JPS639195B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は放射性同位元素、特に静脈投与に好適
な診断剤として使用できる放射性同位元素溶液を
生ずる放射性同位元素発生器の遮蔽装置に関する
ものである。斯る場合に使用される代表的な放射
性同位元素発生器は、その内の親同位元素の溶離
によつて子放射性同位元素を発生する。この放射
性同位元素発生器は屡々“カウ（COW）”と称せ
られ、使用者が発生器の取出点から、放射性同位
元素含有溶液を或る分量だけ所望の時に取出し得
る様に構成されている。この目的に対し好適な放
射性同位元素は、テクネチウム99ｍ（以下、
99mTcと称する）発生器内の親同位元素モリブ
デン―99（以下、99Moと称する）から得られる
99mTcである。代表的なものとしてはこれらの
発生器は診断用として殺菌した99mTc溶液を生
ずる様に設計構成される。発生器内に存在する親
同位元素から高強度の放射線を発生する場合に
は、作業員を遮蔽するために、広範な安全手段を
講ずる必要がある。この目的のため、鉛遮蔽ジヤ
ケツト又は放射性物質の侵入を防止する他の材料
のジヤケツトを用いて、発生器の貯蔵及び運搬に
当り十分な保護を施している。

代表的なものとして、斯る発生器は、そ最大需
要個所である病院又は医療研究所近くに比較的長
期に亘つて維持される。発生器夫自体は遮蔽ジヤ
ケツトで囲んでいるが、発生器の直ぐ近くで働く
病院又は研究所の医員を、放射線から保護する附
加施設が望ましい。この目的のため発生器を更に
余分の鉛遮蔽装置で囲む。斯る余分の遮蔽材を用
いる場合には、放射線同位元素診断剤を含有する
溶離液の取出点を、作業員が近付き易い位置に設
ける必要がある。溶離液が発生器の外側にある時
は、溶離液の保持器と発生器との間の近付き易い
連結点を遮蔽を設ける必要がある。斯る追加の接
近手段には、放射線から使用者を満足に遮蔽する
材料及び構成の蓋が必要となる。斯る蓋の代表例
は、鉛阻止器である。

溶離による放射性同位元素の収量が不十分とな
つた場合には、発生器を時々新らたの発生器と取
換えるを要し、99mTc発生器の場合には通例１
週間か２週間毎に取換える必要がある。これがた
め、放射性同位元素の収量が所望量以下に減少し
た時に、発生器を新らたの発生器に直ちに取換え
得る様に遮蔽を構成する必要がある。従来使用さ
れている遮蔽装置は、同心鉛環を具え、その頂部
を鉛蓋で被覆している。発生器を取換える必要が
生じた場合には、鉛蓋及び鉛環を１個宛取除き、
古い発生器を取出し、新らたの発生器を取付け
る。新らたの発生器を所定位置に取付けた時に、
この新らたの発生器の周りに鉛環を順次に配設す
る必要がある。この厄介な方法のため、作業員
は、比較的長時間に亘り放射線を不当に受けるこ
ととなる。

他の遮蔽装置は、鉛容器に鉛蓋をしたもので、
鉛蓋を取外した後に、古い発生器を鉛容器から引
上げ、その代りに新らたの発生器を鉛容器内に入
れる。しかし作業員は、以下の理由でこの型の遮
蔽装置を採用したがらない。例えばその鉛容器
は、代表的なものとして、病院又は研究所内のフ
ードを施こした囲い区域内に維持する。これがた
め鉛容器より上方の空間が狭く、発生器の置換を
甚だしく阻害する。これは、特に発生器夫自体が
鉛遮蔽物質で構成され、その重量が甚だ大きいた
め問題となる。これがため発生器を狭いフード内
の鉛容器より上方に引上げる際に、発生器が作業
員の手から滑り易く、重大な放射性事故となる。
放射性同位元素を生ずる発生器は多量の放射能を
有するため発生器が万一破損すると、放射性物質
が放出され、斯る事故現場近くの人々の健康と安
全とが非常に危くなる。

或る種の遮蔽装置によれば、上述した問題を或
る程度は回避できるが、斯る遮蔽装置も完全に満
足すべきものではなかつた。斯る装置は
「Stercow 99M」なる商標で市販の発生器ととも
に使用されてきた遮蔽装置である99mTc発生器
を具える。この遮蔽装置は、鉛底板と、これより
垂直方向に延長する鉛ジヤケツトとを具える。囲
い体には、99mTcを含有する溶液の取出点に通
ずる閉合自在の開口を設ける。円筒状鉛ジヤケツ
トを略互に同一な両半部に分割し、これら両半部
を相対的に移動し得る様にすると共に、底板を横
方向に移動し得る様にする。鉛ジヤケツトの移動
部分を、底板上に設けたレール又は摺動台上を摺
動し得る様にし、移動部分の両側に把手を設け、
両半部を互に接近又は離間し得る様にする。鉛ジ
ヤケツトの両半部を互に離間すると、十分大きな
開口が形成され、古い発生器を取出し、その代り
に新らたの発生器を入れることができる。新らた
の発生器を所定位置に取付けた時に、鉛ジヤケツ
ト両半部を互に接近させ、発生器を略完全に遮蔽
する。

この装置によれば、上述した欠点を或る程度除
去できるが、この装置を作動するために、横方向
に十分広い空所を必要とする欠点がある。発生器
は屡々比較的狭い包囲空所内に設置するため斯る
横方向移動を許容するに足る追加の余地が殆んど
或は全く無い。或る国では、オランダ国保健省の
如き行政体が、フード付又は殺菌戸だな付の安全
場所の設置を義務づけている。斯る要求を満足さ
せる場合、発生器以外の空所が当然狭くなり、閉
位置でのジヤケツトの外径が30cm以下なるも、開
位置では装置の幅が95cmとなるStercow 99Mの
如き装置を使用できなくなる。

本発明の目的は、Stercow 99Mその他の従来
技術につき上述した遮蔽装置の欠点を除去し得る
様に構成配置した上述した種類の放射性同位元素
溶液を生ずる放射性同位元素発生器の遮蔽装置を
得んとするにある。

本発明の遮蔽装置は、鉛底部分から垂直方向に
延長する鉛ジヤケツトを具える。放射性同位元素
を含有する溶液の取出点に近付き得る手段を設け
る。加うるに、鉛ジヤケツトには閉合自在の開口
を設け、鉛ジヤケツトを２部分で形成し、その一
方の部分を、底部分に対し静止させ、他方の部分
を底部分に対し回動自在とする。ジヤケツトの静
止部分には、発生器を通し得る程度に大きな開口
を形成する。回動部分にも、発生器を通し得る程
度に大きな開口を形成し、両開口が合致して発生
器を通す開位置と、発生器をジヤケツトで完全に
被覆する閉位置との間を回動し得る様にする。回
動部分は静止部分と同心的に配置し、開位置では
回動部分が、静止部分に略隣接し、発生器に近付
きやすくする。

本発明によれば、古い発生器を、従来既知の場
合よりも遥かに容易に新らたの発生器と取換える
ことができる。本発明により発生器を遮蔽装置内
に設置するには、ジヤケツトの回動部分を回動す
るだけで足り、空所を最大限度まで有効に利用す
ることができる。換言すれば、上述した既知の装
置とは異なり、本発明遮蔽装置は、これを開位置
に回動して内部に発生器を設置する場合に必要と
する空所は、閉位置の場合と同一でよい。特に、
好適実施例について後述する様に、本発明遮蔽装
置は、その開位置でも、閉位置でも、35cm以上の
空所を占有しない。これがため、本発明装置によ
れば、上述した従来技術の遮蔽装置に比べ占有空
所を狭くすることができる。

本発明装置は円筒状にのみ限定されず、同心配
置により作動空所を狭める一般原理が達成される
限り円筒状以外の種々の形状に構成し得ること勿
論である。或る発生器では、溶離液が、発生器の
外側に設けた別個の保持器内に収容されている。
この場合には、遮蔽装置の内部形状を、この別個
の保持器を収納できる様に変更し、装置外側か
ら、装置内の溶離液保持器に近付き得る様に開口
を拡大する。本発明によれば発生器の作動及び形
状を上述した様に容易に変更することができる。

本発明遮蔽装置は、放射性同位元素発生器以外
に、放射性製品又は物質を貯蔵する場合にも適用
することができる。

図面について本発明を説明する。

第１図に示す様に、本例遮蔽置は、静止部分１
４と、閉位置及び開位置間を回動し得る回動部分
３とを具える。静止部分１４には静止壁部である
ジヤケツト２を設け、これを第１の基部即ち底板
１に取付け、これより垂直方向に延長させる。静
止壁部２は円筒状とし、第２図に示す様に、略半
円の円弧に亘り延在させる。回動部分３には回動
壁部３ａを設け、これを第２の基部即ち回動板１
２に取付け、これより上方に延長せしめる。回動
壁部３ａも亦円筒状に形成するが、その外径を、
静止壁部２内径よりも小さくする。図面に示す様
に、静止部分１４及び回動部分３双方の軸線を軸
線ａに規定し、これら両部分を互に同心的ならし
める。回動壁部３ａを、軸線ａの周りを、第１及
び２図に示す開位置と、この開位置と略対向する
閉位置との間を回動させる。回動壁部３ａの円弧
状延長部分を半円よりも長くし、閉位置でも、第
２図に示す開位置でも、静止壁部２の両端縁を越
えて延在させる。この様にして、回動部分３が閉
位置に回動する時に、回動壁部３ａと、静止壁部
２とを隙間無く重ね合せ、両部間から放射線が漏
れない様にする。

遮蔽装置の回動部分３及び静止部分１４は、数
個の鉛からなる部材を垂直方向に互に積重ね、ス
タツドボルト１１によつて既知の様に互に固着し
て構成する。第１図に示す様に、静止部分は、底
板１の他に、４個の鉛円弧状部材を互に重ね合
せ、相互間をスタツドボルト１１によつて固着し
て構成する。同様に、回動部分３は、４個の鉛部
材を互に重ね合せ、最も下側の鉛部材を回動板１
２に固着して構成する。

最上部に位置する頂上部材は略円形であり、発
生器を遮蔽装置内に設置した時に、発生器の蓋６
を構成する。この蓋６には窪みをつけて溝部分７
を形成し、これで発生器４のボス８を受入れる様
にする。このボスに、発生器内の放射性同位元素
を含有する溶液を取出すのを容易にするための手
段を設ける。溝部分７の全部又は少なく共１部分
を被覆するための鉛閉合部材（図示せず）を設け
る。本例では、この鉛閉合部材は、その内にボス
８が入れ且つ発生器から放射性同位元素溶液を取
出すためにボス８に近付き易くするための開口９
を形成する。この開口９を閉塞するためには、別
個の鉛のストツパーが取付けられる。

蓋６の溝部分７によれば、放射性物質が欠乏し
た時に、遮蔽装置から発生器を取出すことができ
る。溝部分７は、その幅をボス８の有効直径より
も幾分大きくし、蓋６の略中心からその周縁まで
延在させ、第２図に示す様に、回動部分を開位置
に回動して、蓋を取去る時は、装置から発生器を
何等邪魔されないで、取出し得る様にする。これ
に反し、回動部分が閉位置にある時は、溝部分７
が静止部分と対向して、装置から発生器を取出し
得ない様にする。

底部分１には円形窪み区域を設け、その内に底
板１２を回動自在に受入れ得る様にする。この窪
み区域内に適当な軸受機構を支持し、これで底板
１２の下面を支承し得る様にする。第１図に示す
様に、軸受機構は多数の球と球受５とで構成し、
これら球及び球受を底板１２の周縁に沿い互に等
間隔だけ離して配置し、球を底板１２の下面と係
合せしめる。球及び球受５と、底板１２との相互
作用により、軸受機構を用いない場合よりも、回
動部分を軸線ａの周りを一層回転し易くする。

静止部分及び回動部分の双方を上述した様に配
置し、円弧状の部材を互に積重ね、スタツドボル
ト１１によつて固着して組立てれば、以後、組立
分解を行わずに発生器を置換できるため、組立作
業を繰返えさないですむ。斯る装置の重量が、
100ないし200Kgであるため上述した組立分解を避
ける必要あること明瞭である。扇形部材相互の連
結は、隣接部内の対応孔と嵌合するスタツドボル
ト１１によつて普通の様に達成できる。

本発明の遮蔽装置にはその回動部分を閉位置に
鎖錠するための機構を設ける。この目的のため装
置の静止部分に固着され、装置の回動部分を閉位
置に回動する時に回動部分の窪みと掛合するばね
爪の様な鎖錠手段を用いる。このばね爪を釈放す
るため装置外に突出する摘み１０を設け、作業員
がこの摘み１０を動かしてばね爪を釈放し得る様
にする。この様にすれば摘み１０を開位置に相当
する位置に動かすだけでばね爪を窪みから外すこ
とができる。この様に摘み１０を開位置に相当す
る位置に動かすと回動板１２を閉位置から釈放
し、その後ジヤケツトの回動分を回動することが
できる。本例では回動板１２が閉位置に達する時
に、ばね爪を窪みと自動的に係合せしめる様にす
る。その他の位置では、摘みが装置の開位置に相
当する位置を持続し得る様にする。これがため、
摘みは指示器の如く作用し、これを見て、回動部
分が正しく閉位置にあるか否かを知ることができ
る。

ジヤケツトの各部を円筒状とし、互に同心的に
配設し、回動部分を比較的狭い空所内で回動し得
る様にするのが好適である。材料の消費と、利用
空所とを最小とし、発生器附近に居る作業員その
他の人に危険を与えること無く、発生器を容易に
取換えることができる。加うるに発生器の静止部
分及び回動部分双方の寸法を、閉位置では、遮蔽
装置から放射線が漏れ無い様に決める。即ち上述
した様に閉位置で、静止部分及び回動部分を僅か
だけ重ね合せ、放射線の漏洩を防止することがで
きる。換言すれば、静止部分の内径を、回動部分
の外径よりも幾分大きくし、その間の隙間はでき
る限り小さくして、利用空所を狭くする。同様
に、回動部分の内径を、発生器の外径よりも僅か
だけ大きくするのが有利である。これがため、空
所を最高度に利用し、材料の消費を最小とするこ
とができる。

作動に当り、発生器を取換える場合には、摘み
１０を外方に動かしてばね爪を回動板１２の窪み
から外す。次いで回動部分をその開位置に回動
し、第２図に示す様に、回動壁部を、静止壁部の
周縁全体に沿い隣接せしめる。次に蓋を取外し、
ボス８を露出させる。この位置で、開口を経て発
生器４を外方に引出す。次いで新らたの発生器を
底板１２上にのせ、ボス８を溝部分７に対し適当
位置とする。次に閉合部材を蓋６の溝部分７上に
のせる。回動部分３を閉位置に回動すると、摘み
１０は自動的に内方に動き、ばね爪は回動部分３
の窪みと再び掛合し、回動部分３を閉位置に鎖錠
する。所要に応じ、開口９からストツパーを取外
して放射性同位元素溶液を取出し、所要量の溶液
を取出し、次いで鉛のストツパーで再び開口９を
閉じ、その場所に居る人を放射線から保護するこ
とができる。

上述のごとき構成によつて本発明の特徴および
その他の利点が達成される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明遮蔽装置の１例を示す縦断面
図、第２図は同じくその平面図である。 １…底板、２…静止壁部（ジヤケツト）、３…
回動部分、３ａ…回動壁部、４…発生器、５…球
及び球受、６…蓋、７…溝部分、８…ボス、９…
開口、１０…摘み、１１…スタツドボルト、１２
…回動板、１４…静止部分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内部で放射性同位元素含有溶液を生ずる放射
   性同位元素発生器用遮蔽装置であつて、 (a) 円形の第１の基部およびこの第１の基部から
   延びる第１の壁部を有し、前記第１の壁部が第
   １の開口を形成するようにほぼ半円筒状をなし
   ている静止部分と、 (b) 閉位置と開位置との間で回動可能な回動部分
   であつて、前記第１の基部上に回動可能に取付
   けられた円形の第２の基部と、頂上部材と、こ
   の頂部と前記第２の基部との間に延びる第２の
   壁部とを備え、前記第２の壁部が、前記第１の
   壁部と共通の軸心を有しているとともに、第２
   の開口を形成するようにほぼ半円筒状をなし、
   前記回動部分が閉位置にあるときに前記第１お
   よび第２の壁部が重なり合つて効果的な遮蔽を
   達成するように前記第１および第２の壁部の一
   方が180゜以上にわたつて延び、さらに前記回動
   部分が開位置にあるときに前記第２の開口が前
   記第１の開口と一致して前記発生器の移動に必
   要な大きさの通路を形成するようになされた回
   動部分とを備え、 (c) 前記可動部分および前記静止部分が、前記発
   生器からの放射線の透過を防止する材料で構成
   され、さらに (d) 前記頂上部材は、前記遮蔽装置内に位置して
   いる前記発生器のためのほぼ円形の蓋を構成
   し、この蓋は、前記放射性同位元素含有溶液を
   取出すために前記発生器に近づくのを容易にす
   る、前記発生器のボスを受入れるための溝部分
   を有していること、 からなる装置。 ２ 前記静止部分及び前記回動部分の各々は、互
   いに垂直方向に積重ねた複数の部材からなつてい
   る特許請求の範囲第１項記載の装置。 ３ 前記第２の壁部の外径を、前記第１の壁部の
   内径よりも幾分小さくして、前記回動部分を前記
   静止部分の内側で回動し得る様にし、前記第２の
   壁部の円弧を、前記第１の壁部の円弧よりも大き
   くし、閉位置で、前記第２の壁部が前記第１の壁
   部に重ね合わさる様にした特許請求の範囲第２項
   記載の装置。 ４ 前記第２の壁部の内径を、前記発生器の外径
   よりも幾分大きくした特許請求の範囲第２項記載
   の装置。 ５ 閉位置で前記回動壁部分を鎖錠する手段を設
   けた特許請求の範囲第４項記載の装置。 ６ 前記鎖錠手段は、前記第２の壁部の一部と係
   合するばね手段からなり、前記回動部分がその開
   位置に回動するのを阻止する手段として働く特許
   請求の範囲第５項記載の装置。