JPS6360312B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、プレート式熱交換器に係り、特に熱
交換させる流体の流動が良好に行なわれるように
ヘツダー部を構成することのできる伝熱板の構造
に関する。

従来、一般に用いられているプレート式熱交換
器は、第１図に示すように、内面平滑で互いに独
立の穴１を伝熱板長手方向に複数個設けた複数枚
の伝熱板２を、管板３ａ，３ｂにより、伝熱板２
が互いに平行をなすようにして一体化し、該管板
３ａ，３ｂにそれぞれ流体入口６を有するヘツダ
ー４及び流体出口７を有するヘツダー５を取付け
てなるものである。いまこの熱交換器が凝縮器と
して用いられ、流体入口６から高温高圧流体が気
体の状態で入り、熱交換器全体は低温低圧の沸騰
液体液相中に没していて、熱交換器で沸騰及び凝
縮を伴つて熱交換が行なわれる場合を考える。流
体入口６から気体状態で入る高温高圧流体は、ヘ
ツダー４内で各伝熱板２の穴１中に配流され、穴
１を流下する際に、伝熱板２の外面の低温低圧沸
騰流体と熱交換を行ない、凝縮して重力方向に流
下し、ヘツダー５にて捕集され、流体出口７より
熱交換器外に導びかれる。

この従来のプレート式熱交換器は、前記のよう
に、穴１内を流動する流体は、伝熱板２内でその
流動方向を変えないでヘツダー４，５に通じるよ
うになつているため、ヘツダー４，５としては、
管板３ａ，３ｂを熱交換器外と隔離させる大きさ
のものが必要となり、ヘツダー４，５及び管板３
ａ，３ｂを構成する部材の肉厚を厚くせざるを得
ないという欠点がある。また、伝熱板２の外面で
沸騰する低温低圧流体は、その蒸発ガスがヘツダ
ー４に接する管板３ａの下面部で管板３ａの半径
方向に流動する傾向を持ち、管板３ａの中央部下
方に蒸発ガスが停留し、この部分の熱交換効率が
低下するという欠点がある。さらに、伝熱板２の
外面及び伝熱板２の穴１内は平滑面で形成されて
いるため、沸騰、凝縮の促進効果がなく、熱交換
効率が低いという欠点がある。

また、従来、米国特許第3457990号に開示され
た熱交換器が知られている。この米国特許第
3457990号に示されたものは、熱交換する２流体
をおのおの対面する２平板間に隔離し、少なくと
もその内の１流体流路は平板間に波形の伝熱フイ
ンを有し、このフインをヘツダー部にて折曲げて
いる。したがつて、通路内を流動する流体が伝熱
板内でその流動方向を変える構成が示されてい
る。しかし、この熱交換器では、ヘツダー部を含
めて、フインと平板の接触面が熱交換器内全般に
わたつて存在し、これら接触面の全面をろう付等
で一体化するには、熱交換器全体を収納して加熱
する大型加熱炉が必要であり、その製作は容易で
ない。当然、製作コストもアツプし、実用的とは
言えない。

本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決
するためになされたものであり、流体流路を伝熱
板内で変えるに際し、伝熱板ヘツダー部の構造を
簡略化し、耐圧性に優れ、しかも製作の容易なプ
レート式熱交換器を提供することにある。

本発明は、内部に垂直方向に凝縮流体用の流通
穴を複数個設けた一体成形の第１の伝熱板要素の
垂直方向両端部に内部に水平方向に凝縮流体用の
流通穴を複数個設けた一体成形の第２の伝熱板要
素とを相互に設けた傾斜部で一体に結合し、しか
も伝熱板要素間の結合面に沿つて、該結合面内部
の前記流通穴を垂直方向に連通した流体流路を設
けて伝熱板を形成し、該伝熱板の幅方向両端部を
シール板を介し伝熱板を複数個積層して伝熱板間
の長手方向に連通した沸騰用流体の流路を形成
し、前記伝熱板の幅方向上部側面および下部側面
に凝縮流体の入口ヘツダーおよび出口ヘツダーを
設けたことを特徴とするものである。

以下本発明の詳細を図面により説明する。第２
図ないし第４図は本発明による伝熱板の一実施例
であり、第２図は第１の伝熱板要素たる伝熱板本
体、第３図は該伝熱板本体と結合される第２の伝
熱板要素たるヘツダー板、第４図は伝熱板本体８
とヘツダー板９との結合状態を示す。第２図に示
す伝熱板本体８は、長手方向Ａに流体流動用の穴
１を複数個設けた一体成形の第１の伝熱板要素
で、その長手方向Ａの両端部を、巾方向Ｂに対し
て角度θだけ切欠いて傾斜辺８ａ，８ｂを形成し
たものである。

第３図に示すヘツダー板９は、伝熱板の巾方向
Ｂに流体流動用の穴１０を複数個設けた一体成形
の第２の伝熱板要素で、その巾方向Ｂに対してθ
の角度だけ切欠いて傾斜辺９ａを形成したもので
ある。

このような構造を有する伝熱板本体８とヘツダ
ー板９とは、第４図に示すように、本体８の上部
傾斜辺１０ａに１つのヘツダー板９の傾斜辺９ａ
を合わせ、かつ本体８の下部傾斜辺１０ｂに他の
１つのヘツダー板９の傾斜辺９ａを合わせ、これ
らの合わせ部の継目１２の部分に例えば溶接やろ
う付けなどを施すことにより、穴１及び穴１０を
閉塞することなく一体化している。このようにし
て得られた伝熱板１１は、該伝熱板１１を流動す
る流体の流路は、穴１及び穴１０が継目１２内で
導通しているため、伝熱板１１の長手方向Ａの上
下端部においては、その流動方向を伝熱板の巾方
向に取り得るものである。

第５図は上記のような伝熱板を用いて構成され
た熱交換器の構成例を示す。この熱交換器は、伝
熱板１１をその巾方向Ｂの両端部をシール板１３
を介して積層し溶接やろう付けにより一体化する
ことにより、伝熱板１１の間に、長手方向Ａに連
通する流体流路Ｃを形成すると共に、その組合体
の上部側面の穴１０の開口部に位置する所には、
流体入口１６を有するヘツダー１２が、穴１０の
開口部を包含するように一体的に取付け、かつ下
部側面の穴１０の開口部に位置する所には、流体
出口１７を有するヘツダー１５が、開口部を包含
するように一体的に取付けられている。

この第５図の熱交換器における流体流動状況
を、前記と同様に凝縮器として用いられる場合に
例をとつて説明する。高温高圧の凝縮流体は、気
体状態で流体入口１６よりヘツダー１４に流入
し、それぞれの伝熱板１１の上部ヘツダー板９の
穴１０から、伝熱板本体８の穴１に配流される。
穴１に流入した凝縮流体は、穴１内で伝熱板１１
の外面に接する低温低圧の沸騰流体と熱交換を行
ない、凝縮して穴１内を流下し、下部ヘツダー板
９の穴１０に捕集され、さらにヘツダー１５に捕
集されて流体出口１７より熱交換器外に流出す
る。一方、沸騰流体は、伝熱板１１とシール板１
３とで囲まれた流路Ｃ内に、長手方向Ａの下端部
から流入し、伝熱板１１の外面に接して伝熱板１
１内の凝縮流体と熱交換し、流体の一部が沸騰し
ながら気液２相流となつて上部へと流動し、その
流動方向を変えることなくその上端部より熱交換
器外へ流出する。

従つて、流路Ｃで沸騰した蒸気は、流路Ｃに停
留することなく未沸騰流体と共に熱交換器外に流
出するため、伝熱板１１の外面は絶えず未沸騰流
体と接するから、熱効率を向上させる効果があ
る。また、ヘツダー１４及び１５は、ヘツダー板
９の切り欠き角度θにより、長手方向Ａの長さを
任意に変えることができ、高圧の凝縮流体を隔離
するにも拘らず、その大きさを小さくすることが
でき、その構成部材の板厚を薄くすることができ
るという効果がある。

上述した実施例によれば、内部で流体流路が曲
り、しかも耐圧性のある流路を有する伝熱板１１
を１枚ごとに、簡単な１体化結合によつて製作で
きる。しかも、この伝熱板１１自体で内部流路の
耐圧性が確保されているので、伝熱板を順次積重
ねて熱交換器を構成する場合に、耐圧性に対する
特別な配慮は必要でなく、製作は容易である。

第６図ないし第８図は本発明の他の実施例であ
る伝熱板を示しており、この実施例が前記実施例
と異なる点は、第６図に示すように、伝熱板本体
８の上下の傾斜辺８ａ，８ｂに、これらの傾斜辺
に沿つて、穴１と交互する溝１８を設けると共
に、第７図に示すように、ヘツダー板９の傾斜辺
９ａにも２個の穴１０と交互する溝１９を設け、
第８図に示すように、本体８の傾斜辺８ａ，８ｂ
に、それぞれヘツダー板９の傾斜辺９ａを合わせ
て一体化することにより、本体８とヘツダー板９
との間に、巾方向Ｂに対して角度を持つ連続な流
路２０ａ，２０ｂを形成した点である。

このような流路２０ａ，２０ｂを形成すれば、
凝縮流体が流動できるため、凝縮流体は上部ヘツ
ダー板の穴１０からこの流路２０ａを通つて複数
個の穴１に配流され、また穴１から出た凝縮流体
はこの流路２０ｂを介して捕集されるため、流体
の配流、捕集が良好に行ない得るという効果があ
る。

第９図は本発明の他の実施例である伝熱板本体
を示すもので、この実施例においては、伝熱板本
体２１の長手方向に設ける流体流路２１の内部
に、フイン２３を設けると共に、伝熱板本体２１
の外面に金属粒２４を焼結等によつて一体化して
設けている。この実施例によれば、フイン２３を
設けたことによる穴２２の伝熱面積の増加及び伝
熱板本体２１の外面の金属粒２４による沸騰促進
作用により、熱伝達係数が増加し、熱交換効果率
がさらに向上する効果がある。

第１０図は第９図の変形例であり、これは第９
図の金属粒２４の代りに、フイン２５を設けたも
のであり、このフイン２５は機械的に設けること
ができるため、伝熱板の製作が容易となり、生産
性が向上するという利点がある。

第１１図は第９図の別の変形例であり、これに
金属粒の代りに、伝熱板本体２１の両外面に細孔
２６を設け、この細孔２６を、伝熱板本体２１の
長手方向に設けられたトンネル２７で互いに導通
させたものであつて、この変形例によれば、トン
ネル２７内に絶えず残存蒸気が保たれ、金属粒を
設けた場合よりも良好な沸騰伝熱面を得ることが
でき、熱交換効率はさらに向上するという効果が
ある。

以上述べた如く本発明によれば、伝熱板内を流
れる流体の流れ方向を変える構成のプレート式熱
交換器を製作するに際し、伝熱板ヘツダー部の構
造と簡略化し、耐圧性に優れ、しかも製作の容易
なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは従来の熱交換器の平面図、同ＢはＡ
の正面図である。第２図ないし第４図は本発明の
一実施例である伝熱板を示すもので、第２図Ａは
伝熱板本体の平面図、同Ｂ，Ｃはそれぞれその正
面図及び右側面図、第３図Ａはヘツダー板の平面
図、同Ｂ，Ｃはそれぞれの正面図及び右側面図、
第４図Ａは組合せ状態を示す正面図、同Ｂはその
右側面図である。第５図は該実施例の伝熱板を用
いて構成された熱交換器の一例を示すもので、Ａ
は平面図、Ｂ，Ｃはそれぞれその正面図、及び右
側面図、Ｄ，Ｅはそれぞれその上部斜視図及び下
部斜視図である。第６図ないし第８図は本発明の
他の実施例である伝熱板を示すもので、第６図Ａ
は伝熱板本体の平面図、Ｂ，Ｃはそれぞれその正
面図及び右側面図、第７図Ａはヘツダー板の平面
図、Ｂ，Ｃはそれぞれその正面図及び右側面図、
第８図Ａは組合せ状態を示す正面図、Ｂはその右
側面図である。第９図Ａは本発明の他の実施例で
ある伝熱板本体の平面図、Ｂはその正面図、Ｃは
ＡのＥ部拡大図である。第１０図及び第１１図は
第９図の変形例を示す一部平面図及び一部斜視図
である。 １，１０……流体流動用穴、８，２１……伝熱
板本体、９……ヘツダー板、１３……シール板、
１４，１５……ヘツダー、１６……流体入口、１
７……流体出口、１８，１９……溝、２０ａ，２
０ｂ……流路、２２……金属粒、２３，２５……
フイン、２６……細孔、２７……トンネル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 伝熱板の内部と外部にそれぞれ熱交換すべき
   高温高圧の凝縮用流体と低温低圧の沸騰用流体と
   を重力方向に対向流で隔離流動せしめ、該伝熱板
   を介して両流体間の熱交換を行なわせるプレート
   式熱交換器において、内部に垂直方向に凝縮用流
   体の流通穴を複数個設けた一体成形の第１の伝熱
   板要素の垂直方向両端部に、内部に水平方向に凝
   縮用流体の流通穴を複数個設けた一体成形の第２
   の伝熱板要素を相互に設けた傾斜部で一体に結合
   し、該伝熱板要素間の結合面に沿つて前記第１の
   伝熱板要素と第２の伝熱板要素内部の前記流通穴
   を垂直方向に連通させて前記伝熱板を形成し、該
   伝熱板の幅方向両端部をシール板を介し伝熱板を
   複数個積層して伝熱板間に垂直方向に連通した沸
   騰用流体の流路を形成し、前記伝熱板の幅方向上
   部側面および下部側面に凝縮用流体の入口ヘツダ
   ーおよび出口ヘツダーを設けたことを特徴とする
   プレート式熱交換器。