JPS6364080B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は無線機、高周波ミシン、エンジン・プ
ラグ等の電波発信に伴う外部へ与える影響を測定
したり、また外部からの影響を完全に遮断した状
態でアンテナ等の性能を測定するために使用され
る電波暗室に関するものである。

〔従来技術〕

従来から、誘電体とフエライト・タイルよりな
る電波吸収パネルで室内全体をとり囲み各種機器
の測定試験等を行なう電波暗室は既に知られてい
る。

しかし、従来の電波暗室では各種機器の測定試
験を行なう度毎に電波暗室の外側から大型クレー
ン等の吊りアームを差し入れる等して所要部位の
電波吸収パネルを吊り出し、測定試験対象機器の
クレーン等による電波暗室内への設置後に再び電
波吸収パネルを吊り戻して電波暗室のシールドを
行なつてから各種機器の測定試験を行なつてい
た。

このため、測定試験毎の電波吸収パネルの移動
及び各種機器の搬入搬出作業、取付け調整作業の
能率が極めて悪かつた。

さらに、軽量軟質な電波吸収パネルを正確に取
付けることが難しいため電波暗室全体のシールド
が損なわれたり、電波吸収パネルの搬出搬入時に
電波吸収パネル自体を損傷する恐れもあつた。

〔発明の目的〕

そこで本発明は、前記のような従来の電波暗室
の問題点を解決して、特に比較的重量があり大き
な品物、例えば人工衛星、電波送受信器等の電波
特性等の測定に際してこれら機器の搬入搬出並び
に電波吸収パネルの移動が容易に行なえ、電波吸
収パネルを損傷することもなく、しかも正確に取
付け可能で充分なシールド機能を保ち得る電波暗
室を提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

本発明による電波暗室によれば、多数の電波吸
収パネルを室内全体を取り囲むように設けた電波
暗室において、床面電波吸収パネルの下面には機
器搬入搬出台車が走行可能な電波暗室出入口に通
ずる機器搬入搬出路が設けられ、この機器搬入搬
出路上に敷設されている複数の電波吸収パネル
は、その両側にある電波吸収パネルから切離され
機器搬入搬出台車により上方へ持上げ搬出搬入可
能とされている点に特徴がある。

〔実施例〕

この発明を図面により説明する。第１図はこの
発明による電波暗室実施例の構造を示す一部破断
斜視図である。

電波暗室１内には多数の電波吸収パネル２が張
りめぐらされている。この電波吸収パネル２はフ
エライト・タイル等の電波吸収体をベースにカー
ボン含有の発泡スチロール、又は発泡ウレタン等
の誘電体を形成して構成されている。さらに前記
電波暗室１の外面は銅板プラス絶縁シートならび
に亜鉛メツキ鉄板等で二重シールドされている。

また電波暗室１の床面３を形成する電波吸収パ
ネル中の複数の電波吸収パネル２′の下面には電
波暗室出入口に通ずる機器搬入搬出路４が設けて
ある。

機器搬入搬出路４に実施例においては軌条５が
敷設され、この軌条５上には電波吸収パネル２′
下面を走行し得るパネル運搬用台車６₁が配置さ
れている。このパネル運搬用台車６₁は任意の電
波吸収パネル２′下方に到達するとパネル運搬用
台車６₁に設けたピストン等により上方へ持上げ
可能であり電波吸収パネル２′をその両側に隣接
する電波吸収パネル２の端部から上へ切り離し支
持して電波暗室１外へ搬出格納することができ
る。

さらに、第２図に示したように軌条５は電波暗
室１の外側に所定長だけ延在しており、この延在
部分には各々ターン・テーブル１３，１３で切換
可能に接続された２本の軌条支線５′，５′が設け
られている。この内、一方の軌条支線５′には機
器据え付用台車６₂が配置され、もう一方の軌条
支線５′にはパネル運搬用台車６₁で搬出される電
波吸収パネル２を立体的に収納可能な収納エレベ
ータ１４が配置されている。

したがつて機器搬入搬出路４に当たる電波吸収
パネル２′は任意に電波暗室１外へ引き出して格
納し機器据え付け用台車６₂での機器７の搬入後
に再び軌条５に沿つて電波暗室１内に導入でき
る。

さらに電波暗室１の天井には天井走行クレーン
８が設置してあり電波暗室１内の重量物の移動が
容易に出来るようになつている。この天井走行ク
レーン８は非使用時には電波吸収パネル２で完全
に覆われ電波暗室１内の電波乱反射を防止するよ
う構成されている。

第３〜５図に電波暗室１の出入口を示す。この
出入口は電波吸収パネル２と同様の電波吸収体で
構成した内蓋１０と外蓋１１とから形成された引
き上げ転倒蓋９が設けられている。この外蓋１１
の転倒する位置の床面には外蓋１１を収納する空
間を形成してあり、また外蓋１１の内側には連軌
条５″が取り付けられ、外蓋１１転倒時に電波暗
室１と外蓋１１と電波暗室１外のそれぞれの軌条
を接続して電波吸収パネル２′の引き出し及び機
器７の導入が可能となつている。

また、搬入搬出口上側の内蓋１０と少なくとも
等しい長さ、幅を有する電波吸収パネル２ａが壁
面に対して直交する方向に進退可能となるよう構
成されており、内蓋１０は前記電波吸収パネル２
ａが進展した時点の当該電波吸収パネル２ａと壁
面との間の収納空間に収納することができる。

したがつて、この引き上げ転倒蓋９の作動にあ
たつては、まず内蓋１０の上方に隣接し、かつ内
蓋１０と少なくとも等しい長さ、幅を有する電波
吸収パネル２ａを壁面に対して垂直方向に移動す
る。ここで内蓋１０を上昇させて、内蓋１０の上
方に隣接する電波吸収パネル２ａと壁の間の収納
空間に収納する。さらに外蓋１１を電波暗室１外
側に転倒させる。そして機器７の導入及び電波吸
収パネル２′の再導入後内蓋１０を引き降ろし、
内蓋１０の上方に隣接する電波吸収パネルを定位
置に復帰させて一体化し、かつ外蓋１１を引き起
こしてシールドを完了する。

また、電波暗室出入口をシールドする変形例と
して、第６，７図に示すように台車に内蓋１０を
一体化させた後退蓋１２も作動が容易でシールド
が確実に行なわれる。なお電波暗室出入口の蓋は
転倒蓋、後退蓋に限定されるものではなく引き戸
ないし開き方式であつてもよい。

〔作用〕

以上の構成において、電波暗室１への機器搬入
に際しては、まず引き上げ転倒蓋９の内蓋１０上
方に隣接する電波吸収パネル２ａを壁面に対して
垂直に平行移動して形成した空間に内蓋１０を引
き上げ収納する。続いて外壁１１を外側に転倒
し、外蓋１１内側に取り付けられた連軌条５″と
電波暗室１内の機器搬入搬出路４の軌条５と電波
暗室外の軌条５とを接続して軌条本線を形成す
る。そこで、電波暗室１外に待機していたパネル
運搬用台車６₁を軌条本線上を電波暗室１内に導
入し、機器搬入搬出路４上の電波吸収パネル２′
下方に到達したら、前記パネル運搬用台車６₁上
部を上昇させて電波吸収パネル２′を支持して軌
条本線上を電波暗室１外へ搬出する。電波吸収パ
ネル２′を支持したパネル運搬用台車６₁が収納エ
レベータ１４に連絡する軌条支線５′と交差する
ターン・テーブル１３に到達すると、ターン・テ
ーブル１３で方向転換して軌条支線５′上を収納
エレベータ１４まで案内する。そこでパネル運搬
用台車６₁上の電波吸収パネル２′を収納エレベー
タ１４内に収納する。

そこでパネル運搬用台車６₁を再び電波暗室１
内に導入し、電波吸収パネル２′の搬出収納を任
意の枚数となるまで繰り返す。その後機器据え付
け台車６₂を電波暗室１内へ導入し、あるいは天
井走行クレーン８を使つて電波暗室１内の軌条５
上機器据え付け台車６₂に機器７を据え付ける。

機器７の搬入終了後、又は機器７の搬入位置を
機器搬入搬出路４上方とする場合にはそれに対応
させて順次電波吸収パネル２′を搬入する。

電波吸収パネル２′の搬入終了後引き上が転倒
蓋９の外蓋１１を引き上げ、内蓋１０を引き降ろ
し、かつ内蓋１０の上方に隣接する電波吸収パネ
ル２ａを元の位置に戻して電波暗室１のシールド
を完了する。

また、第８図に示したように搬入する機器７の
大きさや個数に応じて機器据え付け用台車６₂を
複数個配置したり、機器搬入口と反対側の壁面全
体をスライド状に開閉可能として特定の用途の試
験を行い得る構造とすることもできる。さらに、
収納エレベータ１４で電波吸収パネル２′を収納
すると共に、複数のパネル運搬用台車６₁で軌条
支線５′上に水平方向に電波吸収パネル２′を並列
して保管することもできる。

さらに第９，１０図に示すように電波暗室１の
機器搬入搬出路４上方の電波吸収パネル２′を連
結して台車６₁で支持して電波暗室１外に引き出
し軌条本線と直交した待機用の軌条支線５′上に
用意した機器７ないし他の電波吸収パネル２′と
ターン・テーブル１３を用いて交換する方法も可
能である。

また必要に応じて、第１１，１２図に示すよう
に電波吸収パネル２′を連結して引き出し、電波
暗室１外において電波吸収パネル２′をフオー
ク・リフトを用いて機器７ないし各電波吸収パネ
ル２′を移動させる方法も可能である。

〔発明の効果〕

本発明による電波暗室実施例は以上の通りであ
り、次に述べる効果を挙げることができる。

電波暗室への測定対象機器の搬入搬出に際し
て、これら機器の搬入搬出ならびに電波吸収パネ
ルの移動が容易に行なえ、電波吸収パネルを損傷
することもなく、しかも正確に取付け可能で充分
なシールド機能を保ち得る電波暗室を提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による電波暗室シールド方法
による実施例の構造を示す一部破断斜視図、第２
図はこの実施例の電波吸収パネル引出し用軌条、
ターン・テーブル、収納エレベータの関連を示す
斜視図、第３図は引き上げ転倒蓋を示す斜視図、
第４図、第５図は引き上げ転倒蓋の構造を示す側
面図、第６図、第７図に後退蓋の構造を示す図、
第８図は電波暗室の機器搬入搬出路の電波吸収パ
ネルと搬入された機器、軌条とターン・テーブ
ル、収納エレベータの他の実施例を示す平面図、
第９図、第１０図には機器搬入搬出路に位置する
電波吸収パネルを一体化して引き出す場合の関係
を示す図、第１１図、第１２図は引き出した電波
吸収パネルをターン・テーブルで軌条支線上に配
置した電波吸収パネル又は機器等と交換する方法
を示す図である。 １……電波暗室、２，２′，２ａ……電波吸収
パネル、３……床面、４……機器搬入搬出路、５
……軌条、５′……軌条支線、５″……連軌条、６
_１……パネル運搬用台車、６₂……機器据え付け用
台車、７……機器、８……天井走行クレーン、９
……引き上げ転倒蓋、１０……内蓋、１１……外
蓋、１２……後退蓋、１３……ターン・テーブ
ル、１４……収納エレベータ、１５……開き扉。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 多数の電波吸収パネルを室内全体を取り囲む
   ように設けた電波暗室において、 床面電波吸収パネルの下面には機器搬入搬出台
   車が走行可能な電波暗室出入口に通ずる機器搬入
   搬出路が設けられ、 この機器搬入搬出路上に敷設されている複数の
   電波吸収パネルは、その両側にある電波吸収パネ
   ルから切離され機器搬入搬出台車により上方へ持
   上げ可能とされていることを特徴とする電波暗
   室。