JPH044745Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、主として身体障害者、失禁者、高
齢者などの用に供する防水布付下着に関するもの
である。

〔従来の技術〕 従来、歩行その他の行動ができる身体障害者や
失禁者あるいは高齢者等にとって、失禁時の尿処
理や経血の処理に最も普通に用いられているのは
おむつ・おむつカバーあるいは一体型の紙おむつ
であるが、これらは、通常の日常生活自体にはさ
ほど支障のない者にとつては、非常に煩わしいも
のである。そこで、歩行その他の行動の可能な身
体障害者や失禁者、高齢者などを対象とした下着
（下穿き）として、第５図ないし第８図に示すよ
うなものが案出されている。

これら各図は何れも縫着前の状態を表わした展
開図である。まず、第５図に示した下着は、シヨ
ーツを構成する前面布片１と背面布片２との腰回
り開口部位に、防水布片３が縫着された帯状のサ
ポータ用生地４の長手方向の両端部をそれぞれ縫
着し、このサポータ用生地４をシヨーツ内におい
て吊下形態に設けたものである。この下着の使用
に際しては、防水布片３に吸収部材または生理用
ナプキンを当てがい、あるいは接着し、サポータ
用生地４の伸縮性により吸水部材または生理用ナ
プキンを着用者の人体局部に圧接するようになつ
ている。つぎに、第６図に示した下着は、第５図
に示したものとほぼ同様であるが、サポータ用生
地５を第５図のものより短か目にして、その前縁
を前面布片１の股下部位に縫着したものである。
また、第７図に示した下着は、サポータ用生地６
の股下部位の両脇縁を背面布片２に縫着したもの
であり、さらにまた、第８図に示した下着は、第
６図のものにおけるサポータ用生地５とほぼ同形
のサポータ用生地７の周辺部を背面布片２に縫着
したものであり、防水布片３は裏打ちされてお
り、背面布片２の中心部に、吸水部材や生理用ナ
プキンを人体に密着させるための縫目８がある。
これら各図において、同一または同等の部材には
同一の符号を付してあり、何れのものも吸収部材
や生理用ナプキンを当てがいまたは接着して使用
するものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、これらのものは何れも種々の欠
点を有している。すなわち、第５図に示したもの
は、サポータ用生地４が吊下形態となつているた
め、このサポータ用生地４が着用者の運動により
着用者の臀裂に添つて真中に寄つてしまい、不快
な着用感を与える。しかも、そのサポータ用生地
４の偏位に伴つて吸収部材やナプキンも中心部に
片寄つてしまい、尿や経血が漏れるといつた不具
合が生じる。このような問題を防止するために、
ゴム紐９をサポータ用生地４の両側に取り付けて
そのサポータ用生地４の片寄りを防止するように
したものもあるが、ゴム紐９の引つ張り力は知れ
ており充分にその役割を果たすことができず、ま
た、着用する時にゴム紐９に足を引つかけ易く、
特にこの種の下着を常用する身体の不自由な者に
とつては、容易に着用することができなくなり、
介護者の助けを借りることにもなる。また、第６
図に示したものも、第５図のものと同様にサポー
タ用生地５が一点鎖線で示すように中心部に片寄
り易く、着崩れや吸水部材の屈曲が発生し、尿や
経血が漏れるといつた不都合が生じる。さらに、
第７図に示したものは、サポータ用生地６の股下
部位の両脇部が背面布片２に縫着されているた
め、背面布片２にゆとりがなく、身体の不自由な
者にとつては、その着用が難しく苦痛となる。さ
らにまた、第８図に示したものも、第７図のもの
と同様に、身体にぴつたり密着する形態となつて
いるために、身体の不自由な人には着脱しにくい
欠点がある。

この考案は、このような従来の問題点に鑑みて
それら諸問題点を一挙に解決しようとしてなされ
たものであり、快適な装着感を維持し、尿や経血
の漏れが生じるといつたことがなく、かつ身体の
不自由な者でも人の助けを借りることなく比較的
容易に着脱することができるような防水布付下着
を提供することを技術的課題とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案の防水布付下着は、上記課題を達成す
るために、前パンツ布片と後ろパンツ布片とを縫
着してブルマー型に形成されたパンツと、このパ
ンツの内方側に連接された、伸縮性を有する生地
からなるシヨーツ布片と、このシヨーツ布片の内
面側の股下部位に重合して縫着された、防水性を
有する生地からなる防水布片とからなり、前記シ
ヨーツ布片を前記パンツに、シヨーツ布片の後ろ
縁及び前縁をそれぞれパンツの後ろ縁及び股下部
位の前寄り位置に縫着するとともに、シヨーツ布
片の両脇縁の、そのシヨーツ布片上端から所定長
さ部分をそれぞれパンツの両横接ぎの、そのパン
ツ上端から所定長さ部分にわたつて縫着して連接
した構成を要旨とするものである。

〔作用〕

外装体としてのパンツがブルマー型になつてい
ることから、パンツ全体にゆとりがあり、身体の
不自由な者でもパンツ外面などを掴んで引つ張り
上げたり引きずり下ろしたりすることにより、人
の助けを借りることなく比較的容易に着脱するこ
とができる。また、伸縮性を有するシヨーツ布片
の両脇縁のうち、そのシヨーツ布片の上端から所
定長さ部分だけがパンツの両横接ぎの一部分に縫
着されていて股下部位は縫着されていないことか
ら、シヨーツ布片は着用者の局部に良好に密着す
る。そして、前記のようにシヨーツ布片は、その
両脇縁がパンツの横接ぎ部に縫着されているた
め、着用者の運動時においては両脇方向に引つ張
られ、中央部に片寄ることがないから、シヨーツ
布片により防水布片に装着された吸水部材や生理
用ナプキンが着用者の局部に常に良好に密接し
て、尿や経血が漏れる恐れがない。

〔実施例〕

以下、この考案の好適な実施例について第１図
ないし第４図を参照しながら詳細に説明する。

第１図ないし第４図はこの考案の１実施例を示
し、第１図は防水布付下着の正面図、第２図はそ
の背面図、第３図はその側縦断面図、第４図は展
開図である。これらの図において、１０は前パン
ツ布片１１と後ろパンツ布片１２と股下布片１３
とを縫着してブルマー型に形成されたパンツで、
吸汗性のよい綿素材が用いられている。１４は伸
縮性を有し、吸汗性の良好な綿素材からなるシヨ
ーツ布片を示し、第４図の展開図に示すように、
後ろパンツ布片１２と股下布片１３とを縫成した
形状とほぼ同形になつており、後ろ縁及び前縁が
それぞれ後ろパンツ布片１２の腰回り開口部位及
び前パンツ布片１１の股下部位に縫着されている
とともに、両脇縁の後半部、すなわちそのシヨー
ツ布片１４の上端から所定長さ部分がパンツ１０
の両脇部の、前パンツ布片１１と後ろパンツ布片
１２との横接ぎ１５の一部分、すなわちパンツ１
０の上端から所定長さ部分にわたつてそれぞれ縫
着されている。１６はシヨーツ布片１４の内面側
の股下部位に重合されて縫着された防水布片であ
る。また、後ろパンツ布片１２は互いに対称形の
左右２枚の布片１２Ａ，１２Ｂを縫着して形成さ
れ、パンツの後ろ中心に接ぎ１７が入れられてい
る。

この防水布付下着は、第４図に示すように、防
水布片１６に吸水部材や生理用ナプキン等の股当
て部材１８を当てがい、または接着して着用す
る。この着用時においては、経血や尿は股当て部
材１８に吸収されるとともに、シヨーツ布片１４
に縫着された防水布片１６によつて外装体である
パンツ１０の表面にはそれが滲出することがな
い。そして、パンツ１０がブルマー型となつてい
ることから、身体障害者や高齢などのために、既
存のパンテイ型の生理用シヨーツや失禁用パンツ
の着用を自分自身で行なうことができなかつた人
でも、パンツ１０に全体としてゆとりがあること
から、そのパンツ外面などを掴んで引つ張り上げ
たり引きずり下ろしたりすることにより、人の助
けを借りることなく比較的容易に着脱することが
できる。また、伸縮性を有するシヨーツ布片１４
の両脇縁のうち、そのシヨーツ布片１４の上端か
ら所定長さ部分だけがパンツ１０の両横接ぎ１５
の一部分に縫着されていて股下部位は縫着されて
いないため、シヨーツ布片１４はその伸縮性によ
り着用者の局部に良好に密着する。そして、シヨ
ーツ布片１４の両脇縁の一部分がパンツ１０の両
側の横接ぎ１５に縫着されていることにより、着
用者が運動してもショーツ布片１４は両脇方向に
引つ張られ、着崩れで中心部に片寄つてしわが生
じたりすることがない。従つて、そのシヨーツ布
片１４に縫着された防水布片１６に装着される吸
水部材や生理用ナプキンが着用者の局部に常に良
好に密接して、尿や経血が漏れる恐れもない。ま
た、後ろパンツ布片１２の後ろ中心に接ぎ１７を
入れて立体的に形成することにより、股当て部材
１８がより一層臀裂に沿つて位置決めされ人体局
部に密着して、尿や経血の漏れが完全に防止され
る。なお、パンツ１０の前パンツ布片１１及び後
ろパンツ布片１２に、月経臭や尿臭を抑えるため
の消臭加工を施すことが好ましい。

〔考案の効果〕

この考案は以上説明したように構成されかつ作
用するので、この考案の防水布付下着において
は、全体的に非常にゆとりがあり、身体の不自由
な者でも自分自身で比較的容易に着脱することが
できる。また、運動によつても着崩れして不快な
着用感を与えたりするようなことがなく、また防
水布部に装着された吸水部材や生理用ナプキンな
どが位置ずれして尿や経血の漏れを起こしたりす
ることがなくて、常に快適な装着感を維持し、尿
や経血の漏れを完全に防止する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はこの考案の１実施例を示
し、第１図は防水布付下着の正面図、第２図はそ
の背面図、第３図はその側縦断面図、第４図は、
展開図であり、第５図ないし第８図はそれぞれ従
来の防水布付下着の展開図である。 １０……パンツ、１１……前パンツ布片、１２
……後ろパンツ布片、１４……シヨーツ布片、１
５……パンツの横接ぎ、１６……防水布片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 前パンツ布片と後ろパンツ布片とを縫着して
   ブルマー型に形成されたパンツと、このパンツ
   の内方側に連接された、伸縮性を有する生地か
   らなるシヨーツ布片と、このシヨーツ布片の内
   面側の股下部位に重合して縫着された、防水性
   を有する生地からなる防水布片とからなり、前
   記シヨーツ布片を前記パンツに、シヨーツ布片
   の後ろ縁及び前縁をそれぞれパンツの後ろ縁及
   び股下部位の前寄り位置に縫着するとともに、
   シヨーツ布片の両脇縁の、そのシヨーツ布片上
   端から所定長さ部分をそれぞれパンツの両横接
   ぎの、そのパンツ上端から所定長さ部分にわた
   つて縫着して連接したことを特徴とする防水布
   付下着。 ２ 後ろパンツ布片が互いに対称形の左右２枚の
   布片を縫着して形成され、パンツの後ろ中心に
   接ぎが入れられた実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の防水布付下着。