JPS636346B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、押出成形機を用いてポリオレフイン
のシラングラフト化と押出成形を一連に行うワ
ン・ステツプ方式に属する水架橋系ポリオレフイ
ン製押出成形品の製造方法及びその装置に関する
ものである。本発明の方法及び装置は、新たに成
形機内に供給されたポリオレフインに対する不飽
和シラン化合物の供給割合の一定性、したがつて
成形機内におけるポリオレフインと不飽和シラン
化合物との配合割合の一定性、ひいては連続的に
押出成形されて製造された成形品における不飽和
シラン化合物のグラフト化率の均一性にすぐれ
る。

背景技術 押出成形機内に成形母材としてのポリオレフイ
ンと橋かけ剤としての不飽和シラン化合物とを別
途に供給し、該成形機内におけるポリオレフイン
の溶融化工程を通じて前記のポリオレフインと不
飽和シラン化合物とを有機過酸化物の共存化に反
応させ、シラングラフト体としての水架橋系ポリ
オレフインを生成させてこれを押出し、目的物の
押出成形品とする該シラングラフト化と押出成形
とを一連に行うワン・ステツプ方式の水架橋系ポ
リオレフイン製押出成形品の製造方法が知られて
いる。この方法では、ポリオレフインと不飽和シ
ラン化合物との混合、ポリオレフインに対する不
飽和シラン化合物のグラフト化が、押出成形機の
スクリユ部におけるポリオレフインの溶融化工程
を通じて言わば自動的に行われるので、連続的に
押出されて得られる成形品の均質性すなわち水架
橋系ポリオレフインとしてのグラフト化率の均一
性は、ポリオレフインと不飽和シラン化合物の押
出成形機への供給手段に大きく影響される。

従来その供給手段として、(イ)押出成形機のホツ
パーへのポリオレフインの供給は適宜に行い、不
飽和シラン化合物の供給は押出成形機のスクリユ
の回転数にその回転数を同調させたモータを有す
るポンプを介して注入速度ひいては注入量を制御
して押出成形機のスクリユの始点部に行う方式、
(ロ)該ホツパーへのポリオレフインの供給は適宜に
行い、不飽和シラン化合物の供給は押出成形品の
寸法を測定しその測定値を押出速度より押出量を
算出し、その算出値をポンプのモータにフイード
バツクして回転数を制御し押出成形機のスクリユ
の始点部への注入量を調節する方式が知られてい
た。この(ロ)方式において成形品の寸法測定は、押
出された成形品を水槽等に導いて冷却固化後に行
うのが一般的である。

しかしながら、スクリユー部で不飽和シラン化
合物が作用して成形材料がスリツプを起すのかス
クリユの回転数が一定であつても押出量が変化し
て一定化しないため、上記の(イ)方式ではポリオレ
フインに対する不飽和シラン化合物の供給割合が
変化する結果となり、他方(ロ)方式では(イ)方式と同
様の供給割合の変化に加えて、成形品の寸法測定
に基づく不飽和シラン化合物の供給位置から成形
材料が押出成形機内ないしさらに冷却装置を通過
して寸法測定位置に到達するまでにタイムラグが
生じる結果となつて、いずれの方式においてもポ
リオレフインと不飽和シラン化合物の配合比率ひ
いては連続的に押出される成形品の長手方向にお
ける架橋度（グラフト化率に対応する）がばらつ
いて不均一なものとなる欠点があつた。架橋度の
バラツキは、成形品の物理的（機械的）及び化学
的な性質に大きく影響する。

発明の開示 本発明は、ポリオレフインの供給量に不飽和シ
ラン化合物の供給量を対応させることにより上記
の欠点を克服したものである。

すなわち、本発明は押出成形機内にポリオレフ
インと不飽和シラン化合物とを別途に供給し、該
成形機内におけるポリオレフインの溶融化工程を
通じてポリオレフインと不飽和シラン化合物とを
有機過酸化物の存在下に反応させ、シラングラフ
ト体としての水架橋系ポリオレフインを生成させ
てこれを押出し、目的物の押出成形品とする該シ
ラングラフト化と押出成形とを一連に行う方法に
おいて、ポリオレフインと不飽和シラン化合物の
押出成形機への供給を(A)押出成形機のホツパー内
におけるポリオレフインの残存量に基づき供給開
始レベルを検知し、その検知により一定量のポリ
オレフインをホツパー内に供給する工程、(B)次回
の供給のためにポリオレフインの一定量を秤量し
て貯蔵する準備工程及び(C)前回と今回とのポリオ
レフインの供給時間間隔を測定し、その測定値に
基づいて新たに供給されたポリオレフイン部への
不飽和シラン化合物の供給量を調節して新たに供
給されたポリオレフインに対し所定割合に不飽和
シラン化合物を供給する工程の前記(A)〜(C)工程に
より行うことを特徴とする水架橋系ポリオレフイ
ン製押出成形品の製造方法、 並びに、第１図のように、押出成形機１と、押
出成形機におけるホツパー２の所定位置に配置さ
れたレベル検知器３と、このレベル検知器を連動
しホツパー内のポリオレフイン４の残存量に基づ
く供給開始レベルの検知により作動して貯蔵した
ポリオレフイン５を該ホツパー内に供給するとと
もに供給が終るとタイマ機構６に基づいて自動的
に貯蔵可能状態に復帰する秤量器７と、この秤量
器と連動し秤量器の該復帰に基づき作動して秤量
器内にポリオレフインを供給するとともに秤量器
に一定量のポリオレフインが貯蔵されるとその供
給動作を停止するコンベア８と、ポリオレフイン
の供給時間間隔を測定する測定手段９と、この測
定手段と連動しその測定値に基づいて回転数が制
御されるモータ１０を有するポンプ１１と、この
ポンプを介して貯蔵槽１２から不飽和シラン化合
物１３をホツパー内の新たに供給されたポリオレ
フイン部に供給する配管１４，１５とからなるこ
とを特徴とする水架橋系ポリオレフイン製押出成
形の製造装置を提供するものである。

本発明において成形母材として用いられるポリ
オレフインとしては、例えばポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、
カルボン酸変性（グラフト又は共重合）ポリエチ
レンなどをあげることができ、汎用性の点でポリ
エチレンが好ましい。また、橋かけ剤としてポリ
オレフインをグラフト化するために用いられる不
飽和シラン化合物としては、例えばビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリアセトキシシランなどをあげることができ
る。さらに、前記のポリオレフインと不飽和シラ
ン化合物とのグラフト化反応を起させるために遊
離ラジカル発生剤として用いる有機過酸化物とし
ては、例えばジクミルパーオキサイド、過酸化ベ
ンゾイル、過酸化ジクロルベンゾイルなどをあげ
ることができる。本発明において有機過酸化物の
供給は、例えばポリオレフイン又は不飽和シラン
化合物と混合することによりあるいは別途に行な
われる。

本発明においては、そのほかに必要に応じジブ
チル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテートの
ようなシラノール縮合触媒、酸化防止剤、カーボ
ンブラツク、顔料、その他の配合剤を用いてもよ
い。なお、本発明において用いられるポリオレフ
イン、不飽和シラン化合物、有機過酸化物、その
他の配合剤は上記のものに限定されない（特公昭
48−1711号公報、特開昭56−8446号公報）。

本発明の方法を、これを実施するための装置に
より説明する。

第１図は、本発明の装置を説明するためのもの
である。この装置は、押出成形機１と、レベル検
知器３と、秤量器７と、ベルトコンベア８と、時
間測定手段９と、ポンプ１１と、配管１４，１５
とからなつている。レベル検知器３は、押出成形
機のホツパー２内におけるポリオレフイン４の残
存量に基づきポリオレフインの供給開始レベルを
検知するためのものである。実施例におけるレベ
ル検知器は発光素子と受光素子の対で形成された
光センサよりなつており、該ホツパーにおけるあ
らかじめ決定されたポリオレフインの供給開始レ
ベル位置にホツパーの胴部を介して対向的に配設
されている。なお、ホツパーの光センサ対向部は
透明体で形成されており、光が透過しうるように
なつている。秤量器７は、上部が開放する塵取状
の箱体に支持棒を取付けたものよりできており、
該箱部がホツパーの上方に位置するとともに、支
持棒の他端の保持部を中心に回転可能に設けられ
ている。また、秤量器は、前記のレベル検知器と
制御モータを介して電気的に連動しており該検知
器の供給開始レベルの検知に基づいて所定位置ま
で回動して停止し、タイマ機構によつて該停止状
態を一定時間保持したのち該制御モータが逆回転
して自動的にもとの貯蔵可能状態に復帰するよう
になつている。ベルトコンベア８は、そのポリオ
レフイン移送終端部が前記秤量器の箱体の上方に
位置するように配設されており、駆動力制御手段
を介して秤量器と連動し、秤量器の状態に基づい
てコンベアの作動−停止がコントロールされるよ
うになつている。時間測定手段９は、秤量器がホ
ツパー内にポリオレフインを供給する時間間隔を
測定するためのもので秤量器のポリオレフイン供
給開始動作と連動し、該供給開始動作の時間間隔
を測定する。ポンプ１１は、配管１４，１５を介
して不飽和シラン化合物１３を貯蔵槽１２からホ
ツパー内の新たに供給されたポリオレフイン部に
供給するためのものであり、このポンプは前記の
時間測定手段と連動してその測定値に基づいて回
転数が制御されるようになつたモータ１０を有し
ている。

上記の装置は、第２図のように作動して本発明
の方法を実施する。

すなわち、レベル検知器３がホツパー内のポリ
オレフイン４の残存量に基づいて供給開始レベル
を検知すると、秤量器７が作動して貯蔵していた
ポリオレフイン５をホツパー内に供給する（Ａ工
程）。供給が終ると秤量器はもとの貯蔵可能状態
に復帰し、この復帰に基づいてベルトコンベア８
が作動し、ポリオレフインを秤量器に供給する。
その際、秤量器は供給されたポリオレフインを貯
蔵しつつ秤量し、一定量が貯蔵されるとベルトコ
ンベアの作動が停止しポリオレフインの供給が止
まり、次回の供給開始レベルの検知による供給の
ための準備が完了する（Ｂ工程）。一方、前記の
ポリオレフインの供給サイクルにおける供給時間
間隔を時間測定手段９によつて測定し、その測定
値に基づいてモータ１０の回転数を制御し、これ
によりポンプ１１を介しての単位時間当りの供給
量を調節して不飽和シラン化合物を順次スクリユ
部へと移行するホツパー内の新たに供給されたポ
リオレフイン部に供給する（Ｃ工程）。その結果、
新たに供給されたポリオレフインに対してあらか
じめ決定された所定の割合で不飽和シラン化合物
が供給されることとなる。不飽和シラン化合物の
供給を受けたポリオレフインは、該化合物ととも
に押出成形機のスクリユ部に到達し、このスクリ
ユ部を通過するまでの間に溶融化されるとともに
混練されて不飽和シラン化合物との混合状態を形
成し、上記した手段で供給された有機過酸化物の
存在下に不飽和シラン化合物と反応してシラング
ラフト体としての水架橋系ポリオレフインとな
る。生成した水架橋系ポリオレフインは、そのま
ま押出成形過程におかれ、目的物の成形品に押出
成形される。

発明の利点 本発明によれば、一定量のポリオレフインの供
給時間間隔に基づいて所定量の不飽和シラン化合
物を新たに供給されたホツパー内のポリオレフイ
ン部に供給するようにしたので、ポリオレフイン
の供給と不飽和シラン化合物の供給とが直接対応
し、ポリオレフインと不飽和シラン化合物との供
給割合が均一化され、ひいてはその混合（配合）
割合が均質化されてポリオレフインの不飽和シラ
ン化合物によるグラフト化率におけるバラツキの
少ない水架橋系ポリオレフイン製押出成形品を得
ることができる。

実施例 パイプ用ダイ１６を装着した押出成形機（池貝
鉄工社製、S115−22）と、該成形機のホツパー
（容量50）におけるテーパ終端部の透明部に配
置された供給開始レベルを検知するための光セン
サと、貯蔵する一定量（500ｇ）の成形母材のホ
ツパー内への供給動作を５秒かけて行つたのちも
との状態に復帰する秤量器を有する上記の例示装
置と同じ仕様のものを用いて外径114mm、肉厚8.5
mmの水架橋系ポリエチレン製パイプを製造した。

すなわち、秤量器より新たに供給されたあらか
じめジクミルパーオキサイドを0.2重量％混入さ
せたポリエチレン（メルトインデツクス：0.4）
100ｇに対しビニルトリメトキシシランを２ｇの
割合で添加した状態で該成形機における200℃に
加熱されたスクリユ部に導き、このスクリユ部を
通過する間にポリエチレンの溶融、ポリエチレン
とビニルトリメトキシシランとジクミルパーオキ
サイドの混合及びポリエチレンに対するビニルト
リメトキシシランのグラフト化反応を行わせて水
架橋系ポリエチレンを調製し、ついでその水架橋
系ポリエチレンを押出して目的物の水架橋系ポリ
エチレン製パイプを連続的に製造した。

その間、ジクミルパーオキサイドを含むポリエ
チレンは秤量器を介してホツパー内に供給するの
であるが、その供給分は前回の供給後に次回の供
給のため秤量器にあらかじめベルトコンベアから
なる供給機構を介して秤量貯蔵して準備したもの
である。他方、ビニルトリメトキシシランの供給
は、ホツパー内の新たに供給された該ポリエチレ
ン部に行うのであるが、その供給量はポリエチレ
ンの前回と今回との供給時間間隔に基づいて回転
数が変えられるモータを有するポンプにより注入
速度を制御し、順次スクリユ部へと移行するポリ
エチレンに対して所定の割合となるように調節し
た。

得られた水架橋系ポリエチレン製パイプの長手
方向における到達ゲル分率は、10cm間隔平均で
75.2％、試料100片についてのバラツキ度として
の偏差平方和は80であつた。

比較のためのビニルトリメトキシシランを押出
成形機のスクリユの回転数に基づいて供給したほ
かは、前記の実施例と同様の条件で水架橋系ポリ
エチレン製パイプを得た。このものの長手方向に
おける到達ゲル分率は10cm間隔平均で75.3％、試
料100片についての偏差平方和は200であつた。

また、押出成形機より押出された直後における
部分で多点式の超音波式肉厚測定機とレーザ式外
径測定器を用いて非接触的に測定した寸法と押出
速度より算出した押出量に基づいて所定割合のビ
ニルトリメトキシシランを供給したほかは、前記
の実施例と同様の条件で水架橋系ポリエチレン製
パイプを得た。このものの長手方向における到達
ゲル分率は10cm間隔平均で74.8％、試料100片に
ついての偏差平方和は145であつた。

なお、到達ゲル分率は得られた水架橋系ポリオ
レフインにおけるグラフト化率の指標となるもの
であり、その測定は下記の方法により行つた。す
なわち、得られたパイプを長手方向に対し直角に
輪切りして厚さ0.5mmのスライス片を得、これを
100℃の水蒸気中に24時間放置して水架橋処理し
たのち沸騰キシレン（160℃）中にて24時間抽出
処理し、ついでその抽出処理物を80℃で24時間真
空乾燥処理して秤量し、その値（未溶融ゲル分）
の初期試料重量に対する百分率を算出し、その算
出値を到達ゲル分率とした。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の装置の概略説明図、第２図
はその装置におけるフローチヤートである。 １：押出成形機、２：ホツパー、３：レベル検
知器、６：タイマー機構、７：秤量器、８：コン
ベア、９：供給時間間隔測定手段、１０：モー
タ、１１：ポンプ、１２：貯蔵槽、１４，１５：
配管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 押出成形機内に成形母材としてのポリオレフ
   インと橋かけ剤としての不飽和シラン化合物とを
   別途に供給し、該成形機内におけるポリオレフイ
   ンの溶融化工程を通じて前記のポリオレフインと
   不飽和シラン化合物とを有機過酸化物の共存下に
   反応させ、シラングラフト体としての水架橋系ポ
   リオレフインを生成させてこれを押出し、目的物
   の押出成形品とする該シラングラフト化と押出成
   形を一連に行う方法において、 ポリオレフインと不飽和シラン化合物の押出成
   形機への供給を下記の(A)〜(C)工程により行うこと
   を特徴とする水架橋系ポリオレフイン製押出成形
   品の製造方法。 (A) 押出成形機のホツパー内におけるポリオレフ
   インの残存量に基づき供給開始レベルを検知
   し、その検知により一定量のポリオレフインを
   ホツパー内に供給する工程、 (B) 次回の供給のためにポリオレフインの一定量
   を秤量して貯蔵する準備工程、 (C) 前回と今回とのポリオレフインの供給時間間
   隔を測定し、その測定値に基づいて新たに供給
   されたポリオレフイン部への不飽和シラン化合
   物の供給量を調節して新たに供給されたポリオ
   レフインに対し所定割合に不飽和シラン化合物
   を供給する工程。 ２ ポリオレフインがポリエチレンである特許請
   求の範囲第１項記載の方法。 ３ 押出成形機と、押出成形機におけるホツパー
   の所定位置に配置されたレベル検知器と、このレ
   ベル検知器と連動しそのレベル検知に基づき作動
   して貯蔵したポリオレフインを該ホツパー内に供
   給するとともに供給が終るとタイマ機構に基づい
   て自動的に貯蔵可能状態に復帰する秤量器と、こ
   の秤量器と連動し秤量器の復帰に基づき作動して
   秤量器内にポリオレフインを供給するとともに秤
   量器に一定量のポリオレフインが貯蔵されるとそ
   の供給動作を停止するコンベアと、ポリオレフイ
   ンの供給時間間隔を測定する測定手段と、この測
   定手段と連動しその測定値に基づいて回転数が制
   御されるモータを有するポンプと、このポンプを
   介して貯蔵槽から不飽和シラン化合物をホツパー
   内の新たに供給されたポリオレフイン部に供給す
   る配管とからなることを特徴とする水架橋系ポリ
   オレフイン製押出成形品の製造装置。