにニードルが貫通
しにくいので、プリプレグおよび/またはニード
ルを、プリプレグの樹脂のゲル化温度未満の温度
に加熱しておくとよい。基材および/またはシー
トをプリプレグ化しておく主たる理由は、FRP
中における樹脂分布をより一様にすることがで
き、またFRP中に残存するボイドがより少なく
なるということにあるが、縫合は若干行いにくく
なる。
本発明の補強材を使用したFRPの成形は、金
型成形法、レジンインジエクシヨン成形法、オー
トクレイブ成形法など、周知の成形法を用いて行
うことができる。
型成形法、レジンインジエクシヨン成形法、オー
トクレイブ成形法など、周知の成形法を用いて行
うことができる。
以上においては、補強材がFRP用である場合
について説明したが、本発明の補強材は、補強繊
維やシート、縫糸の種類を適宜選択することによ
つて、繊維強化炭素材料や繊維強化金属材料用と
して使用することができるものである。たとえ
ば、基材、シートおよび縫糸に炭素繊維を用いた
ものは、炭素繊維強化炭素材料用補強材として使
用することができる。すなわち、上記基材を用い
てFRPを成形した後、マトリクスたる樹脂を焼
成して炭化すればよい。
について説明したが、本発明の補強材は、補強繊
維やシート、縫糸の種類を適宜選択することによ
つて、繊維強化炭素材料や繊維強化金属材料用と
して使用することができるものである。たとえ
ば、基材、シートおよび縫糸に炭素繊維を用いた
ものは、炭素繊維強化炭素材料用補強材として使
用することができる。すなわち、上記基材を用い
てFRPを成形した後、マトリクスたる樹脂を焼
成して炭化すればよい。
以上説明したように、本発明の補強材は、シー
ト状補強基材の重ね合せ体の少なくとも一面に、
ピン孔成長抵抗度が200〜2000g/mmである織物
または織物プリプレグを重ね合せ配置し、かつ、
それら基材とシートとの重ね合せ体を縫糸で一体
に縫合してなるものであるから、縫合時における
縫糸の張力による、基材を構成している補強繊維
の配列の乱れが防止されており、しかも、単環縫
いをしているために補強繊維糸からなる織糸が基
材とシートとの重ね合せ体の厚み方向に伸びてい
ることと相まつて、複合材料の面方向強度および
厚み方向強度、ひいては全体強度を大きく向上す
ることができ、しかも、信頼性に優れた複合材料
を得ることができるようになる。しかも、複合材
料を製造する際に基材を1枚1枚積層する必要も
ないので製造工程を簡略化できる。
ト状補強基材の重ね合せ体の少なくとも一面に、
ピン孔成長抵抗度が200〜2000g/mmである織物
または織物プリプレグを重ね合せ配置し、かつ、
それら基材とシートとの重ね合せ体を縫糸で一体
に縫合してなるものであるから、縫合時における
縫糸の張力による、基材を構成している補強繊維
の配列の乱れが防止されており、しかも、単環縫
いをしているために補強繊維糸からなる織糸が基
材とシートとの重ね合せ体の厚み方向に伸びてい
ることと相まつて、複合材料の面方向強度および
厚み方向強度、ひいては全体強度を大きく向上す
ることができ、しかも、信頼性に優れた複合材料
を得ることができるようになる。しかも、複合材
料を製造する際に基材を1枚1枚積層する必要も
ないので製造工程を簡略化できる。
また、本発明の補強材は、大きく屈曲している
ために応力が集中しやすい縫糸として、基材を構
成している補強繊維よりも大きな破断伸度を有す
る縫糸を使用しているから、縫合を、基材とシー
トとの重ね合せ体の厚み方向において縫糸が180゜
屈曲することのない単環縫いによつていることと
相まつて、基材よりも先に縫糸が破断してそこか
ら複合材料の破壊が進行するのを防止することが
でき、基材を構成している補強繊維の特性を余す
ところなく発現させることができる。
ために応力が集中しやすい縫糸として、基材を構
成している補強繊維よりも大きな破断伸度を有す
る縫糸を使用しているから、縫合を、基材とシー
トとの重ね合せ体の厚み方向において縫糸が180゜
屈曲することのない単環縫いによつていることと
相まつて、基材よりも先に縫糸が破断してそこか
ら複合材料の破壊が進行するのを防止することが
でき、基材を構成している補強繊維の特性を余す
ところなく発現させることができる。
さらに、本発明の補強材は、縫糸の太さが、横
断面積が0.008〜0.12mm2の範囲で選定されるから、
基材やシートを構成している補強繊維等のみなら
ず、縫糸自身の損傷も少なく、この面からも全体
強度や信頼性が大きく向上する。すなわち、縫糸
があまりに細いと、縫合効果を得るためには縫合
密度を高くする必要がでてくるが、そうすると、
縫合時にニードルや縫糸が基材やシートを貫通す
る回数が増え、基材やシートを構成している補強
繊維等のみならず、縫糸自身の損傷も大きくなつ
て、全体強度や信頼性に優れた複合材料が得られ
なくなり、一方、縫糸があまりに太いと、縫合時
における縫糸と基材やシートとの擦過が著しくな
り、同様に基材やシートを構成している補強繊維
等や縫糸自身の損傷が大きくなるばかりか、縫糸
が基材の補強繊維を押し広げて蛇行させるように
なつて、やはり全体強度や信頼性に優れた複合材
料が得られなくなるが、本発明においては、縫糸
の太さが、横断面積が0.008〜0.12mm2の範囲で選
定されるから、そのような不都合が回避できる。
断面積が0.008〜0.12mm2の範囲で選定されるから、
基材やシートを構成している補強繊維等のみなら
ず、縫糸自身の損傷も少なく、この面からも全体
強度や信頼性が大きく向上する。すなわち、縫糸
があまりに細いと、縫合効果を得るためには縫合
密度を高くする必要がでてくるが、そうすると、
縫合時にニードルや縫糸が基材やシートを貫通す
る回数が増え、基材やシートを構成している補強
繊維等のみならず、縫糸自身の損傷も大きくなつ
て、全体強度や信頼性に優れた複合材料が得られ
なくなり、一方、縫糸があまりに太いと、縫合時
における縫糸と基材やシートとの擦過が著しくな
り、同様に基材やシートを構成している補強繊維
等や縫糸自身の損傷が大きくなるばかりか、縫糸
が基材の補強繊維を押し広げて蛇行させるように
なつて、やはり全体強度や信頼性に優れた複合材
料が得られなくなるが、本発明においては、縫糸
の太さが、横断面積が0.008〜0.12mm2の範囲で選
定されるから、そのような不都合が回避できる。
本発明の補強材は、いろいろな用途の複合材料
を得る場合に使用することができるが、たとえ
ば、FRP製の、航空機の主翼のスキン材、H型
やI型桁材などの一次構造材や、各種パイプや、
自動車、自動二輪車、自転車などのプロペラシヤ
フト、ホイールまたはリムや、圧力容器や、遠心
分離機の回転胴等の各種高速回転体や、シールリ
ングなどを成形する場合に特に好適である。
を得る場合に使用することができるが、たとえ
ば、FRP製の、航空機の主翼のスキン材、H型
やI型桁材などの一次構造材や、各種パイプや、
自動車、自動二輪車、自転車などのプロペラシヤ
フト、ホイールまたはリムや、圧力容器や、遠心
分離機の回転胴等の各種高速回転体や、シールリ
ングなどを成形する場合に特に好適である。
図面は、本発明の補強材の一実施例を示す一部
破断した概略斜視図である。 1:補強材、2,3,4,5,6:織物(基
材)、7:重ね合せ体、8,9:織物(シート)、
10,11,12,13:縫糸。
破断した概略斜視図である。 1:補強材、2,3,4,5,6:織物(基
材)、7:重ね合せ体、8,9:織物(シート)、
10,11,12,13:縫糸。
Claims (1)
- 1 シート状補強基材の重ね合せ体と、その重ね
合せ体の少なくとも一面に重ね合せ配置したシー
トと、それら補強基材とシートとの重ね合せ体を
一体に縫合している縫糸とを有し、上記補強基材
は、補強繊維の、織物、織物プリプレグまたは一
方向性プリプレグからなり、上記シートは、ピン
孔成長抵抗度が200〜2000g/mmである織物また
は織物プリプレグからなり、上記縫糸は、上記補
強基材を構成している補強繊維よりも大きな破断
伸度を有する、横断面積が0.008〜0.12mm2である
補強繊維糸からなり、かつ、上記補強基材とシー
トとの重ね合せ体を単環縫いによつて縫合してい
ることを特徴とする複合材料用補強材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58039758A JPS59165647A (ja) | 1983-03-10 | 1983-03-10 | 複合材料用補強材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58039758A JPS59165647A (ja) | 1983-03-10 | 1983-03-10 | 複合材料用補強材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59165647A JPS59165647A (ja) | 1984-09-18 |
JPS6411455B2 true JPS6411455B2 (ja) | 1989-02-23 |
Family
ID=12561846
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP58039758A Granted JPS59165647A (ja) | 1983-03-10 | 1983-03-10 | 複合材料用補強材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59165647A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1996027701A1 (fr) * | 1995-03-08 | 1996-09-12 | Toray Industries, Inc. | Materiau tisse renforce et procede et appareil pour sa fabrication |
JP2016164320A (ja) * | 2015-03-06 | 2016-09-08 | 株式会社Shindo | 耐熱性多軸ステッチ基材 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0330960A3 (en) * | 1988-03-04 | 1990-07-11 | General Electric Company | Method of forming a fiber-reinforced thermoplastic article |
JPH09136368A (ja) * | 1995-11-14 | 1997-05-27 | Kajima Corp | 複合シートの接合方法 |
DE19915083C1 (de) | 1999-04-01 | 2000-04-13 | Daimler Chrysler Ag | Verfahren zur Herstellung faserverstärkter Kunststoffbauteile mit nicht-vollständig abwickelbarer Geometrie |
JP3344398B2 (ja) * | 2000-01-19 | 2002-11-11 | 村田機械株式会社 | プリフォームのステッチング方法 |
JP2004174864A (ja) * | 2002-11-26 | 2004-06-24 | Yamaha Motor Co Ltd | 積層樹脂成形品 |
JP5493442B2 (ja) * | 2009-04-16 | 2014-05-14 | トヨタ自動車株式会社 | プリプレグおよびプリプレグの製造方法 |
JP6860991B2 (ja) * | 2016-08-01 | 2021-04-21 | 三菱重工業株式会社 | 面外補強糸の挿入方法及び繊維含有材料の製造方法 |
JP6804229B2 (ja) | 2016-08-01 | 2020-12-23 | 三菱重工業株式会社 | 面外補強糸の挿入方法及び繊維含有材料の製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51137746U (ja) * | 1975-04-30 | 1976-11-06 | ||
JPS551874U (ja) * | 1978-06-21 | 1980-01-08 | ||
JPS55117649A (en) * | 1979-03-05 | 1980-09-10 | Toyota Motor Co Ltd | Composite material with high strength |
-
1983
- 1983-03-10 JP JP58039758A patent/JPS59165647A/ja active Granted
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO1996027701A1 (fr) * | 1995-03-08 | 1996-09-12 | Toray Industries, Inc. | Materiau tisse renforce et procede et appareil pour sa fabrication |
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59165647A (ja) | 1984-09-18 |
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