JP2016164320A - 耐熱性多軸ステッチ基材 - Google Patents

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【課題】プリフォーム作製工程や成形加工工程、あるいはFRP製品において高温環境に晒されても、ステッチ糸が熱収縮や熱溶融を起こすことがなく、かつ、吸水による不良品形成を防止することもできる耐熱性多軸ステッチ基材の提供。【解決手段】強化繊維糸条を互いに並行に配列してなる強化繊維シート3を、それぞれ異なった配向方向で複数枚積層して、これらのシートを貫通するステッチ糸2により縫合一体化された多軸ステッチ基材1であって、ステッチ糸2は、繊度を100〜500dtexにする一方、破断歪みエネルギーが30MJ/m3以上のガラス繊維糸からなるヨリ糸にするという技術的手段を採用した耐熱性多軸ステッチ基材1。ステッチ糸を構成するヨリ糸が、下ヨリが掛かった2本又は3本の単糸であって、その下ヨリとは逆方向で、かつ、下ヨリ数の60〜90%の上ヨリを掛けた双糸又は3糸である耐熱性多軸ステッチ基材。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber-Reinforced-Plastics)の繊維補強基材として用いる多軸ステッチ基材の改良、更に詳しくは、プリフォーム作製工程や成形加工工程、あるいはFRP製品において高温環境に晒されても、ステッチ糸が熱収縮や熱溶融を起こすことがなく、かつ、吸水による不良品形成を防止することもできる耐熱性多軸ステッチ基材に関するものである。
炭素繊維やガラス繊維などを補強材とした繊維強化プラスチック(FRP:Fiber-Reinforced-Plastics)は、繊維方向には高い強度、弾性率を発揮するが、繊維方向に直交する角度に対しては急激に低下するために、機械的特性が擬似等方性となるように、繊維軸方向が0°/90°や0°/±45°、あるいは0°/+45°/−45°/90°など、繊維軸が多軸となるように積層して成形する方法が用いられている。
しかしながら、成形時に繊維軸を正確に合わせながら積層するには手間が掛かり、生産能率が非常に低くなることから、<特許文献1>で提案されているように、予め所定の繊維配向角度で複数枚のシートを積層して、これらのシートをステッチ糸で貫通して縫合一体化した多軸ステッチ基材が知られている。
このような多軸ステッチ基材の一体化技術は、基材を貫通したニードルにステッチ糸が給糸され、ステッチ糸が基材厚み方向に引き込まれながら順次編目を形成して積層体を一体化するものであるから、このステッチ糸としては、通常、靭性に富んだポリアミド繊維やポリエステル繊維などの合成繊維糸が使われている。
しかしながら、プリフォーム作製のためには、粘着剤を塗布して高温で付着させる工程や、プリプレグ工程、あるいは成形工程において、基材が高温に晒されるケースがあることから、合成繊維からなるステッチ糸では、熱収縮を起こして皺が発生したり、熱溶融して一体化機能が失われるという問題があった。
また、前記のようなプリプレグ工程や成形工程以外にも、耐熱性の高い樹脂によりFRPとした後に高温に晒されると、FRPの耐熱温度以下の領域でステッチ糸の溶融もしくは分解が起こり、FRP内部でステッチ糸が存在していた箇所が空隙(ボイド)となり、機械的特性が低下する問題もある。
更にまた、合成繊維糸には吸水性があり、特に吸水性が大きな繊維をステッチ糸に使用した強化繊維基材からFRPを成形すると、水分により樹脂の硬化が不十分になったり、成形品内の水分が氷解を繰り返すことによる「マイクロクラック」が発生し、信頼性のある材料に成り得ない問題があり、特に航空機用としては不向きとされている。
国際公開第01/63033号
本発明は、従来のFRP成形用の多軸ステッチ基材に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、プリフォーム作製工程や成形加工工程、あるいはFRP製品において高温環境に晒されても、ステッチ糸が熱収縮や熱溶融を起こすことがなく、かつ、吸水による不良品形成を防止することもできる耐熱性多軸ステッチ基材を提供することにある。
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
即ち、本発明は、強化繊維糸条を互いに並行に配列してなる強化繊維シートを、それぞれ異なった配向方向で複数枚積層して、これらのシートを貫通するステッチ糸により縫合一体化された多軸ステッチ基材であって、
前記ステッチ糸は、繊度を100〜500dtexにする一方、破断歪みエネルギーが30MJ/m以上のガラス繊維糸からなるヨリ糸にするという技術的手段を採用したことによって、耐熱性多軸ステッチ基材を完成させた。
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ステッチ糸を構成するヨリ糸を、下ヨリが掛かった2本の単糸であって、その下ヨリとは逆方向で、かつ、下ヨリ数の60〜90%の上ヨリを掛けた双糸にするという技術的手段を採用することもできる。
また、ステッチ糸を構成するヨリ糸を、下ヨリが掛かった3本の単糸であって、その下ヨリとは逆方向で、かつ、下ヨリ数の60〜90%の上ヨリを掛けた三子糸にするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、
k=T×√D
(ただし、T:ヨリ数(ターン/m)、D:繊度(dtex))
で定義される、ステッチ糸を構成するガラス繊維糸のヨリ糸の上ヨリのヨリ係数kを、1500〜12000の範囲にするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ステッチ糸により形成されたニードルループの曲率半径を0.3〜2mmの範囲にするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ステッチ糸によるステッチのコース密度を、2〜4コース/cmにするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、強化繊維糸条を炭素、ガラス、アラミド、シリカ、セラミックのうちから選択される何れかの単独または混合繊維にするという技術的手段を採用することもできる。
本発明にあっては、強化繊維糸条を互いに並行に配列してなる強化繊維シートを、それぞれ異なった配向方向で複数枚積層して、これらのシートを貫通するステッチ糸により縫合一体化された多軸ステッチ基材において、前記ステッチ糸は、繊度を100〜500dtexにする一方、破断歪みエネルギーが30MJ/m以上のガラス繊維糸からなるヨリ糸にしたことによって、耐熱性、および難燃性に優れたガラス繊維によるステッチ糸により一体化されるため、プリフォーム作製工程や成形加工工程、あるいはFRP製品において高温環境に晒されても、ステッチ糸が熱収縮や熱溶融を起こすことがなく、寸法安定性を有し、また成形製品における難燃効果が発揮される。
更に、高温雰囲気下でFRP内部のステッチ糸が分解しないためボイドの発生もなく、樹脂の耐熱温度以下であれば高い機械的特性を発揮することができる。
また、ガラス繊維糸は合成繊維糸に比べて吸水性が極めて小さく、補強繊維も含めて水分を無視できるため、含浸した樹脂を硬化させる際に硬化不良がなく確実に硬化させることができることや、樹脂を硬化させてFRPとした後、雰囲気温度の変化により氷解を繰り返すことによる「マイクロクラック」も発生しないため、吸水による不良品形成を防止し、信頼性の高いFRPを得ることができる。
更にまた、ステッチ糸の繊度を100〜500dtex、ガラス繊維糸の破断歪みエネルギーを30MJ/m以上にしたことにより、ステッチ加工工程においてステッチ糸切れや毛羽が生じたりすることなく加工でき、ステッチ糸による表面凹凸も最小限に抑えることができる。
更にまた、破断歪みエネルギーが30MJ/m以上のガラス繊維糸によるステッチ糸をステッチ基材の厚み方向に貫通させたことにより、層間補強効果を発揮することができる。
更にまた、ステッチ糸により形成されたニードルループの曲率半径を0.3〜2mmの範囲として、ニードルループの糸長に余裕を持たせることによって、ニードルループの形成時、あるいはループ形成後において、基材の縦方向の伸長に伴ってループが伸長された際に生じるループ先端の屈曲によるステッチ糸の破損を抑止できるとともに、基材への締めつけ力が強くなり過ぎず、強化繊維の真直性が維持でき、また、±45°のようなバイアス配向基材においては賦形性を向上させることができることから、産業上の利用価値は頗る大きい。
本発明の実施形態の多軸ステッチ基材の構造を表わす概略図である。 本発明の実施形態のステッチ糸の構造を表わす概略図である。 本発明の実施形態のステッチ糸のニードルループの形状を表わす拡大図である。
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて、更に詳細に説明すると、次のとおりである。
本発明の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。図1において符号1で指示するものは多軸ステッチ基材であり、符号2で指示するものはステッチ糸である。
また、符号3(3a・3b・3c・3d)で指示するものは強化繊維シートであり、これら各強化繊維シート3は、強化繊維糸条を互いに並行に配列してシート状に形成されている。
本実施形態の多軸ステッチ基材1を構成するにあっては、まず、各強化繊維シート3の強化繊維の配向方向が異なるように積層する。例えば、多軸ステッチ基材1の長さ方向を0°としたとき、シート3aを0°、シート3bを−45°、シート3cを+45°、シート3dを90°の方向で積層する。そして、これらのシートにステッチ糸2を貫通させて縫合一体化する(図1参照)。
この際、強化繊維シート3の積層構成は、上記の積層構成に限定されることはなく、少なとも強化繊維の配向角が異なる2層が積層されていれば良く、例えば、0°/90°、0°/+45°の2軸配向や、0°/+45°/−45°/90°の4軸配向、あるいは0°/±45°、更には、60°交錯角で積層されたものであっても良い。
また、本実施形態では、強化繊維シート3の一層あたりのシートの目付として、50〜400g/mの範囲のものを採用する。目付が50g/m未満となると非常に薄いシートとなるために強化繊維を均一に拡げることが難しくて空隙部が生じたりする問題があるためである一方、目付が400g/mより大きいと、繊維同士が緻密で分厚い層をなすので樹脂含浸が難しくなる問題があるためである。なお、より好ましい目付は70〜300g/mの範囲である。
なお、ステッチ糸2の編み組織は、鎖編、1/1トリコット編、あるいは鎖編と1/1トリコット編の変化組織などの通常の経編組織を採用することができる。
本実施形態において、ステッチ糸2として強化繊維を使用する場合、炭素繊維やガラス繊維などの従来から一般的に使用されているものが考えられるが、耐熱性および難燃性を持ち合わせた繊維の多くは非常に脆く、ステッチ加工性や加工製品の品位、性能に問題があるために、そのままの使用では、ステッチ糸としての用途に適合しない。
そこで、本実施形態では、ステッチ糸2の繊度が100〜500dtexであり、破断歪みエネルギーが30MJ/m以上のガラス繊維からなる糸のヨリ糸(撚糸)を採用した。
こうすることにより、所望の耐熱性および難燃性を満足し、かつ、ステッチ加工性や加工製品の品位や性能においても問題のない多軸ステッチ基材を完成させることができる。
即ち、ガラス繊維は、耐熱性や難燃性を有した繊維種が種々存在する中でも、細繊度糸が安価で入手可能であり、かつ、繊維自体が透明であるために成形品の外観に悪影響を及ぼさないという点から最適である。
本実施形態におけるステッチ糸2の繊度の適用範囲については、500dtexより大きな太繊度糸であると、平坦な基材表面に太いステッチ糸2が突出してしまい表面が平滑な成形品が得られないので、500dtex以下の細繊度であることが好ましく、一方、100dtex未満の細繊度糸では、ステッチ加工時のループ形成に必要な強度が不足し、ステッチ工程中に切断したり毛羽が生じたりする問題があるため、好適なステッチ糸の繊度は100〜500dtexの範囲である。
そして、一般的に、ガラス繊維は引っ張り強度が高いものの、引っ張り伸度が小さくて圧縮強度が高いため、繊維を曲げると内周(圧縮側)が座屈することなく外周(引っ張り側)が破壊してしまい、簡単に切断し易いという欠点を有していることから、本実施形態のガラス繊維は、破断歪みエネルギーWが30MJ/m(M(メガ)=10、J/m=N・m/m=N/m)以上有するものを採用する。なお、この破断歪みエネルギーWは次式で導かれる値である。
W=σ×ε/2
σ:引っ張り強度(Pa=N/m)、ε:引っ張り破断歪み
本実施形態おけるステッチ加工のループ形成方法は、強化繊維シート3の積層体を貫通したニードルにステッチ糸2を供給し、次いで、このステッチ糸2をニードルフックに引っ掛けた状態で強化繊維シート3の積層体内を通過させて新たなループに必要な糸長を引き出すという工程を繰り返しながらステッチ加工する。
従って、ループ形成時におけるステッチ糸2は、強化繊維シート3の積層体とニードルフックとの摩擦抵抗による高い応力が生じた状態でループ先端が大きな曲率で屈曲するので、破断歪みエネルギーWが30MJ/m未満の脆いガラス繊維では、その屈曲部で糸切れまたは単糸切れが生じ易く、満足なステッチ加工性が得られない。
また、本実施形態では、ステッチ糸2はヨリ加工を施した糸束であるために糸が集束して曲げ剛性が増すので、ループ形成時におけるループ先端の曲率が大きくなるのを抑えることができ、しかも各単繊維は糸束内で螺旋状に配列されてステッチ糸2の曲げに対して各単繊維が引っ張り側または圧縮側に固定されず、各単繊維に生じる応力が略均一となるので、ループ形成時におけるガラス繊維の切れを防ぐことができる。
そしてまた、ヨリ加工としては、ガラス繊維糸にSヨリまたはZヨリしただけの単糸ヨリでも良いが、繊維の剛性によってヨリ方向とは逆方向のトルクが生じ、ステッチ加工の準備作業などにおいて取り扱い難いという問題があるので、具体的には、図2に示すように、下ヨリが掛かった2本の単糸21・21がその下ヨリとは逆方向で、下ヨリ数の60〜90%の上ヨリを掛けた双糸とすることで、下ヨリと上ヨリのトルクが打ち消し合うので、取り扱い易いステッチ糸2を構成することができる。また、図示しないが、下ヨリが掛かった3本の単糸であって、その下ヨリとは逆方向で、かつ、下ヨリ数の60〜90%の上ヨリを掛けた三子糸とすることによっても、下ヨリと上ヨリのトルクが打ち消し合うので、取り扱い易いステッチ糸2を構成することができる。
ガラス繊維糸のヨリ糸の上ヨリ数としては、少なくとも1ループ形成に必要なステッチ糸の糸長に1回以上のヨリが付与されていれば良く、ループ形成時におけるガラス繊維糸の集束性が確保され、各単繊維も一つのループ内で1回以上螺旋回転することになるため好ましい。
逆に、上ヨリ数が多くなると、ステッチ糸が固く集束した状態で基材の表面に現れてしまい、成形加工品の表面が凹凸化するおそれがある。したがって、上ヨリ数としては、下記式におけるヨリ係数kが1500〜12000(より好ましく3000〜7500)の範囲におけるヨリ数Tが好ましい。
T=k/√D
T:ヨリ数(ターン/m)、k:ヨリ係数、D:繊度(dtex)
前記ヨリ数Tの計算式において、ヨリ係数kが12000より大きいと、ステッチ糸2の断面が真円状で固く集束した状態となり、成形加工品の表面が凹凸化すると同時にヨリ加工により強力低下が生じ、ステッチ加工工程で糸切れし易いという問題が起こることから、ヨリ係数kが12000以下であることが好ましく、より好ましくは7500以下である。
一方、ヨリ係数kが1500未満では、ループ形成時に同一繊維が屈曲の内側に位置して大きな曲率となるためにステッチ加工工程で糸切れし易い問題があるために、少なくともヨリ係数kが1500以上であることが好ましい。
また、ガラス繊維糸のサイジングは、澱粉サイジングとプラスチックサイジングとがあるが、澱粉サイズのガラス繊維糸を使用すると、FRPにした時に界面接着が悪く十分な機械的特性が得られないため、プラスチックサイジングのガラス繊維を採用することが好ましい。
次に、本実施形態の多軸ステッチ基材1のステッチ糸2によるループ部分の拡大図を図3に示す。符号rはステッチ糸2の中心軸の曲率半径を示し、この曲率半径rはステッチ糸2の太さや曲げ剛性、そしてステッチ加工条件などにより任意に制御できるが、本実施形態ではこの曲率半径rが0.3〜2mmの範囲であることが好ましい。
ループの曲率半径rが小さいと、ステッチ糸2による基材への締めつけが強い状態にあり、特にガラス繊維のように弾性率の高いステッチ糸では、ステッチ糸が基材の厚み方向から基材表面方向に向かうコーナー部、またはその逆方向のコーナー部において直角とならずに円弧状となって強化繊維糸を締めつけることになるために、強化繊維糸に屈曲部を生じさせる問題があるし、また、±45°のようなバイアス配向基材においては、ループが縦伸びする余裕がないために基材が縦方向の伸長を受けた際にループ先端に応力集中が生じてステッチ糸2が切断するおそれがあるため、曲率半径rは0.3mm以上が好ましい。
一方、ループの曲率半径rが大きいと、上記問題点は改善でき、±45°のようなバイアス配向基材では賦形性も増すが、曲率半径rが2mmよりも大きくなると、ステッチ加工においてステッチ糸2の送り出し量が大きくなり過ぎて、ステッチ糸供給ビームと編成部との間で緩みが生じ、ニードルへの供給ミスが生じるおそれがあるため、ループの曲率半径rは2mm以下であることが好ましい。
なお、各強化繊維シート3をなす強化繊維の種類としては、高強度・高弾性率であって、中でも耐熱性および難燃性を有した繊維が好ましく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、シリカ繊維、セラミック繊維のうちから選択される何れかの単独または混合繊維を用いることができ、そのような選択によりステッチ糸2とともに多軸ステッチ基材1全体が耐熱性、難燃性を有するので、プリフォーム作製時やプリプレグ工程、あるは成形過程における熱処理に対して熱収縮を起こすことがなく寸法安定性を有し、また成形製品における難燃効果を発揮することができる。
また、本実施形態では、ステッチのコース密度が2〜4コース/cmであること好ましい。コース密度が2コース/cm未満であると、長いループを形成するためにステッチ糸2を一度に沢山の量を引き出す必要があるため、ステッチ糸2に高い張力が加わって糸切れを起こしやすいという問題があり、一方、コース密度が4コース/cmより大きいと、ステッチ糸の使用量が増えると同時に生産性が低下することからコストアップとなる。
次に、本発明品および比較例の多軸ステッチ基材を具体的に作製したサンプルについての評価を以下に説明する。
[本発明品]
多軸ステッチ基材としては、引張強度が4900MPa、引張弾性率が235GPa、繊度が800tex(フィラメント数が12000本)の炭素繊維糸条を強化繊維として用い、目付が100g/mとなるよう互いに並行に配列したシートを、ステッチ糸の編み込み進行方向に対して±45°に積層した。
そして、ステッチ糸として、繊度が112dtex、引っ張り強度が3.2GPa、破断伸度が4.8%、破断歪エネルギーが76.8MJ/mのガラス繊維糸(ガラスヤーン)を用い、下ヨリとしてZ方向に590ターン/m(=単糸ヨリ数)のヨリをかけた単糸を得た後、その単糸を2本合わせてS方向に前記単糸ヨリ数の80%の472ターン/mの上ヨリ数でヨリ掛けした、繊度が225dtex、ヨリ係数kが7080の双糸を用いて、ウエール密度が5W/inch(=1.97W/cm:1inch=2.54cm)、コース密度が8.5C/inch(=3.35コース/cm)の鎖編みでステッチした。
[評価]
こうして得られた炭素繊維ステッチ基材は、ニードルループの曲率半径が0.4mmで無理のない丸みのあるループ形状であり、また、編成するときにステッチ糸が切れることなく製造することができ、隣接する炭素繊維糸条間に隙間を生じることもなく、また、炭素繊維の配向も所定の配向角でステッチされていた。
[比較例]
比較例として、ステッチ糸のガラス繊維のヨリ係数kを変えたもの(本発明の範囲外であるもの)を使用する以外は、前記本発明品で製造した条件と同様である。具体的には、ステッチ糸として本発明品で使用したものと同様で、繊度が112dtexのガラスヤーンを用い、このガラスヤーン2本を合わせて、ヨリ数が40ターン/mのヨリ数を掛けた繊度が225dtex、即ち、ヨリ係数kが600の双糸を用いて、前記本発明品と同様の方法で編成した。
[評価]
こうして得られた炭素繊維ステッチ基材は、編成するときにステッチ糸が糸切れすることが多くて生産性が悪く、複数本のステッチ糸が切れて炭素繊維を拘束できていない箇所が多く生じ、その部分の炭素繊維の配向角がずれてしまうという問題があった。
また、取り扱い時に糸切れした箇所で編成した組織がほつれてしまい、取扱性が非常に悪いといった問題もあった。
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、ステッチ糸2のヨリ糸は、双糸や三子糸に限らず、4本以上の単糸によるヨリ糸を採用することができ、本発明の技術的範囲に属する。
1 多軸ステッチ基材
2 ステッチ糸
21 単糸
r 曲率半径
3(3a・3b・3c・3d) 強化繊維シート

Claims (7)

  1. 強化繊維糸条を互いに並行に配列してなる強化繊維シートが、それぞれ異なった配向方向で複数枚積層され、これらのシートを貫通するステッチ糸により縫合一体化された多軸ステッチ基材であって、
    前記ステッチ糸は、繊度が100〜500dtexである一方、破断歪みエネルギーが30MJ/m以上のガラス繊維糸からなるヨリ糸であることを特徴とする耐熱性多軸ステッチ基材。
  2. ステッチ糸を構成するヨリ糸が、下ヨリが掛かった2本の単糸であって、その下ヨリとは逆方向で、かつ、下ヨリ数の60〜90%の上ヨリを掛けた双糸であることを特徴とする請求項1記載の耐熱性多軸ステッチ基材。
  3. ステッチ糸を構成するヨリ糸が、下ヨリが掛かった3本の単糸であって、その下ヨリとは逆方向で、かつ、下ヨリ数の60〜90%の上ヨリを掛けた三子糸であることを特徴とする請求項1記載の耐熱性多軸ステッチ基材。
  4. k=T×√D
    (ただし、T:ヨリ数(ターン/m)、D:繊度(dtex))
    で定義される、ステッチ糸を構成するガラス繊維糸のヨリ糸の上ヨリのヨリ係数kが、1500〜12000の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の耐熱性多軸ステッチ基材。
  5. ステッチ糸により形成されたニードルループの曲率半径が0.3〜2mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の耐熱性多軸ステッチ基材。
  6. ステッチ糸によるステッチのコース密度が、2〜4コース/cmであること特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の耐熱性多軸ステッチ基材。
  7. 強化繊維糸条が炭素、ガラス、アラミド、シリカ、セラミックのうちから選択される何れかの単独または混合繊維であること特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の耐熱性多軸ステッチ基材。
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