JPS635706Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、寝床に横臥したまま自力で排尿の
ために起居することができない病人や老人、ある
いは歩行が困難で車椅子による生活を送つている
人、松葉杖に頼つて歩行をする人、リハビリ中の
人、さらにはまた失禁者などのうち、特に婦女子
の用に供する採尿具の改良に関するものであり、
とりわけこの考案が提供しようとするものは、採
尿具とシヨーツとを一体にした女性用採尿具付下
着である。

〔従来の技術〕

採尿具に対して一般に期待される条件として
は、人体局部に密接して、排泄された尿が洩れた
りしないこと、構造が簡単で取扱いが容易である
こと、人体に常時装着しても着用者に異物感、痛
み等、不快な感じを極力与えないこと、長期間に
わたつて使用した場合でも、肌ずれによつて装着
部に炎症を起こし、患者が気付かないうちにそれ
が悪化したりすることがないこと、通気性があ
り、陰部がむれたりすることがないこと等が挙げ
られる。

ところで従来、女性用採尿具としては種々のも
のが提案されている。例えば実公昭49−8640号公
報並びに実公昭57−13052号公報に記載の採尿具
は、膣孔に挿入し支持する突起部を設け、その前
方側に外尿道口の周囲を封鎖状に囲む尿受部ない
しは外尿道口に当接する開口部、及びそれらに連
なる排尿管を設けたものであり、これらをゴム、
合成樹脂等の弾性材で一体的に形成した器具であ
る。また実開昭58−152907号公報には、側面から
見て局所形状に合わせた彎曲状をなす端縁部を有
し、全体形状が漏斗状の合成ゴム製受尿体からな
り、その受尿体の彎曲状端縁部に、断面円形で、
かつ通気性を有する帯状クツシヨンを嵌着した女
性用受尿具が開示されている。さらにまた、実公
昭56−41710号公報並びに実公昭57−50009号公報
には、曲管の一端開口部に、その縁部に沿つて環
状ゴム管を接合するとともに、曲管の肩部に多数
の小孔を穿設して通気性を持たせた受尿具を開示
している。その他、実公昭55−49069号公報並び
に実公昭58−41933号公報には、女性用の便尿処
理具が開示されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このように従来種々の女性用採尿具が提案され
ているが、上記した諸条件の全てを満足するよう
な採尿具、とりわけ女性用のものはこれまでに提
供し得なかつた。すなわち、上記実公昭49−8640
号公報並びに実公昭57−13052号公報に記載の採
尿具は、着用者に異物感があり、また弾性素材に
より形成されてはいるが、一体成型物であること
から肌ずれを起こしたり、通気性がないために陰
部がむれたりするといつた欠点を有する。また上
記実開昭58−152907号公報に記載の女性用受尿具
は、人体との密接具合において若干難点があり、
装着者が身体を動かしたりすると排泄された尿が
洩れる心配がある等の欠点を有している。さらに
また、上記実公昭56−41710号公報並びに実公昭
57−50009号公報に記載のものは、通気性をもた
せて陰部がむれたりしないような工夫がされてい
るが、実開昭58−152907号公報に記載のものと同
様の問題点がある。

この考案は、従来の女性用採尿具における上記
した種々の問題点を一挙に解決するべくなされた
ものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記課題を解決するための技術的
手段として、人体の採尿部位に当接する採尿ピー
ス部及び、その採尿ピース部に連設して外方へ突
出し、端部に採尿ホースが連通される採尿カツプ
部をそれぞれ、一定の形状をもつた弾性素材、可
撓性素材からなる成形体を撥水性及び通気性を併
有する布地でくるむことにより構成し、かつそれ
ら採尿ピース部と採尿カツプ部とを上記と同様の
布地を介して縫着して採尿具を形成した。そし
て、この採尿具をシヨーツの所定部位にあけられ
た穴部に所定状態で縫着もしくは装着し、さらに
採尿ピース部と人体局部との密接具合をより高め
る工夫をした。すなわちこの考案に係る女性用採
尿具付下着は、ゴム等の弾性素材からなり、外尿
道口の周囲を封鎖的に取り囲む形状をもつた輪状
成形体を、撥水性及び通気性を併有する布地でく
るんだ採尿ピース部と、ゴム、合成樹脂等の可撓
性素材からなる漏斗状成形体を、同じく撥水性及
び通気性を併有する布地でくるんだ採尿カツプ部
とを備え、この採尿カツプ部の大口径側と前記採
尿ピース部とを、同じく撥水性及び通気性を併有
する布地を介して筒状に連設縫着して採尿具を形
成し、この採尿具をシヨーツの所定部位にあけら
れた穴部に、前記採尿カツプ部がシヨーツの外方
側に、前記採尿ピース部がシヨーツの内方側に位
置するように、かつ採尿ピース部の下方背面側と
シヨーツ内面側との間にヒール部を介挿して、一
体的に縫着もしくは着脱自在に装着するようにし
たことを特徴とする。

〔作用〕

この考案に係る採尿具付下着においては、採尿
具は上記のように構成されており、弾性素材、可
撓性素材からなる成形体を布地でくるんでいるた
め、装着に際してそれほど違和感がなく、普通の
下着を身に着ける場合と比べてそれ程抵抗がな
い。また芯材である成形体以外は全て布地で形成
されているため、通気性に優れている。そして布
地は撥水性を有するものを使用しているため、排
泄された尿が採尿カツプ部及び採尿ホースを通つ
て排出される間に、それほど湿気を帯びるという
こともない。

また採尿ピース部は、その外方部分がヒール部
によつて持ち上げられ、人体局部、特に股間部付
近への密接具合をより良好にする。さらにまた採
尿ピース部を形成する成形体と採尿カツプ部を形
成する成形体とは分離しており、両成形体は布地
を介して連設されているので、装着者が身体を少
しぐらい動かしても、採尿ピース部のその動きが
直結的に採尿カツプ部及び採尿ホースに伝わるこ
とがなく、また逆に採尿カツプ部及び採尿ホース
に手を触れた場合などにあつても、その動きが直
ちに採尿ピース部に伝わることがない。すなわ
ち、採尿ピース部と採尿カツプ部とは布地を介し
てフレキシブルに連設されていることから、両者
間ではそれぞれの動きが分断され、採尿ピース部
の人体局部への密接具合を維持することができ、
また装着感もそれほど感じなくさせる。

〔実施例〕

以下、図面に基づいて、この考案の実施例につ
いて説明する。

第１図は、この考案の１実施例である女性用採
尿具付下着を示し、それを側方から見た図、第２
図は、同じく正面から見た図、第３図は、同じく
採尿具のシヨーツへの縫着部分をシヨーツの内方
側から見た図である。この実施例において、採尿
具１１は、シヨーツ１２の前側下部にあけられた
穴部に一体的に縫い着けられている。そして採尿
具１１は、人体局部に当接する採尿ピース部１３
と、排泄された尿の尿受け部となり、そして外部
に尿を導出する通路となる採尿カツプ部１４とを
備えている。採尿ピース部１３は外尿道口の周囲
を封鎖的に取り囲む形状をもつた輪状成形体を布
地でくるんで縫い合わせたものである。輪状成形
体は布地でくるまれているため外からは見えない
が、ゴム等、局部の形状に合わせて自在に彎曲す
る弾性材料からなり、局部への密接度を高めると
ともに、装着感をできるだけ良好にするようにさ
れている。また布地は、通気性とともに撥水性に
も優れたもの、例えばマーブレツト加工を施した
布地（東レ(株)製）を使用する。採尿カツプ部１４
は、ゴム、合成樹脂等の可撓性素材からなる漏斗
状成形体を、上記布地と同様の撥水性及び通気性
を併有する布地でくるみ、所定形態に縫い合わせ
たものである。採尿カツプ部１４の小径側端部は
開口しており、この開口部１５に採尿ホース（図
示せず）を接続し、その採尿ホースを尿受瓶（図
示せず）等に導くようにする。そして採尿カツプ
部１４の大口径側と採尿ピース部１３とは、撥水
性及び通気性を併有する布地を介して筒状になる
ように縫い合わされている。このようにこの一体
縫着物において、採尿ピース部１３の輪状成形体
と採尿カツプ部１４の漏斗状成形体とは、柔らか
い布地を介して連設されていることになる。そし
て採尿ピース部１３の下方背面側とシヨーツ１２
の内面側との間にはヒール部１６が介挿されてお
り、シヨーツ１２の内面に対して採尿ピース部１
３の下方を浮かせるようにしている。

使用に際しては、採尿具１１をシヨーツ１２に
縫着したものを通常の下着と同様にして身に着
け、採尿ピース部１３により外尿道口の周囲を封
鎖的に取り囲むように人体局部に密接させる。そ
して採尿カツプ部１４の開口端部１５に採尿ホー
スを接続し、その採尿ホースの他端を尿受器に取
り付ける。この状態において装着者が排尿する
と、排泄された尿は採尿カツプ部１４に導入さ
れ、その開口端部１５から採尿ホースを経て尿受
器に導出される。この際、採尿ピース部１３は局
部に密接しており、排尿が外部に漏れ出すことは
なく、また採尿具１１を形成する布地は撥水性を
有しているので、採尿具自体が吸水して湿つてし
まうこともない。

上記実施例では、採尿具１１をシヨーツ１２に
縫い着けたものについて説明したが、採尿具１１
をシヨーツ１２の所定部位にあけられた穴部に、
着脱自在に装着できるようにしてもよい。その１
例を第４図に示す。第４図は採尿具１１をシヨー
ツ１２にホツク１７によつて止着した状態をシヨ
ーツ１２の内方側から見た図であるが、ホツク１
７が設けられている以外は上記実施例のものと同
様である。このように採尿具１１をシヨーツ１２
に着脱自在とすれば、それぞれ別個に洗濯などを
することができて便利である。

〔効果〕

この考案は以上説明したような構成を有するの
で、この考案に係る女性用採尿具付下着の採尿具
は、装着時における違和感がそれほどなく、かつ
装着も容易であり、人体局部に密接して尿漏れな
どを来す心配もない。しかも採尿ピース部は、そ
の下方部分がヒール部により持ち上げられている
ため、股間部付近への密接具合も十分に保持さ
れ、尿洩れを完全に防ぐようにされている。また
皮膚に接する部分は布地でくるまれているため、
肌ずれなどによつて局部に炎症が起こる心配も少
ない。また材質自体が通気性に優れているため陰
部がすれたりすることもない。さらに、採尿ピー
ス部を形成する成形体と採尿カツプ部を形成する
成形体とは分離し、かつ布地を介してフレキシブ
ルに連設されており、そして下着に一体的に縫着
もしくは装着されているため、連続して着用して
も採尿ピース部が人体局部に対してずれ動くこと
もなく、確実に排泄された尿を外部へ導出するこ
とができる。

この考案は、上記のような種々の優れた点を有
し、一般に待望されているような女性用採尿具を
備えた下着を提供し得たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は、この考案の１実施例で
ある女性用採尿具付下着を示し、第１図はそれを
側方から見た図、第２図はそれを正面から見た
図、第３図は採尿具の縫着部分をシヨーツの内方
側から見た図である。また第４図は、この考案の
別の実施例を示し、採尿具をホツクによりシヨー
ツに止着した状態をシヨーツの内方側から見た図
である。 １１……採尿具、１２……シヨーツ、１３……
採尿ピース部、１４……採尿カツプ部、１５……
開口端部、１６……ヒール部、１７……ホツク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ゴム等の弾性素材からなり、外尿道口の周囲
   を封鎖的に取り囲む形状をもつた輪状成形体
   を、撥水性及び通気性を併有する布地でくるん
   だ採尿ピース部と、ゴム、合成樹脂等の可撓性
   素材からなる漏斗状成形体を、同じく撥水性及
   び通気性を併有する布地でくるんだ採尿カツプ
   部とを備え、この採尿カツプ部の大口径側と前
   記採尿ピース部とを、同じく撥水性及び通気性
   を併有する布地を介して筒状に連設縫着して採
   尿具を形成し、この採尿具をシヨーツの所定部
   位にあけられた穴部に、前記採尿カツプ部がシ
   ヨーツの外方側に、前記採尿ピース部がシヨー
   ツの内方側に位置するように、かつ採尿ピース
   部の下方背面側とシヨーツ内面側との間にヒー
   ル部を介挿して、一体的に縫着もしくは着脱自
   在に装着してなる女性用採尿具付下着。 ２ 採尿具をシヨーツにホツクで止着するように
   した実用新案登録請求の範囲第１項記載の女性
   用採尿具付下着。