JPS637415Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、連続鋳造機で作られる鋳造スラブの
まわり或いは長手方向に沿つて又はその双方に沿
つて、溶融芯を撹拌する如く配置される、少なく
とも２相の電流が給電される電磁撹拌器に関す
る。

鋳造スラブの撹拌は、鋳造スラブのまわりに沿
う方向或いは長手方向に沿う方向、又はこれ等の
方向の間の角度方向に溶融芯を加速することによ
つて達成される。通常、直線状撹拌器（発生する
電磁界が直線状に移動するもの）が使用される
か、または回転磁界で溶融芯を加速するモータの
ステータ型円形状撹拌器（発生する電磁界が鋳造
スラブの軸線のまわりで溶融芯を回転させるよう
に作用するもの）が使用される。

連続鋳造機において、溶融金属は、水冷された
鋳型内へ注入され、凝固したスラブは、鋳型を通
つて下方へ排出される。スラブは、鋳型を出ると
きに薄く凝固した外皮と、液状の溶融芯とから成
る。鋳造スラブは、鋳型を出た後、通常、二次冷
却領域で散水され、凝固する外皮は、次第にその
厚さを増大して全体の鋳造スラブが凝固するに至
る。凝固過程の際に、まだ液状の溶融芯を撹拌す
ることが望ましいが、これは、偏析現象、割れ
（クラツク）の形成、大きな気孔と空隙の形成、
特に、所謂パイプの形成を阻止する。

撹拌を行う公知の装置は、所謂円形状撹拌器で
あり、これによつて、溶融芯は、スラブの引抜き
方向すなわち前進方向に直角な面内でスラブの中
心線のまわりに回転される。この回転は、同一面
内の回転磁界によつて行われる。円形状撹拌器
は、通常、原理的に２極３相モータのステータと
して構成され、そのステータ中に鋳造スラブが通
過されるようになつている。

しかしながら、連続鋳造機は、管の枠組で機械
的に形成されることが多い。通常、支持ロール
は、これ等の管に取付けられていてスラブを制御
する。管と、支持ロールとは、保守の際に予備セ
グメントに交換されるようにされた幾つかのセグ
メントに機械的に分割されている。このようにす
ることは、著しく鋳造機の機械的保守を容易にす
るが、前記した管の枠組を配備することは、スラ
ブの溶融芯を撹拌する目的のために撹拌器を設置
することに対する大きな障碍を形成する。

円形状撹拌器は、鋳造機の管とスラブとの間に
設置されるか、または管とスラブとの両者を包囲
する様にするかのいずれかで設置される。前者の
場合では、撹拌器は、非常に小さくなければなら
ず、またスラブに非常に接近して設置されねばな
らないのでスラブの水冷が困難になる。

後者の場合では、撹拌器は、スラブから非常に
遠く設置されねばならないので、その効果は著し
く低減する。更に、どちらの場合でも、撹拌器が
設置されているセグメントを交換するときには困
難が生じる。また、上述した円形状撹拌器では、
スラブの種々の断面寸法に適合するように調節す
るのが困難であり、非正方形断面を有するスラブ
に適合するように調節するのは一層困難である。

本考案は、上述の問題とこれに関連するその他
の問題を解決することを目的とするものである。

本考案によれば、連続鋳造機からの鋳造スラブ
の溶融芯を撹拌するための電磁撹拌器であつて、
間に空隙がある少なくとも２つの撹拌器部分を有
し、各１個の撹拌器部分は鉄芯を含み且つ他の撹
拌器部分と共に装架されて、該鋳造スラブのまわ
りにそれら撹拌器部分の鉄芯が含まれる磁気回路
を有する多相撹拌器を形成しており、各１個の撹
拌器部分は少なくとも１相の巻線を含み且つ該撹
拌器の全部の相数よりも少なくとも１つ少ない数
の相が供給されるようになつており、各１個の撹
拌器部分は該鋳造スラブの異なつた側辺に配置さ
れていて、他の撹拌器部分と協働して該鋳造スラ
ブのまわりに回転磁界を形成するようになつてお
り、更に、前記それぞれの撹拌器部分の鉄芯と鉄
芯との間の空隙内には付加的な鉄芯が配置されて
いることを特徴とする連続鋳造機用撹拌器が提供
される。

上述した付加的な鉄芯は、撹拌器部分と撹拌器
部分との間の空隙が存在することにより生じる磁
束損失を低減させる効果がある。また、かような
付加的な鉄芯を用いることによつて、鋳造スラブ
のまわりに撹拌器部分を配設するに際してのレイ
アウト（配列）の自由度が大きくなるという利点
がある。

かような部分撹拌器は簡単に交換することがで
きるとともに、良好な所望の撹拌効果をもたらす
ような場所に容易に設置することができる。ま
た、鋳造スラブの種々の断面寸法に適合するよう
に配置することが可能である。

本考案の主要な実施例の１つでは、撹拌器が、
前述した如き直線状撹拌器であつて、２個以上の
撹拌器部分に分割され、該各撹拌器部分が少なく
とも単相の巻線を有し、鋳造スラブのまわりに沿
う移動電磁界を得る如く少なくとも１個以上の撹
拌器部分と一緒に配置されることを特徴とする。
本考案の別の実施例では、鋳造スラブの長手方向
に沿つて移動電磁界を得るよう、複数の撹拌器部
分を鋳造スラブの長手方向に沿つて配置してい
る。どちらの実施例でも種々の部分の交換の容易
性を有する簡単な構造が得られる。従つて、本考
案によつて、撹拌器を構成するために用い得る空
間が非常に限られている場合においても、巻線の
巻き数、極のピツチ等が利用可能な空間に関連し
て最適に選定されて、鋳造スラブの溶融芯を良好
に撹拌することが可能である。

本考案の実施例につき添附図面を参照して下記
に詳細に説明する。

本考案の撹拌器は、第１図に示す如く、４つの
撹拌器部分に分割された３相電磁撹拌器または２
相電磁撹拌器で構成され得る。

第１図は、本考案の撹拌器で撹拌される非凝固
部分（すなわち溶融芯）２を有する鋳造スラブ１
を示している。撹拌器は、撹拌器部分Ｔ−Ｒ，Ｒ
−ＳとＳ−Ｔ，Ｔ−Ｒ，Ｒ−ＳとＳ−Ｔから成
る。符号Ｒ，Ｓ，Ｔは、３相系統の３相を示す。
撹拌器部分Ｒ−ＳとＳ−Ｔ、即ち鉄芯４に２つの
巻線を有する撹拌器部分は、鉄芯４に巻いた巻線
を有する撹拌器部分Ｔ−Ｒと協働する。上述のこ
れ等の撹拌器部分は、異なる巻線を巻いた積層鉄
芯４から成り、図示の如く、図の側部に位置する
各撹拌器部分は、２つの巻線を有し、図の上下の
撹拌器部分は、１つの巻線を有している。

撹拌器部分は、第１図に示す如くコイル巻きに
するか、または重ね巻き（巻線がスロツト内に配
置される）にしてもよく、撹拌器部分の背後への
漏洩磁界を防止する如く、通常の態様で磁気遮蔽
板を備えてもよい。３は、鋳造機の支持管であ
り、鋳型や冷却設備等、連続鋳造機を構成する要
素を全体的に支持しているものである。５は、撹
拌器部分の鉄芯４の間に配置された付加的な積層
鉄芯であり、閉鎖された磁気回路を形成するため
と、支持管３を越えて磁束を導くこととを意図す
るものである。

撹拌器部分間の空隙は磁束の損失を生じさせる
ので、この空隙を第１図に示す鉄芯すなわち磁性
導体５で埋めることが必要である。また導体５
は、第１図に示す如く、鋳造スラブ１へ向くスロ
ツト歯として形成されてもよい。また、導体５
は、第２図に示す如く、支持管３を包囲すると共
に撹拌器部分を装着する固定個所を提供する様に
構成されてもよい。

第２図は、撹拌器部分間の積層またはその他に
より成形された鉄芯を備えた支持管３を示し、撹
拌器部分の鉄芯は、４で示されている。６は、磁
気遮蔽板であり、支持管３における積層鉄芯５の
まわりをも包囲している。この様にして、閉鎖さ
れた磁気回路が形成される。

過大な撹拌力を有する撹拌器は、所謂「白いバ
ンド」を凝固した鋳造スラブに生じさせる。従つ
て、撹拌効果が鋳造スラブ１のより長い部分に沿
い分布されるのは有利であり得る。また、撹拌力
が幾つかの方向の成分を有することは撹拌効果を
分布させるために有利である。

多数（≧４）の撹拌器部分が、鋳造スラブ１の
移動方向に対し特定の角度（≠90゜）で装着され
ると共に、閉鎖された磁気回路が、総ての撹拌器
部分で形成されるとすれば、この等の撹拌器部分
は、鋳造スラブ１に沿い螺旋状を形成する。これ
は、鋳造スラブ１内の磁界が、回転すると共に、
鋳造スラブ１の前進方向へまたは反対の方向へ移
動し、溶融芯がコルク抜きねじ状の運動状態で移
動するようになることを意味する。この様にし
て、鋳造スラブ１のより長い距離にわたり幾つか
の撹拌器からの撹拌効果を分布することが可能で
あり、これによつて、前述した「白いバンド」の
形成が防止される。

鋳型から異なる距離に設置され、その位置の鋳
造スラブ１の外皮厚さに適合するような撹拌力を
発生する幾つかの異なる撹拌器を備えることは、
同様に、撹拌効果の所望の分布をもたらし得る。

ステータ型の通常の円形状撹拌器に比し、上述
の撹拌器は下記の利点を有している。

１ 鉄芯の寸法と、巻線の巻き数とは、一層自由
に選定可能である。

２ 連続鋳造機へ機械的に装着することが、著し
く容易になる。

３ 撹拌器は、撹拌器部分を移動することで異な
る断面の鋳造スラブに簡単に適合可能である。

４ 撹拌器は、非正方形断面を有する鋳造スラブ
に適合可能である。

５ 撹拌器部分間の空隙には、スロツト歯として
も形成し得る磁性導体（積層鉄芯）を備え得
る。このスロツト歯は、鋳造スラブの表面に対
する散水を阻害しない。

６ 撹拌力は、上述の螺旋状に配置された撹拌器
により、鋳造スラブに沿つて「分布」され得
る。

第３図は、連続鋳造機の支持管１３の側部に配
置された本考案の撹拌器の他の実施例を示す。磁
性導体１５は、支持管１３のまわりに配置され、
磁性導体１５間には、異なる撹拌器部分２４，２
５，２６，２７の鉄芯１４が配置されている。各
撹拌器部分は、溶融芯中の磁界の適切な移動と適
切な貫通深さとを調節する目的で鋳造スラブ１１
に向いまた離隔する如く移動可能である。

撹拌器部分間の空隙は、磁束の損失を生じさせ
ることがある。従つて、第３図に示す磁性導体１
５でこの空隙を充填することが必要である。ま
た、撹拌器部分を固定させるための取付部を支持
管１３に備える如く磁性導体１５を構成してもよ
い。

撹拌効果を分布するため、幾つかの撹拌器部
分、例えば４個以上の撹拌器部分は、鋳造スラブ
に沿う螺旋状を形成する如く公知の態様で設置し
得る。また、鋳型から異なる距離にある幾つかの
撹拌器部分は、所望の撹拌結果を与えることが可
能であり、特に、この位置のところの鋳造スラブ
の外皮厚さに適合するように撹拌力が調節されて
いれば所望の撹拌効果を得ることが可能である。

第４図は３個の撹拌器部分２８，２９，３０を
有する電磁撹拌器が配置された状態を示してい
て、上段の図は上方から見た平面図であり、下段
の図は側面図である。鋳造スラブ３３は矢印３４
の方向に移動している。撹拌器部分２８，２９，
３０はそれら自体では何ら撹拌力を与えることは
できないものであつて、それぞれ１つ以上の巻線
を有している。磁性導体３１及び３２は撹拌器部
分２８，２９，３０を連結して磁気回路に大なる
抵抗が生じないようにしている。３つの撹拌器部
分２８，２９，３０は一つの完全な撹拌器を構成
する。この撹拌器が作動されると、鋳造スラブ３
３の移動方向３４又は反対方向に移動磁界が発生
され、所望の撹拌効果の分布がもたらされる。な
お、第４図において何も符号を付していない部分
は連続鋳造機の管の枠組である。

上述した種々の実施例は、実用新案登録請求の
範囲の規定内で多くの態様に変更可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は２個以上の撹拌器部分を使用する正方
形断面の鋳造スラブに関する撹拌器の２つの異な
る実施例の構成図、第２図は鋳造機の支持管にお
ける撹拌器の部分構成図、第３図は夫々本考案の
他の実施例の構成図、第４図は鋳造スラブの長手
方向に撹拌器部分を配置する実施例の構成図を示
し、上段は平面図、下段は側面図である。 １……鋳造スラブ、３，１３……支持管、２…
…非凝固部分（溶融芯）、４，１４……鉄芯、５
……付加的な芯、６……磁気遮蔽板、Ｓ−Ｔ，Ｒ
−Ｓ，Ｔ−Ｒ，２４−３０……撹拌器部分、１１
……鋳造スラブ、１２……溶融芯、１５，３１，
３２……磁性導体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 連続鋳造機からの鋳造スラブの溶融芯を撹拌す
   るための電磁撹拌器であつて、間に空隙がある少
   なくとも２つの撹拌器部分を有し、各１個の撹拌
   器部分は鉄芯を含み且つ他の撹拌器部分と共に装
   架されて、該鋳造スラブのまわりにそれら撹拌器
   部分の鉄芯が含まれる磁気回路を有する多相撹拌
   器を形成しており、各１個の撹拌器部分は少なく
   とも１相の巻線を含み且つ該撹拌器の全部の相数
   よりも少なくとも１つ少ない数の相が供給される
   ようになつており、各１個の撹拌器部分は該鋳造
   スラブの異なつた側辺に配置されていて、他の撹
   拌器部分と協働して該鋳造スラブのまわりに回転
   磁界を形成するようになつており、更に、前記そ
   れぞれの撹拌器部分の鉄芯と鉄芯との間の空隙内
   には付加的な鉄芯が配置されていることを特徴と
   する連続鋳造機用撹拌器。