JPS639232Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はループ配電設備、特に変圧器の２次
側に電力融通を目的とする幹線連絡しや断器を備
えていないループ配電設備における故障区間だけ
を除去するための構成の改良に関するものであ
る。

第１図は従来のこの種設備を示す。図はビル工
場などのように配電容量の大きい施設において電
気事業者から高圧又は特別高圧を受電し、構内に
分散した配電用変圧装置を介して負荷に電力を供
給する場合のループ配電設備の例であり、１は受
電線、２は受電用しや断器、３は変流器、４は過
電流継電器、５ａ，５ｂは主変圧器、６は変流
器、７ａ，７ｂは過電流継電器、８ａ，８ｂは変
圧器２次しや断器、１０〜１３は配電幹線、１４
ａ〜１４ｄは各幹線に接続されてある配電幹線用
しや断器、１５ａ〜１５ｄは同じく変流器、１６
ａ〜１６ｄは同じく過電流継電器、１７，１８は
ループ結合しや断器、１９ａ〜１９ｎ，２０ａ〜
２０ｎ，２１ａ〜２１ｎ，２２ａ〜２２ｎは各配
電幹線に接続されてあつて各所に分散されてある
配電用変圧装置で、いずれも過電流しや断装置２
３及び変圧器２４より構成され、その２次電圧が
負荷に供給される。

以上の構成において、たとえば配電幹線１２の
点Ｆで短絡事故が発生したとすると、図中矢印で
示す方向に故障電流が故障点Ｆに向かつて流れ
る。これによつて過電流継電器７ａ，７ｂ、１６
ａ〜１６ｄが動作する。そこで故障点の探索のた
めにまず過電流継電器７ａ，７ｂのいずれかが動
作したときにループ結合しや断器１７，１８を開
放させる。これによつてループが解列されるとそ
れ以後は故障した配電幹線１２のみに故障電流が
流れるので、過電流継電器７ｂ，１６ｃのみが動
作を継続し、他の過電流継電器はすべて復帰す
る。そこでなお動作を継続している過電流継電器
１６ｃによつて配電幹線用しや断器１４ｃをしや
断する。

以上によつて故障区間が除去されたことになる
が、しかし前述のように故障区間の探索のために
ループを解列するので、それまで変圧器５ａ，５
ｂ間の電力融通に平衡が保たれていたのが、ここ
でその融通が断たれたことにより、負荷の不平衡
が生じ、そのため負荷状態によつては、変圧器５
ａ，５ｂの一方が過負荷を招くようになり、その
ため変圧器２次しや断器８ａ，８ｂの一方が過負
荷しや断することが起り得る。これでは故障区間
を除去し得たとしても健全幹線への電力供給が断
たれてしまうようになる。

この考案は故障区間の探索時において変圧器の
過負荷しや断を防止することにより、電力供給の
信頼性を向上することを目的とする。

この考案は故障電流の方向を判定し、その結果
と各配電幹線の過電流継電器の動作とをもつて故
障幹線のみを選択しや断し、健全幹線ループを解
列しないようにしたものである。

第２図にこの考案の実施例を示す。なお第１図
と同じ符号を附した部分は同一又は対応する部分
を示す。同図において３１は変流器１５ａ，１５
ｄの出力によつて励磁される１次コイル３２ａ，
３２ｂと２次コイル３３とからなる合成変成器、
３４は変流器１５ｂ，１５ｃの出力によつて励磁
される１次コイル３５ａ，３５ｂと、２次コイル
３６とからなる合成変成器、３７，３８は過電流
継電器である。

上記の構成において、第１図と同様に配電幹線
１２点Ｆで短絡事故が発生したとする。するとこ
のとき流れる故障電流は配電幹線１０，１１につ
いては同じ方向に流れるが、配電幹線１２，１３
については逆方向に流れる。これにより合成変成
器３４の１次コイル３５ａ，３５ｂに流れる電流
方向は同じとなり、両電流の合成値によつて２次
コイル３６に電流が誘起し、過電流継電器３８が
動作するようになる。なおこの他に過電流継電器
１６ａ〜１６ｄもすべて動作する。過電流継電器
３８が動作すると、これによつて結合しや断器１
８が開放される。なお過電流継電器３７が動作し
た場合は結合しや断器１７が開放される。結合し
や断器１８が開放されたとき、結合しや断器１７
が不動作であるため過電流継電器１６ａ，１６ｄ
が動作していてもしや断器１４ａ，１４ｄは過電
流継電器３７の不動作を条件に引外しロツクされ
るようしてある。

結合しや断器１８が開放されると、故障電流は
配電幹線１２に流れ、配電幹線１１には流れない
ようになる。これにより過電流継電器１６ｃはな
お動作を継続し、ここにおいて始めて同じ配電幹
線にあるしや断器１４ｃをしや断する。以上のよ
うにして事故配電幹線のみが開放されるようにな
る。したがつて変圧器相互間の電力融通は健全配
電幹線でそのまま保持されるので、変圧器に過負
荷をきたすことがない。

以上詳述したように、この考案によれば事故配
電幹線を故障電流の方向に応じて出力を出す変流
器と過電流継電器とを組み合わせて、事故配電幹
線が接続されてある結合しや断器をしや断してそ
の事故配電幹線のみを解列するようにしたので、
健全配電幹線はしや断されていない結合しや断器
によつて結合されたままで何ら解列されず、した
がつて電力供給用の変圧器相互間の電力融通は健
全配電幹線で保たれることにより、従来のような
変圧器の過負荷は何ら起らず、ひいては変圧器２
次しや断器が過負荷しや断するといつたこともな
いといつた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の回路図、第２図はこの考案の
実施例を示す回路図である。 １０〜１３……配電幹線、１６ａ〜１６ｄ，３
７，３８……過電流継電器、１７，１８……結合
しや断器、１４ａ〜１４ｄ……配電幹線用しや断
器、３１，３４……合成変成器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の配電用変圧装置が接続されてあつて、か
   つそれぞれに配電幹線用しや断器が接続されてあ
   る複数の配電幹線を、ループ結合しや断器を介し
   てループ接続するとともに、前記各配電幹線には
   事故が発生したときにその配電幹線に接続されて
   ある配電幹線用しや断器をしや断するための過電
   流継電器を設け、また前記各配電幹線のうちの事
   故が発生した配電幹線の検出のために、前記各配
   電幹線のうちそれぞれ同じ結合しや断器を介して
   接続されてある配電幹線に流れる故障電流の合成
   電流によつて動作する過電流継電器を設け、前記
   過電流継電器の動作によつて、この動作した過電
   流継電器に与えられている故障電流が流れている
   配電幹線に接続されてある結合しや断器を開放せ
   しめてなるループ配電設備。