JPS638318B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、微量吐出のオイルポンプに関するも
のである。

この種従来のポンプには、プランジヤに回転往
復摺動運動を与えてポンプ室の拡大圧縮を行わせ
ると共にポンプ室を吸入口と吐出口とに交互に連
通せしめるようにした形式のものと、ポンプ室を
吸入口と吐出口とに交互に連通させるため回転の
みするデイストリビユータとポンプ室の拡大圧縮
を行うためデイストリビユータと共に回転しなが
ら往復摺動するプランジヤとを別々に設けてこれ
ら二つの部品でポンプ室を画成するようにした形
式のものとがあるが、これらは何れもプランジヤ
に往復運動を与えるための装置を別設する必要が
あるばかりか、吸入、吐出のタイミングを確保す
るため構成部品の加工精度を高く保持しなければ
ならず、部品点数の削減、製作コストの低減には
自ずと限界があつた。又この種ポンプは用途によ
つては吐出量をガバナーにより制御し得るように
するため吐出量制御部は極めて軽い作動を要求さ
れるが、従来方式のものはこの吐出量制御部が完
全なオイルシールを必要とする構造になつている
ため作動が重くなり易く、この要求を満たすには
比較的高価なシール機構を採用せざるを得なかつ
た。更に、従来方式のものは、構造上プランジヤ
またはデイストリビユータを回転させるのにウオ
ームとウオームホイールを含む動力伝達機構を内
蔵せざるを得ない構造になつているため、全体の
構造を簡素化すると云う点では不利であつた。

本発明はかゝる従来品の有する問題点を一挙に
解決し得た新規の構造のオイルポンプを提供する
ものであるが、以下図示した実施例に基づきこれ
を具体的に説明すれば、第１図および第２図にお
いて、１は長手方向中心部に穿設された貫通孔１
ａと該貫通孔１ａに直交する孔１ｂと貫通孔１ａ
と平行な孔１ｃと鍔部１ｄと筒状部１ｅと貫通孔
１ａに連通した吸入口１ｆおよび吐出口１ｇを有
するポンプ本体、２は貫通孔１ａに回転可能に嵌
挿されていて一端部周面の一部に偏心カム状底面
２a′を有していて吸入口１ｆおよび吐出口１ｇに
整合し得る溝２ａを、中間部に環状溝２ｂおよび
小径部２ｃを、外部に突出する他端部に固着され
た鍔２ｄおよびウオームホイール２ｅをそれぞれ
有するシヤフト、３は孔１ｂに摺動可能に嵌挿さ
れていて径が溝２ａの幅よりも細いと共に下端が
半球状であり且つ偏心カム状底面２a′に当接可能
で上端に鍔３ａを有するプランジヤ、４は下端縁
がポンプ本体１に又上端縁がプランジヤ３にそれ
ぞれ固着されていてプランジヤ３の一部を包むよ
うに形成されたゴム等の可撓材料より成るオイル
シール、５はプランジヤ３を下方へ弾圧するスプ
リング、６は孔１ｃに回転可能に嵌挿されていて
プランジヤ３のストロークを調整するため鍔３ａ
に当接し得るカム６ａを有するコントロールピ
ン、７はコントロールピン６に固着されていて図
示しないガバナーと連動するコントロールレバ
ー、８は貫通孔１ａの一端部を密封するための
蓋、９は環状溝２ｂ内へ突出してシヤフト２の抜
けを防止するためポンプ本体１に打ち込まれたピ
ン、１０は貫通孔１ａの他端部を密封するため小
径部２ｃに嵌装されたオイルシール、１１はポン
プ本体１を取付けるため筒状部１ｅに整合し得る
大きさの取付孔１１ａと鍔部１ｄに当接する位置
決め用側壁１１ｂを有する例えばエンジン本体、
１２は例えばクランク軸に設けられていてポンプ
本体１が所定位置へ取付けられた時ウオームホイ
ール２ｅと噛合し得るように配設されたウオーム
である。尚、第２図に示した如く、溝２ａの周方
向の長さは吸入口１ｆと吐出口１ｇの間隔よりも
短く且つ吸入口１ｆ及び吐出口１ｇとプランジヤ
３の先端との各間隔よりも長いものとする。

本発明に係るオイルポンプは上記の如く構成さ
れているから、第１図および第２図ａの状態にお
いて、ウオーム１２を矢印方向に回転させればシ
ヤフト２はウオームホイール２ｅを介して矢印方
向へ回転し、シヤフト２が第２図ｂで示す位置ま
で来た時プランジヤ３の下端は溝２ａの底面２
a′に当接し又溝２ａは既に吸入口１ｆと連通状態
にあるから、シヤフト２のそれ以後の回転により
プランジヤ３はスプリング５に抗して押し上げら
れ溝２ａ内へオイルが吸入される。かくして第２
図ｃで示す位置までシヤフト２が回転するとプラ
ンジヤ３は溝２ａ内より脱出して最上位置に達し
吸入行程が終了する。その後シヤフト２の回転が
進んで第２図ｄの位置を通過した瞬間からプラン
ジヤ３はスプリング５の弾力により下降し始め又
この時既に溝２ａは吐出口１ｇと連通状態にある
から、溝２ａ内のオイルは吐出される。かくして
シヤフト２が第２図ｅの位置に達するとプランジ
ヤ３は予め設定された最下位置に達して吐出行程
が終了する。その後シヤフト２は第２図ａで示さ
れた中立位置すなわち吸入口１ｆおよび吐出口１
ｇが共に閉鎖されている位置へ再び戻つて一回の
作動は終了する。この場合、吐出量はプランジヤ
３の最下位置を変更することにより調整し得る
が、プランジヤ３の最下位置はコントロールピン
６を回動せしめることにより適誼調整し得る。な
お、第２図ａに示す中立位置から僅かに回転して
から溝２ａと吸入口１ｆは連通状態となるため、
この僅かな回転の間プランジヤ３は静止状態に保
持される必要があり、このためプランジヤ３は最
大ストローク位置に調整された場合でも第２図ａ
に示す如く下端が溝２ａの底面２a′より所定量離
間している。

以上の説明で明らかな如く、ポンプ室は実質上
シヤフト２の周面に単純な切欠き状の溝を形成す
るだけで済むからポンプの構成を著しく簡素化す
ることができ、又溝２ａは吸入口１ｆおよび吐出
口１ｇと直接連通して吸入吐出のポートタイミン
グを行うのみならず油通路としての役割も果して
ポンプ室内のオイルの流れは一方向となるから、
エア抜けに対して極めて有利となり、吐出量の正
確な高能率の微量吐出ポンプを得ることができ
る。又、溝２ａ内へ進入し被駆動時にカム状底面
２a′に当接するプランジヤ３の先端部が溝２ａの
幅より細く且つ球状をなしているので、孔１ｂの
内壁とプランジヤ３の先端部との間に空間が生ま
れ且つ該空間が溝２ａと連通し、その結果該空間
をポンプ室の一部として利用できるという利点が
ある。又シヤフトの一端部はポンプ本体の外部へ
突出せしめることが出来るから、この突出端部に
ウオームホイール２ｅを取付けるか或いはこれを
一体に形成することによりエンジン本体へのポン
プ本体の取付けが極めて簡単となる。更にポンプ
本体とプランジヤとの間にオイルシール手段を設
けさえすれば、ポンプ本体とコントロールピンと
の間にはオイルシールは不用となるから、コント
ロールピンは極めて軽い力で回動させることが可
能となり、従つて小型のガバナーによつても確実
且つ正確に吐出量の制御を行わせることが可能と
なる。

以上説明の実施例では偏心カム状底面２a′は円
弧面として形成されているが、これは第３図に示
す如く一つの平坦面であつてもよいし又第４図に
示す如く凸形平坦面であつても良く、その形態は
種々のものを採用し得る。又ポンプ本体１より突
出したシヤフト２の端部にはウオームホイール２
ｅを取付けるか一体にこれを形成する代わりに、
直径方向に突条または溝を形成し、クランクシヤ
フトに連動する主動側シヤフトの端面に直径方向
に溝または突条を形成してこれらの突条と溝を嵌
合せしめることによりシヤフト２を回転駆動せし
めるようにしてもよい。

以上は何れも本発明を一口吐出のポンプに適用
した場合について説明したが、第５図および第６
図に例示した如く、極めて簡単に多口吐出のポン
プを得ることも出来る。即ち、第５図は二口吐出
の場合を、第６図は三口吐出の場合を示している
が、何れもポンプ室の構成および作用は既に説明
した実施例の場合と同様であり、吸入口１ｆと吐
出口１ｇは各ポンプ室にそれぞれ対応して設けら
れている。この実施例では、何れも各ポンプ室が
シヤフト２の同一横断面内に設置されているが、
各ポンプ室はシヤフト２の長手方向に沿つてずれ
た位置に並設するようにしても良い。

第７図、第８図および第９図は本発明の更に他
の実施例を示すものであるが、これらの実施例
は、ポンプ室がシヤフト２内に形成された油通路
２ｆを介して吸入口１ｆと吐出口１ｇとに関接的
に連通せしめられ得るようになつている点で既に
説明した実施例とは異なる。即ち、第７図の実施
例では吸入口１ｆと吐出口１ｇがシヤフト２の直
径方向以外の位置に配置されていて油通路２ｆが
シヤフト２の直径方向に沿つて穿設された透孔と
して形成されている。又第８図の実施例は吸入口
１ｆと吐出口１ｇがそれぞれ異なる相対位置を占
めている場合であるが、これらの作用は既に説明
したものから極めて容易に理解し得るであろうか
ら詳細な説明は省略する。又、第８図及び第９図
の各実施例は、吸入口１ｆ及び吐出口１ｇが溝２
ａと直接連通する位置に設けられていないので、
プランジヤ３の作動と吸入口１ｇ及び吐出口１ｇ
と各透孔２ｆとの連通のタイミングが合いさえす
れば、溝２ａの周方向の長さは特に限定されな
い。

なお、本発明に係るポンプは回転比例型ポンプ
としても利用できることは云うまでもない。

上述の如く本発明によれば、極めて廉価にして
而も高性能の各種形式のオイルポンプを提供する
ことができ、特に汎用エンジンにおける分離給油
用オイルポンプ等として極めて好適に利用し得
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はエンジン本体に取付けられた状態で示
す本発明に係るオイルポンプの一実施例の縦断面
図、第２図はポンプ作用を説明するための拡大部
分図、第３図乃至第９図は互いに異なる本発明の
他の実施例を示す要部断面図である。 １…ポンプ本体、１ｄ…鍔部、１ｅ…筒状部、
１ｆ…吸入口、１ｇ…吐出口、２…シヤフト、２
ａ…溝、２a′…偏心カム状底面、２ｅ…ウオーム
ホイール、２ｆ…油通路、３…プランジヤ、４，
１０…オイルシール、５…スプリング、６…コン
トロールピン、６ａ…カム、１１…エンジン本
体、１１ａ…取付孔、１１ｂ…側壁、１２…ウオ
ーム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 吸入口と吐出口を有するポンプ本体と、ポン
   プ本体内に回転可能に嵌挿されていて周面の一部
   に上記吸入口と吐出口とに連通可能で且つ偏芯カ
   ム状底面を有する溝を形成したシヤフトと、ポン
   プ本体に摺動可能に嵌挿されていて上記の溝の幅
   より細い球状先端部が上記溝内へ進入し得るよう
   に弾圧されたプランジヤとを備えていて、上記ポ
   ンプ本体と溝とプランジヤとによりポンプ室を画
   成せしめ、上記シヤフトの回転中上記カム状底面
   によりプランジヤを往復動せしめると共に上記溝
   を上記吸入口と吐出口とに交互に連通せしめるこ
   とによりポンプ作用を営ましめるようにしたオイ
   ルポンプ。 ２ 吸入口と吐出口を有するポンプ本体と、ポン
   プ本体内に回転可能に嵌挿されていて周面の一部
   に上記吸入口と吐出口とに連通可能で且つ偏芯カ
   ム状底面を有する溝を形成したシヤフトと、ポン
   プ本体に摺動可能に嵌挿されていて上記溝の幅よ
   り細い球状先端部が上記溝へ進入し得るように弾
   圧されたプランジヤと、ポンプ本体にプランジヤ
   と交差する方向に回転可能に嵌挿されていてプラ
   ンジヤに当接し得るカムを有するコントロールピ
   ンとを備えていて、上記ポンプ本体と溝とプラン
   ジヤとによりポンプ室を画成せしめ、上記シヤフ
   トの回転中上記カム状底面によりプランジヤを往
   復動せしめると共に上記溝を上記吸入口と吐出口
   とに交互に連通せしめることによりポンプ作用を
   営ましめ、又上記コントロールピンを回動せしめ
   ることによりプランジヤのストロークを変化せし
   めて吐出量を制御し得るようにしたオイルポン
   プ。 ３ 吸入口と吐出口を有するポンプ本体と、ポン
   プ本体内に回転可能に嵌挿されていて一端部周面
   の一部に偏芯カム状底面を有する溝を又ポンプ本
   体より突出した他端部にギヤ部を夫々設けたシヤ
   フトと、ポンプ本体に摺動可能に嵌挿されていて
   上記溝の幅より細い球状先端部が上記溝内へ進入
   し得るように弾圧されたプランジヤとを備えてい
   て、上記ポンプ本体と溝とプランジヤとによりポ
   ンプ室を画成せしめ、上記シヤフトの回転中上記
   カム状底面によりプランジヤを往復動せしめると
   共に上記溝を上記吸入口と吐出口とに交互に連通
   せしめることによりポンプ作用を営ましめるよう
   にしたオイルポンプ。 ４ 吸入口と吐出口を有するポンプ本体と、ポン
   プ本体内に回転可能に嵌挿されていて周面の一部
   に上記吸入口と吐出口とに連通可能で且つ偏芯カ
   ム状底面を有する溝を又内部に該溝と上記吸入口
   或いは吐出口とを連通し得る透孔を夫々形成した
   シヤフトと、ポンプ本体に摺動可能に嵌挿されて
   いて上記溝の幅より細い球状先端部が上記溝内へ
   進入し得るように弾圧されたプランジヤとを備え
   ていて、上記ポンプ本体と溝とプランジヤとによ
   りポンプ室を画成せしめ、上記シヤフトの回転中
   上記カム状底面によりプランジヤを往復動せしめ
   ると共に上記透孔を介して上記溝と吸入口と吐出
   口とに交互に連通せしめることによりポンプ作用
   を営ましめるようにしたオイルポンプ。 ５ 溝が吸入口及び吐出口に直接連通せしめられ
   るようになつていて、溝が油通路として役立てら
   れるようになつている特許請求の範囲１乃至３の
   何れかに記載のオイルポンプ。 ６ 溝がシヤフト内に形成された油通路を介して
   吸入口及び吐出口に間接的に連通せしめられるよ
   うになつている特許請求の範囲１乃至３の何れか
   に記載のオイルポンプ。 ７ ポンプ本体とコントロールピンとの間にはホ
   ール手段を設けず、ポンプ本体とプランジヤとの
   間にシール手段を設けたことを特徴とする、特許
   請求の範囲２に記載のオイルポンプ。 ８ ポンプ本体に鍔部と筒状部とが形成されてい
   て、エンジン本体に形成された取付孔に上記筒状
   部を挿入して上記鍔部がエンジン本体の側壁に当
   接した時シヤフトのギヤ部がエンジン本体内に装
   備された駆動ギヤに噛合せしめられ得るように構
   成した、特許請求の範囲３に記載のオイルポン
   プ。 ９ ポンプ本体と溝とプランジヤとにより画成さ
   れるポンプ室をシヤフトの周りに複数個配設し、
   又ポンプ本体に各ポンプ室に連通可能の複数対の
   吸入口及び吐出口を設けて多口吐出とした、特許
   請求の範囲１乃至８の何れかに記載のオイルポン
   プ。