JPS637809B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は、オイルクリーナ等において流体の濾
過に使用する磁性濾過素材及びその製造方法に関
するものである。

［従来の技術的背景］ 流体の濾過を行う際に使用する濾材は、一般に
流体中の夾雑物を捕捉するためのふるい的な性状
を持つている。しかし、夾雑物には機械装置の摩
耗による鉄粉などの微細な磁性粉が混入されてい
る場合が屡々あり、これらの内、濾材では捕捉す
ることができない超微細な磁性粉は磁性濾過材の
併用によつて除去が可能となる。

しかし、濾紙や不織布などの濾材に粉粒体状の
磁性体を一様に分布するには、磁性体が団子状と
なり極めて困難である。そこで、着磁されていな
い磁性材料を濾材に分布させ、その後に磁性材料
を着磁することも考えられるが、均一に着磁する
には相当な大がかりな設備を必要とする。

［発明の目的］ 本発明の目的は、上述の問題点を解消し、磁性
体を濾材中に包み込み、濾過に際して効率良く鉄
粉等の磁性を有する微粉を捕捉し得る磁性濾過素
材を提供することにある。

本発明の他の目的は、上述の磁性濾過素材を能
率的に製造し得る磁性濾過素材の製造方法を提供
することにある。

［発明の概要］ 上述の目的を達成するための特定発明の要旨
は、粉粒体から成る磁性体を、多孔質性を有する
テープ状の紙又は不織布から成る濾材により連続
的に巻込み、糸又はロープ状に成形したことを特
徴とする磁性濾過素材である。

前記特定発明に関連する本発明の要旨は、多孔
質性を有するテープ状の紙又は不織布から成る濾
材を連続して送り出し断面凹状に形成する第１の
工程と、前記濾材の凹状部内に粉粒体から成る着
磁されていない磁性材料を連続的に落し込む第２
の工程と、前記濾材により前記磁性材料を連続的
に包み込む第３の工程と、前記磁性材料を包み込
んだ濾材に撚りを与える第４の工程と、前記第２
又は第３又は第４の工程後に前記磁性材料を着磁
する第５の工程とから成ることを特徴とする磁性
濾過素材の製造方法である。

［発明の実施例］ 本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明す
る。

第１図、第２図は磁性濾過素材１を示し、第１
図はその側面図、第２図は断面図である。この磁
性濾過素材１はテープ状の通気性又は通水性を有
する濾紙や不織布から成る濾材２の中に、例えば
アルニコ、フエライトから成る粉粒体状の磁性体
３が巻き込まれており、全体に撚りが与えられた
糸状又はロープ状となつている。

第３図以下はこの磁性濾過素材１を製造する方
法の説明図である。第３図において、例えば幅50
mmに断裁されボビン４に巻回されたテープ状の濾
材２を、ボビン４を回転させながら送り出し、一
対の折りロール５ａ，５ｂ間を通す。この折りロ
ール５ａ，５ｂにより濾材２は第４図に示すよう
に２つ折りされ、折りロール５ａ，５ｂを通過す
ると濾材２自体の弾発力により第５図に示すよう
に断面Ｖ字状に拡がる。ここで濾材２の凹部内
に、例えば着磁されていない粉末状の磁性材料６
を図示しない計量ホツパから連続的に投入し、次
の折り込みロール７ａ，７ｂを通す。この折り込
みロール７ａ，７ｂは、Ｖ字状に拡開した濾材２
の上部を両側から折り曲げて磁性材料６に蓋をす
るためのものであり、片側ずつ折込むために濾材
２の長手方向に沿つて互いにずれて配置され、第
６図に示すように濾材２の上部を折り曲げ、磁性
材料６を濾材２により包み込む。次に、テーパ状
のコーン８を通して、磁性材６を包み込んだ濾材
２を第７図に示すように絞り込み、その直径を例
えば３mmに規制する。続いて、永久磁石９ａ，９
ｂで形成される磁界中を通し磁性材料６を着磁し
て磁性体３とする。そして、電動機１０により回
転する巻取りドラム１１を、更にツイスト用電動
機１２により回転し、磁性濾過素材１を巻取りな
がら撚りを与え、磁性体３がこぼれ出ることのな
い機械的に安定な状態にする。

前述したように流体中の大粒の固形粒子を除去
することは、ふるい的な所謂濾材を使用すること
で十分である。しかし、流体中の微細な鉄粉等を
磁気的に吸着することが必要であり、本発明のよ
うに磁性体３を濾材２中に巻き込むことによつ
て、この磁性濾過素材１は油中の微細な鉄粉等に
対する除去能力を持つことになる。

この磁性濾過素材１の実際の使用に当つては、
例えば第８図に示すようなオイルクリーナ１３に
応用することができる。このオイルクリーナ１３
の外側容器１４は円筒状金属管とし、上面に油入
口１５と出口１６とを有している。外側容器１４
内には濾過本体１７がばね１８によつて支持さ
れ、この濾過本体１７は油を通さない底面板１９
と閉塞板２０と、油を通す円筒外壁２１と円筒内
壁２２とに囲まれている。底面板１９と閉塞板２
０とは例えば剛性の金属板製とし、円筒外壁２
１、内壁２２は例えば金網又は多孔の金属板、例
えばパンチングメタルとしている。濾過本体１７
は本発明に係る磁性濾過素材１により形成され、
円筒内壁２２を芯としてその周囲に巻回されてい
る。この場合は、円筒内壁２２に近い方、つまり
巻き始めは密に、外側に進むにつれ粗に巻回する
ことが好ましい。その理由は、油は油入口１５か
ら円筒外壁２１を経て濾過本体１７を通り円筒内
壁２２を通過するため、油中の粒度の異なる夾雑
物に対し、濾過本体１７の上流側で主に粒度の大
きい夾雑物を捕捉し、下流側で粒度の小さなもの
を捕捉するようにすると、濾過本体１７の寿命が
全体として長くなるためである。

また、磁性濾過素材１を編んだり織つたりし
て、シート状の編物又は織物とすることにより濾
布或いは磁性粉の吸着布として使用可能であり
る。

なお、実施例においては濾材２の巻取り時に、
巻取りドラム１１を回転させて撚りを与えている
ため、完成した磁性濾過素材１の長さは元のテー
プ状の濾材２の長さとほぼ同一となる。しかし、
磁性材料６を包み込む際に濾材２をらせん状に巻
き付けることにより撚りを与えてもよく、この場
合は完成した磁性濾過素材１は元の濾材２の長さ
よりも短くなる。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明に係る磁性濾過素材
及びその製造方法は、磁性体が濾材中に均等に分
布され、しかも均一に着磁された磁性体による流
体中の磁性体が良好に捕捉できる磁性濾過素材が
得られ、その製造を容易になし得る利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る磁性濾過素材及びその製造
方法の実施例を示し、第１図は磁性濾過素材の側
面図、第２図はその断面図、第３図は磁性濾過素
材を製造する方法の説明図、第４図は濾材を折り
ロールで折曲する状態の断面図、第５図は折りロ
ール通過後の濾材の断面図、第６図は濾材を折り
込みロールで折曲する状態の断面図、第７図はコ
ーン通過後の濾材の断面図、第８図はオイルクリ
ーナの断面図である。 符号１は磁性濾過素材、２は濾材、３は磁性
体、４はボビン、５ａ，５ｂは折りロール、６は
磁性材料、７ａ，７ｂは折り込みロール、８はコ
ーン、９ａ，９ｂは永久磁石、１０，１２は電動
機、１１は巻取りドラム、１３はオイルクリーナ
である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 粉粒体から成る磁性体を、多孔質性を有する
   テープ状の紙又は不織布から成る濾材により連続
   的に巻込み、糸又はロープ状に成形したことを特
   徴とする磁性濾過素材。 ２ 多孔質性を有するテープ状の紙又は不織布か
   ら成る濾材を連続して送り出し断面凹状に形成す
   る第１の工程と、前記濾材の凹状部内に粉粒体か
   ら成る着磁されていない磁性材料を連続的に落し
   込む第２の工程と、前記濾材により前記磁性材料
   を連続的に包み込む第３の工程と、前記磁性材料
   を包み込んだ濾材に撚りを与える第４の工程と、
   前記第２又は第３又は第４の工程後に前記磁性材
   料を着磁する第５の工程とから成ることを特徴と
   する磁性濾過素材の製造方法。 ３ 前記第１の工程及び第３の工程は回転ロール
   により行うようにした特許請求の範囲第２項に記
   載の磁性濾過素材の製造方法。 ４ 前記第５の工程は磁界中を通過させることに
   より行うようにした特許請求の範囲第２項に記載
   の磁性濾過素材の製造方法。