JPS637702Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、回転並びに荷重を軸からジヤーナル
を介して転がり軸受に伝達する立型油浴式軸受装
置に関し、特に、立型ポンプの軸受装置に適した
立型油浴式軸受装置に関する。

従来の立型油浴式軸受装置は、第１図に示すよ
うに、軸１の回転を、キー２，ジヤーナル３を介
して転がり軸受４に伝え、荷重を軸１から、該軸
１に螺合されジヤーナル３の上面にボルト９によ
つて取付けられる軸ナツト５と、ジヤーナル３を
介して転がり軸受４に伝達するように構成されて
いる。そして該軸受装置が立型ポンプに取付けら
れる場合、該軸受装置は羽根車等の回転体とケー
シングの位置決め調整機構としても機能し、その
ときは、上記軸ナツト５のボルト９を外し、ジヤ
ーナル３に対して締め込んだり緩めたりすること
により、軸１を上下に移動させている。そのた
め、軸１に嵌め込まれたキー２を介してジヤーナ
ル３に回転を伝えるだけでなく、軸１の上下動に
応じて該キー２はジヤーナル３に設けられた軸方
向に細長いキー溝２ａの中を上下にスライドでき
るようになつている。

一方、転がり軸受４を支持する軸受ケース６の
内部には、潤滑油室が形成され、該潤滑油室に潤
滑油７を貯めておくための油筒８が、軸１と僅か
な隙間を保つて転がり軸受４との間に設けられて
いる。

上記のような構成のため、分解及び組立時、ボ
ルト９を外して軸ナツト５を軸１から取り去つた
後、ジヤーナル３，転がり軸受４，軸受ケース６
等からなる軸受装置を一体のまま、軸１から抜き
出そうとしても、油筒８が軸１に嵌め込まれたキ
ー２に当つて阻止されるため抜き出せず、そのた
め、各構成部品を１個ずつ機器本体から分解或い
は組立てなければならなかつた。

上記の不便さを解決するために、油筒８の内径
を、第２図に示すように、キー２の外径より大き
く８ａの位置まで拡大することも考えられて来た
が、このように油筒径を大きくすると、それにつ
れて転がり軸受も不必要に大きくなり、従つてコ
ストの増加や、許容回転数の低下という幣害を伴
い実用的でない等の欠点があつた。

本考案の目的は、上記した従来技術の欠点を除
去し、かつ軸受装置の各部品を分解することなく
キーを取り外し可能とし、軸受装置を一体のまま
機器本体から分解、組立できるようにした軸受装
置を提供するにある。

上記の目的を達成するため、本考案は、軸とジ
ヤーナル間のトルク伝達用キーをジヤーナル上面
に設け、その半径方向前端部を、軸周面に形成さ
れたキー溝に嵌合させ、ジヤーナル上面に軸ナツ
ト等でカバーしたことを特徴としている。

以下、本考案の実施例を図面と共に説明する。

第３図は、本考案の第１実施例の縦断面図、第
４図は、第３図の軸ナツト５を取り去つたあとの
ジヤーナル３の上面図であつて、軸１は、該軸１
に螺合された軸ナツト５と、該軸ナツト５にボル
ト９で固定されたジヤーナル３を介して転がり軸
受４に支持されており、該転がり軸受４は、内部
に潤滑油を貯えた軸受ケース６に取付けられ、該
軸受ケース６には、軸１と僅かな隙間を保つて軸
受４との間に油筒８が設けられていることは、前
記第１図に示された従来のものと変りはない。し
かしながら、本実施例では、前記従来のものに設
けられた軸方向に細長いキー２に代えて、ジヤー
ナル３の上面に、ジヤーナル外周まで至らない半
径方向のキー溝１０が穿設され、該キー溝１０
に、半径方向にキー１１が、その上面がジヤーナ
ル３の上面と同一面内にあるように嵌入され、該
キー１１の内端部が、軸１の周面に形成された軸
方向に細長いキー溝１０ａに嵌合されている。そ
して該キー１１は、ジヤーナル３上面のキー溝１
０とは密に嵌合し、また軸周面のキー溝１０ａと
は、緩く嵌合して軸１とキー１１とが上下に摺動
可能になつている。

上記キー１１の上面、従つてジヤーナル３の上
面には、軸ナツト５がボルト９によつて取付けら
れ、カバー（ふた）されるので、キー１１が運転
中外れることはない。なお、図中、１２はねじ孔
であり、分解時に該キー１１を取り外すためのも
のである。

この実施例は上記のように構成されているの
で、分解時には、ボルト９を取り去り、軸ナツト
５を緩めて軸１より取り外せば、キー１１がジヤ
ーナル３の上面に露出するので、先ずキー１１を
キー溝１０より取り外すと、軸１とジヤーナル３
とはフリーになり、軸受装置を一体のまま、機器
本体から上方へ抜き出すことができる。なお、こ
の際、軸１は吸込ベル２７の上に乗ることにな
る。逆に組立時には、別途に軸受装置を組立て一
体として機器に組込むことが可能である。

したがつて、従来のように各構成部品を１個ず
つ分解する必要がないので組立の作業が向上し、
また組立て前に事前に十分な点検が行なえるの
で、調整作業も容易である。また、油筒内径は変
える必要がないので、適正な転がり軸受を使用す
ることができる。

第５図は、本考案の第２実施例の縦断面図であ
つて、軸受装置内に２個の転がり軸受４と４ａを
有し、これらの両軸受４と４ａが軸受ケース６と
中間支持体６ａにそれぞれ取付けられている点が
第１実施例と相達するのみで、他は概ね同様の構
造をなしている。

この実施例の場合も、該軸受装置を分解すると
き、軸ナツト５を軸１より取り去り、ジヤーナル
３上面に現われたキー１１をキー溝１０より取り
去れば、ジヤーナル３は軸１に対してフリーにな
るので、２個の転がり軸受４と４ａを内蔵したま
ま、該軸受装置を一体のまま機器本体から上方へ
抜き出すことができる。

第６図は、本考案の軸受装置を適用した立型ポ
ンプの縦断面図であつて、２１は外水位であり、
羽根車２２は、この外水位２１に水没する位置に
設置され、駆動用モータ２３により軸継手２４，
軸１，中間軸継手２６等を介して駆動される。水
は吸込ベル２７から吸込まれ、吐出ボウル２８，
吊下げ管２９，３０を経て吐出エルボ３１から吐
出される。そして本考案の軸受装置は、軸継手２
４の下方に設置されており、羽根車２２とポンプ
ケーシングとの位置を調節するとき等には、軸１
に螺合された軸ナツト５を締め込んだり緩めたり
して軸１を上下に移動させることができ、また、
軸受装置を分解するときは、前記実施例のときと
同様に軸ナツト５を取り外し、ジヤーナル３の上
面のキーを取り去つた後、軸受装置を一体のまま
抜き出せばよい。また組立てるときも、同様であ
る。

なお、第６図において、本軸受装置と立型ポン
プに適用した場合について説明したが、他の立型
回転機械の軸受装置にも適用できることは勿論で
あり、またこの際、軸周面に設けられるキー溝の
形状も、縦長のものに限らない。また、軸受装置
に内蔵される転がり軸受の型式、その設置数等に
ついても、適宜自由に選択できまた設計変更する
ことができる。

以上説明したように、本考案は軸とジヤーナル
間のトルク伝達用キーを、ジヤーナル上面に設
け、該キーの半径方向前端部を、軸周面のキー溝
に嵌合させるように構成されているので、軸受装
置を一体のまま機器本体から分解組立することが
でき、したがつて従来品にない次のような利点が
ある。

(i) 組立の作業性が著しく向上する。

(ii) 軸受部９の点検又は軸受の交換等の際、軸受
装置を一体のまま機器廻りから別途作業場へ持
ち込むことができるので作業が容易になり、点
検も十分に行える。

(iii) 組立状態の不具合があれば機器本体に取り付
ける前に発見できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の軸受装置の断面図、第２図は第
１図におけるキーと油筒の位置関係を示す要部説
明図、第３図は本考案の軸受装置の第１実施例の
断面図、第４図は第３図における軸ナツトを取り
去つたあとを上方からみた平面図、第５図は本考
案の第２実施例の断面図、第６図は本考案の軸受
装置を使用する立型ポンプの縦断面図である。 １……軸、３……ジヤーナル、４，４ａ……転
がり軸受、５……軸ナツト、６……軸受ケース、
８……油筒、１０，１０ａ……キー溝、１１……
キー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転並びに荷重を軸からジヤーナルを介して転
   がり軸受に伝達する立型油浴式軸受装置におい
   て、軸とジヤーナル間のトルク伝達用キーを、ジ
   ヤーナル上面に形成したキー溝内に設け、該キー
   の半径方向前端部を、軸周面に形成されたキー溝
   に嵌合させ、該ジヤーナル上面を軸ナツト等でカ
   バーしたことを特徴とする油浴式軸受装置。