JPS638986Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、カウンタの改良に関し、さらに詳し
くは数字車のサイドプレー調整構造の改良に関す
る。

複数個の数字車を備えたカウンタ等において
は、各数字車の成形上の製造誤差を吸収し、円滑
な駆動を目的として数字車フレーム側板間に適当
な間隙、すなわちサイドプレーが設けられてい
る。そして、このサイドプレーを調整するため
に、従来適当な厚さのスプリングワツシヤやコイ
ルスプリングを、数字車とフレーム側板間に介挿
し、数字車を他方の側板側に押付けていた。

このサイドプレー調整構造は、勿論小型カウン
タにも必要であるが、上述したスプリングワツシ
ヤ、コイルスプリングを用いることは実際上きわ
めて困難であり、また数字車とフレーム側板間の
間隙に余裕もない。したがつて例えば板ばねを用
い、その一端を零復帰ブラケツト部材などの支軸
に挿入しかつ他端を数字車側面に当接させ、これ
によつてサイドプレー調整を行うようにした構造
のカウンタも知られている。しかしながら、かか
る構造のものも組立がきわめて面倒であり、熟練
作業と細心の注意を必要とするものであつた。一
方、へ字状に折曲げた板ばねを数字車とフレーム
側板間に介挿し、その両端をフレーム底板とフレ
ームに組付けられるカバーとによつて係止すれ
ば、組立の大幅な合理化が達成される。しかしな
がら、板ばねはプレス加工によつて形成されるた
め、その寸法精度のバラツキが大きく、またフレ
ーム、カバーの寸法精度、組立誤差等に起因して
両端が固定された板ばねの作用力が大きくバラツ
クことになる。

したがつて、本考案はサイドプレー調整ばねを
用い、この調整ばねを単にカバーで抜止めのみす
るように構成し、もつて板ばねのテンシヨンのバ
ラツキを可及的小ならしめた構造簡易にして組立
が容易なカウンタを提供するものである。

以下、本考案を図面に示した実施例によつて詳
細に説明する。

実施例のカウンタは、小型テープレコーダに付
設されテープの走行量を積算表示する小型テープ
カウンタであり、図において、１は合成樹脂材料
によつて成形したフレームで、底板２、その両側
に互いに平行に立上る側板３，４からなる断面上
向きコ字状を呈している。底板２の一偶には円筒
状軸受５が一体に形成され、また側板３，４の外
側面にはこのカウンタを主機器に付設する際利用
するフランジ６が突設されている。フレーム側板
３，４間には数字車支軸７が支架され、側面にハ
ートカムが一体に付設された数字車８，９，１０
および段付歯車１１がそれぞれ回転自在に軸装さ
れている。一方図示しないがフレーム側板３，４
間に支架された支軸上に揺動自在に支持された零
復帰ブラケツト部材には、前記各数字車および段
付歯車にそれぞれ介在するピニオンが設けられて
いる。これらピニオンを支持するピニオン支軸１
２はフレーム側板３，４の後方部に形成した段部
に当接して前記数字車支軸７との車間距離が定め
られている。なお、前記零復帰ブラケツト部材に
は数字車のハートカムに対応してハートカム押圧
片が設けられている。前記軸受５には回転軸１３
が貫通して設けられ、この回転軸の上端には前記
段付歯車１１の小径歯車と噛合するウオーム１４
が形成され、下端にはテープ駆動源とベルトを介
して連結されるプーリ１５が固設されている。し
たがつて、テープ走行に伴つてプーリ１５を介し
て回転軸１３が回転し、ウオーム１４と噛合した
段付歯車１１が回転駆動される。段付歯車１１の
回転は、ピニオンを介して第１数字車８へ伝達さ
れ、この数字車８が１回転したとき第２ピニオン
を介して数字車９が１歩進宛回転する。以下順次
この動作が繰返される。フレーム側板４には押ボ
タン１６が上下方向に摺動自在に設けられ、この
押ボタン１６を押圧操作することによつて各数字
車は一斉に零復帰される。１７は段付歯車１１と
数字車８間に介在し、その摩擦伝達を遮断するス
ペーサである。フレーム１にはカバー１８が組付
けられる。カバー１８は透明合成樹脂材料によつ
て下方を開放した箱形に形成され、その上面壁に
はレンズ状突部として構成された数値読取部が設
けられている。

前記フレーム側板３と第３数字車１０間に介挿
され、数字車群をフレーム側板４側へと付勢する
サイドプレー調整片２０を含むサイドプレー調整
構造について説明する。サイドプレー調整片２０
は、金属板材料を折曲げ加工して形成したもの
で、その両端部および中央部に平面部を設けた略
く字状を呈し、また下端部より中央平面部近傍に
達するスリツト２１が設けられている。サイドプ
レー調整片２０は、その幅寸法がフレーム側板３
の内面に削成した高さ方向の凹所３ａの幅寸法と
ほぼ等しくされ、また長さ寸法はフレーム底板２
とカバー１８の内面との対向間隔よりもやや小寸
法に形成されている。前記スリツト２１の幅は前
記数字車支軸７の軸径よりもやや大とされ、また
このスリツト２１の上端から調整片上端までの長
さ寸法は数字車支軸７とカバー内面の係合突部１
８ａとの間隔よりもやや小寸法に設定されてい
る。さらに、上端とスリツト２１の上端との間に
は抜孔２２を設ける。この抜孔２２は組立状態に
おいて前記スリツト２１に起因して調整片２０の
上半分と下半分の作用力にバラツキが生じること
を防止するように作用する。このサイドプレー調
整片２０を収容する前記凹所３ａは、その幅方向
中央部に数字車支軸７が位置するようにフレーム
側板３の内面に刻設されたもので、サイドプレー
調整片２０の組立ガイドを構成するとともに、数
字車１０の側面との対向間隔を実質的に大ならし
めている。すなわち、調整片２０の曲げ角度を大
に設定可能とし、この調整片２０の作用力が安定
するように形成している。

以上の構成において、サイドプレー調整片２０
は、数字車支軸７の上方よりスリツト２１をこれ
に嵌合させるようにしてフレーム側板３と数字車
１０との間に差込まれる。差込まれたサイドプレ
ー調整片２０は、凹所３ａ中に位置されることに
よつて回転方向の遊動が阻止され、またフレーム
１に組付けたカバー１８によつて抜止めされるこ
とになる。上述したようにサイドプレー調整片２
０は全体が略く字状に形成されているため、その
中央平面部が数字車１０の側面に当接して数字車
群をフレーム側板４側へと付勢し、サイドプレー
が調整される。またこのサイドプレー調整片２０
は、その両端が規制されるものではないので、曲
げ角度が強制的に変えられることはなく、一定の
作用力によつてサイドプレー調整が行なわれる。

なお、上述した実施例によれば、カバー１８は
箱形に形成したが、本考案はこれに限定されるも
のではなく、その形状は適宜変更自在であり、ま
た小型テープレコーダ用カウンタ以外にも種々適
用自在である。

以上詳細に説明したように、本考案によれば、
板ばねよりなる略く字状でありかつその下端より
ほぼ中央部まで達するスリツトを設けたサイドプ
レー調整片を、前記スリツトを数字車支軸に嵌合
するようにしてフレーム側板と数字車間に介挿
し、かつこのサイドプレー調整片をカバーで抜止
めするように構成したものであるから、その組立
は極めて簡単となり、作業能率を大幅に向上させ
ることができ、しかも組立状態において両端から
押されて曲げ角度が変わりこれによつて数字車の
押圧力が変わるといつたこともなく、常に良好な
るサイドプレー調整が行い得る等、実用的効果は
極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す小型テープカ
ウンタの側断面図、第２図はその要部の分解斜視
図である。 １……カウンタフレーム、２……底板、３，４
……側板、５……軸受、７……数字車支軸、８，
９，１０……数字車、１１……段付歯車、１２…
…ピニオン支軸、１３……回転軸、１４……ウオ
ーム、１５……プーリ、１８……カバー、２０…
…サイドプレー調整片、２１……スリツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コ字状をなすフレームと、このフレームに取付
   けられ数値読取部を有するカバー部材と、前記フ
   レームの両側板間に支架した支軸に回転自在に軸
   装された数字車と、この数字車の桁送りを行うピ
   ニオンと、前記数字車を一方のフレーム側板側へ
   と付勢するサイドプレー調整片とを備え、このサ
   イドプレー調整片は金属板材料によつて断面略く
   字状に形成されるとともに、その下端より略中央
   部まで達するスリツトが設けられかつ全体の長さ
   寸法はフレーム底板とカバー内面の対向間隔より
   もやや小寸法でかつ上端と前記スリツトの上端と
   の間隔がカバー内面と数字車支軸との間隔よりも
   小寸法とされ、フレームの上方から前記スリツト
   に数字車支軸が嵌合するようにして一方のフレー
   ム側板と数字車間に介挿されたこのサイドプレー
   規制片は、前記カバーによつて抜止めされること
   を特徴としたカウンタ。