JPS641073Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、矩形段ボールシートの片側コーナ
ナ部を切断除去して上記シートの側辺に接ぎ代を
形成するスロツタに関するものである。

第１図に示すように、コルゲータによつて製造
された段ボールシート１には、一方向に複数のけ
い線２が平行に設けられている。このような段ボ
ールシート１には、普通、適宜の印刷が施された
のち、第２図に示すように、けい線３および切り
溝（スロツト）４が形成され、かつ一方の側辺に
接ぎ代５が形成され、その接ぎ代５にグルーイン
グが施されたのち、この接ぎ代５が他方の側辺に
接合されて段ボールシートは筒状とされる。段ボ
ール箱は、この筒状段ボールシートから組立てら
れる。

ところで、上記切り溝４および継ぎ代５の形成
は、印刷機等の組み込まれているスロツタ部で形
成される。

第３図および第４図は上記スロツタ部を示し、
上下に平行に配置した回転軸１０，１１のそれぞ
れに円形の刃物台１２，１３を取付け、その上部
刃物台１２の端面に所要厚みの一対の溝切り刃物
１４，１４を円方向に所要の間隔をあけて設け、
その各溝切り刃物１４の外側面に角切り刃物１５
を取付け、下部刃物台１３には上記溝切り刃物１
４の外周部が嵌合可能な刃物嵌合溝１６を形成
し、その嵌合溝１６の開口両側縁を受刃１７と
し、上記角切り刃物１５に対応する刃物台１３の
外周面を刃受面１８としてある。

なお、１９は嵌合溝１６に嵌る抜きかすの取り
除き用スクレーパを示す。また、２０は溝切り刃
物１４の端部に設けた突切り刃２０であつて、そ
の突切り刃２０で切り溝の切れはしの奥の方（け
い線２の辺り）を切断するようになつている。

上記の構成から成るスロツタ部は、各刃物台１
２，１３を第３図の矢印方向に回転し、その刃物
台１２，１３間に、けい線２が流れ方向に直交す
るようにして段ボールシート１を供給し、嵌合溝
１６に溝切り刃物１４が嵌合する作用によつてそ
の段ボールシート１の片側部分に切り溝４を形成
し、かつ角切り刃物１５が刃受面１８に衝合する
作用により上記切り溝４の奥の部分からシート１
の側縁に至る部分を横方向に切断して段ボールシ
ート１の片側に第２図に示すような継ぎ代５を形
成する。

なお、同時に段ボールシート１の供給方向と直
交する方向にこのスロツタと並列して同軸に設け
た別のスロツタにより切り溝４を形成し、別軸に
設けたクリーザによつてけい線３を形成する。

このように加工された段ボールシート１の接ぎ
代５には、接着剤塗布部で接着剤が塗布され、さ
らに次の折り曲げ部でけい線３₁，３₂部がそれぞ
れ180゜折り曲げられてこの接ぎ代５が他方の側辺
に接着される。このようにして段ボールシート１
は筒状とされる。

従来のスロツタ部は、上記のように、溝切り刃
物１４の外側面に角切り刃物１５を取付けた構成
であるため、角切り刃物１５の切り刃端の欠けや
機械の振動、溝切り刃物１４の外面および角切り
刃物１５の端面加工時の面精度の不良、あるいは
角切り刃物１５の取付不良等によつて、溝切り刃
物１４の外面と角切り刃物１５の端面間に隙間が
生じることが多く、その状態で段ボールシートを
切断することにより、各刃物１４，１５によつて
形成される切断線が連続せず、段ボールシート１
の接ぎ代５に切断屑６が残る不都合が生じる。

ところで、接ぎ代５を形成する際、この部分の
切断屑が接ぎ代５から完全に分離されないでわず
かにつながつた状態で残ると、次のような不都合
を生じる。

接着剤塗布部で切断屑にも接着剤が塗布され
て次に段ボールシート１が折り曲げられる際、
これが段ボールシート１の他の部分と接着し、
段ボール箱への組立てができなくなる。

さらに、この切断屑が、けい線に跨がつて残
ると、段ボール箱を組立てる際、このけい線の
折り曲げが困難となる。

切断屑が接ぎ代５を覆うと、その接ぎ代５へ
の接着剤の塗布を阻害するため、段ボールシー
ト１の他方の側辺への接ぎ代５の接着が完全に
行なわれない。

残された切断屑が組立てられた段ボール箱へ
の製品詰め込み時に支障を来す。

なお、溝切り刃物１４と角切り刃物１５とを一
体に形成すれば上記のような不都合を解消するこ
とができるが、段ボールシート１に形成する継ぎ
代５には大きさや形状の異なるものが多くあるた
め、その形状の変化に応じて刃物全体を取り換え
る必要が生じ、さらに両刃物１４，１５のいずれ
か一方が破損すると、刃物全体を新しいものと交
換しなければならないという不経済も生じる。

この考案は上記従来の欠点を解決し、角切り刃
物によつて生じる切断屑を段ボールシート等のシ
ート状物から完全に分離除去することができるよ
うにしたスロツタを提供することを目的としてい
る。

上記目的達成のため、この考案によれば、溝切
り刃物の側面に角切り刃物の端部が嵌り込む凹部
を形成して溝切り刃物の外側の切り刃と角切り刃
物の刃とが交差するように構成したのである。

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第６図および第７図に示すように、上部刃物台
１２に取付ける扇形の溝切り刃物１１４は、外周
の両側縁が切り刃１１５とされ、その切り刃１１
５間の端部に突切り刃１１６が設けられている。
また、溝切り刃物１１４の側面端部には弧状の凹
部１１７が形成され、その凹部１１７に、上記溝
切り刃物１１４に対して交差する角切り刃物１１
８の端部が嵌め合わされている。

角切り刃物１１８はねじ止め等の手段によつて
支持ブロツク１１９に取り換え可能に支持され、
一方支持ブロツク１１９はボルト止め等の手段に
よつて取付ブロツク１２０に取付けられている。
また、取付ブロツク１２０は、ボルト１２１を介
して溝切り刃物１１４の側面に取付けられてい
る。この取付けブロツク１２０に形成したボルト
挿入孔１２２は弧状の長孔となり、ボルト１２１
を弛めて取付ブロツク１２０を移動させることに
より、角切り刃物１１８を前記凹部１１７に沿つ
て位置調整することができる。

上記の溝切り刃物１１４は、従来の刃物取付け
と同様の手段によつて上部刃物台１２の端面に取
付けられる。

いま、溝切り刃物１１４を取付けた上部刃物台
１２と下部刃物台１３とを第３図と同様に互に逆
方向に回転し、その両刃物台１２，１３間に段ボ
ールシート１を供給して切断作業を開始すると、
第８図に示すように、上記シート１の搬送方向前
部の一側隅部が、溝切り刃物１１４と下部刃物台
１３の受刃１７によつて切断され始め、その切断
によつて形成された切り溝屑１２３は先端部から
順次下部刃物台１３の嵌合溝１６に押し込められ
る。切断作業が進行して角切り刃物１１８がシー
ト１に対応すると、段ボールシート１の一側部が
横方向に切断され、さらに溝切り刃物１１４の突
切り刃１１６がシート１を切断することによつて
切断作業が完了する。

上部刃物台１２には、溝切り刃物１１４と角切
り刃物１１８の結合部材が回転方向に位置をずら
して別々に設けてあるため、回転方向に位置する
この刃物がその後シート１に対応すると、前記と
同様に段ボールシート１の後部のコーナ部が切断
される。この結果、段ボールシート１の片側に第
２図に示すような接ぎ代５が形成される。

ところで、角切刃物１１８は、溝切り刃物１１
４の側面に形成した凹部１１７に端部が嵌め合わ
された取付けであるため、両刃物１１４，１１８
によつて形成される切断線１２４は第１０図に示
すように連続し、その切断によつて切り溝屑１２
３とコーナ屑１２５とが形成され、切り溝屑１２
３は、下部刃物台１３の嵌合溝１６に嵌つた状態
で下方に運ばれ、第３図に示すものと同様のスク
レーパ１９によつて嵌合溝１６から除去される。

なお、角切り刃物１１８を溝切り刃物１１４の
凹部１１７に沿つて位置調整すると、段ボールシ
ート１の側辺に形成される接ぎ代５の大きさが変
化し、その角切り刃物１１８を溝切り刃物１１４
の端面に一致させることにより、継ぎ代５の端縁
をけい線２の延長線上に位置させることができ
る。

一般に、下部刃物台１３は第８図に示すよう
に、外周にウレタン樹脂層１２６を形成し、その
樹脂層１２６の表面を角切り刃物１１８に対する
刃受面１８とする。

継ぎ代５を形成する上記の刃物１１４，１１８
は普通、刃物台１２に二つ取付けられるが、接ぎ
代５の形状によつては一つの刃物１１４，１１８
を取付ける場合がある。

以上のように、この考案は、溝切り刃物の側面
に形成した凹部に角切り刃物の端部を嵌め合わせ
て溝切り刃物の外側の切り刃と角切り刃物とを交
差させたので、溝切り刃物と角切り刃物とによつ
て形成される切断線を連続させることができ、そ
の両刃物によつて形成される切断屑を段ボールシ
ート等のシート状物から完全に分離させることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はコルゲータマシンによつて製造された
段ボールシートの平面図、第２図は同上のシート
をスロツタ部によつて加工した状態の平面図、第
３図は従来のスロツタ部のコーナ切断部を示す縦
断正面図、第４図は同上の側面図、第５図は従来
のスロツタ部によつて加工した段ボールシートの
接ぎ代部分を拡大して示す平面図、第６図はこの
考案に係るスロツタ用刃物の正面図、第７図は同
上の側面図、第８図は同上の刃物を用いて段ボー
ルシートを切断した状態の斜視図、第９図は同上
の切断状態を示す断面図、第１０図は切断後の段
ボールシートの接ぎ代部分を示す拡大正面図であ
る。 １２，１３……刃物台、１１４……溝切り刃
物、１１５……切り刃、１１７……凹部、１１８
……角切り刃物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互に逆方向に回転する上下一対の刃物台を有
   し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とす
   る溝切り刃物を取付け、その溝切り刃物の外面側
   に角切り刃物を取付け、他方の刃物台の外周には
   開口両側縁を受刃とする刃物嵌合溝を形成し、一
   対の刃物台間に供給したシート状物の一側コーナ
   部を前記溝切り刃物と角切り刃物とで切断除去す
   るようにしたスロツタにおいて、前記溝切り刃物
   の側面に角切り刃物の端部が嵌り込む凹部を形成
   し、溝切り刃物の外側の切り刃と角切り刃とが交
   差するようにしたことを特徴とするスロツタ。